JP2004172200A - 電波吸収材料及び電波吸収体 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロ波及びミリ波帯において優れた電波吸収性能を有し、耐熱性、難燃性、機械的特性及び耐候性に優れた電波吸収材料及び電波吸収体を提供する。
【解決手段】本発明の電波吸収材料は、シリコーンエマルションに導電性材料を分散させた後、硬化させて得られる多孔質体であることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の電波吸収材料は、シリコーンエマルションに導電性材料を分散させた後、硬化させて得られる多孔質体であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波、特にマイクロ波及びミリ波に対する電波吸収量特性、耐熱性、難燃性、機械的強度及び耐候性に優れた電波吸収材料及び電波吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の普及や通信技術の多様化により、電子機器が電磁妨害波を発生し他の電子機器に誤動作を与えたり、機器自身が妨害波を受け誤動作を引き起こすといった電磁波障害問題が多数発生している。このような電磁波問題が注目される中、電子機器からの電磁波漏洩や不要電磁波特性を測定するための電波暗室、及び不要電波の吸収を目的とした種々の電波吸収体が開発されており、現在も需要が増加している。
【0003】
近年、電波の周波数帯域がマイクロ波からミリ波帯域へと広がり、今後もマイクロ波及びミリ波帯の利用増加が予想される。例えば、ITS(高度道路交通システム)、携帯電話、無線LAN等が挙げられ、今後もこのシステムの発展により不要電波吸収を目的とした電波吸収体が望まれている。
【0004】
不要電磁波特性の測定を行う電波暗室においては、機器の評価項目の一つとして耐ノイズ性の評価(イミュニティ)試験が行われる。イミュニティ試験では、試験条件によって非常に大きな電力での電界放射試験が行われるため、事故による火災の危険性が考えられる。その安全対策の1つとして耐熱性及び難燃性を有する電波吸収体が電波暗室に必要とされている。
【0005】
従来、軟磁性金属粉末、導電性粉末等の材料をゴム又はプラスチックのマトリックス中に分散させて複合材料とし、この複合材料をシート、その他任意の形状に成形した電磁波吸収体が使用されてきた。一般にマトリックス材となるプラスチックとしては、成形性、加工性、コスト等の観点からポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン等が使用されているが、これらのプラスチックは、燃焼した際の発熱量が非常に大きいため耐熱性能に問題がある。その対策として、耐熱性及び難燃性に優れた塩素化ポリエチレン等の材料がマトリックス材として現在も使用されている。
【0006】
これに対し、近年地球環境問題が注目され、人体に有害なダイオキシンの発生による問題が取り上げられている。ダイオキシンの発生原因としては、塩素化ポリエチレン等のハロゲン化物を含む製品の焼却処理が挙げられる。ハロゲン含有物質は、このように焼却処理等により結果として人体及び地球環境に悪影響を与えるため、社会的に大きな問題となっている。
【0007】
現在、プラスチック等の耐燃焼性能を向上させるために、上記のように塩素化ポリエチレン等のハロゲン化物が電波吸収体等に広く使用されている。例えば、特許文献1には、混合粉体とゴム系樹脂(塩素化ポリエチレン)を混練しシート状に形成する方法が開示されており、特許文献2には、塩素化ポリエチレンゴムをマトリックス材とし、これに軟磁性金属の粉末を混合し電波吸収体として使用する例が開示されている。しかしながら、これらは耐熱性及び難燃性において充分な効果を発揮するものの、マトリックス材にハロゲンが含まれることによるダイオキシン発生の問題を無視することができない。
【0008】
マトリックス材として、発泡ウレタン等の軟質樹脂の多孔体を用い、これに炭素粉等の導電性材料を水中に分散させた分散液を含浸させ、乾燥して形成した電波吸収材料が提案されている。しかしながら、このような電波吸収材料は小さな衝撃によっても表面の導電性材料が剥離、脱落し、周囲を汚してしまうという問題がある。
【0009】
他方、発泡しながら硬化するウレタン、シリコーン等の軟質樹脂発泡体において、その発泡前の原液に予め導電性材料を加え、その後発泡、硬化させた場合、衝撃による導電性材料の剥離や脱落は防止できるが、発泡による体積の膨張に伴って導電性材料が樹脂内で散在してしまうため、必要な導電性が発生しないか、発生しても非常に小さく精度が悪いという問題が生じる。
【0010】
電波暗室内で伝搬される電波はそのほとんどが斜入射波である。従来のピラミッド型電波吸収体においては、垂直入射に対する電波吸収量特性は充分であっても、斜入射において充分な電波吸収量特性を発揮することは難しい。このため斜入射用電波吸収体がいくつか提案されている。例えば、特許文献3ではくさび部分又は四角錐部分を多層化することにより吸収体の高さ方向の誘電損失分布を変化させた斜入射用電波吸収体が開示されている。このような構造の場合、各層ごとに誘電損失の異なる材料を作る必要があり、コスト、加工性等に問題がある。
また、特許文献4には、三角柱形状の基台に同一の高さの四角錐形状(ピラミッド形状)の複数の電波導入部が基台と一体となるように固着した斜入射用電波吸収体が提案されている。しかし、この場合においても個々の電波吸収体形状ごとに加工、接着する必要があり、上記の場合と同様にコスト、加工性等に問題がある。
【0011】
電波吸収体が屋外で利用されるケースもある。このようなケースとしては、アンテナ基地でのレーダー偽造防止、TVのゴースト防止対策、テンペスト防止等が挙げられる。屋外でこれらの電波吸収体を使用する場合、電波吸収体に要求される項目としては、耐候性、機械的強度、施工性、重量等が挙げられる。設置される箇所の形状が複雑かつ様々であり、また屋外で使用されることから、上記要求を充分に満たし、様々な環境条件にも充分耐えられることが必要になる。これらの条件を満たす電波吸収体として現在までに様々な電波吸収体が提案されてきているが、アンテナのサイドローブのように複雑な形状を有する部分に使用する場合、吸収体としてはより柔軟で複雑な形状に加工できるものが必要である。
【0012】
【特許文献1】
特開2002−184617号公報
【特許文献2】
特開2001−028494号公報
【特許文献3】
特開平2−250398号公報
【特許文献4】
特開平8−274490号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、マイクロ波及びミリ波帯において優れた電波吸収性能を有し、耐熱性、難燃性、機械的特性及び耐候性に優れた電波吸収材料及び電波吸収体を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、電波吸収材料の基材としてシリコーンを利用することにより、従来のプラスチック等の耐熱性、難燃性、耐候性等の問題を解決するとともに、その基材に導電性材料を均等に分散させることにより、電波吸収材料としての機能を持たせることができること、機械的特性の向上と軽量化のためエマルジョン化されたシリコーンを使用し、このシリコーンエマルジョンに導電性材料を添加、分散後、任意形状で硬化、乾燥して多孔体を形成することにより、耐熱性、難燃性、耐候性及び機械的特性に優れ、かつ軽量な電波吸収材料が得られることを発見し、本発明に想到した。
