JP2004161852A - 筆記具用光輝性インキ組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ペン先の形態を選ばす、更に筆跡があたかも鏡面のように光輝性に優れた金属光沢を呈する特に毛細管現象を利用する筆記具用に好適なインキ組成物を提供すること。
【解決手段】必須成分として金又は銀のコロイド粒子と高分子顔料分散剤を含有し筆跡が鏡面の金属光沢を呈することを特徴とする筆記具用光輝性インキ組成物である。特に上記インキ組成物中の高分子量顔料分散剤の配合量がインキ全量に対して1〜9wt%であること、また固着性付与樹脂がインキ全量に対して5wt%未満配合されていること、さらに上記インキ組成物の溶剤がエタノールであること、さらにまた上記インキ組成物の粘度(25℃)が1〜30mPa・sで毛細管現象を利用する筆記具用に使用されること等が好ましい実施態様である。
【選択図】 なし
【解決手段】必須成分として金又は銀のコロイド粒子と高分子顔料分散剤を含有し筆跡が鏡面の金属光沢を呈することを特徴とする筆記具用光輝性インキ組成物である。特に上記インキ組成物中の高分子量顔料分散剤の配合量がインキ全量に対して1〜9wt%であること、また固着性付与樹脂がインキ全量に対して5wt%未満配合されていること、さらに上記インキ組成物の溶剤がエタノールであること、さらにまた上記インキ組成物の粘度(25℃)が1〜30mPa・sで毛細管現象を利用する筆記具用に使用されること等が好ましい実施態様である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆記具用光輝性インキ組成物に関し、特に筆跡が鏡面の金属光沢を呈する筆記具用光輝性インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、筆跡が光輝性を有するインキとして、各種メタリック調インキ組成物が知られている。例えば、脂肪酸又は脂肪酸塩で表面処理した40メッシュ篩通過の15μ以下の粒子の累積分布が80%以上である微細金属粉と着色材を含有させたマーキングペン用金属光沢インキ(例えば、特許文献1参照)や、金属粉顔料と油溶性染料及び溶剤と樹脂からなる二重発色インキ組成物(例えば、特許文献2参照)が提案されている。これら油性インキ組成物に使用される金属粉については、塗膜形成時に光輝性顔料の配列に光輝性顔料の膜圧に起因する凹凸があり、平行配列で積層しにくいことから、塗膜表面に入射した光は、粒子面で乱反射して拡散するので、ギラギラした光輝感や金属光沢感はある程度得られるものの、鏡面のような優れた金属光沢は得ることができない。
【0003】
また、パール顔料を用いた水性インキ組成物(例えば、特許文献3参照)や、アルミニウム粉末(平均粒子径5〜30μm)を用いた水性インキ組成物(例えば、特許文献4参照)、また金属酸化物をコーティングした平均粒子径5μm以下のガラスフレークを用いた筆記具用インキ組成物(例えば、特許文献5参照)も提案されている。このように、メタリック調インキとしてはインキ組成物にアルミニウム粉、銅粉、銅合金粉、亜鉛粉などの金属粉顔料や酸化チタンを雲母にコーティングしたパール顔料、金属酸化物をコーティングしたガラスフレークを配合し、銀色の筆跡が得られるようにしたインキがあり更には染料または顔料で着色することによりカラーのメタリック調インキが得られることは公知である。なお、インキ組成物でないが、貴金属又は銅のコロイド溶液を用いた塗料組成物(例えば、特許文献6参照)も提案されているが、ここでは塗膜自体には鏡面のような金属光沢は発現せず、金属コロイドの発色、即ち金の場合は赤色、銀の場合は黄色を呈することが実施例で明らかにされている。
【0004】
【特許文献1】
特公平1−56109号公報
【特許文献2】
特公昭62−37678号公報
【特許文献3】
特開平7−1185923号公報
【特許文献4】
特開平8−151547号公報
【特許文献5】
特開2000−72995号公報
【特許文献6】
特開平11−80647号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記したメタリック調インキでは、粒子の厚みが、約0.1〜0.4μm程度であるがために、塗膜での表面の平滑性が劣り、筆跡に含まれる粒子や粒子が重なりあった塗膜表面に入射した光は、乱反射して拡散するので、ギラギラした光輝感は得られるものの、鏡面のような優れた光輝性の金属光沢を得ることが出来なかった。このため、金属粉顔料やパール顔料、金属酸化物コーティングガラスフレークの粒子径を大きくして、光輝性をあげることが行われるが、大粒径が故に、筆記具でのペン先の目詰まりなどの不具合やアルミニウム粉や金属酸化物コーティングガラスフレークのペン先からの流出が阻害されて、描線内にまばらにしか存在できないために、下地を十分隠蔽できないばかりか、かえって光輝性を落としてしまう不具合を生ずる。
【0006】
更に大粒径の粒子を含有しているために、使用されるペンの構造は、ペン先押し圧式でバルブを開放し、ペン先に流出させる液式のペンの円筒軸筒内にインクと攪拌用ボールを内蔵した形態に限定され、インキ流出の際にはペンを振って内蔵インキを攪拌した後、ペン先を押してバルブを開放しペン先に流出させるという、甚だ面倒なペン構造でしか使用できなかった。
