JP2004167460A - 排ガス浄化用触媒の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒層を均一に且つ目詰まりなく担体に形成できる排ガス浄化用触媒の製造方法を提供すること。
【解決手段】セル内壁に触媒成分スラリーを被覆し、余剰スラリーを除去し、乾燥して触媒層を設ける際に、2層以上の触媒層を積層し、第1層の被覆容積をセル容積に対し5%以下とする排ガス浄化用触媒の製造方法である。触媒層被覆部分の面積を空洞部分の面積に対し1〜3%とする。第n層の被覆量を第n−1層の被覆量に対し1.5倍以下とする。第1層の被覆量を触媒層全体の被覆量に対し10%以下とする。
【選択図】 なし
【解決手段】セル内壁に触媒成分スラリーを被覆し、余剰スラリーを除去し、乾燥して触媒層を設ける際に、2層以上の触媒層を積層し、第1層の被覆容積をセル容積に対し5%以下とする排ガス浄化用触媒の製造方法である。触媒層被覆部分の面積を空洞部分の面積に対し1〜3%とする。第n層の被覆量を第n−1層の被覆量に対し1.5倍以下とする。第1層の被覆量を触媒層全体の被覆量に対し10%以下とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス浄化用触媒の製造方法に係り、更に詳細には、自動車(ガソリン、ディーゼル)及びボイラーなどの内燃機関から排出される排気ガスを浄化する排ガス浄化用触媒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来から、種々の排ガス浄化溶触媒が広く用いられている。例えば、窒素酸化物(NOx)の還元反応と一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)の酸化反応を同時に行うことで自動車排気ガスを処理する触媒、いわゆる三元触媒などがある。
【0003】
このような排ガス浄化溶触媒は、例えば、コーディエライトなどから成るハニカム担体にスラリー化した触媒成分を注入、吸引又は押込みなどの方法を用いて被覆して得られる。この場合、触媒成分スラリーが、必要量を超えて担体に付着してしまうため、空気流などにより余剰スラリーを除去する処理が行われていた。
しかし、例えば、余剰スラリーを吸引して処理すると、空気流により生じる風圧で被覆した触媒成分が移動し、形成する触媒層に偏りが発生することがある。
【0004】
また、触媒層を乾燥する処理を行う場合は、担体内や触媒層内部から触媒層表面へ向かって水分が急激に移動すると推測できる。このとき、触媒層表面の含水率が一時的に上昇し、形成された触媒層が再びスラリー性状を取り戻す「リスラリー化」が起こることがある。
【0005】
このように、担体に被覆した触媒層が偏っていたり、触媒層がリスラリー化すると、セルが目詰まりする原因となる。特に、HC吸着触媒のように膜厚(触媒層)の制御が必要な触媒には、均一な触媒層を担体上に形成する技術が必要である。
かかる対応策として、本発明者らは担体内部に触媒成分スラリーの被覆量を調整して触媒層を形成することにより、セルの目詰まりを抑制できることを見出した。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する問題点及び新たな知見に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、触媒層を均一に且つ目詰まりなく担体に形成できる排ガス浄化用触媒の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ハニカム担体への初回の被覆量を一定量(低コート量)とすることにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法について詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示す。また、「セル」とは、ハニカム担体に存在する複数の貫通孔を示す。
【0009】
本発明の製造方法では、ハニカム担体を構成するセルの内壁に、触媒成分スラリーを被覆し、その後、余剰分のスラリーを除去し、乾燥して触媒層を設けて排ガス浄化用触媒を得る。
代表的には、触媒成分スラリーの被覆工程としては、例えば注入法、押込み法、吸引法などが挙げられる。また、除去工程としては、例えば吸引処理、ブロー処理などが挙げられる。更に、乾燥工程としては、例えば通風処理などが挙げられる。なお、乾燥工程後に焼成工程を行ても良い。
