JP2004170428A - 癌の診断、モニタリング、ステージング、イメージングおよび処置のための新規方法 - Google Patents

癌の診断、モニタリング、ステージング、イメージングおよび処置のための新規方法 Download PDF

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Abstract

【課題】癌の検出、診断、モニタリング、ステージング、予後判定、イメージングおよび処置のための新しい方法を提供する。
【解決手段】患者の細胞、組織または体液におけるLng108のレベルと正常ヒト対照からの細胞、組織または体液におけるLng108レベルとを比較することにより、癌の検出、診断、モニタリング、ステージング、予後判定、イメージング及び処置のための診断方法および診断アッセイを提供する。特に、肺癌の検出、診断、モニタリング、ステージング、予後判定、イメージングに有用である。
【選択図】 なし

Description

発明の属する技術分野
本発明の一部は、癌、特に肺癌の検出、診断、モニタリング、ステージング、
予後判定、イメージングおよび処置のための新規に開発されたアッセイに関する。
肺癌は、米国で男性女性両方における2番目に最も多い種類の癌であり、両方の性における癌による死の最も多い原因である。肺癌は、肺に由来する原発性腫瘍、または、腸管または乳房などの他の器官から播種された二次性腫瘍に結果することができる。原発性肺癌は、小細胞肺癌、非小細胞肺癌および中皮腫の3つの主要な種類に分かれる。小細胞肺癌は、癌細胞が独特のエンバクの形状をしているため、「エンバク細胞」肺癌とも呼ばれている。非小細胞肺癌には3つの種類がある。これらは、同様な挙動を示し、処置に対して小細胞肺癌とは異なる反応をするために共にまとめられている。3つの種類とは、扁平上皮癌、腺癌および大細胞癌である。扁平上皮癌は、最も多い種類の肺癌である。それは、気道を裏打ちする細胞に由来する。腺癌も気道を裏打ちする細胞に由来する。しかしながら、腺癌は、粘液(痰)を産生する特殊な種類の細胞に由来する。大細胞肺癌は、細胞が顕微鏡下で見たときに大きく丸く見えるためにこのように命名された。中皮腫は、胸膜と呼ばれる肺の被膜を冒す珍しい種類の癌である。中皮腫はしばしばアスベストへの暴露により生ずる。
二次性肺癌は、体内のどこか別の部位(例えば乳房または腸管)で発生し、肺に播種された癌である。二次性肺癌の処置の選択は、該癌がどこで発生したかに依存する。換言すると、乳房から播種された癌は、乳癌の処置に反応し、腸管から播種された癌は腸癌の処置に反応するはずである。
癌のステージは、癌がどの程度まで播種されたかを示す。ステージングは、処置がしばしば癌のステージによって決定されるので重要である。ステージングは、非小細胞肺癌と小細胞肺癌で異なる。
非小細胞癌は4つのステージに分けることができる。ステージIはリンパ節に癌がない、極めて局在化した癌である。ステージIIの癌は罹患肺の上部のリンパ節に播種されている。ステージIIIの癌は、癌が発生した部位の近傍に播種されている。これは、胸壁、肺の被膜(胸膜)、胸部の中央(縦隔)またはその他のリンパ節であることができる。ステージIVの癌は、体の他の部位に播種されている。
小細胞肺癌は疾患の進行のかなり早期に播種されるので、小細胞肺癌は、2つの群にのみ分けられる。これらは、癌が1つの肺および近傍のリンパ節にしか見ることができない限局型の疾患、および、癌が肺の外側の胸部、または、体の他の部位に播種された進展型の疾患である。さらに、播種がスキャンで明白でない場合でさえ、いくつかの癌細胞はそこを離れ、血流またはリンパ系を通じて移動していると考えられる。したがって、安全のために、小細胞肺癌は、二次性癌が見られても見られなくとも、それらが播種されたものとして処置することが好ましい。極めて早期の場合を除き、手術は小細胞肺癌の処置に通常は用いられないため、ステージングは、いくつかの他の種類の癌でのようには重要ではない。放射線治療を伴うまたは伴わない化学療法がしばしば使われる。最初に行なわれたスキャンおよびテストは、患者が処置にどれだけ反応したかを見るために後に用いられる。
肺癌の検出、診断、モニタリング、ステージングおよび予後判定のために用いられる手順は、患者の予後に関してきわめて重要である。例えば、早期の肺癌と診断された患者の5年生存率は、遠隔転移した肺癌と診断された患者の生存率に比べ、一般的に大変大きい。早期肺癌の検出に関してより高感度で特異的な新しい診断方法が明らかに必要とされている。
肺癌患者は最初の治療の後、および、アジュバント療法の期間中、治療への反応を決定し、転移の持続性疾患または再発性疾患を検出するために、緊密にモニタリングされる。肺癌、その再発および進行の検出に関してより高感度で特異的な肺癌マーカーが明らかに必要とされている。
肺癌の管理におけるその他の重要なステップは、患者の疾患のステージを決定することである。ステージの決定は、潜在的な予後判定価値を有しており、最適な治療の設計のために基準を提供する。一般的に、肺癌の病理学的ステージングは、臨床ステージングよりも好まれるが、これは前者がより正確な予後判定を与えるからである。しかしながら、臨床ステージングは、病理学的評価のために組織を採取する侵襲的な手順に依存しないため、もしそれが病理学的ステージングと同程度に正確なものであれば、好ましいだろう。細胞、組織または体液において、異なる浸潤ステージ間を差別化できる新しいマーカーを検出することにより肺癌のステージングを改善することができるだろう。
本明細書に参照として組込まれている米国特許第5,877,290号および米国特許第5,837,498号は、ヒトスタニウス小体、スタニオカルシンポリペプチドおよびこのポリペプチドをコードする核酸配列を開示している。また、このポリペプチドを電解質異常および骨吸収の亢進による異常の処置などの治療目的に用いる方法も開示されている。