【0015】
すなわち、本発明の電波吸収材料は、シリコーンエマルジョンに導電性材料を分散させた後、硬化させて得られる多孔質体であることを特徴とする。
【0016】
電波吸収材料の空隙率は30〜80%であるのが好ましい。空隙率をこの範囲に調整することにより電波吸収材料の機械的強度、導電率等を調節することができる。電波吸収材料が高い導電性を発揮するように、導電性材料はカーボン粒子及び/又はカーボン繊維を含有するのが好ましく、カーボン粒子はカーボンブラック、グラファイト又はカーボンブラックとグラファイトの混合粒子であるのが好ましい。混合粒子にすることにより高い導電性とともに導電性の精度を高めることができる。また、金属粒子、金属酸化物及び金属炭化物の少なくとも1種を含有する導電性材料を用いることできる。金属粒子はCu、Sn、Ni及びAgからなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましく、金属酸化物はTiO2、SnO2、ZnO2、NiO及びCuOからなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましく、金属炭化物はTiC及びSiCの少なくとも1種であるのが好ましい。
【0017】
シリコーンエマルジョンはオルガノポリシロキサンを油層とする油中水滴型エマルジョンであるのが好ましく、電波吸収体の形状は、シート型、ウェッジ型又はピラミッド型であるのが好ましい。電波吸収体の形状がシート型の場合、各層の空隙率及び/又は導電率が異なる積層シートとすることができる。さらに、前記積層シートに電波透過層又は空気層が含まれる構造とすることができる。本発明の好ましい実施例では、電波吸収体は複数のピラミッド形状の電波導入部が底面部を接して配列されており、底面部が基台の形状に合わせて曲げ固定され、隣接する電波導入部の先端が開いて扇状に形成されている。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の電波吸収材料は、機械的特性と軽量化の観点からマトリックス材料としてエマルジョン化されたシリコーンを使用する。シリコーンエマルジョンはオルガノポリシロキサンを油層とする油中水滴型エマルジョンであるのが好ましい。水中油滴型エマルジョンを使用すると得られる電波吸収材料の気孔が粗大になるか、多孔性が得られなくなる。オルガノポリシロキサンとしては、常温で液体又は固体であり、加熱処理や触媒、硬化剤等の添加により硬化するものを用いることができる。
【0019】
オルガノポリシロキサンは単一の種類であっても、それぞれ異なる有機基を有する2種類以上の組成物であってもよい。有機基としては置換又は無置換の一価の炭化水素基が挙げられ、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基等)、アリール基(フェニル基等)、アラルキル基(ベンジル基等)、アルカリル基(スチリル基、トリル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素、塩素、臭素等のハロゲンで置換された基(3−クロルプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等)等が挙げられる。
【0020】
シリコーンエマルジョンとしては、オルガノポリシロキサンが自己乳化したものや乳化のための界面活性剤(乳化剤)が添加されたものが使用できる。乳化剤としては、アニオン系界面活性剤(高級脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルホスホン類、ポリエチレングリコール硫酸エステル塩類等)、非イオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン類、脂肪酸モノグリセライド類、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン類、ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン類等)、及びカチオン系乳化剤(脂肪族アミン塩類、第4級アンモニウム塩類、アルキルピリジニウム塩類等)が挙げられる。また、オルガノポリシロキサンに触媒(ジブチル錫ジラウレート、チタン酸エステル、n−ヘキシルアミン、白金錯体類等の硬化触媒等)、硬化剤(コロイド状シリカ、アルカリ金属ケイ酸塩、加水分解性シロキサン等)、低粘度化のための有機溶剤(トルエン、キシレン等)等が添加されていてもよい。
【0021】
シリコーンエマルジョンの調製方法は公知の方法を用いてよい。例えば、オルガノポリシロキサンを乳化剤を用いてホモミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル等の乳化機で水中に乳化させた後、触媒、硬化剤等を添加して混合する方法等を用いることができる。
【0022】
シリコーンエマルジョンに導電性材料を均等に分散させ硬化させた後、内部に残存する水分を除去するため材料の乾燥工程が必要となる。乾燥工程は乾燥機による乾燥及び自然乾燥のいずれでもよく、いずれの場合も性能上特に問題はない。またシリコーンエマルジョン中の水とシリコーン(オルガノポリシロキサン)の比率を調整することにより、空隙率を自由に調整することが可能である。具体的にはオルガノポリシロキサン/水の質量比を70/30〜20/80に調整することにより空隙率を約30〜80%の範囲で制御することができる。電波吸収材料及び電波吸収体としては、材料の導電率のコントロールも重要な要素となる。導電率は導電性材料の添加量調節によってもコントロールできるが、空隙率の調節によってもコントロールできる。この場合、空隙率の調整範囲としては30%以下、又は80%以上でも調整可能であるが、材料の軽量化、コスト、機械的強度、加工性等を損なうおそれがある。このため、空隙率を30〜80%の範囲で調整することにより導電率をコントロールするのが好ましい。このように空隙率を機械的強度、及び電波吸収材料又は電波吸収体の目的に応じてコントロールすることにより理想的な電波吸収材料及び電波吸収体を得ることが可能となる。
【0023】
電波吸収材料に用いる好ましい導電性材料としては、一般的なカーボン粒子、カーボン繊維等が挙げられるが、カーボン繊維の場合、材料自身の曲げ、切断等の問題が発生することがある。材料として形状の自由度を必要としない場合には、繊維状の導電性材料を用いても曲げ等の問題は発生しないが、それ以外の場合ではカーボン粒子を用いるか、カーボン粒子とカーボン繊維を併用するのがより好ましい。これにより材料としての機械的特性も充分に満たされる。
【0024】
