JP2004173566A - 園芸用結束機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】園芸用結束機1のクリンチャアーム3の前面に衝撃吸収カバー17を装着する。衝撃吸収カバー17はゴムや樹脂などの衝撃吸収素材で形成され、落下時に衝撃を受ける可能性が最も高いクリンチャアームを保護する。クリンチャアームの内側に装着される内面カバーフレーム18に熱処理を施すとともに、クリンチャアームと内面カバーフレームの両側壁のピン穴に溝付きスプリングピン19を圧入してクリンチャアームを補強する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、園芸用結束機に関するものであり、特に、落下時の破損を防止した園芸用結束機に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
葡萄或いは胡瓜、メロン、トマト等の蔓性農作物の栽培においてテープを用いてこれらの植物の蔓や枝を支柱や棚に結束する園芸用結束機が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図6に示すように、園芸用結束機1はドライバハンドル2とクリンチャアーム3と下ハンドル4をプライヤー形に組合わせた手持ち工具であり、ドライバハンドル2には手動式のステープラと同様にステープルマガジン5が組み合わされており、ドライバハンドル2の後部にテープマガジン6が取付けられている。
【0004】
クリンチャアーム3は先端部がL形に屈曲した形状であり、テープの先端を掴むテープ把持装置7とクリンチャ8とが先端部に配置されていて先端部に質量が集中しているので、園芸用結束機1全体の重心が前部に寄っている。したがって、園芸用結束機1を誤って落とすと、図6に示すようにクリンチャアーム3の先端を下にして落下し、クリンチャアーム3の先端面が地面や舗装面に衝突する。そして、落下時の衝撃が大きい場合は、クリンチャアーム3のL形先端部が枢軸側へ曲がってしまうことがある。
【0005】
図7は園芸用結束機1の結束直前の状態を示し、ドライバハンドル2側のドライバ9が図示の状態からさらに下降してステープルマガジン5内のステープル(図示せず)をクリンチャ8へ押し付け、テープTを貫通したステープルがクリンチャ8に当たって折り曲げられてテープが綴じられる。これと同時にカッター刃10がクリンチャアーム3側のテープ支えプレート11の端面でテープTを切断して支柱Pと農作物の蔓Vが結束される。しかし、落下によりクリンチャアーム3が変形した場合は、クリンチャ8とドライバ9との位置がずれてテープTを綴じることができなくなるとともに、カッター刃10とテープ支えプレート11とに隙間が生じてテープTを切断できなくなってしまう。そこで、落下事故によるクリンチャアームの変形を防止するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は上記課題を解決することを目的とする。
【0006】
【特許文献1】特開2001−55203号公報
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記目的を達成するために提案するものであり、手持ち形園芸用結束機であってクリンチャアームとドライバハンドルを軸にて結合したステープラ式の園芸用結束機において、クリンチャアームの前面にゴムやプラスチックなどの衝撃吸収カバーを装着したことを特徴とする園芸用結束機を提供するものである。
【0008】
また、上記衝撃吸収カバーとクリンチャアームの前面とに間隙を設け、衝撃吸収カバーの変形を許容するように形成した園芸用結束機を提供するものである。
また、手持ち形園芸用結束機であってクリンチャアームとドライバハンドルを軸にて結合したステープラ式の園芸用結束機において、クリンチャアーム及びクリンチャアーム内に嵌合するアングル形断面の内面カバーフレームの両側壁にピン或いはバーなどの補強部材を架設してクリンチャアームを補強したことを特徴とする園芸用結束機を提供するものである。
【0009】