本明細書でLng108と呼んでいるこのポリペプチドおよびこのポリペプチドをコードする核酸が、癌の診断用マーカーであることが現在見出されている。したがって、本発明では、Lng108を介した癌の検出、診断、モニタリング、ステージング、予後判定、in vivoでのイメージングおよび処置のための方法が提供されている。Lng108は、中でも、配列番号1または2のポリヌクレオチド配列を含む遺伝子により発現される天然のタンパク質に関する。それによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を推測したものを、配列番号3に記述した。本明細書で「Lng108」はまた、遺伝コードの縮重により、配列番号1または2に比べて異なる核酸配列を含むが、同じタンパク質をコードしているポリヌクレオチドも意味する。別の側面では、本明細書で用いるLng108により意味されるものは、配列番号1または2を含む遺伝子によりコードされる天然のmRNAを意味し、または、配列番号1または2を含む現在の遺伝子、または、配列番号1または2のアンチセンス配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能なポリヌクレオチドのレベルに関し得る。
本発明のその他の目的、特徴、利点および側面は、以下の説明により当業者に明らかになるだろう。しかしながら、以下の説明および具体例は、本発明の好ましい態様を示しているが、ただ説明のためにのみ与えられていると理解されるべきである。本開示発明の精神および範囲内の様々な変化および変更は、以下の説明を読み、本開示の他の部分を読むことにより、当業者に容易に明らかになるだろう。
本発明の概要
これらおよびその他の目標のため、本発明の目的は、細胞、組織または体液におけるLng108のレベルを、正常ヒト対照の好ましくは同種の細胞、組織または体液におけるLng108のレベルと比較した場合の変化を分析することにより癌の存在を診断するための方法を提供することであって、ここでは患者におけるLng108レベルの正常ヒト対照に対する変化が癌に関係している。
転移を有するとは知られていない癌を有する患者において、転移している癌を有する疑いのあるヒト患者を特定し、このような患者からの細胞、組織または体液試料をLng108について分析し、このような細胞、組織または体液におけるLng108のレベルを正常ヒト対照の好ましくは同種の細胞、組織または体液におけるLng108のレベルと比較することにより、転移性の癌を診断する方法がさらに提供され、ここでは患者におけるLng108のレベルの正常ヒト対照に対する増加が転移した癌に関係している。
また本発明により、癌を有するヒトにおいて、癌を有するヒト患者を特定し、このような患者からの細胞、組織または体液試料をLng108について分析し、このような細胞、組織または体液におけるLng108のレベルを正常ヒト対照の好ましくは同種の細胞、組織または体液におけるLng108のレベルと比較することにより、癌をステージングする方法も提供され、ここでは患者におけるLng108のレベルの正常ヒト対照に対する増加が進行している癌に関係し、そして、Lng108レベルの減少が消退しているまたは寛解期にある癌に関係している。
さらに、ヒト患者における癌を、転移の開始についてモニタリングする方法が提供される。該方法は、転移を有するとは知られていない癌を有するヒト患者を特定し、このような患者からの細胞、組織または体液試料をLng108について定期的に分析し、このような細胞、組織または体液におけるLng108のレベルを正常ヒト対照の好ましくは同種の細胞、組織または体液試料におけるLng108のレベルと比較することを含み、ここでは患者におけるLng108のレベルの正常ヒト対照に対する増加が転移した癌に関係している。
さらに、ヒト患者における癌のステージの変化を、該患者のLng108レベルを調べることによりモニタリングする方法が提供される。該方法は、癌を有するヒト患者を特定し、このような患者からの細胞、組織または体液試料をLng108について定期的に分析し、このような細胞、組織または体液におけるLng108のレベルを正常ヒト対照の好ましくは同種の細胞、組織または体液試料におけるLng108のレベルと比較することを含み、ここで患者におけるLng108のレベルの正常ヒト対照に対する増加が進行している癌に関係し、そして、Lng108のレベルの減少が消退しているまたは寛解期にある癌に関係する。
さらに、癌のイメージングおよび処置に用いるためのLng108を標的にした新しい治療剤の設計方法が提供される。例えば、1つの態様では、Lng108を標的にした抗体またはこのような抗体の断片などの治療剤は、疾患または状態を検出または診断する目的で、患者におけるLng108の局在を検出またはイメージ化するために用いることができる。このような抗体は、ポリクローナル、モノクローナルまたはオムニクローナル(omniclonal)であることができ、または分子生物学的技術により調整することができる。ここで、そして、本明細書を通じて用いる場合、「抗体」という用語はまた、SELEXと呼ばれる当業者によく知られたin vitroでの進化手順(evolution protocol)により誘導されたものなどのアプタマーおよび一本鎖オリゴヌクレオチドを含むこととする。抗体は、放射性同位体および常磁性金属を含むがこれらに限定されない様々な検出可能な標識で標識することができる。また、Lng108の濃度および/または活性を減少させる小分子および抗体などの治療剤を、Lng108の発現を特徴とする疾患の処置に用いることができる。このような剤は、本明細書の教示に従い容易に同定することができる。
