JP2004160984A - 印刷ヘッド用ノズル・アレイ - Google Patents

Abstract

【課題】改善されたインクジェット・プリンタ用の印刷ヘッドを提供する。
【解決手段】インクジェット・プリンタ用のインクジェット印刷ヘッド・アセンブリは、ノズルの各々がヒータ要素及びインク・チャンバーのそれぞれと１対１で対応して隣接配置され、前記ノズル・プレートが各印刷箇所に対して少なくとも２つのノズルを有しており、各印刷箇所に対する前記ヒータ要素が交互に起動されており、前記流路が隣接インク・チャンバーの間になるように、前記基板のインク供給縁に最も接近している前記インク・チャンバーの前記入口チャネルがそのインク供給縁とは遠ざかる方へ向いていることから成るノズル・プレートと、を備える。
【選択図】 図６

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的には、サーマル・インクジェット印刷カートリッジ用の印刷ヘッドに関する。より詳細には、この発明はノズル・プレートに関すると共に、印刷ヘッドのノズル・プレート上のノズル及びインク・チャネルの構成に関する。
【０００２】
【従来の技術】
サーマル・インクジェット・プリンタは、ペーパ等の媒体上に対して、該ペーパ上に印刷されるべき表示又は証に対応するパターン状にインク小滴を導く印刷ヘッドを有する印刷カートリッジを利用する。一般にインクは、リザーバから流路を介して、ペーパ上へ向かって解放するオリフィス又はノズルへ導かれる。ヒータがこれらノズルに隣接して設けられて、該ノズルに供給されたインクを加熱して、インク内の成分を気化してインクの小滴をノズル穴を通じて推進し、ペーパ上にインクのドットを提供する。印刷動作中、印刷ヘッドはペーパに相対して移動させられ、インクがペーパに相対する印刷ヘッドの所定位置に対してノズルを通って噴出されることになる該ノズルに対応するヒータだけを選択的に動作するために、ヒータを電子制御することによって印刷されるべき表示に対応するパターン状にインク小滴が解放させられる。
【０００３】
上述の事柄を考えると、ヒータ故障或はノズル詰まりから生じ得るような１つのノズルからのインク噴出の欠損でも、プリンタ性能及び印刷品質に不利益に影響し得ることが理解して頂けるであろう。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は改善されたインクジェット印刷ヘッドを提供することである。
【０００５】
本発明の別の目的は、従来の印刷ヘッドと比べて向上させた性能を発揮する印刷ヘッドを提供することである。
【０００６】
本発明の更なる目的は、改善されたノズル及びヒータのアレイを有するように説明された特性の印刷ヘッドを提供することである。
【０００７】
本発明の更に別の目的は、各ノズル箇所に同様のインク流路を提供するように説明された特性の印刷ヘッドを提供することである。
【０００８】
本発明の追加的な目的は、改善された信頼性を有するように説明された特性の印刷ヘッドを提供することである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
先の目的及びその他の目的を考慮して、本発明は各印刷箇所に対して少なくとも２つのインク噴出ノズルを有するインクジェット印刷ヘッドに向けられている。
【００１０】
