JP2004163034A - 溶融スラグ冷却装置及び溶融スラグ冷却方法並びに溶融スラグ冷却装置を使用したガス化溶融システム - Google Patents

溶融スラグ冷却装置及び溶融スラグ冷却方法並びに溶融スラグ冷却装置を使用したガス化溶融システム Download PDF

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Abstract

【課題】水砕トラフを用いた溶融スラグ冷却法に替わるような新規な溶融スラグの冷却法を開発すること。
【解決手段】溶融炉の底部に設けたスラグ排出口から排出させた、高温雰囲気下で生じた溶融スラグを通過させるためのシュートと、該シュートを通過する該スラグの排出方向に対向して水流を噴射する手段と、を含む、ガス化溶融システム用溶融スラグ冷却装置。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス化溶融システムに係り、特に可燃物や都市ごみ等の廃棄物をガス化して溶融スラグ化処理することにより、可燃物または廃棄物中に含まれる灰分を高温にて溶融スラグ化して効率良く取り出すことのできる環境保全型の処理装置および方法に関する。尚、上記廃棄物には、都市ごみの他に、固形化燃料、廃プラスチック、廃FRP、バイオマス廃棄物、自動車廃棄物、製紙スラッジ、医療廃棄物、選炭廃棄物、廃油といった各種の廃棄物が含まれる。ここに上記廃棄物中、固形化燃料(RDF:Refuse Derived Fuel)は、都市ごみ等を破砕選別後、生石灰等を加えて圧縮成形したものである。
【0002】
【従来の技術】
焼却に代わる新たな廃棄物の処理方法として、「ガス化溶融システム」の開発が行われ、既に実用の域に達している。
【0003】
こうしたガス化溶融システムは以下の特長を有している。即ち、まず、流動層炉における緩慢なガス化反応(ごみ+O→C+C+灰分+HO+CO+CO)と、溶融炉における高温反応(▲1▼C+CO→2CO、▲2▼C+HO→CO+H、▲3▼C+nHO→nCO+(n+1/2m)H、▲4▼C+O→CO、▲5▼C+1/2O→CO)により、システム全体として1.3程度の低空気比によった処理が可能となるので、排ガス量は大幅に低減され、排ガス処理設備も小型化されうる。尚、溶融炉における反応▲1▼〜▲3▼は、吸熱的な改質反応であり、他方、▲4▼〜▲5▼は、発熱を伴う燃焼反応である。したがって、原理的には、溶融炉内部において、燃焼反応を主として改質反応を従とするか、改質反応を主として燃焼反応を従とするかによって、得られるガスの性状が異なってくる。すなわち、ガス化溶融システムにおいて、被処理物を完全燃焼することによって生じた熱を、サーマルリサイクルしたい場合には、溶融炉における燃焼反応(▲4▼、▲5▼)を主として改質反応(▲1▼〜▲3▼)を従とすればよい。他方、被処理物から、メタノール、水素などの有用な資源性ガスを回収するような、いわゆるマテリアルリサイクルを行いたい場合は、溶融炉において改質反応(▲1▼〜▲3▼)を主として燃焼反応(▲4▼、▲5▼)を従とすればよい。
【0004】
さらに、溶融炉で1300乃至1400℃程度の炉内温度を維持することにより、ダイオキシン類、フラン類等の有害物質の合成・再合成反応が抑制される。また、溶融炉にて廃棄物中の灰分は高温雰囲気下にてスラグミスト化されるとともに、炉壁面のノズルから炉の軸線を中心とした円の接線方向にガスが導入されて炉内ガスの旋回流が形成され、これによって生じた遠心力のためにスラグミストは炉壁面に捕捉されて炉壁面をセルフコーティングして保護しつつ、トータルとして高効率にて灰分を溶融スラグ化できる。
【0005】
また溶融スラグを水冷スラグとして水砕スラグ粒化して回収すれば、マスの縮小がなされ、埋立地の延命化が図れ、さらにスラグの塑性安定性が向上するから土木建築材への利用・応用も可能となる。
【0006】
更に、低空気比燃焼により廃熱ボイラでの熱回収量が向上するため、サーマルリサイクル施設においては、30%を越える発電効率が可能となる。また、鉄、銅、アルミニウム等の有価金属は、未酸化状態でしかも付着可燃物が除去されて回収されるため、リサイクル利用することが可能となる。また、廃棄物が有するエネルギーを高温燃焼の熱源に用いることができ(自己熱溶融)、しかも、電力消費の大きな灰溶融設備が必要無いため、送電可能な電力量は大幅に向上する。また、単純な炉の構成中に、ダイオキシン分解と灰溶融の機能が組み込まれるため、これらの機能を従来型の焼却設備に付加するより建設コストが下がり、プラント全体もコンパクトになる。さらに、熱・マテリアルを被処理物からリサイクルすることができるため、処理コストの問題も従来に比べて改善される。
【0007】
図2に、流動層ガス化炉と旋回式溶融炉を組み合わせた、完全燃焼によるサーマルリサイクル化を目的としたガス化溶融システムの核心部分のフローを示す。図2にて、符号1は廃棄物(可燃物)供給装置、2は流動層ガス化炉、3は空気室、4は空気分散板、5は流動層、6はフリーボード、7は旋回式溶融炉、8は一次室、9は二次室、10は三次室、11はスラグ排出口である。そして、符号aは廃棄物(可燃物)、bは一次空気、cは二次空気、dは生成ガス、eは三次空気、fは排ガス、gは溶融スラグ、hは不燃物である。
【0008】
