JP2004164944A - 同軸ケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】中心導体と外部導体との間に挟まれる誘電体の形状を工夫することにより、さらには外部導体をメタライズ化することにより、最外周の径が0.5mm程度以下の非常に細い同軸ケーブルを提供する。
【解決手段】中心導体1の外周に誘電体2が設けられ、さらに誘電体2の外周に外部導体3が設けられ、その外部導体3のさらに外周に被覆膜4が設けられることにより同軸ケーブルが構成されている。本発明では、この誘電体2が、中心導体1と外部導体3との間に、外部導体3を保持するリブ2aとして部分的に設けられ、そのリブ2aの間に中空部5が形成されるように設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】中心導体1の外周に誘電体2が設けられ、さらに誘電体2の外周に外部導体3が設けられ、その外部導体3のさらに外周に被覆膜4が設けられることにより同軸ケーブルが構成されている。本発明では、この誘電体2が、中心導体1と外部導体3との間に、外部導体3を保持するリブ2aとして部分的に設けられ、そのリブ2aの間に中空部5が形成されるように設けられている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば移動体通信などの端末機などに用いられるマイクロ波伝送用などに適した小型の同軸ケーブルに関する。さらに詳しくは、同軸ケーブルの外径が、たとえば0.5mm程度以下の非常に細い同軸ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の同軸ケーブルは、たとえば図4にその一例の断面説明図が示されるように、金属棒または金属細線を束ねた中心導体21の外周に誘電体22が被覆され、さらにその外側に金属細線により網状に形成された外部導体23が巻き付けられることにより、中心導体21と外部導体23とが同心になるように形成されている。そして、その外周にさらに塩化ビニールなどが被覆されて被覆膜24が形成されている(たとえば非特許文献1参照)。
【0003】
この同軸ケーブルは、ケーブルの特性インピーダンスZ0が、中心導体21の直径をd、外部導体23の内径をD、誘電体22の比誘電率をεrとすると、次式(1)で与えられることが知られており、Dを小さくするためにはdやεrを小さくする必要がある。そのため、中心導体21の直径dを小さくすることが試みられているが、中心導体1には電流が流れるため、余り細くすると抵抗が増大して好ましくなく、直径dは0.15mm程度が限界である。とくに、マイクロ波帯で使用する場合には、表皮効果により導体の表面で数μm程度の厚さだけ電流が流れるため、表面積がある程度ないと所望の電流を抵抗損なく得ることができない。
【0004】
【数1】
【0005】
また、誘電体としては、その比誘電率が小さいほど式(1)からも外部導体の内径を小さくすることができるため、テトラフルオロエチレンなどが現在一般的に用いられており、その比誘電率は2.07程度である。しかし、同軸ケーブルに用いられる誘電体として、それより比誘電率の小さい誘電体材料は今のところ実用化していない。
【0006】
【非特許文献1】
JIS C 3501
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、同軸ケーブルを細径化するため、中心導体を細くしたり、誘電体に比誘電率の小さい材料を用いる工夫がなされているが、電流容量の点および供給される誘電体材料の点から限界があり、現在では同軸ケーブルの最外周の径が0.8mm程度の細い同軸ケーブルが限界の状態である。
【0008】
一方、近年では通信機器の小型化のため、機器内部に使用される同軸ケーブルにおいても、より一層の細経化が要求され、同軸ケーブルの最外周の径が0.5mm程度以下にすることが要求されてきている。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、中心導体と外部導体との間に挟まれる誘電体の形状を工夫することにより、最外周の径が0.5mm程度以下の非常に細い同軸ケーブルを提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的は、外部導体をメタライズ化することにより、同軸ケーブルの細径化を図りながら、材料を節約すると共に、同軸ケーブルの軽量化を図ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による同軸ケーブルは、中心導体と、該中心導体の外周に設けられる誘電体と、該誘電体の外周にさらに設けられる外部導体と、該外部導体の周囲に設けられる被覆膜とからなり、前記誘電体は、前記中心導体と前記外部導体との間に該外部導体を保持するリブとして部分的に設けられ、該リブの間に中空部が形成されるように設けられている。
