JP2004162265A - 排泥土再利用システムおよび排泥土再利用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】噴射部5によって排泥土に処理液を噴射して泥水にする。一次処理装置2の第1上流振動篩6および第1下流振動篩7、ならびに二次処理装置3の第2振動篩11、濃縮型サイクロン13、分級型サイクロン15および第3振動篩16によって、前記泥水に含まれる固形分が分離される。さらに濃縮型サイクロン13、分級型サイクロン15および第3振動篩16において泥水を循環して、分級型サイクロン15のオーバーフローとして排出される泥水に含まれる固形分を、第4粒径未満の固形分だけにして、この泥水を、掘進機に供給する。濃縮型サイクロン13からオーバーフローとして排出された泥水は、処理液として噴射部に供給される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、泥濃式推進工法において地山掘進時に発生する排泥土を処理して、たとえば切羽安定剤として再利用するために好適に実施できる排泥土再利用システムおよび排泥土再利用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
泥濃式推進工法において、地山を掘進するときに掘進機から排出される泥土(以後、この泥土を「排泥土」と表記することがある。)には、掘進時の切羽を安定させるための切羽安定材が含まれているので、排泥土の全てを産業廃棄物として廃棄している。近年、最終処分場の不足および環境保全のために、粒径が74マイクロメートル以上、2ミリメートル未満の砂と、粒径が2ミリメートル以上、75ミリメートル未満の礫とを排泥土から分離して、埋立などによって処分しなければならない廃棄物の減量化を図る動きがある。
【0003】
このような排泥土を処理する第1の従来技術として、振動篩によって掘進機からの排泥土から礫および礫よりも粒径の大きな岩石を取除き、サイクロンによって振動篩を通過した排泥土から砂を取除いて粘土およびシルトを含む泥水を分離して回収し、前記泥水の一部を掘進機に戻して再利用し、残余の泥水を脱水して廃棄物を減量する方法がある(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
また第2の従来技術として、網目状の回転ドラムによって掘進機からの排泥土から大粒径の礫を取除き、振動篩によって回転ドラムを通過した排泥土から砂礫を取除き、濃縮型サイクロンによって第1の振動篩を通過した排泥土からシルトおよび粘土を含む泥水を分離し、前記泥水を掘進機に戻して再利用する方法がある(たとえば特許文献2参照)。
【0005】
また第3の従来技術として、複数の濃縮型サイクロンを用いて、排泥土を粒径別に分離する装置がある(たとえば特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−304597号公報(第3頁、図2)
【特許文献2】
特開2001−193099号公報(第5頁、第7頁、図2、図5)
【特許文献3】
特開平6−198212号公報(第3−4頁、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
排泥土は、粘性および比重が非常に高く、排泥土に含まれる砂および礫には、粘土およびシルトが付着している。前述の第1の従来技術では、掘進機から排出される様々な粒径の固形物を含む排泥土を、直接1つの振動篩に与えるので、たとえば礫などの大粒径の固形分に付着している粘土およびシルトなどの小粒径の固形分を、前記礫から離脱させることが非常に困難である。
【0008】
また前述の第2の従来技術では、回転ドラムによって掘進機からの排泥土から大粒径の礫は取除かれるけれども、回転ドラムを通過した泥水には、比較的粒径の大きな固形分が多く含まれているとともに、様々な粒径の固形分が含まれているので、1台の振動篩で、大粒径の固形分に付着している小粒径の固形分を離脱させることが困難である。
【0009】
また前述の第3の従来技術では、複数の濃縮型サイクロンを用いて、排泥土を濃縮して粒径別に分離できるけれども、泥水を掘進機に戻して再利用するための泥水に対して施す処理に関しては開示されていない。
【0010】
以上のように、これらの従来技術では、砂および礫から粘土およびシルトを確実に分離することが困難である。また掘進機に戻す以外の泥水は、余剰泥水となってしまい、このような余剰泥水は、廃棄物として処理され、廃棄物の減量化が困難となる。
【0011】
したがって本発明の目的は、排泥土から礫および砂を効率良く取除くとともに、排泥土から切羽安定剤として再利用可能な成分を確実に分離して回収し、廃棄物を減量することができる排泥土再利用システムおよび排泥土再利用方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、地山を掘進する掘進機からの排泥土に処理液を噴射して、排泥土を、流動性を有する泥水にする噴射手段と、
前記泥水に含まれる予め定める第1粒径未満の固形分が通過可能な第1振動篩とを備える一次処理装置を有することを特徴とする排泥土再利用システムである。
【0013】
本発明に従えば、一次処理装置の噴射手段によって、地山を掘進する掘進機からの排泥土に処理液が噴射されて、排泥土は、流動性を有する泥水になる。このとき排泥土に含まれる、たとえば礫などの比較的粒径の大きな固形分に付着している、砂、シルトおよび粘土などの礫に比べて粒径の小さな固形分が、礫から離脱する。
【0014】
また前記泥水に含まれる予め定める第1粒径未満の固形分は、第1振動篩を通過する。このとき泥水に含まれる固形分は、第1粒径以上の固形分と第1粒径未満の固形分とに分離される。前記第1粒径以上の固形分が、たとえば礫であるとすると、第1振動篩によって、泥水に含まれる固形分は、礫と礫未満の粒径の固形分とに分離される。さらに第1振動篩が振動することによって、第1粒径以上の固形分に付着している第1粒径未満の固形分および液状分が、第1粒径以上の固形分から離脱する。このように処理液の噴射と第1振動篩とによって、排泥土に含まれる第1粒径以上の固形分を、残余の固形分から効率的かつ確実に分離することができる。
【0015】
請求項2記載の本発明は、前記一次処理装置の第1振動篩を通過した泥水に含まれる、前記第1粒径よりも小さい第2粒径未満の固形分が通過可能な第2振動篩と、
第2振動篩を通過した泥水を、遠心分離によって、前記第2粒径よりも小さい第3粒径以上の固形分を濃縮して、前記第3粒径未満の固形分とは別にして排出する濃縮型サイクロンと、
前記濃縮型サイクロンから排出された第3粒径未満の固形分を含む泥水を、遠心分離によって、前記第3粒径よりも小さい第4粒径以上の固形分と前記第4粒径未満の固形分とに分離して、個別に排出する分級型サイクロンと、
