JP2004168993A - 食器洗い乾燥機専用庫内洗浄剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】食洗機庫内に蓄積する特異的な汚れであるスケール、金属石けん、油やタンパク汚れの全てに対して作用し、使用量も少なくて済み、操作性に優れた家庭用食洗機専用庫内洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】アミノカルボン酸型のキレート剤を含みスケールと金属石けんを共に除去する食器洗い乾燥機専用庫内洗浄剤組成物
【選択図】なし
【解決手段】アミノカルボン酸型のキレート剤を含みスケールと金属石けんを共に除去する食器洗い乾燥機専用庫内洗浄剤組成物
【選択図】なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食器洗い乾燥機庫内に蓄積する特異的な汚れであるスケール、金属石けん、油やタンパク汚れの全てに対して作用し、使用量も少なくて済み、操作性に優れた家庭用食器洗い乾燥機専用の庫内洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】日本での家庭用食器洗い乾燥機(食洗機)は1996年の大腸菌O−157による食中毒の頻発を契機に普及し始め、現在では「生ゴミ処理機」「電磁調理器」と並ぶ21世紀の「新・三種の神器」と呼ばれ、2002年度は世帯普及率が10%を越えており、日本でも欧米並みの40〜50%までは普及すると見込まれている。このような食洗機の普及と連動して、その専用洗剤の市場も毎年111〜115%程度伸びており、数年後には40〜50億円の市場に育つことが推測されている。以上のような背景から、食洗機を定期的にメンテナンスする食洗機専用庫内洗浄剤の需要が高まっている。
【0003】
食洗機の洗浄工程は、加熱洗い(常温→約60℃)、水すすぎ(2〜3回)、加熱すすぎ(常温→約80℃)、乾燥の順で行われ、食器などの被洗浄物由来の汚れはほぼ完全に排水される。しかし、最低でも1日1回は使用されるので、特異的な汚れが食洗機庫内や配管に蓄積していく。このような汚れとして、スケールや金属石けん(石けんカス)が挙げられる。この他に、油やタンパク質の複合的なものもあり、これら水不溶性の汚れは、食洗機の乾燥工程で庫内に固着して非常に除去困難となり、美観上好ましくないだけでなく、熱効率を下げたり、すすぎ工程の際一部脱落し、食器に再付着することがある。
【0004】
これまで、このような汚れに対する食洗機専用庫内洗浄剤として、クエン酸などの有機酸を含むものや弱アルカリ性のものがあった。前者は使用時、pH3以下になるため、スケールの除去には非常に有効であるが、金属石けんや油汚れに対する効果は低い。一方後者は、油やタンパク汚れには有効であるが、スケールの除去には不向きである。このように、従来の庫内洗浄剤では庫内に蓄積する特異的な汚れを完全に除去することはできない。
【0005】
また、従来商品の使用量は、一度の洗浄に150g程度が必要である。食洗機専用洗剤の一般的な使用量は5〜15g/回であり、作業者は、約5g容の専用スプーンで庫内に1〜3杯の洗剤を投入することに慣れ親しんでいる。一度の洗浄に150g程度が必要な従来商品では、10倍〜30倍の量を投入する必要があり、残留性や食洗機に対する悪影響など作業者に不安を与える。
【0006】
さらに、その使用方法は、洗浄工程を開始約10分後に一旦停止させ、洗浄剤150gを庫内に投入するといった繁雑な作業を必要とする。
【0007】
食洗機は洗浄開始前に、まず、庫内や配管の残水を排水するため、庫内洗浄剤組成物が液体であるとほとんどが庫外に排出されてしまう。従って、性状は粉末状あるいはゲル状が望ましい。
【0008】
粉末状のスケール除去剤として、特開平10−249394や特開2000−64069のスルファミン酸を主成分とした洗浄剤、および、キレート剤(特開2001−300584)を含有するものが公開されているが、金属石けんなどの除去性に関する記載はされていない。
【0009】
また、スケールと金属石けんの両者に有効な洗浄剤組成物としては、流し台や浴槽、浴室、洗面所などの硬質表面に対するものが公知となっている(特開平10−25493、特表2001−522397、特表2002−517602、特開平8−176595)。これらは液体洗浄剤であり、低泡性ではない界面活性剤が配合されているため、機能面や発泡性の面において、このままで、食洗機に使用することは不可能である。また、対象とする汚れの種類は同じであるが、食洗機に特異的に付着するステアリン酸の金属石けんに対しての効果は低い。さらに、浴室や流し台と異なり、食洗機は60〜80℃で数10分〜1時間以上の乾燥時間を含んでいるため、汚れが配管などにより強固に付着しており、除去困難である。
【0010】
つまり、食洗機庫内に蓄積する特異的な汚れであるスケール、金属石けん、油やタンパク汚れの全てに対して作用し、使用量も少なくて済み、操作性に優れた家庭用食洗機専用庫内洗浄剤組成物の開発が望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、食洗機庫内に蓄積する特異的な汚れであるスケール、金属石けん、油やタンパク汚れの全てに対して作用し、使用量も少なくて済み、操作性に優れた家庭用食洗機専用庫内洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは食洗機庫内に蓄積する特異的な汚れの解析とその汚れを有効に除去する洗浄剤について鋭意研究を重ねてきた。その結果、食洗機には、炭酸カルシウムなどのスケールや金属石けん、特にステアリン酸の金属石けんが特異的に蓄積することを明らかにした。そして、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)に代表されるアミノカルボン酸型のキレート剤が食洗機に蓄積・固着した汚れを、その洗浄工程中に非常に効率よく除去すること、さらに、洗浄中に金属石けんから分解して生じる石けんが油やタンパク質汚れに有効に作用することも見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
ここでスケールとは、水不溶性の無機塩類のことであり、主に炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムからなる汚れである。金属石けんとは、任意のアルキル鎖長をもつ脂肪酸とカルシウムなどの金属イオンが結合した水不溶性の物質(汚れ)である。どちらの汚れも、家庭用食洗機を繰り返し使用することで特異的に蓄積し、通常の食洗機専用洗剤を用いた洗浄工程では除去されない。金属石けんの中でも、ステアリン酸の金属石けんは、特に蓄積しやすく、除去されにくい。つまり、ここでいう汚れとしての金属石けんは、ステアリン酸の金属塩を含む。
【0015】
その他の汚れとしては、油やタンパク質、および、両者の複合物が挙げられる。これらの汚れは、残さいフィルターに蓄積しやすい。特に、残さいフィルターの洗浄を長期間行わなかった場合などは、ぬるつき、べとつきのある茶褐色物質が蓄積する。
【0016】
本発明の庫内洗浄剤組成物の第1の成分はアミノカルボン酸型のキレート剤であり、特にEDTA、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸(ASDA)、L−グルタミン酸二酢酸(GLDA)またはそれらのナトリウム塩あるいはカリウム塩が好ましい。
