JP2004165282A - 製造プロセスにおける装置状態判別システム及び製造プロセス安定化システム - Google Patents
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Abstract
【課題】製造プロセスにおいて、複数の処理装置からなる重要工程で発生する異常を早期に発見して装置起因の要因を取り除く。
【解決手段】同一工程に複数の処理装置を配備した製造プロセスの装置状態判別システムであって、各処理装置1,2,3から出力される観測信号11,21,31同士の差分情報を生成する比較器41,42,43からなる差分情報生成手段4と、この差分情報生成手段4で生成された複数の差分情報を総合的に判断することにより各処理装置1,2,3の状態を判別する論理回路51,52,53からなる状態判別手段5とを備えることにより、異常な装置を早期に正確に特定する。
【選択図】 図1
【解決手段】同一工程に複数の処理装置を配備した製造プロセスの装置状態判別システムであって、各処理装置1,2,3から出力される観測信号11,21,31同士の差分情報を生成する比較器41,42,43からなる差分情報生成手段4と、この差分情報生成手段4で生成された複数の差分情報を総合的に判断することにより各処理装置1,2,3の状態を判別する論理回路51,52,53からなる状態判別手段5とを備えることにより、異常な装置を早期に正確に特定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体などのデバイス製造工場における生産システムに係り、特に製造設備から収集した設備モニター信号や、検査装置から収集された計測データから装置変動やプロセス変動を常時監視し、変動が認められた際に装置やプロセスの状態を修正することで、高品質の生産を実現するための製造プロセスにおける装置状態判別システム及び製造プロセス安定化システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造プロセスは、多くの製造装置、工程が関わっており、製造プロセスの安定稼働は重要な課題である。
【0003】
ところが、製造中に、製造設備や検査装置の劣化や異常、プロセスのゆらぎ、ごみなどの異物に起因した不良などが発生すると、製品の歩留まり低下を招くことになる。これらの不具合を取り除くため、製造プロセスにおいては、工程の各所に装置の状態を監視・制御する設備を設けたり、異物検査機で異物の有無を検査する検査工程を配したりすることで、不良デバイスを後続の工程に流さないようにしている。
【0004】
例えば、製造ラインから収集した製品検査データや設備作業データの傾向変動を常時監視し、それらの異常の有無について評価し、警告または対策を施して、品質ばらつきの縮小と大量不良の発生を防止して製品の歩留まり向上を図る生産管理計算システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、製造装置からの実績データと、検査装置からの検査結果との因果関係を求めてプロセスパラメータを調整することでばらつきを圧縮し、所望の目標値を達成する半導体製造プロセス安定化支援システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−50949号公報
【特許文献2】
特開2000−252179号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
装置の出力をモニターする信号の正常範囲は、上限管理水準(Upper Control Limit )と下限管理水準(Lower Control Limit )の間で管理される。
【0008】
しかしながら、生産システムが通常の管理範囲を超えた出力を観測し、異常の警告信号を出した場合においても、警告信号を100%信用して装置を停止することは希であり、装置担当者が装置の状態をチェックして詳しく異常の有無を点検し、異常であれば一時停止、正常であれば継続運転の判断を下す場合が多い。
【0009】
なぜならば、装置本体に異常がなくても、センサーの故障やノイズ混入の影響などの異常で誤報を出す場合があるからである。
【0010】
異常を放置して不良を多発するリスクと誤報を信用して生産ラインを停止した場合のリスクは背中合わせであり、このような判断は作業員の負担が大きい。この負担は、装置の数が増えるほど増加していく。
【0011】
また、生産装置の出力信号が正常範囲内にあっても、プロセスの状態変化やゆらぎにより、その出力が傾向を持って推移したり、ある周期で変動する場合が生じる。この場合、製造されたデバイスの特性はかかるプロセスの変化の影響を受け、ばらつくことになる。
【0012】
したがって、同一環境、同一条件で処理される同一ロットのデバイスであっても、複数の処理装置で処理されたデバイスの場合、同じ処理条件にもかかわらず特性がばらつく結果となる。この場合、工程の上流でプロセスの異常に対して対処できなかった場合は、最終的に下流の工程の検査で良品/不良品が判定され、その時点で異常が判明することとなる。
【0013】
例えば、不良が多発するデバイスが、どの工程のどの装置を経たのかの履歴情報を集め、号機別、ロット別の推移情報に編集して、どの工程のどの装置に特異な問題があるかを判断する。そして、実際に異常の有無を確認した上で、問題がある工程、装置を一時停止する措置をとることになる。しかし、下流の工程に行くほど、上流工程のゆらぎが重畳された複合情報を含むため、データベースの検索や抽出、統計的に因果関係を推定する計算手法や分析技術などをもってしても、これらのデータから、問題となっているゆらぎの要因を断定的に特定することは困難である。
【0014】
装置異常に起因する大量の不良は大きな損失を招くため、できるだけ上流の工程で正確に異常を検出する必要がある。特に、タクトのかかる工程は、複数の装置を利用して時間短縮を図るボトルネック工程と言えるが、この重要工程で発生する異常を早期に発見して装置起因の要因を取り除くことは、ボトルネック工程のダウンによる稼働率の低下を防ぐと同時に、ボトルネック工程以外の要因で特性ばらつきが生じている場合の原因工程を突き止める精度を向上させる。
【0015】
本発明は、複数の処理装置を用いた製造プロセスにおいて、複数であるが故に増大する制御の困難性を、複数であるが故に構成できる手段を活用して解決することができる点に着目したものであり、その第1の目的は、同種の複数の信号で相互監視系を構成することにより、異常な装置を正確に特定することのできる装置状態判別システムを提供することにある。また、第2の目的は、製造工程全体の不良解析を行うデータ相関演算システムと装置状態判別システムとを同期連携させることにより、設備起因の要因を除外した情報で製造プロセスの問題抽出を精度良く実行させることのできる製造プロセス安定化システムを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の装置状態判別システムは、同一工程に複数の処理装置を配備した製造プロセスに適用される。すなわち、各処理装置から出力される観測信号同士の差分情報を生成する差分情報生成手段と、この差分情報生成手段で生成された複数の差分情報を総合的に判断することにより各処理装置の状態を判別する状態判別手段とを備えたことを特徴としている。
【0017】
このように、同種の複数の観測信号で相互監視系を構成することにより、1つの処理装置の状態の判別(具体的には、異常の判断)を、複数の観測信号を利用して判別できるので、ノイズに強い判別が可能となる。具体的には、例えばノイズなどの外部要因により、処理装置2が正常な出力をしているにも係わらず、状態判別手段で処理装置1と処理装置2との差分情報に誤りが発生した場合でも、処理装置2と処理装置3との差分情報が正常であれば、処理装置2を正常とみなすことができる。従って、ノイズに強く信頼性の高い状態判別が可能になるとともに、異常な装置を早期に正確に特定することが可能となる。情報理論的な見地から見れば、冗長な情報を利用することで誤り訂正の機能を備えることができる。これにより、工程の上流段階で装置起因の不良を防止することができるとともに、作業員が装置を監視する際の負担を軽減することができる。