前記濃縮型サイクロンから排出された第3粒径以上の固形分を含む泥水と、前記分級型サイクロンから排出された第4粒径以上の固形分を含む泥水とに含まれる、前記第2粒径よりも小さい第5粒径未満の固形分が通過可能な第3振動篩とを備え、
第3振動篩を通過した泥水を、前記濃縮型サイクロンに循環する二次処理装置をさらに有することを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、前記一次処理装置の第1振動篩を通過した泥水に含まれる、前記第1粒径よりも小さい第2粒径未満の固形分は、第2振動篩を通過する。このとき泥水に含まれる固形分は、第2粒径以上の固形分と第2粒径未満の固形分とに分離される。前記第2粒径以上の固形分が、たとえば中砂以上の粒径の砂であるとすると、第2振動篩によって、前記泥水に含まれる固形分は、中砂以上の粒径の砂を含む固形分と中砂未満の粒径の固形分とに分離される。さらに第2振動篩が振動することによって、第2粒径以上の固形分に付着している第2粒径未満の固形分および液状分が、第2粒径以上の固形分から離脱する。このようにして泥水に含まれる第2粒径以上の固形分を、泥水から確実に分離することができる。
【0017】
また第2振動篩を通過した泥水に含まれる固形分のうち、前記第2粒径よりも小さい第3粒径以上の固形分は、濃縮型サイクロンによって、濃縮されて、前記第3粒径未満の固形分とは別にして排出される。前記第3粒径以上の固形分が、たとえば細砂以上の粒径の砂であるとすると、濃縮型サイクロンによって、泥水に含まれる固形分のうち、細砂以上の粒径の砂が濃縮されて排出され、細砂未満の粒径の固形分であるシルトおよび粘土は、濃縮された砂とは別に排出される。このようにして泥水に含まれる第3粒径以上の固形分を、泥水から確実に分離することができる。
【0018】
また前記濃縮型サイクロンから排出された泥水に含まれる固形分のうち、第3粒径未満の固形分は、分級型サイクロンによって、前記第3粒径よりも小さい第4粒径以上の固形分と前記第4粒径未満の固形分とに分離されて、個別に排出される。前記第4粒径以上の固形分が、たとえば比較的粒径の大きいシルトであるとすると、分級型サイクロンによって、泥水に含まれる固形分は、比較的粒径の大きいシルトと比較的粒径の小さいシルトおよび粘土を含む固形分とに分離される。このようにして泥水に含まれる第4粒径以上の固形分を、泥水から確実に分離することができる。
【0019】
また前記濃縮型サイクロンから排出された第3粒径以上の固形分を含む泥水と、前記分級型サイクロンから排出された第4粒径以上の固形分を含む泥水とに含まれる、前記第2粒径よりも小さい第5粒径未満の固形分は、第3振動篩を通過する。このとき泥水に含まれる固形分は、第5粒径未満の固形分と第5粒径以上の固形分とに分離される。さらに第3振動篩が振動することによって、第3粒径以上の固形分に付着している第3粒径未満の固形分および液状分が、第3粒径以上の固形分から離脱する。このようにして泥水に含まれる第3粒径以上の固形分を確実に分離することができる。
【0020】
さらに第3振動篩を通過した泥水は、前記濃縮型サイクロンに循環される。このように泥水に含まれる固形分は、濃縮型サイクロン、分級型サイクロンおよび第3振動篩による分離および濃縮を繰り返すことによって、確実に分離される。これによって分級型サイクロンから排出される泥水に含まれる固形分を、確実に第4粒径未満の固形物だけにして回収することができる。このような第4粒径未満の固形分は、たとえば比較的粒径の小さなシルトおよび粘土であり、これらの固形分は、地山を掘進するときの切羽を安定させる切羽安定剤として利用することができる。
【0021】
請求項3記載の本発明は、前記濃縮型サイクロンから排出された第3粒径未満の固形分を含む泥水を、噴射手段に供給する第1供給手段をさらに有することを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、第1供給手段によって、濃縮型サイクロンから排出された第3粒径未満の固形分を含む泥水は、噴射手段に供給されるので、前記泥水を処理液として利用することができる。このように泥水を再利用することによって、廃棄する泥水の量を減らして、地山を掘進するときに生じる廃棄物の量を減量するとともに、再利用される泥水を除く処理液の量を減らす、または無くすことができる。
【0023】
請求項4記載の本発明は、前記分級型サイクロンから排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水を、掘進機に供給する第2供給手段をさらに有することを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、第2供給手段によって、分級型サイクロンから排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水は、掘進機に供給される。このような第4粒径未満の固形分は、たとえば比較的粒径の小さなシルトおよび粘土であり、これらの固形分は、地山を掘進するときの切羽を安定させる切羽安定剤として好適である。このように泥水を再利用することによって、廃棄する泥水の量を減らして、地山を掘進するときに生じる廃棄物の量を減量することができるとともに、再利用される泥水を除く切羽安定剤の量を減らす、または無くすことができる。
【0025】
請求項5記載の本発明は、前記分級型サイクロンから排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水を、脱水する脱水手段をさらに有することを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、脱水手段によって、分級型サイクロンから排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水は、脱水されるので、地山を掘進するときに生じる廃棄物の水分を除去して、前記廃棄物をさらに減量することができる。
【0027】
請求項6記載の本発明は、噴射手段を用いて地山を掘進する掘進機からの排泥土に処理液を噴射して、排泥土を、流動性を有する泥水にする流動化工程と、
予め定める第1粒径未満の固形分が通過可能な第1振動篩を用いて、前記泥水に含まれる固形分を、予め定める第1粒径未満の固形分と、前記第1粒径以上の固形分とに分離する第1分級工程とを含むことを特徴とする排泥土再利用方法である。
【0028】
本発明に従えば、流動化工程では、地山を掘進する掘進機からの排泥土に処理液が噴射されて、排泥土は、流動性を有する泥水になる。このとき排泥土に含まれる、たとえば礫などの比較的粒径の大きな固形分に付着している、砂、シルトおよび粘土などの礫に比べて粒径の小さな固形分が、礫から離脱する。
【0029】