【0017】
上記のアミノカルボン酸は、食洗機を繰り返し使用することによって蓄積する炭酸カルシウムなどのスケールや金属石けんを可溶化する。金属石けん、特に、食洗機を繰り返し使用することで蓄積するステアリン酸の金属石けんは、キレート剤や強酸によってのみ可溶化される。硝酸や塩酸などの強酸は、スケールや金属石けんをともに可溶化することが知られているが、配合量によっては劇物に分類され、一般家庭での使用は好ましくない。一方、アミノカルボン酸型のキレート剤は、比較的安全性が高く、両汚れを可溶化する能力を有する。これは速効性に欠けるものの、現在市販されている家庭用食洗機は洗浄時間が10〜20分と長く、さらに、洗浄温度も常温から約60℃まで上昇するので、アミノカルボン酸型キレート剤の両汚れに対する除去能力を十分に引き出すことが可能である。
【0018】
また、これらのキレート剤はゴム、プラスチックおよびステンレスなど食洗機材質に与える影響も少ない。
【0019】
さらに、除去された金属石けんは結合していた金属を放出して、中性以上のpHでは石けんとして作用し、油やタンパク汚れに対する乳化・分散を行う。特に、後述するアルカリ緩衝剤の存在下では、その効果は飛躍的に向上する。
【0020】
本発明において、アミノカルボン酸型のキレート剤は、スケールや金属石けんを十分に可溶化するために、全組成中13.3重量%(以下、特に記載のあるもの以外は、重量%を単に%で示す)以上含有することが好ましく、26.6%以上がより好ましい。13.3%未満では汚れを十分に可溶化する能力が得られない。
【0021】
第2成分としては、アルカリ緩衝剤があげられる。前述したアミノカルボン酸型キレート剤単独の水溶液は、緩衝能力が小さく、希釈や汚れなどの不純物存在下で容易にpHが変動する。またそのキレート能力もpHの影響を受けやすく、キレート安定度定数は、例えばカルシウムイオンに対してはpH8〜11の弱アルカリ領域ではEDTA:8.6〜10.8、NTA:4.8〜6.5、HEDTA:6.5〜8.5、GLDA:4.9〜5.9とほぼ最大値を示し、非常に有効であるが、pH6以下の場合、それぞれ、6.2以下、2.8以下、4.4以下および2.9以下となり、pH低下に伴い性能が極端に低下する。つまり、アルカリ緩衝剤は、本洗浄剤組成物において様々な条件での使用を考慮した際、その性能維持に必須である。さらに、庫内に蓄積した油やタンパク質といった汚れもアルカリ条件下では可溶化し易い。
【0022】
このアルカリ緩衝剤によって維持されるpHは8〜11が好ましく、特に、9〜10に維持することが好ましい。
【0023】
また、特に限定しないが、アルカリ緩衝剤として炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウムがあり、本洗浄剤組成物の実用濃度でのpHを8〜11に維持するために、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを合計11.0〜86.7%で含有し、炭酸水素ナトリウムに対する炭酸ナトリウムのモル比が0.26〜2.7の範囲あることが好ましい。炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの合計が11.0%未満の場合、緩衝能が小さくなり、希釈や汚れ混在下で本洗浄剤組成物溶液のpHを8〜11の範囲に維持することは困難である。86.7%を超える場合、アミノカルボン酸の配合量が13.3%未満となり、本洗浄剤組成物のスケールや金属石けんに対する洗浄力が低くなる。
【0024】
炭酸水素ナトリウムに対する炭酸ナトリウムのモル比が0.26〜2.7の範囲の場合、特に緩衝能が高い。モル比が0.26未満の場合、pH低下による本洗浄剤組成物の洗浄力が低下し、モル比が2.7を超える場合、pH上昇によるゴム類、プラスチック類および金属類など食洗機材質に与える影響が大きくなる。
【0025】
アミノカルボン酸型のキレート剤とアルカリ緩衝剤からなる上記庫内洗浄剤組成物には、添加成分として消泡剤を加えることが望ましい。これは、キレート剤の作用により、庫内に蓄積した金属石けんから石けんが生成されるのでこの泡沫を抑制するためである。この消泡剤には、シリコン系消泡剤、低泡性非イオン系界面活性剤、ポリエーテル系混合物、鉱物油系消泡剤および油性物質が挙げられる。その中でも、少量の添加でも石けんの泡沫を効果的に消泡するシリコン系消泡剤が特に好ましく、全組成中0.1〜1.0%の範囲で含有することが好ましい。消泡効果はこの範囲内で十分に得られる。これ以上配合するとコストが高くなり経済的に不利となる。
【0026】
次に、使用量について説明する。食洗機を用いて食器類を洗浄する場合、通常、5〜15g/回の専用洗剤を使用する。これを考慮すると、作業者に不安を与えず、操作上の繁雑さも少ない使用量として、1回の洗浄当たり、30gが限界である。本洗浄剤組成物の各種汚れに対する洗浄力と上記の最大使用量から、本洗浄剤組成物の使用量は3〜30gが好ましく、特に8〜15gがより好ましい。
【0027】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。
【0028】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、これらの実施例は例示のみを意図しており、本発明の範囲を限定しない。本発明の範囲内の他の局面、利点、および改変は、本発明に関係する分野の当事者には明らかである。
【0029】
以下の実施例で行った評価項目および試験方法は以下の通りである。
【0030】
1.食洗機排水の分析
BL法(後述)に基づく洗浄力試験を13回実施後の食洗機(日立製KF−S50Z)を、食洗機専用洗剤を入れずに標準コースで運転し、加熱すすぎ後の排水を採水し、乾燥残留物中の炭酸塩の分析および高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による脂肪酸の検出を行った。
【0031】
炭酸塩の分析は排水45.3gをエバポレートして得られた乾燥残留物の一部に2N塩酸を滴下し、発泡の有無により行った。脂肪酸の分析は、まず前述の乾燥残留物を5%EDTA・4Na10mlに懸濁後、ジエチルエーテルを加えて激しく混合した後に静置して2層分離させる作業を3回繰り返すことでジエチルエーテル層を抽出した。次いでこのジエチルエーテル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を揮発させ、得られた残留物を少量のエタノール(99.5%)に溶解し、HPLCで分析した。
【0032】
HPLC分析には、φ4.6×150mm ナーグル社製Nucleosi1100−5C18充填カラムを使用した。分析条件は、カラム温度60℃、移動相および流速はそれぞれ0.1M過塩素酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル=20/80(v/v)および1ml/minで、UV(205nm)でピークを検出した。
【0033】
同条件でパルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸を試験に供し、保持時間の比較および上記乾燥残留物から得られた試料との混合によりピーク同定を行った。
