JP2004170696A - 光フィルタの固定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】接着剤を用いず、長期信頼性が優れた光フィルタの固定方法を提供することにある。
【解決手段】筐体41内に光フィルタ86を光軸L1,L2に対して所定の角度で固定する方法において、フィルタ固定フレーム1内に光フィルタ86を収納して固定し、他方、筐体41に光軸L1,L2に対して所定角度をなす穴42を形成しておき、その穴42に、光フィルタ86を収納したフィルタ固定フレーム1を挿入して固定する方法である。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筐体内に光フィルタを光軸に対して所定角度で固定する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の光フィルタの固定方法は、接着剤を用いて筐体内に光フィルタを光軸に対して所定角度で固定する方法である。
【0003】
具体的には、図8(a)〜(f)に示されるように、まず、カギ状のフィルタ台81に熱硬化性の接着剤82を作業者が爪楊枝83で塗布し(図8(a))、接着剤82を塗布したフィルタ台81に、スリット84を有するフィルタ挿入台85を上方から被せ、そのフィルタ挿入台85のスリット84に光フィルタ86を挿入し(図8(b))、フィルタ台81上に光フィルタ86を搭載する。フィルタ挿入台85全体を接着剤82の硬化温度以上に加熱し、接着剤82を硬化させてフィルタ挿入台85に光フィルタ86を固定した後、フィルタ挿入台85を上方へ外すと(図8(c))、図8(d)に示した状態になる。
【0004】
他方、筐体87に、光フィルタ86を光軸Lに対して所定角度で固定するためのカギ穴88を形成しておき、そのカギ穴88の入口に熱硬化性の接着剤を塗布し、接着剤を塗布したカギ穴88に光フィルタ86が固定されたフィルタ台81を嵌め込む(図8(e))。
【0005】
その後、筐体87全体を接着剤の硬化温度以上に加熱し、接着剤を硬化させて筐体87にフィルタ台81を固定すると、筐体87内に光フィルタ86が光軸Lに対して所定角度(例えば、約45°)で固定される(図8(f))。
【0006】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−271742号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題 】
しかしながら、従来の方法では、フィルタ台81と光フィルタ86の固定およびフィルタ台81と筐体87の固定に接着剤を用いているので、特に、光フィルタ86が光トランシーバなどの光送受信モジュール用の波長合分波フィルタの場合、フィルタサイズが小型であることから、接着剤の塗布量が微量になり、接着剤の塗布量の制御が容易なディスペンサを使用することができず、作業者の手作業によって接着剤を塗布しなければならないという問題がある。
【0009】
そのため、個々の製品毎に接着剤の塗布量にバラツキが大きく、接着剤の塗布量が多すぎればフィルタ挿入台85と光フィルタ86の間に接着剤が流れ込み、光フィルタ86とフィルタ挿入台85が接着されてしまう一方、接着剤の塗布量が少なすぎれば、製品完成時に光フィルタ86とフィルタ台81間の接着強度が弱くなり、製品の長期信頼性という点で問題になる。
【0010】
また、フィルタ挿入台85から光フィルタ86を外すときに、光フィルタ86の一部を破損することもあった。したがって、接着剤の塗布量の管理が必要であるという問題もあり、その管理は作業者の勘や器用さに頼るところが非常に大きかった。
【0011】
さらに、フィルタ台81を筐体87に嵌め込んだ後では、どのくらいの接着剤を塗布したのかを外観で検査することは不可能だった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、接着剤を用いず、長期信頼性が優れた光フィルタの固定方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、筐体内に光フィルタを光軸に対して所定の角度で固定する方法において、フィルタ固定フレーム内に上記光フィルタを収納して固定し、他方、上記筐体に光軸に対して所定角度をなす穴を形成しておき、その穴に、上記光フィルタを収納したフィルタ固定フレームを挿入して固定する光フィルタの固定方法である。
【0014】
請求項2の発明は、上記フィルタ固定フレームは、上記光フィルタが嵌め込まれるケースと、そのケースに重ね合わせられるカバーとからなる請求項1記載の光フィルタの固定方法である。