第1分級工程では、泥水に含まれる固形分は、振動篩によって、第1粒径以上の固形分と第1粒径未満の固形分とに分離される。前記第1粒径以上の固形分が、たとえば礫であるとすると、第1振動篩によって、泥水に含まれる固形分は、礫と礫未満の粒径の固形分とに分離される。さらに振動篩が振動することによって、第1粒径以上の固形分に付着している第1粒径未満の固形分および液状分が、第1粒径以上の固形分から離脱する。このように処理液の噴射と第1振動篩とによって、排泥土に含まれる第1粒径以上の固形分を、残余の固形分から効率的かつ確実に分離することができる。
【0030】
請求項7記載の本発明は、前記第1分級工程の後に、前記第1粒径よりも小さい第2粒径の固形分が通過可能な第2振動篩を用いて、泥水に含まれる前記第1粒径未満の固形分を、前記第1粒径よりも小さい第2粒径未満の固形分と、前記第2粒径以上の固形分とに分離する第2分級工程と、
濃縮型サイクロンを用いて、泥水に含まれる前記第2粒径未満の固形分のうち、遠心分離によって、前記第2粒径よりも小さい第3粒径以上の固形分を濃縮して、前記第3粒径未満の固形分とは別にして排出する濃縮工程と、
分級型サイクロンを用いて、前記濃縮型サイクロンから排出された泥水に含まれる第3粒径未満の固形分を、遠心分離によって、前記第3粒径よりも小さい第4粒径以上の固形分と前記第4粒径未満の固形分とに分離して、個別に排出する遠心分級工程と、
前記第2粒径よりも小さい第5粒径の固形分が通過可能な第3振動篩を用いて、前記濃縮型サイクロンから排出された泥水に含まれる第3粒径以上の固形分、および前記分級型サイクロンから排出された第4粒径以上の固形分を、前記第2粒径よりも小さい第5粒径未満の固形分と、前記第5粒径以上の固形分とに分離する第3分級工程と、
前記第5粒径未満の固形分を含む泥水を、前記濃縮型サイクロンに循環する循環工程とをさらに含むことを特徴とする。
【0031】
本発明に従えば、第2分級工程では、第1振動篩を通過した泥水に含まれる、前記第1粒径よりも小さい第2粒径未満の固形分は、第2振動篩によって、第2粒径以上の固形分と第2粒径未満の固形分とに分離される。前記第2粒径以上の固形分が、たとえば中砂以上の粒径の砂であるとすると、第2振動篩によって、前記泥水に含まれる固形分は、中砂以上の粒径の砂を含む固形分と中砂未満の粒径の固形分とに分離される。さらに第2振動篩が振動することによって、第2粒径以上の固形分に付着している第2粒径未満の固形分および液状分が、第2粒径以上の固形分から離脱する。このようにして泥水に含まれる第2粒径以上の固形分を、泥水から確実に分離することができる。
【0032】
濃縮工程では、第2振動篩を通過した泥水に含まれる固形分のうち、前記第2粒径よりも小さい第3粒径以上の固形分は、濃縮型サイクロンによって、濃縮されて、前記第3粒径未満の固形分とは別にして排出される。前記第3粒径以上の固形分が、たとえば細砂以上の粒径の砂であるとすると、濃縮型サイクロンによって、泥水に含まれる固形分のうち、細砂以上の粒径の砂が濃縮されて排出され、細砂未満の粒径の固形分であるシルトおよび粘土は、濃縮された砂とは別に排出される。このようにして泥水に含まれる第3粒径以上の固形分を、泥水から確実に分離することができる。
【0033】
遠心分級工程では、前記濃縮型サイクロンから排出された泥水に含まれる固形分のうち、第3粒径未満の固形分は、分級型サイクロンによって、前記第3粒径よりも小さい第4粒径以上の固形分と前記第4粒径未満の固形分とに分離されて、個別に排出される。前記第4粒径以上の固形分が、たとえば比較的粒径の大きいシルトであるとすると、分級型サイクロンによって、泥水に含まれる固形分は、比較的粒径の大きいシルトと比較的粒径の小さいシルトおよび粘土を含む固形分とに分離される。このようにして泥水に含まれる第4粒径以上の固形分を、泥水から確実に分離することができる。
【0034】
第3分級工程では、前記濃縮型サイクロンから排出された第3粒径以上の固形分を含む泥水と、前記分級型サイクロンから排出された第4粒径以上の固形分を含む泥水とに含まれる、前記第2粒径よりも小さい第5粒径未満の固形分は、第3振動篩を通過する。このとき泥水に含まれる固形分は、第5粒径未満の固形分と第5粒径以上の固形分とに分離される。さらに第3振動篩が振動することによって、第5粒径以上の固形分に付着している第5粒径未満の固形分および液状分が、第5粒径以上の固形分から離脱する。このようにして泥水に含まれる第5粒径以上の固形分を確実に分離することができる。
【0035】
循環工程では、第3振動篩を通過した泥水は、前記濃縮型サイクロンに循環される。このように泥水に含まれる固形分は、濃縮工程、遠心分級工程および第3分級工程における分離および濃縮を繰り返すことによって、確実に分離される。これによって遠心分級工程において、分級型サイクロンから排出される泥水に含まれる固形分を、確実に第4粒径未満の固形物だけにして回収することができる。このような第4粒径未満の固形分は、たとえば比較的粒径の小さなシルトおよび粘土であり、これらの固形分は、地山を掘進するときの切羽を安定させる切羽安定剤として利用することができる。
【0036】
請求項8記載の本発明は、前記濃縮型サイクロンから排出された第3粒径未満の固形分を含む泥水を、噴射手段に供給する第1泥水供給工程をさらに含むことを特徴とする。
【0037】
本発明に従えば、第1泥水供給工程では、濃縮型サイクロンから排出された第3粒径未満の固形分を含む泥水は、噴射手段に供給されるので、前記泥水を処理液として利用することができる。このように泥水を再利用することによって、廃棄する泥水の量を減らして、地山を掘進するときに生じる廃棄物の量を減量するとともに、再利用される泥水を除く処理液の量を減らす、または無くすことができる。
【0038】
請求項9記載の本発明は、前記分級型サイクロンから排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水を、掘進機に供給する第2泥水供給工程をさらに含むことを特徴とする。
【0039】
本発明に従えば、第2泥水供給工程では、分級型サイクロンから排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水は、掘進機に供給される。このような第4粒径未満の固形分は、たとえば比較的粒径の小さなシルトおよび粘土であり、これらの固形分は、地山を掘進するときの切羽を安定させる切羽安定剤として好適である。このように泥水を再利用することによって、廃棄する泥水の量を減らして、地山を掘進するときに生じる廃棄物の量を減量することができるとともに、再利用される泥水を除く切羽安定剤の量を減らす、または無くすことができる。
【0040】
