JP2004165454A - 半導体処理装置および半導体処理方法 - Google Patents
半導体処理装置および半導体処理方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004165454A JP2004165454A JP2002329906A JP2002329906A JP2004165454A JP 2004165454 A JP2004165454 A JP 2004165454A JP 2002329906 A JP2002329906 A JP 2002329906A JP 2002329906 A JP2002329906 A JP 2002329906A JP 2004165454 A JP2004165454 A JP 2004165454A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- state
- substrate
- film thickness
- thin film
- gas
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Chemical Vapour Deposition (AREA)
Abstract
【解決手段】薄膜を形成するにあたって、被処理基板21への導入状態および被処理基板21の温度を含む基板状態が、状態検出手段27によって検出され、薄膜の膜厚が膜厚検出手段28によって検出される。それらの検出結果に基づいて、所望の膜厚の薄膜が得られる基板状態となるように、状態調整手段26が制御手段29によって制御される。これによって所望の基板状態に調整されるので、膜厚が均一であり、かつ均質な薄膜を被処理基板21に形成することができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材に薄膜を形成する半導体処理装置および半導体処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図15は、従来の技術の半導体処理装置1の構成を示す断面図である。従来の技術の半導体処理装置1では、直筒状の反応管2が反応炉3に設けられる。この反応管2によって、原料ガスを導入するためのガス導入口4と、原料ガスおよび副生成ガスを排気するためのガス排気口5とが連結される。反応管2には、被処理基板6が載置されるサセプタ7と、被処理基板6を加熱するためのヒータ8とが設けられる。ヒータ8が被処理基板6を加熱することによって、原料ガスの化学反応が促進されて、被処理基板6に薄膜が形成される。被処理基板6を通過した原料ガスおよび副生成ガスは、ガス排気口5から反応炉3外部に排気される。この半導体処理装置1では、薄膜形成時に、ガス導入口4から被処理基板6付近に導入された原料ガスは、反応管2の軸線方向に垂直な断面において中央部の流速が高く、縁辺部に近づくにつれて低くなる。さらにヒータ8の発熱領域の温度分布が一様にならず、薄膜形成時の反応管2および被処理基板6における環境条件が微妙に変化して、薄膜の品質保持および膜厚の均一性の実現を妨げる要因となっている。
【0003】
図16は、他の従来の技術の半導体処理装置10の構成を示す断面図である。図17は、半導体処理装置10の他の構成を示す断面図である。図18は、半導体処理装置10のさらに他の構成を示す断面図である。図16〜図18は、被処理基板6の厚み方向一方側から見た反応管2aの断面を示している。前述の従来の技術の半導体処理装置1の課題を解決するために、他の従来の技術の半導体処理装置10では、ガス導入口4aから被処理基板6aに向かうにつれて、幅方向の寸法が大きくなるように形成される反応管2aが用いられる。前記幅方向は、被処理基板6の厚み方向と反応管2aの軸線方向とに垂直な方向である。さらに菱形状構造物11または流線形状構造物12が、被処理基板6aよりもガス導入口4a寄りに配置されて、反応管2aに固定される。菱形状構造物11は、反応管2aの厚み方向に平行な軸線を有し、その軸線に垂直な断面が菱形状である。流線形状構造物12は、反応管2aの厚み方向に平行な軸線を有し、その軸線まわりの外周面が曲面に形成される。菱形状構造物11および流線形状構造物12は、それらの軸線に平行かつ前記幅方向に垂直な一仮想平面に関して対称になるように、反応管2aに設けられる。また半導体処理装置10では、さらに他の構成として、菱形状構造物11または流線形状構造物12の代わりに、原料ガスの流下方向に貫通する孔を有する網状の構造物13が設けられる(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−118799号公報(第1,3,5図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述の他の従来の技術の半導体処理装置10は、原料ガスの整流効果を得ることができるが、ヒータの発熱領域における温度分布を制御する構成になっておらず、温度分布の差による薄膜への影響など温度分布制御の工夫が全く考慮されていない。この温度分布の差によって、膜厚が均一なかつ均質な薄膜を形成することができない。菱形状構造物11、流線形状構造物12および網状構造物13は、それら自体の形状および配置が経時的に変化しないので、原料ガスの流量および温度が変化する環境下では、反応管2a内の環境条件を最適にかつ一定に維持することができない。さらに原料ガスの流量および温度の経時的な変化に対応するために設計しようとする場合、設計時に形状を決定することは、非常に困難を極めるとともに、仮に流体シミュレーション技術によって構造物を設計した場合であっても、加工精度の問題および成膜過程での反応物が構造物に付着して、形状が変化によって効果を維持することが極めて困難である。また網状構造物13を用いる場合、網状構造物13に当たった原料ガスが、周囲の原料ガスに影響を及ぼして渦を発生させることおよび流れを乱すこと、ならびに成膜過程での反応物が構造物に付着して、目詰まりを起こしてしまう。
【0006】
本発明の目的は、薄膜形成時に、基材への導入状態および基材の温度を含む基材状態を制御して、膜厚が均一でありかつ均質の薄膜を基材に形成することができる半導体処理装置および半導体処理方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、原料ガスをガス導入口から基材が設けられる反応室に導入し、基材を加工処理する半導体処理装置であって、
基材への導入状態および基材の温度を含む基材状態を調整可能に設けられる状態調整手段と、
前記基材状態を検出する状態検出手段と、
薄膜の膜厚を検出する膜厚検出手段と、
状態検出手段および膜厚検出手段の各検出結果に基づいて、所望の膜厚の薄膜が得られる基材状態となるように、状態調整手段を制御する制御手段とを備える半導体処理装置である。
【0008】
本発明に従えば、原料ガスが、ガス導入口から基材が設けられる反応室に導入されて、たとえば基材に薄膜が形成されるなどして基材が加工処理される。薄膜を形成するにあたって、基材への導入状態および基材の温度を含む基材状態が、状態検出手段によって検出され、薄膜の膜厚が膜厚検出手段によって検出される。状態検出手段および膜厚検出手段の各検出結果に基づいて、所望の膜厚の薄膜が得られる基材状態となるように、状態調整手段が、制御手段によって制御される。状態調整手段が制御手段によって制御されることによって、基材状態が所望の状態になるように調整される。薄膜の形成時に、基材状態および薄膜の膜厚の検出結果に基づいて、基材状態を所望の基材状態になるように調整するので、膜厚が均一であり、かつ均質な薄膜を基板に形成することができる。
【0009】
また本発明は、前記状態調整手段は、
ガス導入口と基材との間に設けられ、ガス導入口付近における原料ガスの流下方向を調整する方向調整部と、
基材に臨んで設けられ、基材に接触する原料ガスの流速を調整する流速調整部と、
ガス導入口に設けられ、ガス導入口から反応室に導入される原料ガスの導入流量を調整する流量調整部とのうち少なくともいずれか1つを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に従えば、ガス導入口付近における原料ガスの流下方向が、ガス導入口と基材との間に設けられる方向調整部によって調整される。基材に接触する原料ガスの流速が、基材に臨んで設けられる流速調整部によって調整される。ガス導入口から反応室に導入される原料ガスの導入流量が、ガス導入口に設けられる流量調整部によって調整される。前述の状態調整手段には、方向調整部、流速調整部および流量調整部のうち少なくともいずれか1つが備えられる。これによって原料ガスの流下方向と、基材に接触する原料ガスの流速と、原料ガスの導入流量とのうち少なくともいずれか1つを調整して、基材状態を調整することができる。
【0011】
また本発明は、原料ガスをガス導入口から基材が設けられる反応室に導入し、基材を加工処理する半導体処理方法であって、
基材への導入状態および基材の温度を含む基材状態を検出する状態検出工程と、
薄膜の膜厚を検出する膜厚検出工程と、
状態検出工程および膜厚検出工程での各検出結果に基づいて、所望の膜厚の薄膜が得られる基材状態となるように、前記基材状態を調整する状態調整工程とを含むことを特徴とする半導体処理方法である。
【0012】
