JP2004165044A - イオンビーム分析用チャンバ - Google Patents
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Abstract
【課題】試料の位置決めを比較的高さの低い位置決め装置で行うことで、コンパクトなイオンビーム分析用チャンバを提供する。
【解決手段】試料台32上の試料にイオンビームを照射し検出器7によって試料を分析するイオンビーム分析用チャンバにおいて、ベース9と、このベース9にY軸を中心にθ方向に回動可能に設けられた回動ステージ10と、この回動ステージ10にX軸を中心にφ方向に回動可能に設けられ且つ試料台32が取付けられたX−Yステージ11とを備える試料の位置決め装置2を、内部に備えてなる。
【選択図】 図1
【解決手段】試料台32上の試料にイオンビームを照射し検出器7によって試料を分析するイオンビーム分析用チャンバにおいて、ベース9と、このベース9にY軸を中心にθ方向に回動可能に設けられた回動ステージ10と、この回動ステージ10にX軸を中心にφ方向に回動可能に設けられ且つ試料台32が取付けられたX−Yステージ11とを備える試料の位置決め装置2を、内部に備えてなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チャンバ内の試料台上の試料に外部より導入したイオンビームを照射し検出器によって試料を分析するイオンビーム分析用チャンバに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のイオンビーム分析用チャンバとしては、例えば特開平3−257751号公報(特許文献1)、特開平9−15173号公報(特許文献2)に開示されたものがある。そして、この開示されたイオンビーム分析用チャンバにおいては、チャンバ本体が、円筒状に形成された胴部と、この胴部の前側に湾曲状に形成され且つイオンビームの導入口が設けられた前側壁部と、前記胴部の後側に開閉可能に設けられた蓋部とを備えて構成されている。
【0003】
そして更に、特許文献1では、試料を載せる試料台として多試料搭載部と試料載置部の二つが配置されている。多試料搭載盤は、ターンテーブル式の円盤状あるいはX−Y方向に移動可能な矩形状のもので、そのモータ等駆動部を真空シール軸受などを介して蓋部の外に配設することで、蓋部の内に設けられている。一方、試料載置部は、真空フランジを備える高真空用の精密三軸式のゴニオメータの被駆動側に配置されるとともに、そのゴニオメータを胴部壁に真空フランジを介して、駆動部を胴部壁の外に、被駆動側を胴部壁の内に装着することで、設けられている。
【0004】
特許文献2では、試料を載せる試料台が、蓋部の内側に設けた支持フレームを介して支持したゴニオメータに配設されている。そして、このイオンビーム分析用チャンバでは、入射粒子との弾性衝突により前方(入射角と反射角とが10〜30度)に反跳された軽元素を検出して試料の分析評価を行うERDA分析法と、試料構成原子との弾性散乱により後方(90〜180度)に散乱するイオンのエネルギースペクトルを測定することによって、試料の深さ方向の組成や構造を分析することができるRBS分析法との両者に適用するため、チャンバ内で検出器が移動し得る構成となっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−257751号公報
【特許文献2】
特開平9−15173号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に記載のイオンビーム分析用チャンバでは、特性の異なる各種のイオンビームを同一ビーム照射軸線上に沿って導入するとともに、これらのイオンビームを選択的に用いて、広範囲且つ多種多様な分析を効率良く行うことができ、これを用いるイオンビーム分析装置を多目的の分析に対応できるものとしてなお、コンパクトで安価なものとすることができる利点を有するが、多試料搭載盤及び試料載置部上の試料の位置決めを行う駆動モータや伝動機構部はチャンバの外に設けられているため、真空シールなどの高価なシール構造を採用しなければならない上に、そのメンテナンスにも配慮が必要になる。また、三軸式のゴニオメータは通常、各駆動軸を積上げ構造としているため、広い範囲の設置スペースが必要であり、チャンバから外部に大きく張り出した構造となっており、改善の必要があった。
【0007】
また、特許文献2に記載のイオンビーム分析用チャンバでは、ERDA分析法とRBS分析法の両者に適用できる利点を有し、またゴニオメータが駆動部共々チャンバ内に設けられていることで、真空シールなどが不要になるといった利点を有するが、試料の位置決めを行うゴニオメータの設置構造は、検出器がERDA分析法とRBS分析法とで別々の位置に配置する必要があるため、その両者の位置の間を検出器と共に往復動し得る揺動アームの設置と相俟って大掛かりな構造となっている。
【0008】
本発明は、上記の事情に着目してなしたものであって、その目的は、試料の位置決めを比較的高さの低い位置決め装置で行うことで、コンパクトなイオンビーム分析用チャンバを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明(請求項1)に係るイオンビーム分析用チャンバは、試料台上の試料にイオンビームを照射し検出器によって試料を分析するイオンビーム分析用チャンバにおいて、ベースと、このベースにY軸を中心にθ方向に回動可能に設けられた回動ステージと、この回動ステージにX軸を中心にφ方向に回動可能に設けられ且つ試料台が取付けられたX−Yステージとを備える試料の位置決め装置を、内部に備えてなるものである。
【0010】
上記の構成では、試料台を取付けたX−Yステージを、回動ステージを介してY軸を中心にθ方向に回動及びX軸を中心にφ方向に回動し得るので、ベースと試料台までの間隔を短くでき、引いてはイオンビーム分析用チャンバをコンパクトにできる。また、分析に際しては試料台に載置した試料を、X−YステージによってY軸方向又は/及びX軸方向に移動し得るとともに、回動ステージを介してY軸を中心にθ方向に又は/及びX軸を中心にφ方向に回動移動させることができる。
【0011】
そして、上記請求項1の発明においては、X−Yステージが、試料台が取付けられ且つイオンビームの入射方向と直交するX軸方向に移動可能なXステージと、イオンビームの入射方向と直行し且つX軸方向に直行するY軸方向に移動可能なYステージと、YステージがY軸方向に移動可能に設けられ且つ回動ステージにX軸を中心にφ方向に回動可能に設けられた回動ベースとを備えてあってもよい(請求項2)。このようにX−Yステージに回動ベースを備えることで、回動ステージへの取付けを容易にして、上記の作用効果を得ることができる。