【0015】
請求項3の発明は、上記フィルタ固定フレーム内に上記光フィルタを収納し、その光フィルタを収納した上記ケースと上記カバーとの継ぎ目を溶接して一体化し、上記穴に一体化したフィルタ固定フレームを挿入し、その穴の入口を溶接して上記筐体と一体化する請求項1または2記載の光フィルタの固定方法である。
【0016】
請求項4の発明は、上記フィルタ固定フレームと上記穴とは、その穴に上記光フィルタを収納したフィルタ固定フレームを挿入した際、上記光フィルタが光軸に対して所定角度から±2°以内のクリアランスを有するように形成される請求項1〜3いずれかに記載の光フィルタの固定方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るフィルタ固定フレームの組立分解図である。図2は、光フィルタを収納して一体化したフィルタ固定フレームの斜視図である。図3(a)および図3(b)は、図2に示したフィルタ固定フレームの3A−3A線断面図である。
【0019】
図1〜図3(a)および図3(b)に示すように、本発明に係るフィルタ固定フレーム1は、光フィルタ86を収納固定するためのものであり、光フィルタ86が嵌め込まれるケース1aと、そのケース1aに重ね合わせられるカバー1bとからなっている。
【0020】
光フィルタ86は板状に形成されており、その全面が保護膜で一様にコーティングされている。光フィルタ86としては、例えば、光伝送に使用される光送受信モジュール用の波長合分波フィルタを挙げることができる。波長合分波フィルタは、特定の波長帯域の光を透過し、その他の波長帯域の光を反射する分波機能と、その逆の合波機能を有する光フィルタである。
【0021】
光送受信モジュールとしては、例えば、発光素子である半導体レーザ(LD)LD用集光レンズ、受光素子であるフォトダイオード(PD)、PD用集光レンズ、LDとPDのそれぞれに接続される光ファイバなどが備えられた光トランシーバを挙げることができる。
【0022】
ケース1aとカバー1bとは、同じ外寸となるように枠状に形成され、その中央部が光フィルタ86の表裏面を露出させるための窓となっている。ケース1aの厚さは、光フィルタ86を嵌め込む必要があるので、カバー1bの厚さよりも厚くなるようにしている。
【0023】
ケース1aの内寸とカバー1bの後面側の内寸とは、同じ寸法であり、光フィルタ86の外寸よりもやや小さくなっている。これは図2に示すように、光フィルタ86をフィルタ固定フレーム1内に収納して固定した際、光フィルタ86の表裏面が露出するようにするためである。
【0024】
ケース1aの前面には、光フィルタ86の外寸よりもやや大きい内寸の枠状の溝2が形成されている。溝2の深さは、光フィルタ86の厚さとほぼ同じになるようにしている。これは、光フィルタ86の外寸とケース1aの溝2の内寸の嵌め合いに余裕を持たせることで、光フィルタ86をケース1aに嵌め込むときの作業を容易にするためである。
【0025】
つまり、ケース1aとカバー1bの寸法は、図3(a)および図3(b)に示すように光フィルタ86がフィルタ固定フレーム1内を若干動くようになっていてもよく、要は図3(b)に示すように、光フィルタ86が溝2の縁に片寄ったときでも、ケース1aの内寸内(窓内)に光フィルタ86のない隙間が現れなければよい。
【0026】
これらケース1aとカバー1bは、例えば、アルミニウム、銅、スチールなどの溶接できる金属からなっている。最終的に光送受信モジュール内に組み込まれる点を考慮すると、放熱性が高いアルミニウムを使用するとよい。
【0027】
本発明に係る筐体を説明する。図4は、本発明に係る筐体の斜視図である。
【0028】
図4に示すように、本発明に係る筐体41は、図1〜図3(a)および図3(b)で説明したフィルタ固定フレーム1内に収納固定された光フィルタ86を光軸L1,L2に対して所定角度で固定するためのものであり、その一側面41rから内部にかけて光軸L1,L2に対して所定角度をなす穴としてのスリット42を形成したものである。本実施の形態では、光軸L1,L2に対する角度を約45°にしている。筐体41の上面41uには集光レンズ43uが、筐体41の前面41fには集光レンズ43fがそれぞれ取り付けられている。
【0029】
このスリット42は、光フィルタ86を収納したフィルタ固定フレーム1の外寸よりもやや大きい内寸の矩形体状に形成されている。また、スリット1は、光フィルタ86を収納固定した状態でフィルタ固定フレーム1が挿入固定されるので、その際、光フィルタ86表面の中心と光軸L1,L2が一致するように、かつ筐体41の一側面41rの対角線とフィルタ固定フレーム1の継ぎ目Xとが一致する位置に形成されている(後述する図5参照)。
