JP2004172392A - 半導体エピタキシャルウェーハの製造装置およびサセプタ並びにサセプタの支持装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エピタキシャル成長層の膜厚の面内分布の不均一を招くなどの問題を生じさせることなく、しかもシリコンウェーハ基板に酸化膜を形成せずに、エピタキシャル成長層のドーパント濃度面内不均一をなくす。
【解決手段】サセプタ10の面内のうちシリコンウェーハ基板1が載置される部位に、複数の排出孔12、12′…を形成する。更に所定角度θ傾斜させてサセプタ10を貫通させることで排出孔12を形成するか、サセプタ10の下方に、シリコンウェーハ基板1に応じた大きさの輻射熱遮断用板(遮光板)30を配置する。
【選択図】 図15
【解決手段】サセプタ10の面内のうちシリコンウェーハ基板1が載置される部位に、複数の排出孔12、12′…を形成する。更に所定角度θ傾斜させてサセプタ10を貫通させることで排出孔12を形成するか、サセプタ10の下方に、シリコンウェーハ基板1に応じた大きさの輻射熱遮断用板(遮光板)30を配置する。
【選択図】 図15
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体エピタキシャルウェーハの製造装置およびこの製造装置に用いられるサセプタ、この製造装置に用いられるサセプタの支持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスはシリコンウェーハ上にエピタキシャル成長層の薄膜を形成する工程を経て作製される。
【0003】
エピタキシャル成長薄膜形成用の原料ガスとしては例えばSiH4 (モノシラン)、SiHCl3 (トリクロロシラン)などが使用される。たとえばP型の半導体デバイスを作製する場合にはシリコンウェーハ基板に不純物としてボロンBが添加されエピタキシャル成長層にも同じ不純物ボロンBが添加される。このためP型のドーピングガスB2H6 (ジボラン)、BCl3などが使用される。
【0004】
図1(a)はランプ加熱方式の枚葉型気相成長装置を示している。同図1(a)に示すようにエピタキシャル成長炉であるチャンバ4内にはサセプタ10が設けられている。
【0005】
サセプタ10はウェーハ保持部材であり、加工を終える毎にシリコンウェーハ基板1が1枚ずつ載置される。
【0006】
チャンバ4の外部には加熱用ランプ5が設けられており、加熱用ランプ5が発光することにより輻射熱がチャンバ4を介してシリコンウェーハ基板1に加えられる。これによりシリコンウェーハ基板1は気相成長に適した成長温度に達する。
【0007】
チャンバ4のガス導入口から原料ガス、ドーピングガス、キャリアガスからなる成長ガス41がチャンバ4内に供給され、サセプタ10の上面および下面に沿って流される。サセプタ10を通過した成長ガス41がチャンバ4のガス排気口から排気される。
【0008】
このため原料ガスがシリコンウェーハ基板1上で化学反応し、図16に示すようにシリコンウェーハ基板1の表面に同じシリコンのエピタキシャル成長層の薄膜2が形成され、シリコンエピタキシャルウェーハ1′が作製される。たとえばドーパント濃度が高い(抵抗率Ω・cmが低い)シリコンウェーハ基板1の上にドーパント濃度が低い(抵抗率Ω・cmが高い)エピタキシャル成長層2が形成される。
【0009】
ここで気相成長中には図16に示すようにシリコンウェーハ基板1の裏面1bからボロンBのドーパント42aの放出が生じ、オートドープガス42としてシリコンウェーハ基板1の外方からエピタキシャル成長層2の外周部に回り込みエピタキシャル成長層2内に取り込まれるというオートドープ(オートドーピング)が生じる。
【0010】
このようなオートドープは、エピタキシャル成長層2の外周部におけるドーパント濃度を高くし(抵抗率Ω・cmを低くし)エピタキシャル成長層2の面内のドーパント濃度分布(抵抗率面内分布)の不均一を招き、シリコンエピタキシャルウェーハ1′の品質を劣化させる。
【0011】
そこで従来より図17に示すようにシリコンウェーハ基板1の裏面1bに酸化膜3を形成することでオートドープを防ぐようにしている。
【0012】
しかし近年高い清浄度の半導体デバイスを作製するために、表面酸化膜のないエピタキシャルシリコンウェーハが要求されている。しかし酸化膜3を形成せずにシリコンエピタキシャルウェーハ1′を製造しようとすると図16で説明したオートドープを避けることはできずエピタキシャル成長層2のドーパント濃度面内分布の不均一はこれを避けることができなくなる。
【0013】
こうしたオートドープによるエピタキシャル成長層2のドーパント濃度面内分布の不均一を回避する従来技術として以下のものがある。
【0014】
(従来技術1)
特許文献1(特開平10−223545号公報)には、図13に示すようにサセプタ10のポケット部11′の最外周部つまりシリコンウェーハ基板1が載置されている部位よりも外側の部位に貫通孔15をサセプタ10の周方向に沿って形成して、オートドープガス42をサセプタ10の下方へ排出するという発明が記載されている。
【0015】
すなわちサセプタ10の上面には成長ガス41aが通過するが、成長ガス41aの一部のガス41cから貫通孔15に向けて下方に流れ込む。このときシリコンウェーハ基板1の裏面1bから放出されたオートドープガス42が成長ガス41c(下方への流れ)に引っ張られて貫通孔15から排出される。そしてチャンバ4の下方に形成された図示しない排気口からオートドープガス42が排気される。
【0016】
またサセプタ10に孔を形成する一般技術的水準を示すものとして以下のものがある。
【0017】
(従来技術2)
特許文献2(特開平8−8198号公報)には、サセプタ10の面内のうちシリコンウェーハ基板1が載置される部位に多数の貫通孔を形成することで、シリコンウェーハ基板1をずれなく位置決めしウェーハ搬送時のすべりを防止するという技術が記載されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に関して本発明者らは効果確認の実験を行った。その結果、確かにエピタキシャル成長層2におけるドーパント濃度面内分布の不均一を回避することができるものの、つぎのような問題が発生することが明らかになった。
【0019】
a)エピタキシャル成長層2の外周部で膜厚が大きくなり膜厚面内分布の不均一を招く。これは図13に示すようにサセプタ10の上側を通過する成長ガス41aが下方への流れ41cとなってエピタキシャル成長層2の外周部付近を通過することにより生じていると考えられる。
【0020】
b)またハロゲンガスClを含んだ成長ガス41cがサセプタ10の下方に流れ込みチャンバ4の下方から排出されている。このためサセプタ10の下方に存在する機構特に可動部分を腐食させ、エピタキシャル成長炉としての耐久性が損なわれるおそれがある。
【0021】
c)またオートドープガス42を成長ガス41cとともにサセプタ10の下方に導き排気しなければならないため、チャンバ4に本来の図中左側の成長ガス排気口とは別に図中下側に排気口を形成する必要がある。また排気ダクト等を新たに設ける必要がある。これはエピタキシャル成長炉の製造コストを上昇させる要因となる。
【0022】
したがって以上のような問題a)、b)、c)を生じさせないで、しかもシリコンウェーハ基板1に酸化膜3を形成せずに、エピタキシャル成長層2のドーパント濃度面内分布の不均一を回避することが望まれる。
【0023】
なお上記従来技術2の貫通孔は、シリコンウェーハ基板1がサセプタ10に載置されたときに両者間でのガス抜きを行う孔として機能するものであり、オートドープガスを排出させる孔として機能するものではない。
【0024】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、エピタキシャル成長層2の膜厚の面内分布の不均一を招くなどの問題a)、b)、c)を生じさせることなく、しかもシリコンウェーハ基板1に酸化膜3を形成せずに、エピタキシャル成長層2のドーパント濃度面内不均一をなくすことを解決課題とするものである。
【0025】
【課題を解決するための手段および作用、効果】
第1発明は、
サセプタ上に半導体ウェーハ基板を載置し、サセプタの上面に沿ってエピタキシャル成長ガスを、サセプタの下面に沿ってパージガスをそれぞれ流すことによって半導体ウェーハ基板上にエピタキシャル成長膜を形成して、半導体エピタキシャルウェーハを製造する半導体エピタキシャルウェーハの製造装置において、前記サセプタの面内のうち半導体ウェーハ基板が載置される部位に、前記サセプタの下面を流れるパージガスを通過させて半導体ウェーハ基板から放出されるオートドープガスをサセプタの下面に沿って排出させる複数の排出孔が形成されていること
を特徴とする。
【0026】
第1発明によれば、図6に示すように、サセプタ10の面内のうちシリコンウェーハ基板1が載置される部位に、複数の排出孔12、12′が形成される。このためサセプタ10の下面を流れるパージガス41bが排出孔12、12′を通過して、シリコンウェーハ基板1から放出されるオートドープガス42がパージガス41bとともにサセプタ10の下面に沿って排出される。
【0027】
このため図13に示す従来技術1と比較すると、本発明では、サセプタ10の下側のパージガス41bの流れとともにオートドープガス42が図中左側の排気口に導かれており、従来技術1のように、サセプタ10の上側の成長ガス41aの一部のガス41cがエピタキシャル成長層2の外周部近傍を通過してサセプタ10の下方に導かれることがないので、エピタキシャル成長層2の膜厚が不均一になるという問題a)は生じない。
【0028】
また図13に示す従来技術1と比較すると、本発明では、成長ガス42は図中左側の排気口に導かれ、従来技術1のように、成長ガス41cがサセプタ10の下方に導かれることがないので、サセプタ10の下方の機構の腐食を生じさせ耐久性を損なうという問題b)は生じない。
【0029】
第2発明は、第1発明において、
前記排出孔は、半導体ウェーハ基板の外周部に相当する部位に、周方向に沿って複数形成されていること
を特徴とする。
【0030】
第2発明では、図5に示すように、排出孔12は、シリコンウェーハ基板1の外周部に相当する部位に、周方向に沿って複数形成される。
