JP2004168702A - 微細エマルション組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】油溶性ビタミンを含有する微細エマルション組成物において、酸化エチレン付加硬化ヒマシ油を乳化剤とし、グリセリンを安定化剤としてを用いることにより、透明度が高く、安定性が良好なマイクロエマルションを得ることができた。油溶性ビタミンとしては、ビタミンA類及びビタミンE類から選択される1種又は2種以上を用いることが、その用途の広さから好ましい。また、ビタミンA類とビタミンE類を併用して用いることにより、ビタミンA類のしわ改善効果、ビタミンE類の血行促進効果が相乗的に向上した。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、油溶性ビタミンと、酸化エチレンが60〜100モル付加した硬化ヒマシ油(以下酸化エチレン付加硬化ヒマシ油と略す)と、グリセリンと、水を含有して成る、透明度が高く、安定性が良好な微細エマルション組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
油溶性ビタミンは、医薬,化粧品分野で広く用いられているが、これらのものは、水に殆ど溶解しないために、水性組成物にするには、界面活性剤を用いて油脂と共に乳化するか、アルコール水溶液に可溶化する等の操作が必要である。
【0003】
従来より、医薬品,化粧品,食品などの分野において、エマルション製剤は非常によく用いられており、特にその外観の透明性或いは半透明性や、粒子の微細さによりマイクロエマルションなどの微細なエマルションが求められている。
【0004】
かかる微細エマルションとしては、安定な二相領域のマイクロエマルションとして、親水性の非イオン性界面活性剤と、一定範囲の炭素数及び有機概念図上の無機性値を有する油の1種又は2種以上と、水とを特定の重量比で含有して成るマイクロエマルションが開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
さらに、ポリグリセリル脂肪酸エステル、炭素数10〜22の2−ヒドロキシ脂肪酸、油及び水を特定量含有する微細エマルション組成物が開示されている(特許文献2参照)。
【0006】
また、油溶性ビタミンについては、水性組成物に配合した際の保存安定性を向上させる目的で、微細エマルションへの配合が試みられている。
【0007】
例えば、脂溶性ビタミンと、水溶性多価アルコールと、ポリグリセリン脂肪酸エステル、エタノール及び水を配合してなる、脂溶性ビタミン含有水溶性剤(特許文献3参照)、天然界面活性剤と、多価アルコール及び常温で液状の脂肪族高級アルコールを必須成分として、ビタミンAパルミテート,ビタミンEアセテート等の油性成分を透明に可溶化したマイクロエマルションから成る化粧料(特許文献4参照)、乳化剤としてポリグリセリンエステル及び内相として親油性物質を含有する水中油型のマイクロエマルションであって、該乳化剤がトリグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有し、該親油性物質がカロテノイド類、特にβ−カロチン、ビタミンA、D、E及びKとそれらの誘導体、並びに高度不飽和脂肪酸類からなる群から選ばれた物質であることを特徴とするマイクロエマルション(特許文献5参照)、常温で液状の油分と、HLB値が7〜16のノニオン界面活性剤と、ビタミンE(誘導体)と水を含有する、微細化エマルション組成物(特許文献6参照)、水と、アルコールと、ビタミン油と、ヒマシ油1モルあたり30〜55モルの酸化エチレンでエトキシル化したヒマシ油と、プロポキシル化アルキルエーテルとを含んでなる化粧用マイクロエマルジョン組成物(特許文献7参照)等が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特公平6−61454号公報
【特許文献2】
特開平9−110635号公報
【特許文献3】
特開昭62−419号公報
【特許文献4】
特開平1−85906号公報
【特許文献5】
特開平10−263385号公報
【特許文献6】
特開平3−178331号公報
【特許文献7】
