JP2004162086A - ガス拡散電極の性能回復方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】イオン交換膜食塩電解用等の電解に使用して過電圧が増大する等の性能劣化が生じたガス拡散電極を性能回復させて、再使用することを可能にするガス拡散電極の性能回復方法を提供する。
【解決手段】電解に使用して電極性能の低下したガス拡散電極5を電解槽1を解体して取り出した後、プレス処理し、又は洗浄とプレスの組合せ処理を行うガス拡散電極の性能回復方法。プレス処理により、抵抗増大等の性能劣化の原因となる細孔がプレス処理により塞がれて電解開始時に近い状態に復帰する。このプレス処理に洗浄処理を組合せると、アルカリ分や他の不純物を洗浄除去でき、洗浄とプレスの組合せ効果により、低下前の性能に回復が可能となる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解に使用して性能が劣化したガス拡散電極、特にイオン交換膜食塩電解法の陰極として使用して性能が劣化したガス拡散電極の電極性能回復方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
飽和食塩水を、ガス拡散電極、例えば酸素陰極を使用するイオン交換膜法で電解し、苛性ソーダを製造する方法は公知である。このイオン交換膜食塩電解方法は、概して、陽極を有し塩化ナトリウム水溶液を入れた陽極室と、陰極を有し水又は苛性ソーダ水溶液を入れた陰極室とを、陽イオン交換膜により区画し、両電極間に電流を供給して電解する際に、陰極として素材が多孔質体からなり酸素含有ガスが供給されつつ電解されるガス拡散電極(いわゆる酸素陰極)を用いて電解することにより、陰極室に苛性ソーダを得るものである。
【0003】
陰極にガス拡散電極を用いる電解方法は、陰極での水素ガスの発生が起こらないため、通常の水素発生型の電解方法に比べて、理論分解電圧が約1V低下でき、電力費用を約3割削減することが可能であるという利点を有している。
【0004】
しかして、これらのガス拡散電極を使用するイオン交換膜食塩電解法に関する開発においては、ガス拡散電極の製法や性能向上のみに注意が払われており、食塩電解により電極性能の低下したガス拡散電極の低下した電極性能の回復に関しては、殆ど考慮されていない。
このような観点から、本出願人は苛性ソーダ製造用電解に使用して電極性能の低下したガス拡散電極を洗浄して性能を回復させる方法を提案した(特願2001−342352号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この方法自体、劣化したガス拡散電極の性能回復用として有用であるが、更に効率良くガス拡散電極の性能回復が達成できることが望ましいのは当然である。従って、本発明は、電極性能の低下したガス拡散電極の劣化原因を明らかにしてその原因を除去して電極性能の低下を回復する方法、特に洗浄処理による性能回復方法と組合わせるとより有効となり得る電極性能の低下回復方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
食塩電解用等のガス拡散電極の劣化は、電極内部への濡れの進行(電解液である苛性ソーダ液等の浸入)が主原因であることは劣化電極の分析より既に明らかとなっている。
【0007】
この分析結果を基にして、濡れの原因である苛性ソーダ等をガス拡散電極から水溶液による洗浄により除去し電極性能を高性能時に回復させることが可能となっている。
【0008】
劣化電極の断面観察および細孔分布分析をおこなった結果、劣化電極は未使用電極に比べて電極内部のガス供給層において細孔が多く存在していることが認められた。また、劣化電極を水溶液により洗浄処理した電極は、劣化電極に比べて電極内部に存在する細孔が多く存在していることが認められた。これらの細孔の存在は電解液である苛性ソーダ等の電極内部への浸入(濡れの進行)により細孔容積が増大した結果であると推測される。