【0034】
上記BL法に基づく洗浄力試験とは、食洗機の食器洗浄力を評価するために財団法人ベターリビングの定めた試験方法で、トマトジュース、牛乳、カレー、卵、ご飯、豚カツ、ソース、ハムエッグおよび味噌汁で汚染した食器を洗浄する試験である。
【0035】
2.汚れ可溶化能力
モデル汚れとして炭酸カルシウムおよびステアリン酸カルシウムを使用した。
【0036】
90mlの水道水(pH7.3、硬度120ppm、以下同様)を入れた200mlの三角フラスコに、各モデル汚れをそれぞれ20mg投入し、攪拌しながら(炭酸カルシウムは白濁し、ステアリン酸カルシウムは液表面に浮遊状態)50℃で保温したものをモデル汚れ懸濁液とした。この懸濁液をMenzelの緩衝液を用いてpH9.73とし、4%アミノカルボン酸5ml(水道水で調製)を添加して全量100mlとした。オキシカルボン酸およびスルファミン酸については、4%の各試薬(水道水で調製)5mlをモデル汚れ懸濁液に添加し、水道水で全量100mlとした。
【0037】
庫内洗浄剤組成物および市販の庫内洗浄剤の場合、モデル汚れ懸濁液に、実用濃度となるように各洗浄液10mlを添加した。
【0038】
上記のように調製したモデル汚れ懸濁液に各試験液を投入した液を攪拌しながら、15分後までは3分毎に、それ以降は25および40分後に水溶液の変化を観察し、溶解状態を目視により表1の判定方法で評価した。
【0039】
【表1】
【0040】
3.アルカリ緩衝剤配合量の検討
水道水100mlに配合例9の庫内洗浄剤組成物0.3gを溶解したものを原液、3.0g溶解したものを10倍濃度溶液とした。さらに、原液を水道水で2、3、5および10倍に希釈して各希釈溶液を調製した。各溶液を攪拌しながら23〜26℃でpHを測定した。
【0041】
4.アルカリ緩衝剤配合比の検討
水道水90mlにEDTA・4Na(クレワットS2、帝国化学産業製)0.2gを溶解後、10%の炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウム水溶液(上記水道水で調製)を適量加えて全量100mlとし、攪拌しながら23〜26℃でpHを測定した。
【0042】
5.庫内洗浄力
配合例9の庫内洗浄剤組成物15gを表2に示す各食洗機庫内に投入し、標準コースで2回洗浄を行い、洗浄前後の食洗機庫内の様子の変化および加熱洗い工程中の庫内の泡立ちにより、表3の判定方法で評価した。
【0043】
表2中、卵を使用した試験とは全卵3.8gをいれて洗浄する試験、紅茶を使用した試験とは紅茶で汚染した食器を洗浄する試験である。
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
6.腐食性
6種類のテストピース(ステンレスSUS420J2、SUS430、SUS304、アルミニウム、鉄、銅)(50mm×30mm×0.5mm(L×W×T))を使用した。
【0047】
各テストピース表面の汚れをエタノールで拭き取った後、0.375%および3.75%の配合例9の庫内洗浄剤組成物、実用濃度の市販庫内クリーナー(市販品A:0.375%、市販品B〜D:3.75%)、食洗機専用洗剤(ハイウオッシュA)0.15%に浸漬して50℃で1週間放置した。全ての試験液は水道水で調製した。対照として水道水を用いた。
【0048】
金属腐食性は、放置後のテストピースおよび試験液外観の変化と、放置前後の重量変化により表4の判定方法で評価した。
【0049】
【表4】
【0050】
7.すすぎ性
配合例9の庫内洗浄剤組成物を15g、ハイウオッシュAを4.8g使用して、食洗機(東芝製DW−32BX)を標準コースで運転した。加熱洗い、水すすぎ1回目、水すすぎ2回目および加熱すすぎ後の各排水の導電率を測定し、水道水(430μS/cm)と比較した。
【0051】
8.消泡効果
食洗機(東芝製DW−32BX)庫内にステアリン酸ナトリウム80mgと、配合例9の庫内洗浄剤組成物15gをいれて標準コースで洗浄を行い、洗浄開始から20分後に洗浄を止め、扉を開けた直後の泡立ちの観察を行った。消泡効果は泡立ちにより、○:液面がノズル下、△:ノズルと同程度、×:ノズルが泡で覆われている、の3段階で判定した。
【0052】
実施例1) 食洗機排水の分析
上記1.食洗機排水の分析に従い試験した結果を図1および表5に示す。図1の上は、乾燥残留物のHPLCによる脂肪酸分析結果である。リテンションタイム(RT)11.825分付近にメインピークが確認された(図1上、矢印1)。各脂肪酸に対する同条件のHPLC分析で、パルミチン酸のメインピークは7.527分、ステアリン酸は11.742分(図1中、矢印2)およびオレイン酸は5.675および7.725分のRTであったことから、乾燥残留物由来メインピークはステアリン酸であることが強く示唆された。そこで、乾燥残留物とステアリン酸を混合し、再度HPLCを行ったところ(図1下、矢印3)、単一ピークがRT=12.042に検出され、この乾燥残留物には脂肪酸としてステアリン酸のみが含まれていることが明らかとなった。表5は食洗機排水の分析結果をまとめたものであるが、表5から食洗機排水には、炭酸塩やステアリン酸が含まれていることが判った。
【0053】
【表5】
【0054】
実施例2) アミノカルボン酸の汚れ可溶化能力の比較
上記2.の汚れ可溶化能力の試験方法に従い、アミノカルボン酸の汚れ可溶化能力を比較した。
【0055】
アミノカルボン酸として、EDTA・4NaはクレワットS2、NTA・3NaはクレワットC3、HEDTA・3NaはクレワットOH300、HIDA・2NaはクレワットBi−HDS、ASDA・4NaはクレワットBi−ADS(以上、すべて帝国化学産業)、GLDA・4NaはキレストCMG−40(キレスト)を用いた。
【0056】
表6に結果を示す。表6に示すように、全てのアミノカルボン酸がステアリン酸カルシウムを可溶化した。炭酸カルシウムについても、全てのアミノカルボン酸で効果がみられたが、特にクレワットS2、クレワットC3およびクレワットOH300が優れていた。
【0057】
【表6】
【0058】
実施例3) アルカリ緩衝剤配合量の検討
上記3.アルカリ緩衝剤配合量の検討方法に従い、庫内洗浄剤組成物のpHを測定した。
【0059】
庫内洗浄剤組成物として表7に示す各組成を用いた。キレート剤としてクレワットS2を用い、アルカリ緩衝剤として炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムを用いた。
【0060】
結果を表7に示す。表中n.d.は未試験であることを示す。表7に示すように、pHが0.6以上低下したのは、配合例1の場合3倍希釈、配合例4の場合10倍希釈であったことから、炭酸ナトリウムに比べ炭酸水素ナトリウムの緩衝能が低いことが判った。両アルカリ剤を混合した配合例2の場合、pHが0.6以上低下したのは5倍希釈であり、配合例3の場合、5倍希釈でもpHが0.6以上低下することはなかった。このことから、庫内洗浄剤組成物として緩衝能をもたせるためには、炭酸水素ナトリウム単独よりも両者の混合系が適していることが判明した。
【0061】
【表7】
【0062】
実施例4) アルカリ緩衝剤配合比の検討
上記4.のアルカリ緩衝剤配合比の検討方法に従い、各溶液のpHを測定した。
【0063】
