JP2004172020A - アルカリ一次電池 - Google Patents

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Mitsuhiro Nakamura
光宏 中村
Yoshiro Harada
吉郎 原田
Kiyohide Tsutsui
清英 筒井
Shinichi Ueki
伸一 植木
Hiroto Sagisaka
博人 鷺坂
Takeshi Miyazaki
武志 宮崎
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Abstract

【課題】正極活物質にオキシ水酸化ニッケルを用いるとともに、その正極活物質を含む正極合剤を所定形状に成形固化して用いるアルカリ一次電池において、自己放電による容量減少を抑えることにより、一次電池としての機能を長期間安定に維持させ、高負荷放電特性にすぐれた一次電池を供給することにある。
【解決手段】正極合剤13にカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を含有させることにより、または、ポリエチレンを上記正極合剤13に含有させることにより、保存中の自己放電を抑制させる。または、負極合剤15に粒度が50〜75μmの亜鉛を3〜10重量%含有させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は正極活物質としてオキシ水酸化ニッケルを用いたアルカリ一次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルカメラや情報通信端末などの携帯型電池利用機器の高性能化に伴い、その電源として用いられているアルカリ一次電池に対しても、重負荷放電特性や放電容量等の性能をさらに向上させることが望まれている。このような要求に応える一次電池としては、正極活物質にオキシ水酸化ニッケルを用いたアルカリ一次電池が古くから検討されている(特開昭53−32347、特開昭55−30133)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、正極活物質にオキシ水酸化ニッケルを用いた電池は、重負荷放電特性等の性能はすぐれているものの、高温下で長時間放置あるいは保存したときに、自己放電による容量の減少割合が大きいという問題があった。再充電を行わないことを前提とする一次電池の場合、自己放電による容量減少は、電池としての機能の消失を意味する。したがって、一次電池として実用に供するためには、自己放電による容量減少を抑えることが不可欠である。
【0004】
従来においても、高温下で長時間放置した場合の自己放電による電池性能の劣化については、オキシ水酸化ニッケルにコバルトと亜鉛を同時に添加して含有させることにより改善されることが確認されているが、この改善は、一次電池として要求される機能を考えた場合、十分とは言えなかった。また、自己放電を抑制する手段を行うと、高負荷放電特性が低下してしまった。再充電を前提としない一次電池では自己放電による特性劣化をさらに少なくする必要がある(以上までの参照文献:特開2000−294233、2000−149955、特開平10−340719、特開平10−144303)。
【0005】
この発明は以上のような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、正極活物質にオキシ水酸化ニッケルを用いるとともに、その正極活物質を含む正極合剤を所定形状に成形固化して用いるアルカリ一次電池において、自己放電による容量減少を抑えることにより、一次電池としての機能を長期間安定に維持させ、高負荷放電特性に優れた一次電池を供給することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の手段は、正極活物質にオキシ水酸化ニッケルを用いるとともに、その正極活物質を含む正極合剤を所定形状に成形固化して用いるアルカリ一次電池において、上記正極合剤にカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を含有させることにより自己放電を抑制させるようにしたことを特徴とする。この場合、正極活物質は、オキシ水酸化ニッケルと二酸化マンガンの混合体であってもよい。また、オキシ水酸化ニッケルにコバルトと亜鉛を含有させることで、自己放電を効果的に改善することができる。CMCの含有率は自己放電の抑制効果と重負荷放電特性等の性能との兼ね合いで適宜選択することができる。
【0007】
