JP2004161660A - リウマチ予防・治療剤 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は増殖因子受容体チロシンキナーゼ(特に、HER2)阻害剤として有用な複素環化合物の新規医薬用途、特にリウマチの予防・治療用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
細胞増殖因子および増殖因子受容体の遺伝子はプロトオンコジンと呼ばれ、乳癌などのヒト腫瘍の病態に重要な役割を果たしている(非特許文献1)。上皮細胞増殖因子EGFの受容体とホモロジーを有するHER2(Human EGF Receptor−2)遺伝子は膜貫通型の受容体型糖タンパク質の遺伝子で、この受容体はチロシンキナーゼ活性を有する(非特許文献2)。HER2は種々の癌における発現が知られているが、ヒトリウマチ患者の滑膜細胞でも発現していることが報告されている(非特許文献3)。また、HER2に対する抗体がリウマチ患者由来滑膜細胞の増殖を抑制することも記載されている(非特許文献3)。抗HER2抗体は、増殖因子がHER2に結合することを妨害することによりチロシンキナーゼが活性化されることを阻害し、その結果、滑膜細胞の増殖を抑制するものと考えられる。
【0003】
【非特許文献1】
アーロンソンら,サイエンス(Science),254巻,p1146−1153(1991年)
【非特許文献2】
秋山ら,サイエンス(Science),232巻,p1644−1646(1986年)
【非特許文献3】
佐藤ら,アースライティス アンド リューマティズム(Arthritis and Rheumatism),44巻,p260−265(2001年)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
優れたチロシンキナーゼ阻害作用を有し、低毒性であり、かつ抗リウマチ剤として十分満足できる化合物の開発が切望されている。従って、本発明の目的は、チロシンキナーゼ(特に、HER2)阻害作用を有し、リウマチ予防・治療剤として有用な化合物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、チロシンキナーゼ阻害作用を有する複素環化合物について種々検討を加えた結果、式
【化7】
〔式中、各記号は下記と同意義を示す〕で表される骨格のフェニルエテニルのフェニルが、ハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1−2アルキル基で置換されていることに化学構造上の特徴を有する、式
【化8】
〔式中、mは1または2、
R1はハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1−2アルキル基、
R2およびR3の一方は水素原子、他方は式
【化9】
(式中、nは3または4、R4は1ないし2個のヒドロキシ基で置換されたC1−4アルキル基を示す)で表される基を示す〕で表される化合物〔以下、化合物(I)と称することもある〕またはその塩を初めて合成し、かつこの化合物(I)またはその塩が予想外にもその特異な化学構造に基づいて優れたチロシンキナーゼの阻害作用を有することを見いだし、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は、
(1)化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグを含有するリウマチ予防・治療剤;
(2)R1がフルオロまたはトリフルオロメチルである前記(1)記載の剤;
(3)R2が式
【化10】
で表される基およびR3が水素原子、または
R2が水素原子およびR3が式
【化11】
で表される基である前記(1)記載の剤;
(4)R2が式
【化12】
で表される基およびR3が水素原子である前記(1)記載の剤;
(5)mが1、R1が4−トリフルオロメチル、
R2が式
【化13】
で表される基、およびR3が水素原子である前記(1)記載の剤;
(6)化合物が1−(4−{4−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}ブチル)−1H−1,2,3−トリアゾール、
1−(3−{3−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}プロピル)−1H−1,2,3−トリアゾール、または
3−(1−{4−[4−({2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオールである前記(1)記載の剤;
(7)前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグと他の抗リウマチ剤とを組み合わせてなる医薬;
(8)前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグと抗炎症剤とを組み合わせてなる医薬;
(9)哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグを有効量投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(10)(1)前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量を投与することと、(2)▲1▼他の抗リウマチ剤の有効量を投与すること、▲2▼抗炎症剤の有効量を投与すること、および▲3▼非薬剤療法から成る群から選ばれる1〜3種とを組み合わせることを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(11)非薬剤療法が基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上である前記(10)記載の方法;
(12)哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と他の抗リウマチ剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(13)哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と抗炎症剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(14)基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用する前に、哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(15)基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用した後に、哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(16)基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用する前に、哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と他の抗リウマチ剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(17)基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用する前に、哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と抗炎症剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(18)基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用した後に、哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と他の抗リウマチ剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(19)基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用した後に、哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と抗炎症剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;および
(20)リウマチ予防・治療剤を製造するための前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの使用などに関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記式中、R1で示される「ハロゲン原子」としては、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードなどが挙げられる。このうちフルオロが好ましい。
R1で示される「ハロゲン化されていてもよいC1−2アルキル基」の「ハロゲン」としては、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードなどが挙げられる。このうちフルオロが好ましい。
R1で示される「ハロゲン化されていてもよいC1−2アルキル基」の「C1−2アルキル基」としては、メチル、エチルが挙げられ、メチルが好ましい。
該「C1−2アルキル基」は、上記ハロゲンを、置換可能な位置に1ないし3個、好ましくは2ないし3個有していてもよく、該ハロゲンの数が2個以上の場合、各ハロゲンは同一または異なっていてもよい。
該「ハロゲン化されていてもよいC1−2アルキル基」の具体例としては、メチル、エチル、トリフルオロメチルなどが挙げられる。
R1としては、ハロゲンまたはハロゲン化されたC1−2アルキル基が好ましく、フルオロおよびトリフルオロメチルがさらに好ましい。
mが2の場合、各R1は異なっていてもよい。
【0008】
R2またはR3で示される式
【化14】
〔式中、R4は前記と同意義を示す〕で表される基は、好ましくは式
【化15】
〔式中、R4は前記と同意義を示す〕で表される基である。
R4で示される「1ないし2個のヒドロキシ基で置換されたC1−4アルキル基」の「C1−4アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどが挙げられる。中でもエチル、プロピルなどが好ましい。
該「1ないし2個のヒドロキシ基で置換されたC1−4アルキル基」の具体例としては、2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1,3−ジヒドロキシプロピルなどが挙げられる。中でも好ましくは2,3−ジヒドロキシプロピルである。
【0009】
R2が
【化16】
の場合、nとしては4が好ましい。
R3が
【化17】
の場合、nとしては3が好ましい。
上記式中、R2が式
【化18】
で表される基およびR3が水素原子である場合が好ましい。
R2が水素原子およびR3が式
【化19】
で表される基である場合も好ましい。
R2が式
【化20】
〔式中、nは前記と同意義を示す〕で表される基およびR3が水素原子である場合も好ましく、さらに好ましくはnが4である。
【0010】
化合物(I)の好ましい例としては、式
【化21】
〔式中、各記号は前記と同意義を示す〕で表される化合物またはその塩が挙げられる。
化合物(I)中、mが1、R1が4−トリフルオロメチル、R2が式
【化22】
で表される基、およびR3が水素原子である化合物またはその塩が好ましい。
化合物(I)の具体例としては、1−(4−{4−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}ブチル)−1H−1,2,3−トリアゾール、
1−(3−{3−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}プロピル)−1H−1,2,3−トリアゾール、
3−(1−{4−[4−({2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオールまたはこれらの塩などが挙げられる。
【0011】
本発明の化合物(I)の塩としては、薬学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
化合物(I)には、(Z)−エテニル体および(E)−エテニル体の2種が存在し、この異性体が単独の場合も、それらの混合物の場合も本発明に含まれる。
また、化合物(I)が不斉炭素を有する場合、光学異性体が生ずるが、この異性体が単独の場合も、それらの混合物の場合も本発明に含まれる。
【0012】
本発明の化合物(I)またはその塩は、自体公知の方法、例えば特開平11−60571号公報に記載の方法に準じた方法などにより得られるほか、例えば以下の反応式A〜Hで示される方法等により得られる。
以下の反応式の略図中の化合物の各記号は前記と同意義を示す。反応式中の化合物は塩を形成している場合も含み、該塩としては、例えば化合物(I)の塩と同様のものなどが挙げられる。
【0013】
【化23】
Xで示される「脱離基」としては、例えばハロゲン(例、クロロ、ブロモなど)または式:−OSO2R5〔式中、R5はアルキルまたは置換基を有していてもよいアリールを示す〕で表される基などが挙げられる。
R5で示される「アルキル」としては、例えばメチル、エチル、プロピルなどのC1−6アルキルなどが挙げられる。
R5で示される「置換基を有していてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、フェニルなどのC6−14アリールが挙げられる。
R5で示される「置換基を有していてもよいアリール」の「置換基」としては、メチル、エチル、プロピルなどのC1−6アルキルなどが挙げられる。
該「置換基を有していてもよいアリール」の具体例としては、C1−6アルキルを有していてもよいフェニル(例、p−トリルなど)などが挙げられる。
【0014】
化合物(II)と化合物(III)とを反応させ、化合物(I)を得る。
本反応は、通常、塩基の存在下、化合物(II)と化合物(III)とを縮合させる。
該「塩基」としては、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、アミン類(例、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリンなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水素化物(例、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウムなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の低級アルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシドなど)などが挙げられる。
「塩基」の好ましい使用量は、化合物(II)に対して約1〜5モル当量である。
「化合物(III)」の好ましい使用量は、化合物(II)に対して約0.5〜5モル当量である。
本反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒存在下にて行うのが有利である。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類、アミド類、スルホキシド類またはこれら二種以上の混合物等が用いられる。
反応温度は、通常−50〜+150℃、好ましくは約−10〜+100℃である。反応時間は、通常0.5〜48時間である。
【0015】
化合物(II)は、自体公知の方法またはこれに準じた方法に従って製造でき、例えば、Xがクロロである化合物(IIa)は、以下の反応式Bで示される方法等により製造できる。
【化24】
化合物(IV)と1,3−ジクロロアセトンとを縮合・脱水反応に付して化合物(IIa)を得る。
化合物(IV)は、市販されている場合には、市販品をそのまま用いてもよく、また、自体公知の方法またはこれに準じた方法等に従って製造してもよい。
「1,3−ジクロロアセトン」の使用量は、化合物(IV)に対して、約1当量ないし大過剰(溶媒量)である。
本反応は、無溶媒または反応に影響を及ぼさない溶媒存在下にて行うのが有利である。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類またはこれら二種以上の混合物等が用いられる。
反応温度は、通常50〜150℃、好ましくは約60〜120℃である。反応時間は、通常0.5〜48時間である。
生成物は反応液のまま、あるいは粗成物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもできる。
【0016】
化合物(III)うち、R3が水素原子である化合物(IIIa)は、自体公知の方法またはこれに準じた方法に従って製造でき、例えば、以下の反応式Cで示される方法により製造できる。
【化25】
上記式中、Paは水素原子または保護基、Xaは脱離基を示す。
Paで示される「保護基」としては、例えばアルキル(例、メチル、エチルなどのC1−6アルキルなど)、フェニル−C1−6アルキル(例、ベンジルなど)、C1−6アルキル−カルボニル、アルキル置換シリル(例、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリルなど)などが挙げられる。
Xaで示される「脱離基」としては、例えば前記Xで示される「脱離基」と同様のものが挙げられる。
【0017】
化合物(V)と化合物(VI)または化合物(VII)とを縮合させて化合物(VIII)を得、必要に応じ、次いで脱保護反応に付すことにより、化合物(IIIa)を得る。
化合物(V)、化合物(VI)および化合物(VII)は、市販されている場合には、市販品をそのまま用いてもよく、また、自体公知の方法またはこれに準じた方法等に従って製造してもよい。
該「縮合反応」は、通常、塩基の存在下、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われる。
該「塩基」としては、上記反応式Aで詳述した塩基が用いられる。
「塩基」の好ましい使用量は、化合物(V)に対して約1〜5モル当量である。
「化合物(VI)または化合物(VII)」の好ましい使用量は、化合物(V)に対して約0.5〜5モル当量である。
該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類、アミド類、スルホキシド類またはこれら二種以上の混合物等が用いられる。
反応温度は、通常−50〜+150℃、好ましくは約−10〜+100℃である。反応時間は約0.5〜48時間である。
得られた化合物(VIII)は反応液のまま、あるいは粗成物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもできる。
【0018】
該「脱保護反応」は、常法の中から適宜選択することができる。
例えばPaがアルキルの場合、化合物(VIII)を酸(例、臭化水素酸などの鉱酸、四塩化チタンなどのルイス酸など)処理に付す。
例えばPaがフェニル−C1−6アルキルの場合、化合物(VIII)を水素添加反応に付す。
例えばPaがアルキル置換シリルの場合、化合物(VIII)とフッ化物(例、テトラブチルアンモニウムフルオリドなど)とを反応させる。
得られた化合物(IIIa)は反応液のまま、あるいは粗成物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもできる。
【0019】
化合物(III)うち、R2が水素原子である化合物(IIIb)は、自体公知の方法またはこれに準じた方法に従って製造でき、例えば、以下の反応式Dで示される方法により製造できる。
【化26】
上記式中、Pbは水素原子または保護基、Xbは脱離基を示す
Pbで示される「保護基」としては、前記Paで示される「保護基」と同様のものが挙げられる。
Xbで示される「脱離基」としては、例えば前記Xで示される「脱離基」と同様のものが挙げられる。
【0020】
前記反応式Cに記載の方法と同様の方法により、化合物(IX)と化合物(VI)または化合物(VII)とを縮合させて化合物(X)を得、必要に応じ、次いで脱保護反応に付すことにより、化合物(IIIb)を得る。
化合物(IX)は、市販されている場合には、市販品をそのまま用いてもよく、また、自体公知の方法またはこれに準じた方法等に従って製造してもよい。
【0021】
化合物(I)のうち、R3が水素原子である化合物(Ia)は、以下の反応式Eに記載の方法に従っても製造できる。
【化27】
上記式中、Xcは脱離基を示す。
Xcで示される「脱離基」としては、例えば前記Xで示される「脱離基」と同様のものが挙げられる。
【0022】
化合物(XI)と化合物(VI)または化合物(VII)とを反応させ、化合物(Ia)を得る。
本反応は、通常、塩基の存在下、化合物(XI)と化合物(VI)または化合物(VII)とを縮合させる。
該「塩基」としては、前記反応式Aで詳述した塩基が用いられる。
「塩基」の好ましい使用量は、化合物(XI)に対して約1〜5モル当量である。
「化合物(VI)」および「化合物(VII)」の好ましい使用量は、化合物(XI)に対して、それぞれ約0.5〜5モル当量である。
本反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒存在下にて行うのが有利である。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類、アミド類、スルホキシド類またはこれら二種以上の混合物等が用いられる。
反応温度は、通常−20〜+150℃、好ましくは約−10〜+100℃である。反応時間は、通常0.5〜48時間である。
【0023】
化合物(XI)は、自体公知の方法またはこれに準じた方法に従って製造でき、例えば、以下の反応式Fで示される方法により製造できる。
【化28】
上記式中、Xdは脱離基を示す。
Xdで示される「脱離基」としては、例えば前記Xで示される「脱離基」と同様のものが挙げられ、好ましくは、Xよりも反応性の低い脱離基である。
前記反応式Aに記載の方法と同様の方法により、化合物(II)と化合物(XII)とを反応させて化合物(XI)を得る。
化合物(XII)は、市販されている場合には、市販品をそのまま用いてもよく、また、自体公知の方法またはこれに準じた方法等に従って製造してもよい。
【0024】
化合物(I)のうち、R2が水素原子である化合物(Ib)は、以下の反応式Gに記載の方法に従っても製造できる。
【化29】
上記式中、Xeは脱離基を示す。
Xeで示される「脱離基」としては、例えば前記Xで示される「脱離基」と同様のものが挙げられる。
上記反応式Eに記載の方法と同様の方法により、化合物(XIII)と化合物(VI)または化合物(VII)とを反応させ、化合物(Ib)を得る。
【0025】
化合物(XIII)は、自体公知の方法またはこれに準じた方法に従って製造でき、例えば、以下の反応式Hで示される方法により製造できる。
【化30】
上記式中、Xfは脱離基を示す。
Xfで示される「脱離基」としては、例えば前記Xで示される「脱離基」と同様のものが挙げられ、好ましくは、Xよりも反応性の低い脱離基である。
前記反応式Aに記載の方法と同様の方法により、化合物(II)と化合物(XIV)とを反応させて化合物(XIII)を得る。
化合物(XIV)は、市販されている場合には、市販品をそのまま用いてもよく、また、自体公知の方法またはこれに準じた方法等に従って製造してもよい。
【0026】
前記「芳香族炭化水素類」としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどが用いられる。
前記「エーテル類」としては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサンなどが用いられる。
前記「ケトン類」としては、例えばアセトン、2−ブタノンなどが用いられる。
前記「ハロゲン化炭化水素類」としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタンなどが用いられる。
前記「アミド類」としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミドなどが用いられる。
前記「スルホキシド類」としては、例えばジメチルスルホキシドなどが用いられる。
【0027】
前記の各反応において、生成物が遊離体で得られた場合はその塩に、また、塩で得られた場合は遊離体にそれぞれ常法に従って変換することができる。
前記の反応において、置換基中にアミノ(NH2)、ヒドロキシ(OH)、カルボキシル(COOH)等が含まれる場合には、これらの基が保護されたものを原料として用い、反応後に自体公知の方法により保護基を除去して目的物を製造してもよい。アミノの保護基としては、例えばアシル(例、アセチル等のC1−6アルキル−カルボニル;ベンジルオキシカルボニル;tert−ブトキシカルボニル等のC1−6アルコキシ−カルボニル;フタロイル;ホルミル等)などが挙げられる。ヒドロキシの保護基としては、例えばC1−6アルキル(例、メチル、エチル等)、フェニル−C1−6アルキル(例、ベンジル等)、C1−6アルキル−カルボニル(例、アセチル等)、ベンゾイル、アルキル置換シリル(例、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル等)などが挙げられる。カルボキシルの保護基としては、例えばC1−6アルキル(例、メチル、エチル等)、フェニル−C1−6アルキル(例、ベンジル等)などが挙げられる。
【0028】
かくして得られた化合物(I)〔(Ia)および(Ib)を含む〕は、自体公知の分離手段、例えば濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離、精製することができる。
化合物(I)が遊離体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって目的とする塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法により、遊離体または、目的とする他の塩に変換することができる。
化合物(I)は、水和物であってもよく、非水和物であってもよい。
化合物(I)が光学活性体の混合物として得られる場合には、自体公知の光学分割手段により目的とする(R)体または(S)体に分離することができる。
化合物(I)は同位元素(例、3H、14C等)などで標識されていてもよい。
式
【化31】
〔式中、R1aはフルオロまたはトルフルオロメチルを、pは1または2を、X1は脱離基を示す〕で表わされる化合物またはその塩は、本発明の化合物(I)またはその塩を製造するための新規な合成中間体である。
X1で示される脱離基としては、例えば前記Xで示される「脱離基」と同様のものが挙げられ、なかでもハロゲン(例、クロロ、ブロモ)が好ましい。
化合物(IIa)の塩としては、化合物(I)の塩と同様のものが用いられる。
【0029】
化合物(I)またはその塩(以下、化合物(I)と略記する)のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)に変換する化合物、即ち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物をいう。化合物(I)のプロドラッグとしては、化合物(I)の水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例、化合物(I)の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等)等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって化合物(I)から製造することができる。
また、化合物(I)のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような生理的条件で化合物(I)に変化するものであってもよい。
【0030】
本発明の化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグ(以下、「本発明の化合物」と略記する場合がある)は、チロシンキナーゼ阻害作用を有し、哺乳動物におけるチロシンキナーゼ依存性疾患の予防または治療に用いることができる。特に、本発明の化合物は、HER2チロシンキナーゼを特異的に阻害するため、HER2を発現しているリウマチ患者滑膜の増殖を抑制する治療剤として、また、滑膜切除後の関節滑膜の再増殖、骨・関節破壊を防ぐ予防剤として有用である。
即ち、本発明の化合物は、滑膜細胞の増殖に伴うリウマチ疾患などの異常な細胞増殖による疾患に対する安全な予防または治療剤として用いることができる。本発明の化合物は、リウマチ疾患などの予防・治療のための抗リウマチ剤として有用である。
本発明の化合物は、毒性が低く、そのまま医薬として、または自体公知の薬学的に許容しうる担体などと混合して哺乳動物(例、ヒト、ウマ、ウシ、犬、猫、ラット、マウス、ウサギ、ブタ、サル等)に対して医薬組成物として用いることができる。
医薬組成物の中に本発明の化合物とともに他の活性成分、例えば下記の抗リウマチ剤、抗炎症剤(抗サイトカイン剤、COX阻害剤などの炎症を抑制する薬剤など)などを含有させてもよい。
【0031】
本発明の化合物を医薬として、ヒト等の哺乳動物に投与するにあたって、投与方法は通常例えば錠剤、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤などとして経口的、あるいは注射剤、坐剤、ペレットなどとして非経口的に投与できる。「非経口」には、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内、腹腔内および関節内、浮腫内部、浮腫の近位などへの投与あるいは直接病巣への投与を含む。本発明の化合物の投与量は、投与ルート、症状等によって異なるが、例えばリウマチ患者(体重40ないし80kg)に抗リウマチ剤として経口投与する場合、例えば1日0.5〜10mg/kg体重、好ましくは1日1〜5mg/kg体重、さらに好ましくは1日1〜2.5mg/kg体重である。この量を1日1回または2〜3回に分けて投与することができる。
【0032】
本発明の化合物は、薬学的に許容される担体と配合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの固形製剤;またはシロップ剤、注射剤などの液状製剤として経口または非経口的に投与することができる。
薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用されている各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。
滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤の好適な例としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。
溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油などが挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤の好適な例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などが挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトールなどが挙げられる。
緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、例えばベンジルアルコールなどが挙げられる。防腐剤の好適な例としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸などが挙げられる。
【0033】
医薬組成物は、剤型、投与方法、担体等により異なるが、本発明の化合物を製剤全量に対して通常0.1〜95%(w/w)含有させることにより、常法に従って製造することができる。
また、(1)本発明の化合物の有効量を投与することと、(2)▲1▼他の抗リウマチ剤の有効量を投与すること、▲2▼抗炎症剤の有効量を投与すること、および▲3▼非薬剤療法から成る群から選ばれる1〜3種とを組み合わせることにより、より効果的にリウマチを予防・治療することができる。非薬剤療法としては、例えば、基礎療法(例:運動と安静の組み合わせなど);リハビリテーション[例えば、運動療法(例:他動運動、自動運動など)、温熱療法(例:超音波療法やレーザー療法などの電気療法、またパラフィン浴やホットパック、入浴や部分浴、温泉浴など)や冷却療法(例:冷湿布、冷水浴など)等の理学療法、作業療法(例:手工芸、書道、絵画製作など)および装具療法(例:スプリント、ソフトカラーなど)等];外科的療法(例:滑膜切除術、関節固定術、頸椎固定術、人工関節置換術など);遺伝子治療(例:NFκBシグナル伝達阻害、Fasを介したアポトーシス等を誘発する遺伝子のin vivoまたはex vivo導入など)等が挙げられ、これらを2種以上組み合わせることもできる。
例えば、本発明の化合物は、他の抗リウマチ剤、抗炎症剤など(以下、併用薬物と略記する)と併用して使用することができる。
本発明の化合物は単剤として使用しても優れた抗リウマチ作用を示すが、さらに上記併用薬物の一つまたは幾つかと併用(多剤併用)することによって、その効果をより一層増強させることができる。
他の抗リウマチ剤としては、例えば、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィンなどの金製剤、ブシラミン、ペニシラミンなどのペニシラミン系薬剤、ロベンザリット二ナトリウムなどのロベンザリット系薬剤、アクリタット、サラゾスルファピリジン、メトトレキサート、ミゾリピン、シクロスポリン、アザチオプリン、シクロフォスファミド、ファルネシル酸プレドニゾロン等が挙げられる。
【0034】
抗炎症剤としては、例えば、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害薬である非ステロイド消炎鎮痛薬(例えば、各種アスピリンなどのサリチル酸系薬剤、メフェナム酸、フルフェナム酸などのアントラニール系薬剤、インドメタシン、スリンダク、アセメタシンなどのインドール酢酸系薬剤、ジクロフェナック、フェンブフェンなどのフェニル酢酸系薬剤、イブプロフェン、ケイトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、チアプロフェンなどのプロピオン系薬剤、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカムなどのオキシカム系薬剤、ケトフェニルブタゾンなどのピラゾロン系薬剤等)、抗サイトカイン剤(例:抗TNF−α抗体、抗IL−6抗体などの抗サイトカイン抗体、サイトカイン遺伝子のアンチセンスオリゴヌクレオチド、サイトカイン結合蛋白質等)などが挙げられる。
【0035】
本発明の化合物と併用薬物との併用に際しては、本発明の化合物と併用薬物の投与時期は限定されず、本発明の化合物と併用薬物とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。
本発明の化合物と併用薬物の投与形態は、特に限定されず、投与時に、本発明の化合物と併用薬物とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)本発明の化合物と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明の化合物→併用薬物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。以下、これらの投与形態をまとめて、本発明の併用剤と略記する。
【0036】
本発明の併用剤は、毒性が低く、例えば、本発明の化合物または(および)上記併用薬物を自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等として、経口的又は非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。注射剤は、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内、腹腔内および関節内、浮腫内部、浮腫の近位などへの投与あるいは直接病巣に投与することができる。
本発明の併用剤の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、前記した本発明の医薬組成物に使用されるものと同様のものを使用することができる。
【0037】
本発明の併用剤における本発明の化合物と併用薬物との配合比は、投与対象、投与ルート、疾患等により適宜選択することができる。
例えば、本発明の併用剤における本発明の化合物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01ないし100重量%、好ましくは約0.1ないし50重量%、さらに好ましくは約0.5ないし20重量%程度である。
本発明の併用剤における併用薬物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01ないし100重量%、好ましくは約0.1ないし50重量%、さらに好ましくは約0.5ないし20重量%程度である。
本発明の併用剤における担体等の添加剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1ないし99.99重量%、好ましくは約10ないし90重量%程度である。
また、本発明の化合物および併用薬物をそれぞれ別々に製剤化する場合も同様の含有量でよい。
【0038】
これらの製剤は、製剤工程において通常一般に用いられる自体公知の方法により製造することができる。
例えば、本発明の化合物または併用薬物は、分散剤(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社製、米国)、HCO 60(日光ケミカルズ製)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリンなど)、安定化剤(例、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等)、界面活性剤(例、ポリソルベート80、マクロゴール等)、可溶剤(例、グリセリン、エタノール等)、緩衝剤(例、リン酸及びそのアルカリ金属塩、クエン酸及びそのアルカリ金属塩等)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖等)、pH調節剤(例、塩酸、水酸化ナトリウム等)、保存剤(例、パラオキシ安息香酸エチル、安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール等)、溶解剤(例、濃グリセリン、メグルミン等)、溶解補助剤(例、プロピレングリコール、白糖等)、無痛化剤(例、ブドウ糖、ベンジルアルコール等)などと共に水性注射剤に、あるいはオリーブ油、ゴマ油、綿実油、コーン油などの植物油、プロピレングリコールなどの溶解補助剤に溶解、懸濁あるいは乳化して油性注射剤に成形し、注射剤とすることができる。
【0039】
経口投与用製剤とするには、自体公知の方法に従い、本発明の化合物または併用薬物を例えば、賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプンなど)、崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、結合剤(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)又は滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール 6000など)などを添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングすることにより経口投与製剤とすることができる。そのコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン 80、プルロニック F68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、ドイツ,メタアクリル酸・アクリル酸共重合)および色素(例、ベンガラ,二酸化チタン等)などが用いられる。経口投与用製剤は速放性製剤、徐放性製剤のいずれであってもよい。
【0040】
例えば、坐剤とするには、自体公知の方法に従い、本発明の化合物または併用薬物を油性又は水性の固状、半固状あるいは液状の坐剤とすることができる。上記組成物に用いる油性基剤としては、例えば、高級脂肪酸のグリセリド〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイナマイトノーベル社製,ドイツ)など〕、中級脂肪酸〔例、ミグリオール類(ダイナマイトノーベル社製,ドイツ)など〕、あるいは植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油など)などが挙げられる。また、水性基剤としては、例えばポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、水性ゲル基剤としては、例えば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル酸重合体などが挙げられる。
上記徐放性製剤としては、徐放性マイクロカプセル剤などが挙げられる。
徐放型マイクロカプセルとするには、自体公知の方法を採用できるが、例えば、下記〔2〕に示す徐放性製剤に成型して投与するのが好ましい。
本発明の化合物は、固形製剤(例、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤)などの経口投与用製剤に成型するか、坐剤などの直腸投与用製剤に成型するのが好ましい。特に経口投与用製剤が好ましい。
併用薬物は、薬物の種類に応じて上記した剤形とすることができる。
【0041】
以下に、〔1〕本発明の化合物または併用薬物の注射剤およびその調製、〔2〕本発明の化合物または併用薬物の徐放性製剤又は速放性製剤およびその調製、〔3〕本発明の化合物または併用薬物の舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤およびその調製について具体的に示す。
〔1〕注射剤およびその調製
本発明の化合物または併用薬物を水に溶解してなる注射剤が好ましい。該注射剤には安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩を含有させてもよい。
該注射剤は、本発明の化合物または併用薬物と所望により安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の双方を水に溶解することにより得られる。
上記安息香酸、サリチル酸の塩としては、例えばナトリウム,カリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム,マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、メグルミン塩、その他トロメタモールなどの有機酸塩などが挙げられる。
注射剤中の本発明の化合物または併用薬物の濃度は0.5〜50w/v%、好ましくは3〜20w/v%程度である。また安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の濃度は0.5〜50w/v%、好ましくは3〜20w/v%が好ましい。
【0042】
また、本剤には一般に注射剤に使用される添加剤、例えば安定化剤(アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等)、界面活性剤(ポリソルベート80、マクロゴール等)、可溶剤(グリセリン、エタノール等)、緩衝剤(リン酸及びそのアルカリ金属塩、クエン酸及びそのアルカリ金属塩等)、等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム等)、分散剤(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン等)、pH調節剤(塩酸、水酸化ナトリウム等)、保存剤(パラオキシ安息香酸エチル、安息香酸等)、溶解剤(濃グリセリン、メグルミン等)、溶解補助剤(プロピレングリコール、白糖等)、無痛化剤(ブドウ糖、ベンジルアルコール等)などを適宜配合することができる。これらの添加剤は一般に注射剤に通常用いられる割合で配合される。
注射剤はpH調節剤の添加により2〜12好ましくは2.5〜8.0に調整するのがよい。
注射剤は本発明の化合物または併用薬物と所望により安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の双方を、また必要により上記添加剤を水に溶解することにより得られる。これらの溶解はどのような順序で行ってもよく、従来の注射剤の製法と同様に適宜行うことができる。
注射用水溶液は加温するのがよく、また通常の注射剤と同様にたとえば濾過滅菌,高圧加熱滅菌などを行うことにより注射剤として供することができる。
注射用水溶液は、例えば100℃〜121℃の条件で5分〜30分高圧加熱滅菌するのがよい。
さらに多回分割投与製剤として使用できるように、溶液の抗菌性を付与した製剤としてもよい。
【0043】
〔2〕徐放性製剤又は速放性製剤およびその調製
本発明の化合物または併用薬物を含んでなる核を所望により水不溶性物質や膨潤性ポリマーなどの被膜剤で被覆してなる徐放性製剤が好ましい。例えば、1日1回投与型の経口投与用徐放性製剤が好ましい。
被膜剤に用いられる水不溶性物質としては、例えばエチルセルロース、ブチルセルロースなどのセルロースエーテル類、セルロースアセテート、セルロースプロピオネートなどのセルロースエステル類、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチレートなどのポリビニルエステル類、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート共重合体、エトキシエチルメタクリレート/シンナモエチルメタクリレート/アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、メタクリル酸アルキルアミド共重合体、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリメタクリレート、ポリメタクリルアミド、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリ(メタクリル酸アンヒドリド)、グリシジルメタクリレート共重合体、とりわけオイドラギットRS−100,RL−100,RS−30D,RL−30D,RL−PO,RS−PO(アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチル・アンモニウムエチル共重合体)、オイドラギットNE−30D(メタアクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体)などのオイドラギット類(ローム・ファーマ社)などのアクリル酸系ポリマー、硬化ヒマシ油(例、ラブリーワックス(フロイント産業)など)などの硬化油、カルナバワックス、脂肪酸グリセリンエステル、パラフィンなどのワックス類、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0044】
膨潤性ポリマーとしては、酸性の解離基を有し、pH依存性の膨潤を示すポリマーが好ましく、胃内のような酸性領域では膨潤が少なく、小腸や大腸などの中性領域で膨潤が大きくなる酸性の解離基を有するポリマーが好ましい。
このような酸性の解離基を有し pH依存性の膨潤を示すポリマーとしては、例えばカーボマー(Carbomer)934P、940、941、974P、980、1342等、ポリカーボフィル(polycarbophil)、カルシウムポリカボーフィル(carcium polycarbophil)(前記はいずれもBFグツドリッチ社製)、ハイビスワコー103、104、105、304(いずれも和光純薬(株)製)などの架橋型ポリアクリル酸重合体が挙げられる。
【0045】
徐放性製剤に用いられる被膜剤は親水性物質をさらに含んでいてもよい。
該親水性物質としては、例えばプルラン、デキストリン、アルギン酸アルカリ金属塩などの硫酸基を有していてもよい多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのヒドロキシアルキル基又はカルボキシアルキル基を有する多糖類、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
徐放性製剤の被膜剤における水不溶性物質の含有率は約30ないし約90%(w/w)、好ましくは約35ないし約80%(w/w)、さらに好ましくは約40ないし75%(w/w)、膨潤性ポリマーの含有率は約3ないし約30%(w/w)、好ましくは約3ないし約15%(w/w)である。被膜剤は親水性物質をさらに含んでいてもよく、その場合被膜剤における親水性物質の含有率は約50%(w/w)以下、好ましくは約5〜約40%(w/w)、さらに好ましくは約5〜約35%(w/w)である。ここで上記%(w/w)は被膜剤液から溶媒(例、水、メタノール、エタノール等の低級アルコール等)を除いた被膜剤組成物に対する重量%を示す。