請求項10記載の本発明は、前記分級型サイクロンから排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水を、脱水する脱水工程をさらに含むことを特徴とする。
【0041】
本発明に従えば、脱水工程では、分級型サイクロンから排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水は、脱水されるので、地山を掘進するときに生じる廃棄物の水分を除去して、前記廃棄物をさらに減量することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の排泥土再利用システム1の構成および泥水の流れを模式的に示す図である。なお、本実施の形態において、「粒径」とは、地盤工学会基準「地盤材料の工学的分類方法」(JGS 0051−2000)によって定められる粒径である。また、地盤材料を分類するための試験は、日本工業規格の「土の粒度試験方法」(JIS A 1204)に基づいて行われる。排泥土再利用システム1は、たとえば泥濃式推進工法において、地山を掘進するときに掘進機(図示せず)から排出される泥土(以後、この泥土を「排泥土」と表記することがある。)を処理して再利用するシステムである。排泥土再利用システム1は、一次処理装置2および二次処理装置3を含んで構成される。
【0043】
一次処理装置2は、レシーバタンク4、噴射部5、第1上流振動篩6、第1下流振動篩7および第1貯留槽8を含んで構成される。レシーバタンク4は、掘進機から投入された排泥土を一時的に保持して、下部に設けられる排出口から、後述する第1上流振動篩6に排出する。掘進機からの排泥土には、切羽を安定させるための切羽安定剤が含まれている。
【0044】
噴射手段である噴射部5は、レシーバタンク4から第1上流振動篩6に排出される排泥土に処理液を噴射して、排泥土を、流動性を有する泥水にする。このとき排泥土に含まれる、たとえば礫などの比較的粒径の大きな固形分に付着している、砂、シルトおよび粘土などの礫に比べて粒径の小さな固形分が、礫から離脱する。
【0045】
噴射部5による排泥土への処理液の噴射は、たとえばレシーバタンク4内に保持されている排泥土に噴射するようにしてもよい。この場合、複数の噴射ノズルで構成される噴射部を用いて、各噴射ノズルから、下方かつレシーバタンク4の半径方向に垂直な接線方向に処理液を噴射するようにしてもよい。レシーバタンク4内に保持されている排泥土は、噴射部の各噴射ノズルから噴射される処理液によって形成される水流によって攪拌されるとともに、噴射ノズルからの処理液の水圧によって、礫などの比較的粒径の大きな固形分に付着している、砂、シルトおよび粘土などの礫に比べて粒径の小さな固形分が、礫から離脱することができる。また、この場合、噴射ノズルとしては、処理液が円柱状に直進して噴射される直進ノズルを用いることによって、排泥土に高圧で処理液を当てることができるので、排泥土を効率的に流動化することができる。
【0046】
レシーバタンク4は、たとえば上下に配置される2つの保持タンクを有し、前記2つの保持タンクは、開閉可能な連通部で連結され、下側の保持タンクの下部に排出口を設ける構成であってもよい。この場合、前記連通部を閉鎖して、上側の保持タンクに掘進機からの排泥土が保持され、上側の保持タンクに保持される排泥土が所定量に達すると、連通部を開放して、上側の保持タンクに保持されていた排泥土を、下側の保持タンクに排出する。このように下側の保持タンクに排出される排泥土に噴射部5によって処理液を噴射してもよい。
【0047】
また、たとえばレシーバタンク4を2つ用いて、水平方向に隣接して配置して、掘進機からの排泥土を交互に保持させるようにしてもよい。この場合、各レシーバタンクへの排泥土の供給路に切換弁を介在させて、排泥土を各レシーバタンクへ交互に供給するようにしてもよい。これによって排泥土を効率的に流動化することができる。
【0048】
第1上流振動篩6は、レシーバタンク4の下方に配置され、前記泥水に含まれる予め定める粗粒径の固形分が通過可能な網部を有し、前記網部を上下方向に往復振動させる。第1上流振動篩6の網部には、厚み方向に貫通する内径が前記租粒径と同じ寸法の透孔が複数形成される。前記粗粒径は、本実施の形態において、たとえば50ミリメートルである。
【0049】
泥水に含まれる固形分は、第1上流振動篩6の網部を通過する前記粗粒径未満の固形分と、前記網部を通過できない前記粗粒径以上の固形分とに分離される。第1上流振動篩6の網部の振動によって、網部を通過できない前記粗粒径以上の固形分が、略水平方向に移動する。このとき粗粒径以上の固形分に付着している粗粒径未満の固形分および液状分が、粗粒径以上の固形分から離脱して、第1上流振動篩6を通過する。第1上流振動篩6の網部の振動によって、略水平方向に移動する前記粗粒径以上の固形分は、一次処理装置2および二次処理装置3の外部に設けられる土砂ピット10に払出される。
【0050】
第1下流振動篩7は、前記第1上流振動篩6の下方に配置され、前記第1上流振動篩6を通過した泥水に含まれる、前記粗粒径よりも小さい第1粒径未満の固形分が通過可能な網部を有し、前記網部を上下方向に往復振動させる。本実施の形態において、第1下流振動篩6の網部と、第1上流振動篩7の網部とは、上下方向に並んで配置される。第1下流振動篩7の網部には、厚み方向に貫通する内径が前記第1粒径と同じ寸法の透孔が複数形成される。前記第1粒径は、本実施の形態において、たとえば20ミリメートルである。また第1粒径以上の固形分とは、たとえば礫の中でも比較的粒径の大きな粗礫以上の粒径である固形分である。
【0051】
泥水に含まれる固形分は、第1下流振動篩7の網部を通過する第1粒径未満の固形分と、前記網部を通過できない前記第1粒径以上の固形分とに分離される。第1下流振動篩7の網部の振動によって、網部を通過できない前記第1粒径以上の固形分が、略水平方向に移動する。このとき第1粒径以上の固形分に付着している第1粒径未満の固形分および液状分が、第1粒径以上の固形分から離脱して、第1下流振動篩7を通過して、後述する第1貯留槽8に流下する。第1下流振動篩7の網部の振動によって、略水平方向に移動する前記第1粒径以上の固形分は、土砂ピット10に払出される。本実施の形態において、第1振動篩は、第1上流振動篩6および第1下流振動篩7を含んで構成される。
【0052】
第1貯留槽8は、第1下流振動篩7の下方に配置され、前記第1下流振動篩7を通過して流下した第1粒径未満の固形分を含む泥水を貯留する。第1貯留槽8の底部には、第1貯留槽8に貯留されている泥水を、後述する二次処理装置3の第2振動篩11に送出する第1送出部9が設けられる。第1送出部9は、たとえばポンプによって実現される。以上のように一次処理装置2は、第1粒径未満の固形分を含む泥水を第1貯留槽8に貯留して、第1粒径以上の固形分だけを土砂ピット10に払出す。
【0053】