【0018】
また、前記観測信号が直接制御したい物理情報である場合、ノイズ成分が含まれている可能性があるため、本発明では、差分をとる前に観測信号からノイズ成分を取り除いておくものとする。
【0019】
また、前記観測信号が直接制御したい情報とは異なるが、制御対象と関連性のある1つ以上の観測情報である場合には、前記処理装置から出力されるこれら複数の観測情報と制御したい情報との相関分析を行う相関演算手段をさらに備えた構成としてもよい。そして、この相関演算手段から総合的に推定される情報を、制御対象の状態を表す観測信号とみなして前記差分情報生成手段に出力する。このように、観測信号が直接計測できない物理量であっても、計測できる複数の観測情報を関係付けることにより、その状態を推定することが可能となる。
【0020】
また、前記観測情報または前記相関演算手段で相関分析した後の推定情報に対してフィルタ処理を施すフィルタ演算手段をさらに備えた構成としてもよい。そして、このフィルタ演算手段にてフィルタ処理された推定情報を前記差分情報生成手段に出力する。このように、フィルタ演算手段にてフィルタ処理を行うことにより、ノイズやゆらきの影響を抑えた信号抽出が可能となる。
【0021】
また、本発明の装置状態判別システムは、同一工程に複数の処理装置を配備した製造プロセスにおいて、 各処理装置から出力される観測信号同士の差分情報及び前記観測信号と基準信号との差分情報を生成する差分情報生成手段と、この差分情報生成手段で生成された双方の差分情報を組み合わせて総合的に判断することにより各処理装置の状態を判別する状態判別手段とを備えたことを特徴としている。
【0022】
このように、観測信号同士の差分情報と、観測信号と基準信号との差分情報との双方の差分情報を組み合わせて利用することにより、ノイズに強く、精度の高い判別が可能になるとともに、異常な装置を早期に正確に特定することが可能となる。情報理論的な見地から見れば、冗長な情報を利用することで誤り訂正の機能を備えることができる。これにより、工程の上流段階で装置起因の不良を防止することができるとともに、作業員が装置を監視する際の負担を軽減することができる。
【0023】
この場合、前記状態判別手段は、論理和回路、論理積回路、否定回路などの複数のロジックの組み合わせにより各処理装置の状態を判別することを特徴としている。具体的には、前記処理装置の点検期間が短い場合には、最終段のロジックを論理積回路で結合し、前記処理装置の点検期間が長い場合には、最終段のロジックを論理和回路で結合する。すなわち、処理装置の点検期間が短い場合には、点検によって異常を発見できる可能性が高いため、論理積をとることで、誤動作による警告誤りの防止に重点を置いた状態判別が可能となる。また、処理装置の点検期間が長い場合には、点検と点検との合間に異常が発生するリスクが増加するため、論理和をとることで、異常を見逃すリスクを減らすことに重点を置いた状態判別が可能となる。
【0024】
また、本発明の製造プロセス安定化システムは、複数の処理装置や検査装置で処理され、最終的に払い出し工程へと送られる製造プロセスに適用されるものであって、上記各構成の装置状態判別システムと、前記複数の処理装置の製造条件を収集管理している製造条件管理データ、前記検査装置から取得した検査データ及び製造工程下流の特性検査で計測された特性データなどのデータを管理している工程情報管理システムと、前記工程情報管理システムで管理されている各種データに基づいて相関を分析し、製造プロセスに異常が発生した場合にその要因を抽出するデータ相関演算システムとを備えている。そして、前記データ相関演算システムは、前記装置状態判別システムで判別された装置異常情報を取得して、複数の異常要因を含んだ下流の工程情報から装置に起因する要因を除くことを特徴としている。
【0025】
このように、製造工程全体の不良解析を行うデータ相関演算システムと装置状態判別システムとを同期連携させ、設備起因の要因を除外した情報で製造プロセスの問題抽出を精度良く実行することができるので、製造プロセスの安定化が実現でき、装置の安定稼動と製造した製品の歩留り向上を達成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態1に係わる装置状態判別システムの論理構成を示すブロック図である。本実施の形態1では、この装置状態判別システムを、ある工程に3台の処理装置1,2,3が設置されている製造プロセスに適用した場合について説明する。
【0028】
すなわち、この装置状態判別システムは、各処理装置1,2,3から出力される観測信号11,21,31同士の差分情報を生成する比較器41,42,43からなる差分情報生成手段4と、この差分情報生成手段4で生成された複数の差分情報を総合的に判断することにより各処理装置1,2,3の状態を判別する論理積回路(以下、「AND回路」という。)51,52,53からなる状態判別手段5とを備えている。
【0029】
比較器41,42,43は、任意の2つの観測信号を相互比較し、その偏差が予め設定された値ε1,ε2,ε3に達すると信号を出力する。具体的には、比較器41は、処理装置1の観測信号11と処理装置2の観測信号21とを相互比較しており、そのいずれかの観測信号11または21に変化が生じた場合に信号を出力する。同様に、比較器42は、処理装置2の観測信号21と処理装置3の観測信号31のどちらかに変化が生じた場合に信号を出力し、比較器43は、処理装置1の観測信号11と処理装置3の観測信号31のどちらかに変化が生じた場合に信号を出力する。
【0030】
AND回路51,52,53は、比較器41,42,43からの任意の2つの信号を入力として論理積をとり、その結果を異常信号として出力する。具体的には、AND回路51は、比較器41の信号出力と比較器42の信号出力との論理積をとり、その結果を処理装置2の異常として出力する。また、AND回路52は、比較器42の信号出力と比較器43の信号出力との論理積をとり、その結果を処理装置3の異常として出力する。また、また、AND回路53は、比較器41の信号出力と比較器43の信号出力との論理積をとり、その結果を処理装置1の異常として出力する。
【0031】
例えば、比較器1と比較器2の信号が共に出力された場合を考えると、AND回路51から処理装置2の異常が出力されるので、処理装置2の観測信号21に異常が発生したものと特定できる。
【0032】
また、処理装置2が正常な観測信号21を出力をしているにも係わらず、例えばノイズなどの外部要因により、比較器41で処理装置1と処理装置2との差分情報がε1を超えて信号が出力された場合でも、処理装置2と処理装置3との差分情報が正常(ε2以下)であれば、比較器42からは信号が出力されず、従ってAND回路51の出力もLレベルのままとなる。よって、この場合には処理装置2を正常とみなすことができる。
【0033】
図2は、処理装置1,2,3から各々出力される観測信号11,21,31の経時変化の一例を示したものである。各処理装置1,2,3は、単独装置としては±3σの管理範囲で管理され、3σを超えると警告を出すように設定されているものとする。
【0034】
図2より、単独の状態では全て正常範囲といえるが、情報信号21のみ、出力低下の傾向が見える。この状態で、製造されたデバイスの特性を調べた場合、処理装置の機差として特性ばらつきを生む要因となる。
【0035】
一方、図1に示した装置状態判別システムによれば、観測信号11,21,31間で相互監視系を組んでいるため、そのうちの1つのみが異な挙動を示した場合に、容易に発見することができる。
