JP2004170491A - 光学装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】力パスによる歪みの影響を除去可能な、光学部材を保持する光学装置の提供。
【解決手段】光学部材40は、レンズとして機能するレンズ部40aと、光学部材40を支持する支持体1が取り付けられる枠部40bと、枠部40bとレンズ部40aとを接続するとともに、枠部40bで生じた歪みがレンズ部40aに伝達されるのを阻止するストレスリリーフ40cとを備えている。支持体1を取り付けたときの支持点Bを結ぶ力パス401〜403は、枠部40b内を通過する。その結果、支持体1を取り付けたときち生じる応力は枠部40bの力パス401〜403の周囲に集中し、力パスが通過しないレンズ部40aに応力が生じるのを防止することができる。
【選択図】 図3
【解決手段】光学部材40は、レンズとして機能するレンズ部40aと、光学部材40を支持する支持体1が取り付けられる枠部40bと、枠部40bとレンズ部40aとを接続するとともに、枠部40bで生じた歪みがレンズ部40aに伝達されるのを阻止するストレスリリーフ40cとを備えている。支持体1を取り付けたときの支持点Bを結ぶ力パス401〜403は、枠部40b内を通過する。その結果、支持体1を取り付けたときち生じる応力は枠部40bの力パス401〜403の周囲に集中し、力パスが通過しないレンズ部40aに応力が生じるのを防止することができる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ等の光学部材を支持部材で支持した光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レンズやミラー等の光学部材を保持する方法としては、例えば、鏡筒内にレンズを装着し、レンズの有効径よりも大きな内径を有するリング状部材を用いて、レンズ外周縁部をレンズ装着部方向に押圧固定する方法が用いられている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
【特許文献1】
実開平6−4718号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、リング状部材を用いてレンズ外周縁部を押さえる構造であっても、実際にはレンズ外周縁部の全周が押圧されているわけではなく、基本的には外周縁部の任意の3点が鏡筒側装着部に接触することによってレンズが固定されている。
【0005】
このとき、押圧力が作用する隣合う接触点同士を結んだ線は力(りき)パスとよばれ、この力パスの通る部分に応力が集中してその部分に歪みが生じやすいという傾向があった。上記のような従来の技術によれば、この力パスがレンズ有効径の内部を通過するため、レンズの性能に大きな影響を与えることになる。例えば、投影露光装置の対物レンズは高精度であることが要求されるため、このような歪みが問題となりやすい。
【0006】
本発明は、力パスによる歪みの影響を除去可能な、光学部材を保持する光学装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光学機能領域およびその領域外に延在する周辺領域を有する光学部材と、周辺領域の少なくとも3点を支持し、隣り合う支持点同士を結ぶ力パスの全てが周辺領域を通過するように支持する支持部材とを備えたことを特徴とする。
また、光学部材の周辺領域が、支持部材により支持されて前記力パスが通過する枠部と、枠部と光学機能領域とを接続し、枠部で生じた歪みが前記光学機能領域に伝達されるのを阻止するストレスリリーフとを備えるようにしても良い。
さらに、本発明は、光学機能部材と、光学機能部材を保持する保持部と、保持部の少なくとも3点を支持する支持部とを備え、保持部に、(a)支持部により支持され、隣合う支持点同士を結ぶ力パスの全てが通過する枠部と、(b)枠部と光学機能部材とを接続し、枠部で生じた歪みが光学機能部材に伝達されるのを阻止するストレスリリーフとを設けたことを特徴とする。
なお、ストレスリリーフを薄板状部材で形成し、光学部材または光学機能部材の重心位置が、ストレスリリーフの厚さ方向中心面内に含まれるようにしても良い。
さらに、光学部材の重心位置または光学機能部材,枠部およびストレスリリーフを合わせた全体の重心位置が、支持部材の支持点により形成される面内に含まれるようにしても良い。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。
−第1の実施の形態−
図1は本発明による光学装置の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図である。図1(a)〜(c)に示す光学装置は、例えば、投影露光装置の対物レンズ系として使用される。正三角形状をした光学部材2は、その中央部に形成されてレンズとして機能する領域(すなわち光学機能領域)である光学機能部2aと、その周辺領域を構成する枠部2bとを有している。
【0009】
