JP2004166711A - ピチア・パストリスにおけるヒト血清アルブミンの発現 - Google Patents

ピチア・パストリスにおけるヒト血清アルブミンの発現 Download PDF

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Abstract

【目的】
高水準のヒト血清アルブミン(HSA)を産生する菌株を提供する。
【構成】
a)その3'末端が下記b)にオペラブルに連結された、ピチア・パストリスAOX1の5'側調節領域およびピチア・パストリスDAS1の5'側調節領域からなる群から選択される、5'末端および3'末端を有するピチア・パストリス5'側調節領域;
b)下記c)にオペラブルに連結された、5'末端および3'末端を含む、HSAシグナル配列および成熟HSA蛋白質をコードするHSA構造遺伝子であって、上記5'側調節領域の3’末端の11を超えないデオキシリボヌクレオチドを介してATG開始コドンを有するHSA構造遺伝子;および
c)適切な3'側ターミネーション配列;
を含む、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)におけるHSA生産のための発現カセット。
【選択図】 なし

Description

発明の詳細な説明
発明の分野
本発明は組換えDNAバイオテクノロジーの分野に関するものである。1観点においては本発明はピチア・パストリス(Pichia pastoris)におけるヒト血清アルブミン(HSA)の発現法に関するものである。
背景
ヒト血清アルブミンは成人の最も豊富な血漿蛋白質である。アルブミンの濃度は40mg/ml、すなわち70Kgの成人男子につき人体を循環するアルブミンは160gである。この蛋白質は浸透圧を維持し、銅、ニッケル、カルシウム(弱く、結合部位2−3個)、ビリルビンおよびプロトポルフィリン、長鎖脂肪酸、プロスタグランジン、ステロイドホルモン(これらのホルモンと弱く結合して、膜を通るそれらの伝達を促進する)、チロキシン、トリヨードチロニン、クリスチンおよびグルタチオンの結合および輸送において機能する。ピーターおよびリード(Peter,T.,Reed,R.G.),Albumin:Structure,Biosynthesis and Function,(ピーターおよびショルム(Peter,T.,Sjoholm,J.)編)1977,p.11−20によれば、米国内だけで年間10,000kg以上の精製アルブミンが循環不全またはアルブミン欠乏を伴う患者に投与されている。
現在唯一の商業的HSA源は分画血液からのものである。血液由来の汚染物質および病原体の危険性がありうることを考慮すると、HSA調製のための別法を開発することは商業的HSA製造に著しく寄与すると思われる。組換えDNA法の出現により現在ではHSAを別法により製造することができる。
HSAはエッチェベリー(Etcheverry)ら,Bio/technology,1986年8月,p.726およびアージャム・シン(Arjum Singh)の欧州特許出願公開第123,544号明細書に示されるように、ビール酵母菌(Saccharomyces cerevisiae)においても発現される。エッチェベリーは濃度約6mg/lの細胞内HSA発現、および細胞会合状態のHSAの存在につき示している。ハヤスケらもビール酵母菌においてGAL 1プロモーターおよびシグナル配列と合わせたHSA発現につき示している。ハヤスケらは分泌産生水準160mg/lを達成し得たと思われる。欧州特許出願公開第344,459号明細書に示されるように、HSAはピチア・パストリスにおいて細胞内または細胞会合蛋白質としても発現している。酵母細胞、たとえばビール酵母菌およびピチア・パストリスにおけるHSAの発現はHSAの安全な代替供給源を提供するための重要な工程であるが、細胞内または細胞会合蛋白質としてのHSA発現は望ましくない。細胞内または細胞会合HSAを採取および精製するためには、経費および時間のかかる手段が必要である。さらに、収率を改善し、製造原価を低下させるためには、高水準のHSA分泌を達成することが有利であろう。
従って高水準のHSAを分泌する酵母菌株を提供することは、当技術分野に著しく寄与すると思われる。
採取および精製の容易な様式でHSAを産生する方法を開発することも、当技術分野に著しく寄与すると思われる。
従って本発明の目的は、高水準のHSAを産生する菌株を提供することである。
さらに本発明の目的は、採取および精製の容易な様式でHSAを産生する方法を提供することである。
本発明の他の目的および利点は、本明細書の記載から当業者に明らかになるであろう。
発明の要約
本発明によれば、ピチア・パストリスにおいてHSAを産生させるための下記よりなる改良された発現カセットが見出された:
(a)ピチア・パストリスAOX1調節領域およびピチア・パストリスDAS1調節領域よりなる群から選ばれる、5′末端および3′末端を有するピチア・パストリス5′側調節領域;該調節領域の3′末端が下記にオペラブル結合:
(b)シグナル配列および成熟蛋白質をコードし、5′末端および3′末端を有するHSA構造遺伝子であって、HSA構造遺伝子が該HSA構造遺伝子の5′末端の約11個を越えないデオキシリボヌクレオチドを介してATG開始コドンを有するもの;下記にオペラブル結合:
(c)3′側ターミネーション配列。
本発明によれば、ピチア・パストリスにおいてHSAを産生させるための下記よりなる改良された発現カセットで形質転換されたピチア・パストリス株も見出された:
(a)ピチア・パストリスAOX1調節領域およびピチア・パストリスDAS1調節領域よりなる群から選ばれる、5′末端および3′末端を有するピチア・パストリス5′側調節領域;該調節領域の3′末端が下記にオペラブル結合:
(b)シグナル配列および成熟蛋白質をコードし、5′末端および3′末端を有するHSA構造遺伝子であって、HSA構造遺伝子が該HSA構造遺伝子の5′末端の約11個を越えないデオキシリボヌクレオチドを介してATG開始コドンを有するもの;下記にオペラブル結合:
(c)3′側ターミネーション配列。
本発明の他の形態においては、形質転換されたピチア・パストリス細胞からHSAを分泌するための下記よりなる方法も見出された:
(a)下記よりなる発現カセット少なくとも1個を含むベクター少なくとも1種類によりピチア・パストリスを形質転換し:
i)ピチア・パストリスAOX1調節領域およびピチア・パストリスDAS1調節領域よりなる群から選ばれる、5′末端および3′末端を有するピチア・パストリス5′側調節領域;該調節領域の3′末端が下記にオペラブル結合:
ii)シグナル配列および成熟蛋白質をコードし、5′末端および3′末端を有するHSA構造遺伝子であって、HSA構造遺伝子が該HSA構造遺伝子の5′末端の約11個を越えないデオキシリボヌクレオチドを介してATG開始コドンを有するもの;下記にオペラブル結合:
iii)3′側ターミネーション配列;
次いで
b)得られた形質転換したピチア・パストリスをHSAの分泌に適した条件下で培養する。
詳細な説明
本発明は、HSAを産生させるための改良された発現カセット、改良されたベクター、ならびにこれらの改良された発現カセットおよびベクターにより形質転換されたピチア・パストリス株を提供する。
本発明によれば、発酵ブロスのリットル当たり真正HSA約1−3.4gのHSA分泌水準が得られ、さらにHSA15−88μg/蛋白質mgが細胞分泌経路内に存在していた。従って本発明は高水準のHSA分泌手段を提供する。1−3.4g/lの水準では高純度のHSAを高収率で採取することができるので、このHSA産生水準が達成されたことは先行技術による産生水準より著しい前進である。
HSA構造遺伝子を発現するためには遺伝子は5′側調節領域および3′側ターミネーション配列にオペラブル結合していなければならず、これが宿主(通常は微生物)内へベクター(たとえば環状のプラスミドまたは線状の部位特異性インテグラティブベクター)により挿入される発現カセットを形成する。ここで用いるオペラブル結合とは、5′側調節領域、構造遺伝子、および3′側ターミネーション配列がそれらの正常な機能を果たしうる状態で結合および構成された並置状態を意味する。ここで用いる5′側調節領域またはプロモーターとは、種々の刺激に反応して、高い割合のmRNA転写をもたらすDNA配列を意味する。3′側ターミネーション配列は構造遺伝子の終止コドンに対して3′側の配列であり、これはこの配列がオペラブル結合している遺伝子のmRNA転写産物を安定化する機能をもつ(たとえばポリアデニル化の引き金となる配列)。本発明を実施するためには、構造遺伝子のATGが可能な限り少ない介在デオキシリボヌクレオチドにより、好ましくは約11個以下のデオキシリボヌクレオチド、極めて好ましくは約8個以下のデオキシリボヌクレオチドにより、5′側調節領域の3′末端に結合することが好ましい。介在デオキシリボヌクレオチドのアデニンおよびチミン含量が約55−約64%であることも好ましい。さらに、ある特定の位置についてはヌクレオチド優位性があると思われる。構造遺伝子のATGコドンから左へ数えて左側の最初の位置を−1位とすると、アデニンまたはシトシンが極めて好ましいデオキシリボヌクレオチドであり、−2位において極めて好ましいデオキシリボヌクレオチドはアデニンまたはチミンであり、−3位において極めて好ましいデオキシリボヌクレオチドはアデニンまたはチミンであり、−4位において極めて好ましいヌクレオチドはアデニン、チミンまたはシトシンである。現在では図3および4の制限地図をもつAOX1もしくはDAS1 5′側調節領域、またはそれぞれSEQ ID No;1およびSEQ ID No;2がそれらの配列の3′末端においてHSA構造遺伝子のATG開始コドンに結合していることが好ましい。AOX1 5′側調節領域の適切な結合の1例を下記に示す:
ATG開始コドンの
AOX1に関する 前に介在する
構造表示 5′側調節領域の末端 デオキシリボヌクレオチド
pHSA140 5′-TTCGAAACG 5′-AGGAATTC
pHSA413、 5′-TTCGAAACG 5′-無
pHSA313
数種類の5′側調節領域が解明され、これらをピチア・パストリスにおいてHSAの発現に関連して用いることができる。5′側調節領域の例は、ピチア・パストリス由来の第一アルコールオキシダーゼ(AOX1)、ジヒドロキシアセトンシンターゼ(DAS1)およびp40調節領域などである。本発明の実施に際して用いられる現在好ましい5′側調節領域は、それらがメタノール含有培地に反応しうることを特色とするもの、たとえばAOX1およびDAS1よりなる群から選ばれる調節領域である。これらはD.W.ストローマンらにより米国特許第4,855,231号明細書に記載されており、これをここに参考として引用する。本発明の実施に際して用いられる極めて好ましい5′側調節領域はAOX1 5′側調節領域である。
