JP2004168594A - 炭素繊維強化複合材料 - Google Patents

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Hiroyuki Tsuto
宏之 津戸
Tomoyuki Hikita
友幸 引田
Ichiro Aoki
一郎 青木
Tatsuya Shiogai
達也 塩貝
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Taiheiyo Cement Corp
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Taiheiyo Cement Corp
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Abstract

【課題】軽量、高剛性の特性を維持しつつ、耐酸化性がより高い炭素繊維強化複合材料を提供すること。
【解決手段】強化材が炭素繊維およびSiCであり、マトリックスがSiからなる炭素繊維強化複合材料において、炭素繊維含有率が一方の表面から他方の表面に向かって変化している。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽量、高剛性という特徴を有する炭素繊維強化複合材料に関し、特に高温で使用される耐酸化性の改善された炭素繊維複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維を強化材として用いた複合材料は、軽量、高剛性という特徴を有しており、例えば樹脂を炭素繊維で強化させた材料は、従来の樹脂材料より高剛性、高強度であることからゴルフクラブなどに広く応用されている。また、耐熱性に優れた材料である炭素を炭素繊維で強化した、いわゆる炭素繊維/炭素複合材料は、軽量、高剛性に加えて耐熱性に優れるという特徴を有し、航空、宇宙などの分野への適用が期待されている。
【0003】
しかしながら、このような炭素繊維/炭素複合材料は、高温で酸化雰囲気に曝されると著しく劣化しその性能が低下する。これは、炭素繊維、炭素とも耐酸化性が悪いことに起因し、このことが上述の炭素繊維/炭素複合材料の普及の妨げとなっていた。
【0004】
これに対し、特許文献1には、SiCと炭素繊維と炭素繊維以外の炭素成分から構成され、骨格部と骨格部の周囲に形成されたマトリックスとからなる構造を有する複合材が開示されている。この技術では骨格部にSiCを用いることにより耐酸化性が向上するとしている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−351672号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1の技術においても、高温での耐酸化性が十分とはいえず、より高い温度での耐酸化性を有する炭素繊強化複合材料が求められている。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、軽量、高剛性の特性を維持しつつ、耐酸化性がより高い炭素繊維強化複合材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、以下のような知見を得た。
(1)炭素繊維と金属Siとを複合化させることにより、炭素繊維の耐酸化性が向上すること。
(2)単に炭素繊維と金属Siとを複合化させただけでは、高温耐酸化性と剛性とを両立させることが困難であるが、炭素繊維含有量を一方の表面から他方の表面に向かって変化させるようにすることにより、高温耐酸化性が要求される表面のSiを多くして高温耐酸化性をより高くしつつ、全体の炭素繊維を所定量以上に維持して剛性を保つことが可能となること。
【0009】
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであり、強化材が炭素繊維およびSiCであり、マトリックスがSiからなる炭素繊維強化複合材料であって、炭素繊維含有率が一方の表面から他方の表面に向かって変化していることを特徴とする炭素繊維強化複合材料を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の炭素繊維強化複合材料は、強化材が炭素繊維およびSiCであり、マトリックスがSiからなり、炭素繊維含有率が一方の表面から他方の表面に向かって変化している。
【0011】
複合材料のマトリックスであるSiは、高温酸化雰囲気中で表面にSiOの膜を形成し、酸化による劣化の進行を防止する働きがある。これに強化材として炭素繊維を含有させることにより、軽量化および高剛性化を図ることができる。複合材料の製造過程で炭素繊維が一部SiCとなり、強化材として炭素繊維およびSiCが存在する状態となる。
【0012】