【0012】
この構造にすることにより、中心導体と外部導体との間の誘電体が、外部導体を保持するための部分だけに設けられ、他は中空部に形成されているため、中心導体と外部導体との間の誘電体の量は半分程度以下と少なくなる。一方、中空部は空気であるためその比誘電率は1である。その結果、中心導体と外部導体との間の誘電体の平均的な比誘電率はその量が少なくなるにつれて小さくなり、たとえば誘電体の比誘電率が2.07程度で、その量が半分程度になれば、見かけ上の比誘電率が1.53{=(1+2.07)/2}となる。式(1)では、比誘電率は平方根で反映し、外部導体の内径Dは対数で反映するため、比誘電率の減った割合で外部導体の内径を小さくすることはできないが、同じ特性インピーダンスにするのに、比誘電率を小さくすれば、外径Dも小さくすることができる。すなわち、中心導体と外部導体との間の誘電体の量を減らせば減らすほど、中心導体の外径が同じでも、同軸ケーブルの最終外径を小さくすることができる。
【0013】
前記被覆膜の内壁に金属層がメタライズされ、該金属層がメタライズされた前記被覆膜が前記中空部を有する誘電体の外周に挿入されることにより、前記金属層が前記外部導体として用いられることにより、外部導体の内径は所定の寸法でも、その肉厚を非常に薄く形成することができるため、ケーブルとしての最終外径を小さくすることができる。たとえば従来外部導体の厚さが0.1mm程度あったものが、メタライズにより形成することにより、数μmの厚さ設けられれば、マイクロ波帯においては、表皮効果により充分であり、その外径を小さくすることができる。
【0014】
誘電体の量を減らすには、具体的には、前記リブ部が断面形状でT字型に形成されることにより、外部導体、すなわち被覆膜を広い範囲で充分に保持しながら、大きな中空部を形成しやすいため好ましい。
【0015】
前記誘電体が、前記中心導体の外周に押し出し成形により一体成形で形成されておれば、金型による押し出し成形により中空部を有する誘電体を簡単に形成できるため好ましい。
【0016】
前記中心導体の軸方向に沿って、部分的に前記リブ部も除去されて、前記中心導体と外部導体との間に大きな中空部が形成されることにより、同軸ケーブル全体としての誘電体の量をさらに少なくすることができるため、さらに細径化するのに好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
つぎに、図面を参照しながら本発明の同軸ケーブルについて説明をする。本発明による同軸ケーブルは、図1にその一実施形態の断面説明図が示されるように、中心導体1の外周に誘電体2が設けられ、さらに誘電体2の外周に外部導体3が設けられ、その外部導体3のさらに外周に被覆膜4が設けられることにより同軸ケーブルが構成されている。本発明では、この誘電体2が、中心導体1と外部導体3との間に、外部導体3を保持するリブ2aとして部分的に設けられ、そのリブ2aの間に中空部5が形成されるように設けられていることに特徴がある。
【0018】
中心導体1は、銅(Cu)のような電気抵抗の小さいものが好ましいが、この材料に限定されるものではない。この中心導体1は、通常の線状体を束ねたものや棒状体のもを使用することができ、所望の電流を流すことができる太さで、かつ、できるだけで細く形成され、たとえば0.15mm程度の外径のものが用いられる。
【0019】
誘電体2は、たとえば樹脂成形金型で中心導体と一体に押し出し成形をすることにより形成される。樹脂としては、できるだけ比誘電率の小さい材料が好ましく、たとえばフッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)などを用いることができる。誘電体2の形状は、外部導体3および被覆膜4を保持する程度のリブとして形成されていればよく、できるだけ少ない方が好ましい。図1に示される例は、断面形状がほぼT字型になるように、外部導体3および被覆膜4側で幅広に形成され、中心導体1と外部導体3との間隔の中間部では、大部分が中空部5になるように形成されている。なお、中心導体1側では押し出し成形する際に付着を避けられず、中心導体1の全周に僅かではあるが、誘電体2が付着している。隣接するT字型リブの外周部(外部導体3と接触する部分)が相互に接触する構造で、誘電体の外筒と内筒が所々で半径方向のリブにより連結された構造とすることもできる。このように、外周が連続していれば、直接その外周に金属層をメタライズして外部導体3を形成することができる。