本発明の第2の手段は、正極活物質にオキシ水酸化ニッケルを用いるとともに、その正極活物質を含む正極合剤を所定形状に成形固化して用いるアルカリ一次電池において、ポリエチレンを含有させることにより自己放電を抑制させるようにしたことを特徴とする。この場合、ポリエチレンの含有量は、0.2〜0.8重量%がとくに有効である。正極活物質は、オキシ水酸化ニッケルと二酸化マンガンの混合体であってもよい。また、オキシ水酸化ニッケルにコバルトと亜鉛を含有させることで、自己放電を効果的に改善することができる。
【0008】
本発明の第3の手段は、正極活物質にオキシ水酸化ニッケルを用いるとともに、その正極活物質を含む正極合剤を所定形状に成形固化して用いるアルカリ一次電池において、オキシ水酸化ニッケルがコバルトと亜鉛を含むとともに、負極に粒度が50〜75μmの亜鉛を3〜10重量%含むことにより、高負荷放電特性を改善することを特徴とする。この場合も、正極活物質は、オキシ水酸化ニッケルと二酸化マンガンの混合体であってもよい。
【0009】
また、オキシ水酸化ニッケルにコバルトと亜鉛を含有させることで、自己放電を効果的に改善することができ、正極合剤に少なくともカルボキシメチルセルロースナトリウムまたはポリエチレンを含有させることにより、さらに自己放電を効果的に改善することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
まず、図1は本発明の技術が適用されたアルカリ一次電池の構造を示す。同図に示すアルカリ一次電池10は、LR20(単1)あるいはLR6(単3)といった標準外形のアルカリ乾電池であって、有底円筒状の金属製正極缶11内に、正極合剤13、セパレータ14、負極合剤15が装填されるとともに、その正極缶11の開口部が、電気絶縁性の封口ガスケット31と負極端子21により閉塞および封口されている。
【0011】
正極缶11は、ニッケルメッキ鋼板をプレス加工等により有底円筒状に加工した金属缶であって、正極端子を兼ねる。この正極缶11の底部には凸状の正極端子部12が一体形成されている。この正極端子部12を除く正極缶11の外周囲は、ラベル印刷を施した化粧外装材19で被覆・包装される。
【0012】
正極合剤13は、正極活物質としてオキシ水酸化ニッケルまたはオキシ水酸化ニッケルと二酸化マンガンを含む合剤をコア状に成形固化したものであって、上記正極缶11内に圧入状態で装填されている。この正極合剤13の内側にセパレータ14が配置されている。セパレータ14には高濃度の水酸化カリウム溶液(KOH水溶液)からなるアルカリ電解液が含浸されている。このセパレータ14の内側にゲル状亜鉛を主剤とする負極合剤15が充填されている。そして、この負極合剤15中に棒状の負極集電子22が挿入されている。
【0013】
負極集電子22は、その上端部が負極端子21の内側面にスポット溶接により固定されている。負極端子21は平坦な端子面と環状鍔部を有する皿状の金属製であって、その内側に上記封口ガスケット31が組み付けられて上記正極缶11の封口体20を形成している。封口ガスケット31は、電気絶縁性かつ耐アルカリ性で適度の応力弾性を呈する材質たとえばポリアミド樹脂を金型で一体成形したものが使用される。
【0014】
上述した構造のアルカリ一次電池10において、本発明では、次の手段により、正極合剤13の自己放電を抑制して一次電池の機能を長期にわたって安定に保持させることができる。
【0015】
すなわち、第1の手段では、上記正極合剤13にカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を含有させる。含有させたCMCは、正極合剤13の自己放電を抑制する添加剤として作用し、上記アルカリ一次電池10の機能を長期にわたって保存させる効果が得られる。正極活物質は、オキシ水酸化ニッケルまたはオキシ水酸化ニッケルと二酸化マンガンの混合体を好適に使用できる。また、オキシ水酸化ニッケルにコバルトと亜鉛を含有させることで、自己放電を効果的に改善できることも判明した。CMCの含有率は自己放電の抑制効果と重負荷放電特性等の電池性能との兼ね合いで適宜選択することができる。つまり、CMCの添加量により、一次電池10の放電特性と保存特性を任意の最適状態に設計することができる。
【0016】
第2の手段では、上記正極合剤13にポリエチレンを含有させる。含有させたポリエチレンは自己放電を抑制する添加剤として作用し、上記アルカリ一次電池10の機能を長期にわたって保存させる効果が得られる。この場合、ポリエチレンの含有率は、0.2〜0.8重量%がとくに有効であることが、本発明者によって知得された。正極活物質は、オキシ水酸化ニッケルまたはオキシ水酸化ニッケルと二酸化マンガンの混合体を好適に使用できる。また、オキシ水酸化ニッケルにコバルトと亜鉛を含有させることで、自己放電を効果的に改善できることも判明した。
【0017】
