JP2004160828A - 加飾成形品及びその補修方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】柄欠如部分の補修作業を容易かつ短時間に行うことができると共に、均一した補修柄を安定して得ることができる加飾成形品及びその補修方法を提供する。
【解決手段】所定柄が予め付与された表面柄材とFRP成形材料とを積層して加圧加熱成形することにより形成された成形体の表面柄材の柄欠如部分に、前記所定柄と類似もしくは同一の柄が予め付与された補修表面柄材をセットし、該補修表面柄材の加熱によってその柄を前記柄欠如部分に転写してなることを特徴とする。前記補修表面柄材の柄は、紙、布、不織布等のシートに印刷された昇華性インクで形成され、また、前記補修表面柄材の表面にはクリアー層が形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】所定柄が予め付与された表面柄材とFRP成形材料とを積層して加圧加熱成形することにより形成された成形体の表面柄材の柄欠如部分に、前記所定柄と類似もしくは同一の柄が予め付与された補修表面柄材をセットし、該補修表面柄材の加熱によってその柄を前記柄欠如部分に転写してなることを特徴とする。前記補修表面柄材の柄は、紙、布、不織布等のシートに印刷された昇華性インクで形成され、また、前記補修表面柄材の表面にはクリアー層が形成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばシステムバスルーム等の浴室洗い場に使用される防水パン等の加飾成形品及びその補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、浴室洗い場の防水パンは、表面に柄が付与されたFRP成形体からなる加飾成形品が使用されており、その成形方法としては、例えば特許文献1のように、所定意匠が予め付与された熱硬化性透明樹脂フィルムもしくはシートとFRP成形材料とを積層し、該積層体を加圧加熱成形したものとか、あるいは特許文献2に示すように、模様柄付けした不織布に透明樹脂コンパウンドを塗布してプリプレグシートを作成し、このプリプレグシート上にプレス成形材料を載置して加熱加圧するものが提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平2002−219775号公報
【特許文献2】
特開平4−341809号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの加飾成形品にあっては、加圧加熱成形時のFRP成形材料の成形品端部への潜り込み等により、加飾成形品の表面において、柄端部の例えば直線性を安定して確保することが困難で、柄端部に柄が欠如しFRP成形材料の色がそのまま露出してしまう柄欠如部分が生じる場合がある。すなわち、例えば図1に示すような浴室洗い場の防水パン1の場合、洗い場を構成する洗い場部分4に平面視略方形状の柄部5が設けられ、この柄部5の外周端部5aにはSMC等のFRP成形材料の色がそのまま露出する無柄部6が設けられており、柄部5の外周端部5aの直線性が防水パン1の外観品質に大きく影響する。
【0005】
そのため、防水パン1に柄欠如部分が生じてしまった場合には、柄欠如部分の大きさ等に応じて補修することが行われている。この補修作業は、一般的に数色の塗料やゲルコートを準備し、技能を有した作業者が筆等を使用して柄付け(手書き)することで行っているため、時間がかかりコストアップを招くと共に、作業者の技能に左右されるため補修柄の仕上がりが安定しないという問題点を有している。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、柄欠如部分の補修作業を容易かつ短時間に行うことができると共に、均一した補修柄を安定して得ることができる加飾成形品及びその補修方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の加飾成形品は、所定柄が予め付与された表面柄材とFRP成形材料とを積層して加圧加熱成形することにより形成された成形体の表面柄材の柄欠如部分に、前記所定柄と類似もしくは同一の柄が予め付与された補修表面柄材をセットし、該補修表面柄材の加熱によってその柄を前記柄欠如部分に転写してなることを特徴とする。
【0008】
このように構成することにより、表面柄材とFRP成形材料とを積層して加圧加熱成形し得られる成形体は、その表面柄材の柄が欠如する例えば柄端部の柄欠如部分が補修表面柄材の柄の転写によって補修される。この時、補修表面柄材に表面柄材と類似もしくは同一の柄が予め付与されていることから、補修表面柄材を柄欠如部分の大きさに対応させこれを柄欠如部分にセットして加熱するだけで、補修表面柄材の柄が柄欠如部分に転写されて補修される。これにより、柄欠如部分の補修作業が容易になると共に、表面柄材の柄に類似等した補修表面柄材の柄によって均一した補修柄が安定して得られる。