【0046】
徐放性製剤は、以下に例示するように薬物を含む核を調製し、次いで得られた核を、水不溶性物質や膨潤性ポリマーなどを加熱溶解あるいは溶媒に溶解又は分散させた被膜剤液で被覆することにより製造される。
I.薬剤を含む核の調製
被膜剤で被覆される薬物を含む核(以下、単に核と称することがある)の形態は特に制限されないが、好ましくは顆粒あるいは細粒などの粒子状に形成される。
核が顆粒又は細粒の場合、その平均粒子径は、好ましくは約150ないし2,000μm、さらに好ましくは約500ないし約1,400μmである。
核の調製は通常の製造方法で実施することができる。例えば、薬物に適当な賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定化剤等を混合し、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法などにより調製する。
核の薬物含量は、約0.5ないし約95%(w/w)、好ましくは約5.0ないし約80%(w/w)、さらに好ましくは約30ないし約70%(w/w)である。
【0047】
核に含まれる賦形剤としては、例えば白糖、乳糖、マンニトール、グルコースなどの糖類、澱粉、結晶セルロース、リン酸カルシウム、コーンスターチなどが用いられる。中でも、結晶セルロース、コーンスターチが好ましい。
結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プルロニックF68、アラビアゴム、ゼラチン、澱粉などが用いられる。崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム(ECG505)、クロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol)、架橋型ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)などが用いられる。中でも、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。滑沢剤、凝集防止剤としては例えばタルク、ステアリン酸マグネシウムおよびその無機塩、また潤滑剤としてポリエチレングリコールなどが用いられる。安定化剤としては酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸などの酸が用いられる。
【0048】
核は上記製造法以外にも、例えば核の中心となる不活性担体粒子上に水、低級アルコール(例、メタノール、エタノールなど)等の適当な溶媒に溶解した結合剤をスプレーしながら、薬物あるいはこれと賦形剤、滑沢剤などとの混合物を少量づつ添加して行なう転動造粒法、パンコーティング法、流動層コーティング法や溶融造粒法によっても調製することができる。不活性担体粒子としては、例えば白糖、乳糖、澱粉、結晶セルロース、ワックス類で製造されたものが使用でき、その平均粒子径は約100μmないし約1,500μmであるものが好ましい。
核に含まれる薬物と被膜剤とを分離するために、防護剤で核の表面を被覆してもよい。防護剤としては、例えば前記親水性物質や、水不溶性物質等が用いられる。防護剤は、好ましくはポリエチレングリコールやヒドロキシアルキル基又はカルボキシアルキル基を有する多糖類、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが用いられる。該防護剤には安定化剤として酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等の酸や、タルクなどの滑沢剤を含んでいてもよい。防護剤を用いる場合、その被覆量は核に対して約1ないし約15%(w/w)、好ましくは約1ないし約10%(w/w)、さらに好ましくは約2ないし約8%(w/w)である。
防護剤は通常のコーティング法により被覆することができ、具体的には、防護剤を例えば流動層コーティング法、パンコーティング法等により核にスプレーコーティングすることで被覆することができる。
【0049】
II.核の被膜剤による被覆
前記Iで得られた核を、前記水不溶性物質及び pH依存性の膨潤性ポリマー、および親水性物質を加熱溶解あるいは溶媒に溶解又は分散させた被膜剤液により被覆することにより徐放性製剤が製造される。
核の被膜剤液による被覆方法として、例えば噴霧コーティングする方法などが挙げられる。
被膜剤液中の水不溶性物質、膨潤性ポリマー又は親水性物質の組成比は、被膜中の各成分の含有率がそれぞれ前記含有率となるように適宜選ばれる。
被膜剤の被覆量は、核(防護剤の被覆量を含まない)に対して約1ないし約90%(w/w)、好ましくは約5ないし約50%(w/w)、さらに好ましくは約5ないし35%(w/w)である。
【0050】
被膜剤液の溶媒としては水又は有機溶媒を単独であるいは両者の混液を用いることができる。混液を用いる際の水と有機溶媒との混合比(水/有機溶媒:重量比)は、1ないし100%の範囲で変化させることができ、好ましくは1ないし約30%である。該有機溶媒としては、水不溶性物質を溶解するものであれば特に限定されないが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等の低級アルコール、アセトンなどの低級アルカノン、アセトニトリル、クロロホルム、メチレンクロライドなどが用いられる。このうち低級アルコールが好ましく、エチルアルコール、イソプロピルアルコールが特に好ましい。水及び水と有機溶媒との混液が被膜剤の溶媒として好ましく用いられる。この時、必要であれば被膜剤液中に被膜剤液安定化のために酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸などの酸を加えてもよい。
噴霧コーティングにより被覆する場合の操作は通常のコーティング法により実施することができ、具体的には、被膜剤液を例えば流動層コーティング法、パンコーティング法等により核にスプレーコーティングすることで実施することができる。この時必要であれば、タルク、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸などを滑沢剤として、グリセリン脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油、クエン酸トリエチル、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどを可塑剤として添加してもよい。
被膜剤による被膜後、必要に応じてタルクなどの帯電防止剤を混合してもよい。
【0051】
速放性製剤は、液状(溶液、懸濁液、乳化物など)であっても固形状(粒子状、丸剤、錠剤など)であってもよい。経口投与剤、注射剤など非経口投与剤が用いられるが、経口投与剤が好ましい。
速放性製剤は、通常、活性成分である薬物に加えて、製剤分野で慣用される担体、添加剤や賦形剤(以下、賦形剤と略称することがある)を含んでいてもよい。用いられる製剤賦形剤は、製剤賦形剤として常用される賦形剤であれば特に限定されない。例えば経口固形製剤用の賦形剤としては、乳糖、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース(旭化成(株)製、アビセルPH101など)、粉糖、グラニュウ糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、L−システインなどが挙げられ、好ましくはコーンスターチおよびマンニトールなどが挙げられる。これらの賦形剤は一種又は二種以上を組み合わせて使用できる。賦形剤の含有量は速放性製剤全量に対して、例えば約4.5〜約99.4w/w%、好ましくは約20〜約98.5w/w%、さらに好ましくは約30〜約97w/w%である。
速放性製剤における薬物の含量は、速放性製剤全量に対して、約0.5〜約95%、好ましくは約1〜約60%の範囲から適宜選択することができる。
【0052】
速放性製剤が経口固型製剤の場合、通常上記成分に加えて、崩壊剤を含有する。このような崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム(五徳薬品製、ECG−505)、クロスカルメロースナトリウム(例えば、旭化成(株)製、アクジゾル)、クロスポビドン(例えば、BASF社製、コリドンCL)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学(株))、カルボキシメチルスターチ(松谷化学(株))、カルボキシメチルスターチナトリウム(木村産業製、エキスプロタブ)、部分α化デンプン(旭化成(株)製、PCS)などが用いられ、例えば水と接触して吸水、膨潤、あるいは核を構成している有効成分と賦形剤との間にチャネルを作るなどにより顆粒を崩壊させるものを用いることができる。これらの崩壊剤は、一種又は二種以上を組み合わせて使用できる。崩壊剤の配合量は、用いる薬物の種類や配合量、放出性の製剤設計などにより適宜選択されるが、速放性製剤全量に対して、例えば約0.05〜約30w/w%、好ましくは約0.5〜約15w/w%である。
【0053】
速放性製剤が経口固型製剤である場合、経口固型製剤の場合には上記の組成に加えて、所望により固型製剤において慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば結合剤(例えば、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリンなど)、滑沢剤(例えば、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸(例えば、アエロジル(日本アエロジル))、界面活性剤(例えば、アルキル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体等の非イオン系界面活性剤など)、着色剤(例えば、タール系色素、カラメル、ベンガラ、酸化チタン、リボフラビン類)、必要ならば、橋味剤(例えば、甘味剤、香料など)、吸着剤、防腐剤、湿潤剤、帯電防止剤などが用いられる。また、安定化剤として酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸などの有機酸を加えてもよい。
上記結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンなどが好ましく用いられる。
速放性製剤は、通常の製剤の製造技術に基づき、前記各成分を混合し、必要により、さらに練合し、成型することにより調製することができる。上記混合は、一般に用いられる方法、例えば、混合、練合などにより行われる。具体的には、例えば速放性製剤を粒子状に形成する場合、前記徐放性製剤の核の調製法と同様の手法により、バーチカルグラニュレーター、万能練合機(畑鉄工所製)、流動層造粒機FD−5S(パウレック社製)等を用いて混合しその後、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法などにより造粒することにより調製することができる。
このようにして得られた速放性製剤と徐放性製剤とは、そのままあるいは適宜、製剤賦形剤等と共に常法により別々に製剤化後、同時あるいは任意の投与間隔を挟んで組み合わせて投与する製剤としてもよく、また両者をそのままあるいは適宜、製剤賦形剤等と共に一つの経口投与製剤(例、顆粒剤、細粒剤、錠剤、カプセル等)に製剤化してもよい。両製剤を顆粒あるいは細粒に製して、同一のカプセル等に充填して経口投与用製剤としてもよい。
【0054】
〔3〕舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤およびその調製
舌下錠、バッカル製剤、口腔内速崩壊剤は錠剤などの固形製剤であってもよいし、口腔粘膜貼付錠(フィルム)であってもよい。
舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤としては、本発明の化合物または併用薬物と賦形剤とを含有する製剤が好ましい。また、滑沢剤、等張化剤、親水性担体、水分散性ポリマー、安定化剤などの補助剤を含有していてもよい。また、吸収を容易にし、生体内利用率を高めるためにβ−シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリン誘導体(例、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなど)などを含有していてもよい。
上記賦形剤としては、乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられ、特に、ステアリン酸マグネシウムやコロイドシリカが好ましい。等張化剤としては塩化ナトリウム、グルコース、フルクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、サッカロース、グリセリン、尿素などが挙げられ、特にマンニトールが好ましい。親水性担体としては結晶セルロース、エチルセルロース、架橋性ポリビニルピロリドン、軽質無水珪酸、珪酸、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウムなどの膨潤性親水性担体が挙げられ、特に結晶セルロース(例、微結晶セルロースなど)が好ましい。水分散性ポリマーとしてはガム(例、トラガカントガム、アカシアガム、グアーガム)、アルギン酸塩(例、アルギン酸ナトリウム)、セルロース誘導体(例、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ゼラチン、水溶性デンプン、ポリアクリル酸(例、カーボマー)、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリカーボフィル、アスコルビン酸パルミチン酸塩などが挙げられ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどが好ましい。特にヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。安定化剤としては、システイン、チオソルビトール、酒石酸、クエン酸、炭酸ナトリウム、アスコルビン酸、グリシン、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられ、特に、クエン酸やアスコルビン酸が好ましい。
【0055】
舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤は、本発明の化合物または併用薬物と賦形剤とを自体公知の方法により混合することにより製造することができる。さらに、所望により上記した滑沢剤、等張化剤、親水性担体、水分散性ポリマー、安定化剤、着色剤、甘味剤、防腐剤などの補助剤を混合してもよい。上記成分を同時に若しくは時間差をおいて混合した後、加圧打錠成形することにより舌下錠、バッカル錠又は口腔内速崩壊錠が得られる。適度な硬度を得るため、打錠成形の過程の前後において必要に応じ水やアルコールなどの溶媒を用いて加湿・湿潤させ、成形後、乾燥させて製造してもよい。
【0056】
粘膜貼付錠(フィルム)に成型する場合は、本発明の化合物または併用薬物および上記した水分散性ポリマー(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、賦形剤などを水などの溶媒に溶解させ、得られる溶液を流延させて(cast)フィルムとする。さらに、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、保存剤、着色剤、緩衝剤、甘味剤などの添加物を加えてもよい。フィルムに適度の弾性を与えるためポリエチレングリコールやプロピレングリコールなどのグリコール類を含有させたり、口腔の粘膜ライニングへのフィルムの接着を高めるため生物接着性ポリマー(例、ポリカルボフィル、カルボポール)を含有させてもよい。流延は、非接着性表面に溶液を注ぎ、ドクターブレードなどの塗布用具で均一な厚さ(好ましくは10〜1000ミクロン程度)にそれを広げ、次いで溶液を乾燥してフィルムを形成することにより達成される。このように形成されたフィルムは室温若しくは加温下乾燥させ、所望の表面積に切断すればよい。
【0057】
好ましい口腔内速崩壊剤としては、本発明の化合物または併用薬物と、本発明の化合物または併用薬物とは不活性である水溶性若しくは水拡散性キャリヤーとの網状体からなる固体状の急速拡散投与剤が挙げられる。該網状体は、本発明の化合物または併用薬物を適当な溶媒に溶解した溶液とから構成されている固体状の該組成物から溶媒を昇華することによって得られる。
該口腔内速崩壊剤の組成物中には、本発明の化合物または併用薬物に加えて、マトリックス形成剤と二次成分とを含んでいるのが好ましい。
該マトリックス形成剤としてはゼラチン類、デキストリン類ならびに大豆、小麦ならびにオオバコ(psyllium)種子タンパクなどの動物性タンパク類若しくは植物性タンパク類;アラビアゴム、ガーガム、寒天ならびにキサンタンなどのゴム質物質;多糖類;アルギン酸類;カルボキシメチルセルロース類;カラゲナン類;デキストラン類;ペクチン類;ポリビニルピロリドンなどの合成ポリマー類;ゼラチン−アラビアゴムコンプレックスなどから誘導される物質が含まれる。さらに、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトースならびにトレハロースなどの糖類;シクロデキストリンなどの環状糖類;リン酸ナトリウム、塩化ナトリウムならびにケイ酸アルミニウムなどの無機塩類;グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−ヒドロシキプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシンならびにL−フェニルアラニンなどの炭素原子数が2から12までのアミノ酸などが含まれる。
マトリックス形成剤は、その1種若しくはそれ以上を、固形化の前に、溶液又は懸濁液中に導入することができる。かかるマトリックス形成剤は、界面活性剤に加えて存在していてもよく、また界面活性剤が排除されて存在していてもよい。マトリックス形成剤はそのマトリックスを形成することに加えて、本発明の化合物または併用薬物の拡散状態をその溶液又は懸濁液中に維持する助けをすることができる。
【0058】
保存剤、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、着色剤、pH調整剤、香味料、甘味料若しくは食味マスキング剤などの二次成分を組成物中に含有していてよい。適当な着色剤としては、赤色、黒色ならびに黄色酸化鉄類およびエリス・アンド・エベラールド社のFD&Cブルー2号ならびにFD&Cレッド40号などのFD&C染料が挙げられる。適当な香味料には、ミント、ラスベリー、甘草、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、カラメル、バニラ、テェリーならびにグレープフレーバーおよびその組合せたものが含まれる。適当なpH調整剤は、クエン酸、酒石酸、リン酸、塩酸およびマレイン酸が含まれる。適当な甘味料としてはアスパルテーム、アセスルフェームKならびにタウマチンなどが含まれる。適当な食味マスキング剤としては、重炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂、シクロデキストリン包接化合物、吸着質物質ならびにマイクロカプセル化アポモルフィンが含まれる。
製剤には通常約0.1〜約50重量%、好ましくは約0.1〜約30重量%の本発明の化合物または併用薬物を含み、約1分〜約60分の間、好ましくは約1分〜約15分の間、より好ましくは約2分〜約5分の間に(水に)本発明の化合物または併用薬物の90%以上を溶解させることが可能な製剤(上記、舌下錠、バッカルなど)や、口腔内に入れられて1ないし60秒以内に、好ましくは1ないし30秒以内に、さらに好ましくは1ないし10秒以内に崩壊する口腔内速崩壊剤が好ましい。
【0059】
上記賦形剤の製剤全体に対する含有量は、約10〜約99重量%、好ましくは約30〜約90重量%である。β−シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリン誘導体の製剤全体に対する含有量は0〜約30重量%である。滑沢剤の製剤全体に対する含有量は、約0.01〜約10重量%、好ましくは約1〜約5重量%である。等張化剤の製剤全体に対する含有量は、約0.1〜約90重量%、好ましくは、約10〜約70重量%である。親水性担体の製剤全体に対する含有量は約0.1〜約50重量%、好ましくは約10〜約30重量%である。水分散性ポリマーの製剤全体に対する含有量は、約0.1〜約30重量%、好ましくは約10〜約25重量%である。安定化剤の製剤全体に対する含有量は約0.1〜約10重量%、好ましくは約1〜約5重量%である。上記製剤はさらに、着色剤、甘味剤、防腐剤などの添加剤を必要に応じ含有していてもよい。
【0060】
本発明の併用剤の投与量は、本発明の化合物の種類、年齢、体重、症状、剤形、投与方法、投与期間などにより異なるが、例えば、乳癌の患者(成人、体重約60kg)一人あたり、通常、本発明の化合物および併用薬物として、それぞれ1日約0.01〜約1000mg/kg、好ましくは約0.01〜約100mg/kg、より好ましくは約0.1〜約100mg/kg、とりわけ約0.1〜約50mg/kgを、なかでも約1.5〜約30mg/kgを1日1回から数回に分けて静脈投与される。もちろん、前記したように投与量は種々の条件で変動するので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
併用薬物は、副作用が問題とならない範囲でどのような量を設定することも可能である。併用薬物としての一日投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、感受性差、投与の時期、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、薬物の量として通常、たとえば経口投与で哺乳動物1kg体重あたり約0.001〜2000mg、好ましくは約0.01〜500mg、さらに好ましくは、約0.1〜100mg程度であり、これを通常1日1〜4回に分けて投与する。
【0061】
本発明の併用剤を投与するに際しては、同時期に投与してもよいが、併用薬物を先に投与した後、本発明の化合物を投与してもよいし、本発明の化合物を先に投与し、その後で併用薬物を投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により異なるが、例えば、併用薬物を先に投与する場合、併用薬物を投与した後1分〜3日以内、好ましくは10分〜1日以内、より好ましくは15分〜1時間以内に本発明の化合物を投与する方法が挙げられる。本発明の化合物を先に投与する場合、本発明の化合物を投与した後、1分〜1日以内、好ましくは10分〜6時間以内、より好ましくは15分から1時間以内に併用薬物を投与する方法が挙げられる。
好ましい投与方法としては、例えば、経口投与製剤に製形された併用薬物約0.001〜200mg/kgを経口投与し、約15分後に経口投与製剤に製形された本発明の化合物 約0.005〜100mg/kgを1日量として経口投与する。
【0062】
また、本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を、例えば、基礎療法(例:運動と安静の組み合わせなど);リハビリテーション[例えば、運動療法(例:他動運動、自動運動など)、温熱療法(例:超音波療法やレーザー療法などの電気療法、またパラフィン浴やホットパック、入浴や部分浴、温泉浴など)や冷却療法(例:冷湿布、冷水浴など)等の理学療法、作業療法(例:手工芸、書道、絵画製作など)および装具療法(例:スプリント、ソフトカラーなど)等];外科的療法(例:滑膜切除術、関節固定術、頸椎固定術、人工関節置換術など);遺伝子治療(例:NFκBシグナル伝達阻害、Fasを介したアポトーシス等を誘発する遺伝子のin vivoまたはex vivo導入など)等の非薬剤療法と組み合わせることもできる。
例えば、本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を手術等の前または後に、あるいはこれら2、3種を組み合わせた治療前または後に使用することによって、副作用の防止・軽減、滑膜増殖抑制作用低減の阻止、無病期(Disease−Free Survival)・寛解期の延長、骨・関節破壊あるいは浮腫形成拡大の抑制、QOLの向上、延命などの効果が得られる。
また、本発明の医薬組成物または本発明の併用剤による治療と、支持療法〔(i)各種感染病の併発に対する抗生物質(例えば、パンスポリンなどのβ−ラクタム系、クラリスロマイシンなどのマクロライド系など)の投与、(ii)栄養障害改善のための高カロリー輸液、アミノ酸製剤、総合ビタミン剤の投与、(iii)疼痛緩和のためのモルヒネ投与、(iv)悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、白血球減少、血小板減少、ヘモグロビン濃度低下、脱毛、肝障害、腎障害、DIC、発熱などのような副作用を改善する薬剤の投与など〕を組み合わせることもできる。
前記の処置を施す前または施した後に、本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を経口投与(徐放性を含む)、静脈内投与(bolus、infusion、包接体を含む)、皮下および筋注(bolus、infusion、徐放性を含む)、経皮、腫瘍内および近位投与によって投与するのが好ましい。
手術等の前に本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を投与する場合の時期としては、例えば、手術等の約30分〜24時間前に1回投与することもできるし、あるいは手術等の約3ヶ月〜6ヶ月前に1〜3サイクルに分けて投与することもできる。このように、手術等の前に本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を投与することにより、例えば骨・関節破壊を抑制し浮腫を縮小させることができるので、手術等がしやすくなる。
手術等の後に本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を投与する場合の時期としては、手術等の約30分〜24時間後に、例えば数週間〜3ヶ月単位で反復投与することができる。このように、手術等の後に本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を投与することにより、手術等の効果を高めることができる。
【0063】
【実施例】
以下に参考例、実施例、製剤例および試験例を挙げて、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例および実施例のカラムクロマトグラフィーにおける溶出は、TLC(Thin Layer Chromatography, 薄層クロマトグラフィー)による観察下に行われた。TLCの観察においては、TLCプレートとしてメルク社製のキーゼルゲル60F254プレートを使用し、展開溶媒としてはカラムクロマトグラフィーで溶出溶媒として用いられた溶媒を、検出法としてUV検出器を採用した。カラム用シリカゲルは、同じくメルク社製のキーゼルゲル60F254(70〜230メッシュ)を用いた。NMRスペクトルは、プロトンNMRを示し、内部標準としてテトラメチルシランを用いてVARIAN Gemini−200(200MHz型スペクトロメーター)で測定し、δ値をppmで表した。
参考例および実施例で用いる略号は、次のような意義を有する。
s :シングレット
br :ブロード(幅広い)
d :ダブレット
t :トリプレット
q :クワルテット
dd :ダブルダブレット
dt :ダブルトリプレット
m :マルチプレット
J :カップリング定数
Hz :ヘルツ
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
【0064】
参考例1
4−クロロメチル−2−[(E)−2−(4−メチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール
【化32】
(i)(E)−3−(4−メチルフェニル)−2−プロペナミド
4−メチル桂皮酸(15.19g)のTHF(100ml)溶液にDMF(5滴)を加え、氷冷下、塩化オキサリル(9.6ml)を加え、室温で2時間攪拌した。塩化オキサリル(4.0ml)を追加し、さらに室温で1時間攪拌後、濃縮乾固した。残留物を酢酸エチル(50ml)に溶解し、氷冷下25%アンモニア水(50ml)−酢酸エチル(20ml)混液に滴下した。水層を塩析し、有機層を酢酸エチルで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。析出物をヘキサンおよびジエチルエーテルで洗浄し、標題化合物(11.63g)を無色結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ : 2.37 (3H, s), 5.56 (2H, brs), 6.41 (1H, d, J = 15.8Hz), 7.18 (2H, d, J = 8.0Hz), 7.42 (2H, d, J = 8.0Hz), 7.62 (1H, d, J = 15.8Hz).
IR (KBr) : 1671, 1601, 1518, 1397, 1254, 1123, 990, 816cm−1. (ii)4−クロロメチル−2−[(E)−2−(4−メチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール
(E)−3−(4−メチルフェニル)−2−プロペナミド(8.06g)および1,3−ジクロロアセトン(6.98g)をトルエン(50ml)中3時間還流した。冷後、反応液を酢酸エチルで希釈し、水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:ヘキサン=1:4)に付して精製し、標題化合物(8.44g)を白色粉末晶として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ : 2.38 (3H, s), 4.54 (2H, s), 6.87 (1H, d, J = 16.2Hz), 7.20 (2H, d, J = 8.2Hz), 7.43 (2H, d, J = 8.2Hz), 7.52 (1H, d, J = 16.2Hz), 7.62 (1H, s).
IR (KBr) : 1642, 1607, 1591, 1537, 1345, 1267, 976, 943, 810cm−1.
【0065】
参考例2
4−クロロメチル−2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール
【化33】
4−フルオロ桂皮酸(25g)をジクロロメタン(300ml)に懸濁し、氷冷・撹拌下、DMF(0.5mL)、ついで塩化オキサリル(15.36mL)を滴下し、3時間同温度を保ち、徐々に室温に戻した。減圧下、溶媒を留去して残留物を酢酸エチル(100mL)に溶解した。本溶液を、氷冷した25%アンモニア水(250mL)および酢酸エチル(52.5mL)の混合溶液に滴下した。反応液を酢酸エチル(400mL×2)で抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去し、析出結晶を濾取・乾燥し、(E)−3−(4−フルオロフェニル)−2−プロペナミド(24.4g)を得た。
得られた(E)−3−(4−フルオロフェニル)−2−プロペナミド(17.55g)および1,3−ジクロロアセトン(12.85g)を130℃で溶融し、1.5時間かきまぜた。室温に戻して酢酸エチルで抽出し、氷水、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(溶出液;ジエチルエーテル:ヘキサン=1:9→3:17)に付して精製し、標題化合物(10.5g)を無色結晶として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:4.54(2H,s), 6.84(1H,d,J=16.0Hz), 7.09(2H,t,J=8.8Hz), 7.47−7.55(3H,m), 7.63(1H,s).
IR (KBr):3173, 3133, 3063, 3040, 1645, 1601, 1591, 1537, 1508, 1435, 1416, 1350, 1275, 1233, 1167, 1101, 999 cm −1.
【0066】
参考例3
4−クロロメチル−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール
【化34】
(i)(E)−3−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−プロペナミド
4−トリフルオロメチル桂皮酸(19.4g)、DMF(6滴)のTHF(100ml)懸濁液に0℃で塩化オキサリル(11.7ml)を滴下し、室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧留去後、残渣を酢酸エチル(60ml)に溶解し、25%アンモニア水−酢酸エチル(5:1、120ml)に注いだ。水層を塩析後、酢酸エチル−THF(12:1)混液(650ml)、酢酸エチル(100ml×2)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶し、標題化合物(18.0g)を無色板状結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ : 5.58 (2H, br s), 6.53 (1H, d, J = 15.8Hz), 7.63−7.72(5H, m).
IR (KBr): 3326, 3167, 1686, 1636, 1617, 1404, 1190 cm−1.
【0067】
(ii)4−クロロメチル−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール
(E)−3−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−プロペナミド(17.9g)、1,3−ジクロロアセトン(14.8g)のトルエン溶液(83ml)溶液をディーン・スターク(Dean−Stark)装置を用いて9時間加熱還流した。冷後、反応液に水を加えて酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液、ヘキサン:酢酸メチル=6:1→5:1)で精製し、標題化合物(15.1g)を無色針状結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ :4.55 (2H, d, J = 0.8Hz), 7.00 (1H, d, J = 16.2Hz), 7.56 (1H, d, J = 16.2Hz), 7.64−7.68 (5H, m).
IR (KBr): 1350, 1325, 1170, 1136, 1113, 1071, 959, 826, 727, 708 cm−1.
【0068】
参考例4
4−クロロメチル−2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール
【化35】
(E)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−プロペナミド(9.16g)、1,3−ジクロロアセトン(7.62g)を用いて参考例1−(ii)と同様の反応を行い、標題化合物(6.31g)を無色結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ : 4.55 (2H, s), 6.8−7.0 (2H, m), 6.96 (1H, d, J = 16.8Hz), 7.45−7.7 (3H, m).
【0069】
参考例5
4−クロロメチル−2−[(E)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール
【化36】
(E)−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−プロペナミド(9.0g)および1,3−ジクロロアセトン(7.49g)を用いて参考例1−(ii)と同様の反応を行い、標題化合物(7.18g)を淡黄色固体として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ : 4.55 (2H, s), 6.85−7.0 (2H, m), 7.2−7.35 (2H, m), 7.55−7.7 (1H, m), 7.66 (1H, s).
【0070】
参考例6
3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
【化37】
3,4−ジヒドロキシブチロニトリル(30.33g)を無水メタノール(12.2ml)に溶解し、氷冷・撹拌下、5.12規定塩化水素エーテル溶液(62ml)を5℃以下で加えた。同温度で35時間撹拌すると二層の溶液が得られた。上層を除き、下層を無水メタノール(45ml)に溶解した。アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール(31.5g)の無水メタノール(45ml)溶液を氷冷・撹拌下、20℃以下で加え、27時間撹拌した。減圧下、溶媒を留去し、残留物に水(57ml)と濃塩酸(142ml)を加えて室温で2時間撹拌した。減圧下、溶媒を留去し、残留物に炭酸カリウム水溶液を加えpH10に調整後、再度溶媒を留去した。残渣をエタノール(500ml)で抽出し、濃縮乾固した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製後、イオン交換樹脂(アンバーリスト15)で脱塩処理し、標題化合物(13.16g)を淡褐色結晶として得た。
mp 98−100 ℃.
1H−NMR(DMSO−d6)δ:2.60(1H,dd,J=7.6Hz,14.8Hz), 2.80(1H,dd,J=5.0Hz,14.8Hz), 3.28(1H,dd,J=5.6Hz,10.2Hz), 3.35(1H,dd,J=5.4Hz,10.2Hz), 3.72−3.85(1H,m), 6.88(2H,s).
IR (KBr):3167, 3094, 2928, 2656, 1559, 1456, 1416, 1379, 1327, 1291, 1275, 1242, 1202, 1152, 1111, 1092, 1044 cm−1.
【0071】
参考例7
(2R)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
【化38】
(i)(2R)−1−(ベンジルオキシ)−3−(1−トリチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−プロパノール
1−トリチルイミダゾール(3.10g)のTHF溶液(80ml)にアルゴン雰囲気中、氷冷下、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液、6.9ml)を滴下した。同温度で30分間攪拌後、(R)−2−[(ベンジルオキシ)メチル]オキシラン(1.52ml)を加えた。氷冷下で1.5時間、室温で1時間攪拌後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:ヘキサン=1:1)に付して精製し、標題化合物(1.402g)を淡黄色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 2.06 (2H, dd, J = 2.8Hz, 18.0Hz), 3.08 (1H, dd, J = 5.4Hz, 9.8Hz), 3.21 (1H, dd, J = 5.4Hz, 9.8Hz), 3.55−3.7 (1H, m), 4.36 (2H, s), 6.73 (1H, d, J = 1.4Hz), 6.93 (1H, d, J = 1.4Hz), 7.0−7.4 (20H, m).
【0072】
(ii)(2R)−1−(ベンジルオキシ)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−プロパノール
(2R)−1−(ベンジルオキシ)−3−(1−トリチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−プロパノール(1.40g)のアセトン(8ml)溶液に1規定塩酸(8ml)を加え、50℃で1時間攪拌した。1規定塩酸(8ml)追加し、さらに50℃で2時間撹拌した。反応液を濃縮して水を加え、ジエチルエーテルで2回洗浄した。水層を重曹水で中和後、酢酸エチルで抽出し、食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:メタノ−ル=10:1)に付して精製し、標題化合物(424mg)を無色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ: 2.85 (1H, dd, J = 7.8Hz, 15.6Hz), 2.99 (1H, dd, J = 3.6Hz, 15.6Hz), 3.39 (1H, dd, J = 7.0Hz, 9.5Hz), 3.52 (1H, dd, J = 4.4Hz, 9.5Hz), 4.1−4.3 (1H, m), 4.55 (2H, s), 6.94 (2H, s), 7.3−7.45 (5H, m).
【0073】
(iii)(2R)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
(2R)−1−(ベンジルオキシ)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−プロパノール(424mg)のメタノール(10ml)溶液に10%パラジウム炭素(50%含水、85mg)を加え、水素雰囲気下、50−60℃で2日間攪拌した。触媒をろ去し、ろ液を濃縮し、標題化合物(254mg)を白色固体として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ: 2.58 (1H,dd,J=7.6Hz, 14.6Hz), 2.78 (1H, dd, J =5.2Hz, 14.6Hz), 3.17 (1H, d, J=5.2Hz), 3.2−3.3 (1H, m), 3.7−3.85 (1H, m), 4.6−4.7 (1H, m), 4.86 (1H, d, J=4.8Hz), 6.76 (1H, brs), 6.95 (1H, brs). [α]D 22 = + 2.5°(c = 1.0,メタノール)
【0074】
参考例8
(2S)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
【化39】
(i)(3S)−4−(ベンジルオキシ)−3−(トリメチルシリルオキシ)ブチロニトリル
(2S)−2−[(ベンジルオキシ)メチル]オキシラン(6.57g)とトリメチルシランカルボニトリル(5.0g)の混合液にシアン化カリウム(26mg)と18−クラウン−6(106mg)を加えてアルゴン雰囲気下、135℃で75分間還流した。冷後、減圧蒸留に付し、標題化合物(7.42g)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ : 0.15(9H,s), 2.52(1H,dd,J=6.6Hz,16.6Hz), 2.65(1H,dd, J=4.6Hz, 16.6Hz), 3.39(1H,dd,J=6.8Hz,9.6Hz), 3.50(1H,dd,J=4.8Hz,9.6Hz), 4.01−4.14(1H,m), 4.52(2H,s), 7.26−7.44(5H,m).
IR (neat):3065, 3032, 2957, 2903, 2865, 2251, 1607, 1588, 1497, 1454, 1416, 1366, 1254, 1209, 1117, 1001 cm−1.
【0075】
(ii)(3S)−4−(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシブチロニトリル
(3S)−4−(ベンジルオキシ)−3−[(トリメチルシリル)オキシ]ブチロニトリル(7.41g)をテトラヒドロフラン(28.2ml)に溶解し、氷冷撹拌下、1M−テトラブチルアンモニウムフルオリドTHF溶液(28.2ml)を加えて1.5時間撹拌した。減圧下、溶媒を留去し、残渣をエーテルに溶解し、水、飽和食塩水で洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し標題化合物(4.58g)を無色油状物として得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:2.56(1H,dd,J=6.4Hz,16.8Hz), 2.70(1H,dd,J=4.6Hz,16.8Hz), 3.34(1H,dd,J=6.2Hz,9.8Hz), 3.44(1H,dd,J=5.4Hz,9.8Hz), 3.85−3.95(1H,m),5.52(2H,d,J=5.2Hz), 7.25−7.40(5H,m).
IR (neat):3600−3200, 3065, 3032, 2867, 2253, 1605, 1586, 1497, 1454, 1416, 1364, 1308, 1254, 1208, 1101, 1078 cm−1.
【0076】
(iii)(2S)−1−(ベンジルオキシ)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−プロパノール
(3S)−4−(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシブチロニトリル(6.51g)、5.12規定塩化水素エーテル溶液(7.0ml)、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール(3.58g)を用いて参考例6と同様の反応を行い、標題化合物(2.22g)を淡褐色油状物として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:2.84(1H,dd,J=7.8Hz,15.4Hz), 2.97(1H,dd,J=3.6Hz,15.4Hz), 3.41(1H,dd,J=6.8Hz,9.4Hz), 3.51(1H,dd,J=4.4Hz,9.4Hz), 4.11−4.23(1H,m), 4.54(2H,s), 6.91(2H,s), 7.27(5H,m).
IR (neat):3400−3140, 3065, 3032, 2903, 2865, 1601, 1557, 1495, 1454, 1427, 1366, 1312, 1206, 1101, 1028 cm−1.
[α]D 22 = − 2.3°(c = 1.04,メタノール)
【0077】
(iv)(2S)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
(2S)−1−(ベンジルオキシ)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−プロパノール(1.725g)をエタノール(30ml)に溶解し、10%パラジウム炭素(1.04g)を加え、60℃、5気圧の水素雰囲気下、24時間激しく撹拌した。触媒を濾去し、溶媒留去後の残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製すると標題化合物(0.945g)が得られた。
本品のスペクトルデータ(1H−NMR、IR)は参考例6の化合物と一致した。
【0078】
参考例9
【化40】
(i)4−(4−ベンジルオキシフェニル)−3−ブテン−1−オール
アルゴン雰囲気下、3−ヒドロキシプロピルトリフェニルホスホニウムブロミド(4.02g)を脱水THF(30ml)に懸濁し、60%油性水素化ナトリウム(0.4g)を加えて、3時間還流した。反応液に4−ベンジルオキシベンズアルデヒド(2.12g)の脱水THF溶液(7ml)を滴下し、67時間還流した。冷後、不溶物をろ去し、ろ液を減圧濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル=9:1→4:1)に付して精製し、題記化合物(1.76g)を無色結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 2.46(0.8H,dq,J=1.4Hz,6.2Hz), 2.61(1.2H,dq,J=1.6Hz,6.4Hz), 3.71−3.78(2H,m), 5.06(1.2H,s), 5.07(1.8H,s), 5.59(0.6H,dt,J=7.2Hz,11.6Hz), 6.07(0.4H,dt,J=7.2Hz,15.8Hz), 6.45(0.4H,d,J=15.8Hz), 6.52(0.6H,d,J=11.6Hz), 6.89−6.98(2H,m), 7.22−7.46(7H,m).
IR (KBr): 3279, 3063, 3036, 3011, 2911, 2867, 1607, 1574, 1510, 1470, 1454, 1383, 1302, 1250, 1177, 1117, 1053, 1017 cm−1.