第3の手段では、正極活物質であるオキシ水酸化ニッケルにコバルトと亜鉛を含ませるとともに、負極に粒度が50〜75μmの亜鉛を3〜10重量%含ませる。これにより、高負荷放電特性を損なうことなく、自己放電による一次電池の機能低下を効果的に抑制できることが判明した。この場合も、正極活物質は、オキシ水酸化ニッケルまたはオキシ水酸化ニッケルと二酸化マンガンの混合体を好適に使用できる。
次に、上述した本発明の具体的な実施例を示す。
【0018】
(実施例1)
実施例1では、図1に示した構造のアルカリ一次電池10において、正極合剤を次のように作製した。
コバルトと亜鉛が5mol%ずつ含有しているオキシ水酸化ニッケル100重量%と、CMC0.2重量%と、黒鉛粉末10重量%と、40%濃度の水酸化カリウム水溶液5重量%を混合する。この混合物を加圧成形して中空筒状の成形コアを作製し、これを上記正極合剤13として用いた。
【0019】
また、負極合剤を次のように作製した。
負極活物質としての亜鉛粉末60重量%と、酸化亜鉛を飽和状態で含む40%濃度の水酸化カリウム水溶液40重量%との混合体に、アクリル酸樹脂を1重量%加えてゲル状の亜鉛を作製し、これを上記負極合剤15として用いた。
【0020】
上記正極合剤13と上記負極合剤15を、正極理論量:負極理論量が1:1.1となるような量で上記一次電池10を作製した。
【0021】
(比較例1)
比較例1の電池は、CMCが無添加であることを除けば、実施例1の電池と同様に構成した。
実施例1と比較例1の各電池をそれぞれ20本ずつ試作し、そのうち各10本は1Wの定電力放電により起電力が0.9V(終始電圧)になるまで放電させて、各電池の放電持続時間の平均値を算出し、これを初期放電持続時間とした。
残りの各10本は、60℃の温度下に20日間保存した後、1Wの定電力放電により起電力が0.9Vになるまで放電させて、各電池の放電持続時間の平均値を算出し、これを保存後放電持続時間とした。
【0022】
そして、上記試作電池の保存による特性劣化を示す値として、容量維持率なる値を次の式(1)で定義して評価を行った。
容量維持率=(保存後放電持続時間×100)/初期放電持続時間・・・(1)
次の表1は、CMCを添加しない場合の容量維持率を100として、上記実施例1と比較例1の各電池における相対的な容量維持率を示す。
【0023】
【表1】
Figure 2004172020
上記表1からもあきらかなように、実施例1の電池は、正極合剤13にCMCを添加したことにより、自己放電が抑制されて、良好な容量維持率を実現している。
【0024】
(実施例2,3,4)
実施例2,3,4では、図1に示した構造のアルカリ一次電池10において、正極合剤を次のように作製した。
コバルトと亜鉛が5mol%ずつ含有しているオキシ水酸化ニッケル100重量%と、ポリエチレン0.2重量%と、黒鉛粉末10重量%と、40%濃度の水酸化カリウム水溶液5重量%を混合する。この混合物を加圧成形して中空筒状の成形コアを作製し、これを上記正極合剤として用いた。正極合剤以外は、実施例1の電池と同様に作製した。
また、ポリエチレンの含有量を0.5重量%としたときを実施例3とし、同じく0.8重量%としたときを実施例4とした。
【0025】
(比較例2,3)
ポリエチレンの含有量を0.1重量%としたときを比較例2とし、同じく0.9%としたときを比較例3として、それぞれ電池を作製した。
実施例2,3,4と比較例2,3でそれぞれ20本の単3型電池を試作し、そのうちの各10本は1W定電力放電(保存前放電試験)を行い、残りの各10本は60℃の温度下に20日間保存した後、1W定電力放電(保存後放電試験)を行った。ここで、終始電圧を0.9Vとした場合の容量維持率をそれぞれ、比較例1の容量維持率を100とする相対値で評価したところ、次の表2のようになった。
【0026】
【表2】
Figure 2004172020
上記表2からもあきらかなように、実施例2,3,4の電池は正極合剤13にポリエチレンを添加したことにより、自己放電が抑制されて良好な容量維持率を実現している。とくに、ポリエチレン添加量が0.2%〜0.8%の範囲で有効であることがわかる。
【0027】
(実施例5)
実施例5では、図1に示した構造のアルカリ一次電池10において、正極合剤を次のように作製した。
二酸化マンガン45重量%と、コバルトと亜鉛を含むオキシ水酸化ニッケル45重量%と、導電剤としてグラファイト5重量%と、バインダーとしてポリエチレン0.2重量%と、40%濃度の水酸化カリウム水溶液4.8重量%を混合する。この混合物を加圧成形して中空筒状の成形コアを作製し、これを上記正極合剤13として用い、実施例5の一次電池を作製した。
【0028】
(比較例4)
比較例4として、ポリエチレンを添加しないで、他は実施例5と同様の一次電池を作製した。
