JP2004167675A - 光コネクタ端面の加工装置及び光コネクタ端面加工方法 - Google Patents

光コネクタ端面の加工装置及び光コネクタ端面加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】屋外を含めたさまざまな場所で研磨作業が行え、かつ作業者の特別なスキルを必要とせずに短時間・簡便・低コストに研磨作業を行うことのできる加工装置を提供する。
【解決手段】駆動モータ(9)及び蓄電池(10)を内蔵し把持部を兼ねた操作回路ボックス(1)と、研磨定盤(4)を研磨定盤保持部(3)にて回転自在に保持すると共に前記駆動モータからの回転を遊星歯車機構により前記研磨定盤保持部へ伝達する駆動機構(8)を備えた遊星歯車機構部ボックスとを有し、遊星歯車機構部ボックスに二箇所の支柱(6、6)を介してチャック取付部(5)を固定し、チャック取付部には、前記研磨定盤に対してフェルール(A)を垂直方向に摺動自在に案内するチャック(43)と、フェルールを前記研磨定盤に向けて垂直に押し付ける加圧機構(7)を取り付けたことを特徴とする光コネクタ端面の加工装置(500)
【選択図】図1

Description

本発明は、光コネクタ端面であるフェルール端面の加工装置、及びフェルール端面の加工方法に関する。詳細には、さまざまな場所、さまざまな状況でフェルール端面を簡便かつ高速に研磨するフェルール用高速端面加工方法に関する。更に、フェルール用高速端面加工方法を実現する、小型軽量で、かつ低電力での使用が可能な研磨装置に関する。
なお本発明では、研磨面積が小さく、光コネクタとして高密度実装が可能な、フェルール径1.25mmの細径フェルールを主な被研磨対象とする。
図8(a)〜(d)は、従来のフェルール端面研磨工程の前処理を示し、ファイバ接着から、ファイバとフェルールを面一にするまでの作業工程を模式的に示すものである。
先ず、図8(a)に示すように、ファイバ200が接着剤でフェルール100の端面Gから突出するように、フェルール100に挿入、固着される。
この際、フェルール100の被加工端面Gに接着剤が塗布され、接着剤層300が形成される。なお、形成される接着剤層300の厚さは、フェルール100の径などに依存するが、フェルール径が小さいほど接着作業を精確に行うことが困難である。
次に、図8(b)に示すように、ファイバ200の突出部200aを手作業により接着剤層300の近傍で劈開する。
この際、作業の性格上、ファイバ200が接着剤層300から0.1mm程度突出してしまう。
この状態から、徐々に研磨を行い(図8(c))、ファイバ200の被加工端面200bとフェルール100の被加工端面Gが面一になるように加工する(図8(d))。この工程を、接着剤取り工程或いは第1工程と呼ぶ。第1工程において、加工中のファイバ200は接着剤層300により保護されている。
第1工程では通常短時間で大きな加工量を実現するため、比較的大きな粒径の研磨フィルム(図示省略)が使用される。このため、加工の極初期、ファイバ200の突出部200aに集中的に応力がかかり、ファイバ200の一部が折れ、折れたファイバが接着剤層300の内部に折れこむ。しかし、接着剤層300があるために、この折れたファイバがフェルール100まで達することはなく、接着剤層300内に留まる。
第1工程が終了後、ファイバ200の端面200bは、フェルール100の端面Gと同一の面を成す。つまり、接着剤層300は加工中のファイバ200の先端を保護する役割をする。
尚、ファイバ200は、フェルール100の被加工端面Gとほぼ面一になり、続く研磨工程(図示省略)に適した面となる。第1工程で加工された面は、一般に比較的粗い砥粒で研磨されるため、ある程度粗さがある面である。
第1工程のあと、端面を凸球面状に加工し(粗加工、第2工程)、反射減衰量の確保、ファイバの引き込みの抑制を目的にした仕上げ加工(第3工程)が行われる。