【0009】
そして、前記補修表面柄材の柄は、請求項2に記載の発明のように、紙、布、不織布等のシートに印刷された昇華性インクで形成されていることが好ましい。このように構成することにより、シートに印刷された昇華性インクからなる柄が成形体の柄欠如部分に転写されることから、昇華転写印刷法を利用して補修作業が一層容易に行え、シートとして紙、不織布等を使用することにより、補修作業がコスト安価に行える。
【0010】
また、請求項3に記載の発明のように、前記補修表面柄材の表面にクリアー層が形成されていることが好ましい。このように構成することにより、柄欠如部分を補修した補修表面柄材の表面に、例えば塗装等によりクリアー層が形成されていることから、このクリアー層で補修表面柄材が保護され、補修部分の耐久性向上が図れる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明のように、成形体が水廻り空間の防水パンであることが好ましい。このように構成することにより、例えば浴室洗い場等の水廻り空間の防水パンに適用されることから、防水パンに形成される表面柄材の端部に十分な直線性を確保できて、該防水パンの意匠的価値の向上が図れる。
【0012】
また、請求項5に記載の加飾成形品の補修方法は、所定柄が予め付与された表面柄材とFRP成形材料とを積層して加圧加熱成形して成形体を作成し、該成形体の表面柄材の柄欠如部分に前記所定柄と類似もしくは同一の柄が予め付与された補修表面柄材をセットし、該補修表面柄材を加熱することによりその柄を前記柄欠如部分に転写して補修することを特徴とする。
【0013】
このように構成することにより、表面柄材と類似もしくは同一の柄が予め付与された補修表面柄材を、柄欠如部分の大きさに対応した形状に設定して柄欠如部分にセットして加熱するだけで、補修表面柄材の柄が柄欠如部分に転写されて補修されることから、補修作業が容易になると共に、表面柄材の柄に類似等した補修表面柄材の柄によって均一な補修柄が安定して得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明に係わる加飾成形品の一実施形態を示し、図1が浴室洗い場の防水パンの平面図、図2がその補修方法の工程図、図3がその説明図である。
【0015】
図1において、防水パン1は、例えば平面視長方形状に形成されて、裏面側に図示しない外周壁とこの外周壁間に前後及び左右方向に多数本一体成形されたリブ等を有している。また、防水パン1の一方の短辺側の中央部分には、排水口を形成する半円弧形状の凹部2が形成されると共にカウンタ設置部3が設けられ、カウンタ設置部3を除く洗い場部分4の表面には、柄部5と該柄部5の外側である外周縁部にFRP成形材料としてのSMC自体の色による無柄部6が形成されている。
【0016】
この防水パン1の成形は、例えば下方の金型の上面に前記柄部5を形成する所定柄(意匠)の印刷部を有する熱硬化性透明樹脂フィルムを載置し、このフィルム上にSMC(もしくはBMC)を載置して積層した後に上方の金型を締め、このフィルムとSMCからなる積層体を加圧加熱することによって行われる。
【0017】
そして、このように成形された防水パン1のうち、図1に示すように、柄部5の直線状の外周端部5aに凹み部7が生じてしまっている場合は、次のようにして補修作業が行われる。すなわち、図2に示すように、先ず前記柄部5と類似した柄が付与された図3(a)に示すような柄シート8を作成(K101)する。
【0018】
この柄シート8は、所定の大きさの紙、布、不織布等のシート基材に、130℃〜220℃(好ましくは170℃〜200℃)で昇華する昇華性のインクによって柄を印刷することによって形成される。この柄シート8の作成時に印刷する柄は、例えば実際に成形された標準サンプル等の防水パンの柄部5の柄あるいは設計上模式的に作成した柄を、画像処理によりカラー分解したデータ等を元に作成され、これにより前記柄部5が複雑な柄であっても、類似の柄が付与(印刷)された柄シート8が簡単に作成されることになる。
【0019】
柄シート8を作成したら、次にこの柄シート8を前記凹部7の形状に合致するように切り取って、図3(b)に示すような補修表面材としての補修シート9を作成(K102)し、この補修シート9を成形された防水パンの凹み部7上に載置してセット(K103)する。これにより、図3(c)に示すように、凹み部7が補修シート9で塞がれた状態となり、この状態で、補修シート9とその周囲部分(以下、補修部分10という)の上面側に加熱装置としてのアイロンを当接(K104)させる。
【0020】