表8に結果を示す。表8に示すように、10%炭酸ナトリウム水溶液の添加量が2.5ml〜7.7ml、10%炭酸水素ナトリウム水溶液の添加量が2.3〜7.5mlの場合、すなわち炭酸水素ナトリウムに対する炭酸ナトリウムのモル比が0.26〜2.7の場合、アミノカルボン酸水溶液のpHが9〜10の弱アルカリ性の範囲内に維持されることが示された。
【0064】
【表8】
【0065】
実施例5) 庫内洗浄剤組成物、オキシカルボン酸、スルファミン酸および市販の庫内洗浄剤の汚れ可溶化能力の比較
上記2.の汚れ可溶化能力の試験方法に従い、庫内洗浄剤組成物、オキシカルボン酸、スルファミン酸および市販の庫内洗浄剤の汚れ可溶化能力を比較した。
【0066】
庫内洗浄剤組成物として表9に示す各組成を用いた。オキシカルボン酸としてクエン酸およびクエン酸三ナトリウムを用いた。市販の庫内洗浄剤として市販品A、B、CおよびDを用いた。市販品A、BおよびCは有機酸配合で酸性であり、市販品AはWP−780i(シックジャパン)、市販品Bは食器洗い乾燥機の中を洗浄します(キング化学)、市販品CはDWクリーナー(ショーエイ)を用いた。市販品Dは過炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムおよびケイ酸ナトリウム配合で弱アルカリ性のJazz(渋谷油脂)を用いた。実用濃度は、庫内洗浄剤組成物および市販品Aは0.375%、市販品B、CおよびDは3.75%である。
【0067】
表9および10に結果を示す。表9に示すように、配合例6はどちらの汚れも可溶化できず、配合例7〜10は、両汚れに有効であり、特に配合例8、9および10が優れていた。このことから、クレワットS2を13.3%以上含有することが好ましく、26.6%以上がより好ましいことが判った。
【0068】
表10に示すように、クエン酸、スルファミン酸および市販品A、B、Cは炭酸カルシウムを可溶化したがステアリン酸カルシウムは可溶化せず、クエン酸三ナトリウムおよび市販品Dはどちらの汚れも可溶化することはできなかった。以上のことから、クレワットS2を含む庫内洗浄剤組成物はオキシカルボン酸、スルファミン酸および市販品と比較しても優れた汚れ可溶化能力を有することが示された。
【0069】
【表9】
【0070】
【表10】
【0071】
実施例6) 庫内洗浄剤組成物の庫内洗浄力
上記5.庫内洗浄剤組成物の庫内洗浄力試験結果を示す。
【0072】
庫内洗浄剤組成物として表9の配合例9を用いた。
【0073】
表11に結果を示す。表11に示すように、食洗機Dは庫内が樹脂製のため観察が困難であったが、これ以外の全ての食洗機では庫内の汚れが除去された。また、洗浄中には、全ての食洗機で泡立ちがみられた。これは、庫内に蓄積した金属石けんからアミノカルボン酸型キレート剤によって石けんが生成されたためと判断できる。以上より、庫内洗浄剤組成物は1回15gの使用量で十分な洗浄効果を発揮することが示された。
【0074】
【表11】
【0075】
実施例7) 庫内洗浄剤組成物および市販の庫内洗浄剤が材質に及ぼす影響
上記6.の腐食性試験方法に従い、庫内洗浄剤組成物と市販の庫内洗浄剤について試験を行い、食洗機専用洗剤および水道水と比較した。
【0076】
庫内洗浄剤組成物として表9に示す配合例9を、市販の庫内洗浄剤として市販品A、B、CおよびDを用いた。比較対象として用いた食洗機専用洗剤はハイウォッシュA(P&G)である。実用濃度は、庫内洗浄剤組成物および市販品Aの場合0.375%、市販品B、CおよびDは3.75%、食洗機専用洗剤は0.15%である。ただし、庫内洗浄剤組成物の場合、実用濃度の10倍(3.75%)でも試験を行った。
【0077】
表12に結果を示す。表12に示すように、庫内洗浄剤組成物の腐食性は食洗機専用洗剤および水と同程度であった。一方、弱アルカリ性の市販品Dの腐食性は食洗機専用洗剤および水と同程度であったが、酸性の市販A、BおよびCの腐食性は高かった。
【0078】
さらに、表9に示す配合例9で食器洗い乾燥機を標準コースで100回運転しても、動作に問題が無いことを確認した。
【0079】
【表12】
【0080】
実施例8) 庫内洗浄剤組成物および食洗機専用洗剤のすすぎ性の比較
上記7.すすぎ性の試験方法に従い、庫内洗浄剤組成物および食洗機専用洗剤のすすぎ性を比較した。
【0081】
庫内洗浄剤組成物として表9に示す配合例9を用い、食洗機専用洗剤としてハイウォッシュAを用いた。
【0082】
図2に結果を示す。図中●は配合例9の庫内洗浄剤組成物を、△はハイウオッシュAを示している。点線は、水道水の伝導率を同条件で測定したものを示している。
【0083】
図2のように、配合例9の庫内洗浄剤組成物の導電率は2回目のすすぎで水道水と同程度を示し、食洗機専用洗剤ハイウオッシュAと同様に溶解性が高くすすぎ性が良好であることが示された。
【0084】
実施例9) 消泡効果
上記8.消泡効果試験方法に従い、下記の表13に示す各組成の庫内浄剤組成物の試験を行った。
【0085】
消泡剤として、シリコン系消泡剤、低泡性非イオン系界面活性剤、ポリエーテル系混合物、鉱物油系消泡剤および油状物質を用いた。シリコン系消泡剤として、SE21、UF1371、FC2913(以上、全てワッカーシリコーン)およびSWS211(川原油化)、低泡性非イオン系界面活性剤としてコニオンAEP1220(新日本理化)、ポリエーテル系混合物としてSNデフォーマーpC(サンノプコ)、鉱物油系消泡剤としてノプコ267−A(サンノプコ)、油状物質としてオリーブ油(五協産業)を使用した。
【0086】
表13に結果を示す。表13に示すように、全ての消泡剤について消泡効果が認められたが、特にシリコン系消泡剤の場合、少量の添加でも石けんの泡沫を効果的に消泡し、全組成中0.1〜1.0%の範囲で含有すると十分な消泡効果の得られることが示された。
【0087】
【表13】
【0088】
【表13】
【0089】
【発明の効果】
食器洗い乾燥機庫内に蓄積する特異的な汚れであるスケール、金属石けん、油やタンパク汚れの全てに対して作用し、使用量も少なくて済み、操作性に優れた家庭用食器洗い乾燥機庫内専用洗浄剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】乾燥残留物、ステアリン酸および両者の混合物のHPLCチャートを示す図である。
【図2】庫内洗浄剤組成物のすすぎ性を、食洗機専用洗剤と比較した試験結果を示す図である。
【符号の説明】
1 乾燥残留物のメインピーク
2 ステアリン酸のメインピーク
3 乾燥残留物およびステアリン酸の混合物のメインピーク
【産業上の利用分野】本発明は、食器洗い乾燥機庫内に蓄積する特異的な汚れであるスケール、金属石けん、油やタンパク汚れの全てに対して作用し、使用量も少なくて済み、操作性に優れた家庭用食器洗い乾燥機専用の庫内洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】日本での家庭用食器洗い乾燥機(食洗機)は1996年の大腸菌O−157による食中毒の頻発を契機に普及し始め、現在では「生ゴミ処理機」「電磁調理器」と並ぶ21世紀の「新・三種の神器」と呼ばれ、2002年度は世帯普及率が10%を越えており、日本でも欧米並みの40〜50%までは普及すると見込まれている。このような食洗機の普及と連動して、その専用洗剤の市場も毎年111〜115%程度伸びており、数年後には40〜50億円の市場に育つことが推測されている。以上のような背景から、食洗機を定期的にメンテナンスする食洗機専用庫内洗浄剤の需要が高まっている。