本発明に従えば、原料ガスが、ガス導入口から基材が設けられる反応室に導入されて、たとえば基材に薄膜が形成されるなどして基材が加工処理される。薄膜を形成するにあたって、基材への導入状態および基材の温度を含む基材状態が、状態検出工程で検出されるとともに、薄膜の膜厚が、膜厚検出工程で検出される。状態検出工程および膜厚検出工程での各検出結果に基づいて、所望の膜厚の薄膜が得られる基材状態となるように、前記基材状態が状態調整工程で調整される。薄膜の形成時に、基材状態および薄膜の膜厚の検出結果に基づいて、基材状態が所望の基材状態になるように調整されるので、膜厚が均一であり、かつ均質な薄膜を基材に形成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施の形態である半導体処理装置20の構成を簡略化して示す断面図である。図2は、反応炉22の一部を示す断面図である。図3は、反応炉22の一部を示す断面図である。図4は、半導体処理装置20の構成を示すブロック図である。半導体処理装置20は、たとえば薄膜の原料物質を用いて基材である被処理基板21に薄膜を形成するなどして、被処理基板21を加工処理するための装置である。半導体処理装置20は、気相法に基づいて、薄膜を形成する気相成長装置によって実現される。本実施の形態では、半導体処理装置20は、有機金属化学気相蒸着(Metal Organic Chemical Vapor Deposition;略称MOCVD)法などの化学的蒸着(Chemical Vapor Deposition;略称CVD)法を用いて、薄膜を形成する。半導体処理装置20が気相成長装置である場合、原料ガスは、形成すべき薄膜材料を含む元素によって構成される、1種以上の化合物気体または単体気体である。半導体処理装置20は、反応炉22、反応管23、ガス導入口24、ガス排気口25、状態調整手段26、状態検出手段27、膜厚検出手段28、制御手段29および記録手段30を備える。
【0014】
反応炉22は、直方体状の筐体であって、耐熱性を有する材料から成る。反応炉22の第1方向P一方側の側面部である第1炉側面部35は、第1貫通孔36を有する。第1方向Pは、反応炉22の予め定める一辺に平行な方向であり、反応炉22に後述の反応管23が収容される状態で、反応管23の軸線L23が平行に配置される方向である。第1貫通孔36は、軸線方向および周方向に沿った周縁部を有する長方形状であり、第1炉側面部35を貫通する。第1貫通孔36は、後述のガス導入口24を挿通可能に形成される。反応炉22の第1方向P他方側の側面部である第2炉側面部37は、第2貫通孔38を有する。第2貫通孔38は、軸線方向および周方向に沿った周縁部を有する長方形状であり、第2炉側面部37を貫通する。第2貫通孔38は、後述のガス排気口25を挿通可能に形成される。第1貫通孔36と第2貫通孔38とは、相互に対向する位置に配置される。本実施の形態では、反応炉22の前記予め定める一辺に垂直な二辺のうち、一方の一辺に平行な方向を第2方向Qとし、他方の一辺に平行な方向を第3方向Rとする。
【0015】
反応管23は、薄膜を形成するための反応室であって、筒状に形成される。図1〜図3の例では、反応管23は、その軸線L23に垂直な断面が長方形状になるように形成される角筒状である。反応管23は、耐熱性を有する材料、たとえば石英から成る。反応管23は、反応炉22によって外囲される収容空間40に配置されて、反応炉22に収容される。反応管23が反応炉22に収容される状態で、反応管23の軸線は、第1方向Pに平行である。反応管23の第1方向P一方側の一端部41は、第1炉側面部35に対向し、反応管23の第1方向P他方側の他端部42は、第2炉側面部37に対向する。
【0016】
反応管23の第2方向Q一方側の側面部である第1管側面部43は、第1炉側面部35に対向し、第1透孔44を有する。第1透孔44は、その軸線方向および周方向に沿った周縁部を有し、第1管側面部43を貫通する。第1透孔44は、後述の膜厚検出手段28を挿通可能に形成される。反応管23の第2方向Q他方側の側面部である第2管側面部45は、第2炉側面部37に対向し、第2透孔46を有する。第2透孔46は、その軸線方向および周方向に沿った周縁部を有し、第2管側面部45を貫通する。第2透孔46は、後述のサセプタを挿通可能に形成される。第1透孔44と第2透孔46とは、相互に対向する位置に配置される。本実施の形態では、第1透孔44は、第1管側面部43の略中央部に配置されるとともに、第2透孔46は、第2管側面部45の略中央部に配置される。
【0017】
ガス導入口24は、原料ガスを導入するための導入口であって、大略的に有底筒状に形成される。ガス導入口24は、軸線に垂直な断面が長方形状に形成される。ガス導入口24の軸線方向一方側の一端部47は、ガス導入口24の軸線に垂直な底部48を有する。ガス導入口24の底部48は、1または複数の透孔を有する。底部48の透孔は、軸線方向および周方向に沿った周縁部を有し、底部48を貫通する。ガス導入口24の軸線方向他方側の他端部49は、開放するように形成される。ガス導入口24は、その軸線が第1方向Pに平行に配置される状態で、ガス導入口24の一端部47が第1貫通孔36に挿通されて、第1炉側面部35に設けられる。ガス導入口24が第1炉側面部35に設けられる状態で、ガス導入口24の他端部49は、反応管23の一端部41に対向し、かつ反応管23の一端部41に対応する形状に形成される。
【0018】
ガス排気口25は、被処理基板21を通過した原料ガスと、薄膜形成時に発生する副生成ガスとを含む残留ガスを排気するための排気口である。ガス排気口25は、軸線に垂直な断面が長方形状に形成される筒体である。ガス排気口25は、その軸線が第1方向Pに平行に配置される状態で、ガス排気口25の軸線方向一方側の一端部55が第2貫通孔38に挿通されて、第2炉側面部37に設けられる。ガス排気口25が第2炉側面部37に設けられる状態で、ガス排気口の軸線方向他方側の他端部56は、反応管23の他端部42に対向し、かつ反応管23の他端部42に対応する形状に形成される。ガス排気口25の他端部56は、反応管23の他端部42に周方向全周にわたって当接される。このようにして原料ガスの流路58が、ガス導入口24とガス排気口25とが反応管23によって連結されて形成されるとともに、反応炉22を第1方向Pに貫通して設けられる。
【0019】
基材である被処理基板21は、薄膜が形成される対象物である。半導体処理装置20は、サセプタ59をさらに備える。サセプタ59は、耐熱性を有する材料から成り、被処理基板21を保持する。サセプタ59は、その軸線が第2方向Qに平行になるように、第2管側面部45の第2透孔46に設けられる。サセプタ59の第2方向Q一方側の底面部60は、凹所61を有する。凹所61は、軸線方向および周方向に沿った周縁部を有する円形状であり、軸線方向一方側から他方側に向けて没入する。凹所61は、被処理基板21を嵌め込むことができるように、被処理基板21の直径および厚みとほぼ同一になるように形成される。サセプタ59は、その底面部60が反応管23の第1管側面部43に臨むようにして、第2管側面部45の第2透孔46に挿通される。前記凹所61には、被処理基板21が設けられる。サセプタ59および被処理基板21が反応炉22に収容される状態で、サセプタ59および被処理基板21の第1管側面部43に臨む表面は、第2管側面部45の第1管側面部43に臨む表面と略面一になっている。
【0020】
状態調整手段26は、基材状態、すなわち被処理基板21への原料ガスの導入状態と被処理基板21の温度とを含む基板状態を調整可能に設けられる。被処理基板21への原料ガスの導入状態は、原料ガスの流速、流量および流下方向を含む。基板状態は、被処理基板21付近の温度と、被処理基板21付近の原料ガスの流速をさらに含む。流下方向は、原料ガスがガス導入口からガス排気口に向けて流下する方向であり、第1方向P、第2方向Qおよび第3方向Rのうち少なくともいずれか1つの方向成分を有する。状態調整手段26は、方向調整部65、流速調整部66および流量調整部67のうち少なくともいずれか1つを備える。本実施の形態では、状態調整手段26は、方向調整部65、流速調整部66および流量調整部67のすべての調整部を備えるとともに、加熱部68をさらに備える。
【0021】
方向調整部65は、ガス導入口24と被処理基板21との間に設けられる。具体的には方向調整部65は、反応管23によって外囲される内部空間62に、かつ反応管23の一端部41近傍に配置される。方向調整部65は、第3方向Rに平行な軸線L69を有する複数の第1〜第3軸部材69a,69b,69cと、複数の第1〜第3ルーバー70,71,72とを含んで構成される。第1〜第3軸部材69a〜69cと第1〜第3ルーバー70〜72とは、耐熱性を有する材料から成る。第1軸部材69aは、反応管23の第3方向R両側の側面部50,51に、軸線L69aまわりに角変位可能に設けられる。第2軸部材69bは、反応管23の第3方向R両側の側面部50,51に、軸線L69bまわりに角変位可能に設けられる。第3軸部材69cは、反応管23の第3方向R両側の側面部50,51に、軸線L69cまわりに角変位可能に設けられる。第1〜第3軸部材69a〜69cは、第2方向Qに間隔をあけて設けられる。第1軸部材69aは、第2および第3軸部材69b,69cよりも第1管側面部43寄りに配置される。第2軸部材69bは、第1軸部材69aと第3軸部材69cとの間に配置される。第3軸部材69cは、第1および第2軸部材69a,69bよりも第2管側面部45寄りに配置される。
【0022】
図1〜図3の例では、第1〜第3ルーバー70〜72は、板状、具体的には長方形平板である。第1ルーバー70は、第1軸部材69aに設けられる。第2ルーバー71は、第2軸部材69bに設けられる。第3ルーバー72は、第3軸部材69cに設けられる。第1ルーバー70が第1軸部材69aに設けられる状態で、第1ルーバー70の厚み方向一方側の表面は、第1管側面部43に対向し、第1ルーバー70の厚み方向他方側の表面は、第2ルーバー71に対向する。第2ルーバー71が第2軸部材69bに設けられる状態で、第2ルーバー71の厚み方向一方側の表面は、第1ルーバー70の厚み方向他方側の表面に対向し、第2ルーバー71の厚み方向他方側の表面は、第3ルーバー72に対向する。第3ルーバー72が第3軸部材69cに設けられる状態で、第3ルーバー72の厚み方向一方側の表面は、第2ルーバー71の厚み方向一方側の表面に対向し、第3ルーバー72の厚み方向他方側の表面は、第2管側面部45に対向する。