そして、このアイロンを補修部分10に当接させつつ所定の圧力を加えてアイロンの熱によって補修部分を加熱(K105)させる。この時、アイロンとしては、一般的なアイロンやハンディ型のアイロンが使用され、その加熱温度が130℃〜220℃(好ましくは200℃〜210℃)になるものが使用される。また、加熱時間は、凹み部7の大きさ等に応じて30秒〜3分程度行われ、例えば手による押圧力を加えつつ行われる。また、その補修部分が平坦でなく凹凸(シボ)形状の場合は、補修部分上に熱伝導性及び耐熱性を有する薄い、例えばシリコンゴムシート等を載置し、その上からアイロンで加熱させるのが望ましい。
【0021】
このアイロンによる加熱で、補修シート9に印刷されている昇華性のインクが防水パン1の凹み部7の表面に転写され、図1に示すように、防水パン1の凹み部7が補修シート9で完全に覆われた状態となる。そして、補修部分10である補修シート9の上面とその周囲の所定範囲にアクリルウレタン等の塗料を塗布してクリアー塗装(K106)し、補修部分10の耐久性を高める。
【0022】
これにより、柄部5の外周端部5aに凹み部7が無く所定の直線性が確保された防水パン1を得ることができる。なお、凹み部7への補修シート9の柄の転写が昇華性インクによって行われ転写された柄に所定の耐久性が得られることから、前記クリアー塗装(K106)は必ずしも必要ではなく、省略することも可能である。また、アイロンの当接(K104)から加熱(K105)は、人手による作業でも良いが、機械的に行って作業性を高めることが好ましい。
【0023】
このように、上記実施例の防水パン1によれば、柄部5の外周端部5aの凹み部7に柄部5と類似する柄が印刷された補修シート9をセットし、この補修シート9をアイロン等により加熱するだけで、凹み部7に補修シート9の柄を転写して補修できるため、成形時に生じてしまう凹み部7の補修作業時間を、人手により柄付けする場合に比較して大幅に短縮でき、補修作業自体を容易に行うことができて、補修コストの低減化を図ることが可能になる。
【0024】
また、補修シート9に予め柄部5の柄と類似した柄が印刷等で付与されているため、人手による柄付けに比較して、柄自体を柄部5の柄と略同一(均一)に形成できると共に常に安定した柄が得られて、補修部分10の柄の柄部5との違和感がなくなって、補修部分10の外観品質を高めることができる。特に、アイロンによる補修シート9の加熱温度と柄を構成する昇華インクの昇華温度が適正に設定されているため、柄の確実かつ良好な転写が可能になって、外観品質を一層高めることができる。
【0025】
さらに、補修シート9の柄が、昇華性インクの印刷によって形成されているため、画像処理法等の利用によって柄部5の柄に類似した柄が付与された補修シート9を容易に作成することができ、柄部5の柄がグラビア印刷等で形成される複雑な柄の場合等であっても、違和感の無い高品質の補修柄を得ることができる。これらのことから、昇華転写印刷法の利用により、各種凹み部7を有する防水パン1の柄部5の不具合箇所を確実かつ的確に補修できると共に補修ミス自体も少なくなり、補修コストを含めた成形品コストの低減化を図り、安価な防水パン1を提供することが可能になる。
【0026】
また、補修部分10に必要に応じてクリア塗装が施されるため、補修部分10の耐久性を向上させることができて、例えば熱アタック等に強い防水パン1を得ることができて、システムバスルームの防水パン1等として好適に使用することが可能になる。
【0027】
なお、上記実施形態においては、防水パン1の柄部5の柄が例えば石目調模様のように複雑であるため、補修シート9の柄をこの柄部5の柄に類似するようにしたが、柄部5の柄が単調な場合には、補修シート9の柄を柄部5と同一の柄として補修することもできる。また、上記実施形態においては、加飾成形品が浴室洗い場の防水パン1である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば浴室や洗面室等の柄部を有するカウンタや壁パネル等の水廻り空間に使用される各種加飾成形品に適用することができる。
【0028】
さらに、上記実施形態においては、補修シート9を所定温度まで加熱する加熱装置としてアイロンを使用したが、補修シート9を加圧加熱し得る他の適宜の加熱装置を使用できるし、防水パン1の形状や凹み部7及び補修シート9の形状等も一例であって、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜に変更することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、成形体の表面柄材の柄が欠如する柄欠如部分が、表面柄材と類似もしくは同一の柄が予め付与された補修表面柄材の柄の転写によって補修されるため、補修作業の時間が短縮される等、その作業を容易に行うことができると共に、表面柄材の柄に類似等した補修表面柄材の柄で均一した補修柄を安定して得ることが可能になる。
