JP2004160525A - ブレークアウト時のスライディングノズル制御方法及び該装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ブレークアウト発生時に連続鋳造機が被る被害を最小限に抑えることのできるブレークアウト発生時のスライディングノズルの制御方法を提供する。
【解決手段】鋳型(1)内の溶鋼(5)の湯面レベルを制御しながら、タンディッシュ(2)から鋳型内に溶鋼(5)を注入し鋳片を製造する連続鋳造装置のスライディングノズル制御方法において、タンディッシュ(2)からの溶鋼(5)の漏洩であるブレークアウトを、定常時検出手段と非定常時検出手段の両検出手段で監視し、該監視にてブレークアウトを検出した場合に、スライディングノズル(3)を全閉として前記鋳型内への溶鋼(5)の供給を遮断するものである。
【選択図】 図1
【解決手段】鋳型(1)内の溶鋼(5)の湯面レベルを制御しながら、タンディッシュ(2)から鋳型内に溶鋼(5)を注入し鋳片を製造する連続鋳造装置のスライディングノズル制御方法において、タンディッシュ(2)からの溶鋼(5)の漏洩であるブレークアウトを、定常時検出手段と非定常時検出手段の両検出手段で監視し、該監視にてブレークアウトを検出した場合に、スライディングノズル(3)を全閉として前記鋳型内への溶鋼(5)の供給を遮断するものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブレークアウト発生時に連続鋳造機が被る被害を最小限に抑えることができるスライディングノズル制御方法及び該装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、用いられていたこの種の方法としては、例えば特開平5−111748号公報記載の連続鋳造におけるブレークアウト予知方法を挙げることができる。この従来の方法は、鋳型内に配設された熱電対の所定時間における移動平均温度と、同面同列に位置する熱電対の同一時間における総移動平均温度との差が定数αを超えるときにブレークアウト予兆と判定し、操業者に警報を出力して知らせるものである。ブレークアウト予知警報があると操業者は目視で鋳型内湯面を確認したり、予知警報データを確認した後、手動操作でタンディッシュスライディングノズルを非常閉操作していた。そのため、タンディッシュからの溶綱流出を停止させるまでには約15〜30秒程度の時間がかかり、その間鋳型下に大量の溶鋼が流出してしまい、ブレークアウト後の設備復旧に多大な労力と時間がかかっていた。
【0003】
また、ブレークアウト予知精度を向上させて、予知警報が発生すると鋳造速度を下げる操業が試みられているものもある。鋳型内の溶鋼シェルは鋳造速度を下げると水冷鋳型の効果によって凝固が促進されるため、溶鋼シェルが復旧されブレークアウトが防止できることを利用したものである。しかしながら、鋳型底面近くの溶鋼シェル破損では、鋳造速度の低下が間に合わずブレークアウト箇所が鋳型位置を過ぎてしまい完全にブレークアウトを防止することは困難である。また、他のブレークアウト予知方法も多くの研究開発が行われており予知精度の向上に向けて各種の改善がなされてきているが、発明者の知る限りにおいては、今尚完璧な予知方法は見出されていない。
【0004】
そのため、本発明と同一の出願人は、ブレークアウトが発生した場合の被害を極力小さくする方法を開発し、これまで下記のような出願をおこなっている。
【特許文献1】特願2002−41344号は、鋳型の下方から送出される鋳造スラブの温度を測定するための熱電対温度計を設置し、ブレークアウト予知警報後に所定時間内に温度上昇、または鋳型内湯面レベル低下を検出すると、鋳型内への溶鋼の供給を遮断することを特徴とするブレークアウト発生時における鋳型内への溶鋼供給量の制御方法である。
【0005】
【特許文献2】特願2002−55351号は、鋳型下方から送出される鋳造スラブをCCDカメラで撮像し、撮像した輝度が上昇変化を行ったことを検知すると、鋳型内への溶鋼の供給を遮断することを特徴とするブレークアウト発生時における流路開閉手段の制御方法である。
【0006】
【特許文献3】特願2002−87245号は、湯面レベルの低下速度が連続して所定限界閾値を超えた場合に、スライディングノズルを全閉として鋳型内への溶鋼の供給を遮断することを特徴とするブレークアウト発生時におけるスライディングノズルの制御方法である。
【0007】