【0023】
方向調整部65は、図示しない駆動手段をさらに有する。この駆動手段によって、第1〜第3軸部材69a〜69cが、それらの軸線L69a〜L69cまわりに角変位される。第1軸部材69aの角変位に伴って、第1ルーバー70が反応管23に対して、軸線L69aまわりに揺動する。これによって第1ルーバー70の第1基準面73に対する傾斜角度が変更される(以下、「第1ルーバー70の第1基準面73に対する傾斜角度」を、単に「第1ルーバー70の角度」と表記する場合がある)。第2軸部材69bの角変位に伴って、第2ルーバー71が反応管23に対して、軸線L69bまわりに揺動する。これによって第2ルーバー71の第1基準面73に対する傾斜角度が変更される(以下、「第2ルーバー71の第1基準面73に対する傾斜角度」を、単に「第2ルーバー71の角度」と表記する場合がある)。第3軸部材69cの角変位に伴って、第3ルーバー72が反応管23に対して、軸線L69cまわりに揺動する。これによって第3ルーバー72の第1基準面73に対する傾斜角度が変更される(以下、「第3ルーバー72の第1基準面73に対する傾斜角度」を、単に「第3ルーバー72の角度」と表記する場合がある)。第1基準面73は、第2方向Qに垂直な一仮想平面である。このように方向調整部65を構成することによって、ガス導入口24付近における原料ガスの流下方向が調整される。第1ルーバー70の角度と第2ルーバー71の角度と第3ルーバー72の角度とは、相互に独立して調整される。以下、第1ルーバー70の角度、第2ルーバー71の角度および第3ルーバー72の角度のうち少なくともいずれか1つを指す場合、「第1〜第3ルーバー70〜72の各ルーバーの角度」と表記する場合がある。
【0024】
流速調整部66は、内部空間62に配置されるとともに、被処理基板21に臨んで設けられる。流速調整部66は、第3方向Rに平行な軸線L73を有する軸部材74と、複数のルーバーすなわち第4〜第7ルーバー75〜78とを含んで構成される。軸部材74と第4〜第7ルーバー75〜78とは、耐熱性を有する材料から成る。図1〜図3の例では、第4〜第7ルーバー75〜78は、板状、具体的には長方形平板である。軸部材74は、反応管23の第3方向R両側の側面部、すなわち第3管側面部50および第4管側面部51に、軸線L74まわりに角変位可能に設けられる。第3管側面部50は、反応管23の第3方向R一方側の側面部である。第4管側面部51は、反応管23の第3方向R他方側の側面部である。軸部材74は、第1方向Pに関して、被処理基板21よりも反応管23の一端部41寄りに配置される。
【0025】
第4〜第7ルーバー75〜78は、軸部材74に設けられる。第4〜第7ルーバー75〜78が軸部材74に設けられる状態で、第4〜第7ルーバー75〜78は、第3方向Rに並べて配置される。さらに第4〜第7ルーバー75〜78は、相互に独立して軸線まわりに角変位することができるように、軸部材74に設けられる。第4ルーバー75が軸部材74に設けられる状態で、その厚み方向一方側の表面は、第1管側面部43に対向し、その厚み方向他方側の表面は、第2管側面部75に対向する。第5ルーバー76が軸部材74に設けられる状態で、その厚み方向一方側の表面は、第1管側面部43に対向し、その厚み方向他方側の表面は、第2管側面部75に対向する。第6ルーバー77が軸部材74に設けられる状態で、その厚み方向一方側の表面は、第1管側面部43に対向し、その厚み方向他方側の表面は、第2管側面部75に対向する。第7ルーバー78が軸部材74に設けられる状態で、その厚み方向一方側の表面は、第1管側面部43に対向し、その厚み方向他方側の表面は、第2管側面部75に対向する。
【0026】
流速調整部66は、図示しない駆動手段をさらに有する。この駆動手段によって、軸部材74がその軸線L74まわりに角変位される。軸部材74の角変位に伴って、第4〜第7ルーバー75〜78が反応管23に対して、軸線L74まわりにそれぞれ揺動する、換言すると軸線L74まわりに角変位される。本実施の形態では、第4〜第7ルーバー75〜78は、軸線L74まわりに相互に独立して角変位できるように、軸部材74に設けられている。第4〜第7ルーバー75〜78がそれぞれ角変位されることによって、第4〜第7ルーバー75〜78の各ルーバーと被処理基板21との間の間隔が、第1方向Pに関してそれぞれ変化する。
【0027】
第4ルーバー75が角変位されることによって、第4ルーバー75の第1基準面73に対する傾斜角度が変化する(以下、「第4ルーバー75の第1基準面73に対する傾斜角度」を、単に「第4ルーバー75の角度」と表記する場合がある)。第5ルーバー76が角変位されることによって、第5ルーバー76の第1基準面73に対する傾斜角度が変化する(以下、「第5ルーバー76の第1基準面73に対する傾斜角度」を、単に「第5ルーバー76の角度」と表記する場合がある)。第6ルーバー77が角変位されることによって、第6ルーバー77の第1基準面73に対する傾斜角度が変化する(以下、「第6ルーバー77の第1基準面73に対する傾斜角度」を、単に「第6ルーバー77の角度」と表記する場合がある)。第7ルーバー78が角変位されることによって、第7ルーバー78の第1基準面73に対する傾斜角度が変化する(以下、「第7ルーバー78の第1基準面73に対する傾斜角度」を、単に「第7ルーバー78の角度」と表記する場合がある)。
【0028】
第4〜第7ルーバー75〜78の角度を変化させることによって、第4〜第7ルーバー75〜78の各ルーバーと被処理基板21とに挟まれる領域において、原料ガスの流下方向に垂直な断面積が、流下方向に関して調整される。さらに第4〜第7ルーバー75〜78を相互に独立して角変位させるので、第4〜第7ルーバー75〜78の各ルーバーと被処理基板21とに挟まれる領域において、原料ガスの流下方向に垂直な断面積が、1つのルーバーを用いる場合に比べて、さらに精度良く調整される。原料ガスの流速が流下方向に関して調整される。前記断面積を流下方向に関して調整することによって、第4〜第7ルーバー75〜78の各ルーバーと被処理基板21とに挟まれる領域において、原料ガスの流速の分布が均一になるように調整される。これによって被処理基板21に接触する原料ガスの流速が、被処理基板21において速度差が生じないように調整される。以下、第4ルーバー75の角度、第5ルーバー76の角度、第6ルーバー77の角度および第7ルーバー78の角度のうち少なくともいずれか1つを指す場合、「第4〜第7ルーバー75〜78の各ルーバーの角度」と表記する場合がある。
【0029】
流量調整部67は、ガス導入口24に設けられる。流量調整部67は、原料ガスを反応管23に導入するための複数のノズル、すなわち第1〜第6ノズル79a〜79fを有する。第1〜第6ノズル79a〜79fは、耐熱性を有する材料から成る。第1〜第6ノズル79a〜79fは、筒状に形成され、かつ第2方向Qに平行な一仮想軸線まわりに角変位可能に、ガス導入口24によって保持される。図1〜図3の例では、第1〜第6ノズル79a〜79fが、ガス導入口24の底部48の透孔に設けられる。第1〜第3ノズル79a〜79cは、第3方向Rに相互に間隔をあけて配置される。第4〜第6ノズル79d〜79fは、第3方向Rに相互に間隔をあけて配置される。第1〜第3ノズル79a〜79cは、たとえば第2方向Qに関して、第1軸部材69aと第2軸部材69bとの間に配置される。第4〜第6ノズル79d〜79fは、たとえば第2方向Qに関して、第2軸部材69bと第3軸部材69cとの間に配置される。
【0030】
流量調整部67は、図示しない駆動手段をさらに有する。この駆動手段によって、第1〜第6ノズル79a〜79fは、相互に独立にかつ第2方向Qに平行な軸線まわりに角変位される。第1ノズル79aが角変位されることによって、第1ノズル79aの第2基準面80に対する傾斜角度が変化する(以下、「第1ノズル79aの第2基準面80に対する傾斜角度」を、単に「第1ノズル79aの角度」と表記する場合がある)。第2基準面80は、第3方向Rに垂直な一仮想平面である。第2ノズル79bが角変位されることによって、第2ノズル79bの第2基準面80に対する傾斜角度が変化する(以下、「第2ノズル79bの第2基準面80に対する傾斜角度」を、単に「第1ノズル79bの角度」と表記する場合がある)。第3ノズル79cが角変位されることによって、第3ノズル79cの第2基準面80に対する傾斜角度が変化する(以下、「第3ノズル79cの第2基準面80に対する傾斜角度」を、単に「第3ノズル79cの角度」と表記する場合がある)。
【0031】
第4ノズル79dが角変位されることによって、第4ノズル79dの第2基準面80に対する傾斜角度が変化する(以下、「第4ノズル79dの第2基準面80に対する傾斜角度」を、単に「第4ノズル79dの角度」と表記する場合がある)。第5ノズル79eが角変位されることによって、第5ノズル79eの第2基準面80に対する傾斜角度が変化する(以下、「第5ノズル79eの第2基準面80に対する傾斜角度」を、単に「第5ノズル79eの角度」と表記する場合がある)。第6ノズル79fが角変位されることによって、第6ノズル79fの第2基準面80に対する傾斜角度が変化する(以下、「第6ノズル79fの第2基準面80に対する傾斜角度」を、単に「第6ノズル79fの角度」と表記する場合がある)。
【0032】