【0010】
かかる被覆工程や除去工程で触媒成分スラリーを被覆する場合は、形成した触媒層に偏りが発生することがある。この偏りは、触媒層によるセルの目詰まりや排ガス浄化性能を低下させる原因となる。
このような触媒層の偏りの発生原因としては、余剰スラリーの吸引処理の風圧により固化しかかった触媒成分の移動(リスラリー化)や担体の吸水性が弱いことなどが考えられる。特に素担体へ被覆された触媒成分スラリーは、担体表面とのなじみ(密着性)が悪く、よりリスラリー化し易い。
【0011】
ここで、触媒層のリスラリー化は、図1Aに示すように、余剰スラリーの吸引処理などでセル内が負圧状態となり、担体内や触媒層内部から触媒層表面へ水分が移動し、触媒層表面の含水率が高くなると起こり易い。
本発明では、触媒層をまず一定の厚さで形成してから所望の厚さまで順次積層していくこと、具体的には少なくとも2層の触媒層を積層し、第1番目の触媒層(以下「第1層」と記載する)の被覆容積をセル容積に対し5%以下とすることにより、吸引時の風圧の影響を受け難くする(図1B)。
この結果、触媒層のリスラリー化が抑制され、セルを目詰まりさせることなく比較的厚い触媒層を形成できる。また、第2層以降の触媒層は、密着面のなじみが改善されると共に吸水性が向上するため、第1層に比べてリスラリー化しにくい。なお、5%を超えると、吸引処理時などの際に、固形化しつつある触媒層が押し動かされると共に、触媒層表面の含水率が増加してリスラリー化が起こり易い。
また、セルの貫通方向とほぼ垂直な横断面における触媒層被覆部分の面積を、空洞部分の面積に対し1〜3%とすることが好適である。このときは、触媒層のリスラリー化がより抑制され得る。
【0012】
更に、本発明の製造方法では、第n番目の触媒層の被覆量を、第n−1番目の触媒層の被覆量に対し1.5倍以下とすることが好適である。これより、形成される触媒層を少なくすることにより、乾燥時の水分移動による触媒層への影響が減少できる。1.5倍を超えると乾燥時の水分移動により、例えば、触媒層の一部がリスラリー化することにより、セルの目詰まりを生じ易い。
更にまた、第1層の被覆量は、触媒層全体の被覆量に対し10%以下とすることが好適である。これより、余剰スラリーの吸引処理時に生じる形成した触媒層の偏りを抑制できる。10%を超えると余剰スラリーの吸引除去時に発生する空気流などの影響により、形成された触媒層のリスラリー化や、それに伴う触媒層の移動、即ち偏りを生じ易い。
【0013】
本発明の製造方法では、上述のように触媒層を形成することにより、触媒層全体の容積をセル容積の50vol%以上とすることができる。即ち、触媒層を従来よりも厚めにしてもセルが目詰まりしにくい。
これより、各触媒層をNOx浄化性能、HC吸着性能及び三元性能などを有する機能層を任意の厚さで積層できる。また、1種の触媒成分を連続して積層しても良いし、複数種の触媒成分を順次積層しても良い。代表的には、1〜5層の積層体とすることができる。
【0014】
また、触媒層を形成する触媒成分スラリーとしては、アルミナ、チタニア、ジルコニア及びゼオライトなどの無機多孔質材に白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)及びルテニウム(Ru)などの触媒貴金属を適宜担持した粉末を含むスラリーなどを使用できる。但し、担体上に積層する第1層は、担体との密着性を高める点からアルミナゾルやシリカゾルなどのバインダー効果を有する成分を含有するスラリーが良い。
【0015】
更に、上記ハニカム担体としては、例えば、HC、CO及びNOxの浄化性能のバランスがよいウォッシュコート層構造を形成でき、耐熱性材料から成るモノリス担体やメタル担体を使用できる。これより、特に、自動車の排気ガス中を浄化するに当たっては、触媒と排気ガスとの接触面積を大きくすることができ、更には圧力損失も抑制でき、振動・摩擦にも強くなるため、有効である。
なお、ハニカム担体は、一般にセラミックス等のコーディエライト質のものが多く用いられるが、フェライト系ステンレス等の金属材料から成るハニカム状担体を用いることも可能であり、更には触媒材料粉末自体をハニカム状に成形してもよい。
【0016】
上述したように、リスラリー化の原因の1つとしては、触媒層表面の含水率が一時的に上昇することが考えられる。特に、セルの断面形状を高多角形化して円形に近づけると、触媒層の厚さが均一化し、乾燥工程で急激な水分移動が起こるため、触媒層表面のリスラリー化が促進され易い。従って、セルの断面形状が3角形以上の多角形、特に6角形以上の多角形であると、スラリー化が起こり易いと推察できる。