本発明に従えば、インクジェット・プリンタ用のインクジェット印刷ヘッド・アセンブリは、インク・リザーバと、前記インク・リザーバに取り付けられた印刷ヘッドであり、前記プリンタによって印刷されるべき表示に対応するパターン状に当該印刷ヘッドからインクを選択的に噴出する、前記インク・リザーバと作動的に関連されたインク噴出手段を含む印刷ヘッドと、インクを加熱するための複数の電気的に起動可能なヒータ要素と、インクが前記インク・リザーバから前記ヒータ要素へ流れることになる少なくとも１つのインク供給縁とを有するシリコン基板と、各々が前記ヒータ要素と１対１で対応するように関連されると共に前記インク・リザーバと流通状態である、前記シリコン基板上の複数のインク・チャンバーであり、前記インク・リザーバから前記ヒータ要素各々へ向けて当該インク・チャンバーと関連された入口チャネルを介してインクを流動的に導く複数の流路（Ｆ１，Ｆ２）を有するインク・チャンバーと、前記シリコン基板に取り付けられて複数のノズルを有するノズル・プレートであり、所望の印刷箇所で前記印刷ヘッドから前記ヒータ要素によって加熱されたインクを解放するために、当該ノズルの各々が前記ヒータ要素及び前記インク・チャンバーのそれぞれと１対１で対応して隣接配置され、前記ノズル・プレートが各印刷箇所に対して少なくとも２つのノズルを有しており、各印刷箇所に対する前記ヒータ要素が交互に起動されており、前記流路が隣接インク・チャンバーの間になるように、前記基板のインク供給縁に最も接近している前記インク・チャンバーの前記入口チャネルがそのインク供給縁とは遠ざかる方へ向いていることから成るノズル・プレートと、を備える。
【００１１】
別の局面において、本発明は少なくとも２つのノズル・アレイを有するインクジェット・プリンタ用のノズル・プレートに向けられており、それらアレイの各々が共通印刷箇所に対応するノズルを有している。
【００１２】
前記印刷ヘッドは、一時に前記ノズルの対の一方のノズルからのみインクを解放するように該ノズル対が交互に動作させられる。理解して頂けるように、これはノズルの故障によって生ずる効果又は影響を低減しようとする冗長特徴を提供する。
【００１３】
例えば、ノズル機能不全、即ち、所与のノズル穴を通じて噴出されるインクの部分的不首尾或は全体的不首尾は、限定されるわけではないが、ノズル詰まり、ヒータ故障、或は、ノズルにインク供給する流路の制限（又は束縛）若しくは詰まりを含む様々な要因から生じ得る。所望に従って解放されるべきインクの不首尾は、所与の印刷箇所に対して印刷されるようにペーパへ導かれたインク解放を低減或は削除し、よってしばしば印刷品質の低下となる。
【００１４】
本発明に従えば、各印刷箇所に対して少なくとも２つのノズル（及び関連ヒータ）を有する印刷ヘッドであり、それら少なくとも２つのノズル間で交替することによって動作する印刷ヘッドを提供することで冗長特徴が発揮されることで、不適切に動作するヒータ及び／或はノズルの効果又は影響が著しく低減させられる。
【００１５】
本発明の更なる長所等は、幾つかの図面を通じて同様要素が同様符号で示され且つ細部をより良好に示すために一定の縮尺となっていない添付図面と組合せて考慮されることで、好適実施例の詳細な説明を参照することで明らかとなる。
【００１６】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照すると、インクジェット・プリンタに使用される本発明の好適実施例に係る印刷カートリッジ１０が図１に示されている。このカートリッジ１０は、インク或はインクで飽和されたフォーム・インサートを含有する全般的には中空のプラスチック製ボディによって提供されるインク・リザーバ（インク溜め）１４上に配置された印刷ヘッド・アセンブリ１２を含む。
【００１７】
印刷ヘッド・アセンブリ１２は、好ましくは、ボディ１４のノーズ・ピース１６の上方部上に配置され、インク・リザーバ１４から所望表示を表すパターン状に印刷されるべきペーパ等の媒体上にインクを移動させる。ここで使用される「インク」は、サーマル・インクジェット・プリンタ用に共通して使用されているインク、染料等々を全般的に言及しているものと理解して頂けるであろう。