【0031】
第3発明は、第1発明において、
前記複数の排出孔は、半導体ウェーハ基板の面積に対して、エピタキシャル成長層の面内の抵抗率の分布が5%以下になる面積比率で形成されていること
を特徴とする。
【0032】
第3発明では、図11に示すように、複数の排出孔12は、シリコンウェーハ基板1の面積に対して、エピタキシャル成長層2の面内の抵抗率の分布が5%以下になる面積比率、つまりしきい値Dc以下となる面積比率で形成される。このためシリコンエピタキシャルウェーハ1′の品質が一定レベル以上に維持され半導体デバイスの歩留まりが向上する。
【0033】
第4発明は、第1発明において、
前記複数の排出孔の半導体ウェーハ基板面積に対する面積比率は、0.8%以上であること
を特徴とする。
【0034】
第4発明では、複数の排出孔12のシリコンウェーハ基板1の面積に対する面積比率が、0.8%以上とされる。図11はシリコンウェーハ基板1が直径200mmの場合の実験結果である。シリコンウェーハ基板1の面積Ssは10cm×10cm×π(cm2)=100π(cm2)となる。そこで複数の排出孔12の総面積Sを0.8π(cm2)以上、つまり面積比率S/Ssで0.8%以上にすると、エピタキシャル成長層2の面内の抵抗率の分布を5%以下にすることができ、シリコンエピタキシャルウェーハ1′の品質を一定レベル以上に維持でき半導体デバイスの歩留まりを向上させることができる。
【0035】
第5発明は、
サセプタ上に半導体ウェーハ基板を載置し、サセプタの上面に沿ってエピタキシャル成長ガスを、サセプタの下面に沿ってパージガスをそれぞれ流すとともに、輻射熱を外部から印加することによって半導体ウェーハ基板上にエピタキシャル成長膜を形成して、半導体エピタキシャルウェーハを製造する半導体エピタキシャルウェーハの製造装置において、
前記サセプタの面内のうち半導体ウェーハ基板が載置される部位に、前記サセプタの下面を流れるパージガスを通過させて半導体ウェーハ基板から放出されるオートドープガスをサセプタの下面に沿って排出させる複数の排出孔が形成されているとともに、
前記排出孔は、輻射熱が半導体ウェーハ基板の裏面に直接印加されない角度に傾斜されてサセプタを貫通していること
を特徴とする。
【0036】
第5発明では、第1発明の構成に加えて、図8に示すように、所定角度θ傾斜させてサセプタ10を貫通させることで排出孔12を形成している。このため加熱用ランプ5が発光してチャンバ4を介してサセプタ10に輻射されるが、輻射熱5aは傾斜された排出孔12によって遮られてシリコンウェーハ基板1の裏面1bに直接印加されない。加熱用ランプ5の輻射熱5aはサセプタ10に印加されサセプタ10の温度が上昇し、サセプタ10からの輻射によってシリコンウェーハ基板1の裏面1bが加熱される。
【0037】
第5発明によれば、加熱用ランプ5による輻射熱5aを排出孔12を介してシリコンウェーハ基板1の裏面1bに直接印加させないようにしているので、排出孔12が開口している部分と排出孔12が開口していない部分とで温度差が生じシリコンウェーハ基板1の温度面内分布の不均一が生じることがない。このため面内温度差によってシリコンエピタキシャルウェーハ1′の鏡面(表面)1aでミクロ的に凹凸が生じたり、熱応力によって積層欠陥が生じたりすることを防止することができる。
【0038】
第6発明は、
サセプタ上に半導体ウェーハ基板を載置し、サセプタの上面に沿ってエピタキシャル成長ガスを、サセプタの下面に沿ってパージガスをそれぞれ流すとともに、輻射熱を外部から印加することによって半導体ウェーハ基板上にエピタキシャル成長膜を形成して、半導体エピタキシャルウェーハを製造する半導体エピタキシャルウェーハの製造装置において、
前記サセプタの面内のうち半導体ウェーハ基板が載置される部位に、前記サセプタの下面を流れるパージガスを通過させて半導体ウェーハ基板から放出されるオートドープガスをサセプタの下面に沿って排出させる複数の排出孔が形成されているとともに、
前記サセプタの下方にあって、輻射熱が半導体ウェーハ基板の裏面に直接印加されない位置に、前記半導体ウェーハ基板に応じた大きさの輻射熱遮断用板が配置されていること
を特徴とする。
【0039】
第6発明では、第1発明の構成に加えて、図3に示すように、サセプタ10の下方に、シリコンウェーハ基板1に応じた大きさの輻射熱遮断用板(遮光板)30が配置される。
【0040】
このため加熱用ランプ5が発光して輻射熱5aが発生するが、輻射熱5aは遮光板30によって遮られて、排出孔12を介してシリコンウェーハ基板1の裏面1bに直接印加されない。なお加熱用ランプ5の輻射熱は遮光板30に印加され遮光板30の温度が上昇し、遮光板30からの輻射によってサセプタ10が加熱される。サセプタ10の温度が上昇し、サセプタ10からの輻射によってシリコンウェーハ基板1の裏面1bが加熱される。
【0041】
このため第5発明と同様に、排出孔12が開口している部分と排出孔12が開口していない部分とで温度差が生じシリコンウェーハ基板1の温度面内分布の不均一が生じることがない。このため面内温度差によってシリコンエピタキシャルウェーハ1′の鏡面(表面)1aでミクロ的に凹凸が生じたり、熱応力によって積層欠陥が生じたりすることを防止することができる。
【0042】
また遮光板30を設けたことによって、図15に示すようにサセプタ10の下側のパージガス41bの流れは、サセプタ10と遮光板30との間の流れ41dと、遮光板30の下方の流れ41eとに分岐される。これによりサセプタ10の下側のパージガス41bは整流されて図中左側の排気口にチャンバ4内に滞留することなく導かれる。サセプタ10の下側のパージガス41bがチャンバ4内で滞留しないのでサセプタ10の下方の機構の腐食を防止できエピタキシャル成長炉の耐久性を向上させることができる。またサセプタ10の下方に汚染ガスが滞留したとしても遮光板30に遮られてサセプタ10の排出孔12を介して汚染ガスがシリコンウェーハ基板1に導かれることがない。このためチャンバ4内に滞留した汚染ガスによるシリコンエピタキシャルウェーハ1′の品質の劣化を防止することができる。なおサセプタ10と遮光板30との間の成長ガス41dによってオートドープガス42が引っ張られて図中左側の排気口に導かれる。
【0043】
第7発明は、
半導体エピタキシャルウェーハの製造に用いられるサセプタであって、
前記サセプタの面内のうち半導体ウェーハ基板が載置される部位に、複数の孔が形成されているとともに、
前記孔は、所定角度傾斜されてサセプタを貫通していること
を特徴とする。
【0044】
第7発明のサセプタ10には、図2に示すようにサセプタ10の面内のうちシリコンウェーハ基板1が載置される部位に、複数の孔12が形成されているとともに、図8に示すようにそれらの孔12は所定角度傾斜されて貫通している。
【0045】
このため本発明のサセプタ10をエピタキシャル成長炉に配置した場合には、第5発明と同様の作用効果を奏効する。
【0046】
第8発明は、
半導体エピタキシャルウェーハの製造に用いられるサセプタの支持装置であって、
半導体ウェーハ基板が載置される部位に、複数の孔が形成されているサセプタと、
前記サセプタの下方に配置され、半導体ウェーハ基板に応じた大きさを有する板と、
前記板を介して前記サセプタに接続され前記板および前記サセプタを下方から支持するホルダと
を備えたこと
を特徴とする。
【0047】
第8発明のサセプタ10の支持装置のサセプタ10には、図4に示すようにサセプタ10の面内のうちシリコンウェーハ基板1が載置される部位に、複数の孔12が形成されている。またサセプタ10の下方にはシリコンウェーハ基板1に応じた大きさを有する板(遮光板)30が配置されている。またホルダ20は板30を介して(たとえば貫通して)サセプタ10に接続されており板30およびサセプタ10を下方から支持している。
【0048】
このため本発明のサセプタ10の支持装置をエピタキシャル成長炉に設けた場合には、第6発明と同様の作用効果を奏効する。またホルダ20は図2に示すように既存のホルダ20をそのまま使用することができるので装置の製造コストを上昇させることなく、第6発明の効果が得られる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して実施形態を説明する。なお本実施形態では、エピタキシャル成長薄膜形成用の原料ガスとしてSiH4 (モノシラン)、SiHCl3 (トリクロロシラン)などを使用し、P型のシリコンエピタキシャルウェーハ1′を作製する場合を想定する。このためシリコンウェーハ基板1に不純物としてボロンBを添加されたものを用い、P型のドーピングガスB2H6 (ジボラン)、BCl3 を使用してエピタキシャル成長層2に同じく不純物としてボロンBを添加する場合を想定する。しかし以下の説明は、N型のシリコンエピタキシャルウェーハを作製する場合、不純物としてボロンB以外の砒素As、リンPなどを添加する場合についても同様にして適用することができる。
【0050】
(第1の実施形態)
図1(a)は第1の実施形態に用いられるランプ加熱方式の枚葉型気相成長装置を示しており、エピタキシャル成長炉であるチャンバ4を側面からみた図である。同図1(a)に示すようにチャンバ4内にはサセプタ10が設けられている。チャンバ4はたとえば石英ガラスで構成されている。またサセプタ10はたとえばSiC(シリコンカーバイド)をコーティングしたC(カーボン)で構成されている。
【0051】
サセプタ10は上面からみて円形状のウェーハ保持部材であり、加工を終える毎にシリコンウェーハ基板1が1枚ずつ載置される。
【0052】
本実施形態に用いられるサセプタ10の構成について説明する。
【0053】
サセプタ5上にシリコンウェーハ基板1が載置された状態の上面図は図5に示される。またサセプタ5を断面でみた図は図6に示される。
【0054】
これら図5、図6に示すようにサセプタ10は最も高い外周部13と、外周部13の内側にあって外周部13よりも低く形成されている内周部14と内周部14の内側のポケット部11を備えて構成されている。ポケット部11はシリコンウェーハ基板1の直径よりやや大きい直径を有しており、ポケット部11にシリコンウェーハ基板1が収容される。
【0055】