【0020】
半径方向リブ2aの数も図1に示される例に限定されるものではなく、外部導体3と接する側を保持することができれば、できるだけ少ない方が中空部5を多くすることができるため好ましい。とくに、現在考慮している同軸ケーブルのように、最外径が0.5mm程度以下の細いものであれば、径方向リブの数を減らしても充分に外周部を保持することができ、たとえば図2に示されるように、径方向リブ2aの数を4本程度に減らしても充分に保持することができる。このようにリブ2aを減らすことにより、中空部5の容積を増やすことができ、平均的な誘電率を小さくすることができる。なお、図2に示される例では、中心導体1として、細線を束ねることにより、全体として外径が図1に示される例とほぼ同程度に形成されたものを使用する例が示されている。
【0021】
前述の断面形状を有する強誘電体2は、中心導体1の軸方向に沿って連続して形成されれば、前述の金型成形により連続して押し出し成形をすることにより製造することができるため、簡単に形成することができる。しかし、たとえば図3に軸方向の縦断面説明図が示されるように、軸方向に沿って断続的に誘電体2を形成し、軸方向に沿って、誘電体2のある部分と中空部5とを繰返して形成することもできる。たとえば軸方向の中空部5の長さLが数mm程度から数cm程度であれば、最外径が0.5mm程度の細い同軸ケーブルであれば、中心導体1と外部導体3とを接触(短絡)させることなく、外部導体3および被覆層4を保持することができる。このように、軸方向に対して、誘電体2を間欠的に設けることにより、同軸ケーブル全体としてみた場合に、誘電体2の誘電率を見かけ上小さくしたのと同様の特性となり、同軸ケーブルの最終外径を小さくすることができる。
【0022】
外部導体3は、図1に示される例では、被覆膜4の内面に無電解メッキなどにより金属層をメタライズし、その被覆膜4を誘電体2の外周に挿入することにより形成されている。移動体通信の端末機などに用いられるこの種の細い同軸ケーブルは、通常100mm程度の短いものであるため、細いチューブ状の被覆膜に無電解メッキをする場合でも、充分に内周全面にメタライズをすることができる。しかし、前述の誘電体2の外周が円周方向に連続した構造に形成されている場合には、その誘電体2の外表面に直接無電解メッキまたは金属ペーストを塗布して焼結することなどにより設けてもよい。このようなメタライズにより外部導体3を設けることにより、数μm程度から数十μm程度の厚さに形成すればよく、非常に薄い層により形成することができるため好ましい。
【0023】
このメッキにより外部導体3を形成する場合、まずNiメッキを2〜3μm程度設け、さらにその上にPdなどの反応開始層を非常に薄い膜として設けてからCuを3μm程度設けることが、被覆膜3との密着性を向上させながら、電気抵抗の小さい銅被膜で電流が流れるようにすることができるため好ましい。また、マイクロ波帯ではその表皮効果により数μm程度の厚さがあれば充分であるが、低周波で大電流を必要とし、厚い被膜を設ける場合には、さらに電解メッキにより10μm以上の厚い被膜でも形成することができる。
【0024】
被覆膜4は、たとえば内径がメッキ後の径で誘電体2の外周に適合し、肉厚が0.1mm程度の塩化ビニールなどの絶縁体を用いることができる。この被覆膜4の内周に前述のメッキなどにより外部導体3が被膜され、その状態で中心導体1と一体成形された誘電体2の外周に挿入されている。そのため、内径は誘電体2の外径より若干大きめの方が挿入しやすいため好ましく、たとえば、熱収縮性を有するポリオレフィンなどを用いて、挿入後に収縮させることにより、内面に外部導体3が形成された被覆膜4を誘電体2の外周にぴったりと適合させることができる。しかし、内面に外部導体3が形成された被覆膜4と誘電体2とが完全に密着していなくても、電磁波の伝播という同軸ケーブルの機能にはそれほど支障はなく、被覆膜4が抜けないように、両端部でカシメなどによりしっかりと固定されていれば問題はない。
【0025】