【0079】
(ii)4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール
4−(4−ベンジルオキシフェニル)−3−ブテン−1−オール(1.70g)をメタノール−THF混液(1:1,20mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(0.17g)を添加後、水素雰囲気下、1.5時間激しくかきまぜた。触媒をろ去して、ろ液を減圧濃縮し、標題化合物(1.1g)を無色結晶性粉末として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.50−1.76(4H,m), 2.57(2H,t,J=7.1Hz), 3.67(2H,t,J=6.2Hz), 6.74(2H,d,J=8.4Hz), 7.03(2H,d,J=8.4Hz).
IR (KBr): 3500−3100, 3025, 2940, 2859, 1615, 1597, 1514, 1456, 1362, 1240, 1173, 1107, 1055, 1024 cm−1.
【0080】
(iii)4−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−1−ブタノール
アルゴン雰囲気下、4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール(9.43g)、65%油性水素化ナトリウム(2.4g)に乾燥DMF(115ml)を加え15分間かきまぜた。次いで氷冷撹拌下、ベンジルブロミド(9.87g)の乾燥ジメチルホルムアミド(29.5ml)溶液を滴下し同温度で2時間かきまぜた。反応液に、氷水および1規定硫酸水素カリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物(10.67g)を無色結晶性粉末として得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ: 1.34−1.64(4H,m), 2.50(2H,t,J=7.0Hz), 3.39(2H,dt,J=5.2Hz,6.4Hz), 4.34(1H,t,J=5.2Hz), 5.05(2H,s), 6.90(2H,d,J=8.6Hz), 7.09(2H,d,J=8.6Hz), 7.28−7.47(5H,m).
IR (KBr): 3500−3200, 3048, 3036, 2928, 2907, 2861, 2840, 1615, 1582, 1514, 1472, 1454, 1379, 1360, 1298, 1285, 1250, 1175, 1119, 1063, 1012 cm−1.
【0081】
(iv)4−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ブチル メタンスルホナート
4−(4−ベンジルオキシフェニル)ブタノール(10g)の酢酸エチル(390mL)溶液に氷冷下、トリエチルアミン(8.16mL)及びメタンスルホニルクロリド(4.53mL)を滴下した。同温度で30分、室温で1時間撹拌した後、氷水と飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去すると標題化合物(14g)が油状物として得られた。本品は精製する事なく次の工程に用いた。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.64−1.86(4H,m), 2.60(2H,t,J=7.1Hz), 2.98(3H,s), 4.23(2H,t,J=6.1Hz), 5.05(2H,s), 6.91(2H,d,J=8.8Hz), 7.09(2H,d,J=8.8Hz), 7.32−7.48(5H,m).
IR (neat):3063, 3031, 2940, 2865, 1611, 1584, 1512, 1456, 1354, 1337, 1240, 1175, 1115, 1015 cm−1.
【0082】
(v)ベンジル 4−(4−ヨードブチル)フェニル エーテル
ヨウ化ナトリウム(29.25g)をアセトン(195ml)に溶解し、4−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ブチルメタンスルホナート(13g)を加えて、80℃で1.5時間還流した。冷後、溶媒を留去し、残留物に酢酸エチル(750ml)を加え、水、チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下、溶媒を留去すると標題化合物(14.29g)が油状物として得られた。本品は精製する事なく次の工程に用いた。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.63−1.93(4H,m), 2.57(2H,t,J=7.3Hz), 3.19(2H,t,J=6.8Hz),5.04(2H,s), 6.90(2H,d,J=8.8Hz), 7.09(2H,d,J=8.8Hz), 7.30−7.47(5H,m).
IR (neat):3063, 3031, 2932, 2857, 1611, 1582, 1510, 1454, 1381, 1298, 1238, 1175, 1121, 1026 cm−1.
【0083】
(vi)1−[4−(4−ベンジルオキシフェニル)ブチル]−1H−1,2,3−トリアゾール
ベンジル 4−(4−ヨードブチル)フェニル エーテル(1.1g)、1H−1,2,3−トリアゾール(0.31g)、炭酸カリウム(0.622g)をDMF(7.5ml)に懸濁して、70℃で26.5時間かきまぜた。冷後、反応液を酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル=4:1→2:3)に付し、標題化合物(0.391g)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ : 1.61(2H,quintet,J=7.8Hz), 1.93(2H,quintet,J=7.8Hz), 2.59(2H,t,J=7.6Hz), 4.39(2H,t,J=7.1Hz), 5.04(2H,s), 6.90(2H,d,J=8.8Hz), 7.06(2H,d,J=8.8Hz), 7.30−7.48(5H,m), 7.49(1H,s), 7.69(1H,s).
IR (KBr):3106, 3034, 2940, 2861, 1611, 1582, 1512, 1454, 1387, 1298, 1244, 1177, 1113, 1080, 1040, 1028 cm−1.
【0084】
(vii)4−[4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ブチル]フェノール
1−[4−(4−ベンジルオキシフェニル)ブチル]−1H−1,2,3−トリアゾール(0.38g)をメタノール(7.6ml)に溶解して、10%−パラジウム炭素(0.1g)を添加し、水素雰囲気下、14時間激しくかきまぜた。触媒を濾去して、濾液を減圧下、濃縮乾固し、標題化合物(0.268g)を結晶性粉末として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ :1.60(2H,quintet,J=7.0Hz), 1.93(2H,quintet,J=7.4Hz), 2.57(2H,t,J=7.5Hz), 4.40(2H,t,J=7.0Hz), 6.79(2H,d,J=8.6Hz), 6.99(2H,d,J=8.6Hz), 7.51(1H,s), 7.71(1H,s).
IR (KBr):3148, 3129, 3017, 2946, 2861, 2814, 1615, 1593, 1514, 1462, 1381, 1269, 1242, 1225, 1123, 1078 cm−1.
【0085】
参考例10
4−[3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル]フェノール
【化41】
ベンジル 4−(3−ヨードプロピル)フェニル エーテル(2.47g)、1H−1,2,3−トリアゾール(629mgl)、炭酸カリウム(1.26gl)をDMF(17.5ml)に懸濁して、70℃で18.5時間かきまぜた。室温に戻し、酢酸エチルで抽出後、水、飽和食塩水で洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液、ヘキサン:酢酸エチル=4:1→2:3)に付して精製を行い1−[3−(4−ベンジルオキシフェニル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール(856mg)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ :2.23(2H,quintet,J=7.2Hz), 2.60(2H,t,J=7.5Hz), 4.38(2H,t,J=7.1Hz), 5.05(2H,s), 6.92(2H,d,J=8.8Hz), 7.10(2H,d,J=8.8Hz), 7.30−7.48(5H,m), 7.52(1H,s), 7.72(1H,s).
IR (KBr):3100, 3030, 2960, 2926, 2860, 1613, 1585, 1514, 1454, 1383, 1298, 1250, 1215, 1177, 1115, 1082, 1044, 1028, 1019 cm−1.
【0086】
1−[3−(4−ベンジルオキシフェニル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール(850mg)をメタノール(29ml)に溶解して、10%−パラジウム炭素(0.1g)を添加し、水素雰囲気下、13時間激しくかきまぜた。触媒を濾去して、濾液を減圧下、濃縮乾固し、標題化合物(600mg)を結晶性粉末として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:2.22(2H,quintet,J=7.0Hz), 2.56(2H,t,J=7.0Hz), 4.38(2H,t,J=7.0Hz), 6.87(2H,d,J=8.6Hz), 7.04(2H,d,J=8.6Hz), 7.55(1H,s), 7.74(1H,s).
IR (KBr):3127, 3100, 3015, 2932, 1615, 1595, 1516, 1456, 1373, 1244, 1223, 1175, 1121, 1080, 1038 cm−1.
【0087】
参考例11
3−[3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル]フェノール
【化42】
(i)3−[3−(ベンジルオキシ)フェニル]−1−プロパノール
アルゴン気流下、3−ベンジルオキシベンズアルデヒド(21.3g)とジエチルホスホノ酢酸エチル(23.6g)を乾燥DMF(250ml)に懸濁させた。氷冷・撹拌下、65%油性水素化ナトリウム(3.88g)を少量ずつ添加し、添加終了後、室温で2時間撹拌した。溶媒を留去後、残渣を酢酸エチルに溶解し、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去すると(E)−3−[3−(ベンジルオキシ)フェニル]−2−プロペン酸エチルの粗生成物33.15gが油状物として得られた。本品をエタノール(406ml)に溶解し、エチレンジアミンで処理した5%パラジウム炭素[Pd−C(en),2.7g]を加え、水素雰囲気下、激しく撹拌した。水素(1.75L)を消費させて水素添加を終了し、触媒を濾去した。減圧下、溶媒を留去し、残渣を脱水THF(120ml)に溶解した。本溶液を氷冷下、水素化リチウムアルミニウム(4.61g)を懸濁させた脱水THF(120ml)混液に滴下した。氷冷下で1.5時間、さらに室温で1時間撹拌した。反応液を氷水に加え、酸性に調整後、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物(14.39g)を無色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ :1.80−1.96(2H,m), 2.69(2H,t,J=7.7Hz), 3.66(2H,t,J=6.4Hz), 5.05(2H,s), 6.77−6.87(3H,m), 7.20(1H,t,J=8.0Hz), 7.28−7.48(5H,m).
IR (neat):3330, 3063, 3032, 2940, 2867, 1599, 1582, 1487, 1453, 1381, 1314, 1258, 1155, 1026 cm−1.
【0088】
(ii)3−[3−(ベンジルオキシ)フェニル]プロピル メタンスルホナート3−(3−ベンジルオキシフェニル)プロパノール(13.5g)、トリエチルアミン(8.16ml)およびメタンスルホニルクロリド(4.53ml)を用いて、参考例9−(iv)と同様の反応を行い、標題化合物(19.7g)を油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ :2.00−2.15(2H,m), 2.73(2H,t,J=7.5Hz), 2.98(3H,s), 4.22(2H,t,J=6.3Hz), 5.06(2H,s), 6.77−6.88(3H,m), 7.22(1H,t,J=7.7Hz), 7.31−7.48(5H,m).
IR (neat):3032, 2940, 2870, 1599, 1584, 1487, 1453, 1381, 1354, 1260, 1175, 1026 cm−1.
【0089】
(iii)ベンジル 3−(3−ヨードプロピル)フェニル エーテル
3−[3−(ベンジルオキシ)フェニル]プロピルメタンスルホナート(19.7g)およびヨウ化ナトリウム(29.25g)を用いて参考例9−(v)と同様の反応を行い標題化合物(18.4g)を油状物として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:2.11(2H,quintet,J=7.3Hz), 2.70(2H,t,J=7.2Hz), 3.16(2H,t,J=6.8Hz), 5.06(2H,s), 6.78−6.87(3H,m), 7.21(1H,t,J=7.2Hz), 7.32−7.48(5H,m).
IR (neat):3063, 3031, 2934, 2861, 1599, 1582, 1487, 1451, 1381, 1316, 1258, 1213, 1155, 1080, 1028 cm−1.
【0090】
(iv)1−[3−(3−ベンジルオキシフェニル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール
アルゴン雰囲気下、1H−1,2,3−トリアゾール(0.9g)をDMF(20ml)に溶解し、65%油性水素化ナトリウム(0.48g)を添加した。30分撹拌後、ベンジル 3−(3−ヨードプロピル)フェニル エーテル(3.53g)のDMF(5ml)溶液を加え、室温で19時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水、飽和食塩水で洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーに付し、標題化合物(1.1g)を無色結晶として得た。
mp 74−75 ℃.
1H−NMR (CDCl3) δ :2.25(2H,quintet,J=7.2Hz), 2.63(2H,t,J=7.3Hz), 4.37(2H,t,J=7.1Hz), 5.05(2H,s), 6.75−6.88(3H,m), 7.23(1H,t,J=8.2Hz), 7.31−7.47(5H,m), 7.49(1H,d,J=1.0Hz), 7.71(1H,d,J=1.0Hz).
IR (KBr):3125, 3063, 3032, 2944, 2867, 1599, 1584, 1487, 1453, 1381, 1316, 1260, 1215, 1157, 1113, 1074, 1028 cm−1.
【0091】
(v)3−[3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル]フェノール
1−[3−(3−ベンジルオキシフェニル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール(0.937g)のメタノール溶液(32ml)に10%−パラジウム炭素(0.1g)を添加し、水素雰囲気下、室温で8時間激しくかきまぜた。触媒を濾去して、濾液を減圧下濃縮乾固し、標題化合物(0.593g)を無色結晶として得た。
mp 85−86 ℃.
1H−NMR (CDCl3) δ :2.24(2H,quintet,J=7.1Hz), 2.60(2H,t,J=7.5Hz), 4.38(2H,t,J=7.1Hz), 6.68−6.79(3H,m), 6.96(1H,s), 7.16(1H,t,J=8.1Hz), 7.54(1H,d,J=1.0Hz), 7.73(1H,d,J=1.0Hz).
IR (KBr):3129, 3077, 3054, 2949, 2863, 2722, 2614, 1599, 1588, 1483, 1458, 1362, 1337, 1281, 1221, 1157, 1121, 1080, 1038 cm−1.
【0092】
参考例12
4−{4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル}フェノール
【化43】
(i)2−(1−{4−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エタノール
ベンジル 4−(4−ヨードブチル)フェニル エーテル(14.29g)、2−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール(13.1g)、炭酸カリウム(5.39g)をDMF(390ml)中、60℃で16時間かきまぜた。冷後、不溶物をろ去し、ろ液を減圧濃縮した。残留物を酢酸エチルに溶解し、水、飽和食塩水で洗浄した。減圧下、溶媒を留去し残留物をカラムクロマトグラフィー(溶出液、酢酸エチル:メタノール=19:1→9:1)に付して精製した。溶出物を酢酸エチル−メタノールから再結晶し、標題化合物(10.99g)を無色結晶として得た。
mp 75−77 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.53−1.82(4H,m), 2.58(2H,t,J=7.1Hz), 2.78(2H,t,J=5.5Hz),3.81(2H,t,J=6.9Hz), 4.03(2H,t,J=5.5Hz), 5.04(2H,s), 6.80(1H,d,J=1.2Hz),6.90(2H,d,J=8.6Hz), 6.93(1H,d,J=1.2Hz), 7.05(2H,d,J=8.6Hz), 7.34−7.47(5H,m).
IR (KBr):3144, 3032, 2934, 2859, 1611, 1582, 1514, 1495, 1456, 1431, 1381, 1298, 1273, 1244, 1175, 1150, 1121, 1109, 1051, 1026 cm−1.
【0093】
(ii)4−{4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル}フェノール
2−(1−{4−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エタノール(10.67g)および10%パラジウム炭素(1.6g)を用いて、参考例11−(v)と同様の反応を行い、標題化合物(5.3g)を得た。
mp 118−119 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.50−1.80(4H,m), 2.55(2H,t,J=7.0Hz), 2.79(2H,t,J=5.8Hz),3.82(2H,t,J=7.0Hz), 3.97(2H,t,J=5.8Hz), 3.85−4.40(1H,br), 6.77(2H,d,J=8.4Hz), 6.80(1H,s), 6.94(1H,s), 6.96(2H,d,J=8.4Hz).
IR (KBr):3600−2400, 1615, 1593, 1516, 1489, 1456, 1373, 1252, 1171, 1150, 1125, 1103, 1055 cm−1.
【0094】
参考例13
【化44】
(i)2−(1−{3−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]プロピル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エタノール
ベンジル 4−(3−ヨードプロピル)フェニルエーテル(5.28g)、2−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール(5.05g)および炭酸カリウム(2.07g)を用いて、参考例12−(i)と同様の反応を行い、標題化合物(2.78g)を無色結晶として得た。
mp 80−82 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:2.03(2H,quintet,J=7.4Hz), 2.58(2H,t,J=7.4Hz), 2.74(2H,t,J=5.6Hz), 3.82(2H,t,J=7.4Hz), 4.01(2H,t,J=5.6Hz), 5.05(2H,s), 6.83(1H,s), 6.92(2H,d,J=8.6Hz), 6.94(1H,s), 7.07(2H,d,J=8.6Hz), 7.32−7.47(5H,m).
IR (KBr):3500−3100, 3110, 3063, 3032, 2934, 2865, 1611, 1584, 1512, 1495, 1454, 1381, 1298, 1240, 1177, 1152, 1121, 1057, 1024 cm−1.
【0095】
(ii)4−{3−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]プロピル}フェノール
2−(1−{3−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]プロピル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エタノール(2.53g)および10%パラジウム炭素(0.38g)を用いて、参考例11−(v)と同様の反応を行い、標題化合物(1.85g)を無色結晶として得た。
mp 116−117 ℃.
1H−NMR(CDCl3+CD3OD)δ:2.03(2H,quintet,J=7.3Hz), 2.55(2H,t,J=7.3Hz), 2.75(2H,t, J=6.2Hz), 3.83(2H,t,J=7.3Hz), 3.91(2H,t,J=6.2Hz), 6.77(2H,d,J=8.6Hz), 6.84(1H,d, J=1.2Hz), 6.93(1H,d,J=1.2Hz), 6.97(2H,d,J=8.6Hz).
IR (KBr):3500−3100, 3119, 2934, 2861, 1615, 1593, 1516, 1495, 1454, 1373, 1252, 1173, 1152, 1123, 1053 cm−1.
【0096】
参考例14
3−{3−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]プロピル}フェノール
【化45】
(i)2−(1−{3−[3−(ベンジルオキシ)フェニル]プロピル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エタノール
ベンジル 3−(3−ヨードプロピル)フェニル エーテル(3.53g)、2−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール(1.46g)および65%油性水素化ナトリウム(0.48g)を用いて、参考例11−(iv)と同様の反応を行い、標題化合物(2.66g)を無色油状物として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:2.05(2H,quintet,J=7.3Hz), 2.61(2H,t,J=7.5Hz), 2.73(2H,t,J=5.5Hz), 3.81(2H,t,J=7.3Hz), 4.02(2H,t,J=5.5Hz), 5.06(2H,s), 6.73−6.88(3H,m), 6.82(1H,d,J=1.2Hz), 6.95(1H,d,J=1.2Hz), 7.23(1H,t,J=8.2Hz), 7.31−7.48(5H,m).
IR (neat):3500−3100, 3067, 3034, 2938, 2867, 1599, 1584, 1524, 1491, 1453, 1381, 1316, 1260, 1155, 1119, 1053, 1026 cm−1.
【0097】
(ii)3−{3−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]プロピル}フェノール
2−(1−{3−[3−(ベンジルオキシ)フェニル]プロピル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エタノール(2.42g)および10%パラジウム炭素(0.24g)を用いて、参考例11−(v)と同様の反応を行い、標題化合物(1.69g)を無色結晶として得た。
mp 111−113 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:2.07(2H,quintet,J=6.9Hz), 2.55(2H,t,J=7.3Hz), 2.73(2H,t,J=5.9Hz), 3.80(2H,t,J=7.1Hz), 4.00(2H,t,J=5.9Hz), 6.55−6.76(3H,m), 6.86(1H,d,J=1.4Hz), 6.96(1H,d,J=1.4Hz), 7.15(1H,t,J=7.8Hz).
IR (KBr)cm−1:3500−3100, 3046, 2940, 2865, 2712, 2604, 1599, 1588, 1528, 1483, 1456, 1372, 1279, 1250, 1155, 1123, 1057.
【0098】
参考例15
3−{1−[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール
【化46】
(i)3−{1−[4−(4−ベンジルオキシフェニル)ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール
ベンジル 4−(4−ヨードブチル)フェニル エーテル(2.05g)、2−(2,3−ジヒドロキシプロピル)イミダゾール(1.0g)および65%油性水素化ナトリウム(0.259g)を用いて、参考例11−(iv)と同様の反応を行い、標題化合物(1.23g)を無色結晶として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.52−1.83(4H,m), 2.57(2H,t,J=7.1Hz), 2.78(2H,d,J=5.2Hz),2.79(1H,d,J=6.8Hz), 3.62(1H,dd,J=4.8Hz,11.2Hz), 3.74(1H,dd,J=4.8Hz,11.2Hz), 3.82(2H,t,J=7.1Hz), 4.12−4.23(1H,m), 5.04(2H,s), 6.79(1H,d,J=1.4Hz), 6.90(2H,d,J=8.6Hz), 6.91(1H,d,J=1.4Hz), 7.05(2H,d,J=8.6Hz), 7.30−7.47(5H,m).
IR (KBr):3500−3200, 3065, 3030, 2932, 2861, 1611, 1582, 1510, 1495, 1454, 1379, 1296, 1275, 1240, 1177, 1150, 1123, 1080, 1026 cm−1.
【0099】
(ii)3−{1−[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール
3−{1−[4−(4−ベンジルオキシフェニル)ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(1.22g)および10%パラジウム炭素(0.18g)を用いて、参考例11−(v)と同様の反応を行い、標題化合物(0.918g)を無色結晶として得た。
1H−NMR(CDCl3+CD3OD)δ:1.50−1.80(4H,m), 2.55(2H,t,J=7.0Hz), 2.75(1H,d,J=7.2Hz), 2.76(1H,d,J=5.6Hz), 3.49(1H,dd,J=5.4Hz,11.6Hz), 3.62(1H,dd,J=4.2Hz,11.6Hz), 3.84(2H,t,J=7.0Hz), 3.97−4.08(1H,m), 6.75(2H,d,J=8.6Hz), 6.80(1H,d,J=1.4Hz), 6.89(1H,d,J=1.4Hz), 6.97(2H,d,J=8.6Hz).
IR (KBr):3500−3100, 3011, 2936, 2859, 1613, 1595, 1516, 1489, 1456, 1372, 1360, 1252, 1171, 1150, 1125, 1101, 1030 cm−1.
【0100】
参考例16
【化47】
(i)3−{1−[3−(3−ベンジルオキシフェニル)プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール
ベンジル 3−(3−ヨードプロピル)フェニル エーテル(1.98g)、2−(2,3−ジヒドロキシプロピル)イミダゾール(1.0g)および65%油性水素化ナトリウム(0.259g)を用いて、参考例11−(iv)と同様の反応を行い、標題化合物(1.31g)を無色油状物として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:2.05(2H,quintet,J=7.3Hz), 2.60(2H,t,J=7.3Hz), 2.73(1H,d,J=4.8Hz), 2.74(1H,d,J=7.2Hz), 3.61(1H,dd,J=4.8Hz,11.2Hz), 3.74(1H,dd,J=4.8Hz,11.2Hz), 3.82(2H,t,J=7.3Hz), 4.12−4.23(1H,m), 5.06(2H,s), 6.73−6.88(3H,m), 6.81(1H,d,J=1.2Hz), 6.93(1H,d,J=1.2Hz), 7.23(1H,t,J=8.4Hz), 7.31−7.48(5H,m).
IR (neat):3500−3200, 3063, 3032, 2934, 2865, 1599, 1584, 1526, 1489, 1454, 1381, 1316, 1260, 1155, 1123, 1082, 1028 cm−1.
【0101】
(ii)3−{1−[3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール
3−{1−[3−(3−ベンジルオキシフェニル)プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(1.30g)および10%パラジウム炭素(0.195g)を用いて、参考例11−(v)と同様の反応を行い、標題化合物(0.979g)を無色油状物として得た。
1H−NMR(CDCl3+CD3OD)δ:2.07(2H,quintet,J=7.4Hz), 2.58(2H,t,J=7.3Hz), 2.72(1H,d,J=6.8Hz), 2.72(1H,d,J=5.8Hz), 3.50(1H,dd,J=5.4Hz,11.4Hz), 3.61(1H,d,J=4.2Hz,11.4Hz), 3.85(2H,t,J=7.3Hz), 3.98−4.10(1H,m), 6.60−6.74(3H,m),6.86(1H,d,J=1.4Hz), 6.92(1H,d,J=1.4Hz), 7.14(1H,t,J=7.8Hz).
IR (neat):3500−3100, 3040, 2942, 2863, 1599, 1588, 1530, 1483, 1456, 1360, 1279, 1254, 1155, 1125, 1088, 1030 cm−1.
【0102】
参考例17
2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−4−[[4−(4−ヨードブチル)フェノキシ]メチル]−1,3−オキサゾール
【化48】
(i)4−[4−[2−(E)−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシフェニル]−1−ブタノール4−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ブタノール(1.99g)のDMF(20ml)溶液に、氷冷下60%油性水素化ナトリウム(528mg)を加え、室温で30分間攪拌した。氷冷下、(E)−4−クロロメチル−2−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]オキサゾール(3.37g)を加え、室温で一夜攪拌した。反応液に水、1規定塩酸を加えて、酢酸エチルで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮し、残留物を酢酸エチル−ジエチルエーテル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(3.71g)を無色結晶として得た。
mp 75−76 ℃.
1H−NMR (CDCl3) δ: 1.5−1.7 (4H, m), 2.60 (2H, t, J = 6.8Hz), 3.66 (2H, t, J = 6.0Hz), 5.02 (2H, s), 6.8−6.9 (1H, m), 6.89 (2H, d, J = 8.4Hz), 6.98 (1H, d, J = 17.0Hz), 7.11 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.5−7.6 (1H, m), 7.59 (1H, d, J = 17.0Hz), 7.66 (1H, s).
IR (KBr): 1613, 1514, 1493, 1431, 1279, 1246, 1140, 968, 856cm−1.
【0103】
(ii)2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−4−[[4−(4−ヨードブチル)フェノキシ]メチル]−1,3−オキサゾール
4−[4−[2−(E)−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシフェニル]−1−ブタノール(3.47g)のTHF(50ml)溶液にトリエチルアミン(1.37ml)を加え、氷冷下、塩化メタンスルホニル(0.77ml)を加え、室温で30分間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、抽出液を食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物にアセトン(100ml)、ヨウ化ナトリウム(6.75g)を加え、40−50℃で2時間攪拌した。反応液を濃縮して水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液をチオ硫酸ナトリウム水、食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。析出物をろ取し、ジエチルエーテル−ヘキサンで洗浄し、標題化合物(3.55g)を淡黄色粉末として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ: 1.6−1.9 (4H, m), 2.5−2.7 (2H, m), 3.1−3.3 (2H, m), 5.02 (2H, s), 6.8−7.2 (6H, m), 7.5−7.75 (4H, m).
IR (KBr): 1615, 1514, 1493, 1431, 1279, 1246, 1140, 966, 856cm−1.
【0104】
参考例18
2−[(E)−2−(4−ブロモフェニル)エテニル]−4−[[4−(4−ヨードブチル)フェノキシ]メチル]−1,3−オキサゾール
【化49】
4−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ブタノール(4.99g)および(E)−4−クロロメチル−2−[2−(4−ブロモフェニル)エテニル]オキサゾール(7.43g)を用いて、参考例17−(i)と同様の反応を行い、4−[4−[2−(E)−[2−(4−ブロモフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシフェニル]−1−ブタノール(9.70g)を得た。得られた化合物(4.28g)を用いて、参考例17−(ii)と同様の反応を行い、標題化合物(4.47g)を白色粉末として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:1.65−1.95(4H,m), 2.58(2H,t,J=7.2Hz), 3.20(2H,t,J=6.8Hz), 5.02(2H,s), 6.92(1h,d,J=16.4Hz), 6.92(2H,d,J=8.6Hz), 7.38(2H,d,J=8.4Hz), 7.47(1H,d,J=16.4Hz), 7.52(2H,d,J=8.4Hz), 7.66(1H,s).
【0105】
実施例1
[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(4−メチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−1,2,3−トリアゾール
【化50】
4−[4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ブチル]フェノール(174mg)のDMF(4ml)溶液に氷冷下、60%油性水素化ナトリウム(35mg)を加え、室温で30分間攪拌した。氷冷下、(E)−4−クロロメチル−2−[2−(4−メチルフェニル)エテニル]オキサゾール(206mg)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液に水を加え、析出物をろ取し、水洗した。ろ取物をTHF−酢酸エチル混液に溶かし、水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残留物を酢酸エチル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(281mg)を無色結晶として得た。
mp 154−155 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.5−1.7(2H,m),1.85−2.05(2H, m), 2.38 (3H, s), 2.60 (2H, t, J=7.5Hz), 4.39 (2H, t, J = 7.0Hz), 5.01 (2H, s), 6.87 (2H, d, J = 8.6Hz), 6.9−7.0 (1H, m), 7.19 (2H, d, J = 8.6Hz), 7.19 (2H, d, J = 8.0Hz), 7.42 (2H, d, J = 8.0Hz), 7.5−7.7 (4H, m).
IR (KBr): 1640, 1607, 1530, 1514, 1464, 1339, 1256, 1211, 1053, 974, 810cm−1.
Anal. Calcd for C25H26N4O2: C, 72.44; H, 6.32; N, 13.52.Found : C, 72.36; H, 6.49; N, 13.70.
【0106】
実施例2
1−{4−[4−({2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−1,2,3−トリアゾール
【化51】
アルゴン雰囲気下、4−[4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ブチル]フェノール(218mg)および65%油性水素化ナトリウム(39mg)に、DMF(5ml)を加えて溶解した。氷冷撹拌下、4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(250mg)を添加し、室温で3時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:エタノール=24:1)に付して精製した後、酢酸エチルから再結晶を行い、標題化合物(368mg)を無色結晶として得た。
mp 124−125 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.62(2H,quintet,J=7.0Hz), 1.94(2H,quintet,J=7.5Hz), 2.61(2H,t,J=7.5Hz), 4.40(2H,t,J=7.0Hz), 5.01(2H,s), 6.86(1H,d,J=16.0Hz), 6.92(2H,d,J=8.6Hz), 7.08(2H,d,J=8.6Hz), 7.09(2H,t,J=8.7Hz), 7.46−7.57(4H,m), 7.66(1H,s), 7.70(1H,d,J=1.0Hz).
IR (KBr):3420, 3160, 3120, 2940, 2924, 2865, 1644, 1599, 1584, 1532, 1512, 1466, 1435, 1400, 1337, 1302, 1248, 1229, 1211, 1177, 1161, 1113, 1076, 1049, 1030 cm−1.
Anal calcd for C24H23N4O2F: C,68.88;H,5.55;N,13.39.Found: C,68.70;H,5.55;N,13.49.
【0107】
実施例3
1−{3−[3−({2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]プロピル}−1H−1,2,3−トリアゾール
【化52】
3−[3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル]フェノール(208mg)、65%油性水素化ナトリウム(39mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(250mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(366mg)を得た。
mp 105−106 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:2.26(2H,quintet,J=7.2Hz), 2.64(2H,t,J=7.5Hz), 4.39(2H,t,J=7.0Hz), 5.03(2H,s), 6.78−6.89(3H,m), 6.86(1H,d,J=16.2Hz), 7.09(2H,t,J=8.6Hz), 7.25(1H,t,J=7.8Hz), 7.51(1H,d,J=16.2Hz), 7.47−7.54(3H,m), 7.68(1H,s), 7.72(1H,s).
IR (KBr):3110, 3050, 2955, 2870, 1642, 1601, 1586, 1532, 1507, 1489, 1460, 1453, 1337, 1310, 1273, 1240, 1213, 1177, 1159, 1113, 1097, 1080, 1065 cm−1.
Anal calcd for C23H21N4O2F:C,68.30;H,5.23;N,13.85.
Found:C,68.22;H,5.04;N,14.00.
【0108】
実施例4
1−(4−{4−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}ブチル)−1H−1,2,3−トリアゾール
【化53】
4−[4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ブチル]フェノール(152mg)、65%油性水素化ナトリウム(28mg)および4−(クロロメチル)−2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール(212mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(290mg)を得た。
mp 160−161 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.62(2H,quintet,J=7.0Hz), 1.94(2H,quintet,J=7.6Hz), 2.61(2H,t,J=7.4Hz), 4.40(2H,t,J=7.4Hz), 5.02(2H,s), 6.92(2H,d,J=8.6Hz), 7.02(1H,d,J=16.6Hz), 7.08(2H,d,J=8.6Hz), 7.50(1H,s), 7.56(1H,d,J=16.6Hz), 7.64(4H,s), 7.69(1H,s), 7.71(1H,s).
IR (KBr):3120, 2936, 1615, 1584, 1512, 1464, 1414, 1327, 1248, 1159, 1125, 1069 cm−1.
Anal calcd for C25H23N4O2F3:C,64.10;H,4.95;N,11.96.
Found:C,64.18;H,5.12;N,11.98.
【0109】
実施例5
1−(3−{4−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}プロピル)−1H−1,2,3−トリアゾール
【化54】
4−[3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル]フェノール(143mg)、65%油性水素化ナトリウム(28mg)および4−(クロロメチル)−2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール(212mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(232mg)を得た。
mp 157−158 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:2.24(2H,quintet,J=7.2Hz), 2.61(2H,t,J=7.3Hz), 4.39(2H,t,J=7.2Hz), 5.03(2H,s), 6.94(2H,d,J=8.4Hz), 7.02(1H,d,J=16.4Hz), 7.11(2H,d,J=8.4Hz), 7.52(1H,s), 7.56(1H,d,J=16.4Hz), 7.64(4H,s), 7.69(1H,s), 7.72(1H,s).
IR (KBr):3129, 3100, 2934, 1613, 1584, 1547, 1510, 1449, 1416, 1337, 1329, 1291, 1238, 1179, 1140, 1109, 1071, 1009 cm−1.
Anal calcd for C24H21N4O2F3:C,63.43;H,4.66;N,12.33.
Found:C,63.21;H,4.73;N,12.26.
【0110】
実施例6
1−(3−{3−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}プロピル)−1H−1,2,3−トリアゾール
【化55】
3−[3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル]フェノール(123mg)、65%油性水素化ナトリウム(24mg)および4−(クロロメチル)−2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール(183mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(248mg)を得た。
mp 115−116 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:2.26(2H,quintet,J=7.2Hz), 2.64(2H,t,J=7.2Hz), 4.39(2H,t,J=7.2Hz), 5.04(2H,s), 6.77−6.91(3H,m), 7.01(1H,d,J=16.6Hz), 7.25(1H,t,J=8.4Hz), 7.52(1H,s), 7.56(1H,d,J=16.6Hz), 7.64(4H,s), 7.71(2H,s).
IR (KBr):3140, 3050, 2940, 2860, 1610, 1599, 1586, 1487, 1451, 1415, 1327, 1262, 1169, 1125, 1113, 1069, 1017 cm−1.
Anal calcd for C24H21N4O2F3:C,63.43;H,4.66;N,12.33.
Found:C,63.36;H,4.73;N,12.26.
【0111】
実施例7
1−{4−[4−({2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−1,2,3−トリアゾール
【化56】
4−[4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ブチル]フェノール(152mg)、65%油性水素化ナトリウム(28mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(188mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(254mg)を得た。
mp 115−117 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.62(2H,quintet,J=7.2Hz), 1.94(2H,quintet,J=7.5Hz), 2.60(2H,t,J=7.5Hz), 4.39(2H,t,J=7.1Hz), 5.01(2H,s), 6.81−6.98(2H,m), 6.91(2H,d,J=8.6Hz), 6.98(1H,d,J=16.2Hz), 7.07(2H,d,J=8.6Hz), 7.47−7.53(1H,m), 7.50(1H,s), 7.59(1H,d,J=16.2Hz), 7.67(1H,s), 7.70(1H,s).
IR (KBr):3133, 2932, 2863, 1644, 1615, 1590, 1532, 1514, 1493, 1468, 1431, 1345, 1298, 1279, 1246, 1215, 1179, 1140, 1086, 1049, 1032 cm−1.
Anal calcd for C24H22N4O2F2:C,66.05;H,5.08;N,12.84.
Found:C,66.03;H,5.00;N,13.03.