サセプタ10のポケット部11には、シリコンウェーハ基板1が載置される部位、つまりシリコンウェーハ基板1の裏面1bに相当する部位に複数の排出孔12がサセプタ10を貫通するよう形成されている。これら複数の排出孔12は、シリコンウェーハ基板1の外周部に相当する部位に、周方向に沿って複数形成されている。
【0056】
排出孔12は、上面からみてサセプタ10の放射方向(半径方向)に沿った長円形状ないしは矩形形状に形成されている。
【0057】
また排出孔12は、図9に示すように断面でみてサセプタ10の面に対して垂直に同サセプタ10を貫通している。
【0058】
そして、これら複数の排出孔12は、後述するようにシリコンウェーハ基板1の面積Ssに対して、エピタキシャル成長層2の抵抗率面内分布が5%以下になる面積比率で形成されている。具体的には複数の排出孔12は、それらの合計面積Sがシリコンウェーハ基板面積Ssに対する面積比率S/Ssで0.8%以上になるようにサセプタ10に開口している。
【0059】
図2はサセプタ10を支持する装置の構成を斜視図にて示している。
【0060】
同図2に示すサセプタホルダ20の材質は、たとえばサセプタ10と同じもの(シリコンカーバイトSiC、カーボンC)で構成されている。またサセプタホルダ20を石英ガラス製で構成してもよい。サセプタホルダ20は、サセプタ10の外周を120゜の等間隔をもって3点で支持する3つのホルダピン21を備えている。ホルダピン21はサセプタ10の外周に接続され、嵌入、接着等の任意の固定方法により固定される。これによりサセプタホルダ20によってサセプタ10が下方より支持される。
【0061】
図1(a)に示すようにチャンバ4の外部には加熱用ランプ5が設けられている。加熱用ランプ5はたとえばハロゲンランプが使用される。加熱用ランプ5はチャンバ4の図中上方および下方にあって、それぞれチャンバ4の外壁に沿って複数配列されている。加熱用ランプ5が発光することにより輻射熱が石英ガラス製のチャンバ4を介してシリコンウェーハ基板1に加えられる。これによりシリコンウェーハ基板1は気相成長に適した成長温度に達する。
【0062】
チャンバ4の図中右側の図示しないガス導入口からは、原料ガス、ドーピングガス、キャリアガスからなる成長ガス41がチャンバ4内に供給される。またパージガスがサセプタ10の下側に流される。成長ガス41はサセプタ10の上側の流れ41aとなり、パージガスはサセプタ10の下側の流れ41bとなって(図6参照)、サセプタ10の上面(シリコンウェーハ基板1の表面1a)およびサセプタ10の下面に沿ってそれぞれ流れる。サセプタ10を通過した成長ガス41はチャンバ4の図中左側の図示しないチャンバ4のガス排気口から排気される。
【0063】
サセプタ10の周囲にはヒートリング50が配置されている。図1(b)、図1(c)はサセプタ10とヒートリング50を斜視的に示している。円形状のチャンバ4の場合には、図1(b)に示すように外枠が円形状となっているヒートリング50が用いられ、角形状のチャンバ4の場合には、図1(c)に示すように外枠が角形状となっているヒートリング50が用いられる。
【0064】
これら図1(a)、(b)、(c)に示すようにヒートリング50はサセプタ10の外周とは接触しない程度の隙間をもってチャンバ4を上部と下部とに分離している。このためサセプタ10の上側(チャンバ4の上部)を流れる成長ガス41aが、サセプタ10の下側(チャンバ4の下部)に不必要に流れ込むことを防止することができる。また加熱用ランプ5により、サセプタ10の周囲にあるヒートリング50が加熱されたため、サセプタ10の外周部において温度が不均一になることが防止される。
【0065】
上述したように成長ガス41aがサセプタ10の上側を流れると、成長ガス41aに含まれる原料ガスがシリコンウェーハ基板1の表面1aで化学反応し、図16と同様にしてシリコンウェーハ基板1の表面に同じシリコンのエピタキシャル成長層の薄膜2が形成され、シリコンエピタキシャルウェーハ1′が作製される。たとえばドーパント濃度が高い(抵抗率Ω・cmが低い)シリコンウェーハ基板1の上にドーパント濃度が低い(抵抗率Ω・cmが高い)エピタキシャル成長層2が形成される。
【0066】
ここで従来にあっては、気相成長中に図16に示すようにシリコンウェーハ基板1の裏面1bからボロンBのドーパント42aが蒸発によって放出し、オートドープガス42としてシリコンウェーハ基板1の外方からエピタキシャル成長層2の外周部に回り込みエピタキシャル成長層2内に取り込まれるというオートドープ(オートドーピング)が生じる。
【0067】
本実施形態ではかかるオートドープを回避することができる。これを図6、図7を参照して説明する。
【0068】
図6はサセプタ10の断面図であり、サセプタ10の直径方向に対向して配置されている排出孔12、12′を示している。
【0069】
成長ガス41のうちサセプタ10の下面を流れるパージガス41bは、排出孔12、12′を通過する。このときシリコンウェーハ基板1から蒸発によって放出されるオートドープガス42は、パージガス41bの流れに引っ張られてサセプタ10の下面に沿って排出される。
【0070】
また図7はサセプタ10の断面図であり、サセプタ10の周方向に隣接して配置されている排出孔12、12″を示している。図6と同様にして、サセプタ10の下面を流れるパージガス41bが排出孔12、12″を通過することで、オートドープガス42がパージガス41bの流れに引っ張られてサセプタ10の下面に沿って排出される。
【0071】
つぎに本実施形態を図13に示す従来技術1と比較する。
【0072】
本実施形態では、サセプタ10の下側のパージガス41bの流れとともにオートドープガス42が図中左側の排気口に導かれる。すなわち従来技術1のように、サセプタ10の上側の成長ガス41aの一部のガス41cがエピタキシャル成長層2の外周部近傍を通過してサセプタ10の下方に導かれることがない(図13参照)。このためエピタキシャル成長層2の膜厚が不均一になるという問題a)は生じない。
【0073】
また本実施形態では、成長ガス42は図中左側の排気口に導かれ、従来技術1のように成長ガス42の一部の流れ42cがサセプタ10の下方に導かれることがない(図13参照)。このためサセプタ10の下方の機構の腐食を生じさせ耐久性を損なうという問題b)は生じない。またサセプタ10の下方に本来の図中左側の排気口とは別の排気口を設ける必要がないので、エピタキシャル成長炉の製造コストが上昇するという問題c)は生じない。
【0074】
図10、図11は本実施形態の効果を説明する実験結果を示している。図12は実験で使用したシリコンエピタキシャルウェーハ1′の計測ポイントを示している。
【0075】
図12に示すように、エピタキシャル成長層2の面内直径方向の軸Xに沿って、P1〜P9の各ポイントについて抵抗率(Ω・cm)を計測した。ポイントP5はウェーハ1′の中心でありこれをX軸の原点とし、ポイントP1方向をプラス方向、ポイントP9方向をマイナス方向とした。
【0076】
実験では直径が200mmのシリコンウェーハ基板1を用いてシリコンエピタキシャルウェーハ1′を作製した。シリコンウェーハ基板1の面積Ssは10cm×10cm×π(cm2)=100π(cm2)となる。
【0077】
図10は、ウェーハ中心からの距離(mm)と抵抗率(Ω・cm)の関係を示している。図10に示す特性L1は、サセプタ10に排出孔12を設けない参考例の特性つまり排出孔総面積Sが0の場合の特性であり、図10に示す特性L2は、サセプタ10に総面積Sが4.5π(cm2)の排出孔12を設けた本実施形態のの特性である。
【0078】
図10からわかるように参考例L1ではシリコンエピタキシャルウェーハ1′の外周部で抵抗率が大きく下がっており、抵抗率面内分布の不均一を招いているのに対して、本実施形態L2ではシリコンエピタキシャルウェーハ1′の外周部でも抵抗率は中心部とほぼ同じであり、抵抗率面内分布が均一になっているのがわかる。各ポイントP1〜P9の抵抗率の標準偏差Stdを計算したところ、参考例L1では標準偏差Stdが2.311であるのに対して本実施形態L2では標準偏差Stdが0.193を示しており、本実施形態によれば抵抗率面内分布の不均一が十分に改善されていることがわかる。
【0079】
図11は排出孔12の総面積S(cm2)と抵抗率面内分布D(%)との関係を示している。排出孔12の総面積Sを変化させて、それぞれの場合について抵抗率面内分布D(%)を計測した。ここで抵抗率面内分布Dは下記の式で計算される。
【0080】
D={(各ポイントP1〜P9の中で最も高い抵抗率)−(各ポイントP1〜P9の中で最も低い抵抗率)}÷(各ポイントP1〜P9の抵抗率の平均値)×50(%)
ここでシリコンエピタキシャルウェーハ1′の品質を一定レベル以上に維持し半導体デバイスの歩留まりを向上させるには、抵抗率面内分布Dとして5%以下であることが必要である。そこで5%のしきい値Dc以下となる排出孔総面積Sを求めると、図11より0.8π(cm2)以上であることがわかる。シリコンウェーハ基板1の面積Ssが100π(cm2)で、排出孔12の総面積Sが0.8π(cm2)以上であるので、面積比率S/Ssで0.8%以上にすると、エピタキシャル成長層2の面内の抵抗率の分布Dを5%以下にすることができ、シリコンエピタキシャルウェーハ1′の品質を一定レベル以上に維持でき半導体デバイスの歩留まりを向上させることができる。
【0081】
なお本第1の実施形態では、ランプ加熱方式の気相成長装置を想定し、加熱用ランプ5でシリコンウェーハ基板1を加熱するようにしているが、加熱用ランプ5の代わりに高周波コイルを設けて誘導電磁加熱によりシリコンウェーハ基板1を加熱するなど、任意の加熱手段によってシリコンウェーハ基板1を加熱してもよい。
【0082】
(第2の実施形態)
第1の実施形態のサセプタ10では図9に示すように排出孔12がサセプタ10の面に対して垂直に貫通している。このため加熱用ランプ5による輻射熱5aが排出孔12を介してシリコンウェーハ基板1の裏面1bに直接印加される。このため排出孔12が開口している部分と排出孔12が開口していない部分とで温度差が生じシリコンウェーハ基板1の温度面内分布の不均一が生じるおそれがある。このため面内温度差によってシリコンエピタキシャルウェーハ1′の鏡面(表面)1a内で成長速度差が生じてミクロ的に凹凸が生じるおそれがある。また熱応力によって積層欠陥が生じるおそれがある。
