JP2004167324A - エアフィルタユニット、整流体、ファンフィルタユニット、クリーンルーム、及び半導体製造装置 - Google Patents
エアフィルタユニット、整流体、ファンフィルタユニット、クリーンルーム、及び半導体製造装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】エアフィルタユニット本体から下流側に吹き出る空気の風速のばらつきを有効に解消することにある。
【解決手段】このエアフィルタユニット1は、外枠体5と、外枠体5の内側に収納され、エアフィルタ濾材8がプリーツ加工されてなるエアフィルタパック7とを備えている。このエアフィルタユニット1は、エアフィルタパック7を透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、エアフィルタパック7の下流側の端面上の60mm四方の単位格子で構成される格子の各格子点からそれぞれ下流側に100mm離れた位置における風速群について下記式から算出される変動係数が15%以下である。
[数8]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
【選択図】 図1
【解決手段】このエアフィルタユニット1は、外枠体5と、外枠体5の内側に収納され、エアフィルタ濾材8がプリーツ加工されてなるエアフィルタパック7とを備えている。このエアフィルタユニット1は、エアフィルタパック7を透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、エアフィルタパック7の下流側の端面上の60mm四方の単位格子で構成される格子の各格子点からそれぞれ下流側に100mm離れた位置における風速群について下記式から算出される変動係数が15%以下である。
[数8]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアフィルタユニット、整流体、ファンフィルタユニット、クリーンルーム、及び半導体製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造の分野では、近年の半導体デバイスの高集積化、微細化に伴い、ウエハを露出させて作業を行う工程等は、高度に清浄化された空間で行うことが求められている。このような空間を得るために、従来より、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ、ULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタ等の高性能エアフィルタユニット本体を用いて清浄化が行われている。
【0003】
このようなエアフィルタユニット本体は、一般に、空気清浄を行うフィルタ部とフィルタ部が収納される外枠体とから構成され、概ね平面状に形成されている。この種のエアフィルタユニット本体では、浮遊微粒子を含んだ空気が一方側の面から進入すると、フィルタ部を透過する際に浮遊微粒子が除去され、他方側の面から清浄化された空気が放出される。
【0004】
ところで、フィルタ部から下流側に吹き出される空気は、同じ下流側(上記他方側)で測定しても測定する面方向位置が異なるとその風速にばらつきが生じ、これにより、エアフィルタユニット本体の下流側で、渦流が発生して周囲の塵埃が巻き込まれる場合があることが指摘されていた。
特に、上記HEPAフィルタやULPAフィルタは、一般に、小さい圧力損失で高い捕集効率を達成すべく、シート状のエアフィルタ濾材をジグザグに折り込んだの形状で外枠体に収納してエアフィルタ濾材の単位濾過面積あたりの通気量が低く抑えられるよう構成されている。このようなエアフィルタ濾材では、隣接する折返し部分の間の距離を均一に保つのが難しく、このため、前述のような風速のばらつきが生じ易くなる。
【0005】
また、ミニプリーツタイプのエアフィルタでは、ジグザグに折り込んだ濾材の隣接する折返し部分の間隔を確保するための複数のスペーサが前記折返し部分が繰り返される方向に延びて設けられているが、隣接する折返し部分の間隔が不均一になったり、また、スペーサによって確保された空気の流路となる部分のエアフィルタ濾材が変形したり、通風時にエアフィルタ濾材が下流側に膨らむことで空気の流路が閉塞されたりする等、吹き出し風速のばらつきを生じさせる要因が多い。
【0006】
ここで、このような風速のばらつきを、下記式に従って算出される変動係数(:coefficient of variation、以下、CV値ともいう。)を用いて表すと、約30%程度と大きな値となる。
[数7]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
この式の風速群の平均風速は、例えば、エアフィルタの下流側の端面上において60mm四方の単位格子からなる格子の各格子点からそれぞれ100mm下流側に離れた位置で熱線風速計で測定した風速群についての平均風速を意味する。また、風速のばらつきをより詳細に表すには、エアフィルタ濾材の各折り目が延びる方向(複数のスペーサを横切る方向)に10mmごとに位置する複数の点から5mm下流側に離れた位置で熱線風速計で測定した風速群についての変動係数が用いられるが、この場合、変動係数は約70%程度と非常に大きな値となる。
【0007】
そこで、このような変動係数の大きさを解消すべく、エアフィルタの下流側にパンチングプレート(複数の貫通孔が設けられた金属製プレート部材)を配置する方法や、エアフィルタユニット本体の下流側の面に不織布を貼りつける方法が既に採用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
実公平7−5855号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のパンチングプレートは、パンチングピッチ(隣接する貫通孔同士の間隔)が粗く、この粗さに起因して吹き出し風速の乱れ等が新たに生じるため、十分な整流効果が得られない。
一方、エアフィルタユニット本体の下流側の面に不織布を貼りつける方法については、次のような問題がある。例えば、抄紙などにより製造される短繊維不織布を用いた場合は、不織布から吹き出る空気の風速分布の均一性は優れているが、不織布を構成する繊維が脱落するおそれがあり、また、不織布の製造の際に用いられるバインダー剤その他添加剤からオフガス(有機物質を含むガス)等が放出されて、下流側の空間の二次汚染のおそれもある。
【0010】
また、スパンボンド法、メルトブローン法等により製造された長繊維不織布を用いた場合は、1つの面において繊維の粗密が生じていることから、吹き出し風速のばらつきが大きくなる場合がある。そこで、1つの面において繊維の粗密を緩和させるべく、不織布の厚みを厚くすることが考えられるが、この場合は、不織布自体の圧力損失が1mmAq(=9.8Pa)以上と大きくなり、これにより、エアフィルタユニット本体の圧力損失も大きくなってしまう。
【0011】
本発明の目的は、エアフィルタユニット本体から下流側に吹き出る空気の風速のばらつきを有効に解消することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係るエアフィルタユニットは、外枠体と、外枠体の内側に収納され、エアフィルタ濾材がプリーツ加工されてなるエアフィルタパックとを備えている。このエアフィルタユニットは、エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、エアフィルタパックの下流側の端面上の60mm四方の単位格子で構成される格子の各格子点からそれぞれ下流側に100mm離れた位置における風速群について下記式から算出される変動係数が15%以下である。
[数8]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
本発明において、プリーツ加工とは、シート状のエアフィルタ濾材をジグザグに交互に折り返すことで波型形状に加工することをいう。また、本発明において、格子とは、フィルタパックの下流側の先端が位置する平面(以下、下流側の端面ともいう。)に仮想的に設けられたものをいう。また、各格子点における風速は、後述するように、例えば熱線風速計により測定される。
【0013】
このエアフィルタユニットでは、下流側の所定の複数の点で測定した風速群についての変動係数が15%以下と従来に比べその値が小さく、下流側における風速のばらつきを抑えることが可能である。したがって、このようなエアフィルタユニットを設置した空間では、フィルタ下流側における風速のばらつきを抑え、渦流の発生、周囲の塵埃の巻き込み等を抑えることができる。
【0014】
請求項2に係るエアフィルタユニットは、請求項1のエアフィルタユニットにおいて、変動係数が10%以下である。
このエアフィルタユニットでは、請求項1のエアフィルタユニットよりもさらに変動係数が小さくなっており、フィルタ下流側での風速のばらつきをより有効に抑えることができる。
【0015】
請求項3に係るエアフィルタユニットは、外枠体と、外枠体の内側に収納され、エアフィルタ濾材がプリーツ加工されるとともにエアフィルタ濾材の表面にプリーツ加工される方向に延びるスペーサが設けられてなるエアフィルタパックとを備えている。このエアフィルタユニットは、エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、エアフィルタパックの下流側の端面上においてスペーサを横切る方向に10mmごとに位置する複数の点からそれぞれ下流側に5mm離れた位置における風速群について下記式から算出される変動係数が20%以下である。
[数9]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
本発明において、プリーツ加工された方向とは、プリーツ加工されたエアフィルタ濾材において折返し部分が連続する方向(または折返し部分の折り目に直交する方向)をいう。
【0016】
ここでの変動係数は、請求項1及び2のエアフィルタユニットについての変動係数に比べ、エアフィルタパックにより近い位置でかつより短い間隔の複数の点で測定されたより詳細なデータに基づいて求められたものであり、信頼性の高い値となっている。そして、このエアフィルタユニットでは、かかる詳細なデータに基づく変動係数が20%以下と従来に比べその値が小さくなっているため、フィルタ下流側における風速のばらつきをより確実に抑えることができる。
【0017】
請求項4に係るエアフィルタユニットは、請求項3のエアフィルタユニットにおいて、変動係数が15%以下である。
このエアフィルタユニットでは、請求項3のエアフィルタユニットよりもさらに変動係数がさらに小さくなっており、フィルタ下流側での風速のばらつきをより有効に抑えることができる。
【0018】
請求項5に係るエアフィルタユニットは、請求項1から4のいずれかのエアフィルタユニットにおいて、シート状の整流シートを有しかつエアフィルタパックの下流側に配置される整流体をさらに備えている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、エアフィルタユニットの下流側に整流体を配置することで、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑えられることを見出した。ここでは、そのようなエアフィルタユニットにより、上記のような変動係数の小さいものを得るようにしている。
【0019】
請求項6に係るエアフィルタユニットは、請求項5のエアフィルタユニットにおいて、整流シートは、網状体である。
本発明者らの研究によれば、網状体は、不織布等に比べ目付(単位面積当たりの重量)のばらつきがなく、また、開口部分の大きさ等のばらつきが非常に小さいことから、網状体を整流体として用いた場合、透過する空気の流れに乱れが生じにくくなることが明らかにされた。
【0020】
ここでは、かかる網状体を整流体として用いることで、変動係数が小さく抑えられるエアフィルタユニットを得ることとしている。
請求項7に係るエアフィルタユニットは、請求項6のエアフィルタユニットにおいて、網状体の目の大きさは、50メッシュまたは50メッシュよりも細かいメッシュである。
【0021】
本発明者らの研究により、網状体の目の大きさが50メッシュ未満である場合は、網状体の目のピッチがフィルタ下流側で風速分布のばらつきのピッチに近くなり、整流効果が小さくなることが明らかとなった。
ここでは、上記のような目の大きさの網状体を用いて、エアフィルタユニットの整流効果が発揮されるようにしている。
【0022】
請求項8に係るエアフィルタユニットは、請求項7のエアフィルタユニットにおいて、網状体の目の大きさは、60メッシュまたは60メッシュよりも細かいメッシュである。
ここでは、50メッシュよりもさらに細かいメッシュの網状体を用いることで整流効果を十分に発揮させるようにしている。
【0023】
請求項9に係るエアフィルタユニットは、請求項6から8のいずれかのエアフィルタユニットにおいて、網状体は、エアフィルタパックから1mm以上280mm以下の距離だけ下流側に離れて配置される場合において、目の大きさが50メッシュ以上200メッシュ以下である。
本発明者らの研究では、網状体の配置される位置が上記所定の範囲内にある場合においては、上記所定範囲の目の大きさを持つ網状体を用いるのが好ましいことが明らかとなった。ここでは、かかる条件に沿って網状体を用いることで変動係数の小さいエアフィルタユニットを得ることとしている。
【0024】
請求項10に係るエアフィルタユニットは、請求項5から9のいずれかのエアフィルタユニットにおいて、整流シートは、0.5m/秒の風速で空気を流したときの圧力損失が1Pa以上9Pa以下である。
本発明者らの研究により、網状体の圧力損失が1Pa未満の場合は、フィルタ下流側に網状体に当たって空気がそのまま透過してしまい、整流効果が小さくなることが明らかとなった。
【0025】
ここでは、整流体として好ましい網状体として、圧力損失が上記所定範囲にあるものを用いることで、主にかかる弊害を回避することとしている。
請求項11に係るエアフィルタユニットは、請求項5から10のいずれかのエアフィルタユニットにおいて、整流シートは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルを含む有機材料、またはステンレス、真鍮、銅を含む金属材料を材質とする。
【0026】
本発明者らの研究により、網状体の材質としては、これらの物質が好ましいことが見出された。ここでは、かかる網状体を用いることで、変動係数の小さいエアフィルタユニットを得ることとしている。
請求項12に係るエアフィルタユニットは、請求項11のエアフィルタユニットにおいて、整流シートは、ポリエステルまたはステンレスを材質とする。
【0027】
本発明者らの研究により、網状体自体からの有機ガスの発生を防止するためには、かかる材質がより好ましいことが明らかとなった。ここでは、かかる網状体を用いて、変動係数を小さく抑えることのできるエアフィルタユニットを得ることとしている。
なお、耐火性に優れる点では、ステンレスがさらに好ましい。
【0028】
請求項13に係るエアフィルタユニットは、請求項1から12のいずれかのエアフィルタユニットにおいて、エアフィルタパックは、プリーツ加工の方向に延びて表面に設けられたひも状またはリボン状のスペーサを有している。
このようなミニプリーツタイプのエアフィルタパックでは、非使用時においても、隣接する折返し部分の間隔が不均一であり、また、空気の流路となるエアフィルタ濾材の部分が変形しているが、使用時には、空気が透過することにより、前記間隔がより不均一になったり、空気の流路となるエアフィル濾材の部分がさらに下流側に膨らんだりして、フィルタ下流側風速の分布が悪化する場合がある。しかし、請求項13のエアフィルタユニットでは、フィルタ下流側の風速群についての変動係数が小さく抑えられるため、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑えることができる。
【0029】
請求項14に係るエアフィルタユニットは、請求項13のエアフィルタユニットにおいて、スペーサは、ホットメルト樹脂を材質とする。