【0003】
食洗機の洗浄工程は、加熱洗い(常温→約60℃)、水すすぎ(2〜3回)、加熱すすぎ(常温→約80℃)、乾燥の順で行われ、食器などの被洗浄物由来の汚れはほぼ完全に排水される。しかし、最低でも1日1回は使用されるので、特異的な汚れが食洗機庫内や配管に蓄積していく。このような汚れとして、スケールや金属石けん(石けんカス)が挙げられる。この他に、油やタンパク質の複合的なものもあり、これら水不溶性の汚れは、食洗機の乾燥工程で庫内に固着して非常に除去困難となり、美観上好ましくないだけでなく、熱効率を下げたり、すすぎ工程の際一部脱落し、食器に再付着することがある。
【0004】
これまで、このような汚れに対する食洗機専用庫内洗浄剤として、クエン酸などの有機酸を含むものや弱アルカリ性のものがあった。前者は使用時、pH3以下になるため、スケールの除去には非常に有効であるが、金属石けんや油汚れに対する効果は低い。一方後者は、油やタンパク汚れには有効であるが、スケールの除去には不向きである。このように、従来の庫内洗浄剤では庫内に蓄積する特異的な汚れを完全に除去することはできない。
【0005】
また、従来商品の使用量は、一度の洗浄に150g程度が必要である。食洗機専用洗剤の一般的な使用量は5〜15g/回であり、作業者は、約5g容の専用スプーンで庫内に1〜3杯の洗剤を投入することに慣れ親しんでいる。一度の洗浄に150g程度が必要な従来商品では、10倍〜30倍の量を投入する必要があり、残留性や食洗機に対する悪影響など作業者に不安を与える。
【0006】
さらに、その使用方法は、洗浄工程を開始約10分後に一旦停止させ、洗浄剤150gを庫内に投入するといった繁雑な作業を必要とする。
【0007】
食洗機は洗浄開始前に、まず、庫内や配管の残水を排水するため、庫内洗浄剤組成物が液体であるとほとんどが庫外に排出されてしまう。従って、性状は粉末状あるいはゲル状が望ましい。
【0008】
粉末状のスケール除去剤として、特開平10−249394や特開2000−64069のスルファミン酸を主成分とした洗浄剤、および、キレート剤(特開2001−300584)を含有するものが公開されているが、金属石けんなどの除去性に関する記載はされていない。
【0009】
また、スケールと金属石けんの両者に有効な洗浄剤組成物としては、流し台や浴槽、浴室、洗面所などの硬質表面に対するものが公知となっている(特開平10−25493、特表2001−522397、特表2002−517602、特開平8−176595)。これらは液体洗浄剤であり、低泡性ではない界面活性剤が配合されているため、機能面や発泡性の面において、このままで、食洗機に使用することは不可能である。また、対象とする汚れの種類は同じであるが、食洗機に特異的に付着するステアリン酸の金属石けんに対しての効果は低い。さらに、浴室や流し台と異なり、食洗機は60〜80℃で数10分〜1時間以上の乾燥時間を含んでいるため、汚れが配管などにより強固に付着しており、除去困難である。
【0010】
つまり、食洗機庫内に蓄積する特異的な汚れであるスケール、金属石けん、油やタンパク汚れの全てに対して作用し、使用量も少なくて済み、操作性に優れた家庭用食洗機専用庫内洗浄剤組成物の開発が望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、食洗機庫内に蓄積する特異的な汚れであるスケール、金属石けん、油やタンパク汚れの全てに対して作用し、使用量も少なくて済み、操作性に優れた家庭用食洗機専用庫内洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは食洗機庫内に蓄積する特異的な汚れの解析とその汚れを有効に除去する洗浄剤について鋭意研究を重ねてきた。その結果、食洗機には、炭酸カルシウムなどのスケールや金属石けん、特にステアリン酸の金属石けんが特異的に蓄積することを明らかにした。そして、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)に代表されるアミノカルボン酸型のキレート剤が食洗機に蓄積・固着した汚れを、その洗浄工程中に非常に効率よく除去すること、さらに、洗浄中に金属石けんから分解して生じる石けんが油やタンパク質汚れに有効に作用することも見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
ここでスケールとは、水不溶性の無機塩類のことであり、主に炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムからなる汚れである。金属石けんとは、任意のアルキル鎖長をもつ脂肪酸とカルシウムなどの金属イオンが結合した水不溶性の物質(汚れ)である。どちらの汚れも、家庭用食洗機を繰り返し使用することで特異的に蓄積し、通常の食洗機専用洗剤を用いた洗浄工程では除去されない。金属石けんの中でも、ステアリン酸の金属石けんは、特に蓄積しやすく、除去されにくい。つまり、ここでいう汚れとしての金属石けんは、ステアリン酸の金属塩を含む。
【0015】
その他の汚れとしては、油やタンパク質、および、両者の複合物が挙げられる。これらの汚れは、残さいフィルターに蓄積しやすい。特に、残さいフィルターの洗浄を長期間行わなかった場合などは、ぬるつき、べとつきのある茶褐色物質が蓄積する。
【0016】
本発明の庫内洗浄剤組成物の第1の成分はアミノカルボン酸型のキレート剤であり、特にEDTA、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸(ASDA)、L−グルタミン酸二酢酸(GLDA)またはそれらのナトリウム塩あるいはカリウム塩が好ましい。
【0017】
上記のアミノカルボン酸は、食洗機を繰り返し使用することによって蓄積する炭酸カルシウムなどのスケールや金属石けんを可溶化する。金属石けん、特に、食洗機を繰り返し使用することで蓄積するステアリン酸の金属石けんは、キレート剤や強酸によってのみ可溶化される。硝酸や塩酸などの強酸は、スケールや金属石けんをともに可溶化することが知られているが、配合量によっては劇物に分類され、一般家庭での使用は好ましくない。一方、アミノカルボン酸型のキレート剤は、比較的安全性が高く、両汚れを可溶化する能力を有する。これは速効性に欠けるものの、現在市販されている家庭用食洗機は洗浄時間が10〜20分と長く、さらに、洗浄温度も常温から約60℃まで上昇するので、アミノカルボン酸型キレート剤の両汚れに対する除去能力を十分に引き出すことが可能である。
【0018】
また、これらのキレート剤はゴム、プラスチックおよびステンレスなど食洗機材質に与える影響も少ない。
【0019】
さらに、除去された金属石けんは結合していた金属を放出して、中性以上のpHでは石けんとして作用し、油やタンパク汚れに対する乳化・分散を行う。特に、後述するアルカリ緩衝剤の存在下では、その効果は飛躍的に向上する。
【0020】
本発明において、アミノカルボン酸型のキレート剤は、スケールや金属石けんを十分に可溶化するために、全組成中13.3重量%(以下、特に記載のあるもの以外は、重量%を単に%で示す)以上含有することが好ましく、26.6%以上がより好ましい。13.3%未満では汚れを十分に可溶化する能力が得られない。
【0021】