枠部2bの各頂点部分には、支持体1を取り付ける取付面2cが形成されている。各支持体1は接着剤5により取付面2cに固着される。光学部材2に固着された各支持体1は、ボルト6によって露光装置等の装着面7に固定される。支持体1は一般的に金属で形成され、光学部材2が接着される接着部1aと、装着面7にボルト固定される固定部1bと、それらの間に設けられた弾性部1cとから成り、バネ構造になっている。そのため、各支持体1を装着面7に固定した際に生じる応力が、光学部材2側に伝わり難い構造となっている。弾性部1cは、接着部1aの厚さ方向に関してその中央部分に接続するように形成されている。
【0010】
弾性部1cは図1(b)に示すような二股に分かれた2つの支柱からなり、各支柱の中心線101、102が交わる点Bは光学部材2に対する支持点(すなわち作用点)となっている。そして、各支持体1は、3つの支持点Bが形成する平面内に光学部材2の重心Gが含まれるように光学部材2に固着される。このように構成することにより、装置側に外乱などによる振動が生じた場合でもモーメントが作用し難くなり、光学部材2への外乱の影響を抑制することができる。
【0011】
図1(a)の一点鎖線103〜105は隣り合う支持点B同士を結んだ線であり、一般的に力パスと呼ばれるのもである。支持体1で光学部材2を支持すると光学部材2内に応力が生じるが、応力は力パス103〜105の通過する部分に集中する。そのため、光学部材2は、力パス103〜105が通っている部分に歪みが生じやすい。
【0012】
例えば、図2(a),(b)の比較例に示すように、レンズ29をレンズ室30に装着して押さえ環31で押さえつける光学装置の場合、実際には押さえ環31上の特定の3点33がレンズ29と当接することになる。そのため、押さえ環31を締め付けると、当接点33を結ぶ力パス32が通っている部分に応力が集中し、そのレンズ部分に歪みが生じることになる。図2(a),(b)に示すような構成では、力パス32はレンズ29の有効径の内部(すなわち光学機能部)を通過することになり、レンズ性能に大きな影響を与える。なお、図2において(a)は光学装置の平面図であり、(b)は断面図である。
【0013】
しかしながら、本実施の形態では、レンズとして機能する光学機能部2aの周囲に枠部2bを形成し、その枠部2bを各支持体1で支持するようにしたので、力パス103〜105が有効径部2a内を通過することがない。光学部材2の場合には力パス103〜105は全て枠部2bを通過しており、枠部2bに応力が集中するようになっている。
【0014】
すなわち、枠部2bは光学機能部2aに対して強度部材として機能しており、これによって応力による光学機能部2aの変形を防止することができる。そのため、組み立て調整時にボルト6を締め付けた際や、環境の変化によって支持体1や装着面7が変形した場合であっても、それによる応力のほとんどは力パス103〜105に沿って伝わるため、光学機能部2aには応力がほとんど伝達されない。
【0015】
なお、上述した第1の実施の形態では光学部材2を三角形としたが、力パスが光学機能部2aを通過しない形状であれば三角形に限らず四角形や円形であっても良い。また、支持点Bの数すなわち支持体1の数を3より多くして、4点支持以上としても良い。
【0016】
−第2の実施の形態−
図3は光学装置の第2の実施の形態を示す図であり、図1の場合と同様に(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はC−C断面図である。図3に示す例では、光学部材40を除く他の構成については図1の場合と同様であり、以下では光学部材40を中心に説明する。光学部材40は光学機能領域を構成するレンズ部40aと、その周縁領域に設けられた枠部40bおよびストレスリリーフ40cで構成されており、それらは正三角形状のガラス部材から一体で形成される。
【0017】
ストレスリリーフ40cはガラス部材を薄板状に形成したものであり、レンズ部40aはストレスリリーフ40cを介して枠部40bに保持されている。ストレスリリーフ40cは、その厚さ方向の中心を形成する面とレンズ部40aの重心Gとが一致するように形成されている。レンズ部40aの重心Gと光学部材40全体の重心とは一致しており、第1の実施の形態と同様に重心Gが3つの支持点Bが形成する平面内に含まれるように、各支持体1が光学部材40に固着されている。このような構成とすることにより、装置側に外乱などによる振動が生じた場合でもモーメントが作用しにくくなり、光学部材40への外乱の影響を抑制することができる。
【0018】
隣り合う支持点B同士を結ぶ力パス401〜403は、上述した第1の実施の形態と同様に、全て枠部40bを通過している。枠部40bは強度部材として充分な厚さを有するように構成され、支持点Bからの力による応力は力パス401〜403に沿って生じる。枠部40bに歪みが生じても、薄板状のストレスリリーフ40cが緩衝領域となってレンズ部40aに対して影響を及ぼさない。そのため、組み立て調整時にボルト6を締め付けた際や、環境の変化によって支持体1や装着面7が変形した場合であっても、レンズ部40aに応力が生じることがなく、レンズ性能の低下を防止することができる。また、レンズ部40aの全領域を光学的に有効な領域として利用することができる。
【0019】
−第3の実施の形態−
