JP2004163522A - ホログラム転写方法及びホログラム転写物 - Google Patents

Abstract

【課題】高価なホログラム箔や熱箔押し（ホットスタンプ）機を用いることなく、印刷柄などに合わせて容易に所望部分にホログラムを転写することもできるホログラム転写方法及びホログラム転写物を提供する。
【解決手段】本発明のホログラム転写方法は、透明プラスチックフィルムに、ホログラム模様を有するホログラム層が接着力Ａで密着し、且つホログラム層上には透明蒸着が施されたホログラムシートと、紫外線硬化型の粘接着剤を部分的又は全面的に塗工した印刷物とを貼り合わせた後、ホログラムシート側から紫外線を照射することにより、粘接着剤層と透明蒸着層との接着力Ｂを前記接着力Ａよりも向上せしめた後、透明プラスチックフィルムを剥離することにより、ホログラム層を印刷物側に転写する。
【選択図】 なし

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高価なホログラム箔や熱箔押し（ホットスタンプ）機を用いることなく、印刷柄などに合わせて容易に所望部分にホログラムを転写することもできるホログラム転写方法及びホログラム転写物に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、ホログラムを転写する方法として、ホログラム箔を用いる方法が知られている。
このホログラム箔は、耐熱性を有する基材フィルム上にホログラム層とヒートシール層が積層した構成であって、これを用いた転写方法は、転写したい印刷物を下にし、その上にホログラム箔を配置し、加熱した型材を押し当てる（ホットスタンプ）ことによりヒートシール層を熱溶融させて転写するものである。また表面が濡れることにより、ホログラム柄が消えてしまうことから、ホログラム層に透明蒸着を行ったホログラム箔も提案されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記ホログラム箔を用いる転写方法では、ホログラム箔自体が高価であり、特に透明蒸着を行ったホログラム箔は極めて高価であった。しかもスポット状にホログラム箔を転写した残りは、他の用途に用いることができないため、原材料費がかさむものであった。また、熱箔押し（ホットスタンプ）機を用いて転写するものであるから、設備費用もかかり、総じて処理費用が極めて高いものとなっていた。
また、異なるスポット柄にホログラムを転写しようとする場合、そのスポット柄に応じた型材を作製しなければならないため、速やかな対応ができないという問題もあった。
さらに、ヒートシール層を熱溶融させるための熱量がかかるため、印刷物にシワなどを発生させる場合もあった。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記に鑑み鋭意検討の末に見出されたもので、透明プラスチック基材に、ホログラム模様を有するホログラム層が接着力Ａで密着し、且つホログラム層上には透明蒸着が施された転写用材料と、紫外線硬化型塗材を部分的又は全面に塗工した印刷物とを貼り合わせた後、転写用材料側から紫外線を照射することにより、紫外線硬化型塗材層と透明蒸着層との接着力Ｂを前記接着力Ａよりも向上せしめた後、透明プラスチック基材を剥離することにより、ホログラム層を転写用材料側から印刷物側へ転写することを特徴とするホログラム転写方法に関するものである。
即ち本発明のホログラム転写方法は、印刷部の表面に部分的又は全面に紫外線硬化型塗材を塗工する第１の工程、転写用材料の透明蒸着層と印刷物の紫外線硬化型塗材の塗工層とを貼り合わせる第２の工程、転写材料側から紫外線を照射する第３の工程、透明プラスチック基材を剥離する第４の工程よりなる。そして、第３の工程により、紫外線硬化型塗材層と透明蒸着層との接着力Ｂを、ホログラム層と透明プラスチック基材との接着力Ａよりも向上させ、第４の工程により、ホログラム層を転写用材料側から印刷物側へ転写することができる。
【０００５】
また、本発明は、上記ホログラム転写方法により、印刷物の表面に、紫外線硬化型塗材層を接着層として部分的又は全面にホログラム層が転写されてなることを特徴とするホログラム転写物をも提案するものである。
【０００６】
【発明の実施の形態】
本発明のホログラム転写方法は、市販のホログラム箔を用いるものではなく、以下の構成の転写用材料と紫外線硬化型塗材とを用いる。
【０００７】