【0083】
そこで、これらを回避するために本第2の実施形態に使用されるサセプタ10には、図8に示すように所定角度θ傾斜させて貫通した排出孔12を設けるようにする。このため加熱用ランプ5が発光してチャンバ4を介してサセプタ10に輻射されるが、輻射熱5aは傾斜された排出孔12によって遮られてシリコンウェーハ基板1の裏面1bに直接印加されない。加熱用ランプ5の輻射熱5aはサセプタ10に印加されサセプタ10の温度が上昇し、サセプタ10からの輻射によってシリコンウェーハ基板1の裏面1bが加熱される。
【0084】
このように本第2の実施形態によれば輻射熱5aは排出孔12で遮られ、排出孔12を通過してシリコンウェーハ基板1の裏面1bに直接印加することがないので、排出孔12が開口している部分と排出孔12が開口していない部分とで温度差が生じシリコンウェーハ基板1の温度面内分布の不均一が生じることがない。このため面内温度差によってシリコンエピタキシャルウェーハ1′の鏡面(表面)1aでヘイズが生じたり、ミクロ的に凹凸が生じたり、熱応力によって積層欠陥が生じたりすることを防止することができる。
【0085】
本発明者らは第2の実施形態の効果を確認するために実験を行った。計測装置はSQM(W1S.CR83−SQM)を使用してシリコンエピタキシャルウェーハ1′の鏡面1aの凹凸を計測した。下記表1に計測結果を示す。
【0086】
表1において「垂直開口」は図9の第1の実施形態の場合の計測結果を示し、「斜め開口」は図8の第2の実施形態の場合の計測結果を示す。
【0087】
上記実験からわかるように、第2の実施形態の場合には鏡面1aにおけるミクロ的な凹凸が小さくなり、鏡面の品質が向上していることがわかる。
【0088】
(第3の実施形態)
図3は第3の実施形態の装置を構成を示している。図3は図1(a)に対応する図でありチャンバ4を側面からみた図である。また図4は第3の実施形態に用いられるサセプタ10の支持装置の構成を示してる。図4は図2に対応する図でありサセプタ10の支持装置を斜視図にて示している。以下第1の実施形態と重複する構成要素には同じ符号を付けて適宜説明を省略する。
【0089】
図3に示すように本実施形態では、サセプタ10の下方には、シリコンウェーハ基板1よりもやや大きい、サセプタ10とほぼ同じ大きさの円形の遮光板30がサセプタ10の面と平行に配置されている。
【0090】
本第3の実施形態に用いられるサセプタ10の支持装置は、図4に示すように、
第1の実施形態と同様のサセプタ10と、サセプタ10の下方に配置された遮光板30と、遮光板30を貫通してサセプタ10の外周部に接続することで遮光板30およびサセプタ10を下方から支持するサセプタホルダ20とから構成されている。
【0091】
サセプタホルダ20は、サセプタ10の外周を120゜の等間隔をもって3点で支持する3つのホルダピン21を備えている。遮光板30の外周には3つのホルダピン21がそれぞれ挿通される3つの貫通孔31が形成されている。ホルダピン21は、遮光板30の貫通孔31に挿通されるとともに、サセプタ10の外周に接続される。ホルダピン21は嵌入、接着等の任意の固定方法によりサセプタ10の外周に固定される。これによりサセプタホルダ20によって遮光板30およびセプタ10が下方より支持される。
【0092】
図4の構成を図2と比較してわかるように、本実施形態のサセプタホルダ20は、遮光板30の追加があったとしても図2に示す既存のホルダ20をそのまま使用することができる。このため遮光板30の追加配置に伴う装置の製造コスト上昇を抑えることができる。
【0093】
図15はサセプタ10の断面を示している。図15は図6に対応する図である。
【0094】
図15を参照して第3の実施形態の効果について説明する。
【0095】
加熱用ランプ5が発光して輻射熱5aが発生するが、輻射熱5aは遮光板30によって遮られて、排出孔12を介してシリコンウェーハ基板1の裏面1bに直接印加されることがない。
【0096】
加熱用ランプ5の輻射熱は遮光板30に印加され遮光板30の温度が上昇し、遮光板30からの輻射によってサセプタ10が加熱される。サセプタ10の温度が上昇し、サセプタ10からの輻射によってシリコンウェーハ基板1の裏面1bが加熱される。
【0097】
このため第2の実施形態と同様に、排出孔12が開口している部分と排出孔12が開口していない部分とで温度差が生じシリコンウェーハ基板1の温度面内分布の不均一が生じることがない。このため面内温度差によってシリコンエピタキシャルウェーハ1′の鏡面(表面)1aでヘイズが生じたり、ミクロ的に凹凸が生じたり、熱応力によって積層欠陥が生じたりすることを防止することができる。
【0098】
また遮光板30を設けたことによって、図15に示すようにサセプタ10の下側のパージガス41bの流れは、サセプタ10と遮光板30との間の流れ41dと、遮光板30の下方の流れ41eとに分岐される。これによりサセプタ10の下側のパージガス41bは整流されて図中左側の排気口にチャンバ4内に滞留することなく導かれる。サセプタ10の下側のパージガス41bがチャンバ4内で滞留しないのでサセプタ10の下方の機構の腐食を防止できエピタキシャル成長炉の耐久性を向上させることができる。
【0099】
またサセプタ10の下方に汚染ガスが滞留したとしても遮光板30に遮られてサセプタ10の排出孔12を介して汚染ガスがシリコンウェーハ基板1に導かれることがない。このためチャンバ4内に滞留した汚染ガスによるシリコンエピタキシャルウェーハ1′の品質の劣化を防止することができる。
【0100】
第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に、サセプタ10と遮光板30との間の成長ガス41dによってオートドープガス42が引っ張られて図中左側の排気口に導かれる。
【0101】
なお実験では、遮光板30の厚さを2mmとし、サセプタ10と遮光板30との間を2〜3mmに保持したところ上述した効果が確認された。
【0102】
以上説明した各実施形態では、排出孔12の配置、形状、数が図5に示す配置、形状、数になっていることを想定して説明したが、本発明としては、排出孔12が複数設けられ、それらがシリコンウェーハ基板1が載置される部位に形成されており、図6、図7、図15に示すガスの流れを形成し得るものであれば、その配置、形状、数は任意である。
【0103】
また各実施形態では、図6に示すように、サセプタ10はその内側に高さの異なる内周部14、ポケット部11を備えたものを想定したが、図14に示すようにサセプタ10の内側における内周部14を省略しポケット部11のみを備えたサセプタ10に対しても本発明を適用することができる。
【0104】
また各実施形態では、枚葉型の気相成長装置を想定したが、本発明としてはサセプタ上に複数のシリコンウェーハ基板を載置して気相成長を行う装置にも適用することができる。またシリコンウェーハ以外のGaAs(ガリウム砒素)などの半導体ウェーハを製造する場合にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は第1の実施形態、第2の実施形態に用いられるシリコンエピタキシャルウェーハの製造装置の構成を示す図で、図1(b)、図1(c)がサセプタおよびヒートリングを示す斜視図である。
【図2】図2は図1に示すサセプタの支持装置の構成を示す斜視図である。
【図3】図3は第3の実施形態に用いられるシリコンエピタキシャルウェーハの製造装置の構成を示す図である。
【図4】図4は図3に示すサセプタの支持装置の構成を示す斜視図である。
【図5】図5はシリコンウェーハ基板が載置されたサセプタを上面からみた図である。
【図6】図6は第1の実施形態、第2の実施形態のサセプタの断面図である。
【図7】図7は図6と異なる断面におけるサセプタの断面図である。
【図8】図8は第2の実施形態の排出孔の断面を示した図である。
【図9】図9は第1の実施形態の排出孔の断面を示した図である。
【図10】図10はウェーハの中心からの距離と抵抗率との関係を示す図である。
【図11】図11は排出孔の総面積と抵抗率面内分布との関係を示す図である。
【図12】図12はシリコンエピタキシャルウェーハの抵抗率の測定ポイントを示す図である。
【図13】図13は従来技術を説明する図でサセプタの断面図である。
【図14】図14は実施形態のサセプタの構成例を示す図でサセプタの断面図である。
【図15】図15は第3の実施形態のサセプタの断面図である。
【図16】図16はオートドープを説明する図である。
【図17】図17は酸化膜を形成したシリコンエピタキシャルウェーハを示す図である。
【符号の説明】
1 シリコンウェーハ基板
1′ シリコンエピタキシャルウェーハ
2 エピタキシャル成長層
5 加熱用ランプ
10 サセプタ
11 ポケット部
12 排出孔
20 サセプタホルダ
30 遮光板
41 成長ガス
42 オートドープガス
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体エピタキシャルウェーハの製造装置およびこの製造装置に用いられるサセプタ、この製造装置に用いられるサセプタの支持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスはシリコンウェーハ上にエピタキシャル成長層の薄膜を形成する工程を経て作製される。
【0003】
エピタキシャル成長薄膜形成用の原料ガスとしては例えばSiH4 (モノシラン)、SiHCl3 (トリクロロシラン)などが使用される。たとえばP型の半導体デバイスを作製する場合にはシリコンウェーハ基板に不純物としてボロンBが添加されエピタキシャル成長層にも同じ不純物ボロンBが添加される。このためP型のドーピングガスB2H6 (ジボラン)、BCl3などが使用される。
【0004】
図1(a)はランプ加熱方式の枚葉型気相成長装置を示している。同図1(a)に示すようにエピタキシャル成長炉であるチャンバ4内にはサセプタ10が設けられている。
【0005】
サセプタ10はウェーハ保持部材であり、加工を終える毎にシリコンウェーハ基板1が1枚ずつ載置される。
【0006】