本発明の同軸ケーブルによれば、電流容量から細くすることが限界の細い中心導体の外周に誘電体が部分的に形成されているため、見かけ上の誘電率を小さくすることができる。たとえば誘電体の比誘電率がxであっても、その量が半分程度になれば、見かけ上の比誘電率は(1+x)/2となり、前述の式(1)に基づき、外部導体3の内径D、すなわち被覆膜4の径を小さくすることができる。中空部の体積をさらに多くすれば、さらに小径化に寄与する。
【0026】
また、本発明の同軸ケーブルによれば、外部導体がメタライズ層により形成されているため、その肉厚を非常に薄くすることができ、より一層同軸ケーブルを細くすることができる。なお、外部導体の厚さが非常に薄くなっても、たとえばマイクロ波帯での使用にあっては、表皮効果により表面の数μm程度の厚さしか電流は流れないため、全く支障はなく、また、低周波に対しても外部導体はその径が中心導体よりも大きいため、断面積の合計としては大きくなり、支障はない。その結果、同軸ケーブル全体の太さを細くすることができ、0.5mm以下の細い同軸ケーブルが得られる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、非常に細い同軸ケーブルが得られるため、近年目覚しく小型軽量化が要求される電子機器、とくに無線通信機器の端末機などのさらなる小型化に寄与することができる。
【0028】
さらに、外部導体がメタライズにより形成されることにより、外部導体が薄くなって、同軸ケーブルの細径化に寄与するのみならず、電流を流すのに不必要な無駄な金属を減らすことができるため、軽量化およびコストダウンに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による同軸ケーブルの一実施形態を示す断面説明図である。
【図2】図1の変形例を示す断面説明図である。
【図3】本発明による同軸ケーブルの他の実施形態を示す縦断面の説明図である。
【図4】従来の同軸ケーブルの一例を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 中心導体
2 誘電体
2a リブ
3 外部導体
4 被覆膜
5 中空部
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば移動体通信などの端末機などに用いられるマイクロ波伝送用などに適した小型の同軸ケーブルに関する。さらに詳しくは、同軸ケーブルの外径が、たとえば0.5mm程度以下の非常に細い同軸ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の同軸ケーブルは、たとえば図4にその一例の断面説明図が示されるように、金属棒または金属細線を束ねた中心導体21の外周に誘電体22が被覆され、さらにその外側に金属細線により網状に形成された外部導体23が巻き付けられることにより、中心導体21と外部導体23とが同心になるように形成されている。そして、その外周にさらに塩化ビニールなどが被覆されて被覆膜24が形成されている(たとえば非特許文献1参照)。
【0003】
この同軸ケーブルは、ケーブルの特性インピーダンスZ0が、中心導体21の直径をd、外部導体23の内径をD、誘電体22の比誘電率をεrとすると、次式(1)で与えられることが知られており、Dを小さくするためにはdやεrを小さくする必要がある。そのため、中心導体21の直径dを小さくすることが試みられているが、中心導体1には電流が流れるため、余り細くすると抵抗が増大して好ましくなく、直径dは0.15mm程度が限界である。とくに、マイクロ波帯で使用する場合には、表皮効果により導体の表面で数μm程度の厚さだけ電流が流れるため、表面積がある程度ないと所望の電流を抵抗損なく得ることができない。
【0004】
【数1】
【0005】
また、誘電体としては、その比誘電率が小さいほど式(1)からも外部導体の内径を小さくすることができるため、テトラフルオロエチレンなどが現在一般的に用いられており、その比誘電率は2.07程度である。しかし、同軸ケーブルに用いられる誘電体として、それより比誘電率の小さい誘電体材料は今のところ実用化していない。
【0006】
【非特許文献1】
JIS C 3501
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、同軸ケーブルを細径化するため、中心導体を細くしたり、誘電体に比誘電率の小さい材料を用いる工夫がなされているが、電流容量の点および供給される誘電体材料の点から限界があり、現在では同軸ケーブルの最外周の径が0.8mm程度の細い同軸ケーブルが限界の状態である。