二次処理装置3は、第2振動篩11、第2貯留槽12、濃縮型サイクロン13、調整槽14、分級型サイクロン15および第3振動篩16を含んで構成される。第2振動篩11は、第1貯留槽8から第1送出部9によって送出された泥水に含まれる固形分のうち、第1粒径よりも小さい第2粒径未満の固形分が通過可能な網部を有し、前記網部を上下方向に往復振動させる。第2振動篩11の網部には、厚み方向に貫通する内径が前記第2粒径と同じ寸法の透孔が複数形成される。前記第2粒径は、本実施の形態において、たとえば2ミリメートルである。また第2粒径以上の固形分とは、たとえば礫以上の粒径である固形分である。
【0054】
第1貯留槽8からの泥水に含まれる固形分は、第2振動篩11の網部を通過する第2粒径未満の固形分と、前記網部を通過できない前記第2粒径以上の固形分とに分離される。第2振動篩11の網部の振動によって、網部を通過できない前記第2粒径以上の固形分が、略水平方向に移動する。このとき第2粒径以上の固形分に付着している第2粒径未満の固形分および液状分が、第2粒径以上の固形分から離脱して、第2振動篩11を通過して、後述する第2貯留槽12に流下する。第2振動篩11の網部の振動によって、略水平方向に移動する前記第2粒径以上の固形分は、前記土砂ピット10に払出される。
【0055】
第2貯留槽12は、第2振動篩11の下方に配置され、前記第2振動篩11を通過して流下した第2粒径未満の固形分を含む泥水を貯留する。第2貯留槽12の底部には、第2貯留槽12に貯留されている泥水を、後述する濃縮型サイクロン13に送出する第2送出部17が設けられる。第2送出部17は、たとえばポンプによって実現される。
【0056】
濃縮型サイクロン13は、遠心分離によって、設定した粒径以上の固形分を含む泥水を濃縮してアンダーフローとして排出するとともに、前記粒径未満の固形分を含む泥水をオーバーフローとして排出する。濃縮型サイクロン13は、詳細に述べると、第2振動篩11を通過した泥水を、第2粒径よりも小さい第3粒径以上の固形分を濃縮して、当該固形分を含む泥水をアンダーフローとして、濃縮型サイクロン13の下方に配置される第3振動篩16に排出するとともに、前記第3粒径未満の固形分を含む泥水をオーバーフローとして、後述する調整槽14に排出する。本実施の形態において、第3粒径は、たとえば0.1ミリメートル程度であってもよい。
【0057】
調整槽14は、前記濃縮型サイクロン13からオーバーフローとして排出された第3粒径未満の固形分を含む泥水を貯留する。調整槽14には、貯留されている泥水が固形分と液状分とに分離しないように攪拌する攪拌機18が設けられる。調整槽14に貯留されている泥水は、常に所定の比重となるように、水を加えるなどの調整がなされている。本実施の形態において、調整槽14に貯留されている泥水の比重は、泥濃式推進工法において掘進される地山の土質条件に基づいて設定される。
【0058】
調整槽14の底部には、調整槽14に貯留されている、第3粒径未満の固形分を含む泥水を、一次処理装置2の噴射部5に供給する第1供給手段である第1供給部19が設けられる。また調整槽14の底部には、調整槽14に貯留されている、第3粒径未満の固形分を含む泥水を、後述する分級型サイクロン15に送出する第3送出部20が設けられる。前記第1供給部19および第3送出部20は、ともに開閉バルブおよびポンプを備える。
【0059】
分級型サイクロン15は、遠心分離によって、設定した粒径以上の固形分を含む泥水をアンダーフローとして排出するとともに、前記粒径未満の固形分を含む泥水をオーバーフローとして排出する。分級型サイクロン15は、詳細に述べると、調整層14からの泥水、換言すれば、濃縮型サイクロン13から排出された第3粒径未満の固形分を含む泥水を、第3粒径よりも小さい第4粒径以上の固形分と前記第4粒径未満の固形分とに分離して、第4粒径以上の固形分を含む泥水をアンダーフローとして、分級型サイクロン15の下方に配置される第3振動篩16に排出するとともに、第4粒径未満の固形分を含む泥水をオーバーフローとして、後述する余剰泥水層21に排出するようにして、個別に排出する。本実施の形態において、第4粒径は、たとえば30マイクロメートル以上、40マイクロメートル以下程度である。また第4粒径未満の固形分とは、たとえばシルトの中でも比較的粒径の小さな粒径のシルトおよび粘土である。
【0060】
第3振動篩16は、濃縮型サイクロン13および分級型サイクロン15の下方かつ第2振動篩11の上方となる位置に配置され、濃縮型サイクロン13からアンダーフローとして排出された第3粒径以上の固形分を含む泥水と、前記分級型サイクロン15からアンダーフローとして排出された第4粒径以上の固形分を含む泥水とに含まれる、前記第2粒径よりも小さい第5粒径未満の固形分が通過可能な網部を有し、前記網部を上下方向に往復振動させる。本実施の形態において、第3振動篩16の網部と、第2振動篩11の網部とは、上下方向に並んで配置される。第3振動篩16の網部には、厚み方向に反通する内径が前記第5粒径と同じ寸法の透孔が複数形成される。前記第5粒径は、本実施の形態において、たとえば0.5ミリメートルまたは0.35ミリメートルである。また第5粒径以上の固形分とは、たとえば砂の中でも比較的粒径の大きな中砂および租砂である。
【0061】
泥水に含まれる固形分は、第3振動篩16の網部を通過する第5粒径未満の固形分と、前記網部を通過できない前記第5粒径以上の固形分とに分離される。第3振動篩16の網部の振動によって、網部を通過できない前記第5粒径以上の固形分が、略水平方向に移動する。このとき第5粒径以上の固形分に付着している第5粒径未満の固形分および液状分が、第5粒径以上の固形分から離脱して、第3振動篩16を通過して、さらに第2振動篩11を通過して、第2貯留槽12に流下する。第3振動篩16を通過し、第2貯留槽12に貯留される泥水は、濃縮型サイクロン13に循環される。第3振動篩16の網部の振動によって、略水平方向に移動する前記第5粒径以上の固形分は、土砂ピット10に払出される。
【0062】
第3振動篩16を通過させる固形分の粒径を小さくするために、第3振動篩16の網部の透孔の内径を、たとえば0.074ミリメートルにすると、すぐに目詰まりを起こして泥水が網部を走ってしまう。このようなことを防止するために、本実施の形態では、前記網部の内径を0.5ミリメートルまたは0.35ミリメートルにして、第3振動篩16を通過できずに網部の上部に乗載されている前記内径以上の粒径の固形分である中砂以上の粒径の砂をフィルタとして、泥水を濾過させる。これによって前記中砂以上の砂に、それより粒径の小さな砂などの固形分が付着して、第3振動篩16を通過する固形分の粒径を、網部の内径よりも小さくすることができる。
【0063】