特表平9−500890号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の微細エマルションにおいては、経時で透明度が変化する等の問題があり、安定で、透明度の高い微細エマルションは、未だ提供されていなかった。そこで、本発明においては、透明度が高く、安定性が良好な微細エマルション組成物を得ることを目的とした。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するべく種々検討したところ、本発明者らは油溶性ビタミンを含有する微細エマルション組成物において、酸化エチレン付加硬化ヒマシ油を乳化剤として使用し、安定化剤としてグリセリンを用いることにより、透明度が高く、安定性が良好なマイクロエマルションを得ることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる油溶性ビタミンとしては、ビタミンA類及びビタミンE類から選択される1種又は2種以上を用いることが、その用途の広さから好ましい。また、ビタミンA類とビタミンE類を併用して用いることにより、ビタミンA類のしわ改善効果、ビタミンE類の血行促進効果が相乗的に向上する。
【0012】
本発明で用いるビタミンA類としては、レチノール,レチナール,レチノレイン酸及びこれらの誘導体等のレチール系(ビタミンA1系)化合物、デヒドロレチノール,デヒドロレチナール,デヒドロレチノレイン酸およびこれらの誘導体等のデヒドロレチノール系(ビタミンA2系)化合物、β−カロチン,α−カロチン,γ−カロチン及びこれらの誘導体などのプロビタミンA系化合物、及びこれらの化合物の立体異性体が包含される。これらのビタミンA類の中でも、パルミチン酸レチノールを用いることが、微細エマルションの安定性の点から最も好ましい。
【0013】
本発明で用いるビタミンE類としては特に限定されず、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,d−トコフェロール,酢酸トコフェロール,ニコチン酸DL−α−トコフェロール,コハク酸DL−α−トコフェロール等が例示される。
【0014】
本発明において、油溶性ビタミンの配合量は、微細エマルション全量中、0.1〜5重量%が好ましい。0.1重量%未満では、油溶性ビタミンの生理効果が発揮され得ず、逆に5重量%を超えて配合すると、透明度が低下し、安定な微細エマルションを得ることができない。
【0015】
本発明において用いる、酸化エチレン付加硬化ヒマシ油は、ヒマシ油の二重結合に水素を添加した硬化ヒマシ油に、酸化エチレンを60〜100モル付加重合したものである。かかる酸化エチレン付加硬化ヒマシ油の配合量は、油溶性ビタミン1重量部に対し、0.5〜2重量部とすることが、微細エマルション安定性の点から好ましい。
【0016】
本発明で用いるグリセリンは、通常医薬品,化粧品などに配合しうるものであれば、特に限定されない。またグリセリンの配合量は、油溶性ビタミン1重量部に対し、1〜50重量部とすることが、微細エマルション安定性の点から好ましい。
【0017】
本発明における微細エマルション組成物は、平均のエマルション粒子径が100nm以下のものをさす。より高い安定性を維持するためには、平均のエマルション粒子径が60nm以下であることが望ましい。本発明で用いる微細化された乳化粒子は、少なくとも油溶性ビタミンと、酸化エチレン付加硬化ヒマシ油と、グリセリンとを用いて調製する。上記微細エマルション組成物を得る乳化方法としては、例えば、転相温度乳化法、凝集法、液晶乳化法、D相乳化法などの界面化学的手法と、高圧乳化機、高せん断分散機、コロイドミルといった機械的手法を単独、または、複数を組み合わせた方法などが挙げられる。本発明では、特に、高圧乳化機で物理的な力を加えることが好ましく、高圧乳化を行う装置としては、例えば、高圧ホモジナイザーが挙げられる。
【0018】
また、好ましい製造方法として具体的には、液晶乳化を行った後、高圧乳化を行う方法で、第1段階として油溶性ビタミンと、酸化エチレン付加硬化ヒマシ油と、グリセリンで非水乳化物を作製し、これに水を加えて予備エマルションを調製する。第2段階として、この予備エマルションを高圧下で乳化粒子を100nm以下に微細化し、さらに必要ならば他の成分を添加する方法が挙げられる。予備乳化エマルション調製時の油溶性ビタミン/多価アルコール/酸化エチレン付加硬化ヒマシ油の配合量は、上記それぞれの範囲内で調整されるものであり、かつ、その混合比率は、特に制限されるものではない。なお、使用する高圧ホモジナイザーは、温度が5〜90℃、また処理圧力が500〜1500barに設定することが好ましい。
【0019】
本発明では、100nm以下に微細化されたエマルション組成物を得る方法として、上述の如く、界面化学的手法と機械的手法を組み合わせた方法、すなわち、液晶乳化を行った後、高圧乳化を行う方法で、第1段階として酸化エチレン付加硬化ヒマシ油と油溶性ビタミンと多価アルコールで非水乳化物を作製し、これに水を加えて予備エマルションを調製し、第2段階として、この予備エマルションを高圧下で乳化粒子を100nm以下に微細化する方法を詳述したが、これに限定されるものではなく、100nm以下に微細化されたエマルション組成物を得ることができるものであれば、転相温度乳化法、凝集法、液晶乳化法、D相乳化法などの界面化学的手法と、高圧乳化機、高せん断分散機、コロイドミルといった機械的手法を単独、または、これらの複数の組み合せでもよいものである。