実施例5と比較例4でそれぞれ20本の単3型電池を試作し、そのうちの各10本は1W定電力放電(保存前放電試験)を行い、残りの各10本は60℃の温度下に20日間保存した後、1W定電力放電(保存後放電試験)を行った。放電試験はいずれも終始電圧0.9Vで行った。そして、上記試作電池の特性劣化を示す値として前述した容量維持率で評価を行うと、次の表3のようになった。表3は、ポリエチレンを添加しない場合の容量維持率を100として、上記実施例5と比較例4の各電池における相対的な容量維持率を示す。
【0029】
【表3】
Figure 2004172020
上記表3からもあきらかなように、実施例5の電池は正極合剤13にポリエチレンを添加したことにより、自己放電が抑制されて良好な容量維持率を実現している。
【0030】
上述のように、本発明では、ポリエチレンをバインダーとして用いることにより、高温保存または長期保存による放電性能の劣化を小さく抑えることができるが、そのポリエチレン・バインダーの量は、本発明者が知得したところによれば、0.2〜0.8重量%の範囲が望ましいことが判明した。すなわち、0.2重量%未満では自己放電抑制の効果が小さく、反対に、0.8重量%を超えると、ポリエチレンが撥水性であるために、正極への電解液の吸収速度が遅くなったり、吸液量が少なくなってしまうことが判明した。したがって、バインダーとしてのポリエチレンの使用量は、必ずしも限定はされないが、上記範囲(0.2〜0.8重量%)がとくに望ましい。
【0031】
(実施例6,7)
実施例6,7では、図1に示した構造のアルカリ一次電池10において、負極に粒度が50〜75μmの亜鉛粉を3〜10重量%含ませる。
【0032】
まず、実施例6,7と比較例5〜7の共通構成として、正極合剤を次のように構成した。コバルトと亜鉛が5mol%ずつ含有しているオキシ水酸化ニッケル100重量%と、ポリエチレン0.2重量%と、黒鉛粉末10重量%と、40%濃度の水酸化カリウム水溶液5重量%を混合する。この混合物を加圧成形して中空円筒状の成形コアを作製した。
【0033】
これを上記正極合剤13として正極缶11内に嵌合させた後、セパレータ14を装填し、電解液を入れ、ゲル状亜鉛からなる負極合剤15を注入した。この後、集電子22が溶接された負極端子21を封口ガスケット31と共に上記正極缶11の開口部内側に嵌合させて、その正極缶11の開口部を内側にかしめ加工することにより、その正極缶11の封口を行った。このようにして実施例6,7および比較例5〜7のアルカリ一次電池を作製した。
【0034】
ここで、上記負極合剤15に粒度が50〜75μmの亜鉛粉を3重量%含有させて実施例6の電池を、同じく10重量%含有させて実施例7の電池を、それぞれ20本ずつ試作した。
【0035】
(比較例5〜7)
上記負極合剤15に上記粒度(50〜75μm)の亜鉛粉を含有させない比較例5の電池を20本試作した。また、上記負極合剤15に上記粒度(50〜75μm)の亜鉛粉を2重量%含有させて比較例6の電池を、同じく11重量%含有させて比較例7の電池を、それぞれ20本ずつ試作した。
【0036】
実施例6,7と比較例5〜7の各電池についてそれぞれ、20本中の10本は終始電圧0.9Vで1W定電力放電を行い、残りの10本は90℃の温度下に10日間保存した後、漏液発生の有無を調べた。1W定電力放電は重負荷放電性能をテストするためであり、このテストにより、比較例5の放電性能を100として各電池の放電性能を相対評価した。
【0037】
次の表4は、実施例6,7と比較例5〜7の放電性能と漏液発生数をそれぞれ示す。表4において、「特定亜鉛粉含有量」は粒度が50〜75μmの亜鉛粉の含有量(重量%)を示す。
【0038】
【表4】
Figure 2004172020
【0039】
上記表4からもあきらかなように、実施例6,7の電池は、高負荷での放電性能が向上させられていると同時に、高温保存下での耐漏液性能も確保されている。これは、実施例6,7の電池が共に、負極に粒度が50〜75μmの亜鉛粉を3〜10重量%の範囲で含有していることによる。その含有量は、3重量%未満だと、放電性能の向上効果が十分に得られなくなる。反対に、10重量%を超えると、放電性能は高くなるが、亜鉛粉から発生するガスの量が増えて、高温保存中に漏液が発生しやすくなる。したがって、上記亜鉛粉(特定亜鉛粉)の含有量は、3〜10重量%が望ましい。
【0040】
(実施例8,9)
実施例8,9では、実施例6,7と同様、図1に示した構造のアルカリ一次電池10において、負極に粒度が50〜75μmの亜鉛粉を3〜10重量%含ませる。正極合剤は実施例と比較例とで共通であり、次のように作製した。
【0041】
二酸化マンガン45重量%と、コバルトと亜鉛を含むオキシ水酸化ニッケル45重量%と、導電剤としてグラファイト5重量%と、バインダーとしてポリエチレン0.2重量%と、40%濃度の水酸化カリウム水溶液4.8重量%を混合する。この混合物を加圧成形して中空筒状の成形コアを作製し、これを上記正極合剤13として用いた。