前記の発現カセット中に3′側ターミネーション配列を使用すべきである。3′側ターミネーション配列は遺伝子にオペラブル結合している場合、構造遺伝子によりコードされるメッセンジャーRNAを終結させ、ポリアデニル化し、および/または安定化する機能をもつが、特定の3′側ターミネーション配列が本発明の実施に際して重要であるとは思われない。本発明の実施に際して用いられる3′側ターミネーション配列の具体的供給源の数例にはハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)およびピチア・パストリスの3′側ターミネーション配列が含まれるが、これらに限定されない。好ましいものはピチア・パストリス由来のもの、たとえばAOX1遺伝子、DAS1遺伝子、p40遺伝子およびHIS4遺伝子の3′側ターミネーション配列よりなる群から選ばれるものである。特に好ましいものはAOX1遺伝子の3′側ターミネーション配列である。
ピチア・パストリスは種々のHSA構造遺伝子により形質転換することができる(ここで述べる本発明による形質転換体において、HSA構造遺伝子はシグナル配列および成熟HSA蛋白質の双方をコードする)。HSA構造遺伝子はローン(Lawn)ら,Nuc.Acids Res.9:6105(1981)およびドゥガイチク(Dugaiczyk)ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:71(1982)により配列決定された。これらの遺伝子はローンらおよびドゥガイチクらの方法による遺伝子の再単離によっても得られ、またはインビトロで一般の遺伝子製造業者、たとえばブリティッシュ・バイオテクノロジー社により合成される。HSA遺伝子を得るための可能な1方法は、ヒト肝臓cDNAライブラリーをオリゴヌクレオチドプローブによりスクリーニングするか、またはヒト肝臓cDNA発現ライブラリーを抗−HSA抗血清によりスクリーニングして、HSAを発現するヒト肝臓cDNAを同定することである。適切なHSA構造遺伝子の一例は、SEQ ID NO:3に提示される。HSAに対する構造遺伝子が採取されると、その遺伝子をさらに調整する必要がある。HSA構造遺伝子を単離したのち、その遺伝子を適切なピチア・パストリスベクター、たとえばプラスミドまたは線状の部位特異性インテグラティブベクターに挿入する。
プラスミド型ベクターは長年、組換えDNA法に用いられる基本的要素の1つであった。プラスミドは微生物に見られる環状の染色体外2本鎖DNAである。プラスミドは細胞当たり単一または多重コピーで生じることが認められている。プラスミドDNAに含まれるものはプラスミド再生に必要な情報、すなわち自動複製配列、たとえばジェームス・M.クレグにより米国特許4,837,148第号明細書(1989年6月6日発行)に示されたものであり、これをここに参考として引用する。クレグにより示された自動複製配列は、ピチア・パストリスにおいてプラスミドを維持するのに適した手段である。さらに、形質転換した細胞においてプラスミドの遺伝表現型を選択するための1または2以上の手段もプラスミドにおいてコードされる情報に含まれる。
本発明の実施に際して用いられる適切なインテグラティブベクターは、ジェームス・M.クレグにより米国特許4,882,279第号明細書(1989年11月21日発行)に示された線状の部位特異性インテグラティブベクターであり、これをここに参考として引用する。これらのベクターは少なくとも1)第1挿入性DNAフラグメント;2)選択性マーカー遺伝子;および3)第2挿入性DNAフラグメントの順次整列した配列からなる。異種構造遺伝子を含む発現カセットが、このベクターの第1挿入性DNAフラグメントと第2挿入性DNAフラグメントの間に、マーカー遺伝子の前または後において挿入される。あるいは構造遺伝子がオペラブル結合しうる挿入性フラグメントの1つに調節領域すなわちプロモーターが含まれる場合、発現カセットをインサイチューで形成することができる。
第1および第2挿入性DNAフラグメントはそれぞれ少なくとも約200ヌクレオチドの長さであり、形質転換される種のゲノムDNAの部分と相同なヌクレオチド配列をもつ。インテグラティブベクターの種々の成分は、発現カセットおよび選択性マーカー遺伝子が第1挿入性DNAフラグメントの3′末端と第2挿入性DNAフラグメントの5′末端の間に配置された状態で、順次整列して線状のDNAフラグメントを形成する。第1および第2挿入性DNAフラグメントは順次整列した線状フラグメント中において、それらが母体ゲノム中で配向しているものに従って互いに配向する。
第1および第2挿入性DNAフラグメントとして有用なヌクレオチド配列は、ゲノム修飾が起こるべき天然ゲノム部位の別個の部分と相同のヌクレオチド配列である。たとえばゲノム修飾がアルコールオキシダーゼ遺伝子の座で起こるべきである場合、用いられる第1および第2挿入性DNAフラグメントはアルコールオキシダーゼ遺伝子の座の別個の部分と相同である。第1および第2挿入性DNAフラグメントとして使用しうるヌクレオチド配列の例は、ピチア・パストリスアルコールオキシダーゼ(AOX1)遺伝子、ジヒドロキシアセトンシンターゼ(DAS1)遺伝子、p40遺伝子およびHIS4遺伝子よりなる群から選ばれるデオキシリボヌクレオチド配列である。AOX1遺伝子、DAS1遺伝子、p40遺伝子およびHIS4遺伝子は米国特許第4,855,231および4,885,242号明細書に記載されており、両者をここに参考として引用する。DAS1という表示は米国特許第4,855,231および4,885,242号明細書において最初に用いられたDASという表示と等しい。
第1挿入性DNAフラグメントは発現カセットに用いられる調節領域からなるオペラブル調節領域を含むことができる。第1挿入性DNAフラグメントを発現カセットの調節領域として用いることは、本発明の好ましい形態である。図1は第1挿入性DNAフラグメントをカセットの調節領域として用いたベクターの図を提示する。図1に示すように、所望により挿入部位1または2以上、および3′側ターミネーション配列を第1挿入性DNAフラグメントの3′側に直接に配置することができる。この線状の部位特異性インテグラティブベクターの配置は、適合性3′側ターミネーション配列を別個に付加する必要なしに構造遺伝子を挿入するために用意された部位を提供するという付加的な利点をもつ。
第1挿入性DNAフラグメントが調節領域を含まない場合、オペラブル発現カセットを提供するためには適切な調節領域を構造遺伝子に結合した状態で挿入する必要がある。また挿入部位に発現カセットを完成する3′側ターミネーション配列が供給されていない場合、3′側ターミネーション配列を構造遺伝子の3′末端にオペラブル結合させることができる。
宿主株を形質転換するために用いられるDNA中に少なくとも1個の選択性マーカー遺伝子が含まれることも極めて望ましい。これにより、形質転換用DNAを取り込んだ微生物の選択および単離が容易になる。マーカー遺伝子は形質転換生物に宿主がもたなかった表現型上の特徴を与える。たとえば形質転換されていない宿主株が特定のアミノ酸生合成経路を欠如している場合、その特定のアミノ酸を産生する能力を回復させ、または抗生物質などに対する耐性を与える。選択性マーカー遺伝子の例は、ピチア・パストリスおよびビール酵母からのHIS4遺伝子(米国特許第4,885,242号明細書に記載)およびARG4遺伝子(米国特許第4,818,700号明細書に記載されており、ここに参考として引用する)、ビール酵母からのインベルターゼ遺伝子(SUC2)(米国特許第4,857,467号明細書に記載されており、ここに参考として引用する)、または大腸菌(E.coli)のトランスポジション可能な要素Tn601もしくはTn903からのG418R/カナマイシン耐性遺伝子よりなる群から選ばれる。
本発明の実施に際して用いられるベクターに付加的なDNA配列、たとえば細菌性プラスミドDNA、バクテリオファージDNAなどをも取り込ませうることは当業者に自明である。これらの配列は細菌性宿主においてこれらのベクターを増幅および維持しうるものである。
適切なベクター中へのHSA構造遺伝子の挿入は、選ばれたベクターを適切な1または2以上の部位で開裂し、そしてHSA構造遺伝子を含む少なくとも1個のオペラブル発現カセットをベクター中に存在させる適切な方法により行うことができる。HSA構造遺伝子のリゲーションはいずれか適切なリゲーション法により、たとえばT4 DNAリガーゼを用いて行うことができる。
HSA構造遺伝子およびベクターのリゲーション混合物の初期選択、増殖、および所望により増幅は、好ましくは混合物を細菌性宿主、たとえば大腸菌中へ形質転換することにより行われる(リゲーション混合物を宿主酵母中へ直接に形質転換することもできるが、形質転換率が極めて低い)。大腸菌に関する適切な形質転換法は当技術分野で周知である。さらに、選択マーカー、および細菌性宿主におけるベクターの維持に必要な細菌性複製開始点も当技術分野で周知である。発現系内にHSA構造遺伝子を含む目的のプラスミドの単離および/または精製は、宿主DNAからプラスミドDNAを分離するためのいずれか適切な手段により行うことができる。同様に、リゲーションにより形成されたベクターを、好ましくは増殖後に試験して、HSA遺伝子の存在、ならびに調節領域および 3′側ターミネーション配列へのそれのオペラブル結合を立証することができる。これはエンドヌクレアーゼ消化、ゲル電気泳動またはサザーンハイブリダイゼーションを含めた種々の方法により行うことができるが、これらに限定されない。
宿主酵母中へのプラスミドまたは線状ベクターの形質転換は下記により教示されるものを含めた適切な形質転換法により行うことができるが、これらに限定されない:クレグおよびバリンガー,米国特許第4,929,555号明細書;ヒネン(Hnnen)ら,Proc.Natl.Acad.Sci.75(1978)1929;イトー(Ito)ら,J.Bacteriol.153(1983)163;クレグ(Cregg)ら,Mol.Cell Biol.5(1985),p.3376;D.W.ストローマンら,米国特許第4,879,231号明細書(1989年11月7日発行);またはスリークリシュナ(Sreekrishna)ら,Gene,59(1987),p.115。本発明を実施するために好ましいものはクレグら(1985)の方法である。本発明を実施するためには、線状ベクターを用い、サザーンハイブリダイゼーションにより挿入配列を選択することが望ましい。