排泥土再利用システム1は、余剰泥水層21をさらに含んで構成される。余剰泥水層21は、分級型サイクロン15からオーバーフローとして排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水を貯留する。余剰泥水槽21には、貯留されている泥水が固形分と液状分とに分離しないように攪拌する攪拌機22が設けられる。また余剰泥水槽21の底部には、余剰泥水槽21に貯留されている、第4粒径未満の固形分を含む泥水を、掘進機に切羽安定剤を含む泥水を供給する送泥プラント(図示せず)に供給する第2供給手段である第2供給部23が設けられる。また調整槽21の底部には、余剰泥水槽21に貯留されている、第4粒径未満の固形分を含む泥水を、後述するスラリ槽25に余剰泥水として排出する第1排出部24が設けられる。前記第2供給部23および第1排出部24は、ともに開閉バルブおよびポンプを備える。
【0064】
排泥土再利用システム1は、スラリ槽25および凝集剤貯留槽26をさらに含んで構成される。スラリ槽25は、余剰泥水槽21から排出される第4粒径未満の固形分を含む余剰泥水を貯留する。凝集剤貯留槽26は、スラリ槽25に貯留される余剰泥水を固形分と液状分とに分離させるための高分子系の凝集剤を貯留する。凝集剤貯留槽26には、凝集剤をスラリ槽25に供給するための凝集剤供給部27が設けられる。凝集剤供給部27は、開閉バルブおよびポンプを備える。
【0065】
スラリ槽25には、貯留されている余剰泥水と凝集剤貯留槽26からの凝集剤とを混合するように攪拌する攪拌機28が設けられる。またスラリ槽25には、貯留されている凝集剤と混合された余剰泥水を、後述する脱水機30に排出する第2排出部29が設けられる。第2排出部29は、開閉バルブおよびポンプを備える。
【0066】
排泥土再利用システム1は、脱水手段である脱水機30をさらに含んで構成される。脱水機30は、スラリ槽からの凝集剤と混合された余剰泥水を脱水して、余剰泥水の固形分と液状分とを分離して排出する。脱水機30から排出された余剰泥水の固形分は、脱水ケーキとなって、ベルトコンベアなどで実現される搬送機31によって搬送され、搬送機31の搬送方向下流側に設けられる土砂ピット32に払出される。
【0067】
排泥土再利用システム1は、濾水受槽33および放流槽34をさらに含んで構成される。濾水受槽33は、脱水機30から排出された余剰泥水の液状分を貯留する。濾水受槽33には、濾水受槽33に貯留される余剰泥水の液状分を、放流槽34に送出する第3排出部35が設けられる。前記第3排出部35は、たとえばポンプで実現される。放流槽34は、濾水受槽33からの余剰泥水の液状分の浮遊懸濁物質量(略称:SS)が、河川に放流可能な値になるように調整する。SSが前記値以下になった余剰泥水は、河川に放流される。
【0068】
図2は、本発明の実施の他の形態の排泥土再利用システム1Aの構成および泥水の流れを模式的に示す図である。排泥土再利用システム1Aは、前述の排泥土再利用システム1とは、大略的に同じであるので、異なる部分についてだけ以下に説明する。
【0069】
一次処理装置2の第1貯留槽8の底部には、第1供給部19からの調整槽14に貯留されている、第3粒径未満の固形分を含む泥水を、第1貯留槽8内に噴射して、第1貯留槽8に貯留される泥水を攪拌する噴射攪拌部36が、さらに設けられる。したがって調整槽14に設けられる第1供給部19は、調整槽14に貯留されている、第3粒径未満の固形分を含む泥水を、一次処理装置2の噴射部5に供給するとともに、前記噴射攪拌部36にも供給する。これによって第1貯留槽8に貯留される泥水に含まれる固形分が沈殿することによる、第1送出部9の動作不良および故障を確実に防止することができる。
【0070】
図3は、図1に示す排泥土再利用システム1を用いた排泥土再利用方法の手順を示すフローチャートである。地山を掘進する掘進機から、排泥土再利用システム1のレシーバタンク4に排泥土が投入されて、排泥土再利用方法の手順が開始される。
【0071】
流動化工程では、レシーバタンク4から排出される排泥土に処理液を噴射して、排泥土を、流動性を有する泥水にして、第1分級工程に進む。流動化工程において、排泥土に含まれる、たとえば礫などの比較的粒径の大きな固形分に付着している、砂、シルトおよび粘土などの礫に比べて粒径の小さな固形分が、礫から離脱する。
【0072】
第1分級工程では、予め定める租粒径未満の固形分が通過可能な第1上流振動篩6と、前記租粒径よりも小さい第1粒径未満の固形分が通過可能な第1下流振動篩7とを用いて、前記泥水に含まれる固形分を、予め定める第1粒径未満の固形分と、前記第1粒径以上の固形分とに分離して、第2分級工程に進む。第1分級工程において、第1粒径以上の固形分は、土砂ピット10に払出される。また第1分級工程において、第1粒径以上の固形分に付着している第1粒径未満の固形分および液状分が、第1粒径以上の固形分から離脱する。このように流動化工程と第1分級工程とにおける、処理液の噴射と第1上流振動篩6および第2下流振動篩7による分離とによって、排泥土に含まれる第1粒径以上の固形分を、残余の固形分から効率的かつ確実に分離することができる。
【0073】
第2分級工程では、前記第1粒径よりも小さい第2粒径の固形分が通過可能な第2振動篩11を用いて、第1分級工程において、第1上流振動篩6および第2下流振動篩7を通過した泥水に含まれる前記第1粒径未満の固形分を、前記第1粒径よりも小さい第2粒径未満の固形分と、前記第2粒径以上の固形分とに分離して、濃縮工程に進む。第2分級工程において、第2粒径以上の固形分は、土砂ピット10に払出される。また第2分級工程において、第2粒径以上の固形分に付着している第2粒径未満の固形分および液状分が、第2粒径以上の固形分から離脱する。このように第2分級工程において第2振動篩によって、泥水に含まれる第2粒径以上の固形分を、残余の固形分から確実に分離することができる。
【0074】
濃縮工程では、濃縮型サイクロン13を用いて、第2分級工程において、第2振動篩11を通過した泥水に含まれる第2粒径未満の固形分のうち、遠心分離によって、前記第2粒径よりも小さい第3粒径以上の固形分を濃縮した泥水をアンダーフローとして排出し、前記第3粒径未満の固形分を含む泥水をオーバーフローとして個別に排出する。濃縮型サイクロン13からオーバーフローとして排出された第3粒径未満の固形分を含む泥水に対する処理は、第1泥水供給工程および遠心分級工程において行われる。また濃縮型サイクロン13からアンダーフローとして排出された第3粒径以上の固形分を含む泥水に対する処理は、第3分級工程において行われる。このように濃縮工程における、濃縮型サイクロン13による濃縮によって、泥水に含まれる第3粒径以上の固形分を、泥水から確実に分離することができる。
【0075】