第2成分としては、アルカリ緩衝剤があげられる。前述したアミノカルボン酸型キレート剤単独の水溶液は、緩衝能力が小さく、希釈や汚れなどの不純物存在下で容易にpHが変動する。またそのキレート能力もpHの影響を受けやすく、キレート安定度定数は、例えばカルシウムイオンに対してはpH8〜11の弱アルカリ領域ではEDTA:8.6〜10.8、NTA:4.8〜6.5、HEDTA:6.5〜8.5、GLDA:4.9〜5.9とほぼ最大値を示し、非常に有効であるが、pH6以下の場合、それぞれ、6.2以下、2.8以下、4.4以下および2.9以下となり、pH低下に伴い性能が極端に低下する。つまり、アルカリ緩衝剤は、本洗浄剤組成物において様々な条件での使用を考慮した際、その性能維持に必須である。さらに、庫内に蓄積した油やタンパク質といった汚れもアルカリ条件下では可溶化し易い。
【0022】
このアルカリ緩衝剤によって維持されるpHは8〜11が好ましく、特に、9〜10に維持することが好ましい。
【0023】
また、特に限定しないが、アルカリ緩衝剤として炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウムがあり、本洗浄剤組成物の実用濃度でのpHを8〜11に維持するために、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを合計11.0〜86.7%で含有し、炭酸水素ナトリウムに対する炭酸ナトリウムのモル比が0.26〜2.7の範囲あることが好ましい。炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの合計が11.0%未満の場合、緩衝能が小さくなり、希釈や汚れ混在下で本洗浄剤組成物溶液のpHを8〜11の範囲に維持することは困難である。86.7%を超える場合、アミノカルボン酸の配合量が13.3%未満となり、本洗浄剤組成物のスケールや金属石けんに対する洗浄力が低くなる。
【0024】
炭酸水素ナトリウムに対する炭酸ナトリウムのモル比が0.26〜2.7の範囲の場合、特に緩衝能が高い。モル比が0.26未満の場合、pH低下による本洗浄剤組成物の洗浄力が低下し、モル比が2.7を超える場合、pH上昇によるゴム類、プラスチック類および金属類など食洗機材質に与える影響が大きくなる。
【0025】
アミノカルボン酸型のキレート剤とアルカリ緩衝剤からなる上記庫内洗浄剤組成物には、添加成分として消泡剤を加えることが望ましい。これは、キレート剤の作用により、庫内に蓄積した金属石けんから石けんが生成されるのでこの泡沫を抑制するためである。この消泡剤には、シリコン系消泡剤、低泡性非イオン系界面活性剤、ポリエーテル系混合物、鉱物油系消泡剤および油性物質が挙げられる。その中でも、少量の添加でも石けんの泡沫を効果的に消泡するシリコン系消泡剤が特に好ましく、全組成中0.1〜1.0%の範囲で含有することが好ましい。消泡効果はこの範囲内で十分に得られる。これ以上配合するとコストが高くなり経済的に不利となる。
【0026】
次に、使用量について説明する。食洗機を用いて食器類を洗浄する場合、通常、5〜15g/回の専用洗剤を使用する。これを考慮すると、作業者に不安を与えず、操作上の繁雑さも少ない使用量として、1回の洗浄当たり、30gが限界である。本洗浄剤組成物の各種汚れに対する洗浄力と上記の最大使用量から、本洗浄剤組成物の使用量は3〜30gが好ましく、特に8〜15gがより好ましい。
【0027】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。
【0028】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、これらの実施例は例示のみを意図しており、本発明の範囲を限定しない。本発明の範囲内の他の局面、利点、および改変は、本発明に関係する分野の当事者には明らかである。
【0029】
以下の実施例で行った評価項目および試験方法は以下の通りである。
【0030】
1.食洗機排水の分析
BL法(後述)に基づく洗浄力試験を13回実施後の食洗機(日立製KF−S50Z)を、食洗機専用洗剤を入れずに標準コースで運転し、加熱すすぎ後の排水を採水し、乾燥残留物中の炭酸塩の分析および高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による脂肪酸の検出を行った。
【0031】
炭酸塩の分析は排水45.3gをエバポレートして得られた乾燥残留物の一部に2N塩酸を滴下し、発泡の有無により行った。脂肪酸の分析は、まず前述の乾燥残留物を5%EDTA・4Na10mlに懸濁後、ジエチルエーテルを加えて激しく混合した後に静置して2層分離させる作業を3回繰り返すことでジエチルエーテル層を抽出した。次いでこのジエチルエーテル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を揮発させ、得られた残留物を少量のエタノール(99.5%)に溶解し、HPLCで分析した。
【0032】
HPLC分析には、φ4.6×150mm ナーグル社製Nucleosi1100−5C18充填カラムを使用した。分析条件は、カラム温度60℃、移動相および流速はそれぞれ0.1M過塩素酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル=20/80(v/v)および1ml/minで、UV(205nm)でピークを検出した。
【0033】
同条件でパルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸を試験に供し、保持時間の比較および上記乾燥残留物から得られた試料との混合によりピーク同定を行った。
【0034】
上記BL法に基づく洗浄力試験とは、食洗機の食器洗浄力を評価するために財団法人ベターリビングの定めた試験方法で、トマトジュース、牛乳、カレー、卵、ご飯、豚カツ、ソース、ハムエッグおよび味噌汁で汚染した食器を洗浄する試験である。
【0035】
2.汚れ可溶化能力
モデル汚れとして炭酸カルシウムおよびステアリン酸カルシウムを使用した。
【0036】
90mlの水道水(pH7.3、硬度120ppm、以下同様)を入れた200mlの三角フラスコに、各モデル汚れをそれぞれ20mg投入し、攪拌しながら(炭酸カルシウムは白濁し、ステアリン酸カルシウムは液表面に浮遊状態)50℃で保温したものをモデル汚れ懸濁液とした。この懸濁液をMenzelの緩衝液を用いてpH9.73とし、4%アミノカルボン酸5ml(水道水で調製)を添加して全量100mlとした。オキシカルボン酸およびスルファミン酸については、4%の各試薬(水道水で調製)5mlをモデル汚れ懸濁液に添加し、水道水で全量100mlとした。
【0037】
庫内洗浄剤組成物および市販の庫内洗浄剤の場合、モデル汚れ懸濁液に、実用濃度となるように各洗浄液10mlを添加した。
【0038】
上記のように調製したモデル汚れ懸濁液に各試験液を投入した液を攪拌しながら、15分後までは3分毎に、それ以降は25および40分後に水溶液の変化を観察し、溶解状態を目視により表1の判定方法で評価した。
【0039】
【表1】
【0040】
3.アルカリ緩衝剤配合量の検討
水道水100mlに配合例9の庫内洗浄剤組成物0.3gを溶解したものを原液、3.0g溶解したものを10倍濃度溶液とした。さらに、原液を水道水で2、3、5および10倍に希釈して各希釈溶液を調製した。各溶液を攪拌しながら23〜26℃でpHを測定した。
【0041】