本発明では、複合材料の一方の表面から他方の表面に向かって炭素繊維含有率を変化させる。これにより、高温酸化雰囲気中に曝される方の表面の炭素繊維含有量を少なくしてSiを多くすることができ、もって複合材料自体の耐酸化性を著しく向上させることができる。したがって、従来の耐酸化性が不十分であるという炭素繊維強化複合材料の欠点を解消し、耐酸化性を十分満足できるレベルに改善することができる。
【0013】
炭素繊維の含有率を変化させる方法としては、この種の分野で通常行われている種々の方法を採用することができる。例えば炭素繊維二次元織物のシートを積層する際に、シート間の樹脂の量を変化させることで達成することができる。
【0014】
本発明において用いる炭素繊維の種類は特に限定されるものではないが、引張弾性率で100GPa以上のものが好ましい。
【0015】
本発明においては、炭素繊維の含有率を複合材料の一方の表面から他方の表面に向かって変化させるが、耐酸化性が要求される表面では炭素繊維の含有率を40体積%以下、他方の表面では50体積%以上とすることが好ましい。耐酸化性が要求される表面の炭素繊維の含有率が40体積%を超えると、耐酸化性を向上させるに十分な金属Siが存在し得ないので好ましくない。また、他方の表面の炭素繊維含有率が50体積%未満では複合材料全体の剛性が低くなるため好ましくない。
【0016】
このように構成される本発明の炭素繊維−SiC−Si複合材料は、従来からこの種の分野で用いられている方法を採用して製造することができる。例えば、以下のような方法を用いることができる。
【0017】
まず、炭素繊維束あるいは炭素繊維の二次元織物と炭素あるいは樹脂を混合し、プレスなどの方法により成形してプリフォームとする。この時炭素繊維束あるいは二次元織物の間の樹脂量を変化させる。次いで、このプリフォームとSiとを炉内に設置し、非酸化雰囲気中1500〜2000℃で加熱してSiをプリフォーム中に浸透させ所望の複合材料を得る。この複合材料に必要に応じて機械加工を施す。
【0018】
本発明の複合材料を樹脂を用いて作製する場合は、その樹脂の種類についても特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などを例示することができる。
【0019】
なお、本発明において、炭素繊維量の変化は炭素繊維含有率が一方の表面から他方の表面に向かって変化する態様は限定されるものではなく、直線的に変化してもよいし、階段状に変化してもよい。また、耐酸化性が要求される表面部分のみ炭素繊維量が少なくしたものも含まれる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例とともに示す。
【0021】
(実施例)
炭素繊維二次元織物(三菱化学製)にエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製)を塗布、これに炭素繊維二次元織物を重ね100℃で加熱しながらプレスした。この作業をエポキシ樹脂の塗布量を徐々に多くなるよう調整しながら繰り返し、炭素繊維プリフォームを得た。このプリフォームとSiとを炉内に設置し、1900℃、Ar雰囲気中で加熱することにより、Siをプリフォーム中に浸透させた。この複合材料断面の光学顕微鏡写真を図1に示す。この複合材料の炭素繊維含有率が少ない方の表面は炭素繊維含有率が35%であり、その表面を大気中、1000℃で10時間加熱した後観察したが、炭素繊維の劣化は見られなかった。一方、反対側の表面の炭素繊維含有率は55%であり、複合材料全体の剛性は112GPaであって十分な値を示した。
【0022】
(比較例)
エポキシ樹脂の塗布量があまり多くならないよう一定にして炭素繊維二次元織物を重ねた以外は実施例と同様の手法および条件で複合材料を作成した。その結果、炭素繊維層の酸化による減少、繊維の断裂が観察された。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、軽量、高剛性で、かつ耐酸化性が高い炭素繊維強化複合材料を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る炭素繊維強化複合材料の断面を示す光学顕微鏡写真。

Claims (1)

  1. 強化材が炭素繊維およびSiCであり、マトリックスがSiからなる炭素繊維強化複合材料であって、炭素繊維含有率が一方の表面から他方の表面に向かって変化していることを特徴とする炭素繊維強化複合材料。
JP2002336479A 2002-11-20 2002-11-20 炭素繊維強化複合材料 Pending JP2004168594A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012214318A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Covalent Materials Corp 複合セラミックスとその製造方法

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