【0112】
実施例8
1−{3−[3−({2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]プロピル}−1H−1,2,3−トリアゾール
【化57】
3−[3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル]フェノール(143mg)、65%油性水素化ナトリウム(28mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(188mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(257mg)を得た。
mp 89−90 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:2.26(2H,quintet,J=7.3Hz), 2.64(2H,t,J=7.4Hz), 4.39(2H,t,J=7.1Hz), 5.03(2H,s), 6.77−6.98(5H,m), 6.98(1H,d,J=16.8Hz), 7.24(1H,t,J=7.6Hz), 7.47−7.60(1H,m), 7.52(1H,s), 7.59(1H,d,J=16.8Hz), 7.68(1H,s), 7.71(1H,s).
IR (KBr):3127, 3071, 2934, 2868, 1644, 1615, 1599, 1534, 1495, 1453, 1433, 1354, 1273, 1215, 1159, 1142, 1090, 1028 cm−1.
Anal calcd for C23H20N4O2F2:C,65.39;H,4.77;N,13.26.
Found:C,65.32;H,4.56;N,13.34.
【0113】
実施例9
[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−1,2,3−トリアゾール
【化58】
4−[4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ブチル]フェノール(217mg)のDMF(4ml)溶液に氷冷下、65%油性水素化ナトリウム(41mg)を加えた。室温で30分間攪拌後、氷冷下、4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(281mg)を加え、室温で一夜攪拌した。氷冷下、水を加えて析出物をろ取し、水洗後、THF−酢酸エチルに溶解させた。水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(348mg)を無色結晶として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.5−1.7 (2H, m), 1.85−2.05 (2H, m), 2.60 (2H, t, J = 7.4Hz), 4.39 (2H, t, J = 7.2Hz), 5.02 (2H, s), 6.92 (2H, d, J = 8.8Hz), 6.94 (1H, d, J = 17.4Hz), 6.85−7.35 (3H, m), 7.07 (2H, d, J = 8.8Hz), 7.61(1H, d, J = 17.4Hz), 7.45−7.7 (3H, m).
IR (KBr) : 1620, 1586, 1514, 1464, 1244, 1024, 999, 968, 783cm−1.
Anal. Calcd for C24H22F2N4O2: C, 66.05; H, 5.08; N, 12.84.
Found : C, 65.83; H, 5.06; N, 12.93.
【0114】
実施例10
2−[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(4−メチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化59】
4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]フェノール(260mg)と(E)−4−クロロメチル−2−[2−(4−メチルフェニル)エテニル]オキサゾール(257mg)を実施例1と同様の反応を行い、標題化合物(331mg)を無色結晶として得た。
mp 108−109 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.5−1.8 (4H, m), 2.38 (3H, s), 2.58 (2H, t, J = 7.0Hz),2.79 (2H, t, J = 5.6Hz), 3.82 (2H, t, J = 6.8Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.6Hz), 5.01 (2H, s), 6.8−6.85 (2H, m), 6.89 (1H, d, J = 16.6Hz), 6.92 (2H, d, J = 8.6Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.6Hz), 7.19 (2H, d, J = 7.8Hz), 7.43 (2H, d, J = 7.8Hz), 7.51 (1H, d, J = 16.6Hz), 7.64 (1H, s).
IR (KBr): 1510, 1240, 1055, 806cm−1.
Anal. Calcd for C28H31N3O3: C, 73.50; H, 6.83; N, 9.18.
Found : C, 73.36; H, 6.66; N, 9.12.
【0115】
実施例11
2−[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(3−メチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化60】
4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]フェノール(260mg)と(E)−4−クロロメチル−2−[2−(3−メチルフェニル)エテニル]オキサゾール(257mg)を用いて実施例1と同様の反応を行い、標題化合物(290mg)を無色結晶として得た。
mp 109−111 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.55−1.8 (4H, m), 2.38 (3H, s), 2.58 (2H, t, J = 7.0Hz), 2.78 (2H, t, J = 5.6Hz), 3.82 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.6Hz), 5.01 (2H, s), 6.80 (1H, d, J = 1.4Hz), 6.92 (1H, d, J = 16.6Hz), 6.92 (2H, d, J = 8.8Hz), 6.93 (1H, d, J = 1.4Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.8Hz),7.1−7.2 (1H, m), 7.2−7.4 (3H, m), 7.51 (1H, d, J = 16.6Hz), 7.65 (1H, s).
IR (KBr) : 1514, 1460, 1250, 1051, 976, 828, 789cm−1.
Anal. Calcd for C28H31N3O3・0.2H2O : C, 72.92; H, 6.86; N, 9.11.
Found : C, 72.71; H, 6.74; N, 8.97.
【0116】
実施例12
2−[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(2−メチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化61】
4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]フェノール(153mg)と(E)−4−クロロメチル−2−[2−(2−メチルフェニル)エテニル]オキサゾール(151mg)を用いて実施例1と同様の反応を行い、標題化合物(167mg)を無色結晶として得た。
mp 91−93 ℃(酢酸エチル−ヘキサン).
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.5−1.8 (4H, m), 2.46 (3H, s), 2.59 (2H, t, J = 7.0Hz),2.79 (2H, t, J = 5.6Hz), 3.82 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.6Hz), 5.02 (2H, s), 6.8−6.9 (3H, m), 6.92 (2H, d, J = 8.6Hz), 7.07 (2H, d,J = 8.6Hz), 7.2−7.3 (3H, m), 7.55−7.65 (1H, m), 7.66 (1H, s), 7.79 (1H,d, J = 16.2Hz).
IR (KBr) : 1508, 1464, 1231, 1061, 1009, 862, 752cm−1.
Anal. Calcd for C28H31N3O3・0.2H2O : C, 72.92; H, 6.86; N, 9.11.
Found : C, 72.98; H, 6.70; N, 9.23.
【0117】
実施例13
2−[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(4−エチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化62】
4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]フェノール(260mg)のDMF(4ml)溶液に氷冷下、60%油性水素化ナトリウム(44mg)加えた。室温で30分間攪拌後、氷冷下、(E)−4−クロロメチル−2−[2−(4−エチルフェニル)エテニル]オキサゾール(272mg)を加えた。室温で一晩攪拌後、氷冷下、水を加えた。析出物をろ取し、水洗した。酢酸エチルに溶かし、乾燥後(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(297mg)を無色結晶として得た。
mp 94−95 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.25 (3H, t, J = 7.4Hz), 1.5−1.85 (4H, m), 2.59 (2H, t,J = 7.0Hz), 2.67 (2H, q, J = 7.4Hz), 2.79 (2H, t, J = 5.4Hz), 3.82 (2H,t, J = 7.0Hz), 4.04 (2H, t, J = 5.4Hz), 5.01 (2H, s), 6.8−7.0 (3H, m), 6.92 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.2−7.3 (2H, m), 7.4−7.5 (2H, m), 7.53 (1H, d, J = 17.2Hz), 7.65 (1H, s).
IR (KBr) : 1508, 1462, 1231, 1181, 1061, 1007, 864, 833cm−1.
Anal. Calcd for C29H33N3O3:C, 73.86; H, 7.05; N, 8.91.
Found: C, 73.73; H, 6.79; N, 8.76.
【0118】
実施例14
2−(1−{4−[4−({2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エタノール
【化63】
4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]フェノール(391mg)、65%油性水素化ナトリウム(60mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(375mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(583mg)を得た。
mp 130−132 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.56−1.84(4H,m), 2.10−2.90(1H,br), 2.58(2H,t,J=7.1Hz), 2.78(2H,t,J=5.5Hz), 3.82(2H,t,J=7.1Hz), 4.03(2H,t,J=5.5Hz), 5.01(2H,s), 6.80−6.94(5H,m), 7.04−7.13(4H,m), 7.46−7.55(3H,m), 7.65(1H,s).
IR (KBr):3150, 3113, 3048, 2936, 2861, 1642, 1599, 1582, 1532, 1512, 1464, 1422, 1399, 1375, 1337, 1302, 1277, 1246, 1229, 1209, 1177, 1159, 1148, 1105, 1051, 1001 cm−1.
Anal calcd for C27H28N3O3F:C,70.26;H,6.11;N,9.10.
Found:C,70.15;H,6.06;N,9.35
【0119】
実施例15
2−[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(4−クロロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化64】
4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]フェノール(130mg)のDMF(4ml)溶液に氷冷下、60%油性水素化ナトリウム(22mg)加えた。室温で30分間攪拌後、氷冷下、(E)−4−クロロメチル−2−[2−(4−クロロフェニル)エテニル]オキサゾール(140mg)を加えた。0℃で1時間、室温で一晩攪拌後、氷冷下、水を加えた。析出物をろ取、水洗し、THF−酢酸エチル混液に溶かした。この溶液を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残留物をメタノ−ル−酢酸エチル−ジエチルエーテルより再結晶し、標題化合物(168mg)を無色結晶として得た。
mp 127−128 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.5−1.8 (4H, m), 2.58 (2H, t, J = 7.0Hz), 2.78 (2H, t, J = 5.4Hz), 3.82 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.4Hz), 5.01 (2H, s), 6.8−7.0 (5H, m), 7.07 (2H, d, J = 8.8Hz), 7.35 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.46 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.4−7.55 (1H, m), 7.66 (1H, s).
IR (KBr) : 1514, 1474, 1341, 1264, 1246, 1076, 966, 814cm−1.
Anal. Calcd for C27H28ClN3O3: C, 67.85; H, 5.90; N, 8.79.
Found : C, 67.85; H, 5.72; N, 9.09.
【0120】
実施例16
2−[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(4−ブロモフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化65】
2−(1H−イミダゾール−2−イル)−エタノール(449mg)のDMF(10ml)溶液に氷冷下、60%油性水素化ナトリウム(176mg)を加えた。室温で30分間攪拌後、氷冷下、4−[[4−(4−ヨードブチル)フェノキシ)メチル]−2−[(E)−2−(4−ブロモフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(2.15g)を加えた。室温で一晩攪拌後、氷冷下、水を加えた。酢酸エチル−THF混液で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(2.09g)を淡黄色結晶として得た。
mp 149−150 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.55−1.8 (4H, m), 2.58 (2H, t, J = 7.0Hz), 2.78 (2H, t,J = 5.6Hz), 3.82 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.6Hz), 5.01 (2H,s), 6.91 (2H, d, J = 8.8Hz), 6.92 (1H, d, J = 16.3Hz), 6.8−7.0 (2H, m),7.07 (2H, d, J = 8.8Hz), 7.38 (2H, d, J = 8.6Hz), 7.47 (1H, d, J = 16.3Hz), 7.52 (2H, d, J = 8.6Hz), 7.66 (1H, s).
IR (KBr) : 1514, 1487, 1254, 1055, 972, 826, 814cm−1.
Anal. Calcd for C27H28BrN3O3: C, 62.07; H, 5.40; N, 8.04.
Found : C, 61.82; H, 5.26; N, 7.90.
【0121】
実施例17
2−[1−[4−[4−[2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エテニル]オキサゾール−4−イル]メトキシフェニル]ブチル−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化66】
アルゴン雰囲気下、65%水素化ナトリウム(40.6mg)および4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]フェノール(260mg)に0℃でDMF(4ml)を加えた。室温で30分攪拌後、0℃で[2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エテニル]オキサゾール−4−イル]メチルクロライド(316mg)を加え、室温で15時間攪拌した。反応液に水を加え、析出した結晶を濾取し、水、イソプロピルエーテルで洗浄後、アセトン−ヘキサンより再結晶を行い、標題化合物(393mg)を淡黄色針状結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ: 1.56−1.74 (4H, m), 2.59 (2H, t, J = 6.6 Hz), 2.78 (2H,t, J = 5.4 Hz), 3.82 (2H, t, J = 6.8 Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.4 Hz), 5.02 (2H, d, J = 1.2 Hz), 6.81 (1H, d, J = 1.6 Hz), 6.90−6.95 (4H, m), 7.02(2H, d, J = 16.2 Hz), 7.52−7.69 (6H, m).
IR (KBr): 1512, 1323, 1244. 1175, 1132, 1113, 1067, 1055 cm−1.
【0122】
実施例18
2−[1−[3−[4−[2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エテニル]オキサゾール−4−イル]メトキシフェニル]プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化67】
65%水素化ナトリウム(40.6mg)、4−[3−[2−(ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]プロピル]フェノール(246mg)および[2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エテニル]オキサゾール−4−イル]メチルクロライド(316mg)を用いて、実施例17と同様の反応を行い、標題化合物(330mg)を無色針状結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 2.01−2.08 (2H, m), 2.60 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.74 (2H, t, J = 5.8 Hz), 3.83 (2H, t, J = 7.4 Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.8 Hz), 5.03 (2H, s), 6.84 (1H, d, J = 1.2 Hz), 6.96−7.12 (6H, m), 7.52−7.70 (6H,m).
IR (KBr): 1512, 1327, 1246, 1173, 1125, 1069, 1017, 826 cm−1.
【0123】
実施例19
2−[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化68】
4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]フェノール(260mg)のDMF(4ml)溶液に氷冷下、60%油性水素化ナトリウム(44mg)を加えた。室温で30分間攪拌後、氷冷下、(E)−4−クロロメチル−2−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]オキサゾール(281mg)を加えた。室温で3日間攪拌後、氷冷下、水を加えた。析出物をろ取し、水洗した。酢酸エチル−THF混液に溶かし、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(275mg)を淡黄色結晶として得た。
mp 93−95 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ : 1.55−1.85 (4H, m), 2.58 (2H, t, J = 7.0Hz), 2.78 (2H, t, J = 5.4Hz), 3.82 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.4Hz), 5.01 (2H, s), 6.8−7.0 (6H, m), 6.98 (1H, d, J = 16.3Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.8Hz), 7.5−7.6 (1H, m), 7.59 (1H, d, J = 16.3Hz), 7.67 (1H, s).
IR (KBr) : 1611, 1508, 1277, 1231, 1140, 1103, 1063, 970, 860cm−1.
Anal. Calcd for C27H27F2N3O3・0.1H2O : C, 67.38; H, 5.70; N, 8.73.
Found :C, 67.24; H, 5.74; N, 8.55.
【0124】
実施例20
2−[1−[3−[4−[[2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化69】
4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]プロピル]フェノール(246mg)のDMF(4ml)溶液に氷冷下、60%油性水素化ナトリウム(44mg)を加えた。室温で30分間攪拌後、氷冷下、(E)−4−クロロメチル−2−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]オキサゾール(281mg)を加えた。室温で一晩攪拌後、氷冷下で水を加えた。析出物をろ取し、水洗した。酢酸エチルに溶かし、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル−ジエチルエーテル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(272mg)を無色結晶として得た。
mp 94−96 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.95−2.15 (2H, m), 2.5−2.65 (2H, m), 2.65−2.8 (2H, m), 3.75−3.9 (2H,m), 3.95−4.1 (2H, m), 5.02 (2H, s), 6.8−7.15 (9H, m), 7.45−7.7 (3H, m).
IR(KBr) : 1609, 1512, 1277, 1231, 1140, 1061, 1020, 974, 860cm−1.
Anal. Calcd for C26H25F2N3O3・0.4H2O: C, 66.06; H, 5.50; N, 8.89.
Found : C, 66.13; H, 5.38; N, 8.55.
【0125】
実施例21
2−[1−[3−[4−[[2−[(E)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化70】
2−(2−ヒドロキシエチル)−1−[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]イミダゾール(260mg)、60%油性水素化ナトリウム(41mg)および(E)−4−クロロメチル−2−[2−(2,6−ジフルオロフェニル)エテニル]オキサゾール(281mg)を用いて、実施例19と同様の反応を行い、標題化合物(359mg)を無色結晶として得た。
mp 106−107 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.5−1.8 (4H, m), 2.58 (2H, t, J = 7.0Hz), 2.78 (2H, t, J = 5.6Hz), 3.82 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.6Hz), 5.02 (2H, s), 6.8−7.0 (6H, m), 7.07 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.2−7.35 (2H, m), 7.61 (1H, d, J = 16.8Hz), 7.68 (1H, s).
IR (KBr) : 1618, 1516, 1472, 1456, 1246, 1065, 1001, 974, 789cm−1.
Anal. Calcd for C27H27F2N3O3: C, 67.63; H, 5.68; N, 8.76.
Found : C, 67.78; H, 5.57; N, 9.01.
【0126】
実施例22
3−(1−{4−[4−({2−[(E)−2−(3−メチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
【化71】
3−{1−[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(154mg)、65%油性水素化ナトリウム(21mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(3−メチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(131mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(156mg)を得た。
mp 102−104 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.52−1.82(4H,m), 2.39(3H,s), 2.59(2H,t,J=7.0Hz), 2.77(1H,d,J=5.0Hz), 2.78(1H,d,J=6.8Hz), 3.64(1H,dd,J=4.8Hz,11.2Hz), 3.76(1H,dd,J=4.2Hz,11.2Hz), 3.82(2H,t,J=7.0Hz), 4.12−4.24(1H,m), 5.02(2H,s), 6.80(1H,d,J=1.4Hz), 6.92(1H,d,J=1.4Hz), 6.93(1H,d,J=16.2Hz), 6.93(1H,d,J=8.8Hz), 7.08(2H,d,J=8.8Hz), 7.13−7.39(4H,m), 7.52(1H,d,J=16.2Hz), 7.66(1H,s).IR (KBr):3500−3200, 3112, 3029, 2934, 2865, 1645, 1609, 1584, 1510, 1491, 1462, 1379, 1350, 1242, 1177, 1150, 1123, 1100, 1026 cm−1.
Anal calcd for C29H33N3O4・0.5H2O:C,70.14;H,6.90;N,8.46.
Found:C,70.39;H,6.63;N,8.51
【0127】
実施例23
3−(1−{4−[4−({2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
【化72】
3−{1−[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(291mg)、65%油性−水素化ナトリウム(39mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(250mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(347mg)を得た。
mp 114−116 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.52−1.83(4H,m), 2.59(2H,t,J=7.2Hz), 2.76(1H,d,J=5.2Hz),2.77(1H,d,J=7.0Hz), 3.64(1H,dd,J=4.8Hz,11.4Hz), 3.76(1H,dd,J=4.2Hz,11.4Hz), 3.82(2H,t,J=6.8Hz), 4.12−4.24(1H,m), 5.01(2H,s), 6.80(1H,d,J=1.4Hz), 6.86(1H,d,J=16.8Hz), 6.92(1H,d,J=1.4Hz), 6.93(2H,d,J=8.8Hz), 7.07(2H,d,J=8.8Hz), 7.09(2H,d,J=8.7Hz), 7.46−7.56(3H,m), 7.66(1H,s).
IR (KBr):3500−3200, 3152, 3104, 3044, 2940, 2865, 1644, 1599, 1584, 1532, 1512, 1495, 1462, 1422, 1400, 1339, 1300, 1246, 1177, 1159, 1098, 1047 cm−1.
Anal calcd for C28H30N3O4F:C,68.42;H,6.15;N,8.55.
Found:C,68.16;H,5.98;N,8.46
【0128】
実施例24
3−[1−(4−{4−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}ブチル)−1H−イミダゾール−2−イル]−1,2−プロパンジオール
【化73】
3−{1−[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(204mg)、65%油性水素化ナトリウム(28mg)および4−(クロロメチル)−2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール(212mg)を用いて実施例2と同様の反応を行い標題化合物(285mg)を得た。
mp 142−143 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.53−1.82(4H,m), 2.59(2H,t,J=7.1Hz), 2.76(1H,d,J=5.0Hz),2.77(1H,d,J=7.0Hz), 3.64(1H,dd,J=4.8Hz,11.4Hz), 3.76(1H,dd,J=4.2Hz,11.4Hz), 3.83(2H,t,J=6.8Hz), 4.12−4.24(1H,m), 5.02(2H,s), 6.81(1H,d,J=1.4Hz), 6.92(1H,d,J=1.4Hz), 6.93(2H,d,J=8.8Hz), 6.95(1H,d,J=16.4Hz),7.08(2H,d,J=8.8Hz), 7.56(1H,d,J=16.4Hz), 7.64(4H,s), 7.70(1H,s).
IR (KBr):3500−3200, 3148, 3071, 2936, 2867, 1642, 1615, 1582, 1510, 1491, 1466, 1416, 1397, 1323, 1246, 1173, 1138, 1117, 1067, 1046, 1017 cm−1.
Anal calcd for C29H30N3O4F3:C,64.32;H,5.58;N,7.76.
Found:C,64.26;H,5.70;N,7.62
【0129】
実施例25
3−[1−(3−{3−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}プロピル)−1H−イミダゾール−2−イル]−1,2−プロパンジオール
【化74】
3−{1−[3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(194mg)、65%油性水素化ナトリウム(28mg)および4−(クロロメチル)−2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール(212mg)を用いて、実施例2の反応と同様にして、標題化合物(255mg)を得た。
mp 102−104 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:2.08(2H,quintet,J=7.0Hz), 2.62(2H,t,J=7.4Hz), 2.72(1H,d,J=4.8Hz), 2.73(1H,d,J=7.6Hz), 3.63(1H,dd,J=4.8Hz,11.4Hz), 3.74(1H,dd,J=4.2Hz,11.4Hz), 3.83(2H,t,J=7.2Hz), 4.13−4.24(1H,m), 5.03(2H,s), 6.77−6.91(3H,m), 6.84(1H,d,J=1.4Hz), 6.94(1H,d,J=1.4Hz), 7.02(1H,d,J=16.4Hz), 7.25(1H,t,J=7.8Hz), 7.57(1H,d,J=16.4Hz), 7.64(4H,s), 7.71(1H,s).
IR (KBr):3500−3200, 3108, 3056, 2932, 2867, 1613, 1599, 1586, 1534, 1489, 1451, 1416, 1325, 1260, 1167, 1125, 1069, 1030, 1017 cm−1.
Anal calcd for C28H28N3O4F3:C,63.75;H,5.35;N,7.97.
Found:C,63.60;H,5.32;N,7.88.
【0130】
実施例26
3−(1−{4−[4−({2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
【化75】
3−{1−[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(204mg)、65%油性水素化ナトリウム(28mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(188mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(223mg)を得た。
mp 126−128 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.52−1.81(4H,m), 2.58(2H,t,J=6.9Hz), 2.77(2H,d,J=5.4Hz),3.63(1H,dd,J=4.8Hz,11.4Hz), 3.75(1H,dd,J=4.2Hz,11.4Hz), 3.82(2H,t,J=7.0Hz), 4.10−4.24(1H,m), 5.01(2H,s), 6.76−7.02(7H,m), 7.07(2H,d,J=8.6Hz), 7.48−7.51(1H,m), 7.59(1H,d,J=16.6Hz), 7.67(1H,s).
IR (KBr):3500−3200, 3106, 3073, 3032, 2934, 2865, 1644, 1613, 1593, 1532, 1512, 1495, 1462, 1431, 1354, 1298, 1275, 1244, 1177, 1142, 1090, 1028 cm−1.
Anal calcd for C28H29N3O4F2:C,66.00;H,5.74;N,8.25.
Found:C,65.89;H,5.94;N,8.37.
【0131】
実施例27
3−(1−{3−[3−({2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]プロピル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
【化76】
3−{1−[3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(203mg)、65%油性水素化ナトリウム(29mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(197mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(220mg)を得た。
mp 92−94 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:2.08(2H,quintet,J=7.2Hz), 2.62(2H,t,J=7.3Hz), 2.73(1H,d,J=5.0Hz), 2.74(1H,d,J=7.0Hz), 3.63(1H,dd,J=4.8Hz,11.2Hz), 3.74(1H,dd,J=4.2Hz,11.2Hz), 3.83(2H,t,J=7.4Hz), 4.14−4.24(1H,m), 5.02(2H,s), 6.76−6.98(5H,m), 6.84(1H,d,J=1.4Hz), 6.93(1H,d,J=1.4Hz), 6.98(1H,d,J=16.4Hz), 7.25(1H,t,J=7.9Hz), 7.48−7.61(1H,m), 7.60(1H,d,J=16.4Hz), 7.69(1H,s).
IR (KBr):3500−3200, 3106, 3067, 3042, 2938, 2872, 1644, 1613, 1599, 1534, 1495, 1453, 1431, 1379, 1354, 1275, 1155, 1142, 1123, 1090, 1028 cm−1.
Anal calcd for C27H27N3O4F2:C,65.44;H,5.49;N,8.48.
Found:C,65.39;H,5.32;N,8.62.
【0132】
実施例28
3−[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1,2−プロパンジオール
【化77】
3−{1−[3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(142mg)、60%油性水素化ナトリウム(40mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(495mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(395mg)を無色結晶として得た。
mp 123−125 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.5−1.8 (4H, m), 2.59 (2H, t, J = 7.0Hz), 2.7−2.8 (2H, m), 3.6−3.75 (2H, m), 3.83 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.1−4.25 (1H, m), 5.03 (2H, s), 6.8−7.0 (4H, m), 6.92 (2H, d, J = 8.6Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.6Hz), 7.2−7.3 (1H, m), 7.29 (1H, d, J = 16.8Hz), 7.61 (1H, d, J = 16.8Hz), 7.69 (1H, s).
IR (KBr): 1620, 1508, 1458, 1236, 1051, 1001, 789cm−1.
Anal. Calcd for C28H29F2N3O4: C, 66.00; H, 5.74; N, 8.25.
Found : C, 65.71; H, 5.78; N, 8.09.
【0133】
実施例29
(2R)−3−[[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1,2−プロパンジオール
【化78】
(2R)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール(127mg)のDMF(4ml)溶液に氷冷下、60%油性水素化ナトリウム(37mg)を加えた。室温で30分間攪拌後、氷冷下、4−[[4−(4−ヨードブチル)フェノキシ]メチル]−2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(485mg)を加えた。室温で3時間攪拌後、氷冷下、水を加えた。THF−酢酸エチル混液で抽出し、水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:メタノ−ル=10:1)により精製後、酢酸エチル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(262mg)を無色結晶として得た。
mp 104−106 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.5−1.8 (4H, m), 2.59 (2H, t, J = 7.0Hz), 2.7−2.8 (2H, m), 3.55−3.75 (2H, m), 3.79 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.1−4.2 (1H, m), 5.01 (2H, s), 6.8−7.1 (5H, m), 6.92 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.5−7.6 (1H, m), 7.59 (1H, d, J = 16.2Hz), 7.67 (1H, s).
IR (KBr):1507, 1472, 1273, 1235, 1140, 1092, 966, 858cm−1.
Anal. Calcd for C28H29F2N3O4: C, 66.00; H, 5.74; N, 8.25.
Found : C, 65.69; H, 5.82; N, 8.06.
[α]22 D= + 4.2° (c = 1.0, メタノール).
【0134】
実施例30
(2S)−3−[[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1,2−プロパンジオール
【化79】
(2S)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール、60%油性水素化ナトリウム(50mg)および4−[[4−(4−ヨードブチル)フェノキシ]メチル]−2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(415mg)を用いて、実施例29と同様の反応を行い、標題化合物(219mg)を無色結晶として得た。
mp 106−108 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ : 1.5−1.8 (4H, m), 2.58 (2H, t, J = 6.8Hz), 2.7−2.8 (2H,m), 3.6−3.75 (2H, m), 3.82 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.1−4.2 (1H, m), 5.01 (2H, s), 6.8−7.1 (5H, m), 6.89 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.5−7.6 (1H, m), 7.59 (1H, d, J = 16.4Hz), 7.67 (1H, s).
IR(KBr) : 1615, 1512, 1497, 1273, 1246, 1229, 1140, 1094, 1046, 966, 847cm−1.
Anal. Calcd for C28H29F2N3O4: C, 66.00; H, 5.74; N, 8.25. Found : C, 65.75; H, 5.60; N, 8.12.
[α]22 D = − 3.5° (c = 1.0, メタノール).
