JP2004166996A - 光触媒ユニット、脱臭装置及び冷蔵庫 - Google Patents
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Abstract
【課題】本願発明は、光触媒担持体と指向性を有する紫外線光源とを用いたとしても、汚れ物質や臭い成分を好適に分解することができる光触媒ユニット、脱臭装置及び冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本実施形態は、紫外線LED2から紫外線が放射される光線距離が最も長くなる位置が、この紫外線LED2が設けられているフィルタ1の外面1a側とは反対側の外面1bと略同等となるように設けられている。これにより、フィルタ1内で光触媒作用である酸化還元力が低下することを抑制することができ、効率のよく汚れ物質や臭い成分の酸化分解を行うことができる。
【選択図】図3
【解決手段】本実施形態は、紫外線LED2から紫外線が放射される光線距離が最も長くなる位置が、この紫外線LED2が設けられているフィルタ1の外面1a側とは反対側の外面1bと略同等となるように設けられている。これにより、フィルタ1内で光触媒作用である酸化還元力が低下することを抑制することができ、効率のよく汚れ物質や臭い成分の酸化分解を行うことができる。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光触媒を用いた光触媒ユニット、脱臭装置及び冷蔵庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
光触媒は、波長400nm以下の紫外線の放射を受けて、その光エネルギーを吸収すると、光触媒作用を呈する半導体に電子とホールとが生成される。電子とホールは、表面にある酸素や水と反応して活性酸素や他の活性なラジカルなどを生じ、有機物からなる汚れ物質や臭い成分を酸化還元して分解するとされている。
【0003】
このため、光触媒は、紫外線を放射する紫外線光源と組合わせることで脱臭装置やホルムアルデヒド、エチレンガス、VOCなどの有害ガスを分解・除去する清浄装置に使用されている。
【0004】
この紫外線光源として従来は低圧水銀蒸気放電ランプが多く用いられているが、冷蔵庫内のように低温雰囲気では水銀蒸気が低くなるため紫外線放射量が非常に少なくなる。また、エアコン内部のような送風空間に上記紫外線光源を設置した場合もランプ温度が低くなり、同様に紫外線放射量が少なくなる。
【0005】
そこで、注目されているのがLED(発光ダイオード)である。このLEDは、低温雰囲気での出力低下がないため、冷蔵庫やエアコンのようにランプ温度が低下しやすい環境で使用しても所定の紫外線出力が得られる。また、低圧水銀蒸気放電ランプのように水銀が封入されていないので、環境に与える影響も少なく、ガラスバルブを使用していないので強度も高く、破損等の問題も生じにくい。
【0006】
したがって、光触媒励起用の紫外線光源に適している紫外線LEDを使用する光触媒ユニットが近年検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
この特許文献1に記載の発明は、波長360〜400nmの範囲の紫外線を放射する紫外線LEDと光触媒担持体とを組合わせる構成が開示されているものである。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−941号公報(第4頁[0029]〜[0048]、図1、図2)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1記載の発明は、単に紫外線LEDと光触媒担持体とを組合わせる構成が開示されているものであって、脱臭機構として好適な効果を得られる具体的構造が開示されているものではない。
【0010】
すなわち、紫外線LEDを単に光触媒担持体の外面に対向させるように設けても、紫外線LEDから放射される紫外線が光触媒担持体を透過しない領域では汚れ物質や臭い成分の酸化還元力が低下することとなる。したがって、このような状態であれば、光触媒作用が充分に作用せず、汚れ物質や臭い成分が完全に分解しきれていない酢酸等の中間生成物を発生してしまう虞があった。
【0011】
なお、この中間生成物は、酢酸等、人体に大きな問題を生じさせないものであれば汚れ物質や臭い成分の酸化還元力が低下するという問題のみを生じさせるが、光触媒反応は複雑な過程を繰返して有機物からなる汚れ物質や臭い成分を分解するので、如何なる過程でどのような性質を有する中間生成物が発生するかは明確ではない。要するに、中間生成物はできるだけ発生させないことが好ましいのである。
【0012】
また、例えばリフレクタ等の反射手段を用いて指向性を高めた紫外線LEDを用いる場合であっても、紫外線LEDから放射された紫外線の殆どが光触媒担持体を透過しないような位置に紫外線LEDを設けていては、上述したような中間生成物が発生してしまう虞があるとともに、光触媒作用を励起させることがない領域が生じるため、殺菌・脱臭の効率が良好でない場合があった。
【0013】
本願発明は、上記に鑑みなされたものであり、光触媒担持体と指向性を有する紫外線光源とを用いたとしても、汚れ物質や臭い成分を好適に分解することができる光触媒ユニット、脱臭装置及び冷蔵庫を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の光触媒ユニットは、多数の通気部が設けられており、光触媒を担持している光触媒担持体と;指向性を有し、少なくとも波長400nm以下の紫外線を含む光を光触媒担持体の一方の外面側に放射する紫外線光源と;を具備する光触媒ユニットにおいて、紫外線光源から紫外線が放射される光線距離が最も長くなる位置は、この紫外線光源が設けられている光触媒担持体の外面側とは反対側の外面と略同等又は反対側の外面を透過するように設けられていることを特徴とする。
【0015】
本請求項および以下の請求項において、特に指定しない限り用語の定義及び技術的意味は以下の説明による。
【0016】
光触媒担持体は、光触媒作用を具備する光触媒を担持するものである。また、光触媒担持体の基体は、専ら光触媒の担持を目的とする部材はもちろんのこと、元来光触媒の担持を目的としない他の機能のために形成される機能材であることを許容する。
【0017】
光触媒は、膜状に形成されているものであってもよいが、光触媒担持体の基体に担持され得るように構成されていればどのような形態であっても許容する。
【0018】
紫外線光源は、指向性を有するものである。すなわち、光源から放射される紫外線を含む光の領域が光学的に定められているものであって、例えば、光源から360度の領域に渡って無制限に光が照射されるようなものではない。
【0019】
また、光線距離とは、紫外線光源から照射される紫外線が到達可能な距離のことである。なお、「到達可能」とはその領域での紫外線透過強度が0.1パーセント以上であることを意味する。
【0020】
請求項1記載の発明は、紫外線光源からの波長400nm以下の紫外線を含む光が光触媒担持体に向けて放射される。そして、このとき、少なくとも紫外線光源から紫外線が放射される光線距離の最も長くなる位置は、この紫外線光源が対向して設けられる光触媒担持体の外面側とは反対側の外面と略同等又は反対側の外面を透過するように設けられていることにより、光触媒担持体内で光触媒作用である酸化還元力が低下することを抑制することができる。