形質転換に用いる宿主酵母はいずれか適切なメチロトロフィック(methylotrophic)酵母であってもよい。適切なメチロトロフィック酵母にはハンセヌラ属およびピチア属よりなる群から選ばれる、メタノール上で増殖しうる酵母が含まれるが、これらに限定されない。この群の酵母の例である特定の種のリストはアンソニー(C.Anthony),The Biochemistry of Methylotrophs,269(1982)に見られる。現在好ましいものは下記のピチア属メチロトロフィック酵母である:たとえば栄養要求性ピチア・パストリスGS115(NRRL Y−15851);ピチア・パストリスGS190(NRRL Y−18014)、米国特許第4,818,700号明細書に記載;ピチア・パストリスPPF1(NRRL Y−18017)、米国特許第4,812,405号明細書に記載。栄養要求性ピチア・パストリス株はそれらの選択の容易さにおいても本発明の実施に有利である。野生型ピチア・パストリス株(たとえばNRRL Y−11430およびNRRL Y−11431)も、適切な形質転換マーカー遺伝子を選ぶならば、たとえばSUC2を用いてピチア・パストリスを蔗糖上で増殖しうる株に形質転換するか、または抗生物質耐性マーカー、たとえばG418に対する耐性マーカーを用いる場合、同様に有効に採用しうる。
形質転換したピチア・パストリス細胞はそれ以前は栄養要求性であった細胞を形質転換後に、要求される(細胞の栄養要求性のため)生化学的物質の不在下で培養し、新たな表現型(″メタノールスロー″)を選択および検出する方法、または形質転換体に含まれる耐性遺伝子の不在下では酵母にとって有毒である抗生物質の存在下で培養する方法を含めた適宜な方法により選択することができるが、これらに限定されない。
単離した形質転換ピチア・パストリス細胞は適宜な発酵法、たとえば振盪フラスコ発酵法、高密度発酵法、またはクレグ(Cregg)ら,メチロトロフィック酵母、ピチア・パストリスにおける肝炎B表面抗原の高水準発現および効果的アセンブリー 5 Bio/Technology 479(1987)に示される方法により培養される。単離体はHSA産生をアッセイして、最大HSA産生水準をもつ単離体を同定することによりスクリーニングすることができる。
目的とする表現型および遺伝子型をもつ形質転換した菌株を発酵槽中で増殖させる。メチロトロフィック酵母における組換えDNA系産生物の大規模製造のためには、普通は3段階の高細胞密度バッチ発酵システムが、用いられる好ましい発酵プロトコールである。第1、すなわち増殖段階においては、過剰の非誘導性炭素源(たとえばグリセリン)を含む特定の最少培地中で発現宿主を培養する。これらの炭素源上で増殖させた場合、異種遺伝子の発現は完全に抑制され、これにより異種蛋白質の発現なしに細胞マスを生成しうる。現在ではこの増殖期間中、培地のpHを約5に維持することが好ましい。次いで短期間の非誘導性炭素源限界増殖により細胞マスをさらに増加させ、メタノール応答性プロモーターを抑制する。この限界増殖期間中の培地のpHは産生期間中に維持すべきpH値に調整され、一般にpH約5−約6、好ましくはpH約5.0またはpH約5.8で実施される。限界条件下での増殖期間ののち、メタノール単独(ここでは以下″限界メタノール供給バッチ方式″と呼ぶ)、または限界量の非誘導性炭素源およびメタノール(ここでは以下″混合供給材料供給バッチ方式″と呼ぶ)を発酵槽に添加し、メタノール応答性プロモーターにより駆動された異種遺伝子の発現を誘導する。この第3段階はいわゆる産生段階である。
本発明を以下の実施例においてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例に関する一般情報:
菌株
ピチア・パストリスGS115(his4)NRRL Y−15851
大腸菌JM103デルタ(lac pro)thi rpsl(strA)supE endA sbcB hsdR
大腸菌K12 MC1061 NRR1−18016(F-,araD139デルタ(lac 1POZY)x74galk galu hsr hsm(+)rpsLデルタ(araABOIC leu)7697
大腸菌DG75′(hsd1leu6lacYthr−1supE44tonA21lambda -
緩衝液、溶液および培地
以下の実施例で用いた緩衝液、溶液および培地は下記の組成をもつ:
dH2
ミリ−Q(ミリポア)試薬用水システムで処理した脱イオン水
1Mトリス緩衝液 800mLのH2O中にトリスベース121.1g;濃(35%)HCl水溶液の添加によりpHを目的の値に調整;最終pH調整前に溶液を室温に冷却し、最終容量1Lに希釈。
TE緩衝液
1.0mM EDTA
0.01M(pH8.0)トリス緩衝液中
SED
1Mソルビトール
25mM EDTA
50mM DTT、使用前に添加
−−pH8に調整
SCE
9.1gソルビトール
1.47gクエン酸ナトリウム
0.168g EDTA
−−50mlのdH2O中でHClによりpH5.8に調整し、オートクレーブ処理
CaS
1Mソルビトール
10mM CaCl2
−−フィルター滅菌
SOS
1Mソルビトール
0.3×YPD
10mM CaCl2
PEG
20%ポリエチレングリコール−3350
10mM CaCl2
10mMトリス−HCl(pH7.4)
−−フィルター滅菌
溶液A
0.2Mトリス−HCl(pH7.5)
0.1M MgCl2
0.5M NaCl
0.01Mジチオトレイトール(DTT)
溶液B
0.2Mトリス−HCl(pH7.5)
0.1M MgCl2
0.1M DTT
溶液C(氷上に保持)
4μl 溶液B
4μl 10mM dATP
4μl 10mM dTTP
4μl 10mM dGTP
4μl 10mM dCTP
4μl 10mM ATP
5μl T4リガーゼ(2U/μl)
12μl H2
溶液Cの処方はゾラーおよびスミス(Zoller,Smith)のものから改良
20×SSPE
4.4g NaOH
7.4g Na2EDTA
27.6g NaH2PO4・H2
210g NaCl
−−NaOHでpH7.5−8.0に調整
−−1Lとなる量の水
50×デンハルツ
5gファイコル(Ficoll)400
5gポリビニルピロリジン
5g BSAフラクションV
−−500mlとなる量の水
20×SSC
175.3g NaCl
88.2gクエン酸ナトリウム
−−NaOHでpH7.0に調整
−−1Lとなる量の水
LBブロス、1L
5.0g酵母エキス
10.0gトリプトン
5.0g NaCl
10×トランスファー緩衝液
96.8gトリズマ・ベース(Trizma Base)
9.74gグリシン
−−1Lとなる量の水
槽用トランスファー緩衝液
500ml 10×トランスファー緩衝液
1000mlメタノール
3500ml水
ウェスターン緩衝液(1L用)
2.5gゼラチン、まず100mlの水中でマイクロ波処理により溶解
100ml 10×PBS
1ml 50%ツイーン−20
4ml 5%ナトリウムアジド
1Lとなる量のdH2
コーティング緩衝液
0.160g Na2CO3(炭酸ナトリウム)
0.294g NaHCO3(炭酸水素ナトリウム)
100mlとなる量の蒸留水を添加。pH調整せず(pHは9.5)
トリス緩衝化食塩液(TBS)
26.1g NaCl
2.63gトリス
3Lとなる量の蒸留水を添加
HClでpH7.5に調整
トリス緩衝化食塩/ツイーン液(TBST)
1Lとなる量のTBS
2.5ml 20%ツイーン−20
ブロット(Blotto)緩衝液
50g脱脂粉乳(カーネーション)
1gチメロサール(シグマ)
100μl消泡剤(シグマ、30%エマルジョン)
2.5ml 20%ツイーン−20
100ml 10×PBS(ハウスストック)
1Lとなる量の蒸留水を添加
pH7.5に調整
リゲーション緩衝液
50mMトリス−HCl(pH7.4)
10mM MgCl2
10mMジチオトレイトール
1mM ATP
ホスファターゼ緩衝液
50mMトリス−HCl(pH9.0)
1mM MgCl2
1mM ZnCl2
1mMスペルミジン
Bsu36I緩衝液
100mM NaCl
10mMトリス−HCl(pH7.4)
10mM MgCl2
100μg/ml BSA
Csp45I緩衝液
60mM NaCl
10mMトリス−HCl(pH7.5)
7mM MgCl2
100μg/ml BSA
REact1緩衝液
50mMトリス−HCl(pH8.0)
10mM MgCl2
100μg/ml BSA
REact2緩衝液
REact1緩衝液 + 50mM NaCl
REact3緩衝液
REact1緩衝液 + 100mM NaCl
HS緩衝液
50mMトリス−HCl(pH7.5)
10mM MgCl2
100mM NaCl
1mM DTT
100μg/ml BSA
10×基礎塩類
42mlリン酸、85%
1.8g硫酸カルシウム・2H2
28.6g硫酸カリウム
23.4g硫酸マグネシウム・7H2
6.5g水酸化カリウム
Ptm1微量塩類溶液
6.0g硫酸銅・5H2
0.08gヨウ化ナトリウム
3.0g硫酸マンガン・H2
0.2gモリブデン酸ナトリウム・H2
0.02gホウ酸
0.5g塩化コバルト
20.0g塩化亜鉛
65.0g硫酸第一鉄・H2
0.20gビオチン
5.0ml硫酸
YPD(酵母エキス−ペプトン−デキストロース培地)
10gバクト酵母エキス
20gペプトン
10gデキストロース
1Lとなる量の水
MGY(最少グリセリン培地)
13.4g酵母窒素ベース、硫酸アンモニウム含有、アミノ酸不含
400μgビオチン
10mlグリセリン
1Lとなる量の水
MM(最少メタノール培地)
MGYと同じ、ただし10mlグリセリンの代わりに5 mlメタノールを使用
SDR(デキストロース補給リジェネレーション培地)
13.4g酵母窒素ベース、硫酸アンモニウム含有、アミノ酸不含
400μgビオチン
182gソルビトール
10gグルコース
2gヒスチジンアッセイミックス(ジブコ)
50mgグルタミン
50mgメチオニン
50mgリジン
50mgロイシン
50mgイソロイシン
10gアガロース
1Lとなる量の水
BMGR(緩衝化最少グリセリン富化培地)
100ml/lリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)
13.4g/l酵母窒素ベース、硫酸アンモニウム含有
400μg/lビオチン
10ml/lグリセリン
アミノ酸
グルタミン酸、メチオニン、リジン、ロイシンおよびイソロイシン:各5mg/l;
ヒスチジン以外の他のアミノ酸はすべて1mg/l
ヌクレオチド
硫酸アデニン、塩酸グアニン、ウラシルおよびキサンチン、各40μg/l
ビタミン
塩酸チアミン、リボフラビンおよびパントテン酸カルシウム、各2μg/l;
塩酸ピリドキシンおよびニコチン酸、各4μg/l;
塩酸ピリドキサミンおよび塩酸ピリドキサール、各1μg/l;
パラアミノ安息香酸、0.3μg/l;
葉酸、0.03μg/l;
微量無機質
硫酸マグネシウム、800μg/l;
硫酸第一鉄、40μg/l;
硫酸マンガン、80μg/l;
塩化ナトリウム、40μg/l;