【0008】
一方、近年では通信機器の小型化のため、機器内部に使用される同軸ケーブルにおいても、より一層の細経化が要求され、同軸ケーブルの最外周の径が0.5mm程度以下にすることが要求されてきている。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、中心導体と外部導体との間に挟まれる誘電体の形状を工夫することにより、最外周の径が0.5mm程度以下の非常に細い同軸ケーブルを提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的は、外部導体をメタライズ化することにより、同軸ケーブルの細径化を図りながら、材料を節約すると共に、同軸ケーブルの軽量化を図ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による同軸ケーブルは、中心導体と、該中心導体の外周に設けられる誘電体と、該誘電体の外周にさらに設けられる外部導体と、該外部導体の周囲に設けられる被覆膜とからなり、前記誘電体は、前記中心導体と前記外部導体との間に該外部導体を保持するリブとして部分的に設けられ、該リブの間に中空部が形成されるように設けられている。
【0012】
この構造にすることにより、中心導体と外部導体との間の誘電体が、外部導体を保持するための部分だけに設けられ、他は中空部に形成されているため、中心導体と外部導体との間の誘電体の量は半分程度以下と少なくなる。一方、中空部は空気であるためその比誘電率は1である。その結果、中心導体と外部導体との間の誘電体の平均的な比誘電率はその量が少なくなるにつれて小さくなり、たとえば誘電体の比誘電率が2.07程度で、その量が半分程度になれば、見かけ上の比誘電率が1.53{=(1+2.07)/2}となる。式(1)では、比誘電率は平方根で反映し、外部導体の内径Dは対数で反映するため、比誘電率の減った割合で外部導体の内径を小さくすることはできないが、同じ特性インピーダンスにするのに、比誘電率を小さくすれば、外径Dも小さくすることができる。すなわち、中心導体と外部導体との間の誘電体の量を減らせば減らすほど、中心導体の外径が同じでも、同軸ケーブルの最終外径を小さくすることができる。
【0013】
前記被覆膜の内壁に金属層がメタライズされ、該金属層がメタライズされた前記被覆膜が前記中空部を有する誘電体の外周に挿入されることにより、前記金属層が前記外部導体として用いられることにより、外部導体の内径は所定の寸法でも、その肉厚を非常に薄く形成することができるため、ケーブルとしての最終外径を小さくすることができる。たとえば従来外部導体の厚さが0.1mm程度あったものが、メタライズにより形成することにより、数μmの厚さ設けられれば、マイクロ波帯においては、表皮効果により充分であり、その外径を小さくすることができる。
【0014】
誘電体の量を減らすには、具体的には、前記リブ部が断面形状でT字型に形成されることにより、外部導体、すなわち被覆膜を広い範囲で充分に保持しながら、大きな中空部を形成しやすいため好ましい。
【0015】
前記誘電体が、前記中心導体の外周に押し出し成形により一体成形で形成されておれば、金型による押し出し成形により中空部を有する誘電体を簡単に形成できるため好ましい。
【0016】
前記中心導体の軸方向に沿って、部分的に前記リブ部も除去されて、前記中心導体と外部導体との間に大きな中空部が形成されることにより、同軸ケーブル全体としての誘電体の量をさらに少なくすることができるため、さらに細径化するのに好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
つぎに、図面を参照しながら本発明の同軸ケーブルについて説明をする。本発明による同軸ケーブルは、図1にその一実施形態の断面説明図が示されるように、中心導体1の外周に誘電体2が設けられ、さらに誘電体2の外周に外部導体3が設けられ、その外部導体3のさらに外周に被覆膜4が設けられることにより同軸ケーブルが構成されている。本発明では、この誘電体2が、中心導体1と外部導体3との間に、外部導体3を保持するリブ2aとして部分的に設けられ、そのリブ2aの間に中空部5が形成されるように設けられていることに特徴がある。
【0018】