処理対象の廃棄物aは、必要に応じ、破砕・選別といった前処理を施された後、廃棄物供給装置1により流動層ガス化炉2に定量供給される。ガス化炉2下部の空気室3には一次空気bが送入され、空気分散板4から上方に向かって吹き出すことにより、空気分散板4上に流動媒体(例えば砂[珪砂等])の流動層5が形成される。
【0009】
およそ450乃至650℃に保持された流動層5に、廃棄物供給装置1より投入された廃棄物aは、流動層中央部の下降流動層に呑み込まれつつ熱分解ガス化され、ガス、タール、チャー、水分を生成する。チャーは、流動層5の撹乱運動と酸素のアタックにより循環する流動層5中で徐々に微粉化される。そして、ガス化炉2の炉底からは不燃物hが砂と共に排出される。不燃物h中の金属類は、流動層5内が還元雰囲気であるため、未酸化で付着物が除かれたクリーンな状態で回収される。ガス化炉2から排出された不燃物hと流動媒体は、磁力選別や機械的に分級された後に、流動媒体だけがガス化炉2に戻される。ガス化炉2のフリーボード6には必要に応じて二次空気cが送入されうる。この時、フリーボード6では、溶融炉に送給すべきガス組成にするために、必要に応じてさらに空気含有ガスを供給され、650乃至850℃に維持される。すなわち、流動層炉は、溶融炉の炉内温度を維持するために必要とされる燃料としてのガスを送り込むための装置としての機能を有しているので、必要に応じて二次空気を導入して、フリーボード部にて生成ガスの組成を調整するわけである。
【0010】
微粉状のチャーを同伴した生成ガス6は旋回式溶融炉7の一次燃焼室8に供給され、同じく一次室の側面から供給された三次空気eと旋回流中で混合しながら、1300乃至1400℃程度の高温で速やかに反応する。チャーに含まれる無機分およびガスと同伴して溶融炉に導入された灰分は燃焼反応(上記▲4▼、▲5▼等)により生じた熱によってスラグミスト化し、その多くはガスの旋回流による遠心力により一次室8と二次室9の炉壁面に形成された溶融スラグ相に捕捉される。重力の作用により流下した溶融スラグは、二次室9の出口に設けられたスラグ排出口11から排出され、速やかにトラフ上に流れる水に落下し、さらに水槽へと落下することにより急冷される。冷却されたスラグはスラグ分離コンベヤにより形骸に排出される。ガス中に残留する未燃分は、三次室10にて三次空気eの残りと、さらに必要に応じて四次空気も導入することができ、900乃至1400℃でさらに反応を進行させた後にガスとして排出され、排出されたガスfは一連の熱回収と脱塵の工程を経た後に大気に放出される。以上は、サーマルリサイクルを行う場合を示したが、他方、被処理物から、メタノール、水素などの有用な資源性ガスを回収するような、いわゆるマテリアルリサイクルを行いたい場合には、溶融炉において改質反応(▲1▼〜▲3▼)を主として燃焼反応(▲4▼、▲5▼)を従とするようなシステムが構成することができる。その場合、約1300℃〜1400℃で反応を進行させて得た生成ガスは、溶融炉から排出された後に、熱回収、改質・精製の各工程を経るように構成される。
【0011】
図3は、以上に述べたガス化溶融システムにおいて、溶融スラグを冷却排出する従来法を示している。図3にて、符号12と13は昇温用バーナ、14はシュート、15は水砕トラフ、17はスラグコンベヤ、18は循環水ポンプである。ここで符号gはスラグ、g’はスラグ粒、iは水である。
【0012】
水砕トラフ15は、いわば水iが流れる滑り台のようなものである。旋回式溶融炉7の炉底に設けられたスラグ排出口11の炉材張出部から、シュート14内の空間を落下した溶融スラグgは、水砕トラフ15上の水流中で急冷されて粒状のスラグ粒g’となり、水とともに水槽16へ運ばれる。次いで、水槽16よりスラグ粒g’がスラグコンベヤ17により連続的に搬出される。なお、水砕トラフ15を用いず、溶融スラグgをスラグ排出口11から直接水槽16に落下させると、スラグ粒g’の大きさが不揃いとなったり、大きなスラグ塊が落下した時に、大量の発生水蒸気により炉内圧の上昇を招いたりするので好ましくない。
【0013】
ガス化溶融システムにおいて、運転上最も問題になるのが溶融スラグgの排出、およびスラグとガスの分離である。これには以下に述べる2つの問題点がある。即ち、第1の問題点は、溶融スラグgが水砕トラフ15上で急冷する際に発生する水蒸気i’が、シュート14内を上昇して、スラグ排出口11付近の温度を低下させることである。これにより、炉材張出部を流下する溶融スラグが冷えて溶融スラグの流動性を低下させるため、図4に示すように、張出部の下につらら状の塊状固化物24を形成し成長させる。また第2の問題点として、溶融スラグgが炉材張出部の先端から切れて落ちれば問題ないが、時として張出部を下に回り込んでシュート14壁面上を流下することがある点が挙げられる。図5に示すように、シュート14壁面を流下するうちに、温度が下がって流動性を失った溶融スラグは、壁面に固着した状態で大きな塊状物24に成長していく。
【0014】
このようにして出来たスラグの塊状物24はゆっくりと冷えるため、非常に強固なガラス状の固化物となり、しかも壁面との接着も強固であるため、除去することが困難である。そして、このまま放置して運転を続行すれば、シュート14がスラグの塊状物24により完全に閉塞する事態となり、これ以上の運転続行は不可能となる。これは見方を変えれば、二次室9における炉内雰囲気温度が、灰の溶融温度より100℃程度しか高くないことが原因しているとも考えられる。
【0015】