【0030】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、補修表面柄材の柄が紙、布等のシートに印刷された昇華性インクで形成されているため、昇華転写印刷法を利用して補修作業を行うことができて、補修作業を一層容易に行うことができると共に、紙や布、不織布等のシートを採用することで、補修作業を安価に行うことができる。
【0031】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、柄欠如部分を補修した補修表面柄材の表面にクリアー層が形成されているため、このクリアー層で補修表面柄材を保護することができて、補修部分の耐久性の向上を図ることができる。
【0032】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の発明の効果に加え、例えば浴室洗い場等の水廻り空間の防水パンに適用されるため、防水パンに形成される表面柄材の外周端部に十分な直線性を確保できて、該防水パンの意匠的価値を向上させることができる。
【0033】
また、請求項5に記載の発明によれば、表面柄材と類似もしくは同一の柄が予め付与された補修表面柄材を、柄欠如部分の大きさに対応した形状に設定して柄欠如部分にセットして加熱するだけで、補修表面柄材の柄が柄欠如部分に転写されて補修されるため、補修作業を容易に行うことができと共に、表面柄材の柄に類似等した補修表面材の柄により均一な補修柄を安定かつ安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる加飾成形品を洗い場防水パンに適用した場合の一実施形態を示す平面図
【図2】同柄欠如部分の補修方法の工程図
【図3】同その説明図
【符号の説明】
1・・・・・・・・・防水パン
3・・・・・・・・・カウンタ設置部
4・・・・・・・・・洗い場部分
5・・・・・・・・・柄部
5a・・・・・・・・外周端部
6・・・・・・・・・無柄部
7・・・・・・・・・凹み部
8・・・・・・・・・柄シート
9・・・・・・・・・補修シート
10・・・・・・・・補修部分
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばシステムバスルーム等の浴室洗い場に使用される防水パン等の加飾成形品及びその補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、浴室洗い場の防水パンは、表面に柄が付与されたFRP成形体からなる加飾成形品が使用されており、その成形方法としては、例えば特許文献1のように、所定意匠が予め付与された熱硬化性透明樹脂フィルムもしくはシートとFRP成形材料とを積層し、該積層体を加圧加熱成形したものとか、あるいは特許文献2に示すように、模様柄付けした不織布に透明樹脂コンパウンドを塗布してプリプレグシートを作成し、このプリプレグシート上にプレス成形材料を載置して加熱加圧するものが提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平2002−219775号公報
【特許文献2】
特開平4−341809号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの加飾成形品にあっては、加圧加熱成形時のFRP成形材料の成形品端部への潜り込み等により、加飾成形品の表面において、柄端部の例えば直線性を安定して確保することが困難で、柄端部に柄が欠如しFRP成形材料の色がそのまま露出してしまう柄欠如部分が生じる場合がある。すなわち、例えば図1に示すような浴室洗い場の防水パン1の場合、洗い場を構成する洗い場部分4に平面視略方形状の柄部5が設けられ、この柄部5の外周端部5aにはSMC等のFRP成形材料の色がそのまま露出する無柄部6が設けられており、柄部5の外周端部5aの直線性が防水パン1の外観品質に大きく影響する。
【0005】
そのため、防水パン1に柄欠如部分が生じてしまった場合には、柄欠如部分の大きさ等に応じて補修することが行われている。この補修作業は、一般的に数色の塗料やゲルコートを準備し、技能を有した作業者が筆等を使用して柄付け(手書き)することで行っているため、時間がかかりコストアップを招くと共に、作業者の技能に左右されるため補修柄の仕上がりが安定しないという問題点を有している。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、柄欠如部分の補修作業を容易かつ短時間に行うことができると共に、均一した補修柄を安定して得ることができる加飾成形品及びその補修方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の加飾成形品は、所定柄が予め付与された表面柄材とFRP成形材料とを積層して加圧加熱成形することにより形成された成形体の表面柄材の柄欠如部分に、前記所定柄と類似もしくは同一の柄が予め付与された補修表面柄材をセットし、該補修表面柄材の加熱によってその柄を前記柄欠如部分に転写してなることを特徴とする。
【0008】