カーボン粒子としては、カーボンブラック、グラファイト及びこれらの混合粒子が好ましい。カーボンブラックの種類としてはアセチレンブラック、ファーネスブラック等が挙げられる。中でもBET比表面積が700〜1500 m2/gのカーボンブラックは少量の添加でも高い導電性を付与できるため好ましい。このようなカーボンブラックの例としては、ケッチェンブラックEC(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製)、ブラックパール2000(キャボット社製)、#3950(三菱化学(株)製)等が挙げられる。導電性繊維(カーボン繊維)は特に限定されないが、繊維の長さは0.5〜350 mmの範囲が好ましい。また繊維の太さ(直径)は電気抵抗を低くするため0.005〜1mmの範囲が好ましい。
【0025】
グラファイトの種類としては天然黒鉛、人造黒鉛等が挙げられるが、本発明では人造黒鉛を用いるのが好ましい。人造黒鉛は粒子径が0.1〜500μmであるが、中でも粒子径が1〜50μmの人造黒鉛はシリコーンエマルジョンへの添加及び分散が容易であるので好ましい。
【0026】
導電性材料として種々のカーボン粒子が挙げられるが、これらのカーボン粒子については、例えばカーボンブラック及びグラファイトをそれぞれ単独で用いるよりも両者を組み合わせて用いる方がより高い導電性を高精度で得ることができる。中でもケッチェンブラックと人造黒鉛の混合粒子において、混合粒子100質量%に対し、ケッチェンブラック:人造黒鉛 = 1〜30質量%:99〜70質量%の配合比率で混合される粉末を用いるのが材料の導電率及びその精度を高める上でより好ましい。
【0027】
導電性材料としては、金属粒子、金属酸化物及び金属炭化物をそれぞれ単独又は2種以上で使用することもできる。金属粒子としては、Cu、Sn、Ni、Ag等が挙げられ、金属酸化物としては、TiO2、SnO2、ZnO2、NiO、CuO等が挙げられ、金属炭化物としては、TiC、SiC等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。導電性材料としてカーボン粒子等のカーボン系の材料を用いる場合、カーボン系材料が黒色系であることにより電波吸収材料も黒色系の色調を有する。目的とする電波吸収材料が黒色系以外の場合、上記の金属粒子、金属酸化物、金属炭化物等を使用することによっても充分な性能が得られるため、カーボン粒子に代わる導電性材料としてこのような金属粒子、金属酸化物、金属炭化物等を使用する電波吸収材料を用いることも可能である。
【0028】
導電性材料の添加量は、使用する導電性材料の種類によって適宜変更してよいが、カーボンブラック/グラファイトの質量比が1/10の導電性材料の場合、通常オルガノポリシロキサン100質量部に対し20〜200質量部添加するのが好ましく、50〜100質量部添加するのがより好ましい。20質量部未満では導電性が不足し、200質量部を超えると柔軟性が不足する。
【0029】
本発明の電波吸収材料の特徴の一つとして柔軟性及び加工性の良さが挙げられる。従って、硬化させる工程において予め任意形状に成形することが容易である。一般に電波吸収体の形状としては、平板型、ウェッジ型、ピラミッド型等が挙げられるが、いずれも容易に製造することができる。本発明では、複雑な形状を有する電波吸収体であっても容易に製造することができるが、電波吸収体として機能を発揮するための基本的な形状である、シート型(図1)、ウェッジ型(図2)及びピラミッド型(図3)の電波吸収体が好ましい。
【0030】
図1は、上記のシリコーンエマルジョンに導電性材料を添加、分散後、硬化させて得られるシート型の多孔質電波吸収体の一例を示す。このシート型電波吸収体の厚さ、カーボン濃度及び空隙率を変更することにより、任意の周波数の不要電波を吸収することが可能となる。本発明の電波吸収材料は、シリコーンエマルジョン中の水とシリコーンの比率を調整することが容易であるため、シート型電波吸収体のように特定の不要電波吸収を必要とする場合においても容易に製造することができる。
【0031】
図2はウェッジ型の多孔質電波吸収体の一例を示し、図3はピラミッド型の多孔質電波吸収体の一例を示す。ウェッジ型及びピラミッド型電波吸収体の高さ、底辺の長さ、カーボン濃度及び空隙率を変更することにより、任意の周波数の不要電波を吸収することが可能となる。上記のシート型電波吸収体と同様に、シリコーンエマルジョン中の水とシリコーンの比率を適宜調整し、任意形状の型内に材料を流し込むことにより、このようなウェッジ型又はピラミッド型電波吸収体も容易に製造することができる。
【0032】
図4は多層形の多孔質電波吸収体の一例を示し、図5は多層形電波吸収体に電波透過層を含んだ電波吸収体の一例を示す。多層形電波吸収体の厚さ、カーボン濃度及び空隙率を変更することにより、任意の周波数の不要電波を吸収することが可能となる。上記のシート型電波吸収体と同様に、シリコーンエマルジョン中の水とシリコーンの比率を適宜調整し、組成の異なるシリコーンエマルジョンを順次積層することにより、このような多層形電波吸収体も容易に製造することができる。
【0033】
図6はピラミッド型電波吸収体を扇形にすることにより、斜入射用電波吸収体として用いた例を示す。上記のシリコーンエマルジョンに導電性材料を添加、分散させた後、加熱硬化させて得られる多孔質体を、機械的強度及び柔軟性を活かし、図6に示すような扇形状とすることで、容易に斜入射用電波吸収体としての使用が可能となる。またあらかじめ扇形形状の型を準備し、その型内にシリコーンエマルジョンに導電性材料を分散させた材料を流し込んだ後、加熱硬化させて多孔質体を得ることも容易にできる。
【0034】
上記電波吸収体構造のうち、シート型については一般に単層構造の場合、電波吸収周波数帯域幅が狭くなる欠点がある。シート型電波吸収体を広帯域化する場合、電波吸収体を積層構造とし、各層の空隙率、導電率等に密度勾配を設けインピーダンス整合を図ることにより、単層構造より広帯域化することができる。本発明の電波吸収材料は、このような多層構造にした積層シート構造も容易に設計できるため、積層シート型電波吸収体(図4)とすることが可能である。
【0035】
また、上記積層シート構造の電波吸収体は、電波吸収材料中の電波の位相変化を利用し、目的とする周波数及び使用条件に応じて電波透過層又は空気層を適宜含ませることにより電波吸収体として機能させることも可能である。本発明の電波吸収体においても、積層シート構造中にこのような電波透過層又は空気層を含ませることが容易であり、電波透過層又は空気層を含む構造の電波吸収体(図5)とすることが可能である。
【0036】
本発明の電波吸収材料は、柔軟性及び加工性に優れるため、形状も自由に成形でき、また自由に加工、変形することも可能である。特に斜入射用電波吸収体として、電波吸収材料をピラミッド形状に成形した後、ピラミッド底面部を基台形状に合わせるように曲げ、取り付けるだけで容易にピラミッドの先端部(尖部)が扇形状に展開された電波吸収体構造(図6)とすることができ、コスト及び加工性に優れた斜入射用電波吸収体を得ることが可能である。
【0037】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0038】
実施例1
アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100質量部と、オルガノポリシロキサン組成物を硬化させる硬化剤(ハイドロジェンオルガノポリシロキサン)10質量部と、水300質量部と、界面活性剤(ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン)50質量部とを混合撹拌してオルガノポリシロキサン組成物を油層とする油中水滴型エマルジョンを得た。このシリコーンエマルジョンに導電性材料として、カーボンブラック/グラファイトの質量比が1/20である混合粒子70質量部を添加、分散した後、得られたエマルジョンをアルミニウムからなる反射層100を予め形成したシート形状の成形型に注入し、加熱処理により硬化、乾燥して、図1に示すシート型の多孔質シリコーン電波吸収体1を得た。電波吸収体を構成する電波吸収材料の密度は0.48 g/cm3であった。
【0039】
上記の方法により得られたシート型電波吸収体(b)は、厚さが7.5 mm、カーボン濃度が45質量%及び空隙率が66%であった。次に、同様にして電波吸収体の厚さ、カーボン濃度及び空隙率を(a)(厚さ14 mm、カーボン濃度61質量%及び空隙率66%)、(c)(厚さ3mm、カーボン濃度63質量%及び空隙率60%)、(d)(厚さ5mm、カーボン濃度63質量%及び空隙率66%)及び(e)(厚さ4 mm、カーボン濃度39質量%及び空隙率66%)にそれぞれ変更したシート型電波吸収体を作製した。得られたシート型電波吸収体(a)〜(e)の電波吸収量特性を図7に示す。図7中、「吸収量」とは電波吸収体があるときの反射量から電波吸収体のないときの反射量を差し引いた値をいう(以下同様である。)。
【0040】
実施例2
実施例1と同様にして導電性材料を添加、分散したシリコーンエマルジョンをピラミッド形状に作製した型内に流し込み、加熱処理により硬化、乾燥して、図3に示すピラミッド型の多孔質シリコーン電波吸収体を得た。電波吸収体を構成する電波吸収材料の密度は0.48 g/cm3であった。得られたピラミッド型電波吸収体の電波吸収量特性を図8に示す。
【0041】
実施例3
実施例1と同様にして、導電性材料(カーボンブラック/グラファイトの質量比が1/20である混合粒子)を含有量が25質量%となるようにシリコーンエマルジョンに添加、分散させた。得られたエマルジョンをシート形状の成形型に注入し、加熱処理により硬化、乾燥してシート型の電波吸収体11aを作製した。電波吸収体の空隙率はシリコーンエマルジョンの水とオルガノポリシロキサンの比率により調整した。同様の手順により導電性材料を39質量%及び63質量%含有する電波吸収体11b,11cをそれぞれ作製し、各電波吸収体を接着、積層して図4示す多層形電波吸収体を作製した。各層の厚さ及び空隙率は、電波吸収体11aが厚さ2mm及び空隙率66%、電波吸収体11bが厚さ3mm及び空隙率61%、及び電波吸収体11cが厚さ6mm及び空隙率60%であった。得られた多層形電波吸収体の電波吸収量特性を図9に示す。
【0042】
実施例4
実施例1と同様にして、導電性材料(カーボンブラック/グラファイトの質量比が1/20である混合粒子)を含有量が64質量%となるようにシリコーンエマルジョンに添加、分散させた。得られたエマルジョンをシート形状の成形型に注入し、加熱処理により硬化、乾燥してシート型の電波吸収体21aを作製した。電波吸収体の空隙率はシリコーンエマルジョンの水とオルガノポリシロキサンの比率により調整した。同様の手順により導電性材料を40質量%及び63質量%含有する電波吸収体21c,21dをそれぞれ作製した。各電波吸収体の厚さ及び空隙率は、電波吸収体21aが厚さ1mm及び空隙率66%、電波吸収体21cが厚さ4mm及び空隙率62%、及び電波吸収体21dが厚さ6mm及び空隙率60%であった。さらに厚さ10 mmの電波透過層21bを電波吸収体21aと21cとの間に挟み、各電波吸収体を接着、積層して図5に示す電波透過層を含む多層形電波吸収体を作製した。得られた多層形電波吸収体の電波吸収量特性を図10に示す。
【0043】
実施例5
実施例2と同様にして図3に示すピラミッド型の多孔質シリコーン電波吸収体を得た。図6に示すように得られたピラミッド型電波吸収体31の底面部31bを基台32の形状に合わせて曲げ、電波吸収体31の底面部31bを基台32に接着することにより隣接するピラミッド形状の電波導入部31aの先端が開いた扇状の電波吸収体を作製した。扇形電波吸収体の吸収量特性を図11に示す。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電波吸収材料及び電波吸収体は、耐熱性、難燃性、耐候性に優れ、機械的特性、特に柔軟性に優れた特性を有し、加工性能にも優れるため、良好な施工性と電波吸収性能を有する電波吸収材料及び電波吸収体を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるシート型電波吸収体を示す概略断面図である。
【図2】本発明の別の実施例によるウェッジ型電波吸収体を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は平面図である。
【図3】本発明のさらに別の実施例によるピラミッド型電波吸収体を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は平面図である。
【図4】本発明のさらに別の実施例による多層シート型電波吸収体を示す概略断面図である。
【図5】本発明のさらに別の実施例による多層シート型電波吸収体を示す概略断面図である。
【図6】本発明のさらに別の実施例による扇形電波吸収体を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は平面図である。
【図7】実施例1で作製した厚さ、カーボン濃度及び空隙率の異なるシート型電波吸収体における周波数に対する吸収量の変化を示すグラフである。
【図8】実施例2で作製したピラミッド型電波吸収体における周波数に対する吸収量の変化を示すグラフである。
【図9】実施例3で作製した多層形電波吸収体における周波数に対する吸収量の変化を示すグラフである。
【図10】実施例4で作製した多層形電波吸収体における周波数に対する吸収量の変化を示すグラフである。
【図11】実施例5で作製した扇形電波吸収体及びピラミッド型電波吸収体における周波数に対する吸収量の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1,11,21,31・・・電波吸収体
31a・・・電波導入部
31b・・・底面部
32・・・基台
100・・・反射層
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波、特にマイクロ波及びミリ波に対する電波吸収量特性、耐熱性、難燃性、機械的強度及び耐候性に優れた電波吸収材料及び電波吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の普及や通信技術の多様化により、電子機器が電磁妨害波を発生し他の電子機器に誤動作を与えたり、機器自身が妨害波を受け誤動作を引き起こすといった電磁波障害問題が多数発生している。このような電磁波問題が注目される中、電子機器からの電磁波漏洩や不要電磁波特性を測定するための電波暗室、及び不要電波の吸収を目的とした種々の電波吸収体が開発されており、現在も需要が増加している。
【0003】