また、上記内面カバーフレームに熱処理を施して強度を向上させた園芸用結束機を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を図に従って詳述する。図1は園芸用結束機1を示し、本体構造は図6に示したものと同一であり、2はドライバハンドル、3はクリンチャアーム、4は下ハンドルであり、ドライバハンドル2にステープルマガジン5が組み合わされており、ドライバハンドル2の後部にテープマガジン6が取付けられている。テープマガジン6に装填した結束用のテープTは、ドライバハンドル2の上面に装着したテープガイド12の中を通してテープガイド12の先端から引出し、ステープルマガジン5の先端の垂直テープガイド13へ通して下方へ垂下させる。ドライバハンドル2とステープルマガジン5は後部の軸14にて連結されており、通常のステープラと同様にドライバハンドル2に対してステープルマガジン5は僅かな角度範囲で回転が可能になっている。ドライバハンドル2は先端にノッチ刃形状のカッター刃10が取付けられており、カッター刃10のやや後方にはステープルを射出するためのドライバ9が取付けられている。
【0011】
クリンチャアーム3の先端部内にはテープ把持装置7が配置されており、テープ把持装置7の手前にクリンチャ8が配置されている。テープ把持装置7は溝カムを用いたプッシュ式ロック機構によりピッキングプレート15を開閉動作させるものであり、ドライバハンドル2と下ハンドル4を握ってドライバハンドル2とクリンチャアーム3を閉じると、ドライバハンドル2側のステープルマガジン5によりテープ把持装置7のプッシュレバー16が下方へ押し下げられてハートループ形溝カムの作用により下降位置でロックされ、プッシュレバー16が下降することによってピッキングプレート15のロックが解除される。ロックを解除されたピッキングプレート15はバネの力によって手前側へ回動し、上端の鋭角爪部がテープTに刺さってピッキングプレート15とテープ支えプレート11とによりテープTを挟む。そして、ドライバハンドル2とクリンチャアーム3を開くと、ドライバハンドル2側からテープTが引出されてドライバハンドル2とクリンチャアーム3の先端の間にテープTが張られる。
【0012】
この状態で園芸用結束機1を前方へ移動して、ドライバハンドル2とクリンチャアーム3との間に支柱と農作物の蔓を入れれば支柱と蔓とにテープが掛け回され(図7を参照のこと)、再びドライバハンドル2とクリンチャアーム3を閉じると、ドライバ9がステープルマガジン5内のステープルをクリンチャ8へ向けて射出してテープループの重なり部を綴じるとともに、ドライバハンドル2側のカッター刃10がテープ支えプレート11の前面位置でテープを切断し、支柱Pと蔓Vとが結束される。このとき、プッシュレバー16がステープルマガジン5によって下方へ押し下げられてプッシュレバー16のロックが解除され、プッシュレバー16が上昇しつつピッキングプレート15を後退させて初期状態に復帰する。
【0013】
続いて、園芸用結束機1を保護する衝撃吸収カバー17について説明する。衝撃吸収カバー17はクリンチャアーム3の先端上部に取付けられており、図2及び図3に示すようにクリンチャアーム3の前面及び側面を覆っている。衝撃吸収カバー17はゴムやポリカーボネートなどのように耐衝撃性の高い材質を用いた部品で、クリンチャアーム3の前面と衝撃吸収カバー17の内壁面とに空間を設けてあり、園芸用結束機1が落下したときに、地面に衝突した衝撃吸収カバー17の前面部が左右に膨らんで衝撃を吸収し、クリンチャアーム3の前面へ直接に衝撃が加わらないようにしている。また、衝撃吸収カバー17の素材としてはノーソレックスゴムやソルボセイン(登録商標)などの衝撃吸収素材やシリコンゲル封入ゴムを用いてもよく、ソルボセインやシリコンゲル封入ゴムなどのように軟質で変形量の多いものの場合はクリンチャアーム3の前面と衝撃吸収カバー17の内壁面とに空間を設けなくてもよい。
【0014】
次にクリンチャアーム3の補強について説明する。クリンチャアーム3の内側には断面がクリンチャアーム3と相似形の内面カバーフレーム18が装着されているが、この内面カバーフレーム18に熱処理を施して高強度化するとともに、図4に示すようにクリンチャアーム8と内面カバーフレーム18の両側壁面に形成したピン穴に溝付きスプリングピン19を圧入し、溝付きスプリングピン19のバネ力によってクリンチャアーム3及び内面カバーフレーム18の側面間隔の変動を防止している。これにより、落下時の衝撃によりクリンチャアーム3の側壁が外側へ開いてクリンチャアーム3が変形する虞が殆どなくなり、衝撃吸収カバー17の衝撃吸収効果と相俟ってクリンチャアーム3の耐衝撃性が大きく向上する。