チャンバ4の外部には加熱用ランプ5が設けられており、加熱用ランプ5が発光することにより輻射熱がチャンバ4を介してシリコンウェーハ基板1に加えられる。これによりシリコンウェーハ基板1は気相成長に適した成長温度に達する。
【0007】
チャンバ4のガス導入口から原料ガス、ドーピングガス、キャリアガスからなる成長ガス41がチャンバ4内に供給され、サセプタ10の上面および下面に沿って流される。サセプタ10を通過した成長ガス41がチャンバ4のガス排気口から排気される。
【0008】
このため原料ガスがシリコンウェーハ基板1上で化学反応し、図16に示すようにシリコンウェーハ基板1の表面に同じシリコンのエピタキシャル成長層の薄膜2が形成され、シリコンエピタキシャルウェーハ1′が作製される。たとえばドーパント濃度が高い(抵抗率Ω・cmが低い)シリコンウェーハ基板1の上にドーパント濃度が低い(抵抗率Ω・cmが高い)エピタキシャル成長層2が形成される。
【0009】
ここで気相成長中には図16に示すようにシリコンウェーハ基板1の裏面1bからボロンBのドーパント42aの放出が生じ、オートドープガス42としてシリコンウェーハ基板1の外方からエピタキシャル成長層2の外周部に回り込みエピタキシャル成長層2内に取り込まれるというオートドープ(オートドーピング)が生じる。
【0010】
このようなオートドープは、エピタキシャル成長層2の外周部におけるドーパント濃度を高くし(抵抗率Ω・cmを低くし)エピタキシャル成長層2の面内のドーパント濃度分布(抵抗率面内分布)の不均一を招き、シリコンエピタキシャルウェーハ1′の品質を劣化させる。
【0011】
そこで従来より図17に示すようにシリコンウェーハ基板1の裏面1bに酸化膜3を形成することでオートドープを防ぐようにしている。
【0012】
しかし近年高い清浄度の半導体デバイスを作製するために、表面酸化膜のないエピタキシャルシリコンウェーハが要求されている。しかし酸化膜3を形成せずにシリコンエピタキシャルウェーハ1′を製造しようとすると図16で説明したオートドープを避けることはできずエピタキシャル成長層2のドーパント濃度面内分布の不均一はこれを避けることができなくなる。
【0013】
こうしたオートドープによるエピタキシャル成長層2のドーパント濃度面内分布の不均一を回避する従来技術として以下のものがある。
【0014】
(従来技術1)
特許文献1(特開平10−223545号公報)には、図13に示すようにサセプタ10のポケット部11′の最外周部つまりシリコンウェーハ基板1が載置されている部位よりも外側の部位に貫通孔15をサセプタ10の周方向に沿って形成して、オートドープガス42をサセプタ10の下方へ排出するという発明が記載されている。
【0015】
すなわちサセプタ10の上面には成長ガス41aが通過するが、成長ガス41aの一部のガス41cから貫通孔15に向けて下方に流れ込む。このときシリコンウェーハ基板1の裏面1bから放出されたオートドープガス42が成長ガス41c(下方への流れ)に引っ張られて貫通孔15から排出される。そしてチャンバ4の下方に形成された図示しない排気口からオートドープガス42が排気される。
【0016】
またサセプタ10に孔を形成する一般技術的水準を示すものとして以下のものがある。
【0017】
(従来技術2)
特許文献2(特開平8−8198号公報)には、サセプタ10の面内のうちシリコンウェーハ基板1が載置される部位に多数の貫通孔を形成することで、シリコンウェーハ基板1をずれなく位置決めしウェーハ搬送時のすべりを防止するという技術が記載されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に関して本発明者らは効果確認の実験を行った。その結果、確かにエピタキシャル成長層2におけるドーパント濃度面内分布の不均一を回避することができるものの、つぎのような問題が発生することが明らかになった。
【0019】
a)エピタキシャル成長層2の外周部で膜厚が大きくなり膜厚面内分布の不均一を招く。これは図13に示すようにサセプタ10の上側を通過する成長ガス41aが下方への流れ41cとなってエピタキシャル成長層2の外周部付近を通過することにより生じていると考えられる。
【0020】
b)またハロゲンガスClを含んだ成長ガス41cがサセプタ10の下方に流れ込みチャンバ4の下方から排出されている。このためサセプタ10の下方に存在する機構特に可動部分を腐食させ、エピタキシャル成長炉としての耐久性が損なわれるおそれがある。
【0021】
c)またオートドープガス42を成長ガス41cとともにサセプタ10の下方に導き排気しなければならないため、チャンバ4に本来の図中左側の成長ガス排気口とは別に図中下側に排気口を形成する必要がある。また排気ダクト等を新たに設ける必要がある。これはエピタキシャル成長炉の製造コストを上昇させる要因となる。
【0022】
したがって以上のような問題a)、b)、c)を生じさせないで、しかもシリコンウェーハ基板1に酸化膜3を形成せずに、エピタキシャル成長層2のドーパント濃度面内分布の不均一を回避することが望まれる。
【0023】
なお上記従来技術2の貫通孔は、シリコンウェーハ基板1がサセプタ10に載置されたときに両者間でのガス抜きを行う孔として機能するものであり、オートドープガスを排出させる孔として機能するものではない。
【0024】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、エピタキシャル成長層2の膜厚の面内分布の不均一を招くなどの問題a)、b)、c)を生じさせることなく、しかもシリコンウェーハ基板1に酸化膜3を形成せずに、エピタキシャル成長層2のドーパント濃度面内不均一をなくすことを解決課題とするものである。
【0025】
【課題を解決するための手段および作用、効果】
第1発明は、
サセプタ上に半導体ウェーハ基板を載置し、サセプタの上面に沿ってエピタキシャル成長ガスを、サセプタの下面に沿ってパージガスをそれぞれ流すことによって半導体ウェーハ基板上にエピタキシャル成長膜を形成して、半導体エピタキシャルウェーハを製造する半導体エピタキシャルウェーハの製造装置において、前記サセプタの面内のうち半導体ウェーハ基板が載置される部位に、前記サセプタの下面を流れるパージガスを通過させて半導体ウェーハ基板から放出されるオートドープガスをサセプタの下面に沿って排出させる複数の排出孔が形成されていること
を特徴とする。
【0026】
第1発明によれば、図6に示すように、サセプタ10の面内のうちシリコンウェーハ基板1が載置される部位に、複数の排出孔12、12′が形成される。このためサセプタ10の下面を流れるパージガス41bが排出孔12、12′を通過して、シリコンウェーハ基板1から放出されるオートドープガス42がパージガス41bとともにサセプタ10の下面に沿って排出される。
【0027】
このため図13に示す従来技術1と比較すると、本発明では、サセプタ10の下側のパージガス41bの流れとともにオートドープガス42が図中左側の排気口に導かれており、従来技術1のように、サセプタ10の上側の成長ガス41aの一部のガス41cがエピタキシャル成長層2の外周部近傍を通過してサセプタ10の下方に導かれることがないので、エピタキシャル成長層2の膜厚が不均一になるという問題a)は生じない。
【0028】
また図13に示す従来技術1と比較すると、本発明では、成長ガス42は図中左側の排気口に導かれ、従来技術1のように、成長ガス41cがサセプタ10の下方に導かれることがないので、サセプタ10の下方の機構の腐食を生じさせ耐久性を損なうという問題b)は生じない。
【0029】
第2発明は、第1発明において、
前記排出孔は、半導体ウェーハ基板の外周部に相当する部位に、周方向に沿って複数形成されていること
を特徴とする。
【0030】
第2発明では、図5に示すように、排出孔12は、シリコンウェーハ基板1の外周部に相当する部位に、周方向に沿って複数形成される。
【0031】
第3発明は、第1発明において、
前記複数の排出孔は、半導体ウェーハ基板の面積に対して、エピタキシャル成長層の面内の抵抗率の分布が5%以下になる面積比率で形成されていること
を特徴とする。
【0032】
第3発明では、図11に示すように、複数の排出孔12は、シリコンウェーハ基板1の面積に対して、エピタキシャル成長層2の面内の抵抗率の分布が5%以下になる面積比率、つまりしきい値Dc以下となる面積比率で形成される。このためシリコンエピタキシャルウェーハ1′の品質が一定レベル以上に維持され半導体デバイスの歩留まりが向上する。
【0033】
第4発明は、第1発明において、
前記複数の排出孔の半導体ウェーハ基板面積に対する面積比率は、0.8%以上であること
を特徴とする。
【0034】
第4発明では、複数の排出孔12のシリコンウェーハ基板1の面積に対する面積比率が、0.8%以上とされる。図11はシリコンウェーハ基板1が直径200mmの場合の実験結果である。シリコンウェーハ基板1の面積Ssは10cm×10cm×π(cm2)=100π(cm2)となる。そこで複数の排出孔12の総面積Sを0.8π(cm2)以上、つまり面積比率S/Ssで0.8%以上にすると、エピタキシャル成長層2の面内の抵抗率の分布を5%以下にすることができ、シリコンエピタキシャルウェーハ1′の品質を一定レベル以上に維持でき半導体デバイスの歩留まりを向上させることができる。
【0035】
第5発明は、
サセプタ上に半導体ウェーハ基板を載置し、サセプタの上面に沿ってエピタキシャル成長ガスを、サセプタの下面に沿ってパージガスをそれぞれ流すとともに、輻射熱を外部から印加することによって半導体ウェーハ基板上にエピタキシャル成長膜を形成して、半導体エピタキシャルウェーハを製造する半導体エピタキシャルウェーハの製造装置において、
前記サセプタの面内のうち半導体ウェーハ基板が載置される部位に、前記サセプタの下面を流れるパージガスを通過させて半導体ウェーハ基板から放出されるオートドープガスをサセプタの下面に沿って排出させる複数の排出孔が形成されているとともに、
前記排出孔は、輻射熱が半導体ウェーハ基板の裏面に直接印加されない角度に傾斜されてサセプタを貫通していること
を特徴とする。
【0036】