このように構成することにより、表面柄材とFRP成形材料とを積層して加圧加熱成形し得られる成形体は、その表面柄材の柄が欠如する例えば柄端部の柄欠如部分が補修表面柄材の柄の転写によって補修される。この時、補修表面柄材に表面柄材と類似もしくは同一の柄が予め付与されていることから、補修表面柄材を柄欠如部分の大きさに対応させこれを柄欠如部分にセットして加熱するだけで、補修表面柄材の柄が柄欠如部分に転写されて補修される。これにより、柄欠如部分の補修作業が容易になると共に、表面柄材の柄に類似等した補修表面柄材の柄によって均一した補修柄が安定して得られる。
【0009】
そして、前記補修表面柄材の柄は、請求項2に記載の発明のように、紙、布、不織布等のシートに印刷された昇華性インクで形成されていることが好ましい。このように構成することにより、シートに印刷された昇華性インクからなる柄が成形体の柄欠如部分に転写されることから、昇華転写印刷法を利用して補修作業が一層容易に行え、シートとして紙、不織布等を使用することにより、補修作業がコスト安価に行える。
【0010】
また、請求項3に記載の発明のように、前記補修表面柄材の表面にクリアー層が形成されていることが好ましい。このように構成することにより、柄欠如部分を補修した補修表面柄材の表面に、例えば塗装等によりクリアー層が形成されていることから、このクリアー層で補修表面柄材が保護され、補修部分の耐久性向上が図れる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明のように、成形体が水廻り空間の防水パンであることが好ましい。このように構成することにより、例えば浴室洗い場等の水廻り空間の防水パンに適用されることから、防水パンに形成される表面柄材の端部に十分な直線性を確保できて、該防水パンの意匠的価値の向上が図れる。
【0012】
また、請求項5に記載の加飾成形品の補修方法は、所定柄が予め付与された表面柄材とFRP成形材料とを積層して加圧加熱成形して成形体を作成し、該成形体の表面柄材の柄欠如部分に前記所定柄と類似もしくは同一の柄が予め付与された補修表面柄材をセットし、該補修表面柄材を加熱することによりその柄を前記柄欠如部分に転写して補修することを特徴とする。
【0013】
このように構成することにより、表面柄材と類似もしくは同一の柄が予め付与された補修表面柄材を、柄欠如部分の大きさに対応した形状に設定して柄欠如部分にセットして加熱するだけで、補修表面柄材の柄が柄欠如部分に転写されて補修されることから、補修作業が容易になると共に、表面柄材の柄に類似等した補修表面柄材の柄によって均一な補修柄が安定して得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明に係わる加飾成形品の一実施形態を示し、図1が浴室洗い場の防水パンの平面図、図2がその補修方法の工程図、図3がその説明図である。
【0015】
図1において、防水パン1は、例えば平面視長方形状に形成されて、裏面側に図示しない外周壁とこの外周壁間に前後及び左右方向に多数本一体成形されたリブ等を有している。また、防水パン1の一方の短辺側の中央部分には、排水口を形成する半円弧形状の凹部2が形成されると共にカウンタ設置部3が設けられ、カウンタ設置部3を除く洗い場部分4の表面には、柄部5と該柄部5の外側である外周縁部にFRP成形材料としてのSMC自体の色による無柄部6が形成されている。
【0016】
この防水パン1の成形は、例えば下方の金型の上面に前記柄部5を形成する所定柄(意匠)の印刷部を有する熱硬化性透明樹脂フィルムを載置し、このフィルム上にSMC(もしくはBMC)を載置して積層した後に上方の金型を締め、このフィルムとSMCからなる積層体を加圧加熱することによって行われる。
【0017】
そして、このように成形された防水パン1のうち、図1に示すように、柄部5の直線状の外周端部5aに凹み部7が生じてしまっている場合は、次のようにして補修作業が行われる。すなわち、図2に示すように、先ず前記柄部5と類似した柄が付与された図3(a)に示すような柄シート8を作成(K101)する。
【0018】
この柄シート8は、所定の大きさの紙、布、不織布等のシート基材に、130℃〜220℃(好ましくは170℃〜200℃)で昇華する昇華性のインクによって柄を印刷することによって形成される。この柄シート8の作成時に印刷する柄は、例えば実際に成形された標準サンプル等の防水パンの柄部5の柄あるいは設計上模式的に作成した柄を、画像処理によりカラー分解したデータ等を元に作成され、これにより前記柄部5が複雑な柄であっても、類似の柄が付与(印刷)された柄シート8が簡単に作成されることになる。
【0019】
柄シート8を作成したら、次にこの柄シート8を前記凹部7の形状に合致するように切り取って、図3(b)に示すような補修表面材としての補修シート9を作成(K102)し、この補修シート9を成形された防水パンの凹み部7上に載置してセット(K103)する。これにより、図3(c)に示すように、凹み部7が補修シート9で塞がれた状態となり、この状態で、補修シート9とその周囲部分(以下、補修部分10という)の上面側に加熱装置としてのアイロンを当接(K104)させる。