ここでは、特に、かかるスペーサを用いたエアフィルタユニットについて、フィルタ下流側の風速のばらつきを抑えるようにしている。
請求項15に係るエアフィルタユニットは、請求項1から14のいずれかのエアフィルタユニットにおいて、1.4cm/秒の風速で前記エアフィルタ濾材に空気を透過させたときの粒子径0.10μm以上0.20μmのシリカ粒子を用いて測定される捕集効率が99.9%以上である。
【0030】
このような高い捕集能力を有するエアフィルタユニットは、通常、クリーンルーム、半導体製造装置等の、高度の清浄度が要求される場所に設置されるが、クリーンルーム等では、フィルタ下流側での風速のばらつきによって渦流が生じる等して、製品に悪影響を及ぼすことがある。
しかし、請求項15のエアフィルタユニットでは、フィルタ下流側の分速群についての変動係数が小さく抑えられるため、高度の清浄度が要求される場所で用いても、製品に悪影響が及ぶのを抑えることができる。
【0031】
請求項16に係るエアフィルタユニットは、請求項15のエアフィルタユニットにおいて、捕集効率は99.999%以上である。
このエアフィルタユニットは、請求項15のエアフィルタユニットに比べより高い捕集能力を有していることから、より高度の清浄度が要求される場所で用いられるが、このような場合でも好ましく用いることができる。
【0032】
請求項17に係るエアフィルタユニットは、請求項1から16のいずれかのエアフィルタユニットにおいて、エアフィルタ濾材は、ポリテトラフルオロエチレンからなる多孔膜と、多孔膜の少なくとも片面にラミネートされた通気性支持材とを有し、5.3cm/秒の風速でこのエアフィルタ濾材に空気を透過させたときの圧力損失と粒子径0.10μm以上0.12μm以下のシリカ粒子を用いて測定される捕集効率とを用いて下記式に従って計算されるPF値が22を越える。
[数10]
PF=[−log(透過率(%)/100)/圧力損失(Pa)]×1000
(ここで、透過率(%)=100−捕集効率(%)である。)
PF値の高いエアフィルタユニット本体、請求項15及び16のエアフィルタユニットと同様に、高度の清浄度が要求される空間で使用されることから、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑える必要がある。
【0033】
このエアフィルタユニットでは、フィルタ下流側の風速群についての変動係数を小さく抑えられるため、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑え、高度の清浄度が要求される空間でも好ましく用いることができる。
請求項18に係る整流体は、外枠体と外枠体の内側に収納されエアフィルタ濾材がプリーツ加工されてなるエアフィルタパックとを有するエアフィルタユニット本体に取り付けられるものであって、整流シートを備えている。整流シートは、エアフィルタユニット本体の下流側に配置されるシート状のものである。この整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合において、エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、エアフィルタパックの下流側の端面上の60mm四方の単位格子で構成される格子の各格子点からそれぞれ下流側に100mm離れた位置における風速群について下記式に従って算出される変動係数を、エアフィルタユニット本体単体の場合の風速群についての変動係数の1/3以下に低減可能である。
[数11]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
この整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、変動係数を低減させることが可能であるため、エアフィルタユニット本体下流側での風速のばらつきを抑えることができる。
【0034】
請求項19に係る整流体は、請求項18の整流体において、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合の変動係数を、エアフィルタユニット本体単体の場合の風速群についての変動係数の1/4以下に低減可能である。
この整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、フィルタ下流側の風速のばらつきをより有効に抑えることができる。
【0035】
請求項20に係る整流体は、外枠体と外枠体の内側に収納されエアフィルタ濾材がプリーツ加工されるとともにエアフィルタ濾材の表面にプリーツ加工される方向に延びるスペーサが設けられてなるエアフィルタパックとを有するエアフィルタユニット本体に取り付けられる整流体であって、整流シートを備えている。整流シートは、エアフィルタユニット本体の下流側に配置されるシート状のものである。そして、この整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合において、エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、エアフィルタパックの下流側の端面上においてスペーサを横切る方向に10mmごとに位置する複数の点からそれぞれ下流側に5mm離れた位置における風速群について下記式から算出される変動係数が、エアフィルタユニット本体単体の場合の風速群についての変動係数の1/3以下に低減可能である。
[数4]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
ここでの変動係数は、請求項18及び19の整流体についての変動係数に比べ、より詳細なデータに基づいて求められたものであり、この整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、かかる詳細なデータに基づく変動係数を低減させることが可能であるため、エアフィルタユニット本体下流側での風速のばらつきを抑えることができる。
【0036】
請求項21に係る整流体は、請求項20の整流体において、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合の変動係数が、エアフィルタユニット本体単体の場合の風速群についての変動係数の1/4以下に低減可能である。
この整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、フィルタ下流側の風速のばらつきをより有効に抑えることができる。
【0037】
請求項22に係る整流体は、請求項18から21のいずれかの整流体において、整流シートは、網状体である。
このような網状体は、不織布に比べ透過する空気の流れの乱れを生じさせにくいため、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、フィルタ下流側での整流効果が有効に発揮され、整流体として好ましく用いることができる。
【0038】
請求項23に係る整流体は、請求項22の整流体において、網状体の目の大きさは、50メッシュまたは50メッシュよりも細かいメッシュである。
この整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、十分な整流効果が得られるよう、かかる目の大きさのものに規定されている。
請求項24に係る整流体は、請求項23の整流体において、網状体の目の大きさは、60メッシュまたは60メッシュよりも細かいメッシュである。
【0039】
この整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、より十分な整流効果が発揮されるよう、より細かい目の大きさのものに規定されている。
請求項25に係る整流体は、請求項22の整流体において、網状体の目を形成する複数の線状物のうち、実質的に平行に配置されかつ互いに隣接する2歩の線状物によって形成される空間の距離が310μm以下である。
【0040】
本発明者らの研究により、このような網状体をエアフィルタユニット本体に取り付けた場合、フィルタ下流側の風速のばらつきを改善できることが明らかとなった。ここでは、整流体をかかる構成のものに規定している。
請求項26に係る整流体は、請求項25の整流体において、空間の距離が260μm以下である。
【0041】
ここでは、線間隔がより短い整流体を用いることで、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、フィルタ下流側の風速のばらつきが抑えられるようにしている。
請求項27に係る整流体は、請求項22の整流体において、網状体の目を形成する各線状物の径が200μm以下である。
【0042】
本発明者らの研究により、このような網状体をエアフィルタユニット本体に取り付けた場合、フィルタ下流側の風速のばらつきを改善できることが明らかとなった。ここでは、整流体をかかる構成のものに規定している。
請求項28に係る整流体は、請求項27の整流体は、各線状物の径が165μm以下である。
【0043】
ここでは、線径が小さい整流体を用いることで、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、フィルタ下流側の風速のばらつきが抑えられるようにしている。
請求項29に係る整流体は、請求項18から28のいずれかの整流体において、0.5m/秒の風速で空気を流したときの圧力損失が1Pa以上9Pa以下である。
【0044】
この整流体は、圧力損失が上記所定範囲にあることから、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、例えば、エアフィルタユニット本体から吹き出る空気が殆どそのまま透過するようなことがなく、整流効果を十分に発揮させることができる。
請求項30に係る整流体は、請求項18から29のいずれかの整流体において、網状体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルを含む有機材料、またはステンレス、真鍮、銅を含む金属材料を材質とする。
【0045】
ここでは、特に、かかる材質からなる整流体により、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、フィルタ下流側の風速群についての変動係数を低減できるようにしている。
請求項31に係る整流体は、請求項30の整流体において、網状体は、ポリエステルまたはステンレスを材質とする。
【0046】
この整流体では、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合の有機ガスの発生防止の観点から、かかる材質のものを採用している。
なお、前述のように、耐火性に優れる点では、ステンレスがさらに好ましい。
請求項32に係るファンフィルタユニットは、エアフィルタ濾材がプリーツ加工されてなるエアフィルタパックを有するエアフィルタユニット本体を介して除塵を行うものである。このファンフィルタユニットは、エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、エアフィタパックの下流側の端面上の60mm四方の単位格子で構成される格子の各格子点からそれぞれ下流側に100mm離れた位置における風速群について下記式に従って算出される変動係数が15%以下である。
[数5]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
このファンフィルタユニットでは、下流側の所定の複数の点で測定した風速群についての変動係数が15%以下と従来に比べその値が小さく、下流側における風速のばらつきを抑えることが可能である。したがって、このようなファンフィルタユニットを設置した空間では、フィルタ下流側における風速のばらつきを抑え、渦流の発生、塵埃の巻き込み等を抑えることができる。
【0047】
請求項33に係るファンフィルタユニットは、請求項32のファンフィルタユニットにおいて、変動係数が10%以下である。
このファンフィルタユニットでは、請求項32のファンフィルタユニットよりもさらに変動係数が小さくなっており、フィルタ下流側での風速のばらつきをより有効に抑えることができる。
【0048】
請求項34に係るファンフィルタユニットは、エアフィルタ濾材がプリーツ加工されるとともにエアフィルタ濾材の表面にプリーツ加工される方向に延びるスペーサが設けられてなるエアフィルタパックを有するエアフィルタユニット本体を介して除塵を行うものである。このファンフィルタユニットは、エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、エアフィルタパックの下流側の端面上においてスペーサを横切る方向に10mmごとに位置する複数の点から下流側に5mm離れた位置の風速群について下記式に従って計算される変動係数が20%以下である。
[数6]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
ここでの変動係数は、請求項32及び33での変動係数に比べ、エアフィルタパックにより近い位置でかつより短い間隔の複数の点で測定されたより詳細なデータに基づいて求められたものであり、信頼性の高い値となっている。そして、このファンフィルタユニットでは、かかる詳細なデータに基づく変動係数が20%以下と従来に比べその値が小さくなっているため、フィルタ下流側での風速のばらつきをより確実に抑えることが可能である。
【0049】
請求項35に係るファンフィルタユニットは、請求項34のファンフィルタユニットにおいて、変動係数が15%以下である。
このファンフィルタユニットでは、請求項34のファンフィルタユニットよりもさらに変動係数がさらに小さくなっており、フィルタ下流側での風速のばらつきをより有効に抑えることができる。
【0050】
請求項36に係るファンフィルタユニットは、エアフィルタユニットと、ファンユニットとを備えている。エアフィルタユニットは、請求項1から17のいずれかに記載のものである。ファンユニットは、エアフィルタユニットの上流側に装着され、外気を取り込むとともにエアフィルタユニットに外気を送るためのファンを有する。
【0051】
このファンフィルタユニットでは、外部の空気は、ファンフィルタユニット本体により取り込まれた後エアフィルタユニット本体に送られ、エアフィルタユニット本体により除塵され、清浄化された空気となってフィルタ下流側に放出される。
ここでは、例えば、エアフィルタユニット本体の下流側に配置される整流体として、所定の目の大きさを有する網状体を用いているため、フィルタ下流側において十分な整流効果を得ることができる。
【0052】
請求項37に係るファンフィルタユニットは、エアフィルタユニット本体と、ファンユニットと、整流体とを備えている。エアフィルタユニット本体は、外枠体と外枠体の内側に収納されエアフィルタ濾材がプリーツ加工されてなるエアフィルタパックとを有する。ファンユニットは、エアフィルタユニット本体の上流側に装着され、外気を取り込むとともにエアフィルタユニット本体に外気を送るためのファンを有する。整流体は、エアフィルタユニット本体の下流側に取り付けられる請求項18から31のいずれかに記載のものである。
【0053】
ここでも、例えば、整流体として所定の目の大きさを有する網状体を用いているため、フィルタ下流側において十分な整流効果を得ることができる。
請求項38に係るファンフィルタユニットは、ファンフィルタユニット本体と、整流体とを備えている。ファンフィルタユニット本体は、外気を取り込むとともに外気の空気清浄を行って外部に放出する。整流体は、ファンフィルタユニット本体の下流側に取り付けられる請求項18から31のいずれかに記載のものである。
【0054】
ここでも、例えば、整流体として所定の目の大きさを有する網状体を用いているため、フィルタ下流側において十分な整流効果を得ることができる。
請求項39に係る半導体製造装置は、請求項1から17のいずれかに記載のエアフィルタユニットを備えている。
この半導体製造装置では、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑えることが可能なエアフィルタユニットを備えていることから、フィルタ下流側での渦流の発生、塵埃の巻き込み等が抑えられ、ウエハ等の製品に悪影響が及ぶのを回避することができる。