【0021】
請求項2記載の光触媒ユニットは、多数の通気部が設けられており、光触媒を担持している光触媒担持体と;光触媒担持体の外面と対向するように設けられ、かつ、指向性を有し、少なくとも波長400nm以下の紫外線を含む光を放射する紫外線光源と;を具備する光触媒ユニットにおいて、紫外線光源から紫外線が放射される光線距離が最も長くなる位置は、この紫外線光源が対向して設けられる光触媒担持体の外面側とは反対側の外面と略同等又は反対側の外面を透過するように設けられていることを特徴とする。
【0022】
請求項2記載の発明は、紫外線光源からの波長400nm以下の紫外線を含む光が光触媒担持体に向けて放射される。そして、このとき、少なくとも紫外線光源から紫外線が放射される光線距離の最も長くなる位置は、この紫外線光源が設けられている光触媒担持体の外面側とは反対側の外面と略同等又は反対側の外面を透過するように設けられていることにより、光触媒担持体内で光触媒作用である酸化還元力が低下することを抑制することができる。
【0023】
請求項3の光触媒ユニットは請求項1または2いずれか一記載の光触媒ユニットにおいて、紫外線光源の光線距離の最も長くなる位置は、中心光度であることを特徴とする。
【0024】
請求項3の記載の発明は、紫外線光源の光線距離の最も長くなる位置は、中心光度であることにより、紫外線光源の光軸方向を基準として紫外線光源と光触媒担持体との配設関係を設定することができるので、光触媒担持体内で光触媒作用である酸化還元力が低下することを抑制することができる効果が容易に得やすい。
【0025】
請求項4記載の脱臭装置は、この通気手段によって送風された気体と接触するように光触媒担持体が配設された請求項1ないし3いずれか一記載の光触媒ユニットと;を具備していることを特徴とする。
【0026】
脱臭装置としては、エアコンディショナー、空気清浄装置などに収納できる大きさおよび構造にして、これらの機器に配設することにより、脱臭または殺菌手段とすることもできる。
【0027】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3いずれか一記載の発明の作用を備えた脱臭装置を提供することが可能である。
【0028】
請求項5記載の脱臭装置は、請求項4記載の脱臭装置において、光触媒担持体の光触媒は、波長400nm超の可視光でも活性化するように構成されており、紫外線光源は、波長400nm超の可視光をも照射するように構成されていることを特徴とする。
【0029】
請求項5の発明によれば、光触媒が紫外線を含む可視光によって照射されると、その光
触媒は可視光および紫外線を吸収して活性化され、光触媒作用を発揮する。このときの光触媒作用は、波長400nm超の可視光による活性化される光触媒の部分と、波長400nm以下の紫外線による活性化される光触媒の部分とが相互に作用し合って活性化が加算的に行なわれて、一つの光触媒が恰も2つの光触媒体のように作用するために非常に効率的に脱臭・殺菌を行うことができる。
【0030】
請求項6記載の脱臭装置は、請求項4記載の脱臭装置において、光触媒担持体の光触媒は、波長400nm超の可視光の紫外線でも活性化するように構成されており、紫外線光源以外に波長400nm超の可視光を照射する第二光源が設けられていることを特徴とする。
【0031】
請求項6の発明によれば、光触媒が紫外線光源の他に波長400nm超の可視光を照射する第二光源によって照射されると、その光触媒は可視光および紫外線を吸収して活性化され、光触媒作用を発揮する。このときの光触媒作用は、波長400nm超の可視光による活性化される光触媒の部分と、波長400nm以下の紫外線による活性化される光触媒の部分とが相互に作用し合って活性化が加算的に行なわれて、一つの光触媒が恰も2つの光触媒体のように作用するために非常に効率的に脱臭・殺菌を行うことができる。
【0032】
請求項7記載の冷蔵庫は、収納空間を形成するとともに収納空間内の冷気を循環させる循環通気路を有する冷蔵庫本体と;この冷蔵庫本体に配設された冷却手段と;前記収納空間内の冷気が光触媒ユニットに接触するように前記冷蔵庫本体に配設された請求項4ないし6いずれか一記載の脱臭装置と;を具備していることを特徴とする。
【0033】
請求項7記載の発明によれば、請求項4ないし6いずれか一記載の作用を有する冷蔵庫を提供することが可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明に実施の形態を図面を参照して説明する。
【0035】
図1は、本発明の第1実施形態における脱臭装置を示す断面図、図2は、図1の脱臭装置を分解した説明図、図3は図1の要部である光触媒ユニットを示す側面図、図4は図1の紫外線LEDを示した説明図である。各図において、1は光触媒担持体であるフィルタ、2は紫外線光源である紫外線LED、3は紫外線LED支持部材、4は通気手段である吸気ファン、5はケース、9は脱臭装置である。
【0036】
フィルタ1は、発泡させることにより複数の通気路を形成する酸化アルミニウム焼結体であり、外面が面状に形成されているものである。そして、このフィルタ1に例えば、光触媒微粒子を被着させて光触媒膜(図示しない)を形成している。
【0037】
この光触媒膜は、一次粒径20〜30μmのルチル形酸化チタン微粒子の表面に粒径5nmの白金(Pt)を5〜20質量%担持させてなる光触媒微粒子にシリカ系のバインダーを混入して膜厚約0.5〜5.0μmで成膜したものである。
【0038】
例えば、ルチル形酸化チタンは、アナターゼ形酸化チタン(例えば石原産業(株)製ST−01)を大気中800℃の温度で1時間加熱してルチル形とし、白金有機金属錯体のコロイド溶液に粉を入れ、乾燥後550℃で焼成することで得られる。
【0039】
紫外線LED2は、フィルタ1に対して波長360〜410nmの光を放射するように配設されているものである。ここで、紫外線LED2を図4を参照して説明する。図4の(a)は紫外線LED2を示す側面断面図、(b)は紫外線LED2を示す正面図である。
【0040】
本実施形態の紫外線LED2は、Agのメッキ処理が施されている基体21及び筒体22を有し、この筒体22の内部に基板23に実装された発光素子24が設けられている。そして、この発光素子24を包囲し、かつ、基板23とは反対側の径が大きくなるように形成されている反射部であるリフレクタ25が設けられている。なお、このリフレクタ25の反射面25aはAgにより形成されている。さらにまた、発光素子24は、駆動電流が200mA〜700mAとなるように構成されているものであって波長370nm前後の紫外線を照射しても光出力が急激に低下することがないように構成されているものである。
【0041】
また、紫外線LED2は、紫外線LED支持部材3内に直列に2個設けられているものであり、紫外線LED2及び紫外線LED支持部材3を組合わせて紫外線LEDユニット6が設けられている。この紫外線LEDユニット6は、フィルタ1の縁部側1cと対向するように設けられているが、図3に示されているように、紫外線LED2は破線で示した中心光度Bがフィルタ1の外面1aに対して斜め方向から入射されるように設けられている。