また、この出願で紹介している従来のブレークアウト時のスライディングノズル非常閉操作(手動操作)時の湯面レベルとスライディングノズル開度の挙動例を図3に示す。本挙動例は前述の特開平5−111748号に類似するブレークアウト予知を行なっている連続鋳造設備において、Ar流量を急減操作した時のものであり、操作後約30秒後にブレークアウトの危険性を検知してから約20秒後にブレークアウトが発生した時のものである。そして、その約15秒後にスライディングノズル全閉の非常停止釦を押したものである。この例では、ブレークアウト予知警報が早めに出たが、予知警報時点で鋳造速度の自動減速を行っていないため、ブレークアウト発生時点が過ぎても湯面レベルを一定にするべくスライディングノズル開度を開いているため、漏洩溶鋼量も多くなり非常停止操作まで約35秒間がかかっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の特願2002−41344号の発明では、鋳型直下に熱電対温度計を設置してブレークアウトを検出して該検出に基づいて溶鋼供給を停止するものであるため、熱電対温度計の設置場所によってはブレークアウトを確実に検知できない可能性があり、特願2002−55351号は、鋳型直下の鋳片をCCDカメラで監視して撮像画像の輝度が上昇したことに基づき溶鋼供給を停止するものであが、CCDカメラ方式も鋳型直下の鋳片を監視できる位置がロール等の諸設備のために制約される問題があった。
【0009】
また、特願2002−87245号は、湯面レベルの低下速度からブレークアウト発生を検知するため、従来から連続鋳造設備に使用されている機器を使用し、且つ鋳型のどんな部位でブレークアウトが発生しても確実に検出できるものの、連続鋳造中に鋳造速度を変更するなどの非定常運転を行った場合に誤検知する可能性があり、更なる改善が望まれていた。
そこで本発明は前述のような諸課題に鑑みてなされたもので、連鋳操業に従来より使用されている機器をなるべく利用し、且つ鋳造開始から鋳造終了に至るまでの全期間において、ブレークアウトを精度良く検知し、ブレークアウト発生時の溶鋼漏洩を極力少なくして、ブレークアウト後の設備復旧時間の短縮を図らんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、鋳型内の溶鋼の湯面レベルを制御しながら、タンディッシュから鋳型内に溶鋼を注入し鋳片を製造する連続鋳造装置のスライディングノズル制御方法において、タンディッシュからの溶鋼の漏洩であるブレークアウトを、定常時検出手段と非定常時検出手段の両検出手段で監視し、該監視にてブレークアウトを検出した場合に、スライディングノズルを全閉として前記鋳型内への溶鋼の供給を遮断するものである。
【0011】
本発明によれば、ブレークアウト検知を定常時検出手段と非定常時検出手段の両検出手段で監視するため、鋳造開始時や何らかの操業異常時に鋳造速度を変更した場合であっても湯面レベル変動が大きい場合は非定常検出手段でブレークアウトを検視し、湯面変動の少ない定常鋳造速度操業時には定常検出手段でブレークアウト検知するため、鋳造開始から終了までのほぼ全期間において確実にブレークアウトを検知でき、素早くタンディッシュから鋳型への溶鋼注入を停止できるため、ブレークアウト時の溶鋼漏洩を少なくすることができ、ブレークアウト発生時の復旧作業の容易化及び時間短縮が達成できる。
【0012】
さらに請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、定常時検出手段が湯面レベル調節計の鋳型湯面下々限信号又は鋳型湯面偏差大信号と、鋳型内に埋め込まれた埋め込み温度計に基づくブレークアウト警報信号とが両方発生した時にブレークアウトと判定し、一方、非定常時検出手段は鋳型湯面下々限信号発生後の所定時間内に前記ブレークアウト警報信号が発生し、その後の所定時間たった後も前記鋳型湯面偏差大信号が出力されている場合にブレークアウトと判定するものである。
【0013】
本発明によると、請求項1記載の発明の効果に加え、定常操業時は鋳型湯面下々限やブレークアウト警報の異常状態を素早く捉え溶鋼漏洩を防止すると共に、非定常操業時の湯面変動が起こりやすい操業時には前記鋳型下々限及びブレークアウト警報が発生しても暫くの時間湯面レベルが復旧しないことを確認してブレークアウトと判定するため、ブレークアウトの誤判定を防止できる。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、鋳型内の溶鋼の湯面レベルを制御しながら、タンディッシュから鋳型内に溶鋼を注入し鋳片を製造する連続鋳造装置のスライディングノズル制御装置であって、該スライディングノズル制御装置が湯面レベル制御装置とブレークアウト検知装置と連続鋳造制御装置との間で信号を授受するブレークアウトスライディングノズル制御装置を含み、該ブレークアウトスライディングノズル制御装置にタンディッシュからの溶鋼の漏洩であるブレークアウトを、定常時検出手段と非定常時検出手段の両検出手段で監視し、該監視にてブレークアウトを検出した場合に、スライディングノズルを全閉とする制御回路が組み込まれているものである。