本発明における転写用材料は、透明プラスチック基材に、ホログラム模様を有するホログラム層が接着力Ａで密着し、且つホログラム層上には透明蒸着が施された構成であって、透明蒸着を行うことにより、表面が濡れてもホログラム柄が消えてしまうことがない。尚、この転写用材料は、既に市販品も存在するので、これを用いても良い。
【０００８】
上記転写用材料に用いる透明プラスチック基材は、特に限定するものではないが、例えば透明或いは半透明のポリカーボネート、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂を単独或いは共重合、ブレンド等による複合体などが用いられる。この透明プラスチック基材は、ホログラム箔に用いられている基材フィルムのように耐熱性を基本的に必要としないので、各種のフィルム材料を用いることができる。
【０００９】
また、上記透明プラスチック基材上に形成するホログラム層や透明蒸着については、公知の構成、手段により適宜に形成すれば良く、何等限定するものではない。特に部分的にホログラム層を転写する場合、ホログラム層はスポット状に抜き移されるので、端縁が鮮鋭となるような硬度を有するものが望ましい。
【００１０】
上記透明プラスチック基材とホログラム層との間には、離型処理層を設けるようにしても良い。この離型処理層は、ホログラム層と透明プラスチック基材との接着力Ａを低減するものであり、後述する転写時における透明プラスチック基材の剥離を容易に行うことができる。尚、市販の転写用材料も離型処理層が設けられている。
また、透明蒸着層の表面濡れ指数は３４．０ｍＮ／ｍ以上であることが望ましい。即ち接着力は必ずしも濡れ指数のみで決定されるものではなく、組み合わせる素材の種類など多種の要因があるが、上述のように表面濡れ指数が高い場合に高い接着力が得られる傾向があるため、後述する紫外線硬化型塗材と透明蒸着層の接着力Ｂを高くすることができ、その結果、後述する転写時における透明プラスチック基材の剥離を容易に行うことができる。
【００１１】
本発明における紫外線硬化型塗材は、紫外線を照射することにより硬化するものであれば特にその組成等について限定するものではないが、組成物として安定な品質を有する紫外線硬化型粘接着剤又は紫外線硬化型塗料を好適に用いることができる。特に紫外線硬化型粘接着剤は、当初は粘弾性を有して恰も粘着剤のような特性を示すが、硬化が進むことにより固化して接着剤となり、接着力が向上するので望ましい。また、紫外線硬化型塗料は硬化後の硬度が高く、箔の切れ（接着したホログラム層の縁部の切れ）が良いという利点もある。
【００１２】
本発明においてホログラム層を転写する対象である印刷物は、特にその構成を限定するものではなく、印刷も油性、ＵＶオフセット印刷、シルク印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷など各種の印刷物を用いることができる。また、この印刷物は、長尺なフィルム状であっても良いし、一定寸法を有するシート状であっても良い。さらに、印刷物の裏面に粘着層及び剥離ライナーを備え、シールやラベルに用いられるものであっても良い。
尚、予めシールやラベル形態としたものに印刷を施して本発明に適用する印刷物としても良いし、印刷フィルムを印刷物として本発明に供し、その後、粘着層及び剥離ライナーを備えるシールやラベル形態としても良い。
【００１３】
このような構成を有する転写用基材、紫外線硬化型塗材、印刷物を用いる本発明の部分ホログラム転写方法は、前述のように第１〜第４の工程からなる。
【００１４】
まず、第１の工程では、印刷部の表面に部分的又は全面に紫外線硬化型塗材を塗工するが、紫外線硬化型塗材の塗工方法は、特に限定するものではなく、部分的に塗工する場合は例えば各種印刷機を用いても良いし、グラビアコータを用いるようにしても良く、全面に塗工する場合は例えばロールコータを用いるようにしても良い。
次に、第２の工程では、転写用材料の透明蒸着層と印刷物の紫外線硬化型塗材の塗工層とを貼り合わせるが、例えば公知のラミネータ方法、装置を用いて行えば良い。
続いて第３の工程では、転写材料側から紫外線を照射するが、この第３の工程により、紫外線硬化型塗材層と透明蒸着層との接着力Ｂを、ホログラム層と透明プラスチック基材との接着力Ａよりも向上させることができる。
そして、第４の工程では、透明プラスチック基材を剥離するが、この第４の工程により、ホログラム層を転写用材料側から印刷物側へ転写することができる。
【００１５】