上述した事情に鑑みて、高温での溶融燃焼で生じた溶融スラグを、溶融炉のスラグ排出口からスムーズに排出して水砕スラグ化できるガス化溶融システムを提供することを目的としたガス化溶融システムが提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0016】
すなわち、シュート14の少なくとも一部に水冷ジャケットを設け、かかるシュートを通過させて溶融スラグを排出することを特徴としている。図6には、シュートの一部に水冷ジャケットを設けたシステムを示す。図中符号19は水冷ジャケットを示す。水冷ジャケット19を備えることによって、シュート壁面にスラグの塊状物が付着しても、その接着部が水冷により冷却されることでスラグ塊の壁面への接着部を脆弱な非晶質にすることができ、これによりスラグ塊が大きく成長する前に自身の重みで剥離脱落させることができるようになった。このようなシステムによって溶融スラグが溶融スラグ排出口付近で凝固してシュートを閉塞することが防止され、溶融スラグ排出口から安定連続して排出して水砕スラグ化させることが可能となった。
【0017】
尚、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0018】
【特許文献1】
特開平11−241817号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の水砕トラフを設置する構造を有するガス化溶融システムにおいて、以下のような不都合が見出されている。
【0020】
被処理物として、可燃物主体のものを用いる場合には問題とはなりにくいが、特に、被処理物の組成・性状が可燃物主体ではない場合等に、溶融炉内で生成した生成ガス中の灰分、ガス化炉で発生した煤塵が、旋回式溶融炉内で完全に溶融スラグ化しない場合がある。したがって溶融スラグとともに排出されるガス中に無視できない量の灰分が残存してしまい、この灰分が排出口付近の特定の箇所に付着することがある。灰分が付着すると溶融スラグ排出口付近を閉塞することがあり、これにより溶融スラグの排出が効果的に行われなくおそれがある。
【0021】
また、水砕トラフ上では、高温の溶融スラグが水と接触して急激に冷却される際に蒸気が発生するが、このときにスラグの流れ方向と発生した蒸気の流れ方向に応じた形で壁面の特定の箇所に材料腐食が発生するおそれがある。
【0022】
また、被処理物が、特にポリ塩化ビニル等のCl成分を含むプラスチック類を含む場合に、水砕トラフ上の水質が塩素イオン濃度が高いものとなることがあり、これに起因する材質の応力腐食割れを回避するために、水砕トラフの母材として炭素鋼鋼材を採用した上で、さらに重防食塗装補修が必要となる場合があった。
【0023】
さらに、水砕トラフを設置する場合には、溶融炉設置の基礎を水砕トラフの高さ分だけ高くする必要があり、それに伴い施設全体の高さが高くなるという問題もある。このことが施設全体の建設の費用をそれだけ増加させることとなっている。施設全体の高さが高いことにより、スラグ冷却水を循環再使用するための循環ポンプを設置する際に、比較的高い位置にポンプを設置するか、あるいは圧をかける必要があり、すなわちポンプヘッドを高くする必要があるという問題もある。
【0024】
また、使用に伴ってトラフの底板が摩耗し、接続ダクトも摩耗するおそれがあったため、定期的な修繕・点検が必要となりコスト高の原因となりえた。
さらに従来の水砕トラフは、溶融スラグをトラフ上に排出して水により冷却しつつ流し落とす構造であるため、実際の冷却に寄与する水膜の厚さが薄く、冷却に要する水量に比べて冷却効果が得にくい場合があった。
【0025】
また、トラフ部位、配管、ダクト等、耐食耐熱加工を施した特殊部品が必要であり比較的コストの高い施設となるという問題も生じうる。
かかる問題を解決すべく、水砕トラフを用いた溶融スラグ冷却法に替わるような新規な溶融スラグの冷却法を開発が望まれていた。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様のガス化溶融システム用溶融スラグ冷却装置は、溶融炉の底部に設けたスラグ排出口から排出させた、高温雰囲気下で生じた溶融スラグを通過させるためのシュートと、該シュートを通過する該スラグの排出方向に対向して水流を噴射する手段と、を含むことを特徴とする。
【0027】
溶融スラグの排出方向に対向して水流を噴射する手段を有するため、この手段により噴射された冷却水流によって溶融スラグが水砕され、冷却効果が高くなる。また溶融スラグと実質的に接触する水膜の厚さが増大するため、それに伴い冷却効果も増大する。
【0028】
また、本発明の第2の態様のガス化溶融システム用溶融スラグ冷却装置は、溶融炉の底部に設けたスラグ排出口から排出させた、高温雰囲気下で生じた溶融スラグを鉛直下方向に通過させるさせるためのシュートと、該シュートを通過する該スラグの排出方向に対向した鉛直上向きに水流を噴射して該スラグを冷却する手段と、を含むことを特徴とする。
【0029】