【0012】
また、上記請求項1又は2の発明においては、回動ステージが、四角形状のフレーム枠に形成されるとともに、一方の対向フレーム部材にY軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸を固定し、他方の対向フレーム部材にX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸の軸受けを設けてあってもよい(請求項3)。このように構成することで、X−Yステージを、四角形状のフレーム枠に形成した回動ステージの内部に設けることができるとともに、上記の作用効果を得ることができる。
【0013】
また、上記請求項1乃至3の何れかに記載のイオンビーム分析用チャンバにおいては、ベースが、イオンビームの入射方向と平行するZ軸方向に移動可能に設けてあってもよい(請求項4)。このように構成することで、試料をZ軸方向に移動することができ、イオンビームの進行方向の試料の位置(距離)補正ができる。
【0014】
また、請求項1乃至4の何れかに記載のイオンビーム分析用チャンバにおいては、Y軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸の軸心とX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸の軸心とが、何れも試料表面のイオンビーム照射位置を通るように配置されてあってもよい(請求項5)。このように構成することで、X−YステージのXステージ及びYステージがいかなる位置へ移動しても、回動軸中心は試料表面となるので、試料表面と検出器表面までの距離は一定となり、試料のZ軸方向への位置(距離)補正が不要となり、Z軸方向への移動手段が不要になり、イオンビーム分析用チャンバをコンパクトにできる。
【0015】
また、本発明(請求項6)に係るイオンビーム分析用チャンバは、試料台上の試料にイオンビームを照射し検出器によって試料を分析するイオンビーム分析用チャンバにおいて、ベースと、このベースにY軸を中心にθ方向に回動可能に設けられた回動ステージと、この回動ステージにX軸を中心にφ方向に回動可能に設けられ且つ試料台が取付けられたR−ωステージとをチャンバ内に備えるとともに、Y軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸の軸心とX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸の軸心とが、何れも試料表面のイオンビーム照射位置を通るように配置される試料の位置決め装置を、内部に備えてなるものである。
【0016】
上記の構成では、試料台を取付けたR−ωステージを、回動ステージを介してY軸を中心にθ方向に回動及びX軸を中心にφ方向に回動し得るとともに、Y軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸の軸心とX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸の軸心とを、何れも試料表面のイオンビーム照射位置を通るように配置しているので、ベースと試料台までの間隔を短くでき、引いてはイオンビーム分析用チャンバをコンパクトにできる。また、分析に際しては試料台に載置した試料を、R−ωステージによってZ軸を中心にω方向に回動又は/及びR方向(径方向)に移動し得るとともに、回動ステージを介してY軸を中心にθ方向に又は/及びX軸を中心にφ方向に回動移動させることができる。
【0017】
そして、上記請求項6に記載のイオンビーム分析用チャンバにおいては、R−ωステージが、イオンビームの入射方向と直交する面でイオンビーム軸(Z軸)を中心にω方向に回動可能な試料台と、この試料台が設けられ且つR方向に移動可能なRステージと、このRステージが設けられ且つ回動ステージにX軸を中心にφ方向に回動可能に設けられた回動ベースとを備えてあってもよい(請求項7)。このようにR−ωステージに回動ベースを備えることで、回動ステージへの取付けを容易にして、上記の作用効果を得ることができる。
【0018】
また、上記請求項6又は7に記載のイオンビーム分析用チャンバにおいては、回動ステージが、四角形状のフレーム枠に形成されるとともに、一方の対向フレーム部材にY軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸を固定し、他方の対向フレーム部材にX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸の軸受けを設けてあってもよい(請求項8)。このように構成することで、R−ωステージを、四角形状のフレーム枠に形成した回動ステージの内部に設けることができるとともに、上記の作用効果を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るイオンビーム分析用チャンバの正面断面図、図2は、図1の側面断面図である。図において、1はチャンバ本体、2は試料の位置決め装置である。
【0020】
チャンバ本体1は、円筒状に形成された胴部3と、この胴部3の前側に湾曲状に形成され且つイオンビームの導入口4が設けられた前側壁部5と、前記胴部3の後側に開閉可能に設けられた蓋部6とを備えて構成されている。そして、本例では、前側壁部5の所定位置に検出器7が設置されている。
【0021】
試料の位置決め装置2は、Z軸方向の駆動装置8、ベース9、回動ステージ10、X−Yステージ11を備えて構成され、蓋部6の内側に立設された支柱部材12を介してチャンバ本体1内に設けられている。
【0022】
Z軸方向の駆動装置8は、支柱部材12の上端部に設けた駆動モータ13と、この駆動モータ13に連結され支柱部材12に沿わせて設けたボールネジ14と、このボールネジ14の回動によって支柱部材12に沿って前進又は後退移動する摺動ブロック15とを備えて構成されている。なお、16は支柱部材12と摺動ブロック15の間に設けられているリニアガイドである。
【0023】
ベース9は、ベース部17と取付け部18を有する断面L字状の部材で構成され、取付け部18が上記摺動ブロック15に取付けられている。また、ベース部17上には、回動ステージ10をY軸方向の二箇所で回動可能に支持するための支持部材19が立設されている。
【0024】