かかる現状から本発明の課題は、ペン先の形態を選ばす、更に筆跡があたかも鏡面のように光輝性に優れた金属光沢を呈する特に毛細管現象を利用する筆記具用に好適なインキ組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を解決するために、種々検討の結果、高分子顔料分散剤で安定化された金又は銀のコロイド粒子を着色剤とすることが有効であることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は、必須成分として金又は銀のコロイド粒子と高分子顔料分散剤を含有し筆跡が鏡面の金属光沢を呈することを特徴とする筆記具用光輝性インキ組成物を要旨とする。
【0008】
上記本発明において、コロイド粒子を形成する金又は銀の含有率がインキ全量に対して15〜60wt%、コロイド平均粒子径が5〜50nmであることが望ましい。
また上記本発明において、高分子顔料分散剤の配合量がインキ全量に対して1〜9wt%であることが望ましい。
【0009】
さらに上記本発明において、固着性付与樹脂がインキ全量に対して5wt%未満配合されていることが望ましい。
さらにまた、上記本発明において、インキ組成物の溶剤がエタノールであることが望ましい。
さらにまた、上記本発明において、インキ組成物の粘度(25℃)が1〜30mPa・sで毛細管現象を利用する筆記具用に使用されることが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明に使用される金、又は銀のコロイド粒子は、金、又は銀の化合物の水溶液をイオンソースとして用い、水系の場合は、水溶性高分子顔料分散剤を溶解させた後、還元する事で得られ、溶剤系の場合は、油溶性高分子顔料分散剤を水混和性有機溶剤に溶解し、イオンソース水溶液と混合後還元し、その後水を除去し、エタノール、プロピレングリコール・モノメチルエーテル中に再分散することで得られる。金、銀の化合物としては、金、銀を含むものであれば特に限定されず、例えば塩化金酸、硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀などが挙げることができる。
【0011】
本発明に用いられる金又は銀への還元方法としては、従来からの公知方法(例えば、前記した特許文献6参照)が採用できるが、特に限定されず、金、銀の化合物を添加して化学的に還元する方法、例えば、水素化ホウ素ナトリウムのアルカリ金属水素化ホウ素塩、ヒドラジン化合物、クエン酸又はその塩、コハク酸又はその塩、ホルムアルデヒド、ブドウ糖、チオ硫酸ナトリウム5水和物、酒石酸カリウムナトリウム(ロッシェル塩)、塩化スズ(II)などを添加して還元する方法が挙げられ、また、高圧水銀灯を用いて光照射する方法も挙げることができる。
【0012】
また、アミンは通常は還元剤として使用されないものであるが、金、銀の化合物の溶液にアミンを添加して攪拌、混合することによって、金イオンや銀イオン等が常温付近で金、銀に還元することができる。アミンとしては、例えば、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノール、ブタノールアミン、ヘキサノールアミン、ジメチルアミノプロパノール等のアルカノールアミンも挙げることができる。
【0013】
本発明のインキ組成物で、コロイド粒子を形成する金又は銀の金属含有率は、インキ全量に対して15〜60wt%、好ましくは、20〜50wt%であることが望ましい。金属含有率が15wt%より少ないと、単なる金属コロイド粒子の発色、すなわち金の場合は赤色、銀の場合は黄色を呈し筆跡が鏡面の金属光沢を発現せず、本発明の要旨と異なる。金属含有率が60wt%より多くなると金属光沢の発現はされるが、固形分の上昇によりインキ粘度が高くなると同時に、貴金属分の量が多くなりインクの値段が上昇し、筆記具に充填し、低単価で販売するのに不利となる。ここでインキ組成物の粘度(25℃)としては、毛細管現象を利用してインキを流出させる筆記具の場合には1〜30mPa・s、好ましくは3〜20mPa・sである。
【0014】
またコロイド粒子の平均粒子径は5〜50nm、好ましくは7〜20nmであることが望ましい。この理由は、平均粒子径が5nmより小さいと、分散樹脂の含有量が多くなり、近接する金属コロイド粒子の距離が離れて、光の透過性を持つようになり金属光沢を呈しなくなる。また、50nmより大きくなると、整列した金属コロイドの粒子表面の凹凸により、鏡面の様な金属光沢を呈しなくなるため、本発明の要旨から外れる。
【0015】
金属コロイド粒子の安定性を図るために、高分子顔料分散剤が含有される。かかる高分子顔料分散剤としては、高分子重合体に金属コロイド表面に対する親和性の高い官能基が導入されている両親媒性の共重合体である。このものは、塗料用等の樹脂組成物に対して、十分な相溶性を有することから、有機顔料,無機顔料の分散剤として好適であり、通常は、顔料ペーストの製造時に顔料分散剤として使用されているモノである。上記高分子顔料分散剤としては、市販されているものを使用することもできる。
【0016】
かかる市販品のうち好ましいものとしては、例えば、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000(ゼネカ社製):ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック184、デイスパービック190(ビックケミー社製);EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49(EFKAケミカル社製);ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453(EFKAケミカル社製);