【0055】
請求項40に係る半導体製造装置は、請求項32から38のいずれかに記載のファンフィルタユニットを備えている。
この半導体製造装置では、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑えることが可能なファンフィルタユニットを備えていることから、ここでも、フィルタ下流側での渦流の発生等が抑えられ、ウエハ等に悪影響が及ぶのを回避することができる。
【0056】
請求項41に係るクリーンルームは、請求項1から17のいずれかに記載のエアフィルタユニットが設置されている。
このクリーンルームでは、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑えることが可能なエアフィルタユニットを備えていることから、フィルタ下流側での渦流の発生、塵埃の巻き込み等が抑えられ、製品に悪影響が及ぶのを回避することができる。
【0057】
請求項42に係るクリーンルームは、請求項32から38のいずれかに記載のファンフィルタユニットが設置されている。
この半導体製造装置では、ファンフィルタユニットを備えていることから、ここでも、フィルタ下流側での渦流の発生等が抑えられ、製品に悪影響が及ぶのを回避することができる。
【0058】
【発明の実施の形態】
[エアフィルタユニット]
図1に、本発明の一実施形態が採用されたエアフィルタユニット1を示す。
このエアフィルタユニット1は、空気清浄を行うとともに吹き出される空気の整流を図るものであって、エアフィルタユニット本体3と、網状体11とを備えている。
【0059】
エアフィルタユニット本体3は、空気清浄を行うためのものであって、外枠体5と、エアフィルタパック7とを有している。
外枠体5は、例えば、4本のアルミニウム製フレームから構成されており、これらが矩形状に組み立てられたものである。
エアフィルタパック7は、所定形状に加工されたエアフィルタ濾材8と、エアフィルタ濾材の表面に設けられたスペーサ9とを有している。
【0060】
エアフィルタ濾材8は、空気中の浮遊微粒子を捕集するためのシート状部材であり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)製の延伸多孔膜(以下、PTFE多孔膜)と、PTFE多孔膜の少なくとも片面にラミネートされた通気性支持材とを有するものが用いられる。
この種のエアフィルタ濾材8は、公知の方法により得られる。例えば、PTFE多孔膜は、乳化重合法によって得られたPTFE微粉末(PTFEファインパウダー)に潤滑剤を添加して熟成させたものをペースト押出しし、次いでカレンダー成形によりシート状に形成して得られるPTFEテープを、2軸方向に延伸することにより得られる。通気性支持材には、市販の不織布が用いられる。
【0061】
このように構成されたエアフィルタ濾材8は、PF値が22を超える。なお、PF値は、5.3m/秒の風速でこのエアフィルタ濾材に空気を透過させたときの圧力損失と粒子径0.10〜0.12μm以下のシリカ粒子を用いて測定される捕集効率とを用いて下記式に従って計算される。
[数7]
PF=[−log(透過率(%)/100)/圧力損失(Pa)]×1000
(ここで、透過率(%)=100−捕集効率(%)である。)
また、エアフィルタ濾材8は、本実施形態では、プリーツ加工されている、すなわち、シート状のエアフィルタ濾材8は、一方向にジグザグに交互に折り返されることにより複数の折り目が形成され、全体として波型形状となるよう加工されている。
【0062】
スペーサ9は、プリーツ加工されたエアフィルタ濾材8の隣接する折返し部分の間隔を保持するためのものであり、例えばホットメルト樹脂を材質とする。スペーサ9は、エアフィルタ濾材8の表面に、複数の折り目と直交する方向(プリーツ加工の方向)にひも状またはリボン状に延びて設けられるとともに各折り目が延びる方向に等間隔で複数本設けられている。
【0063】
このように構成されたエアフィルタユニット本体1は、捕集効率が、99.9%以上、より好ましくは99.999%以上である。なお、捕集効率は、1.4cm/秒の風速で前記エアフィルタ濾材に空気を透過させたときの粒子径0.10〜0.20μmのシリカ粒子を用いて測定される。
網状体11は、エアフィルタユニット本体から吹き出る空気の整流を行うためのものであり、エアフィルタパック7の下流側に配置され、外周部がエアフィルタユニット本体1の外枠体に取り付けられている。
【0064】
本実施形態の網状体11は、縦及び横方向に複数配置された線状物が平織されることにより一定の目の大きさを有しているシート状物である。網状体11は、目の大きさが、50メッシュよりも細かいものが好ましく、60メッシュよりも細かいものがより好ましい。一方、網状体11は、目の大きさが、200メッシュよりも粗いものが好ましい。なお、網状体11の目の大きさは、エアフィルタパック7から1mm以上280mm以下の距離だけ下流側に離れて配置される場合は、目の大きさが50メッシュ以上200メッシュ以下のものが好ましく用いられる。
【0065】
また、網状体11は、線状物の間隔が、310μm以下であるものが好ましく、260μm以下であるものがより好ましい。一方、網状体11は、線状物の間隔が、60μm以上であるものが好ましく、70μm以上であるものがより好ましい。さらに、網状体11は、線状物の径が、200μm以下であるものが好ましく、165μm以下であるものがより好ましい。一方、この径は、40μm以上であるものが好ましく、50μm以上であるものがより好ましい。
【0066】
網状体11は、0.5m/秒の風速で空気を流したときの圧力損失が1Pa以上9Pa以下のものが好ましく用いられる。網状体11は、有機材料または無機材料を材質とする。有機材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルが好ましく用いられ、ポリエステルが特に好ましく用いられる。無機材料としては、ステンレス、真鍮、銅が好ましく用いられ、ステンレスが特に好ましく用いられる。
【0067】
このように構成されたエアフィルタユニット1は、エアフィルタパック7を透過する空気の平均風速が0.5m/秒の場合において、エアフィルタパック7の下流側(フィルタ下流側ともいう。)の所定の複数の点で測定した吹き出し風速の平均を用いて下記式に従って計算される変動係数が15%以下、より好ましくは10%以下となっている。
[数8]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
風速群の平均風速の測定は、エアフィルタパック7の隣接する折返し部分の下流側の先端が位置する面(以下、下流側の端面ともいう。)上に仮想的に設けられた60mm四方の単位格子で構成される格子の各格子点からそれぞれ下流側に100mm離れた位置で熱線風速計を用いて行われる。
【0068】
また、このエアフィルタユニット1は、風速群の平均風速についてのより詳細なデータに基づいて求めた場合は、エアフィルタパック7を透過する空気の平均風速が0.5m/秒のときにおいて、フィルタ下流側の所定の複数の点で測定した吹き出し風速の平均を用いて下記式に従って計算される変動係数が20%以下、より好ましくは15%以下となっている。
[数9]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
より詳細な風速群の平均風速の測定は、エアフィルタパック7の下流側の端面上においてエアフィルタ濾材7のプリーツ加工された方向と直交する方向(若しくはエアフィルタ濾材8の各折り目が延びる方向)に10mmごとに位置する複数の仮想的な点からそれぞれ下流側に5mm離れた位置で熱線風速計を用いて行われる。
【0069】
[ファンフィルタユニット]
図2に、本発明の一実施形態が採用されたファンフィルタユニット21を模式的に示す。
このファンフィルタユニット21は、外気を取り込んで空気清浄を行うとともにフィルタ下流側に吹き出される空気の整流を図るためのものであって、エアフィルタユニット25と、ファンユニット22とを備えている。
【0070】
エアフィルタユニット25は、上記実施形態のエアフィルタユニット1と同様のものであり、外枠体23と、エアフィルタパック24とを有している。
ファンユニット22は、図3に示すように、直方体形状の筐体26と、筐体26の内部に設けられたファン27とを有している。
筐体26は、エアフィルタユニット25のエアフィルタパック24が露出する面に対応する形状に開口された底面部28と、ベルマウス30が設けられた上面部29とを有している。底面部28は、エアフィルタユニット25の外枠体23の上流側の面の全周に当接して装着可能であり、これにより、筐体26内の空間は、エアフィルタパック24を介してエアフィルタパック24下流側の空間と連通される。ベルマウス30は、外気を筐体26内に取り込むための開口部であり、上面部29のほぼ中央位置に設けられている。
【0071】
ファン27は、外気を筐体26内に取り入れてエアフィルタパック24を透過させるような空気流を得るためのものであり、ベルマウス30が設けられた位置に対応する筐体26の内側に回転自在に設けられている。
このように構成されたファンフィルタユニット21は、上記実施形態のエアフィルタユニット1と同様、エアフィルタパック24を透過する空気の平均風速が0.5m/秒のときにおいて、フィルタ下流側の所定の複数の点で測定した吹き出し風速の平均を用いて下記式に従って計算される変動係数が15%以下、より好ましくは10%以下となっている。
[数10]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
ここでの風速群の平均風速の測定は、エアフィルタパック24の隣接する折返し部分の下流側の先端が位置する面(下流側の端面)上に仮想的に設けられた60mm四方の単位格子で構成される格子の各格子点からそれぞれ下流側に100mm離れた位置で熱線風速計を用いて行われる。
【0072】
また、このファンフィルタユニット21は、風速群の平均風速についてのより詳細なデータに基づいて求めた場合は、エアフィルタパック24を透過する空気の平均風速が0.5m/秒のときにおいて、フィルタ下流側の所定の複数の点で測定した吹き出し風速の平均を用いて下記式に従って計算される変動係数が20%以下、より好ましくは15%以下となっている。
[数11]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
より詳細な風速群の平均風速の測定は、エアフィルタパック24の下流側の端面上においてスペーサを横切る方向(若しくはエアフィルタ濾材の折り目が延びる方向)に10mmごとに位置する複数の仮想的な点からそれぞれ下流側に5mm離れた位置で熱線風速計を用いて行われる。
【0073】
[半導体製造装置]
図4に、本発明の一実施形態が採用された半導体製造装置71の概略を示す。
この半導体製造装置71は、ウエハ等の半導体部品を製造するための装置であって、複数の部屋72b〜72fと、ウエハを部屋72b内に搬出するためのロードポート72a(図5参照)とを備えている。各部屋72c〜72fは、ウエハへの塗布作業を行うコータゾーン72gと、塗布作業が行われたウエハを搬送する搬送ゾーン72hと、搬送されたウエハへの現像作業を行うデベロッパゾーン72iとから構成されている。
【0074】
各部屋72b〜72fの天井部分にはファンフィルタユニット73が設置されている。ファンフィルタユニット73は、上記実施形態のファンフィルタユニット21と同様のものであり、ファン76(図5参照)を有するファンユニットと、エアフィルタユニット78(図5参照)とを有している。これらのファンフィルタユニット73は、部屋72cのコータゾーン72gの天井部分から延びるダクト74aを介して空調ユニット74bに連結されている。
【0075】
この半導体製造装置71では、例えば、部屋72cのコータゾーン72gでは、図4の一点鎖線円内に示すように、ファンフィルタユニット73は、ウエハ75a及びウエハ75aが載置されるスピン75bの上方に位置しており、ファンフィルタユニット73から吹き出る空気は、ウエハ75aに吹き付けられるようにして下方に向かって流れる。
【0076】
また、部屋72bでは、図5に示すように、ファンフィルタユニット73のファン76の作動により外気が取り込まれ、取り込まれた空気は、エアフィルタユニット78を透過して、ウエハ75aに吹き付けられるようにして下方に向かって流れる。
[クリーンルーム]
図6に、本発明の一実施形態が採用されたクリーンルーム81の概要を示す。
【0077】
このクリーンルーム81は、半導体その他精密機器用部品を取り扱うための空間であって、2つのメンテナンスゾーン82と、両メンテナンスゾーン82の間に位置するプロセスゾーン83と、各ゾーン82,83の外周側に循環ゾーン84とを備えている。
各メンテナンスゾーン82には、半導体等を取り扱うための装置85が配置されている。
【0078】
プロセスゾーン83の天井部分には複数のファンフィルタユニット86が設置されている。ファンフィルタユニット86は、上記実施形態のファンフィルタユニット21,73と同様のものであり、ファンフィルタユニット本体と、エアフィルタユニットとを備えている。
循環ゾーン84は、各ゾーン82,83から排出される空気を循環させるための領域である。
【0079】
このクリーンルーム81では、例えば、プロセスゾーン83では、ファンフィルタユニット86のファンの作動により循環ゾーン84内を流れる空気がファンフィルタユニット86内に取り込まれ、取り込まれた空気はエアフィルタユニット本体を透過してプロセスゾーン83内に吹き出される。吹き出された空気は、下方に向かって流れ、プロセスゾーン83の床部分に設けられた排出口87から循環ゾーン84内に排出され、再度循環ゾーン84内を循環する。
【0080】
[他の実施形態]
(a)上記実施形態において、網状体は複数組み合わせて用いてもよく、例えば、目の大きさの異なる複数の網状体を重ね合わせて用いることが可能である。
(b)上記実施形態において、エアフィルタユニット本体は、エアフィルタパックを保護するための金属製プレート部材(パンチングプレート)を有してもよい。この場合、パンチングプレートは、エアフィルタパックの下流側を覆うようエアフィルタパックに隣接して外枠体の内側に配置されるとともに、板厚方向に貫通して設けられた多数の貫通孔を有し、エアフィルタパックを透過した空気が下流側に吹き出ることが可能になっている。
【0081】
このようなパンチングプレートは、例えば、エアフィルタユニット本体(エアフィルタユニット及びファンフィルタユニットのいずれのエアフィルタユニット本体である場合も含む。以下、この(b)において同様。)の内側に配置し、エアフィルタユニット本体に取り付けられた整流体の下流側にさらに配置して固定したり、或いは、エアフィルタユニット本体の内側には配置せずに、整流体の下流側に配置して固定したりしてもよい。
【0082】
(c)上記実施形態において、ファンフィルタユニットは、ファンユニット及びエアフィルタユニットから構成されるタイプのものの他に、ファンユニット及びエアフィルタユニット本体から構成されるファンフィルタユニット本体に整流体を取り付けたタイプのもの、或いは、ファンユニット部分及びエアフィルタユニット本体部分が一体に組み立てられてなるファンフィルタユニット本体に整流体を取り付けたタイプのものを用いることが可能である。
【0083】
(d)上記半導体製造装置及びクリーンルームの設計は、上記実施形態のものに限定されない。
(e)上記半導体製造装置及びクリーンルームでは、ファンフィルタユニット73,86に代えてエアフィルタユニットが設置されてもよい。
【0084】
【実施例】
[エアフィルタユニット本体の作製]
ここでは、特開平2001−170461号公報の実施例9に示す方法に従って、外寸が610mm×610mm、奥行きが50mm(フィルタパックの奥行きは40mm)のエアフィルタユニット本体を作成した。なお、このエアフィルタユニット本体の圧力損失は92Paであった。圧力損失の測定は、後述する方法により行った。
【0085】
実施例1