溶融スラグを溶融炉の底部の溶融スラグ排出口から、シュートを通過させて鉛直下方向に排出する際に、排出されたスラグに対向した鉛直上向きに水流を噴射する手段を有するため、この手段により噴射された水流によって溶融スラグが水砕され、冷却効果が高くなる。また溶融スラグと実質的に接触する水膜の厚さが増大するため、それに伴い冷却効果も増大する。また、水砕、冷却されたスラグがシュート内に分散し、さらにスラグコンベヤに落下する際に、噴射する水流に乱れが生じるため、これによる2次的な冷却効果が期待できる。本実施の態様では、いわゆる噴水のように水流を噴射するため、この噴射によってシュート内壁面自体を冷却することができ、溶融スラグを冷却する効果が高くなる。さらに噴射された水流によりシュート内壁面を清浄化する効果が期待できる。すなわち、噴射水流によりシュート内壁面を清浄することによって、万一スラグ化が不充分で排ガス中に灰分が含まれていたとしても、これが溶融スラグ排出口付近などのシュート内の特定の箇所に堆積することを防止できる。さらに噴射水流のシュート内壁面の清浄化効果により、シュート内の腐食を効果的に防止することも可能となる。
【0030】
ここで溶融スラグを通過させるシュートとしては、ダクト形状のものであればいかなるものも使用可能である。すなわち規格の円管ダクトを好適に使用することができる。このように構成することで従来使用していた特殊な形状の水砕トラフを用いる必要がなくなるため、施設建設コストの低減が図れる。尚、溶融スラグを通過させるシュートには、必要に応じて耐火材を設けることができ、さらにライニング加工を行うこともできる。
【0031】
さらに、水流を噴射するための手段とは、水流を噴射することができるものであれば如何なる手段であっても良く、例えば水砕ノズルを好適に用いることができる。シャワーヘッドなどを使用することもまた可能である。水流を噴射するための手段は、場合により複数設けることもできる。
【0032】
また、本発明の第3の態様のガス化溶融システム用溶融スラグ冷却装置は、前記シュートの表面の少なくとも一部に、亜鉛を主成分としたメッキが施されていることを特徴とする。溶融スラグを溶融炉の底部の溶融スラグ排出口から、シュートを通過させて鉛直下方向に排出する際に、排出されたスラグに対向した鉛直上向きに水流を噴射するため、この噴射された水流によりシュート内壁面の清浄効果が期待できることを先に述べたが、さらに防食処理として少なくとも一部に亜鉛を主成分としたメッキ、好ましくは溶融亜鉛メッキを施したシュートを使用することが望ましい。かかる内壁面を有するシュートを用いることにより、シュート内壁面への灰分の付着や、これに伴う溶融スラグ排出口の閉塞を防ぐことができる。従来の水砕トラフで用いていた炭素鋼鋼材を母材とし、さらに重防食塗装補修したトラフを用いる必要がなくなり、施設建設コストの低減が図れる。
【0033】
本発明の第4の態様のガス化溶融システム用溶融スラグ冷却装置は、前記水流により冷却された水冷スラグを捕集するための水槽と、該水槽に留まっているスラグを系外に牽引排出するための手段と、をさらに備えたことを特徴とする。水槽に留まっているスラグを系外に牽引排出するための手段を備えることにより、噴射された水流により冷却されて生成したスラグ粒を連続的に系外に搬出することができる。ここで、スラグを系外に牽引排出するための手段としては、スラグを連続的に系外に排出することができれば如何なる装置であってもよいが、例えばコンベヤ形式のものが好適に使用できる。
【0034】
本発明の第5の態様のガス化溶融システム用溶融スラグ冷却装置は、該水を系内に再循環使用するための循環ポンプおよび循環経路をさらに備えたことを特徴とする。溶融スラグに噴射する水は、循環して系内で再利用することができ、このように再利用することが環境面、コスト面からも望ましい。先に述べたスラグを捕集するための水槽には水冷スラグと、噴射された水とがともに落ちて留まるが、この水槽内から水を抜き出して再利用することができる。つまり該循環ポンプおよび循環経路は、水冷スラグを捕集するための水槽に接続することが望ましい。
【0035】
本発明の第6の態様のガス化溶融システム用溶融スラグ冷却装置は、溶融スラグへの水流の噴射により生じる蒸気を排気するための排気システムをさらに備えたことを特徴とする。従来の水砕トラフを用いたガス化溶融システムにおいては、溶融スラグ排出口より溶融スラグが排出される際に、ガスがともに排出されることは先に述べたとおりである。スラグ化が不十分であると、このガスに灰分が残存し、水砕トラフ内壁面の特定の箇所に付着し、ひいては溶融スラグ排出口を閉塞するおそれがあった。そこで、このような灰分を系外から排出する必要があった。さらに、溶融スラグを水流により冷却する際に生じる蒸気を系外に排出させることによって、炉内の高温ガスをシュート14内に誘引し、溶融スラグ排出口のごく近傍の温度を維持する必要があった。これは水蒸気i’が、シュート14内を上昇して、スラグ排出口11付近の温度を低下させ、これにより、炉材張出部を流下する溶融スラグが冷えて溶融スラグの流動性が低下し、図4に示すように、張出部の下につらら状の塊状固化物24を形成し成長することを防ぐためである。これらの観点から、従来の水砕トラフを備えた溶融スラグ冷却装置では、冷却の際に発生した蒸気を系外に排出するために、主にフィルタ、誘引ファンを含む排気システムを備えてた。ところがかかるフィルタを含む排気システムは、排気ガスを全く洗浄しないままフィルターで飛灰を捕集しようとするものであったため、蒸気の存在下で飛灰が粘性、凝集性を増し、フィルタの目詰まりが生じやすく、フィルタのメンテナンスに手間及び時間を必要としていた。
【0036】