近年、電波の周波数帯域がマイクロ波からミリ波帯域へと広がり、今後もマイクロ波及びミリ波帯の利用増加が予想される。例えば、ITS(高度道路交通システム)、携帯電話、無線LAN等が挙げられ、今後もこのシステムの発展により不要電波吸収を目的とした電波吸収体が望まれている。
【0004】
不要電磁波特性の測定を行う電波暗室においては、機器の評価項目の一つとして耐ノイズ性の評価(イミュニティ)試験が行われる。イミュニティ試験では、試験条件によって非常に大きな電力での電界放射試験が行われるため、事故による火災の危険性が考えられる。その安全対策の1つとして耐熱性及び難燃性を有する電波吸収体が電波暗室に必要とされている。
【0005】
従来、軟磁性金属粉末、導電性粉末等の材料をゴム又はプラスチックのマトリックス中に分散させて複合材料とし、この複合材料をシート、その他任意の形状に成形した電磁波吸収体が使用されてきた。一般にマトリックス材となるプラスチックとしては、成形性、加工性、コスト等の観点からポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン等が使用されているが、これらのプラスチックは、燃焼した際の発熱量が非常に大きいため耐熱性能に問題がある。その対策として、耐熱性及び難燃性に優れた塩素化ポリエチレン等の材料がマトリックス材として現在も使用されている。
【0006】
これに対し、近年地球環境問題が注目され、人体に有害なダイオキシンの発生による問題が取り上げられている。ダイオキシンの発生原因としては、塩素化ポリエチレン等のハロゲン化物を含む製品の焼却処理が挙げられる。ハロゲン含有物質は、このように焼却処理等により結果として人体及び地球環境に悪影響を与えるため、社会的に大きな問題となっている。
【0007】
現在、プラスチック等の耐燃焼性能を向上させるために、上記のように塩素化ポリエチレン等のハロゲン化物が電波吸収体等に広く使用されている。例えば、特許文献1には、混合粉体とゴム系樹脂(塩素化ポリエチレン)を混練しシート状に形成する方法が開示されており、特許文献2には、塩素化ポリエチレンゴムをマトリックス材とし、これに軟磁性金属の粉末を混合し電波吸収体として使用する例が開示されている。しかしながら、これらは耐熱性及び難燃性において充分な効果を発揮するものの、マトリックス材にハロゲンが含まれることによるダイオキシン発生の問題を無視することができない。
【0008】
マトリックス材として、発泡ウレタン等の軟質樹脂の多孔体を用い、これに炭素粉等の導電性材料を水中に分散させた分散液を含浸させ、乾燥して形成した電波吸収材料が提案されている。しかしながら、このような電波吸収材料は小さな衝撃によっても表面の導電性材料が剥離、脱落し、周囲を汚してしまうという問題がある。
【0009】
他方、発泡しながら硬化するウレタン、シリコーン等の軟質樹脂発泡体において、その発泡前の原液に予め導電性材料を加え、その後発泡、硬化させた場合、衝撃による導電性材料の剥離や脱落は防止できるが、発泡による体積の膨張に伴って導電性材料が樹脂内で散在してしまうため、必要な導電性が発生しないか、発生しても非常に小さく精度が悪いという問題が生じる。
【0010】
電波暗室内で伝搬される電波はそのほとんどが斜入射波である。従来のピラミッド型電波吸収体においては、垂直入射に対する電波吸収量特性は充分であっても、斜入射において充分な電波吸収量特性を発揮することは難しい。このため斜入射用電波吸収体がいくつか提案されている。例えば、特許文献3ではくさび部分又は四角錐部分を多層化することにより吸収体の高さ方向の誘電損失分布を変化させた斜入射用電波吸収体が開示されている。このような構造の場合、各層ごとに誘電損失の異なる材料を作る必要があり、コスト、加工性等に問題がある。
また、特許文献4には、三角柱形状の基台に同一の高さの四角錐形状(ピラミッド形状)の複数の電波導入部が基台と一体となるように固着した斜入射用電波吸収体が提案されている。しかし、この場合においても個々の電波吸収体形状ごとに加工、接着する必要があり、上記の場合と同様にコスト、加工性等に問題がある。
【0011】
電波吸収体が屋外で利用されるケースもある。このようなケースとしては、アンテナ基地でのレーダー偽造防止、TVのゴースト防止対策、テンペスト防止等が挙げられる。屋外でこれらの電波吸収体を使用する場合、電波吸収体に要求される項目としては、耐候性、機械的強度、施工性、重量等が挙げられる。設置される箇所の形状が複雑かつ様々であり、また屋外で使用されることから、上記要求を充分に満たし、様々な環境条件にも充分耐えられることが必要になる。これらの条件を満たす電波吸収体として現在までに様々な電波吸収体が提案されてきているが、アンテナのサイドローブのように複雑な形状を有する部分に使用する場合、吸収体としてはより柔軟で複雑な形状に加工できるものが必要である。
【0012】
【特許文献1】
特開2002−184617号公報
【特許文献2】
特開2001−028494号公報
【特許文献3】
特開平2−250398号公報
【特許文献4】
特開平8−274490号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、マイクロ波及びミリ波帯において優れた電波吸収性能を有し、耐熱性、難燃性、機械的特性及び耐候性に優れた電波吸収材料及び電波吸収体を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、電波吸収材料の基材としてシリコーンを利用することにより、従来のプラスチック等の耐熱性、難燃性、耐候性等の問題を解決するとともに、その基材に導電性材料を均等に分散させることにより、電波吸収材料としての機能を持たせることができること、機械的特性の向上と軽量化のためエマルジョン化されたシリコーンを使用し、このシリコーンエマルジョンに導電性材料を添加、分散後、任意形状で硬化、乾燥して多孔体を形成することにより、耐熱性、難燃性、耐候性及び機械的特性に優れ、かつ軽量な電波吸収材料が得られることを発見し、本発明に想到した。
【0015】
すなわち、本発明の電波吸収材料は、シリコーンエマルジョンに導電性材料を分散させた後、硬化させて得られる多孔質体であることを特徴とする。
【0016】
電波吸収材料の空隙率は30〜80%であるのが好ましい。空隙率をこの範囲に調整することにより電波吸収材料の機械的強度、導電率等を調節することができる。電波吸収材料が高い導電性を発揮するように、導電性材料はカーボン粒子及び/又はカーボン繊維を含有するのが好ましく、カーボン粒子はカーボンブラック、グラファイト又はカーボンブラックとグラファイトの混合粒子であるのが好ましい。混合粒子にすることにより高い導電性とともに導電性の精度を高めることができる。また、金属粒子、金属酸化物及び金属炭化物の少なくとも1種を含有する導電性材料を用いることできる。金属粒子はCu、Sn、Ni及びAgからなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましく、金属酸化物はTiO2、SnO2、ZnO2、NiO及びCuOからなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましく、金属炭化物はTiC及びSiCの少なくとも1種であるのが好ましい。