流量調整部67は、流体の流量を調整するためのマスフローコントローラ78をさらに有する。マスフローコントローラ78によって、原料ガスの導入流量が、第1〜第6ノズル79a〜79fの各ノズル毎に調整されて、各ノズルを介して反応管23に導入される。第1〜第3ノズル79a〜79cから反応管23に導入された原料ガスは、第1ルーバー70と第2ルーバー71との間を通過して、被処理基板21に導かれる。第4〜第6ノズル79d〜79fから反応管23に導入された原料ガスは、第2ルーバー71と第3ルーバー72との間を通過して、被処理基板21に導かれる。本実施の形態では、第1〜第6ノズル79a〜79fの各ノズルを、第2方向Qに平行な軸線まわりに、相互に独立して角変位させるので、流量調整部67によっても、原料ガスの流下方向を調整することができる。以下、第1ノズル79aの角度、第2ノズル79bの角度、第3ノズル79cの角度、第4ノズル79dの角度、第5ノズル79eの角度および第6ノズル79fの角度のうち少なくともいずれか1つを指す場合、「各ノズル79a〜79fの角度」と表記する場合がある。
【0033】
加熱部68は、被処理基板21および反応管23を加熱するための加熱手段である。加熱部68は、収容空間40に配置されて反応炉22に収容される。加熱部68は、被処理基板21を加熱するための第1ヒータ81と、反応管23を加熱するための第2〜第5ヒータ82〜85とを含んで構成される。第1ヒータ81は、サセプタ59に関して被処理基板21とは反対側に配置されて、サセプタ59に設けられる。サセプタ59および第1ヒータ81は、被処理基板21をサセプタ59に着脱可能に、第3炉側面部52に対して第2方向Qに変位可能に反応炉22に収容される。第3炉側面部52は、反応炉22の第2方向Q他方側の側面部であって、第2管側面部45に対向する。図1〜図3の例では、被処理基板21、サセプタ59および第1ヒータ80は、第3炉側面部52に設けられる保持部材53によって、第3炉側面部52に対して第2方向Qに変位可能に保持される。
【0034】
第2〜第5ヒータ82〜85は、収容空間40に配置されて反応炉22に収容される。第2ヒータ82および第3ヒータ83は、たとえば第2方向Qに関して反応管23を挟む位置に配置される。さらに第2ヒータ82および第3ヒータ83は、第2管側面部45の第2透孔46よりも反応管23の一端部41寄りに配置される。第2ヒータ82は、第1管側面部43に対向し、第3ヒータ83は、第2管側面部45に対向する。第4ヒータ84および第5ヒータ85は、たとえば第2方向Qに関して反応管23を挟む位置に配置される。さらに第4ヒータ84および第5ヒータ85は、第2管側面部45の第2透孔46よりも反応管23の他端部42寄りに配置される。第4ヒータ84は、第1管側面部43に対向し、第5ヒータ85は、第2管側面部45に対向する。第2〜第5ヒータ82〜85は、たとえば反応炉22に保持される。
【0035】
第1ヒータ81によって、第1加熱領域86における温度が調整される。第1加熱領域86は、流路の第1ヒータ81が臨む領域を含む。第1ヒータ81は、第1加熱領域86のうち予め定める複数の領域を、相互に独立して加熱することができるように構成されている。第1加熱領域86のうち予め定める複数の領域は、たとえば被処理基板21の半径方向に関して、隣接して並ぶ複数の領域である。第1ヒータ81によって、第1加熱領域86内の領域毎に温度が調整される。第2および第3ヒータ82,83によって、第2加熱領域87における温度が調整される。第2加熱領域87は、流路の第2および第3ヒータ82,83に挟まれる領域とを含む。第2および第3ヒータ82,83は、第2加熱領域87のうち予め定める複数の領域を、相互に独立して加熱することができるように構成されている。第2加熱領域87のうち予め定める複数の領域は、たとえば第1方向Pに隣接して並ぶ複数の領域である。第2および第3ヒータ82,83によって、第2加熱領域87内の領域毎に温度が調整される。
【0036】
第4および第5ヒータ84,85によって、第3加熱領域88における温度が調整される。第3加熱領域88は、流路の第4および第5ヒータ84,85に挟まれる領域を含む。第4および第5ヒータ84,85は、第3加熱領域88のうち予め定める複数の領域を、相互に独立して加熱することができるように構成されている。第3加熱領域88のうち予め定める複数の領域は、たとえば第1方向Pに隣接して並ぶ複数の領域である。第4および第5ヒータ84,85によって、第3加熱領域88内の領域毎に温度が調整される。前述のように状態調整手段27を構成することによって、所望の膜厚の薄膜が得られる基板状態となるように、方向調整部65、流速調整部66、流量調整部67および加熱部68が、協働して温度、流速、流量および流下方向を物理的に調整する。
【0037】
状態検出手段27は、基板状態を検出するための手段である。状態検出手段27は、温度センサおよび流速センサなどによって実現される。状態検出手段27は、内部空間62に臨むようにして反応管23に設けられる。状態検出手段27は、予め定める1または複数の状態検出位置(図5参照)における基板状態を検出する。本実施の形態では、複数の状態検出位置が、被処理基板21付近に配置される。状態検出手段27は、流速検出部90および温度検出部91を含んで構成される。流速検出部90は、流速センサによって実現され、原料ガスの流速を検出する。温度検出部91は、温度センサによって実現され、被処理基板21の温度および被処理基板21付近の温度などを検出する。
【0038】
流速検出部90および温度検出部91は、たとえば第2管側面部45の状態検出位置と対応する位置に透孔を設けるなどして、反応管23に設けられる。状態検出位置における原料ガスの流速が、流速検出部90によって検出されて、被処理基板21付近の原料ガスの流速であるガス流速が検出される。さらに状態検出位置における温度が、温度検出部91によって検出されて、被処理基板21付近の温度である付近温度が検出される。付近温度は、第2透孔46の周縁部の状態検出位置と対応する部分の温度と、状態検出位置付近の気相の温度とを含む。
【0039】
膜厚検出手段28は、被処理基板21に形成される薄膜の膜厚を検出する。膜厚検出手段28は、レーザ光を用いて膜厚を検出するセンサなどによって実現される。膜厚検出手段28は、反応管23に設けられるとともに、被処理基板21に臨んで設けられる。膜厚検出手段28は、たとえば耐熱性を有するケーシングなどに収容されるなどして第1管側面部43の第1透孔44に設けられて、被処理基板21に臨む。膜厚検出手段28は、被処理基板21の予め定める1または複数の膜厚検出位置(図5参照)において形成される薄膜の膜厚を検出する。本実施の形態では、複数の膜厚検出位置が、たとえば被処理基板21の内部空間62に臨む一表面21aにおいて設定される一仮想円54の周方向に沿って、同じ間隔をあけて配置される。前記一仮想円54は、被処理基板21の軸線と被処理基板21の前記一表面21aとの交点を中心とする円であり、被処理基板21の直径よりも小さい直径を有する。
【0040】
制御手段29は、状態検出手段27および膜厚検出手段28の各検出結果に基づいて、所望の膜厚の薄膜が得られる基板状態となるように、状態調整手段26を制御する。制御手段29は、情報処理部92および制御部93を有する。情報処理部92は、状態検出手段27および膜厚検出手段28の各検出結果を分析し、最適な基板状態にするための制御条件を判断する。制御条件は、第1〜第3ルーバー70〜72の各ルーバーの角度、第4〜第7ルーバー75〜78の各ルーバーの角度、第1〜第6ノズルの各ノズルの角度、原料ガスの導入流量および第1〜第5ヒータ81〜85による加熱温度などの各種の設定値を含む。制御部93は、情報処理部92によって判断されて設定された制御条件に基づいて、状態調整手段27を制御する。
【0041】
記録手段30は、状態検出手段27および膜厚検出手段28の各検出結果と、情報処理部92によって設定される設定値とを含む経験情報を、将来の判断材料として用いるために記録する。記録手段30は、たとえばランダムアクセスメモリ(Random Access Memory;略称RAM)などによって実現される。記録手段30には、膜厚理想値、初期目標値および初期制御条件を含む初期情報が、予め記録されている。膜厚理想値は、過去の実績およびシミュレーション解析などによって得られた膜厚に関する理想値である。膜厚理想値は、予め定める膜厚検出位置において、薄膜形成のプロセスを開始してからの予め定める経過時間と、その経過時間における膜厚の理想値とを含む。初期目標値は、膜厚理想値に従って薄膜を形成するための、薄膜形成のプロセス開始時における基板状態の初期値である。初期制御条件は、膜厚理想値に従って薄膜を形成するための、薄膜形成のプロセス開始時における設定値の初期値を含む制御条件である。
【0042】
記録手段30が経験情報を記録するにあたって、膜厚の理想値と、実際の膜厚の検出値と、膜厚の理想値と膜厚の検出値との差を補うために設定された設定値とを、個別にかつ関連付けて記録する。記録手段30には、状態調整手段26に関する制御ノウハウがさらに記録されており、情報処理部92は、この制御ノウハウも考慮して設定値を設定している。状態調整手段26に関する制御ノウハウは、たとえば方向調整部65、流速調整部66、流量調整部67および加熱部68を、同時にまたは予め定める順番に調整するなどの状態調整手段26の制御手順を含む。
【0043】
前述の状態調整手段26、状態検出手段27、膜厚検出手段28、情報処理部92、制御部93および記録手段30は、図4に示すように、電気的に接続される。状態検出手段27は、予め定める状態検出位置における基板状態を検出して、その検出結果を表わす信号を情報処理部92に与える。膜厚検出手段28は、予め定める膜厚検出位置における薄膜の膜厚を検出して、その検出結果を表わす信号を情報処理部92に与える。記録手段30は、経験情報および初期情報などの各種の情報を表わす信号を情報処理部92に与える。情報処理部92は、状態検出手段27、膜厚検出手段28および記録手段30からの各信号に基づいて、制御条件を判断して各種の設定値を設定する。情報処理部92は、その設定値を表わす信号を制御部93に与える。