本発明のその他の目的、特徴、利点および側面は、以下の説明により当業者に明らかになるだろう。しかしながら、以下の説明および具体例は、本発明の好ましい態様を示しているが、ただ説明のためにのみ与えられていると理解されるべきである。本開示発明の精神および範囲内の様々な変化および変更は、以下の説明を読み、本開示の他の部分を読むことにより、当業者に容易に明らかになるだろう。
本発明は、Lng108のレベルを正常ヒト対照におけるLng108のレベルと比較することにより、癌の検出、診断、モニタリング、ステージング、予後判定、in vivoでのイメージングおよび処置のための量的および質的な診断アッセイおよび診断方法に関する。Lng108は、中でも、配列番号1または2のポリヌクレオチド配列を含む遺伝子により発現される天然のタンパク質に関する。それによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を推測したものを、配列番号3に記述した。本明細書で「Lng108」はまた、遺伝子コーディングの縮重により、配列番号1または2とは異なる核酸配列を含むが、同じタンパク質をコードしているポリヌクレオチドも意味する。別の側面では、本明細書で用いるLng108により意味されるものは、配列番号1または2を含む遺伝子によりコードされる天然のmRNAを意味し、または、配列番号1または2を含む現在の遺伝子、または、配列番号1または2のアンチセンス配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることが可能なポリヌクレオチドのレベルに関し得る。このようなレベルは好ましくは、細胞、組織および/または体液のうちの少なくとも1つにおいて測定し、正常および異常レベルの決定を含む。したがって、例えば、正常対照の体液、細胞または組織試料に比較したLng108の過剰発現を診断するための本発明による診断アッセイは、肺癌を含む癌の存在を診断するのに用いてもよい。Lng108は、本発明の方法においては単独で測定しても、または、より好ましくは、他の癌の診断マーカーと組合せて測定してもよい。したがって、本発明の方法は、Lng108と同様に他の癌マーカーのレベルの測定と組合せて使うことが好ましい。本発明に有用な、Lng108以外の他の癌マーカーは、当業者に知られており、テストする癌に依存するだろう。
Lng108の検出は、肺癌において特に有用である。しかしながら、このマーカーはまた、他の種類の癌の診断、予後判定、ステージング、イメージングおよび処置にも有用である。
診断アッセイ
本発明は、細胞、組織または体液におけるLng108のレベルの、正常ヒト対照からの好ましくは同種の細胞、組織または体液におけるLng108のレベルと比較した場合の変化を分析することにより、肺癌を含む癌の存在を診断する方法を提供し、ここで患者におけるLng108のレベルの正常ヒト対照に対する増加が癌の存在に関係している。
本発明を限定することなく、量的診断アッセイにおいては、通常、テストした患者が癌を有することを示す陽性結果は、細胞、組織または体液におけるLng108などの癌マーカーのレベルが、正常ヒト対照の好ましくは同じ細胞、組織または体液におけるより、少なくとも2倍高い、最も好ましくは5倍高い結果である。
本発明はまた、まだ転移していない癌を有する患者において、転移性の肺癌を含む転移性の癌を診断する方法も提供する。本発明の方法では、転移した可能性のある(しかし、事前に転移したことが知られていない)癌を有する疑いのある患者を特定する。これは、当業者に知られた様々な手段によって達成される。
本発明において、細胞、組織または体液におけるLng108の存在を決定することは、転移していない癌と転移した癌とを区別するのに特に有用である。既存の技術は、転移した癌と転移していない癌とを区別することが困難であり、適切な処置の選択はしばしばこうした知識に依存している。
本発明では、ヒト患者の細胞、組織または体液において測定された癌マーカーレベルの1つはLng108である。ヒト患者におけるレベルは、正常ヒト対照の好ましくは同種の細胞、組織または体液におけるLng108レベルと比較される。つまり、観察された癌マーカーが血清中のLng108である場合、このレベルは好ましくは正常ヒト対照の血清中のLng108レベルと比較される。ヒト患者におけるLng108の正常ヒト対照に対する増加は、転移した癌と関係している。
本発明を限定することなく、量的診断アッセイにおいては、通常、テストしたまたはモニタリングした患者の癌が転移したことを示す陽性結果は、細胞、組織または体液におけるLng108などの癌マーカーのレベルが、正常ヒト対照の好ましくは同じ細胞、組織または体液におけるより、少なくとも2倍高い、最も好ましくは5倍高い結果である。
ここで用いる正常ヒト対照は、癌のないヒト患者および/または患者からの非癌性試料を含む。転移の診断またはモニタリングの方法において、正常ヒト対照はまた、転移していない肺癌などの癌を有することが信頼できる方法で決定されたヒト患者からの試料を含むことが好ましいだろう。
ステージング
本発明はまた、ヒト患者において癌をステージングする方法も提供する。該方法は、癌を有するヒト患者を特定し、このような患者の細胞、組織または体液試料をLng108について分析することを含む。測定したLng108のレベルは、次に、正常ヒト対照の好ましくは同種の細胞、組織または体液におけるLng108レベルと比較され、ここでヒト患者におけるLng108のレベルの正常ヒト対照に対する増加が進行している癌に関係し、そして、Lng108のレベルの減少が消退しているまたは寛解期にある癌に関係する。
モニタリング
