JP2004170723A - 画像形成装置及びトナー容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境湿度の上昇及び低下のいずれにも対応できてトナーの荷電特性の安定化を図り、画像の劣化を未然に防止することのできる画像形成装置及びトナー容器を得る。
【解決手段】感光体ドラム1上にトナーを供給する現像器10を備えた画像形成装置において、現像器10に吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材25を設けた。吸放湿材25は現像器10に対して着脱自在なトナー容器20内に設けてもよく、あるいは、トナーホッパ11内に設けてもよい。複数の現像器をハウジングで囲い、該ハウジング内に吸放湿材25を設けてもよい。また、現像器10のシール部材26又は前記ハウジングのシール部材として、EPDMスポンジやシリコンスポンジを用いる。
【選択図】 図1
【解決手段】感光体ドラム1上にトナーを供給する現像器10を備えた画像形成装置において、現像器10に吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材25を設けた。吸放湿材25は現像器10に対して着脱自在なトナー容器20内に設けてもよく、あるいは、トナーホッパ11内に設けてもよい。複数の現像器をハウジングで囲い、該ハウジング内に吸放湿材25を設けてもよい。また、現像器10のシール部材26又は前記ハウジングのシール部材として、EPDMスポンジやシリコンスポンジを用いる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置及びトナー容器、特に、像担持体上にトナーを供給する現像器を備えた画像形成装置、及び該現像器にトナーを補充するためのトナー容器に関する。
【0002】
【従来の技術と課題】
一般に、電子写真方式による複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、像担持体(感光体)上に形成された静電潜像を可視像化するために、種々のタイプの現像器が使用されている。いずれの現像器においても、トナーとキャリアとの混合物を使用する2成分現像方式、あるいは、キャリアを含まないトナーのみを使用する1成分現像方式を採用しており、現像にはトナーが不可欠の成分である。
【0003】
ところで、現像器のトナーホッパや該ホッパに対して着脱自在なトナー容器の隙間には、トナー漏れを防止するシールを設置しているが、気体が全く出入りしない完全密閉構造にすることは困難である。また、この種のシール部材として多孔質のスポンジ製のシールが使用されているが、これではスポンジの気孔を通じて湿気が現像器内に浸入する。
【0004】
周囲の環境湿度の上昇に伴って現像器内の湿度が高まり、湿気がトナーに付着すると、トナーは抵抗値や流動性が低下し、荷電量が低下する。これにて、十分に帯電されていないトナーが画像の背景部に付着するトナーのカブリ現象が発生してしまう。また、帯電不良のトナーは転写効率が悪化して画像にいわゆる中抜けが発生する。
【0005】
一方、周囲の環境湿度が低下するに伴って現像器内の湿度が低くなると、トナーは抵抗値や流動性が高くなり、荷電量が上昇する。これにて、現像ローラや感光体との静電的な付着力が現像性、転写性に勝り、現像効率や転写効率が悪化してハーフトーン画像などでは濃度ムラ、粒状性の低下が発生する。
【0006】
特に、重合法により製造された重合トナーは、環境湿度の変化による荷電量の変化が大きく、前記不具合が顕著である。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−319197号公報
【0008】
以上の不具合への対策として、湿度変化に対して安定した荷電特性を得るために、従来では、トナーの材料、添加剤の検討が行われ、さらには、現像器の構成自体の検討、2成分現像方式においてはキャリアの荷電特性の改善が行われてきた。
【0009】
一方、特許文献1には、高湿環境下でトナーの吸湿による荷電特性の低下を防止するため、現像器内の湿度上昇を抑制する手段として、トナーホッパへトナーを供給するトナー容器に除湿剤を設置することが開示されている。
【0010】
但し、特許文献1には、単に「除湿剤」と記載されているのみであり、具体的な物質名を開示してはいない。また、環境湿度が上昇した場合には対応可能ではあるが、湿度が低下した場合にトナーの荷電量が高くなって画像が劣化する不具合への対応には不十分である。
【0011】
そこで、本発明の目的は、環境湿度の上昇及び低下のいずれにも対応できてトナーの荷電特性の安定化を図り、画像の劣化を未然に防止することのできる画像形成装置及びトナー容器を提供することにある。
【0012】
【発明の構成、作用及び効果】
以上の目的を達成するため、第1の発明は、像担持体上にトナーを供給する現像器を備えた画像形成装置において、前記現像器に吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材を設けたことを特徴とする。
【0013】
第1の発明に係る画像形成装置において、吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材は、環境湿度が上昇すると現像器内に浸入した湿気を吸収し、環境湿度が低下すると水分を放出する。これにて、トナー表面の水分量が安定し、環境湿度の上昇及び低下のいずれにも対応してトナーの荷電特性を安定化させることができ、画像の劣化(トナーのカブリ、中抜け、濃度ムラ、粒状性の低下等)が未然に防止される。
【0014】
第1の発明に係る画像形成装置において、吸放湿材は現像器のトナーホッパに対して着脱自在なトナー容器内に設けられていてもよく、あるいは、現像器のトナーホッパ内に設けられていてもよい。
【0015】