【0015】
本発明によれば、一般の連続鋳造設備に用いられるスライディングノズル制御装置、湯面レベル制御装置やブレークアウト検知装置からの既設機器からの信号に基づき、ブレークアウト検知し、スライディングノズル全閉制御ができるため、安価且つ簡単な装置で、ブレークアウト時のタンディッシュから鋳型への溶鋼注入を素早く停止でき、溶鋼漏洩を少なくし、ブレークアウト発生時の復旧作業の容易化及び時間短縮が達成できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を説明するための論理回路図であり、図2は本発明の機器構成を説明するための連続鋳造設備の全体模式図である。
【0017】
本発明は、図2に示す如く、鋳型1内の湯面レベルを湯面レベル計11で連続測定すると共に、該湯面レベルをレベル調節計で所定レベルに設定し、その湯面レベルを維持するべくスライディングノズル開度をフィードバック制御する周知の連続鋳造設備に適用される。図では破線で機器間の信号の授受経路を示している。スライディングノズル制御の基本的構成は図2に示す通りである。スライディングノズル開度はスライディングノズル3に直結されたシリンダーの移動距離で開度調整され、該開度でタンディッシュ2から鋳型1への溶鋼注入量が制御される。
【0018】
湯面レベル制御装置10は、湯面レベル計11からのレベル信号を増幅器を介してレベル調節計に入力し、レベル調節計で設定値との偏差を算出し、該偏差修正値をサーボAMPに送る。サーボAMPは偏差修正値を移動距離に換算しシリンダーからの位置信号に該移動距離分の移動量を加減算して油圧サーボに移動量信号として送出することによりシリンダー駆動してスライディングノズル開度を制御する。
【0019】
ブレークアウト検知装置20は、水冷されている鋳型1の溶鋼面側銅板の内側に多数の埋め込み温度計21を設置しておき、所定箇所の温度計の移動平均値と同面同列に設置した温度計の総移動平均値との差が所定値以上になると該箇所がブレークアウトする可能性が高いとしてブレークアウト予知警報を出力する。例えば、本実施例の埋め込み温度計21は、E型熱電対で鋳型1の長辺面に22本、短辺面に7本使用している。
【0020】
連続鋳造制御装置30には、測長ロールに取り付けられた鋳造速度計31の信号と図示しない鋳造速度設定器により、鋳型1からの鋳造スラブ引き抜き速度に相当する鋳造速度を決定できる機能や鋳造中スラブの冷却機能、スイングタワー・タンディッシュカーなど、その他多くの操作運転機能が組み込まれている。
【0021】
本発明は、以上のような従来装置を利用することにより構成され、湯面レベル制御装置10とブレークアウト検知装置20と連続鋳造制御装置30との間で信号を授受するブレークアウトスライディングノズル制御装置40であり、該ブレークアウトスライディングノズル制御装置40にタンディッシュ2からの溶鋼5の漏洩であるブレークアウトを、定常時検出手段と非定常時検出手段の両検出手段で監視し、該監視にてブレークアウトを検出した場合に、スライディングノズル3を全閉とする制御回路が組み込まれているものである。
【0022】
本発明の監視手段である定常時検出手段と非定常時検出手段について図1を用いて詳細に説明する。
非定常時とは、何らかの操業条件変更に際し鋳型内湯面レベルが大幅に変動する操業条件変更を行った時を非定常時と言い、逆に湯面変動が小さい定常操業時を定常時と言う。例えば、鋳造開始や終了時点、鋳造速度の非常停止及びその後の鋳造開始期間及びタンディッシュから鋳型1への強制的溶鋼注入中止などで必然的に湯面変動が大きくならざるをえない緊急的操業変更時を非定常時といい、通常操業での設定値変更である鋳造速度の加減速変更などのような所定期間内での緩やかな変更やロングノズル内アルゴン流量変更などは定常時である。
【0023】
本発明のブレークアウト時を検知する監視手段は図1に示す如く、定常時検出手段S10と非定常時検出手段S20の出力のどちらかが動作すれば信号を出力するOR回路S30と、該OR回路S30が出力されており、且つその他のインターロック条件S40が出力されて信号を出力するAND回路S50よりなり、該AND回路S50が働くと前記湯面レベル制御装置10にスライディングノズル異常閉出力信号を出力してスライディングノズル開度を全閉とするものである。
【0024】
定常時検出手段S10は、通常操業時にはありえない湯面レベルの下限値である湯面レベル調節計に設定された鋳型湯面下々限信号(鋳型湯面LL)または湯面レベル設定値と実測湯面レベルとの差が所定値以上となった場合の信号である鋳型湯面偏差大信号のOR回路S11と、前記ブレークアウト予知装置から出力されるブレークアウト警報発生(BO警報発生)信号と、次に説明する非定常時検出手段S20側の監視条件▲2▼のタイマーT2が起動されて所定時間経った後に出力される信号とのAND回路S12とからなる。