【0017】
アジスパーPB711、アジスパーPA111、アジスパーPB811、アジスパーPW911(味の素社製);フローレンDOPA−158、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンTG−730W、フローレンG−700、フローレンTG−720W(共栄社化学社製)等を挙げることができる。
本発明のインキ組成物への高分子顔料分散剤の配合量は、インキ全量に対して1〜9wt%の範囲で用いられる。高分子顔料分散剤の配合量が1wt%より少ないと、金属コロイドの安定性が不安定になり、9wt%より大きくなると、金属分に対する分散樹脂の含有量が多くなり、筆記線にした場合に描線上の近接する金属コロイドの距離が離れて、金属光沢を呈しなくなる。
【0018】
本発明に用いられる金又は銀のコロイド粒子の分散溶液には、高分子分散剤の含有量が1〜9wt%の範囲と少ないため、高分子分散剤のみのコロイド溶液単独では、インキ筆跡の固着性を発現できず、擦過に対して定着性がなく、容易に消去してしまうため、固着性付与樹脂の添加は必須となる。本発明に使用される固着性付与樹脂は、インキ全量に対して5wt%未満(固着性を必要としない場合は、添加を省略しても良い)、好ましくは2〜4wt%で用いられる。5wt%以上の添加は、上述の様に、金属分に対する樹脂の含有量が多くなり、筆記線にした場合に描線上の近接する金属コロイドの距離が離れて、金属光沢を呈しなくなる。
【0019】
用いられる固着性付与樹脂は、溶剤に溶解するものであれば特に限定されない。
例えばエタノールやプロピレングリコール・モノメチルエーテルを溶剤とした場合、これら溶剤に溶解する固着性付与樹脂の市販品としては、ラロパールA−101、ラロパールA−81、ラロパールK−80、スプラパルAP−30、フタルパルPP、ルトナールM40、ルトナールA25、ルトナールA50(BASF製)、ヒタノール1501、ヒタノール2501、ハイラック110H、デスポール1154(日立化成製)、タマノル531、タマノル510、タマノル521、ケトンレジンK−90、ロジンKR、マルキード31、マルキード34、アラスター70(荒川化学工業(株)製)、ベッカサイトP720(大日本インキ化学(株)製)、SMA1000A、SMA1440A、SMA17352A、SMA2625(アコーケミカル(株)製)、SME−1、SME−8000、SME−50000(積水化学工業(株)製)、
【0020】
PVB2000−L、PVB3000−L、PVB3000−K、PVB4000−1、PVB6000−L((株)デシ力製)、LZ−342、LZ−346、LZ−347(藤倉化成工業(株)製)等が挙げられる。
水を溶媒とした場合、水溶性の固着性付与樹脂の市販品としては、ルビコールVA28E、ルビコールVA−55E、ルビコールVA−78E、ルビコールK−30、ルビコールK−90(BASF製)が挙げられる。
【0021】
本発明のインキ組成物は、溶剤としてエタノール、プロピレングリコール・モノメチルエーテル、又は水を用いる。この溶剤を使用する目的は、インキ溶剤の人体への安全性を確保するためである。特にエタノールは、その乾燥速度の速さから、筆記時の描線色がコロイドの分散体の色から、金属光沢暮色への変化の速さむを実感できるため、商品の特徴付けに有利である。
本発明で、インキ筆跡が鏡面の金属光沢を呈するとは、筆跡面が平滑性に優れ、表面に入射した光が乱反射で拡散することがなく、金コロイドの場合は金色、銀コロイドの場合は銀色の光輝感が得られるものをいう。鏡面の金属光沢を呈しない場合には、入射した光が乱反射で拡散して単なる赤色や黄色又は暗緑色を呈するものしか得られない点で目視により区別可能である。
【0022】
本発明のインキにおいて、鏡面の光沢が得られる理由は、筆記した後に溶剤が蒸発し、金、銀のコロイド粒子がそのまま単体金属として析出し、且つ、その析出する際の金属の粒子の平均粒子径は5〜50nmであるため描線上に平滑に配列し、その時、高分子分散剤の量、固着性付与樹脂を限定することで、配列する粒子の距離を離れすぎないようにすることによって、鏡面状の金属光沢が得られると考えられる。
そのため、筆記面は、ガラスやプラスチックなどの平滑な面であることが望ましい。特に銀の場合は、金属の中で最も反射率の高い金属であるため、甚だ良好な鏡面光沢を得ることができる。
【0023】
以上のように、鏡面の光沢を得るためには、金、銀の配合量と高分子顔料分散剤及び固着性付与樹脂の配合量が重要となる。高分子顔料分散剤、固着性付与樹脂が多くなりすぎると、塗膜が乾燥した場合に金、銀粒子の間に樹脂が介在し、金、銀の連続膜が得られなくなり、鏡面光沢を呈しなくなるばかりか、銀もコロイドの状態で、高分子顔料分散剤中、固着性付与樹脂に封入されるため、金属単体で析出せず、金属色調も得られなくなる。前記した如くコロイド粒子としての金、銀の配合量は多いほど金属鏡面光沢を得やすくなるが、15wt%未満では、金属光沢を得られなくなる。毛細管現象を利用してインキを流出させる筆記具に好適なインキ粘度(25℃)が1〜30mPa・sの範囲を得られるための金、銀の配合量は、15〜60wt%、好ましくは20〜50wt%である。
【0024】