BMGY(緩衝化最少グリセリン複合培地)
100ml/lリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)13.4g/l酵母窒素ベース、硫酸アンモニウム含有、アミノ酸不含
ビオチン、400μg/l
グリセリン、10ml/l
酵母エキス、10g/l
ペプトン、20g/l
BMMR(緩衝化最少メタノール富化培地)
BMGRと同じ、ただしグリセリンの代わりにメタノール5ml/lを添加
BMMY(緩衝化最少メタノール複合培地)
BMGYと同じ、ただしグリセリンの代わりにメタノール5ml/lを添加
方法
組換えDNA実験室作業に適した方法は多様な文献中に見られ、それらには以下のものが含まれるがこれらに限定されない:Methods in Enzymology(フロリダ州オルランドー:アカデミック・プレス社),特にVol.152,Guide to Molecular Cloning Techniques,バーガーおよびキンメル(Beger,Kimmel),(フロリダ州オルランドー:アカデミック・プレス社,1987),ならびにMolecular Cloning/A Laboratory Manual,サムブルック(Sambrook)ら,第2版(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス社,1989);これらすべてをここに参考として引用する。
例1
mHSA13の構成
HSA構造遺伝子挿入配列の突然変異
欧州特許出願第0 344 459号明細書(ここに参考として引用する)に示されるpHSA13からEcoRI消化により、HSAをコードするDNAを得た。1%アガロースゲル上での電気泳動により2069bpのフラグメントを採取した。このDNAを下記の方法で突然変異させ、下記のとおり変化させた:1)EcoRI制限部位をHSAシグナル配列のATGの直前に付加し、2)EcoRI制限部位をHSA cDNA中のTAA終止コドンに隣接して付加した。
突然変異生成に用いたオリゴヌクレオチドは下記のものであった:
1)EcoRI部位を付加する5′側突然変異;突然変異生成ヌクレオチド配列:
5' CCC TCA CAC GCC TTT GAA TTC ATG AAG TGG GTA ACC 3' (SEQ ID NO:4)
2)EcoRI部位を付加する3′側突然変異;突然変異生成ヌクレオチド配列:
5' GCC TTA GGC TTA GAA TTC AGT TTA AAA GCA TCT CAG 3' (SEQ ID NO:5)
これらはアプライド・バイオシステムズDNA合成装置、モデル380Aを用いてシアノエチルホスホルアミダイト化学により合成された。
1.2μgの2本鎖m13mp10をEcoRIで消化し、脱リン酸化し、HSA構造遺伝子を含む予め単離された2069bpフラグメント450ngとリゲートした。
リゲーション混合物をコンピーテント(competent)JM103細胞中へ形質転換した(コンピーテントJM103は例2にMC1061細胞につき記載したものに従って調製された)。次いでIPTGおよびX−galを含有する培地で混合物を平板培養し、透明なプラークにつき平板をスクリーニングした。形質転換体からDNAを採取し、HindIIIで消化した。7369および1950bpのバンドを示す適正なファージをmHSA13と呼ぶ。
A.2mlのL培地中で約7時間インキュベートした陽性プラークにつき大規模ミニプレプ(miniprep)を行った。25mlのLB培地に増殖したばかりのJM103細胞250μlを接種した。培養物を1時間増殖させ、7時間齢のプラーク培養物100μlを接種した。次いで培養物を一夜増殖させた。培養物をソルバル(Sorvall)RC−5BローターSS34により10,000rpmで10分間、2回遠心分離して上澄液を透明にした。3.5mlの20%PEG/2.5M NaClを培養物に添加し、これを4℃で5時間インキュベートした。次いで培養物を上記に従って再度10分間遠心分離した。上澄液を廃棄し、ペレットを2mlのTE緩衝液に再懸濁した。次いでペレットをフェノールで抽出し、TEで平衡化し、フェノール/クロロホルムで抽出し、CHCl3で2回、エーテルで1回抽出した。8M LiClを添加して最終濃度0.8Mとなした。3容量のエタノールを添加し、溶液を−20℃で一夜放置して、存在するDNAを沈殿させた。次いで溶液を上記に従って10,000rpmで10分間遠心分離し、70%エタノールですすいだ。沈殿を150μlの10mMトリス(pH7.4)に再懸濁した。
B.1pmolのM13組換え鋳型を20pmolのオリゴヌクレオチド1(EcoRI部位を形成する5′側突然変異につき)と混合し、1μlの溶液AおよびdH2Oを添加して最終容量10μlとなした。この試料を65℃で5分間インキュベートし、次いで温度を37℃に30分間低下させた。
C.次いで試料に下記のものを添加し:
溶液B 1μl
10mM dATP 1μl
10mM dCTP 1μl
10mM dGTP 1μl
10mM dTTP 1μl
5u/μlクレノー 2μl
dH23μl
20μl
15℃で少なくとも4−6時間インキュベートした。
D.次いで試料をdH2Oにより1:40に希釈した。5μlを用いてコンピーテントJM103細胞の試験管6本(各200μl)を形質転換した。形質転換したJM103細胞をソフト寒天オーバーレイ中の富化培地上で平板培養した。
E.次いでフィルターハイブリダイゼーションにより陽性プラークをスクリーニングした。
全容量25μl中の相補的オリゴヌクレオチド15pmolのハイブリダイゼーションプローブを65℃で10分間加熱した。3μlの10×キナーゼ緩衝液(マニアチス(Maniatis))、1μlのγ−ATPおよび1μlのポリヌクレオチドキナーゼ(100u/μl)を試料に添加した。試料を37℃で1時間インキュベートし、G−50ファインセファデックスに導通した。カラムから流出する最初のピークを採取した。
ニトロセルロースフィルターを形質転換平板上に5−10分間乗せることにより、上記プローブを用いてフィルターをハイブリダイゼーション用に調製した。次いでフィルターを平板からはずし、変性溶液(1.5M NaCl、0.5N NaOH)上に3分間、裏面を溶液に乗せた状態で浮遊させた。次いでフィルターを変性溶液に5分間浸漬した。ニトロセルロースフィルターを中和溶液(1Mトリス/HCl,pH8;1.5M NaCl)に5分間移した。次いで中和したフィルターを2×SSC(1×SSCは150mM NaCl、150mMクエン酸ナトリウムである)に5分間移した。次いでフィルターを風乾し、80℃で1時間、真空下にベークした。5mlのハイブリダイゼーション緩衝液、フィルター、10×デンハルツ(1×デンハルツは0.02%ファイコル、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02%ウシ血清アルブミンである)、0.5%SDSおよび5×SSPEを入れた密閉プラスチックバッグ内において、フィルターを65℃で1時間、予備ハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーション緩衝液を5ml/フィルターの新鮮なハイブリダイゼーション緩衝液に交換した。用いたスクリーニング用オリゴヌクレオチドは下記のものであった:
1)5′側突然変異;スクリーニング用オリゴヌクレオチド:
5' GCC TGG GAA TTC ATG AAG 3' (SEQ ID NO:6)
2)3′側突然変異;スクリーニング用オリゴヌクレオチド:
5' TTA TAA GAA TTC AGT TTA 3' (SEQ ID NO:7)
予め調製されたスクリーニング用オリゴヌクレオチドをまず65℃で5分間インキュベートし、次いでフィルターを入れた新鮮なハイブリダイゼーション緩衝液に1×106cpm/mlとなすのに十分なプローブを添加した。プローブの計算融解温度より5℃低い温度で4時間ハイブリダイゼーションを行った。
次いでフィルターを6×SSCにより室温で各10分間3回洗浄した。最後にフィルターを6×SSCによりハイブリダイゼーション温度で1回洗浄した。フィルターを3MMワットマン濾紙に乗せて乾燥させ、次いでフィルム(方向指示のためにマークを付けた)に一夜露光した。
陽性プラークをそれぞれ採取し、2mlのLBブロス中において37℃で5分間、別個に増殖させた。
F.これら陽性プラークにつきミニ鋳型プレプを行った。
1mlのプラーク培養物をエッペンドルフ試験管に移し、エッペンドルフ・モデル5414遠心機により5分間遠心分離した。800μlの上澄液を採取し、2.5M NaClを含む20%PEG 200μlをこれに添加した。上澄液を室温で10分間インキュベートした。上澄液を上記で用いたエッペンドルフ遠心機により10分間遠心分離した。上澄液をアスピレーションにより除去し、遠心分離により形成されたペレットを200μlのTE(1mMトリス,pH7.4;1mM EDTA)に溶解した。次いで再溶解したペレットをフェノール/クロロホルム抽出し、0.8M濃度になるまでLiCl溶液を添加することにより、上部水相中の鋳型DNAを沈殿させた。この溶液に2 1/2−3容量のエタノールを添加し、ドライアイス上で5分間沈殿させた。沈殿を上記エッペンドルフ遠心機により10分間遠心分離した。TEにより最終容量を150μlとなした。
G.採取したDNAにより200μlのコンピーテントJM103細胞を形質転換した。単離したphaseDNAの1μlおよび1/10希釈液1μlを形質転換に用いた。
H.形質転換混合物を先に工程Eに記載したように平板培養し、オリゴヌクレオチドによりプラークをスクリーニングした。
I.2mlのL培地中で約7時間インキュベートした陽性プラークにつき大規模ミニプレプを行った。25mlのLB培地に増殖したばかりのJM103細胞250μlを接種した。培養物を1時間増殖させ、7時間齢のプラーク培養物100μlを接種した。次いで培養物を一夜増殖させた。次いで培養物をソルバルRC−5BローターSS34により10,000rpmで10分間、2回遠心分離して上澄液を透明にした。3.5mlの20%PEG/2.5M NaClを培養物に添加し、これを4℃で5時間インキュベートした。次いで培養物を上記に従って再度10分間遠心分離した。上澄液を廃棄し、ペレットを2mlのTE緩衝液に再懸濁した。次いでペレットをフェノールで抽出し、TEで平衡化し、フェノール/クロロホルムで抽出し、CHCl3で2回、エーテルで1回抽出した。8M LiClを添加して最終濃度0.8M LiClとなした。3容量のエタノールを添加し、溶液を−20℃で一夜放置して、存在するDNAを沈殿させた。次いで溶液を上記に従って10,000rpmで10分間遠心分離し、70%エタノールですすいだ。沈殿を150μlの10mMトリス(pH7.4)に再懸濁した。