第3工程まで加工されたコネクタ端面(図示省略)は、断面の形状が凸球面であり、その曲率半径は10〜25mm程度である。なお、光コネクタ端面の加工精度としては、凸球面頂点とファイバ200の中心のずれが50μm以下、ファイバ200のフェルールからの引き込み量が0.05〜−0.1μmであることが要求される。特にMUに代表される小型フェルール100の場合において、凸球面頂点とファイバ中心とのずれ量に関して上記条件を満たすように加工することは困難である。
加工が困難な要因として、1)小型フェルールの場合、接着剤塗布面、すなわちフェルール100の被加工端面Gの面積が非常に小さく、フェルールテーパ面100aに接着剤が回り込む場合があること、2)接着剤がフェルールテーパ面100aなど被加工端面G以外の場所に回り込むと、被加工端面Gの中心がファイバ200の中心と偏心し、研磨定盤のゴム弾性変形を利用して、凸球面を形成する従来の加工方法では中心ずれを起こすこと、などが考えられる。
また、このような小型フェルール100では、仕様を満たす凸球面の曲率を実現するための加工において、フェルール100の中心部と外周部の加工量差が微小であり、中心ずれが起き易い。そのため高い精度の研磨機が一般に必要となる。
このような高精度加工を行う装置には、理想的な運動軌跡、及び装置の運動精度等が要求される。光コネクタ(フェルール)の被加工端面に対する研磨定盤の運動軌跡が正円を描く場合が理想的な運動軌跡である。この場合に、所望の光コネクタの被加工端面が得られる。
研磨定盤は弾性変形可能な部材で構成され、フェルール及びファイバの被加工端面が研磨定盤に押圧されると、研磨定盤の被加工端面と接触する部位が変形する。この状態で研磨定盤が回転することで、凸球面が形成される。この際、理想の運動軌跡で加工されると、フェルール端面及びファイバの研磨定盤への押し込みによって発生する研磨定盤のゴム弾性変形による加工圧分布が均一となり、偏心の少ない凸球面が形成される。実際の研磨機では、予めファイバが取り付けられたフェルールの位置が固定され、このフェルールの固定された位置から、所定量離間した位置を中心にして、研磨定盤が公転運動し正円軌道を描く。
しかし、研磨定盤の公転運動のみによって研磨を行うと、研磨定盤上の研磨フィルムの同一箇所のみが使用され、当該場所の研磨能力が研磨フィルムのその他の場所に比べて相対的に低下する。未使用領域が多く残存する研磨フィルを交換することは非経済的であるという問題がある。
そこで、研磨フィルを効率よく使用するために、研磨定盤を正円運動させつつ、その公転中心を徐々に移動させることが行われている。
このように、複雑かつ高精度な研磨定盤の運動を実現させるため、従来、カムリンク機構を用いる方法、スライドステージを用いる方法等が採用されている。しかし、これら従来技術では、複雑かつ高出力回転が必要である。
従って、従来の研磨装置は大型で高重量の装置が多く、多数本のフェルールを一括に加工することで、フェルール一端子あたりの加工時間、コストを抑えている。
また従来、可搬形の小型、軽量、低消費電力、低コストな研磨装置では、アームの遥動を用いた不十分な研磨軌跡のものであったり、上記諸条件を十分満足していないものが多かった。
特開平6−15556号公報 特開平6−27330号公報
本発明は、屋外を含めたさまざまな場所で研磨作業が行え、かつ作業者の特別なスキルを必要とせずに短時間・簡便・低コストに研磨作業を行うことのできる光コネクタ端面加工装置及び光コネクタ端面加工方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る光コネクタ端面の加工装置は、駆動モータ及び蓄電池を内蔵し把持部を兼ねた操作回路ボックスと、研磨定盤を研磨定盤保持部で回転自在に保持すると共に前記駆動モータからの回転を遊星歯車機構により前記研磨定盤保持部へ伝達する駆動機構を備えた遊星歯車機構部ボックスと、前記遊星歯車機構部ボックスに固定されるチャック取付部とを具備し 、前記チャック取付部には、前記研磨定盤に対してフェルールを垂直方向に摺動自在に案内するチャックと、前記フェルールを前記研磨定盤に向けて垂直に押し付ける加圧機構を取り付けたことを要旨とする。