このような本発明のホログラム転写方法は、市販の高価なホログラム箔を用いることなく、ホットスタンプを行うこともなく、紫外線硬化型塗材を接着剤として用いるので、各種印刷などにて所望のスポット柄に紫外線硬化型塗材を塗工でき、該塗工部分を接着層としてホログラム層を部分的に転写することができる。紫外線硬化型塗材を全面に塗工してホログラム層を全面に転写しても良い。したがって、処理費用が安価であり、異なるスポット柄にホログラムを転写しようとする場合も、そのスポット柄に応じて紫外線硬化型塗材の塗工柄の変更にて対応できるので、速やかに且つ安価に対応することができる。
【００１６】
そして、本発明により得られたホログラム転写物は、基本的に短時間でもホットスタンプのような熱量が与えられるものではないので、従来のホログラム箔を用いた転写方法のように印刷物にシワなどを発生させることは決してないものである。
【００１７】
【実施例】
〔実施例１〕
転写用材料として、透明フィルム基材上に、離型処理層を介し、ホログラム模様を有するホログラム層が接着力（＝接着力Ａ）１５０ｇ／１５ｍｍ巾で密着し、且つホログラム層上に透明蒸着が施された２３μｍ厚みの日本コーバン社製「透明ホログラムフィルム」を用いた。透明蒸着層の表面濡れ指数は、４５．０ｍＮ／ｍであった。
まず、枚葉状の印刷物の印刷柄に合わせ、東洋インキ社製の紫外線硬化型の強粘着接着剤をフレキソコーターにより部分的に塗工した後、前記転写用材料と貼り合わせた。
次に、「透明ホログラムフィルム」側から紫外線を照射することにより、強粘着接着剤層を硬化させ、透明蒸着層との接着強度（＝接着力Ｂ）を３００ｇ／１５ｍｍ巾とした。
その後、透明フィルム基材を剥離することにより、ホログラム層を部分的に印刷物側に転写させた。
得られた印刷物は、ホログラム模様が鮮明であって、周囲の切れは良好であった。そのホログラム層は、濡れてもホログラム模様が消えなかった。
【００１８】
〔実施例２〕
転写用材料として、透明フィルム基材上に、離型処理層を介し、ホログラム模様を有するホログラム層が接着力（＝接着力Ａ）１２０ｇ／１５ｍｍ巾で密着し、且つホログラム層上に透明蒸着が施された２０μｍ厚みの日本コーバン社製「透明ホログラムフィルム」を用いた。透明蒸着層の表面濡れ指数は、４６．０ｍＮ／ｍであった。
まず、枚葉状の印刷物の全面に、大日本インキ社製の紫外線硬化型の強粘着接着剤をロールコーターにより塗工した後、前記転写用材料とを貼り合わせた。
次に、「透明ホログラムフィルム」側から紫外線を照射することにより、強粘着接着剤層を硬化させ、透明蒸着層との接着強度（＝接着力Ｂ）を２５０ｇ／１５ｍｍ巾とした。
その後、透明フィルム基材を剥離することにより、ホログラム層を印刷物側に転写させた。
得られた印刷物は、ホログラム模様が鮮明であった。そのホログラム層は、濡れてもホログラム模様が消えなかった。
【００１９】
〔実施例３〕
転写用材料として、透明フィルム基材上に、離型処理層を介し、ホログラム模様を有するホログラム層が接着力（＝接着力Ａ）１５０ｇ／１５ｍｍ巾で密着し、且つホログラム層上に透明蒸着が施された２３μｍ厚みの東京中井商事社製「透明ホログラム箔材料」を用いた。透明蒸着層の表面濡れ指数は、４８．０ｍＮ／ｍであった。
まず、枚葉状の印刷物の印刷柄に合わせ、東洋インキ社製の紫外線硬化型の強粘着接着剤をフレキソコーターにより部分的に塗工した後、前記転写用材料と貼り合わせた。
次に、「透明ホログラム箔材料」側から紫外線を照射することにより、強粘着接着剤層を硬化させ、透明蒸着層との接着強度（＝接着力Ｂ）を３００ｇ／１５ｍｍ巾とした。
その後、透明フィルム基材を剥離することにより、ホログラム層を部分的に印刷物側に転写させた。
得られた印刷物は、ホログラム模様が鮮明であって、周囲の切れは良好であった。そのホログラム層は、濡れてもホログラム模様が消えなかった。
【００２０】
〔実施例４〕
転写用材料として、透明フィルム基材上に、離型処理層を介し、ホログラム模様を有するホログラム層が接着力（＝接着力Ａ）１５０ｇ／１５ｍｍ巾で密着し、且つホログラム層上に透明蒸着が施された２３μｍ厚みの東京中井商事社製「透明ホログラム箔材料」を用いた。透明蒸着層の表面濡れ指数は、４７．０ｍＮ／ｍであった。
印刷物として、裏面に粘着層及び剥離ライナーを備えるラベルを用いた。
まず、前記ラベル印刷物の印刷柄に合わせ、東洋インキ社製の紫外線硬化型塗料をフレキソコーターにより部分的に塗工した後、前記転写用材料と貼り合わせた。
次に、「透明ホログラム箔材料」側から紫外線を照射することにより、紫外線硬化型塗料層を硬化させ、透明蒸着層との接着強度（＝接着力Ｂ）を５００ｇ／１５ｍｍ巾とした。