【0017】
具体的には、セルの断面形状が四角形の場合と六角形の場合とを比較すると、図2に示すように、四角形の場合は、触媒層の厚さがコーナー部(▲1▼)とフラット部(▲2▼)で大きく異なるため、乾燥工程時に▲1▼と▲2▼とでは水分移動に時間差がある。これより、触媒層のリスラリー化が起こりにくくなる。但し、乾燥させようとする触媒層の厚さが増大すれば含水量の増加によりリスラリー化が起こり易くなる。
一方、六角形の場合は、コーナー部(▲3▼)とフラット部(▲4▼)で触媒層の厚さには殆ど差が無いため、乾燥工程時に触媒層表面へ水分移動が急激に起こる。これより、四角形の場合に比べると触媒層のリスラリー化が起こり易い。
【0018】
このような場合、即ち使用するハニカム担体におけるセルの断面形状が3角形以上の多角形、特に6角形以上の多角形であっても、本発明の製造方法では、リスラリー化が抑制されるため、任意の厚さの触媒層を形成できる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0020】
(実施例1)
6層の触媒層を積層して排ガス浄化用触媒を得た。以下に手順を示す。
・第1層の形成
初回コート用の触媒スラリーAは、ゼオライト粉末とシリカゾル、イオン交換水を混合し、ボールミルで60分間粉砕・混合し、調製して得た。固形分濃度は約25%、粘性は20cp以下(使用した粘度計では、20cp以下測定不可のため)、スラリー平均粒径は2.5μmであった。
セラミックスハニカム担体(直径110mm、長さ97mm、容量0.92Lの円柱型、セル形状:六角形、600セル、4ミル仕様)を用意し、これに触媒スラリーAを塗布した後、余剰スラリーの吸引除去を行った。余剰スラリーの吸引は、スラリー注入面を下方とした状態で吸引し、次いで、担体を反転しスラリー注入面を上方とした状態で再度吸引を行った。その後、乾燥、焼成を行いコーティング品Aを得た。触媒コート量は38g/Lであった。
【0021】
・第2層の形成
コーティング品Aに触媒スラリーBを塗布し、第1層と同様の操作を繰り返して、第2層を有するコーティング品Bを得た。触媒コート量は50g/Lであった。
使用した触媒スラリーBはゼオライト粉末とシリカゾル、イオン交換水を混合し、ボールミルで60分間粉砕・混合し、調製して得た。固形分濃度は約32%、粘性は35cp、スラリー平均粒径は2.5μmであった。
【0022】
・第3層の形成
コーティング品Bに更に触媒スラリーBを塗布し、第1層と同様の操作を繰り返して、第3層を有するコーティング品Cを得た。触媒コート量は62g/Lであった。
【0023】
・第4層の形成
コーティング品Cに更に触媒スラリーBを塗布し、第1層と同様の操作を繰り返して、第4層を有するコーティング品Dを得た。触媒コート量は70g/Lであった。
【0024】
・第5層の形成
コーティング品Dに更に触媒スラリーCを塗布し、第1層と同様の操作を繰り返して、第5層を有するコーティング品Eを得た。触媒コート量は64g/Lであった。
使用した触媒スラリーCはゼオライト粉末とシリカゾル、イオン交換水を混合し、ボールミルで60分間粉砕・混合し、調製して得た。固形分濃度は約28%、粘性は20cp以下、スラリー平均粒径は2.5μmであった。
【0025】
・第6層の形成
コーティング品Eに更に触媒スラリーCを塗布し、第1層と同様の操作を繰り返して、第6層を有するコーティング品F(排ガス浄化触媒)を得た。触媒コート量は66g/Lであった。
【0026】
得られた排ガス浄化触媒にコーティングされた触媒層の総量は350g/Lであり、担体中の総セル数に対し、目詰まり率は、5%以下(目詰まったセルの数/担体1ヶあたりのセル数)であった。
【0027】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、ハニカム担体への初回の被覆量を一定量(低コート量)とすることとしたため、触媒層を均一に且つ目詰まりなく担体に形成できる排ガス浄化用触媒の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乾燥工程時にリスラリー化し易い状態(A)及びしにくい状態(B)を示す概略図である。