【００１８】
更に図２及び図３で参照されるように、印刷ヘッド１２は、好ましくは、シリコン部材２０に取り付けられたノズル部材１８を含み、該シリコン部材がポリマー・テープ・スリップ(polymer tape strip)２６の背面２４上に設けられた複数の電導性トレース２２と電気的に連通している。ノズル・プレートを基板に取り付ける好適な接着剤はフェノール樹脂に限定されないが、レソルシノール樹脂、ユリア樹脂（尿素樹脂）、エポキシ樹脂、エチレン尿素樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、並びに、シリコーン樹脂を含むＢ段階の熱硬化樹脂である。この接着剤層の厚みは約１ミクロンから約２５ミクロンの範囲である。
【００１９】
ノズル部材１８は、好ましくは、その片面側に接着剤が伴われるポリイミド系のポリマー・テープ複合材によって提供され、その複合材は約１５ミクロンから約２００ミクロンの範囲の合計厚みを有しており、そうした複合材は一般にこの業界では「Ｃｏｖｅｒｌａｙ」と云われている。適切な複合材は、Wilmington, DelawreのＤｕＰｏｎｔ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ社から商標「ＰＹＲＡＬＵＸ」及びChandler, ArizonaのＲｏｇｅｒｓ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ社からの商標「Ｒ−ＦＬＥＸ」として入手可能である材料を含む。しかしながら理解して頂けるように、本発明に従ったノズル穴及びヒータの設置は、限定されるわけではないが、金属や金属被覆プラスチックをも含む実質的には任意の材料から成るノズル・プレートに適用可能であることである。
【００２０】
各トレース２２は、好ましくは、接点パッド２２ａで終端しており、その各パッド２２ａはテープ２６の外側面３０にまで貫通延在してインクジェット・プリントの電気的接点と接触し、プリンタからシリコン部材２０上のヒータまで出力信号を導通させている。これらトレースはめっきプロセス及び／或はフォトリソグラフィック・エッチングによってテープ上に設けることができる。テープ／電気的トレース構造は当業界では一般的にはＴＡＢストリップ(TAB strip)として云われ、このＴＡＢは「Ｔａｐｅ Ａｕｔｏｍａｔｅｄ ｂｏｎｄｉｎｇ」の頭文字である。
【００２１】
シリコン部材２０は組み立てられた印刷ヘッドでは見えないように隠されて、テープ２６の除去領域又は切欠部２８におけるノズル部材１８に取り付けられていることによって、ノズル部材の外側へ向かう面３０がテープ２６の前面３２と同一面となって平行して、インク・リザーバ１４と流通状態の複数のノズル穴３４を介して印刷されるべき媒体上にインクを導いている。これらノズル穴３４は、好ましくは、ノズル部材１８によって画成された平面に平行する軸線に沿っての断面が実質的に円形、長円形、正方形、或は、矩形である。
【００２２】
ＴＡＢボンド又はワイヤ３５はトレース２２をシリコン部材２０に電気的に接続して、印刷動作中のヒータの選択的起動のために、プリンタから該シリコン部材２０へ電気信号が導通させられている。こうして、ヒータ４６（図４）はＴＡＢボンド３５を介して導電性トレース２２と電気的に結合させられると共に、その通電のために、プリンタからのコマンドに従ってＴＡＢボンド３５及び接点パッド２２ａの間に電気的に結合させられている。この点に関して、デマルチプレクサ４４（図３）が好ましくはシリコン部材２０上に設けられて、入力されてくる電気信号を多重分離し、それらをヒータ３６へ分配している。