さらに提供されるのは、ヒト患者における癌を、転移の開始についてモニタリングする方法である。該方法は、転移を有するとは知られていない癌を有するヒト患者を特定し、このような患者からの細胞、組織または体液をLng108について定期的に分析し、そして、このような細胞、組織または体液におけるLng108のレベルを正常ヒト対照の好ましくは同種の細胞、組織または体液におけるLng108のレベルと比較することを含み、ここで患者におけるLng108のレベルの正常ヒト対照に対する増加が転移した癌に関係する。
本発明によりさらに提供されるのは、癌のステージの変化をモニタリングする方法である。該方法は、癌を有するヒト患者を特定し、このような患者からの細胞、組織または体液をLng108について定期的に分析し、そしてこのような細胞、組織または体液におけるLng108のレベルを正常ヒト対照の好ましくは同種の細胞、組織または体液におけるLng108のレベルと比較することを含み、ここで患者におけるLng108のレベルの正常ヒト対照に対する増加がステージの進行している癌に関係し、そして、Lng108のレベルの減少がステージの後退しているまたは寛解期にある癌に関係する。
このような患者を転移の開始についてモニタリングする場合は、定期的に、そして好ましくは年4回を基礎に行なう。しかしながら、癌、特定の患者、および癌のステージによってはより高頻度に、または、より低頻度に行なってもよい。
予後判定テストおよび臨床試験のモニタリング
ここに記載した方法は、さらに、Lng108のレベルの増加に関係する疾患または異常を有するかまたは進行させる危険がある対象を特定するための予後判定アッセイに用いることができる。本発明は、テスト試料がLng108が検出されたヒト患者から得られたものである方法を提供する。正常ヒト対照に比較して高いレベルのLng108の存在は、該ヒト患者が癌、特に肺癌を進行させる危険があるという診断である。
Lng108の発現または活性を減少させる治療剤の有効性はまた、臨床試験でのヒト患者、または、ヒト細胞などにおけるin vitroのスクリーニングアッセイおけるLng108の発現レベルを分析することによりモニタリングできる。このように、遺伝子発現パターンは、ヒト患者、または、場合によっては細胞の、テストされた剤への生理学的反応を示すマーカーとして利用できる。
遺伝子の損傷または突然変異の検出
本発明の方法は、Lng108における遺伝子損傷または突然変異を検出し、それにより遺伝子損傷を有するヒトが癌の危険を有するか、または、癌、特に肺癌を有するか決定することにも用いることができる。遺伝子の損傷は、例えば、Lng108からの1個または2個以上のヌクレオチドの欠失および/または付加および/または置換の存在、Lng108の染色体再構成の存在、Lng108の異常修飾(ゲノムDNAのメチル化パターンなど)、Lng108のmRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在、Lng108の対立遺伝子の欠失、および/またはLng108タンパク質の不適切な翻訳後修飾の存在を確認することにより検出できる。Lng108におけるこのような損傷を検出する方法は、当業者に知られている。
アッセイ技術
ヒト由来の試料において、本発明のLng108などの遺伝子発現レベルを決定するのに用いることができるアッセイ技術は当業者によく知られている。このようなアッセイ方法は、ラジオイムノアッセイ、逆転写酵素PCR(RT‐PCR)アッセイ、免疫組織化学アッセイ、in situハイブリダイゼーションアッセイ、結合蛋白競合アッセイ、ウェスタンブロット分析、ELISAアッセイおよびプロテオミクスアプローチ(proteomic approache)を含む。これらの中で、ELISAが、生物学的液体における遺伝子の発現タンパク質の診断に好まれることが多い。
もし商業的に容易に入手できない場合、ELISA分析は、最初に、Lng108に特異的な抗体、好ましくはモノクローナル抗体の調整を含む。さらに、一般的に、Lng108に特異的に結合するレポーター抗体が調整される。レポーター抗体は、放射性試薬、蛍光試薬または例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素またはアルカリホスファターゼなどの酵素試薬などの検出可能な試薬に付着している。
ELISAを行なう場合、Lng108に特異的な抗体は、例えばポリスチレンディッシュなどの、抗体を結合する固形支持体上でインキュベートされる。次に、ディッシュ上の任意の遊離タンパク質結合部位(free protein binding sites)は、ウシ血清アルブミンなどの非特異的タンパク質とインキュベートすることにより被覆される。次に、分析される試料は、Lng108がポリスチレンディッシュに付着した特異抗体に結合する時間中、ディッシュ内でインキュベートされる。非結合試料はバッファーで洗い流される。Lng108を特異的に指向し、西洋ワサビペルオキシダーゼなどの検出可能な試薬を連結したレポーター抗体がディッシュ内に設置され、該レポーター抗体がLng108に結合した任意のモノクローナル抗体に結合する。次に非付着レポーター抗体が洗い流される。比色基質を含むペルオキシダーゼ活性のための試薬が、次にディッシュに加えられる。Lng108抗体に連結した、固定化したペルオキシダーゼが着色反応産物を産生する。所定の時間内に発生した色素の量は、試料中のLng108タンパク質の量に比例している。量的な結果は、通常標準曲線を参照して得られる。
競合アッセイもまた用いることができ、そこでは、Lng108の特異抗体が固形支持体に付着しており、標識したLng108および患者またはヒト対照に由来する試料が固形支持体上を通過する。固形支持体に付着した検出標識量を試料中のLng108の量に相関させることができる。