また、複数の現像器が設置される画像形成装置(例えば、三原色と黒色の現像器を含むフルカラーの画像形成装置)にあっては、これらの複数の現像器を含むハウジング内に吸放湿材を設けるようにしてもよい。
【0016】
第2の発明は、像担持体上にトナーを供給する現像器を備えた画像形成装置において、前記現像器のシール部材又は複数の現像器を含むハウジングのシール部材がEPDMスポンジ又はシリコンスポンジであることを特徴とする。
【0017】
第2の発明に係る画像形成装置において、EPDMスポンジ又はシリコンスポンジは気孔の独立性が高く通気性が非常に低いため、現像器内又はハウジング内をほぼ密閉状態に保つことができる。これにて、現像器内のトナーを環境湿度の影響から保護することができ、画像の劣化が未然に防止される。
【0018】
なお、第2の発明を前記第1の発明に組み合わせることで、環境湿度の変化に対してトナーの荷電特性をより一層安定化させることが可能になる。
【0019】
第3の発明は、像担持体上にトナーを供給する現像器に着脱自在なトナー容器であって、内部に吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材を設けたことを特徴とする。
【0020】
第3の発明に係るトナー容器において、吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材は、環境湿度が上昇するとトナー容器内に浸入した湿気を吸収し、環境湿度が低下すると水分を放出する。これにて、トナー表面の水分量が安定し、環境湿度の上昇及び低下のいずれにも対応してトナーを荷電特性が安定化した状態で収容しておくことができ、ひいては画像の劣化(トナーのカブリ、中抜け、濃度ムラ、粒状性の低下等)が未然に防止される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像形成装置及びトナー容器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
(第1実施形態、図1、図2参照)
図1は、本発明の第1実施形態である画像形成装置の要部、即ち、感光体ドラム1とその周囲に配置した現像器10を示している。感光体ドラム1の周囲には、現像器10以外にも、帯電器、画像露光用光学系、転写器等の作像用エレメントが配置され、また、原稿画像の読取り装置、外部からの画像データの入力装置、及び用紙の給紙・搬送・排出路が設置されているが、それらの図示、説明は省略する。
【0023】
現像器10は、非接触の1成分現像方式によるもので、その主要な構成部材は、図1に示すように、トナーTを収容するトナーホッパ11、感光体ドラム1に対してトナーTを供給する現像ローラ12、該現像ローラ12にトナーTを供給する供給ローラ13、トナーホッパ11内でトナーTを攪拌する攪拌羽根14である。現像ローラ12の外周面には、規制/帯電部材15及びシール部材16が接触している。
【0024】
また、トナーホッパ11の上部には、トナーTを充填したトナー容器20が着脱自在に取り付けられている。トナーTはトナー容器20に充填された状態でユーザに供給され、新たなトナー容器20と交換することにより、現像器10に対してトナーTの補充が行われる。
【0025】
トナーホッパ11内のトナーTは、供給ローラ13によって現像ローラ12の外周面に供給され、規制/帯電部材15を通過することで所定の電位に帯電される。そして、現像バイアス電圧(交流電圧と直流電圧を重畳した電圧)がローラ12に印加されることにより、ローラ12上のトナーTが感光体ドラム1上に飛翔し、該ドラム1上に形成されている静電潜像を可視像化する。なお、このような非接触の1成分現像方式におけるトナーTの挙動(現像作用)は従来よく知られており、その詳細な説明は省略する。
【0026】
前記トナー容器20にはその底部にシャッタ21が設けられている。トナー容器20が現像器10から離脱している場合(図2参照)、シャッタ21は容器20の底部を気密に覆っている。トナー容器20がトナーホッパ11の上部に取り付けられると、シャッタ21は図示しない周知のメカニズムによって容器20の底部を開放し、内部のトナーTがトナーホッパ11内に自然落下する。
【0027】
また、トナー容器20の天井部には、吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材25が設置されている。この吸放湿材25は、環境湿度が上昇すると浸入した湿気を吸収し、環境湿度が低下すると湿気を放出する。これにて、トナー容器20に充填されている状態でのトナーTを環境湿度の変動から保護し、及びトナーホッパ11に充填されたトナーTを環境湿度の変動から保護し、ひいては画像の劣化を未然に防止する。吸放湿材25の具体的な作用・効果については以下の実験例で詳述する。なお、実験例で使用したトナーは、重合法により製造された平均粒径6μmの重合トナーである。
【0028】
さらに、トナーホッパ11の取付け面11aには、トナー容器20との隙間を封止するためのシール部材26が設置されている。このシール部材26はEPDMスポンジ又はシリコンスポンジであり、トナーTの外部への飛散を防止するためのものであるが、気泡の独立性が高いため、ホッパ11とトナー容器20との隙間を気密にシールすることが可能であり、ホッパ11及びトナー容器20の内部を環境湿度の変動から保護する。シール部材26の具体的な作用・効果についても以下の実験例で詳述する。
【0029】
また、現像ローラ12の周辺にも前記シール部材26と同じ材質のシール部材が同様の目的で配置されている。
【0030】
(第2実施形態、図3参照)
第2実施形態である画像形成装置は、前記第1実施形態と基本的には同様の構成を備え、異なるのは、図3に示すように、吸放湿材25をトナーホッパ11の垂直内壁面11bに設置した点にある。それ以外の構成は前記第1実施形態と同様である。なお、吸放湿材25は前述の如くトナー容器20の天井部に設置することと併用してもよいことは勿論である。