すなわち、定常時検出手段S10はブレークアウト予知装置からBO警報が発生しており、鋳型湯面LL又は鋳型湯面偏差大信号が出力され、その時非定常検出手段側が異常操業でブレークアウトを検知開始しておらず、異常操業があったとしても既に湯面変動も落ち着いている場合にブレークアウトと検知するものである。
【0025】
一方、非定常時検出手段S20は、異常操業時などでBO警報発生前に異常湯面レベルとなった場合のブレークアウトを検知するもので、鋳造速度を高低速に分けて確実に湯面レベル異常を検知しようとする思想のものである。
具体的には鋳型湯面LL又は鋳型湯面偏差大信号のどちらかが検知された場合に出力されるOR回路S21の出力信号と、鋳造速度が所定速度以上の場合の両方の条件が満たされた場合に信号出力するAND回路S23により鋳造速度が高い場合の湯面レベル異常を検知する。一方、鋳造速度が低く前記所定速度未満の場合はAND回路S22で鋳型湯面LLとなれば即湯面レベル異常と検知する。
【0026】
AND回路のS23又はS22のどちらかが働くと信号出力するOR回路24が信号出力すると同時に監視条件▲1▼のタイマーT1を起動する。その後所定期間内、例えばタイマーT1が5秒以内にBO警報が発生するとAND回路S25の信号を出力し、次の監視条件▲2▼であるタイマーT2を起動開始する。そして前記タイマーT2が所定時間、例えば3秒間刻んだ後に再度前記監視条件▲1▼の信号が出力されておれば、ブレークアウトと判断し信号出力するAND回路S26により非定常時検出手段S20が構成されている。尚、タイマーT1、T2は、異常湯面レベル変動が落ち着く所定設定時間以上になるとリセットされ、次のブレークアウト検知の監視が継続されるようになっている。
【0027】
この非定常時検出手段は、すなわち鋳型湯面下々限信号発生後の所定時間内に前記ブレークアウト警報信号が発生し、その後の所定時間がたった後も前記鋳型湯面偏差大信号が出力されている場合にブレークアウトと判定するものであり、異常操業時のブレークアウト検知は、確実性を確保するため、鋳型湯面下々限などの湯面レベル異常が、例えば3秒以上継続している場合に限ってブレークアウトと判断するようになっている。
【0028】
本発明は、図1の具体例で以上説明したようなものであるが、本発明の要旨とするところは定常時検出手段と非定常時検出手段にブレークアウト検知手段を分離し、連続鋳造装置の定常操業時と非定常時のそれぞれの操業条件に合わせて各々の検知条件を決めることにより、より正確に且つより迅速にブレークアウトを検知できるようにしたものである。そのため、本発明は上記具体例で説明したBO警報を用いない検知手段であっても良いし、湯面レベル計11の下々限信号なども下々限信号に限られるものではなく、通常の連鋳操業にあって発生しない下限値であれば足りることは言うまでもない。また、図1のその他インターロック条件S40には、本制御スイッチONなどの信号名を例示しているが、このインターロック条件についても、スライディング開度を全閉にしてよい条件をOR回路で構成すればよいのであってこれらの信号名に限るものではなく、またこれらの信号を一部除くこともできる。
【0029】
次に本発明を実施した場合の現象について、図3のブレークアウト発生時の湯面変動挙動を使って説明する。湯面レベル設定値は−110mm、鋳型湯面LL値は−145mm、鋳型湯面偏差大の偏差値が−40mmとする。この場合の湯面変動挙動に本発明を適用すると、湯面レベルの降下以前にブレークアウト予知警報が出力されているため、定常時検出手段によってブレークアウトが検知される。すなわち、図3のブレークアウト発生時点である60秒時点から湯面レベルが低下し始めており、その約15秒後(75秒時点)に湯面レベルが−145mmとなっているため、先ず最初に鋳型湯面LLが検出される。鋳型湯面LLが検出されるとS11及びS22の信号が出力されるが、既にBO警報発生後であるため、S25の信号は出力されず、タイマーT2が起動されていないため、定常時検出手段のS12が出力される。次いで、その他のインターロック条件が成り立っておれば、ブレークアウトが検知されスライディングノズル異常閉出力が送出されるため、スライディングノズル非常閉操作(手動操作)時とほぼ同様の湯面レベル挙動となることとがわかる。
【0030】