Lng108の核酸配列の全てまたは一部をハイブリダイゼーションプローブとして用いた核酸法(nucleic acid method)もまた、肺癌を含む癌のマーカーとしてのLgn108のmRNAを検出するのに用いることができる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、およびリガーゼ連鎖反応(LCR)および核酸配列をもとにした増幅(NASABA)などのその他の核酸法を、様々な悪性腫瘍を診断およびモニタリングするための悪性細胞の検出に用いることができる。例えば、逆転写酵素PCR(RT‐PCR)は、特定のmRNA集団の存在を、何千ものその他のmRNA種の複雑な混合物の中で検出するために用いることができる強力な技術である。RT‐PCRにおいては、1種類のmRNAが、酵素である逆転写酵素を用いて最初に相補DNA(cDNA)に逆転写され、次に該cDNAが標準的なPCR反応と同様に増幅される。このように、RT‐PCRは、増幅により、単一種のmRNAの存在を明らかにすることができる。したがって、該mRNAがそれを産生する細胞に高度に特異的である場合、RT‐PCRは、特定の種類の細胞の存在を同定するのに用いることができる。
固形支持体に配列(つまりグリッド化(gridding))されたクローンまたはオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションは、その遺伝子の発現の検出および発現レベルの定量の両方に用いることができる。この手法では、Lng108遺伝子をコードするcDNAが基材に固定される。基材は、ガラス、ニトロセルロース、ナイロンまたはプラスチックを含むがこれらに限定されない任意の好適な種類であってもよい。Lng108遺伝子をコードするDNAの少なくとも一部を基材に付着させ、次に、当該組織から単離したRNAまたはRNAのコピーである相補DNA(cDNA)であってもよい検体とインキュベートする。基材に結合したDNAと検体とのハイブリダイゼーションは、検体またはハイブリッド検出用の二次分子を放射性標識または蛍光標識することを含むがこれらに限定されないいくつかの手段で検出し定量することができる。遺伝子の発現レベルの定量は、検体からの信号の強度を、既知の標準から決定したレベルと比較することによってなされる。標準は、標的遺伝子のin vitroでの転写、収量の定量化、そして、この材料を用いて標準曲線を作成することにより得ることができる。
プロテオミクスアプローチでは、2次元電気泳動が当業者によく知られた技術である。血清などの試料からの個別のタンパク質の単離は、通常ポリアクリルアミドゲル上での、タンパク質の異なる特性による配列決定的な分離(sequential separation)を用いて達成される。最初に、タンパク質は電流を用いて大きさにより分離される。電流は全てのタンパク質に均等に作用し、それにより、小さいタンパク質は大きいタンパク質よりもゲル上で早く移動する。第2次元では、第1次元に対して直角に電流をかけ、タンパク質を大きさに基づいてではなく、各タンパク質が有する特定の電荷に基づいて分離する。異なる配列の2つのタンパク質で大きさおよび電荷の両方に関して同一なものは存在しないため、2次元分離の結果は、各タンパク質が固有のスポットを占有する正方形のゲルとなる。該スポットの化学的プローブまたは抗体プローブによる分析、またはそれに引き続くタンパク質のマイクロシーケンスにより、所定のタンパク質の相対的な存在度を明らかにし、試料中のタンパク質の同定をすることができる。
上記のテストは、組織生検材料および検死解剖材料を含む患者から得られた様々な細胞、体液および/または組織抽出物(ホモジネートまたは可溶化した組織)に由来する試料について行なうことができる。本発明に有用な体液は、血液、尿、唾液または任意のその他の体分泌物またはそれらの派生物を含む。血液は、全血、血漿、血清、または任意の血液の派生物を含む。
Lng108のin vivoでのターゲティング/癌治療
Lng108の同定はまた、癌、そして特に肺癌のイメージングおよび処置のための新しい治療法の合理的な設計にとって有用である。例えば、1つの態様では、Lng108に特異的に結合する抗体を作製し、癌を患っている疑いのある患者にin vivoで用いることができる。Lng108に特異的に結合する抗体は、癌を有する疑いのある患者に、診断および/または治療の目的で、注射することができる。このように、本発明の他の側面は、このような処置を要するヒト患者において、該患者に有効な量の抗体を投与することにより肺癌の発症を予防し、そして、肺癌を処置するための方法に関する。「有効な量」とは、外科切除のための腫瘍の縮小または腫瘍の消滅をもたらすために、腫瘍上に発現した標的抗原に結合するのに必要な抗体の量または濃度を意味する。該抗体のLng108への結合は、このようなLng108を発現している癌細胞の死をもたらすと考えられる。in vivoでの診断のための抗体の調整および使用は当該分野でよく知られている。たとえば、インジウム−111で標識した抗体−キレーターが、癌胎児性抗原を発現している腫瘍のラジオイムノシンチグラフィーによるイメージングでの使用に関して記述されている(Sumerdon et al. Nucl. Med. Biol. 1990 17:247-254)。特にこれらの抗体‐キレーターは、再発性の結腸直腸癌を有する疑いのある患者において腫瘍を検出するのに用いられた(Griffin et al. J. Clin. Onc. 1991 9:631-640)。磁気共鳴イメージングで用いる標識としての常磁性イオンを有する抗体もまた記述されている(Lauffer, R.B. Magnetic Resonance in Medicine 1991 22:339-342)。Lng108に対する抗体も同様に用いることができる。Lng108に特異的に結合する標識された抗体を、癌を有する疑いのある患者に、該患者の疾患の状態の診断またはステージングの目的で注射することができる。用いる標識は、用いるイメージングの様式に応じて選択できる。例えば、インジウム‐111、テクネチウム‐99mまたはヨウ素‐131などの放射性標識は、平面スキャンまたはシングルフォトン断層撮影に用いることができる。フッ素‐18(Fluorine−18)などのポジトロン放出標識をポジトロン断層撮影に用いることができる。ガドリニウム(III)またはマンガン(II)などの常磁性イオンを磁気共鳴イメージングに用いることができる。標識の局在性は、癌の播種の決定を可能にする。また、器官または組織内の標識の量により、その器官または組織における癌の存在または欠如を決定することができる。