【0031】
(第3実施形態、図4参照)
第3実施形態である画像形成装置は、タンデム型のフルカラーの画像形成装置である。即ち、図4に示すように、感光体ドラム31及び現像器32を収容した作像ユニット30Y,30M,30C,30Kを中間転写ベルト35に沿って並置したもので、Yはイエロー、Mはマゼンタ、Cはシアン、Kはブラックの色を形成することを意味している。
【0032】
各作像ユニット30Y,30M,30C,30Kにおいて、感光体ドラム31上には露光用光学系33から各色に対応する静電画像が形成され、現像器32によって各色のトナー画像とされる。これらのトナー画像は矢印A方向に回転する中間転写ベルト35上に重ねて転写され、転写位置Bにて用紙上に転写される。用紙は給紙カセット41から1枚ずつ給紙され、排紙トレイ42上へ排出される。
【0033】
以上概述した画像形成装置において、作像ユニット30Y,30M,30C,30Kはハウジング45内に収容され、ハウジング45の内部であって各現像器32に隣接する位置に吸放湿材25が設置されている。また、ハウジング45の隙間にはシール部材26(EPDMスポンジ又はシリコンスポンジ)が介在されている。
【0034】
本第3実施形態においては、作像ユニット30Y,30M,30C,30Kを囲むハウジング45内に吸放湿材25を設けたために、各現像器32内のトナーの耐湿安定性を確保することができる。また、シール部材26を設けることで、トナーの耐湿安定性をさらに向上させることができる。
【0035】
なお、本第3実施形態においても、前記第1及び第2実施形態の如く、各現像器32のトナーホッパ内あるいはトナー容器内に吸放湿材25を設置してもよいことは勿論である。
【0036】
(実験例1:吸放湿材の作用効果)
この実験例1では、前記第1実施形態に示した画像形成装置を用い、各種の調湿材料(B型シリカゲル、ゼオライト、吸放湿繊維)を、トナーの充填されていないトナー容器20の天井部に設置し、トナーホッパ11内の湿度を測定した。同時に調湿材料を設けない場合も測定した。その結果を以下の表1に示す。
【0037】
この実験で使用した吸放湿繊維とは、本発明でいう吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材であり、具体的には、東洋紡社製の商品名モイスファインである。
【0038】
測定環境は、実験室環境温度25℃及び湿度60%から高湿環境25℃及び湿度95%で1時間放置(高湿放置)し、また、実験室環境温度25℃及び湿度60%から低湿環境25℃及び湿度15%で1時間放置(低湿放置)した。
【0039】
湿度測定は、エスペックミック社製、サーモレコーダーRS−11を使用し、検知部をトナーホッパ11内に設置して行った。
【0040】
B型シリカゲルは市販のポリプロピレンで包装されたビーズ状のものを、市販の乾燥状態から使用した。吸放湿繊維は吸水性ポリマーから製造された繊維でシート状のものであるが、本実験ではポリアクリレート系繊維で、30%の水分量を含んだ状態から使用した。
【0041】
【表1】
【0042】
前記表1に示されているように、調湿材料を設けない条件下では、高湿放置、低湿放置でかなりの湿度変化が見られた。しかし、調湿材料を設けると高湿放置での湿度上昇が抑えられた。一般的な除湿剤であるB型シリカゲル、ゼオライトでは高湿放置時の湿度上昇をある程度抑えることができたが、低湿放置時にはそれほどの効果を発揮しなかった。
【0043】
一方、吸放湿繊維にあっては、高湿放置時に良好に湿度上昇を押さえ、低湿放置時にも良好に湿度低下を抑えることができた。吸放湿繊維は、高湿放置下にあっては外部から浸入した湿気を吸収し、低湿放置下にあっては現像器内の乾燥によって保持している水分を放出する。このような作用によって、環境湿度が変動しても現像器内での湿度の変化を極力抑えることができる。また、吸放湿材として繊維状のものを使用すれば、設置面積を小さくでき、設置場所を自由に選定することが可能になる。
【0044】
(実験例2:吸放湿材及びシール部材の作用効果)
次に、実験例2として、吸放湿材25を設けた場合と、設けなかった場合とをそれぞれ比較し、その結果を以下の表2に示す。吸放湿材25としては吸放湿繊維を8g使用し、シール部材26としてはウレタンスポンジを使用した。
【0045】
トナーが充填されており、かつ、吸放湿繊維を設けたトナー容器20をトナーホッパ11に装着し、高湿環境下及び低湿環境下で放置した後、トナーホッパ11内の湿度を測定し、さらに、トナーTの水分量を測定した。同時に、画像品質も評価した。高湿環境とは温度30℃及び湿度85%であり、低湿環境とは温度10℃及び湿度15%であり、それぞれ3日間放置した。
【0046】
【表2】
【0047】
前記表2から明らかなように、吸放湿繊維を設けることで、湿度変化に対して画像品質が改善されてはいるが、完全であるとは言い難い。トナー容器やトナーホッパを含めて現像器の密閉性が低いと、吸放湿材を設置しても、高湿環境下ではすぐに吸放湿材の飽和水分量に達し、それ以上は吸湿しないため、現像器内の湿度が上昇する。低湿環境下においても比較的短時間で放湿が飽和に達するため、現像器内の湿度が低下してしまう。
【0048】
このことから、現像器の密閉性を向上させることは、吸放湿材を有効に機能させるために重要であることが理解できる。現像器の密閉性は、トナー漏れを防止するために、現像ローラ12の周辺に用いられるシール部材、トナーホッパ11とトナー容器20との接合部に用いられるシール部材の防湿性によるところが大きい。
【0049】