【0030】
さて、本発明に係る光フィルタの固定方法を説明する。
【0031】
まず、図1に示すように、ケース1aの溝2に光フィルタ86を嵌め込み、ケース1aの前面にカバー1bを重ね合わせてフィルタ固定フレーム1内に光フィルタ86を収納する。その後、図2に示すように、ケース1aとカバー1bの継ぎ目X(図2中の太線)を溶接すると、光フィルタ86とフィルタ固定フレーム1とが一体化されて固定される。このとき、光フィルタ86の表裏面の大部分は露出した状態になる。継ぎ目Xの溶接した部分の良否は外観で判断できるので、容易に検査可能である。
【0032】
継ぎ目Xの溶接方法としては、例えば、シーム溶接機(例えば、シムシーラ)によるシーム溶接やYAGレーザによるレーザ溶接を行う方法を使用している。シーム溶接機は、上下に設けられた電極輪(円盤状の電極)で被溶接物の溶接したい部分を挟み、その電極輪を回転させながら通電することで、被溶接物の溶接したい部分を連続スポット溶接するものである。
【0033】
次に、図5に示すように、図4で説明した筐体41のスリット42に、光フィルタ86を収納固定したフィルタ固定フレーム1を挿入し、スリット42の入口Yを上述した継ぎ目Xと同様の方法で溶接すると、光フィルタ86を収納固定したフィルタ固定フレーム1と筐体41とが一体化されて固定される。これにより、筐体41内に光フィルタ86を光軸L1,L2に対して45°で容易に固定できる。
【0034】
このとき、光フィルタ86表面の中心と光軸L1,L2が一致し、かつ筐体41の一側面41rの対角線とフィルタ固定フレーム1の継ぎ目Xとが一致した状態になる。入口Yの溶接した部分の良否も外観で判断できるので、容易に検査可能である。
【0035】
このように、本発明に係る光フィルタの固定方法は、図8(a)〜(f)で説明した従来の光フィルタの固定方法とは異なり、接着剤を用いていない点に特徴がある。
【0036】
従来の方法では、光フィルタ86の筐体87内への取り付けに際して様々な箇所において接着剤を用いていたために、接着剤の塗布量の管理が必要であるという問題が生じ、その管理の良否によっては製品の信頼性や品質に悪影響を与える場合もあった。また、製品完成後に接着剤の塗布量が適量に守られているか外観で検査できなかった。
【0037】
これに対して本発明に係る方法は、フィルタ固定フレーム1内に光フィルタ86を収納して溶接によって固定し、他方、筐体41に光軸L1,L2に対して所定角度をなすスリット42を形成しておき、そのスリット42に、光フィルタ86を収納固定したフィルタ固定フレーム1を挿入して溶接によって固定しているので、筐体41内に光フィルタ86を光軸L1,L2に対して所定角度で容易に固定できる。したがって、光フィルタ86の固定に接着剤が不要となり、接着剤の塗布量の管理をする必要もなくなる。
【0038】
また、光フィルタ86は、フィルタ固定フレーム1と筐体41とによって機械的に固定されており、しかもケース1aとカバー1bが溶接によって一体化され、フィルタ固定フレーム1と筐体41が溶接によって一体化されているので、製品の長期信頼性という点では、接着剤を使用した場合に比べてはるかに優れている。
【0039】
溶接した部分の良否は外観で判断できるので、容易に検査することが可能となり、製品の品質がより一層向上する。
【0040】
次に、フィルタ固定フレームとスリットのクリアランスについて説明する。図6は、本発明に係る光フィルタの固定方法を用いて作製した光送受信モジュールの側面図である。図7は、フィルタ固定フレームとスリットのクリアランスを説明する図である。
【0041】
図6に示すように、光送受信モジュール61は、筐体41の前面41fに受光素子としてのPD62が取り付けられている。このPD62は、調芯機により、その光軸が集光レンズ43fの光軸と一致するように調芯されている。一般に調芯機で調芯できる範囲(トレランスあるいは公差)は±250μmである。
【0042】
フィルタ固定フレーム1の光軸に対する所定角度からのズレが大きくなると、光フィルタ86の光軸に対する所定角度からのズレも大きくなり、光送受信モジュール61においてPD62を調芯できなくなる。
【0043】
そこで、本実施の形態においては、フィルタ固定フレーム1とスリット42とを、そのスリットに光フィルタ86を収納したフィルタ固定フレーム1を挿入した際、光フィルタ86が光軸に対して所定角度から±2°以内のクリアランスを有するように形成している。