in vivoでの方法に用いることができる抗体は、ポリクローナル、モノクローナルおよびオムニクローナル抗体、および分子生物学的技術により調整した抗体を含む。SELEXと呼ばれる、当業者によく知られた進化手順に由来するものなどの抗体断片およびアプタマーおよび一本鎖オリゴヌクレオチドもまた用いることができる。
スクリーニングアッセイ
本発明はまた、Lng108タンパク質に結合する調節物質、または、Lng108タンパク質の発現または活性に関して調節効果を有する調節物質を同定する方法も提供する。Lng108タンパク質の発現または活性を減少させる調節物質は、癌、特に肺癌の処置に有用と思われる。このようなスクリーニングアッセイは、当業者に知られており、細胞に基づくアッセイおよび細胞を用いないアッセイを含むが、これらに限定されない。
コンピューターイメージングによりLng108の領域に特異的に結合すると予測された小分子もまた、癌のイメージングおよび処置に用いるために設計し、合成し、そしてテストすることができる。さらに、分子のLng108への結合能力を調査することにより潜在的な抗癌剤について、分子ライブラリーをスクリーニングすることができる。ライブラリーにおいて、Lng108に結合できると同定された分子は、癌、特に肺癌の処置に用いるためのさらなる評価への重要な候補である。好ましい態様では、これらの分子は、細胞におけるLng108の発現および/または活性を下方調節することができる。
養子免疫療法およびワクチン
癌の養子免疫療法は、抗腫瘍反応性を有する免疫細胞を腫瘍保有宿主に投与し、該細胞が直接または間接に、定着した腫瘍の消退を誘導することを目的とする治療的手法に関する。リンパ球、特にTリンパ球の移入はこの部類に該当し、国立癌研究所(National Cancer Institute)(NCI)の研究者は、いくつかのヒトの癌の処置に、末梢血リンパ球または、皮下リンパ節の生検からのT細胞を培養した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の自家輸血を用いた(Rosenberg, S. A.,米国特許第4,690,914号、1987年9月1日発行;Rosenberg, S. A., et al., 1988, N. England J. Med. 319:1676-1680)。
本発明は、ヒトにおける原発性および転移性の癌の予防および/または処置のための、熱ショックタンパク質(hsp)の非共有複合体(non-covalent complexes)を含むまたは含まない抗原性のLng108タンパク質に対して感作したマクロファージを用いた養子免疫療法の組成物および方法に関する。Lng108の抗原性または免疫原性は、Lng108タンパク質またはその断片の、抗体を産生し、または、ナイーブなエフェクター細胞を感作し、次いで抗原(またはエピトープ)を発現する標的細胞を溶解する能力により容易に確認された。
癌細胞は、その定義から、異常であり、正常な組織に存在しないために免疫系が外来性と認識するタンパク質を含んでいる。しかしながら、免疫系はしばしばこの異常を無視するようであり、腫瘍の攻撃に失敗する。癌細胞により産生された外来性のLng108タンパク質は、それらの存在を明らかにするのに用いることができる。Lng108は腫瘍抗原と呼ばれる短い断片に崩壊し、細胞表面に現れる。これらの腫瘍抗原は、クラスIおよびIIの2つの種類があるMHCと呼ばれる分子により細胞表面に支持または提示される。MHCクラスI分子に関する腫瘍抗原は細胞傷害性T細胞に認識されるが、抗原‐MHCクラスII複合体は、ヘルパー細胞と呼ばれるT細胞の2番目のサブセットにより認識される。これらの細胞は、腫瘍の成長を遅延または停止させるサイトカインを分泌し、他の種類の白血球であるB細胞が、腫瘍細胞に対する抗体を産生するのを補助する。
養子免疫療法では、T細胞またはその他の抗原提示細胞(APC)は、体の外(ex vivo)で、腫瘍特異的Lng108抗原を用いて刺激される。刺激された細胞は、次に患者へ自家輸血され、そこで癌細胞を攻撃する。研究により、細胞傷害性T細胞とヘルパーT細胞の両方を用いた方が、どちらか一方のサブセットだけを用いるのに比べはるかに有効であることが示された。さらに、米国特許第5,985,270号に記載されているように、APCを刺激するためにLng108抗原は熱ショックタンパク質と複合体化してもよい。
APCは、マクロファージ、樹状細胞、Bリンパ球およびこれらの組合せを含むがこれらに限定されない、当業者に知られたこれらの抗原提示細胞の中から選択することができ、好ましくはマクロファージである。好ましい使用においては、細胞はその個体の自家細胞であり、リンパ球、マクロファージまたはその他のAPCなどの自家免疫細胞が、養子移植のための免疫細胞のドナーとして誰を選択するかという問題を回避するために用いられる。自家免疫細胞の使用によって回避できるその他の問題は、移植片対宿主病であり、これは処置に失敗すると致命的となることがある。