回動ステージ10は、四角形状のフレーム枠に形成され、一方の対向フレーム部材20、21にはY軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸22、23が固定され、他方の対向フレーム部材24、25には後記のX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸38、39の軸受け26、27が設けられている。そして、前記回転軸22、23を、上記支持部材19に軸受け28、29を介して回動可能に取付けるとともに、一方の回転軸22を、ベース9上にモータブラケット30を介して設けた駆動モータ31の出力軸に連結させている。この駆動モータ31は、回動ステージ10をθ方向に回動させる。
【0025】
X−Yステージ11は、試料台32、Yステージ33、Xステージ34及び回動ベース35をこの順に積み重ねた構造のものであって、四角形状に形成された回動ベース35のX軸方向の対向端の中央部に立設した支持部材36、37の外側に突設した回転軸38、39を、上記回動ステージ10の軸受け26、27に取付けることで、回転ステージ10に設けられている。そして、前記回転軸38を、回動ステージ10のフレーム部材24の外側に設けたモータブラケット40上の駆動モータ41の出力軸に連結させている。この駆動モータ41は、回動ベース35をφ方向に回動させる。
【0026】
また、回動ベース35上には、リニアガイド42をX軸方向に平行に介在させて、四角形状に形成されたXステージ34が設けられるとともに、X軸方向に平行にボールネジ軸43が設けられ、またそのボールネジ軸43を回動駆動する駆動モータ44が設けられている。前記Xステージ34は、そのX軸方向に平行な一端部にブラケット45が設けられ、そのブラケット45に設けたボールナット46を介してボールネジ軸43に連結され、X軸方向に進退移動する。
【0027】
また、Xステージ34上には、リニアガイド47をY軸方向に平行に介在させて、略四角形状に形成されたYステージ33が設けられるとともに、Y軸方向に平行にボールネジ軸48が設けられ、またそのボールネジ軸48を回動駆動する駆動モータ49が設けられている。前記Yステージ33は、そのY軸方向に平行な一端部にブラケット50が設けられ、そのブラケット50に設けたボールナット51を介してボールネジ軸48に連結され、Y軸方向に進退移動する。そして、Yステージ33の上面中央部には試料台32が取付けられている。
【0028】
上記構成の本発明に係るイオンビーム分析用チャンバでは、試料台32を取付けたX−Yステージ11を、回動ステージ10を介してY軸を中心にθ方向に回動及びX軸を中心にφ方向に回動し得るので、ベース9と試料台32までの間隔Aを短くできる。引いては、イオンビーム分析用チャンバ全体をコンパクトにできる。そして、上記形態では、回動ステージ10を四角形状のフレーム枠に形成して、そのフレーム枠内の空間内にX−Yステージ11を、Y軸を中心にθ方向に回動及びX軸を中心にφ方向に回動し得るように配設しているので、ベース9と試料台32までの間隔Aをより短くできている。
【0029】
図3は、本発明に係る別に実施形態のイオンビーム分析用チャンバの正面断面図、図4は、図3の側面断面図である。この図に示すものは、上記形態における回動ステージ10に対するX−Yステージ11の取付け状態が、Y軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸22、23の軸心とX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸38、39の軸心との交点位置Bを、イオンビームが照射される試料の表面位置Cに対して距離Lだけ離れて取付けた構成としたのに対して、この距離Lをゼロとなるように取付けた他は同じ構成としたものである。
【0030】
そして、上記のように構成した場合には、試料の測定においてZ軸方向への距離補正が不要となるため、上記実施形態におけるZ軸方向の駆動装置8が不要となる。そこで、図3及び4には、そのZ軸方向の駆動装置8を除き、ベース9を蓋部6の内側に設けた構成を図示したものである。なお、上記図1及び2と同じ構成部分は同符号をもって示す。
【0031】
上記図3及び4に示す構成では、交点位置Bと試料の表面位置Cとの距離Lがゼロになった分、ベース9と試料台32までの間隔Aを更に短くできる。その上、X−Yステージ11のXステージ34及びYステージ33がいかなる位置へ移動しても、交点位置Bが試料の表面位置Cと重なるので、試料表面Cと検出器7の表面までの距離は一定となり、試料のZ軸方向への位置(距離)補正が不要で、Z軸方向の駆動装置8を除くことができ、イオンビーム分析用チャンバ全体をコンパクトにできる。
【0032】
図5は、本発明に係る別に実施形態のイオンビーム分析用チャンバの正面断面図、図6は、図5の側面断面図である。図において、52はチャンバ本体、53は試料の位置決め装置である。
【0033】
チャンバ本体52は、円筒状に形成された胴部54と、この胴部54の前側に湾曲状に形成され且つイオンビームの導入口55が設けられた前側壁部56と、前記胴部54の後側に開閉可能に設けられた蓋部57とを備えて構成されている。そして、本例では、前側壁部56の所定位置に検出器58が設置されている。
【0034】
試料の位置決め装置53は、ベース59、回動ステージ60、R−ωステージ61を備えて構成され、ベース59を蓋部57の内側に設けてチャンバ本体52内に設けられている。
【0035】
ベース59上には、回動ステージ60をY軸方向の二箇所で回動可能に支持するための支持部材62が立設されている。
【0036】
回動ステージ60は、四角形状のフレーム枠に形成され、一方の対向フレーム部材63、64にはY軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸65、66が固定され、他方の対向フレーム部材67、68には後記のX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸81、82の軸受け69、70が設けられている。そして、前記回転軸65、66を、上記支持部材62に軸受け71、72を介して回動可能に取付けるとともに、一方の回転軸65を、ベース59上にモータブラケット73を介して設けた駆動モータ74の出力軸に連結させている。この駆動モータ74は、回動ステージ60をθ方向に回動させる。
【0037】
R−ωステージ61は、試料台75、ω回動ステージ76、Rステージ77及び回動ベース78をこの順に積み重ねた構造のものであって、四角形状に形成された回動ベース78のR軸方向に直交する方向の対向端の中央部に立設した支持部材79、80の外側に突設した回転軸81、82を、上記回動ステージ60の軸受け69、70に取付けることで、回転ステージ60に設けられている。そして、前記回転軸81を、回動ステージ60のフレーム部材67の外側に設けたモータブラケット83上の駆動モータ84の出力軸に連結させている。この駆動モータ84は、回動ベース78をφ方向に回動させる。