本発明に使用される、金、銀コロイド溶液は、溶剤を蒸発させても、再度溶剤を加えれば、容易に再分散し、所望の濃度に調整できるものであるので、金、銀の配合量と高分子顔料分散剤、固着性付与樹脂の配合量は目的に応じて調整することが好ましい。これらの他に乾燥調整剤として、中沸点溶剤、高沸点溶剤、ペン先のドライアップ防止剤、筆記面への濡れ性を良くするための界面活性剤などの添加も任意であるが、ペン性能と本来の目的である描線等の筆跡が金属鏡面光沢性の両立するような配合にすることは言うまでもない。
【0025】
【実施例】
以下実施例に基づき、更に詳細に説明する。
【0026】
実施例1
・金コロイドエタノール溶液 50重量部
(金属含有量:40wt%、高分子分散剤含有量6wt%、平均粒子径15nm)
・ケトン樹脂(ハイラック 110H、日立化成工業製) 1重量部
・エタノール 49重量部
を撹拌混合し、金属含有量29wt%、高分子分散剤含有量3wt%、固着樹脂含有量1wt%の油性サインペン用金色インキ組成物を得た。
【0027】
実施例2
・金コロイドエタノール溶液 75重量部
(金属含有量:40wt%、高分子分散剤含有量6wt%、平均粒子径15nm)
・アルキルフェノール樹脂(ヒタノール 1501、日立化成工業製) 2重量部
・エタノール 23重量部
を撹拌混合し金属含有量30wt%、高分子分散剤含有量4.5wt%、固着樹脂含有量2wt%の油性サインペン用金色インキを得た。
【0028】
実施例3
・銀コロイドエタノール溶液 50重量部
(金属含有量:60wt%、高分子分散剤含有量4wt%、平均粒子径10nm)
・ロジン変性マレイン酸樹脂(マルキード31、荒川化学工業(株)製)2重量部
・エタノール 48重量部
を撹拌混合し金属含有量30wt%、高分子分散剤含有量2wt%、固着樹脂含有量2wt%の油性サインペン用銀色インキを得た。
【0029】
実施例4
・銀コロイドエタノール溶液 75重量部
(金属含有量:60wt%、高分子分散剤含有量4wt%、平均粒子径10nm)
・尿素・脂肪族アルコール重縮合樹脂(ラロパールA−101、BASF社)4重量部
・エタノール 21重量部
を撹拌混合し金属含有量45wt%、高分子分散剤含有量3wt%、固着樹脂含有量4wt%の油性サインペン用銀色インキを得た。
【0030】
比較例1
・金コロイドエタノール溶液 50重量部
(金属含有量:20wt%、高分子分散剤含有量16wt%、平均粒子径15nm)
・ケトン樹脂(ハイラック110H、日立化成工業製) 1重量部
・エタノール 49重量部
を撹拌混合し、金属含有量10wt%、高分子分散剤含有量8wt%、固着樹脂含有量1wt%の油性サインペン用インキを得た。
【0031】
比較例2
・金コロイドエタノール溶液 75重量部
(金属含有量:20wt%、高分子分散剤含有量16wt%、平均粒子径15nm)
・アルキルフェノール樹脂(ヒタノール1501、日立化成工業製) 2重量部
・エタノール 23重量部
を撹拌混合し金属含有量15wt%、高分子分散剤含有量12wt%、固着樹脂含有量2wt%の油性サインペン用インキを得た。
【0032】
比較例3
・金コロイドエタノール溶液 50重量部
(金属含有量:40wt%、高分子分散剤含有量6wt%、平均粒子径15nm)
・ケトン樹脂(ハイラック110H、日立化成工業製) 8重量部
・エタノール 42重量部
を撹拌混合し、金属含有量20wt%、高分子分散剤含有量3wt%、固着樹脂含有量8wt%の油性サインペン用インキを得た。
【0033】
比較例4
・銀コロイドエタノール溶液 50重量部
(金属含有量:34wt%、高分子分散剤含有量26wt%、平均粒子径10nm)
・ロジン変性マレイン酸樹脂(マルキード31、荒川化学工業(株)製)2重量部
・エタノール 48重量部
を撹拌混合し金属含有量17wt%、高分子分散剤含有量13wt%、固着樹脂含有量2wt%の油性サインペン用インキを得た。
【0034】
比較例5
・銀コロイドエタノール溶液 75重量部
(金属含有量:34wt%、高分子分散剤含有量26wt%、平均粒子径10nm)
・尿素・脂肪族アルコール重縮合樹脂(ラロパールA−101、BASF社)4重量部
・エタノール 21重量部
を撹拌混合し金属含有量25.5wt%、高分子分散剤含有量9.75wt%、固着樹脂含有量4wt%の油性サインペン用インキを得た。
【0035】
比較例6
・銀コロイドエタノール溶液 75重量部
(金属含有量:60wt%、高分子分散剤含有量4wt%、平均粒子径10nm)
・尿素・脂肪族アルコール重縮合樹脂(ラロパールA−101、BASF社)8重量部
・エタノール 21重量部
を撹拌混合し金属含有量45wt%、高分子分散剤含有量3wt%、固着樹脂含有量8wt%の油性サインペン用インキを得た。
【0036】
これら実施例1〜4、比較例1〜6にて、作成したインキを毛細管現象を利用する筆記具である中綿式のサインペンに組立、ペン先には幅広のペン先を装着し、ガラス板、ポリエステルフィルム上にそれぞれ筆記し、更に3×3cmの大きさに塗りつぶし、描線の状態を観察し、綿棒で擦過して、固着性を評価した。その結果を表1に示す。