【0135】
製剤例1 (一錠当たりの用量)
(1)実施例4で得られた化合物 10.0mg
(2)乳糖 60.0mg
(3)コーンスターチ 35.0mg
(4)ゼラチン 3.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
実施例4で得られた化合物10.0mgと乳糖60.0mgおよびコーンスターチ35.0mgの混合物を10重量%ゼラチン水溶液0.03ml(ゼラチンとして3.0mg)を用い、1mmメッシュの篩を通して顆粒化したのち、40℃で乾燥し再び濾過する。得られた顆粒をステアリン酸マグネシウム2.0mgと混合し圧縮する。得られる中心錠をしょ糖、二酸化チタン、タルクおよびアラビアゴムの懸濁液による糖衣でコーテイングを施し、ミツロウで艶出して糖衣錠を得る。
製剤例2 (一錠当たりの用量)
(1)実施例4で得られた化合物 10.0mg
(2)乳糖 70.0mg
(3)コーンスターチ 50.0mg
(4)可溶化デンプン 7.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
実施例4で得られた化合物10.0mgとステアリン酸マグネシウム3.0mgを可溶化デンプンの水溶液0.07ml(可溶化デンプンとして7.0mg)で顆粒化後、乾燥し、乳糖70.0mgおよびコーンスターチ50.0mgを混合する。混合物を圧縮し錠剤を得る。
【0136】
以下の試験例において、化合物番号は実施例番号を示す(即ち、実施例4の化合物は化合物4と表示した)。
試験例1
ヒトリウマチ滑膜細胞の受容体のチロシンのリン酸化の抑制
ヒトリウマチ滑膜細胞HS−RA(Cell Applications Inc.より購入、Lot.1413)の細胞懸濁液1ml(40,000細胞/1mLに懸濁し)を24穴プレートに播き、5%炭酸ガスインキュベーター中、37℃下で培養した。翌日、10倍段階希釈した被検化合物溶液10μlを添加し、2時間後、最終濃度が1ng/mlとなるよう調製したEGF溶液10μlを加え、5分後、抽出液溶解用緩衝液を加えて反応を停止させるとともに細胞溶解液タンパク質を抽出し得た。この細胞溶解液タンパク質をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分画分離した後、電気泳動ゲル内のタンパク質をナイロンフィルターにブロットした。このフィルターと抗リン酸化チロシン特異抗体とを反応させ、ECL法によりフィルター上のリン酸化チロシンを含む部分を発光させ、X線用感光フィルムを感光させた。フィルムの感光量を画像解析装置により定量した。EGFを加えた群のHER2のチロシンのリン酸化量を100%として、各濃度の被検化合物溶液を加えた群の細胞のHER2のチロシンのリン酸化量の割合を求め、被検化合物がHER2チロシンのリン酸化量を対照の50%に抑制するのに必要な化合物濃度(IC50値)を算出した。結果を表1に示す。
【0137】
【表1】
【0138】
これより、本発明の化合物は、ヒトリウマチ滑膜細胞が増殖因子EGFにより刺激を受けた時の、増殖因子刺激に伴う受容体チロシンキナーゼの活性化によって引き起こされる、受容体タンパク質のチロシン残基のリン酸化反応を強く阻害することが示された。
【0139】
試験例2
in vitro でのヒトリウマチ滑膜細胞増殖抑制作用(in vitro)
ヒトリウマチ滑膜細胞HS−RA(Cell Applications Inc.より購入、Lot.1413)の細胞懸濁液100μl(1,000細胞/100μl)を96穴マイクロプレートに播き、5%炭酸ガスインキュベーター中、37℃下で培養した。翌日、10倍段階希釈した各被検化合物溶液100μlを添加し、培養を6日間行った。培養終了時に同仁から供給されるCell Counting kitを各ウエルに20μl加え、37℃下で1時間培養した。細胞数の測定はA450nm(Reference A620nm)で測定した。測定当日にHS−RAを1ウエルあたり70、700、7000個まき、6時間おいてからCellCounting kitを用いて吸光度を測定し、検量線を作製した。結果を表2に示す。
【0140】
【表2】
【0141】
これより、本発明の化合物は、ヒトリウマチ滑膜細胞の増殖を強く抑制することが示された。
【0142】
試験例3
リウマチにおける骨関節破壊の役割を担う破骨細胞の形成に対する本発明の実施例4で得られた化合物の作用を検討した。8週齢雄性ddyマウスの脛骨より骨髄細胞を採取して10%のFBSを含むαMEM培地に懸濁し、5x105cells/0.2ml/wellとなるよう48wellプレートに細胞を播種した。3時間の静置培養を行った後、ヒト可溶型RANKL250ng/mlとマウスM−CSF(ジェンザイム)200ng/ml、ならびに被検化合物溶液を添加した上記培地を50μl/well加え(被検化合物最終濃度:0.0001、0.001、0.01、0.1、1μM)、6日間の培養を行った。培養終了後、細胞をホルマリン固定して破骨細胞の分化指標である酒石酸耐性酸性フォスファターゼ(TRAP)に対する酵素活性染色を行い、TRAP陽性で3核以上の多核細胞を破骨細胞とし、その数を顕微鏡下で計測した。
【0143】
【表3】
【0144】
表3に示すように、本発明の化合物はマウス骨髄細胞培養系における破骨細胞の形成を明らかに阻害した(IC50値=0.011μM)。
【0145】
試験例4
In vivo でのリウマチ抑制作用(in vivo)
Lewisラット(雄、7週齢)の右後肢皮内に0.05mlのパラフィンオイルに懸濁したMycobacterium tuberculousis(Difco)250μlを投与し感作する(Day0)。アジュバント非注射ラットの左足とアジュバント注射ラットの左足の足容積を測定し、Day14、Day28における非注射ラットの左足と注射ラットの左足との足容積の差を足浮腫とした。薬物はアジュバント感作後7日目から1日1回、21日間連日(Day7−27)経口投与した。また、Day28における非感作足の踵関節のX線写真を撮影し、その関節破壊の度合いをスコア化した(最高破壊スコア:6)。結果を表4および表5にそれぞれ示す。
【0146】
【表4】
【0147】
【表5】
【0148】
本発明の化合物4は、リウマチモデルラットにおいて2mg/kgの投与量でDay28における足浮腫容量を53%抑制し、さらに踵関節の破壊をX線写真上で明らかに抑制した。
【0149】
【発明の効果】
本発明の化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグは、チロシンキナーゼ阻害作用を有し、かつ毒性が低いため、HER2を発現しているリウマチ滑膜細胞の増殖を抑制する治療剤として、また、リウマチにおける骨・関節破壊の予防薬としても有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は増殖因子受容体チロシンキナーゼ(特に、HER2)阻害剤として有用な複素環化合物の新規医薬用途、特にリウマチの予防・治療用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
細胞増殖因子および増殖因子受容体の遺伝子はプロトオンコジンと呼ばれ、乳癌などのヒト腫瘍の病態に重要な役割を果たしている(非特許文献1)。上皮細胞増殖因子EGFの受容体とホモロジーを有するHER2(Human EGF Receptor−2)遺伝子は膜貫通型の受容体型糖タンパク質の遺伝子で、この受容体はチロシンキナーゼ活性を有する(非特許文献2)。HER2は種々の癌における発現が知られているが、ヒトリウマチ患者の滑膜細胞でも発現していることが報告されている(非特許文献3)。また、HER2に対する抗体がリウマチ患者由来滑膜細胞の増殖を抑制することも記載されている(非特許文献3)。抗HER2抗体は、増殖因子がHER2に結合することを妨害することによりチロシンキナーゼが活性化されることを阻害し、その結果、滑膜細胞の増殖を抑制するものと考えられる。
【0003】
【非特許文献1】
アーロンソンら,サイエンス(Science),254巻,p1146−1153(1991年)
【非特許文献2】
秋山ら,サイエンス(Science),232巻,p1644−1646(1986年)
【非特許文献3】
佐藤ら,アースライティス アンド リューマティズム(Arthritis and Rheumatism),44巻,p260−265(2001年)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
優れたチロシンキナーゼ阻害作用を有し、低毒性であり、かつ抗リウマチ剤として十分満足できる化合物の開発が切望されている。従って、本発明の目的は、チロシンキナーゼ(特に、HER2)阻害作用を有し、リウマチ予防・治療剤として有用な化合物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、チロシンキナーゼ阻害作用を有する複素環化合物について種々検討を加えた結果、式
【化7】
〔式中、各記号は下記と同意義を示す〕で表される骨格のフェニルエテニルのフェニルが、ハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1−2アルキル基で置換されていることに化学構造上の特徴を有する、式
【化8】
〔式中、mは1または2、
R1はハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1−2アルキル基、
R2およびR3の一方は水素原子、他方は式
【化9】
(式中、nは3または4、R4は1ないし2個のヒドロキシ基で置換されたC1−4アルキル基を示す)で表される基を示す〕で表される化合物〔以下、化合物(I)と称することもある〕またはその塩を初めて合成し、かつこの化合物(I)またはその塩が予想外にもその特異な化学構造に基づいて優れたチロシンキナーゼの阻害作用を有することを見いだし、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は、
(1)化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグを含有するリウマチ予防・治療剤;
(2)R1がフルオロまたはトリフルオロメチルである前記(1)記載の剤;
(3)R2が式
【化10】
で表される基およびR3が水素原子、または
R2が水素原子およびR3が式
【化11】
で表される基である前記(1)記載の剤;
(4)R2が式
【化12】
で表される基およびR3が水素原子である前記(1)記載の剤;
(5)mが1、R1が4−トリフルオロメチル、
R2が式
【化13】
で表される基、およびR3が水素原子である前記(1)記載の剤;
(6)化合物が1−(4−{4−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}ブチル)−1H−1,2,3−トリアゾール、
1−(3−{3−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}プロピル)−1H−1,2,3−トリアゾール、または
3−(1−{4−[4−({2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオールである前記(1)記載の剤;
(7)前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグと他の抗リウマチ剤とを組み合わせてなる医薬;
(8)前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグと抗炎症剤とを組み合わせてなる医薬;
(9)哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグを有効量投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(10)(1)前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量を投与することと、(2)▲1▼他の抗リウマチ剤の有効量を投与すること、▲2▼抗炎症剤の有効量を投与すること、および▲3▼非薬剤療法から成る群から選ばれる1〜3種とを組み合わせることを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(11)非薬剤療法が基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上である前記(10)記載の方法;
(12)哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と他の抗リウマチ剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(13)哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と抗炎症剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(14)基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用する前に、哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(15)基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用した後に、哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(16)基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用する前に、哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と他の抗リウマチ剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(17)基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用する前に、哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と抗炎症剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(18)基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用した後に、哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と他の抗リウマチ剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;
(19)基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用した後に、哺乳動物に対して、前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と抗炎症剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法;および
(20)リウマチ予防・治療剤を製造するための前記(1)記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの使用などに関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記式中、R1で示される「ハロゲン原子」としては、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードなどが挙げられる。このうちフルオロが好ましい。
R1で示される「ハロゲン化されていてもよいC1−2アルキル基」の「ハロゲン」としては、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードなどが挙げられる。このうちフルオロが好ましい。
R1で示される「ハロゲン化されていてもよいC1−2アルキル基」の「C1−2アルキル基」としては、メチル、エチルが挙げられ、メチルが好ましい。
該「C1−2アルキル基」は、上記ハロゲンを、置換可能な位置に1ないし3個、好ましくは2ないし3個有していてもよく、該ハロゲンの数が2個以上の場合、各ハロゲンは同一または異なっていてもよい。
該「ハロゲン化されていてもよいC1−2アルキル基」の具体例としては、メチル、エチル、トリフルオロメチルなどが挙げられる。
R1としては、ハロゲンまたはハロゲン化されたC1−2アルキル基が好ましく、フルオロおよびトリフルオロメチルがさらに好ましい。
mが2の場合、各R1は異なっていてもよい。
【0008】
R2またはR3で示される式
【化14】
〔式中、R4は前記と同意義を示す〕で表される基は、好ましくは式
【化15】
〔式中、R4は前記と同意義を示す〕で表される基である。
R4で示される「1ないし2個のヒドロキシ基で置換されたC1−4アルキル基」の「C1−4アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどが挙げられる。中でもエチル、プロピルなどが好ましい。
該「1ないし2個のヒドロキシ基で置換されたC1−4アルキル基」の具体例としては、2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1,3−ジヒドロキシプロピルなどが挙げられる。中でも好ましくは2,3−ジヒドロキシプロピルである。
【0009】
R2が
【化16】
の場合、nとしては4が好ましい。
R3が
【化17】
の場合、nとしては3が好ましい。
上記式中、R2が式
【化18】
で表される基およびR3が水素原子である場合が好ましい。
R2が水素原子およびR3が式
【化19】
で表される基である場合も好ましい。
R2が式
【化20】
〔式中、nは前記と同意義を示す〕で表される基およびR3が水素原子である場合も好ましく、さらに好ましくはnが4である。
【0010】
化合物(I)の好ましい例としては、式
【化21】
〔式中、各記号は前記と同意義を示す〕で表される化合物またはその塩が挙げられる。
化合物(I)中、mが1、R1が4−トリフルオロメチル、R2が式
【化22】
で表される基、およびR3が水素原子である化合物またはその塩が好ましい。
化合物(I)の具体例としては、1−(4−{4−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}ブチル)−1H−1,2,3−トリアゾール、
1−(3−{3−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}プロピル)−1H−1,2,3−トリアゾール、
3−(1−{4−[4−({2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオールまたはこれらの塩などが挙げられる。
【0011】
本発明の化合物(I)の塩としては、薬学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
化合物(I)には、(Z)−エテニル体および(E)−エテニル体の2種が存在し、この異性体が単独の場合も、それらの混合物の場合も本発明に含まれる。
また、化合物(I)が不斉炭素を有する場合、光学異性体が生ずるが、この異性体が単独の場合も、それらの混合物の場合も本発明に含まれる。
【0012】
本発明の化合物(I)またはその塩は、自体公知の方法、例えば特開平11−60571号公報に記載の方法に準じた方法などにより得られるほか、例えば以下の反応式A〜Hで示される方法等により得られる。
以下の反応式の略図中の化合物の各記号は前記と同意義を示す。反応式中の化合物は塩を形成している場合も含み、該塩としては、例えば化合物(I)の塩と同様のものなどが挙げられる。
【0013】
【化23】
Xで示される「脱離基」としては、例えばハロゲン(例、クロロ、ブロモなど)または式:−OSO2R5〔式中、R5はアルキルまたは置換基を有していてもよいアリールを示す〕で表される基などが挙げられる。
R5で示される「アルキル」としては、例えばメチル、エチル、プロピルなどのC1−6アルキルなどが挙げられる。
R5で示される「置換基を有していてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、フェニルなどのC6−14アリールが挙げられる。
R5で示される「置換基を有していてもよいアリール」の「置換基」としては、メチル、エチル、プロピルなどのC1−6アルキルなどが挙げられる。
該「置換基を有していてもよいアリール」の具体例としては、C1−6アルキルを有していてもよいフェニル(例、p−トリルなど)などが挙げられる。
【0014】
化合物(II)と化合物(III)とを反応させ、化合物(I)を得る。
本反応は、通常、塩基の存在下、化合物(II)と化合物(III)とを縮合させる。
該「塩基」としては、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、アミン類(例、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリンなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水素化物(例、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウムなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の低級アルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシドなど)などが挙げられる。
「塩基」の好ましい使用量は、化合物(II)に対して約1〜5モル当量である。
「化合物(III)」の好ましい使用量は、化合物(II)に対して約0.5〜5モル当量である。
本反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒存在下にて行うのが有利である。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類、アミド類、スルホキシド類またはこれら二種以上の混合物等が用いられる。
反応温度は、通常−50〜+150℃、好ましくは約−10〜+100℃である。反応時間は、通常0.5〜48時間である。
【0015】
化合物(II)は、自体公知の方法またはこれに準じた方法に従って製造でき、例えば、Xがクロロである化合物(IIa)は、以下の反応式Bで示される方法等により製造できる。
【化24】
化合物(IV)と1,3−ジクロロアセトンとを縮合・脱水反応に付して化合物(IIa)を得る。
化合物(IV)は、市販されている場合には、市販品をそのまま用いてもよく、また、自体公知の方法またはこれに準じた方法等に従って製造してもよい。
「1,3−ジクロロアセトン」の使用量は、化合物(IV)に対して、約1当量ないし大過剰(溶媒量)である。
本反応は、無溶媒または反応に影響を及ぼさない溶媒存在下にて行うのが有利である。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類またはこれら二種以上の混合物等が用いられる。
反応温度は、通常50〜150℃、好ましくは約60〜120℃である。反応時間は、通常0.5〜48時間である。
生成物は反応液のまま、あるいは粗成物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもできる。
【0016】
化合物(III)うち、R3が水素原子である化合物(IIIa)は、自体公知の方法またはこれに準じた方法に従って製造でき、例えば、以下の反応式Cで示される方法により製造できる。
【化25】
上記式中、Paは水素原子または保護基、Xaは脱離基を示す。
Paで示される「保護基」としては、例えばアルキル(例、メチル、エチルなどのC1−6アルキルなど)、フェニル−C1−6アルキル(例、ベンジルなど)、C1−6アルキル−カルボニル、アルキル置換シリル(例、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリルなど)などが挙げられる。
Xaで示される「脱離基」としては、例えば前記Xで示される「脱離基」と同様のものが挙げられる。
【0017】
化合物(V)と化合物(VI)または化合物(VII)とを縮合させて化合物(VIII)を得、必要に応じ、次いで脱保護反応に付すことにより、化合物(IIIa)を得る。
化合物(V)、化合物(VI)および化合物(VII)は、市販されている場合には、市販品をそのまま用いてもよく、また、自体公知の方法またはこれに準じた方法等に従って製造してもよい。
該「縮合反応」は、通常、塩基の存在下、反応に影響を及ぼさない溶媒中で行われる。
該「塩基」としては、上記反応式Aで詳述した塩基が用いられる。
「塩基」の好ましい使用量は、化合物(V)に対して約1〜5モル当量である。
「化合物(VI)または化合物(VII)」の好ましい使用量は、化合物(V)に対して約0.5〜5モル当量である。
該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類、アミド類、スルホキシド類またはこれら二種以上の混合物等が用いられる。
反応温度は、通常−50〜+150℃、好ましくは約−10〜+100℃である。反応時間は約0.5〜48時間である。
得られた化合物(VIII)は反応液のまま、あるいは粗成物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもできる。
【0018】
該「脱保護反応」は、常法の中から適宜選択することができる。
例えばPaがアルキルの場合、化合物(VIII)を酸(例、臭化水素酸などの鉱酸、四塩化チタンなどのルイス酸など)処理に付す。
例えばPaがフェニル−C1−6アルキルの場合、化合物(VIII)を水素添加反応に付す。
例えばPaがアルキル置換シリルの場合、化合物(VIII)とフッ化物(例、テトラブチルアンモニウムフルオリドなど)とを反応させる。
得られた化合物(IIIa)は反応液のまま、あるいは粗成物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもできる。
【0019】
化合物(III)うち、R2が水素原子である化合物(IIIb)は、自体公知の方法またはこれに準じた方法に従って製造でき、例えば、以下の反応式Dで示される方法により製造できる。
【化26】
上記式中、Pbは水素原子または保護基、Xbは脱離基を示す
Pbで示される「保護基」としては、前記Paで示される「保護基」と同様のものが挙げられる。
Xbで示される「脱離基」としては、例えば前記Xで示される「脱離基」と同様のものが挙げられる。
【0020】
前記反応式Cに記載の方法と同様の方法により、化合物(IX)と化合物(VI)または化合物(VII)とを縮合させて化合物(X)を得、必要に応じ、次いで脱保護反応に付すことにより、化合物(IIIb)を得る。
化合物(IX)は、市販されている場合には、市販品をそのまま用いてもよく、また、自体公知の方法またはこれに準じた方法等に従って製造してもよい。
【0021】
化合物(I)のうち、R3が水素原子である化合物(Ia)は、以下の反応式Eに記載の方法に従っても製造できる。
【化27】
上記式中、Xcは脱離基を示す。
Xcで示される「脱離基」としては、例えば前記Xで示される「脱離基」と同様のものが挙げられる。
【0022】
化合物(XI)と化合物(VI)または化合物(VII)とを反応させ、化合物(Ia)を得る。
本反応は、通常、塩基の存在下、化合物(XI)と化合物(VI)または化合物(VII)とを縮合させる。
該「塩基」としては、前記反応式Aで詳述した塩基が用いられる。
「塩基」の好ましい使用量は、化合物(XI)に対して約1〜5モル当量である。
「化合物(VI)」および「化合物(VII)」の好ましい使用量は、化合物(XI)に対して、それぞれ約0.5〜5モル当量である。
本反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒存在下にて行うのが有利である。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類、アミド類、スルホキシド類またはこれら二種以上の混合物等が用いられる。
反応温度は、通常−20〜+150℃、好ましくは約−10〜+100℃である。反応時間は、通常0.5〜48時間である。
【0023】
化合物(XI)は、自体公知の方法またはこれに準じた方法に従って製造でき、例えば、以下の反応式Fで示される方法により製造できる。
【化28】
上記式中、Xdは脱離基を示す。
Xdで示される「脱離基」としては、例えば前記Xで示される「脱離基」と同様のものが挙げられ、好ましくは、Xよりも反応性の低い脱離基である。
前記反応式Aに記載の方法と同様の方法により、化合物(II)と化合物(XII)とを反応させて化合物(XI)を得る。
化合物(XII)は、市販されている場合には、市販品をそのまま用いてもよく、また、自体公知の方法またはこれに準じた方法等に従って製造してもよい。
【0024】
化合物(I)のうち、R2が水素原子である化合物(Ib)は、以下の反応式Gに記載の方法に従っても製造できる。
【化29】
上記式中、Xeは脱離基を示す。
Xeで示される「脱離基」としては、例えば前記Xで示される「脱離基」と同様のものが挙げられる。
上記反応式Eに記載の方法と同様の方法により、化合物(XIII)と化合物(VI)または化合物(VII)とを反応させ、化合物(Ib)を得る。
【0025】
化合物(XIII)は、自体公知の方法またはこれに準じた方法に従って製造でき、例えば、以下の反応式Hで示される方法により製造できる。
【化30】
上記式中、Xfは脱離基を示す。
Xfで示される「脱離基」としては、例えば前記Xで示される「脱離基」と同様のものが挙げられ、好ましくは、Xよりも反応性の低い脱離基である。
前記反応式Aに記載の方法と同様の方法により、化合物(II)と化合物(XIV)とを反応させて化合物(XIII)を得る。
化合物(XIV)は、市販されている場合には、市販品をそのまま用いてもよく、また、自体公知の方法またはこれに準じた方法等に従って製造してもよい。
【0026】
前記「芳香族炭化水素類」としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどが用いられる。
前記「エーテル類」としては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサンなどが用いられる。
前記「ケトン類」としては、例えばアセトン、2−ブタノンなどが用いられる。
前記「ハロゲン化炭化水素類」としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタンなどが用いられる。
前記「アミド類」としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミドなどが用いられる。
前記「スルホキシド類」としては、例えばジメチルスルホキシドなどが用いられる。
【0027】
前記の各反応において、生成物が遊離体で得られた場合はその塩に、また、塩で得られた場合は遊離体にそれぞれ常法に従って変換することができる。
前記の反応において、置換基中にアミノ(NH2)、ヒドロキシ(OH)、カルボキシル(COOH)等が含まれる場合には、これらの基が保護されたものを原料として用い、反応後に自体公知の方法により保護基を除去して目的物を製造してもよい。アミノの保護基としては、例えばアシル(例、アセチル等のC1−6アルキル−カルボニル;ベンジルオキシカルボニル;tert−ブトキシカルボニル等のC1−6アルコキシ−カルボニル;フタロイル;ホルミル等)などが挙げられる。ヒドロキシの保護基としては、例えばC1−6アルキル(例、メチル、エチル等)、フェニル−C1−6アルキル(例、ベンジル等)、C1−6アルキル−カルボニル(例、アセチル等)、ベンゾイル、アルキル置換シリル(例、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル等)などが挙げられる。カルボキシルの保護基としては、例えばC1−6アルキル(例、メチル、エチル等)、フェニル−C1−6アルキル(例、ベンジル等)などが挙げられる。
【0028】
かくして得られた化合物(I)〔(Ia)および(Ib)を含む〕は、自体公知の分離手段、例えば濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離、精製することができる。
化合物(I)が遊離体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって目的とする塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法により、遊離体または、目的とする他の塩に変換することができる。
化合物(I)は、水和物であってもよく、非水和物であってもよい。
化合物(I)が光学活性体の混合物として得られる場合には、自体公知の光学分割手段により目的とする(R)体または(S)体に分離することができる。
化合物(I)は同位元素(例、3H、14C等)などで標識されていてもよい。
式
【化31】
〔式中、R1aはフルオロまたはトルフルオロメチルを、pは1または2を、X1は脱離基を示す〕で表わされる化合物またはその塩は、本発明の化合物(I)またはその塩を製造するための新規な合成中間体である。
X1で示される脱離基としては、例えば前記Xで示される「脱離基」と同様のものが挙げられ、なかでもハロゲン(例、クロロ、ブロモ)が好ましい。
化合物(IIa)の塩としては、化合物(I)の塩と同様のものが用いられる。
【0029】
化合物(I)またはその塩(以下、化合物(I)と略記する)のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)に変換する化合物、即ち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物をいう。化合物(I)のプロドラッグとしては、化合物(I)の水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例、化合物(I)の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等)等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって化合物(I)から製造することができる。
また、化合物(I)のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような生理的条件で化合物(I)に変化するものであってもよい。
【0030】
本発明の化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグ(以下、「本発明の化合物」と略記する場合がある)は、チロシンキナーゼ阻害作用を有し、哺乳動物におけるチロシンキナーゼ依存性疾患の予防または治療に用いることができる。特に、本発明の化合物は、HER2チロシンキナーゼを特異的に阻害するため、HER2を発現しているリウマチ患者滑膜の増殖を抑制する治療剤として、また、滑膜切除後の関節滑膜の再増殖、骨・関節破壊を防ぐ予防剤として有用である。
即ち、本発明の化合物は、滑膜細胞の増殖に伴うリウマチ疾患などの異常な細胞増殖による疾患に対する安全な予防または治療剤として用いることができる。本発明の化合物は、リウマチ疾患などの予防・治療のための抗リウマチ剤として有用である。
本発明の化合物は、毒性が低く、そのまま医薬として、または自体公知の薬学的に許容しうる担体などと混合して哺乳動物(例、ヒト、ウマ、ウシ、犬、猫、ラット、マウス、ウサギ、ブタ、サル等)に対して医薬組成物として用いることができる。
医薬組成物の中に本発明の化合物とともに他の活性成分、例えば下記の抗リウマチ剤、抗炎症剤(抗サイトカイン剤、COX阻害剤などの炎症を抑制する薬剤など)などを含有させてもよい。
【0031】
本発明の化合物を医薬として、ヒト等の哺乳動物に投与するにあたって、投与方法は通常例えば錠剤、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤などとして経口的、あるいは注射剤、坐剤、ペレットなどとして非経口的に投与できる。「非経口」には、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内、腹腔内および関節内、浮腫内部、浮腫の近位などへの投与あるいは直接病巣への投与を含む。本発明の化合物の投与量は、投与ルート、症状等によって異なるが、例えばリウマチ患者(体重40ないし80kg)に抗リウマチ剤として経口投与する場合、例えば1日0.5〜10mg/kg体重、好ましくは1日1〜5mg/kg体重、さらに好ましくは1日1〜2.5mg/kg体重である。この量を1日1回または2〜3回に分けて投与することができる。
【0032】
本発明の化合物は、薬学的に許容される担体と配合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの固形製剤;またはシロップ剤、注射剤などの液状製剤として経口または非経口的に投与することができる。
薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用されている各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。
滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤の好適な例としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。
溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油などが挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤の好適な例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などが挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトールなどが挙げられる。
緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、例えばベンジルアルコールなどが挙げられる。防腐剤の好適な例としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸などが挙げられる。
【0033】
医薬組成物は、剤型、投与方法、担体等により異なるが、本発明の化合物を製剤全量に対して通常0.1〜95%(w/w)含有させることにより、常法に従って製造することができる。
また、(1)本発明の化合物の有効量を投与することと、(2)▲1▼他の抗リウマチ剤の有効量を投与すること、▲2▼抗炎症剤の有効量を投与すること、および▲3▼非薬剤療法から成る群から選ばれる1〜3種とを組み合わせることにより、より効果的にリウマチを予防・治療することができる。非薬剤療法としては、例えば、基礎療法(例:運動と安静の組み合わせなど);リハビリテーション[例えば、運動療法(例:他動運動、自動運動など)、温熱療法(例:超音波療法やレーザー療法などの電気療法、またパラフィン浴やホットパック、入浴や部分浴、温泉浴など)や冷却療法(例:冷湿布、冷水浴など)等の理学療法、作業療法(例:手工芸、書道、絵画製作など)および装具療法(例:スプリント、ソフトカラーなど)等];外科的療法(例:滑膜切除術、関節固定術、頸椎固定術、人工関節置換術など);遺伝子治療(例:NFκBシグナル伝達阻害、Fasを介したアポトーシス等を誘発する遺伝子のin vivoまたはex vivo導入など)等が挙げられ、これらを2種以上組み合わせることもできる。
例えば、本発明の化合物は、他の抗リウマチ剤、抗炎症剤など(以下、併用薬物と略記する)と併用して使用することができる。
本発明の化合物は単剤として使用しても優れた抗リウマチ作用を示すが、さらに上記併用薬物の一つまたは幾つかと併用(多剤併用)することによって、その効果をより一層増強させることができる。
他の抗リウマチ剤としては、例えば、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィンなどの金製剤、ブシラミン、ペニシラミンなどのペニシラミン系薬剤、ロベンザリット二ナトリウムなどのロベンザリット系薬剤、アクリタット、サラゾスルファピリジン、メトトレキサート、ミゾリピン、シクロスポリン、アザチオプリン、シクロフォスファミド、ファルネシル酸プレドニゾロン等が挙げられる。
【0034】
抗炎症剤としては、例えば、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害薬である非ステロイド消炎鎮痛薬(例えば、各種アスピリンなどのサリチル酸系薬剤、メフェナム酸、フルフェナム酸などのアントラニール系薬剤、インドメタシン、スリンダク、アセメタシンなどのインドール酢酸系薬剤、ジクロフェナック、フェンブフェンなどのフェニル酢酸系薬剤、イブプロフェン、ケイトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、チアプロフェンなどのプロピオン系薬剤、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカムなどのオキシカム系薬剤、ケトフェニルブタゾンなどのピラゾロン系薬剤等)、抗サイトカイン剤(例:抗TNF−α抗体、抗IL−6抗体などの抗サイトカイン抗体、サイトカイン遺伝子のアンチセンスオリゴヌクレオチド、サイトカイン結合蛋白質等)などが挙げられる。
【0035】
本発明の化合物と併用薬物との併用に際しては、本発明の化合物と併用薬物の投与時期は限定されず、本発明の化合物と併用薬物とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。
本発明の化合物と併用薬物の投与形態は、特に限定されず、投与時に、本発明の化合物と併用薬物とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)本発明の化合物と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明の化合物→併用薬物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。以下、これらの投与形態をまとめて、本発明の併用剤と略記する。
【0036】
本発明の併用剤は、毒性が低く、例えば、本発明の化合物または(および)上記併用薬物を自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等として、経口的又は非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。注射剤は、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内、腹腔内および関節内、浮腫内部、浮腫の近位などへの投与あるいは直接病巣に投与することができる。
本発明の併用剤の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、前記した本発明の医薬組成物に使用されるものと同様のものを使用することができる。
【0037】
本発明の併用剤における本発明の化合物と併用薬物との配合比は、投与対象、投与ルート、疾患等により適宜選択することができる。
例えば、本発明の併用剤における本発明の化合物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01ないし100重量%、好ましくは約0.1ないし50重量%、さらに好ましくは約0.5ないし20重量%程度である。
本発明の併用剤における併用薬物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01ないし100重量%、好ましくは約0.1ないし50重量%、さらに好ましくは約0.5ないし20重量%程度である。
本発明の併用剤における担体等の添加剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1ないし99.99重量%、好ましくは約10ないし90重量%程度である。
また、本発明の化合物および併用薬物をそれぞれ別々に製剤化する場合も同様の含有量でよい。
【0038】
これらの製剤は、製剤工程において通常一般に用いられる自体公知の方法により製造することができる。
例えば、本発明の化合物または併用薬物は、分散剤(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社製、米国)、HCO 60(日光ケミカルズ製)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリンなど)、安定化剤(例、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等)、界面活性剤(例、ポリソルベート80、マクロゴール等)、可溶剤(例、グリセリン、エタノール等)、緩衝剤(例、リン酸及びそのアルカリ金属塩、クエン酸及びそのアルカリ金属塩等)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖等)、pH調節剤(例、塩酸、水酸化ナトリウム等)、保存剤(例、パラオキシ安息香酸エチル、安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール等)、溶解剤(例、濃グリセリン、メグルミン等)、溶解補助剤(例、プロピレングリコール、白糖等)、無痛化剤(例、ブドウ糖、ベンジルアルコール等)などと共に水性注射剤に、あるいはオリーブ油、ゴマ油、綿実油、コーン油などの植物油、プロピレングリコールなどの溶解補助剤に溶解、懸濁あるいは乳化して油性注射剤に成形し、注射剤とすることができる。
【0039】
経口投与用製剤とするには、自体公知の方法に従い、本発明の化合物または併用薬物を例えば、賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプンなど)、崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、結合剤(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)又は滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール 6000など)などを添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングすることにより経口投与製剤とすることができる。そのコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン 80、プルロニック F68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、ドイツ,メタアクリル酸・アクリル酸共重合)および色素(例、ベンガラ,二酸化チタン等)などが用いられる。経口投与用製剤は速放性製剤、徐放性製剤のいずれであってもよい。
【0040】
例えば、坐剤とするには、自体公知の方法に従い、本発明の化合物または併用薬物を油性又は水性の固状、半固状あるいは液状の坐剤とすることができる。上記組成物に用いる油性基剤としては、例えば、高級脂肪酸のグリセリド〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイナマイトノーベル社製,ドイツ)など〕、中級脂肪酸〔例、ミグリオール類(ダイナマイトノーベル社製,ドイツ)など〕、あるいは植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油など)などが挙げられる。また、水性基剤としては、例えばポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、水性ゲル基剤としては、例えば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル酸重合体などが挙げられる。
上記徐放性製剤としては、徐放性マイクロカプセル剤などが挙げられる。
徐放型マイクロカプセルとするには、自体公知の方法を採用できるが、例えば、下記〔2〕に示す徐放性製剤に成型して投与するのが好ましい。
本発明の化合物は、固形製剤(例、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤)などの経口投与用製剤に成型するか、坐剤などの直腸投与用製剤に成型するのが好ましい。特に経口投与用製剤が好ましい。
併用薬物は、薬物の種類に応じて上記した剤形とすることができる。
【0041】
以下に、〔1〕本発明の化合物または併用薬物の注射剤およびその調製、〔2〕本発明の化合物または併用薬物の徐放性製剤又は速放性製剤およびその調製、〔3〕本発明の化合物または併用薬物の舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤およびその調製について具体的に示す。
〔1〕注射剤およびその調製
本発明の化合物または併用薬物を水に溶解してなる注射剤が好ましい。該注射剤には安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩を含有させてもよい。
該注射剤は、本発明の化合物または併用薬物と所望により安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の双方を水に溶解することにより得られる。
上記安息香酸、サリチル酸の塩としては、例えばナトリウム,カリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム,マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、メグルミン塩、その他トロメタモールなどの有機酸塩などが挙げられる。
注射剤中の本発明の化合物または併用薬物の濃度は0.5〜50w/v%、好ましくは3〜20w/v%程度である。また安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の濃度は0.5〜50w/v%、好ましくは3〜20w/v%が好ましい。
【0042】
また、本剤には一般に注射剤に使用される添加剤、例えば安定化剤(アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等)、界面活性剤(ポリソルベート80、マクロゴール等)、可溶剤(グリセリン、エタノール等)、緩衝剤(リン酸及びそのアルカリ金属塩、クエン酸及びそのアルカリ金属塩等)、等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム等)、分散剤(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン等)、pH調節剤(塩酸、水酸化ナトリウム等)、保存剤(パラオキシ安息香酸エチル、安息香酸等)、溶解剤(濃グリセリン、メグルミン等)、溶解補助剤(プロピレングリコール、白糖等)、無痛化剤(ブドウ糖、ベンジルアルコール等)などを適宜配合することができる。これらの添加剤は一般に注射剤に通常用いられる割合で配合される。
注射剤はpH調節剤の添加により2〜12好ましくは2.5〜8.0に調整するのがよい。
注射剤は本発明の化合物または併用薬物と所望により安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の双方を、また必要により上記添加剤を水に溶解することにより得られる。これらの溶解はどのような順序で行ってもよく、従来の注射剤の製法と同様に適宜行うことができる。
注射用水溶液は加温するのがよく、また通常の注射剤と同様にたとえば濾過滅菌,高圧加熱滅菌などを行うことにより注射剤として供することができる。
注射用水溶液は、例えば100℃〜121℃の条件で5分〜30分高圧加熱滅菌するのがよい。
さらに多回分割投与製剤として使用できるように、溶液の抗菌性を付与した製剤としてもよい。
【0043】
〔2〕徐放性製剤又は速放性製剤およびその調製
本発明の化合物または併用薬物を含んでなる核を所望により水不溶性物質や膨潤性ポリマーなどの被膜剤で被覆してなる徐放性製剤が好ましい。例えば、1日1回投与型の経口投与用徐放性製剤が好ましい。
被膜剤に用いられる水不溶性物質としては、例えばエチルセルロース、ブチルセルロースなどのセルロースエーテル類、セルロースアセテート、セルロースプロピオネートなどのセルロースエステル類、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチレートなどのポリビニルエステル類、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート共重合体、エトキシエチルメタクリレート/シンナモエチルメタクリレート/アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、メタクリル酸アルキルアミド共重合体、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリメタクリレート、ポリメタクリルアミド、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリ(メタクリル酸アンヒドリド)、グリシジルメタクリレート共重合体、とりわけオイドラギットRS−100,RL−100,RS−30D,RL−30D,RL−PO,RS−PO(アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチル・アンモニウムエチル共重合体)、オイドラギットNE−30D(メタアクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体)などのオイドラギット類(ローム・ファーマ社)などのアクリル酸系ポリマー、硬化ヒマシ油(例、ラブリーワックス(フロイント産業)など)などの硬化油、カルナバワックス、脂肪酸グリセリンエステル、パラフィンなどのワックス類、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0044】