エアフィルタユニット本体の外枠体の下流側の端部に、線径(上記線状物の径)200μm、線間距離(隣接する繊維物の間の距離)308μm、開口率36.8%の50メッシュのポリエステル製網状体をエアフィルタパックの下流側の端面(以下、濾材面ともいう。)と平行になるよう取り付け、得られたエアフィルタユニットの下流側の風速分布を下記▲1▼及び▲2▼の方法により測定した。ここでの濾材面と網状体との距離は5mmであった。
【0086】
同様にして、線径165μm、線間距離258μm、開口率37.2%の60メッシュのポリエステル製網状体、線径130μm、線間距離155μm、開口率29.6%の90メッシュのポリエステル製網状体、線径61μm、線間距離108μm、開口率40.8%の150メッシュのポリエステル製網状体、線径50μm、線間距離77μm、開口率36.8%の200メッシュのポリエステル製網状体をそれぞれエアフィルタユニット本体の外枠体に取り付け、各エアフィルタユニットの風速分布を▲1▼及び▲2▼の方法で測定した。
【0087】
実施例2
実施例1と同様にして、エアフィルタユニット本体の外枠体の下流側の端部に、線径200μm、線間距離308μm、開口率36.8%の50メッシュのポリエステル製網状体を、濾材面と平行になるよう取り付け、得られたエアフィルタユニットの風速分布を▲1▼及び▲2▼の方法で測定した。ここでの濾材面と網状体との距離は32mmであった。
【0088】
比較例1
エアフィルタユニット本体の外枠体の下流側の端部に、線径235μm、線間距離512μm、開口率47.0%の34メッシュのポリエステル製網状体を、濾材面と平行になるよう取り付け、得られたエアフィルタユニットの風速分布を▲1▼及び▲2▼の方法で測定した。ここでの濾材面と網状体との距離は5mmであった。
【0089】
参考例
エアフィルタユニット本体の外枠体の下流側の端部に、直径2mm、3.5mmピッチで千鳥状に複数の孔が設けられたパンチングプレートを、濾材面と平行になるよう取り付け、エアフィルタユニット本体の風速分布を▲2▼の方法で測定した。ここでの濾材面とパンチングプレートとの距離は5mmであった。
【0090】
上記実施例1、実施例2、比較例1及び参考例の整流体の圧力損失及びエアフィルタユニット本体の風速分布のCV値を表1に示す。なお、表1中、初期の欄おいて、整流体が装着されていないエアフィルタユニット本体について測定し場合を示す。
【0091】
【表1】
表1に示すように、参考例のパンチングプレートの場合、それ自身の圧力損失は3Pa程度であるが、ピッチが粗いために整流効果はあまり発揮されていない。一方、比較例1の34メッシュ程度の網状体ではそれ自身の圧力損失が1Pa程度しかなく、また、ピッチも実施例1及び2に比べると粗いため、網状体に衝突した空気流がそのまま透過しやすくなっていると考えられ、整流効果はあまり発揮されていない。
【0092】
これに対し、実施例1及び2のように、50メッシュより細かい網状体を用いると、整流効果が発揮され、整流体を設置しない場合に比べ、風速分布のCV値が▲1▼の測定では約1/4以下、▲2▼の測定では約1/3以下となることが分かった。
以下に、エアフィルタユニット本体に関する諸物性の測定方法を示す。
【0093】
[エアフィルタユニットの圧力損失(Pa)]
図7に示す装置を用い、エアフィルタユニットを装着後エアフィルタ濾材を透過する風速が1.4cm/秒になるように調整し、その時のエアフィルタユニット本体の上流側及び下流側の圧力損失をマノメータで測定した。なお、図7において、31は送風機、32,32’はHEPAフィルタ、34,34’は整流板、36は静圧測定孔、37は供試体エアフィルタユニット、39は層流型流量計をそれぞれ示す。
[整流体の圧力損失(Pa)]
図7に示す装置を用い、上記エアフィルタユニットの圧力損失の測定と同様にして、エアフィルタユニット本体の外枠体に整流体を装着したエアフィルタユニットを装着し、エアフィルタユニットを透過する空気の風速が0.5m/秒のときの圧力損失を測定した。整流体の圧力損失は、エアフィルタユニットの圧力損失からエアフィルタユニット本体単体の圧力損失を減じて算出した。
[整流体の線径、線間距離、開口率]
整流体の線径及び線間距離は、倍率1000倍のマイクロスコープを用いて整流体を撮影したものに基づいて測定した。また、整流体の開口率は、下式により算出した。
[数12]
開口率=(線間距離)2/(線径+線間距離)2×100(%)
[風速分布測定▲1▼]
図8に示す装置を用い、供試体エアフィルタユニットを装着後、エアフィルタユニットを通過する風速が0.5m/秒になるよう調整し、通風した。そして、図9に示すように、エアフィルタユニットの濾材面上で60mm四方の単位格子で構成される仮想的な格子の複数の格子点(濾材面の中心を含む)から下流側に100mm離れた各位置で、熱線風速計(日本カノマックス社製「アネモマスター6021」)を用いて測定した。なお、各測定点での代表風速は、1秒おきに5回測定を行い、その結果を平均風速で表したものである。
【0094】
なお、上記格子において、単位格子の大きさを60mm四方としたのは、エアフィルタ濾材の各折り目の延びる方向の間隔が25.4mmで設けられたスペーサの存在によって風速変動が影響を受けるのを回避すべく、風速測定位置とスペーサの位置との関係をランダムなものとするためである。
図8において、41は送風機、42はHEPAフィルタ、43は整流板、44は制圧測定孔、45は供試体エアフィルタユニット本体、46は熱線式風速計、また、図9において、51は供試体エアフィルタユニット本体、52は風速測定位置を示す。
[風速分布測定▲2▼]
図8に示す装置を用い、供試体エアフィルタユニットを装着後、エアフィルタユニットを通過する風速が0.5m/秒になるよう調整し、通風した。そして、図10に示すように、エアフィルタユニットの濾材面上で濾材面の中心を通りかつエアフィルタ濾材の各折り目が延びる方向に延びる線(以下、中心線)上で10mm間隔で位置する複数の点(濾材面の中心を含む)から下流側に5mm離れた各位置で、上記熱線風速計を用いて測定した。なお、各測定点での代表風速は、1秒おきに5回測定を行い、その結果を平均風速で表したものである。
【0095】
図10において、61は供試体フィルタユニット、62は風速測定位置を示す。
[メッシュ値]
網状体のメッシュの値は、1インチ(25.4mm)の線分の長さを、1つの目の線径及び線間距離の和で除したものとし、下式により求めた。
[数13]
メッシュ値=25.4/(線径+線間距離)(mm)
実施例3
実施例1と同様にして、エアフィルタユニット本体の外枠体の下流側の端部に、線径210μm、線間距離510m、開口率50.2%の35メッシュのステンレス製網状体、線径165μm、線間距離258μm、開口率37.2%の60メッシュのステンレス製網状体、線径130μm、線間距離150μm、開口率28.7%の90メッシュのステンレス製網状体をそれそれエアフィルタユニット本体の外枠体に取り付け、図8の装置において風洞内の空気に代えてファンフィルタユニット本体のファンの動作により生じた空気を直接用いた点を除いて、ファンフィルタユニット本体の下流側の風速分布を、上記▲1▼及び▲2▼と同様にして測定した。このときのファンフィルタユニット本体から風速は0.5m/秒であった。また、ここでのエアフィルタユニット本体の濾材面と網状体との距離は7mmであった。
【0096】
実施例1で作製したエアフィルタユニットを、図3に示すのと同様のファンユニットに装着し、ファンフィルタユニットを得た。
このファンフィルタユニットの風速分布のCV値を表2に示す。なお、表2中、初期の欄において、エアフィルタユニット本体として整流体が装着されていないものについて測定した場合を示す。
【0097】
【表2】
【0098】
【発明の効果】
本発明のエアフィルタユニットでは、下流側の所定の複数の点で測定した風速群についての変動係数が15%以下と従来に比べその値が小さく、下流側における風速のばらつきを抑えることが可能である。したがって、このようなエアフィルタユニットを設置した空間では、フィルタ下流側における風速のばらつきを抑え、渦流の発生、周囲の塵埃の巻き込み等を抑えることができる。
【0099】
本発明の整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、変動係数を低減させることが可能であるため、エアフィルタユニット本体下流側での風速のばらつきを抑えることができる。
本発明のファンフィルタユニットでは、下流側の所定の複数の点で測定した風速群についての変動係数が15%以下と従来に比べその値が小さく、下流側における風速のばらつきを抑えることが可能である。したがって、このようなファンフィルタユニットを設置した空間では、フィルタ下流側における風速のばらつきを抑え、渦流の発生、塵埃の巻き込み等を抑えることができる。
【0100】
本発明の半導体製造装置では、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑えることが可能なエアフィルタユニットを備えていることから、フィルタ下流側での渦流の発生、塵埃の巻き込み等が抑えられ、ウエハ等の製品に悪影響が及ぶのを回避することができる。
本発明のクリーンルームでは、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑えることが可能なエアフィルタユニットを備えていることから、フィルタ下流側での渦流の発生、塵埃の巻き込み等が抑えられ、製品に悪影響が及ぶのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が採用されたエアフィルタユニット本体を模式的に示す縦断面図。
【図2】本発明の一実施形態が採用されたファンフィルタユニットを示す模式図。
【図3】図2のファンフィルタユニットのファンユニットを示す縦断面図。
【図4】本発明の一実施形態が採用された半導体製造装置の概略を示す斜視図。
【図5】前記半導体製造装置の要部縦断面図。
【図6】本発明の一実施形態が採用されたクリーンルームを示す斜視図。
【図7】エアフィルタユニット本体等の圧力損失を測定するための装置を示す模式図。
【図8】エアフィルタユニット本体等の下流側の風速を測定するための装置を示す模式図。
【図9】エアフィルタユニット本体等の濾材面上の格子を示す模式図。
【図10】エアフィルタユニット本体等の濾材面上の中心線を示す模式図。
【符号の説明】
1,22,78 エアフィルタユニット
3 エアフィルタユニット本体
4 パンチングプレート
5 外枠体
7,22 エアフィルタパック
8 エアフィルタ濾材
9 スペーサ
11 網状体
21,73,86 ファンフィルタユニット
25 ファンユニット
27 ファン
71 半導体製造装置
81 クリーンルーム
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアフィルタユニット、整流体、ファンフィルタユニット、クリーンルーム、及び半導体製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造の分野では、近年の半導体デバイスの高集積化、微細化に伴い、ウエハを露出させて作業を行う工程等は、高度に清浄化された空間で行うことが求められている。このような空間を得るために、従来より、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ、ULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタ等の高性能エアフィルタユニット本体を用いて清浄化が行われている。
【0003】
このようなエアフィルタユニット本体は、一般に、空気清浄を行うフィルタ部とフィルタ部が収納される外枠体とから構成され、概ね平面状に形成されている。この種のエアフィルタユニット本体では、浮遊微粒子を含んだ空気が一方側の面から進入すると、フィルタ部を透過する際に浮遊微粒子が除去され、他方側の面から清浄化された空気が放出される。
【0004】
ところで、フィルタ部から下流側に吹き出される空気は、同じ下流側(上記他方側)で測定しても測定する面方向位置が異なるとその風速にばらつきが生じ、これにより、エアフィルタユニット本体の下流側で、渦流が発生して周囲の塵埃が巻き込まれる場合があることが指摘されていた。
特に、上記HEPAフィルタやULPAフィルタは、一般に、小さい圧力損失で高い捕集効率を達成すべく、シート状のエアフィルタ濾材をジグザグに折り込んだの形状で外枠体に収納してエアフィルタ濾材の単位濾過面積あたりの通気量が低く抑えられるよう構成されている。このようなエアフィルタ濾材では、隣接する折返し部分の間の距離を均一に保つのが難しく、このため、前述のような風速のばらつきが生じ易くなる。
【0005】
また、ミニプリーツタイプのエアフィルタでは、ジグザグに折り込んだ濾材の隣接する折返し部分の間隔を確保するための複数のスペーサが前記折返し部分が繰り返される方向に延びて設けられているが、隣接する折返し部分の間隔が不均一になったり、また、スペーサによって確保された空気の流路となる部分のエアフィルタ濾材が変形したり、通風時にエアフィルタ濾材が下流側に膨らむことで空気の流路が閉塞されたりする等、吹き出し風速のばらつきを生じさせる要因が多い。
【0006】
ここで、このような風速のばらつきを、下記式に従って算出される変動係数(:coefficient of variation、以下、CV値ともいう。)を用いて表すと、約30%程度と大きな値となる。
[数7]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
この式の風速群の平均風速は、例えば、エアフィルタの下流側の端面上において60mm四方の単位格子からなる格子の各格子点からそれぞれ100mm下流側に離れた位置で熱線風速計で測定した風速群についての平均風速を意味する。また、風速のばらつきをより詳細に表すには、エアフィルタ濾材の各折り目が延びる方向(複数のスペーサを横切る方向)に10mmごとに位置する複数の点から5mm下流側に離れた位置で熱線風速計で測定した風速群についての変動係数が用いられるが、この場合、変動係数は約70%程度と非常に大きな値となる。
【0007】
そこで、このような変動係数の大きさを解消すべく、エアフィルタの下流側にパンチングプレート(複数の貫通孔が設けられた金属製プレート部材)を配置する方法や、エアフィルタユニット本体の下流側の面に不織布を貼りつける方法が既に採用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
実公平7−5855号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のパンチングプレートは、パンチングピッチ(隣接する貫通孔同士の間隔)が粗く、この粗さに起因して吹き出し風速の乱れ等が新たに生じるため、十分な整流効果が得られない。
一方、エアフィルタユニット本体の下流側の面に不織布を貼りつける方法については、次のような問題がある。例えば、抄紙などにより製造される短繊維不織布を用いた場合は、不織布から吹き出る空気の風速分布の均一性は優れているが、不織布を構成する繊維が脱落するおそれがあり、また、不織布の製造の際に用いられるバインダー剤その他添加剤からオフガス(有機物質を含むガス)等が放出されて、下流側の空間の二次汚染のおそれもある。
【0010】
また、スパンボンド法、メルトブローン法等により製造された長繊維不織布を用いた場合は、1つの面において繊維の粗密が生じていることから、吹き出し風速のばらつきが大きくなる場合がある。そこで、1つの面において繊維の粗密を緩和させるべく、不織布の厚みを厚くすることが考えられるが、この場合は、不織布自体の圧力損失が1mmAq(=9.8Pa)以上と大きくなり、これにより、エアフィルタユニット本体の圧力損失も大きくなってしまう。
【0011】