【0038】
また、回動ステージ60の、対向フレーム部材63、64に固定されたY軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸65、66と対向フレーム部材67、68に軸受け69、70を介して設けられたX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸81、82とは、それらの軸心の交点位置Dが、イオンビームが照射される試料台75上の試料の表面位置Eと重なるように設けられている。
【0039】
また、回動ベース78上には、リニアガイド85をR軸方向(本例ではY軸方向と同じ方向)に平行に介在させて、六角形状に形成されたRステージ77が設けられるとともに、R軸方向に平行にボールネジ軸86が設けられ、またそのボールネジ軸86を回動駆動する駆動モータ87が設けられている。前記Rステージ77は、そのR軸方向に平行な一端部にブラケット88が設けられ、そのブラケット88に設けたボールナット89を介してボールネジ軸86に連結され、R軸方向に進退移動する。
【0040】
また、Rステージ77には、Rステージ77を貫通させて軸受け90が設けられ、またその側方には出力軸を貫通させて駆動モータ91が設けられている。そして、前記軸受け90には、円盤形状に形成されその外周面に歯車92が設けられたω回動ステージ76の中心部に突設された回転軸93が支持されている。また、前記駆動モータ91の出力軸には、前記歯車92に咬み合う歯車94が設けられている。従って、ω回動ステージ76は、駆動モータ91を作動することによりω方向に回動する。そして、ω回動ステージ76の上面中央部には試料台75が取付けられている。
【0041】
上記図5及び6における構成の本発明に係るイオンビーム分析用チャンバでも、試料台75を取付けたR−ωステージ61を、回動ステージ60を介してY軸を中心にθ方向に回動及びX軸を中心にφ方向に回動し得るとともに、Y軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸65、66とX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸81、82とを、それらの軸心の交点位置Dが、イオンビームが照射される試料台75上の試料の表面位置Eと重なるように設けられているので、ベース59と試料台75までの間隔Aを短くできる。引いては、イオンビーム分析用チャンバ全体をコンパクトにできる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るイオンビーム分析用チャンバによれば、試料の位置決めを、ベースと試料台までの間隔の短い比較的高さの低い位置決め装置で行うことで、コンパクトなイオンビーム分析用チャンバとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るイオンビーム分析用チャンバの正面断面図である。
【図2】図1の側面断面図である。
【図3】本発明に係る別に実施形態のイオンビーム分析用チャンバの正面断面図である。
【図4】図3の側面断面図である。
【図5】本発明に係る別に実施形態のイオンビーム分析用チャンバの正面断面図である。
【図6】図5の側面断面図である。
【符号の説明】
1:チャンバ本体 2:試料の位置決め装置 3:胴部
4:イオンビームの導入口 5:前側壁部
6:蓋部 7:検出器 8:Z軸方向の駆動装置
9:ベース 10:回動ステージ 11:X−Yステージ
12:支柱部材 13:駆動モータ 14:ボールネジ
15:摺動ブロック 16:リニアガイド 17:ベース部
18:取付け部 19:支持部材 20、21:フレーム部材
22、23:回転軸 24、25:フレーム部材
26〜29:軸受け 30:モータブラケット 31:駆動モータ
32:試料台 33:Yステージ 34:Xステージ
35:回動ベース 36、37:支持部材 38、39:回転軸
40:モータブラケット 41:駆動モータ 42:リニアガイド
43:ボールネジ軸 44:駆動モータ 45:ブラケット
46:ボールナット 47:リニアガイド 48:ボールネジ軸
49:駆動モータ 50:ブラケット 51:ボールナット
52:チャンバ本体 53:試料の位置決め装置
54:胴部 55:イオンビームの導入口
56:前側壁部 57:蓋部 58:検出器
59:ベース 60:回動ステージ 61:R−ωステージ
62:支持部材 63、64:フレーム部材
65、66:回転軸 67、68:フレーム部材
69〜72:軸受け 73:モータブラケット 74:駆動モータ
75:試料台 76:ω回動ステージ 77:Rステージ
78:回動ベース 79、80:支持部材 81、82:回転軸
83:モータブラケット 84:駆動モータ 85:リニアガイド
86:ボールネジ軸 87:駆動モータ 88:ブラケット
89:ボールナット 90:軸受け 91:駆動モータ
92、94:歯車 93:回転軸
A:ベースと試料台までの間隔
B、D:Y軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸の軸心とX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸の軸心との交点位置
C、E:試料の表面位置
L:交点位置Bと試料の表面位置Cまでの距離
【発明の属する技術分野】
本発明は、チャンバ内の試料台上の試料に外部より導入したイオンビームを照射し検出器によって試料を分析するイオンビーム分析用チャンバに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のイオンビーム分析用チャンバとしては、例えば特開平3−257751号公報(特許文献1)、特開平9−15173号公報(特許文献2)に開示されたものがある。そして、この開示されたイオンビーム分析用チャンバにおいては、チャンバ本体が、円筒状に形成された胴部と、この胴部の前側に湾曲状に形成され且つイオンビームの導入口が設けられた前側壁部と、前記胴部の後側に開閉可能に設けられた蓋部とを備えて構成されている。
【0003】
そして更に、特許文献1では、試料を載せる試料台として多試料搭載部と試料載置部の二つが配置されている。多試料搭載盤は、ターンテーブル式の円盤状あるいはX−Y方向に移動可能な矩形状のもので、そのモータ等駆動部を真空シール軸受などを介して蓋部の外に配設することで、蓋部の内に設けられている。一方、試料載置部は、真空フランジを備える高真空用の精密三軸式のゴニオメータの被駆動側に配置されるとともに、そのゴニオメータを胴部壁に真空フランジを介して、駆動部を胴部壁の外に、被駆動側を胴部壁の内に装着することで、設けられている。