従来では、これらのシール部材は現像ローラ12の回転トルクに対する影響、現像器の組立て性などの観点から、低硬度であることが求められ、発泡体であるスポンジが使用されていた。換言すれば、トナーをシールする機能のみに材料の選定が行われてきた。従来、現像器に使用されていたシール部材(多孔性スポンジ)については、トナーの如き微粒子の通過性に関して機能するものであり、通気性、特に空気中の水分の通過性に関して対策は講じられていなかったのである。
【0050】
(実験例3:シール部材の作用効果)
そこで、実験例3として、シール部材の作用効果(水分の通過性)を示す。前記第1実施形態に示した画像形成装置において各種のスポンジ材料(ウレタンスポンジ、シリコンスポンジ、EPDMスポンジ)を現像器の各種シール部分に設け、トナーの充填されていないトナー容器をトナーホッパに装着し、現像器内部の湿度を測定した。シリコンスポンジ及びEPDMスポンジを設けた装置には、前記吸放湿繊維も併せて設けて測定した。その結果を以下の表3に示す。
【0051】
測定環境は、実験室環境温度25℃及び湿度60%から高湿環境25℃及び湿度95%で1時間放置(高湿放置)し、また、実験室環境温度25℃及び湿度60%から低湿環境25℃及び湿度15%で1時間放置(低湿放置)した。
【0052】
湿度測定は、エスペックミック社製、サーモレコーダーRS−11を使用し、検知部をトナーホッパ11内に設置して行った。
【0053】
【表3】
【0054】
前記表3に示されているように、従来使用されていたウレタンスポンジに対してシリコンスポンジ及びEPDMスポンジでは、高湿放置時の湿度上昇率及び低湿放置時の湿度低下率がそれぞれ低く抑えられた。
【0055】
(実験例4:梱包)
ところで、実験例4として、使用前のトナーが充填されたトナー容器又はトナーホッパにトナーを含む現像器が梱包された状態において、梱包内に吸放湿材を設けた場合のトナーの水分量を測定した。その結果を以下の表4に示す。
【0056】
トナーを充填したトナー容器をアルミパックで梱包し、実験室環境温度25℃及び湿度60%から高湿環境30℃及び湿度85%で長期間放置(高湿放置)し、また、実験室環境温度25℃及び湿度60%から低湿環境10℃及び湿度15%で長期間放置(低湿放置)し、14日目と24日目でトナーの水分量を測定した。
【0057】
【表4】
【0058】
前記表4に示されているように、吸放湿材を設置しない梱包はアルミパックであっても、24日間放置すると、トナーの水分量は高湿環境下では上昇し、低湿環境下では低下した。しかし、吸放湿材を設置したアルミパック梱包ではトナーの水分量の増減はほとんどなく、長期的に安定していることが分かる。
【0059】
(包装形態)
前述の如く、吸放湿材をトナーホッパやトナー容器に設置することで、トナーの水分量を安定させ、ノイズのない良好な画質を得られる。しかし、吸放湿材として繊維状の材料を使用した場合、その繊維が十分に固定されていないと、抜け落ちた繊維が現像器中のトナーに混入して規制/帯電部材15に詰まり、画像に白すじが発生するおそれがある。
【0060】
また、吸放湿繊維はトナー容器やトナーホッパに設置する際、両面テープで接着することができ、容易かつ安価であるが、繊維状であるために接着が十分でない場合がある。従って、調湿性能を維持しつつ、繊維の抜け、両面テープとの接着性を維持する必要がある。
【0061】
以上の点を考慮して、吸放湿繊維を透湿フィルムで覆うことも有効であるが、両面テープとの接着性の高い繊維で覆うことも有効である。この種の繊維としては、トナーが付着しても固まらない繊維密度で、繊維の抜け落ちのないものを使用する。例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリプロピレン繊維で吸放湿繊維を覆った場合は、覆わない場合とほとんど同等の性能が確保できた。
【0062】
(実験例5:実施形態3での耐湿効果)
次に、実験例5として行われた、前記第3実施形態(フルカラー作像装置)での耐湿効果について説明する。図4に示した吸放湿材25として前記吸放湿繊維を全量で30g用い、1日の湿度変化が大きな状態の中で10日間放置した。放置前のトナーの水分量は1.0%であり、10日間放置後の水分量を以下の表5に示す。
【0063】
【表5】
【0064】
吸放湿繊維を作像ユニットを囲むハウジング45内に設置したことで、前記表5に示されているように、各現像器32の近辺の湿度が長期的に安定化し、トナーの水分量も安定化した。
【0065】
ところで、画像形成装置には用紙の給紙カセット41や排紙トレイ42が設置されており、その設置部分は機外と通気している。また、機内には温度の上昇を抑制するためにファンが設けられており、その近辺も機外と通気している。このように装置本体には複数の通気箇所が存在するが、極力密閉したハウジング45内に吸放湿材を設置することで、浸入した湿気を吸収し、また、低湿時には湿気を放出し、トナーの荷電特性の安定化を図ることが可能になる。
【0066】
(他の実施形態)
なお、本発明に係る画像形成装置及びトナー容器は前記各実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0067】
特に、吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材は前記吸放湿繊維以外にも種々の材料を用いることができる。また、吸放湿材を設置する個所は、前記各実施形態で示した箇所に限定するものではなく、トナーの荷電特性に影響を与える湿気を調整できる箇所であればよい。
【0068】
さらに、現像器の構成やトナー容器との着脱構造も任意であり、本発明を2成分現像方式の現像器に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の要部を示す概略断面図。
【図2】前記第1実施形態において、トナー容器を取り外した状態を示す概略断面図。
【図3】本発明に係る画像形成装置の第2実施形態の要部を示す概略断面図。
【図4】本発明に係る画像形成装置の第3実施形態の要部を示す概略断面図。
【符号の説明】