本発明の目的は、エアフィルタユニット本体から下流側に吹き出る空気の風速のばらつきを有効に解消することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係るエアフィルタユニットは、外枠体と、外枠体の内側に収納され、エアフィルタ濾材がプリーツ加工されてなるエアフィルタパックとを備えている。このエアフィルタユニットは、エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、エアフィルタパックの下流側の端面上の60mm四方の単位格子で構成される格子の各格子点からそれぞれ下流側に100mm離れた位置における風速群について下記式から算出される変動係数が15%以下である。
[数8]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
本発明において、プリーツ加工とは、シート状のエアフィルタ濾材をジグザグに交互に折り返すことで波型形状に加工することをいう。また、本発明において、格子とは、フィルタパックの下流側の先端が位置する平面(以下、下流側の端面ともいう。)に仮想的に設けられたものをいう。また、各格子点における風速は、後述するように、例えば熱線風速計により測定される。
【0013】
このエアフィルタユニットでは、下流側の所定の複数の点で測定した風速群についての変動係数が15%以下と従来に比べその値が小さく、下流側における風速のばらつきを抑えることが可能である。したがって、このようなエアフィルタユニットを設置した空間では、フィルタ下流側における風速のばらつきを抑え、渦流の発生、周囲の塵埃の巻き込み等を抑えることができる。
【0014】
請求項2に係るエアフィルタユニットは、請求項1のエアフィルタユニットにおいて、変動係数が10%以下である。
このエアフィルタユニットでは、請求項1のエアフィルタユニットよりもさらに変動係数が小さくなっており、フィルタ下流側での風速のばらつきをより有効に抑えることができる。
【0015】
請求項3に係るエアフィルタユニットは、外枠体と、外枠体の内側に収納され、エアフィルタ濾材がプリーツ加工されるとともにエアフィルタ濾材の表面にプリーツ加工される方向に延びるスペーサが設けられてなるエアフィルタパックとを備えている。このエアフィルタユニットは、エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、エアフィルタパックの下流側の端面上においてスペーサを横切る方向に10mmごとに位置する複数の点からそれぞれ下流側に5mm離れた位置における風速群について下記式から算出される変動係数が20%以下である。
[数9]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
本発明において、プリーツ加工された方向とは、プリーツ加工されたエアフィルタ濾材において折返し部分が連続する方向(または折返し部分の折り目に直交する方向)をいう。
【0016】
ここでの変動係数は、請求項1及び2のエアフィルタユニットについての変動係数に比べ、エアフィルタパックにより近い位置でかつより短い間隔の複数の点で測定されたより詳細なデータに基づいて求められたものであり、信頼性の高い値となっている。そして、このエアフィルタユニットでは、かかる詳細なデータに基づく変動係数が20%以下と従来に比べその値が小さくなっているため、フィルタ下流側における風速のばらつきをより確実に抑えることができる。
【0017】
請求項4に係るエアフィルタユニットは、請求項3のエアフィルタユニットにおいて、変動係数が15%以下である。
このエアフィルタユニットでは、請求項3のエアフィルタユニットよりもさらに変動係数がさらに小さくなっており、フィルタ下流側での風速のばらつきをより有効に抑えることができる。
【0018】
請求項5に係るエアフィルタユニットは、請求項1から4のいずれかのエアフィルタユニットにおいて、シート状の整流シートを有しかつエアフィルタパックの下流側に配置される整流体をさらに備えている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、エアフィルタユニットの下流側に整流体を配置することで、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑えられることを見出した。ここでは、そのようなエアフィルタユニットにより、上記のような変動係数の小さいものを得るようにしている。
【0019】
請求項6に係るエアフィルタユニットは、請求項5のエアフィルタユニットにおいて、整流シートは、網状体である。
本発明者らの研究によれば、網状体は、不織布等に比べ目付(単位面積当たりの重量)のばらつきがなく、また、開口部分の大きさ等のばらつきが非常に小さいことから、網状体を整流体として用いた場合、透過する空気の流れに乱れが生じにくくなることが明らかにされた。
【0020】
ここでは、かかる網状体を整流体として用いることで、変動係数が小さく抑えられるエアフィルタユニットを得ることとしている。
請求項7に係るエアフィルタユニットは、請求項6のエアフィルタユニットにおいて、網状体の目の大きさは、50メッシュまたは50メッシュよりも細かいメッシュである。
【0021】
本発明者らの研究により、網状体の目の大きさが50メッシュ未満である場合は、網状体の目のピッチがフィルタ下流側で風速分布のばらつきのピッチに近くなり、整流効果が小さくなることが明らかとなった。
ここでは、上記のような目の大きさの網状体を用いて、エアフィルタユニットの整流効果が発揮されるようにしている。
【0022】
請求項8に係るエアフィルタユニットは、請求項7のエアフィルタユニットにおいて、網状体の目の大きさは、60メッシュまたは60メッシュよりも細かいメッシュである。
ここでは、50メッシュよりもさらに細かいメッシュの網状体を用いることで整流効果を十分に発揮させるようにしている。
【0023】
請求項9に係るエアフィルタユニットは、請求項6から8のいずれかのエアフィルタユニットにおいて、網状体は、エアフィルタパックから1mm以上280mm以下の距離だけ下流側に離れて配置される場合において、目の大きさが50メッシュ以上200メッシュ以下である。
本発明者らの研究では、網状体の配置される位置が上記所定の範囲内にある場合においては、上記所定範囲の目の大きさを持つ網状体を用いるのが好ましいことが明らかとなった。ここでは、かかる条件に沿って網状体を用いることで変動係数の小さいエアフィルタユニットを得ることとしている。
【0024】
請求項10に係るエアフィルタユニットは、請求項5から9のいずれかのエアフィルタユニットにおいて、整流シートは、0.5m/秒の風速で空気を流したときの圧力損失が1Pa以上9Pa以下である。
本発明者らの研究により、網状体の圧力損失が1Pa未満の場合は、フィルタ下流側に網状体に当たって空気がそのまま透過してしまい、整流効果が小さくなることが明らかとなった。
【0025】
ここでは、整流体として好ましい網状体として、圧力損失が上記所定範囲にあるものを用いることで、主にかかる弊害を回避することとしている。
請求項11に係るエアフィルタユニットは、請求項5から10のいずれかのエアフィルタユニットにおいて、整流シートは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルを含む有機材料、またはステンレス、真鍮、銅を含む金属材料を材質とする。
【0026】
本発明者らの研究により、網状体の材質としては、これらの物質が好ましいことが見出された。ここでは、かかる網状体を用いることで、変動係数の小さいエアフィルタユニットを得ることとしている。
請求項12に係るエアフィルタユニットは、請求項11のエアフィルタユニットにおいて、整流シートは、ポリエステルまたはステンレスを材質とする。
【0027】
本発明者らの研究により、網状体自体からの有機ガスの発生を防止するためには、かかる材質がより好ましいことが明らかとなった。ここでは、かかる網状体を用いて、変動係数を小さく抑えることのできるエアフィルタユニットを得ることとしている。
なお、耐火性に優れる点では、ステンレスがさらに好ましい。
【0028】
請求項13に係るエアフィルタユニットは、請求項1から12のいずれかのエアフィルタユニットにおいて、エアフィルタパックは、プリーツ加工の方向に延びて表面に設けられたひも状またはリボン状のスペーサを有している。
このようなミニプリーツタイプのエアフィルタパックでは、非使用時においても、隣接する折返し部分の間隔が不均一であり、また、空気の流路となるエアフィルタ濾材の部分が変形しているが、使用時には、空気が透過することにより、前記間隔がより不均一になったり、空気の流路となるエアフィル濾材の部分がさらに下流側に膨らんだりして、フィルタ下流側風速の分布が悪化する場合がある。しかし、請求項13のエアフィルタユニットでは、フィルタ下流側の風速群についての変動係数が小さく抑えられるため、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑えることができる。
【0029】
請求項14に係るエアフィルタユニットは、請求項13のエアフィルタユニットにおいて、スペーサは、ホットメルト樹脂を材質とする。
ここでは、特に、かかるスペーサを用いたエアフィルタユニットについて、フィルタ下流側の風速のばらつきを抑えるようにしている。
請求項15に係るエアフィルタユニットは、請求項1から14のいずれかのエアフィルタユニットにおいて、1.4cm/秒の風速で前記エアフィルタ濾材に空気を透過させたときの粒子径0.10μm以上0.20μmのシリカ粒子を用いて測定される捕集効率が99.9%以上である。
【0030】
このような高い捕集能力を有するエアフィルタユニットは、通常、クリーンルーム、半導体製造装置等の、高度の清浄度が要求される場所に設置されるが、クリーンルーム等では、フィルタ下流側での風速のばらつきによって渦流が生じる等して、製品に悪影響を及ぼすことがある。
しかし、請求項15のエアフィルタユニットでは、フィルタ下流側の分速群についての変動係数が小さく抑えられるため、高度の清浄度が要求される場所で用いても、製品に悪影響が及ぶのを抑えることができる。
【0031】
請求項16に係るエアフィルタユニットは、請求項15のエアフィルタユニットにおいて、捕集効率は99.999%以上である。
このエアフィルタユニットは、請求項15のエアフィルタユニットに比べより高い捕集能力を有していることから、より高度の清浄度が要求される場所で用いられるが、このような場合でも好ましく用いることができる。
【0032】
請求項17に係るエアフィルタユニットは、請求項1から16のいずれかのエアフィルタユニットにおいて、エアフィルタ濾材は、ポリテトラフルオロエチレンからなる多孔膜と、多孔膜の少なくとも片面にラミネートされた通気性支持材とを有し、5.3cm/秒の風速でこのエアフィルタ濾材に空気を透過させたときの圧力損失と粒子径0.10μm以上0.12μm以下のシリカ粒子を用いて測定される捕集効率とを用いて下記式に従って計算されるPF値が22を越える。
[数10]
PF=[−log(透過率(%)/100)/圧力損失(Pa)]×1000
(ここで、透過率(%)=100−捕集効率(%)である。)
PF値の高いエアフィルタユニット本体、請求項15及び16のエアフィルタユニットと同様に、高度の清浄度が要求される空間で使用されることから、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑える必要がある。
【0033】
このエアフィルタユニットでは、フィルタ下流側の風速群についての変動係数を小さく抑えられるため、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑え、高度の清浄度が要求される空間でも好ましく用いることができる。
請求項18に係る整流体は、外枠体と外枠体の内側に収納されエアフィルタ濾材がプリーツ加工されてなるエアフィルタパックとを有するエアフィルタユニット本体に取り付けられるものであって、整流シートを備えている。整流シートは、エアフィルタユニット本体の下流側に配置されるシート状のものである。この整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合において、エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、エアフィルタパックの下流側の端面上の60mm四方の単位格子で構成される格子の各格子点からそれぞれ下流側に100mm離れた位置における風速群について下記式に従って算出される変動係数を、エアフィルタユニット本体単体の場合の風速群についての変動係数の1/3以下に低減可能である。
[数11]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
この整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、変動係数を低減させることが可能であるため、エアフィルタユニット本体下流側での風速のばらつきを抑えることができる。
【0034】
請求項19に係る整流体は、請求項18の整流体において、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合の変動係数を、エアフィルタユニット本体単体の場合の風速群についての変動係数の1/4以下に低減可能である。
この整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、フィルタ下流側の風速のばらつきをより有効に抑えることができる。
【0035】
請求項20に係る整流体は、外枠体と外枠体の内側に収納されエアフィルタ濾材がプリーツ加工されるとともにエアフィルタ濾材の表面にプリーツ加工される方向に延びるスペーサが設けられてなるエアフィルタパックとを有するエアフィルタユニット本体に取り付けられる整流体であって、整流シートを備えている。整流シートは、エアフィルタユニット本体の下流側に配置されるシート状のものである。そして、この整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合において、エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、エアフィルタパックの下流側の端面上においてスペーサを横切る方向に10mmごとに位置する複数の点からそれぞれ下流側に5mm離れた位置における風速群について下記式から算出される変動係数が、エアフィルタユニット本体単体の場合の風速群についての変動係数の1/3以下に低減可能である。
[数4]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
ここでの変動係数は、請求項18及び19の整流体についての変動係数に比べ、より詳細なデータに基づいて求められたものであり、この整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、かかる詳細なデータに基づく変動係数を低減させることが可能であるため、エアフィルタユニット本体下流側での風速のばらつきを抑えることができる。
【0036】
請求項21に係る整流体は、請求項20の整流体において、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合の変動係数が、エアフィルタユニット本体単体の場合の風速群についての変動係数の1/4以下に低減可能である。
この整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、フィルタ下流側の風速のばらつきをより有効に抑えることができる。
【0037】
請求項22に係る整流体は、請求項18から21のいずれかの整流体において、整流シートは、網状体である。
このような網状体は、不織布に比べ透過する空気の流れの乱れを生じさせにくいため、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、フィルタ下流側での整流効果が有効に発揮され、整流体として好ましく用いることができる。
【0038】
請求項23に係る整流体は、請求項22の整流体において、網状体の目の大きさは、50メッシュまたは50メッシュよりも細かいメッシュである。
この整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、十分な整流効果が得られるよう、かかる目の大きさのものに規定されている。