【0044】
制御部93は、情報処理部92からの信号に基づいて、基板状態を調整するように制御するための制御信号を状態調整手段に与える。具体的には制御部93は、方向調整部65、流速調整部66および流量調整部67の各駆動手段と、流量調整部67のマスフローコントローラとに制御信号を与える。方向調整部65の駆動手段は、制御部93からの制御信号に基づいて、第1〜第3ルーバー70〜72の各ルーバーの角度を調整する。流速調整部66の駆動手段は、制御部93からの制御信号に基づいて、第4〜第7ルーバー75〜78の各ルーバーの角度を調整する。流量調整部67の駆動手段は、制御部93からの制御信号に基づいて、各ノズル79a〜79fの角度を調整する。マスフローコントローラは、制御部93からの制御信号に基づいて、原料ガスの導入流量を調整する。
【0045】
このように構成される半導体処理装置20において、原料ガスが、流量調整部67の第1〜第6ノズル79a〜79fの各ノズルを介して、ガス導入口24から反応管23に導入される。原料ガスが被処理基板21に導かれるまでに、第2および第3ヒータ82,83によって第2加熱領域87が温められるとともに、第1ヒータ81によって第1加熱領域86が温められる。これによって被処理基板21および被処理基板21付近において、化学反応が促進されて原料ガスによって薄膜が被処理基板21に形成される。薄膜の形成時には、状態検出手段27および膜厚検出手段28によって、状態検出位置における基板状態と膜厚検出位置における薄膜の膜厚とがリアルタイムに検出されている。
【0046】
状態検出手段27による検出結果と、膜厚検出手段28による検出結果と、記録手段30に記録される各種の情報とに基づいて、情報処理部92は、所望の膜厚の薄膜が得られる基板状態となるように制御条件の各種の設定値を設定する。設定値に基づいて、制御部93が状態調整手段26を制御して、基板状態が調整される。これによって所望の流量の原料ガスが、所望の流下方向および位置に流下される。さらに設定値に基づいて、第4〜第7ルーバー75〜78の各ルーバーと被処理基板21とに挟まれる領域における原料ガスの流速差が、最小にすなわち均一になるように、原料ガスの流速が流下方向に関して調整される。これによって所望の流速の原料ガスが被処理基板に接触しながら流下する。また被処理基板21を通過した原料ガスと、薄膜形成時に発生した副生成ガスを含む残留ガスは、ガス排気口25から排気される。このように薄膜を形成するにあたって基板状態と薄膜の膜厚とをリアルタイムに検出して、その検出結果に基づいて基板状態を調整しながら薄膜を形成するので、膜厚が均一であり、かつ均質な薄膜を形成することができる。
【0047】
図5は、第1〜第8状態検出位置A〜Hと第1〜第8膜厚検出位置a〜hとの一例を説明するための図である。図5において、第2方向Q一方側から平面視したときの被処理基板21を示している。基板状態を検出するにあたって、図5の例では、8つの状態検出位置、すなわち第1〜第8状態検出位置A〜Hが、第2透孔46の周縁部に、周方向に同じ間隔をあけて配置される。第1〜第8状態検出位置A〜Hは、第2方向Q一方側から被処理基板21を平面視したときに、反時計まわりに第1〜第8状態検出位置A〜Hの順に配置されている。薄膜の膜厚を検出するにあたって、図5の例では、8つの膜厚検出位置、すなわち第1〜第8膜厚検出位置a〜hが、前記一仮想円の周方向に沿って、同じ間隔をあけて配置される。第1〜第8膜厚検出位置a〜hは、第2方向Q一方側から被処理基板21を平面視したときに、反時計まわりに第1〜第8膜厚検出位置a〜hの順に配置されている。第1および第5状態検出位置A,Eならびに第1および第5膜厚検出位置a,eは、前記一仮想円の中心を通りかつ第3方向Rに平行な一仮想線が通るように配置される。第3および第7状態検出位置C,Gならびに第3および第7膜厚検出位置c,gは、前記一仮想円の中心を通りかつ第1方向Pに平行な一仮想線が通るように配置される。
【0048】
図6は、薄膜形成時における経過時間と膜厚の理想値との関係を示すグラフである。図7は、第1〜第3膜厚検出位置a〜cにおける経過時間と膜厚の検出値との関係を示すグラフである。所望の膜厚の薄膜を形成するために、前述のように膜厚理想値と初期目標値とが予め設定されて記録手段30に記録されている。膜厚理想値は、たとえば図6の実線100のグラフのように表わされる。図6において、横軸は、経過時間であり、単位は秒である。図6において、縦軸は、薄膜の膜厚の理想値であり、単位はナノメートルである。膜厚理想値は、その傾き、具体的には時間に対する膜厚の変化量を表わす成膜速度が一定になるように設定される。膜厚理想値は、第1〜第8膜厚検出位置a〜hにおいて、薄膜形成のプロセスで常に目標とすべき値である。
【0049】
基板状態および薄膜の膜厚は、薄膜形成のプロセスを開始してから終了するまでの経過時間T3の間に、それぞれ同じ経過時間に検出されるとともに、複数回検出される。たとえば基板状態および薄膜の膜厚は、プロセス開始から経過時間T1だけ経過したときと、プロセス開始から経過時間T2だけ経過したときとに検出される。経過時間T2は、経過時間T1よりも予め定める時間だけ経過した後の経過時間である。経過時間T1における膜厚の理想値は、50ナノメートル(500Å)である。経過時間T2における膜厚の理想値は、55ナノメートル(550Å)である。前述の膜厚理想値に従って設定される初期目標値は、たとえば以下の表1のように表わされる。
【0050】
【表1】
【0051】
表1の例では、第1〜第8状態検出位置A〜Hにおいて、付近温度の目標値は、ともに500度[℃]に設定されるとともに、ガス流速の目標値は、ともに450ミリメートル毎秒[mm/s]に設定される。プロセス開始時には、初期目標値を達成するための予め設定される初期制御条件に基づいて、状態調整手段26は、第1〜第3ルーバー70〜72の各ルーバーの角度と、第4〜第7ルーバー75〜78の各ルーバーの角度と、各ノズル79a〜79fの角度と、マスフローコントローラによる導入流量とを調整する。
【0052】
プロセス開始から経過時間T1だけ経過したときに、第1〜第8膜厚検出位置a〜hにおける薄膜の膜厚が、膜厚検出手段28によって検出されるとともに、第1〜第8状態検出位置A〜Hにおける付近温度およびガス流速が、状態検出手段27によって検出される。たとえば第1〜第3膜厚検出位置a〜cにおいて、経過時間と膜厚検出手段28による膜厚の検出値との関係は、図7のグラフのように表わされる。第1膜厚検出位置aにおいて、経過時間と薄膜の膜厚との関係は、図7の実線101のグラフで表わされる。経過時間T1において、膜厚の理想値が50ナノメートルであるのに対して、第1膜厚検出位置aにおいて検出された膜厚の検出値は、51.2ナノメートル(512Å)である。第2膜厚検出位置bにおいて、経過時間と薄膜の膜厚との関係は、図7の実線102のグラフで表わされる。経過時間T1において、膜厚の理想値が50ナノメートルであるのに対して、第2膜厚検出位置bにおいて検出された薄膜の膜厚は、49.5ナノメートル(495Å)である。第3膜厚検出位置cにおいて、経過時間と薄膜の膜厚との関係は、図7の実線103のグラフで表わされる。経過時間T1において、膜厚の理想値が50ナノメートルであるのに対して、第3膜厚検出位置cにおいて検出された薄膜の膜厚は、49.4ナノメートル(494Å)である。さらに経過時間T1において、第1〜第8状態検出位置A〜Hにおける初期目標値と状態検出手段27による検出値とは、以下の表2のように表わされる。
【0053】
【表2】
【0054】
たとえば第1状態検出位置Aにおいて、経過時間T1における付近温度の目標値が500度[℃]であるのに対して、経過時間T1における付近温度の検出値は506度[℃]である。第1状態検出位置Aにおいて、経過時間T1におけるガス流速の目標値が450ミリメートル毎秒であるのに対して、経過時間T1におけるガス流速の検出値は420ミリメートル毎秒である。情報処理部92は、膜厚の理想値と膜厚検出手段28による膜厚の検出値との差異を比較するとともに、初期目標値と状態検出手段による検出値との差異を比較する。プロセス開始から経過時間T2だけ経過したときに、膜厚の理想値550ナノメートルまたはそれに可及的に近い値が、すべての状態検出位置で検出されるように、情報処理部92は、比較結果に基づいて第1〜第8状態検出位置A〜Hにおける最適な基板状態を判断する。情報処理部92は、この判断結果に基づいて基板状態の目標値を補正する。たとえば情報処理部92は、以下の表3に示すように、第1〜第8状態検出位置A〜Hでの基板状態の目標値を補正する。
【0055】
【表3】
【0056】
たとえば第1状態検出位置Aにおける基板状態の目標値において、経過時間T1における付近温度の目標値が500度[℃]であったのに対して、経過時間T2における付近温度の目標値は、496度[℃]に補正される。また第1状態検出位置Aにおける基板状態の目標値において、経過時間T1におけるガス流速の目標値が450ミリメートル毎秒であったのに対して、経過時間T2におけるガス流速の目標値は、460ミリメートル毎秒に補正される。情報処理部92は、補正された基板状態の目標値が得られるように、制御条件の各種の設定値を設定する。この設定値に基づいて、状態調整手段26が制御部93によって制御されて、基板状態が調整される。
【0057】
【表4】
【0058】