【0036】
図2に示す観測信号11,21,31に適用して説明すると、出力偏差の許容値ε1,ε2,ε3がいずれも3σのとき、時刻15以降は、
|11−21|≧3σ、かつ|21−31|≧3σ
がともに観測されるから、処理装置2の異常を早期に発見することができる。
【0037】
なお、図1で示した複数の処理装置1,2,3は、加工機などの生産設備でもよいし、被加工物の状態を検査する検査機であってもよい。また、処理装置から出力される情報は、物理的なアナログ信号であってもよいし、任意のサンプリング周期で取得された離散的なデータであってもよい。さらに、差分信号を生成する手段として、図1に示すような比較器なるハードウェアを用いることもできるが、アナログ情報をA/D変換してコンピュータに数値情報として取り込み、コンピュータの演算で差分情報を作成してもよい。
【0038】
上記したように、複数の観測信号の相互監視系を構成することで、処理装置の異常状態を早期に発見することができるが、観測信号にノイズやゆらぎなどの誤差が重畳されている場合、これらの信号を直接利用すると、実際は異常でないのに警告を発する恐れがある。そこで、観測した信号成分のうち、高周波の成分を除去したり、移動平均をとったり、スムージング処理を施すなどのノイズ除去を施した上で差分信号をとれば、異常診断の信頼度はさらに向上する。
【0039】
次に、ノイズ除去のフィルタリング手段について説明する。
【0040】
プロセスを表す変数をx、ノイズ成分をwとしたとき、観測される信号yは、y=cx+wで表される。ここで、cは、プロセスの物理量xから測定量yへの変換係数である。yに離散FFTを施して周波数領域で信号成分とノイズ成分とを分離し、逆FFT変換を施すことで、ノイズ成分をカットした信号を得ることができる。
【0041】
ノイズ成分が周波数としての特徴を含まずランダムな場合は、カルマンフィルターに代表される統計的フィルタリング手法により、実時間領域で観測値と実測値の誤差の2乗を最小にすることで、観測ノイズwとプロセスx自体のゆらぎの影響を除いた信号を抽出すればよい。ノイズを含んだ観測値yからカルマンフィルターを用いてプロセス状態xを推定した例を、図3に示す。
【0042】
ところで、制御対象としたいプロセス情報を直接計測できない場合、関連すると思われる1つ以上の複数の2次情報を用いてプロセスの状態を推定した情報を作り、推定した信号同士の差分情報を用いて処理装置の異常状態を判別することが可能である。
【0043】
図4は、x0からx4までの5つの計測可能な信号と、処理後の特性値yとの相関を調べた例である。図4では、yとx0,yとx1,yとx2,yとx3,yとx4の個々の相関を、図5では、yとx0,x1,x2,x3,x4とを、
y=a0・x0+a1・x1+a2・x2+a3・x3+a4・x4+w
のように線形多重回帰式で結びつけた場合を比較して示している。
【0044】
このように、直接計測できない物理量であっても、計測できる複数の情報と関係付けることにより、その状態を推定することが可能となる。
【0045】
また、複数の観測信号の場合も、x0,x1,x2,x3,x4に個々に含まれるゆらぎと、観測ノイズwの影響を受けて、推定値の精度が悪化する恐れがある。この場合、多重回帰で得られた偏回帰係数a0,a1,a2,a3,a4を逐次補正し、特性値yと予測値a0・x0+a1・x1+a2・x2+a3・x3+a4・x4+wとの誤差の2乗が最小となるような統計的フィルタリングにより、ノイズやゆらぎの影響を抑えた信号抽出が可能となる。
【0046】
すなわち、図6に示すように、図示しない3台の処理装置からそれぞれ5種類の観測信号xa0〜xa4、xb0〜xb4、xc0〜xc4が観測され、相関分析を行う相関演算手段A,B,Cにより特性値yと関係付けられて偏回帰係数a0,a1,a2,a3,a4が求められる。この偏回帰係数a0,a1,a2,a3,a4は、新たなサンプリングデータが取得される毎にフィルター演算部Fa,Fb,Fcで計算され、図7に示すように、時間とともに修正させる。このように、動的に予測モデルを修正することで、直接計測できないプロセスの変動を抑えることができ、より信頼性の高い異常判別が可能となる。この後、各フィルター演算部Fa,Fb,Fcから出力される信号ya′,yb′,yc′を差分情報生成手段4′の各比較器41′,42′,43′に入力して各信号ya′,yb′,yc′同士の差分情報を生成し、状態判別手段5の各AND回路51,52,53に入力して、装置の異常を判別する。
【0047】
図8は、本発明の実施の形態2に係わる装置状態判別システムの論理構成を示すブロック図であり、図9及び図10は、本発明の実施の形態3に係わる装置状態判別システムの論理構成を示すブロック図である。
【0048】
本実施の形態2及び実施の形態3の装置状態判別システムは、2台の処理装置1a,2aの情報信号11a,21aと、この2台の処理装置1a,2aが共通に参照する基準信号31aとを組み合わせているが、ここでは、図8に示す実施の形態2の装置状態判別システムを参照して、情報信号11a,21aと基準信号31aとの組み合わせを説明する。この組み合わせは、図9及び図10に示す実施の形態3の装置状態判別システムも同じである。
【0049】
すなわち、差分情報生成手段4Aを構成する比較器41Aは、処理装置1aの観測信号11aと基準信号31aとを相互比較しており、観測信号11aに変化が生じた場合に信号を出力する。また、差分情報生成手段4Aを構成する比較器42Aは、処理装置1aの観測信号11aと処理装置2aの観測信号21aとを相互比較しており、そのいずれかの観測信号11aまたは21aに変化が生じた場合に信号を出力する。また、差分情報生成手段4Aを構成する比較器43Aは、処理装置2aの観測信号21aと基準信号31aとを相互比較しており、観測信号21aに変化が生じた場合に信号を出力する。
【0050】
また、状態判別手段5Aを構成する2つのAND回路51A,52Aは、比較器41A,42A,43Aからの任意の2つの信号を入力として論理積をとり、その結果を異常信号として出力する。具体的には、AND回路51Aは、比較器41Aの信号出力と比較器42Aの信号出力との論理積をとり、その結果を処理装置1aの異常として出力する。また、AND回路52Aは、比較器42Aの信号出力と比較器43Aの信号出力との論理積をとり、その結果を処理装置2Aの異常として出力する。
【0051】
一方、図9及び図10に示す実施の形態2の装置状態判別システムでは、状態判別手段5B〜5Eを、AND回路や論理和回路(以下「OR回路」という。)や否定回路(以下「NOT回路」という。)などの複数のロジックを組み合せた構成としている。ただし、どのようなロジックを組み合わせるかは、処理装置1a,2aや比較器4B〜4Eの故障率や、処理装置1a,2aの定期点検の間隔などの条件によって政策的に決めることができる。
【0052】
例えば、処理装置1a,2aの定期点検の間隔が短い場合には、点検によって異常を発見できる可能性が高いため、誤動作による警告誤りを防ぐべきである。従って、処理装置1aの異常判別論理としては、図9(a),(b)に示すように、状態判別手段5B,5Cの最終段のロジックをAND回路で結合することで、誤動作による警告誤りの防止に重点を置いた状態判別が可能となる。一方、処理装置1a,2aの定期点検が長い場合には、点検と点検との合間に異常が発生するリスクが増加するため、図10(a),(b)に示すように、最終段のロジックをOR回路で結合することで、より感度の高い判定となり、異常を見逃すリスクを減らすことができる。
【0053】
以上説明したように、本発明の装置状態判別システムは、同種の複数の観測信号で相互監視系を構成する点に特徴を有しているが、このように相互監視系を構成することの利点について、ここで簡単に説明しておく。
【0054】