【0020】
そして、このアイロンを補修部分10に当接させつつ所定の圧力を加えてアイロンの熱によって補修部分を加熱(K105)させる。この時、アイロンとしては、一般的なアイロンやハンディ型のアイロンが使用され、その加熱温度が130℃〜220℃(好ましくは200℃〜210℃)になるものが使用される。また、加熱時間は、凹み部7の大きさ等に応じて30秒〜3分程度行われ、例えば手による押圧力を加えつつ行われる。また、その補修部分が平坦でなく凹凸(シボ)形状の場合は、補修部分上に熱伝導性及び耐熱性を有する薄い、例えばシリコンゴムシート等を載置し、その上からアイロンで加熱させるのが望ましい。
【0021】
このアイロンによる加熱で、補修シート9に印刷されている昇華性のインクが防水パン1の凹み部7の表面に転写され、図1に示すように、防水パン1の凹み部7が補修シート9で完全に覆われた状態となる。そして、補修部分10である補修シート9の上面とその周囲の所定範囲にアクリルウレタン等の塗料を塗布してクリアー塗装(K106)し、補修部分10の耐久性を高める。
【0022】
これにより、柄部5の外周端部5aに凹み部7が無く所定の直線性が確保された防水パン1を得ることができる。なお、凹み部7への補修シート9の柄の転写が昇華性インクによって行われ転写された柄に所定の耐久性が得られることから、前記クリアー塗装(K106)は必ずしも必要ではなく、省略することも可能である。また、アイロンの当接(K104)から加熱(K105)は、人手による作業でも良いが、機械的に行って作業性を高めることが好ましい。
【0023】
このように、上記実施例の防水パン1によれば、柄部5の外周端部5aの凹み部7に柄部5と類似する柄が印刷された補修シート9をセットし、この補修シート9をアイロン等により加熱するだけで、凹み部7に補修シート9の柄を転写して補修できるため、成形時に生じてしまう凹み部7の補修作業時間を、人手により柄付けする場合に比較して大幅に短縮でき、補修作業自体を容易に行うことができて、補修コストの低減化を図ることが可能になる。
【0024】
また、補修シート9に予め柄部5の柄と類似した柄が印刷等で付与されているため、人手による柄付けに比較して、柄自体を柄部5の柄と略同一(均一)に形成できると共に常に安定した柄が得られて、補修部分10の柄の柄部5との違和感がなくなって、補修部分10の外観品質を高めることができる。特に、アイロンによる補修シート9の加熱温度と柄を構成する昇華インクの昇華温度が適正に設定されているため、柄の確実かつ良好な転写が可能になって、外観品質を一層高めることができる。
【0025】
さらに、補修シート9の柄が、昇華性インクの印刷によって形成されているため、画像処理法等の利用によって柄部5の柄に類似した柄が付与された補修シート9を容易に作成することができ、柄部5の柄がグラビア印刷等で形成される複雑な柄の場合等であっても、違和感の無い高品質の補修柄を得ることができる。これらのことから、昇華転写印刷法の利用により、各種凹み部7を有する防水パン1の柄部5の不具合箇所を確実かつ的確に補修できると共に補修ミス自体も少なくなり、補修コストを含めた成形品コストの低減化を図り、安価な防水パン1を提供することが可能になる。
【0026】
また、補修部分10に必要に応じてクリア塗装が施されるため、補修部分10の耐久性を向上させることができて、例えば熱アタック等に強い防水パン1を得ることができて、システムバスルームの防水パン1等として好適に使用することが可能になる。
【0027】
なお、上記実施形態においては、防水パン1の柄部5の柄が例えば石目調模様のように複雑であるため、補修シート9の柄をこの柄部5の柄に類似するようにしたが、柄部5の柄が単調な場合には、補修シート9の柄を柄部5と同一の柄として補修することもできる。また、上記実施形態においては、加飾成形品が浴室洗い場の防水パン1である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば浴室や洗面室等の柄部を有するカウンタや壁パネル等の水廻り空間に使用される各種加飾成形品に適用することができる。
【0028】
さらに、上記実施形態においては、補修シート9を所定温度まで加熱する加熱装置としてアイロンを使用したが、補修シート9を加圧加熱し得る他の適宜の加熱装置を使用できるし、防水パン1の形状や凹み部7及び補修シート9の形状等も一例であって、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜に変更することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、成形体の表面柄材の柄が欠如する柄欠如部分が、表面柄材と類似もしくは同一の柄が予め付与された補修表面柄材の柄の転写によって補修されるため、補修作業の時間が短縮される等、その作業を容易に行うことができると共に、表面柄材の柄に類似等した補修表面柄材の柄で均一した補修柄を安定して得ることが可能になる。