表1からの結果から、実施例では、全て筆跡表面が反射も充分な鏡面の金、銀の金属光沢を呈ししたものが得られたが、比較例はいずれも金属光沢を発現できなかった。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の筆記具用インキ組成物は、必須成分として金、又は銀のコロイド溶液を含有するものであり、金属含有率がインキ全量に対して15〜60wt%で、平均粒子径も10〜50nmと粒子径が小さいことから、経時的な安定性も優れており、インキがペン先の目つまりを起こすことなく、筆記具の構造、ペン先の種類を選ばないため、安価で製造でき、更に筆跡が鏡面状態の金属光沢を呈することのできる優れた光輝性インキを提供することができるものである。特に毛細管現象を利用する筆記具である中綿式筆記具にインキを含浸させて好適に使用できるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆記具用光輝性インキ組成物に関し、特に筆跡が鏡面の金属光沢を呈する筆記具用光輝性インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、筆跡が光輝性を有するインキとして、各種メタリック調インキ組成物が知られている。例えば、脂肪酸又は脂肪酸塩で表面処理した40メッシュ篩通過の15μ以下の粒子の累積分布が80%以上である微細金属粉と着色材を含有させたマーキングペン用金属光沢インキ(例えば、特許文献1参照)や、金属粉顔料と油溶性染料及び溶剤と樹脂からなる二重発色インキ組成物(例えば、特許文献2参照)が提案されている。これら油性インキ組成物に使用される金属粉については、塗膜形成時に光輝性顔料の配列に光輝性顔料の膜圧に起因する凹凸があり、平行配列で積層しにくいことから、塗膜表面に入射した光は、粒子面で乱反射して拡散するので、ギラギラした光輝感や金属光沢感はある程度得られるものの、鏡面のような優れた金属光沢は得ることができない。
【0003】
また、パール顔料を用いた水性インキ組成物(例えば、特許文献3参照)や、アルミニウム粉末(平均粒子径5〜30μm)を用いた水性インキ組成物(例えば、特許文献4参照)、また金属酸化物をコーティングした平均粒子径5μm以下のガラスフレークを用いた筆記具用インキ組成物(例えば、特許文献5参照)も提案されている。このように、メタリック調インキとしてはインキ組成物にアルミニウム粉、銅粉、銅合金粉、亜鉛粉などの金属粉顔料や酸化チタンを雲母にコーティングしたパール顔料、金属酸化物をコーティングしたガラスフレークを配合し、銀色の筆跡が得られるようにしたインキがあり更には染料または顔料で着色することによりカラーのメタリック調インキが得られることは公知である。なお、インキ組成物でないが、貴金属又は銅のコロイド溶液を用いた塗料組成物(例えば、特許文献6参照)も提案されているが、ここでは塗膜自体には鏡面のような金属光沢は発現せず、金属コロイドの発色、即ち金の場合は赤色、銀の場合は黄色を呈することが実施例で明らかにされている。
【0004】
【特許文献1】
特公平1−56109号公報
【特許文献2】
特公昭62−37678号公報
【特許文献3】
特開平7−1185923号公報
【特許文献4】
特開平8−151547号公報
【特許文献5】
特開2000−72995号公報
【特許文献6】
特開平11−80647号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記したメタリック調インキでは、粒子の厚みが、約0.1〜0.4μm程度であるがために、塗膜での表面の平滑性が劣り、筆跡に含まれる粒子や粒子が重なりあった塗膜表面に入射した光は、乱反射して拡散するので、ギラギラした光輝感は得られるものの、鏡面のような優れた光輝性の金属光沢を得ることが出来なかった。このため、金属粉顔料やパール顔料、金属酸化物コーティングガラスフレークの粒子径を大きくして、光輝性をあげることが行われるが、大粒径が故に、筆記具でのペン先の目詰まりなどの不具合やアルミニウム粉や金属酸化物コーティングガラスフレークのペン先からの流出が阻害されて、描線内にまばらにしか存在できないために、下地を十分隠蔽できないばかりか、かえって光輝性を落としてしまう不具合を生ずる。
【0006】
更に大粒径の粒子を含有しているために、使用されるペンの構造は、ペン先押し圧式でバルブを開放し、ペン先に流出させる液式のペンの円筒軸筒内にインクと攪拌用ボールを内蔵した形態に限定され、インキ流出の際にはペンを振って内蔵インキを攪拌した後、ペン先を押してバルブを開放しペン先に流出させるという、甚だ面倒なペン構造でしか使用できなかった。
かかる現状から本発明の課題は、ペン先の形態を選ばす、更に筆跡があたかも鏡面のように光輝性に優れた金属光沢を呈する特に毛細管現象を利用する筆記具用に好適なインキ組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を解決するために、種々検討の結果、高分子顔料分散剤で安定化された金又は銀のコロイド粒子を着色剤とすることが有効であることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は、必須成分として金又は銀のコロイド粒子と高分子顔料分散剤を含有し筆跡が鏡面の金属光沢を呈することを特徴とする筆記具用光輝性インキ組成物を要旨とする。
【0008】
上記本発明において、コロイド粒子を形成する金又は銀の含有率がインキ全量に対して15〜60wt%、コロイド平均粒子径が5〜50nmであることが望ましい。
また上記本発明において、高分子顔料分散剤の配合量がインキ全量に対して1〜9wt%であることが望ましい。
【0009】
さらに上記本発明において、固着性付与樹脂がインキ全量に対して5wt%未満配合されていることが望ましい。
さらにまた、上記本発明において、インキ組成物の溶剤がエタノールであることが望ましい。