【0042】
なお、紫外線LED2は、発光ピーク波長は395nmおよび405nmである、例えば米国クリー(Cree)社製の製品番号MB290−E400等でも使用可能である。このような紫外線LEDは、例えば、Cu等の金属からなる放熱板上にガラスエポキシ基板が凹状に加工し設けられているものであって、ガラスエポキシ基板の放熱板とは反対側の面にAuメッキがされているものである。さらに、このAuメッキの上から光沢Niメッキを施したものであり、Auメッキ及び光沢Niメッキが施されている凹部にAgペーストされた基板を設け、この基板上に発光素子を設けているものである。このような紫外線LEDは、駆動電流10mA〜60mAとなるようなものであるから、紫外線LED支持部材3に複数個直列に2個以上設ければよい。
【0043】
なお、紫外線LED支持部材3は、紫外線の劣化を抑えるために耐候性がよい金属を使用し、特に反射効率の高いアルミ板を用いて形成することが好ましい。
【0044】
またファン4は、横流ファンにより形成されており、ファン4が動作することによって吸入口51から吸気され、排出口52から排出されることとなる。
【0045】
ケース5は、紫外線の劣化を抑えるために耐候性がよい金属を使用し、特に反射効率の高いアルミ板を用いて形成することが好ましく、その一端側に吸入口51、他端側に排出口52を形成するとともに、上述した紫外線LEDユニット6、フィルタ1及びファン4が設けられる通風路53を形成している。
【0046】
ここで本実施形態の紫外線LEDユニット6及びフィルタ1とのユニットである光触媒ユニット7について図3を用いて詳述する。
【0047】
図3に示すように、紫外線LEDユニット6に設けられている紫外線LED2は、高い指向性を有しており、その紫外線を放射する配光特性は実線Aとなっている。
そして、紫外線LED2から放射される紫外線の光線距離が最も長くなる位置である中心光度Bは、紫外線LED2が設けられているフィルタ1の一方の外面1a側とは反対側の外面1bと略同等となるように設けられているものである。
【0048】
本実施形態の脱臭装置9によれば、まず、ファン4が動作すると、吸入口51から有機物からなる汚れ物質や臭い成分を含む空気が吸い込まれ、この空気が通風路53内を流通し、光触媒ユニット7に導入され、光触媒ユニット7のフィルタ1に汚れ物質や臭い成分が付着ないし吸着される。
【0049】
そして、フィルタ1に付着ないし吸着した汚れ物質や臭い成分は、紫外線LEDユニット6の紫外線LED2から放射される少なくとも波長400nm以下の紫外線により、フィルタ1に担持されている光触媒と反応し、酸化還元されて無害物となる。このとき、紫外線LED2の中心光度Bは、紫外線LED2が設けられているフィルタ1の一方の外面1a側とは反対側の外面1bと略同等となっているので、紫外線LED2からフィルター1に放射される紫外線は実線Aとなり、紫外線LED2がフィルター1を放射できる放射可能領域が広範囲かつ、フィルター1の幅方向(外面1aから外面1bへ向かう方向)一杯に放射できる範囲を広くすることができる。
【0050】
本実施形態によれば、紫外線LED2から紫外線が放射される光線距離が最も長くなる位置は、この紫外線LED2が設けられているフィルタ1の外面1a側とは反対側の外面1bと略同等となるように設けられているので、フィルタ1内で光触媒作用である酸化還元力が低下することを抑制することができ、効率のよく汚れ物質や臭い成分の酸化分解を行うことができる。
【0051】
また、紫外線LED2の光線距離の最も長くなる位置を中心光度Bとしたことで、紫外線LED2の光軸方向を基準として紫外線LED2とフィルタ1との配設関係を設定することができるので、フィルタ1の光触媒作用である酸化還元力の低下を容易に抑制しやすくなる。
【0052】
なお、図3に示すように、紫外線LEDユニット6に設けられている紫外線LED2から放射される紫外線の光線距離が最も長くなる位置である中心光度B’が、フィルタ1の一方の外面1b側を透過する位置に設けられていてもよい。このように設けると、その紫外線を放射する配光特性は点線A’となり、フィルター1の幅方向(外面1aから外面1bへ向かう方向)一杯に放射できる範囲をより広くすることができ、効率のよく汚れ物質や臭い成分の酸化分解を行うことができる。
【0053】
また、本実施形態のように紫外線LEDユニット7がフィルタ1の上下縁部1c、1cにのみ設けられるような構成であれば、中心光度B、Bはフィルタ1の外面1bの略中央付近となるように、中心光度B’、B’は各々の中心光度が交差するように設けられることでより効率的な光触媒作用を得ることができる。
【0054】
次に本発明の第二実施形態を図面を参照して説明する。
【0055】
図5は第二実施形態の要部である光触媒ユニットを示す側面図であり、第一実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0056】
紫外線LEDユニット6’は、フィルター1の外面1aと対向するように設けられているる。そして、図5に示されているように、紫外線LED2は中心光度Bがフィルター1の外面1aに対して略垂直に交差するように設けられている。
【0057】
そして、紫外線LED2から放射される紫外線の光線距離が最も長くなる位置である中心光度Bは、紫外線LED2が設けられているフィルタ1の一方の外面1a側とは反対側の外面1bと略同等となるように設けられているものである。
【0058】
本実施形態によれば、第一実施形態と同様の作用効果を有する。
【0059】
なお、第一実施形態と第二実施形態とを適宜組合わせることは可能である。要するに、図6に示したように、フィルタ1の縁部1c、1cに紫外線LEDユニット6、フィルタ1の外面1aと対向するように1個または複数の紫外線LEDユニット6’を適宜設けることができる。このように設けると、フィルタ1に紫外線LED2からの紫外線がより満遍なく放射されるとともに、フィルタ1の外面1b側へも紫外線が効率よく放射されることとなり、光触媒ユニットで中間性生物を生じることが抑制され、かつ、最も効率的な形態となる。
【0060】
さらにまた、図7に示したように、1個の紫外線LED2をフィルタ1の角部1dと対向するように設けることでもよい。このように設けた場合には、中心光度Bはフィルタ1の外面1bの中心部1eと底部1fとの間であって、外面1bと同等又は外面1bを透過する位置に設ければ効率のよく汚れ物質や臭い成分の酸化分解を行うことができる。なお、図7の(a)は要部である光触媒ユニットを示す正面図であり、(b)は要部である光触媒ユニットを示す側面図である。
【0061】
次に第三実施形態について図面を参照して説明する。
【0062】
図8は第三実施形態の要部である光触媒ユニットを示す側面図、図9は図8の光触媒ユニットの可視光LEDを示す断面図であり、第一、二実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0063】
フィルター10は、発泡させることにより複数の通気路を形成する酸化アルミニウムの焼結体であり、外面が面状に形成されているものである。このフィルタ10の表面に例えば、第1の光触媒(図示しない)及び第2の光触媒(図示しない)が混合している。