【0009】
更に、電極に多く存在する細孔により電極抵抗が増大することも劣化の原因に成り得ると想定し、前記細孔を塞ぎ又は潰すことにより電極性能を高性能時に回復させるべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、第1に電解に使用して電極性能の低下したガス拡散電極をプレス処理するガス拡散電極の性能回復方法であり、第2に電極性能の低下したガス拡散電極に対して洗浄処理とプレス処理を組合わせて行うガス拡散電極の性能回復方法である。
【0011】
本発明方法による性能回復の対象となるガス拡散電極は、主として2室型電解槽を使用する苛性ソーダ製造用の陰極として使用された電極とするが、これに限定されず、例えば有機物電解、オゾン電解及び3室型芒硝電解等に使用して性能が劣化したガス拡散陽極やガス拡散陰極が含まれる。
又このガス拡散電極は、触媒、親水性カーボン、疎水性カーボン及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる反応層と疎水性カーボン及びPTFEからなるガス供給層を有する2層型構造であることが望ましく、この2層構造のガス拡散電極は、ガス供給層に集電体である銀製の網を充填し、更に反応層をガス供給層表面に塗布した後、ホットプレスして作製される。
【0012】
前記ガス供給層は、疎水性カーボンブラックとPTFEディスパージョンを分散、混合、ろ過後、シート化により作製される。又前記反応層は、銀微粒子、PTFEディスパージョン、親水性カーボンブラック、疎水性カーボンブラックを分散、混合、ろ過して作製される。
また、反応層及び/又はガス供給層の表面に触媒層を形成させたガス拡散電極を使用することも出来、この触媒層は、触媒微粒子を、0.005〜100μm程度のPTFE粉末及びナフサ等の溶剤と混合したペースト状物を表面に塗布し固着する方法、触媒金属の塩溶液を表面に塗布焼成する方法、又は、電気メッキする若しくは還元剤を用いて無電解メッキする等の方法により作製できる。
【0013】
本発明は、この反応層とガス供給層とを有する2層構造のガス拡散電極に好ましく適用できるが、これ以外のガス拡散電極、例えば、集電体上に触媒微粒子、PTFEディスパーション、カーボンブラックの分散体を形成して触媒を含む単一層から成るガス拡散電極にも使用できる。また、集電体上に触媒微粒子を含まず、PTFEディスパーション、カーボンブラックの分散体から形成される単一層から成るガス拡散電極表面に、前述と同様に触媒層を形成させたガス拡散電極を使用することも出来る。
【0014】
触媒としては白金、銅、銀、コバルト、及び鉛等の金属又はそれらの酸化物が好ましい。集電体として、耐食性を有するチタン、ニオブ、タンタル、ステンレス、ニッケル、ジルコニウム、カーボン及び銀等の金属や合金製の金網、該金属や合金の粉末から成る焼成体、金属又は合金の繊維焼成体及び発泡体等を用いることも出来る。
【0015】
これらのガス拡散電極は、通常食塩電解槽、特にイオン交換膜法食塩電解槽の陰極として使用される。イオン交換膜としてはフッ素樹脂系の耐食性膜の使用が好ましい。
【0016】
陽極として、DSE(登録商標、ペルメレック電極(株)製)と称されるチタン基体にRuO/TiOを主体とする貴金属酸化物を担持した多孔性電極の使用が好ましい。この陽極は、前記イオン交換膜と密着状態で使用することが好ましい。
【0017】
前記ガス拡散電極を、例えば食塩電解による苛性ソーダ製造用イオン交換膜電解槽に陰極として組み入れ、陰極室の苛性ソーダの濃度が例えば25〜40%になるように通電すると、単一層構造のガス拡散電極層、又2層構造のガス拡散電極の場合は特にガス供給層の濡れが進行し、ガス供給層中の酸素ガス拡散が阻害され、ガス拡散電極の過電圧が上昇し、電極性能は低下する。