【図2】セルの断面形状による水分の移動量の違いを示す概略図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス浄化用触媒の製造方法に係り、更に詳細には、自動車(ガソリン、ディーゼル)及びボイラーなどの内燃機関から排出される排気ガスを浄化する排ガス浄化用触媒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来から、種々の排ガス浄化溶触媒が広く用いられている。例えば、窒素酸化物(NOx)の還元反応と一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)の酸化反応を同時に行うことで自動車排気ガスを処理する触媒、いわゆる三元触媒などがある。
【0003】
このような排ガス浄化溶触媒は、例えば、コーディエライトなどから成るハニカム担体にスラリー化した触媒成分を注入、吸引又は押込みなどの方法を用いて被覆して得られる。この場合、触媒成分スラリーが、必要量を超えて担体に付着してしまうため、空気流などにより余剰スラリーを除去する処理が行われていた。
しかし、例えば、余剰スラリーを吸引して処理すると、空気流により生じる風圧で被覆した触媒成分が移動し、形成する触媒層に偏りが発生することがある。
【0004】
また、触媒層を乾燥する処理を行う場合は、担体内や触媒層内部から触媒層表面へ向かって水分が急激に移動すると推測できる。このとき、触媒層表面の含水率が一時的に上昇し、形成された触媒層が再びスラリー性状を取り戻す「リスラリー化」が起こることがある。
【0005】
このように、担体に被覆した触媒層が偏っていたり、触媒層がリスラリー化すると、セルが目詰まりする原因となる。特に、HC吸着触媒のように膜厚(触媒層)の制御が必要な触媒には、均一な触媒層を担体上に形成する技術が必要である。
かかる対応策として、本発明者らは担体内部に触媒成分スラリーの被覆量を調整して触媒層を形成することにより、セルの目詰まりを抑制できることを見出した。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する問題点及び新たな知見に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、触媒層を均一に且つ目詰まりなく担体に形成できる排ガス浄化用触媒の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ハニカム担体への初回の被覆量を一定量(低コート量)とすることにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法について詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示す。また、「セル」とは、ハニカム担体に存在する複数の貫通孔を示す。
【0009】
本発明の製造方法では、ハニカム担体を構成するセルの内壁に、触媒成分スラリーを被覆し、その後、余剰分のスラリーを除去し、乾燥して触媒層を設けて排ガス浄化用触媒を得る。
代表的には、触媒成分スラリーの被覆工程としては、例えば注入法、押込み法、吸引法などが挙げられる。また、除去工程としては、例えば吸引処理、ブロー処理などが挙げられる。更に、乾燥工程としては、例えば通風処理などが挙げられる。なお、乾燥工程後に焼成工程を行ても良い。
【0010】
かかる被覆工程や除去工程で触媒成分スラリーを被覆する場合は、形成した触媒層に偏りが発生することがある。この偏りは、触媒層によるセルの目詰まりや排ガス浄化性能を低下させる原因となる。
このような触媒層の偏りの発生原因としては、余剰スラリーの吸引処理の風圧により固化しかかった触媒成分の移動(リスラリー化)や担体の吸水性が弱いことなどが考えられる。特に素担体へ被覆された触媒成分スラリーは、担体表面とのなじみ(密着性)が悪く、よりリスラリー化し易い。
【0011】
ここで、触媒層のリスラリー化は、図1Aに示すように、余剰スラリーの吸引処理などでセル内が負圧状態となり、担体内や触媒層内部から触媒層表面へ水分が移動し、触媒層表面の含水率が高くなると起こり易い。
本発明では、触媒層をまず一定の厚さで形成してから所望の厚さまで順次積層していくこと、具体的には少なくとも2層の触媒層を積層し、第1番目の触媒層(以下「第1層」と記載する)の被覆容積をセル容積に対し5%以下とすることにより、吸引時の風圧の影響を受け難くする(図1B)。
この結果、触媒層のリスラリー化が抑制され、セルを目詰まりさせることなく比較的厚い触媒層を形成できる。また、第2層以降の触媒層は、密着面のなじみが改善されると共に吸水性が向上するため、第1層に比べてリスラリー化しにくい。なお、5%を超えると、吸引処理時などの際に、固形化しつつある触媒層が押し動かされると共に、触媒層表面の含水率が増加してリスラリー化が起こり易い。