処理装置個々に異常判定を行う場合、判定の感度を上げるには基準値からの許容偏差εを小さくすればよいが、許容偏差εを小さくすると、ますますノイズに敏感になり、警告を多発するという問題が発生する。これに対し、本発明のように同種の複数の観測信号で相互監視系を構成すると、相互監視により他の処理装置との傾向の差を検出できるため、いたずらに許容偏差を小さくしなくても、異常な傾向を早期に発見できることになる。
【0055】
例えば、図2に示す例で説明すると、従来のように処理装置個々に異常判定を行った場合、時間と共に上昇傾向にある情報信号11,31と、下降傾向にある情報信号21とを判別することができないが、本発明によればこのような傾向の違いも判別可能であり、処理装置の機差による特性の違いを予測できることになる。これにより、単に異常な処理装置を停止するに留まらず、傾向の異なる処理装置で処理された基板に対して、以降の工程で特性の相殺ないしは修正を行うような機会を与えることもできる。
【0056】
すなわち、本発明の装置状態判別システムによれば、ノイズに強く、感度の高い判別が可能となり、以降の工程におけるリカバリの機会を与えることも可能となるといった利点がある。
【0057】
次に、上記構成の装置状態判別システムを利用した製造プロセス安定化システムについて説明する。
【0058】
図11は、工程Aで3台の処理装置A1,A2,A3を用い、工程Bで2台の処理装置B1,B2を用い、検査工程Kで3台の検査装置K1,K2,K3を用いる製造プロセスを示している。
【0059】
このような製造プロセスにおいて、W11〜W12までの被処理物が時刻t1に処理装置A1,A2,A3に送られて処理され、その後時刻t2に処理装置B1,B2に送られて処理され、時刻t3以降に検査装置K1〜K3で並列に処理されるものとする。また、図示しない工程検査システムは、図12に示すような検査結果を、図示しないCIMや各検査装置K1,K2,K3から取得して格納している。
【0060】
ここで、仮に本発明の装置状態判別システムがない場合、最終工程の払い出し検査で、特性値YL1−5、YL1−6に不良が観測された場合、それまでの装置の使用履歴パターンを調べ、その結果、処理装置A2と処理装置B1を経た場合に異常が生じていると認められた段階で、処理装置A2とB1の状態を調べ、これらの装置の使用を一時的に使用不可とするとともに、この装置で処理したウェハーの出荷を中止するなどの措置を講じることになる。
【0061】
図13は、本発明の製造プロセス安定化システムの構成を示すブロック図である。
【0062】
本発明の製造プロセス安定化システムは、大別すると、上記構成の装置状態判別システム101、工程情報管理システム102、データ相関演算システム103から構成されている。
【0063】
装置状態判別システム101は、上記したように、複数の処理装置A1,A2,A3からの観測信号(または、観測信号と基準信号)に基づいて処理装置A1,A2,A3の異常状態を判別するシステムである。
【0064】
工程情報管理システム102は、各処理装置A1,A2,A3の製造条件を収集管理している製造条件管理データMと、検査装置K1,K2,K3から取得した検査データXと、製造工程下流の特性検査で計測された特性データYなどのデータを管理しているシステムである。
【0065】
データ相関演算システム103は、工程情報管理システム102からの情報をもとに、特性データYと製造条件M及び検査データXとの相関を分析し、製造プロセスに異常が発生した場合に、その要因を抽出するシステムである。ここに、製造条件管理データMとは、各処理装置A1,A2,A3のレシピ情報や、製造ロットや基板がどの装置を経たのかの履歴情報を含んでいる。
【0066】
上記構成において、本発明では、装置状態判別システム101の情報を、データ相関演算システム103に送ることにより、工程の早い段階で装置起因の異常を取り除くことができ、装置異常以外の要因で発生する工程不良や特性ばらつきに対して、精度の良い原因同定が可能となる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の処理装置を用いた製造プロセスにおいて、同種の複数の信号で相互監視系を構成することにより、異常な装置を早期に正確に特定することが可能となる。これにより、工程の上流段階で装置起因の不良を防止することができるとともに、作業員が装置を監視する際の負担を軽減することができる。また、製造工程全体の不良解析を行うデータ相関演算システムと装置状態判別システムとを同期連携させることにより、設備に起因する要因を除外した情報で製造プロセスの問題抽出を精度良く実行することができるので、製造プロセスの安定化が実現でき、装置の安定稼動と製造した製品の歩留り向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係わる装置状態判別システムの論理構成を示すブロック図である。
【図2】処理装置から観測される情報の時系列変化を示すグラフである。
【図3】ノイズを含んだ時系列観測情報と、ノイズを取り除いた時系列情報とを対比して示すグラフである。
【図4】複数の観測情報に対して、特性値との相関と時間的推移を調べたグラフである。
【図5】複数の観測情報に対して、多重回帰で特性値yと関係付けた相関グラフ、及び当該多重回帰モデルを用い、特性値yの時間的推移を実測値との比較で表したグラフである。
【図6】処理装置と差分情報生成手段との間に相関演算手段とフィルター演算部とを設けた論理構成を示すブロック図である。
【図7】回帰モデルの偏回帰係数を時間とともに動的に変更した場合を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態2に係わる装置状態判別システムの論理構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係わる装置状態判別システムの論理構成を示すブロック図であり、AND回路やOR回路やNOT回路といった複数のロジックを組み合わせた一例を示している。
【図10】本発明の実施の形態3に係わる装置状態判別システムの論理構成を示すブロック図であり、AND回路やOR回路やNOT回路といった複数のロジックを組み合わせた他の例を示している。
【図11】複数の処理装置や検査装置からなる製造プロセスの流れを示す説明図である。
【図12】工程情報管理システムで管理しているデータの一例を示す説明図である。
【図13】装置状態判別システムと工程情報管理システムとを組み合わせた製造プロセス安定化システムの構成図である。
【符号の説明】
1,2,3,1a,2a,3a 処理装置
11,21,31,11a,21a,32a 情報信号
4,4′,4A〜4E 差分情報生成手段
41,42,43,41′,42′,43′ 比較器
41A〜41E,42A〜42E,43A〜43E 比較器
5 状態判別手段
51,52,53 論理回路
101 装置状態判別システム
102 工程情報管理システム
103 データ相関演算システム
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体などのデバイス製造工場における生産システムに係り、特に製造設備から収集した設備モニター信号や、検査装置から収集された計測データから装置変動やプロセス変動を常時監視し、変動が認められた際に装置やプロセスの状態を修正することで、高品質の生産を実現するための製造プロセスにおける装置状態判別システム及び製造プロセス安定化システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造プロセスは、多くの製造装置、工程が関わっており、製造プロセスの安定稼働は重要な課題である。
【0003】