【0015】
図5は他の実施形態を示し、溝付きスプリングピン19に代えてメネジ穴を有するピン20と止めネジ21を用いており、内面カバーフレーム18の側壁間にピン20を架設し、クリンチャアーム3の外側からピン20の両端に止めネジ21を締め付けてクリンチャアーム3と内面カバーフレーム18を補強している。尚、上記の補強部材はピンに限定されず、チャネル形断面の板状バーなどであってもよい。
【0016】
また、クリンチャアーム3の補強に関しては、クリンチャアーム3自体に熱処理を施したり、クリンチャアーム3と内面カバーフレーム18とをスポット溶接したりする方法が考えられるが、これらの方法ではクリンチャアームに熱による歪みが発生するので機械的精度を保つことが難しくなる欠点がある。また、クリンチャアーム3の板厚や側壁部分の高さを増加して強度向上を図る方法は、大型化と重量の増加を招くという欠点があるが、本発明における補強手段には上記の欠点はみられず補強手段としての優位性は明らかである。
【0017】
尚、この発明は上記の実施形態に限定するものではなく、この発明の技術的範囲内において種々の改変が可能であり、この発明がそれらの改変されたものに及ぶことは当然である。
【0018】
【発明の効果】
園芸用結束機はその重量バランスの関係上、落下したときにクリンチャアームの前面が地面に衝突することが多いが、本発明の園芸用結束機はクリンチャアームの前面に衝撃吸収カバーを設けたので、落下時にクリンチャアームに加わる衝撃が減殺されてクリンチャアームの変形の虞が減少する。また、クリンチャアーム及びクリンチャアームの内部に装着した内面カバーフレームの両側壁間にピンなどの補強部材を架設してクリンチャアームを補強することにより、クリンチャアームの耐衝撃性が向上する。また、内面カバーフレームに熱処理を施すことにより、重量の増加や機械的精度の低下をもたらすことなく強度をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示し、園芸用結束機の一部破断側面図。
【図2】本発明の実施の一形態を示し、園芸用結束機の一部破断側面図。
【図3】図1のA−A線矢視断面図。
【図4】図1のB−B線矢視断面図。
【図5】他の実施形態を示し、図4と同一箇所の断面図。
【図6】従来例を示し、園芸用結束機の側面図。
【図7】園芸用結束機の結束機構部の動作を示す側面断面図。
【符号の説明】
1 園芸用結束機
2 ドライバハンドル
3 クリンチャアーム
4 下ハンドル
5 ステープルマガジン
6 テープマガジン
7 テープ把持装置
8 クリンチャ
9 ドライバ
10 カッター刃
11 テープ支えプレート
12 テープガイド
13 垂直テープガイド
14 軸
15 ピッキングプレート
16 プッシュレバー
17 保護装置
18 内面カバーフレーム
19 溝付きスプリングピン
20 ピン
21 止めネジ
Claims (4)
- 手持ち形園芸用結束機であってクリンチャアームとドライバハンドルを軸にて結合したステープラ式の園芸用結束機において、クリンチャアームの前面にゴムやプラスチックなどの衝撃吸収カバーを装着したことを特徴とする園芸用結束機。
- 上記衝撃吸収カバーとクリンチャアームの前面とに間隙を設け、衝撃吸収カバーの変形を許容するように形成した請求項1記載の園芸用結束機。
- 手持ち形園芸用結束機であってクリンチャアームとドライバハンドルを軸にて結合したステープラ式の園芸用結束機において、クリンチャアーム及びクリンチャアーム内に嵌合するアングル形断面の内面カバーフレームの両側壁にピン或いはバーなどの補強部材を架設してクリンチャアームを補強したことを特徴とする園芸用結束機。
- 上記内面カバーフレームに熱処理を施して強度を向上させた請求項3記載の園芸用結束機。
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