また、図3のようなブレークアウト後の湯面挙動では、本発明のブレークアウト検知手段からブレークアウト検知装置20の条件を除いた場合も同様にスライディングノズル制御が行われることが理解できる。そして、本実施例の如くブレークアウト検知装置20の条件を加えた場合であって、且つBO警報発生と同時に鋳造速度の自動減速をおこなったり、スライディングノズル開度を一時固定するか若しくは開方向のみ動作禁止して様子をみる回路を追加すると、図3のブレークイアウト発生時点以降のスライディングノズル開度の挙動が一定値または傾斜が低くなるため、ブレークアウト時の湯面レベル降下も著しくなりより早くスライディングノズル3を全閉とすることができ、溶鋼5の漏洩量を減少させることが可能となることがわかる。
【0031】
【発明の効果】
この発明にかかるブレークアウト時のスライディングノズル制御方法及び装置は、以上説明した如き内容のものなので、連鋳操業に従来より使用されている機器をなるべく利用し、且つ鋳造開始から鋳造終了に至るまでの全期間において、ブレークアウトを精度良く検知し、ブレークアウト発生時の溶鋼漏洩を極力少なくしてブレークアウト後の設備復旧時間の短縮を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を説明するための論理回路図である。
【図2】本発明の機器構成を説明するための連続鋳造設備の全体模式図である。
【図3】従来のブレークアウト発生時の湯面変動を説明する特性図である。
【符号の説明】
1 鋳型
2 タンディッシュ
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
5 溶鋼
6 タンディッシュ位置検出器
10 湯面レベル制御装置
11 湯面レベル計
20 ブレークアウト検知装置
21 埋め込み温度計
30 連続鋳造制御装置
31 鋳造速度計
40 ブレークアウトスライディングノズル制御装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブレークアウト発生時に連続鋳造機が被る被害を最小限に抑えることができるスライディングノズル制御方法及び該装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、用いられていたこの種の方法としては、例えば特開平5−111748号公報記載の連続鋳造におけるブレークアウト予知方法を挙げることができる。この従来の方法は、鋳型内に配設された熱電対の所定時間における移動平均温度と、同面同列に位置する熱電対の同一時間における総移動平均温度との差が定数αを超えるときにブレークアウト予兆と判定し、操業者に警報を出力して知らせるものである。ブレークアウト予知警報があると操業者は目視で鋳型内湯面を確認したり、予知警報データを確認した後、手動操作でタンディッシュスライディングノズルを非常閉操作していた。そのため、タンディッシュからの溶綱流出を停止させるまでには約15〜30秒程度の時間がかかり、その間鋳型下に大量の溶鋼が流出してしまい、ブレークアウト後の設備復旧に多大な労力と時間がかかっていた。
【0003】
また、ブレークアウト予知精度を向上させて、予知警報が発生すると鋳造速度を下げる操業が試みられているものもある。鋳型内の溶鋼シェルは鋳造速度を下げると水冷鋳型の効果によって凝固が促進されるため、溶鋼シェルが復旧されブレークアウトが防止できることを利用したものである。しかしながら、鋳型底面近くの溶鋼シェル破損では、鋳造速度の低下が間に合わずブレークアウト箇所が鋳型位置を過ぎてしまい完全にブレークアウトを防止することは困難である。また、他のブレークアウト予知方法も多くの研究開発が行われており予知精度の向上に向けて各種の改善がなされてきているが、発明者の知る限りにおいては、今尚完璧な予知方法は見出されていない。
【0004】
そのため、本発明と同一の出願人は、ブレークアウトが発生した場合の被害を極力小さくする方法を開発し、これまで下記のような出願をおこなっている。
【特許文献1】特願2002−41344号は、鋳型の下方から送出される鋳造スラブの温度を測定するための熱電対温度計を設置し、ブレークアウト予知警報後に所定時間内に温度上昇、または鋳型内湯面レベル低下を検出すると、鋳型内への溶鋼の供給を遮断することを特徴とするブレークアウト発生時における鋳型内への溶鋼供給量の制御方法である。
【0005】
【特許文献2】特願2002−55351号は、鋳型下方から送出される鋳造スラブをCCDカメラで撮像し、撮像した輝度が上昇変化を行ったことを検知すると、鋳型内への溶鋼の供給を遮断することを特徴とするブレークアウト発生時における流路開閉手段の制御方法である。
【0006】
【特許文献3】特願2002−87245号は、湯面レベルの低下速度が連続して所定限界閾値を超えた場合に、スライディングノズルを全閉として鋳型内への溶鋼の供給を遮断することを特徴とするブレークアウト発生時におけるスライディングノズルの制御方法である。