また、セルの貫通方向とほぼ垂直な横断面における触媒層被覆部分の面積を、空洞部分の面積に対し1〜3%とすることが好適である。このときは、触媒層のリスラリー化がより抑制され得る。
【0012】
更に、本発明の製造方法では、第n番目の触媒層の被覆量を、第n−1番目の触媒層の被覆量に対し1.5倍以下とすることが好適である。これより、形成される触媒層を少なくすることにより、乾燥時の水分移動による触媒層への影響が減少できる。1.5倍を超えると乾燥時の水分移動により、例えば、触媒層の一部がリスラリー化することにより、セルの目詰まりを生じ易い。
更にまた、第1層の被覆量は、触媒層全体の被覆量に対し10%以下とすることが好適である。これより、余剰スラリーの吸引処理時に生じる形成した触媒層の偏りを抑制できる。10%を超えると余剰スラリーの吸引除去時に発生する空気流などの影響により、形成された触媒層のリスラリー化や、それに伴う触媒層の移動、即ち偏りを生じ易い。
【0013】
本発明の製造方法では、上述のように触媒層を形成することにより、触媒層全体の容積をセル容積の50vol%以上とすることができる。即ち、触媒層を従来よりも厚めにしてもセルが目詰まりしにくい。
これより、各触媒層をNOx浄化性能、HC吸着性能及び三元性能などを有する機能層を任意の厚さで積層できる。また、1種の触媒成分を連続して積層しても良いし、複数種の触媒成分を順次積層しても良い。代表的には、1〜5層の積層体とすることができる。
【0014】
また、触媒層を形成する触媒成分スラリーとしては、アルミナ、チタニア、ジルコニア及びゼオライトなどの無機多孔質材に白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)及びルテニウム(Ru)などの触媒貴金属を適宜担持した粉末を含むスラリーなどを使用できる。但し、担体上に積層する第1層は、担体との密着性を高める点からアルミナゾルやシリカゾルなどのバインダー効果を有する成分を含有するスラリーが良い。
【0015】
更に、上記ハニカム担体としては、例えば、HC、CO及びNOxの浄化性能のバランスがよいウォッシュコート層構造を形成でき、耐熱性材料から成るモノリス担体やメタル担体を使用できる。これより、特に、自動車の排気ガス中を浄化するに当たっては、触媒と排気ガスとの接触面積を大きくすることができ、更には圧力損失も抑制でき、振動・摩擦にも強くなるため、有効である。
なお、ハニカム担体は、一般にセラミックス等のコーディエライト質のものが多く用いられるが、フェライト系ステンレス等の金属材料から成るハニカム状担体を用いることも可能であり、更には触媒材料粉末自体をハニカム状に成形してもよい。
【0016】
上述したように、リスラリー化の原因の1つとしては、触媒層表面の含水率が一時的に上昇することが考えられる。特に、セルの断面形状を高多角形化して円形に近づけると、触媒層の厚さが均一化し、乾燥工程で急激な水分移動が起こるため、触媒層表面のリスラリー化が促進され易い。従って、セルの断面形状が3角形以上の多角形、特に6角形以上の多角形であると、スラリー化が起こり易いと推察できる。
【0017】
具体的には、セルの断面形状が四角形の場合と六角形の場合とを比較すると、図2に示すように、四角形の場合は、触媒層の厚さがコーナー部(▲1▼)とフラット部(▲2▼)で大きく異なるため、乾燥工程時に▲1▼と▲2▼とでは水分移動に時間差がある。これより、触媒層のリスラリー化が起こりにくくなる。但し、乾燥させようとする触媒層の厚さが増大すれば含水量の増加によりリスラリー化が起こり易くなる。
一方、六角形の場合は、コーナー部(▲3▼)とフラット部(▲4▼)で触媒層の厚さには殆ど差が無いため、乾燥工程時に触媒層表面へ水分移動が急激に起こる。これより、四角形の場合に比べると触媒層のリスラリー化が起こり易い。
【0018】
このような場合、即ち使用するハニカム担体におけるセルの断面形状が3角形以上の多角形、特に6角形以上の多角形であっても、本発明の製造方法では、リスラリー化が抑制されるため、任意の厚さの触媒層を形成できる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0020】
(実施例1)
6層の触媒層を積層して排ガス浄化用触媒を得た。以下に手順を示す。
・第1層の形成