【0004】
特許文献2では、試料を載せる試料台が、蓋部の内側に設けた支持フレームを介して支持したゴニオメータに配設されている。そして、このイオンビーム分析用チャンバでは、入射粒子との弾性衝突により前方(入射角と反射角とが10〜30度)に反跳された軽元素を検出して試料の分析評価を行うERDA分析法と、試料構成原子との弾性散乱により後方(90〜180度)に散乱するイオンのエネルギースペクトルを測定することによって、試料の深さ方向の組成や構造を分析することができるRBS分析法との両者に適用するため、チャンバ内で検出器が移動し得る構成となっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−257751号公報
【特許文献2】
特開平9−15173号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に記載のイオンビーム分析用チャンバでは、特性の異なる各種のイオンビームを同一ビーム照射軸線上に沿って導入するとともに、これらのイオンビームを選択的に用いて、広範囲且つ多種多様な分析を効率良く行うことができ、これを用いるイオンビーム分析装置を多目的の分析に対応できるものとしてなお、コンパクトで安価なものとすることができる利点を有するが、多試料搭載盤及び試料載置部上の試料の位置決めを行う駆動モータや伝動機構部はチャンバの外に設けられているため、真空シールなどの高価なシール構造を採用しなければならない上に、そのメンテナンスにも配慮が必要になる。また、三軸式のゴニオメータは通常、各駆動軸を積上げ構造としているため、広い範囲の設置スペースが必要であり、チャンバから外部に大きく張り出した構造となっており、改善の必要があった。
【0007】
また、特許文献2に記載のイオンビーム分析用チャンバでは、ERDA分析法とRBS分析法の両者に適用できる利点を有し、またゴニオメータが駆動部共々チャンバ内に設けられていることで、真空シールなどが不要になるといった利点を有するが、試料の位置決めを行うゴニオメータの設置構造は、検出器がERDA分析法とRBS分析法とで別々の位置に配置する必要があるため、その両者の位置の間を検出器と共に往復動し得る揺動アームの設置と相俟って大掛かりな構造となっている。
【0008】
本発明は、上記の事情に着目してなしたものであって、その目的は、試料の位置決めを比較的高さの低い位置決め装置で行うことで、コンパクトなイオンビーム分析用チャンバを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明(請求項1)に係るイオンビーム分析用チャンバは、試料台上の試料にイオンビームを照射し検出器によって試料を分析するイオンビーム分析用チャンバにおいて、ベースと、このベースにY軸を中心にθ方向に回動可能に設けられた回動ステージと、この回動ステージにX軸を中心にφ方向に回動可能に設けられ且つ試料台が取付けられたX−Yステージとを備える試料の位置決め装置を、内部に備えてなるものである。
【0010】
上記の構成では、試料台を取付けたX−Yステージを、回動ステージを介してY軸を中心にθ方向に回動及びX軸を中心にφ方向に回動し得るので、ベースと試料台までの間隔を短くでき、引いてはイオンビーム分析用チャンバをコンパクトにできる。また、分析に際しては試料台に載置した試料を、X−YステージによってY軸方向又は/及びX軸方向に移動し得るとともに、回動ステージを介してY軸を中心にθ方向に又は/及びX軸を中心にφ方向に回動移動させることができる。
【0011】
そして、上記請求項1の発明においては、X−Yステージが、試料台が取付けられ且つイオンビームの入射方向と直交するX軸方向に移動可能なXステージと、イオンビームの入射方向と直行し且つX軸方向に直行するY軸方向に移動可能なYステージと、YステージがY軸方向に移動可能に設けられ且つ回動ステージにX軸を中心にφ方向に回動可能に設けられた回動ベースとを備えてあってもよい(請求項2)。このようにX−Yステージに回動ベースを備えることで、回動ステージへの取付けを容易にして、上記の作用効果を得ることができる。
【0012】
また、上記請求項1又は2の発明においては、回動ステージが、四角形状のフレーム枠に形成されるとともに、一方の対向フレーム部材にY軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸を固定し、他方の対向フレーム部材にX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸の軸受けを設けてあってもよい(請求項3)。このように構成することで、X−Yステージを、四角形状のフレーム枠に形成した回動ステージの内部に設けることができるとともに、上記の作用効果を得ることができる。
【0013】
また、上記請求項1乃至3の何れかに記載のイオンビーム分析用チャンバにおいては、ベースが、イオンビームの入射方向と平行するZ軸方向に移動可能に設けてあってもよい(請求項4)。このように構成することで、試料をZ軸方向に移動することができ、イオンビームの進行方向の試料の位置(距離)補正ができる。
【0014】
また、請求項1乃至4の何れかに記載のイオンビーム分析用チャンバにおいては、Y軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸の軸心とX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸の軸心とが、何れも試料表面のイオンビーム照射位置を通るように配置されてあってもよい(請求項5)。このように構成することで、X−YステージのXステージ及びYステージがいかなる位置へ移動しても、回動軸中心は試料表面となるので、試料表面と検出器表面までの距離は一定となり、試料のZ軸方向への位置(距離)補正が不要となり、Z軸方向への移動手段が不要になり、イオンビーム分析用チャンバをコンパクトにできる。
【0015】
また、本発明(請求項6)に係るイオンビーム分析用チャンバは、試料台上の試料にイオンビームを照射し検出器によって試料を分析するイオンビーム分析用チャンバにおいて、ベースと、このベースにY軸を中心にθ方向に回動可能に設けられた回動ステージと、この回動ステージにX軸を中心にφ方向に回動可能に設けられ且つ試料台が取付けられたR−ωステージとをチャンバ内に備えるとともに、Y軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸の軸心とX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸の軸心とが、何れも試料表面のイオンビーム照射位置を通るように配置される試料の位置決め装置を、内部に備えてなるものである。