1…感光体ドラム
10…現像器
11…トナーホッパ
20…トナー容器
25…吸放湿材
26…シール部材
30…作像ユニット
31…感光体ドラム
32…現像器
45…ハウジング
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置及びトナー容器、特に、像担持体上にトナーを供給する現像器を備えた画像形成装置、及び該現像器にトナーを補充するためのトナー容器に関する。
【0002】
【従来の技術と課題】
一般に、電子写真方式による複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、像担持体(感光体)上に形成された静電潜像を可視像化するために、種々のタイプの現像器が使用されている。いずれの現像器においても、トナーとキャリアとの混合物を使用する2成分現像方式、あるいは、キャリアを含まないトナーのみを使用する1成分現像方式を採用しており、現像にはトナーが不可欠の成分である。
【0003】
ところで、現像器のトナーホッパや該ホッパに対して着脱自在なトナー容器の隙間には、トナー漏れを防止するシールを設置しているが、気体が全く出入りしない完全密閉構造にすることは困難である。また、この種のシール部材として多孔質のスポンジ製のシールが使用されているが、これではスポンジの気孔を通じて湿気が現像器内に浸入する。
【0004】
周囲の環境湿度の上昇に伴って現像器内の湿度が高まり、湿気がトナーに付着すると、トナーは抵抗値や流動性が低下し、荷電量が低下する。これにて、十分に帯電されていないトナーが画像の背景部に付着するトナーのカブリ現象が発生してしまう。また、帯電不良のトナーは転写効率が悪化して画像にいわゆる中抜けが発生する。
【0005】
一方、周囲の環境湿度が低下するに伴って現像器内の湿度が低くなると、トナーは抵抗値や流動性が高くなり、荷電量が上昇する。これにて、現像ローラや感光体との静電的な付着力が現像性、転写性に勝り、現像効率や転写効率が悪化してハーフトーン画像などでは濃度ムラ、粒状性の低下が発生する。
【0006】
特に、重合法により製造された重合トナーは、環境湿度の変化による荷電量の変化が大きく、前記不具合が顕著である。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−319197号公報
【0008】
以上の不具合への対策として、湿度変化に対して安定した荷電特性を得るために、従来では、トナーの材料、添加剤の検討が行われ、さらには、現像器の構成自体の検討、2成分現像方式においてはキャリアの荷電特性の改善が行われてきた。
【0009】
一方、特許文献1には、高湿環境下でトナーの吸湿による荷電特性の低下を防止するため、現像器内の湿度上昇を抑制する手段として、トナーホッパへトナーを供給するトナー容器に除湿剤を設置することが開示されている。
【0010】
但し、特許文献1には、単に「除湿剤」と記載されているのみであり、具体的な物質名を開示してはいない。また、環境湿度が上昇した場合には対応可能ではあるが、湿度が低下した場合にトナーの荷電量が高くなって画像が劣化する不具合への対応には不十分である。
【0011】
そこで、本発明の目的は、環境湿度の上昇及び低下のいずれにも対応できてトナーの荷電特性の安定化を図り、画像の劣化を未然に防止することのできる画像形成装置及びトナー容器を提供することにある。
【0012】
【発明の構成、作用及び効果】
以上の目的を達成するため、第1の発明は、像担持体上にトナーを供給する現像器を備えた画像形成装置において、前記現像器に吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材を設けたことを特徴とする。
【0013】
第1の発明に係る画像形成装置において、吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材は、環境湿度が上昇すると現像器内に浸入した湿気を吸収し、環境湿度が低下すると水分を放出する。これにて、トナー表面の水分量が安定し、環境湿度の上昇及び低下のいずれにも対応してトナーの荷電特性を安定化させることができ、画像の劣化(トナーのカブリ、中抜け、濃度ムラ、粒状性の低下等)が未然に防止される。
【0014】
第1の発明に係る画像形成装置において、吸放湿材は現像器のトナーホッパに対して着脱自在なトナー容器内に設けられていてもよく、あるいは、現像器のトナーホッパ内に設けられていてもよい。
【0015】
また、複数の現像器が設置される画像形成装置(例えば、三原色と黒色の現像器を含むフルカラーの画像形成装置)にあっては、これらの複数の現像器を含むハウジング内に吸放湿材を設けるようにしてもよい。
【0016】
第2の発明は、像担持体上にトナーを供給する現像器を備えた画像形成装置において、前記現像器のシール部材又は複数の現像器を含むハウジングのシール部材がEPDMスポンジ又はシリコンスポンジであることを特徴とする。
【0017】
第2の発明に係る画像形成装置において、EPDMスポンジ又はシリコンスポンジは気孔の独立性が高く通気性が非常に低いため、現像器内又はハウジング内をほぼ密閉状態に保つことができる。これにて、現像器内のトナーを環境湿度の影響から保護することができ、画像の劣化が未然に防止される。
【0018】
なお、第2の発明を前記第1の発明に組み合わせることで、環境湿度の変化に対してトナーの荷電特性をより一層安定化させることが可能になる。
【0019】
第3の発明は、像担持体上にトナーを供給する現像器に着脱自在なトナー容器であって、内部に吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材を設けたことを特徴とする。
【0020】