【0044】
このクリアランスは、具体的には次のようにして決定した。図7に示すように、光フィルタ86が光軸に対して45°の所定角度で筐体41内に固定されているとする(図7中の太線)。この場合、筐体41の上面41uから光フィルタ86に垂直に入射した入射光a1は、その一部が光フィルタ86で反射されて90°向きを変え、筐体41の前面41fに向かう光a2となる。
【0045】
しかし、入射光a1および光a2は、部品の加工精度などの部品公差により、最大40μmのズレが生じる(図7中の点線矢印)。この点を考慮すると、調芯機で調芯する範囲は±210μmが望ましい。また、光フィルタ86表面の中心とPD62間の距離、すなわちZ軸トレランスTzは一般に約3mmなので、光フィルタ86の光軸に対する傾きが45°±2.3°以内、特にマージンをとれば、45°±2°以内(図7中の点線)望ましい。したがって、フィルタ固定フレーム1とスリット42とのクリアランスは±2°以内が最適である。
【0046】
このクリアランスがある場合には、スリット42に挿入したフィルタ固定フレーム1を仮に固定し、PD62の調芯を行った後、図5で説明したスリット42の入口Yの溶接を行うようにする。
【0047】
なお、光送受信モジュール61には、図示しない発光素子としてのLDも備えられているが、この場合のクリアランスの決定方法もPD62の場合と同様である。
【0048】
上記実施の形態では、光フィルタ86を光軸L1,L2に対して45°で固定する方法について説明したが、図4で説明した筐体41に形成するスリット42を用途に応じて変形すれば、光フィルタ86を光軸L1,L2に対して所望の角度で固定できる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば、次のような優れた効果を発揮する。
【0050】
(1)接着剤が不要である。
【0051】
(2)製品の長期信頼性が優れている。
【0052】
(3)製品の品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフィルタ固定フレームの組立分解図である。
【図2】光フィルタを収納して一体化したフィルタ固定フレームの斜視図である。
【図3】図3(a)および図3(b)は、図2の3A−3A線断面図の一例である。
【図4】本発明に係る筐体の斜視図である。
【図5】本発明の好適実施の形態(図2で示した光フィルタを収納したフィルタ固定フレームと、図4で示した筐体とを一体化した状態)を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る方法を用いて作製した光送受信モジュールの側面図である。
【図7】フィルタ固定フレームとスリットとのクリアランスを説明する図である。
【図8】図8(a)〜(f)は、従来の光フィルタの固定方法を説明する図である。
【符号の説明】
1 フィルタ固定フレーム
1a ケース
1b カバー
41 筐体
42 スリット(穴)
86 光フィルタ
X ケースとカバーとの継ぎ目
Y スリットの入口

Claims (4)

  1. 筐体内に光フィルタを光軸に対して所定角度で固定する方法において、フィルタ固定フレーム内に上記光フィルタを収納して固定し、他方、上記筐体に光軸に対して所定角度をなす穴を形成しておき、その穴に、上記光フィルタを収納したフィルタ固定フレームを挿入して固定することを特徴とする光フィルタの固定方法。
  2. 上記フィルタ固定フレームは、上記光フィルタが嵌め込まれるケースと、そのケースに重ね合わせられるカバーとからなる請求項1記載の光フィルタの固定方法。
  3. 上記フィルタ固定フレーム内に上記光フィルタを収納し、その光フィルタを収納した上記ケースと上記カバーとの継ぎ目を溶接して一体化し、上記穴に一体化したフィルタ固定フレームを挿入し、その穴の入口を溶接して上記筐体と一体化する請求項1または2記載の光フィルタの固定方法。
  4. 上記フィルタ固定フレームと上記穴とは、その穴に上記光フィルタを収納したフィルタ固定フレームを挿入した際、上記光フィルタが光軸に対して所定角度から±2°以内のクリアランスを有するように形成される請求項1〜3いずれかに記載の光フィルタの固定方法。
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TWI614543B (zh) * 2016-06-14 2018-02-11 國立臺灣科技大學 光學系統
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