【0018】
電解を継続すると、このようにガス拡散電極が徐々に劣化するが、通常、過電圧が初期値より0.20V以上上昇した際にガス拡散電極の電極性能が低下したと認定する。電極性能を示す電極の過電圧はカレントインターラプター法等により測定できる。
電極性能が低下したとき、イオン交換膜食塩用等の電解槽を解体し、電極性能の低下したガス拡散電極を電解槽から取り外し本発明に従って電極性能回復処理を施すことができる。
【0019】
本発明による電極性能回復方法では、電極性能の低下したガス拡散電極をプレス機等に設置し、一定条件にて一定時間プレスする。
つまり抵抗値の上昇等により電極性能が低下したと判断した場合、前記イオン交換膜食塩電解槽を解体し、電極性能の低下したガス拡散電極を電解槽から取り外しプレス処理を施す。或いは洗浄処理後にプレス処理を行い、又はプレス処理後に洗浄処理を施して、性能回復を図っても良い。
プレス処理を行うと、電解によりその内部に細孔が生成したガス拡散電極の前記細孔が塞がれ又は潰されて、密度が電解開始時の値に近づき更に抵抗値も下がって電解開始時の値に近づく。従ってプレス処理によりガス拡散電極が電解開始時の状態に近い状態に復元されて電極性能が回復すると推測できる。
【0020】
電極性能回復処理のためのプレスの条件や使用するプレス機は特に限定されないが、前記プレス機は加熱機能を有していることが好ましい。プレス条件として、圧力は、通常0.1MPa〜60MPaの範囲、特に1MPa〜10MPaの範囲が好ましい。温度は、通常10℃〜500℃の範囲、特に200℃〜400℃の範囲が好ましい。プレス処理の時間は、通常1秒〜1時間の範囲で設定され、特に1分〜30分が好ましい。
【0021】
又本発明者らは、食塩電解後のガス拡散電極に存在する苛性ソーダの電極内部への進行度合い(濡れの進行)を電極断面のナトリウム分布分析により調べた結果、電極性能に変化の無い電極に比べて、電極性能の低下した電極ではナトリウムが反応層より内部のガス供給層にもかなり浸入していることが判った。この結果から、ガス供給層中の濡れが電極内部へ広がる程、苛性ソーダ液により占められる範囲が広がり、ガス供給層中の酸素ガス拡散が阻害され電極の性能が低下するため、これらのガス拡散を阻害する要素を洗浄により除去することが有効であることを見出した。
【0022】
そして本発明方法では、前述した通り、プレス処理単独の他に、プレスと洗浄を組み合わせた処理を行うことにより、更に回復率の高いガス拡散電極の性能回復方法を提供できる。
つまり電極性能の低下したガス拡散電極、特に2層構造のガス拡散電極は、プレス処理の前に洗浄処理することにより電極性能はほぼ劣化前の性能に回復できる。この洗浄処理はその両面から水及び/又は酸で洗浄処理することが好ましく、ガス供給層のみからの洗浄の効果はさほど高くない。その理由は、ガス供給層は撥水性が高い構造となっており、電極内部への水溶液の進行を阻害するためであると推測できる。
【0023】
酸を使用するのは、洗浄能力が高いことと、陰極室で生成することの多い苛性ソーダ等のアルカリが浸透して電極性能が低下したガス拡散電極を酸で処理してpHが7〜0になるまで洗浄し、苛性ソーダ等を効率的に除去するためである。使用可能な酸は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸及び酢酸等であるが特に限定されない。濃度は、0.01〜10Mol/Lの範囲で使用されるが、特に0.1〜10Mol/Lが好ましい。温度は、10℃〜100℃で行われるが、好ましくは20℃〜80℃の範囲である。具体的な洗浄手段としては、水や酸水溶液中へのガス拡散電極の浸漬があり、この浸漬は攪拌を伴っても伴わなくても良い。この浸漬以外に水や酸水溶液の噴霧等がある。
【0024】