そこで、本発明の第7の態様のガス化溶融システム用溶融スラグ冷却装置は、該排気システムが、スクラバー、サイクロンセパレータ、及び誘引ファンを含むことを特徴とする。スクラバーとは、排気ガス清浄装置の一種であり、本ガス化溶融システムでは汚水などの液体分をスプレーノズルを介して排気ガスに噴霧することで、ミスト状もしくは粒子状固体成分となったものを捕集するとともに、発生したスチームを凝縮し、粒径を大きくする機能を有するものである。このとき、拡散スプレーノズルを用いることが好ましい。サイクロンセパレータとは、主に粉じん類を回収するための装置であり、本ガス化溶融システムではスクラバーから排出されたガスに存在するミストを除去するために用いる。このような排気システムを含むことにより、灰分による溶融スラグ排出口の閉塞を防ぎ、さらに溶融スラグ排出口近傍の温度低下を防止することが可能となる。
【0037】
本発明の第8の態様は、上記態様で説明した溶融スラグ冷却装置を使用する、ガス化溶融システムである。先に説明した溶融スラグ冷却装置は従来型のガス化溶融システムに使用することができるため、例えば水砕トラフを使用するタイプのガス化溶融システムにおける水砕トラフの部分のみを交換して使用することもまた可能である。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図1及び図2を参照しながら説明する。尚、各図中の同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0039】
図1(a)に、本発明の一実施の形態の旋回式溶融炉における溶融スラグの冷却排出部分の構成を示す。図1にて、符号20は、水流を上向きに噴射するように、噴射口が上端に設けられた、溶融スラグを冷却するための水を噴射する水砕ノズル、21はスクラバー、22はサイクロンセパレータ、23は誘引ファン、kはバイパス排ガスである。その他の構成は、図3に示す従来の溶融スラグの冷却排出部分の構成と同様である。即ち、廃棄物(可燃物)を図示しない前段のガス化炉を用いて比較的低温で熱分解ガス化して、生成したガスとチャー、灰分を旋回式溶融炉7で高温で反応させ灰分を溶融する。流動層炉で生成したガスとチャーを溶融炉の軸線を中心とした円の接線方向から一次室8に導入し、旋回式溶融炉7の一次室8では、同様に軸線を中心とした円の接線方向になるよう供給された三次空気(酸素富活空気または酸素)eと旋回流中で混合しながら1300乃至1400℃の高温を維持するよう構成されている。一次室8及び二次室9で形成されたミスト状の溶融スラグは、旋回流の遠心力で壁面に集められ、炉壁面に形成された溶融スラグ相に捕捉され、炉底部に向けて流下する。
【0040】
本実施の形態においては、シュート14がダクト形状のもので構成されている。本実施の形態では規格の円管ダクトを用いることができるため、特殊な形状のシュートを製造する必要がなくなり、コストダウンが図れる。シュート壁面の少なくとも一部又は全面にメッキ処理をしておくことが望ましい。腐食防止の観点や、メッキ処理の利便性の観点から、亜鉛を主成分とするメッキ、特に溶融亜鉛メッキを施すことが好ましい。溶融亜鉛メッキを施すと、シュート壁表面に緻密な薄膜が形成されて、これが保護被膜として有効に機能する他、仮にこのメッキ皮膜上に何らかのキズが生じたとしても、周囲に存在する亜鉛が陽イオン化して鉄自体が腐食することを防ぐので、防食機能として非常に優れたものを期待することができる。また、さらに耐熱性を考慮したプライマー(上塗り塗料)として、シリコーン系の塗料を用いることもでき、これによりメッキ表面と塗膜との付着性を向上させることができる。
【0041】
シュート壁面に溶融亜鉛メッキをする場合には、溶融スラグの冷却により生じた蒸気に晒され、シュート壁面の腐食が懸念される部分に施すことが好ましい。すなわち、溶融スラグ排出口11の下部に設けられ、内面に耐火材を設けてもよい円型シュート14の全長にわたってシュート内壁面をメッキすることが特に好ましい。このような部分をメッキ処理しておくと、腐食を効果的に防止することができ、好適である。
【0042】
そしてスクラバー21、サイクロンセパレータ22及び誘引ファン23を備え、二次室9内の反応により生じたガスの一部jをスラグ排出口11からシュート14を介して吸気した後に、系外に排出させるように構成されている。燃焼排ガスの一部jを、排ガスバイパスkを介して旋回式溶融炉7における三次室10に戻すように構成しても良い。排ガスjには灰分が含まれており、かかる飛灰、粉じん類および酸性成分を効率的に回収してガスを洗浄するために、誘引ファンの前にスクラバー、及びサイクロンセパレータを配置することが望ましい。スクラバーからは主に酸性ミストが回収され、またサイクロンセパレータからはスクラバーで除去しきれなかった飛灰成分やミスト分が回収される。溶融炉内でのスラグ化率を向上させたい場合には、回収された飛灰成分を再び溶融炉1次室8乃至2次室9に戻すよう構成することもできる。
【0043】
スラグ排出口11の下に連なるシュート14内で誘引ファン23により排ガスを吸引している。スラグ排出口11からシュート14内に引き込む排ガスの量としては、二次室9を通過する排ガスの1/100乃至1/10程度の量が適当である。これにより溶融スラグ排出口11の張り出し部11a付近の温度を常時高く保つことができる。尚、排ガスの引き込み量はスラグ排出口11の大きさと、システムの処理規模によって決まってくる。誘引ファン23によりシュート14内に引き込まれた排ガスの流れにより、溶融スラグgの急冷時に発生する水蒸気i’が溶融スラグ排出口11に上昇するのを防止することができる。こうして、炉材張出部11aから流れ落ちる時の溶融スラグgの流動性を良好に保つことが出来る。