中心導体1は、銅(Cu)のような電気抵抗の小さいものが好ましいが、この材料に限定されるものではない。この中心導体1は、通常の線状体を束ねたものや棒状体のもを使用することができ、所望の電流を流すことができる太さで、かつ、できるだけで細く形成され、たとえば0.15mm程度の外径のものが用いられる。
【0019】
誘電体2は、たとえば樹脂成形金型で中心導体と一体に押し出し成形をすることにより形成される。樹脂としては、できるだけ比誘電率の小さい材料が好ましく、たとえばフッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)などを用いることができる。誘電体2の形状は、外部導体3および被覆膜4を保持する程度のリブとして形成されていればよく、できるだけ少ない方が好ましい。図1に示される例は、断面形状がほぼT字型になるように、外部導体3および被覆膜4側で幅広に形成され、中心導体1と外部導体3との間隔の中間部では、大部分が中空部5になるように形成されている。なお、中心導体1側では押し出し成形する際に付着を避けられず、中心導体1の全周に僅かではあるが、誘電体2が付着している。隣接するT字型リブの外周部(外部導体3と接触する部分)が相互に接触する構造で、誘電体の外筒と内筒が所々で半径方向のリブにより連結された構造とすることもできる。このように、外周が連続していれば、直接その外周に金属層をメタライズして外部導体3を形成することができる。
【0020】
半径方向リブ2aの数も図1に示される例に限定されるものではなく、外部導体3と接する側を保持することができれば、できるだけ少ない方が中空部5を多くすることができるため好ましい。とくに、現在考慮している同軸ケーブルのように、最外径が0.5mm程度以下の細いものであれば、径方向リブの数を減らしても充分に外周部を保持することができ、たとえば図2に示されるように、径方向リブ2aの数を4本程度に減らしても充分に保持することができる。このようにリブ2aを減らすことにより、中空部5の容積を増やすことができ、平均的な誘電率を小さくすることができる。なお、図2に示される例では、中心導体1として、細線を束ねることにより、全体として外径が図1に示される例とほぼ同程度に形成されたものを使用する例が示されている。
【0021】
前述の断面形状を有する強誘電体2は、中心導体1の軸方向に沿って連続して形成されれば、前述の金型成形により連続して押し出し成形をすることにより製造することができるため、簡単に形成することができる。しかし、たとえば図3に軸方向の縦断面説明図が示されるように、軸方向に沿って断続的に誘電体2を形成し、軸方向に沿って、誘電体2のある部分と中空部5とを繰返して形成することもできる。たとえば軸方向の中空部5の長さLが数mm程度から数cm程度であれば、最外径が0.5mm程度の細い同軸ケーブルであれば、中心導体1と外部導体3とを接触(短絡)させることなく、外部導体3および被覆層4を保持することができる。このように、軸方向に対して、誘電体2を間欠的に設けることにより、同軸ケーブル全体としてみた場合に、誘電体2の誘電率を見かけ上小さくしたのと同様の特性となり、同軸ケーブルの最終外径を小さくすることができる。
【0022】
外部導体3は、図1に示される例では、被覆膜4の内面に無電解メッキなどにより金属層をメタライズし、その被覆膜4を誘電体2の外周に挿入することにより形成されている。移動体通信の端末機などに用いられるこの種の細い同軸ケーブルは、通常100mm程度の短いものであるため、細いチューブ状の被覆膜に無電解メッキをする場合でも、充分に内周全面にメタライズをすることができる。しかし、前述の誘電体2の外周が円周方向に連続した構造に形成されている場合には、その誘電体2の外表面に直接無電解メッキまたは金属ペーストを塗布して焼結することなどにより設けてもよい。このようなメタライズにより外部導体3を設けることにより、数μm程度から数十μm程度の厚さに形成すればよく、非常に薄い層により形成することができるため好ましい。
【0023】
このメッキにより外部導体3を形成する場合、まずNiメッキを2〜3μm程度設け、さらにその上にPdなどの反応開始層を非常に薄い膜として設けてからCuを3μm程度設けることが、被覆膜3との密着性を向上させながら、電気抵抗の小さい銅被膜で電流が流れるようにすることができるため好ましい。また、マイクロ波帯ではその表皮効果により数μm程度の厚さがあれば充分であるが、低周波で大電流を必要とし、厚い被膜を設ける場合には、さらに電解メッキにより10μm以上の厚い被膜でも形成することができる。
【0024】