【００２３】
図４で参照されるようにシリコン部材２０は、好ましくは、印刷ヘッドの製造において共通して使用されるタイプのシリコン基板の略矩形部である。複数の薄膜の抵抗又はヒータ３６がそのシリコン部材上に設けられ、そうした各ヒータが対応する１つのノズル３４に隣接して配置されて、そのノズル３４を通じての噴出のためにインクを気化している。この点に関して各ヒータ３６は、好ましくは、各ノズル穴３４に関連されたバブル・チャンバー３８に隣接して配置されて、インク・リザーバ１４からチャネル４０を介してそのチャンバー内へ導通させられたインクを加熱し、該チェンバー内でインクを気化し、印刷されるべき媒体の所望箇所にあたるインク小滴４２へ凝縮するためにそれをノズル穴３４から噴出させる。
【００２４】
シリコン部材２０は、横幅が典型的には約２ｍｍから約３ｍｍの範囲内のサイズ、縦幅が約６ｍｍから約１２ｍｍの範囲内の長さであり、約０．３ｍｍから約１．２ｍｍの厚みであり、最も好ましくは約０．５ｍｍから約０．８ｍｍの厚みである。印刷ヘッド１２は、１つ、２つ、３つ、或は、それ以上のシリコン部材２０及びノズル部材１８を含み得るが、説明の明瞭化の目的で、この印刷ヘッド・アセンブリは１つのみのシリコン部材２０と関連されたノズル部材１８とを含むものとして以下説明される。
【００２５】
インクは、一般的に重力及び毛管作用によって、リザーバ１４からシリコン部材２０の周辺を巡って、或は、シリコン部材における中央バイアを通じてチャネル４０内へ移動してバブル・チャンバー内へ流入する。ノズル穴３４の相対的に小さなサイズは、インク内の揮発成分を気化して、追って毛管作用で再度充填されるチャンバーを空とするような関連されたヒータの起動まで、インクをそのチャンバー内に維持する。
【００２６】
注目されるであろうことは、各ノズル３４に関連されたバブル・チャンバー３８及びチャネル４０の下方壁部はシリコン部材の隣接する略平坦な面４５によって提供されていることである。チャンバー３８及びチャネル４０の地勢的な特徴は、接着剤層４７によってシリコン部材２０の面４５に取り付けられたノズル部材１８の下方面４６の形状及び構成によって提供されている。ノズル穴３４等のノズル部材１８、バブル・チャンバー３８、並びに、チャネル４０の各種特徴は、好ましくは、ノズル部材１８の複合部材においてレーザ融蝕によって形成されて、図５及び図６に示される構成を提供している。
【００２７】
以上のようにして、そして図５乃至図６で参照されるように、ノズル部材１８の下方面４６は、各印刷箇所に対して、好ましくは、一対のノズル穴及び関連されたヒータを提供するように構成されている。ここで用語「印刷箇所」とは、印刷されるべきペーパ上に、特定のインク・バブル又はインク小滴を導くためのノズルの箇所又は位置を言及するものとして理解して頂けるであろう。従来、１つのノズルが各印刷箇所に対して提供されて、実質上、任意の文字或は画像に対応するピクセル或はインク-ドット・パターンの印刷を可能とするに充分なノズルとなっている。よって、単一ノズルの故障又は失敗は印刷された画像に不利益に影響し得る。
【００２８】
本発明に従えば、各印刷箇所に一対のノズルを有する印刷ヘッドが提供され、各ノズルが交互に起動されて、印刷画像の品質に対するノズル対の内の１つだけのノズルの故障又は失敗の影響が低減され得る。理解して頂けるように、これはこれまで利用されていなかった冗長特徴を提供しており、故障したノズル或はヒータの影響を低減する。ここで使用されているように、用語「交互に起動」とは一対のノズルからインク噴出に関連させた連続して起こること(sequencing)を言及しており、それによって、それらノズルは一方が起動された後に他方が起動されるか、或は、他方のノズルが起動される前に一方のノズルが同時発生的に２回或はそれ以上の回数起動され得ることになる。