【0044】
シュート14から誘引ファン23によって吸引された水蒸気を含むバイパス排ガスkは、旋回溶融炉7の三次室10に供給することができる。これにより、バイパス排ガスj中に内在する未燃分を完全燃焼すると共に、スラグ化率を向上させ、かつ三次室10内の炉内温度を下げることができる。この三次室10における炉内温度を低く保つことができれば、溶融炉から排出される有害な窒素酸化物濃度を従来よりも低下させることができるので、このような構成はより好ましい形態である。例えば、ガス中のNOx濃度を200ppmから50〜80ppm程度にまで低減することができる。
【0045】
溶融スラグ排出口11よりシュート14内に排出された溶融スラグは、シュート14内で排出方向に対向して噴射された水流と接触し、ここで冷却される。図1(a)ではシュート14を鉛直方向に配置しているため、溶融スラグは鉛直下方向に落ち、これに対して水流は鉛直上向きに噴射することになる。水流に接触した溶融スラグは蒸気を発生し、これがシュート上方部を冷却する。この効果により溶融スラグの冷却効果がより高まる。但し、溶融スラグと水流とが接触する地点から溶融スラグ排出口11までの長さがあまりに短いと、発生した蒸気が溶融するが排出口に到達し、蒸気により排出口が冷却されて、排出される溶融スラグの流動性が低下して排出口が閉塞するおそれがある。かかる事情に鑑みて、溶融スラグと水流とが接触する地点から溶融スラグ排出口までの長さは2m乃至10m程度、好ましくは3m程度であることが望ましい。また、先に述べたような、排気システムを併用する場合には、発生した蒸気の排気に伴って炉内の高温ガスをシュート内に誘引し、スラグ排出口の温度低下を防止することができるので、この長さを例えば2m程度まで短くすることが可能である。このように冷却により生じた蒸気によりシュート内壁面を冷却することができ、シュート下部のバイパス排ガスkの温度をスラグが固化する900℃以下、好ましくは700℃以下とすることができる。同時に、シュート内壁面にスラグ塊状物24が形成されても、接着部がある程度冷却されているので、接着部が脆弱な非晶質となり、塊状物24が大きく成長する前に自身の重みで剥離脱落させることができる。
【0046】
溶融スラグと水流とを接触させると、溶融スラグは水流の勢いにより散乱されるとともに水砕スラグ化される。この水砕効果により、冷却効果が高くなる。また溶融スラグに接触する水の水膜厚さが実質的に大きくなるため、さらに冷却効果が高くなる。
【0047】
シュート内で対向する水流と接触して散乱し、急速に冷却された水冷スラグは、スラグ粒g’になり下方に落ちる。スラグ粒g’はスラグコンベヤ17を備えた水槽16に落下するが、この際に噴射水流に乱れが生じ、2次的な冷却効果が期待できる。
【0048】
本実施の形態では、水砕トラフを採用しないので、施設(溶融炉)の高さが低くなることから、例えばスラグコンベヤ17の上方向に牽引する距離を長くとることができる、など、施設の設計の自由度が増す。
【0049】
尚、水槽16中の水は、ガス化溶融施設に併設された水処理施設からの水を再利用することができ、水処理施設からの水を直接水砕ノズルに供給するように構成することもできる。
【0050】
以上説明したような構成をとることによって、溶融炉のスラグ排出口11における閉塞を防止できるので、閉塞によるシステム全体の停止を行うことがなく、連続運転をより長くすることが可能となる。
【0051】
次に本発明の第二の実施の形態について、図1(b)および図7を参照しながら説明する。
図1(b)には、シュートの一部に水冷ジャケット19を設けた、別の実施形態にかかるスラグ排出口付近拡大図を示す。本実施形態においては、水冷ジャケット19を備えることによって、シュート壁面にスラグの塊状物が付着しても、その接着部が水冷部より冷却されることでスラグ塊の壁面への接着部を脆弱な非晶質にすることができ、これによりスラグ塊が大きく成長する前に自身の重みで剥離脱落させることができる。これにより溶融スラグが、溶融スラグ排出口付近で凝固してシュートを閉塞することが防止され、溶融スラグ排出口から安定に連続して排出され、これを水砕スラグ化させることが可能となる。本実施の形態においても、廃棄物(可燃物)を前段のガス化炉を用いて比較的低温で熱分解ガス化して、生成したガスとチャー、灰分を旋回式溶融炉7で高温で反応させ、灰分を溶融する。流動層炉で生成したガスとチャーを溶融炉の仮想的な軸線を中心とした円周の接線方向になるよう一次室に導入し、旋回式溶融炉7の一次室8では、同様に軸線を中心とした円の接線方向になるよう供給された三次空気(酸素富活空気または酸素)eとガスの旋回流中で混合しながら1300乃至1400℃の高温を維持する。一次室8および二次室9で形成されたミスト上の溶融スラグは、旋回流の遠心力で壁面に集められ、炉壁面に形成された溶融スラグ相に捕捉され、炉底面に向けて流下する。また、スラグ排出口11から上方に抜けて三次室に移行したガスは、四次空気(酸素富活空気または酸素)を投入され、さらに反応を継続する。尚、炉壁面は溶融スラグのセルフコーティング効果により保護される。
【0052】