その後、透明フィルム基材を剥離することにより、ホログラム層を部分的に印刷物側に転写させた。
得られたラベル印刷物は、ホログラム模様が鮮明であって、周囲の切れは良好であった。そのホログラム層は、濡れてもホログラム模様が消えなかった。
【００２１】
〔比較例１〕
転写用材料として、透明フィルム基材上に、離型処理層を介し、ホログラム模様を有するホログラム層が接着力（＝接着力Ａ）２５０ｇ／１５ｍｍ巾で密着し、且つホログラム層上に透明蒸着が施された２３μｍ厚みの日本コーバン社製「透明ホログラムフィルム」を用いた。透明蒸着層の表面濡れ指数は、４５．０ｍＮ／ｍであった。
まず、枚葉状の印刷物の印刷柄に合わせ、東洋インキ社製の紫外線硬化型の強粘着接着剤をフレキソコーターにより部分的に塗工した後、前記転写用材料と貼り合わせた。
次に、「透明ホログラムフィルム」側から紫外線を照射して強粘着接着剤層を硬化させたが、透明蒸着層との接着強度（＝接着力Ｂ）は１５０ｇ／１５ｍｍ巾であった。
その後、透明フィルム基材を剥離すると、所定柄のホログラム層が印刷物側に転写させなかった。
【００２２】
〔比較例２〕
転写用材料として、透明フィルム基材上に、離型処理層を介し、ホログラム模様を有するホログラム層が接着力（＝接着力Ａ）１５０ｇ／１５ｍｍ巾で密着した２３μｍ厚みの日本コーバン社製ホログラムフィルムを用いた。
まず、枚葉状の印刷物の印刷柄に合わせ、東洋インキ社製の紫外線硬化型の強粘着接着剤をフレキソコーターにより部分的に塗工した後、前記転写用材料と貼り合わせた。
次に、ホログラムフィルム側から紫外線を照射することにより、強粘着接着剤層を硬化させ、透明蒸着層との接着強度（＝接着力Ｂ）を３００ｇ／１５ｍｍ巾とした。
その後、透明フィルム基材を剥離すると、ホログラム模様が出ていなかった。即ちホログラム模様は強粘着接着剤層との接着時に、透明蒸着されていないためにホログラム柄が消えていた。
【００２３】
以上本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。
【００２４】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のホログラム転写方法は、印刷柄などに合わせて容易に所望部分にホログラムを転写することもできる。市販の高価なホログラム箔を用いることなく、ホットスタンプを行うこともなく、紫外線硬化型塗材を接着剤として用いるので、各種印刷などにて所望のスポット柄に紫外線硬化型塗材を塗工でき、該塗工部分を接着層としてホログラム層を部分的に転写することができる。また、紫外線硬化型塗材を全面に塗工してホログラム層を全面に転写しても良い。そして、処理費用が安価であり、異なるスポット柄にホログラムを転写しようとする場合も、そのスポット柄に応じて紫外線硬化型塗材の塗工柄の変更にて対応できるので、速やかに且つ安価に対応することができる。
【００２５】
また、本発明により得られたホログラム転写物は、従来のホットスタンプのような熱量が与えられるものではないので、印刷物にシワなどを発生させることがなく、美麗な印刷物とすることできる。

Claims (6)

1. 透明プラスチック基材に、ホログラム模様を有するホログラム層が接着力Ａで密着し、且つホログラム層上には透明蒸着が施された転写用材料と、紫外線硬化型塗材を部分的又は全面に塗工した印刷物とを貼り合わせた後、転写用材料側から紫外線を照射することにより、紫外線硬化型塗材層と透明蒸着層との接着力Ｂを前記接着力Ａよりも向上せしめた後、透明プラスチック基材を剥離することにより、ホログラム層を転写用材料側から印刷物側へ転写することを特徴とするホログラム転写方法。
2. 紫外線硬化型塗材は、紫外線硬化型粘接着剤又は紫外線硬化型塗料であることを特徴とする請求項１に記載のホログラム転写方法。
3. 透明プラスチック基材とホログラム層との間に、離型処理層が設けられていることを特徴とする請求項１又は２に記載のホログラム転写方法。
4. 透明蒸着層の表面濡れ指数は、３４．０ｍＮ／ｍ以上であることを特徴とする請求項１〜３の何れか一項に記載のホログラム転写方法。
5. 請求項１〜４の何れか一項に記載のホログラム転写方法により、印刷物の表面に、紫外線硬化型塗材層を接着層として部分的又は全面にホログラム層が転写されてなることを特徴とするホログラム転写物。
6. 印刷物は、裏面に粘着層及び剥離ライナーを備え、シールやラベルに用いられることを特徴とする請求項５に記載のホログラム転写物。