請求項24に係る整流体は、請求項23の整流体において、網状体の目の大きさは、60メッシュまたは60メッシュよりも細かいメッシュである。
【0039】
この整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、より十分な整流効果が発揮されるよう、より細かい目の大きさのものに規定されている。
請求項25に係る整流体は、請求項22の整流体において、網状体の目を形成する複数の線状物のうち、実質的に平行に配置されかつ互いに隣接する2歩の線状物によって形成される空間の距離が310μm以下である。
【0040】
本発明者らの研究により、このような網状体をエアフィルタユニット本体に取り付けた場合、フィルタ下流側の風速のばらつきを改善できることが明らかとなった。ここでは、整流体をかかる構成のものに規定している。
請求項26に係る整流体は、請求項25の整流体において、空間の距離が260μm以下である。
【0041】
ここでは、線間隔がより短い整流体を用いることで、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、フィルタ下流側の風速のばらつきが抑えられるようにしている。
請求項27に係る整流体は、請求項22の整流体において、網状体の目を形成する各線状物の径が200μm以下である。
【0042】
本発明者らの研究により、このような網状体をエアフィルタユニット本体に取り付けた場合、フィルタ下流側の風速のばらつきを改善できることが明らかとなった。ここでは、整流体をかかる構成のものに規定している。
請求項28に係る整流体は、請求項27の整流体は、各線状物の径が165μm以下である。
【0043】
ここでは、線径が小さい整流体を用いることで、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、フィルタ下流側の風速のばらつきが抑えられるようにしている。
請求項29に係る整流体は、請求項18から28のいずれかの整流体において、0.5m/秒の風速で空気を流したときの圧力損失が1Pa以上9Pa以下である。
【0044】
この整流体は、圧力損失が上記所定範囲にあることから、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、例えば、エアフィルタユニット本体から吹き出る空気が殆どそのまま透過するようなことがなく、整流効果を十分に発揮させることができる。
請求項30に係る整流体は、請求項18から29のいずれかの整流体において、網状体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルを含む有機材料、またはステンレス、真鍮、銅を含む金属材料を材質とする。
【0045】
ここでは、特に、かかる材質からなる整流体により、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、フィルタ下流側の風速群についての変動係数を低減できるようにしている。
請求項31に係る整流体は、請求項30の整流体において、網状体は、ポリエステルまたはステンレスを材質とする。
【0046】
この整流体では、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合の有機ガスの発生防止の観点から、かかる材質のものを採用している。
なお、前述のように、耐火性に優れる点では、ステンレスがさらに好ましい。
請求項32に係るファンフィルタユニットは、エアフィルタ濾材がプリーツ加工されてなるエアフィルタパックを有するエアフィルタユニット本体を介して除塵を行うものである。このファンフィルタユニットは、エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、エアフィタパックの下流側の端面上の60mm四方の単位格子で構成される格子の各格子点からそれぞれ下流側に100mm離れた位置における風速群について下記式に従って算出される変動係数が15%以下である。
[数5]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
このファンフィルタユニットでは、下流側の所定の複数の点で測定した風速群についての変動係数が15%以下と従来に比べその値が小さく、下流側における風速のばらつきを抑えることが可能である。したがって、このようなファンフィルタユニットを設置した空間では、フィルタ下流側における風速のばらつきを抑え、渦流の発生、塵埃の巻き込み等を抑えることができる。
【0047】
請求項33に係るファンフィルタユニットは、請求項32のファンフィルタユニットにおいて、変動係数が10%以下である。
このファンフィルタユニットでは、請求項32のファンフィルタユニットよりもさらに変動係数が小さくなっており、フィルタ下流側での風速のばらつきをより有効に抑えることができる。
【0048】
請求項34に係るファンフィルタユニットは、エアフィルタ濾材がプリーツ加工されるとともにエアフィルタ濾材の表面にプリーツ加工される方向に延びるスペーサが設けられてなるエアフィルタパックを有するエアフィルタユニット本体を介して除塵を行うものである。このファンフィルタユニットは、エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、エアフィルタパックの下流側の端面上においてスペーサを横切る方向に10mmごとに位置する複数の点から下流側に5mm離れた位置の風速群について下記式に従って計算される変動係数が20%以下である。
[数6]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
ここでの変動係数は、請求項32及び33での変動係数に比べ、エアフィルタパックにより近い位置でかつより短い間隔の複数の点で測定されたより詳細なデータに基づいて求められたものであり、信頼性の高い値となっている。そして、このファンフィルタユニットでは、かかる詳細なデータに基づく変動係数が20%以下と従来に比べその値が小さくなっているため、フィルタ下流側での風速のばらつきをより確実に抑えることが可能である。
【0049】
請求項35に係るファンフィルタユニットは、請求項34のファンフィルタユニットにおいて、変動係数が15%以下である。
このファンフィルタユニットでは、請求項34のファンフィルタユニットよりもさらに変動係数がさらに小さくなっており、フィルタ下流側での風速のばらつきをより有効に抑えることができる。
【0050】
請求項36に係るファンフィルタユニットは、エアフィルタユニットと、ファンユニットとを備えている。エアフィルタユニットは、請求項1から17のいずれかに記載のものである。ファンユニットは、エアフィルタユニットの上流側に装着され、外気を取り込むとともにエアフィルタユニットに外気を送るためのファンを有する。
【0051】
このファンフィルタユニットでは、外部の空気は、ファンフィルタユニット本体により取り込まれた後エアフィルタユニット本体に送られ、エアフィルタユニット本体により除塵され、清浄化された空気となってフィルタ下流側に放出される。
ここでは、例えば、エアフィルタユニット本体の下流側に配置される整流体として、所定の目の大きさを有する網状体を用いているため、フィルタ下流側において十分な整流効果を得ることができる。
【0052】
請求項37に係るファンフィルタユニットは、エアフィルタユニット本体と、ファンユニットと、整流体とを備えている。エアフィルタユニット本体は、外枠体と外枠体の内側に収納されエアフィルタ濾材がプリーツ加工されてなるエアフィルタパックとを有する。ファンユニットは、エアフィルタユニット本体の上流側に装着され、外気を取り込むとともにエアフィルタユニット本体に外気を送るためのファンを有する。整流体は、エアフィルタユニット本体の下流側に取り付けられる請求項18から31のいずれかに記載のものである。
【0053】
ここでも、例えば、整流体として所定の目の大きさを有する網状体を用いているため、フィルタ下流側において十分な整流効果を得ることができる。
請求項38に係るファンフィルタユニットは、ファンフィルタユニット本体と、整流体とを備えている。ファンフィルタユニット本体は、外気を取り込むとともに外気の空気清浄を行って外部に放出する。整流体は、ファンフィルタユニット本体の下流側に取り付けられる請求項18から31のいずれかに記載のものである。
【0054】
ここでも、例えば、整流体として所定の目の大きさを有する網状体を用いているため、フィルタ下流側において十分な整流効果を得ることができる。
請求項39に係る半導体製造装置は、請求項1から17のいずれかに記載のエアフィルタユニットを備えている。
この半導体製造装置では、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑えることが可能なエアフィルタユニットを備えていることから、フィルタ下流側での渦流の発生、塵埃の巻き込み等が抑えられ、ウエハ等の製品に悪影響が及ぶのを回避することができる。
【0055】
請求項40に係る半導体製造装置は、請求項32から38のいずれかに記載のファンフィルタユニットを備えている。
この半導体製造装置では、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑えることが可能なファンフィルタユニットを備えていることから、ここでも、フィルタ下流側での渦流の発生等が抑えられ、ウエハ等に悪影響が及ぶのを回避することができる。
【0056】
請求項41に係るクリーンルームは、請求項1から17のいずれかに記載のエアフィルタユニットが設置されている。
このクリーンルームでは、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑えることが可能なエアフィルタユニットを備えていることから、フィルタ下流側での渦流の発生、塵埃の巻き込み等が抑えられ、製品に悪影響が及ぶのを回避することができる。
【0057】
請求項42に係るクリーンルームは、請求項32から38のいずれかに記載のファンフィルタユニットが設置されている。
この半導体製造装置では、ファンフィルタユニットを備えていることから、ここでも、フィルタ下流側での渦流の発生等が抑えられ、製品に悪影響が及ぶのを回避することができる。
【0058】
【発明の実施の形態】
[エアフィルタユニット]
図1に、本発明の一実施形態が採用されたエアフィルタユニット1を示す。
このエアフィルタユニット1は、空気清浄を行うとともに吹き出される空気の整流を図るものであって、エアフィルタユニット本体3と、網状体11とを備えている。
【0059】
エアフィルタユニット本体3は、空気清浄を行うためのものであって、外枠体5と、エアフィルタパック7とを有している。
外枠体5は、例えば、4本のアルミニウム製フレームから構成されており、これらが矩形状に組み立てられたものである。
エアフィルタパック7は、所定形状に加工されたエアフィルタ濾材8と、エアフィルタ濾材の表面に設けられたスペーサ9とを有している。
【0060】
エアフィルタ濾材8は、空気中の浮遊微粒子を捕集するためのシート状部材であり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)製の延伸多孔膜(以下、PTFE多孔膜)と、PTFE多孔膜の少なくとも片面にラミネートされた通気性支持材とを有するものが用いられる。
この種のエアフィルタ濾材8は、公知の方法により得られる。例えば、PTFE多孔膜は、乳化重合法によって得られたPTFE微粉末(PTFEファインパウダー)に潤滑剤を添加して熟成させたものをペースト押出しし、次いでカレンダー成形によりシート状に形成して得られるPTFEテープを、2軸方向に延伸することにより得られる。通気性支持材には、市販の不織布が用いられる。
【0061】
このように構成されたエアフィルタ濾材8は、PF値が22を超える。なお、PF値は、5.3m/秒の風速でこのエアフィルタ濾材に空気を透過させたときの圧力損失と粒子径0.10〜0.12μm以下のシリカ粒子を用いて測定される捕集効率とを用いて下記式に従って計算される。
[数7]
PF=[−log(透過率(%)/100)/圧力損失(Pa)]×1000
(ここで、透過率(%)=100−捕集効率(%)である。)
また、エアフィルタ濾材8は、本実施形態では、プリーツ加工されている、すなわち、シート状のエアフィルタ濾材8は、一方向にジグザグに交互に折り返されることにより複数の折り目が形成され、全体として波型形状となるよう加工されている。
【0062】
スペーサ9は、プリーツ加工されたエアフィルタ濾材8の隣接する折返し部分の間隔を保持するためのものであり、例えばホットメルト樹脂を材質とする。スペーサ9は、エアフィルタ濾材8の表面に、複数の折り目と直交する方向(プリーツ加工の方向)にひも状またはリボン状に延びて設けられるとともに各折り目が延びる方向に等間隔で複数本設けられている。
【0063】
このように構成されたエアフィルタユニット本体1は、捕集効率が、99.9%以上、より好ましくは99.999%以上である。なお、捕集効率は、1.4cm/秒の風速で前記エアフィルタ濾材に空気を透過させたときの粒子径0.10〜0.20μmのシリカ粒子を用いて測定される。
網状体11は、エアフィルタユニット本体から吹き出る空気の整流を行うためのものであり、エアフィルタパック7の下流側に配置され、外周部がエアフィルタユニット本体1の外枠体に取り付けられている。
【0064】
本実施形態の網状体11は、縦及び横方向に複数配置された線状物が平織されることにより一定の目の大きさを有しているシート状物である。網状体11は、目の大きさが、50メッシュよりも細かいものが好ましく、60メッシュよりも細かいものがより好ましい。一方、網状体11は、目の大きさが、200メッシュよりも粗いものが好ましい。なお、網状体11の目の大きさは、エアフィルタパック7から1mm以上280mm以下の距離だけ下流側に離れて配置される場合は、目の大きさが50メッシュ以上200メッシュ以下のものが好ましく用いられる。
【0065】
また、網状体11は、線状物の間隔が、310μm以下であるものが好ましく、260μm以下であるものがより好ましい。一方、網状体11は、線状物の間隔が、60μm以上であるものが好ましく、70μm以上であるものがより好ましい。さらに、網状体11は、線状物の径が、200μm以下であるものが好ましく、165μm以下であるものがより好ましい。一方、この径は、40μm以上であるものが好ましく、50μm以上であるものがより好ましい。
【0066】
網状体11は、0.5m/秒の風速で空気を流したときの圧力損失が1Pa以上9Pa以下のものが好ましく用いられる。網状体11は、有機材料または無機材料を材質とする。有機材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルが好ましく用いられ、ポリエステルが特に好ましく用いられる。無機材料としては、ステンレス、真鍮、銅が好ましく用いられ、ステンレスが特に好ましく用いられる。
【0067】
このように構成されたエアフィルタユニット1は、エアフィルタパック7を透過する空気の平均風速が0.5m/秒の場合において、エアフィルタパック7の下流側(フィルタ下流側ともいう。)の所定の複数の点で測定した吹き出し風速の平均を用いて下記式に従って計算される変動係数が15%以下、より好ましくは10%以下となっている。
[数8]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
風速群の平均風速の測定は、エアフィルタパック7の隣接する折返し部分の下流側の先端が位置する面(以下、下流側の端面ともいう。)上に仮想的に設けられた60mm四方の単位格子で構成される格子の各格子点からそれぞれ下流側に100mm離れた位置で熱線風速計を用いて行われる。
【0068】
また、このエアフィルタユニット1は、風速群の平均風速についてのより詳細なデータに基づいて求めた場合は、エアフィルタパック7を透過する空気の平均風速が0.5m/秒のときにおいて、フィルタ下流側の所定の複数の点で測定した吹き出し風速の平均を用いて下記式に従って計算される変動係数が20%以下、より好ましくは15%以下となっている。