図4は光学装置の第3の実施の形態を示す図であり、図1の場合と同様に(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はD−D断面図である。光学機能部材であるレンズ50は正三角形状の保持部材51により保持され、その保持部材51は支持体52を介して装置側の装着面7に固定される。保持部材51は例えば金属で形成され、充分な厚みを有する枠部51aと、薄板状のストレスリリーフ51bとで構成されている。ここでは保持部材51を金属製としたが、金属以外の材料を用いてもかまわない。
【0020】
各ストレスリリーフ51bの先端部分に形成されたレンズ保持部51cは、レンズ保持部51cの側面に接着剤5を用いて固着されている。その結果、レンズ50がストレスリリーフ51bを介して保持部材51により保持される。このとき、レンズ50の重心Gと各ストレスリリーフ51bの厚さ方向の中心面とが一致するように、レンズ50をレンズ保持部51cに固着する。なお、正三角形状の保持部材51の重心位置はレンズ50の重心Gと一致しており、レンズ50と保持部材51とを合わせた全体の重心も重心Gと一致している。このような構成とすることにより、装置側に外乱などによる振動が生じた場合でもモーメントが作用しにくくなり、レンズ50への外乱の影響を抑制することができる。
【0021】
支持体52は、保持部材51が取り付けられる取付部52aと、装置側の装着面にボルト固定される固定部52bと、それらの間に設けられた弾性部52cとから成る。支持体52と図1に示した支持体1とを比較すると、取付部52aの構造が異なっている他は同様の構造となっている。
【0022】
図4に示す例では、取付部52aを保持部材51にボルト固定することにより、保持部材51に各支持体52が取り付けられる。もちろん、第1および第2の実施の形態と同様に接着剤により固定してもよい。保持部材51は、重心Gが各支持体52の支持点Bが形成する平面内に含まれるように取り付けられる。
【0023】
隣り合う支持点B同士を結ぶ力パス501〜503は、保持部材51の十分な強度を有する枠部51a内を通過している。そのため、組み立て調整時にボルト6,53を締め付けた際や、環境の変化によって支持体52や装着面7が変形した場合、そのときの応力は力パス501〜503に沿って生じ、ほとんど保持部材51内に集中する。また、保持部材51に歪みが生じても、レンズ50はストレスリリーフ51bを介して保持されているため、歪みはストレスリリーフ51bによって吸収され、レンズ50までその影響が及ぼすことがない。よって、応力によるレンズ50の性能の低下を防止することができる。
【0024】
上述した実施の形態では光学機能部としてレンズの場合を例に説明したが、レンズに限らずミラー等にも本発明は適用できる。すなわち、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、支持点を結ぶ力パスが光学機能領域や光学機能部材を通過しないので、光学機能領域や光学機能部材の変形を防止できる。その結果、光学装置の光学精度を高精度に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光学装置の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図である。
【図2】比較例を示す図であり、(a)はレンズ室30に納められたレンズ29の平面図、(b)は断面図である。
【図3】光学装置の第2の実施の形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はC−C断面図である。
【図4】光学装置の第3の実施の形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はD−D断面図である。
【符号の説明】
1,52 支持体
2,40 光学部材
2a 光学機能部
2b,40b,51a 枠部
5 接着剤
6,53 ボルト
7 装着面
32,103〜105,401〜403,501〜503 力パス
40b レンズ部
40c,51b ストレスリリーフ
50 レンズ
51 保持部材
B 支持点
G 重心
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ等の光学部材を支持部材で支持した光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レンズやミラー等の光学部材を保持する方法としては、例えば、鏡筒内にレンズを装着し、レンズの有効径よりも大きな内径を有するリング状部材を用いて、レンズ外周縁部をレンズ装着部方向に押圧固定する方法が用いられている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
【特許文献1】
実開平6−4718号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、リング状部材を用いてレンズ外周縁部を押さえる構造であっても、実際にはレンズ外周縁部の全周が押圧されているわけではなく、基本的には外周縁部の任意の3点が鏡筒側装着部に接触することによってレンズが固定されている。
【0005】