ところが、製造中に、製造設備や検査装置の劣化や異常、プロセスのゆらぎ、ごみなどの異物に起因した不良などが発生すると、製品の歩留まり低下を招くことになる。これらの不具合を取り除くため、製造プロセスにおいては、工程の各所に装置の状態を監視・制御する設備を設けたり、異物検査機で異物の有無を検査する検査工程を配したりすることで、不良デバイスを後続の工程に流さないようにしている。
【0004】
例えば、製造ラインから収集した製品検査データや設備作業データの傾向変動を常時監視し、それらの異常の有無について評価し、警告または対策を施して、品質ばらつきの縮小と大量不良の発生を防止して製品の歩留まり向上を図る生産管理計算システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、製造装置からの実績データと、検査装置からの検査結果との因果関係を求めてプロセスパラメータを調整することでばらつきを圧縮し、所望の目標値を達成する半導体製造プロセス安定化支援システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−50949号公報
【特許文献2】
特開2000−252179号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
装置の出力をモニターする信号の正常範囲は、上限管理水準(Upper Control Limit )と下限管理水準(Lower Control Limit )の間で管理される。
【0008】
しかしながら、生産システムが通常の管理範囲を超えた出力を観測し、異常の警告信号を出した場合においても、警告信号を100%信用して装置を停止することは希であり、装置担当者が装置の状態をチェックして詳しく異常の有無を点検し、異常であれば一時停止、正常であれば継続運転の判断を下す場合が多い。
【0009】
なぜならば、装置本体に異常がなくても、センサーの故障やノイズ混入の影響などの異常で誤報を出す場合があるからである。
【0010】
異常を放置して不良を多発するリスクと誤報を信用して生産ラインを停止した場合のリスクは背中合わせであり、このような判断は作業員の負担が大きい。この負担は、装置の数が増えるほど増加していく。
【0011】
また、生産装置の出力信号が正常範囲内にあっても、プロセスの状態変化やゆらぎにより、その出力が傾向を持って推移したり、ある周期で変動する場合が生じる。この場合、製造されたデバイスの特性はかかるプロセスの変化の影響を受け、ばらつくことになる。
【0012】
したがって、同一環境、同一条件で処理される同一ロットのデバイスであっても、複数の処理装置で処理されたデバイスの場合、同じ処理条件にもかかわらず特性がばらつく結果となる。この場合、工程の上流でプロセスの異常に対して対処できなかった場合は、最終的に下流の工程の検査で良品/不良品が判定され、その時点で異常が判明することとなる。
【0013】
例えば、不良が多発するデバイスが、どの工程のどの装置を経たのかの履歴情報を集め、号機別、ロット別の推移情報に編集して、どの工程のどの装置に特異な問題があるかを判断する。そして、実際に異常の有無を確認した上で、問題がある工程、装置を一時停止する措置をとることになる。しかし、下流の工程に行くほど、上流工程のゆらぎが重畳された複合情報を含むため、データベースの検索や抽出、統計的に因果関係を推定する計算手法や分析技術などをもってしても、これらのデータから、問題となっているゆらぎの要因を断定的に特定することは困難である。
【0014】
装置異常に起因する大量の不良は大きな損失を招くため、できるだけ上流の工程で正確に異常を検出する必要がある。特に、タクトのかかる工程は、複数の装置を利用して時間短縮を図るボトルネック工程と言えるが、この重要工程で発生する異常を早期に発見して装置起因の要因を取り除くことは、ボトルネック工程のダウンによる稼働率の低下を防ぐと同時に、ボトルネック工程以外の要因で特性ばらつきが生じている場合の原因工程を突き止める精度を向上させる。
【0015】
本発明は、複数の処理装置を用いた製造プロセスにおいて、複数であるが故に増大する制御の困難性を、複数であるが故に構成できる手段を活用して解決することができる点に着目したものであり、その第1の目的は、同種の複数の信号で相互監視系を構成することにより、異常な装置を正確に特定することのできる装置状態判別システムを提供することにある。また、第2の目的は、製造工程全体の不良解析を行うデータ相関演算システムと装置状態判別システムとを同期連携させることにより、設備起因の要因を除外した情報で製造プロセスの問題抽出を精度良く実行させることのできる製造プロセス安定化システムを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の装置状態判別システムは、同一工程に複数の処理装置を配備した製造プロセスに適用される。すなわち、各処理装置から出力される観測信号同士の差分情報を生成する差分情報生成手段と、この差分情報生成手段で生成された複数の差分情報を総合的に判断することにより各処理装置の状態を判別する状態判別手段とを備えたことを特徴としている。
【0017】
このように、同種の複数の観測信号で相互監視系を構成することにより、1つの処理装置の状態の判別(具体的には、異常の判断)を、複数の観測信号を利用して判別できるので、ノイズに強い判別が可能となる。具体的には、例えばノイズなどの外部要因により、処理装置2が正常な出力をしているにも係わらず、状態判別手段で処理装置1と処理装置2との差分情報に誤りが発生した場合でも、処理装置2と処理装置3との差分情報が正常であれば、処理装置2を正常とみなすことができる。従って、ノイズに強く信頼性の高い状態判別が可能になるとともに、異常な装置を早期に正確に特定することが可能となる。情報理論的な見地から見れば、冗長な情報を利用することで誤り訂正の機能を備えることができる。これにより、工程の上流段階で装置起因の不良を防止することができるとともに、作業員が装置を監視する際の負担を軽減することができる。
【0018】
また、前記観測信号が直接制御したい物理情報である場合、ノイズ成分が含まれている可能性があるため、本発明では、差分をとる前に観測信号からノイズ成分を取り除いておくものとする。
【0019】
また、前記観測信号が直接制御したい情報とは異なるが、制御対象と関連性のある1つ以上の観測情報である場合には、前記処理装置から出力されるこれら複数の観測情報と制御したい情報との相関分析を行う相関演算手段をさらに備えた構成としてもよい。そして、この相関演算手段から総合的に推定される情報を、制御対象の状態を表す観測信号とみなして前記差分情報生成手段に出力する。このように、観測信号が直接計測できない物理量であっても、計測できる複数の観測情報を関係付けることにより、その状態を推定することが可能となる。
【0020】
また、前記観測情報または前記相関演算手段で相関分析した後の推定情報に対してフィルタ処理を施すフィルタ演算手段をさらに備えた構成としてもよい。そして、このフィルタ演算手段にてフィルタ処理された推定情報を前記差分情報生成手段に出力する。このように、フィルタ演算手段にてフィルタ処理を行うことにより、ノイズやゆらきの影響を抑えた信号抽出が可能となる。
【0021】
また、本発明の装置状態判別システムは、同一工程に複数の処理装置を配備した製造プロセスにおいて、 各処理装置から出力される観測信号同士の差分情報及び前記観測信号と基準信号との差分情報を生成する差分情報生成手段と、この差分情報生成手段で生成された双方の差分情報を組み合わせて総合的に判断することにより各処理装置の状態を判別する状態判別手段とを備えたことを特徴としている。
【0022】
このように、観測信号同士の差分情報と、観測信号と基準信号との差分情報との双方の差分情報を組み合わせて利用することにより、ノイズに強く、精度の高い判別が可能になるとともに、異常な装置を早期に正確に特定することが可能となる。情報理論的な見地から見れば、冗長な情報を利用することで誤り訂正の機能を備えることができる。これにより、工程の上流段階で装置起因の不良を防止することができるとともに、作業員が装置を監視する際の負担を軽減することができる。