遺伝子治療を伴う養子免疫療法では、従来の遺伝子治療と同様にLng108のDNAをエフェクター細胞に導入することができる。これにより、エフェクター細胞の腫瘍細胞に対する細胞傷害性を、それらを抗原性タンパク質を産生するように操作しているために向上することができ、それにより養子免疫療法の改善がもたらされる。
この発明のLng108抗原は、癌ワクチンの成分としてもまた有用である。ワクチンは、免疫刺激量(immunogenically stimulatory amount)のLng108抗原を含む。免疫刺激量とは、レシピエントに、癌、特に肺癌の改善または処置のために所望する免疫反応を惹起することが可能な抗原の量のことをいう。有効な量は、当業者によく知られた標準的な手順により経験的に決定してもよい。
Lng108抗原は、例えば抗体および/または細胞媒介性の所望する種類の免疫反応を誘導するための多くの任意のワクチン製剤に提供されてもよい。このような製剤は当該分野に知られており、米国特許第5,585,103号に記載されているような製剤を含むが、それらに限定されない。免疫反応を刺激するのに用いられる本発明のワクチン製剤はまた、薬学的に許容し得るアジュバントを含むことができる。

本発明を、以下の例でさらに説明する。当該例は、特定の態様の参照により単に本発明を説明するためだけに提供される。この例示は、本発明のある特定の側面を説明するが、該開示発明の限定を記述するものでも、また、その範囲を制限するものでもない。
本明細書に記載された実験は、詳細に記載されている場合を除き、当業者によく知られ、定法となっている標準的な技術を用いて行なった。定法による分子生物学的技術は、Sambrook et al., MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed.; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)などの標準的な実験手引書に記載されている通りに行なった。
遺伝子発現の相対定量
蛍光Taqmanプローブによるリアルタイム定量PCRは、Taq DNAポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性を用いた定量検出システムである。この方法は、5’レポーター色素および下流側の3’消光色素でラベルされた内部蛍光オリゴヌクレオチドプローブ(internal fluorescent oligonucleotide probe)(Taqman)を用いる。PCR中、Taq DNAポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性はレポーターを放出し、その蛍光はModel 7700 Sequence Detection System(PE Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)のレーザー検出器で検出できる。
反応に加えたRNA試料の量を標準化し、逆転写酵素の効率を正規化するのに内在性対照の増幅を用いた。シクロフィリン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)または18SリボソームRNA(rRNA)のいずれかをこの内在性対照として用いた。調査した全試料間の相対定量を計算するために、1つの試料の標的RNAレベルを比較結果(キャリブレータ)の基礎として用いた。「キャリブレータ」に関する定量は、標準曲線法または比較法を用いて得ることができる(User Bulletin #2: ABI PRISM 7700 Sequence Detection System)。
正常および癌組織の各例における標的遺伝子の組織分布およびレベルを調査した。全RNAを、正常組織、癌組織、および癌とその対応する隣接組織から抽出した。次に、逆転写酵素により第一鎖cDNAを調整し、各標的遺伝子に特異的なプライマーおよびTaqmanプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を行った。結果をABI PRISM 7700 Sequence Detectorで分析した。無名数は、キャリブレータ組織と比較した特定の組織における標的遺伝子の相対発現レベルである。
発現分析に用いたプライマーは、
5’ TCTAGGTCAGCCCCCGAATC 3’(配列番号4);および
5’ CCTCCAATTCCCCCTTAAACTT 3’(配列番号5)を含む。
表1に示した無名数は、12の異なる正常組織におけるLng108(クローンID 954287;遺伝子ID 21300とも呼ばれる)の相対発現レベルである。すべての数値は正常筋肉(キャリブレータ)と比較してある。これらのRNA試料は、異なる個体からの特定組織のプール試料に由来する、商業的に入手可能なプールである。
Figure 2004170428
表1の発現の相対レベルによると、Lng108のmRNAが分析した12種類の組織すべてで発現していることが分かる。Lng108の発現レベルは、肺で比較的高く、脳、肝臓、小腸および精巣で低く、そして、腎臓、乳腺および子宮で中程度だった。これらの結果は、Lng108のmRNAの発現が肺組織に限定されておらず、分析したすべての種類の組織に広く発現されていることを証明している。
表1の無名数は、異なる個体からの特定組織の試料プールを分析して得た。これらを単一の個体の組織試料から得たRNAに由来する表2の無名数と比較することはできない。
表2に示した無名数は、48組の対応試料と、卵巣の2つの癌組織および卵巣の2つの正常/正常隣接組織におけるLng108の相対発現レベルを示している。すべての数値は正常筋肉(キャリブレータ)と比較してある。対応ペアは、特定組織の癌試料からのmRNAと、同一個体のその同一組織についての正常隣接組織からのmRNAにより形成した。
Figure 2004170428