【0020】
本発明にて得られた微細エマルション組成物は、そのまま医薬品,医薬部外品,化粧料等に用いるができるが、油性成分,界面活性剤,保湿剤,顔料,紫外線吸収剤,抗炎症剤,香料,防菌防黴剤等の一般的な医薬品及び化粧料用原料や、皮膚細胞賦活剤,美白剤等の生理活性成分を含有させることもできる。また、さらに、本発明に係る微細エマルション組成物を、安定な油溶性ビタミン基剤として他の医薬品,医薬部外品,化粧料などに添加することもできる。
【0021】
【実施例】
さらに本発明の特徴について、実施例により詳細に説明する。
【0022】
表1に示した処方にて、微細エマルションを調製した。微細エマルションは、(1)〜(6)の油相成分、及び(7)〜(9)の水相成分をそれぞれ80℃に加熱溶解し、油相に水相を添加してホモミキサーにて予備乳化した後、60℃にてマイクロフルイダイザー(1400bar,1回)にて処理を行うことにより調製した。
【0023】
【表1】
【0024】
表1に示した微細エマルションの粒径及び透過率を、調製直後、及び40℃で30日間保存後に測定した。粒径はレーザー回折型粒度分布計にて、透過率は700nmの透過率を測定した。本願発明の実施例については、何れも粒径が100nm以下、透過率が80%以上の良好な微細エマルションが得られたが、酸化エチレンの付加モル数が本願発明の範囲からはずれた酸化エチレン付加硬化ヒマシ油を用いて乳化した比較例1及び比較例2においては、粒径が100nmを超えるものであり、微細エマルションを得ることができなかった。
【0025】
実施例1〜実施例3を用いて使用試験を行い、しわ改善効果を検討した。パネラーとして、顕著なしわの発生が認められる40歳〜60歳の女性を用い、それぞれ一群20名とした。使用試験は、各群に実施例1〜実施例3のそれぞれをブラインドにて、1日2回3ヶ月間使用させ、使用試験開始前と使用試験終了後の皮膚の状態を観察して行った。しわの改善状況については、「改善」,「やや改善」,「変化なし」の3段階にて評価し、各評価を得たパネラー数にて表2に示した。
【0026】
【表2】
【0027】
表2に示したとおり、パルミチン酸レチノールとd−トコフェロールを併用して配合した実施例3においては、しわ改善効果が知られているパルミチン酸レチノールを6倍量配合した実施例1よりしわが改善したパネルの数が多くなっており、パルミチン酸レチノールとd−トコフェロールを併用することにより、相乗的にしわ改善効果が高まっていることが示された。
【0028】
次に、実施例1〜実施例3について、インビボにおける血行促進効果を5週齢のヘアレスマウスを用いて検討した。ヘアレスマウスの背部に各実施例を一日2回連続5日間塗布し、塗布前及び塗布終了後の皮膚色を分光測色計にて測定し、a値の変化により、血行促進作用を評価した。結果を表3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】
表3に示したとおり、パルミチン酸レチノールとd−トコフェロールを併用して配合した実施例3においては、血行促進効果が知られているd−トコフェロールを単独で配合した実施例2よりd−トコフェロールの配合量が少ないにもかかわらず高い血行促進効果が認められており、パルミチン酸レチノールとd−トコフェロールを併用することにより、相乗的に血行促進効果が高まっていることが示された。
【0031】
なお実施例1〜実施例3については、40℃で6カ月間保存した場合において状態の変化は全く認められず、男性パネル30名による48時間の背部閉塞貼付試験においても、問題となる皮膚刺激性反応は認められなかった。
【0032】
【発明の効果】
以上詳述したように、油溶性ビタミンを、酸化エチレンが60〜100モル付加した硬化ヒマシ油と、グリセリンと、水を用いて乳化して成る微細エマルションは、透明度が高く、安定性が良好であった。またビタミンA類とビタミンE類を併用して用いることにより、ビタミンA類のしわ改善効果、ビタミンE類の血行促進効果が相乗的に向上した。
Claims (3)
- 油溶性ビタミンと、酸化エチレンが60〜100モル付加した硬化ヒマシ油と、グリセリンと、水を含有して成る、微細エマルション組成物。
- 油溶性ビタミンが、ビタミンA類及びビタミンE類から選択される1種又は2種以上である、請求項1に記載の微細エマルション組成物。
- 油溶性ビタミンが、ビタミンA類とビタミンE類を併用して用いる、請求項1に記載の微細エマルション組成物。
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-
2002
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