第3の発明に係るトナー容器において、吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材は、環境湿度が上昇するとトナー容器内に浸入した湿気を吸収し、環境湿度が低下すると水分を放出する。これにて、トナー表面の水分量が安定し、環境湿度の上昇及び低下のいずれにも対応してトナーを荷電特性が安定化した状態で収容しておくことができ、ひいては画像の劣化(トナーのカブリ、中抜け、濃度ムラ、粒状性の低下等)が未然に防止される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像形成装置及びトナー容器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
(第1実施形態、図1、図2参照)
図1は、本発明の第1実施形態である画像形成装置の要部、即ち、感光体ドラム1とその周囲に配置した現像器10を示している。感光体ドラム1の周囲には、現像器10以外にも、帯電器、画像露光用光学系、転写器等の作像用エレメントが配置され、また、原稿画像の読取り装置、外部からの画像データの入力装置、及び用紙の給紙・搬送・排出路が設置されているが、それらの図示、説明は省略する。
【0023】
現像器10は、非接触の1成分現像方式によるもので、その主要な構成部材は、図1に示すように、トナーTを収容するトナーホッパ11、感光体ドラム1に対してトナーTを供給する現像ローラ12、該現像ローラ12にトナーTを供給する供給ローラ13、トナーホッパ11内でトナーTを攪拌する攪拌羽根14である。現像ローラ12の外周面には、規制/帯電部材15及びシール部材16が接触している。
【0024】
また、トナーホッパ11の上部には、トナーTを充填したトナー容器20が着脱自在に取り付けられている。トナーTはトナー容器20に充填された状態でユーザに供給され、新たなトナー容器20と交換することにより、現像器10に対してトナーTの補充が行われる。
【0025】
トナーホッパ11内のトナーTは、供給ローラ13によって現像ローラ12の外周面に供給され、規制/帯電部材15を通過することで所定の電位に帯電される。そして、現像バイアス電圧(交流電圧と直流電圧を重畳した電圧)がローラ12に印加されることにより、ローラ12上のトナーTが感光体ドラム1上に飛翔し、該ドラム1上に形成されている静電潜像を可視像化する。なお、このような非接触の1成分現像方式におけるトナーTの挙動(現像作用)は従来よく知られており、その詳細な説明は省略する。
【0026】
前記トナー容器20にはその底部にシャッタ21が設けられている。トナー容器20が現像器10から離脱している場合(図2参照)、シャッタ21は容器20の底部を気密に覆っている。トナー容器20がトナーホッパ11の上部に取り付けられると、シャッタ21は図示しない周知のメカニズムによって容器20の底部を開放し、内部のトナーTがトナーホッパ11内に自然落下する。
【0027】
また、トナー容器20の天井部には、吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材25が設置されている。この吸放湿材25は、環境湿度が上昇すると浸入した湿気を吸収し、環境湿度が低下すると湿気を放出する。これにて、トナー容器20に充填されている状態でのトナーTを環境湿度の変動から保護し、及びトナーホッパ11に充填されたトナーTを環境湿度の変動から保護し、ひいては画像の劣化を未然に防止する。吸放湿材25の具体的な作用・効果については以下の実験例で詳述する。なお、実験例で使用したトナーは、重合法により製造された平均粒径6μmの重合トナーである。
【0028】
さらに、トナーホッパ11の取付け面11aには、トナー容器20との隙間を封止するためのシール部材26が設置されている。このシール部材26はEPDMスポンジ又はシリコンスポンジであり、トナーTの外部への飛散を防止するためのものであるが、気泡の独立性が高いため、ホッパ11とトナー容器20との隙間を気密にシールすることが可能であり、ホッパ11及びトナー容器20の内部を環境湿度の変動から保護する。シール部材26の具体的な作用・効果についても以下の実験例で詳述する。
【0029】
また、現像ローラ12の周辺にも前記シール部材26と同じ材質のシール部材が同様の目的で配置されている。
【0030】
(第2実施形態、図3参照)
第2実施形態である画像形成装置は、前記第1実施形態と基本的には同様の構成を備え、異なるのは、図3に示すように、吸放湿材25をトナーホッパ11の垂直内壁面11bに設置した点にある。それ以外の構成は前記第1実施形態と同様である。なお、吸放湿材25は前述の如くトナー容器20の天井部に設置することと併用してもよいことは勿論である。
【0031】
(第3実施形態、図4参照)
第3実施形態である画像形成装置は、タンデム型のフルカラーの画像形成装置である。即ち、図4に示すように、感光体ドラム31及び現像器32を収容した作像ユニット30Y,30M,30C,30Kを中間転写ベルト35に沿って並置したもので、Yはイエロー、Mはマゼンタ、Cはシアン、Kはブラックの色を形成することを意味している。
【0032】
各作像ユニット30Y,30M,30C,30Kにおいて、感光体ドラム31上には露光用光学系33から各色に対応する静電画像が形成され、現像器32によって各色のトナー画像とされる。これらのトナー画像は矢印A方向に回転する中間転写ベルト35上に重ねて転写され、転写位置Bにて用紙上に転写される。用紙は給紙カセット41から1枚ずつ給紙され、排紙トレイ42上へ排出される。
【0033】
以上概述した画像形成装置において、作像ユニット30Y,30M,30C,30Kはハウジング45内に収容され、ハウジング45の内部であって各現像器32に隣接する位置に吸放湿材25が設置されている。また、ハウジング45の隙間にはシール部材26(EPDMスポンジ又はシリコンスポンジ)が介在されている。
【0034】