【0023】
この場合、前記状態判別手段は、論理和回路、論理積回路、否定回路などの複数のロジックの組み合わせにより各処理装置の状態を判別することを特徴としている。具体的には、前記処理装置の点検期間が短い場合には、最終段のロジックを論理積回路で結合し、前記処理装置の点検期間が長い場合には、最終段のロジックを論理和回路で結合する。すなわち、処理装置の点検期間が短い場合には、点検によって異常を発見できる可能性が高いため、論理積をとることで、誤動作による警告誤りの防止に重点を置いた状態判別が可能となる。また、処理装置の点検期間が長い場合には、点検と点検との合間に異常が発生するリスクが増加するため、論理和をとることで、異常を見逃すリスクを減らすことに重点を置いた状態判別が可能となる。
【0024】
また、本発明の製造プロセス安定化システムは、複数の処理装置や検査装置で処理され、最終的に払い出し工程へと送られる製造プロセスに適用されるものであって、上記各構成の装置状態判別システムと、前記複数の処理装置の製造条件を収集管理している製造条件管理データ、前記検査装置から取得した検査データ及び製造工程下流の特性検査で計測された特性データなどのデータを管理している工程情報管理システムと、前記工程情報管理システムで管理されている各種データに基づいて相関を分析し、製造プロセスに異常が発生した場合にその要因を抽出するデータ相関演算システムとを備えている。そして、前記データ相関演算システムは、前記装置状態判別システムで判別された装置異常情報を取得して、複数の異常要因を含んだ下流の工程情報から装置に起因する要因を除くことを特徴としている。
【0025】
このように、製造工程全体の不良解析を行うデータ相関演算システムと装置状態判別システムとを同期連携させ、設備起因の要因を除外した情報で製造プロセスの問題抽出を精度良く実行することができるので、製造プロセスの安定化が実現でき、装置の安定稼動と製造した製品の歩留り向上を達成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態1に係わる装置状態判別システムの論理構成を示すブロック図である。本実施の形態1では、この装置状態判別システムを、ある工程に3台の処理装置1,2,3が設置されている製造プロセスに適用した場合について説明する。
【0028】
すなわち、この装置状態判別システムは、各処理装置1,2,3から出力される観測信号11,21,31同士の差分情報を生成する比較器41,42,43からなる差分情報生成手段4と、この差分情報生成手段4で生成された複数の差分情報を総合的に判断することにより各処理装置1,2,3の状態を判別する論理積回路(以下、「AND回路」という。)51,52,53からなる状態判別手段5とを備えている。
【0029】
比較器41,42,43は、任意の2つの観測信号を相互比較し、その偏差が予め設定された値ε1,ε2,ε3に達すると信号を出力する。具体的には、比較器41は、処理装置1の観測信号11と処理装置2の観測信号21とを相互比較しており、そのいずれかの観測信号11または21に変化が生じた場合に信号を出力する。同様に、比較器42は、処理装置2の観測信号21と処理装置3の観測信号31のどちらかに変化が生じた場合に信号を出力し、比較器43は、処理装置1の観測信号11と処理装置3の観測信号31のどちらかに変化が生じた場合に信号を出力する。
【0030】
AND回路51,52,53は、比較器41,42,43からの任意の2つの信号を入力として論理積をとり、その結果を異常信号として出力する。具体的には、AND回路51は、比較器41の信号出力と比較器42の信号出力との論理積をとり、その結果を処理装置2の異常として出力する。また、AND回路52は、比較器42の信号出力と比較器43の信号出力との論理積をとり、その結果を処理装置3の異常として出力する。また、また、AND回路53は、比較器41の信号出力と比較器43の信号出力との論理積をとり、その結果を処理装置1の異常として出力する。
【0031】
例えば、比較器1と比較器2の信号が共に出力された場合を考えると、AND回路51から処理装置2の異常が出力されるので、処理装置2の観測信号21に異常が発生したものと特定できる。
【0032】
また、処理装置2が正常な観測信号21を出力をしているにも係わらず、例えばノイズなどの外部要因により、比較器41で処理装置1と処理装置2との差分情報がε1を超えて信号が出力された場合でも、処理装置2と処理装置3との差分情報が正常(ε2以下)であれば、比較器42からは信号が出力されず、従ってAND回路51の出力もLレベルのままとなる。よって、この場合には処理装置2を正常とみなすことができる。
【0033】
図2は、処理装置1,2,3から各々出力される観測信号11,21,31の経時変化の一例を示したものである。各処理装置1,2,3は、単独装置としては±3σの管理範囲で管理され、3σを超えると警告を出すように設定されているものとする。
【0034】
図2より、単独の状態では全て正常範囲といえるが、情報信号21のみ、出力低下の傾向が見える。この状態で、製造されたデバイスの特性を調べた場合、処理装置の機差として特性ばらつきを生む要因となる。
【0035】
一方、図1に示した装置状態判別システムによれば、観測信号11,21,31間で相互監視系を組んでいるため、そのうちの1つのみが異な挙動を示した場合に、容易に発見することができる。
【0036】
図2に示す観測信号11,21,31に適用して説明すると、出力偏差の許容値ε1,ε2,ε3がいずれも3σのとき、時刻15以降は、
|11−21|≧3σ、かつ|21−31|≧3σ
がともに観測されるから、処理装置2の異常を早期に発見することができる。
【0037】
なお、図1で示した複数の処理装置1,2,3は、加工機などの生産設備でもよいし、被加工物の状態を検査する検査機であってもよい。また、処理装置から出力される情報は、物理的なアナログ信号であってもよいし、任意のサンプリング周期で取得された離散的なデータであってもよい。さらに、差分信号を生成する手段として、図1に示すような比較器なるハードウェアを用いることもできるが、アナログ情報をA/D変換してコンピュータに数値情報として取り込み、コンピュータの演算で差分情報を作成してもよい。
【0038】
上記したように、複数の観測信号の相互監視系を構成することで、処理装置の異常状態を早期に発見することができるが、観測信号にノイズやゆらぎなどの誤差が重畳されている場合、これらの信号を直接利用すると、実際は異常でないのに警告を発する恐れがある。そこで、観測した信号成分のうち、高周波の成分を除去したり、移動平均をとったり、スムージング処理を施すなどのノイズ除去を施した上で差分信号をとれば、異常診断の信頼度はさらに向上する。
【0039】
次に、ノイズ除去のフィルタリング手段について説明する。
【0040】
プロセスを表す変数をx、ノイズ成分をwとしたとき、観測される信号yは、y=cx+wで表される。ここで、cは、プロセスの物理量xから測定量yへの変換係数である。yに離散FFTを施して周波数領域で信号成分とノイズ成分とを分離し、逆FFT変換を施すことで、ノイズ成分をカットした信号を得ることができる。
【0041】
ノイズ成分が周波数としての特徴を含まずランダムな場合は、カルマンフィルターに代表される統計的フィルタリング手法により、実時間領域で観測値と実測値の誤差の2乗を最小にすることで、観測ノイズwとプロセスx自体のゆらぎの影響を除いた信号を抽出すればよい。ノイズを含んだ観測値yからカルマンフィルターを用いてプロセス状態xを推定した例を、図3に示す。
【0042】
ところで、制御対象としたいプロセス情報を直接計測できない場合、関連すると思われる1つ以上の複数の2次情報を用いてプロセスの状態を推定した情報を作り、推定した信号同士の差分情報を用いて処理装置の異常状態を判別することが可能である。