本実施の形態においては、シュート14がダクト形状のもので構成され、また水槽16から適宜抜出された水は弁26によりその抜出し量を調整され、併設されたまたは遠隔地に設けられた水処理施設25に運ばれる。水処理施設25により処理された処理水は、弁26により水槽16に戻す量が調整される。水処理施設25からの水は、循環ポンプ18によって第一の実施の形態と同様、水冷ノズル20の冷却水に使用される。このように構成すると、ノズル20で用いる冷却水、ひいては水槽16内の水質を適切に維持することが可能となる。
【0053】
また本実施の形態では、スクラバー21、サイクロンセパレータ22および誘引ファン23を備えており、二次室9内の反応により生じたガスの一部jがスラグ排出口11からシュート14を介して吸気され、排ガスバイパスkのスクラバー21、サイクロンセパレータ22および誘引ファン23を介して三次室10に導入されるように構成されている。スクラバー21、サイクロンセパレータ22において回収された回収物は各々ドレンm、m’として処理される。
【0054】
尚、排ガスバイパスkから排気されるガスを四次空気(酸素富活空気または酸素)とともに溶融炉三次室に投入すると、四次空気(酸素富活空気または酸素)のみを炉内に加える場合に比べて、炉内の急激な温度変化を生じさせることがなくなるので、炉壁面保護の観点からは好ましい。また、本実施の形態において、ダクト管が水槽の水面よりも下に来るようにして、ダクト管を水封することも可能である。このように構成することで、ガスとスラグの分離をより確実に行うことが可能となる。
【0055】
以上、サーマルリサイクルを行う第一、および第二の実施の形態を示したが、他方、被処理物からメタノール、水素などの有用な資源性ガスを回収するような、いわゆるマテリアルリサイクルを行うための第三の実施形態に係るシステムを説明する。
【0056】
流動層路内において流動媒体の循環流を生成して、投入された被処理物から緩慢なガス化反応(ごみ+O→C+C+灰分+HO+CO+CO)を行うことで、次段の溶融炉において高温反応(▲1▼C+CO→2CO、▲2▼C+HO→CO+H、▲3▼C+nHO→nCO+(n+1/2m)H、▲4▼C+O→CO、▲5▼C+1/2O→CO)を行うような、いわゆる「ガス化改質システム」とも呼ばれるガス化溶融システムの実施形態である。ここでは、被処理物からメタノール、水素などの有用な資源性ガスを回収することを目的としており、溶融炉において改質反応(▲1▼〜▲3▼)を主とし、燃焼反応(▲4▼、▲5▼)を従としている。
【0057】
さらに、溶融炉で1300℃乃至1400℃程度の炉内温度を維持することにより、ダイオキシン類、フラン類などの有害物質の合成・再合成が抑制される。また、溶融炉において廃棄物中の灰分は高温雰囲気下にてスラグミスト化されるとともに、炉壁面のノズルから炉の軸線を中心とした円の接線方向にガスが導入されて炉内ガスの旋回流が形成され、これによって生じた遠心力のためにスラグミストは炉壁面に捕捉されて炉壁面をセルフコーティングして保護しつつ、トータルとして高効率にて灰分を溶融スラグ化する。約1300℃乃至1400℃で反応を進行させて得た生成ガスは、溶融炉から排出された後に、熱回収、改質・精製の各工程を経るように構成されている。
【0058】
本実施の形態においても、第一および第二の実施の形態と同様、シュート14をダクト形状のもので構成することができる。本実施の形態では規格の円管ダクトを用いることができるため、特殊な形状のシュートを製造する必要がなく、水砕トラフも必要としないため、コストダウンが図れる。
【0059】
シュート壁面の少なくとも一部または全面にメッキ処理をしておくことが好ましい。腐食防止の観点や、メッキ処理の利便性の観点から、亜鉛を主成分とするメッキ、特に溶融亜鉛メッキを施すことが好ましい。さらに溶融スラグの冷却により生じた蒸気に晒され、シュート壁面の腐食が懸念される部分に施すことが好ましい。例えば溶融スラグ排出口11の下部に設けられ、内面に耐火材を施してもよい炭素鋼鋼材で形成されたシュート14の内壁面全長にわたってメッキを施すと、腐食を効果的に防止することができ、好適である。
【0060】
以上説明したとおり、本発明にかかるガス化溶融システムは、従来の水砕トラフを用いないため、施設の高さをその分低くすることができる。この点は図1と図6を比較すると明瞭である。すなわち、図6では、水砕トラフ15の高さの分だけ溶融炉全体を高く設置する必要があったものが、本発明の態様(図1)では水砕トラフ15を使用せず、シュート14から直接水槽16にスラグ粒g’を落下させる構造となっているため、その分装置自体を低く設置できる。このことにより、ガス化溶融システム設置の費用を低減することができる。さらに冷却水の循環ポンプ18を用いる場合には、この循環ポンプのヘッドを低く設置することができるので、好適である。
【0061】
本発明にかかるガス化溶融システムにおける溶融スラグ冷却装置では、シュートとして、通常の規格のダクトを使用することができるため、特殊な部品を製造する必要がなく、また効果的に腐食発生を抑制し、さらに溶融炉スラグ排出部における閉塞を防止することが可能となるため、建設および運転維持費用が低減できる。
【0062】
さらに本発明に係るガス化溶融システムにおける溶融スラグ冷却装置では、スラグとガスの分離を好適に行うことができる。
このように本発明の実施の形態を図面を用いて説明したが、本発明の趣旨を逸脱することなく、種々の変形実施例が可能である。