【0007】
また、この出願で紹介している従来のブレークアウト時のスライディングノズル非常閉操作(手動操作)時の湯面レベルとスライディングノズル開度の挙動例を図3に示す。本挙動例は前述の特開平5−111748号に類似するブレークアウト予知を行なっている連続鋳造設備において、Ar流量を急減操作した時のものであり、操作後約30秒後にブレークアウトの危険性を検知してから約20秒後にブレークアウトが発生した時のものである。そして、その約15秒後にスライディングノズル全閉の非常停止釦を押したものである。この例では、ブレークアウト予知警報が早めに出たが、予知警報時点で鋳造速度の自動減速を行っていないため、ブレークアウト発生時点が過ぎても湯面レベルを一定にするべくスライディングノズル開度を開いているため、漏洩溶鋼量も多くなり非常停止操作まで約35秒間がかかっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の特願2002−41344号の発明では、鋳型直下に熱電対温度計を設置してブレークアウトを検出して該検出に基づいて溶鋼供給を停止するものであるため、熱電対温度計の設置場所によってはブレークアウトを確実に検知できない可能性があり、特願2002−55351号は、鋳型直下の鋳片をCCDカメラで監視して撮像画像の輝度が上昇したことに基づき溶鋼供給を停止するものであが、CCDカメラ方式も鋳型直下の鋳片を監視できる位置がロール等の諸設備のために制約される問題があった。
【0009】
また、特願2002−87245号は、湯面レベルの低下速度からブレークアウト発生を検知するため、従来から連続鋳造設備に使用されている機器を使用し、且つ鋳型のどんな部位でブレークアウトが発生しても確実に検出できるものの、連続鋳造中に鋳造速度を変更するなどの非定常運転を行った場合に誤検知する可能性があり、更なる改善が望まれていた。
そこで本発明は前述のような諸課題に鑑みてなされたもので、連鋳操業に従来より使用されている機器をなるべく利用し、且つ鋳造開始から鋳造終了に至るまでの全期間において、ブレークアウトを精度良く検知し、ブレークアウト発生時の溶鋼漏洩を極力少なくして、ブレークアウト後の設備復旧時間の短縮を図らんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、鋳型内の溶鋼の湯面レベルを制御しながら、タンディッシュから鋳型内に溶鋼を注入し鋳片を製造する連続鋳造装置のスライディングノズル制御方法において、タンディッシュからの溶鋼の漏洩であるブレークアウトを、定常時検出手段と非定常時検出手段の両検出手段で監視し、該監視にてブレークアウトを検出した場合に、スライディングノズルを全閉として前記鋳型内への溶鋼の供給を遮断するものである。
【0011】
本発明によれば、ブレークアウト検知を定常時検出手段と非定常時検出手段の両検出手段で監視するため、鋳造開始時や何らかの操業異常時に鋳造速度を変更した場合であっても湯面レベル変動が大きい場合は非定常検出手段でブレークアウトを検視し、湯面変動の少ない定常鋳造速度操業時には定常検出手段でブレークアウト検知するため、鋳造開始から終了までのほぼ全期間において確実にブレークアウトを検知でき、素早くタンディッシュから鋳型への溶鋼注入を停止できるため、ブレークアウト時の溶鋼漏洩を少なくすることができ、ブレークアウト発生時の復旧作業の容易化及び時間短縮が達成できる。
【0012】
さらに請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、定常時検出手段が湯面レベル調節計の鋳型湯面下々限信号又は鋳型湯面偏差大信号と、鋳型内に埋め込まれた埋め込み温度計に基づくブレークアウト警報信号とが両方発生した時にブレークアウトと判定し、一方、非定常時検出手段は鋳型湯面下々限信号発生後の所定時間内に前記ブレークアウト警報信号が発生し、その後の所定時間たった後も前記鋳型湯面偏差大信号が出力されている場合にブレークアウトと判定するものである。
【0013】
本発明によると、請求項1記載の発明の効果に加え、定常操業時は鋳型湯面下々限やブレークアウト警報の異常状態を素早く捉え溶鋼漏洩を防止すると共に、非定常操業時の湯面変動が起こりやすい操業時には前記鋳型下々限及びブレークアウト警報が発生しても暫くの時間湯面レベルが復旧しないことを確認してブレークアウトと判定するため、ブレークアウトの誤判定を防止できる。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、鋳型内の溶鋼の湯面レベルを制御しながら、タンディッシュから鋳型内に溶鋼を注入し鋳片を製造する連続鋳造装置のスライディングノズル制御装置であって、該スライディングノズル制御装置が湯面レベル制御装置とブレークアウト検知装置と連続鋳造制御装置との間で信号を授受するブレークアウトスライディングノズル制御装置を含み、該ブレークアウトスライディングノズル制御装置にタンディッシュからの溶鋼の漏洩であるブレークアウトを、定常時検出手段と非定常時検出手段の両検出手段で監視し、該監視にてブレークアウトを検出した場合に、スライディングノズルを全閉とする制御回路が組み込まれているものである。