第5発明では、第1発明の構成に加えて、図8に示すように、所定角度θ傾斜させてサセプタ10を貫通させることで排出孔12を形成している。このため加熱用ランプ5が発光してチャンバ4を介してサセプタ10に輻射されるが、輻射熱5aは傾斜された排出孔12によって遮られてシリコンウェーハ基板1の裏面1bに直接印加されない。加熱用ランプ5の輻射熱5aはサセプタ10に印加されサセプタ10の温度が上昇し、サセプタ10からの輻射によってシリコンウェーハ基板1の裏面1bが加熱される。
【0037】
第5発明によれば、加熱用ランプ5による輻射熱5aを排出孔12を介してシリコンウェーハ基板1の裏面1bに直接印加させないようにしているので、排出孔12が開口している部分と排出孔12が開口していない部分とで温度差が生じシリコンウェーハ基板1の温度面内分布の不均一が生じることがない。このため面内温度差によってシリコンエピタキシャルウェーハ1′の鏡面(表面)1aでミクロ的に凹凸が生じたり、熱応力によって積層欠陥が生じたりすることを防止することができる。
【0038】
第6発明は、
サセプタ上に半導体ウェーハ基板を載置し、サセプタの上面に沿ってエピタキシャル成長ガスを、サセプタの下面に沿ってパージガスをそれぞれ流すとともに、輻射熱を外部から印加することによって半導体ウェーハ基板上にエピタキシャル成長膜を形成して、半導体エピタキシャルウェーハを製造する半導体エピタキシャルウェーハの製造装置において、
前記サセプタの面内のうち半導体ウェーハ基板が載置される部位に、前記サセプタの下面を流れるパージガスを通過させて半導体ウェーハ基板から放出されるオートドープガスをサセプタの下面に沿って排出させる複数の排出孔が形成されているとともに、
前記サセプタの下方にあって、輻射熱が半導体ウェーハ基板の裏面に直接印加されない位置に、前記半導体ウェーハ基板に応じた大きさの輻射熱遮断用板が配置されていること
を特徴とする。
【0039】
第6発明では、第1発明の構成に加えて、図3に示すように、サセプタ10の下方に、シリコンウェーハ基板1に応じた大きさの輻射熱遮断用板(遮光板)30が配置される。
【0040】
このため加熱用ランプ5が発光して輻射熱5aが発生するが、輻射熱5aは遮光板30によって遮られて、排出孔12を介してシリコンウェーハ基板1の裏面1bに直接印加されない。なお加熱用ランプ5の輻射熱は遮光板30に印加され遮光板30の温度が上昇し、遮光板30からの輻射によってサセプタ10が加熱される。サセプタ10の温度が上昇し、サセプタ10からの輻射によってシリコンウェーハ基板1の裏面1bが加熱される。
【0041】
このため第5発明と同様に、排出孔12が開口している部分と排出孔12が開口していない部分とで温度差が生じシリコンウェーハ基板1の温度面内分布の不均一が生じることがない。このため面内温度差によってシリコンエピタキシャルウェーハ1′の鏡面(表面)1aでミクロ的に凹凸が生じたり、熱応力によって積層欠陥が生じたりすることを防止することができる。
【0042】
また遮光板30を設けたことによって、図15に示すようにサセプタ10の下側のパージガス41bの流れは、サセプタ10と遮光板30との間の流れ41dと、遮光板30の下方の流れ41eとに分岐される。これによりサセプタ10の下側のパージガス41bは整流されて図中左側の排気口にチャンバ4内に滞留することなく導かれる。サセプタ10の下側のパージガス41bがチャンバ4内で滞留しないのでサセプタ10の下方の機構の腐食を防止できエピタキシャル成長炉の耐久性を向上させることができる。またサセプタ10の下方に汚染ガスが滞留したとしても遮光板30に遮られてサセプタ10の排出孔12を介して汚染ガスがシリコンウェーハ基板1に導かれることがない。このためチャンバ4内に滞留した汚染ガスによるシリコンエピタキシャルウェーハ1′の品質の劣化を防止することができる。なおサセプタ10と遮光板30との間の成長ガス41dによってオートドープガス42が引っ張られて図中左側の排気口に導かれる。
【0043】
第7発明は、
半導体エピタキシャルウェーハの製造に用いられるサセプタであって、
前記サセプタの面内のうち半導体ウェーハ基板が載置される部位に、複数の孔が形成されているとともに、
前記孔は、所定角度傾斜されてサセプタを貫通していること
を特徴とする。
【0044】
第7発明のサセプタ10には、図2に示すようにサセプタ10の面内のうちシリコンウェーハ基板1が載置される部位に、複数の孔12が形成されているとともに、図8に示すようにそれらの孔12は所定角度傾斜されて貫通している。
【0045】
このため本発明のサセプタ10をエピタキシャル成長炉に配置した場合には、第5発明と同様の作用効果を奏効する。
【0046】
第8発明は、
半導体エピタキシャルウェーハの製造に用いられるサセプタの支持装置であって、
半導体ウェーハ基板が載置される部位に、複数の孔が形成されているサセプタと、
前記サセプタの下方に配置され、半導体ウェーハ基板に応じた大きさを有する板と、
前記板を介して前記サセプタに接続され前記板および前記サセプタを下方から支持するホルダと
を備えたこと
を特徴とする。
【0047】
第8発明のサセプタ10の支持装置のサセプタ10には、図4に示すようにサセプタ10の面内のうちシリコンウェーハ基板1が載置される部位に、複数の孔12が形成されている。またサセプタ10の下方にはシリコンウェーハ基板1に応じた大きさを有する板(遮光板)30が配置されている。またホルダ20は板30を介して(たとえば貫通して)サセプタ10に接続されており板30およびサセプタ10を下方から支持している。
【0048】
このため本発明のサセプタ10の支持装置をエピタキシャル成長炉に設けた場合には、第6発明と同様の作用効果を奏効する。またホルダ20は図2に示すように既存のホルダ20をそのまま使用することができるので装置の製造コストを上昇させることなく、第6発明の効果が得られる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して実施形態を説明する。なお本実施形態では、エピタキシャル成長薄膜形成用の原料ガスとしてSiH4 (モノシラン)、SiHCl3 (トリクロロシラン)などを使用し、P型のシリコンエピタキシャルウェーハ1′を作製する場合を想定する。このためシリコンウェーハ基板1に不純物としてボロンBを添加されたものを用い、P型のドーピングガスB2H6 (ジボラン)、BCl3 を使用してエピタキシャル成長層2に同じく不純物としてボロンBを添加する場合を想定する。しかし以下の説明は、N型のシリコンエピタキシャルウェーハを作製する場合、不純物としてボロンB以外の砒素As、リンPなどを添加する場合についても同様にして適用することができる。
【0050】
(第1の実施形態)
図1(a)は第1の実施形態に用いられるランプ加熱方式の枚葉型気相成長装置を示しており、エピタキシャル成長炉であるチャンバ4を側面からみた図である。同図1(a)に示すようにチャンバ4内にはサセプタ10が設けられている。チャンバ4はたとえば石英ガラスで構成されている。またサセプタ10はたとえばSiC(シリコンカーバイド)をコーティングしたC(カーボン)で構成されている。
【0051】
サセプタ10は上面からみて円形状のウェーハ保持部材であり、加工を終える毎にシリコンウェーハ基板1が1枚ずつ載置される。
【0052】
本実施形態に用いられるサセプタ10の構成について説明する。
【0053】
サセプタ5上にシリコンウェーハ基板1が載置された状態の上面図は図5に示される。またサセプタ5を断面でみた図は図6に示される。
【0054】
これら図5、図6に示すようにサセプタ10は最も高い外周部13と、外周部13の内側にあって外周部13よりも低く形成されている内周部14と内周部14の内側のポケット部11を備えて構成されている。ポケット部11はシリコンウェーハ基板1の直径よりやや大きい直径を有しており、ポケット部11にシリコンウェーハ基板1が収容される。
【0055】
サセプタ10のポケット部11には、シリコンウェーハ基板1が載置される部位、つまりシリコンウェーハ基板1の裏面1bに相当する部位に複数の排出孔12がサセプタ10を貫通するよう形成されている。これら複数の排出孔12は、シリコンウェーハ基板1の外周部に相当する部位に、周方向に沿って複数形成されている。
【0056】
排出孔12は、上面からみてサセプタ10の放射方向(半径方向)に沿った長円形状ないしは矩形形状に形成されている。
【0057】
また排出孔12は、図9に示すように断面でみてサセプタ10の面に対して垂直に同サセプタ10を貫通している。
【0058】
そして、これら複数の排出孔12は、後述するようにシリコンウェーハ基板1の面積Ssに対して、エピタキシャル成長層2の抵抗率面内分布が5%以下になる面積比率で形成されている。具体的には複数の排出孔12は、それらの合計面積Sがシリコンウェーハ基板面積Ssに対する面積比率S/Ssで0.8%以上になるようにサセプタ10に開口している。
【0059】
図2はサセプタ10を支持する装置の構成を斜視図にて示している。
【0060】
同図2に示すサセプタホルダ20の材質は、たとえばサセプタ10と同じもの(シリコンカーバイトSiC、カーボンC)で構成されている。またサセプタホルダ20を石英ガラス製で構成してもよい。サセプタホルダ20は、サセプタ10の外周を120゜の等間隔をもって3点で支持する3つのホルダピン21を備えている。ホルダピン21はサセプタ10の外周に接続され、嵌入、接着等の任意の固定方法により固定される。これによりサセプタホルダ20によってサセプタ10が下方より支持される。
【0061】
図1(a)に示すようにチャンバ4の外部には加熱用ランプ5が設けられている。加熱用ランプ5はたとえばハロゲンランプが使用される。加熱用ランプ5はチャンバ4の図中上方および下方にあって、それぞれチャンバ4の外壁に沿って複数配列されている。加熱用ランプ5が発光することにより輻射熱が石英ガラス製のチャンバ4を介してシリコンウェーハ基板1に加えられる。これによりシリコンウェーハ基板1は気相成長に適した成長温度に達する。
【0062】
チャンバ4の図中右側の図示しないガス導入口からは、原料ガス、ドーピングガス、キャリアガスからなる成長ガス41がチャンバ4内に供給される。またパージガスがサセプタ10の下側に流される。成長ガス41はサセプタ10の上側の流れ41aとなり、パージガスはサセプタ10の下側の流れ41bとなって(図6参照)、サセプタ10の上面(シリコンウェーハ基板1の表面1a)およびサセプタ10の下面に沿ってそれぞれ流れる。サセプタ10を通過した成長ガス41はチャンバ4の図中左側の図示しないチャンバ4のガス排気口から排気される。