Figure 2004170428
Figure 2004170428
0=陰性
対応試料の分析では、肺組織での発現レベルがより高かった。肺での発現以外に、Lng108はまた、その他のテストした14種類の組織すべてで発現していた。これらの結果は、Lng108は肺でより多く発現しているが、また、分析したその他の種類の組織にも発現していることを確認するものであり、正常プール試料パネルで得た結果(表1)と合致する。
さらに、mRNAの発現レベルを、癌試料と同一個体からの同系の正常隣接組織とで比較した。この比較は、癌のステージの特異性についての指標を提供する(例えば、正常隣接組織に比較した、癌試料におけるmRNAの高い発現レベル)。表2は、21の肺癌組織のうち14(67%)で、Lng108が、それぞれの正常隣接組織に比べ過剰発現していることを示している。Lng108の正常隣接組織に対する過剰発現はまた、他の癌試料でも見出される(膀胱、結腸、子宮内膜、腎臓、肝臓、乳房、卵巣、前立腺、小腸、精巣および子宮)。これらの結果は、全体として、テストした48の癌組織のうち36(75%)が、正常隣接組織に比べLng108を過剰発現していることを示している。したがって、多くの異なる組織種におけるmRNAの発現、そして、テストしたすべての癌対応試料の75%において観察された過剰発現は、Lng108が肺癌の診断マーカー、および一般的な癌の診断マーカーであることを示している。

Claims (14)

  1. 患者における癌の存在を診断する方法であって、
    (a)患者の細胞、組織または体液におけるLng108のレベルを決定すること、および
    (b)決定したLng108のレベルと、正常ヒト対照からの細胞、組織または体液におけるLng108のレベルとを比較することを含み、該患者における決定したLng108レベルの正常ヒト対照に対する変化が癌の存在に関係している、前記方法。
  2. 患者における癌の転移を診断する方法であって、
    (a)転移したことが知られていない癌を有する患者を特定すること、
    (b)該患者からの細胞、組織または体液の試料におけるLng108のレベルを決定すること、および
    (c)決定したLng108レベルと、正常ヒト対照の細胞、組織または体液におけるLng108のレベルとを比較することを含み、患者における決定したLng108レベルの正常ヒト対照に対する増加が転移した癌に関係している、前記方法。
  3. 癌を有する患者における癌のステージングの方法であって、
    (a)癌を有する患者を特定すること、
    (b)該患者からの細胞、組織または体液の試料におけるLng108のレベルを決定すること、および
    (c)決定したLng108レベルと、正常ヒト対照の細胞、組織または体液におけるLng108のレベルとを比較することを含み、該患者における決定したLng108レベルの正常ヒト対照に対する増加が進行している癌に、そして決定したLng108レベルの低下が消退している癌または寛解期の癌に関係している、前記方法。
  4. 患者において、転移の開始について癌をモニタリングする方法であって、
    (a)転移したことが知られていない癌を有する患者を特定すること、
    (b)該患者からの細胞、組織または体液の試料におけるLng108のレベルを定期的に決定すること、および
    (c)定期的に決定したLng108レベルと、正常ヒト対照の細胞、組織または体液におけるLng108のレベルとを比較することを含み、患者における任意の定期的に決定したLng108レベルの正常ヒト対照に対する増加が転移した癌に関係している、前記方法。
  5. 患者における癌のステージの変化をモニタリングする方法であって、
    (a)癌を有する患者を特定すること、
    (b)該患者からの細胞、組織または体液の試料におけるLng108のレベルを定期的に決定すること、および
    (c)定期的に決定したLng108レベルと、正常ヒト対照の細胞、組織または体液におけるLng108のレベルとを比較することを含み、該患者における任意の定期的に決定したLng108レベルの正常ヒト対照に対する増加がステージの進行している癌に、そして低下がステージの後退している癌または寛解期の癌に関係している、前記方法。
  6. 癌のイメージングおよび処置に用いる潜在的な治療剤を特定する方法であって、Lng108への結合能力またはその発現を減少させる能力について分子をスクリーニングすることを含み、分子のLng108への結合能力またはLng108の発現を減少させる能力が、当該分子の癌のイメージングおよび処置における有用性を示す、前記方法。
  7. 患者にLng108に特異的に結合する抗体を投与することを含む、患者において癌をイメージングする方法。
  8. 抗体が常磁性イオンまたは放射性同位体で標識されている、請求項7に記載の方法。
  9. 患者にLng108に特異的に結合する抗体を投与することを含む、患者において癌を処置する方法。
  10. 抗体が細胞毒性剤と結合している、請求項9に記載の方法。
  11. 患者にLng108の発現または活性を下方調節する分子を投与することを含む、患者において癌を処置する方法。
  12. 癌が肺癌である、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11に記載の方法。
  13. ヒト患者に免疫刺激量のLng108タンパク質を、標的細胞に対して免疫反応が起こるように送達することを含む、Lng108を発現している標的細胞に対して免疫反応を誘導する方法。
  14. 免疫刺激量のLng108を含む、癌を処置するためのワクチン。
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