表4は、補正された基板状態の目標値に基づいて設定された設定値の一例を示している。たとえば表4の例では、設定された設定値は、第1〜第3ルーバ70〜72の各ルーバーの角度、第4ルーバ75の角度および第1〜第3ノズル79a〜79cの各ノズルの角度などである。
【0059】
図8は、膜厚検出手段28の一例を示す斜視図である。図9は、第1〜第8膜厚検出位置a〜hを説明するための図である。前述の膜厚検出手段28は、たとえばエリプソメータなどの光学干渉方式を利用した膜厚検出手段によって実現される。膜厚検出手段28は、出射部95、受光部96および移動治具97を含んで構成される。出射部95は、レーザ光を出射する。受光部96は、レーザ光を受光する。移動治具97は、出射部95および受光部96を被処理基板21に対して第1方向および第3方向に変位可能に保持する。前述のように膜厚検出手段28が第1管側面部43の第1透孔44に設けられる状態で、出射部95および受光部96は、被処理基板21に対して第1方向Pおよび第3方向Rに変位される。これによって被処理基板21におけるレーザ光の照射位置が変化する。
【0060】
薄膜の膜厚を検出するにあたって、レーザ光が、膜厚を検出すべき物質、すなわち被処理基板21に出射される。被処理基板21および薄膜から反射されたレーザ光が受光され、これらの偏光状態、具体的には薄膜に入射され、被処理基板21における反射光と、薄膜における反射光との偏光状態を検出する。レーザ光の偏光状態の検出結果に基づいて、被処理基板21に形成される薄膜の膜厚が検出される。前述のように膜厚検出手段28を構成することによって、薄膜の膜厚を検出すべき領域においては、膜厚検出手段28が原料ガスに接触することがない。これによって原料ガスの流れを乱すことがないので、薄膜を好適に形成することができるとともに、状態検出手段27によって基板状態を正確に検出することができる。
【0061】
図10は、本発明の半導体処理方法に従う処理の手順を示すフローチャートである。本発明の半導体処理方法は、原料ガスをガス導入口から被処理基板21が設けられる反応管23に導入して、被処理基板21を加工処理するための方法であって、たとえば原料ガスを反応管23に導入するとともに、被処理基板21を加熱して、被処理基板21に薄膜を形成するための方法である。半導体処理方法は、状態検出工程、膜厚検出工程および状態調整工程を含む。状態検出工程は、被処理基板21への導入状態と被処理基板21の温度とを含む基板状態を検出する工程である。膜厚検出工程は、薄膜の膜厚を検出する工程である。状態調整工程は、状態検出工程および膜厚検出工程での各検出結果に基づいて、所望の膜厚の薄膜が得られる基板状態となるように、基板状態を調整する工程である。本実施の形態では、半導体処理方法は、後述の制御条件判断工程と基板条件判断工程と記録工程とをさらに含む。またステップs0において、初期制御条件に基づいて設定値が既に設定されている。
【0062】
ステップs0では、半導体処理方法の処理手順、具体的には薄膜形成のプロセスを開始して、原料ガスをガス導入口24から被処理基板21に導入する。ステップs0で、半導体処理方法が開始されるとステップs1の基板状態検出工程に進む。ステップs1では、状態検出手段27が、予め定める状態検出位置、たとえば第1〜第8状態検出位置A〜Hにおける付近温度およびガス流速を基板状態として検出する。ステップs1で基板状態が検出されると、ステップs2の膜厚検出工程に進む。
【0063】
ステップs2では、膜厚検出手段28が、予め定める膜厚検出位置、たとえば第1〜第8膜厚検出位置a〜hにおける薄膜の膜厚を検出する。ステップs2で薄膜の膜厚が検出されると、ステップs3の制御条件判断工程に進む。ステップs3では、情報処理部92が、基板状態および膜厚の各検出結果と、記録手段30に記録される経験情報とに基づいて、基板状態の目標値を補正して、制御条件を判断する、具体的には制御条件の各種の設定値を設定する。ステップs3で制御条件が判断されて設定値が設定されると、ステップs4の状態調整工程に進む。
【0064】
ステップs4では、情報処理部92が制御条件を制御部93に指示し、この指示に基づいて、制御部93が状態調整手段27を制御して、状態調整手段26が基板状態を調整する。ステップs4で基板状態が調整されて、ステップs5の状態検出工程および膜厚検出工程に進む。ステップs5では、状態検出手段27が基板状態を検出するとともに、膜厚検出手段28が薄膜の膜厚を検出する。ステップs5で基板状態が検出されるとともに、薄膜の膜厚が検出されると、ステップs6の基板条件判断工程に進む。
【0065】
ステップs6では、情報処理部92が、所望の環境条件になっているか否かを判断する。具体的には情報処理部92が、検出された基板状態が、補正した基板状態の目標値になっているか否かを判断するとともに、膜厚の検出値が、膜厚の理想値または理想値に近い値になっているか否かを判断する。ステップs6で、情報処理部92が所望の環境条件になっていると判断すると、ステップs7の記録工程に進み、情報処理部92が所望の環境条件になっていないと判断すると、ステップs3に進む。
【0066】
ステップs7では、経験情報として情報処理部92にフィードバックするために、記録手段30が、所望の環境条件となっているときの、検出された基板状態および基板状態の目標値と、膜厚の検出値および理想値と、制御条件の各種の設定値とを個別にかつ関連付けて記録する。ステップs7で経験情報が記録されると、ステップs8に進んで、半導体処理方法のすべての処理手順を終了する。
【0067】
前述のように薄膜形成のプロセスを開始してから終了するまでの間に、基板状態と薄膜の膜厚とを複数回にわたって検出する。基板状態と薄膜の膜厚との検出結果と、記録手段30に記録される各種の情報とに基づいて基板状態の目標値を補正して、その補正結果に基づいて設定値を設定する。このような手順を繰り返すことによって、所望の膜厚の薄膜が得られる基板状態に導くための判断材料として、多くの経験情報を得ることができる。さらに得られた経験情報を記録手段30で記録しておくことによって、学習効果が得られるとともに、記録情報の情報量の増加に伴って、補正の精度が向上されかつ情報処理部92による基板状態の判断などの各種の処理に要する時間が短縮される。
【0068】
本実施の形態によれば、原料ガスが、ガス導入口24から被処理基板21が設けられる反応管23に導入されて、薄膜が被処理基板21に形成されるなどして被処理基板21が加工処理される。薄膜を形成するにあたって、被処理基板21への導入状態および基材の温度を含む基材状態が、状態検出手段27によって検出され、薄膜の膜厚が膜厚検出手段28によって検出される。状態検出手段27および膜厚検出手段28の各検出結果に基づいて、所望の膜厚の薄膜が得られる基材状態となるように、状態調整手段26が、制御手段29によって制御される。状態調整手段26が制御手段29によって制御されることによって、基材状態が所望の基板状態になるように調整される。薄膜の形成時に、基材状態および薄膜の膜厚の検出結果に基づいて、基材状態が所望の基材状態になるように調整される。これによって半導体デバイスを生産する生産装置の設置上および運用上の不具合をなくし、薄膜形成のプロセスの条件が変化に対して柔軟に対応することができる。したがって膜厚が均一であり、かつ均質な薄膜を被処理基板21に形成することができる。
【0069】
さらに本実施の形態によれば、ガス導入口24付近における原料ガスの流下方向が、ガス導入口24と被処理基板21との間に設けられる方向調整部65によって調整される。被処理基板21に接触する原料ガスの流速が、被処理基板21に臨んで設けられる流速調整部66によって調整される。ガス導入口24から反応管23に導入される原料ガスの導入流量が、ガス導入口24に設けられる流量調整部68によって調整される。前述の状態調整手段26には、方向調整部65、流速調整部66および流量調整部67のうち少なくともいずれか1つが備えられる。これによって原料ガスの流下方向と、被処理基板21に接触する原料ガスの流速と、原料ガスの導入流量とのうち少なくともいずれか1つを調整して、基材状態を調整することができる。
【0070】
さらに本実施の形態によれば、原料ガスが、ガス導入口24から被処理基板21が設けられる反応管23に導入されて、薄膜が被処理基板21に形成されるなどして被処理基板21が加工処理される。薄膜を形成するにあたって、被処理基板21への導入状態および被処理基板21の温度を含む基材状態が、状態検出工程で検出され、薄膜の膜厚が膜厚検出工程で検出される。状態検出工程および膜厚検出工程での各検出結果に基づいて、所望の膜厚の薄膜が得られる基材状態となるように、前記基材状態が状態調整工程で調整される。薄膜の形成時に、基材状態および薄膜の膜厚の検出結果に基づいて、基材状態が所望の基材状態になるように調整されるので、膜厚が均一であり、かつ均質な薄膜を被処理基板21に形成することができる。
【0071】
図11は、本発明の第2の実施の形態である半導体処理装置20aが備える状態検出手段27aの流速検出部90aによるガス流速の検出方法の一例を説明するための斜視図である。図12は、ガス流速の分布の一例を説明するための図である。本実施の形態の半導体処理装置20aは、前述の第1の実施の形態の半導体処理装置20と類似しており、異なる点についてだけ説明する。本実施の形態の半導体処理装置20aにおいて、第1の実施の形態の半導体処理装置20と同様の構成には同一の参照符号を付す。本実施の形態の半導体処理装置20aでは、状態検出手段27aの流速検出部90aを、第2管側面部45の状態検出位置に対応する位置に設ける代わりに、反応管23の第3管側面部および第4管側面部に設けられる。流速検出部90aは、レーザードップラー方式を用いたガス流速計、すなわちレーザードップラー流速計(Laser Doppler Velocity meter;略称LDV)によって実現される。レーザードップラー流速計は、レーザ光が単一波長を有するという特徴を生かし、流体中に含まれる微粒子からの散乱光によるドップラー効果を利用して流体の速度を光学的に検出する検出手段である。