【0063】
サセプタ10の周囲にはヒートリング50が配置されている。図1(b)、図1(c)はサセプタ10とヒートリング50を斜視的に示している。円形状のチャンバ4の場合には、図1(b)に示すように外枠が円形状となっているヒートリング50が用いられ、角形状のチャンバ4の場合には、図1(c)に示すように外枠が角形状となっているヒートリング50が用いられる。
【0064】
これら図1(a)、(b)、(c)に示すようにヒートリング50はサセプタ10の外周とは接触しない程度の隙間をもってチャンバ4を上部と下部とに分離している。このためサセプタ10の上側(チャンバ4の上部)を流れる成長ガス41aが、サセプタ10の下側(チャンバ4の下部)に不必要に流れ込むことを防止することができる。また加熱用ランプ5により、サセプタ10の周囲にあるヒートリング50が加熱されたため、サセプタ10の外周部において温度が不均一になることが防止される。
【0065】
上述したように成長ガス41aがサセプタ10の上側を流れると、成長ガス41aに含まれる原料ガスがシリコンウェーハ基板1の表面1aで化学反応し、図16と同様にしてシリコンウェーハ基板1の表面に同じシリコンのエピタキシャル成長層の薄膜2が形成され、シリコンエピタキシャルウェーハ1′が作製される。たとえばドーパント濃度が高い(抵抗率Ω・cmが低い)シリコンウェーハ基板1の上にドーパント濃度が低い(抵抗率Ω・cmが高い)エピタキシャル成長層2が形成される。
【0066】
ここで従来にあっては、気相成長中に図16に示すようにシリコンウェーハ基板1の裏面1bからボロンBのドーパント42aが蒸発によって放出し、オートドープガス42としてシリコンウェーハ基板1の外方からエピタキシャル成長層2の外周部に回り込みエピタキシャル成長層2内に取り込まれるというオートドープ(オートドーピング)が生じる。
【0067】
本実施形態ではかかるオートドープを回避することができる。これを図6、図7を参照して説明する。
【0068】
図6はサセプタ10の断面図であり、サセプタ10の直径方向に対向して配置されている排出孔12、12′を示している。
【0069】
成長ガス41のうちサセプタ10の下面を流れるパージガス41bは、排出孔12、12′を通過する。このときシリコンウェーハ基板1から蒸発によって放出されるオートドープガス42は、パージガス41bの流れに引っ張られてサセプタ10の下面に沿って排出される。
【0070】
また図7はサセプタ10の断面図であり、サセプタ10の周方向に隣接して配置されている排出孔12、12″を示している。図6と同様にして、サセプタ10の下面を流れるパージガス41bが排出孔12、12″を通過することで、オートドープガス42がパージガス41bの流れに引っ張られてサセプタ10の下面に沿って排出される。
【0071】
つぎに本実施形態を図13に示す従来技術1と比較する。
【0072】
本実施形態では、サセプタ10の下側のパージガス41bの流れとともにオートドープガス42が図中左側の排気口に導かれる。すなわち従来技術1のように、サセプタ10の上側の成長ガス41aの一部のガス41cがエピタキシャル成長層2の外周部近傍を通過してサセプタ10の下方に導かれることがない(図13参照)。このためエピタキシャル成長層2の膜厚が不均一になるという問題a)は生じない。
【0073】
また本実施形態では、成長ガス42は図中左側の排気口に導かれ、従来技術1のように成長ガス42の一部の流れ42cがサセプタ10の下方に導かれることがない(図13参照)。このためサセプタ10の下方の機構の腐食を生じさせ耐久性を損なうという問題b)は生じない。またサセプタ10の下方に本来の図中左側の排気口とは別の排気口を設ける必要がないので、エピタキシャル成長炉の製造コストが上昇するという問題c)は生じない。
【0074】
図10、図11は本実施形態の効果を説明する実験結果を示している。図12は実験で使用したシリコンエピタキシャルウェーハ1′の計測ポイントを示している。
【0075】
図12に示すように、エピタキシャル成長層2の面内直径方向の軸Xに沿って、P1〜P9の各ポイントについて抵抗率(Ω・cm)を計測した。ポイントP5はウェーハ1′の中心でありこれをX軸の原点とし、ポイントP1方向をプラス方向、ポイントP9方向をマイナス方向とした。
【0076】
実験では直径が200mmのシリコンウェーハ基板1を用いてシリコンエピタキシャルウェーハ1′を作製した。シリコンウェーハ基板1の面積Ssは10cm×10cm×π(cm2)=100π(cm2)となる。
【0077】
図10は、ウェーハ中心からの距離(mm)と抵抗率(Ω・cm)の関係を示している。図10に示す特性L1は、サセプタ10に排出孔12を設けない参考例の特性つまり排出孔総面積Sが0の場合の特性であり、図10に示す特性L2は、サセプタ10に総面積Sが4.5π(cm2)の排出孔12を設けた本実施形態のの特性である。
【0078】
図10からわかるように参考例L1ではシリコンエピタキシャルウェーハ1′の外周部で抵抗率が大きく下がっており、抵抗率面内分布の不均一を招いているのに対して、本実施形態L2ではシリコンエピタキシャルウェーハ1′の外周部でも抵抗率は中心部とほぼ同じであり、抵抗率面内分布が均一になっているのがわかる。各ポイントP1〜P9の抵抗率の標準偏差Stdを計算したところ、参考例L1では標準偏差Stdが2.311であるのに対して本実施形態L2では標準偏差Stdが0.193を示しており、本実施形態によれば抵抗率面内分布の不均一が十分に改善されていることがわかる。
【0079】
図11は排出孔12の総面積S(cm2)と抵抗率面内分布D(%)との関係を示している。排出孔12の総面積Sを変化させて、それぞれの場合について抵抗率面内分布D(%)を計測した。ここで抵抗率面内分布Dは下記の式で計算される。
【0080】
D={(各ポイントP1〜P9の中で最も高い抵抗率)−(各ポイントP1〜P9の中で最も低い抵抗率)}÷(各ポイントP1〜P9の抵抗率の平均値)×50(%)
ここでシリコンエピタキシャルウェーハ1′の品質を一定レベル以上に維持し半導体デバイスの歩留まりを向上させるには、抵抗率面内分布Dとして5%以下であることが必要である。そこで5%のしきい値Dc以下となる排出孔総面積Sを求めると、図11より0.8π(cm2)以上であることがわかる。シリコンウェーハ基板1の面積Ssが100π(cm2)で、排出孔12の総面積Sが0.8π(cm2)以上であるので、面積比率S/Ssで0.8%以上にすると、エピタキシャル成長層2の面内の抵抗率の分布Dを5%以下にすることができ、シリコンエピタキシャルウェーハ1′の品質を一定レベル以上に維持でき半導体デバイスの歩留まりを向上させることができる。
【0081】
なお本第1の実施形態では、ランプ加熱方式の気相成長装置を想定し、加熱用ランプ5でシリコンウェーハ基板1を加熱するようにしているが、加熱用ランプ5の代わりに高周波コイルを設けて誘導電磁加熱によりシリコンウェーハ基板1を加熱するなど、任意の加熱手段によってシリコンウェーハ基板1を加熱してもよい。
【0082】
(第2の実施形態)
第1の実施形態のサセプタ10では図9に示すように排出孔12がサセプタ10の面に対して垂直に貫通している。このため加熱用ランプ5による輻射熱5aが排出孔12を介してシリコンウェーハ基板1の裏面1bに直接印加される。このため排出孔12が開口している部分と排出孔12が開口していない部分とで温度差が生じシリコンウェーハ基板1の温度面内分布の不均一が生じるおそれがある。このため面内温度差によってシリコンエピタキシャルウェーハ1′の鏡面(表面)1a内で成長速度差が生じてミクロ的に凹凸が生じるおそれがある。また熱応力によって積層欠陥が生じるおそれがある。
【0083】
そこで、これらを回避するために本第2の実施形態に使用されるサセプタ10には、図8に示すように所定角度θ傾斜させて貫通した排出孔12を設けるようにする。このため加熱用ランプ5が発光してチャンバ4を介してサセプタ10に輻射されるが、輻射熱5aは傾斜された排出孔12によって遮られてシリコンウェーハ基板1の裏面1bに直接印加されない。加熱用ランプ5の輻射熱5aはサセプタ10に印加されサセプタ10の温度が上昇し、サセプタ10からの輻射によってシリコンウェーハ基板1の裏面1bが加熱される。
【0084】
このように本第2の実施形態によれば輻射熱5aは排出孔12で遮られ、排出孔12を通過してシリコンウェーハ基板1の裏面1bに直接印加することがないので、排出孔12が開口している部分と排出孔12が開口していない部分とで温度差が生じシリコンウェーハ基板1の温度面内分布の不均一が生じることがない。このため面内温度差によってシリコンエピタキシャルウェーハ1′の鏡面(表面)1aでヘイズが生じたり、ミクロ的に凹凸が生じたり、熱応力によって積層欠陥が生じたりすることを防止することができる。
【0085】
本発明者らは第2の実施形態の効果を確認するために実験を行った。計測装置はSQM(W1S.CR83−SQM)を使用してシリコンエピタキシャルウェーハ1′の鏡面1aの凹凸を計測した。下記表1に計測結果を示す。
【0086】
表1において「垂直開口」は図9の第1の実施形態の場合の計測結果を示し、「斜め開口」は図8の第2の実施形態の場合の計測結果を示す。
【0087】
上記実験からわかるように、第2の実施形態の場合には鏡面1aにおけるミクロ的な凹凸が小さくなり、鏡面の品質が向上していることがわかる。
【0088】
(第3の実施形態)
図3は第3の実施形態の装置を構成を示している。図3は図1(a)に対応する図でありチャンバ4を側面からみた図である。また図4は第3の実施形態に用いられるサセプタ10の支持装置の構成を示してる。図4は図2に対応する図でありサセプタ10の支持装置を斜視図にて示している。以下第1の実施形態と重複する構成要素には同じ符号を付けて適宜説明を省略する。
【0089】
図3に示すように本実施形態では、サセプタ10の下方には、シリコンウェーハ基板1よりもやや大きい、サセプタ10とほぼ同じ大きさの円形の遮光板30がサセプタ10の面と平行に配置されている。