【0063】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明は、溶融炉の底部に設けたスラグ排出口から排出させた、高温雰囲気下で生じた溶融スラグを通過させるためのシュートと、該シュートを通過する該スラグの排出方向に対向して水流を噴射する手段と、を含む、ガス化溶融システム用溶融スラグ冷却装置である。これにより、溶融スラグがと水流との接触の際に溶融スラグが散乱し、さらにスラグと接触する水膜厚さが大きくなるため、大変良好な冷却効果を得ることができる。溶融スラグが噴射した水流に接触する際に発生した蒸気により、シュート内壁面が冷却され、スラグの冷却効果がさらに高くなる。また、噴射した水流及び発生した蒸気によりシュート内壁面の清浄をすることができる。一方、従来のような特殊部品を使用する水砕トラフを用いないため、製造コストが低減できるほか、装置自体の設置高さを水砕トラフの高さの分だけ低くすることができる。溶融スラグ排出口付近で凝固してシュートを閉塞することが防止され、溶融スラグ排出口から安定連続して排出して水砕スラグ化させることが可能となり、ガス化溶融システムの長時間連続運転が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施の形態のスラグ冷却排出部分の構成を示す図であり、(b)は本発明の別の一実施の形態のスラグ冷却排出部分の構成を示す図である。
【図2】ガス化溶融システムの基本的な構成を示す図である。
【図3】図2における従来のスラグ冷却排出部分の構成を示す図である。
【図4】図3における溶融スラグ排出口におけるつらら状の塊状物の形成を示す図である。
【図5】図3におけるシュート壁面に固着したスラグ塊状物の形成を示す図である。
【図6】水砕トラフシュート部分に水冷ジャケットを設置した、従来のスラグ冷却排出部分の構成を示す図である。
【図7】本発明のガス化溶融システムにかかる一実施の形態の全体構成を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 廃棄物(可燃物)供給装置
2 流動層ガス化炉
3 空気室
4 空気分散板
5 流動層
6 フリーボード
7 旋回式溶融炉
8 一次室
9 二次室
10 三次室
11 スラグ排出口
12,13 昇温用バーナー
14 シュート
15 水砕トラフ
16 水槽
17 スラグコンベヤ
18 循環水ポンプ
19 水冷ジャケット
20 水砕ノズル
21 スクラバー
22 サイクロンセパレータ
23 誘引ファン
24 スラグ塊状物
25 水処理施設
26 弁
100 廃熱ボイラ
101 空気予熱器
102 バグフィルタ
103 触媒塔
104 不燃物抜出し機構
105 磁選機
106 ロックホッパ
107 処理器
108 エコノマイザ
109 煙突
a 廃棄物(可燃物)
b 一次空気
c 二次空気
d 生成ガス
e 三次空気(酸素富活空気または酸素)
f 排ガス
g 溶融スラグ
g’ スラグ粒
h 不燃物
i 水
i’ 水蒸気
j 排ガス
k 排ガスバイパス
l 四次空気(酸素富化空気または酸素)
m ドレン
m’ドレン
F 助燃料
N 中和剤(消石灰)
W 水
A 空気
ST スチームタービン

Claims (8)

  1. 溶融炉の底部に設けたスラグ排出口から排出させた、高温雰囲気下で生じた溶融スラグを通過させるためのシュートと、該シュートを通過する該スラグの排出方向に対向して水流を噴射する手段と、を含む、ガス化溶融システム用溶融スラグ冷却装置。
  2. 溶融炉の底部に設けたスラグ排出口から排出させた、高温雰囲気下で生じた溶融スラグを鉛直下方向に通過させるためのシュートと、該シュートを通過する該スラグの排出方向に対向した鉛直上向きに水流を噴射して該スラグを冷却する手段と、を含む、ガス化溶融システム用溶融スラグ冷却装置。
  3. 前記シュートの表面の少なくとも一部に、亜鉛を主成分としたメッキが施されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のガス化溶融システム用溶融スラグ冷却装置。
  4. 前記水流により冷却された水冷スラグを捕集するための水槽と、該水槽に留まっているスラグを系外に牽引排出するための手段と、をさらに備えたことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のガス化溶融システム用溶融スラグ冷却装置。
  5. 該水を系内に再循環使用するための循環ポンプおよび循環経路をさらに備えたことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のガス化溶融システム用溶融スラグ冷却装置。
  6. 前記溶融スラグへの水流の噴射により生じる蒸気を排気するための排気システムをさらに備えたことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のガス化溶融システム用溶融スラグ冷却装置。
  7. 該排気システムが、スクラバー、サイクロンセパレータ、および誘引ファンを含むことを特徴とする、請求項6に記載のガス化溶融システム用溶融スラグ冷却装置。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の溶融スラグ冷却装置を含むことを特徴とする、ガス化溶融システム。
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