【0043】
図4は、x0からx4までの5つの計測可能な信号と、処理後の特性値yとの相関を調べた例である。図4では、yとx0,yとx1,yとx2,yとx3,yとx4の個々の相関を、図5では、yとx0,x1,x2,x3,x4とを、
y=a0・x0+a1・x1+a2・x2+a3・x3+a4・x4+w
のように線形多重回帰式で結びつけた場合を比較して示している。
【0044】
このように、直接計測できない物理量であっても、計測できる複数の情報と関係付けることにより、その状態を推定することが可能となる。
【0045】
また、複数の観測信号の場合も、x0,x1,x2,x3,x4に個々に含まれるゆらぎと、観測ノイズwの影響を受けて、推定値の精度が悪化する恐れがある。この場合、多重回帰で得られた偏回帰係数a0,a1,a2,a3,a4を逐次補正し、特性値yと予測値a0・x0+a1・x1+a2・x2+a3・x3+a4・x4+wとの誤差の2乗が最小となるような統計的フィルタリングにより、ノイズやゆらぎの影響を抑えた信号抽出が可能となる。
【0046】
すなわち、図6に示すように、図示しない3台の処理装置からそれぞれ5種類の観測信号xa0〜xa4、xb0〜xb4、xc0〜xc4が観測され、相関分析を行う相関演算手段A,B,Cにより特性値yと関係付けられて偏回帰係数a0,a1,a2,a3,a4が求められる。この偏回帰係数a0,a1,a2,a3,a4は、新たなサンプリングデータが取得される毎にフィルター演算部Fa,Fb,Fcで計算され、図7に示すように、時間とともに修正させる。このように、動的に予測モデルを修正することで、直接計測できないプロセスの変動を抑えることができ、より信頼性の高い異常判別が可能となる。この後、各フィルター演算部Fa,Fb,Fcから出力される信号ya′,yb′,yc′を差分情報生成手段4′の各比較器41′,42′,43′に入力して各信号ya′,yb′,yc′同士の差分情報を生成し、状態判別手段5の各AND回路51,52,53に入力して、装置の異常を判別する。
【0047】
図8は、本発明の実施の形態2に係わる装置状態判別システムの論理構成を示すブロック図であり、図9及び図10は、本発明の実施の形態3に係わる装置状態判別システムの論理構成を示すブロック図である。
【0048】
本実施の形態2及び実施の形態3の装置状態判別システムは、2台の処理装置1a,2aの情報信号11a,21aと、この2台の処理装置1a,2aが共通に参照する基準信号31aとを組み合わせているが、ここでは、図8に示す実施の形態2の装置状態判別システムを参照して、情報信号11a,21aと基準信号31aとの組み合わせを説明する。この組み合わせは、図9及び図10に示す実施の形態3の装置状態判別システムも同じである。
【0049】
すなわち、差分情報生成手段4Aを構成する比較器41Aは、処理装置1aの観測信号11aと基準信号31aとを相互比較しており、観測信号11aに変化が生じた場合に信号を出力する。また、差分情報生成手段4Aを構成する比較器42Aは、処理装置1aの観測信号11aと処理装置2aの観測信号21aとを相互比較しており、そのいずれかの観測信号11aまたは21aに変化が生じた場合に信号を出力する。また、差分情報生成手段4Aを構成する比較器43Aは、処理装置2aの観測信号21aと基準信号31aとを相互比較しており、観測信号21aに変化が生じた場合に信号を出力する。
【0050】
また、状態判別手段5Aを構成する2つのAND回路51A,52Aは、比較器41A,42A,43Aからの任意の2つの信号を入力として論理積をとり、その結果を異常信号として出力する。具体的には、AND回路51Aは、比較器41Aの信号出力と比較器42Aの信号出力との論理積をとり、その結果を処理装置1aの異常として出力する。また、AND回路52Aは、比較器42Aの信号出力と比較器43Aの信号出力との論理積をとり、その結果を処理装置2Aの異常として出力する。
【0051】
一方、図9及び図10に示す実施の形態2の装置状態判別システムでは、状態判別手段5B〜5Eを、AND回路や論理和回路(以下「OR回路」という。)や否定回路(以下「NOT回路」という。)などの複数のロジックを組み合せた構成としている。ただし、どのようなロジックを組み合わせるかは、処理装置1a,2aや比較器4B〜4Eの故障率や、処理装置1a,2aの定期点検の間隔などの条件によって政策的に決めることができる。
【0052】
例えば、処理装置1a,2aの定期点検の間隔が短い場合には、点検によって異常を発見できる可能性が高いため、誤動作による警告誤りを防ぐべきである。従って、処理装置1aの異常判別論理としては、図9(a),(b)に示すように、状態判別手段5B,5Cの最終段のロジックをAND回路で結合することで、誤動作による警告誤りの防止に重点を置いた状態判別が可能となる。一方、処理装置1a,2aの定期点検が長い場合には、点検と点検との合間に異常が発生するリスクが増加するため、図10(a),(b)に示すように、最終段のロジックをOR回路で結合することで、より感度の高い判定となり、異常を見逃すリスクを減らすことができる。
【0053】
以上説明したように、本発明の装置状態判別システムは、同種の複数の観測信号で相互監視系を構成する点に特徴を有しているが、このように相互監視系を構成することの利点について、ここで簡単に説明しておく。
【0054】
処理装置個々に異常判定を行う場合、判定の感度を上げるには基準値からの許容偏差εを小さくすればよいが、許容偏差εを小さくすると、ますますノイズに敏感になり、警告を多発するという問題が発生する。これに対し、本発明のように同種の複数の観測信号で相互監視系を構成すると、相互監視により他の処理装置との傾向の差を検出できるため、いたずらに許容偏差を小さくしなくても、異常な傾向を早期に発見できることになる。
【0055】
例えば、図2に示す例で説明すると、従来のように処理装置個々に異常判定を行った場合、時間と共に上昇傾向にある情報信号11,31と、下降傾向にある情報信号21とを判別することができないが、本発明によればこのような傾向の違いも判別可能であり、処理装置の機差による特性の違いを予測できることになる。これにより、単に異常な処理装置を停止するに留まらず、傾向の異なる処理装置で処理された基板に対して、以降の工程で特性の相殺ないしは修正を行うような機会を与えることもできる。
【0056】
すなわち、本発明の装置状態判別システムによれば、ノイズに強く、感度の高い判別が可能となり、以降の工程におけるリカバリの機会を与えることも可能となるといった利点がある。
【0057】
次に、上記構成の装置状態判別システムを利用した製造プロセス安定化システムについて説明する。
【0058】
図11は、工程Aで3台の処理装置A1,A2,A3を用い、工程Bで2台の処理装置B1,B2を用い、検査工程Kで3台の検査装置K1,K2,K3を用いる製造プロセスを示している。
【0059】
このような製造プロセスにおいて、W11〜W12までの被処理物が時刻t1に処理装置A1,A2,A3に送られて処理され、その後時刻t2に処理装置B1,B2に送られて処理され、時刻t3以降に検査装置K1〜K3で並列に処理されるものとする。また、図示しない工程検査システムは、図12に示すような検査結果を、図示しないCIMや各検査装置K1,K2,K3から取得して格納している。
【0060】
ここで、仮に本発明の装置状態判別システムがない場合、最終工程の払い出し検査で、特性値YL1−5、YL1−6に不良が観測された場合、それまでの装置の使用履歴パターンを調べ、その結果、処理装置A2と処理装置B1を経た場合に異常が生じていると認められた段階で、処理装置A2とB1の状態を調べ、これらの装置の使用を一時的に使用不可とするとともに、この装置で処理したウェハーの出荷を中止するなどの措置を講じることになる。