【００２９】
個々別々のノズル穴３４及びヒータ３６は、図５乃至図６に示されるように、独立して番号付けされており、各印刷箇所のノズル及びヒータが同一の整数を有するが、それらの複数性を表す添字「ａ」或は「ｂ」を伴っている。従って好適実施例において、ノズル部材１８はシリコン部材２０の側方縁６０に隣接して位置決めされたノズル・アレイ５１と、シリコン部材１８の側方縁７０に隣接して位置決めされたノズル・アレイ６１とを提供するように形成されている（図５）。
【００３０】
ノズル・アレイ５１は２列のノズルを有しており、一方の列がノズル５２ａ，５４ａ，５６ａ，５８ａを含み、他方の列がノズル６２ａ，６４ａ，６６ａ，６８ａを含む。ノズル６１は２列のノズルを有しており、一方の列がノズル５２ｂ，５４ｂ，５６ｂ，５８ｂを含み、他方の列がノズル６２ｂ，６４ｂ，６６ｂ，６８ｂを含む。理解して頂けるように、ノズル対の部材間を分断するように想像線を引くことが可能であって、それは、即ち、同一の印刷箇所を表しているノズル５４ａ及び５４ｂの中心間に引かれる分断線Ｍである。
【００３１】
図６で参照されるように、注目されるであろうことはアレイ５１のノズルが２列に配列されていることであり、一方の列がノズル５４ａ，５６ａ，５８ａを含み、他方の列がノズル６２ａ，６４ａ，６６ａ，６８ａを含む。アレイ６１も、アレイ５１におけるノズルと対応する添字「ｂ」によって同様に構成されている。先に注目したように、共通整数が付けられたノズルの「ａ」及び「ｂ」の添字付きノズル、即ち、５２ａ及び５２ｂは同一印刷箇所に対応すると共に、１つの印刷箇所でのノズル或はヒータの故障の影響を低減する冗長特徴を提供している。これは好適実施例において、印刷シーケンス中、ノズル対（ａ及びｂ）間の交替で達成される。
【００３２】
図５ａに示されるように、ヒータ７２ａはノズル５２ａの下方に位置決めされ、ヒータ７２ｂはノズル５２ｂの下方に位置決めされている。同様に、ヒータ７４ａ−７４ｂ，７６ａ−７６ｂ，７８ａ−７８ｂは、それぞれ、ノズル対５４ａ−５４ｂ，５６ａ−５６ｂ，５８ａ−５８ｂの下方に位置決めされており、そして、ヒータ８２ａ−８２ｂ，８４ａ−８４ｂ，８６ａ−８６ｂ，８８ａ−８８ｂは、それぞれ、ノズル対６２ａ−６２ｂ，６４ａ−６４ｂ，６６ａ−６６ｂ，６８ａ−６８ｂの下方に位置決めされている。理解して頂けるように、印刷ヘッドは説明したノズル／ヒータ対を、好ましくは、８個以上含み、好適実施例においては約２０個から約２０，０００個のノズル／ヒータ対を含み、最も好ましくは約２０個から約２０００個のノズル／ヒータ対を含んでおり、各対の各種部材は別個のアレイに設けられている。この点に関して、少なくとも２つのアレイが設けられることが意図されている。更なるアレイが更に一層の冗長性を提供すべく含まれることが可能であって、各アレイが各印刷箇所に対するノズル／ヒータ対を有している。
【００３３】
再度図４を参照すると、ノズル穴３４がアレイ５１及び６１の各ノズル、即ち、ノズル５２−５８及び６２−６８を表しており、そうしたノズル穴３４は、好ましくは、約１０μｍから約１００μｍの長さＬを有すると共に、バブル・チャンバー３８からノズル部材１８の上面へ移動するテーパ状壁部を有し、入口開口ｎが好ましくは約５μｍから約８０μｍの範囲内の幅であり、出口開口ｎ'が約５μｍから約８０μｍの幅である。それぞれがノズルにインク供給する各バブル・チャンバー３８及びチャネル４０は、各ノズルへ所望量のインクを提供するようなサイズと為され、その体積が好ましくは約１ｐｌから約２００ｐｌである。この点に関して、各バブル・チャンバー３８は、好ましくは、約１ｐｌから約４００ｐｌまでの範囲の体積を有し、各チャネル４０は、好ましくは、約２０μｍ²から約１０００μｍ²までの範囲の流路面積を有する。