膨潤性ポリマーとしては、酸性の解離基を有し、pH依存性の膨潤を示すポリマーが好ましく、胃内のような酸性領域では膨潤が少なく、小腸や大腸などの中性領域で膨潤が大きくなる酸性の解離基を有するポリマーが好ましい。
このような酸性の解離基を有し pH依存性の膨潤を示すポリマーとしては、例えばカーボマー(Carbomer)934P、940、941、974P、980、1342等、ポリカーボフィル(polycarbophil)、カルシウムポリカボーフィル(carcium polycarbophil)(前記はいずれもBFグツドリッチ社製)、ハイビスワコー103、104、105、304(いずれも和光純薬(株)製)などの架橋型ポリアクリル酸重合体が挙げられる。
【0045】
徐放性製剤に用いられる被膜剤は親水性物質をさらに含んでいてもよい。
該親水性物質としては、例えばプルラン、デキストリン、アルギン酸アルカリ金属塩などの硫酸基を有していてもよい多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのヒドロキシアルキル基又はカルボキシアルキル基を有する多糖類、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
徐放性製剤の被膜剤における水不溶性物質の含有率は約30ないし約90%(w/w)、好ましくは約35ないし約80%(w/w)、さらに好ましくは約40ないし75%(w/w)、膨潤性ポリマーの含有率は約3ないし約30%(w/w)、好ましくは約3ないし約15%(w/w)である。被膜剤は親水性物質をさらに含んでいてもよく、その場合被膜剤における親水性物質の含有率は約50%(w/w)以下、好ましくは約5〜約40%(w/w)、さらに好ましくは約5〜約35%(w/w)である。ここで上記%(w/w)は被膜剤液から溶媒(例、水、メタノール、エタノール等の低級アルコール等)を除いた被膜剤組成物に対する重量%を示す。
【0046】
徐放性製剤は、以下に例示するように薬物を含む核を調製し、次いで得られた核を、水不溶性物質や膨潤性ポリマーなどを加熱溶解あるいは溶媒に溶解又は分散させた被膜剤液で被覆することにより製造される。
I.薬剤を含む核の調製
被膜剤で被覆される薬物を含む核(以下、単に核と称することがある)の形態は特に制限されないが、好ましくは顆粒あるいは細粒などの粒子状に形成される。
核が顆粒又は細粒の場合、その平均粒子径は、好ましくは約150ないし2,000μm、さらに好ましくは約500ないし約1,400μmである。
核の調製は通常の製造方法で実施することができる。例えば、薬物に適当な賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定化剤等を混合し、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法などにより調製する。
核の薬物含量は、約0.5ないし約95%(w/w)、好ましくは約5.0ないし約80%(w/w)、さらに好ましくは約30ないし約70%(w/w)である。
【0047】
核に含まれる賦形剤としては、例えば白糖、乳糖、マンニトール、グルコースなどの糖類、澱粉、結晶セルロース、リン酸カルシウム、コーンスターチなどが用いられる。中でも、結晶セルロース、コーンスターチが好ましい。
結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プルロニックF68、アラビアゴム、ゼラチン、澱粉などが用いられる。崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム(ECG505)、クロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol)、架橋型ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)などが用いられる。中でも、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。滑沢剤、凝集防止剤としては例えばタルク、ステアリン酸マグネシウムおよびその無機塩、また潤滑剤としてポリエチレングリコールなどが用いられる。安定化剤としては酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸などの酸が用いられる。
【0048】
核は上記製造法以外にも、例えば核の中心となる不活性担体粒子上に水、低級アルコール(例、メタノール、エタノールなど)等の適当な溶媒に溶解した結合剤をスプレーしながら、薬物あるいはこれと賦形剤、滑沢剤などとの混合物を少量づつ添加して行なう転動造粒法、パンコーティング法、流動層コーティング法や溶融造粒法によっても調製することができる。不活性担体粒子としては、例えば白糖、乳糖、澱粉、結晶セルロース、ワックス類で製造されたものが使用でき、その平均粒子径は約100μmないし約1,500μmであるものが好ましい。
核に含まれる薬物と被膜剤とを分離するために、防護剤で核の表面を被覆してもよい。防護剤としては、例えば前記親水性物質や、水不溶性物質等が用いられる。防護剤は、好ましくはポリエチレングリコールやヒドロキシアルキル基又はカルボキシアルキル基を有する多糖類、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが用いられる。該防護剤には安定化剤として酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等の酸や、タルクなどの滑沢剤を含んでいてもよい。防護剤を用いる場合、その被覆量は核に対して約1ないし約15%(w/w)、好ましくは約1ないし約10%(w/w)、さらに好ましくは約2ないし約8%(w/w)である。
防護剤は通常のコーティング法により被覆することができ、具体的には、防護剤を例えば流動層コーティング法、パンコーティング法等により核にスプレーコーティングすることで被覆することができる。
【0049】
II.核の被膜剤による被覆
前記Iで得られた核を、前記水不溶性物質及び pH依存性の膨潤性ポリマー、および親水性物質を加熱溶解あるいは溶媒に溶解又は分散させた被膜剤液により被覆することにより徐放性製剤が製造される。
核の被膜剤液による被覆方法として、例えば噴霧コーティングする方法などが挙げられる。
被膜剤液中の水不溶性物質、膨潤性ポリマー又は親水性物質の組成比は、被膜中の各成分の含有率がそれぞれ前記含有率となるように適宜選ばれる。
被膜剤の被覆量は、核(防護剤の被覆量を含まない)に対して約1ないし約90%(w/w)、好ましくは約5ないし約50%(w/w)、さらに好ましくは約5ないし35%(w/w)である。
【0050】
被膜剤液の溶媒としては水又は有機溶媒を単独であるいは両者の混液を用いることができる。混液を用いる際の水と有機溶媒との混合比(水/有機溶媒:重量比)は、1ないし100%の範囲で変化させることができ、好ましくは1ないし約30%である。該有機溶媒としては、水不溶性物質を溶解するものであれば特に限定されないが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等の低級アルコール、アセトンなどの低級アルカノン、アセトニトリル、クロロホルム、メチレンクロライドなどが用いられる。このうち低級アルコールが好ましく、エチルアルコール、イソプロピルアルコールが特に好ましい。水及び水と有機溶媒との混液が被膜剤の溶媒として好ましく用いられる。この時、必要であれば被膜剤液中に被膜剤液安定化のために酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸などの酸を加えてもよい。
噴霧コーティングにより被覆する場合の操作は通常のコーティング法により実施することができ、具体的には、被膜剤液を例えば流動層コーティング法、パンコーティング法等により核にスプレーコーティングすることで実施することができる。この時必要であれば、タルク、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸などを滑沢剤として、グリセリン脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油、クエン酸トリエチル、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどを可塑剤として添加してもよい。
被膜剤による被膜後、必要に応じてタルクなどの帯電防止剤を混合してもよい。
【0051】
速放性製剤は、液状(溶液、懸濁液、乳化物など)であっても固形状(粒子状、丸剤、錠剤など)であってもよい。経口投与剤、注射剤など非経口投与剤が用いられるが、経口投与剤が好ましい。
速放性製剤は、通常、活性成分である薬物に加えて、製剤分野で慣用される担体、添加剤や賦形剤(以下、賦形剤と略称することがある)を含んでいてもよい。用いられる製剤賦形剤は、製剤賦形剤として常用される賦形剤であれば特に限定されない。例えば経口固形製剤用の賦形剤としては、乳糖、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース(旭化成(株)製、アビセルPH101など)、粉糖、グラニュウ糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、L−システインなどが挙げられ、好ましくはコーンスターチおよびマンニトールなどが挙げられる。これらの賦形剤は一種又は二種以上を組み合わせて使用できる。賦形剤の含有量は速放性製剤全量に対して、例えば約4.5〜約99.4w/w%、好ましくは約20〜約98.5w/w%、さらに好ましくは約30〜約97w/w%である。
速放性製剤における薬物の含量は、速放性製剤全量に対して、約0.5〜約95%、好ましくは約1〜約60%の範囲から適宜選択することができる。
【0052】
速放性製剤が経口固型製剤の場合、通常上記成分に加えて、崩壊剤を含有する。このような崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム(五徳薬品製、ECG−505)、クロスカルメロースナトリウム(例えば、旭化成(株)製、アクジゾル)、クロスポビドン(例えば、BASF社製、コリドンCL)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学(株))、カルボキシメチルスターチ(松谷化学(株))、カルボキシメチルスターチナトリウム(木村産業製、エキスプロタブ)、部分α化デンプン(旭化成(株)製、PCS)などが用いられ、例えば水と接触して吸水、膨潤、あるいは核を構成している有効成分と賦形剤との間にチャネルを作るなどにより顆粒を崩壊させるものを用いることができる。これらの崩壊剤は、一種又は二種以上を組み合わせて使用できる。崩壊剤の配合量は、用いる薬物の種類や配合量、放出性の製剤設計などにより適宜選択されるが、速放性製剤全量に対して、例えば約0.05〜約30w/w%、好ましくは約0.5〜約15w/w%である。
【0053】
速放性製剤が経口固型製剤である場合、経口固型製剤の場合には上記の組成に加えて、所望により固型製剤において慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば結合剤(例えば、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリンなど)、滑沢剤(例えば、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸(例えば、アエロジル(日本アエロジル))、界面活性剤(例えば、アルキル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体等の非イオン系界面活性剤など)、着色剤(例えば、タール系色素、カラメル、ベンガラ、酸化チタン、リボフラビン類)、必要ならば、橋味剤(例えば、甘味剤、香料など)、吸着剤、防腐剤、湿潤剤、帯電防止剤などが用いられる。また、安定化剤として酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸などの有機酸を加えてもよい。
上記結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンなどが好ましく用いられる。
速放性製剤は、通常の製剤の製造技術に基づき、前記各成分を混合し、必要により、さらに練合し、成型することにより調製することができる。上記混合は、一般に用いられる方法、例えば、混合、練合などにより行われる。具体的には、例えば速放性製剤を粒子状に形成する場合、前記徐放性製剤の核の調製法と同様の手法により、バーチカルグラニュレーター、万能練合機(畑鉄工所製)、流動層造粒機FD−5S(パウレック社製)等を用いて混合しその後、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法などにより造粒することにより調製することができる。
このようにして得られた速放性製剤と徐放性製剤とは、そのままあるいは適宜、製剤賦形剤等と共に常法により別々に製剤化後、同時あるいは任意の投与間隔を挟んで組み合わせて投与する製剤としてもよく、また両者をそのままあるいは適宜、製剤賦形剤等と共に一つの経口投与製剤(例、顆粒剤、細粒剤、錠剤、カプセル等)に製剤化してもよい。両製剤を顆粒あるいは細粒に製して、同一のカプセル等に充填して経口投与用製剤としてもよい。
【0054】
〔3〕舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤およびその調製
舌下錠、バッカル製剤、口腔内速崩壊剤は錠剤などの固形製剤であってもよいし、口腔粘膜貼付錠(フィルム)であってもよい。
舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤としては、本発明の化合物または併用薬物と賦形剤とを含有する製剤が好ましい。また、滑沢剤、等張化剤、親水性担体、水分散性ポリマー、安定化剤などの補助剤を含有していてもよい。また、吸収を容易にし、生体内利用率を高めるためにβ−シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリン誘導体(例、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなど)などを含有していてもよい。
上記賦形剤としては、乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられ、特に、ステアリン酸マグネシウムやコロイドシリカが好ましい。等張化剤としては塩化ナトリウム、グルコース、フルクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、サッカロース、グリセリン、尿素などが挙げられ、特にマンニトールが好ましい。親水性担体としては結晶セルロース、エチルセルロース、架橋性ポリビニルピロリドン、軽質無水珪酸、珪酸、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウムなどの膨潤性親水性担体が挙げられ、特に結晶セルロース(例、微結晶セルロースなど)が好ましい。水分散性ポリマーとしてはガム(例、トラガカントガム、アカシアガム、グアーガム)、アルギン酸塩(例、アルギン酸ナトリウム)、セルロース誘導体(例、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ゼラチン、水溶性デンプン、ポリアクリル酸(例、カーボマー)、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリカーボフィル、アスコルビン酸パルミチン酸塩などが挙げられ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどが好ましい。特にヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。安定化剤としては、システイン、チオソルビトール、酒石酸、クエン酸、炭酸ナトリウム、アスコルビン酸、グリシン、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられ、特に、クエン酸やアスコルビン酸が好ましい。
【0055】
舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤は、本発明の化合物または併用薬物と賦形剤とを自体公知の方法により混合することにより製造することができる。さらに、所望により上記した滑沢剤、等張化剤、親水性担体、水分散性ポリマー、安定化剤、着色剤、甘味剤、防腐剤などの補助剤を混合してもよい。上記成分を同時に若しくは時間差をおいて混合した後、加圧打錠成形することにより舌下錠、バッカル錠又は口腔内速崩壊錠が得られる。適度な硬度を得るため、打錠成形の過程の前後において必要に応じ水やアルコールなどの溶媒を用いて加湿・湿潤させ、成形後、乾燥させて製造してもよい。
【0056】
粘膜貼付錠(フィルム)に成型する場合は、本発明の化合物または併用薬物および上記した水分散性ポリマー(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、賦形剤などを水などの溶媒に溶解させ、得られる溶液を流延させて(cast)フィルムとする。さらに、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、保存剤、着色剤、緩衝剤、甘味剤などの添加物を加えてもよい。フィルムに適度の弾性を与えるためポリエチレングリコールやプロピレングリコールなどのグリコール類を含有させたり、口腔の粘膜ライニングへのフィルムの接着を高めるため生物接着性ポリマー(例、ポリカルボフィル、カルボポール)を含有させてもよい。流延は、非接着性表面に溶液を注ぎ、ドクターブレードなどの塗布用具で均一な厚さ(好ましくは10〜1000ミクロン程度)にそれを広げ、次いで溶液を乾燥してフィルムを形成することにより達成される。このように形成されたフィルムは室温若しくは加温下乾燥させ、所望の表面積に切断すればよい。
【0057】
好ましい口腔内速崩壊剤としては、本発明の化合物または併用薬物と、本発明の化合物または併用薬物とは不活性である水溶性若しくは水拡散性キャリヤーとの網状体からなる固体状の急速拡散投与剤が挙げられる。該網状体は、本発明の化合物または併用薬物を適当な溶媒に溶解した溶液とから構成されている固体状の該組成物から溶媒を昇華することによって得られる。
該口腔内速崩壊剤の組成物中には、本発明の化合物または併用薬物に加えて、マトリックス形成剤と二次成分とを含んでいるのが好ましい。
該マトリックス形成剤としてはゼラチン類、デキストリン類ならびに大豆、小麦ならびにオオバコ(psyllium)種子タンパクなどの動物性タンパク類若しくは植物性タンパク類;アラビアゴム、ガーガム、寒天ならびにキサンタンなどのゴム質物質;多糖類;アルギン酸類;カルボキシメチルセルロース類;カラゲナン類;デキストラン類;ペクチン類;ポリビニルピロリドンなどの合成ポリマー類;ゼラチン−アラビアゴムコンプレックスなどから誘導される物質が含まれる。さらに、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトースならびにトレハロースなどの糖類;シクロデキストリンなどの環状糖類;リン酸ナトリウム、塩化ナトリウムならびにケイ酸アルミニウムなどの無機塩類;グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−ヒドロシキプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシンならびにL−フェニルアラニンなどの炭素原子数が2から12までのアミノ酸などが含まれる。
マトリックス形成剤は、その1種若しくはそれ以上を、固形化の前に、溶液又は懸濁液中に導入することができる。かかるマトリックス形成剤は、界面活性剤に加えて存在していてもよく、また界面活性剤が排除されて存在していてもよい。マトリックス形成剤はそのマトリックスを形成することに加えて、本発明の化合物または併用薬物の拡散状態をその溶液又は懸濁液中に維持する助けをすることができる。
【0058】
保存剤、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、着色剤、pH調整剤、香味料、甘味料若しくは食味マスキング剤などの二次成分を組成物中に含有していてよい。適当な着色剤としては、赤色、黒色ならびに黄色酸化鉄類およびエリス・アンド・エベラールド社のFD&Cブルー2号ならびにFD&Cレッド40号などのFD&C染料が挙げられる。適当な香味料には、ミント、ラスベリー、甘草、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、カラメル、バニラ、テェリーならびにグレープフレーバーおよびその組合せたものが含まれる。適当なpH調整剤は、クエン酸、酒石酸、リン酸、塩酸およびマレイン酸が含まれる。適当な甘味料としてはアスパルテーム、アセスルフェームKならびにタウマチンなどが含まれる。適当な食味マスキング剤としては、重炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂、シクロデキストリン包接化合物、吸着質物質ならびにマイクロカプセル化アポモルフィンが含まれる。
製剤には通常約0.1〜約50重量%、好ましくは約0.1〜約30重量%の本発明の化合物または併用薬物を含み、約1分〜約60分の間、好ましくは約1分〜約15分の間、より好ましくは約2分〜約5分の間に(水に)本発明の化合物または併用薬物の90%以上を溶解させることが可能な製剤(上記、舌下錠、バッカルなど)や、口腔内に入れられて1ないし60秒以内に、好ましくは1ないし30秒以内に、さらに好ましくは1ないし10秒以内に崩壊する口腔内速崩壊剤が好ましい。
【0059】
上記賦形剤の製剤全体に対する含有量は、約10〜約99重量%、好ましくは約30〜約90重量%である。β−シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリン誘導体の製剤全体に対する含有量は0〜約30重量%である。滑沢剤の製剤全体に対する含有量は、約0.01〜約10重量%、好ましくは約1〜約5重量%である。等張化剤の製剤全体に対する含有量は、約0.1〜約90重量%、好ましくは、約10〜約70重量%である。親水性担体の製剤全体に対する含有量は約0.1〜約50重量%、好ましくは約10〜約30重量%である。水分散性ポリマーの製剤全体に対する含有量は、約0.1〜約30重量%、好ましくは約10〜約25重量%である。安定化剤の製剤全体に対する含有量は約0.1〜約10重量%、好ましくは約1〜約5重量%である。上記製剤はさらに、着色剤、甘味剤、防腐剤などの添加剤を必要に応じ含有していてもよい。
【0060】
本発明の併用剤の投与量は、本発明の化合物の種類、年齢、体重、症状、剤形、投与方法、投与期間などにより異なるが、例えば、乳癌の患者(成人、体重約60kg)一人あたり、通常、本発明の化合物および併用薬物として、それぞれ1日約0.01〜約1000mg/kg、好ましくは約0.01〜約100mg/kg、より好ましくは約0.1〜約100mg/kg、とりわけ約0.1〜約50mg/kgを、なかでも約1.5〜約30mg/kgを1日1回から数回に分けて静脈投与される。もちろん、前記したように投与量は種々の条件で変動するので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
併用薬物は、副作用が問題とならない範囲でどのような量を設定することも可能である。併用薬物としての一日投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、感受性差、投与の時期、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、薬物の量として通常、たとえば経口投与で哺乳動物1kg体重あたり約0.001〜2000mg、好ましくは約0.01〜500mg、さらに好ましくは、約0.1〜100mg程度であり、これを通常1日1〜4回に分けて投与する。
【0061】
本発明の併用剤を投与するに際しては、同時期に投与してもよいが、併用薬物を先に投与した後、本発明の化合物を投与してもよいし、本発明の化合物を先に投与し、その後で併用薬物を投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により異なるが、例えば、併用薬物を先に投与する場合、併用薬物を投与した後1分〜3日以内、好ましくは10分〜1日以内、より好ましくは15分〜1時間以内に本発明の化合物を投与する方法が挙げられる。本発明の化合物を先に投与する場合、本発明の化合物を投与した後、1分〜1日以内、好ましくは10分〜6時間以内、より好ましくは15分から1時間以内に併用薬物を投与する方法が挙げられる。
好ましい投与方法としては、例えば、経口投与製剤に製形された併用薬物約0.001〜200mg/kgを経口投与し、約15分後に経口投与製剤に製形された本発明の化合物 約0.005〜100mg/kgを1日量として経口投与する。
【0062】
また、本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を、例えば、基礎療法(例:運動と安静の組み合わせなど);リハビリテーション[例えば、運動療法(例:他動運動、自動運動など)、温熱療法(例:超音波療法やレーザー療法などの電気療法、またパラフィン浴やホットパック、入浴や部分浴、温泉浴など)や冷却療法(例:冷湿布、冷水浴など)等の理学療法、作業療法(例:手工芸、書道、絵画製作など)および装具療法(例:スプリント、ソフトカラーなど)等];外科的療法(例:滑膜切除術、関節固定術、頸椎固定術、人工関節置換術など);遺伝子治療(例:NFκBシグナル伝達阻害、Fasを介したアポトーシス等を誘発する遺伝子のin vivoまたはex vivo導入など)等の非薬剤療法と組み合わせることもできる。
例えば、本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を手術等の前または後に、あるいはこれら2、3種を組み合わせた治療前または後に使用することによって、副作用の防止・軽減、滑膜増殖抑制作用低減の阻止、無病期(Disease−Free Survival)・寛解期の延長、骨・関節破壊あるいは浮腫形成拡大の抑制、QOLの向上、延命などの効果が得られる。
また、本発明の医薬組成物または本発明の併用剤による治療と、支持療法〔(i)各種感染病の併発に対する抗生物質(例えば、パンスポリンなどのβ−ラクタム系、クラリスロマイシンなどのマクロライド系など)の投与、(ii)栄養障害改善のための高カロリー輸液、アミノ酸製剤、総合ビタミン剤の投与、(iii)疼痛緩和のためのモルヒネ投与、(iv)悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、白血球減少、血小板減少、ヘモグロビン濃度低下、脱毛、肝障害、腎障害、DIC、発熱などのような副作用を改善する薬剤の投与など〕を組み合わせることもできる。
前記の処置を施す前または施した後に、本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を経口投与(徐放性を含む)、静脈内投与(bolus、infusion、包接体を含む)、皮下および筋注(bolus、infusion、徐放性を含む)、経皮、腫瘍内および近位投与によって投与するのが好ましい。
手術等の前に本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を投与する場合の時期としては、例えば、手術等の約30分〜24時間前に1回投与することもできるし、あるいは手術等の約3ヶ月〜6ヶ月前に1〜3サイクルに分けて投与することもできる。このように、手術等の前に本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を投与することにより、例えば骨・関節破壊を抑制し浮腫を縮小させることができるので、手術等がしやすくなる。
手術等の後に本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を投与する場合の時期としては、手術等の約30分〜24時間後に、例えば数週間〜3ヶ月単位で反復投与することができる。このように、手術等の後に本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を投与することにより、手術等の効果を高めることができる。
【0063】
【実施例】
以下に参考例、実施例、製剤例および試験例を挙げて、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例および実施例のカラムクロマトグラフィーにおける溶出は、TLC(Thin Layer Chromatography, 薄層クロマトグラフィー)による観察下に行われた。TLCの観察においては、TLCプレートとしてメルク社製のキーゼルゲル60F254プレートを使用し、展開溶媒としてはカラムクロマトグラフィーで溶出溶媒として用いられた溶媒を、検出法としてUV検出器を採用した。カラム用シリカゲルは、同じくメルク社製のキーゼルゲル60F254(70〜230メッシュ)を用いた。NMRスペクトルは、プロトンNMRを示し、内部標準としてテトラメチルシランを用いてVARIAN Gemini−200(200MHz型スペクトロメーター)で測定し、δ値をppmで表した。
参考例および実施例で用いる略号は、次のような意義を有する。
s :シングレット
br :ブロード(幅広い)
d :ダブレット
t :トリプレット
q :クワルテット
dd :ダブルダブレット
dt :ダブルトリプレット
m :マルチプレット
J :カップリング定数
Hz :ヘルツ
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
【0064】
参考例1
4−クロロメチル−2−[(E)−2−(4−メチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール
【化32】
(i)(E)−3−(4−メチルフェニル)−2−プロペナミド
4−メチル桂皮酸(15.19g)のTHF(100ml)溶液にDMF(5滴)を加え、氷冷下、塩化オキサリル(9.6ml)を加え、室温で2時間攪拌した。塩化オキサリル(4.0ml)を追加し、さらに室温で1時間攪拌後、濃縮乾固した。残留物を酢酸エチル(50ml)に溶解し、氷冷下25%アンモニア水(50ml)−酢酸エチル(20ml)混液に滴下した。水層を塩析し、有機層を酢酸エチルで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。析出物をヘキサンおよびジエチルエーテルで洗浄し、標題化合物(11.63g)を無色結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ : 2.37 (3H, s), 5.56 (2H, brs), 6.41 (1H, d, J = 15.8Hz), 7.18 (2H, d, J = 8.0Hz), 7.42 (2H, d, J = 8.0Hz), 7.62 (1H, d, J = 15.8Hz).
IR (KBr) : 1671, 1601, 1518, 1397, 1254, 1123, 990, 816cm−1. (ii)4−クロロメチル−2−[(E)−2−(4−メチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール
(E)−3−(4−メチルフェニル)−2−プロペナミド(8.06g)および1,3−ジクロロアセトン(6.98g)をトルエン(50ml)中3時間還流した。冷後、反応液を酢酸エチルで希釈し、水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:ヘキサン=1:4)に付して精製し、標題化合物(8.44g)を白色粉末晶として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ : 2.38 (3H, s), 4.54 (2H, s), 6.87 (1H, d, J = 16.2Hz), 7.20 (2H, d, J = 8.2Hz), 7.43 (2H, d, J = 8.2Hz), 7.52 (1H, d, J = 16.2Hz), 7.62 (1H, s).
IR (KBr) : 1642, 1607, 1591, 1537, 1345, 1267, 976, 943, 810cm−1.
【0065】
参考例2
4−クロロメチル−2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール
【化33】
4−フルオロ桂皮酸(25g)をジクロロメタン(300ml)に懸濁し、氷冷・撹拌下、DMF(0.5mL)、ついで塩化オキサリル(15.36mL)を滴下し、3時間同温度を保ち、徐々に室温に戻した。減圧下、溶媒を留去して残留物を酢酸エチル(100mL)に溶解した。本溶液を、氷冷した25%アンモニア水(250mL)および酢酸エチル(52.5mL)の混合溶液に滴下した。反応液を酢酸エチル(400mL×2)で抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去し、析出結晶を濾取・乾燥し、(E)−3−(4−フルオロフェニル)−2−プロペナミド(24.4g)を得た。
得られた(E)−3−(4−フルオロフェニル)−2−プロペナミド(17.55g)および1,3−ジクロロアセトン(12.85g)を130℃で溶融し、1.5時間かきまぜた。室温に戻して酢酸エチルで抽出し、氷水、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(溶出液;ジエチルエーテル:ヘキサン=1:9→3:17)に付して精製し、標題化合物(10.5g)を無色結晶として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:4.54(2H,s), 6.84(1H,d,J=16.0Hz), 7.09(2H,t,J=8.8Hz), 7.47−7.55(3H,m), 7.63(1H,s).
IR (KBr):3173, 3133, 3063, 3040, 1645, 1601, 1591, 1537, 1508, 1435, 1416, 1350, 1275, 1233, 1167, 1101, 999 cm −1.
【0066】
参考例3
4−クロロメチル−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール
【化34】
(i)(E)−3−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−プロペナミド
4−トリフルオロメチル桂皮酸(19.4g)、DMF(6滴)のTHF(100ml)懸濁液に0℃で塩化オキサリル(11.7ml)を滴下し、室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧留去後、残渣を酢酸エチル(60ml)に溶解し、25%アンモニア水−酢酸エチル(5:1、120ml)に注いだ。水層を塩析後、酢酸エチル−THF(12:1)混液(650ml)、酢酸エチル(100ml×2)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶し、標題化合物(18.0g)を無色板状結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ : 5.58 (2H, br s), 6.53 (1H, d, J = 15.8Hz), 7.63−7.72(5H, m).
IR (KBr): 3326, 3167, 1686, 1636, 1617, 1404, 1190 cm−1.
【0067】
(ii)4−クロロメチル−2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール
(E)−3−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−プロペナミド(17.9g)、1,3−ジクロロアセトン(14.8g)のトルエン溶液(83ml)溶液をディーン・スターク(Dean−Stark)装置を用いて9時間加熱還流した。冷後、反応液に水を加えて酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液、ヘキサン:酢酸メチル=6:1→5:1)で精製し、標題化合物(15.1g)を無色針状結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ :4.55 (2H, d, J = 0.8Hz), 7.00 (1H, d, J = 16.2Hz), 7.56 (1H, d, J = 16.2Hz), 7.64−7.68 (5H, m).
IR (KBr): 1350, 1325, 1170, 1136, 1113, 1071, 959, 826, 727, 708 cm−1.
【0068】
参考例4
4−クロロメチル−2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール
【化35】
(E)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−プロペナミド(9.16g)、1,3−ジクロロアセトン(7.62g)を用いて参考例1−(ii)と同様の反応を行い、標題化合物(6.31g)を無色結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ : 4.55 (2H, s), 6.8−7.0 (2H, m), 6.96 (1H, d, J = 16.8Hz), 7.45−7.7 (3H, m).
【0069】
参考例5
4−クロロメチル−2−[(E)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール
【化36】
(E)−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−プロペナミド(9.0g)および1,3−ジクロロアセトン(7.49g)を用いて参考例1−(ii)と同様の反応を行い、標題化合物(7.18g)を淡黄色固体として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ : 4.55 (2H, s), 6.85−7.0 (2H, m), 7.2−7.35 (2H, m), 7.55−7.7 (1H, m), 7.66 (1H, s).
【0070】
参考例6
3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
【化37】
3,4−ジヒドロキシブチロニトリル(30.33g)を無水メタノール(12.2ml)に溶解し、氷冷・撹拌下、5.12規定塩化水素エーテル溶液(62ml)を5℃以下で加えた。同温度で35時間撹拌すると二層の溶液が得られた。上層を除き、下層を無水メタノール(45ml)に溶解した。アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール(31.5g)の無水メタノール(45ml)溶液を氷冷・撹拌下、20℃以下で加え、27時間撹拌した。減圧下、溶媒を留去し、残留物に水(57ml)と濃塩酸(142ml)を加えて室温で2時間撹拌した。減圧下、溶媒を留去し、残留物に炭酸カリウム水溶液を加えpH10に調整後、再度溶媒を留去した。残渣をエタノール(500ml)で抽出し、濃縮乾固した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製後、イオン交換樹脂(アンバーリスト15)で脱塩処理し、標題化合物(13.16g)を淡褐色結晶として得た。
mp 98−100 ℃.
1H−NMR(DMSO−d6)δ:2.60(1H,dd,J=7.6Hz,14.8Hz), 2.80(1H,dd,J=5.0Hz,14.8Hz), 3.28(1H,dd,J=5.6Hz,10.2Hz), 3.35(1H,dd,J=5.4Hz,10.2Hz), 3.72−3.85(1H,m), 6.88(2H,s).
IR (KBr):3167, 3094, 2928, 2656, 1559, 1456, 1416, 1379, 1327, 1291, 1275, 1242, 1202, 1152, 1111, 1092, 1044 cm−1.
【0071】
参考例7
(2R)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
【化38】
(i)(2R)−1−(ベンジルオキシ)−3−(1−トリチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−プロパノール
1−トリチルイミダゾール(3.10g)のTHF溶液(80ml)にアルゴン雰囲気中、氷冷下、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液、6.9ml)を滴下した。同温度で30分間攪拌後、(R)−2−[(ベンジルオキシ)メチル]オキシラン(1.52ml)を加えた。氷冷下で1.5時間、室温で1時間攪拌後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:ヘキサン=1:1)に付して精製し、標題化合物(1.402g)を淡黄色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 2.06 (2H, dd, J = 2.8Hz, 18.0Hz), 3.08 (1H, dd, J = 5.4Hz, 9.8Hz), 3.21 (1H, dd, J = 5.4Hz, 9.8Hz), 3.55−3.7 (1H, m), 4.36 (2H, s), 6.73 (1H, d, J = 1.4Hz), 6.93 (1H, d, J = 1.4Hz), 7.0−7.4 (20H, m).
【0072】
(ii)(2R)−1−(ベンジルオキシ)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−プロパノール
(2R)−1−(ベンジルオキシ)−3−(1−トリチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−プロパノール(1.40g)のアセトン(8ml)溶液に1規定塩酸(8ml)を加え、50℃で1時間攪拌した。1規定塩酸(8ml)追加し、さらに50℃で2時間撹拌した。反応液を濃縮して水を加え、ジエチルエーテルで2回洗浄した。水層を重曹水で中和後、酢酸エチルで抽出し、食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:メタノ−ル=10:1)に付して精製し、標題化合物(424mg)を無色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ: 2.85 (1H, dd, J = 7.8Hz, 15.6Hz), 2.99 (1H, dd, J = 3.6Hz, 15.6Hz), 3.39 (1H, dd, J = 7.0Hz, 9.5Hz), 3.52 (1H, dd, J = 4.4Hz, 9.5Hz), 4.1−4.3 (1H, m), 4.55 (2H, s), 6.94 (2H, s), 7.3−7.45 (5H, m).
【0073】
(iii)(2R)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
(2R)−1−(ベンジルオキシ)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−プロパノール(424mg)のメタノール(10ml)溶液に10%パラジウム炭素(50%含水、85mg)を加え、水素雰囲気下、50−60℃で2日間攪拌した。触媒をろ去し、ろ液を濃縮し、標題化合物(254mg)を白色固体として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ: 2.58 (1H,dd,J=7.6Hz, 14.6Hz), 2.78 (1H, dd, J =5.2Hz, 14.6Hz), 3.17 (1H, d, J=5.2Hz), 3.2−3.3 (1H, m), 3.7−3.85 (1H, m), 4.6−4.7 (1H, m), 4.86 (1H, d, J=4.8Hz), 6.76 (1H, brs), 6.95 (1H, brs). [α]D 22 = + 2.5°(c = 1.0,メタノール)
【0074】
参考例8
(2S)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
【化39】
(i)(3S)−4−(ベンジルオキシ)−3−(トリメチルシリルオキシ)ブチロニトリル
(2S)−2−[(ベンジルオキシ)メチル]オキシラン(6.57g)とトリメチルシランカルボニトリル(5.0g)の混合液にシアン化カリウム(26mg)と18−クラウン−6(106mg)を加えてアルゴン雰囲気下、135℃で75分間還流した。冷後、減圧蒸留に付し、標題化合物(7.42g)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ : 0.15(9H,s), 2.52(1H,dd,J=6.6Hz,16.6Hz), 2.65(1H,dd, J=4.6Hz, 16.6Hz), 3.39(1H,dd,J=6.8Hz,9.6Hz), 3.50(1H,dd,J=4.8Hz,9.6Hz), 4.01−4.14(1H,m), 4.52(2H,s), 7.26−7.44(5H,m).
IR (neat):3065, 3032, 2957, 2903, 2865, 2251, 1607, 1588, 1497, 1454, 1416, 1366, 1254, 1209, 1117, 1001 cm−1.
【0075】
(ii)(3S)−4−(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシブチロニトリル
(3S)−4−(ベンジルオキシ)−3−[(トリメチルシリル)オキシ]ブチロニトリル(7.41g)をテトラヒドロフラン(28.2ml)に溶解し、氷冷撹拌下、1M−テトラブチルアンモニウムフルオリドTHF溶液(28.2ml)を加えて1.5時間撹拌した。減圧下、溶媒を留去し、残渣をエーテルに溶解し、水、飽和食塩水で洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し標題化合物(4.58g)を無色油状物として得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:2.56(1H,dd,J=6.4Hz,16.8Hz), 2.70(1H,dd,J=4.6Hz,16.8Hz), 3.34(1H,dd,J=6.2Hz,9.8Hz), 3.44(1H,dd,J=5.4Hz,9.8Hz), 3.85−3.95(1H,m),5.52(2H,d,J=5.2Hz), 7.25−7.40(5H,m).
IR (neat):3600−3200, 3065, 3032, 2867, 2253, 1605, 1586, 1497, 1454, 1416, 1364, 1308, 1254, 1208, 1101, 1078 cm−1.
【0076】
(iii)(2S)−1−(ベンジルオキシ)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−プロパノール
(3S)−4−(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシブチロニトリル(6.51g)、5.12規定塩化水素エーテル溶液(7.0ml)、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール(3.58g)を用いて参考例6と同様の反応を行い、標題化合物(2.22g)を淡褐色油状物として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:2.84(1H,dd,J=7.8Hz,15.4Hz), 2.97(1H,dd,J=3.6Hz,15.4Hz), 3.41(1H,dd,J=6.8Hz,9.4Hz), 3.51(1H,dd,J=4.4Hz,9.4Hz), 4.11−4.23(1H,m), 4.54(2H,s), 6.91(2H,s), 7.27(5H,m).
IR (neat):3400−3140, 3065, 3032, 2903, 2865, 1601, 1557, 1495, 1454, 1427, 1366, 1312, 1206, 1101, 1028 cm−1.
[α]D 22 = − 2.3°(c = 1.04,メタノール)
【0077】
(iv)(2S)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
(2S)−1−(ベンジルオキシ)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−プロパノール(1.725g)をエタノール(30ml)に溶解し、10%パラジウム炭素(1.04g)を加え、60℃、5気圧の水素雰囲気下、24時間激しく撹拌した。触媒を濾去し、溶媒留去後の残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製すると標題化合物(0.945g)が得られた。
本品のスペクトルデータ(1H−NMR、IR)は参考例6の化合物と一致した。
【0078】
参考例9
【化40】
(i)4−(4−ベンジルオキシフェニル)−3−ブテン−1−オール
アルゴン雰囲気下、3−ヒドロキシプロピルトリフェニルホスホニウムブロミド(4.02g)を脱水THF(30ml)に懸濁し、60%油性水素化ナトリウム(0.4g)を加えて、3時間還流した。反応液に4−ベンジルオキシベンズアルデヒド(2.12g)の脱水THF溶液(7ml)を滴下し、67時間還流した。冷後、不溶物をろ去し、ろ液を減圧濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル=9:1→4:1)に付して精製し、題記化合物(1.76g)を無色結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 2.46(0.8H,dq,J=1.4Hz,6.2Hz), 2.61(1.2H,dq,J=1.6Hz,6.4Hz), 3.71−3.78(2H,m), 5.06(1.2H,s), 5.07(1.8H,s), 5.59(0.6H,dt,J=7.2Hz,11.6Hz), 6.07(0.4H,dt,J=7.2Hz,15.8Hz), 6.45(0.4H,d,J=15.8Hz), 6.52(0.6H,d,J=11.6Hz), 6.89−6.98(2H,m), 7.22−7.46(7H,m).
IR (KBr): 3279, 3063, 3036, 3011, 2911, 2867, 1607, 1574, 1510, 1470, 1454, 1383, 1302, 1250, 1177, 1117, 1053, 1017 cm−1.
【0079】
(ii)4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール
4−(4−ベンジルオキシフェニル)−3−ブテン−1−オール(1.70g)をメタノール−THF混液(1:1,20mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(0.17g)を添加後、水素雰囲気下、1.5時間激しくかきまぜた。触媒をろ去して、ろ液を減圧濃縮し、標題化合物(1.1g)を無色結晶性粉末として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.50−1.76(4H,m), 2.57(2H,t,J=7.1Hz), 3.67(2H,t,J=6.2Hz), 6.74(2H,d,J=8.4Hz), 7.03(2H,d,J=8.4Hz).
IR (KBr): 3500−3100, 3025, 2940, 2859, 1615, 1597, 1514, 1456, 1362, 1240, 1173, 1107, 1055, 1024 cm−1.
【0080】
(iii)4−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−1−ブタノール
アルゴン雰囲気下、4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール(9.43g)、65%油性水素化ナトリウム(2.4g)に乾燥DMF(115ml)を加え15分間かきまぜた。次いで氷冷撹拌下、ベンジルブロミド(9.87g)の乾燥ジメチルホルムアミド(29.5ml)溶液を滴下し同温度で2時間かきまぜた。反応液に、氷水および1規定硫酸水素カリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物(10.67g)を無色結晶性粉末として得た。
1H−NMR(DMSO−d6)δ: 1.34−1.64(4H,m), 2.50(2H,t,J=7.0Hz), 3.39(2H,dt,J=5.2Hz,6.4Hz), 4.34(1H,t,J=5.2Hz), 5.05(2H,s), 6.90(2H,d,J=8.6Hz), 7.09(2H,d,J=8.6Hz), 7.28−7.47(5H,m).