【0064】
なお、第1の光触媒は、主として波長400nm超の可視光により活性化される特性を有していて、平均粒径70nmのルチル形酸化チタン微粒子の表面に平均粒径1.5nmのPt超微粒子が約600個担持されて構成されている。第1の光触媒の光触媒に対する混合率は、50質量%である。これに対して、第2の光触媒は、主として波長400nm以下の紫外光により活性化される特性を有していて、平均粒径20nmのアナタ−ゼ形酸化チタン微粒子からなる。
【0065】
そして、これら第1の光触媒及び第2の光触媒はSiO2からなる結着剤等により、第1の光触媒及び第2の光触媒の各微粒子間ならびに光触媒および担持体(酸化アルミニウムの焼結体)の間を相互に結着している。要するに、光触媒微粒子をシリカ系のバインダーによって被着させて光触媒膜(図示しない)を形成しているものである。
【0066】
可視光LED2’は、図9に示すように、例えば紫外線LED2を用いたものであり、透光開口26に設けられたガラス27の内面に蛍光体層28が塗布されているものである。この蛍光体層28は、3波長発光形蛍光体からなり、例えば、青色発光用がBaMgAl16O27:Eu、緑色発光用がLaPO4:Ce、Tb、赤色発光用がY2O3:Eu等で構成されている。そして、この可視光LED2’を紫外線LED支持部材3へ設けて可視光LEDユニット6’’を形成する。
【0067】
本実施形態によれば、第一、二実施形態の効果を具備するとともに、フィルター1の光触媒が、波長400nm超の可視光及び波長400nm以下の紫外線で活性化するように構成されており、かつ、可視光LED2’には、蛍光体層28が設けられることで長400nm超の可視光をも照射するように構成されているので、例えば、本実施形態の光触媒ユニット71を図9に示したように、冷蔵庫8の本体内81へ設けることで、庫内照明と脱臭作用とを光触媒ユニット71兼用させることができる。
【0068】
なお、本実施形態は紫外線LED2に蛍光体層28を設けた可視光LED2’を用いたが、例えば、紫外線LEDが波長400nm超をも放射するような特性を有していれば、蛍光体層28を特別設けなくてもよく、このような場合及び本実施形態の場合において、光触媒作用は、波長400nm超の可視光による活性化される第1の光触媒、及び波長400nm以下の紫外線による活性化される第2の光触媒の部分とが相互に作用し合って活性化が加算的に行なわれて、一つの光触媒が恰も2つの光触媒体のように作用するために非常に効率的に脱臭・殺菌を行うことができるものである。
【0069】
次に第四実施形態について図面を参照して説明する。
【0070】
図11は第四実施形態の要部である光触媒ユニットを示す側面図であり、第一、二実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0071】
本実施形態の光触媒ユニット72は、フィルタ10、紫外線LED2及び波長400nm超の可視光を照射する第二光源である可視光LED2’が設けられているものである。
【0072】
本実施形態によれば、第一、二実施形態の効果を具備するとともに、フィルタ10の光触媒が、波長400nm超の可視光及び波長400nm以下の紫外線で活性化するように構成されており、かつ、紫外線LED2以外に波長400nm超の可視光を照射する可視光LED2’が設けられているので、例えば、本実施形態の光触媒ユニット72を図9に示した冷蔵庫8の本体内81へ設けることで、庫内照明と脱臭作用とを光触媒ユニット72で兼用させることができる。
【0073】
なお、可視光LED2’が冷蔵庫8の前面側に設けられることで、庫内照明として最適な配置になる。
【0074】
【発明の効果】
請求項1、2記載の発明によれば、少なくとも紫外線光源から紫外線が放射される光線距離の最も長くなる位置は、この紫外線光源が対向して設けられる光触媒担持体の外面側とは反対側の外面と略同等又は反対側の外面を透過するように設けられていることにより、光触媒担持体内で光触媒作用である酸化還元力が低下することを抑制することができる。
【0075】
請求項3の記載の発明によれば、紫外線光源の光線距離の最も長くなる位置は、中心光度であることにより、紫外線光源の光軸方向を基準として紫外線光源と光触媒担持体との配設関係を設定することができるので、光触媒担持体内で光触媒作用である酸化還元力が低下することを抑制することができる効果が容易に得やすくすることができる。
【0076】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3いずれか一記載の発明の作用を備えた脱臭装置を提供することが可能である。
【0077】
請求項5の発明によれば、光触媒が紫外線を含む可視光によって照射されると、その光触媒は可視光および紫外線を吸収して活性化され、光触媒作用を発揮する。このときの光触媒作用は、波長400nm超の可視光による活性化される光触媒の部分と、波長400nm以下の紫外線による活性化される光触媒の部分とが相互に作用し合って活性化が加算的に行なわれて、一つの光触媒が恰も2つの光触媒体のように作用するために非常に効率的に脱臭・殺菌を行うことができる。
【0078】
請求項6の発明によれば、光触媒が紫外線光源の他に波長400nm超の可視光を照射する第二光源によって照射されると、その光触媒は可視光および紫外線を吸収して活性化され、光触媒作用を発揮する。このときの光触媒作用は、波長400nm超の可視光による活性化される光触媒の部分と、波長400nm以下の紫外線による活性化される光触媒の部分とが相互に作用し合って活性化が加算的に行なわれて、一つの光触媒が恰も2つの光触媒体のように作用するために非常に効率的に脱臭・殺菌を行うことができる。
【0079】
請求項7記載の発明によれば、請求項4ないし6いずれか一記載の作用を有する冷蔵庫を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における脱臭装置を示す断面図
【図2】図1の脱臭装置を分解した説明図
【図3】図1の要部である光触媒ユニットを示す側面図
【図4】図1の紫外線LEDを示した説明図
【図5】本発明の第二実施形態の要部である光触媒ユニットを示す側面図
【図6】光触媒ユニットの一形態を示す側面図
【図7】光触媒ユニットの一形態を示す説明図
【図8】第三実施形態の要部である光触媒ユニットを示す側面図
【図9】図7の光触媒ユニットの可視光LEDを示す断面図
【図10】本発明の冷蔵庫をしめす概略説明図
【図11】第四実施形態の要部である光触媒ユニットを示す側面図
【符号の説明】
1・・・フィルタ、2・・・紫外線LED、4・・・ファン、7・・・光触媒ユニット、9・・・脱臭装置、B・・・中心光度
【発明の属する技術分野】
本発明は、光触媒を用いた光触媒ユニット、脱臭装置及び冷蔵庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
光触媒は、波長400nm以下の紫外線の放射を受けて、その光エネルギーを吸収すると、光触媒作用を呈する半導体に電子とホールとが生成される。電子とホールは、表面にある酸素や水と反応して活性酸素や他の活性なラジカルなどを生じ、有機物からなる汚れ物質や臭い成分を酸化還元して分解するとされている。