本発明の請求項2に係る光コネクタ端面の加工装置は、請求項1記載の光コネクタ端面加工装置において、前記チャック取付部は、前記遊星歯車機構部ボックスに二箇所の支柱を介して固定されることを要旨とする。
本発明の請求項3に係る光コネクタ端面の加工装置は、請求項1記載の光コネクタ端面加工装置において、前記研磨定盤は、前記フェルールに対向する面に研磨フィルムが設けられ、弾性変形可能な材質からなることを要旨とする。
本発明の請求項4に係る光コネクタ端面の加工装置は、請求項1、2又は3記載の光コネクタ端面加工装置において、前記研磨定盤保持部は、前記遊星歯車機構部ボックスに対して、回転機構を介して前記フェルールの被加工端面に対向する面上を公転及び自転可能に支持されることを要旨とする。
本発明の請求項5に係る光コネクタ端面の加工装置は、請求項1、2、3又は4記載の光コネクタ端面加工装置において、前記駆動機構は、前記研磨定盤及び前記研磨定盤保持部を前記フェルールの被研磨端面に対向する面上で自転及び公転摺動させることを要旨とする。
本発明の請求項6に係る光コネクタ端面の加工装置は、請求項5記載の光コネクタ端面加工装置において、前記駆動機構はさらに、フレーム内に立設された中心軸と、前記中心軸に固定された太陽歯車と、前記中心軸に回転自在に装着された回転軸受歯車と、前記回転軸受歯車に一体に設けられた回転軸受と、前記回転軸受に設けられた固定軸と、前記固定軸に回転自在に装着され、前記太陽歯車に噛合う第1遊星歯車と、前記研磨定盤保持部と一体に設けられるとともに前記第1遊星歯車に噛合う第2遊星歯車と、前記第2遊星歯車を回転自在に支持するとともに前記回転軸受にアームを介して支持される第2遊星歯車軸と、から構成され、前記太陽歯車と前記第2遊星歯車の歯数が異なることにより、前記第2遊星歯車、前記研磨定盤保持部及び前記研磨定盤は、自転すると共に前記中心軸を中心として公転することを要旨とする。
本発明の請求項7に係る光コネクタ端面の加工装置は、請求項5記載の光コネクタ端面加工装置において、前記駆動機構はさらに、フレーム内に立設された中心軸と、前記中心軸に固定された太陽歯車と、前記中心軸に回転自在に装着された回転軸受歯車と、前記回転軸受歯車に一体に設けられた回転軸受と、前記回転軸受に設けられた固定軸と、前記固定軸に回転自在に装着され、前記太陽歯車に噛合う第1遊星歯車と、前記研磨定盤保持部と一体に設けられるとともに前記第1遊星歯車に噛合う第2遊星歯車と、前記第2遊星歯車を回転自在に支持するとともに前記回転軸受にアームを介して支持される第2遊星歯車軸と、から構成され、前記太陽歯車と前記第2遊星歯車の歯数が同一に設定され、前記第2遊星歯車、前記研磨定盤保持部及び前記研磨定盤は、前記中心軸を中心として公転することを要旨とする。
本発明の請求項8に係る光コネクタ端面の加工装置は、請求項6又は7記載の光コネクタ端面加工装置において、前記第2遊星歯車軸と前記研磨定盤保持部との間には、前記研磨定盤保持部を前記回転機構に押し付ける圧縮バネが介装されることを要旨とする。
本発明の請求項9に係る光コネクタ端面の加工装置は、請求項1,2,3,4,5,6、7又は8記載の光コネクタ端面加工装置において、前記加圧機構は、前記チャック取付部に立設されたガイド軸に前記フェルールのフランジを固定したガイド付フックを摺動自在に装着し、且つ、前記ガイド軸の上端に加圧調整ネジを設けると共に該加圧調整ネジと前記ガイド付フックとの間には加圧バネを圧入したことを要旨とする。
本発明の請求項10に係る光コネクタ端面加工方法は、直径約1.25mm或いは2.5mm或いはこれに準ずる円筒形フェルールから成る光コネクタ端面の加工方法であって、ファイバの被加工端面を除く周面に接着剤を塗布して前記フェルールへ挿入、固着し、前記フェルール端面から突出したファイバを前記フェルール端面と同一面にする工程を、凸球面形成工程と、仕上げ工程とを請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載の光コネクタ端面加工装置で行うことを要旨とする。