【0016】
上記の構成では、試料台を取付けたR−ωステージを、回動ステージを介してY軸を中心にθ方向に回動及びX軸を中心にφ方向に回動し得るとともに、Y軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸の軸心とX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸の軸心とを、何れも試料表面のイオンビーム照射位置を通るように配置しているので、ベースと試料台までの間隔を短くでき、引いてはイオンビーム分析用チャンバをコンパクトにできる。また、分析に際しては試料台に載置した試料を、R−ωステージによってZ軸を中心にω方向に回動又は/及びR方向(径方向)に移動し得るとともに、回動ステージを介してY軸を中心にθ方向に又は/及びX軸を中心にφ方向に回動移動させることができる。
【0017】
そして、上記請求項6に記載のイオンビーム分析用チャンバにおいては、R−ωステージが、イオンビームの入射方向と直交する面でイオンビーム軸(Z軸)を中心にω方向に回動可能な試料台と、この試料台が設けられ且つR方向に移動可能なRステージと、このRステージが設けられ且つ回動ステージにX軸を中心にφ方向に回動可能に設けられた回動ベースとを備えてあってもよい(請求項7)。このようにR−ωステージに回動ベースを備えることで、回動ステージへの取付けを容易にして、上記の作用効果を得ることができる。
【0018】
また、上記請求項6又は7に記載のイオンビーム分析用チャンバにおいては、回動ステージが、四角形状のフレーム枠に形成されるとともに、一方の対向フレーム部材にY軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸を固定し、他方の対向フレーム部材にX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸の軸受けを設けてあってもよい(請求項8)。このように構成することで、R−ωステージを、四角形状のフレーム枠に形成した回動ステージの内部に設けることができるとともに、上記の作用効果を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るイオンビーム分析用チャンバの正面断面図、図2は、図1の側面断面図である。図において、1はチャンバ本体、2は試料の位置決め装置である。
【0020】
チャンバ本体1は、円筒状に形成された胴部3と、この胴部3の前側に湾曲状に形成され且つイオンビームの導入口4が設けられた前側壁部5と、前記胴部3の後側に開閉可能に設けられた蓋部6とを備えて構成されている。そして、本例では、前側壁部5の所定位置に検出器7が設置されている。
【0021】
試料の位置決め装置2は、Z軸方向の駆動装置8、ベース9、回動ステージ10、X−Yステージ11を備えて構成され、蓋部6の内側に立設された支柱部材12を介してチャンバ本体1内に設けられている。
【0022】
Z軸方向の駆動装置8は、支柱部材12の上端部に設けた駆動モータ13と、この駆動モータ13に連結され支柱部材12に沿わせて設けたボールネジ14と、このボールネジ14の回動によって支柱部材12に沿って前進又は後退移動する摺動ブロック15とを備えて構成されている。なお、16は支柱部材12と摺動ブロック15の間に設けられているリニアガイドである。
【0023】
ベース9は、ベース部17と取付け部18を有する断面L字状の部材で構成され、取付け部18が上記摺動ブロック15に取付けられている。また、ベース部17上には、回動ステージ10をY軸方向の二箇所で回動可能に支持するための支持部材19が立設されている。
【0024】
回動ステージ10は、四角形状のフレーム枠に形成され、一方の対向フレーム部材20、21にはY軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸22、23が固定され、他方の対向フレーム部材24、25には後記のX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸38、39の軸受け26、27が設けられている。そして、前記回転軸22、23を、上記支持部材19に軸受け28、29を介して回動可能に取付けるとともに、一方の回転軸22を、ベース9上にモータブラケット30を介して設けた駆動モータ31の出力軸に連結させている。この駆動モータ31は、回動ステージ10をθ方向に回動させる。
【0025】
X−Yステージ11は、試料台32、Yステージ33、Xステージ34及び回動ベース35をこの順に積み重ねた構造のものであって、四角形状に形成された回動ベース35のX軸方向の対向端の中央部に立設した支持部材36、37の外側に突設した回転軸38、39を、上記回動ステージ10の軸受け26、27に取付けることで、回転ステージ10に設けられている。そして、前記回転軸38を、回動ステージ10のフレーム部材24の外側に設けたモータブラケット40上の駆動モータ41の出力軸に連結させている。この駆動モータ41は、回動ベース35をφ方向に回動させる。
【0026】
また、回動ベース35上には、リニアガイド42をX軸方向に平行に介在させて、四角形状に形成されたXステージ34が設けられるとともに、X軸方向に平行にボールネジ軸43が設けられ、またそのボールネジ軸43を回動駆動する駆動モータ44が設けられている。前記Xステージ34は、そのX軸方向に平行な一端部にブラケット45が設けられ、そのブラケット45に設けたボールナット46を介してボールネジ軸43に連結され、X軸方向に進退移動する。
【0027】
また、Xステージ34上には、リニアガイド47をY軸方向に平行に介在させて、略四角形状に形成されたYステージ33が設けられるとともに、Y軸方向に平行にボールネジ軸48が設けられ、またそのボールネジ軸48を回動駆動する駆動モータ49が設けられている。前記Yステージ33は、そのY軸方向に平行な一端部にブラケット50が設けられ、そのブラケット50に設けたボールナット51を介してボールネジ軸48に連結され、Y軸方向に進退移動する。そして、Yステージ33の上面中央部には試料台32が取付けられている。
【0028】