【0061】
図13は、本発明の製造プロセス安定化システムの構成を示すブロック図である。
【0062】
本発明の製造プロセス安定化システムは、大別すると、上記構成の装置状態判別システム101、工程情報管理システム102、データ相関演算システム103から構成されている。
【0063】
装置状態判別システム101は、上記したように、複数の処理装置A1,A2,A3からの観測信号(または、観測信号と基準信号)に基づいて処理装置A1,A2,A3の異常状態を判別するシステムである。
【0064】
工程情報管理システム102は、各処理装置A1,A2,A3の製造条件を収集管理している製造条件管理データMと、検査装置K1,K2,K3から取得した検査データXと、製造工程下流の特性検査で計測された特性データYなどのデータを管理しているシステムである。
【0065】
データ相関演算システム103は、工程情報管理システム102からの情報をもとに、特性データYと製造条件M及び検査データXとの相関を分析し、製造プロセスに異常が発生した場合に、その要因を抽出するシステムである。ここに、製造条件管理データMとは、各処理装置A1,A2,A3のレシピ情報や、製造ロットや基板がどの装置を経たのかの履歴情報を含んでいる。
【0066】
上記構成において、本発明では、装置状態判別システム101の情報を、データ相関演算システム103に送ることにより、工程の早い段階で装置起因の異常を取り除くことができ、装置異常以外の要因で発生する工程不良や特性ばらつきに対して、精度の良い原因同定が可能となる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の処理装置を用いた製造プロセスにおいて、同種の複数の信号で相互監視系を構成することにより、異常な装置を早期に正確に特定することが可能となる。これにより、工程の上流段階で装置起因の不良を防止することができるとともに、作業員が装置を監視する際の負担を軽減することができる。また、製造工程全体の不良解析を行うデータ相関演算システムと装置状態判別システムとを同期連携させることにより、設備に起因する要因を除外した情報で製造プロセスの問題抽出を精度良く実行することができるので、製造プロセスの安定化が実現でき、装置の安定稼動と製造した製品の歩留り向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係わる装置状態判別システムの論理構成を示すブロック図である。
【図2】処理装置から観測される情報の時系列変化を示すグラフである。
【図3】ノイズを含んだ時系列観測情報と、ノイズを取り除いた時系列情報とを対比して示すグラフである。
【図4】複数の観測情報に対して、特性値との相関と時間的推移を調べたグラフである。
【図5】複数の観測情報に対して、多重回帰で特性値yと関係付けた相関グラフ、及び当該多重回帰モデルを用い、特性値yの時間的推移を実測値との比較で表したグラフである。
【図6】処理装置と差分情報生成手段との間に相関演算手段とフィルター演算部とを設けた論理構成を示すブロック図である。
【図7】回帰モデルの偏回帰係数を時間とともに動的に変更した場合を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態2に係わる装置状態判別システムの論理構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係わる装置状態判別システムの論理構成を示すブロック図であり、AND回路やOR回路やNOT回路といった複数のロジックを組み合わせた一例を示している。
【図10】本発明の実施の形態3に係わる装置状態判別システムの論理構成を示すブロック図であり、AND回路やOR回路やNOT回路といった複数のロジックを組み合わせた他の例を示している。
【図11】複数の処理装置や検査装置からなる製造プロセスの流れを示す説明図である。
【図12】工程情報管理システムで管理しているデータの一例を示す説明図である。
【図13】装置状態判別システムと工程情報管理システムとを組み合わせた製造プロセス安定化システムの構成図である。
【符号の説明】
1,2,3,1a,2a,3a 処理装置
11,21,31,11a,21a,32a 情報信号
4,4′,4A〜4E 差分情報生成手段
41,42,43,41′,42′,43′ 比較器
41A〜41E,42A〜42E,43A〜43E 比較器
5 状態判別手段
51,52,53 論理回路
101 装置状態判別システム
102 工程情報管理システム
103 データ相関演算システム
Claims (8)
- 同一工程に複数の処理装置を配備した製造プロセスの装置状態判別システムであって、
各処理装置から出力される観測信号同士の差分情報を生成する差分情報生成手段と、
この差分情報生成手段で生成された複数の差分情報を総合的に判断することにより各処理装置の状態を判別する状態判別手段とを備えたことを特徴とする装置状態判別システム。 - 前記観測信号は、直接制御したい物理情報であって、差分をとる前にノイズ成分を取り除いた信号であることを特徴とする請求項1に記載の装置状態判別システム。
- 前記観測信号は、直接制御したい情報とは異なるが、制御対象と関連性のある1つ以上の観測情報であり、
前記処理装置から出力されるこれら複数の観測情報と制御したい情報との相関分析を行う相関演算手段をさらに備え、
この相関演算手段から総合的に推定される情報を、制御対象の状態を表す観測信号とみなして前記差分情報生成手段に出力することを特徴とする請求項1に記載の装置状態判別システム。 - 前記観測情報は、観測ノイズを含んだ離散的な逐次サンプリング情報であり、
この観測情報または前記相関演算手段で相関分析した後の推定情報に対してフィルタ処理を施すフィルタ演算手段をさらに備え、
このフィルタ演算手段にてフィルタ処理された推定情報を前記差分情報生成手段に出力することを特徴とする請求項3に記載の装置状態判別システム。 - 同一工程に複数の処理装置を配備した製造プロセスの装置状態判別システムであって、
各処理装置から出力される観測信号同士の差分情報及び前記観測信号と基準信号との差分情報を生成する差分情報生成手段と、
この差分情報生成手段で生成された双方の差分情報を組み合わせて総合的に判断することにより各処理装置の状態を判別する状態判別手段とを備えたことを特徴とする装置状態判別システム。 - 前記状態判別手段は、論理和回路、論理積回路、否定回路などの複数のロジックの組み合わせにより各処理装置の状態を判別することを特徴とする請求項5に記載の装置状態判別システム。
- 前記状態判別手段は、前記処理装置の点検期間が短い場合には、最終段のロジックを論理積回路で結合し、前記処理装置の点検期間が長い場合には、最終段のロジックを論理和回路で結合することを特徴とする請求項6に記載の装置状態判別システム。
- 複数の処理装置や検査装置で処理され、最終的に払い出し工程へと送られる製造プロセスの安定化システムであって、
前記請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の装置状態判別システムと、
前記複数の処理装置の製造条件を収集管理している製造条件管理データ、前記検査装置から取得した検査データ及び製造工程下流の特性検査で計測された特性データなどのデータを管理している工程情報管理システムと、
前記工程情報管理システムで管理されている各種データに基づいて相関を分析し、製造プロセスに異常が発生した場合にその要因を抽出するデータ相関演算システムとを備え、
前記データ相関演算システムは、前記装置状態判別システムで判別された装置異常情報を取得して、複数の異常要因を含んだ下流の工程情報から装置に起因する要因を除くことを特徴とする製造プロセス安定化システム。
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