本発明の請求項11に係る光コネクタ端面加工装置は、請求項6または7記載の光コネクタ端面加工装置において、前記回転軸受にカウンターウェイトを設けたことを要旨とする。
本発明の請求項12にかかる光コネクタ端面加工装置は、請求項5または6記載の光コネクタ端面加工装置において、前記中心軸の軸心と、前記第2遊星歯車軸の軸心の距離が、前記研磨定盤の公転運動の半径に等しいことを要旨とする。
本発明の請求項13に係る光コネクタ端面加工装置は、請求項1記載の光コネクタ端面加工装置において、前記研磨定盤の前記研磨定盤保持部に対向する面に磁石が設けられ、前記研磨定盤保持部が金属製であることを要旨とする。
本発明の請求項14に係る光コネクタ端面加工装置は、請求項1記載の光コネクタ端面加工装置において、前記研磨定盤保持部は、当該研磨定盤保持部に固着されるとともに研磨定盤と対向する方向へ起立するピンを具備し、前記研磨定盤の研磨定盤保持部に対向する面に設けられた係合部に前記ピンが係合することを要旨とする。
上記光コネクタ端面加工装置及び当該加工装置を用いた光コネクタ端面加工方法では、接着剤の貼付の問題を解決するため、フェルール端面側に接着剤を塗布せず、フェルール内面にのみ接着剤を塗布してファイバを固定する。次に、フェルール端面側に接着剤層がない状態でファイバを適当な長さ残し切断する。その際、上述した光コネクタ端面の加工装置を用い、フェルール面とファイバ面が同一面となるように加工する。
しかし、この加工により、通常上記ファイバ折れこみが発生する。
そこで、この折れこみは、次の凸球面を形成する工程において通常より多くの加工量を取ることにより除去する。
ここで、加工量としては20〜70μm以上加工すれば十分である。この加工は、上述した本発明の光コネクタ端面の加工装置であれば、細径フェルールの場合、加工面積が小さく元来高速にフェルール長さを短く加工できることから、1分以内の比較的短時間に実施可能である。
本発明によれば、小型で安価な光コネクタ端面加工装置を提供できる。また本発明の光コネクタ端面加工装置を用いた光コネクタ端面加工方法によれば、円筒形フェルールを有する光ファイバコネクタの端面処理加工が、どのような場所においても高速簡便に行える。
以下、本発明について、図面に示す一実施形態を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態の光コネクタ端面の加工装置500は、図1に示すように、操作回路ボックス1、遊星歯車機構部ボックス2、研磨定盤保持部3、研磨定盤4、チャック取付部5、支柱6及び加圧機構7より概略構成される。
操作回路ボックス1の表面1dには、作業開始スイッチ1a、タイマースイッチ1b及び電源スイッチ1cなどが配置されている。さらに、操作回路ボックス1の内部には、駆動モータ9及び蓄電池10が内蔵されている(図2参照)。作業に際して、操作者(図示せず)は、操作回路ボックス1を把握する。
遊星歯車機構部ボックス2は、研磨定盤4を研磨定盤保持部3にて回転自在に保持すると共に、駆動モータ9からの回転力を遊星歯車機構を介して研磨定盤保持部3へ伝達する駆動機構8を備える。
駆動機構8は、図2及び図4に示すように、太陽歯車32、第1遊星歯車33、第2遊星歯車34等よりなる遊星歯車機構により、研磨定盤4及び研磨定盤保持部3をフェルールAの被加工端面に対向する面上で自転及び公転させる。
駆動機構8内には、フレーム11内に立設された中心軸35に太陽歯車32が固定され、中心軸35に回転軸受歯車31及び回転軸受歯車31に一体に設けられている回転軸受36を回転自在に装着してある。
また、駆動モータ9に直結された駆動歯車30を回転軸受歯車31に噛み合わせ、太陽歯車32に噛み合う第1遊星歯車33を回転軸受36に設けた固定軸37に回転自在に装着してある。
一方、第1遊星歯車33に噛み合う第2遊星歯車34を、回転軸受36にアーム38を介して取り付けた第2遊星歯車軸39に回転自在に装着してある(図4参照)。
第2遊星歯車34と研磨定盤保持部3とは一体に設けられ、研磨定盤保持部3は、遊星歯車機構部ボックス2のフレーム11に対してコロ式ベアリング40を介して公転及び自転自在に支持されている。
コロ式ベアリング40は研磨定盤4及び、加工時に発生する加工荷重を支える。またコロ式ベアリング40を使用することで研磨定盤4がスムーズかつ精確に回転及び摺動される。駆動機構8により、研磨定盤4及び研磨定盤保持部3は図4のAR1方向に自転しつつ公転摺動する。摺動可能範囲は図4Aに示す実線の位置から2点鎖線で示す位置まで図面水平方向にコロ式ベアリング40上を摺動する。
また更に、研磨定盤4の高い運動精度を実現するため、第2遊星歯車軸39と研磨定盤保持部3との間には、研磨定盤保持部3をコロ式ベアリング40に押し付ける圧縮バネ41が介装されている。
つまり、研磨定盤4をフェルールAに対して常に水平に摺動及び回転させるために、圧縮バネ41で図面下方の弾性力を研磨定盤保持部3に与え、研磨定盤保持部3をコロ式ベアリング40に常時接触させている。この機構により、研磨定盤4が常にフェルールAに対して水平、かつ滑らかに回転される。またこの機構により、本実施形態の精度を高めることができる。
また、コロ式ベアリング40の受け部の平面度を十分な精度で仕上げことにより研磨定盤4の回転によるぶれは十分抑制できる。
更に、コロ式ベアリング40が当接する平面を基準に支柱6のチャック取付機構5の受け部、及び取付機構5を高精度に作製すれば、駆動機構8の精度に関係なく高精度にフェルール端面と研磨定盤4を接触させることができる。
また、図2に示すように、回転定盤保持部3には、回転定盤4の方向に起立されたピンPが設けられている。ピンPは、回転定盤保持部3に固着され、回転定盤4に設けられた係合部(図示せず)に係合される。ピンPによって、回転定盤保持部3と回転定盤4とが一体に回転される。
更に、図3に示すように、研磨定盤4には永久磁石Mが埋設されていてもよい。磁石Mと金属製の研磨定盤保持部3との間に引力が働くため、作業中に加工装置500を斜めにさせても、研磨定盤4が研磨定盤保持部3からはずれることを防ぐことができる。
遊星歯車機構部ボックス2には、二箇所の支柱6を介してチャック取付部5が固定されている。チャック取付部5には、研磨定盤4に対してフェルールAを垂直方向に摺動自在に案内するチャック43と、フェルールAを研磨定盤4に向けて垂直に押し付ける加圧機構7が取り付けられている。
なおフェルールAは、直径約1.25mm或いは2.5mm或いはこれに準ずる円筒形のものである。
加圧機構7では、チャック取付部5に立設されたガイド軸47にフェルールAのフランジAa(図5参照)が取り付けられたガイド付フック44を摺動自在に装着してある。更に、ガイド軸47の上端に加圧調整ネジ45が設けられ、加圧調整ネジ45とガイド付フック44との間には加圧バネ46が圧入されている。
ガイド付フック44は、チャック取付部5に固定されたガイド軸47にベアリング等の低摩擦な部材を介して挿入されており、加圧バネ46により研磨上盤4の方向(図4矢印AR2方向)に押される。
加圧バネ46は、ガイド軸47に固定された加圧調整ねじ45で留められており、この加圧調整ねじ45の高さの調整により圧力の調整が行える。
従って、フェルールAの端部を研磨するための研磨圧力は、図4に示すように、チャック43に挿入されたフェルールAがガイド付フック44によって、研磨定盤4に押圧されることで発生される。
また、図5に示すように、フェルールAのさや部Abがガイド付フック44のガイド溝44aに挿入され、ガイド付きフック44のフック端部44bにフェルールフランジAaが固定される。
研磨定盤4は、弾性変形可能な材質からなり、その表面には研磨フィルム42が貼付されている。研磨定盤4の研磨フィルム42に、加圧機構7により所定の押圧力でフェルールAの被研磨端面Acを押し付けることにより、フェルールA及びその中心に沿ってあらかじめ挿入、接着されたファイバFの被研磨端面Fcが面一に研磨される(図7(a)乃至図7(e)参照)。
図7(a)乃至図7(e)は、上記本発明の加工装置500を使用して、フェルールAを研磨する工程を示した説明図である。
まずファイバFがフェルールAに挿入、接着され、余分なファイバFの一部Faが切断される(図7(a)、7(b))。
次に、このフェルールAが研磨されるが、上記したように、ファイバFの端部の一部がフェルールA内部に折れこむ(図7(c)のX)(第1工程)。第2工程では、折れこんだ部分を除去するために、フェルールの長さΔYを研磨する。なおΔYは折れこんだXの量により適宜決定される。続く第3工程では、フェルールAの端面AGをファイバFの端面Fcを面一にし、所望の精度に加工する。
上記構成を有する本実施形態に係る光コネクタ端面の加工装置500によれば、以下の作用・効果を奏する。
駆動モータ9に直結された駆動歯車30を回転させると、駆動歯車30に噛み合う回転軸受歯車31が中心軸35を中心に回転する。更に、回転軸受歯車31が回転軸受36と一体に回転し、この回転軸受36上に固定された固定軸37を中心に第1遊星歯車33が中心軸35に固定された太陽歯車32の回りを噛み合いながら回転する。
第1遊星歯車33と、第1遊星歯車33に噛み合う第2遊星歯車34とが回転すると、第2遊星歯車34と一体の研磨定盤保持部3と研磨定盤4とが、中心軸35の回りを公転することになる。この際、研磨定盤保持部3が圧縮バネ41によりコロ式ベアリング40を介してフレーム11に対して押し付けられているため、研磨定盤保持部3と研磨定盤4とはスムーズな回転が維持される。
ここで、太陽歯車32の歯数と第2遊星歯車34の歯数が異なれば、第2遊星歯車34、研磨定盤保持部3及び研磨定盤4は、自転すると共に中心軸35を中心として公転する。
この際、公転半径rは中心軸35の軸心mと第2遊星歯車軸39の軸心lの距離に等しい。
また、太陽歯車32の歯数及び第2遊星歯車34の歯数が同数の場合は、第2遊星歯車34、研磨定盤保持部3及び研磨定盤4は中心軸35を中心にして公転し、自転しない。
このように、太陽歯車32と第2遊星歯車34の歯数を僅かに変えるだけで、例えば、それぞれ24歯と25歯とすると研磨定盤4は、およそ25公転で1自転するようになり、研磨定盤4上の正円軌跡をわずかづつずらすことができる。
更に、本実施形態では、図6に示すように、太陽歯車32、第1遊星歯車33、第2遊星歯車34の中心軸が一直線上になく、公転中心l近傍に、多層構成となっているため、装置を従来よりも小さくすることができる。
さらに、回転軸受36上にカウンターウェイト12を設置しているため、公転運動部の重心を公転軸上に設定することも可能となる。
このように本実施形態の光コネクタ端面加工装置500は、遊星歯車を有した伝達機構により構成されているため、すべての運動要素が回転運動により構成されている。また、従来の研磨装置よりも、コンパクト、軽量になっている。
また、歯車32,33,34が多層構成となっているため、公転時の重心の偏心を小さくすることが可能で、さらに比較的軽量なカウンターウェイト12の設置でほぼ偏心を無くすことも可能になっている。
これらの特徴によって、低動力で高速に研磨定盤を公転させることのできる軽量小型装置が実現する。
例えば、本実施形態の加工装置は総重量0.7kg程度、形状は高さ170mm、外形60mmである。また、電源としては、ニッケル水素充電池数本を内蔵した電源により駆動できた。
なお、研磨定盤4の回転機構にはコロ式ベアリング40の代わりにボールベアリングを用いることも可能である。
以上に述べた手段により作製した装置を用いて、MUフェルールを加工した結果、1分半程度の加工時間で加工できた。これは従来の多数本取り大型研磨機の半分程度であり、小型ハンディ研磨機の3分の1の加工時間に相当する。
すなわち上記構成を有する実施形態により、研磨定盤の公転速度を従来の装置よりも高速にすることが達成された。さらに被研磨対象がMUコネクタの細径フェルール(加工面積が小さい)の場合に、従来の研磨装置を使用した場合に比べて顕著に研磨作業が短時間で終了できた。
また、仕様形状を満たす高精度加工を95%以上の確率で実現しており、歩留まりを向上することができた。