上記構成の本発明に係るイオンビーム分析用チャンバでは、試料台32を取付けたX−Yステージ11を、回動ステージ10を介してY軸を中心にθ方向に回動及びX軸を中心にφ方向に回動し得るので、ベース9と試料台32までの間隔Aを短くできる。引いては、イオンビーム分析用チャンバ全体をコンパクトにできる。そして、上記形態では、回動ステージ10を四角形状のフレーム枠に形成して、そのフレーム枠内の空間内にX−Yステージ11を、Y軸を中心にθ方向に回動及びX軸を中心にφ方向に回動し得るように配設しているので、ベース9と試料台32までの間隔Aをより短くできている。
【0029】
図3は、本発明に係る別に実施形態のイオンビーム分析用チャンバの正面断面図、図4は、図3の側面断面図である。この図に示すものは、上記形態における回動ステージ10に対するX−Yステージ11の取付け状態が、Y軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸22、23の軸心とX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸38、39の軸心との交点位置Bを、イオンビームが照射される試料の表面位置Cに対して距離Lだけ離れて取付けた構成としたのに対して、この距離Lをゼロとなるように取付けた他は同じ構成としたものである。
【0030】
そして、上記のように構成した場合には、試料の測定においてZ軸方向への距離補正が不要となるため、上記実施形態におけるZ軸方向の駆動装置8が不要となる。そこで、図3及び4には、そのZ軸方向の駆動装置8を除き、ベース9を蓋部6の内側に設けた構成を図示したものである。なお、上記図1及び2と同じ構成部分は同符号をもって示す。
【0031】
上記図3及び4に示す構成では、交点位置Bと試料の表面位置Cとの距離Lがゼロになった分、ベース9と試料台32までの間隔Aを更に短くできる。その上、X−Yステージ11のXステージ34及びYステージ33がいかなる位置へ移動しても、交点位置Bが試料の表面位置Cと重なるので、試料表面Cと検出器7の表面までの距離は一定となり、試料のZ軸方向への位置(距離)補正が不要で、Z軸方向の駆動装置8を除くことができ、イオンビーム分析用チャンバ全体をコンパクトにできる。
【0032】
図5は、本発明に係る別に実施形態のイオンビーム分析用チャンバの正面断面図、図6は、図5の側面断面図である。図において、52はチャンバ本体、53は試料の位置決め装置である。
【0033】
チャンバ本体52は、円筒状に形成された胴部54と、この胴部54の前側に湾曲状に形成され且つイオンビームの導入口55が設けられた前側壁部56と、前記胴部54の後側に開閉可能に設けられた蓋部57とを備えて構成されている。そして、本例では、前側壁部56の所定位置に検出器58が設置されている。
【0034】
試料の位置決め装置53は、ベース59、回動ステージ60、R−ωステージ61を備えて構成され、ベース59を蓋部57の内側に設けてチャンバ本体52内に設けられている。
【0035】
ベース59上には、回動ステージ60をY軸方向の二箇所で回動可能に支持するための支持部材62が立設されている。
【0036】
回動ステージ60は、四角形状のフレーム枠に形成され、一方の対向フレーム部材63、64にはY軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸65、66が固定され、他方の対向フレーム部材67、68には後記のX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸81、82の軸受け69、70が設けられている。そして、前記回転軸65、66を、上記支持部材62に軸受け71、72を介して回動可能に取付けるとともに、一方の回転軸65を、ベース59上にモータブラケット73を介して設けた駆動モータ74の出力軸に連結させている。この駆動モータ74は、回動ステージ60をθ方向に回動させる。
【0037】
R−ωステージ61は、試料台75、ω回動ステージ76、Rステージ77及び回動ベース78をこの順に積み重ねた構造のものであって、四角形状に形成された回動ベース78のR軸方向に直交する方向の対向端の中央部に立設した支持部材79、80の外側に突設した回転軸81、82を、上記回動ステージ60の軸受け69、70に取付けることで、回転ステージ60に設けられている。そして、前記回転軸81を、回動ステージ60のフレーム部材67の外側に設けたモータブラケット83上の駆動モータ84の出力軸に連結させている。この駆動モータ84は、回動ベース78をφ方向に回動させる。
【0038】
また、回動ステージ60の、対向フレーム部材63、64に固定されたY軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸65、66と対向フレーム部材67、68に軸受け69、70を介して設けられたX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸81、82とは、それらの軸心の交点位置Dが、イオンビームが照射される試料台75上の試料の表面位置Eと重なるように設けられている。
【0039】
また、回動ベース78上には、リニアガイド85をR軸方向(本例ではY軸方向と同じ方向)に平行に介在させて、六角形状に形成されたRステージ77が設けられるとともに、R軸方向に平行にボールネジ軸86が設けられ、またそのボールネジ軸86を回動駆動する駆動モータ87が設けられている。前記Rステージ77は、そのR軸方向に平行な一端部にブラケット88が設けられ、そのブラケット88に設けたボールナット89を介してボールネジ軸86に連結され、R軸方向に進退移動する。
【0040】
また、Rステージ77には、Rステージ77を貫通させて軸受け90が設けられ、またその側方には出力軸を貫通させて駆動モータ91が設けられている。そして、前記軸受け90には、円盤形状に形成されその外周面に歯車92が設けられたω回動ステージ76の中心部に突設された回転軸93が支持されている。また、前記駆動モータ91の出力軸には、前記歯車92に咬み合う歯車94が設けられている。従って、ω回動ステージ76は、駆動モータ91を作動することによりω方向に回動する。そして、ω回動ステージ76の上面中央部には試料台75が取付けられている。
【0041】