本第3実施形態においては、作像ユニット30Y,30M,30C,30Kを囲むハウジング45内に吸放湿材25を設けたために、各現像器32内のトナーの耐湿安定性を確保することができる。また、シール部材26を設けることで、トナーの耐湿安定性をさらに向上させることができる。
【0035】
なお、本第3実施形態においても、前記第1及び第2実施形態の如く、各現像器32のトナーホッパ内あるいはトナー容器内に吸放湿材25を設置してもよいことは勿論である。
【0036】
(実験例1:吸放湿材の作用効果)
この実験例1では、前記第1実施形態に示した画像形成装置を用い、各種の調湿材料(B型シリカゲル、ゼオライト、吸放湿繊維)を、トナーの充填されていないトナー容器20の天井部に設置し、トナーホッパ11内の湿度を測定した。同時に調湿材料を設けない場合も測定した。その結果を以下の表1に示す。
【0037】
この実験で使用した吸放湿繊維とは、本発明でいう吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材であり、具体的には、東洋紡社製の商品名モイスファインである。
【0038】
測定環境は、実験室環境温度25℃及び湿度60%から高湿環境25℃及び湿度95%で1時間放置(高湿放置)し、また、実験室環境温度25℃及び湿度60%から低湿環境25℃及び湿度15%で1時間放置(低湿放置)した。
【0039】
湿度測定は、エスペックミック社製、サーモレコーダーRS−11を使用し、検知部をトナーホッパ11内に設置して行った。
【0040】
B型シリカゲルは市販のポリプロピレンで包装されたビーズ状のものを、市販の乾燥状態から使用した。吸放湿繊維は吸水性ポリマーから製造された繊維でシート状のものであるが、本実験ではポリアクリレート系繊維で、30%の水分量を含んだ状態から使用した。
【0041】
【表1】
【0042】
前記表1に示されているように、調湿材料を設けない条件下では、高湿放置、低湿放置でかなりの湿度変化が見られた。しかし、調湿材料を設けると高湿放置での湿度上昇が抑えられた。一般的な除湿剤であるB型シリカゲル、ゼオライトでは高湿放置時の湿度上昇をある程度抑えることができたが、低湿放置時にはそれほどの効果を発揮しなかった。
【0043】
一方、吸放湿繊維にあっては、高湿放置時に良好に湿度上昇を押さえ、低湿放置時にも良好に湿度低下を抑えることができた。吸放湿繊維は、高湿放置下にあっては外部から浸入した湿気を吸収し、低湿放置下にあっては現像器内の乾燥によって保持している水分を放出する。このような作用によって、環境湿度が変動しても現像器内での湿度の変化を極力抑えることができる。また、吸放湿材として繊維状のものを使用すれば、設置面積を小さくでき、設置場所を自由に選定することが可能になる。
【0044】
(実験例2:吸放湿材及びシール部材の作用効果)
次に、実験例2として、吸放湿材25を設けた場合と、設けなかった場合とをそれぞれ比較し、その結果を以下の表2に示す。吸放湿材25としては吸放湿繊維を8g使用し、シール部材26としてはウレタンスポンジを使用した。
【0045】
トナーが充填されており、かつ、吸放湿繊維を設けたトナー容器20をトナーホッパ11に装着し、高湿環境下及び低湿環境下で放置した後、トナーホッパ11内の湿度を測定し、さらに、トナーTの水分量を測定した。同時に、画像品質も評価した。高湿環境とは温度30℃及び湿度85%であり、低湿環境とは温度10℃及び湿度15%であり、それぞれ3日間放置した。
【0046】
【表2】
【0047】
前記表2から明らかなように、吸放湿繊維を設けることで、湿度変化に対して画像品質が改善されてはいるが、完全であるとは言い難い。トナー容器やトナーホッパを含めて現像器の密閉性が低いと、吸放湿材を設置しても、高湿環境下ではすぐに吸放湿材の飽和水分量に達し、それ以上は吸湿しないため、現像器内の湿度が上昇する。低湿環境下においても比較的短時間で放湿が飽和に達するため、現像器内の湿度が低下してしまう。
【0048】
このことから、現像器の密閉性を向上させることは、吸放湿材を有効に機能させるために重要であることが理解できる。現像器の密閉性は、トナー漏れを防止するために、現像ローラ12の周辺に用いられるシール部材、トナーホッパ11とトナー容器20との接合部に用いられるシール部材の防湿性によるところが大きい。
【0049】
従来では、これらのシール部材は現像ローラ12の回転トルクに対する影響、現像器の組立て性などの観点から、低硬度であることが求められ、発泡体であるスポンジが使用されていた。換言すれば、トナーをシールする機能のみに材料の選定が行われてきた。従来、現像器に使用されていたシール部材(多孔性スポンジ)については、トナーの如き微粒子の通過性に関して機能するものであり、通気性、特に空気中の水分の通過性に関して対策は講じられていなかったのである。
【0050】
(実験例3:シール部材の作用効果)
そこで、実験例3として、シール部材の作用効果(水分の通過性)を示す。前記第1実施形態に示した画像形成装置において各種のスポンジ材料(ウレタンスポンジ、シリコンスポンジ、EPDMスポンジ)を現像器の各種シール部分に設け、トナーの充填されていないトナー容器をトナーホッパに装着し、現像器内部の湿度を測定した。シリコンスポンジ及びEPDMスポンジを設けた装置には、前記吸放湿繊維も併せて設けて測定した。その結果を以下の表3に示す。
【0051】
測定環境は、実験室環境温度25℃及び湿度60%から高湿環境25℃及び湿度95%で1時間放置(高湿放置)し、また、実験室環境温度25℃及び湿度60%から低湿環境25℃及び湿度15%で1時間放置(低湿放置)した。
【0052】
湿度測定は、エスペックミック社製、サーモレコーダーRS−11を使用し、検知部をトナーホッパ11内に設置して行った。
【0053】
【表3】
【0054】
前記表3に示されているように、従来使用されていたウレタンスポンジに対してシリコンスポンジ及びEPDMスポンジでは、高湿放置時の湿度上昇率及び低湿放置時の湿度低下率がそれぞれ低く抑えられた。