【0015】
本発明によれば、一般の連続鋳造設備に用いられるスライディングノズル制御装置、湯面レベル制御装置やブレークアウト検知装置からの既設機器からの信号に基づき、ブレークアウト検知し、スライディングノズル全閉制御ができるため、安価且つ簡単な装置で、ブレークアウト時のタンディッシュから鋳型への溶鋼注入を素早く停止でき、溶鋼漏洩を少なくし、ブレークアウト発生時の復旧作業の容易化及び時間短縮が達成できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を説明するための論理回路図であり、図2は本発明の機器構成を説明するための連続鋳造設備の全体模式図である。
【0017】
本発明は、図2に示す如く、鋳型1内の湯面レベルを湯面レベル計11で連続測定すると共に、該湯面レベルをレベル調節計で所定レベルに設定し、その湯面レベルを維持するべくスライディングノズル開度をフィードバック制御する周知の連続鋳造設備に適用される。図では破線で機器間の信号の授受経路を示している。スライディングノズル制御の基本的構成は図2に示す通りである。スライディングノズル開度はスライディングノズル3に直結されたシリンダーの移動距離で開度調整され、該開度でタンディッシュ2から鋳型1への溶鋼注入量が制御される。
【0018】
湯面レベル制御装置10は、湯面レベル計11からのレベル信号を増幅器を介してレベル調節計に入力し、レベル調節計で設定値との偏差を算出し、該偏差修正値をサーボAMPに送る。サーボAMPは偏差修正値を移動距離に換算しシリンダーからの位置信号に該移動距離分の移動量を加減算して油圧サーボに移動量信号として送出することによりシリンダー駆動してスライディングノズル開度を制御する。
【0019】
ブレークアウト検知装置20は、水冷されている鋳型1の溶鋼面側銅板の内側に多数の埋め込み温度計21を設置しておき、所定箇所の温度計の移動平均値と同面同列に設置した温度計の総移動平均値との差が所定値以上になると該箇所がブレークアウトする可能性が高いとしてブレークアウト予知警報を出力する。例えば、本実施例の埋め込み温度計21は、E型熱電対で鋳型1の長辺面に22本、短辺面に7本使用している。
【0020】
連続鋳造制御装置30には、測長ロールに取り付けられた鋳造速度計31の信号と図示しない鋳造速度設定器により、鋳型1からの鋳造スラブ引き抜き速度に相当する鋳造速度を決定できる機能や鋳造中スラブの冷却機能、スイングタワー・タンディッシュカーなど、その他多くの操作運転機能が組み込まれている。
【0021】
本発明は、以上のような従来装置を利用することにより構成され、湯面レベル制御装置10とブレークアウト検知装置20と連続鋳造制御装置30との間で信号を授受するブレークアウトスライディングノズル制御装置40であり、該ブレークアウトスライディングノズル制御装置40にタンディッシュ2からの溶鋼5の漏洩であるブレークアウトを、定常時検出手段と非定常時検出手段の両検出手段で監視し、該監視にてブレークアウトを検出した場合に、スライディングノズル3を全閉とする制御回路が組み込まれているものである。
【0022】
本発明の監視手段である定常時検出手段と非定常時検出手段について図1を用いて詳細に説明する。
非定常時とは、何らかの操業条件変更に際し鋳型内湯面レベルが大幅に変動する操業条件変更を行った時を非定常時と言い、逆に湯面変動が小さい定常操業時を定常時と言う。例えば、鋳造開始や終了時点、鋳造速度の非常停止及びその後の鋳造開始期間及びタンディッシュから鋳型1への強制的溶鋼注入中止などで必然的に湯面変動が大きくならざるをえない緊急的操業変更時を非定常時といい、通常操業での設定値変更である鋳造速度の加減速変更などのような所定期間内での緩やかな変更やロングノズル内アルゴン流量変更などは定常時である。
【0023】
本発明のブレークアウト時を検知する監視手段は図1に示す如く、定常時検出手段S10と非定常時検出手段S20の出力のどちらかが動作すれば信号を出力するOR回路S30と、該OR回路S30が出力されており、且つその他のインターロック条件S40が出力されて信号を出力するAND回路S50よりなり、該AND回路S50が働くと前記湯面レベル制御装置10にスライディングノズル異常閉出力信号を出力してスライディングノズル開度を全閉とするものである。