このとき、押圧力が作用する隣合う接触点同士を結んだ線は力(りき)パスとよばれ、この力パスの通る部分に応力が集中してその部分に歪みが生じやすいという傾向があった。上記のような従来の技術によれば、この力パスがレンズ有効径の内部を通過するため、レンズの性能に大きな影響を与えることになる。例えば、投影露光装置の対物レンズは高精度であることが要求されるため、このような歪みが問題となりやすい。
【0006】
本発明は、力パスによる歪みの影響を除去可能な、光学部材を保持する光学装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光学機能領域およびその領域外に延在する周辺領域を有する光学部材と、周辺領域の少なくとも3点を支持し、隣り合う支持点同士を結ぶ力パスの全てが周辺領域を通過するように支持する支持部材とを備えたことを特徴とする。
また、光学部材の周辺領域が、支持部材により支持されて前記力パスが通過する枠部と、枠部と光学機能領域とを接続し、枠部で生じた歪みが前記光学機能領域に伝達されるのを阻止するストレスリリーフとを備えるようにしても良い。
さらに、本発明は、光学機能部材と、光学機能部材を保持する保持部と、保持部の少なくとも3点を支持する支持部とを備え、保持部に、(a)支持部により支持され、隣合う支持点同士を結ぶ力パスの全てが通過する枠部と、(b)枠部と光学機能部材とを接続し、枠部で生じた歪みが光学機能部材に伝達されるのを阻止するストレスリリーフとを設けたことを特徴とする。
なお、ストレスリリーフを薄板状部材で形成し、光学部材または光学機能部材の重心位置が、ストレスリリーフの厚さ方向中心面内に含まれるようにしても良い。
さらに、光学部材の重心位置または光学機能部材,枠部およびストレスリリーフを合わせた全体の重心位置が、支持部材の支持点により形成される面内に含まれるようにしても良い。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。
−第1の実施の形態−
図1は本発明による光学装置の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図である。図1(a)〜(c)に示す光学装置は、例えば、投影露光装置の対物レンズ系として使用される。正三角形状をした光学部材2は、その中央部に形成されてレンズとして機能する領域(すなわち光学機能領域)である光学機能部2aと、その周辺領域を構成する枠部2bとを有している。
【0009】
枠部2bの各頂点部分には、支持体1を取り付ける取付面2cが形成されている。各支持体1は接着剤5により取付面2cに固着される。光学部材2に固着された各支持体1は、ボルト6によって露光装置等の装着面7に固定される。支持体1は一般的に金属で形成され、光学部材2が接着される接着部1aと、装着面7にボルト固定される固定部1bと、それらの間に設けられた弾性部1cとから成り、バネ構造になっている。そのため、各支持体1を装着面7に固定した際に生じる応力が、光学部材2側に伝わり難い構造となっている。弾性部1cは、接着部1aの厚さ方向に関してその中央部分に接続するように形成されている。
【0010】
弾性部1cは図1(b)に示すような二股に分かれた2つの支柱からなり、各支柱の中心線101、102が交わる点Bは光学部材2に対する支持点(すなわち作用点)となっている。そして、各支持体1は、3つの支持点Bが形成する平面内に光学部材2の重心Gが含まれるように光学部材2に固着される。このように構成することにより、装置側に外乱などによる振動が生じた場合でもモーメントが作用し難くなり、光学部材2への外乱の影響を抑制することができる。
【0011】
図1(a)の一点鎖線103〜105は隣り合う支持点B同士を結んだ線であり、一般的に力パスと呼ばれるのもである。支持体1で光学部材2を支持すると光学部材2内に応力が生じるが、応力は力パス103〜105の通過する部分に集中する。そのため、光学部材2は、力パス103〜105が通っている部分に歪みが生じやすい。
【0012】
例えば、図2(a),(b)の比較例に示すように、レンズ29をレンズ室30に装着して押さえ環31で押さえつける光学装置の場合、実際には押さえ環31上の特定の3点33がレンズ29と当接することになる。そのため、押さえ環31を締め付けると、当接点33を結ぶ力パス32が通っている部分に応力が集中し、そのレンズ部分に歪みが生じることになる。図2(a),(b)に示すような構成では、力パス32はレンズ29の有効径の内部(すなわち光学機能部)を通過することになり、レンズ性能に大きな影響を与える。なお、図2において(a)は光学装置の平面図であり、(b)は断面図である。
【0013】
しかしながら、本実施の形態では、レンズとして機能する光学機能部2aの周囲に枠部2bを形成し、その枠部2bを各支持体1で支持するようにしたので、力パス103〜105が有効径部2a内を通過することがない。光学部材2の場合には力パス103〜105は全て枠部2bを通過しており、枠部2bに応力が集中するようになっている。
【0014】
すなわち、枠部2bは光学機能部2aに対して強度部材として機能しており、これによって応力による光学機能部2aの変形を防止することができる。そのため、組み立て調整時にボルト6を締め付けた際や、環境の変化によって支持体1や装着面7が変形した場合であっても、それによる応力のほとんどは力パス103〜105に沿って伝わるため、光学機能部2aには応力がほとんど伝達されない。