【0017】
シリコーンエマルジョンはオルガノポリシロキサンを油層とする油中水滴型エマルジョンであるのが好ましく、電波吸収体の形状は、シート型、ウェッジ型又はピラミッド型であるのが好ましい。電波吸収体の形状がシート型の場合、各層の空隙率及び/又は導電率が異なる積層シートとすることができる。さらに、前記積層シートに電波透過層又は空気層が含まれる構造とすることができる。本発明の好ましい実施例では、電波吸収体は複数のピラミッド形状の電波導入部が底面部を接して配列されており、底面部が基台の形状に合わせて曲げ固定され、隣接する電波導入部の先端が開いて扇状に形成されている。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の電波吸収材料は、機械的特性と軽量化の観点からマトリックス材料としてエマルジョン化されたシリコーンを使用する。シリコーンエマルジョンはオルガノポリシロキサンを油層とする油中水滴型エマルジョンであるのが好ましい。水中油滴型エマルジョンを使用すると得られる電波吸収材料の気孔が粗大になるか、多孔性が得られなくなる。オルガノポリシロキサンとしては、常温で液体又は固体であり、加熱処理や触媒、硬化剤等の添加により硬化するものを用いることができる。
【0019】
オルガノポリシロキサンは単一の種類であっても、それぞれ異なる有機基を有する2種類以上の組成物であってもよい。有機基としては置換又は無置換の一価の炭化水素基が挙げられ、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基等)、アリール基(フェニル基等)、アラルキル基(ベンジル基等)、アルカリル基(スチリル基、トリル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素、塩素、臭素等のハロゲンで置換された基(3−クロルプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等)等が挙げられる。
【0020】
シリコーンエマルジョンとしては、オルガノポリシロキサンが自己乳化したものや乳化のための界面活性剤(乳化剤)が添加されたものが使用できる。乳化剤としては、アニオン系界面活性剤(高級脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルホスホン類、ポリエチレングリコール硫酸エステル塩類等)、非イオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン類、脂肪酸モノグリセライド類、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン類、ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン類等)、及びカチオン系乳化剤(脂肪族アミン塩類、第4級アンモニウム塩類、アルキルピリジニウム塩類等)が挙げられる。また、オルガノポリシロキサンに触媒(ジブチル錫ジラウレート、チタン酸エステル、n−ヘキシルアミン、白金錯体類等の硬化触媒等)、硬化剤(コロイド状シリカ、アルカリ金属ケイ酸塩、加水分解性シロキサン等)、低粘度化のための有機溶剤(トルエン、キシレン等)等が添加されていてもよい。
【0021】
シリコーンエマルジョンの調製方法は公知の方法を用いてよい。例えば、オルガノポリシロキサンを乳化剤を用いてホモミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル等の乳化機で水中に乳化させた後、触媒、硬化剤等を添加して混合する方法等を用いることができる。
【0022】
シリコーンエマルジョンに導電性材料を均等に分散させ硬化させた後、内部に残存する水分を除去するため材料の乾燥工程が必要となる。乾燥工程は乾燥機による乾燥及び自然乾燥のいずれでもよく、いずれの場合も性能上特に問題はない。またシリコーンエマルジョン中の水とシリコーン(オルガノポリシロキサン)の比率を調整することにより、空隙率を自由に調整することが可能である。具体的にはオルガノポリシロキサン/水の質量比を70/30〜20/80に調整することにより空隙率を約30〜80%の範囲で制御することができる。電波吸収材料及び電波吸収体としては、材料の導電率のコントロールも重要な要素となる。導電率は導電性材料の添加量調節によってもコントロールできるが、空隙率の調節によってもコントロールできる。この場合、空隙率の調整範囲としては30%以下、又は80%以上でも調整可能であるが、材料の軽量化、コスト、機械的強度、加工性等を損なうおそれがある。このため、空隙率を30〜80%の範囲で調整することにより導電率をコントロールするのが好ましい。このように空隙率を機械的強度、及び電波吸収材料又は電波吸収体の目的に応じてコントロールすることにより理想的な電波吸収材料及び電波吸収体を得ることが可能となる。
【0023】
電波吸収材料に用いる好ましい導電性材料としては、一般的なカーボン粒子、カーボン繊維等が挙げられるが、カーボン繊維の場合、材料自身の曲げ、切断等の問題が発生することがある。材料として形状の自由度を必要としない場合には、繊維状の導電性材料を用いても曲げ等の問題は発生しないが、それ以外の場合ではカーボン粒子を用いるか、カーボン粒子とカーボン繊維を併用するのがより好ましい。これにより材料としての機械的特性も充分に満たされる。
【0024】
カーボン粒子としては、カーボンブラック、グラファイト及びこれらの混合粒子が好ましい。カーボンブラックの種類としてはアセチレンブラック、ファーネスブラック等が挙げられる。中でもBET比表面積が700〜1500 m2/gのカーボンブラックは少量の添加でも高い導電性を付与できるため好ましい。このようなカーボンブラックの例としては、ケッチェンブラックEC(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製)、ブラックパール2000(キャボット社製)、#3950(三菱化学(株)製)等が挙げられる。導電性繊維(カーボン繊維)は特に限定されないが、繊維の長さは0.5〜350 mmの範囲が好ましい。また繊維の太さ(直径)は電気抵抗を低くするため0.005〜1mmの範囲が好ましい。
【0025】
グラファイトの種類としては天然黒鉛、人造黒鉛等が挙げられるが、本発明では人造黒鉛を用いるのが好ましい。人造黒鉛は粒子径が0.1〜500μmであるが、中でも粒子径が1〜50μmの人造黒鉛はシリコーンエマルジョンへの添加及び分散が容易であるので好ましい。
【0026】
導電性材料として種々のカーボン粒子が挙げられるが、これらのカーボン粒子については、例えばカーボンブラック及びグラファイトをそれぞれ単独で用いるよりも両者を組み合わせて用いる方がより高い導電性を高精度で得ることができる。中でもケッチェンブラックと人造黒鉛の混合粒子において、混合粒子100質量%に対し、ケッチェンブラック:人造黒鉛 = 1〜30質量%:99〜70質量%の配合比率で混合される粉末を用いるのが材料の導電率及びその精度を高める上でより好ましい。
【0027】