被覆膜4は、たとえば内径がメッキ後の径で誘電体2の外周に適合し、肉厚が0.1mm程度の塩化ビニールなどの絶縁体を用いることができる。この被覆膜4の内周に前述のメッキなどにより外部導体3が被膜され、その状態で中心導体1と一体成形された誘電体2の外周に挿入されている。そのため、内径は誘電体2の外径より若干大きめの方が挿入しやすいため好ましく、たとえば、熱収縮性を有するポリオレフィンなどを用いて、挿入後に収縮させることにより、内面に外部導体3が形成された被覆膜4を誘電体2の外周にぴったりと適合させることができる。しかし、内面に外部導体3が形成された被覆膜4と誘電体2とが完全に密着していなくても、電磁波の伝播という同軸ケーブルの機能にはそれほど支障はなく、被覆膜4が抜けないように、両端部でカシメなどによりしっかりと固定されていれば問題はない。
【0025】
本発明の同軸ケーブルによれば、電流容量から細くすることが限界の細い中心導体の外周に誘電体が部分的に形成されているため、見かけ上の誘電率を小さくすることができる。たとえば誘電体の比誘電率がxであっても、その量が半分程度になれば、見かけ上の比誘電率は(1+x)/2となり、前述の式(1)に基づき、外部導体3の内径D、すなわち被覆膜4の径を小さくすることができる。中空部の体積をさらに多くすれば、さらに小径化に寄与する。
【0026】
また、本発明の同軸ケーブルによれば、外部導体がメタライズ層により形成されているため、その肉厚を非常に薄くすることができ、より一層同軸ケーブルを細くすることができる。なお、外部導体の厚さが非常に薄くなっても、たとえばマイクロ波帯での使用にあっては、表皮効果により表面の数μm程度の厚さしか電流は流れないため、全く支障はなく、また、低周波に対しても外部導体はその径が中心導体よりも大きいため、断面積の合計としては大きくなり、支障はない。その結果、同軸ケーブル全体の太さを細くすることができ、0.5mm以下の細い同軸ケーブルが得られる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、非常に細い同軸ケーブルが得られるため、近年目覚しく小型軽量化が要求される電子機器、とくに無線通信機器の端末機などのさらなる小型化に寄与することができる。
【0028】
さらに、外部導体がメタライズにより形成されることにより、外部導体が薄くなって、同軸ケーブルの細径化に寄与するのみならず、電流を流すのに不必要な無駄な金属を減らすことができるため、軽量化およびコストダウンに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による同軸ケーブルの一実施形態を示す断面説明図である。
【図2】図1の変形例を示す断面説明図である。
【図3】本発明による同軸ケーブルの他の実施形態を示す縦断面の説明図である。
【図4】従来の同軸ケーブルの一例を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 中心導体
2 誘電体
2a リブ
3 外部導体
4 被覆膜
5 中空部
Claims (5)
- 中心導体と、該中心導体の外周に設けられる誘電体と、該誘電体の外周にさらに設けられる外部導体と、該外部導体の周囲に設けられる被覆膜とからなり、前記誘電体は、前記中心導体と前記外部導体との間に該外部導体を保持するリブとして部分的に設けられ、該リブの間に中空部が形成されるように設けられてなる同軸ケーブル。
- 前記前記被覆膜の内壁に金属層がメタライズされ、該金属層がメタライズされた前記被覆層が前記中空部を有する誘電体の外周に挿入されることにより、前記金属層が前記外部導体として用いられる請求項1記載の同軸ケーブル。
- 前記リブ部が断面形状でT字型に形成されてなる請求項1または2記載の同軸ケーブル。
- 前記誘電体が、前記中心導体の外周に押し出し成形により一体成形で形成されてなる請求項3記載の同軸ケーブル。
- 前記中心導体の軸方向に沿って、部分的に前記リブ部も除去されて、前記中心導体と外部導体との間に大きな中空部が形成されてなる請求項1ないし4のいずれか1項記載の同軸ケーブル。
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- 2002-11-12 JP JP2002327978A patent/JP2004164944A/ja active Pending
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