遠心分級工程では、分級型サイクロン15を用いて、濃縮工程において、濃縮型サイクロン13からオーバーフローとして排出された泥水に含まれる第3粒径未満の固形分を、遠心分離によって、前記第3粒径よりも小さい第4粒径以上の固形分と前記第4粒径未満の固形分とに分離して、第4粒径以上の固形分を含む泥水をアンダーフローとして排出し、前記第4粒径未満の固形分を含む泥水をオーバーフローとして個別に排出する。分級型サイクロン15からオーバーフローとして排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水に対する処理は、第2泥水供給工程および脱水工程において行われる。また分級型サイクロン15からアンダーフローとして排出された第4粒径以上の固形分を含む泥水に対する処理は、第3分級工程において行われる。このように遠心分級において分級型サイクロン15によって、泥水に含まれる第4粒径以上の固形分を、泥水から確実に分離することができる。
【0076】
第3分級工程では、前記第2粒径よりも小さい第5粒径の固形分が通過可能な第3振動篩16を用いて、濃縮工程において、濃縮型サイクロン13からアンダーフローとして排出された泥水に含まれる第3粒径以上の固形分と、遠心分級工程において、分級型サイクロン15からアンダーフローとして排出された第4粒径以上の固形分とを、前記第2粒径よりも小さい第5粒径未満の固形分と、前記第5粒径以上の固形分とに分離して、循環工程に進む。第3分級工程において、第5粒径以上の固形分は、土砂ピット10に払出される。また第3分級工程において、第5粒径以上の固形分に付着している第5粒径未満の固形分および液状分が、第5粒径以上の固形分から離脱する。このように第3分級工程において第3振動篩16によって、泥水に含まれる第5粒径以上の固形分を、残余の固形分から確実に分離することができる。
【0077】
循環工程では、第3分級工程において、第3振動篩16を通過した第5粒径未満の固形分を含む泥水を、前記濃縮型サイクロン13に循環することで、濃縮工程に戻る。このように泥水に含まれる固形分は、濃縮工程、遠心分級工程および第3分級工程における分離および濃縮を繰り返すことによって、確実に分離される。これによって遠心分級工程において、分級型サイクロン15からオーバーフローとして排出される泥水に含まれる固形分を、確実に第4粒径未満の固形物だけにすることができる。本実施の形態においては、このような第4粒径未満の固形分は、たとえば比較的粒径の小さな、具体的には粒径が、たとえば30マイクロメートル以上、40マイクロメートル以下程度のシルトおよび粘土であり、これらの固形分を含む泥水は、地山を掘進するときの切羽を安定させる切羽安定剤として利用することができる。
【0078】
第1泥水供給工程では、濃縮工程において、濃縮型サイクロン13からオーバーフローとして排出された第3粒径未満の固形分を含む泥水を、噴射部5に供給する。これによって前記泥水を処理液として利用することができる。このように泥水を再利用することによって、廃棄する泥水の量を減らして、地山を掘進するときに生じる廃棄物の量を減量するとともに、再利用される泥水を除く処理液の量を減らす、または無くすことができる。
【0079】
第2泥水供給工程では、遠心分級工程において、分級型サイクロン15からオーバーフローとして排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水を、掘進機に供給する。このような第4粒径未満の固形分は、前述のシルトおよび粘土であり、これらの固形分は、地山を掘進するときの切羽を安定させる切羽安定剤として好適である。このように泥水を再利用することによって、廃棄する泥水の量を減らして、地山を掘進するときに生じる廃棄物の量を減量することができるとともに、再利用される泥水を除く切羽安定剤の量を減らす、または無くすことができる。
【0080】
脱水工程では、遠心分級工程において、分級型サイクロン15からオーバーフローとして排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水を、脱水する。これによって地山を掘進するときに生じる廃棄物の水分を除去して、前記廃棄物をさらに減量することができる。
【0081】
以上に述べた排泥土再利用システム1,1Aおよび排泥土再利用方法において示した具体的な数値は、一例であって、分離したい固形分の粒径に応じて、適宜変更してもよい。
【0082】
また排泥土再利用システム1,1Aおよび排泥土再利用方法において、第1上流振動篩6、第1下流振動篩7、第2振動篩11および第3振動篩16は、所定の内径の透孔が複数形成される網部を上下振動させる構成であるとしたけれども、このような振動篩に限定することはない。振動篩の代わりに、たとえば、大略的に筒状であって、内空間を外空間とを連通する所定の内径の透孔が服す形成されるドラム部を有し、前記ドラム部を軸線まわりに回転させるような構成の装置であってもよい。
【0083】
また排泥土再利用システム1,1Aおよび排泥土再利用方法において、二次処理装置3は、調整槽14を含んで構成されるとしたが、調整槽14を含まない構成としてもよい。この場合、濃縮型サイクロン13からオーバーフローとして排出される第3粒径未満の固形分を含む泥水は、噴射部5および分級型サイクロン15に与えられる。
【0084】
また排泥土再利用システム1,1Aおよび排泥土再利用方法において、掘進機に切羽安定剤として供給する、分級型サイクロン15からオーバーフローとして排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水に、マイカ(雲母)を目詰材として混入するようにしてもよい。これによって掘進機による地山の掘進時に、泥水が地山に溢泥して地山が崩落する危険性を可及的に低下させるとともに、第1上流振動篩6、第1下流振動篩7、第2振動篩11および第3振動篩16の各網部の目詰まりを防止することができる。
【0085】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、処理液の噴射と第1振動篩とによって、排泥土に含まれる第1粒径以上の固形分を、残余の固形分から効率的かつ確実に分離することができる。
【0086】
請求項2記載の本発明によれば、泥水に含まれる第2粒径以上の固形分、第3粒径以上の固形分、第4粒径以上の固形分および第5粒径以上の固形分を、泥水から確実かつ効率的に分離して、泥水を、第4粒径未満の固形分だけが含まれるようにできる。
【0087】
請求項3記載の本発明によれば、泥水を再利用することによって、廃棄する泥水の量を減らして、地山を掘進するときに生じる廃棄物の量を減量するとともに、再利用される泥水を除く処理液の量を減らす、または無くすことができる。
【0088】
請求項4記載の本発明によれば、泥水を再利用することによって、廃棄する泥水の量を減らして、地山を掘進するときに生じる廃棄物の量を減量することができるとともに、再利用される泥水を除く切羽安定剤の量を減らす、または無くすことができる。