導電性材料としては、金属粒子、金属酸化物及び金属炭化物をそれぞれ単独又は2種以上で使用することもできる。金属粒子としては、Cu、Sn、Ni、Ag等が挙げられ、金属酸化物としては、TiO2、SnO2、ZnO2、NiO、CuO等が挙げられ、金属炭化物としては、TiC、SiC等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。導電性材料としてカーボン粒子等のカーボン系の材料を用いる場合、カーボン系材料が黒色系であることにより電波吸収材料も黒色系の色調を有する。目的とする電波吸収材料が黒色系以外の場合、上記の金属粒子、金属酸化物、金属炭化物等を使用することによっても充分な性能が得られるため、カーボン粒子に代わる導電性材料としてこのような金属粒子、金属酸化物、金属炭化物等を使用する電波吸収材料を用いることも可能である。
【0028】
導電性材料の添加量は、使用する導電性材料の種類によって適宜変更してよいが、カーボンブラック/グラファイトの質量比が1/10の導電性材料の場合、通常オルガノポリシロキサン100質量部に対し20〜200質量部添加するのが好ましく、50〜100質量部添加するのがより好ましい。20質量部未満では導電性が不足し、200質量部を超えると柔軟性が不足する。
【0029】
本発明の電波吸収材料の特徴の一つとして柔軟性及び加工性の良さが挙げられる。従って、硬化させる工程において予め任意形状に成形することが容易である。一般に電波吸収体の形状としては、平板型、ウェッジ型、ピラミッド型等が挙げられるが、いずれも容易に製造することができる。本発明では、複雑な形状を有する電波吸収体であっても容易に製造することができるが、電波吸収体として機能を発揮するための基本的な形状である、シート型(図1)、ウェッジ型(図2)及びピラミッド型(図3)の電波吸収体が好ましい。
【0030】
図1は、上記のシリコーンエマルジョンに導電性材料を添加、分散後、硬化させて得られるシート型の多孔質電波吸収体の一例を示す。このシート型電波吸収体の厚さ、カーボン濃度及び空隙率を変更することにより、任意の周波数の不要電波を吸収することが可能となる。本発明の電波吸収材料は、シリコーンエマルジョン中の水とシリコーンの比率を調整することが容易であるため、シート型電波吸収体のように特定の不要電波吸収を必要とする場合においても容易に製造することができる。
【0031】
図2はウェッジ型の多孔質電波吸収体の一例を示し、図3はピラミッド型の多孔質電波吸収体の一例を示す。ウェッジ型及びピラミッド型電波吸収体の高さ、底辺の長さ、カーボン濃度及び空隙率を変更することにより、任意の周波数の不要電波を吸収することが可能となる。上記のシート型電波吸収体と同様に、シリコーンエマルジョン中の水とシリコーンの比率を適宜調整し、任意形状の型内に材料を流し込むことにより、このようなウェッジ型又はピラミッド型電波吸収体も容易に製造することができる。
【0032】
図4は多層形の多孔質電波吸収体の一例を示し、図5は多層形電波吸収体に電波透過層を含んだ電波吸収体の一例を示す。多層形電波吸収体の厚さ、カーボン濃度及び空隙率を変更することにより、任意の周波数の不要電波を吸収することが可能となる。上記のシート型電波吸収体と同様に、シリコーンエマルジョン中の水とシリコーンの比率を適宜調整し、組成の異なるシリコーンエマルジョンを順次積層することにより、このような多層形電波吸収体も容易に製造することができる。
【0033】
図6はピラミッド型電波吸収体を扇形にすることにより、斜入射用電波吸収体として用いた例を示す。上記のシリコーンエマルジョンに導電性材料を添加、分散させた後、加熱硬化させて得られる多孔質体を、機械的強度及び柔軟性を活かし、図6に示すような扇形状とすることで、容易に斜入射用電波吸収体としての使用が可能となる。またあらかじめ扇形形状の型を準備し、その型内にシリコーンエマルジョンに導電性材料を分散させた材料を流し込んだ後、加熱硬化させて多孔質体を得ることも容易にできる。
【0034】
上記電波吸収体構造のうち、シート型については一般に単層構造の場合、電波吸収周波数帯域幅が狭くなる欠点がある。シート型電波吸収体を広帯域化する場合、電波吸収体を積層構造とし、各層の空隙率、導電率等に密度勾配を設けインピーダンス整合を図ることにより、単層構造より広帯域化することができる。本発明の電波吸収材料は、このような多層構造にした積層シート構造も容易に設計できるため、積層シート型電波吸収体(図4)とすることが可能である。
【0035】
また、上記積層シート構造の電波吸収体は、電波吸収材料中の電波の位相変化を利用し、目的とする周波数及び使用条件に応じて電波透過層又は空気層を適宜含ませることにより電波吸収体として機能させることも可能である。本発明の電波吸収体においても、積層シート構造中にこのような電波透過層又は空気層を含ませることが容易であり、電波透過層又は空気層を含む構造の電波吸収体(図5)とすることが可能である。
【0036】
本発明の電波吸収材料は、柔軟性及び加工性に優れるため、形状も自由に成形でき、また自由に加工、変形することも可能である。特に斜入射用電波吸収体として、電波吸収材料をピラミッド形状に成形した後、ピラミッド底面部を基台形状に合わせるように曲げ、取り付けるだけで容易にピラミッドの先端部(尖部)が扇形状に展開された電波吸収体構造(図6)とすることができ、コスト及び加工性に優れた斜入射用電波吸収体を得ることが可能である。
【0037】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0038】
実施例1
アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100質量部と、オルガノポリシロキサン組成物を硬化させる硬化剤(ハイドロジェンオルガノポリシロキサン)10質量部と、水300質量部と、界面活性剤(ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン)50質量部とを混合撹拌してオルガノポリシロキサン組成物を油層とする油中水滴型エマルジョンを得た。このシリコーンエマルジョンに導電性材料として、カーボンブラック/グラファイトの質量比が1/20である混合粒子70質量部を添加、分散した後、得られたエマルジョンをアルミニウムからなる反射層100を予め形成したシート形状の成形型に注入し、加熱処理により硬化、乾燥して、図1に示すシート型の多孔質シリコーン電波吸収体1を得た。電波吸収体を構成する電波吸収材料の密度は0.48 g/cm3であった。
【0039】
上記の方法により得られたシート型電波吸収体(b)は、厚さが7.5 mm、カーボン濃度が45質量%及び空隙率が66%であった。次に、同様にして電波吸収体の厚さ、カーボン濃度及び空隙率を(a)(厚さ14 mm、カーボン濃度61質量%及び空隙率66%)、(c)(厚さ3mm、カーボン濃度63質量%及び空隙率60%)、(d)(厚さ5mm、カーボン濃度63質量%及び空隙率66%)及び(e)(厚さ4 mm、カーボン濃度39質量%及び空隙率66%)にそれぞれ変更したシート型電波吸収体を作製した。得られたシート型電波吸収体(a)〜(e)の電波吸収量特性を図7に示す。図7中、「吸収量」とは電波吸収体があるときの反射量から電波吸収体のないときの反射量を差し引いた値をいう(以下同様である。)。
【0040】
実施例2