【００３４】
先に注目したように、ノズル穴３４、バブル・チャンバー３８、並びに、チャネル４０等のノズル部材１８の特徴は、好ましくは、高分子材料をレーザ融蝕することによって形成されて、図５乃至図６に示されるような構成を提供する。ノズル穴、バブル・チャンバー、並びに、チャネルを形成する好適な方法は、引用することでその出願の全てをここに合体せる、発明の名称が「ＭＥＴＨＯＤ ＦＯＲ ＭＡＫＩＮＧ ＮＯＺＺＬＥ ＡＲＲＡＹ ＦＯＲ ＰＲＩＮＴＨＥＡＤ」である本願と同時に出願されると共に本願と同時係属中の米国特許出願第 号に説明されており、本願と同一の譲受人、即ちレックスマーク・インターナショナル・インコーポレーションに譲渡されている。
【００３５】
この点に関して、ノズル部材１８は、好ましくは、ノズルへのインク流のために適切なバブル・チャンバー３８及びチャネル４０を設けるべく形作られた各ノズル箇所に対する障壁を提供するように構成されている。例えば、ノズル部材１８はその上にノズル５２ａに対する障壁９２ａと、ノズル５２ｂに対する障壁９２ｂとを形成している。同様に、障壁９４ａ−９４ｂ，９６ａ−９６ｂ，９８ａ−９８ｂがそれぞれノズル５４ａ−５４ｂ，５６ａ−５６ｂ，５８ａ−５８ｂに対して設けられ、障壁１０２ａ−１０２ｂ，１０４ａ−１０４ｂ，１０６ａ−１０６ｂ，１０８ａ−１０８ｂがそれぞれノズル６２ａ−６２ｂ，６４ａ−６４ｂ，６６ａ−６６ｂ，６８ａ−６８ｂに対して設けられている。障壁に付された添字「ａ」の全てが好ましくは実質的に同等であり、障壁に付された添字「ｂ」の全てが好ましくは実質的に同等である。以上のようにして、そして明瞭化のために、こうした障壁の内の代表的なものだけが説明されており、更なる障壁が同様構造であることが理解して頂けるであろう。
【００３６】
ノズルへのインク供給を所望方式で促進して、隣接ノズルの動作からの干渉を低減するために、１アレイにおける隣接列のノズルは約２ヒータ幅から２０ヒータ幅までの範囲に対応する距離Ｒだけ離間されることが好ましく、この「ヒータ幅」は約１０μｍから約８０μｍまでの範囲であって、隣接列のノズルが約２０μｍから約１０００μｍの範囲の距離だけ離間される。加えて、６００ｄｐｉの解像度を有するプリンタに対しては、各ノズルが同一列における隣接ノズルに対して約４０μｍから約４００μｍの範囲の距離Ｓで経度方向に交互配置されると共に、他の列の隣接ノズルに対して約４２μｍから８４μｍの範囲の距離Ｔで緯度方向に交互配置されていることが好ましい。
【００３７】
加えて、シリコン部材の縁６０及び７０に最も近づいたノズルのバブル・チャンバーへのチャネル又は流路、即ち、ノズル５２（ａ），（ｂ）−５８（ａ），（ｂ）のバブル・チャンバーへインクを供給するチャンネル１１２ａ−１１２ｂ，１１４ａ−１１４ｂ，１１６ａ−１１６ｂ，１１８ａ−１１８ｂは隣接する縁から遠ざかる方へ向いている一方で、チャネル１２２ａ−１２２ｂ，１２４ａ−１２４ｂ，１２６ａ−１２６ｂ，１２８ａ―１２８ｂは縁６０及び７０から更に遠方でノズル、即ちノズル６２（ａ）−（ｂ），６８（ａ）−（ｂ）のバブル・チャンバーへインクを供給し、隣接縁へ向かっている。中央インク・バイア１２９を有するシリコン部材の場合、各ノズルに対するバブル・チャンバー用のチャネルの配向は図５ｂに示されるように逆転されている。
【００３８】
理解して頂けるように、チャネルのこの配向は各ノズルへの多重的な流路を提供するばかりではなく、実質的に同一長である流路をも提供している。こうして、例示目的のため、流路Ｆ１及びＦ２（図６）がノズル５８ａにインク供給用に利用可能であり、シリコン部材の縁６０から測定された場合の流路Ｆ１，Ｆ'１，Ｆ２及びＦ'２の長さ及び面積が相当異なることがないので、インクが特定のノズルへ移動する流路がチャンバー充満にかなりの程度影響することがない。これに関して、各ノズルへの流路は、