【0072】
流速検出部90aは、2対のレーザ発光部およびレーザ受光部、具体的には第1レーザ発光部105aおよび第1レーザ受光部106aならびに第2レーザ発光部105bおよび第2レーザ受光部106bを含んで構成される。第1および第2レーザ発光部105a,105bは、レーザ光を出射するための手段である。第1レーザ発光部105aは、レーザ光の出射方向を調整可能に、第3管側面部50および第4管側面部51のいずれか一方に設けられる。第2レーザ発光部105bは、レーザ光の出射方向を調整可能に、第3管側面部50および第4管側面部51のいずれか一方に設けられる。
【0073】
第1および第2受光部106a,106bは、レーザ光を受光するための手段である。第1受光部106aは、第1レーザ発光部105aからのレーザ光を受光することができるように、第3管側面部50および第4管側面部51のいずれか他方に設けられる。第2受光部106bは、第2レーザ発光部105bからのレーザ光を受光することができるように、第3管側面部50および第4管側面部51のいずれか他方に設けられる。第1および第2発光部105a,105bならびに第1および第2受光部106a,106bは、第1発光部105aからのレーザ光と第2発光部105bからのレーザ光とが交差するように、それぞれ配置される。図11の例では、第1および第2レーザ発光部105a,105bは、第1および第2レーザ発光部105a,105bの順に第1方向Pに並んで配置され、かつ第2方向Qに平行な軸線まわりに角変位可能に設けられる。さらに図11の例では、第1および第2受光部106a,106bは、第2受光部106bおよび第1受光部106aの順に第1方向Pに並んで配置され、かつ第2方向Qに平行な軸線まわりに角変位可能に設けられる。
【0074】
第1発光部105aからのレーザ光と第2発光部105bからのレーザ光との交点は、ガス流速を検出すべき領域内に含まれ、たとえば第1〜第8状態検出位置A〜Hと対応する位置に配置される。この交点におけるドップラー効果に基づいて、第1〜第8状態検出位置A〜Hでガス流速が検出される。また前述のように第1〜第8状態検出位置A〜Hを配置することによって、図12に示すように、第3方向Rに関してガス流速の分布が不均一である場合であっても、ガス流速の分布を確実に検出することができる。さらにガス流速を検出すべき領域においては、レーザ光が通過するだけであって、流速検出部90aが原料ガスに接触することがない。これによって原料ガスの流れを乱すことなく、ガス流速を正確に検出することができる。さらに温度および圧力などの他の物理的条件に関係なく、ガス流速を正確に検出することができる。
【0075】
図13は、状態検出手段27aの温度検出部91aによる付近温度の検出方法の一例を説明するための斜視図である。図14は、被処理基板21および被処理基板21付近の温度分布の一例を説明するための図である。本実施の形態における温度検出部91aは、物体の表面から放出される赤外線をセンサによって検出して、その検出結果に基づいて物体の表面温度を映像化するサーモグラフィ(thermography)によって実現される。温度検出部91aは、たとえば耐熱性を有するケーシングに収容されるなどして第1管側面部43の第1透孔44に設けられて、被処理基板21に臨む。
【0076】
温度検出部91aは、被処理基板21を含む領域の温度分布を検出する。第1方向Q一方側からの平面視で、被処理基板21とサセプタ59と第2透孔46の周縁部とを含む領域の温度分布が検出される。温度分布は、図14に示すように、被処理基板21の半径方向に関して温度が異なる複数の領域110a〜110eによって表わされる。図14において、理解を容易にするために、複数の領域110a〜110eには斜線を付している。温度検出部91aは、温度分布に基づいて、第1〜第8状態検出位置A〜Hが含まれる領域の温度を付近温度として検出する。付近温度を検出するにあたって、予め定める座標系を温度分布に設定しておき、第1〜第8状態検出位置A〜Hの座標に対応する位置の数値を、付近温度として検出する。
【0077】
また温度検出部91aは、シミュレーションなどによって予め可視化した、換言すると映像化した理想の温度分布を求めておき、温度検出部91aによって検出された温度分布と比較して、照合する温度を付近温度として検出する構成であってもよい。前述のように温度検出部91aを構成することによって、温度を検出すべき領域においては、温度検出部91aが原料ガスに接触することがない。これによって原料ガスの流れを乱すことなく、付近温度を正確に検出することができる。
【0078】
前述の各実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、発明の範囲内において構成を変更してもよい。たとえばマスフローコントローラを用いる代わりに、各ノズルの内径を相互に異なるように形成するなどして、原料ガスの導入流量を調整する構成であってもよい。第2の実施の形態において、透光性を有する反応管23を用いて、流速検出部90aおよび温度検出部91aを、内部空間62とは反対側から反応管23に設けてもよいし、反応管23の外部にかつ反応炉22の収容空間40に臨む側面に設けてもよい。また複数の第1〜第3ルーバー70〜72を用いる代わりに、1つのルーバーを用いる構成であってもよい。第4〜第7ルーバー75〜77を用いる代わりに、1つのルーバーを用いる構成であってもよい。第1〜第6ノズル79a〜79fの代わりに、1つのノズルを用いる構成であってもよい。
【0079】
また反応管23の形状は、角筒状に限らず、たとえば円筒状などであってもよい。第1〜第3ルーバー70〜72と、第4〜第7ルーバー75〜77とは、前述の構成に加えて、第2方向Qに平行な軸線まわりに角変位可能に構成されてもよい。また第1〜第3ルーバー70〜72ならびに第4〜第7ルーバー75〜77の寸法は、たとえばそれらの第3方向Rの寸法が反応管23の第3方向Rの寸法とほぼ同一であってもよいし、反応管23の第3方向Rの寸法の半分であってもよいなど、自由に変更してよい。第1〜第6ノズル79a〜79fは、前述の構成に加えて、第3方向Rに平行な軸線まわりに角変位可能に構成されてもよい。第1〜第5ヒータ81〜85は、たとえば第2および第3ヒータ82,83ならびに第4および第5ヒータ84,85を、第3方向Rに関して反応管23を挟む位置にそれぞれ配置するなどして、それらの設置位置を自由に変更して設けられてもよい。
【0080】
また状態検出位置および膜厚検出位置は、前述の配置位置および配置数に限らず自由に変更してよい。状態検出手段27,27aの設置位置は、設定される状態検出位置における基板状態を検出することができる位置であれば自由に変更してもよい。また膜厚検出手段28の設置位置は、設定される膜厚検出位置における膜厚を検出することができる位置であれば自由に変更してもよい。またガスの流下方向は、たとえば原料ガスの種類などに応じて、自由に変更してもよい。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、原料ガスが、ガス導入口から基材が設けられる反応室に導入されて、たとえば薄膜が基材に形成されるなどして基板が加工処理される。薄膜を形成するにあたって、基材への導入状態および基材の温度を含む基材状態が、状態検出手段によって検出され、薄膜の膜厚が膜厚検出手段によって検出される。状態検出手段および膜厚検出手段の各検出結果に基づいて、所望の膜厚の薄膜が得られる基材状態となるように、状態調整手段が、制御手段によって制御される。状態調整手段が制御手段によって制御されることによって、基材状態が所望の基材状態になるように調整される。薄膜の形成時に、基材状態および薄膜の膜厚の検出結果に基づいて、基材状態を所望の基材状態になるように調整するので、膜厚が均一であり、かつ均質な薄膜を基板に形成することができる。
【0082】
また本発明によれば、ガス導入口付近における原料ガスの流下方向が、ガス導入口と基材との間に設けられる方向調整部によって調整される。基材に接触する原料ガスの流速が、基材に臨んで設けられる流速調整部によって調整される。ガス導入口から反応室に導入される原料ガスの導入流量が、ガス導入口に設けられる流量調整部によって調整される。前述の状態調整手段には、方向調整部、流速調整部および流量調整部のうち少なくともいずれか1つが備えられる。これによって原料ガスの流下方向と、基材に接触する原料ガスの流速と、原料ガスの導入流量とのうち少なくともいずれか1つを調整して、基材状態を調整することができる。
【0083】
また本発明によれば、原料ガスが、ガス導入口から基材が設けられる反応室に導入されて、たとえば薄膜が基材に形成されるなどして基板が加工処理される。薄膜を形成するにあたって、基材への導入状態および基材の温度を含む基材状態が、状態検出工程で検出されるとともに、薄膜の膜厚が、膜厚検出工程で検出される。状態検出工程および膜厚検出工程での各検出結果に基づいて、所望の膜厚の薄膜が得られる基材状態となるように、前記基材状態が状態調整工程で調整される。薄膜の形成時に、基材状態および薄膜の膜厚の検出結果に基づいて、基材状態が所望の基材状態になるように調整されるので、膜厚が均一であり、かつ均質な薄膜を基材に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である半導体処理装置20の構成を簡略化して示す断面図である。
【図2】反応炉22の一部を示す断面図である。
【図3】反応炉22の一部を示す断面図である。
【図4】半導体処理装置20の構成を示すブロック図である。