【0055】
(実験例4:梱包)
ところで、実験例4として、使用前のトナーが充填されたトナー容器又はトナーホッパにトナーを含む現像器が梱包された状態において、梱包内に吸放湿材を設けた場合のトナーの水分量を測定した。その結果を以下の表4に示す。
【0056】
トナーを充填したトナー容器をアルミパックで梱包し、実験室環境温度25℃及び湿度60%から高湿環境30℃及び湿度85%で長期間放置(高湿放置)し、また、実験室環境温度25℃及び湿度60%から低湿環境10℃及び湿度15%で長期間放置(低湿放置)し、14日目と24日目でトナーの水分量を測定した。
【0057】
【表4】
【0058】
前記表4に示されているように、吸放湿材を設置しない梱包はアルミパックであっても、24日間放置すると、トナーの水分量は高湿環境下では上昇し、低湿環境下では低下した。しかし、吸放湿材を設置したアルミパック梱包ではトナーの水分量の増減はほとんどなく、長期的に安定していることが分かる。
【0059】
(包装形態)
前述の如く、吸放湿材をトナーホッパやトナー容器に設置することで、トナーの水分量を安定させ、ノイズのない良好な画質を得られる。しかし、吸放湿材として繊維状の材料を使用した場合、その繊維が十分に固定されていないと、抜け落ちた繊維が現像器中のトナーに混入して規制/帯電部材15に詰まり、画像に白すじが発生するおそれがある。
【0060】
また、吸放湿繊維はトナー容器やトナーホッパに設置する際、両面テープで接着することができ、容易かつ安価であるが、繊維状であるために接着が十分でない場合がある。従って、調湿性能を維持しつつ、繊維の抜け、両面テープとの接着性を維持する必要がある。
【0061】
以上の点を考慮して、吸放湿繊維を透湿フィルムで覆うことも有効であるが、両面テープとの接着性の高い繊維で覆うことも有効である。この種の繊維としては、トナーが付着しても固まらない繊維密度で、繊維の抜け落ちのないものを使用する。例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリプロピレン繊維で吸放湿繊維を覆った場合は、覆わない場合とほとんど同等の性能が確保できた。
【0062】
(実験例5:実施形態3での耐湿効果)
次に、実験例5として行われた、前記第3実施形態(フルカラー作像装置)での耐湿効果について説明する。図4に示した吸放湿材25として前記吸放湿繊維を全量で30g用い、1日の湿度変化が大きな状態の中で10日間放置した。放置前のトナーの水分量は1.0%であり、10日間放置後の水分量を以下の表5に示す。
【0063】
【表5】
【0064】
吸放湿繊維を作像ユニットを囲むハウジング45内に設置したことで、前記表5に示されているように、各現像器32の近辺の湿度が長期的に安定化し、トナーの水分量も安定化した。
【0065】
ところで、画像形成装置には用紙の給紙カセット41や排紙トレイ42が設置されており、その設置部分は機外と通気している。また、機内には温度の上昇を抑制するためにファンが設けられており、その近辺も機外と通気している。このように装置本体には複数の通気箇所が存在するが、極力密閉したハウジング45内に吸放湿材を設置することで、浸入した湿気を吸収し、また、低湿時には湿気を放出し、トナーの荷電特性の安定化を図ることが可能になる。
【0066】
(他の実施形態)
なお、本発明に係る画像形成装置及びトナー容器は前記各実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0067】
特に、吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材は前記吸放湿繊維以外にも種々の材料を用いることができる。また、吸放湿材を設置する個所は、前記各実施形態で示した箇所に限定するものではなく、トナーの荷電特性に影響を与える湿気を調整できる箇所であればよい。
【0068】
さらに、現像器の構成やトナー容器との着脱構造も任意であり、本発明を2成分現像方式の現像器に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の要部を示す概略断面図。
【図2】前記第1実施形態において、トナー容器を取り外した状態を示す概略断面図。
【図3】本発明に係る画像形成装置の第2実施形態の要部を示す概略断面図。
【図4】本発明に係る画像形成装置の第3実施形態の要部を示す概略断面図。
【符号の説明】
1…感光体ドラム
10…現像器
11…トナーホッパ
20…トナー容器
25…吸放湿材
26…シール部材
30…作像ユニット
31…感光体ドラム
32…現像器
45…ハウジング
Claims (5)
- 像担持体上にトナーを供給する現像器を備えた画像形成装置において、前記現像器に吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
- 前記吸放湿材は現像器のトナーホッパに対して着脱自在なトナー容器内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記現像器に用いられているシール部材がEPDMスポンジ又はシリコンスポンジであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
- 像担持体上にトナーを供給する現像器を備えた画像形成装置において、前記現像器のシール部材又は複数の現像器を含むハウジングのシール部材がEPDMスポンジ又はシリコンスポンジであることを特徴とする画像形成装置。
- 像担持体上にトナーを供給する現像器に着脱自在なトナー容器であって、内部に吸湿性を有しかつ放湿性を有する吸放湿材を設けたことを特徴とするトナー容器。
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