初回コート用の触媒スラリーAは、ゼオライト粉末とシリカゾル、イオン交換水を混合し、ボールミルで60分間粉砕・混合し、調製して得た。固形分濃度は約25%、粘性は20cp以下(使用した粘度計では、20cp以下測定不可のため)、スラリー平均粒径は2.5μmであった。
セラミックスハニカム担体(直径110mm、長さ97mm、容量0.92Lの円柱型、セル形状:六角形、600セル、4ミル仕様)を用意し、これに触媒スラリーAを塗布した後、余剰スラリーの吸引除去を行った。余剰スラリーの吸引は、スラリー注入面を下方とした状態で吸引し、次いで、担体を反転しスラリー注入面を上方とした状態で再度吸引を行った。その後、乾燥、焼成を行いコーティング品Aを得た。触媒コート量は38g/Lであった。
【0021】
・第2層の形成
コーティング品Aに触媒スラリーBを塗布し、第1層と同様の操作を繰り返して、第2層を有するコーティング品Bを得た。触媒コート量は50g/Lであった。
使用した触媒スラリーBはゼオライト粉末とシリカゾル、イオン交換水を混合し、ボールミルで60分間粉砕・混合し、調製して得た。固形分濃度は約32%、粘性は35cp、スラリー平均粒径は2.5μmであった。
【0022】
・第3層の形成
コーティング品Bに更に触媒スラリーBを塗布し、第1層と同様の操作を繰り返して、第3層を有するコーティング品Cを得た。触媒コート量は62g/Lであった。
【0023】
・第4層の形成
コーティング品Cに更に触媒スラリーBを塗布し、第1層と同様の操作を繰り返して、第4層を有するコーティング品Dを得た。触媒コート量は70g/Lであった。
【0024】
・第5層の形成
コーティング品Dに更に触媒スラリーCを塗布し、第1層と同様の操作を繰り返して、第5層を有するコーティング品Eを得た。触媒コート量は64g/Lであった。
使用した触媒スラリーCはゼオライト粉末とシリカゾル、イオン交換水を混合し、ボールミルで60分間粉砕・混合し、調製して得た。固形分濃度は約28%、粘性は20cp以下、スラリー平均粒径は2.5μmであった。
【0025】
・第6層の形成
コーティング品Eに更に触媒スラリーCを塗布し、第1層と同様の操作を繰り返して、第6層を有するコーティング品F(排ガス浄化触媒)を得た。触媒コート量は66g/Lであった。
【0026】
得られた排ガス浄化触媒にコーティングされた触媒層の総量は350g/Lであり、担体中の総セル数に対し、目詰まり率は、5%以下(目詰まったセルの数/担体1ヶあたりのセル数)であった。
【0027】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、ハニカム担体への初回の被覆量を一定量(低コート量)とすることとしたため、触媒層を均一に且つ目詰まりなく担体に形成できる排ガス浄化用触媒の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乾燥工程時にリスラリー化し易い状態(A)及びしにくい状態(B)を示す概略図である。
【図2】セルの断面形状による水分の移動量の違いを示す概略図である。
Claims (6)
- ハニカム担体を構成するセルの内壁に、触媒成分スラリーを被覆し、余剰スラリーを除去し、乾燥して触媒層を設ける排ガス浄化用触媒の製造方法であって、
少なくとも2層の触媒層を積層し、第1番目の触媒層の被覆容積をセル容積に対し5%以下とすることを特徴とする排ガス浄化用触媒の製造方法。 - セルの貫通方向とほぼ垂直な横断面における触媒層被覆部分の面積を、空洞部分の面積に対し1〜3%とすることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
- 第n番目の触媒層の被覆量を、第n−1番目の触媒層の被覆量に対し1.5倍以下とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
- 第1番目の触媒層の被覆量を、触媒層全体の被覆量に対し10%以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
- 触媒層全体の容積を、セル容積に対し50vol%以上とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
- セルの断面形状を3角形以上の多角形とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
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