J.次いで陽性プラークをジデオキシ配列決定法により配列決定して、適正な突然変異を含むM13構成体を見出した。
K.適正な5′側突然変異を含むM13構成体を鋳型とし、第2オリゴヌクレオチドを3′側突然変異のプライマーとして用いて工程B−Jを反復した。適正な突然変異をmHSA140と表示した。
L.マニアチスのアルカリ溶解法により、mHSA140のRF DNAを採取した。
例2
pHSA140発現ベクターの構成
pAO804は宿主大腸菌中において米国農務省ノーザーン・リージョナル・リサーチ・センター(イリノイ州ペオリア)から受理番号B−18114で入手される。pAO804はプラスミドDNAを単離し、EcoRIで消化し、ゲル電気泳動して〜7.5kbフラグメントを採取することにより採取され、これはユニークEcoRI部位で切断された線状pAO804であった。
pAO804はピチア・パストリスAOX1遺伝子座を部位特異性分断しうるベクターである。これは下記の要素を含む:ユニークEcoRIクローニング部位により分離されたAOX1プロモーターおよび転写ターミネーター;野生型ピチアHIS4遺伝子;転写ターミネーターの下流にある、AOX1遺伝子座の3′末端からのDNAゲノムセグメント;ならびに細菌性宿主における選択および複製に必要な配列。これらの成分はプラスミドのBg1II制限消化により発現カセットおよび選択性マーカー(その末端がゲノムの連続部分と相同である)、AOX1遺伝子座を放出し、形質転換に際して染色体に安定に挿入しうる様式で整列する。さらにアンピシリン耐性遺伝子およびプラスミドpBR322からのoriもpAO804プラスミドに含まれる。
pAO804およびmHSA140から、HSAの産生をコードする遺伝子を含むベクターを構成した。pAO804をEcoRIで消化し、末端をアルカリホスファターゼ(1Uの酵素、37℃、1時間、50mMトリス・Cl、pH9.0、1mM MgCl2、100mM ZnCl2、1mMスペルミジン中)で処理することにより脱リン酸化した。mHSA140もEcoRIで消化し、HSAをコードする1829bpフラグメントを放出させた。このフラグメントを0.8%調製用アガロースゲル電気泳動により精製した。60ngのこのフラグメントと240ngのpAO804を23℃で1時間、66mMトリス・Cl、pH7.4、5mM MgCl2、5mMジチオトレイトール、1mM ATPを用いて、1ワイス単位(Weiss Unit)のT4リガーゼにより10μlの反応容量でリゲートした。リゲーション反応物を用いて、コンピーテントMC1061細胞をアンピシリン耐性に形質転換した。
MC1061は下記の方法で形質転換のためにコンピーテントとなされた。大腸菌MC1061の対数中期培養物(50ml)をIEC DPR600臨床用遠心機により3,000rpmで5分間、4℃において遠心分離することにより採取し、10mM NaClで洗浄した。培養物を25mlの50mM CaCl2に0℃で30分間、再懸濁した。細胞を上記に従って遠心分離し、2mlの50mM CaCl2に再懸濁した。
形質転換のために、リゲーション反応物を200μlのコンピーテント細胞懸濁液に添加し、0℃で氷上において15分間インキュベートし、37℃で5分間、熱ショックを与え、23℃で5分間インキュベートした。50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天平板に細胞を直接接種した。平板を37℃で10−16時間インキュベートした。得られたコロニーはAmpRであった。耐性コロニーを採取し、制限消化により解明した。50μg/mlのアンピシリンを含有するL−ブロス5ml中において37℃で5時間、細胞を増殖させ、バーンボイムおよびドーリー(Birnboim,Doly)[Nucleic Acids Research :1513(1979)]の方法によりDNAを調製した。PvuII消化に際して4750、3000および1900bpフラグメントを示すミニプレプを選択し、pHSA140と表示した。
例3
ピチア・パストリスの形質転換
例2に記載したベクターを含むピチア・パストリス株を下記の方法で調製した。メタノール利用欠如株(Mut-またはメタノールスロー)および野生型メタノール利用株(Mut+またはメタノールノーマル)が形成された。
ピチア・パストリス株GS115(his4;NRRL Y−15851)をクレグ(Cregg)ら,Bio/Technology :479−485(1978)に記載のスフェロプラスト形質転換法により形質転換した。米国特許第4,879,231号明細書も参照されたい。
A.Mut +
ベクターの挿入をAOX1遺伝子座へ方向づけるために、2および10μgのSac1消化pHSA140を別個に、OD600が5である(すなわち25×107細胞)GS115中へ形質転換した。形質転換体を最少培地においてリジェネレートさせ、His+表現型につきスクリーニングした。その際、挿入部位およびベクターコピー数に関するサザーン分析により数種類のHis+形質転換体がスクリーニングされた(例5)。
B.Mut -
HSA発現カセットがAOX1構造遺伝子中へ挿入されてこれを分断したMut-株を形成させるために、ベクターpHSA140をPvuIで消化し、次いでBg1IIで部分消化した。次いで消化物を0.8%アガロースゲル上でサイズ分画し、6.0−9.0kbのサイズのDNAを単離した(発現カセットは〜7.4kbであると予想された)。このDNAを5μg用いてOD600が5である(25×107細胞)GS115をスフェロプラスト法により形質転換した。His+細胞を同定し、次いで下記によりMut-表現型につきスクリーニングした。
平板表面を無菌蒸留水の存在下で掻き取り、低出力で15秒間音波処理することにより形質転換体をプールした。次いでそれらをA600=0.1に希釈し、10-3および10-4の希釈度で、グリセリンを炭素源として含有する最少平板培地に二重試験法により接種し、30℃で2−3日間インキュベートした。次いでそれらを、蒸気相で100μlのメタノールを添加した最少平板培地上へレプリカ接種した。30℃で24時間インキュベートしたのち、4%の形質転換体はメタノール上で残りの形質転換体より緩慢に増殖することが明らかであった。His+Mut-単離体のうち5種類をサザーン分析により調べた(例5)。
例4
酵母DNAミニプレプ
104個/mlの細胞を5mlのYPDに30℃で一夜接種し、次いでダモン(Damon)IEC DPR600臨床用遠心機により3,000rpmで5分間ペレット化した。このペレットを0.5mlの1Mソルビトール、0.1mlの0.5M EDTA(pH8)に再懸濁し、試料を1.5mlミクロ遠心管に移した。0.02mlの2.5mg/mlチモリアーゼ(Zymolyase)100,000(マイルズ・ラボラトリーズ)を添加し、試料を37℃で60分間インキュベートした。細胞をミクロ遠心機により高速で1分間ペレット化し、0.5mlの50mMトリス・Cl(pH7.4)および20mM EDTAに再懸濁した。0.05mlの10%SDSを添加し、試料を混合し、65℃で30分間インキュベートした。0.2mlの5M酢酸カリウム(pH5.2)を添加し、試料を氷上で60分間インキュベートした。試料を再度、ミクロ遠心機により高速で5分間遠心分離した。
上澄液を新たな1.5mlミクロ遠心管に移し、室温のイソプロパノール1容量を添加した。試料を混合し、室温に5分間静置し、次いでミクロ遠心機により高速でごく短期間(10秒)遠心分離した。上澄液を注ぎ出し、ペレットを風乾した。ペレットを0.3mlの10mMトリス・Cl(pH7.4)および1mM EDTAに再懸濁したのち、膵臓RNアーゼの1mg/ml溶液15μlを添加し、試料を37℃で30分間インキュベートした。0.03mlの3M酢酸ナトリウムを添加し、試料を混合し、0.2mlのイソプロパノールを添加した。試料をミクロ遠心機により高速で遠心分離し、DNAをペレット化した。次いで上澄液を注ぎ出し、ペレットを乾燥させ、0.1−0.3mlの10mMトリス・Cl(pH7.4)および1mM EDTAに再懸濁した(注意:DNAを制限消化に用いる前に、溶液をミクロ遠心機により高速で15分間遠心分離して、消化を妨害する可能性のある不溶性物質を除去する必要がある)。
例5
株の解明
形質転換したピチア細胞(例3)および形質転換していない宿主ピチア細胞から例4の記載に従ってDNAを調製し、EcoRIで消化した。試料を0.8%アガロースゲル上で電気泳動し、サザーンブロットを実施した(マニアチスら、1982)。フィルターをAOX1特異性プローブまたはHIS4特異性プローブとハイブリダイズし、挿入が起こった位置を決定した。挿入部位はその形質転換体と野生型菌株のハイブリダイゼーションスペクトルを比較することにより決定された。野生型バンドの大きさの変化はその遺伝子座で挿入が起こったことの証明である。以後の分析のために選ばれた菌株に関するサザーンハイブリダイゼーションおよび菌株の解明を下記にまとめる。
Figure 2004166711
HSA発現ピチア株の発酵槽増殖
選択培養平板から接種物を調製し、2%グリセリンを含有する緩衝化YNB中で30℃において、OD600が0.5−10.0となるまで一夜増殖させた。一夜の培養物5−50mlアリコートを2L容発酵槽に添加し、5ml/LのPTM1塩類を含有する5×基礎塩類中で30℃において抑制増殖期を継続した。40%(v/v)水酸化アンモニウムの添加によりpHを5.0に維持し、5%(v/v)消泡剤ストラクトル(Struktol)の添加により発泡を抑制した。必要に応じて通気および撹拌を強化することにより、溶存酸素を20%以上に維持した。温度は約30℃に維持された。グリセリンが消費されるまで、このバッチ増殖期を20−30時間継続した。次いでMut+株についてはメタノール限界供給バッチ式で、またはMut-株についてはメタノール過剰供給バッチ式で、発酵を継続した。
a.Mut + 発酵;メタノール限界供給バッチ式
実験544;G+HSA140S1(コピー数1)
実験557;G+HSA140S4(コピー数2)
実験545;G+HSA140S3(コピー数>2)
細胞密度の増大を継続させ、かつ発酵槽内における過剰のエタノール蓄積を防止するために、メタノールの添加により誘導前に少量のアルコールオキシダーゼが発現すべく、AOX1プロモーターを解除(derepress)した。この解除はグリセリン限界条件下に約pH5.0での増殖により達成された。初期増殖期でグリセリンが消費されたのち、50%(w/v)グリセリン供給(12ml/LのPTM1微量塩類を含有)を8−16ml/時の量で開始し、約120−140mlが添加されるまで継続した。次いでメタノール供給(100%メタノール+12ml/LのPTM1微量塩類)を1ml/時で開始することによりAOX1プロモーターの完全発現を誘導した。培養物がメタノール限界に反応するまで数時間、メタノール供給を継続した。この反応はメタノール供給を短時間停止した際の溶存酸素の突然の増加として現れる。次いで5.5ml/時の量に達するまで8−12時間にわたってメタノール供給を増加させた。これらの条件下にメタノール上で82、96または98時間発酵を継続したのち、培養物を採取した。