上記浸漬による電極性能回復方法の一例として、ガラス製ビーカーに電極性能の低下したガス拡散電極を入れ、更にそのガス拡散電極がビーカー底部に沈むまで蒸留水を入れた後、水を攪拌して、2週間〜3週間程度の時間を掛けて電極内部に存在する苛性ソーダに起因するアルカリ分を洗浄除去する方法がある。上記の電極性能回復方法における洗浄除去時間は、酸を添加しながら電極洗浄する方法により短縮できる。酸による電極洗浄は、蒸留水を攪拌しながら、酸を滴下し、中和反応指示薬であるフェノールフタレインが紫色から無色に変色するまでアルカリ分を中和除去する方法である。この酸洗浄により1週間程度洗浄除去時間を短縮できる。
【0025】
また、洗浄除去時間を短縮できる方法として、蒸留水を温水として使用する方法がある。温水と酸による電極洗浄により必要な洗浄除去時間は1日以内となり、電極性能回復方法として最も好適である。乾燥処理は、洗浄処理後のガス拡散電極を120〜200℃、12〜24時間で行うことが好ましい。
【0026】
プレス処理と洗浄処理を併用する場合、洗浄を先に行って細孔内の苛性ソーダ等を除去した後、プレス処理を行って細孔を塞ぐことが望ましいが、プレス処理を行った後に洗浄処理を行っても良い。特に洗浄処理後にプレス処理を行うと、劣化電極の性能はほぼ100%回復され得る。
【0027】
上記の電極性能回復処理をおこなったガス拡散電極について再度イオン交換膜食塩電解槽等を用いて電解をおこない、電極の性能の回復を確認することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に一般的なガス拡散電極を用いるイオン交換膜食塩電解用電解槽の概略を図1に基づいて説明する。
この電解槽1はイオン交換膜2により多孔板状の陽極3を有する陽極室4と陰極室6に区画され、ガス拡散電極5を陰極として使用し、このガス拡散電極5によりイオン交換膜側の溶液室6と反対側のガス室7とに区画された3室型電解槽である。前記ガス拡散電極5は、溶液室6側の反応層5Aと、ガス室7側のガス供給層5Bを貼り合わせた2層構造になっている。
【0029】
ガス拡散電極5にはそのガス供給層5Bの背面に密着した多孔性給電体8により給電され、かつ背面側に設置された酸素ガス供給管9から酸素ガスが供給される。供給された酸素ガスは該電極5のガス供給層5Bを透過し、水及び陽極室4からイオン交換膜2を通って移行してくるナトリウムイオンと反応層5A内に存在する電極触媒上で反応して苛性ソーダを生成する。
【0030】
図1の例では、ガス拡散電極5をイオン交換膜2から離して設置したが、このガス拡散電極5はイオン交換膜2に密着させて2室型電解槽とし、電解液に起因する抵抗損を最小限に抑えるように設置しても良い。
このような電解槽1を使用して長期間食塩電解を行うと、過電圧が上昇して電極性能が劣化する。この状態に達した場合には、電解槽1を解体してガス拡散電極5を取り出し、プレス処理単独、又は洗浄とプレス処理を組み合わせて行うことによりガス拡散電極5の性能が回復する。性能回復したこのガス拡散電極を再度電解槽1に装着して通電を再開すると、過電圧が低下した効率の良い状態での電解を継続できる。
【0031】
[実施例]
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【0032】
(実施例1)
陰極用のガス拡散電極は次のようにして作製した。
つまりPTFEディスパージョン(ダイキン工業製D−1)と疎水性カーボンブラック(電気化学工業製AB−6、平均粒径50nm)を重量比で4:6の割合で混合したものを、界面活性剤(トライトンX−100)20重量%を含有する水溶液100重量部中に分散、混合し、ろ過してガス供給層用泥奬を得た。この泥奬をロール掛けして厚さ1mmのガス供給層シートを作成し、シート内にシートの大きさよりも大きな銀製の網を埋め込んで集電体付きガス供給層とした。
【0033】