【0015】
なお、上述した第1の実施の形態では光学部材2を三角形としたが、力パスが光学機能部2aを通過しない形状であれば三角形に限らず四角形や円形であっても良い。また、支持点Bの数すなわち支持体1の数を3より多くして、4点支持以上としても良い。
【0016】
−第2の実施の形態−
図3は光学装置の第2の実施の形態を示す図であり、図1の場合と同様に(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はC−C断面図である。図3に示す例では、光学部材40を除く他の構成については図1の場合と同様であり、以下では光学部材40を中心に説明する。光学部材40は光学機能領域を構成するレンズ部40aと、その周縁領域に設けられた枠部40bおよびストレスリリーフ40cで構成されており、それらは正三角形状のガラス部材から一体で形成される。
【0017】
ストレスリリーフ40cはガラス部材を薄板状に形成したものであり、レンズ部40aはストレスリリーフ40cを介して枠部40bに保持されている。ストレスリリーフ40cは、その厚さ方向の中心を形成する面とレンズ部40aの重心Gとが一致するように形成されている。レンズ部40aの重心Gと光学部材40全体の重心とは一致しており、第1の実施の形態と同様に重心Gが3つの支持点Bが形成する平面内に含まれるように、各支持体1が光学部材40に固着されている。このような構成とすることにより、装置側に外乱などによる振動が生じた場合でもモーメントが作用しにくくなり、光学部材40への外乱の影響を抑制することができる。
【0018】
隣り合う支持点B同士を結ぶ力パス401〜403は、上述した第1の実施の形態と同様に、全て枠部40bを通過している。枠部40bは強度部材として充分な厚さを有するように構成され、支持点Bからの力による応力は力パス401〜403に沿って生じる。枠部40bに歪みが生じても、薄板状のストレスリリーフ40cが緩衝領域となってレンズ部40aに対して影響を及ぼさない。そのため、組み立て調整時にボルト6を締め付けた際や、環境の変化によって支持体1や装着面7が変形した場合であっても、レンズ部40aに応力が生じることがなく、レンズ性能の低下を防止することができる。また、レンズ部40aの全領域を光学的に有効な領域として利用することができる。
【0019】
−第3の実施の形態−
図4は光学装置の第3の実施の形態を示す図であり、図1の場合と同様に(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はD−D断面図である。光学機能部材であるレンズ50は正三角形状の保持部材51により保持され、その保持部材51は支持体52を介して装置側の装着面7に固定される。保持部材51は例えば金属で形成され、充分な厚みを有する枠部51aと、薄板状のストレスリリーフ51bとで構成されている。ここでは保持部材51を金属製としたが、金属以外の材料を用いてもかまわない。
【0020】
各ストレスリリーフ51bの先端部分に形成されたレンズ保持部51cは、レンズ保持部51cの側面に接着剤5を用いて固着されている。その結果、レンズ50がストレスリリーフ51bを介して保持部材51により保持される。このとき、レンズ50の重心Gと各ストレスリリーフ51bの厚さ方向の中心面とが一致するように、レンズ50をレンズ保持部51cに固着する。なお、正三角形状の保持部材51の重心位置はレンズ50の重心Gと一致しており、レンズ50と保持部材51とを合わせた全体の重心も重心Gと一致している。このような構成とすることにより、装置側に外乱などによる振動が生じた場合でもモーメントが作用しにくくなり、レンズ50への外乱の影響を抑制することができる。
【0021】
支持体52は、保持部材51が取り付けられる取付部52aと、装置側の装着面にボルト固定される固定部52bと、それらの間に設けられた弾性部52cとから成る。支持体52と図1に示した支持体1とを比較すると、取付部52aの構造が異なっている他は同様の構造となっている。
【0022】
図4に示す例では、取付部52aを保持部材51にボルト固定することにより、保持部材51に各支持体52が取り付けられる。もちろん、第1および第2の実施の形態と同様に接着剤により固定してもよい。保持部材51は、重心Gが各支持体52の支持点Bが形成する平面内に含まれるように取り付けられる。
【0023】
隣り合う支持点B同士を結ぶ力パス501〜503は、保持部材51の十分な強度を有する枠部51a内を通過している。そのため、組み立て調整時にボルト6,53を締め付けた際や、環境の変化によって支持体52や装着面7が変形した場合、そのときの応力は力パス501〜503に沿って生じ、ほとんど保持部材51内に集中する。また、保持部材51に歪みが生じても、レンズ50はストレスリリーフ51bを介して保持されているため、歪みはストレスリリーフ51bによって吸収され、レンズ50までその影響が及ぼすことがない。よって、応力によるレンズ50の性能の低下を防止することができる。
【0024】