IR (KBr): 3500−3200, 3048, 3036, 2928, 2907, 2861, 2840, 1615, 1582, 1514, 1472, 1454, 1379, 1360, 1298, 1285, 1250, 1175, 1119, 1063, 1012 cm−1.
【0081】
(iv)4−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ブチル メタンスルホナート
4−(4−ベンジルオキシフェニル)ブタノール(10g)の酢酸エチル(390mL)溶液に氷冷下、トリエチルアミン(8.16mL)及びメタンスルホニルクロリド(4.53mL)を滴下した。同温度で30分、室温で1時間撹拌した後、氷水と飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去すると標題化合物(14g)が油状物として得られた。本品は精製する事なく次の工程に用いた。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.64−1.86(4H,m), 2.60(2H,t,J=7.1Hz), 2.98(3H,s), 4.23(2H,t,J=6.1Hz), 5.05(2H,s), 6.91(2H,d,J=8.8Hz), 7.09(2H,d,J=8.8Hz), 7.32−7.48(5H,m).
IR (neat):3063, 3031, 2940, 2865, 1611, 1584, 1512, 1456, 1354, 1337, 1240, 1175, 1115, 1015 cm−1.
【0082】
(v)ベンジル 4−(4−ヨードブチル)フェニル エーテル
ヨウ化ナトリウム(29.25g)をアセトン(195ml)に溶解し、4−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ブチルメタンスルホナート(13g)を加えて、80℃で1.5時間還流した。冷後、溶媒を留去し、残留物に酢酸エチル(750ml)を加え、水、チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下、溶媒を留去すると標題化合物(14.29g)が油状物として得られた。本品は精製する事なく次の工程に用いた。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.63−1.93(4H,m), 2.57(2H,t,J=7.3Hz), 3.19(2H,t,J=6.8Hz),5.04(2H,s), 6.90(2H,d,J=8.8Hz), 7.09(2H,d,J=8.8Hz), 7.30−7.47(5H,m).
IR (neat):3063, 3031, 2932, 2857, 1611, 1582, 1510, 1454, 1381, 1298, 1238, 1175, 1121, 1026 cm−1.
【0083】
(vi)1−[4−(4−ベンジルオキシフェニル)ブチル]−1H−1,2,3−トリアゾール
ベンジル 4−(4−ヨードブチル)フェニル エーテル(1.1g)、1H−1,2,3−トリアゾール(0.31g)、炭酸カリウム(0.622g)をDMF(7.5ml)に懸濁して、70℃で26.5時間かきまぜた。冷後、反応液を酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル=4:1→2:3)に付し、標題化合物(0.391g)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ : 1.61(2H,quintet,J=7.8Hz), 1.93(2H,quintet,J=7.8Hz), 2.59(2H,t,J=7.6Hz), 4.39(2H,t,J=7.1Hz), 5.04(2H,s), 6.90(2H,d,J=8.8Hz), 7.06(2H,d,J=8.8Hz), 7.30−7.48(5H,m), 7.49(1H,s), 7.69(1H,s).
IR (KBr):3106, 3034, 2940, 2861, 1611, 1582, 1512, 1454, 1387, 1298, 1244, 1177, 1113, 1080, 1040, 1028 cm−1.
【0084】
(vii)4−[4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ブチル]フェノール
1−[4−(4−ベンジルオキシフェニル)ブチル]−1H−1,2,3−トリアゾール(0.38g)をメタノール(7.6ml)に溶解して、10%−パラジウム炭素(0.1g)を添加し、水素雰囲気下、14時間激しくかきまぜた。触媒を濾去して、濾液を減圧下、濃縮乾固し、標題化合物(0.268g)を結晶性粉末として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ :1.60(2H,quintet,J=7.0Hz), 1.93(2H,quintet,J=7.4Hz), 2.57(2H,t,J=7.5Hz), 4.40(2H,t,J=7.0Hz), 6.79(2H,d,J=8.6Hz), 6.99(2H,d,J=8.6Hz), 7.51(1H,s), 7.71(1H,s).
IR (KBr):3148, 3129, 3017, 2946, 2861, 2814, 1615, 1593, 1514, 1462, 1381, 1269, 1242, 1225, 1123, 1078 cm−1.
【0085】
参考例10
4−[3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル]フェノール
【化41】
ベンジル 4−(3−ヨードプロピル)フェニル エーテル(2.47g)、1H−1,2,3−トリアゾール(629mgl)、炭酸カリウム(1.26gl)をDMF(17.5ml)に懸濁して、70℃で18.5時間かきまぜた。室温に戻し、酢酸エチルで抽出後、水、飽和食塩水で洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液、ヘキサン:酢酸エチル=4:1→2:3)に付して精製を行い1−[3−(4−ベンジルオキシフェニル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール(856mg)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ :2.23(2H,quintet,J=7.2Hz), 2.60(2H,t,J=7.5Hz), 4.38(2H,t,J=7.1Hz), 5.05(2H,s), 6.92(2H,d,J=8.8Hz), 7.10(2H,d,J=8.8Hz), 7.30−7.48(5H,m), 7.52(1H,s), 7.72(1H,s).
IR (KBr):3100, 3030, 2960, 2926, 2860, 1613, 1585, 1514, 1454, 1383, 1298, 1250, 1215, 1177, 1115, 1082, 1044, 1028, 1019 cm−1.
【0086】
1−[3−(4−ベンジルオキシフェニル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール(850mg)をメタノール(29ml)に溶解して、10%−パラジウム炭素(0.1g)を添加し、水素雰囲気下、13時間激しくかきまぜた。触媒を濾去して、濾液を減圧下、濃縮乾固し、標題化合物(600mg)を結晶性粉末として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:2.22(2H,quintet,J=7.0Hz), 2.56(2H,t,J=7.0Hz), 4.38(2H,t,J=7.0Hz), 6.87(2H,d,J=8.6Hz), 7.04(2H,d,J=8.6Hz), 7.55(1H,s), 7.74(1H,s).
IR (KBr):3127, 3100, 3015, 2932, 1615, 1595, 1516, 1456, 1373, 1244, 1223, 1175, 1121, 1080, 1038 cm−1.
【0087】
参考例11
3−[3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル]フェノール
【化42】
(i)3−[3−(ベンジルオキシ)フェニル]−1−プロパノール
アルゴン気流下、3−ベンジルオキシベンズアルデヒド(21.3g)とジエチルホスホノ酢酸エチル(23.6g)を乾燥DMF(250ml)に懸濁させた。氷冷・撹拌下、65%油性水素化ナトリウム(3.88g)を少量ずつ添加し、添加終了後、室温で2時間撹拌した。溶媒を留去後、残渣を酢酸エチルに溶解し、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去すると(E)−3−[3−(ベンジルオキシ)フェニル]−2−プロペン酸エチルの粗生成物33.15gが油状物として得られた。本品をエタノール(406ml)に溶解し、エチレンジアミンで処理した5%パラジウム炭素[Pd−C(en),2.7g]を加え、水素雰囲気下、激しく撹拌した。水素(1.75L)を消費させて水素添加を終了し、触媒を濾去した。減圧下、溶媒を留去し、残渣を脱水THF(120ml)に溶解した。本溶液を氷冷下、水素化リチウムアルミニウム(4.61g)を懸濁させた脱水THF(120ml)混液に滴下した。氷冷下で1.5時間、さらに室温で1時間撹拌した。反応液を氷水に加え、酸性に調整後、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物(14.39g)を無色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ :1.80−1.96(2H,m), 2.69(2H,t,J=7.7Hz), 3.66(2H,t,J=6.4Hz), 5.05(2H,s), 6.77−6.87(3H,m), 7.20(1H,t,J=8.0Hz), 7.28−7.48(5H,m).
IR (neat):3330, 3063, 3032, 2940, 2867, 1599, 1582, 1487, 1453, 1381, 1314, 1258, 1155, 1026 cm−1.
【0088】
(ii)3−[3−(ベンジルオキシ)フェニル]プロピル メタンスルホナート3−(3−ベンジルオキシフェニル)プロパノール(13.5g)、トリエチルアミン(8.16ml)およびメタンスルホニルクロリド(4.53ml)を用いて、参考例9−(iv)と同様の反応を行い、標題化合物(19.7g)を油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ :2.00−2.15(2H,m), 2.73(2H,t,J=7.5Hz), 2.98(3H,s), 4.22(2H,t,J=6.3Hz), 5.06(2H,s), 6.77−6.88(3H,m), 7.22(1H,t,J=7.7Hz), 7.31−7.48(5H,m).
IR (neat):3032, 2940, 2870, 1599, 1584, 1487, 1453, 1381, 1354, 1260, 1175, 1026 cm−1.
【0089】
(iii)ベンジル 3−(3−ヨードプロピル)フェニル エーテル
3−[3−(ベンジルオキシ)フェニル]プロピルメタンスルホナート(19.7g)およびヨウ化ナトリウム(29.25g)を用いて参考例9−(v)と同様の反応を行い標題化合物(18.4g)を油状物として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:2.11(2H,quintet,J=7.3Hz), 2.70(2H,t,J=7.2Hz), 3.16(2H,t,J=6.8Hz), 5.06(2H,s), 6.78−6.87(3H,m), 7.21(1H,t,J=7.2Hz), 7.32−7.48(5H,m).
IR (neat):3063, 3031, 2934, 2861, 1599, 1582, 1487, 1451, 1381, 1316, 1258, 1213, 1155, 1080, 1028 cm−1.
【0090】
(iv)1−[3−(3−ベンジルオキシフェニル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール
アルゴン雰囲気下、1H−1,2,3−トリアゾール(0.9g)をDMF(20ml)に溶解し、65%油性水素化ナトリウム(0.48g)を添加した。30分撹拌後、ベンジル 3−(3−ヨードプロピル)フェニル エーテル(3.53g)のDMF(5ml)溶液を加え、室温で19時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水、飽和食塩水で洗浄した。減圧下、溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーに付し、標題化合物(1.1g)を無色結晶として得た。
mp 74−75 ℃.
1H−NMR (CDCl3) δ :2.25(2H,quintet,J=7.2Hz), 2.63(2H,t,J=7.3Hz), 4.37(2H,t,J=7.1Hz), 5.05(2H,s), 6.75−6.88(3H,m), 7.23(1H,t,J=8.2Hz), 7.31−7.47(5H,m), 7.49(1H,d,J=1.0Hz), 7.71(1H,d,J=1.0Hz).
IR (KBr):3125, 3063, 3032, 2944, 2867, 1599, 1584, 1487, 1453, 1381, 1316, 1260, 1215, 1157, 1113, 1074, 1028 cm−1.
【0091】
(v)3−[3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル]フェノール
1−[3−(3−ベンジルオキシフェニル)プロピル]−1H−1,2,3−トリアゾール(0.937g)のメタノール溶液(32ml)に10%−パラジウム炭素(0.1g)を添加し、水素雰囲気下、室温で8時間激しくかきまぜた。触媒を濾去して、濾液を減圧下濃縮乾固し、標題化合物(0.593g)を無色結晶として得た。
mp 85−86 ℃.
1H−NMR (CDCl3) δ :2.24(2H,quintet,J=7.1Hz), 2.60(2H,t,J=7.5Hz), 4.38(2H,t,J=7.1Hz), 6.68−6.79(3H,m), 6.96(1H,s), 7.16(1H,t,J=8.1Hz), 7.54(1H,d,J=1.0Hz), 7.73(1H,d,J=1.0Hz).
IR (KBr):3129, 3077, 3054, 2949, 2863, 2722, 2614, 1599, 1588, 1483, 1458, 1362, 1337, 1281, 1221, 1157, 1121, 1080, 1038 cm−1.
【0092】
参考例12
4−{4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル}フェノール
【化43】
(i)2−(1−{4−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エタノール
ベンジル 4−(4−ヨードブチル)フェニル エーテル(14.29g)、2−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール(13.1g)、炭酸カリウム(5.39g)をDMF(390ml)中、60℃で16時間かきまぜた。冷後、不溶物をろ去し、ろ液を減圧濃縮した。残留物を酢酸エチルに溶解し、水、飽和食塩水で洗浄した。減圧下、溶媒を留去し残留物をカラムクロマトグラフィー(溶出液、酢酸エチル:メタノール=19:1→9:1)に付して精製した。溶出物を酢酸エチル−メタノールから再結晶し、標題化合物(10.99g)を無色結晶として得た。
mp 75−77 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.53−1.82(4H,m), 2.58(2H,t,J=7.1Hz), 2.78(2H,t,J=5.5Hz),3.81(2H,t,J=6.9Hz), 4.03(2H,t,J=5.5Hz), 5.04(2H,s), 6.80(1H,d,J=1.2Hz),6.90(2H,d,J=8.6Hz), 6.93(1H,d,J=1.2Hz), 7.05(2H,d,J=8.6Hz), 7.34−7.47(5H,m).
IR (KBr):3144, 3032, 2934, 2859, 1611, 1582, 1514, 1495, 1456, 1431, 1381, 1298, 1273, 1244, 1175, 1150, 1121, 1109, 1051, 1026 cm−1.
【0093】
(ii)4−{4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル}フェノール
2−(1−{4−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エタノール(10.67g)および10%パラジウム炭素(1.6g)を用いて、参考例11−(v)と同様の反応を行い、標題化合物(5.3g)を得た。
mp 118−119 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.50−1.80(4H,m), 2.55(2H,t,J=7.0Hz), 2.79(2H,t,J=5.8Hz),3.82(2H,t,J=7.0Hz), 3.97(2H,t,J=5.8Hz), 3.85−4.40(1H,br), 6.77(2H,d,J=8.4Hz), 6.80(1H,s), 6.94(1H,s), 6.96(2H,d,J=8.4Hz).
IR (KBr):3600−2400, 1615, 1593, 1516, 1489, 1456, 1373, 1252, 1171, 1150, 1125, 1103, 1055 cm−1.
【0094】
参考例13
【化44】
(i)2−(1−{3−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]プロピル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エタノール
ベンジル 4−(3−ヨードプロピル)フェニルエーテル(5.28g)、2−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール(5.05g)および炭酸カリウム(2.07g)を用いて、参考例12−(i)と同様の反応を行い、標題化合物(2.78g)を無色結晶として得た。
mp 80−82 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:2.03(2H,quintet,J=7.4Hz), 2.58(2H,t,J=7.4Hz), 2.74(2H,t,J=5.6Hz), 3.82(2H,t,J=7.4Hz), 4.01(2H,t,J=5.6Hz), 5.05(2H,s), 6.83(1H,s), 6.92(2H,d,J=8.6Hz), 6.94(1H,s), 7.07(2H,d,J=8.6Hz), 7.32−7.47(5H,m).
IR (KBr):3500−3100, 3110, 3063, 3032, 2934, 2865, 1611, 1584, 1512, 1495, 1454, 1381, 1298, 1240, 1177, 1152, 1121, 1057, 1024 cm−1.
【0095】
(ii)4−{3−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]プロピル}フェノール
2−(1−{3−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]プロピル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エタノール(2.53g)および10%パラジウム炭素(0.38g)を用いて、参考例11−(v)と同様の反応を行い、標題化合物(1.85g)を無色結晶として得た。
mp 116−117 ℃.
1H−NMR(CDCl3+CD3OD)δ:2.03(2H,quintet,J=7.3Hz), 2.55(2H,t,J=7.3Hz), 2.75(2H,t, J=6.2Hz), 3.83(2H,t,J=7.3Hz), 3.91(2H,t,J=6.2Hz), 6.77(2H,d,J=8.6Hz), 6.84(1H,d, J=1.2Hz), 6.93(1H,d,J=1.2Hz), 6.97(2H,d,J=8.6Hz).
IR (KBr):3500−3100, 3119, 2934, 2861, 1615, 1593, 1516, 1495, 1454, 1373, 1252, 1173, 1152, 1123, 1053 cm−1.
【0096】
参考例14
3−{3−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]プロピル}フェノール
【化45】
(i)2−(1−{3−[3−(ベンジルオキシ)フェニル]プロピル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エタノール
ベンジル 3−(3−ヨードプロピル)フェニル エーテル(3.53g)、2−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール(1.46g)および65%油性水素化ナトリウム(0.48g)を用いて、参考例11−(iv)と同様の反応を行い、標題化合物(2.66g)を無色油状物として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:2.05(2H,quintet,J=7.3Hz), 2.61(2H,t,J=7.5Hz), 2.73(2H,t,J=5.5Hz), 3.81(2H,t,J=7.3Hz), 4.02(2H,t,J=5.5Hz), 5.06(2H,s), 6.73−6.88(3H,m), 6.82(1H,d,J=1.2Hz), 6.95(1H,d,J=1.2Hz), 7.23(1H,t,J=8.2Hz), 7.31−7.48(5H,m).
IR (neat):3500−3100, 3067, 3034, 2938, 2867, 1599, 1584, 1524, 1491, 1453, 1381, 1316, 1260, 1155, 1119, 1053, 1026 cm−1.
【0097】
(ii)3−{3−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]プロピル}フェノール
2−(1−{3−[3−(ベンジルオキシ)フェニル]プロピル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エタノール(2.42g)および10%パラジウム炭素(0.24g)を用いて、参考例11−(v)と同様の反応を行い、標題化合物(1.69g)を無色結晶として得た。
mp 111−113 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:2.07(2H,quintet,J=6.9Hz), 2.55(2H,t,J=7.3Hz), 2.73(2H,t,J=5.9Hz), 3.80(2H,t,J=7.1Hz), 4.00(2H,t,J=5.9Hz), 6.55−6.76(3H,m), 6.86(1H,d,J=1.4Hz), 6.96(1H,d,J=1.4Hz), 7.15(1H,t,J=7.8Hz).
IR (KBr)cm−1:3500−3100, 3046, 2940, 2865, 2712, 2604, 1599, 1588, 1528, 1483, 1456, 1372, 1279, 1250, 1155, 1123, 1057.
【0098】
参考例15
3−{1−[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール
【化46】
(i)3−{1−[4−(4−ベンジルオキシフェニル)ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール
ベンジル 4−(4−ヨードブチル)フェニル エーテル(2.05g)、2−(2,3−ジヒドロキシプロピル)イミダゾール(1.0g)および65%油性水素化ナトリウム(0.259g)を用いて、参考例11−(iv)と同様の反応を行い、標題化合物(1.23g)を無色結晶として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.52−1.83(4H,m), 2.57(2H,t,J=7.1Hz), 2.78(2H,d,J=5.2Hz),2.79(1H,d,J=6.8Hz), 3.62(1H,dd,J=4.8Hz,11.2Hz), 3.74(1H,dd,J=4.8Hz,11.2Hz), 3.82(2H,t,J=7.1Hz), 4.12−4.23(1H,m), 5.04(2H,s), 6.79(1H,d,J=1.4Hz), 6.90(2H,d,J=8.6Hz), 6.91(1H,d,J=1.4Hz), 7.05(2H,d,J=8.6Hz), 7.30−7.47(5H,m).
IR (KBr):3500−3200, 3065, 3030, 2932, 2861, 1611, 1582, 1510, 1495, 1454, 1379, 1296, 1275, 1240, 1177, 1150, 1123, 1080, 1026 cm−1.
【0099】
(ii)3−{1−[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール
3−{1−[4−(4−ベンジルオキシフェニル)ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(1.22g)および10%パラジウム炭素(0.18g)を用いて、参考例11−(v)と同様の反応を行い、標題化合物(0.918g)を無色結晶として得た。
1H−NMR(CDCl3+CD3OD)δ:1.50−1.80(4H,m), 2.55(2H,t,J=7.0Hz), 2.75(1H,d,J=7.2Hz), 2.76(1H,d,J=5.6Hz), 3.49(1H,dd,J=5.4Hz,11.6Hz), 3.62(1H,dd,J=4.2Hz,11.6Hz), 3.84(2H,t,J=7.0Hz), 3.97−4.08(1H,m), 6.75(2H,d,J=8.6Hz), 6.80(1H,d,J=1.4Hz), 6.89(1H,d,J=1.4Hz), 6.97(2H,d,J=8.6Hz).
IR (KBr):3500−3100, 3011, 2936, 2859, 1613, 1595, 1516, 1489, 1456, 1372, 1360, 1252, 1171, 1150, 1125, 1101, 1030 cm−1.
【0100】
参考例16
【化47】
(i)3−{1−[3−(3−ベンジルオキシフェニル)プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール
ベンジル 3−(3−ヨードプロピル)フェニル エーテル(1.98g)、2−(2,3−ジヒドロキシプロピル)イミダゾール(1.0g)および65%油性水素化ナトリウム(0.259g)を用いて、参考例11−(iv)と同様の反応を行い、標題化合物(1.31g)を無色油状物として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:2.05(2H,quintet,J=7.3Hz), 2.60(2H,t,J=7.3Hz), 2.73(1H,d,J=4.8Hz), 2.74(1H,d,J=7.2Hz), 3.61(1H,dd,J=4.8Hz,11.2Hz), 3.74(1H,dd,J=4.8Hz,11.2Hz), 3.82(2H,t,J=7.3Hz), 4.12−4.23(1H,m), 5.06(2H,s), 6.73−6.88(3H,m), 6.81(1H,d,J=1.2Hz), 6.93(1H,d,J=1.2Hz), 7.23(1H,t,J=8.4Hz), 7.31−7.48(5H,m).
IR (neat):3500−3200, 3063, 3032, 2934, 2865, 1599, 1584, 1526, 1489, 1454, 1381, 1316, 1260, 1155, 1123, 1082, 1028 cm−1.
【0101】
(ii)3−{1−[3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール
3−{1−[3−(3−ベンジルオキシフェニル)プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(1.30g)および10%パラジウム炭素(0.195g)を用いて、参考例11−(v)と同様の反応を行い、標題化合物(0.979g)を無色油状物として得た。
1H−NMR(CDCl3+CD3OD)δ:2.07(2H,quintet,J=7.4Hz), 2.58(2H,t,J=7.3Hz), 2.72(1H,d,J=6.8Hz), 2.72(1H,d,J=5.8Hz), 3.50(1H,dd,J=5.4Hz,11.4Hz), 3.61(1H,d,J=4.2Hz,11.4Hz), 3.85(2H,t,J=7.3Hz), 3.98−4.10(1H,m), 6.60−6.74(3H,m),6.86(1H,d,J=1.4Hz), 6.92(1H,d,J=1.4Hz), 7.14(1H,t,J=7.8Hz).
IR (neat):3500−3100, 3040, 2942, 2863, 1599, 1588, 1530, 1483, 1456, 1360, 1279, 1254, 1155, 1125, 1088, 1030 cm−1.
【0102】
参考例17
2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−4−[[4−(4−ヨードブチル)フェノキシ]メチル]−1,3−オキサゾール
【化48】
(i)4−[4−[2−(E)−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシフェニル]−1−ブタノール4−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ブタノール(1.99g)のDMF(20ml)溶液に、氷冷下60%油性水素化ナトリウム(528mg)を加え、室温で30分間攪拌した。氷冷下、(E)−4−クロロメチル−2−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]オキサゾール(3.37g)を加え、室温で一夜攪拌した。反応液に水、1規定塩酸を加えて、酢酸エチルで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮し、残留物を酢酸エチル−ジエチルエーテル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(3.71g)を無色結晶として得た。
mp 75−76 ℃.
1H−NMR (CDCl3) δ: 1.5−1.7 (4H, m), 2.60 (2H, t, J = 6.8Hz), 3.66 (2H, t, J = 6.0Hz), 5.02 (2H, s), 6.8−6.9 (1H, m), 6.89 (2H, d, J = 8.4Hz), 6.98 (1H, d, J = 17.0Hz), 7.11 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.5−7.6 (1H, m), 7.59 (1H, d, J = 17.0Hz), 7.66 (1H, s).
IR (KBr): 1613, 1514, 1493, 1431, 1279, 1246, 1140, 968, 856cm−1.
【0103】
(ii)2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−4−[[4−(4−ヨードブチル)フェノキシ]メチル]−1,3−オキサゾール
4−[4−[2−(E)−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシフェニル]−1−ブタノール(3.47g)のTHF(50ml)溶液にトリエチルアミン(1.37ml)を加え、氷冷下、塩化メタンスルホニル(0.77ml)を加え、室温で30分間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、抽出液を食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物にアセトン(100ml)、ヨウ化ナトリウム(6.75g)を加え、40−50℃で2時間攪拌した。反応液を濃縮して水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液をチオ硫酸ナトリウム水、食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。析出物をろ取し、ジエチルエーテル−ヘキサンで洗浄し、標題化合物(3.55g)を淡黄色粉末として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ: 1.6−1.9 (4H, m), 2.5−2.7 (2H, m), 3.1−3.3 (2H, m), 5.02 (2H, s), 6.8−7.2 (6H, m), 7.5−7.75 (4H, m).
IR (KBr): 1615, 1514, 1493, 1431, 1279, 1246, 1140, 966, 856cm−1.
【0104】
参考例18
2−[(E)−2−(4−ブロモフェニル)エテニル]−4−[[4−(4−ヨードブチル)フェノキシ]メチル]−1,3−オキサゾール
【化49】
4−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ブタノール(4.99g)および(E)−4−クロロメチル−2−[2−(4−ブロモフェニル)エテニル]オキサゾール(7.43g)を用いて、参考例17−(i)と同様の反応を行い、4−[4−[2−(E)−[2−(4−ブロモフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシフェニル]−1−ブタノール(9.70g)を得た。得られた化合物(4.28g)を用いて、参考例17−(ii)と同様の反応を行い、標題化合物(4.47g)を白色粉末として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:1.65−1.95(4H,m), 2.58(2H,t,J=7.2Hz), 3.20(2H,t,J=6.8Hz), 5.02(2H,s), 6.92(1h,d,J=16.4Hz), 6.92(2H,d,J=8.6Hz), 7.38(2H,d,J=8.4Hz), 7.47(1H,d,J=16.4Hz), 7.52(2H,d,J=8.4Hz), 7.66(1H,s).
【0105】
実施例1
[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(4−メチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−1,2,3−トリアゾール
【化50】
4−[4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ブチル]フェノール(174mg)のDMF(4ml)溶液に氷冷下、60%油性水素化ナトリウム(35mg)を加え、室温で30分間攪拌した。氷冷下、(E)−4−クロロメチル−2−[2−(4−メチルフェニル)エテニル]オキサゾール(206mg)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液に水を加え、析出物をろ取し、水洗した。ろ取物をTHF−酢酸エチル混液に溶かし、水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残留物を酢酸エチル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(281mg)を無色結晶として得た。
mp 154−155 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.5−1.7(2H,m),1.85−2.05(2H, m), 2.38 (3H, s), 2.60 (2H, t, J=7.5Hz), 4.39 (2H, t, J = 7.0Hz), 5.01 (2H, s), 6.87 (2H, d, J = 8.6Hz), 6.9−7.0 (1H, m), 7.19 (2H, d, J = 8.6Hz), 7.19 (2H, d, J = 8.0Hz), 7.42 (2H, d, J = 8.0Hz), 7.5−7.7 (4H, m).
IR (KBr): 1640, 1607, 1530, 1514, 1464, 1339, 1256, 1211, 1053, 974, 810cm−1.
Anal. Calcd for C25H26N4O2: C, 72.44; H, 6.32; N, 13.52.Found : C, 72.36; H, 6.49; N, 13.70.
【0106】
実施例2
1−{4−[4−({2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−1,2,3−トリアゾール
【化51】
アルゴン雰囲気下、4−[4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ブチル]フェノール(218mg)および65%油性水素化ナトリウム(39mg)に、DMF(5ml)を加えて溶解した。氷冷撹拌下、4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(250mg)を添加し、室温で3時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:エタノール=24:1)に付して精製した後、酢酸エチルから再結晶を行い、標題化合物(368mg)を無色結晶として得た。
mp 124−125 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.62(2H,quintet,J=7.0Hz), 1.94(2H,quintet,J=7.5Hz), 2.61(2H,t,J=7.5Hz), 4.40(2H,t,J=7.0Hz), 5.01(2H,s), 6.86(1H,d,J=16.0Hz), 6.92(2H,d,J=8.6Hz), 7.08(2H,d,J=8.6Hz), 7.09(2H,t,J=8.7Hz), 7.46−7.57(4H,m), 7.66(1H,s), 7.70(1H,d,J=1.0Hz).
IR (KBr):3420, 3160, 3120, 2940, 2924, 2865, 1644, 1599, 1584, 1532, 1512, 1466, 1435, 1400, 1337, 1302, 1248, 1229, 1211, 1177, 1161, 1113, 1076, 1049, 1030 cm−1.
Anal calcd for C24H23N4O2F: C,68.88;H,5.55;N,13.39.Found: C,68.70;H,5.55;N,13.49.
【0107】
実施例3
1−{3−[3−({2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]プロピル}−1H−1,2,3−トリアゾール
【化52】
3−[3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル]フェノール(208mg)、65%油性水素化ナトリウム(39mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(250mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(366mg)を得た。
mp 105−106 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:2.26(2H,quintet,J=7.2Hz), 2.64(2H,t,J=7.5Hz), 4.39(2H,t,J=7.0Hz), 5.03(2H,s), 6.78−6.89(3H,m), 6.86(1H,d,J=16.2Hz), 7.09(2H,t,J=8.6Hz), 7.25(1H,t,J=7.8Hz), 7.51(1H,d,J=16.2Hz), 7.47−7.54(3H,m), 7.68(1H,s), 7.72(1H,s).
IR (KBr):3110, 3050, 2955, 2870, 1642, 1601, 1586, 1532, 1507, 1489, 1460, 1453, 1337, 1310, 1273, 1240, 1213, 1177, 1159, 1113, 1097, 1080, 1065 cm−1.
Anal calcd for C23H21N4O2F:C,68.30;H,5.23;N,13.85.
Found:C,68.22;H,5.04;N,14.00.
【0108】
実施例4
1−(4−{4−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}ブチル)−1H−1,2,3−トリアゾール
【化53】
4−[4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ブチル]フェノール(152mg)、65%油性水素化ナトリウム(28mg)および4−(クロロメチル)−2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール(212mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(290mg)を得た。
mp 160−161 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.62(2H,quintet,J=7.0Hz), 1.94(2H,quintet,J=7.6Hz), 2.61(2H,t,J=7.4Hz), 4.40(2H,t,J=7.4Hz), 5.02(2H,s), 6.92(2H,d,J=8.6Hz), 7.02(1H,d,J=16.6Hz), 7.08(2H,d,J=8.6Hz), 7.50(1H,s), 7.56(1H,d,J=16.6Hz), 7.64(4H,s), 7.69(1H,s), 7.71(1H,s).
IR (KBr):3120, 2936, 1615, 1584, 1512, 1464, 1414, 1327, 1248, 1159, 1125, 1069 cm−1.
Anal calcd for C25H23N4O2F3:C,64.10;H,4.95;N,11.96.
Found:C,64.18;H,5.12;N,11.98.
【0109】
実施例5
1−(3−{4−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}プロピル)−1H−1,2,3−トリアゾール
【化54】
4−[3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル]フェノール(143mg)、65%油性水素化ナトリウム(28mg)および4−(クロロメチル)−2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール(212mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(232mg)を得た。
mp 157−158 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:2.24(2H,quintet,J=7.2Hz), 2.61(2H,t,J=7.3Hz), 4.39(2H,t,J=7.2Hz), 5.03(2H,s), 6.94(2H,d,J=8.4Hz), 7.02(1H,d,J=16.4Hz), 7.11(2H,d,J=8.4Hz), 7.52(1H,s), 7.56(1H,d,J=16.4Hz), 7.64(4H,s), 7.69(1H,s), 7.72(1H,s).
IR (KBr):3129, 3100, 2934, 1613, 1584, 1547, 1510, 1449, 1416, 1337, 1329, 1291, 1238, 1179, 1140, 1109, 1071, 1009 cm−1.
Anal calcd for C24H21N4O2F3:C,63.43;H,4.66;N,12.33.
Found:C,63.21;H,4.73;N,12.26.
【0110】
実施例6
1−(3−{3−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}プロピル)−1H−1,2,3−トリアゾール
【化55】
3−[3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル]フェノール(123mg)、65%油性水素化ナトリウム(24mg)および4−(クロロメチル)−2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール(183mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(248mg)を得た。
mp 115−116 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:2.26(2H,quintet,J=7.2Hz), 2.64(2H,t,J=7.2Hz), 4.39(2H,t,J=7.2Hz), 5.04(2H,s), 6.77−6.91(3H,m), 7.01(1H,d,J=16.6Hz), 7.25(1H,t,J=8.4Hz), 7.52(1H,s), 7.56(1H,d,J=16.6Hz), 7.64(4H,s), 7.71(2H,s).
IR (KBr):3140, 3050, 2940, 2860, 1610, 1599, 1586, 1487, 1451, 1415, 1327, 1262, 1169, 1125, 1113, 1069, 1017 cm−1.
Anal calcd for C24H21N4O2F3:C,63.43;H,4.66;N,12.33.
Found:C,63.36;H,4.73;N,12.26.
【0111】
実施例7
1−{4−[4−({2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−1,2,3−トリアゾール
【化56】
4−[4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ブチル]フェノール(152mg)、65%油性水素化ナトリウム(28mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(188mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(254mg)を得た。
mp 115−117 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.62(2H,quintet,J=7.2Hz), 1.94(2H,quintet,J=7.5Hz), 2.60(2H,t,J=7.5Hz), 4.39(2H,t,J=7.1Hz), 5.01(2H,s), 6.81−6.98(2H,m), 6.91(2H,d,J=8.6Hz), 6.98(1H,d,J=16.2Hz), 7.07(2H,d,J=8.6Hz), 7.47−7.53(1H,m), 7.50(1H,s), 7.59(1H,d,J=16.2Hz), 7.67(1H,s), 7.70(1H,s).
IR (KBr):3133, 2932, 2863, 1644, 1615, 1590, 1532, 1514, 1493, 1468, 1431, 1345, 1298, 1279, 1246, 1215, 1179, 1140, 1086, 1049, 1032 cm−1.
Anal calcd for C24H22N4O2F2:C,66.05;H,5.08;N,12.84.
Found:C,66.03;H,5.00;N,13.03.
【0112】
実施例8
1−{3−[3−({2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]プロピル}−1H−1,2,3−トリアゾール
【化57】
3−[3−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)プロピル]フェノール(143mg)、65%油性水素化ナトリウム(28mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(188mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(257mg)を得た。
mp 89−90 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:2.26(2H,quintet,J=7.3Hz), 2.64(2H,t,J=7.4Hz), 4.39(2H,t,J=7.1Hz), 5.03(2H,s), 6.77−6.98(5H,m), 6.98(1H,d,J=16.8Hz), 7.24(1H,t,J=7.6Hz), 7.47−7.60(1H,m), 7.52(1H,s), 7.59(1H,d,J=16.8Hz), 7.68(1H,s), 7.71(1H,s).
IR (KBr):3127, 3071, 2934, 2868, 1644, 1615, 1599, 1534, 1495, 1453, 1433, 1354, 1273, 1215, 1159, 1142, 1090, 1028 cm−1.
Anal calcd for C23H20N4O2F2:C,65.39;H,4.77;N,13.26.
Found:C,65.32;H,4.56;N,13.34.