銀微粒子(田中貴金属工業製、平均粒径1μm)とPTFEディスパージョン(ダイキン工業製D−1)、親水性カーボンブラック(電気化学工業製AB−11、平均粒径40nm)、疎水性カーボンブラック(電気化学工業製AB−6、平均粒径50nm)を重量比で20:1:1:1の割合で混合したものを、界面活性剤(トライトンX−100)20重量%を含有する水溶液100重量部中に分散、混合し、ろ過して反応層用泥奬を得た。この泥奬をガス供給層表面に100μmの厚さで塗布してガス供給層と反応層の2層構造を得た。
次いで、エタノールで、界面活性剤を抽出した後に、380℃、4.9MPa、60秒間の条件でホットプレスすることによりガス拡散陰極を作製した。
【0034】
陽極として、ペルメレック電極製DSE(登録商標)を使用し、イオン交換膜として、旭化成製のAF−4202を使用した。
上述したガス拡散陰極、陽極及びイオン交換膜を使用して図1に示すような電解面積33cmである食塩電解槽を構成した。
【0035】
食塩電解は、電流密度0.3A/cm、陽極室、陰極室(溶液室)並びにガス室温度88℃、苛性ソーダ濃度32wt%、酸素ガス流量52.5Ncc/min(酸素濃度93%)の条件にて、約1年間おこなった。
【0036】
カレントインターラプター法により電極性能を示す電極過電圧を測定した結果、食塩電解実験初期のガス拡散陰極の過電圧は0.5Vであり、約100日後に0.45Vに下がったのに対し約1年後には0.62Vと上昇し、また、抵抗は0.58Vから0.75Vに上昇したため電極性能の低下と判断し電解を終了した。
次いで、イオン交換膜食塩電解用電解槽を解体し、電極性能の低下したガス拡散陰極を取り外した。
【0037】
電極性能回復方法として、電極性能の低下したガス拡散陰極をプレス機(RIKEN SEIKI CO.LTD製 RIKEN P−1B)に設置し、プレス圧力5MPa、温度加熱なしの20℃、プレス時間10分のプレス条件で劣化陰極をプレスした。
【0038】
上記の電極性能回復処理をおこなったガス拡散陰極を、イオン交換膜食塩電解用電解槽を用いて再度食塩電解をおこなった結果、過電圧は0.50Vまで低下し、抵抗も0.60Vまで低下した。プレス処理により電極性能(過電圧及び抵抗)はほぼ80%回復した。その後電解を約100日継続したが、ガス拡散陰極は安定した性能を維持した。この1年余りの電解操作における運転日数と過電圧及び抵抗損との関係を図2のグラフに示した。
【0039】
(実施例2)
実施例1と同様の電極、イオン交換膜食塩電解用電解槽を用いて、電流密度0.3A/cm、陽極室、陰極室並びにガス室温度88℃、苛性ソーダ濃度32wt%、酸素濃度15%(酸素ガス流量52.5Ncc/min及び窒素ガス流量210Ncc/min)の加速条件にて、食塩電解を約20日間おこなった。
【0040】
カレントインターラプター法により電極性能を示す電極過電圧を測定した結果、食塩電解実験初期のガス拡散陰極の過電圧は0.52Vであり、80日後に0.44Vに下がったのに対し約20日後には0.94Vと上昇し、また、抵抗は0.60Vから0.68Vに上昇したため電極性能の低下と判断し電解を終了した。
次いで、イオン交換膜食塩電解用電解槽を解体し、電極性能の低下したガス拡散陰極を取り外した。
【0041】
電極性能の低下した陰極の洗浄処理を次のように行った。つまり、ガラス製ビーカーに電極性能の低下したガス拡散陰極を入れ、更にそのガス拡散陰極がビーカー底部に沈むまで蒸留水を入れた後、ビーカーを加熱することによりビーカー内温度を70℃の温水として保持しながら、常温且つ0.1mol/Lの塩酸を24時間かけてビーカー内に1cc滴下し、温水中の電極内部に存在する苛性ソーダに起因するアルカリ分を中和除去した。この酸洗浄は、中和反応指示薬であるフェノールフタレインが紫色から無色に変色するまでおこなった。
【0042】
更に、塩酸洗浄後のガス拡散陰極を120℃、24時間の乾燥処理をおこない電極内部の水分を除去した。