[数9]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
より詳細な風速群の平均風速の測定は、エアフィルタパック7の下流側の端面上においてエアフィルタ濾材7のプリーツ加工された方向と直交する方向(若しくはエアフィルタ濾材8の各折り目が延びる方向)に10mmごとに位置する複数の仮想的な点からそれぞれ下流側に5mm離れた位置で熱線風速計を用いて行われる。
【0069】
[ファンフィルタユニット]
図2に、本発明の一実施形態が採用されたファンフィルタユニット21を模式的に示す。
このファンフィルタユニット21は、外気を取り込んで空気清浄を行うとともにフィルタ下流側に吹き出される空気の整流を図るためのものであって、エアフィルタユニット25と、ファンユニット22とを備えている。
【0070】
エアフィルタユニット25は、上記実施形態のエアフィルタユニット1と同様のものであり、外枠体23と、エアフィルタパック24とを有している。
ファンユニット22は、図3に示すように、直方体形状の筐体26と、筐体26の内部に設けられたファン27とを有している。
筐体26は、エアフィルタユニット25のエアフィルタパック24が露出する面に対応する形状に開口された底面部28と、ベルマウス30が設けられた上面部29とを有している。底面部28は、エアフィルタユニット25の外枠体23の上流側の面の全周に当接して装着可能であり、これにより、筐体26内の空間は、エアフィルタパック24を介してエアフィルタパック24下流側の空間と連通される。ベルマウス30は、外気を筐体26内に取り込むための開口部であり、上面部29のほぼ中央位置に設けられている。
【0071】
ファン27は、外気を筐体26内に取り入れてエアフィルタパック24を透過させるような空気流を得るためのものであり、ベルマウス30が設けられた位置に対応する筐体26の内側に回転自在に設けられている。
このように構成されたファンフィルタユニット21は、上記実施形態のエアフィルタユニット1と同様、エアフィルタパック24を透過する空気の平均風速が0.5m/秒のときにおいて、フィルタ下流側の所定の複数の点で測定した吹き出し風速の平均を用いて下記式に従って計算される変動係数が15%以下、より好ましくは10%以下となっている。
[数10]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
ここでの風速群の平均風速の測定は、エアフィルタパック24の隣接する折返し部分の下流側の先端が位置する面(下流側の端面)上に仮想的に設けられた60mm四方の単位格子で構成される格子の各格子点からそれぞれ下流側に100mm離れた位置で熱線風速計を用いて行われる。
【0072】
また、このファンフィルタユニット21は、風速群の平均風速についてのより詳細なデータに基づいて求めた場合は、エアフィルタパック24を透過する空気の平均風速が0.5m/秒のときにおいて、フィルタ下流側の所定の複数の点で測定した吹き出し風速の平均を用いて下記式に従って計算される変動係数が20%以下、より好ましくは15%以下となっている。
[数11]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100
より詳細な風速群の平均風速の測定は、エアフィルタパック24の下流側の端面上においてスペーサを横切る方向(若しくはエアフィルタ濾材の折り目が延びる方向)に10mmごとに位置する複数の仮想的な点からそれぞれ下流側に5mm離れた位置で熱線風速計を用いて行われる。
【0073】
[半導体製造装置]
図4に、本発明の一実施形態が採用された半導体製造装置71の概略を示す。
この半導体製造装置71は、ウエハ等の半導体部品を製造するための装置であって、複数の部屋72b〜72fと、ウエハを部屋72b内に搬出するためのロードポート72a(図5参照)とを備えている。各部屋72c〜72fは、ウエハへの塗布作業を行うコータゾーン72gと、塗布作業が行われたウエハを搬送する搬送ゾーン72hと、搬送されたウエハへの現像作業を行うデベロッパゾーン72iとから構成されている。
【0074】
各部屋72b〜72fの天井部分にはファンフィルタユニット73が設置されている。ファンフィルタユニット73は、上記実施形態のファンフィルタユニット21と同様のものであり、ファン76(図5参照)を有するファンユニットと、エアフィルタユニット78(図5参照)とを有している。これらのファンフィルタユニット73は、部屋72cのコータゾーン72gの天井部分から延びるダクト74aを介して空調ユニット74bに連結されている。
【0075】
この半導体製造装置71では、例えば、部屋72cのコータゾーン72gでは、図4の一点鎖線円内に示すように、ファンフィルタユニット73は、ウエハ75a及びウエハ75aが載置されるスピン75bの上方に位置しており、ファンフィルタユニット73から吹き出る空気は、ウエハ75aに吹き付けられるようにして下方に向かって流れる。
【0076】
また、部屋72bでは、図5に示すように、ファンフィルタユニット73のファン76の作動により外気が取り込まれ、取り込まれた空気は、エアフィルタユニット78を透過して、ウエハ75aに吹き付けられるようにして下方に向かって流れる。
[クリーンルーム]
図6に、本発明の一実施形態が採用されたクリーンルーム81の概要を示す。
【0077】
このクリーンルーム81は、半導体その他精密機器用部品を取り扱うための空間であって、2つのメンテナンスゾーン82と、両メンテナンスゾーン82の間に位置するプロセスゾーン83と、各ゾーン82,83の外周側に循環ゾーン84とを備えている。
各メンテナンスゾーン82には、半導体等を取り扱うための装置85が配置されている。
【0078】
プロセスゾーン83の天井部分には複数のファンフィルタユニット86が設置されている。ファンフィルタユニット86は、上記実施形態のファンフィルタユニット21,73と同様のものであり、ファンフィルタユニット本体と、エアフィルタユニットとを備えている。
循環ゾーン84は、各ゾーン82,83から排出される空気を循環させるための領域である。
【0079】
このクリーンルーム81では、例えば、プロセスゾーン83では、ファンフィルタユニット86のファンの作動により循環ゾーン84内を流れる空気がファンフィルタユニット86内に取り込まれ、取り込まれた空気はエアフィルタユニット本体を透過してプロセスゾーン83内に吹き出される。吹き出された空気は、下方に向かって流れ、プロセスゾーン83の床部分に設けられた排出口87から循環ゾーン84内に排出され、再度循環ゾーン84内を循環する。
【0080】
[他の実施形態]
(a)上記実施形態において、網状体は複数組み合わせて用いてもよく、例えば、目の大きさの異なる複数の網状体を重ね合わせて用いることが可能である。
(b)上記実施形態において、エアフィルタユニット本体は、エアフィルタパックを保護するための金属製プレート部材(パンチングプレート)を有してもよい。この場合、パンチングプレートは、エアフィルタパックの下流側を覆うようエアフィルタパックに隣接して外枠体の内側に配置されるとともに、板厚方向に貫通して設けられた多数の貫通孔を有し、エアフィルタパックを透過した空気が下流側に吹き出ることが可能になっている。
【0081】
このようなパンチングプレートは、例えば、エアフィルタユニット本体(エアフィルタユニット及びファンフィルタユニットのいずれのエアフィルタユニット本体である場合も含む。以下、この(b)において同様。)の内側に配置し、エアフィルタユニット本体に取り付けられた整流体の下流側にさらに配置して固定したり、或いは、エアフィルタユニット本体の内側には配置せずに、整流体の下流側に配置して固定したりしてもよい。
【0082】
(c)上記実施形態において、ファンフィルタユニットは、ファンユニット及びエアフィルタユニットから構成されるタイプのものの他に、ファンユニット及びエアフィルタユニット本体から構成されるファンフィルタユニット本体に整流体を取り付けたタイプのもの、或いは、ファンユニット部分及びエアフィルタユニット本体部分が一体に組み立てられてなるファンフィルタユニット本体に整流体を取り付けたタイプのものを用いることが可能である。
【0083】
(d)上記半導体製造装置及びクリーンルームの設計は、上記実施形態のものに限定されない。
(e)上記半導体製造装置及びクリーンルームでは、ファンフィルタユニット73,86に代えてエアフィルタユニットが設置されてもよい。
【0084】
【実施例】
[エアフィルタユニット本体の作製]
ここでは、特開平2001−170461号公報の実施例9に示す方法に従って、外寸が610mm×610mm、奥行きが50mm(フィルタパックの奥行きは40mm)のエアフィルタユニット本体を作成した。なお、このエアフィルタユニット本体の圧力損失は92Paであった。圧力損失の測定は、後述する方法により行った。
【0085】
実施例1
エアフィルタユニット本体の外枠体の下流側の端部に、線径(上記線状物の径)200μm、線間距離(隣接する繊維物の間の距離)308μm、開口率36.8%の50メッシュのポリエステル製網状体をエアフィルタパックの下流側の端面(以下、濾材面ともいう。)と平行になるよう取り付け、得られたエアフィルタユニットの下流側の風速分布を下記▲1▼及び▲2▼の方法により測定した。ここでの濾材面と網状体との距離は5mmであった。
【0086】
同様にして、線径165μm、線間距離258μm、開口率37.2%の60メッシュのポリエステル製網状体、線径130μm、線間距離155μm、開口率29.6%の90メッシュのポリエステル製網状体、線径61μm、線間距離108μm、開口率40.8%の150メッシュのポリエステル製網状体、線径50μm、線間距離77μm、開口率36.8%の200メッシュのポリエステル製網状体をそれぞれエアフィルタユニット本体の外枠体に取り付け、各エアフィルタユニットの風速分布を▲1▼及び▲2▼の方法で測定した。
【0087】
実施例2
実施例1と同様にして、エアフィルタユニット本体の外枠体の下流側の端部に、線径200μm、線間距離308μm、開口率36.8%の50メッシュのポリエステル製網状体を、濾材面と平行になるよう取り付け、得られたエアフィルタユニットの風速分布を▲1▼及び▲2▼の方法で測定した。ここでの濾材面と網状体との距離は32mmであった。
【0088】
比較例1
エアフィルタユニット本体の外枠体の下流側の端部に、線径235μm、線間距離512μm、開口率47.0%の34メッシュのポリエステル製網状体を、濾材面と平行になるよう取り付け、得られたエアフィルタユニットの風速分布を▲1▼及び▲2▼の方法で測定した。ここでの濾材面と網状体との距離は5mmであった。
【0089】
参考例
エアフィルタユニット本体の外枠体の下流側の端部に、直径2mm、3.5mmピッチで千鳥状に複数の孔が設けられたパンチングプレートを、濾材面と平行になるよう取り付け、エアフィルタユニット本体の風速分布を▲2▼の方法で測定した。ここでの濾材面とパンチングプレートとの距離は5mmであった。
【0090】
上記実施例1、実施例2、比較例1及び参考例の整流体の圧力損失及びエアフィルタユニット本体の風速分布のCV値を表1に示す。なお、表1中、初期の欄おいて、整流体が装着されていないエアフィルタユニット本体について測定し場合を示す。
【0091】
【表1】
表1に示すように、参考例のパンチングプレートの場合、それ自身の圧力損失は3Pa程度であるが、ピッチが粗いために整流効果はあまり発揮されていない。一方、比較例1の34メッシュ程度の網状体ではそれ自身の圧力損失が1Pa程度しかなく、また、ピッチも実施例1及び2に比べると粗いため、網状体に衝突した空気流がそのまま透過しやすくなっていると考えられ、整流効果はあまり発揮されていない。
【0092】
これに対し、実施例1及び2のように、50メッシュより細かい網状体を用いると、整流効果が発揮され、整流体を設置しない場合に比べ、風速分布のCV値が▲1▼の測定では約1/4以下、▲2▼の測定では約1/3以下となることが分かった。
以下に、エアフィルタユニット本体に関する諸物性の測定方法を示す。
【0093】
[エアフィルタユニットの圧力損失(Pa)]
図7に示す装置を用い、エアフィルタユニットを装着後エアフィルタ濾材を透過する風速が1.4cm/秒になるように調整し、その時のエアフィルタユニット本体の上流側及び下流側の圧力損失をマノメータで測定した。なお、図7において、31は送風機、32,32’はHEPAフィルタ、34,34’は整流板、36は静圧測定孔、37は供試体エアフィルタユニット、39は層流型流量計をそれぞれ示す。
[整流体の圧力損失(Pa)]
図7に示す装置を用い、上記エアフィルタユニットの圧力損失の測定と同様にして、エアフィルタユニット本体の外枠体に整流体を装着したエアフィルタユニットを装着し、エアフィルタユニットを透過する空気の風速が0.5m/秒のときの圧力損失を測定した。整流体の圧力損失は、エアフィルタユニットの圧力損失からエアフィルタユニット本体単体の圧力損失を減じて算出した。
[整流体の線径、線間距離、開口率]
整流体の線径及び線間距離は、倍率1000倍のマイクロスコープを用いて整流体を撮影したものに基づいて測定した。また、整流体の開口率は、下式により算出した。
[数12]
開口率=(線間距離)2/(線径+線間距離)2×100(%)
[風速分布測定▲1▼]
図8に示す装置を用い、供試体エアフィルタユニットを装着後、エアフィルタユニットを通過する風速が0.5m/秒になるよう調整し、通風した。そして、図9に示すように、エアフィルタユニットの濾材面上で60mm四方の単位格子で構成される仮想的な格子の複数の格子点(濾材面の中心を含む)から下流側に100mm離れた各位置で、熱線風速計(日本カノマックス社製「アネモマスター6021」)を用いて測定した。なお、各測定点での代表風速は、1秒おきに5回測定を行い、その結果を平均風速で表したものである。
【0094】
なお、上記格子において、単位格子の大きさを60mm四方としたのは、エアフィルタ濾材の各折り目の延びる方向の間隔が25.4mmで設けられたスペーサの存在によって風速変動が影響を受けるのを回避すべく、風速測定位置とスペーサの位置との関係をランダムなものとするためである。
図8において、41は送風機、42はHEPAフィルタ、43は整流板、44は制圧測定孔、45は供試体エアフィルタユニット本体、46は熱線式風速計、また、図9において、51は供試体エアフィルタユニット本体、52は風速測定位置を示す。
[風速分布測定▲2▼]
図8に示す装置を用い、供試体エアフィルタユニットを装着後、エアフィルタユニットを通過する風速が0.5m/秒になるよう調整し、通風した。そして、図10に示すように、エアフィルタユニットの濾材面上で濾材面の中心を通りかつエアフィルタ濾材の各折り目が延びる方向に延びる線(以下、中心線)上で10mm間隔で位置する複数の点(濾材面の中心を含む)から下流側に5mm離れた各位置で、上記熱線風速計を用いて測定した。なお、各測定点での代表風速は、1秒おきに5回測定を行い、その結果を平均風速で表したものである。
【0095】
図10において、61は供試体フィルタユニット、62は風速測定位置を示す。
[メッシュ値]
網状体のメッシュの値は、1インチ(25.4mm)の線分の長さを、1つの目の線径及び線間距離の和で除したものとし、下式により求めた。
[数13]
メッシュ値=25.4/(線径+線間距離)(mm)
実施例3
実施例1と同様にして、エアフィルタユニット本体の外枠体の下流側の端部に、線径210μm、線間距離510m、開口率50.2%の35メッシュのステンレス製網状体、線径165μm、線間距離258μm、開口率37.2%の60メッシュのステンレス製網状体、線径130μm、線間距離150μm、開口率28.7%の90メッシュのステンレス製網状体をそれそれエアフィルタユニット本体の外枠体に取り付け、図8の装置において風洞内の空気に代えてファンフィルタユニット本体のファンの動作により生じた空気を直接用いた点を除いて、ファンフィルタユニット本体の下流側の風速分布を、上記▲1▼及び▲2▼と同様にして測定した。このときのファンフィルタユニット本体から風速は0.5m/秒であった。また、ここでのエアフィルタユニット本体の濾材面と網状体との距離は7mmであった。
【0096】