【0090】
本第3の実施形態に用いられるサセプタ10の支持装置は、図4に示すように、
第1の実施形態と同様のサセプタ10と、サセプタ10の下方に配置された遮光板30と、遮光板30を貫通してサセプタ10の外周部に接続することで遮光板30およびサセプタ10を下方から支持するサセプタホルダ20とから構成されている。
【0091】
サセプタホルダ20は、サセプタ10の外周を120゜の等間隔をもって3点で支持する3つのホルダピン21を備えている。遮光板30の外周には3つのホルダピン21がそれぞれ挿通される3つの貫通孔31が形成されている。ホルダピン21は、遮光板30の貫通孔31に挿通されるとともに、サセプタ10の外周に接続される。ホルダピン21は嵌入、接着等の任意の固定方法によりサセプタ10の外周に固定される。これによりサセプタホルダ20によって遮光板30およびセプタ10が下方より支持される。
【0092】
図4の構成を図2と比較してわかるように、本実施形態のサセプタホルダ20は、遮光板30の追加があったとしても図2に示す既存のホルダ20をそのまま使用することができる。このため遮光板30の追加配置に伴う装置の製造コスト上昇を抑えることができる。
【0093】
図15はサセプタ10の断面を示している。図15は図6に対応する図である。
【0094】
図15を参照して第3の実施形態の効果について説明する。
【0095】
加熱用ランプ5が発光して輻射熱5aが発生するが、輻射熱5aは遮光板30によって遮られて、排出孔12を介してシリコンウェーハ基板1の裏面1bに直接印加されることがない。
【0096】
加熱用ランプ5の輻射熱は遮光板30に印加され遮光板30の温度が上昇し、遮光板30からの輻射によってサセプタ10が加熱される。サセプタ10の温度が上昇し、サセプタ10からの輻射によってシリコンウェーハ基板1の裏面1bが加熱される。
【0097】
このため第2の実施形態と同様に、排出孔12が開口している部分と排出孔12が開口していない部分とで温度差が生じシリコンウェーハ基板1の温度面内分布の不均一が生じることがない。このため面内温度差によってシリコンエピタキシャルウェーハ1′の鏡面(表面)1aでヘイズが生じたり、ミクロ的に凹凸が生じたり、熱応力によって積層欠陥が生じたりすることを防止することができる。
【0098】
また遮光板30を設けたことによって、図15に示すようにサセプタ10の下側のパージガス41bの流れは、サセプタ10と遮光板30との間の流れ41dと、遮光板30の下方の流れ41eとに分岐される。これによりサセプタ10の下側のパージガス41bは整流されて図中左側の排気口にチャンバ4内に滞留することなく導かれる。サセプタ10の下側のパージガス41bがチャンバ4内で滞留しないのでサセプタ10の下方の機構の腐食を防止できエピタキシャル成長炉の耐久性を向上させることができる。
【0099】
またサセプタ10の下方に汚染ガスが滞留したとしても遮光板30に遮られてサセプタ10の排出孔12を介して汚染ガスがシリコンウェーハ基板1に導かれることがない。このためチャンバ4内に滞留した汚染ガスによるシリコンエピタキシャルウェーハ1′の品質の劣化を防止することができる。
【0100】
第3の実施形態では、第1の実施形態と同様に、サセプタ10と遮光板30との間の成長ガス41dによってオートドープガス42が引っ張られて図中左側の排気口に導かれる。
【0101】
なお実験では、遮光板30の厚さを2mmとし、サセプタ10と遮光板30との間を2〜3mmに保持したところ上述した効果が確認された。
【0102】
以上説明した各実施形態では、排出孔12の配置、形状、数が図5に示す配置、形状、数になっていることを想定して説明したが、本発明としては、排出孔12が複数設けられ、それらがシリコンウェーハ基板1が載置される部位に形成されており、図6、図7、図15に示すガスの流れを形成し得るものであれば、その配置、形状、数は任意である。
【0103】
また各実施形態では、図6に示すように、サセプタ10はその内側に高さの異なる内周部14、ポケット部11を備えたものを想定したが、図14に示すようにサセプタ10の内側における内周部14を省略しポケット部11のみを備えたサセプタ10に対しても本発明を適用することができる。
【0104】
また各実施形態では、枚葉型の気相成長装置を想定したが、本発明としてはサセプタ上に複数のシリコンウェーハ基板を載置して気相成長を行う装置にも適用することができる。またシリコンウェーハ以外のGaAs(ガリウム砒素)などの半導体ウェーハを製造する場合にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は第1の実施形態、第2の実施形態に用いられるシリコンエピタキシャルウェーハの製造装置の構成を示す図で、図1(b)、図1(c)がサセプタおよびヒートリングを示す斜視図である。
【図2】図2は図1に示すサセプタの支持装置の構成を示す斜視図である。
【図3】図3は第3の実施形態に用いられるシリコンエピタキシャルウェーハの製造装置の構成を示す図である。
【図4】図4は図3に示すサセプタの支持装置の構成を示す斜視図である。
【図5】図5はシリコンウェーハ基板が載置されたサセプタを上面からみた図である。
【図6】図6は第1の実施形態、第2の実施形態のサセプタの断面図である。
【図7】図7は図6と異なる断面におけるサセプタの断面図である。
【図8】図8は第2の実施形態の排出孔の断面を示した図である。
【図9】図9は第1の実施形態の排出孔の断面を示した図である。
【図10】図10はウェーハの中心からの距離と抵抗率との関係を示す図である。
【図11】図11は排出孔の総面積と抵抗率面内分布との関係を示す図である。
【図12】図12はシリコンエピタキシャルウェーハの抵抗率の測定ポイントを示す図である。
【図13】図13は従来技術を説明する図でサセプタの断面図である。
【図14】図14は実施形態のサセプタの構成例を示す図でサセプタの断面図である。
【図15】図15は第3の実施形態のサセプタの断面図である。
【図16】図16はオートドープを説明する図である。
【図17】図17は酸化膜を形成したシリコンエピタキシャルウェーハを示す図である。
【符号の説明】
1 シリコンウェーハ基板
1′ シリコンエピタキシャルウェーハ
2 エピタキシャル成長層
5 加熱用ランプ
10 サセプタ
11 ポケット部
12 排出孔
20 サセプタホルダ
30 遮光板
41 成長ガス
42 オートドープガス
Claims (8)
- サセプタ上に半導体ウェーハ基板を載置し、サセプタの上面に沿ってエピタキシャル成長ガスを、サセプタの下面に沿ってパージガスをそれぞれ流すことによって半導体ウェーハ基板上にエピタキシャル成長膜を形成して、半導体エピタキシャルウェーハを製造する半導体エピタキシャルウェーハの製造装置において、
前記サセプタの面内のうち半導体ウェーハ基板が載置される部位に、前記サセプタの下面を流れるパージガスを通過させて半導体ウェーハ基板から放出されるオートドープガスをサセプタ下面に沿って排出させる複数の排出孔が形成されていること
を特徴とする半導体エピタキシャルウェーハの製造装置。 - 前記排出孔は、半導体ウェーハ基板の外周部に相当する部位に、周方向に沿って複数形成されていること
を特徴とする請求項1記載の半導体エピタキシャルウェーハの製造装置。 - 前記複数の排出孔は、半導体ウェーハ基板の面積に対して、エピタキシャル成長層の面内の抵抗率の分布が5%以下になる面積比率で形成されていること
を特徴とする請求項1記載の半導体エピタキシャルウェーハの製造装置。 - 前記複数の排出孔の半導体ウェーハ基板面積に対する面積比率は、0.8%以上であること
を特徴とする請求項1記載の半導体エピタキシャルウェーハの製造装置。 - サセプタ上に半導体ウェーハ基板を載置し、サセプタの上面に沿ってエピタキシャル成長ガスを、サセプタの下面に沿ってパージガスをそれぞれ流すとともに、輻射熱を外部から印加することによって半導体ウェーハ基板上にエピタキシャル成長膜を形成して、半導体エピタキシャルウェーハを製造する半導体エピタキシャルウェーハの製造装置において、
前記サセプタの面内のうち半導体ウェーハ基板が載置される部位に、前記サセプタの下面を流れるパージガスを通過させて半導体ウェーハ基板から放出されるオートドープガスをサセプタの下面に沿って排出させる複数の排出孔が形成されているとともに、
前記排出孔は、輻射熱が半導体ウェーハ基板の裏面に直接印加されない角度に傾斜されてサセプタを貫通していること
を特徴とする半導体エピタキシャルウェーハの製造装置。 - サセプタ上に半導体ウェーハ基板を載置し、サセプタの上面に沿ってエピタキシャル成長ガスを、サセプタの下面に沿ってパージガスをそれぞれ流すとともに、輻射熱を外部から印加することによって半導体ウェーハ基板上にエピタキシャル成長膜を形成して、半導体エピタキシャルウェーハを製造する半導体エピタキシャルウェーハの製造装置において、
前記サセプタの面内のうち半導体ウェーハ基板が載置される部位に、前記サセプタの下面を流れるパージガスを通過させて半導体ウェーハ基板から放出されるオートドープガスをサセプタ下面に沿って排出させる複数の排出孔が形成されているとともに、
前記サセプタの下方にあって、輻射熱が半導体ウェーハ基板の裏面に直接印加されない位置に、前記半導体ウェーハ基板に応じた大きさの輻射熱遮断用板が配置されていること
を特徴とする半導体エピタキシャルウェーハの製造装置。 - 半導体エピタキシャルウェーハの製造に用いられるサセプタであって、
前記サセプタの面内のうち半導体ウェーハ基板が載置される部位に、複数の孔が形成されているとともに、
前記孔は、所定角度傾斜されてサセプタを貫通していること
を特徴とするサセプタ。 - 半導体エピタキシャルウェーハの製造に用いられるサセプタの支持装置であって、
半導体ウェーハ基板が載置される部位に、複数の孔が形成されているサセプタと、
前記サセプタの下方に配置され、半導体ウェーハ基板に応じた大きさを有する板と、
前記板を介して前記サセプタに接続され前記板および前記サセプタを下方から支持するホルダと
を備えたこと
を特徴とするサセプタの支持装置。
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