【0003】
このため、光触媒は、紫外線を放射する紫外線光源と組合わせることで脱臭装置やホルムアルデヒド、エチレンガス、VOCなどの有害ガスを分解・除去する清浄装置に使用されている。
【0004】
この紫外線光源として従来は低圧水銀蒸気放電ランプが多く用いられているが、冷蔵庫内のように低温雰囲気では水銀蒸気が低くなるため紫外線放射量が非常に少なくなる。また、エアコン内部のような送風空間に上記紫外線光源を設置した場合もランプ温度が低くなり、同様に紫外線放射量が少なくなる。
【0005】
そこで、注目されているのがLED(発光ダイオード)である。このLEDは、低温雰囲気での出力低下がないため、冷蔵庫やエアコンのようにランプ温度が低下しやすい環境で使用しても所定の紫外線出力が得られる。また、低圧水銀蒸気放電ランプのように水銀が封入されていないので、環境に与える影響も少なく、ガラスバルブを使用していないので強度も高く、破損等の問題も生じにくい。
【0006】
したがって、光触媒励起用の紫外線光源に適している紫外線LEDを使用する光触媒ユニットが近年検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
この特許文献1に記載の発明は、波長360〜400nmの範囲の紫外線を放射する紫外線LEDと光触媒担持体とを組合わせる構成が開示されているものである。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−941号公報(第4頁[0029]〜[0048]、図1、図2)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1記載の発明は、単に紫外線LEDと光触媒担持体とを組合わせる構成が開示されているものであって、脱臭機構として好適な効果を得られる具体的構造が開示されているものではない。
【0010】
すなわち、紫外線LEDを単に光触媒担持体の外面に対向させるように設けても、紫外線LEDから放射される紫外線が光触媒担持体を透過しない領域では汚れ物質や臭い成分の酸化還元力が低下することとなる。したがって、このような状態であれば、光触媒作用が充分に作用せず、汚れ物質や臭い成分が完全に分解しきれていない酢酸等の中間生成物を発生してしまう虞があった。
【0011】
なお、この中間生成物は、酢酸等、人体に大きな問題を生じさせないものであれば汚れ物質や臭い成分の酸化還元力が低下するという問題のみを生じさせるが、光触媒反応は複雑な過程を繰返して有機物からなる汚れ物質や臭い成分を分解するので、如何なる過程でどのような性質を有する中間生成物が発生するかは明確ではない。要するに、中間生成物はできるだけ発生させないことが好ましいのである。
【0012】
また、例えばリフレクタ等の反射手段を用いて指向性を高めた紫外線LEDを用いる場合であっても、紫外線LEDから放射された紫外線の殆どが光触媒担持体を透過しないような位置に紫外線LEDを設けていては、上述したような中間生成物が発生してしまう虞があるとともに、光触媒作用を励起させることがない領域が生じるため、殺菌・脱臭の効率が良好でない場合があった。
【0013】
本願発明は、上記に鑑みなされたものであり、光触媒担持体と指向性を有する紫外線光源とを用いたとしても、汚れ物質や臭い成分を好適に分解することができる光触媒ユニット、脱臭装置及び冷蔵庫を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の光触媒ユニットは、多数の通気部が設けられており、光触媒を担持している光触媒担持体と;指向性を有し、少なくとも波長400nm以下の紫外線を含む光を光触媒担持体の一方の外面側に放射する紫外線光源と;を具備する光触媒ユニットにおいて、紫外線光源から紫外線が放射される光線距離が最も長くなる位置は、この紫外線光源が設けられている光触媒担持体の外面側とは反対側の外面と略同等又は反対側の外面を透過するように設けられていることを特徴とする。
【0015】
本請求項および以下の請求項において、特に指定しない限り用語の定義及び技術的意味は以下の説明による。
【0016】
光触媒担持体は、光触媒作用を具備する光触媒を担持するものである。また、光触媒担持体の基体は、専ら光触媒の担持を目的とする部材はもちろんのこと、元来光触媒の担持を目的としない他の機能のために形成される機能材であることを許容する。
【0017】
光触媒は、膜状に形成されているものであってもよいが、光触媒担持体の基体に担持され得るように構成されていればどのような形態であっても許容する。
【0018】
紫外線光源は、指向性を有するものである。すなわち、光源から放射される紫外線を含む光の領域が光学的に定められているものであって、例えば、光源から360度の領域に渡って無制限に光が照射されるようなものではない。
【0019】
また、光線距離とは、紫外線光源から照射される紫外線が到達可能な距離のことである。なお、「到達可能」とはその領域での紫外線透過強度が0.1パーセント以上であることを意味する。
【0020】
請求項1記載の発明は、紫外線光源からの波長400nm以下の紫外線を含む光が光触媒担持体に向けて放射される。そして、このとき、少なくとも紫外線光源から紫外線が放射される光線距離の最も長くなる位置は、この紫外線光源が対向して設けられる光触媒担持体の外面側とは反対側の外面と略同等又は反対側の外面を透過するように設けられていることにより、光触媒担持体内で光触媒作用である酸化還元力が低下することを抑制することができる。
【0021】
請求項2記載の光触媒ユニットは、多数の通気部が設けられており、光触媒を担持している光触媒担持体と;光触媒担持体の外面と対向するように設けられ、かつ、指向性を有し、少なくとも波長400nm以下の紫外線を含む光を放射する紫外線光源と;を具備する光触媒ユニットにおいて、紫外線光源から紫外線が放射される光線距離が最も長くなる位置は、この紫外線光源が対向して設けられる光触媒担持体の外面側とは反対側の外面と略同等又は反対側の外面を透過するように設けられていることを特徴とする。
【0022】
請求項2記載の発明は、紫外線光源からの波長400nm以下の紫外線を含む光が光触媒担持体に向けて放射される。そして、このとき、少なくとも紫外線光源から紫外線が放射される光線距離の最も長くなる位置は、この紫外線光源が設けられている光触媒担持体の外面側とは反対側の外面と略同等又は反対側の外面を透過するように設けられていることにより、光触媒担持体内で光触媒作用である酸化還元力が低下することを抑制することができる。
【0023】
請求項3の光触媒ユニットは請求項1または2いずれか一記載の光触媒ユニットにおいて、紫外線光源の光線距離の最も長くなる位置は、中心光度であることを特徴とする。
【0024】
請求項3の記載の発明は、紫外線光源の光線距離の最も長くなる位置は、中心光度であることにより、紫外線光源の光軸方向を基準として紫外線光源と光触媒担持体との配設関係を設定することができるので、光触媒担持体内で光触媒作用である酸化還元力が低下することを抑制することができる効果が容易に得やすい。
【0025】