上記図5及び6における構成の本発明に係るイオンビーム分析用チャンバでも、試料台75を取付けたR−ωステージ61を、回動ステージ60を介してY軸を中心にθ方向に回動及びX軸を中心にφ方向に回動し得るとともに、Y軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸65、66とX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸81、82とを、それらの軸心の交点位置Dが、イオンビームが照射される試料台75上の試料の表面位置Eと重なるように設けられているので、ベース59と試料台75までの間隔Aを短くできる。引いては、イオンビーム分析用チャンバ全体をコンパクトにできる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るイオンビーム分析用チャンバによれば、試料の位置決めを、ベースと試料台までの間隔の短い比較的高さの低い位置決め装置で行うことで、コンパクトなイオンビーム分析用チャンバとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るイオンビーム分析用チャンバの正面断面図である。
【図2】図1の側面断面図である。
【図3】本発明に係る別に実施形態のイオンビーム分析用チャンバの正面断面図である。
【図4】図3の側面断面図である。
【図5】本発明に係る別に実施形態のイオンビーム分析用チャンバの正面断面図である。
【図6】図5の側面断面図である。
【符号の説明】
1:チャンバ本体 2:試料の位置決め装置 3:胴部
4:イオンビームの導入口 5:前側壁部
6:蓋部 7:検出器 8:Z軸方向の駆動装置
9:ベース 10:回動ステージ 11:X−Yステージ
12:支柱部材 13:駆動モータ 14:ボールネジ
15:摺動ブロック 16:リニアガイド 17:ベース部
18:取付け部 19:支持部材 20、21:フレーム部材
22、23:回転軸 24、25:フレーム部材
26〜29:軸受け 30:モータブラケット 31:駆動モータ
32:試料台 33:Yステージ 34:Xステージ
35:回動ベース 36、37:支持部材 38、39:回転軸
40:モータブラケット 41:駆動モータ 42:リニアガイド
43:ボールネジ軸 44:駆動モータ 45:ブラケット
46:ボールナット 47:リニアガイド 48:ボールネジ軸
49:駆動モータ 50:ブラケット 51:ボールナット
52:チャンバ本体 53:試料の位置決め装置
54:胴部 55:イオンビームの導入口
56:前側壁部 57:蓋部 58:検出器
59:ベース 60:回動ステージ 61:R−ωステージ
62:支持部材 63、64:フレーム部材
65、66:回転軸 67、68:フレーム部材
69〜72:軸受け 73:モータブラケット 74:駆動モータ
75:試料台 76:ω回動ステージ 77:Rステージ
78:回動ベース 79、80:支持部材 81、82:回転軸
83:モータブラケット 84:駆動モータ 85:リニアガイド
86:ボールネジ軸 87:駆動モータ 88:ブラケット
89:ボールナット 90:軸受け 91:駆動モータ
92、94:歯車 93:回転軸
A:ベースと試料台までの間隔
B、D:Y軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸の軸心とX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸の軸心との交点位置
C、E:試料の表面位置
L:交点位置Bと試料の表面位置Cまでの距離
Claims (8)
- 試料台上の試料にイオンビームを照射し検出器によって試料を分析するイオンビーム分析用チャンバにおいて、ベースと、このベースにY軸を中心にθ方向に回動可能に設けられた回動ステージと、この回動ステージにX軸を中心にφ方向に回動可能に設けられ且つ試料台が取付けられたX−Yステージとを備える試料の位置決め装置を、内部に備えてなることを特徴とするイオンビーム分析用チャンバ。
- X−Yステージが、試料台が取付けられ且つイオンビームの入射方向と直交するX軸方向に移動可能なXステージと、イオンビームの入射方向と直行し且つX軸方向に直行するY軸方向に移動可能なYステージと、YステージがY軸方向に移動可能に設けられ且つ回動ステージにX軸を中心にφ方向に回動可能に設けられた回動ベースとを備えてなる請求項1に記載のイオンビーム分析用チャンバ。
- 回動ステージが、四角形状のフレーム枠に形成されるとともに、一方の対向フレーム部材にY軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸を固定し、他方の対向フレーム部材にX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸の軸受けを設けてなる請求項1又は2に記載のイオンビーム分析用チャンバ。
- ベースが、イオンビームの入射方向と平行するZ軸方向に移動可能に設けられてなる請求項1乃至3の何れかに記載のイオンビーム分析用チャンバ。
- Y軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸の軸心とX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸の軸心とが、何れも試料表面のイオンビーム照射位置を通るように配置されてなる請求項1乃至4の何れかに記載のイオンビーム分析用チャンバ。
- 試料台上の試料にイオンビームを照射し検出器によって試料を分析するイオンビーム分析用チャンバにおいて、ベースと、このベースにY軸を中心にθ方向に回動可能に設けられた回動ステージと、この回動ステージにX軸を中心にφ方向に回動可能に設けられ且つ試料台が取付けられたR−ωステージとをチャンバ内に備えるとともに、Y軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸の軸心とX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸の軸心とが、何れも試料表面のイオンビーム照射位置を通るように配置される試料の位置決め装置を、内部に備えてなることを特徴とするイオンビーム分析用チャンバ。
- R−ωステージが、イオンビームの入射方向と直交する面でイオンビーム軸(Z軸)を中心にω方向に回動可能な試料台と、この試料台が設けられ且つR方向に移動可能なRステージと、このRステージが設けられ且つ回動ステージにX軸を中心にφ方向に回動可能に設けられた回動ベースとを備えてなる請求項6に記載のイオンビーム分析用チャンバ。
- 回動ステージが、四角形状のフレーム枠に形成されるとともに、一方の対向フレーム部材にY軸を中心にθ方向に回動可能な回転軸を固定し、他方の対向フレーム部材にX軸を中心にφ方向に回動可能な回転軸の軸受けを設けてなる請求項6又は7に記載のイオンビーム分析用チャンバ。
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