b.Mut - 発酵;メタノール過剰供給バッチ式
Mut-発酵をMut+発酵に関する記載に従って実施し、ただしメタノール供給を1ml/時の供給4時間ののち、3−4ml/時に増加し、残留メタノール濃度0.5%以下となした。
増殖培地中へ分泌されたHSAの定量
a.ELISA
ヒト血清アルブミンに関するELISA法には下記の試薬が必要である:ヒトアルブミン(カッペル、オルガノン・テクニカから入手)、ヤギ抗HSA抗体(アトランティック・アンティボディーズから入手)、ヤギ抗HSA抗体、ペルオキシダーゼにコンジュゲート(カッペル、オルガノン・テクニカから入手)およびO−フェニレンジアミン(OPD)、ジクロリド塩(シグマから入手、10mg/錠)。HSAは業者による下記の指示に従って再構成された。この場合(ロット#26706)、3.0mlの蒸留水をバイアル内容物に添加した(最終濃度は18.8mg/mlであった)。各100μlの29アリコートにラベルを付け、急速凍結した。
18.8mg/mlの100μlを1.780mlのPBSで希釈することにより16アリコートを調製した(最終1.0mg/ml)。100μlのこれら16アリコートにラベルを付け、急速凍結した。
1mg/mlの100μlを9.9mlのPBSで希釈することにより、さらに100アリコートを調製した(最終10μl)。次いで各100μlのこれら100アリコートにラベルを付け、急速凍結した。この希釈液を用いて標準希釈曲線を開始した。ヤギ抗HSAは溶液状で供給された。ヤギ抗HSA試薬を50μlアリコートに分割し、ラベルを付け、急速凍結した。ペルオキシダーゼにコンジュゲートしたヤギ抗HSAは2.0mlの蒸留水を添加することにより再構成された(最終濃度23mg/ml)。次いで50μlアリコートのヤギ抗HSAコンジュゲートにラベルを付け、急速凍結した。
ELISA法
注意:室温の緩衝液のみを使用すること。
1.コーティング用緩衝液を使用直前に調製する。ヤギ抗HSA抗体を1:500に希釈する。この溶液200μlを各ウェルに添加する。パラフィルムを密着し、37℃で1時間インキュベートする。
2.プレート内容物をシャープにシンク内へ落とす。TBSTで3回洗浄する。蒸留水で2回洗浄する。
3.200μlのブロット緩衝液をすべてのウェルに添加する。パラフィルムを密着する。37℃で一夜インキュベートする。
4.翌朝、ウェル内容物をシンク内へ落とす。TBSTで3回洗浄する。蒸留水で2回洗浄する。
5.100μlのTBSTをすべてのウェルに添加する。
6.10μg/mlのストックHSA標準液をTBSTで希釈する。
S=フリーザーからのストック=10μg/ml
SS=サブストック=Sの1:100=10,000pg/100μl
-1=SSの1:10=1,000pg/100μl
希SS,1:1=5,000pg/100μl
希SS,1:3.3=3,000pg/100μl
希SS,1:5=2,000pg/100μl
希S-1,1:1=500pg/100μl
希S-1,1:5=200pg/100μl
希3,000pg/100μl 1:1=1,500pg/100μl
8.100μlの試料希釈液および標準曲線希釈液を各ウェルに添加する。
9.パラフィルムを密着し、37℃で2時間インキュベートする。
10.TBSTで5回洗浄する。蒸留水で2回洗浄する。
11.ヤギ抗HSAコンジュゲートをブロット緩衝液で1:2000に希釈する。室温で暗所において2時間インキュベートする。
12.TBSTで3回洗浄する。蒸留水で2回洗浄する。
13.使用直前に:OPDの1ペレットを遮光容器内の蒸留水3mlに添加する。水21mlをピペットで50mlのファルコン試験管に装入する。3mlのOPD溶液をファルコン試験管に添加し、10μlの30%H22を添加し、混合する。
この溶液200μlを各ウェルに添加する。パラフィルムを密着し、暗所で10分間インキュベートする。50μlの4.5M硫酸の添加により反応を停止する。
14.ELISA読み取り機により、フィルター4を用いて492nmで読み取る。
b.データ
各株から分泌されたHSAの水準、および発酵に関する他の情報を表2に示す:
Figure 2004166711
組換え生成物の解明
a.ゲル分析
発酵実験537、544および545の発酵ブロスの試料を誘導期の種々の時点で取り出し、SDSゲルおよびクマシーブルー染色により分析した。発酵槽ブロスの10倍希釈液5μl(0.5μlに相当)をゲルに付与した。rHSA(組換えHSA)とHSA標準品の染色バンドの相対強度により、ELISAにより測定されたrHSA水準(g/l)が高いことが確認された。さらに3種類すべての発酵および分析したすべての時点からのrHSAが、HSA標準品と等しい泳動性を示した(69Kd)。rHSAがすべてのHSA発現菌株により分泌された主要な蛋白種であるという事実は、高い初期純度(>90%)のrHSAが増殖培地中へ分泌されたことを示唆する。約45Kdに泳動する他の蛋白種も発酵時間に伴って増大する強度で検出された。この蛋白種は分泌に際して二次的プロセスにおいて、もしくは発酵ブロス中へ分泌されるプロテアーゼによる分泌後の蛋白質分解産物として産生されるか、またはそれら両者である。それはウェスターンブロットに際してHSA特異性ポリクローナル抗血清により検出されたので、rHSAに関連するものである。
b.N−末端配列
分泌されたrHSAのN−末端領域の蛋白質配列を発酵槽ブロスの透析試料について求めた。配列はアプライド・バイオシステムズ・モデル470A蛋白質合成装置により決定された。アミノ酸のフェニルチオヒダントイン(PTH)誘導体はアプライド・バイオシステムズ・モデル120A分析装置を用いた高性能液体クロマトグラフイーにより同定された。その結果、rHSAのN−末端がアスパラギン酸であり、HSAのN−末端アミノ酸と一致することが示された。他の前駆物質型rHSAは無いと思われる。決定された残りの配列はHSAに関する既知の配列と等しかった。
例6
HSA発現ベクターpHSA313の構成
天然AOX1 5′側調節領域(プロモーター)の3′末端とHSA構造遺伝子の開始コドンとの間のイグザクト結合(exact linkage)を含むベクターを備えたpHSA313ベクターを構成した。
A.pHSA113△C1aの形成
約200ngのpHSA113(欧州特許出願第0 344 459号明細書に記載され、図7に示される)を、REact1緩衝液20μl中のC1aI 1単位により37℃で1時間消化した。消化混合物を水で100μlとなし、等容量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1 V/V)で1回抽出し、次いで水層を等容量のクロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)で抽出した。NaCl濃度を0.2Mに調整し、3容量の冷エタノールを添加することにより、水相中のDNAを沈殿させた。混合物を氷上(4℃)に10分間放置し、ミクロ遠心機により4℃において10,000×gで30分間遠心分離することによりDNA沈殿を採取した。DNAペレットを70%冷エタノール水溶液で2回洗浄した。洗浄したペレットを真空乾燥し、10μlの水に溶解し、これに2μlの10×リゲーション緩衝液、2μlの1mg/ml BSA、6μlの水、および1単位のT4 DNAリガーゼを添加した。混合物を4℃で一夜インキュベートし、10μlアリコートを用いて大腸菌DG75′(マニアチスら)を形質転換し、pHSA113△C1aを得た。これはHIS4および3′側AOX1、ならびにこれらの配列を結合するのに用いた小範囲のpBR322配列の欠失を示す。HIS4、3′側AOX1およびpBR322配列の欠失により、pHSA113ベクター中に存在するCsp45I部位2カ所のうち1カ所が排除される。残りのCsp45I部位はAOX1 5′側調節領域(プロモーター)中にある。
B.pXHSA113△C1aの形成
5μgのpHSA113△C1aを、REact2緩衝液100μl中のBstEII 10単位により37℃で1時間消化した。消化混合物をフェノールで抽出し、工程Aの詳述に従って沈殿させた。DNA沈殿をCsp45I緩衝液100μlに溶解し、10単位のCsp45Iの存在下に37℃で2時間消化した。次いで消化したDNAをフェノール抽出し、工程Aの詳述に従って沈殿させた。DNA沈殿を20μlの水に溶解し、10μlアリコートを0.9%アガロースゲルの隣接ウェル2個に装填した。電気泳動ののち、レーンの1つに対応するゲル部分を染色し、これを用いて未染色レーン中のpHSA113△C1aのCsp45I−BstEIIフラグメントの位置を決定した。pHSA113△C1aの大きい方のCsp45I−BstEIIフラグメントを含むゲル部分をゲルから切り出した。大きい方のCsp45I−BstEIIフラグメントを含むゲル部分を、500μlの5mM EDTA(pH8.0)中へ電気泳動により溶出した(electroeluted)。このDNA溶液を工程Aの詳述に従ってフェノール抽出し、DNA沈殿を100μlの水に溶解した。次いで大きい方のCsp45I−BstEIIフラグメントを下記のBstEII−Csp45Iオリゴヌクレオチドリンカーとリゲートした。アリコート(10μl)のCsp45I−BstEIIフラグメントを4℃で一夜、20ngのアニールしたリンカーオリゴヌクレオチド5′−CGAAACG ATG AAG TGG(SEQ ID NO:8)および5′−GTTACCCACTTCATCGTTT(SEQ ID NO:9)と、100μg/mlのBSAおよび1単位のT4DNAリガーゼを含有するリガーゼ緩衝液20μl中においてリゲートした。リゲーション混合物を用いて大腸菌DG75′を形質転換し、pXHSA113△C1aを得た。pXHSA113△C1aベクターは上記リンカーにより、外来DNA配列を含まない天然AOX1 5′側調節領域(プロモーター)の3′末端とHSAのATG開始コドンとの間のイグザクト結合を有する。
C.pHSA313の形成
1μgのpXHSA113△C1aをREact1緩衝液100μl中のC1aIにより37℃で4時間消化した。消化後に反応混合物をアルカリホスファターゼ緩衝液条件に調整し、10単位のウシ腸アルカリホスファターゼで200μlの反応容量において37℃で30分間処理した。ホスファターゼ処理をフェノール抽出により終結させ、工程Aの記載に従ってDNAを沈殿させ、約10ng/μlの濃度で水に溶解し、−20℃に保存した。