請求項4記載の脱臭装置は、この通気手段によって送風された気体と接触するように光触媒担持体が配設された請求項1ないし3いずれか一記載の光触媒ユニットと;を具備していることを特徴とする。
【0026】
脱臭装置としては、エアコンディショナー、空気清浄装置などに収納できる大きさおよび構造にして、これらの機器に配設することにより、脱臭または殺菌手段とすることもできる。
【0027】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3いずれか一記載の発明の作用を備えた脱臭装置を提供することが可能である。
【0028】
請求項5記載の脱臭装置は、請求項4記載の脱臭装置において、光触媒担持体の光触媒は、波長400nm超の可視光でも活性化するように構成されており、紫外線光源は、波長400nm超の可視光をも照射するように構成されていることを特徴とする。
【0029】
請求項5の発明によれば、光触媒が紫外線を含む可視光によって照射されると、その光
触媒は可視光および紫外線を吸収して活性化され、光触媒作用を発揮する。このときの光触媒作用は、波長400nm超の可視光による活性化される光触媒の部分と、波長400nm以下の紫外線による活性化される光触媒の部分とが相互に作用し合って活性化が加算的に行なわれて、一つの光触媒が恰も2つの光触媒体のように作用するために非常に効率的に脱臭・殺菌を行うことができる。
【0030】
請求項6記載の脱臭装置は、請求項4記載の脱臭装置において、光触媒担持体の光触媒は、波長400nm超の可視光の紫外線でも活性化するように構成されており、紫外線光源以外に波長400nm超の可視光を照射する第二光源が設けられていることを特徴とする。
【0031】
請求項6の発明によれば、光触媒が紫外線光源の他に波長400nm超の可視光を照射する第二光源によって照射されると、その光触媒は可視光および紫外線を吸収して活性化され、光触媒作用を発揮する。このときの光触媒作用は、波長400nm超の可視光による活性化される光触媒の部分と、波長400nm以下の紫外線による活性化される光触媒の部分とが相互に作用し合って活性化が加算的に行なわれて、一つの光触媒が恰も2つの光触媒体のように作用するために非常に効率的に脱臭・殺菌を行うことができる。
【0032】
請求項7記載の冷蔵庫は、収納空間を形成するとともに収納空間内の冷気を循環させる循環通気路を有する冷蔵庫本体と;この冷蔵庫本体に配設された冷却手段と;前記収納空間内の冷気が光触媒ユニットに接触するように前記冷蔵庫本体に配設された請求項4ないし6いずれか一記載の脱臭装置と;を具備していることを特徴とする。
【0033】
請求項7記載の発明によれば、請求項4ないし6いずれか一記載の作用を有する冷蔵庫を提供することが可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明に実施の形態を図面を参照して説明する。
【0035】
図1は、本発明の第1実施形態における脱臭装置を示す断面図、図2は、図1の脱臭装置を分解した説明図、図3は図1の要部である光触媒ユニットを示す側面図、図4は図1の紫外線LEDを示した説明図である。各図において、1は光触媒担持体であるフィルタ、2は紫外線光源である紫外線LED、3は紫外線LED支持部材、4は通気手段である吸気ファン、5はケース、9は脱臭装置である。
【0036】
フィルタ1は、発泡させることにより複数の通気路を形成する酸化アルミニウム焼結体であり、外面が面状に形成されているものである。そして、このフィルタ1に例えば、光触媒微粒子を被着させて光触媒膜(図示しない)を形成している。
【0037】
この光触媒膜は、一次粒径20〜30μmのルチル形酸化チタン微粒子の表面に粒径5nmの白金(Pt)を5〜20質量%担持させてなる光触媒微粒子にシリカ系のバインダーを混入して膜厚約0.5〜5.0μmで成膜したものである。
【0038】
例えば、ルチル形酸化チタンは、アナターゼ形酸化チタン(例えば石原産業(株)製ST−01)を大気中800℃の温度で1時間加熱してルチル形とし、白金有機金属錯体のコロイド溶液に粉を入れ、乾燥後550℃で焼成することで得られる。
【0039】
紫外線LED2は、フィルタ1に対して波長360〜410nmの光を放射するように配設されているものである。ここで、紫外線LED2を図4を参照して説明する。図4の(a)は紫外線LED2を示す側面断面図、(b)は紫外線LED2を示す正面図である。
【0040】
本実施形態の紫外線LED2は、Agのメッキ処理が施されている基体21及び筒体22を有し、この筒体22の内部に基板23に実装された発光素子24が設けられている。そして、この発光素子24を包囲し、かつ、基板23とは反対側の径が大きくなるように形成されている反射部であるリフレクタ25が設けられている。なお、このリフレクタ25の反射面25aはAgにより形成されている。さらにまた、発光素子24は、駆動電流が200mA〜700mAとなるように構成されているものであって波長370nm前後の紫外線を照射しても光出力が急激に低下することがないように構成されているものである。
【0041】
また、紫外線LED2は、紫外線LED支持部材3内に直列に2個設けられているものであり、紫外線LED2及び紫外線LED支持部材3を組合わせて紫外線LEDユニット6が設けられている。この紫外線LEDユニット6は、フィルタ1の縁部側1cと対向するように設けられているが、図3に示されているように、紫外線LED2は破線で示した中心光度Bがフィルタ1の外面1aに対して斜め方向から入射されるように設けられている。
【0042】
なお、紫外線LED2は、発光ピーク波長は395nmおよび405nmである、例えば米国クリー(Cree)社製の製品番号MB290−E400等でも使用可能である。このような紫外線LEDは、例えば、Cu等の金属からなる放熱板上にガラスエポキシ基板が凹状に加工し設けられているものであって、ガラスエポキシ基板の放熱板とは反対側の面にAuメッキがされているものである。さらに、このAuメッキの上から光沢Niメッキを施したものであり、Auメッキ及び光沢Niメッキが施されている凹部にAgペーストされた基板を設け、この基板上に発光素子を設けているものである。このような紫外線LEDは、駆動電流10mA〜60mAとなるようなものであるから、紫外線LED支持部材3に複数個直列に2個以上設ければよい。
【0043】
なお、紫外線LED支持部材3は、紫外線の劣化を抑えるために耐候性がよい金属を使用し、特に反射効率の高いアルミ板を用いて形成することが好ましい。
【0044】
またファン4は、横流ファンにより形成されており、ファン4が動作することによって吸入口51から吸気され、排出口52から排出されることとなる。
【0045】
ケース5は、紫外線の劣化を抑えるために耐候性がよい金属を使用し、特に反射効率の高いアルミ板を用いて形成することが好ましく、その一端側に吸入口51、他端側に排出口52を形成するとともに、上述した紫外線LEDユニット6、フィルタ1及びファン4が設けられる通風路53を形成している。
【0046】
ここで本実施形態の紫外線LEDユニット6及びフィルタ1とのユニットである光触媒ユニット7について図3を用いて詳述する。
【0047】
図3に示すように、紫外線LEDユニット6に設けられている紫外線LED2は、高い指向性を有しており、その紫外線を放射する配光特性は実線Aとなっている。
そして、紫外線LED2から放射される紫外線の光線距離が最も長くなる位置である中心光度Bは、紫外線LED2が設けられているフィルタ1の一方の外面1a側とは反対側の外面1bと略同等となるように設けられているものである。
【0048】
本実施形態の脱臭装置9によれば、まず、ファン4が動作すると、吸入口51から有機物からなる汚れ物質や臭い成分を含む空気が吸い込まれ、この空気が通風路53内を流通し、光触媒ユニット7に導入され、光触媒ユニット7のフィルタ1に汚れ物質や臭い成分が付着ないし吸着される。
【0049】
そして、フィルタ1に付着ないし吸着した汚れ物質や臭い成分は、紫外線LEDユニット6の紫外線LED2から放射される少なくとも波長400nm以下の紫外線により、フィルタ1に担持されている光触媒と反応し、酸化還元されて無害物となる。このとき、紫外線LED2の中心光度Bは、紫外線LED2が設けられているフィルタ1の一方の外面1a側とは反対側の外面1bと略同等となっているので、紫外線LED2からフィルター1に放射される紫外線は実線Aとなり、紫外線LED2がフィルター1を放射できる放射可能領域が広範囲かつ、フィルター1の幅方向(外面1aから外面1bへ向かう方向)一杯に放射できる範囲を広くすることができる。
【0050】
本実施形態によれば、紫外線LED2から紫外線が放射される光線距離が最も長くなる位置は、この紫外線LED2が設けられているフィルタ1の外面1a側とは反対側の外面1bと略同等となるように設けられているので、フィルタ1内で光触媒作用である酸化還元力が低下することを抑制することができ、効率のよく汚れ物質や臭い成分の酸化分解を行うことができる。
【0051】
また、紫外線LED2の光線距離の最も長くなる位置を中心光度Bとしたことで、紫外線LED2の光軸方向を基準として紫外線LED2とフィルタ1との配設関係を設定することができるので、フィルタ1の光触媒作用である酸化還元力の低下を容易に抑制しやすくなる。
【0052】
なお、図3に示すように、紫外線LEDユニット6に設けられている紫外線LED2から放射される紫外線の光線距離が最も長くなる位置である中心光度B’が、フィルタ1の一方の外面1b側を透過する位置に設けられていてもよい。このように設けると、その紫外線を放射する配光特性は点線A’となり、フィルター1の幅方向(外面1aから外面1bへ向かう方向)一杯に放射できる範囲をより広くすることができ、効率のよく汚れ物質や臭い成分の酸化分解を行うことができる。
【0053】
また、本実施形態のように紫外線LEDユニット7がフィルタ1の上下縁部1c、1cにのみ設けられるような構成であれば、中心光度B、Bはフィルタ1の外面1bの略中央付近となるように、中心光度B’、B’は各々の中心光度が交差するように設けられることでより効率的な光触媒作用を得ることができる。
【0054】
次に本発明の第二実施形態を図面を参照して説明する。
【0055】
図5は第二実施形態の要部である光触媒ユニットを示す側面図であり、第一実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0056】
紫外線LEDユニット6’は、フィルター1の外面1aと対向するように設けられているる。そして、図5に示されているように、紫外線LED2は中心光度Bがフィルター1の外面1aに対して略垂直に交差するように設けられている。
【0057】
そして、紫外線LED2から放射される紫外線の光線距離が最も長くなる位置である中心光度Bは、紫外線LED2が設けられているフィルタ1の一方の外面1a側とは反対側の外面1bと略同等となるように設けられているものである。
【0058】
本実施形態によれば、第一実施形態と同様の作用効果を有する。
【0059】
なお、第一実施形態と第二実施形態とを適宜組合わせることは可能である。要するに、図6に示したように、フィルタ1の縁部1c、1cに紫外線LEDユニット6、フィルタ1の外面1aと対向するように1個または複数の紫外線LEDユニット6’を適宜設けることができる。このように設けると、フィルタ1に紫外線LED2からの紫外線がより満遍なく放射されるとともに、フィルタ1の外面1b側へも紫外線が効率よく放射されることとなり、光触媒ユニットで中間性生物を生じることが抑制され、かつ、最も効率的な形態となる。
【0060】
さらにまた、図7に示したように、1個の紫外線LED2をフィルタ1の角部1dと対向するように設けることでもよい。このように設けた場合には、中心光度Bはフィルタ1の外面1bの中心部1eと底部1fとの間であって、外面1bと同等又は外面1bを透過する位置に設ければ効率のよく汚れ物質や臭い成分の酸化分解を行うことができる。なお、図7の(a)は要部である光触媒ユニットを示す正面図であり、(b)は要部である光触媒ユニットを示す側面図である。
【0061】
次に第三実施形態について図面を参照して説明する。
【0062】
図8は第三実施形態の要部である光触媒ユニットを示す側面図、図9は図8の光触媒ユニットの可視光LEDを示す断面図であり、第一、二実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0063】
フィルター10は、発泡させることにより複数の通気路を形成する酸化アルミニウムの焼結体であり、外面が面状に形成されているものである。このフィルタ10の表面に例えば、第1の光触媒(図示しない)及び第2の光触媒(図示しない)が混合している。
【0064】
なお、第1の光触媒は、主として波長400nm超の可視光により活性化される特性を有していて、平均粒径70nmのルチル形酸化チタン微粒子の表面に平均粒径1.5nmのPt超微粒子が約600個担持されて構成されている。第1の光触媒の光触媒に対する混合率は、50質量%である。これに対して、第2の光触媒は、主として波長400nm以下の紫外光により活性化される特性を有していて、平均粒径20nmのアナタ−ゼ形酸化チタン微粒子からなる。
【0065】
そして、これら第1の光触媒及び第2の光触媒はSiO2からなる結着剤等により、第1の光触媒及び第2の光触媒の各微粒子間ならびに光触媒および担持体(酸化アルミニウムの焼結体)の間を相互に結着している。要するに、光触媒微粒子をシリカ系のバインダーによって被着させて光触媒膜(図示しない)を形成しているものである。
【0066】
可視光LED2’は、図9に示すように、例えば紫外線LED2を用いたものであり、透光開口26に設けられたガラス27の内面に蛍光体層28が塗布されているものである。この蛍光体層28は、3波長発光形蛍光体からなり、例えば、青色発光用がBaMgAl16O27:Eu、緑色発光用がLaPO4:Ce、Tb、赤色発光用がY2O3:Eu等で構成されている。そして、この可視光LED2’を紫外線LED支持部材3へ設けて可視光LEDユニット6’’を形成する。
【0067】
本実施形態によれば、第一、二実施形態の効果を具備するとともに、フィルター1の光触媒が、波長400nm超の可視光及び波長400nm以下の紫外線で活性化するように構成されており、かつ、可視光LED2’には、蛍光体層28が設けられることで長400nm超の可視光をも照射するように構成されているので、例えば、本実施形態の光触媒ユニット71を図9に示したように、冷蔵庫8の本体内81へ設けることで、庫内照明と脱臭作用とを光触媒ユニット71兼用させることができる。