4.アルカリ緩衝剤配合比の検討
水道水90mlにEDTA・4Na(クレワットS2、帝国化学産業製)0.2gを溶解後、10%の炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウム水溶液(上記水道水で調製)を適量加えて全量100mlとし、攪拌しながら23〜26℃でpHを測定した。
【0042】
5.庫内洗浄力
配合例9の庫内洗浄剤組成物15gを表2に示す各食洗機庫内に投入し、標準コースで2回洗浄を行い、洗浄前後の食洗機庫内の様子の変化および加熱洗い工程中の庫内の泡立ちにより、表3の判定方法で評価した。
【0043】
表2中、卵を使用した試験とは全卵3.8gをいれて洗浄する試験、紅茶を使用した試験とは紅茶で汚染した食器を洗浄する試験である。
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
6.腐食性
6種類のテストピース(ステンレスSUS420J2、SUS430、SUS304、アルミニウム、鉄、銅)(50mm×30mm×0.5mm(L×W×T))を使用した。
【0047】
各テストピース表面の汚れをエタノールで拭き取った後、0.375%および3.75%の配合例9の庫内洗浄剤組成物、実用濃度の市販庫内クリーナー(市販品A:0.375%、市販品B〜D:3.75%)、食洗機専用洗剤(ハイウオッシュA)0.15%に浸漬して50℃で1週間放置した。全ての試験液は水道水で調製した。対照として水道水を用いた。
【0048】
金属腐食性は、放置後のテストピースおよび試験液外観の変化と、放置前後の重量変化により表4の判定方法で評価した。
【0049】
【表4】
【0050】
7.すすぎ性
配合例9の庫内洗浄剤組成物を15g、ハイウオッシュAを4.8g使用して、食洗機(東芝製DW−32BX)を標準コースで運転した。加熱洗い、水すすぎ1回目、水すすぎ2回目および加熱すすぎ後の各排水の導電率を測定し、水道水(430μS/cm)と比較した。
【0051】
8.消泡効果
食洗機(東芝製DW−32BX)庫内にステアリン酸ナトリウム80mgと、配合例9の庫内洗浄剤組成物15gをいれて標準コースで洗浄を行い、洗浄開始から20分後に洗浄を止め、扉を開けた直後の泡立ちの観察を行った。消泡効果は泡立ちにより、○:液面がノズル下、△:ノズルと同程度、×:ノズルが泡で覆われている、の3段階で判定した。
【0052】
実施例1) 食洗機排水の分析
上記1.食洗機排水の分析に従い試験した結果を図1および表5に示す。図1の上は、乾燥残留物のHPLCによる脂肪酸分析結果である。リテンションタイム(RT)11.825分付近にメインピークが確認された(図1上、矢印1)。各脂肪酸に対する同条件のHPLC分析で、パルミチン酸のメインピークは7.527分、ステアリン酸は11.742分(図1中、矢印2)およびオレイン酸は5.675および7.725分のRTであったことから、乾燥残留物由来メインピークはステアリン酸であることが強く示唆された。そこで、乾燥残留物とステアリン酸を混合し、再度HPLCを行ったところ(図1下、矢印3)、単一ピークがRT=12.042に検出され、この乾燥残留物には脂肪酸としてステアリン酸のみが含まれていることが明らかとなった。表5は食洗機排水の分析結果をまとめたものであるが、表5から食洗機排水には、炭酸塩やステアリン酸が含まれていることが判った。
【0053】
【表5】
【0054】
実施例2) アミノカルボン酸の汚れ可溶化能力の比較
上記2.の汚れ可溶化能力の試験方法に従い、アミノカルボン酸の汚れ可溶化能力を比較した。
【0055】
アミノカルボン酸として、EDTA・4NaはクレワットS2、NTA・3NaはクレワットC3、HEDTA・3NaはクレワットOH300、HIDA・2NaはクレワットBi−HDS、ASDA・4NaはクレワットBi−ADS(以上、すべて帝国化学産業)、GLDA・4NaはキレストCMG−40(キレスト)を用いた。
【0056】
表6に結果を示す。表6に示すように、全てのアミノカルボン酸がステアリン酸カルシウムを可溶化した。炭酸カルシウムについても、全てのアミノカルボン酸で効果がみられたが、特にクレワットS2、クレワットC3およびクレワットOH300が優れていた。
【0057】
【表6】
【0058】
実施例3) アルカリ緩衝剤配合量の検討
上記3.アルカリ緩衝剤配合量の検討方法に従い、庫内洗浄剤組成物のpHを測定した。
【0059】
庫内洗浄剤組成物として表7に示す各組成を用いた。キレート剤としてクレワットS2を用い、アルカリ緩衝剤として炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムを用いた。
【0060】
結果を表7に示す。表中n.d.は未試験であることを示す。表7に示すように、pHが0.6以上低下したのは、配合例1の場合3倍希釈、配合例4の場合10倍希釈であったことから、炭酸ナトリウムに比べ炭酸水素ナトリウムの緩衝能が低いことが判った。両アルカリ剤を混合した配合例2の場合、pHが0.6以上低下したのは5倍希釈であり、配合例3の場合、5倍希釈でもpHが0.6以上低下することはなかった。このことから、庫内洗浄剤組成物として緩衝能をもたせるためには、炭酸水素ナトリウム単独よりも両者の混合系が適していることが判明した。
【0061】
【表7】
【0062】
実施例4) アルカリ緩衝剤配合比の検討
上記4.のアルカリ緩衝剤配合比の検討方法に従い、各溶液のpHを測定した。
【0063】
表8に結果を示す。表8に示すように、10%炭酸ナトリウム水溶液の添加量が2.5ml〜7.7ml、10%炭酸水素ナトリウム水溶液の添加量が2.3〜7.5mlの場合、すなわち炭酸水素ナトリウムに対する炭酸ナトリウムのモル比が0.26〜2.7の場合、アミノカルボン酸水溶液のpHが9〜10の弱アルカリ性の範囲内に維持されることが示された。
【0064】
【表8】
【0065】
実施例5) 庫内洗浄剤組成物、オキシカルボン酸、スルファミン酸および市販の庫内洗浄剤の汚れ可溶化能力の比較
上記2.の汚れ可溶化能力の試験方法に従い、庫内洗浄剤組成物、オキシカルボン酸、スルファミン酸および市販の庫内洗浄剤の汚れ可溶化能力を比較した。
【0066】
庫内洗浄剤組成物として表9に示す各組成を用いた。オキシカルボン酸としてクエン酸およびクエン酸三ナトリウムを用いた。市販の庫内洗浄剤として市販品A、B、CおよびDを用いた。市販品A、BおよびCは有機酸配合で酸性であり、市販品AはWP−780i(シックジャパン)、市販品Bは食器洗い乾燥機の中を洗浄します(キング化学)、市販品CはDWクリーナー(ショーエイ)を用いた。市販品Dは過炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムおよびケイ酸ナトリウム配合で弱アルカリ性のJazz(渋谷油脂)を用いた。実用濃度は、庫内洗浄剤組成物および市販品Aは0.375%、市販品B、CおよびDは3.75%である。
【0067】
表9および10に結果を示す。表9に示すように、配合例6はどちらの汚れも可溶化できず、配合例7〜10は、両汚れに有効であり、特に配合例8、9および10が優れていた。このことから、クレワットS2を13.3%以上含有することが好ましく、26.6%以上がより好ましいことが判った。
【0068】