さらにまた、上記本発明において、インキ組成物の粘度(25℃)が1〜30mPa・sで毛細管現象を利用する筆記具用に使用されることが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明に使用される金、又は銀のコロイド粒子は、金、又は銀の化合物の水溶液をイオンソースとして用い、水系の場合は、水溶性高分子顔料分散剤を溶解させた後、還元する事で得られ、溶剤系の場合は、油溶性高分子顔料分散剤を水混和性有機溶剤に溶解し、イオンソース水溶液と混合後還元し、その後水を除去し、エタノール、プロピレングリコール・モノメチルエーテル中に再分散することで得られる。金、銀の化合物としては、金、銀を含むものであれば特に限定されず、例えば塩化金酸、硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀などが挙げることができる。
【0011】
本発明に用いられる金又は銀への還元方法としては、従来からの公知方法(例えば、前記した特許文献6参照)が採用できるが、特に限定されず、金、銀の化合物を添加して化学的に還元する方法、例えば、水素化ホウ素ナトリウムのアルカリ金属水素化ホウ素塩、ヒドラジン化合物、クエン酸又はその塩、コハク酸又はその塩、ホルムアルデヒド、ブドウ糖、チオ硫酸ナトリウム5水和物、酒石酸カリウムナトリウム(ロッシェル塩)、塩化スズ(II)などを添加して還元する方法が挙げられ、また、高圧水銀灯を用いて光照射する方法も挙げることができる。
【0012】
また、アミンは通常は還元剤として使用されないものであるが、金、銀の化合物の溶液にアミンを添加して攪拌、混合することによって、金イオンや銀イオン等が常温付近で金、銀に還元することができる。アミンとしては、例えば、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノール、ブタノールアミン、ヘキサノールアミン、ジメチルアミノプロパノール等のアルカノールアミンも挙げることができる。
【0013】
本発明のインキ組成物で、コロイド粒子を形成する金又は銀の金属含有率は、インキ全量に対して15〜60wt%、好ましくは、20〜50wt%であることが望ましい。金属含有率が15wt%より少ないと、単なる金属コロイド粒子の発色、すなわち金の場合は赤色、銀の場合は黄色を呈し筆跡が鏡面の金属光沢を発現せず、本発明の要旨と異なる。金属含有率が60wt%より多くなると金属光沢の発現はされるが、固形分の上昇によりインキ粘度が高くなると同時に、貴金属分の量が多くなりインクの値段が上昇し、筆記具に充填し、低単価で販売するのに不利となる。ここでインキ組成物の粘度(25℃)としては、毛細管現象を利用してインキを流出させる筆記具の場合には1〜30mPa・s、好ましくは3〜20mPa・sである。
【0014】
またコロイド粒子の平均粒子径は5〜50nm、好ましくは7〜20nmであることが望ましい。この理由は、平均粒子径が5nmより小さいと、分散樹脂の含有量が多くなり、近接する金属コロイド粒子の距離が離れて、光の透過性を持つようになり金属光沢を呈しなくなる。また、50nmより大きくなると、整列した金属コロイドの粒子表面の凹凸により、鏡面の様な金属光沢を呈しなくなるため、本発明の要旨から外れる。
【0015】
金属コロイド粒子の安定性を図るために、高分子顔料分散剤が含有される。かかる高分子顔料分散剤としては、高分子重合体に金属コロイド表面に対する親和性の高い官能基が導入されている両親媒性の共重合体である。このものは、塗料用等の樹脂組成物に対して、十分な相溶性を有することから、有機顔料,無機顔料の分散剤として好適であり、通常は、顔料ペーストの製造時に顔料分散剤として使用されているモノである。上記高分子顔料分散剤としては、市販されているものを使用することもできる。
【0016】
かかる市販品のうち好ましいものとしては、例えば、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000(ゼネカ社製):ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック184、デイスパービック190(ビックケミー社製);EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49(EFKAケミカル社製);ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453(EFKAケミカル社製);
【0017】
アジスパーPB711、アジスパーPA111、アジスパーPB811、アジスパーPW911(味の素社製);フローレンDOPA−158、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンTG−730W、フローレンG−700、フローレンTG−720W(共栄社化学社製)等を挙げることができる。
本発明のインキ組成物への高分子顔料分散剤の配合量は、インキ全量に対して1〜9wt%の範囲で用いられる。高分子顔料分散剤の配合量が1wt%より少ないと、金属コロイドの安定性が不安定になり、9wt%より大きくなると、金属分に対する分散樹脂の含有量が多くなり、筆記線にした場合に描線上の近接する金属コロイドの距離が離れて、金属光沢を呈しなくなる。
【0018】
本発明に用いられる金又は銀のコロイド粒子の分散溶液には、高分子分散剤の含有量が1〜9wt%の範囲と少ないため、高分子分散剤のみのコロイド溶液単独では、インキ筆跡の固着性を発現できず、擦過に対して定着性がなく、容易に消去してしまうため、固着性付与樹脂の添加は必須となる。本発明に使用される固着性付与樹脂は、インキ全量に対して5wt%未満(固着性を必要としない場合は、添加を省略しても良い)、好ましくは2〜4wt%で用いられる。5wt%以上の添加は、上述の様に、金属分に対する樹脂の含有量が多くなり、筆記線にした場合に描線上の近接する金属コロイドの距離が離れて、金属光沢を呈しなくなる。