1μgのpAO807N(図8、その構成は欧州特許出願第0 344 459号明細書に記載)をREact2緩衝液100μl中のPstIにより37℃で4時間消化した。消化したDNAをアルカリホスファターゼ緩衝液条件に調整し、10単位のウシ腸アルカリホスファターゼで200μlの反応容量において55℃で15分間処理した。15分間の終了時にさらに10単位のホスファターゼを添加し、15分間インキュベートした。ホスファターゼ処理をフェノール抽出により終結させ、工程Aの記載に従ってDNAを沈殿させた。100μg/mlのBSAを含有するREact1緩衝液100μl中のC1aI 5単位によりDNAを37℃で4時間消化し、工程Aの記載に従ってフェノール抽出し、DNAを沈殿させた。DNA沈殿を約20ng/μlの濃度で水に溶解した。このC1aIフラグメントはHIS4遺伝子および3′側AOX1第2挿入性配列を含む。
約100ng(10μl)のC1aI開裂−ホスファターゼ処理pXHSA113△C1aを、約80ngのPstI消化−ホスファターゼ処理およびC1aI開裂−pAO807N(4μl)、4μlの5×リガーゼ緩衝液、2μlの1mg/ml BSAと混合し、1単位のT4DNAリガーゼをを用いて4℃で一夜リゲートした。リゲーション混合物を用いて大腸菌DG75′を形質転換し、pHSA313を得た。このリゲーションによるpHSA313プラスミドは、HIS4遺伝子およびAOX1 3′側第2挿入性配列(AO807N由来)に結合した完全pXHSA113△C1a配列を含む。pHSA313プラスミドのこれらの成分の相対配向は図7にpHSA113プラスミドにつき示したものと同じである。
例7
5′側および3′側イグザクトHSA発現プラスミドpHSA413の形成
AOX1 5′側調節領域の3′末端とHSA構造遺伝子の開始コドンとの間のイグザクト結合、およびAOX1 3′側ターミネーション配列の5′末端とHSA構造遺伝子の3′末端との間のイグザクト結合を有するベクターを提供するpHSA413ベクターを構成した。
A.pXXHSA113△C1aの形成
1μgのpXHSA113△C1aを、REact3緩衝液100μl中のEcoRI 10単位により37℃で4時間消化した。消化混合物をフェノール抽出し、例6の詳述に従ってDNAを沈殿させた。DNA沈殿を20μlの水に溶解し、Bsu36I緩衝液100μl中のBsu36I 20単位により37℃で1時間消化した。消化混合物をフェノール抽出し、例6の詳述に従ってDNAを沈殿させ、100μlの水に溶解した。約100ngのEcoRIおよびBsu36I開裂DNAを、10ngのアニールしたオリゴヌクレオチド5′−TTAGGCTTATAAG(SEQ ID NO:10)および5′−AATTCTTATAAGCC(SEQ ID NO:11)と混合し、100μg/mlのBSAおよび10単位のT4DNAリガーゼを含有するT4DNAリガーゼ緩衝液20μl中において4℃で一夜リゲート(ligate)した。リゲーション混合物(ligation mixture)を用いて大腸菌を形質転換し、pXXHSA113△C1aを得た。このプラスミドにおいては、pXHSA113△C1a中に存在するBsu36IとEcoRIの間の下記配列(SEQ ID NO:12):
Figure 2004166711
が下記の配列(SEQ ID NO:13)により置換されている:
5′−CC TTA GGC TTA TAA GAATTC
Bsu36I EcoRI
B.pHSA413の形成
1μgのpXXHSA113△C1aをREact1緩衝液100μl中のC1aIにより37℃で4時間消化した。消化後に反応混合物をアルカリホスファターゼ緩衝液条件に調整し、10単位のウシ腸アルカリホスファターゼで200μlの反応容量において37℃で30分間処理した。ホスファターゼ処理をフェノール抽出により終結させ、工程Aの記載に従ってDNAを沈殿させ、約10ng/μlの濃度で水に溶解し、−20℃に保存した。
約100ng(10μl)のC1aI開裂−ホスファターゼ処理pXXHSA113△C1aを、約80ng(4μl)のPstI消化−ホスファターゼ処理およびC1aI開裂−pAO807N(例6の工程3、第2節を参照されたい)、4μlの5×リガーゼ緩衝液、2μlの1mg/ml BSAと混合し、1単位のT4DNAリガーゼを用いて4℃で一夜リゲートした。リゲーション混合物を用いて大腸菌DG75′を形質転換し、pHSA413を得た。このリゲーションによるpHSA413プラスミドは、HIS4遺伝子およびAOX1 3′側第2挿入性配列(AO807N由来)に結合した完全pXXHSA113△C1a配列を含む。pHSA313プラスミドのこれらの成分の相対配向は図7にプラスミドpHSA113につき示したものと同じである。
例8
pHSA313およびpHSA413によるピチア・パストリスの形質転換
A.ベクターの調製
それぞれ約10μgのpHSA313、pHSA413およびpAO807N(陰性対照)をHS緩衝液200μl中において、50単位のNotIにより37℃で12時間消化した。消化したDNA試料をフェノール抽出し、例6の記載に従って沈殿させ、20μlのCaSに溶解し、次いでピチア・パストリスGS115の形質転換に用いた。同様にそれぞれ約10μgのpHSA313、pHSA413およびpAO807Nを、20単位のSstIにより、100μg/mlのBSAを含むREact2緩衝液200μl中において37℃で12時間消化した。消化したDNA試料をフェノールで抽出し、例6の記載に従って沈殿させ、20μlのCaSに溶解した。
B.細胞の増殖
ピチア・パストリスGS115(NRRL Y−15851)を約10mlのYPD培地に接種し、30℃で12−20時間振盪培養した。100mlのYPD培地に種培養物を接種して、約0.001のOD600を得た。この培地を振盪フラスコ中において30℃で約12−20時間培養した。OD600が約0.2−0.3となった時点で、ソルバルRB5Cを用いて1555gで5分間遠心分離することにより培養物を採取した。
C.スフェロプラストの調製
細胞を10mlの滅菌水で洗浄し、次いで1500gで5分間遠心分離した。(遠心分離は特に指示しない限り、各細胞洗浄ののち、ソルバルRT6000Bを用いて1500gで5分間行う。)細胞を10mlの新たに調製したSED中で1回、10mlの無菌1Mソルビトール中で1回洗浄し、最後に10mlのSCE緩衝液に再懸濁した。7.5μlの3mg/mlチモリアーゼ(Zymolyase)(100,000単位/g、マイルズ・ラボラトリーズより入手)を細胞懸濁液に添加した。細胞を30℃で約10分間インキュベートした。(5%SDS中におけるOD600の60%低下を正確な時間マーカーとして利用しうる。)スフェロプラストを10mlの無菌1Mソルビトール中において700gで5−10分間遠心分離することにより洗浄した。10mlの無菌CaSを細胞の最終洗浄液として用い、細胞を再度700gで5−10分間遠心分離し、次いで0.6mlのCaSに再懸濁した。
D.形質転換
ピチア・パストリスGS115細胞を10μgの線状DNA(工程A参照)により、スリークリシュナ(Sreekrishna)ら,Gene59,115−125(1987)のスフェロプラスト形質転換法によって形質転換した。DNA試料を12×75mmの無菌ポリプロピレン試験管に添加した(20μlの容量となるまで)。(DNAは適切な緩衝液、たとえばTE緩衝液、またはCaS中に含有すべきである。)100μlのスフェロプラストを各DNA試料に添加し、室温で約20分間インキュベートした。1mlのPEG溶液を各試料に添加し、室温で約15分間インキュベートし、700gで5−10分間遠心分離した。SOS(150μl)をペレットに添加し、室温で約30分間インキュベートした。最後に850μlの1Mソルビトールを添加した。
E.スフェロプラストのリジェネレーション
形質転換試料を用意する少なくとも30分前に、平板当たり20mlのリジェネレーション用寒天SDRの底部アガロース層を注入した。さらに、形質転換試料がSOS中にある期間中に、45℃の水浴中の15mlコニカルボトム型コーニング試験管に8mlアリコートのリジェネレーション用寒天を分配した。形質転換した試料50または250μlアリコートを45℃に保持された溶融リジェネレーション用寒天8mlアリコートに添加し、20ml固形底部寒天層を含む平板上に注入した。これらの平板を30℃で3−5日間インキュベートした。
F.形質転換体の選択
ヒスチジンを欠如する培地SDR上で培養することにより形質転換体を選択した。NotI線状ベクターを用いて得た形質転換体の場合は、ヒスチジンの不在下で増殖したコロニーを″メタノール−スロー″表現型(NotI DNAフラグメントによるAOX1構造遺伝子の置換を示す)についてもスクリーニングした。次いで″メタノール−ノーマル″(SstI線状DNAを用いて得たもの)およびメタノール−スローを示す数種類の形質転換GS115細胞を培養し、HSAの産生につきアッセイした。
例9
GS115/pHSA313、およびGS115/pHSA413インテグラティブ形質転換体におけるメタノール誘導HSA分泌
pHSA313およびpHSA413を用いて形質転換したピチア・パストリスGS115株を振盪試験管培養においてHSA分泌につき分析した。メタノール−スローおよびメタノール−ノーマル双方の株を用いた。それぞれの場合、36の独立コロニーを試験した。pAO807Nを用いて得た形質転換体を陰性対照とした。培地中へのHSAの効果的な分泌および安定な蓄積を保証するためのプロトコールを開発した。
細胞を50mlの試験管に入れた10mlのBMGRまたはBMGY中で飽和に達するまで増殖させた(2−3日間)。細胞は10−20A600単位である。細胞を採取し、上澄液を廃棄し、次いでペレットを2mlのBMMRまたはBMMYに再懸濁した。試験管にキャップの代わりに無菌ガーゼ(チーズクロス)で蓋をした。次いで試験管を30℃の振盪機に戻した。2−3日間の終了時に細胞をペレット化し、上澄液を産生物につきアッセイした。ペレットを新鮮な培地で再懸濁し、新たな分泌のために振盪機へ戻すことができる。ピチア−HSA株については、SDS−PAGE、次いでクマシー染色による分析のために、10μlの培地上澄液で十分であった。これらの条件下でHSAに対応する67kDの単一バンドが認められた。形質転換体GS115/pHSA313とGS115/pHSA413の発現水準に有為差はなく、これはpHSA313中に存在するHSA遺伝子からの3′側非翻訳配列の欠失は発現水準に有為に影響を与えないことを示す。振盪フラスコ培養において、メタノール−スローとメタノール−ノーマルの形質転換体間にHSA発現水準の有為差は認められなかった。これはAOX1の分断が効果的HSA発現にとって本質的でないことを示す。予想どおりGS115/pAO807N形質転換体(陰性対照)の培地および細胞抽出液のいずれにもHSAは存在しなかった。