にわたる範囲である各種流路間の変動を伴って、好ましくは約４０μｍから約３００μｍまでの範囲であり、最も好ましくは約８５μｍである。
【００３９】
理論によって束縛されることなく、そして例示目的で、観測されたことは、障壁及びチャネルの位置及びサイズに関連された以下のパラメータがノズルへのインクの流れに影響し得ることである。
【００４０】
パラメータ 説明
ａ バブル・チャンバー幅
ｂ バブル・チャンバー長さ
ｃ 最も小さい繰り返し要素の幅
ｄ１ バブル・チャンバーの入口領域の長さ
ｄ２ バブル・チャンバーの入口領域の長さ
ｅ 壁厚
ｗ１ バブル・チャンバー入口領域の幅
ｗ２ バブル・チャンバー入口領域の幅
【００４１】
これらパラメータの好適な範囲は、６００ｄｐｉの解像度、約１４．５ｍｍの長さ、並びに、約０．４ｍｍの幅を有すると共に、１アレイ当たり３０４個のノズルを伴っての約８０４μｍだけ離間された２つのアレイを有するシリコン部材を具備するプリンタに対して以下の通りである。
【００４２】

【００４３】
こうして本発明の重要な長所は各印刷箇所に対して少なくとも２つのノズル／ヒータ対（少なくとも２対のノズル／ヒータ）を設置することに関する。これは、これまで利用されなかった冗長特徴で損傷或は故障したヒータ／ノズルの不利益な影響を低減することを可能としている。例えば、印刷ヘッド動作中、所望印刷箇所に対してヒータを起動するために信号が受信され得る。このヒータが故障しているか、或は、その関連ノズルが詰まっているか若しくは機能不全であった場合、印刷されるべきペーパへのインク欠如がヒータ／ノズルの問題で生ずる。しかしながら、本発明の印刷ヘッドの冗長性によって、このインク欠如は所望箇所に対する１つおきの印刷サイクル中にだけ生じ得ることとなり、それは対応するヒータ／ノズル対が現行の印刷箇所の次の起動中に起動されるからである。例えば、ノズル／ヒータ５２ａ／７２ａ及びノズル／ヒータ５２ｂ／７２ｂは、各々、同一印刷箇所に対応しているが、その印刷箇所が起動された際に交互に動作させられて、その対の内の一方の故障による影響が低減される。
【００４４】
本発明の別の重要な長所は、所与のノズル／ヒータへの多重的な流路の設置である。この点に関して、注目されることは、ノズル機能障害がヒータ／ノズルに固有の問題からではなく、むしろ、流路の詰まりから生じ得ることである。よって、先に説明された流路Ｆ１及びＦ１'等の２つ以上の流路の設置は流路の詰まりによるノズル機能障害の可能性を低減する。
【００４５】
以上、本発明の特定の実施例が特別に説明されたが、理解して頂けるように、本発明は当業者に周知な異なる改作例に同等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は、本発明の好適実施例に係る印刷ヘッドを有するインクジェット・カートリッジの斜視図である。
【図２】図２は、本発明に従ったプリンタ用印刷ヘッドの一部の拡大上面図である。
【図３】図３は、本発明に従ったプリンタ用印刷ヘッドの一部の下面図である。
【図４】図４は、本発明に従った印刷ヘッド用のノズル・プレート及びヒータのアセンブリの部分的に拡大された断面図である。
【図５】図５Ａは本発明に従った印刷ヘッド用ノズル・プレートの部分的拡大された下面図であり、図５Ｂは本発明に従ったノズル・プレートの部分的拡大された上面図であり、図５Ｃは本発明に従った別のノズル・プレートの部分的拡大された上面図である。
【図６】図６は、図５に示されたノズル・プレートの一部を拡大して示す平面図である。