【0068】
なお、本実施形態は紫外線LED2に蛍光体層28を設けた可視光LED2’を用いたが、例えば、紫外線LEDが波長400nm超をも放射するような特性を有していれば、蛍光体層28を特別設けなくてもよく、このような場合及び本実施形態の場合において、光触媒作用は、波長400nm超の可視光による活性化される第1の光触媒、及び波長400nm以下の紫外線による活性化される第2の光触媒の部分とが相互に作用し合って活性化が加算的に行なわれて、一つの光触媒が恰も2つの光触媒体のように作用するために非常に効率的に脱臭・殺菌を行うことができるものである。
【0069】
次に第四実施形態について図面を参照して説明する。
【0070】
図11は第四実施形態の要部である光触媒ユニットを示す側面図であり、第一、二実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0071】
本実施形態の光触媒ユニット72は、フィルタ10、紫外線LED2及び波長400nm超の可視光を照射する第二光源である可視光LED2’が設けられているものである。
【0072】
本実施形態によれば、第一、二実施形態の効果を具備するとともに、フィルタ10の光触媒が、波長400nm超の可視光及び波長400nm以下の紫外線で活性化するように構成されており、かつ、紫外線LED2以外に波長400nm超の可視光を照射する可視光LED2’が設けられているので、例えば、本実施形態の光触媒ユニット72を図9に示した冷蔵庫8の本体内81へ設けることで、庫内照明と脱臭作用とを光触媒ユニット72で兼用させることができる。
【0073】
なお、可視光LED2’が冷蔵庫8の前面側に設けられることで、庫内照明として最適な配置になる。
【0074】
【発明の効果】
請求項1、2記載の発明によれば、少なくとも紫外線光源から紫外線が放射される光線距離の最も長くなる位置は、この紫外線光源が対向して設けられる光触媒担持体の外面側とは反対側の外面と略同等又は反対側の外面を透過するように設けられていることにより、光触媒担持体内で光触媒作用である酸化還元力が低下することを抑制することができる。
【0075】
請求項3の記載の発明によれば、紫外線光源の光線距離の最も長くなる位置は、中心光度であることにより、紫外線光源の光軸方向を基準として紫外線光源と光触媒担持体との配設関係を設定することができるので、光触媒担持体内で光触媒作用である酸化還元力が低下することを抑制することができる効果が容易に得やすくすることができる。
【0076】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3いずれか一記載の発明の作用を備えた脱臭装置を提供することが可能である。
【0077】
請求項5の発明によれば、光触媒が紫外線を含む可視光によって照射されると、その光触媒は可視光および紫外線を吸収して活性化され、光触媒作用を発揮する。このときの光触媒作用は、波長400nm超の可視光による活性化される光触媒の部分と、波長400nm以下の紫外線による活性化される光触媒の部分とが相互に作用し合って活性化が加算的に行なわれて、一つの光触媒が恰も2つの光触媒体のように作用するために非常に効率的に脱臭・殺菌を行うことができる。
【0078】
請求項6の発明によれば、光触媒が紫外線光源の他に波長400nm超の可視光を照射する第二光源によって照射されると、その光触媒は可視光および紫外線を吸収して活性化され、光触媒作用を発揮する。このときの光触媒作用は、波長400nm超の可視光による活性化される光触媒の部分と、波長400nm以下の紫外線による活性化される光触媒の部分とが相互に作用し合って活性化が加算的に行なわれて、一つの光触媒が恰も2つの光触媒体のように作用するために非常に効率的に脱臭・殺菌を行うことができる。
【0079】
請求項7記載の発明によれば、請求項4ないし6いずれか一記載の作用を有する冷蔵庫を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における脱臭装置を示す断面図
【図2】図1の脱臭装置を分解した説明図
【図3】図1の要部である光触媒ユニットを示す側面図
【図4】図1の紫外線LEDを示した説明図
【図5】本発明の第二実施形態の要部である光触媒ユニットを示す側面図
【図6】光触媒ユニットの一形態を示す側面図
【図7】光触媒ユニットの一形態を示す説明図
【図8】第三実施形態の要部である光触媒ユニットを示す側面図
【図9】図7の光触媒ユニットの可視光LEDを示す断面図
【図10】本発明の冷蔵庫をしめす概略説明図
【図11】第四実施形態の要部である光触媒ユニットを示す側面図
【符号の説明】
1・・・フィルタ、2・・・紫外線LED、4・・・ファン、7・・・光触媒ユニット、9・・・脱臭装置、B・・・中心光度
Claims (7)
- 多数の通気部が設けられており、光触媒を担持している光触媒担持体と;
指向性を有し、少なくとも波長400nm以下の紫外線を含む光を光触媒担持体の一方の外面側に放射する紫外線光源と;
を具備する光触媒ユニットにおいて、
紫外線光源から紫外線が放射される光線距離が最も長くなる位置は、この紫外線光源が設けられている光触媒担持体の外面側とは反対側の外面と略同等又は反対側の外面を透過するように設けられていることを特徴とする光触媒ユニット。 - 多数の通気部が設けられており、光触媒を担持している光触媒担持体と;
光触媒担持体の外面と対向するように設けられ、かつ、指向性を有し、少なくとも波長400nm以下の紫外線を含む光を放射する紫外線光源と;
を具備する光触媒ユニットにおいて、
紫外線光源から紫外線が放射される光線距離が最も長くなる位置は、この紫外線光源が対向して設けられる光触媒担持体の外面側とは反対側の外面と略同等又は反対側の外面を透過するように設けられていることを特徴とする光触媒ユニット。 - 紫外線光源の光線距離の最も長くなる位置は、中心光度であることを特徴とする請求項1または2いずれか一記載の光触媒ユニット。
- 通気手段と;
この通気手段によって送風された気体と接触するように光触媒担持体が配設された請求項1ないし3いずれか一記載の光触媒ユニットと;
を具備していることを特徴とする脱臭装置。 - 光触媒担持体の光触媒は、波長400nm超の可視光でも活性化するように構成されており、紫外線光源は、波長400nm超の可視光をも照射するように構成されていることを特徴とする請求項4記載の脱臭装置。
- 光触媒担持体の光触媒は、波長400nm超の可視光でも活性化するように構成されており、紫外線光源以外に波長400nm超の可視光を照射する第二光源が設けられていることを特徴とする請求項4記載の脱臭装置。
- 収納空間を形成するとともに収納空間内の冷気を循環させる循環通気路を有する冷蔵庫本体と;
この冷蔵庫本体に配設された冷却手段と;
前記収納空間内の冷気が光触媒ユニットに接触するように前記冷蔵庫本体に配設された請求項4ないし6いずれか一記載の脱臭装置と;
を具備していることを特徴とする冷蔵庫。
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