【0019】
用いられる固着性付与樹脂は、溶剤に溶解するものであれば特に限定されない。
例えばエタノールやプロピレングリコール・モノメチルエーテルを溶剤とした場合、これら溶剤に溶解する固着性付与樹脂の市販品としては、ラロパールA−101、ラロパールA−81、ラロパールK−80、スプラパルAP−30、フタルパルPP、ルトナールM40、ルトナールA25、ルトナールA50(BASF製)、ヒタノール1501、ヒタノール2501、ハイラック110H、デスポール1154(日立化成製)、タマノル531、タマノル510、タマノル521、ケトンレジンK−90、ロジンKR、マルキード31、マルキード34、アラスター70(荒川化学工業(株)製)、ベッカサイトP720(大日本インキ化学(株)製)、SMA1000A、SMA1440A、SMA17352A、SMA2625(アコーケミカル(株)製)、SME−1、SME−8000、SME−50000(積水化学工業(株)製)、
【0020】
PVB2000−L、PVB3000−L、PVB3000−K、PVB4000−1、PVB6000−L((株)デシ力製)、LZ−342、LZ−346、LZ−347(藤倉化成工業(株)製)等が挙げられる。
水を溶媒とした場合、水溶性の固着性付与樹脂の市販品としては、ルビコールVA28E、ルビコールVA−55E、ルビコールVA−78E、ルビコールK−30、ルビコールK−90(BASF製)が挙げられる。
【0021】
本発明のインキ組成物は、溶剤としてエタノール、プロピレングリコール・モノメチルエーテル、又は水を用いる。この溶剤を使用する目的は、インキ溶剤の人体への安全性を確保するためである。特にエタノールは、その乾燥速度の速さから、筆記時の描線色がコロイドの分散体の色から、金属光沢暮色への変化の速さむを実感できるため、商品の特徴付けに有利である。
本発明で、インキ筆跡が鏡面の金属光沢を呈するとは、筆跡面が平滑性に優れ、表面に入射した光が乱反射で拡散することがなく、金コロイドの場合は金色、銀コロイドの場合は銀色の光輝感が得られるものをいう。鏡面の金属光沢を呈しない場合には、入射した光が乱反射で拡散して単なる赤色や黄色又は暗緑色を呈するものしか得られない点で目視により区別可能である。
【0022】
本発明のインキにおいて、鏡面の光沢が得られる理由は、筆記した後に溶剤が蒸発し、金、銀のコロイド粒子がそのまま単体金属として析出し、且つ、その析出する際の金属の粒子の平均粒子径は5〜50nmであるため描線上に平滑に配列し、その時、高分子分散剤の量、固着性付与樹脂を限定することで、配列する粒子の距離を離れすぎないようにすることによって、鏡面状の金属光沢が得られると考えられる。
そのため、筆記面は、ガラスやプラスチックなどの平滑な面であることが望ましい。特に銀の場合は、金属の中で最も反射率の高い金属であるため、甚だ良好な鏡面光沢を得ることができる。
【0023】
以上のように、鏡面の光沢を得るためには、金、銀の配合量と高分子顔料分散剤及び固着性付与樹脂の配合量が重要となる。高分子顔料分散剤、固着性付与樹脂が多くなりすぎると、塗膜が乾燥した場合に金、銀粒子の間に樹脂が介在し、金、銀の連続膜が得られなくなり、鏡面光沢を呈しなくなるばかりか、銀もコロイドの状態で、高分子顔料分散剤中、固着性付与樹脂に封入されるため、金属単体で析出せず、金属色調も得られなくなる。前記した如くコロイド粒子としての金、銀の配合量は多いほど金属鏡面光沢を得やすくなるが、15wt%未満では、金属光沢を得られなくなる。毛細管現象を利用してインキを流出させる筆記具に好適なインキ粘度(25℃)が1〜30mPa・sの範囲を得られるための金、銀の配合量は、15〜60wt%、好ましくは20〜50wt%である。
【0024】
本発明に使用される、金、銀コロイド溶液は、溶剤を蒸発させても、再度溶剤を加えれば、容易に再分散し、所望の濃度に調整できるものであるので、金、銀の配合量と高分子顔料分散剤、固着性付与樹脂の配合量は目的に応じて調整することが好ましい。これらの他に乾燥調整剤として、中沸点溶剤、高沸点溶剤、ペン先のドライアップ防止剤、筆記面への濡れ性を良くするための界面活性剤などの添加も任意であるが、ペン性能と本来の目的である描線等の筆跡が金属鏡面光沢性の両立するような配合にすることは言うまでもない。
【0025】
【実施例】
以下実施例に基づき、更に詳細に説明する。
【0026】
実施例1
・金コロイドエタノール溶液 50重量部
(金属含有量:40wt%、高分子分散剤含有量6wt%、平均粒子径15nm)
・ケトン樹脂(ハイラック 110H、日立化成工業製) 1重量部
・エタノール 49重量部
を撹拌混合し、金属含有量29wt%、高分子分散剤含有量3wt%、固着樹脂含有量1wt%の油性サインペン用金色インキ組成物を得た。
【0027】
実施例2
・金コロイドエタノール溶液 75重量部
(金属含有量:40wt%、高分子分散剤含有量6wt%、平均粒子径15nm)
・アルキルフェノール樹脂(ヒタノール 1501、日立化成工業製) 2重量部
・エタノール 23重量部
を撹拌混合し金属含有量30wt%、高分子分散剤含有量4.5wt%、固着樹脂含有量2wt%の油性サインペン用金色インキを得た。
【0028】
実施例3
・銀コロイドエタノール溶液 50重量部
(金属含有量:60wt%、高分子分散剤含有量4wt%、平均粒子径10nm)