【符号の説明】
１０ 印刷カートリッジ
１２ 印刷ヘッド・アセンブリ
１４ インク・リザーバ
１８ ノズル部材
２０ シリコン部材
２２ 電導性トレース
３４ ノズル穴
３６ ヒータ ３８
バブル・チャンバー
４０ チャネル
４２ インク小滴
５１，６１ ノズル・アレイ

Claims (10)

1. インクジェット・プリンタ用のインクジェット印刷ヘッド・アセンブリであって、
   インク・リザーバと、
   前記インク・リザーバに取り付けられた印刷ヘッドであり、前記プリンタによって印刷されるべき表示に対応するパターン状に当該印刷ヘッドからインクを選択的に噴出する、前記インク・リザーバと作動的に関連されたインク噴出手段を含む印刷ヘッドと、
   インクを加熱するための複数の電気的に起動可能なヒータ要素と、インクが前記インク・リザーバから前記ヒータ要素へ流れることになる少なくとも１つのインク供給縁とを有するシリコン基板と、
   各々が前記ヒータ要素と１対１で対応するように関連されると共に前記インク・リザーバと流通状態である、前記シリコン基板上の複数のインク・チャンバーであり、前記インク・リザーバから前記ヒータ要素各々へ向けて当該インク・チャンバーと関連された入口チャネルを介してインクを流動的に導く複数の流路（Ｆ１，Ｆ２）を有するインク・チャンバーと、
   前記シリコン基板に取り付けられて複数のノズルを有するノズル・プレートであり、所望の印刷箇所で前記印刷ヘッドから前記ヒータ要素によって加熱されたインクを解放するために、当該ノズルの各々が前記ヒータ要素及び前記インク・チャンバーのそれぞれと１対１で対応して隣接配置され、前記ノズル・プレートが各印刷箇所に対して少なくとも２つのノズルを有しており、各印刷箇所に対する前記ヒータ要素が交互に起動されており、前記流路が隣接インク・チャンバーの間になるように、前記基板のインク供給縁に最も接近している前記インク・チャンバーの前記入口チャネルがそのインク供給縁とは遠ざかる方へ向いていることから成るノズル・プレートと、
   を備える印刷ヘッド・アセンブリ。
2. 前記複数の流路各々が約１０μｍから約４００μｍまでの範囲の長さを有する、請求項１に記載の印刷ヘッド・アセンブリ。
3. 前記ノズルの内の少なくとも１つが、前記ノズル・プレートによって画成された平面に平行する軸線に沿った断面が正方形又は矩形である、請求項１に記載の印刷ヘッド・アセンブリ。
4. 前記印刷ヘッドが約２０個から約２０，０００個までの範囲のノズルを含む、請求項１に記載の印刷ヘッド・アセンブリ。
5. 前記ノズルが離間された複数のアレイ状に配列されて、その各アレイが前記印刷箇所各々に対して１つのノズルを含む、請求項１に記載の印刷ヘッド・アセンブリ。
6. 前記アレイの各々が２列のノズルを含み、それらの列が約２０μｍから約１０００μｍまでの範囲の距離だけ相互に離間されている、請求項５に記載の印刷ヘッド・アセンブリ。
7. 前記列の各々における各ノズルが、同一列における直に隣接する前記ノズルに対して交互配列されている、請求項６に記載の印刷ヘッド・アセンブリ。
8. 前記アレイの各々が約１０個から約１０，０００個までの範囲のノズルを含む、請求項５に記載の印刷ヘッド・アセンブリ。
9. 前記ノズル・プレートがポリイミド・ポリマーを含み、前記ノズルが前記ポリイミド・ポリマーのレーザ融蝕によって形成されている、請求項１に記載の印刷ヘッド・アセンブリ。
10. 前記ノズルの内の少なくとも１つが、前記ノズル・プレートによって画成された平面に平行する軸線に沿った断面で円形である、請求項１に記載のノズル・プレート。

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