上述した実施の形態では光学機能部としてレンズの場合を例に説明したが、レンズに限らずミラー等にも本発明は適用できる。すなわち、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、支持点を結ぶ力パスが光学機能領域や光学機能部材を通過しないので、光学機能領域や光学機能部材の変形を防止できる。その結果、光学装置の光学精度を高精度に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光学装置の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図である。
【図2】比較例を示す図であり、(a)はレンズ室30に納められたレンズ29の平面図、(b)は断面図である。
【図3】光学装置の第2の実施の形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はC−C断面図である。
【図4】光学装置の第3の実施の形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はD−D断面図である。
【符号の説明】
1,52 支持体
2,40 光学部材
2a 光学機能部
2b,40b,51a 枠部
5 接着剤
6,53 ボルト
7 装着面
32,103〜105,401〜403,501〜503 力パス
40b レンズ部
40c,51b ストレスリリーフ
50 レンズ
51 保持部材
B 支持点
G 重心
Claims (5)
- 光学機能領域およびその領域外に延在する周辺領域を有する光学部材と、
前記周辺領域の少なくとも3点を支持し、隣り合う支持点同士を結ぶ力パスの全てが前記周辺領域を通過するように支持する支持部材とを備えたことを特徴とする光学装置。 - 請求項1に記載の光学装置において、
前記光学部材の周辺領域は、
前記支持部材により支持されて前記力パスが通過する枠部と、
前記枠部と前記光学機能領域とを接続し、前記枠部で生じた歪みが前記光学機能領域に伝達されるのを阻止するストレスリリーフとを備えることを特徴とする光学装置。 - 光学機能部材と、
前記光学機能部材を保持する保持部と、
前記保持部の少なくとも3点を支持する支持部とを備え、
前記保持部に、(a)前記支持部により支持され、隣合う支持点同士を結ぶ力パスの全てが通過する枠部と、(b)前記枠部と前記光学機能部材とを接続し、前記枠部で生じた歪みが前記光学機能部材に伝達されるのを阻止するストレスリリーフとを設けたことを特徴とする光学装置。 - 請求項2または3に記載の光学装置において、
前記ストレスリリーフを薄板状部材で形成し、
前記光学部材または前記光学機能部材の重心位置が、前記ストレスリリーフの厚さ方向中心面内に含まれるようにしたことを特徴とする光学装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の光学装置において、
前記光学部材の重心位置または前記光学機能部材,枠部およびストレスリリーフを合わせた全体の重心位置が、前記支持部材の支持点により形成される面内に含まれるようにしたことを特徴とする光学装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002333373A JP2004170491A (ja) | 2002-11-18 | 2002-11-18 | 光学装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002333373A JP2004170491A (ja) | 2002-11-18 | 2002-11-18 | 光学装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004170491A true JP2004170491A (ja) | 2004-06-17 |
Family
ID=32698102
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002333373A Pending JP2004170491A (ja) | 2002-11-18 | 2002-11-18 | 光学装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004170491A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113155826A (zh) * | 2020-01-07 | 2021-07-23 | 深圳华大智造科技有限公司 | 检测装置 |
-
2002
- 2002-11-18 JP JP2002333373A patent/JP2004170491A/ja active Pending
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CN113155826A (zh) * | 2020-01-07 | 2021-07-23 | 深圳华大智造科技有限公司 | 检测装置 |
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