以上、実施形態に基づいて具体的に述べてきたように、本発明によれば、円筒形フェルールを有する光ファイバコネクタについての端面処理加工が、小型安価な本発明の装置を用いて、どのような場所においても高速簡便に行えることになる。
従来よりも小型で軽量な端面加工装置が実施でき、さまざまな場所で端面加工作業が高速かつ簡便に行える。
本発明のコネクタ端面研磨機の全体正面図である。 本発明のコネクタ端面研磨機の駆動機構を正面から見た断面図である。 図2の部分拡大図である。 本発明のコネクタ端面研磨機の駆動機構及び加圧機構を側面から見た断面図である。 本発明のコネクタ端面研磨機のチャック取付機構の側断面図である。 本発明のコネクタ端面研磨機の駆動機構の上面図である。 本発明の端面研磨機を用いてフェルール研磨工程を示す工程図であって、図7(a)は、ファイバをフェルールに挿入して接着した状態を示し、図7(b)は、フェルールの被加工端面の近傍でファイバを切断した状態を示し、図7(c)は、ファイバの一部がフェルール内部に折れこんだ状態を示し、図7(d)は、フェルールの一部を研磨した状態を示し、図7(e)は、本発明の光コネクタ端面加工装置によって加工が終了したファイバを示す。 従来のフェルール端面研磨工程の前に行われる研磨前工程図であって、図8(a)はファイバをフェルールに挿入して接着した状態を示し、図8(b)は接着剤の近傍でファイバをブレークした状態を示し、図8(c)は接着剤除去加工中の状況を示し、図8(d)は接着剤除去が終わり、研磨前処理工程が終了した状況を示す。
符号の説明
1 操作回路ボックス
2 遊星歯車機構部ボックス
3 研磨定盤保持部
4 研磨定盤
5 チャック取付部
6 支柱
7 加圧機構
8 駆動機構
9 駆動モータ
10 蓄電池
11 フレーム
12 カウンターウェイト
30 駆動歯車
31 回転軸受歯車
32 太陽歯車
33 第1遊星歯車
34 第2遊星歯車
35 中心軸
36 回転軸受
37 固定軸
38 アーム
39 第2遊星歯車軸
40 コロ式ベアリング
41 圧縮バネ
42 研磨フィルム
43 チャック
44 ガイド付フック
45 加圧調整ねじ
46 加圧バネ
47 ガイド軸
A フェルール
100 フェルール
100a フェルールテーパ面
200 ファイバ
200a 突出部
300 接着剤層
M 磁石
G 被加工端面
P ピン
500 加工装置

Claims (14)

  1. 光コネクタ端面加工装置であって、
    駆動モータ及び蓄電池を内蔵し把持部を兼ねた操作回路ボックスと、
    研磨定盤を研磨定盤保持部で回転自在に保持すると共に前記駆動モータからの回転を遊星歯車機構により前記研磨定盤保持部へ伝達する駆動機構を備えた遊星歯車機構部ボックスと、
    前記遊星歯車機構部ボックスに固定されるチャック取付部と、を具備し、
    前記チャック取付部には、前記研磨定盤に対してフェルールを垂直方向に摺動自在に案内するチャックと、前記フェルールを前記研磨定盤に向けて垂直に押し付ける加圧機構を取り付けたことを特徴とする光コネクタ端面加工装置。
  2. 前記チャック取付部は、前記遊星歯車機構部ボックスに二箇所の支柱を介して固定されることを特徴とする請求項1記載の光コネクタ端面加工装置。
  3. 前記研磨定盤は、前記フェルールに対向する面に研磨フィルムが設けられ、弾性変形可能な材質からなることを特徴とする請求項1記載の光コネクタ端面加工装置。
  4. 前記研磨定盤保持部は、前記遊星歯車機構部ボックスに対して、回転機構を介して前記フェルールの被加工端面に対向する面上を公転及び自転可能に支持されることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光コネクタ端面加工装置。
  5. 前記駆動機構は、前記研磨定盤及び前記研磨定盤保持部を前記フェルールの被研磨端面に対向する面上で自転及び公転摺動させることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の光コネクタ端面加工装置。
  6. 前記駆動機構はさらに、
    フレーム内に立設された中心軸と、
    前記中心軸に固定された太陽歯車と、
    前記中心軸に回転自在に装着された回転軸受歯車と、
    前記回転軸受歯車に一体に設けられた回転軸受と、
    前記回転軸受に設けられた固定軸と、
    前記固定軸に回転自在に装着され、前記太陽歯車に噛合う第1遊星歯車と、
    前記研磨定盤保持部と一体に設けられるとともに前記第1遊星歯車に噛合う第2遊星歯車と、
    前記第2遊星歯車を回転自在に支持するとともに前記回転軸受にアームを介して支持される第2遊星歯車軸と、から構成され、前記太陽歯車と前記第2遊星歯車の歯数が異なることにより、前記第2遊星歯車、前記研磨定盤保持部及び前記研磨定盤は、自転すると共に前記中心軸を中心として公転することを特徴とする請求項5記載の光コネクタ端面加工装置。
  7. 前記駆動機構はさらに、
    フレーム内に立設された中心軸と、
    前記中心軸に固定された太陽歯車と、
    前記中心軸に回転自在に装着された回転軸受歯車と、
    前記回転軸受歯車に一体に設けられた回転軸受と、
    前記回転軸受に設けられた固定軸と、
    前記固定軸に回転自在に装着され、前記太陽歯車に噛合う第1遊星歯車と、
    前記研磨定盤保持部と一体に設けられるとともに前記第1遊星歯車に噛合う第2遊星歯車と、
    前記第2遊星歯車を回転自在に支持するとともに前記回転軸受にアームを介して支持される第2遊星歯車軸と、から構成され、
    前記太陽歯車と前記第2遊星歯車の歯数が同一に設定され、前記第2遊星歯車、前記研磨定盤保持部及び前記研磨定盤は、前記中心軸を中心として公転することを特徴とする請求項5記載の光コネクタ端面加工装置。
  8. 前記第2遊星歯車軸と前記研磨定盤保持部との間には、前記研磨定盤保持部を前記回転機構に押し付ける圧縮バネが介装されることを特徴とする請求項6又は7記載の光コネクタ端面加工装置。
  9. 前記加圧機構は、前記チャック取付部に立設されたガイド軸に前記フェルールのフランジを固定したガイド付フックを摺動自在に装着し、且つ、前記ガイド軸の上端に加圧調整ネジを設けると共に該加圧調整ネジと前記ガイド付フックとの間には加圧バネを圧入したことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6、7又は8記載の光コネクタ端面加工装置。
  10. 直径約1.25mm或いは2.5mm或いはこれに準ずる円筒形フェルールから成る光コネクタ端面の加工方法であって、
    ファイバの被加工端面を除く周面に接着剤を塗布して前記フェルールへ挿入、固着し、
    前記フェルール端面から突出したファイバを前記フェルール端面と同一面にする工程を、凸球面形成工程と、仕上げ工程とを請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載の光コネクタ端面加工装置で行うことを特徴とする光コネクタ端面の加工方法。
  11. 前記回転軸受にカウンターウェイトを設けたことを特徴とする請求項6または7記載の光コネクタ端面加工装置。
  12. 前記中心軸の軸心と、前記第2遊星歯車軸の軸心の距離が、前記研磨定盤の公転運動の半径に等しいことを特徴とする請求項5または6記載の光コネクタ端面加工装置。
  13. 前記研磨定盤の前記研磨定盤保持部に対向する面に磁石が設けられ、前記研磨定盤保持部が金属製であることを特徴とする請求項1記載の光コネクタ端面加工装置。
  14. 前記研磨定盤保持部は、当該研磨定盤保持部に固着されるとともに研磨定盤と対向する方向へ起立するピンを具備し、前記研磨定盤の研磨定盤保持部に対向する面に設けられた係合部に前記ピンが係合することを特徴とする請求項1記載の光コネクタ端面加工装置。
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