【0042】
ここで、上記負極合剤15に粒度が50〜75μmの亜鉛粉を3重量%含有させて実施例8の電池を、同じく10重量%含有させて実施例9の電池を、それぞれ20本ずつ試作した。
【0043】
(比較例8〜10)
上記負極合剤15に上記粒度(50〜75μm)の亜鉛粉を含有させない比較例8の電池を20本試作した。また、上記負極合剤15に上記粒度(50〜75μm)の亜鉛粉を2重量%含有させて比較例9の電池を、同じく11重量%含有させて比較例10の電池を、それぞれ20本ずつ試作した。
【0044】
実施例8,9と比較例8〜10の各電池についてそれぞれ、20本中の10本は終始電圧0.9Vで1W定電力放電を行い、残りの10本は90℃の温度下に10日間保存した後、漏液発生の有無を調べた。1W定電力放電は重負荷放電特性をテストするためであり、そのテストにより、比較例8の放電性能を100として各電池の放電性能を相対評価した。
【0045】
次の表5は、実施例8,9と比較例8〜10の放電性能と漏液発生数をそれぞれ示す。表5において、「特定亜鉛粉含有量」は粒度が50〜75μmの亜鉛粉の含有量(重量%)を示す。
【0046】
【表5】
Figure 2004172020
上記表5からあきらかなように、実施例8,9の電池も、高負荷での放電性能が向上させられていると同時に、高温保存下での耐漏液性能も確保されている。これにより、放電性能と信頼性が共に高いアルカリ一次電池を得ることができる。
【0047】
以上、本発明をその代表的な実施例に基づいて説明したが、本発明は上述した以外にも種々の態様が可能である。
【0048】
【発明の効果】
正極活物質にオキシ水酸化ニッケルを用いるとともに、その正極活物質を含む正極合剤を所定形状に成形固化して用いるアルカリ一次電池において、自己放電による容量減少を抑えることにより、一次電池としての機能を長期間安定に維持させ、高負荷放電特性にすぐれた一次電池を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるアルカリ一次電池の構造例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 アルカリ一次電池(アルカリ乾電池)
11 正極缶
12 正極端子部
13 正極合剤
14 セパレータ
15 ゲル状負極合剤
19 外装材
20 封口体
21 負極端子
22 集電子
31 封口ガスケット

Claims (11)

  1. 正極活物質にオキシ水酸化ニッケルを用いるとともに、その正極活物質を含む正極合剤を所定形状に成形固化して用いるアルカリ一次電池において、上記正極合剤にカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有させることにより自己放電を抑制させるようにしたことを特徴とするアルカリ一次電池。
  2. 請求項1において、正極活物質がオキシ水酸化ニッケルと二酸化マンガンの混合物からなることを特徴とするアルカリ一次電池。
  3. 請求項1または2において、オキシ水酸化ニッケルがコバルトと亜鉛を含有していることを特徴とするアルカリ一次電池。
  4. 正極活物質にオキシ水酸化ニッケルを用いるとともに、その正極活物質を含む正極合剤を所定形状に成形固化して用いるアルカリ一次電池において、ポリエチレンを含有させることにより自己放電を抑制させるようにしたことを特徴とするアルカリ一次電池。
  5. 請求項4において、ポリエチレンの含有量が0.2〜0.8重量%であることを特徴とするアルカリ一次電池。
  6. 請求項4において、正極活物質がオキシ水酸化ニッケルと二酸化マンガンを含むことを特徴とするアルカリ一次電池。
  7. 請求項4または6において、オキシ水酸化ニッケルがコバルトと亜鉛を含有していることを特徴とするアルカリ一次電池。
  8. 正極活物質にオキシ水酸化ニッケルを用いるとともに、その正極活物質を含む正極合剤を所定形状に成形固化して用いるアルカリ一次電池において、オキシ水酸化ニッケルがコバルトと亜鉛を含むとともに、負極に粒度が50〜75μmの亜鉛を3〜10重量%含むことを特徴とするアルカリ一次電池。
  9. 請求項8において、正極活物質がオキシ水酸化ニッケルと二酸化マンガンを含むことを特徴とするアルカリ一次電池。
  10. 請求項8,9において、オキシ水酸化ニッケルがコバルトと亜鉛を含有していることを特徴とするアルカリ一次電池。
  11. 正極合剤に少なくともカルボキシメチルセルロースナトリウムかポリエチレンのどちらかを含有していることを特徴とするアルカリ一次電池。
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