【0089】
請求項5記載の本発明によれば、地山を掘進するときに生じる廃棄物の水分を除去して、前記廃棄物をさらに減量することができる。
【0090】
請求項6記載の本発明によれば、処理液の噴射と第1振動篩とによって、排泥土に含まれる第1粒径以上の固形分を、残余の固形分から効率的かつ確実に分離することができる。
【0091】
請求項7記載の本発明によれば、泥水に含まれる第2粒径以上の固形分、第3粒径以上の固形分、第4粒径以上の固形分および第5粒径以上の固形分を、泥水から確実かつ効率的に分離して、泥水を、第4粒径未満の固形分だけが含まれるようにできる。
【0092】
請求項8記載の本発明によれば、泥水を再利用することによって、廃棄する泥水の量を減らして、地山を掘進するときに生じる廃棄物の量を減量するとともに、再利用される泥水を除く処理液の量を減らす、または無くすことができる。
【0093】
請求項9記載の本発明によれば、泥水を再利用することによって、廃棄する泥水の量を減らして、地山を掘進するときに生じる廃棄物の量を減量することができるとともに、再利用される泥水を除く切羽安定剤の量を減らす、または無くすことができる。
【0094】
請求項10記載の本発明によれば、地山を掘進するときに生じる廃棄物の水分を除去して、前記廃棄物をさらに減量することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の排泥土再利用システム1の構成および泥水の流れを模式的に示す図である。
【図2】本発明の実施の他の形態の排泥土再利用システム1Aの構成および泥水の流れを模式的に示す図である。
【図3】図1に示す排泥土再利用システム1を用いた排泥土再利用方法の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】1,1A 排泥土再利用システム
2 一次処理装置
3 二次処理装置
5 噴射部
6 第1上流振動篩
7 第1下流振動篩
11 第2振動篩
13 濃縮型サイクロン
15 分級型サイクロン
16 第3振動篩
19 第1供給部
23 第2供給部
30 脱水機
Claims (10)
- 地山を掘進する掘進機からの排泥土に処理液を噴射して、排泥土を、流動性を有する泥水にする噴射手段と、
前記泥水に含まれる予め定める第1粒径未満の固形分が通過可能な第1振動篩とを備える一次処理装置を有することを特徴とする排泥土再利用システム。 - 前記一次処理装置の第1振動篩を通過した泥水に含まれる、前記第1粒径よりも小さい第2粒径未満の固形分が通過可能な第2振動篩と、
第2振動篩を通過した泥水を、遠心分離によって、前記第2粒径よりも小さい第3粒径以上の固形分を濃縮して、前記第3粒径未満の固形分とは別にして排出する濃縮型サイクロンと、
前記濃縮型サイクロンから排出された第3粒径未満の固形分を含む泥水を、遠心分離によって、前記第3粒径よりも小さい第4粒径以上の固形分と前記第4粒径未満の固形分とに分離して、個別に排出する分級型サイクロンと、
前記濃縮型サイクロンから排出された第3粒径以上の固形分を含む泥水と、前記分級型サイクロンから排出された第4粒径以上の固形分を含む泥水とに含まれる、前記第2粒径よりも小さい第5粒径未満の固形分が通過可能な第3振動篩とを備え、
第3振動篩を通過した泥水を、前記濃縮型サイクロンに循環する二次処理装置をさらに有することを特徴とする請求項1記載の排泥土再利用システム。 - 前記濃縮型サイクロンから排出された第3粒径未満の固形分を含む泥水を、噴射手段に供給する第1供給手段をさらに有することを特徴とする請求項2記載の排泥土再利用システム。
- 前記分級型サイクロンから排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水を、掘進機に供給する第2供給手段をさらに有することを特徴とする請求項2または3記載の排泥土再利用システム。
- 前記分級型サイクロンから排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水を、脱水する脱水手段をさらに有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の排泥土再利用システム。
- 噴射手段を用いて地山を掘進する掘進機からの排泥土に処理液を噴射して、排泥土を、流動性を有する泥水にする流動化工程と、
予め定める第1粒径未満の固形分が通過可能な第1振動篩を用いて、前記泥水に含まれる固形分を、予め定める第1粒径未満の固形分と、前記第1粒径以上の固形分とに分離する第1分級工程とを含むことを特徴とする排泥土再利用方法。 - 前記第1分級工程の後に、前記第1粒径よりも小さい第2粒径の固形分が通過可能な第2振動篩を用いて、泥水に含まれる前記第1粒径未満の固形分を、前記第1粒径よりも小さい第2粒径未満の固形分と、前記第2粒径以上の固形分とに分離する第2分級工程と、
濃縮型サイクロンを用いて、泥水に含まれる前記第2粒径未満の固形分のうち、遠心分離によって、前記第2粒径よりも小さい第3粒径以上の固形分を濃縮して、前記第3粒径未満の固形分とは別にして排出する濃縮工程と、
分級型サイクロンを用いて、前記濃縮型サイクロンから排出された泥水に含まれる第3粒径未満の固形分を、遠心分離によって、前記第3粒径よりも小さい第4粒径以上の固形分と前記第4粒径未満の固形分とに分離して、個別に排出する遠心分級工程と、
前記第2粒径よりも小さい第5粒径の固形分が通過可能な第3振動篩を用いて、前記濃縮型サイクロンから排出された泥水に含まれる第3粒径以上の固形分、および前記分級型サイクロンから排出された第4粒径以上の固形分を、前記第2粒径よりも小さい第5粒径未満の固形分と、前記第5粒径以上の固形分とに分離する第3分級工程と、
前記第5粒径未満の固形分を含む泥水を、前記濃縮型サイクロンに循環する循環工程とをさらに含むことを特徴とする請求項6記載の排泥土再利用方法。 - 前記濃縮型サイクロンから排出された第3粒径未満の固形分を含む泥水を、噴射手段に供給する第1泥水供給工程をさらに含むことを特徴とする請求項7記載の排泥土再利用方法。
- 前記分級型サイクロンから排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水を、掘進機に供給する第2泥水供給工程をさらに含むことを特徴とする請求項7または8記載の排泥土再利用方法。
- 前記分級型サイクロンから排出された第4粒径未満の固形分を含む泥水を、脱水する脱水工程をさらに含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の排泥土再利用方法。
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