実施例1で作製したエアフィルタユニットを、図3に示すのと同様のファンユニットに装着し、ファンフィルタユニットを得た。
このファンフィルタユニットの風速分布のCV値を表2に示す。なお、表2中、初期の欄において、エアフィルタユニット本体として整流体が装着されていないものについて測定した場合を示す。
【0097】
【表2】
【0098】
【発明の効果】
本発明のエアフィルタユニットでは、下流側の所定の複数の点で測定した風速群についての変動係数が15%以下と従来に比べその値が小さく、下流側における風速のばらつきを抑えることが可能である。したがって、このようなエアフィルタユニットを設置した空間では、フィルタ下流側における風速のばらつきを抑え、渦流の発生、周囲の塵埃の巻き込み等を抑えることができる。
【0099】
本発明の整流体は、エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合に、変動係数を低減させることが可能であるため、エアフィルタユニット本体下流側での風速のばらつきを抑えることができる。
本発明のファンフィルタユニットでは、下流側の所定の複数の点で測定した風速群についての変動係数が15%以下と従来に比べその値が小さく、下流側における風速のばらつきを抑えることが可能である。したがって、このようなファンフィルタユニットを設置した空間では、フィルタ下流側における風速のばらつきを抑え、渦流の発生、塵埃の巻き込み等を抑えることができる。
【0100】
本発明の半導体製造装置では、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑えることが可能なエアフィルタユニットを備えていることから、フィルタ下流側での渦流の発生、塵埃の巻き込み等が抑えられ、ウエハ等の製品に悪影響が及ぶのを回避することができる。
本発明のクリーンルームでは、フィルタ下流側での風速のばらつきを抑えることが可能なエアフィルタユニットを備えていることから、フィルタ下流側での渦流の発生、塵埃の巻き込み等が抑えられ、製品に悪影響が及ぶのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が採用されたエアフィルタユニット本体を模式的に示す縦断面図。
【図2】本発明の一実施形態が採用されたファンフィルタユニットを示す模式図。
【図3】図2のファンフィルタユニットのファンユニットを示す縦断面図。
【図4】本発明の一実施形態が採用された半導体製造装置の概略を示す斜視図。
【図5】前記半導体製造装置の要部縦断面図。
【図6】本発明の一実施形態が採用されたクリーンルームを示す斜視図。
【図7】エアフィルタユニット本体等の圧力損失を測定するための装置を示す模式図。
【図8】エアフィルタユニット本体等の下流側の風速を測定するための装置を示す模式図。
【図9】エアフィルタユニット本体等の濾材面上の格子を示す模式図。
【図10】エアフィルタユニット本体等の濾材面上の中心線を示す模式図。
【符号の説明】
1,22,78 エアフィルタユニット
3 エアフィルタユニット本体
4 パンチングプレート
5 外枠体
7,22 エアフィルタパック
8 エアフィルタ濾材
9 スペーサ
11 網状体
21,73,86 ファンフィルタユニット
25 ファンユニット
27 ファン
71 半導体製造装置
81 クリーンルーム
Claims (42)
- 外枠体と、
前記外枠体の内側に収納され、エアフィルタ濾材がプリーツ加工されてなるエアフィルタパックとを備え、
前記エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、前記エアフィルタパックの下流側の端面上の60mm四方の単位格子で構成される格子の各格子点からそれぞれ下流側に100mm離れた位置における風速群について下記式から算出される変動係数が15%以下である、
エアフィルタユニット。
[数1]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100 - 前記変動係数が10%以下である、請求項1に記載のエアフィルタユニット。
- 外枠体と、
前記外枠体の内側に収納され、エアフィルタ濾材がプリーツ加工されるとともに前記エアフィルタ濾材の表面に前記プリーツ加工される方向に延びるスペーサが設けられてなるエアフィルタパックとを備え、
前記エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、前記エアフィルタパックの下流側の端面上において前記スペーサを横切る方向に10mmごとに位置する複数の点からそれぞれ下流側に5mm離れた位置における風速群について下記式から算出される変動係数が20%以下である、
エアフィルタユニット。
[数2]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100 - 前記変動係数が15%以下である、請求項3に記載のエアフィルタユニット。
- シート状の整流シートを有しかつ前記エアフィルタパックの下流側に配置される整流体をさらに備えた、請求項1から4のいずれかに記載のエアフィルタユニット。
- 前記整流シートは、網状体である、請求項5に記載のエアフィルタユニット。
- 前記網状体の目の大きさは、50メッシュまたは50メッシュよりも細かいメッシュである、請求項6に記載のエアフィルタユニット。
- 前記網状体の目の大きさは、60メッシュまたは60メッシュよりも細かいメッシュである、請求項7に記載のエアフィルタユニット。
- 前記網状体は、前記エアフィルタパックから1mm以上280mm以下の距離だけ下流側に離れて配置される場合において、目の大きさが50メッシュ以上200メッシュ以下である、請求項6から8のいずれかに記載のエアフィルタユニット。
- 前記整流シートは、0.5m/秒の風速で空気を流したときの圧力損失が1Pa以上9Pa以下である、請求項5から9のいずれかに記載のエアフィルタユニット。
- 前記整流シートは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルを含む有機材料、またはステンレス、真鍮、銅を含む金属材料を材質とする、請求項5から10のいずれかに記載のエアフィルタユニット。
- 前記整流シートは、ポリエステルまたはステンレスを材質とする、請求項11に記載のエアフィルタユニット。
- 前記エアフィルタパックは、前記プリーツ加工の方向に延びて表面に設けられたひも状またはリボン状のスペーサを有している、請求項1から12のいずれかに記載のエアフィルタユニット。
- 前記スペーサは、ホットメルト樹脂を材質とする、請求項13に記載のエアフィルタユニット。
- 1.4cm/秒の風速で前記エアフィルタ濾材に空気を透過させたときの粒子径0.10μm以上0.20μmのシリカ粒子を用いて測定される捕集効率が99.9%以上である、請求項1から14のいずれかに記載のエアフィルタユニット。
- 前記捕集効率は99.999%以上である、請求項15に記載のエアフィルタユニット。
- 前記エアフィルタ濾材は、ポリテトラフルオロエチレンからなる多孔膜と、前記多孔膜の少なくとも片面にラミネートされた通気性支持材とを有し、5.3cm/秒の風速でこのエアフィルタ濾材に空気を透過させたときの圧力損失と粒子径0.10μm以上0.12μm以下のシリカ粒子を用いて測定される捕集効率とを用いて下記式に従って計算されるPF値が22を越える、請求項1から16のいずれかに記載のエアフィルタユニット。
[数3]
PF=[−log(透過率(%)/100)/圧力損失(Pa)]×1000
(ここで、透過率(%)=100−捕集効率(%)である。) - 外枠体と前記外枠体の内側に収納されエアフィルタ濾材がプリーツ加工されてなるエアフィルタパックとを有するエアフィルタユニット本体に取り付けられる整流体であって、
前記エアフィルタユニット本体の下流側に配置されるシート状の整流シートを備え、
前記エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合において、前記エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、前記エアフィルタパックの下流側の端面上の60mm四方の単位格子で構成される格子の各格子点からそれぞれ下流側に100mm離れた位置における風速群について下記式に従って算出される変動係数が、前記エアフィルタユニット本体単体の場合の前記風速群についての前記変動係数の1/3以下に低減させる、
整流体。
[数4]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100 - 前記エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合の前記変動係数が、前記エアフィルタユニット本体単体の場合の前記風速群についての前記変動係数の1/4以下に低減させる、請求項18に記載の整流体。
- 外枠体と前記外枠体の内側に収納されエアフィルタ濾材がプリーツ加工されるとともに前記エアフィルタ濾材の表面に前記プリーツ加工される方向に延びるスペーサが設けられてなるエアフィルタパックとを有するエアフィルタユニット本体に取り付けられる整流体であって、
前記エアフィルタユニット本体の下流側に配置されるシート状の整流シートを備え、
前記エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合において、前記エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、前記エアフィルタパックの下流側の端面上において前記スペーサを横切る方向に10mmごとに位置する複数の点からそれぞれ下流側に5mm離れた位置における風速群について下記式から算出される変動係数が、前記エアフィルタユニット本体単体の場合の前記風速群についての前記変動係数の1/3以下に低減させる、
整流体。
[数4]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100 - 前記エアフィルタユニット本体に取り付けられた場合の前記変動係数が、前記エアフィルタユニット本体単体の場合の前記風速群についての前記変動係数の1/4以下に低減させる、請求項20に記載の整流体。
- 前記整流シートは、網状体である、請求項18から21のいずれかに記載の整流体。
- 前記網状体の目の大きさは、50メッシュまたは50メッシュよりも細かいメッシュである、請求項22に記載の整流体。
- 前記網状体の目の大きさは、60メッシュまたは60メッシュよりも細かいメッシュである、請求項23に記載の整流体。
- 前記網状体の目を形成する複数の線状物のうち、実質的に平行に配置されかつ互いに隣接する2本の線状物によって形成される空間の距離が310μm以下である、請求項22に記載の整流体。
- 前記空間の距離が260μm以下である、請求項25に記載の整流体。
- 前記網状体の目を形成する各線状物の径が200μm以下である、請求項22に記載の整流体。
- 前記線状物の径が165μm以下である、請求項27に記載の整流体。
- 0.5m/秒の風速で空気を流したときの圧力損失が1Pa以上9Pa以下である、請求項18から28のいずれかに記載の整流体。
- 前記網状体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルを含む有機材料、またはステンレス、真鍮、銅を含む金属材料を材質とする、請求項18から29のいずれかに記載の整流体。
- 前記網状体は、ポリエステルまたはステンレスを材質とする、請求項30に記載の整流体。
- エアフィルタ濾材がプリーツ加工されてなるエアフィルタパックを有するエアフィルタユニット本体を介して除塵を行うファンフィルタユニットであって、
前記エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、前記エアフィタパックの下流側の端面上の60mm四方の単位格子で構成される格子の各格子点からそれぞれ下流側に100mm離れた位置における風速群について下記式に従って算出される変動係数が15%以下である、
ファンフィルタユニット。
[数5]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100 - 前記変動係数が10%以下である、請求項32に記載のファンフィルタユニット。
- エアフィルタ濾材がプリーツ加工されるとともに前記エアフィルタ濾材の表面に前記プリーツ加工される方向に延びるスペーサが設けられてなるエアフィルタパックを有するエアフィルタユニット本体を介して除塵を行うファンフィルタユニットであって、
前記エアフィルタパックを透過する空気の平均風速が0.5m/秒のとき、前記エアフィルタパックの下流側の端面上において前記スペーサを横切る方向に10mmごとに位置する複数の点から下流側に5mm離れた位置の風速群について下記式に従って計算される変動係数が20%以下である、
ファンフィルタユニット。
[数6]
変動係数(%)=風速の標準偏差/風速群の平均風速(m/秒)×100 - 前記変動係数が15%以下である、請求項34に記載のファンフィルタユニット。
- 請求項1から17のいずれかに記載のエアフィルタユニットと、
前記エアフィルタユニットの上流側に装着され、外気を取り込むとともに前記エアフィルタユニットに前記外気を送るためのファンを有するファンユニットと、
を備えたファンフィルタユニット。 - 外枠体と前記外枠体の内側に収納されエアフィルタ濾材がプリーツ加工されてなるエアフィルタパックとを有するエアフィルタユニット本体と、
前記エアフィルタユニット本体の上流側に装着され、外気を取り込むとともに前記エアフィルタユニット本体に前記外気を送るためのファンを有するファンユニットと、
前記エアフィルタユニット本体の下流側に取り付けられる請求項18から31のいずれかに記載の整流体と、
を備えたファンフィルタユニット。 - 外気を取り込むとともに前記外気の空気清浄を行って外部に放出するファンフィルタユニット本体と、
前記ファンフィルタユニット本体の下流側に取り付けられる請求項18から31のいずれかに記載の整流体と、
を備えたファンフィルタユニット。 - 請求項1から17のいずれかに記載のエアフィルタユニットを備えた半導体製造装置。
- 請求項32から38のいずれかに記載のファンフィルタユニットを備えた半導体製造装置。
- 請求項1から17のいずれかに記載のエアフィルタユニットが設置されたクリーンルーム。
- 請求項32から38のいずれかに記載のファンフィルタユニットが設置されたクリーンルーム。
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JP2002334279A JP2004167324A (ja) | 2002-11-18 | 2002-11-18 | エアフィルタユニット、整流体、ファンフィルタユニット、クリーンルーム、及び半導体製造装置 |
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JP2007160249A (ja) * | 2005-12-15 | 2007-06-28 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | ファンフィルターユニット |
JP2015536232A (ja) * | 2012-10-09 | 2015-12-21 | ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティドW.L. Gore & Associates, Incorporated | 改良されたv−パネルフィルター |
US20210252445A1 (en) * | 2018-06-29 | 2021-08-19 | Nitto Denko Corporation | Air filter unit and air conditioner |
-
2002
- 2002-11-18 JP JP2002334279A patent/JP2004167324A/ja active Pending
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