実施例1と同様にして導電性材料を添加、分散したシリコーンエマルジョンをピラミッド形状に作製した型内に流し込み、加熱処理により硬化、乾燥して、図3に示すピラミッド型の多孔質シリコーン電波吸収体を得た。電波吸収体を構成する電波吸収材料の密度は0.48 g/cm3であった。得られたピラミッド型電波吸収体の電波吸収量特性を図8に示す。
【0041】
実施例3
実施例1と同様にして、導電性材料(カーボンブラック/グラファイトの質量比が1/20である混合粒子)を含有量が25質量%となるようにシリコーンエマルジョンに添加、分散させた。得られたエマルジョンをシート形状の成形型に注入し、加熱処理により硬化、乾燥してシート型の電波吸収体11aを作製した。電波吸収体の空隙率はシリコーンエマルジョンの水とオルガノポリシロキサンの比率により調整した。同様の手順により導電性材料を39質量%及び63質量%含有する電波吸収体11b,11cをそれぞれ作製し、各電波吸収体を接着、積層して図4示す多層形電波吸収体を作製した。各層の厚さ及び空隙率は、電波吸収体11aが厚さ2mm及び空隙率66%、電波吸収体11bが厚さ3mm及び空隙率61%、及び電波吸収体11cが厚さ6mm及び空隙率60%であった。得られた多層形電波吸収体の電波吸収量特性を図9に示す。
【0042】
実施例4
実施例1と同様にして、導電性材料(カーボンブラック/グラファイトの質量比が1/20である混合粒子)を含有量が64質量%となるようにシリコーンエマルジョンに添加、分散させた。得られたエマルジョンをシート形状の成形型に注入し、加熱処理により硬化、乾燥してシート型の電波吸収体21aを作製した。電波吸収体の空隙率はシリコーンエマルジョンの水とオルガノポリシロキサンの比率により調整した。同様の手順により導電性材料を40質量%及び63質量%含有する電波吸収体21c,21dをそれぞれ作製した。各電波吸収体の厚さ及び空隙率は、電波吸収体21aが厚さ1mm及び空隙率66%、電波吸収体21cが厚さ4mm及び空隙率62%、及び電波吸収体21dが厚さ6mm及び空隙率60%であった。さらに厚さ10 mmの電波透過層21bを電波吸収体21aと21cとの間に挟み、各電波吸収体を接着、積層して図5に示す電波透過層を含む多層形電波吸収体を作製した。得られた多層形電波吸収体の電波吸収量特性を図10に示す。
【0043】
実施例5
実施例2と同様にして図3に示すピラミッド型の多孔質シリコーン電波吸収体を得た。図6に示すように得られたピラミッド型電波吸収体31の底面部31bを基台32の形状に合わせて曲げ、電波吸収体31の底面部31bを基台32に接着することにより隣接するピラミッド形状の電波導入部31aの先端が開いた扇状の電波吸収体を作製した。扇形電波吸収体の吸収量特性を図11に示す。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電波吸収材料及び電波吸収体は、耐熱性、難燃性、耐候性に優れ、機械的特性、特に柔軟性に優れた特性を有し、加工性能にも優れるため、良好な施工性と電波吸収性能を有する電波吸収材料及び電波吸収体を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるシート型電波吸収体を示す概略断面図である。
【図2】本発明の別の実施例によるウェッジ型電波吸収体を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は平面図である。
【図3】本発明のさらに別の実施例によるピラミッド型電波吸収体を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は平面図である。
【図4】本発明のさらに別の実施例による多層シート型電波吸収体を示す概略断面図である。
【図5】本発明のさらに別の実施例による多層シート型電波吸収体を示す概略断面図である。
【図6】本発明のさらに別の実施例による扇形電波吸収体を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は平面図である。
【図7】実施例1で作製した厚さ、カーボン濃度及び空隙率の異なるシート型電波吸収体における周波数に対する吸収量の変化を示すグラフである。
【図8】実施例2で作製したピラミッド型電波吸収体における周波数に対する吸収量の変化を示すグラフである。
【図9】実施例3で作製した多層形電波吸収体における周波数に対する吸収量の変化を示すグラフである。
【図10】実施例4で作製した多層形電波吸収体における周波数に対する吸収量の変化を示すグラフである。
【図11】実施例5で作製した扇形電波吸収体及びピラミッド型電波吸収体における周波数に対する吸収量の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1,11,21,31・・・電波吸収体
31a・・・電波導入部
31b・・・底面部
32・・・基台
100・・・反射層
Claims (11)
- シリコーンエマルジョンに導電性材料を分散させた後、硬化させて得られる多孔質体であることを特徴とする電波吸収材料。
- 請求項1に記載の電波吸収材料において、空隙率が30〜80%であることを特徴とする電波吸収材料。
- 請求項1又は2に記載の電波吸収材料において、前記導電性材料はカーボン粒子及び/又はカーボン繊維を含有することを特徴とする電波吸収材料。
- 請求項3に記載の電波吸収材料において、前記カーボン粒子はカーボンブラック及び/又はグラファイトであることを特徴とする電波吸収材料。
- 請求項1又は2に記載の電波吸収材料において、前記導電性材料は金属粒子、金属酸化物及び金属炭化物の少なくとも1種を含有することを特徴とする電波吸収材料。
- 請求項5に記載の電波吸収材料において、前記金属粒子はCu、Sn、Ni及びAgからなる群から選ばれた少なくとも1種であり、前記金属酸化物はTiO2、SnO2、ZnO2、NiO及びCuOからなる群から選ばれた少なくとも1種であり、金属炭化物はTiC及びSiCの少なくとも1種であることを特徴とする電波吸収材料。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の電波吸収材料において、前記シリコーンエマルジョンはオルガノポリシロキサンを油層とする油中水滴型エマルジョンであることを特徴とする電波吸収材料。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電波吸収材料を含む電波吸収体であって、形状がシート型、ウェッジ型又はピラミッド型であることを特徴とする電波吸収体。
- 請求項8に記載の電波吸収体において、前記シート型電波吸収体は、各層の空隙率及び/又は導電率が異なる積層シートであることを特徴とする電波吸収体。
- 請求項9に記載の電波吸収体において、前記積層シートに電波透過層又は空気層が含まれることを特徴とする電波吸収体。
- 請求項8に記載の電波吸収体において、前記ピラミッド型電波吸収体は、複数のピラミッド形状の電波導入部が底面部を接して配列されており、前記底面部が基台の形状に合わせて曲げ固定され、隣接する前記電波導入部の先端が開いて扇状に形成されていることを特徴とする電波吸収体。
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