【0030】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、補修表面柄材の柄が紙、布等のシートに印刷された昇華性インクで形成されているため、昇華転写印刷法を利用して補修作業を行うことができて、補修作業を一層容易に行うことができると共に、紙や布、不織布等のシートを採用することで、補修作業を安価に行うことができる。
【0031】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、柄欠如部分を補修した補修表面柄材の表面にクリアー層が形成されているため、このクリアー層で補修表面柄材を保護することができて、補修部分の耐久性の向上を図ることができる。
【0032】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3に記載の発明の効果に加え、例えば浴室洗い場等の水廻り空間の防水パンに適用されるため、防水パンに形成される表面柄材の外周端部に十分な直線性を確保できて、該防水パンの意匠的価値を向上させることができる。
【0033】
また、請求項5に記載の発明によれば、表面柄材と類似もしくは同一の柄が予め付与された補修表面柄材を、柄欠如部分の大きさに対応した形状に設定して柄欠如部分にセットして加熱するだけで、補修表面柄材の柄が柄欠如部分に転写されて補修されるため、補修作業を容易に行うことができと共に、表面柄材の柄に類似等した補修表面材の柄により均一な補修柄を安定かつ安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる加飾成形品を洗い場防水パンに適用した場合の一実施形態を示す平面図
【図2】同柄欠如部分の補修方法の工程図
【図3】同その説明図
【符号の説明】
1・・・・・・・・・防水パン
3・・・・・・・・・カウンタ設置部
4・・・・・・・・・洗い場部分
5・・・・・・・・・柄部
5a・・・・・・・・外周端部
6・・・・・・・・・無柄部
7・・・・・・・・・凹み部
8・・・・・・・・・柄シート
9・・・・・・・・・補修シート
10・・・・・・・・補修部分
Claims (5)
- 所定柄が予め付与された表面柄材とFRP成形材料とを積層して加圧加熱成形することにより形成された成形体の表面柄材の柄欠如部分に、前記所定柄と類似もしくは同一の柄が予め付与された補修表面柄材をセットし、該補修表面柄材の加熱によってその柄を前記柄欠如部分に転写してなることを特徴とする加飾成形品。
- 前記補修表面柄材の柄は、紙、布、不織布等のシートに印刷された昇華性インクで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の加飾成形品。
- 前記補修表面柄材の表面にクリアー層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の加飾成形品。
- 前記成形体は、水廻り空間の防水パンであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の加飾成形品。
- 所定柄が予め付与された表面柄材とFRP成形材料とを積層して加圧加熱成形して成形体を作成し、該成形体の表面柄材の柄欠如部分に前記所定柄と類似もしくは同一の柄が予め付与された補修表面柄材をセットし、該補修表面柄材を加熱することによりその柄を前記柄欠如部分に転写して補修することを特徴とする加飾成形品の補修方法。
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JP2002329069A JP2004160828A (ja) | 2002-11-13 | 2002-11-13 | 加飾成形品及びその補修方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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JP2002329069A Pending JP2004160828A (ja) | 2002-11-13 | 2002-11-13 | 加飾成形品及びその補修方法 |
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2002
- 2002-11-13 JP JP2002329069A patent/JP2004160828A/ja active Pending
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