【図5】第1〜第8状態検出位置A〜Hと第1〜第8膜厚検出位置a〜hとの一例を説明するための図である。
【図6】薄膜形成時における経過時間と膜厚の理想値との関係を示すグラフである。
【図7】第1〜第3膜厚検出位置a〜cにおける経過時間と膜厚の検出値との関係を示すグラフである。
【図8】膜厚検出手段28の一例を示す斜視図である。
【図9】第1〜第8膜厚検出位置a〜hを説明するための図である。
【図10】本発明の半導体処理方法に従う処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施の形態である半導体処理装置20aが備える状態検出手段27aの流速検出部90aによるガス流速の検出方法の一例を説明するための斜視図である。
【図12】ガス流速の分布の一例を説明するための図である。
【図13】状態検出手段27aの温度検出部91aによる付近温度の検出方法の一例を説明するための斜視図である。
【図14】被処理基板21および被処理基板21付近の温度分布の一例を説明するための図である。
【図15】従来の技術の半導体処理装置1の構成を示す断面図である。
【図16】他の従来の技術の半導体処理装置10の構成を示す断面図である。
【図17】半導体処理装置10の他の構成を示す断面図である。
【図18】半導体処理装置10のさらに他の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
20,20a 半導体処理装置
21 被処理基板
22 反応炉
23 反応管
24 ガス導入口
25 ガス排気口
26 状態調整手段
27,27a 状態検出手段
28 膜厚検出手段
29 制御手段
30 記録手段
65 方向調整部
66 流速調整部
67 流量調整部
Claims (3)
- 原料ガスをガス導入口から基材が設けられる反応室に導入し、基材を加工処理する半導体処理装置であって、
基材への導入状態および基材の温度を含む基材状態を調整可能に設けられる状態調整手段と、
前記基材状態を検出する状態検出手段と、
薄膜の膜厚を検出する膜厚検出手段と、
状態検出手段および膜厚検出手段の各検出結果に基づいて、所望の膜厚の薄膜が得られる基材状態となるように、状態調整手段を制御する制御手段とを備える半導体処理装置。 - 前記状態調整手段は、
ガス導入口と基材との間に設けられ、ガス導入口付近における原料ガスの流下方向を調整する方向調整部と、
基材に臨んで設けられ、基材に接触する原料ガスの流速を調整する流速調整部と、
ガス導入口に設けられ、ガス導入口から反応室に導入される原料ガスの導入流量を調整する流量調整部とのうち少なくともいずれか1つを備えることを特徴とする請求項1記載の半導体処理装置。 - 原料ガスをガス導入口から基材が設けられる反応室に導入し、基材を加工処理する半導体処理方法であって、
基材への導入状態および基材の温度を含む基材状態を検出する状態検出工程と、
薄膜の膜厚を検出する膜厚検出工程と、
状態検出工程および膜厚検出工程での各検出結果に基づいて、所望の膜厚の薄膜が得られる基材状態となるように、前記基材状態を調整する状態調整工程とを含むことを特徴とする半導体処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002329906A JP2004165454A (ja) | 2002-11-13 | 2002-11-13 | 半導体処理装置および半導体処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002329906A JP2004165454A (ja) | 2002-11-13 | 2002-11-13 | 半導体処理装置および半導体処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004165454A true JP2004165454A (ja) | 2004-06-10 |
Family
ID=32807771
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002329906A Pending JP2004165454A (ja) | 2002-11-13 | 2002-11-13 | 半導体処理装置および半導体処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004165454A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010040544A (ja) * | 2008-07-31 | 2010-02-18 | Sumco Corp | 気相成長装置 |
CN102443786A (zh) * | 2011-11-08 | 2012-05-09 | 上海华力微电子有限公司 | 一种改进等离子体增强化学汽相沉积薄膜均匀度的方法 |
KR20160143631A (ko) | 2013-12-17 | 2016-12-14 | 미쓰비시덴키 가부시키가이샤 | 성막장치 |
-
2002
- 2002-11-13 JP JP2002329906A patent/JP2004165454A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010040544A (ja) * | 2008-07-31 | 2010-02-18 | Sumco Corp | 気相成長装置 |
CN102443786A (zh) * | 2011-11-08 | 2012-05-09 | 上海华力微电子有限公司 | 一种改进等离子体增强化学汽相沉积薄膜均匀度的方法 |
KR20160143631A (ko) | 2013-12-17 | 2016-12-14 | 미쓰비시덴키 가부시키가이샤 | 성막장치 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US11942381B2 (en) | System for non radial temperature control for rotating substrates | |
CN107112267B (zh) | 用于基板背侧变色控制的支撑组件 | |
TWI702672B (zh) | 改良式半角噴嘴 | |
US20100024727A1 (en) | Showerhead and chemical vapor deposition apparatus including the same | |
JP6464513B2 (ja) | 表面形状の測定方法および測定装置 | |
JP4751371B2 (ja) | 内部支持部材を有するプロセスチャンバ | |
JP2006186271A (ja) | 気相成長装置および成膜済基板の製造方法 | |
WO2004015348A1 (en) | Led heat lamp arrays for cvd heating | |
JP2023025016A (ja) | サセプタ支持体 | |
JP2007149774A (ja) | 気相成長装置 | |
JPH10280150A (ja) | 被処理基板の処理装置 | |
JP2004165454A (ja) | 半導体処理装置および半導体処理方法 | |
JP2006310481A (ja) | Cvd装置 | |
JP5964293B2 (ja) | 基板処理システムで使用するための窓アセンブリ | |
JP2003309075A (ja) | 半導体製造装置および半導体装置の製造方法 | |
TW201823508A (zh) | 控制cvd或ald反應器中之氣流或其中生長之層的均勻性的裝置及方法 | |
JP2012018985A (ja) | ガス処理装置 | |
TWI833124B (zh) | 流體導入裝置以及成膜裝置 | |
US20220090293A1 (en) | In-situ temperature mapping for epi chamber | |
TW202248450A (zh) | 晶體厚度微平衡感應器的現地epi成長率控制 | |
AU2020223747B2 (en) | Bell mouth, air supply assembly including the bell mouth, and air supply control system using the bell mouth | |
JP2005322837A (ja) | 気相成長装置および気相成長方法 | |
TW202405229A (zh) | 使用參數共振感測對晶體厚度進行原位epi生長速率控制 | |
JP2007043022A (ja) | 半導体処理装置および半導体処理方法 | |
JP2018127663A (ja) | 蒸着装置及び蒸着源 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20050525 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070118 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20070123 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070323 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20070703 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20071113 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |