JP2004167557A - 塗型材の塗布方法およびその機構 - Google Patents

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Masahiro Mori
雅弘 森
Tomonori Fukumoto
知典 福本
Nobuki Matsuo
伸樹 松尾
Takuji Suezawa
拓治 末澤
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Abstract

【課題】シリンダスリーブの外周壁に良好な形状のスパイニーを形成する。
【解決手段】断熱材、離型剤および粘結剤が水に分散されたベース材LBは、第1モーノポンプ26によって必要量のみ第1タンク16から揚液され、第2タンク18に導入される。第2タンク18に導入されたベース材LBに対し、ポット22からアニオン系界面活性剤SAが添加される。これによりベース材LBとアニオン系界面活性剤SAとが混合され、必要量の塗型材が調製される。この塗型材は、ノズル50を介して噴射され、円筒状金型14の内周壁に塗布される。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠心力を利用して中空体を鋳造成形する円筒状金型に対して塗型材を塗布する方法およびその機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車を走行させる駆動源である内燃機関においては、シリンダボア内に鋳鉄製のシリンダスリーブが配設されることがある。この場合、シリンダボア内で往復動作するピストンの側周壁部は、このシリンダスリーブの内周壁に摺接する。
【0003】
シリンダスリーブは、特許文献1に記載されているように、いわゆる遠心鋳造法によって作製される。すなわち、まず、回転動作される円筒状金型の内周壁に塗型材が塗布される。
【0004】
ここで、特許文献1においては、珪藻土、ベントナイト、離型剤および界面活性剤を混合したものを塗型材として用いるようにしている。界面活性剤が存在することにより、塗型材の表面張力が上昇する。このため、図2に示すように、該塗型材の表面には液滴状に盛り上がった凸部1が形成されるとともに、該凸部1同士の谷間に凹部2が形成される。このような凸部1および凹部2を有する塗型材が乾燥固化することにより、該凸部1および該凹部2を有する塗型膜が設けられる。なお、図2における参照符号3は、円筒状金型の内周壁を示す。
【0005】
次に、回転動作される前記円筒状金型の内部に溶湯を導入して冷却固化させると、シリンダスリーブが得られる。図3に示すように、このシリンダスリーブの外周壁4には、塗型膜の表面に形成された前記凸部1および前記凹部2の形状が転写されることによって、多数の凹部5および凸部6からなる、いわゆるスパイニー7が形成される。
【0006】
このようにして作製されたシリンダスリーブは、次に、内燃機関を構成するシリンダブロックを鋳造成形するための鋳造用金型のキャビティに配設される。そして、このキャビティにアルミニウム等の溶湯が導入された後、該溶湯が冷却固化されることによってシリンダブロックが鋳造成形されるとともに、該シリンダブロックに前記シリンダスリーブが鋳込まれる。
【0007】
この鋳込みの際、上記したようにシリンダスリーブの外周壁にスパイニー7が設けられているため、アルミニウムの溶湯とシリンダスリーブとの密着性が向上する。すなわち、アルミニウムからなるシリンダブロック、鋳鉄からなるシリンダスリーブという異種金属同士が良好に密着し合ったシリンダブロックが得られるに至る。
【0008】
シリンダスリーブの外周壁にアルミニウムの溶湯を密着させる他の試剤としては、特許文献2に記載されているように、発泡性の起泡成分を含有する離型剤が例示される。この場合、離型剤中に発生した気泡は、円筒状金型の内周壁側から離型剤の表層側に指向して移動し、最終的に離型剤から離脱する。これに伴い、該離型剤の表面にクレータ状の凹部が形成される。この凹部がシリンダスリーブの外周壁に転写されることに伴って、該外周壁に微小突起部が設けられる。この微小突起部が存在することにより、アルミニウムの溶湯が該外周壁に密着し易くなる。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−273556号公報
【特許文献2】
特開2002−248544号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載された技術では、上記したように界面活性剤を添加して塗型材としている。このような塗型材にあっては、界面活性剤を添加した直後のものを使用する場合には凸部1の直径同士が略同等であり、かつ該凸部1同士の間隔が略均一である形状が良好なスパイニー7を形成することができる。
【0011】
しかしながら、塗型材の表面張力は、界面活性剤を混合してからの時間が経過するに従って低下する。したがって、例えば、界面活性剤が混合されて12時間を超えた後に塗布された塗型材には、図4に示すように、水平方向に広がる傾向が現れる。このため、塗型膜の表面に比較的小さな凸部8が突出形成され、前記凸部1が形成することが著しく困難となる。その結果、図5に示すように、シリンダスリーブの外周壁4に形成されるスパイニー7の形状が良好でなくなる。
【0012】
このような事態が生じると、シリンダスリーブに対してアルミニウムの溶湯が良好に密着せず、したがって、シリンダスリーブとシリンダブロックとを互いに密着させることが容易でなくなるという不具合を招く。
【0013】
このような事態が生じると、シリンダスリーブに対してアルミニウムの溶湯が良好に密着せず、したがって、シリンダスリーブとシリンダブロックとを互いに密着させることが容易でなくなるという不具合を招く。
【0014】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、鋳造成形品の外壁に形状が良好なスパイニーを確実に設けることが可能であり、このために該鋳造成形品を鋳込んで得られる鋳込み品における密着性を良好なものとすることが可能な塗型材の塗布方法およびその機構を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、時間の経過に伴って塗型材の表面張力が低下する理由につき鋭意検討を重ねる過程で、界面活性剤が金属イオン等の他の成分を囲繞する現象、すなわち、ミセル効果に着目した。塗型材には、例えば、溶媒である水中に溶出した金属イオン等が存在する。そこで、本発明者らは、界面活性剤が添加されると同時にミセル効果が開始され、時間の経過とともにこのミセル効果が進行して界面活性剤が順次消費されていくことにより、塗型材の表面張力が低下すると推察した。
【0016】
この観点から、本発明者らは、ミセル効果が過度に進行していない状況下で塗型材を塗布する方法につき更に検討を重ね、本発明をするに至った。
【0017】
すなわち、本発明は、回転する円筒状金型に溶湯を供給して遠心鋳造により中空部材を形成する際、前記円筒状金型の内周壁に界面活性剤を含有する塗型材を塗布する方法であって、
界面活性剤以外の塗型材の成分が混合された混合液を第1容器から第1揚液機構にて揚液する工程と、
前記第1揚液機構から揚液された前記混合液を第2容器に導入する工程と、
前記第2容器に貯留された前記混合液に界面活性剤を混合して塗型材を調製する工程と、
第2揚液機構にて前記塗型材を前記第2容器から揚液する工程と、
前記塗型材を前記円筒状金型の内周壁に塗布する工程と、
を有することを特徴とする。
【0018】
本発明においては、界面活性剤を除いた成分の混合液(ベース材)の充分量を第1容器に貯留しておき、塗型材を調製する際には、必要量のみの混合液が第2容器に移される。その上で、この混合液に対して界面活性剤を混合することにより塗型材が調製され、その直後に該塗型材が円筒状金型に塗布される。これにより、混合液に含有された成分を界面活性剤が囲繞する現象、すなわち、ミセル効果が進行する前に塗型材を円筒状金型の内周壁に塗布することができる。
【0019】
このため、界面活性剤の表面張力が低下しない時間内に塗型膜を形成することができる。したがって、遠心鋳造法によって得られる鋳造成形品の外壁に良好な形状のスパイニーを設けることができ、これにより、この鋳造成形品と、該鋳造成形品を鋳込む溶湯とが良好に密着する。その結果、異種金属製品同士が良好に密着した鋳込み品を製造することができる。
【0020】
なお、塗型材の主成分である前記混合液の好適な例としては、断熱材と、潤滑性を付与する離型剤と、前記断熱材と前記離型剤とを付着結合させる粘結剤とが水に分散されたものを挙げることができる。
【0021】
断熱材は、円筒状金型の内部に供給された溶湯の温度を保持する成分である。断熱材が存在することによって溶湯の冷却速度が一定範囲内に制御されるので、鋳造成形品の品質が一定となる。
【0022】
離型剤は、得られた鋳造成形品に潤滑性を付与し、これにより、円筒状金型の内周壁から鋳造成形品を離脱させることを容易にする成分である。
【0023】
そして、粘結剤が断熱材と離型剤とを互いに付着結合させることにより、塗型材の表面に液滴状の凸部が形成され易くなる。すなわち、塗型膜に凸部および凹部が形成され易くなり、良好な形状のスパイニーが得られ易くなる。
【0024】
断熱材の好適な例としては珪藻土、離型剤の好適な例としてはタルク、粘結剤の好適な例としてはベントナイトをそれぞれ挙げることができる。
【0025】
また、本発明は、回転する円筒状金型に溶湯を供給して遠心鋳造により中空部材を形成する際、前記円筒状金型の内周壁に界面活性剤を含有する塗型材を塗布する塗型材塗布機構であって、
界面活性剤以外の塗型材の成分が混合された混合液を貯留する第1容器と、
前記第1容器から前記混合液を揚液する第1揚液機構と、
前記第1揚液機構によって揚液された前記混合液を貯留する第2容器と、
前記第1容器から前記第2容器に亘って橋架された第1送液管と、
前記第2容器にて前記混合液と前記界面活性剤とが混合されることにより調製された塗型材を揚液する第2揚液機構と、
前記第2揚液機構から前記円筒状金型に亘って橋架された第2送液管と、
を有することを特徴とする。
【0026】
このような構成とすることにより、塗型材を必要量のみ調製することが容易となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る塗型材の塗布方法につきそれを遂行する機構との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1に、本実施の形態に係る塗型材塗布機構10が組み込まれた遠心鋳造機構12の概略構成をブロック図として示す。この遠心鋳造機構12は、前記塗型材塗布機構10と、シリンダスリーブを鋳造成形するための円筒状金型14とを有する。
【0029】
塗型材塗布機構10は、塗型材のベース材LBを貯留した第1タンク16と、該第1タンク16から第2タンク18にベース材LBを供給するための第1供給系20と、第2タンク18にてベース材LBとポット22から供給されたアニオン系界面活性剤SAとが混合されることにより調製された塗型材を円筒状金型14の内部に供給するための第2供給系24とを有する。
【0030】
第1タンク16に貯留されたベース材LBは、塗型材の成分からアニオン系界面活性剤SAのみが除かれたものである。すなわち、ベース材LBは、塗型材からアニオン系界面活性剤SAを除いた成分からなる液剤である。
【0031】
この場合、ベース材LBは、断熱材ないし耐熱材として機能する珪藻土、離型剤であるタルク、珪藻土とタルクとを物理的に結合させる粘結剤であるベントナイトが水に分散されてなる。このようなベース材LBでは、ベントナイトからカルシウムイオン、マグネシウムイオン、ナトリウムイオン等が水中に溶出する。
【0032】
第1供給系20は、容積回転式で脈動の少ない第1モーノポンプ(揚液機構)26と、該第1モーノポンプ26の作用下に第1タンク16から揚液されたベース材LBを送液する揚液管28と、該第1モーノポンプ26から第2タンク18に亘って橋架された第1送液管30とを有する。このうち、第1送液管30には2個の三方弁32、34が介装されている。
【0033】
また、第1モーノポンプ26の吐出側には、レギュレータ36が連結されている。このレギュレータ36の出力側は流量計38に連結されており、かつ該流量計38の一方の出力側は比較器40に連結されている。
【0034】
このように、流量計38の一方の出力側は比較器40にフィードバックされるように連結されており、該比較器40には、設定値に係る信号が導入される。すなわち、フィードバックされた流量計38の出力信号と比較器40における前記信号との差は、差信号としてレギュレータ36に送られるよう構成されている。
【0035】
流量計38の他方の出力側は前記三方弁32に接続され、該三方弁32の一方の出力側は前記第1送液管30に連結されている。そして、該三方弁32の他方の出力側は第1タンク16に連通されており、これにより第1循環系42が設けられている。
【0036】
一方、第2供給系24は、第2モーノポンプ44と、該第2モーノポンプ44の作用下に第2タンク18から揚液された塗型材を送液する揚液管46と、該第2モーノポンプ44から円筒状金型14に亘って橋架された第2送液管48と、該第2送液管48の先端に配設されたノズル50とを有する。この第2送液管48には、三方弁52が介装されている。
【0037】
三方弁34から三方弁52には連結管54が橋架されており、これにより第2循環系55が構成されている。すなわち、これら三方弁34、52の各弁位置によって、第2タンク18から揚液された塗型材を、第2モーノポンプ44、揚液管46、第2送液管48、三方弁52、連結管54、三方弁34および第1送液管30を介して第2タンク18に戻すことができる。
【0038】
また、第2タンク18には、ベース材LBとアニオン系界面活性剤SAとを撹拌混合するための撹拌翼56が設置されている。
【0039】
円筒状金型14は、図示しない回転駆動源に連結されるローラ57の回転作用下に回転自在である。また、この円筒状金型14の一端部には円盤58が嵌着されており、他端部には円環状枠体60が取着されている。
【0040】
円環状枠体60の中心部には大径な孔部62が設けられており、この孔部62に対しては、前記ノズル50が進退自在である。すなわち、ノズル50は、孔部62を通って円筒状金型14の内部に進入し、その軸線に沿って変位しながら円筒状金型14の内周壁に塗型材を塗布するように構成されている。
【0041】
次に、上記のように構成された塗型材塗布機構10において遂行される本実施の形態に係る塗型材の塗布方法につき、その作用とともに説明する。
【0042】
まず、図示しない回転駆動源を介してローラ57を回転させ、このローラ57により円筒状金型14を回転させる。その間に第1モーノポンプ26を付勢し、第1タンク16から揚液管28および第1モーノポンプ26を介してベース材LBを第1送液管30まで送液する。なお、第1モーノポンプ26の出力流量は予め設定されており、該第1モーノポンプ26から導出されたベース材LBは、レギュレータ36に導入されるとともに流量計38にて流量を制御された後、比較器40、三方弁32、34を介して第1送液管30を経由して第2タンク18に導入される。
【0043】
そして、第2タンク18に導入されたベース材LBに対し、所定量のアニオン系界面活性剤SAをポット22から供給する。これらベース材LBとアニオン系界面活性剤SAとは、第2タンク18内で撹拌翼56にて撹拌混合され、その結果、塗型材が調製されるに至る。
【0044】
そして、第2モーノポンプ44を付勢することにより、上記のようにして調製された塗型材を、揚液管46、第2モーノポンプ44、三方弁52および第2送液管48を介し、円環状枠体60に設けられた孔部62を通って円筒状金型14の内部に進入したノズル50から噴射する。このノズル50が退動動作することに伴い、円筒状金型14の内周壁に対し、その長手方向に沿って塗型材が塗布される。
【0045】
このように、本実施の形態においては、ベース材LBの必要量のみを第1タンク16から第2タンク18に送液し、その上でアニオン系界面活性剤SAを混合して塗型材を調製して塗布するようにしている。このため、必要量のみの塗型材が調製されるとともに、該塗型材は、アニオン系界面活性剤SAがカルシウムイオンやマグネシウムイオン、ナトリウムイオン、さらには珪藻土等を囲繞するミセル効果が充分に進行していない状態で塗布される。換言すれば、この場合、塗型材は、アニオン系界面活性剤SAの表面張力が低下しない時間内に塗布され、乾燥固化して塗型膜となる。
【0046】
この塗型膜の表面には、直径同士が略同等である液滴状に盛り上がり、かつ略等間隔で互いに離間した凸部1(図2参照)が多数形成されている。上記したように、塗型材に含有されるアニオン系界面活性剤SAの表面張力が高く、このために塗型材の表面に液滴状の凸部1が多数形成されるからである。
【0047】
なお、塗型材が塗布されている間、比較器40では、流量計38のフィードバック信号と、設定値に係る信号とを対比し、そこに差が生じているとき、その差がなくなるまでレギュレータ36に対して信号を送る。レギュレータ36は、前記差信号によってその流量制御を行い、三方弁32に最適な流量下にベース材LBを送る。三方弁32の他方の出力側は、前記の通り、第1タンク16に連通している。したがって、三方弁32から送り込まれるベース材LBは、第1タンク16に対して所定の流量で流入する。
【0048】
すなわち、比較器40には予め設定された値が信号として供給されており、この設定信号と流量計38の出力信号とが比較される。そして、設定信号と流量計38の出力信号との差信号に基づき、レギュレータ36における流量が制御される。
【0049】
このようにしてベース材LBを循環させることにより、時間の経過とともにベース材LBの粘度が上昇することを回避することができる。すなわち、ベース材LBの粘度を一定に保つことができ、このため、特に、円筒状金型14内部で長尺なシリンダスリーブを鋳造成形する場合、塗型膜の膜厚にばらつきが少なくなる。
【0050】
塗型膜を形成した後、図示しない溶湯供給機構を介して円筒状金型14の内部に溶湯を供給する。円筒状金型14が回転動作しているため、この溶湯には遠心力が作用し、その結果、該溶湯は塗型膜を介して円筒状金型14の内周壁に偏在する。この状態で溶湯が冷却固化することにより、シリンダスリーブが鋳造成形される。
【0051】
上記したように、塗型膜の表面には液滴状に突出した凸部1が多数形成されているとともに、該凸部1同士の谷間に凹部2が形成されている。しかも、該凸部1の直径同士は略同等であり、かつ該凸部1同士は互いに略等間隔で離間している。換言すれば、塗型膜の表面には良好な形状のスパイニーが形成されており、このため、シリンダスリーブの外周壁4に転写形成されたスパイニー7の形状も良好なものとなる(図3参照)。
【0052】
さらに、本実施の形態においては、形成された塗型膜の膜厚におけるばらつきが著しく小さい。したがって、シリンダスリーブの外周寸法のばらつきを抑制することができる。
【0053】
次いで、円筒状金型14から円環状枠体60を取り外し、この開口端部からシリンダスリーブを塗型膜とともに引き抜いて取り出す。このように、塗型膜と一体的にシリンダスリーブを引き抜くことにより、該シリンダスリーブを円筒状金型14から容易に離脱させることができる。
【0054】
シリンダスリーブの外周壁に付着した塗型膜は、例えば、ショットピーニング処理やショットブラスト処理等によって除去される。その後、該シリンダスリーブを所定の寸法に切断すれば、完成製品としてのシリンダスリーブが得られる。
【0055】
このようにして得られたシリンダスリーブは、次に、自動車用の内燃機関を構成するシリンダブロックを鋳造成形するための鋳造金型のキャビティに配置される。そして、このキャビティにアルミニウム等の溶湯が導入された後、該溶湯が冷却固化されることによってシリンダブロックが鋳造成形されるとともに、該シリンダブロックにシリンダスリーブが鋳込まれる。
【0056】
上記したように、このシリンダスリーブの外周壁には、良好な形状のスパイニー7が形成されている。このスパイニー7は、鋳込みの際、アンカーとなって該シリンダスリーブを鋳込む溶湯との密着性を向上させる。
【0057】
すなわち、本実施の形態によれば、界面活性剤による表面張力が低下しない時間内に塗型材を塗布してシリンダスリーブを鋳造成形することができるので、該シリンダスリーブとシリンダブロックとの密着性が極めて良好な内燃機関を構成することができる。
【0058】
第2タンク18で調製された塗型材が全て塗布されずに残留した場合には、残余の塗型材を前記第2循環系55により循環すればよい。すなわち、三方弁34、52の弁位置を操作し、第2タンク18から揚液された塗型材を、第2モーノポンプ44、揚液管46、第2送液管48、三方弁52、連結管54、三方弁34および第1送液管30を介して第2タンク18に戻す。これにより、ベース材LBと同様に、塗型材の粘度を一定に保つことができる。したがって、円筒状金型14内部で鋳造成形されるシリンダスリーブにおける外周面の寸法のばらつきが少なくなる。
【0059】
なお、上記した実施の形態においては、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤SAを使用しているが、特にこれに限定されるものではなく、ベース材LBの表面張力を向上させるものであれば、カチオン系界面活性剤であってもよいし、ノニオン系界面活性剤であってもよい。
【0060】
また、この実施の形態では、鋳造成形品としてシリンダスリーブを例示して説明したが、自動車用のブレーキドラムに鋳込まれるシューであってもよい。
【0061】
さらに、断熱材である珪藻土に代替してジルコン、珪砂、クロマイト、セピオライト、アルミナ、ムライトシリカ、酸化チタンの1種以上を使用する一方、粘結剤であるベントナイトに代替して黒鉛、フッ化黒鉛、二硫化モリブデン、コロイダルシリカ、アルミン酸ソーダの1種以上をそれぞれ使用するようにしてもよい。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、容器に貯留されたベース材の必要量のみを別容器に移し、その上で界面活性剤を添加して塗型材を調製して塗布するようにしている。すなわち、必要量のみの塗型材を調製するようにしている。このため、界面活性剤の表面張力が低下しない時間内に塗型膜を形成することができるので、遠心鋳造法によって得られる鋳造成形品の外壁に良好な形状のスパイニーを設けることができ、その結果、異種金属製品同士が良好に密着した鋳込み品を製造することができるという効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る塗型材の塗布方法を遂行するための塗型材塗布機構が組み込まれた遠心鋳造機構の概略構成を示すブロック説明図である。
【図2】液滴状に盛り上がった凸部が塗型材の表面に形成された状態を説明する要部拡大説明図である。
【図3】塗型膜の凸部および凹部が転写されることによってシリンダスリーブの外周壁に形成されたスパイニーを示す要部拡大説明図である。
【図4】界面活性剤の表面張力が低下した場合において、塗型膜の表面に形成された凸部を示す要部拡大説明図である。
【図5】図4の凸部が転写されることによってシリンダスリーブの外周壁に形成されたスパイニーを示す要部拡大説明図である。
【符号の説明】
1、6、8…凸部 2、5…凹部
7…スパイニー 10…塗型材塗布機構
12…遠心鋳造機構 14…円筒状金型
16、18…タンク(容器) 20、24…供給系
26、44…モーノポンプ(揚液機構) 28、46…揚液管
30、48…送液管 32、34、52…三方弁
42、55…循環系 50…ノズル
57…ローラ LB…ベース材(混合液)
SA…アニオン系界面活性剤

Claims (4)

  1. 回転する円筒状金型に溶湯を供給して遠心鋳造により中空部材を形成する際、前記円筒状金型の内周壁に界面活性剤を含有する塗型材を塗布する方法であって、
    界面活性剤以外の塗型材の成分が混合された混合液を第1容器から第1揚液機構にて揚液する工程と、
    前記第1揚液機構から揚液された前記混合液を第2容器に導入する工程と、
    前記第2容器に貯留された前記混合液に界面活性剤を混合して塗型材を調製する工程と、
    第2揚液機構にて前記塗型材を前記第2容器から揚液する工程と、
    前記塗型材を前記円筒状金型の内周壁に塗布する工程と、
    を有することを特徴とする塗型材の塗布方法。
  2. 請求項1記載の塗布方法において、前記混合液として、断熱材と、潤滑性を付与する離型剤と、前記断熱材と前記離型剤とを付着結合させる粘結剤とが水に分散されたものを調製することを特徴とする塗型材の塗布方法。
  3. 請求項2記載の塗布方法において、前記断熱材として珪藻土、前記離型剤としてタルク、前記粘結剤としてベントナイトを使用することを特徴とする塗型材の塗布方法。
  4. 回転する円筒状金型に溶湯を供給して遠心鋳造により中空部材を形成する際、前記円筒状金型の内周壁に界面活性剤を含有する塗型材を塗布する塗型材塗布機構であって、
    界面活性剤以外の塗型材の成分が混合された混合液を貯留する第1容器と、
    前記第1容器から前記混合液を揚液する第1揚液機構と、
    前記第1揚液機構によって揚液された前記混合液を貯留する第2容器と、
    前記第1容器から前記第2容器に亘って橋架された第1送液管と、
    前記第2容器にて前記混合液と前記界面活性剤とが混合されることにより調製された塗型材を揚液する第2揚液機構と、
    前記第2揚液機構から前記円筒状金型に亘って橋架された第2送液管と、
    を有することを特徴とする塗型材塗布機構。
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JP2008221311A (ja) * 2007-03-15 2008-09-25 Honda Motor Co Ltd 中空部材の製造方法

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