例10
HSA産生のためのMut - ピチア・パストリスのバッチ供給式発酵
ピチア・パストリスGS115:pHSA 413−6を作業容量8.5リットルの20リットル容バイオラフィッテ(Biolafitte)発酵槽に接種した。接種物は下記の方法で調製された:培養物をYM平板上で増殖させ、次いで振盪フラスコ中のYMブロス100mlに移し、約24時間増殖させた。この培養物50mlを振盪フラスコ中のYMブロス1リットルに移し、同様に約24時間増殖させた。次いでこの1リットルをバイオラフィッテ発酵槽中の発酵培地8.5リットルに移した。発酵培地は最少塩類+ビオチン+5%グリセリンからなっていた。バッチ増殖条件には下記のものが含まれる:pH=5.8(NH3で調整)、温度=30℃、および空気飽和20%以上の溶存酸素。
約24時間後にグリセリン消費が完了し、この時点で10−15ml/時の量で緩徐なメタノール供給を開始した。発酵槽中のメタノール濃度を監視し、ブロス中のメタノール濃度0.5−0.9%を維持すべく供給量を調整した。
クマシーブルー染色したSDS含有ポリアクリルアミドゲル(SDS−PAGE)の濃度測定により、培地中に分泌されたHSAを定量した。領域は同じSDS−PAGEゲル上で実験した一連の既知重量の真正HSAを参考にした。これらのゲルから得たデータを表3に示す。
Figure 2004166711
Bg1IIからBg1IIへ時計回りにフラグメント中に線状部位特異性インテグラティブベクターを含むプラスミドpAO804を示す図である。構造遺伝子をこのプラスミドのユニークEcoRI部位に挿入することができる。このプラスミドはNRRL B−18114のプラスミドDNAから、EcoRI消化およびゲル電気泳動を行い、図1に対応する線状の〜7.4kb EcoRIフラグメントを採取することにより得られる。 環状のpHSA13を示す図である。 ピチア・パストリスから単離されたAOX1 5′側調節領域を示す制限地図である。 ピチア・パストリスから単離されたDAS1 5′側調節領域を示す制限地図である。 ピチア・パストリスから単離されたAOX1 3′側ターミネーション配列を示す制限地図である。 ピチア・パストリスから単離されたDAS1 3′側ターミネーション配列を示す制限地図である。 線状pHSA113を示す図である。 NotIからNotIへ時計回りにフラグメント中に線状部位特異性インテグラティブベクターを含むプラスミドpAO807Nを示す図である。構造遺伝子をこのプラスミドのユニークEcoRI部位に挿入することができる。

Claims (24)

  1. a)その3'末端が下記b)にオペラブルに連結された、ピチア・パストリスAOX1の5'側調節領域およびピチア・パストリスDAS1の5'側調節領域からなる群から選択される、5'末端および3'末端を有するピチア・パストリス5'側調節領域;
    b)下記c)にオペラブルに連結された、5'末端および3'末端を含む、HSAシグナル配列および成熟HSA蛋白質をコードするHSA構造遺伝子であって、上記5'側調節領域の3’末端の11を超えないデオキシリボヌクレオチドを介してATG開始コドンを有するHSA構造遺伝子;および
    c)適切な3'側ターミネーション配列;
    を含む、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)におけるHSA生産のための発現カセット。
  2. 5'側調節領域がピチア・パストリス由来のAOX1の5'側調節領域である、請求項1記載の発現カセット。
  3. 5'側調節領域がピチア・パストリス由来のDAS1の5'側調節領域である、請求項1記載の発現カセット。
  4. 3'側ターミネーション配列が、AOX1遺伝子、DAS1遺伝子、p40遺伝子およびHIS4遺伝子からなる群から選択されるピチア・パストリス遺伝子から単離された配列である、請求項1、2または3記載の発現カセット。
  5. 発現カセットが、環状プラスミドおよび直鎖状プラスミドからなる群から選択されるベクターに挿入されている、請求項1乃至4の何れか1項記載の発現カセット。
  6. ベクターがインテグラティブな部位特異性ベクターである、請求項5記載の発現カセット。
  7. HSA構造遺伝子の5’側調節領域の3’末端とATG開始コドンの間のヌクレオチドのアデニンおよびチミン含量が55−64%である、請求項1乃至6の何れか1項記載の発現カセット。
  8. 以下の連続配置:
    a)第1の挿入可能なDNAフラグメント;
    b)少なくとも一つのマーカー遺伝子;および
    c)第2の挿入可能なDNAフラグメント
    を含むベクターであって、但し、少なくとも一つの発現カセットが成分b)のマーカー遺伝子の前または後ろの何れかに取り込まれており、そして上記第1および第2の挿入可能なDNAフラグメントがピチア・パストリスのゲノムの別々の部分に相同であり、そして上記挿入可能なフラグメントがピチア・パストリスのゲノムに存在するのと同じ方向にて存在する上記ベクターに取り込まれる、請求項1乃至7の何れか1項記載の発現カセット。
  9. 第1の挿入可能なDNAフラグメントおよび第2の挿入可能なDNAフラグメントが、AOX1遺伝子、p40遺伝子、DAS1遺伝子およびHIS4遺伝子からなる群から選択される、ピチア・パストリスから単離された遺伝子のDNA配列から得られる、前記ベクター中に含まれる請求項8記載の発現カセット。
  10. マーカー遺伝子が、ピチア・パストリスHIS4遺伝子、ピチア・パストリスARG4遺伝子、ビール酵母(Saccharomyces cerevisiae)SUC2遺伝子、細菌性トランスポゾンTn601のG418R遺伝子、および細菌性トランスポゾンTn903のG418R遺伝子からなる群から選択される、前記ベクター中に含まれる請求項8または9記載の発現カセット。
  11. ベクターが、下記
    a)下記b)にオペラブルに連結された、ピチア・パストリスから単離された長さ約1キロベースのAOX1遺伝子からのオペラブルな5'側調節領域である第1の挿入可能なDNAフラグメント;
    b)下記c)にオペラブルに連結された、5'末端および3'末端を含む、HSAシグナル配列および成熟HSA蛋白質をコードするHSA構造遺伝子であって、上記5'側調節領域の3’末端の8を超えないデオキシリボヌクレオチドを介してATG開始コドンを有するHSA構造遺伝子;
    c)下記d)にオペラブルに連結された、ピチア・パストリスから単離されたAOX1遺伝子の3'側ターミネーション配列;
    d)下記e)にオペラブルに連結された、ピチア・パストリスから単離されたHIS4遺伝子であるマーカー遺伝子;および
    e)約0.65キロベースのAOX1の3'側ターミネーション配列である第2の挿入可能なDNAフラグメント
    よりなる、請求項8、9または10の何れか1項記載の発現カセット。
  12. HSA構造遺伝子がATG開始コドンの5'側にデオキシリボヌクレオチドAGGAATTCを含むATG開始コドンを有する、請求項11記載の発現カセット。
  13. HSA構造遺伝子がATG開始コドンの5'側にデオキシリボヌクレオチドを含まない、請求項11記載の発現カセット。
  14. 請求項1乃至13の何れか1項に記載の発現カセットにより形質転換された、ピチア・パストリス細胞。
  15. 形質転換されるピチア・パストリス細胞が、ピチア・パストリスGS115(NRRL Y−15851)、ピチア・パストリスGS190(NRRL Y−18014)、ピチア・パストリスPPF1(NRRL Y−18017)、ピチア・パストリス(NRRL Y−11430)およびピチア・パストリス(NRRL Y−11431)からなる群から選択される、請求項14記載のピチア・パストリス細胞。
  16. 形質転換されるピチア・パストリス細胞がピチア・パストリスGS115(NRRL Y−15851)である、請求項15記載のピチア・パストリス細胞。
  17. ピチア・パストリス細胞を請求項1乃至13の何れか1項記載の発現カセット少なくとも一つを含むベクター少なくとも1種類により形質転換することにより形質転換したピチア・パストリス細胞からHSAを分泌させる方法。
  18. a)その3'末端が下記b)にオペラブルに連結された、メタノール応答性プロモーターのピチア・パストリス5'側調節領域;
    b)下記c)にオペラブルに連結された、5'末端および3'末端を含む、HSAシグナル配列および成熟HSA蛋白質をコードするHSA構造遺伝子であって、上記5'側調節領域の3’末端の11を超えないデオキシリボヌクレオチドを介してATG開始コドンを有するHSA構造遺伝子;および
    c)適切な3'側ターミネーション配列;
    を含む、ピチア・パストリスにおけるHSA生産のための発現カセット。
  19. 5'側調節配列が、ピチア・パストリス由来のAOX1の5'側調節領域、ピチア・パストリス由来のAOX2の5'側調節領域、およびピチア・パストリス由来のDAS1の5'側調節領域からなる群から選択される、請求項18記載の発現カセット。
  20. 3'側ターミネーション配列が、AOX1遺伝子、DAS1遺伝子、p40遺伝子およびHIS4遺伝子からなる群から選択されるピチア・パストリス遺伝子から単離された配列である、請求項19記載の発現カセット。
  21. 発現カセットがベクターに挿入されており、そして該ベクターが環状プラスミドまたは直鎖状プラスミドである、請求項18乃至20の何れか1項記載の発現カセット。
  22. ベクターがインテグラティブな部位特異性ベクターである、請求項21記載の発現カセット。
  23. 以下の連続配置:
    a)第1の挿入可能なDNAフラグメント;
    b)少なくとも一つのマーカー遺伝子;および
    c)第2の挿入可能なDNAフラグメント
    を含むベクターであって、少なくとも一つの発現カセットが成分b)のマーカー遺伝子の前または後ろの何れかに取り込まれており、そして上記第1および第2の挿入可能なDNAフラグメントがピチア・パストリスのゲノムの別々の部分に相同であり、そして上記挿入可能なフラグメントがピチア・パストリスのゲノムに存在するのと同じ方向にて存在する上記ベクターに取り込まれる、請求項22記載の発現カセット。
  24. 第1の挿入可能なDNAフラグメントおよび第2の挿入可能なDNAフラグメントが、AOX1遺伝子、p40遺伝子、DAS1遺伝子およびHIS4遺伝子からなる群から選択される、ピチア・パストリスから単離された遺伝子のDNA配列から得られる、請求項23記載の発現カセット。
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