表10に示すように、クエン酸、スルファミン酸および市販品A、B、Cは炭酸カルシウムを可溶化したがステアリン酸カルシウムは可溶化せず、クエン酸三ナトリウムおよび市販品Dはどちらの汚れも可溶化することはできなかった。以上のことから、クレワットS2を含む庫内洗浄剤組成物はオキシカルボン酸、スルファミン酸および市販品と比較しても優れた汚れ可溶化能力を有することが示された。
【0069】
【表9】
【0070】
【表10】
【0071】
実施例6) 庫内洗浄剤組成物の庫内洗浄力
上記5.庫内洗浄剤組成物の庫内洗浄力試験結果を示す。
【0072】
庫内洗浄剤組成物として表9の配合例9を用いた。
【0073】
表11に結果を示す。表11に示すように、食洗機Dは庫内が樹脂製のため観察が困難であったが、これ以外の全ての食洗機では庫内の汚れが除去された。また、洗浄中には、全ての食洗機で泡立ちがみられた。これは、庫内に蓄積した金属石けんからアミノカルボン酸型キレート剤によって石けんが生成されたためと判断できる。以上より、庫内洗浄剤組成物は1回15gの使用量で十分な洗浄効果を発揮することが示された。
【0074】
【表11】
【0075】
実施例7) 庫内洗浄剤組成物および市販の庫内洗浄剤が材質に及ぼす影響
上記6.の腐食性試験方法に従い、庫内洗浄剤組成物と市販の庫内洗浄剤について試験を行い、食洗機専用洗剤および水道水と比較した。
【0076】
庫内洗浄剤組成物として表9に示す配合例9を、市販の庫内洗浄剤として市販品A、B、CおよびDを用いた。比較対象として用いた食洗機専用洗剤はハイウォッシュA(P&G)である。実用濃度は、庫内洗浄剤組成物および市販品Aの場合0.375%、市販品B、CおよびDは3.75%、食洗機専用洗剤は0.15%である。ただし、庫内洗浄剤組成物の場合、実用濃度の10倍(3.75%)でも試験を行った。
【0077】
表12に結果を示す。表12に示すように、庫内洗浄剤組成物の腐食性は食洗機専用洗剤および水と同程度であった。一方、弱アルカリ性の市販品Dの腐食性は食洗機専用洗剤および水と同程度であったが、酸性の市販A、BおよびCの腐食性は高かった。
【0078】
さらに、表9に示す配合例9で食器洗い乾燥機を標準コースで100回運転しても、動作に問題が無いことを確認した。
【0079】
【表12】
【0080】
実施例8) 庫内洗浄剤組成物および食洗機専用洗剤のすすぎ性の比較
上記7.すすぎ性の試験方法に従い、庫内洗浄剤組成物および食洗機専用洗剤のすすぎ性を比較した。
【0081】
庫内洗浄剤組成物として表9に示す配合例9を用い、食洗機専用洗剤としてハイウォッシュAを用いた。
【0082】
図2に結果を示す。図中●は配合例9の庫内洗浄剤組成物を、△はハイウオッシュAを示している。点線は、水道水の伝導率を同条件で測定したものを示している。
【0083】
図2のように、配合例9の庫内洗浄剤組成物の導電率は2回目のすすぎで水道水と同程度を示し、食洗機専用洗剤ハイウオッシュAと同様に溶解性が高くすすぎ性が良好であることが示された。
【0084】
実施例9) 消泡効果
上記8.消泡効果試験方法に従い、下記の表13に示す各組成の庫内浄剤組成物の試験を行った。
【0085】
消泡剤として、シリコン系消泡剤、低泡性非イオン系界面活性剤、ポリエーテル系混合物、鉱物油系消泡剤および油状物質を用いた。シリコン系消泡剤として、SE21、UF1371、FC2913(以上、全てワッカーシリコーン)およびSWS211(川原油化)、低泡性非イオン系界面活性剤としてコニオンAEP1220(新日本理化)、ポリエーテル系混合物としてSNデフォーマーpC(サンノプコ)、鉱物油系消泡剤としてノプコ267−A(サンノプコ)、油状物質としてオリーブ油(五協産業)を使用した。
【0086】
表13に結果を示す。表13に示すように、全ての消泡剤について消泡効果が認められたが、特にシリコン系消泡剤の場合、少量の添加でも石けんの泡沫を効果的に消泡し、全組成中0.1〜1.0%の範囲で含有すると十分な消泡効果の得られることが示された。
【0087】
【表13】
【0088】
【表13】
【0089】
【発明の効果】
食器洗い乾燥機庫内に蓄積する特異的な汚れであるスケール、金属石けん、油やタンパク汚れの全てに対して作用し、使用量も少なくて済み、操作性に優れた家庭用食器洗い乾燥機庫内専用洗浄剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】乾燥残留物、ステアリン酸および両者の混合物のHPLCチャートを示す図である。
【図2】庫内洗浄剤組成物のすすぎ性を、食洗機専用洗剤と比較した試験結果を示す図である。
【符号の説明】
1 乾燥残留物のメインピーク
2 ステアリン酸のメインピーク
3 乾燥残留物およびステアリン酸の混合物のメインピーク
Claims (6)
- アミノカルボン酸型のキレート剤を含みスケールと金属石けんを共に除去する食器洗い乾燥機専用庫内洗浄剤組成物
- アミノカルボン酸がエチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸、L−グルタミン酸二酢酸またはそれらのナトリウム塩あるいはカリウム塩である請求項1に記載の食器洗い乾燥機専用庫内洗浄剤組成物
- アミノカルボン酸型のキレート剤を全組成中13.3重量%以上含有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の食器洗い乾燥機専用庫内洗浄剤組成物
- 食器洗い乾燥機専用庫内洗浄剤組成物として、実用濃度でのpHが8〜11となるようアルカリ緩衝剤、特に炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを合計11.0〜86.7重量%含有し、炭酸水素ナトリウムに対する炭酸ナトリウムのモル比が0.26〜2.7の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の食器洗い乾燥機専用庫内洗浄剤組成物
- 食器洗い乾燥機専用庫内洗浄剤組成物としてさらに消泡剤、特にシリコン系消泡剤を全組成中0.1〜1.0重量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の食器洗い乾燥機専用庫内洗浄剤組成物
- 食器洗い乾燥機専用庫内洗浄剤組成物の1回の使用量が3〜30gである請求項1〜5のいずれかに記載の食器洗い乾燥機専用庫内洗浄剤組成物
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---|---|---|---|---|
JP2009506183A (ja) * | 2005-08-31 | 2009-02-12 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア | 親水性に変性されたポリカルボキシラートを含有する機械式食器洗浄のための洗浄調製物 |
JP2009155375A (ja) * | 2007-12-25 | 2009-07-16 | St Corp | 自動食器洗浄機庫内用洗浄剤 |
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-
2002
- 2002-11-20 JP JP2002378396A patent/JP2004168993A/ja active Pending
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