・ロジン変性マレイン酸樹脂(マルキード31、荒川化学工業(株)製)2重量部
・エタノール 48重量部
を撹拌混合し金属含有量30wt%、高分子分散剤含有量2wt%、固着樹脂含有量2wt%の油性サインペン用銀色インキを得た。
【0029】
実施例4
・銀コロイドエタノール溶液 75重量部
(金属含有量:60wt%、高分子分散剤含有量4wt%、平均粒子径10nm)
・尿素・脂肪族アルコール重縮合樹脂(ラロパールA−101、BASF社)4重量部
・エタノール 21重量部
を撹拌混合し金属含有量45wt%、高分子分散剤含有量3wt%、固着樹脂含有量4wt%の油性サインペン用銀色インキを得た。
【0030】
比較例1
・金コロイドエタノール溶液 50重量部
(金属含有量:20wt%、高分子分散剤含有量16wt%、平均粒子径15nm)
・ケトン樹脂(ハイラック110H、日立化成工業製) 1重量部
・エタノール 49重量部
を撹拌混合し、金属含有量10wt%、高分子分散剤含有量8wt%、固着樹脂含有量1wt%の油性サインペン用インキを得た。
【0031】
比較例2
・金コロイドエタノール溶液 75重量部
(金属含有量:20wt%、高分子分散剤含有量16wt%、平均粒子径15nm)
・アルキルフェノール樹脂(ヒタノール1501、日立化成工業製) 2重量部
・エタノール 23重量部
を撹拌混合し金属含有量15wt%、高分子分散剤含有量12wt%、固着樹脂含有量2wt%の油性サインペン用インキを得た。
【0032】
比較例3
・金コロイドエタノール溶液 50重量部
(金属含有量:40wt%、高分子分散剤含有量6wt%、平均粒子径15nm)
・ケトン樹脂(ハイラック110H、日立化成工業製) 8重量部
・エタノール 42重量部
を撹拌混合し、金属含有量20wt%、高分子分散剤含有量3wt%、固着樹脂含有量8wt%の油性サインペン用インキを得た。
【0033】
比較例4
・銀コロイドエタノール溶液 50重量部
(金属含有量:34wt%、高分子分散剤含有量26wt%、平均粒子径10nm)
・ロジン変性マレイン酸樹脂(マルキード31、荒川化学工業(株)製)2重量部
・エタノール 48重量部
を撹拌混合し金属含有量17wt%、高分子分散剤含有量13wt%、固着樹脂含有量2wt%の油性サインペン用インキを得た。
【0034】
比較例5
・銀コロイドエタノール溶液 75重量部
(金属含有量:34wt%、高分子分散剤含有量26wt%、平均粒子径10nm)
・尿素・脂肪族アルコール重縮合樹脂(ラロパールA−101、BASF社)4重量部
・エタノール 21重量部
を撹拌混合し金属含有量25.5wt%、高分子分散剤含有量9.75wt%、固着樹脂含有量4wt%の油性サインペン用インキを得た。
【0035】
比較例6
・銀コロイドエタノール溶液 75重量部
(金属含有量:60wt%、高分子分散剤含有量4wt%、平均粒子径10nm)
・尿素・脂肪族アルコール重縮合樹脂(ラロパールA−101、BASF社)8重量部
・エタノール 21重量部
を撹拌混合し金属含有量45wt%、高分子分散剤含有量3wt%、固着樹脂含有量8wt%の油性サインペン用インキを得た。
【0036】
これら実施例1〜4、比較例1〜6にて、作成したインキを毛細管現象を利用する筆記具である中綿式のサインペンに組立、ペン先には幅広のペン先を装着し、ガラス板、ポリエステルフィルム上にそれぞれ筆記し、更に3×3cmの大きさに塗りつぶし、描線の状態を観察し、綿棒で擦過して、固着性を評価した。その結果を表1に示す。
表1からの結果から、実施例では、全て筆跡表面が反射も充分な鏡面の金、銀の金属光沢を呈ししたものが得られたが、比較例はいずれも金属光沢を発現できなかった。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の筆記具用インキ組成物は、必須成分として金、又は銀のコロイド溶液を含有するものであり、金属含有率がインキ全量に対して15〜60wt%で、平均粒子径も10〜50nmと粒子径が小さいことから、経時的な安定性も優れており、インキがペン先の目つまりを起こすことなく、筆記具の構造、ペン先の種類を選ばないため、安価で製造でき、更に筆跡が鏡面状態の金属光沢を呈することのできる優れた光輝性インキを提供することができるものである。特に毛細管現象を利用する筆記具である中綿式筆記具にインキを含浸させて好適に使用できるものである。
Claims (6)
- 必須成分として金又は銀のコロイド粒子と高分子顔料分散剤を含有し筆跡が鏡面の金属光沢を呈することを特徴とする筆記具用光輝性インキ組成物。
- コロイド粒子を形成する金又は銀の含有率がインキ全量に対して15〜60wt%、コロイド平均粒子径が5〜50nmであることを特徴とする請求項1記載の筆記具用インキ組成物。
- 高分子顔料分散剤の配合量がインキ全量に対して1〜9wt%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の筆記具用インキ組成物。
- 固着性付与樹脂がインキ全量に対して5wt%未満配合されている請求項1記載の筆具用インキ組成物。
- インキ組成物の溶剤がエタノールである請求項1〜4のいずれかに記載の筆具用インキ組成物。
- インキ組成物の粘度(25℃)が1〜30mPa・sで毛細管現象を利用する筆記具用に使用される請求項1〜5のいずれかに記載の筆具用インキ組成物。
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