【0113】
実施例9
[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−1,2,3−トリアゾール
【化58】
4−[4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)ブチル]フェノール(217mg)のDMF(4ml)溶液に氷冷下、65%油性水素化ナトリウム(41mg)を加えた。室温で30分間攪拌後、氷冷下、4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(281mg)を加え、室温で一夜攪拌した。氷冷下、水を加えて析出物をろ取し、水洗後、THF−酢酸エチルに溶解させた。水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(348mg)を無色結晶として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.5−1.7 (2H, m), 1.85−2.05 (2H, m), 2.60 (2H, t, J = 7.4Hz), 4.39 (2H, t, J = 7.2Hz), 5.02 (2H, s), 6.92 (2H, d, J = 8.8Hz), 6.94 (1H, d, J = 17.4Hz), 6.85−7.35 (3H, m), 7.07 (2H, d, J = 8.8Hz), 7.61(1H, d, J = 17.4Hz), 7.45−7.7 (3H, m).
IR (KBr) : 1620, 1586, 1514, 1464, 1244, 1024, 999, 968, 783cm−1.
Anal. Calcd for C24H22F2N4O2: C, 66.05; H, 5.08; N, 12.84.
Found : C, 65.83; H, 5.06; N, 12.93.
【0114】
実施例10
2−[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(4−メチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化59】
4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]フェノール(260mg)と(E)−4−クロロメチル−2−[2−(4−メチルフェニル)エテニル]オキサゾール(257mg)を実施例1と同様の反応を行い、標題化合物(331mg)を無色結晶として得た。
mp 108−109 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.5−1.8 (4H, m), 2.38 (3H, s), 2.58 (2H, t, J = 7.0Hz),2.79 (2H, t, J = 5.6Hz), 3.82 (2H, t, J = 6.8Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.6Hz), 5.01 (2H, s), 6.8−6.85 (2H, m), 6.89 (1H, d, J = 16.6Hz), 6.92 (2H, d, J = 8.6Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.6Hz), 7.19 (2H, d, J = 7.8Hz), 7.43 (2H, d, J = 7.8Hz), 7.51 (1H, d, J = 16.6Hz), 7.64 (1H, s).
IR (KBr): 1510, 1240, 1055, 806cm−1.
Anal. Calcd for C28H31N3O3: C, 73.50; H, 6.83; N, 9.18.
Found : C, 73.36; H, 6.66; N, 9.12.
【0115】
実施例11
2−[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(3−メチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化60】
4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]フェノール(260mg)と(E)−4−クロロメチル−2−[2−(3−メチルフェニル)エテニル]オキサゾール(257mg)を用いて実施例1と同様の反応を行い、標題化合物(290mg)を無色結晶として得た。
mp 109−111 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.55−1.8 (4H, m), 2.38 (3H, s), 2.58 (2H, t, J = 7.0Hz), 2.78 (2H, t, J = 5.6Hz), 3.82 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.6Hz), 5.01 (2H, s), 6.80 (1H, d, J = 1.4Hz), 6.92 (1H, d, J = 16.6Hz), 6.92 (2H, d, J = 8.8Hz), 6.93 (1H, d, J = 1.4Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.8Hz),7.1−7.2 (1H, m), 7.2−7.4 (3H, m), 7.51 (1H, d, J = 16.6Hz), 7.65 (1H, s).
IR (KBr) : 1514, 1460, 1250, 1051, 976, 828, 789cm−1.
Anal. Calcd for C28H31N3O3・0.2H2O : C, 72.92; H, 6.86; N, 9.11.
Found : C, 72.71; H, 6.74; N, 8.97.
【0116】
実施例12
2−[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(2−メチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化61】
4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]フェノール(153mg)と(E)−4−クロロメチル−2−[2−(2−メチルフェニル)エテニル]オキサゾール(151mg)を用いて実施例1と同様の反応を行い、標題化合物(167mg)を無色結晶として得た。
mp 91−93 ℃(酢酸エチル−ヘキサン).
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.5−1.8 (4H, m), 2.46 (3H, s), 2.59 (2H, t, J = 7.0Hz),2.79 (2H, t, J = 5.6Hz), 3.82 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.6Hz), 5.02 (2H, s), 6.8−6.9 (3H, m), 6.92 (2H, d, J = 8.6Hz), 7.07 (2H, d,J = 8.6Hz), 7.2−7.3 (3H, m), 7.55−7.65 (1H, m), 7.66 (1H, s), 7.79 (1H,d, J = 16.2Hz).
IR (KBr) : 1508, 1464, 1231, 1061, 1009, 862, 752cm−1.
Anal. Calcd for C28H31N3O3・0.2H2O : C, 72.92; H, 6.86; N, 9.11.
Found : C, 72.98; H, 6.70; N, 9.23.
【0117】
実施例13
2−[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(4−エチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化62】
4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]フェノール(260mg)のDMF(4ml)溶液に氷冷下、60%油性水素化ナトリウム(44mg)加えた。室温で30分間攪拌後、氷冷下、(E)−4−クロロメチル−2−[2−(4−エチルフェニル)エテニル]オキサゾール(272mg)を加えた。室温で一晩攪拌後、氷冷下、水を加えた。析出物をろ取し、水洗した。酢酸エチルに溶かし、乾燥後(硫酸マグネシウム)、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(297mg)を無色結晶として得た。
mp 94−95 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.25 (3H, t, J = 7.4Hz), 1.5−1.85 (4H, m), 2.59 (2H, t,J = 7.0Hz), 2.67 (2H, q, J = 7.4Hz), 2.79 (2H, t, J = 5.4Hz), 3.82 (2H,t, J = 7.0Hz), 4.04 (2H, t, J = 5.4Hz), 5.01 (2H, s), 6.8−7.0 (3H, m), 6.92 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.2−7.3 (2H, m), 7.4−7.5 (2H, m), 7.53 (1H, d, J = 17.2Hz), 7.65 (1H, s).
IR (KBr) : 1508, 1462, 1231, 1181, 1061, 1007, 864, 833cm−1.
Anal. Calcd for C29H33N3O3:C, 73.86; H, 7.05; N, 8.91.
Found: C, 73.73; H, 6.79; N, 8.76.
【0118】
実施例14
2−(1−{4−[4−({2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エタノール
【化63】
4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]フェノール(391mg)、65%油性水素化ナトリウム(60mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(375mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(583mg)を得た。
mp 130−132 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.56−1.84(4H,m), 2.10−2.90(1H,br), 2.58(2H,t,J=7.1Hz), 2.78(2H,t,J=5.5Hz), 3.82(2H,t,J=7.1Hz), 4.03(2H,t,J=5.5Hz), 5.01(2H,s), 6.80−6.94(5H,m), 7.04−7.13(4H,m), 7.46−7.55(3H,m), 7.65(1H,s).
IR (KBr):3150, 3113, 3048, 2936, 2861, 1642, 1599, 1582, 1532, 1512, 1464, 1422, 1399, 1375, 1337, 1302, 1277, 1246, 1229, 1209, 1177, 1159, 1148, 1105, 1051, 1001 cm−1.
Anal calcd for C27H28N3O3F:C,70.26;H,6.11;N,9.10.
Found:C,70.15;H,6.06;N,9.35
【0119】
実施例15
2−[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(4−クロロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化64】
4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]フェノール(130mg)のDMF(4ml)溶液に氷冷下、60%油性水素化ナトリウム(22mg)加えた。室温で30分間攪拌後、氷冷下、(E)−4−クロロメチル−2−[2−(4−クロロフェニル)エテニル]オキサゾール(140mg)を加えた。0℃で1時間、室温で一晩攪拌後、氷冷下、水を加えた。析出物をろ取、水洗し、THF−酢酸エチル混液に溶かした。この溶液を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残留物をメタノ−ル−酢酸エチル−ジエチルエーテルより再結晶し、標題化合物(168mg)を無色結晶として得た。
mp 127−128 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.5−1.8 (4H, m), 2.58 (2H, t, J = 7.0Hz), 2.78 (2H, t, J = 5.4Hz), 3.82 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.4Hz), 5.01 (2H, s), 6.8−7.0 (5H, m), 7.07 (2H, d, J = 8.8Hz), 7.35 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.46 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.4−7.55 (1H, m), 7.66 (1H, s).
IR (KBr) : 1514, 1474, 1341, 1264, 1246, 1076, 966, 814cm−1.
Anal. Calcd for C27H28ClN3O3: C, 67.85; H, 5.90; N, 8.79.
Found : C, 67.85; H, 5.72; N, 9.09.
【0120】
実施例16
2−[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(4−ブロモフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化65】
2−(1H−イミダゾール−2−イル)−エタノール(449mg)のDMF(10ml)溶液に氷冷下、60%油性水素化ナトリウム(176mg)を加えた。室温で30分間攪拌後、氷冷下、4−[[4−(4−ヨードブチル)フェノキシ)メチル]−2−[(E)−2−(4−ブロモフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(2.15g)を加えた。室温で一晩攪拌後、氷冷下、水を加えた。酢酸エチル−THF混液で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(2.09g)を淡黄色結晶として得た。
mp 149−150 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.55−1.8 (4H, m), 2.58 (2H, t, J = 7.0Hz), 2.78 (2H, t,J = 5.6Hz), 3.82 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.6Hz), 5.01 (2H,s), 6.91 (2H, d, J = 8.8Hz), 6.92 (1H, d, J = 16.3Hz), 6.8−7.0 (2H, m),7.07 (2H, d, J = 8.8Hz), 7.38 (2H, d, J = 8.6Hz), 7.47 (1H, d, J = 16.3Hz), 7.52 (2H, d, J = 8.6Hz), 7.66 (1H, s).
IR (KBr) : 1514, 1487, 1254, 1055, 972, 826, 814cm−1.
Anal. Calcd for C27H28BrN3O3: C, 62.07; H, 5.40; N, 8.04.
Found : C, 61.82; H, 5.26; N, 7.90.
【0121】
実施例17
2−[1−[4−[4−[2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エテニル]オキサゾール−4−イル]メトキシフェニル]ブチル−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化66】
アルゴン雰囲気下、65%水素化ナトリウム(40.6mg)および4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]フェノール(260mg)に0℃でDMF(4ml)を加えた。室温で30分攪拌後、0℃で[2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エテニル]オキサゾール−4−イル]メチルクロライド(316mg)を加え、室温で15時間攪拌した。反応液に水を加え、析出した結晶を濾取し、水、イソプロピルエーテルで洗浄後、アセトン−ヘキサンより再結晶を行い、標題化合物(393mg)を淡黄色針状結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ: 1.56−1.74 (4H, m), 2.59 (2H, t, J = 6.6 Hz), 2.78 (2H,t, J = 5.4 Hz), 3.82 (2H, t, J = 6.8 Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.4 Hz), 5.02 (2H, d, J = 1.2 Hz), 6.81 (1H, d, J = 1.6 Hz), 6.90−6.95 (4H, m), 7.02(2H, d, J = 16.2 Hz), 7.52−7.69 (6H, m).
IR (KBr): 1512, 1323, 1244. 1175, 1132, 1113, 1067, 1055 cm−1.
【0122】
実施例18
2−[1−[3−[4−[2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エテニル]オキサゾール−4−イル]メトキシフェニル]プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化67】
65%水素化ナトリウム(40.6mg)、4−[3−[2−(ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]プロピル]フェノール(246mg)および[2−[(E)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エテニル]オキサゾール−4−イル]メチルクロライド(316mg)を用いて、実施例17と同様の反応を行い、標題化合物(330mg)を無色針状結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 2.01−2.08 (2H, m), 2.60 (2H, t, J = 7.8 Hz), 2.74 (2H, t, J = 5.8 Hz), 3.83 (2H, t, J = 7.4 Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.8 Hz), 5.03 (2H, s), 6.84 (1H, d, J = 1.2 Hz), 6.96−7.12 (6H, m), 7.52−7.70 (6H,m).
IR (KBr): 1512, 1327, 1246, 1173, 1125, 1069, 1017, 826 cm−1.
【0123】
実施例19
2−[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化68】
4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]ブチル]フェノール(260mg)のDMF(4ml)溶液に氷冷下、60%油性水素化ナトリウム(44mg)を加えた。室温で30分間攪拌後、氷冷下、(E)−4−クロロメチル−2−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]オキサゾール(281mg)を加えた。室温で3日間攪拌後、氷冷下、水を加えた。析出物をろ取し、水洗した。酢酸エチル−THF混液に溶かし、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(275mg)を淡黄色結晶として得た。
mp 93−95 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ : 1.55−1.85 (4H, m), 2.58 (2H, t, J = 7.0Hz), 2.78 (2H, t, J = 5.4Hz), 3.82 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.4Hz), 5.01 (2H, s), 6.8−7.0 (6H, m), 6.98 (1H, d, J = 16.3Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.8Hz), 7.5−7.6 (1H, m), 7.59 (1H, d, J = 16.3Hz), 7.67 (1H, s).
IR (KBr) : 1611, 1508, 1277, 1231, 1140, 1103, 1063, 970, 860cm−1.
Anal. Calcd for C27H27F2N3O3・0.1H2O : C, 67.38; H, 5.70; N, 8.73.
Found :C, 67.24; H, 5.74; N, 8.55.
【0124】
実施例20
2−[1−[3−[4−[[2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化69】
4−[4−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1H−イミダゾール−1−イル]プロピル]フェノール(246mg)のDMF(4ml)溶液に氷冷下、60%油性水素化ナトリウム(44mg)を加えた。室温で30分間攪拌後、氷冷下、(E)−4−クロロメチル−2−[2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]オキサゾール(281mg)を加えた。室温で一晩攪拌後、氷冷下で水を加えた。析出物をろ取し、水洗した。酢酸エチルに溶かし、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル−ジエチルエーテル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(272mg)を無色結晶として得た。
mp 94−96 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.95−2.15 (2H, m), 2.5−2.65 (2H, m), 2.65−2.8 (2H, m), 3.75−3.9 (2H,m), 3.95−4.1 (2H, m), 5.02 (2H, s), 6.8−7.15 (9H, m), 7.45−7.7 (3H, m).
IR(KBr) : 1609, 1512, 1277, 1231, 1140, 1061, 1020, 974, 860cm−1.
Anal. Calcd for C26H25F2N3O3・0.4H2O: C, 66.06; H, 5.50; N, 8.89.
Found : C, 66.13; H, 5.38; N, 8.55.
【0125】
実施例21
2−[1−[3−[4−[[2−[(E)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1−エタノール
【化70】
2−(2−ヒドロキシエチル)−1−[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]イミダゾール(260mg)、60%油性水素化ナトリウム(41mg)および(E)−4−クロロメチル−2−[2−(2,6−ジフルオロフェニル)エテニル]オキサゾール(281mg)を用いて、実施例19と同様の反応を行い、標題化合物(359mg)を無色結晶として得た。
mp 106−107 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.5−1.8 (4H, m), 2.58 (2H, t, J = 7.0Hz), 2.78 (2H, t, J = 5.6Hz), 3.82 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.03 (2H, t, J = 5.6Hz), 5.02 (2H, s), 6.8−7.0 (6H, m), 7.07 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.2−7.35 (2H, m), 7.61 (1H, d, J = 16.8Hz), 7.68 (1H, s).
IR (KBr) : 1618, 1516, 1472, 1456, 1246, 1065, 1001, 974, 789cm−1.
Anal. Calcd for C27H27F2N3O3: C, 67.63; H, 5.68; N, 8.76.
Found : C, 67.78; H, 5.57; N, 9.01.
【0126】
実施例22
3−(1−{4−[4−({2−[(E)−2−(3−メチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
【化71】
3−{1−[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(154mg)、65%油性水素化ナトリウム(21mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(3−メチルフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(131mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(156mg)を得た。
mp 102−104 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.52−1.82(4H,m), 2.39(3H,s), 2.59(2H,t,J=7.0Hz), 2.77(1H,d,J=5.0Hz), 2.78(1H,d,J=6.8Hz), 3.64(1H,dd,J=4.8Hz,11.2Hz), 3.76(1H,dd,J=4.2Hz,11.2Hz), 3.82(2H,t,J=7.0Hz), 4.12−4.24(1H,m), 5.02(2H,s), 6.80(1H,d,J=1.4Hz), 6.92(1H,d,J=1.4Hz), 6.93(1H,d,J=16.2Hz), 6.93(1H,d,J=8.8Hz), 7.08(2H,d,J=8.8Hz), 7.13−7.39(4H,m), 7.52(1H,d,J=16.2Hz), 7.66(1H,s).IR (KBr):3500−3200, 3112, 3029, 2934, 2865, 1645, 1609, 1584, 1510, 1491, 1462, 1379, 1350, 1242, 1177, 1150, 1123, 1100, 1026 cm−1.
Anal calcd for C29H33N3O4・0.5H2O:C,70.14;H,6.90;N,8.46.
Found:C,70.39;H,6.63;N,8.51
【0127】
実施例23
3−(1−{4−[4−({2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
【化72】
3−{1−[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(291mg)、65%油性−水素化ナトリウム(39mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(250mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(347mg)を得た。
mp 114−116 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.52−1.83(4H,m), 2.59(2H,t,J=7.2Hz), 2.76(1H,d,J=5.2Hz),2.77(1H,d,J=7.0Hz), 3.64(1H,dd,J=4.8Hz,11.4Hz), 3.76(1H,dd,J=4.2Hz,11.4Hz), 3.82(2H,t,J=6.8Hz), 4.12−4.24(1H,m), 5.01(2H,s), 6.80(1H,d,J=1.4Hz), 6.86(1H,d,J=16.8Hz), 6.92(1H,d,J=1.4Hz), 6.93(2H,d,J=8.8Hz), 7.07(2H,d,J=8.8Hz), 7.09(2H,d,J=8.7Hz), 7.46−7.56(3H,m), 7.66(1H,s).
IR (KBr):3500−3200, 3152, 3104, 3044, 2940, 2865, 1644, 1599, 1584, 1532, 1512, 1495, 1462, 1422, 1400, 1339, 1300, 1246, 1177, 1159, 1098, 1047 cm−1.
Anal calcd for C28H30N3O4F:C,68.42;H,6.15;N,8.55.
Found:C,68.16;H,5.98;N,8.46
【0128】
実施例24
3−[1−(4−{4−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}ブチル)−1H−イミダゾール−2−イル]−1,2−プロパンジオール
【化73】
3−{1−[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(204mg)、65%油性水素化ナトリウム(28mg)および4−(クロロメチル)−2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール(212mg)を用いて実施例2と同様の反応を行い標題化合物(285mg)を得た。
mp 142−143 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.53−1.82(4H,m), 2.59(2H,t,J=7.1Hz), 2.76(1H,d,J=5.0Hz),2.77(1H,d,J=7.0Hz), 3.64(1H,dd,J=4.8Hz,11.4Hz), 3.76(1H,dd,J=4.2Hz,11.4Hz), 3.83(2H,t,J=6.8Hz), 4.12−4.24(1H,m), 5.02(2H,s), 6.81(1H,d,J=1.4Hz), 6.92(1H,d,J=1.4Hz), 6.93(2H,d,J=8.8Hz), 6.95(1H,d,J=16.4Hz),7.08(2H,d,J=8.8Hz), 7.56(1H,d,J=16.4Hz), 7.64(4H,s), 7.70(1H,s).
IR (KBr):3500−3200, 3148, 3071, 2936, 2867, 1642, 1615, 1582, 1510, 1491, 1466, 1416, 1397, 1323, 1246, 1173, 1138, 1117, 1067, 1046, 1017 cm−1.
Anal calcd for C29H30N3O4F3:C,64.32;H,5.58;N,7.76.
Found:C,64.26;H,5.70;N,7.62
【0129】
実施例25
3−[1−(3−{3−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}プロピル)−1H−イミダゾール−2−イル]−1,2−プロパンジオール
【化74】
3−{1−[3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(194mg)、65%油性水素化ナトリウム(28mg)および4−(クロロメチル)−2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール(212mg)を用いて、実施例2の反応と同様にして、標題化合物(255mg)を得た。
mp 102−104 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:2.08(2H,quintet,J=7.0Hz), 2.62(2H,t,J=7.4Hz), 2.72(1H,d,J=4.8Hz), 2.73(1H,d,J=7.6Hz), 3.63(1H,dd,J=4.8Hz,11.4Hz), 3.74(1H,dd,J=4.2Hz,11.4Hz), 3.83(2H,t,J=7.2Hz), 4.13−4.24(1H,m), 5.03(2H,s), 6.77−6.91(3H,m), 6.84(1H,d,J=1.4Hz), 6.94(1H,d,J=1.4Hz), 7.02(1H,d,J=16.4Hz), 7.25(1H,t,J=7.8Hz), 7.57(1H,d,J=16.4Hz), 7.64(4H,s), 7.71(1H,s).
IR (KBr):3500−3200, 3108, 3056, 2932, 2867, 1613, 1599, 1586, 1534, 1489, 1451, 1416, 1325, 1260, 1167, 1125, 1069, 1030, 1017 cm−1.
Anal calcd for C28H28N3O4F3:C,63.75;H,5.35;N,7.97.
Found:C,63.60;H,5.32;N,7.88.
【0130】
実施例26
3−(1−{4−[4−({2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
【化75】
3−{1−[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(204mg)、65%油性水素化ナトリウム(28mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(188mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(223mg)を得た。
mp 126−128 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:1.52−1.81(4H,m), 2.58(2H,t,J=6.9Hz), 2.77(2H,d,J=5.4Hz),3.63(1H,dd,J=4.8Hz,11.4Hz), 3.75(1H,dd,J=4.2Hz,11.4Hz), 3.82(2H,t,J=7.0Hz), 4.10−4.24(1H,m), 5.01(2H,s), 6.76−7.02(7H,m), 7.07(2H,d,J=8.6Hz), 7.48−7.51(1H,m), 7.59(1H,d,J=16.6Hz), 7.67(1H,s).
IR (KBr):3500−3200, 3106, 3073, 3032, 2934, 2865, 1644, 1613, 1593, 1532, 1512, 1495, 1462, 1431, 1354, 1298, 1275, 1244, 1177, 1142, 1090, 1028 cm−1.
Anal calcd for C28H29N3O4F2:C,66.00;H,5.74;N,8.25.
Found:C,65.89;H,5.94;N,8.37.
【0131】
実施例27
3−(1−{3−[3−({2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]プロピル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール
【化76】
3−{1−[3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(203mg)、65%油性水素化ナトリウム(29mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(197mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(220mg)を得た。
mp 92−94 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ:2.08(2H,quintet,J=7.2Hz), 2.62(2H,t,J=7.3Hz), 2.73(1H,d,J=5.0Hz), 2.74(1H,d,J=7.0Hz), 3.63(1H,dd,J=4.8Hz,11.2Hz), 3.74(1H,dd,J=4.2Hz,11.2Hz), 3.83(2H,t,J=7.4Hz), 4.14−4.24(1H,m), 5.02(2H,s), 6.76−6.98(5H,m), 6.84(1H,d,J=1.4Hz), 6.93(1H,d,J=1.4Hz), 6.98(1H,d,J=16.4Hz), 7.25(1H,t,J=7.9Hz), 7.48−7.61(1H,m), 7.60(1H,d,J=16.4Hz), 7.69(1H,s).
IR (KBr):3500−3200, 3106, 3067, 3042, 2938, 2872, 1644, 1613, 1599, 1534, 1495, 1453, 1431, 1379, 1354, 1275, 1155, 1142, 1123, 1090, 1028 cm−1.
Anal calcd for C27H27N3O4F2:C,65.44;H,5.49;N,8.48.
Found:C,65.39;H,5.32;N,8.62.
【0132】
実施例28
3−[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1,2−プロパンジオール
【化77】
3−{1−[3−(3−ヒドロキシフェニル)プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル}−1,2−プロパンジオール(142mg)、60%油性水素化ナトリウム(40mg)および4−(クロロメチル)−2−[(E)−2−(2,6−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(495mg)を用いて、実施例2と同様の反応を行い、標題化合物(395mg)を無色結晶として得た。
mp 123−125 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.5−1.8 (4H, m), 2.59 (2H, t, J = 7.0Hz), 2.7−2.8 (2H, m), 3.6−3.75 (2H, m), 3.83 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.1−4.25 (1H, m), 5.03 (2H, s), 6.8−7.0 (4H, m), 6.92 (2H, d, J = 8.6Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.6Hz), 7.2−7.3 (1H, m), 7.29 (1H, d, J = 16.8Hz), 7.61 (1H, d, J = 16.8Hz), 7.69 (1H, s).
IR (KBr): 1620, 1508, 1458, 1236, 1051, 1001, 789cm−1.
Anal. Calcd for C28H29F2N3O4: C, 66.00; H, 5.74; N, 8.25.
Found : C, 65.71; H, 5.78; N, 8.09.
【0133】
実施例29
(2R)−3−[[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1,2−プロパンジオール
【化78】
(2R)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール(127mg)のDMF(4ml)溶液に氷冷下、60%油性水素化ナトリウム(37mg)を加えた。室温で30分間攪拌後、氷冷下、4−[[4−(4−ヨードブチル)フェノキシ]メチル]−2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(485mg)を加えた。室温で3時間攪拌後、氷冷下、水を加えた。THF−酢酸エチル混液で抽出し、水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:メタノ−ル=10:1)により精製後、酢酸エチル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(262mg)を無色結晶として得た。
mp 104−106 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ: 1.5−1.8 (4H, m), 2.59 (2H, t, J = 7.0Hz), 2.7−2.8 (2H, m), 3.55−3.75 (2H, m), 3.79 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.1−4.2 (1H, m), 5.01 (2H, s), 6.8−7.1 (5H, m), 6.92 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.5−7.6 (1H, m), 7.59 (1H, d, J = 16.2Hz), 7.67 (1H, s).
IR (KBr):1507, 1472, 1273, 1235, 1140, 1092, 966, 858cm−1.
Anal. Calcd for C28H29F2N3O4: C, 66.00; H, 5.74; N, 8.25.
Found : C, 65.69; H, 5.82; N, 8.06.
[α]22 D= + 4.2° (c = 1.0, メタノール).
【0134】
実施例30
(2S)−3−[[1−[4−[4−[[2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]メトキシ]フェニル]ブチル]−1H−イミダゾール−2−イル]−1,2−プロパンジオール
【化79】
(2S)−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオール、60%油性水素化ナトリウム(50mg)および4−[[4−(4−ヨードブチル)フェノキシ]メチル]−2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール(415mg)を用いて、実施例29と同様の反応を行い、標題化合物(219mg)を無色結晶として得た。
mp 106−108 ℃.
1H−NMR(CDCl3)δ : 1.5−1.8 (4H, m), 2.58 (2H, t, J = 6.8Hz), 2.7−2.8 (2H,m), 3.6−3.75 (2H, m), 3.82 (2H, t, J = 7.0Hz), 4.1−4.2 (1H, m), 5.01 (2H, s), 6.8−7.1 (5H, m), 6.89 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.4Hz), 7.5−7.6 (1H, m), 7.59 (1H, d, J = 16.4Hz), 7.67 (1H, s).
IR(KBr) : 1615, 1512, 1497, 1273, 1246, 1229, 1140, 1094, 1046, 966, 847cm−1.
Anal. Calcd for C28H29F2N3O4: C, 66.00; H, 5.74; N, 8.25. Found : C, 65.75; H, 5.60; N, 8.12.
[α]22 D = − 3.5° (c = 1.0, メタノール).
【0135】
製剤例1 (一錠当たりの用量)
(1)実施例4で得られた化合物 10.0mg
(2)乳糖 60.0mg
(3)コーンスターチ 35.0mg
(4)ゼラチン 3.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
実施例4で得られた化合物10.0mgと乳糖60.0mgおよびコーンスターチ35.0mgの混合物を10重量%ゼラチン水溶液0.03ml(ゼラチンとして3.0mg)を用い、1mmメッシュの篩を通して顆粒化したのち、40℃で乾燥し再び濾過する。得られた顆粒をステアリン酸マグネシウム2.0mgと混合し圧縮する。得られる中心錠をしょ糖、二酸化チタン、タルクおよびアラビアゴムの懸濁液による糖衣でコーテイングを施し、ミツロウで艶出して糖衣錠を得る。
製剤例2 (一錠当たりの用量)
(1)実施例4で得られた化合物 10.0mg
(2)乳糖 70.0mg
(3)コーンスターチ 50.0mg
(4)可溶化デンプン 7.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
実施例4で得られた化合物10.0mgとステアリン酸マグネシウム3.0mgを可溶化デンプンの水溶液0.07ml(可溶化デンプンとして7.0mg)で顆粒化後、乾燥し、乳糖70.0mgおよびコーンスターチ50.0mgを混合する。混合物を圧縮し錠剤を得る。
【0136】
以下の試験例において、化合物番号は実施例番号を示す(即ち、実施例4の化合物は化合物4と表示した)。
試験例1
ヒトリウマチ滑膜細胞の受容体のチロシンのリン酸化の抑制
ヒトリウマチ滑膜細胞HS−RA(Cell Applications Inc.より購入、Lot.1413)の細胞懸濁液1ml(40,000細胞/1mLに懸濁し)を24穴プレートに播き、5%炭酸ガスインキュベーター中、37℃下で培養した。翌日、10倍段階希釈した被検化合物溶液10μlを添加し、2時間後、最終濃度が1ng/mlとなるよう調製したEGF溶液10μlを加え、5分後、抽出液溶解用緩衝液を加えて反応を停止させるとともに細胞溶解液タンパク質を抽出し得た。この細胞溶解液タンパク質をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分画分離した後、電気泳動ゲル内のタンパク質をナイロンフィルターにブロットした。このフィルターと抗リン酸化チロシン特異抗体とを反応させ、ECL法によりフィルター上のリン酸化チロシンを含む部分を発光させ、X線用感光フィルムを感光させた。フィルムの感光量を画像解析装置により定量した。EGFを加えた群のHER2のチロシンのリン酸化量を100%として、各濃度の被検化合物溶液を加えた群の細胞のHER2のチロシンのリン酸化量の割合を求め、被検化合物がHER2チロシンのリン酸化量を対照の50%に抑制するのに必要な化合物濃度(IC50値)を算出した。結果を表1に示す。
【0137】
【表1】
【0138】
これより、本発明の化合物は、ヒトリウマチ滑膜細胞が増殖因子EGFにより刺激を受けた時の、増殖因子刺激に伴う受容体チロシンキナーゼの活性化によって引き起こされる、受容体タンパク質のチロシン残基のリン酸化反応を強く阻害することが示された。
【0139】
試験例2
in vitro でのヒトリウマチ滑膜細胞増殖抑制作用(in vitro)
ヒトリウマチ滑膜細胞HS−RA(Cell Applications Inc.より購入、Lot.1413)の細胞懸濁液100μl(1,000細胞/100μl)を96穴マイクロプレートに播き、5%炭酸ガスインキュベーター中、37℃下で培養した。翌日、10倍段階希釈した各被検化合物溶液100μlを添加し、培養を6日間行った。培養終了時に同仁から供給されるCell Counting kitを各ウエルに20μl加え、37℃下で1時間培養した。細胞数の測定はA450nm(Reference A620nm)で測定した。測定当日にHS−RAを1ウエルあたり70、700、7000個まき、6時間おいてからCellCounting kitを用いて吸光度を測定し、検量線を作製した。結果を表2に示す。
【0140】
【表2】
【0141】
これより、本発明の化合物は、ヒトリウマチ滑膜細胞の増殖を強く抑制することが示された。
【0142】
試験例3
リウマチにおける骨関節破壊の役割を担う破骨細胞の形成に対する本発明の実施例4で得られた化合物の作用を検討した。8週齢雄性ddyマウスの脛骨より骨髄細胞を採取して10%のFBSを含むαMEM培地に懸濁し、5x105cells/0.2ml/wellとなるよう48wellプレートに細胞を播種した。3時間の静置培養を行った後、ヒト可溶型RANKL250ng/mlとマウスM−CSF(ジェンザイム)200ng/ml、ならびに被検化合物溶液を添加した上記培地を50μl/well加え(被検化合物最終濃度:0.0001、0.001、0.01、0.1、1μM)、6日間の培養を行った。培養終了後、細胞をホルマリン固定して破骨細胞の分化指標である酒石酸耐性酸性フォスファターゼ(TRAP)に対する酵素活性染色を行い、TRAP陽性で3核以上の多核細胞を破骨細胞とし、その数を顕微鏡下で計測した。
【0143】
【表3】
【0144】
表3に示すように、本発明の化合物はマウス骨髄細胞培養系における破骨細胞の形成を明らかに阻害した(IC50値=0.011μM)。
【0145】
試験例4
In vivo でのリウマチ抑制作用(in vivo)
Lewisラット(雄、7週齢)の右後肢皮内に0.05mlのパラフィンオイルに懸濁したMycobacterium tuberculousis(Difco)250μlを投与し感作する(Day0)。アジュバント非注射ラットの左足とアジュバント注射ラットの左足の足容積を測定し、Day14、Day28における非注射ラットの左足と注射ラットの左足との足容積の差を足浮腫とした。薬物はアジュバント感作後7日目から1日1回、21日間連日(Day7−27)経口投与した。また、Day28における非感作足の踵関節のX線写真を撮影し、その関節破壊の度合いをスコア化した(最高破壊スコア:6)。結果を表4および表5にそれぞれ示す。
【0146】
【表4】
【0147】
【表5】
【0148】
本発明の化合物4は、リウマチモデルラットにおいて2mg/kgの投与量でDay28における足浮腫容量を53%抑制し、さらに踵関節の破壊をX線写真上で明らかに抑制した。
【0149】
【発明の効果】
本発明の化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグは、チロシンキナーゼ阻害作用を有し、かつ毒性が低いため、HER2を発現しているリウマチ滑膜細胞の増殖を抑制する治療剤として、また、リウマチにおける骨・関節破壊の予防薬としても有用である。
Claims (20)
- R1がフルオロまたはトリフルオロメチルである請求項1記載の剤。
- 化合物が1−(4−{4−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}ブチル)−1H−1,2,3−トリアゾール、
1−(3−{3−[(2−{(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテニル}−1,3−オキサゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}プロピル)−1H−1,2,3−トリアゾール、または
3−(1−{4−[4−({2−[(E)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−1,3−オキサゾール−4−イル}メトキシ)フェニル]ブチル}−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2−プロパンジオールである請求項1記載の剤。 - 請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグと他の抗リウマチ剤とを組み合わせてなる医薬。
- 請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグと抗炎症剤とを組み合わせてなる医薬。
- 哺乳動物に対して、請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグを有効量投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法。
- (1)請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量を投与することと、(2)▲1▼他の抗リウマチ剤の有効量を投与すること、▲2▼抗炎症剤の有効量を投与すること、および▲3▼非薬剤療法から成る群から選ばれる1〜3種とを組み合わせることを特徴とするリウマチの予防・治療方法。
- 非薬剤療法が基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上である請求項10記載の方法。
- 哺乳動物に対して、請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と他の抗リウマチ剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法。
- 哺乳動物に対して、請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と抗炎症剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法。
- 基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用する前に、哺乳動物に対して、請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法。
- 基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用した後に、哺乳動物に対して、請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法。
- 基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用する前に、哺乳動物に対して、請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と他の抗リウマチ剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法。
- 基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用する前に、哺乳動物に対して、請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と抗炎症剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法。
- 基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用した後に、哺乳動物に対して、請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と他の抗リウマチ剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法。
- 基礎療法、リハビリテーション、外科的療法および遺伝子治療から成る群から選ばれる1種以上を適用した後に、哺乳動物に対して、請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量と抗炎症剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とするリウマチの予防・治療方法。
- リウマチ予防・治療剤を製造するための請求項1記載の化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグの使用。
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WO2006053778A2 (en) * | 2004-11-22 | 2006-05-26 | F. Hoffmann-La Roche Ag | Amide derivatives, their manufacture and use as pharmaceutical agents |
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2002
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