上記の酸洗浄処理をおこなったガス拡散陰極を、プレス機(RIKEN SEIKI CO.LTD製 RIKEN P−1B)に設置し、プレス圧力5MPa、温度280℃、プレス時間5分のプレス条件でプレス処理した。
【0043】
上記の電極性能回復処理をおこなったガス拡散陰極を、イオン交換膜食塩電解用電解槽を用いて再度、電流密度0.3A/cm、陽極室、陰極室並びにガス室温度88℃、苛性ソーダ濃度32wt%、酸素ガス流量52.5Ncc/min(酸素濃度93%)の条件にて食塩電解をおこなった結果、過電圧は0.46Vまで低下し、抵抗も0.60Vまで低下した。酸洗浄及びプレス処理により電極性能(過電圧及び抵抗損)は100%回復した。その後電解を約20日継続したが、ガス拡散陰極は安定した性能を維持した。この約40日間の電解操作における運転日数と過電圧及び抵抗損との関係を図3のグラフに示した。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、電解に使用して電極性能の低下したガス拡散電極をプレス処理し、又は洗浄とプレスの組合わせ処理を行うガス拡散電極の性能回復方法である。
本発明方法によると、電解により苛性ソーダ等が電極内部に浸入することにより形成され、抵抗増大等の性能劣化の原因となる細孔がプレス処理により塞がれあるいは潰されて電解開始時に近い状態に復帰する。
更にこのプレス処理の前後いずれかで、特にプレス処理の前に水や酸を使用してガス拡散電極の洗浄を行うと、苛性ソーダ等に起因するアルカリ分や他の不純物を洗浄除去でき、洗浄とプレスの組合せ効果により、低下前の性能、つまり運転開始当初の過電圧に対しほぼ100%に近い電極性能回復が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用できるイオン交換膜食塩電解槽を説明する概略図である。
【図2】本発明の実施例1の電極性能の推移を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例2の電極性能の推移を示すグラフである。
【符号の説明】
1……電解槽、2……イオン交換膜、3……陽極、4……陽極室、5……酸素ガス陰極、5A……反応層、5B……ガス供給層、6……陰極室、7……ガス室、8……多孔体給電体、9……酸素ガス供給管。

Claims (9)

  1. 電解に使用して電極性能の低下したガス拡散電極をプレス処理することを特徴とするガス拡散電極の性能回復方法。
  2. 電解に使用して電極性能の低下したガス拡散電極を洗浄した後、プレス処理することを特徴とするガス拡散電極の性能回復方法。
  3. 電解に使用して電極性能の低下したガス拡散電極をプレス処理した後、洗浄することを特徴とするガス拡散電極の性能回復方法。
  4. 電解反応が食塩電解による苛性ソーダ生成反応であり、洗浄によりガス拡散電極内部の苛性ソーダに起因するアルカリ分を除去する請求項2又は3に記載の性能回復方法。
  5. ガス拡散電極が反応層及びガス供給層からなる2層構造を有する電極である請求項1〜4のいずれかに記載の性能回復方法。
  6. プレス処理として加熱プレスを使用する請求項1〜5のいずれかに記載の性能回復方法。
  7. 洗浄を、水及び/又は酸を使用してガス拡散電極の両面から行うようにした請求項2〜5のいずれかに記載の性能回復方法。
  8. 電極性能の低下したガス拡散電極及び水を入れた容器に酸を添加してpHが7〜0になるまで洗浄して性能回復を行うようにした請求項2〜4及び7のいずれかに記載の性能回復方法。
  9. 電極性能の低下したガス拡散電極を洗浄処理した後、乾燥処理を施すようにした請求項2〜4、7及び8のいずれかに記載の性能回復方法。
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