【0024】
定常時検出手段S10は、通常操業時にはありえない湯面レベルの下限値である湯面レベル調節計に設定された鋳型湯面下々限信号(鋳型湯面LL)または湯面レベル設定値と実測湯面レベルとの差が所定値以上となった場合の信号である鋳型湯面偏差大信号のOR回路S11と、前記ブレークアウト予知装置から出力されるブレークアウト警報発生(BO警報発生)信号と、次に説明する非定常時検出手段S20側の監視条件▲2▼のタイマーT2が起動されて所定時間経った後に出力される信号とのAND回路S12とからなる。
すなわち、定常時検出手段S10はブレークアウト予知装置からBO警報が発生しており、鋳型湯面LL又は鋳型湯面偏差大信号が出力され、その時非定常検出手段側が異常操業でブレークアウトを検知開始しておらず、異常操業があったとしても既に湯面変動も落ち着いている場合にブレークアウトと検知するものである。
【0025】
一方、非定常時検出手段S20は、異常操業時などでBO警報発生前に異常湯面レベルとなった場合のブレークアウトを検知するもので、鋳造速度を高低速に分けて確実に湯面レベル異常を検知しようとする思想のものである。
具体的には鋳型湯面LL又は鋳型湯面偏差大信号のどちらかが検知された場合に出力されるOR回路S21の出力信号と、鋳造速度が所定速度以上の場合の両方の条件が満たされた場合に信号出力するAND回路S23により鋳造速度が高い場合の湯面レベル異常を検知する。一方、鋳造速度が低く前記所定速度未満の場合はAND回路S22で鋳型湯面LLとなれば即湯面レベル異常と検知する。
【0026】
AND回路のS23又はS22のどちらかが働くと信号出力するOR回路24が信号出力すると同時に監視条件▲1▼のタイマーT1を起動する。その後所定期間内、例えばタイマーT1が5秒以内にBO警報が発生するとAND回路S25の信号を出力し、次の監視条件▲2▼であるタイマーT2を起動開始する。そして前記タイマーT2が所定時間、例えば3秒間刻んだ後に再度前記監視条件▲1▼の信号が出力されておれば、ブレークアウトと判断し信号出力するAND回路S26により非定常時検出手段S20が構成されている。尚、タイマーT1、T2は、異常湯面レベル変動が落ち着く所定設定時間以上になるとリセットされ、次のブレークアウト検知の監視が継続されるようになっている。
【0027】
この非定常時検出手段は、すなわち鋳型湯面下々限信号発生後の所定時間内に前記ブレークアウト警報信号が発生し、その後の所定時間がたった後も前記鋳型湯面偏差大信号が出力されている場合にブレークアウトと判定するものであり、異常操業時のブレークアウト検知は、確実性を確保するため、鋳型湯面下々限などの湯面レベル異常が、例えば3秒以上継続している場合に限ってブレークアウトと判断するようになっている。
【0028】
本発明は、図1の具体例で以上説明したようなものであるが、本発明の要旨とするところは定常時検出手段と非定常時検出手段にブレークアウト検知手段を分離し、連続鋳造装置の定常操業時と非定常時のそれぞれの操業条件に合わせて各々の検知条件を決めることにより、より正確に且つより迅速にブレークアウトを検知できるようにしたものである。そのため、本発明は上記具体例で説明したBO警報を用いない検知手段であっても良いし、湯面レベル計11の下々限信号なども下々限信号に限られるものではなく、通常の連鋳操業にあって発生しない下限値であれば足りることは言うまでもない。また、図1のその他インターロック条件S40には、本制御スイッチONなどの信号名を例示しているが、このインターロック条件についても、スライディング開度を全閉にしてよい条件をOR回路で構成すればよいのであってこれらの信号名に限るものではなく、またこれらの信号を一部除くこともできる。
【0029】
次に本発明を実施した場合の現象について、図3のブレークアウト発生時の湯面変動挙動を使って説明する。湯面レベル設定値は−110mm、鋳型湯面LL値は−145mm、鋳型湯面偏差大の偏差値が−40mmとする。この場合の湯面変動挙動に本発明を適用すると、湯面レベルの降下以前にブレークアウト予知警報が出力されているため、定常時検出手段によってブレークアウトが検知される。すなわち、図3のブレークアウト発生時点である60秒時点から湯面レベルが低下し始めており、その約15秒後(75秒時点)に湯面レベルが−145mmとなっているため、先ず最初に鋳型湯面LLが検出される。鋳型湯面LLが検出されるとS11及びS22の信号が出力されるが、既にBO警報発生後であるため、S25の信号は出力されず、タイマーT2が起動されていないため、定常時検出手段のS12が出力される。次いで、その他のインターロック条件が成り立っておれば、ブレークアウトが検知されスライディングノズル異常閉出力が送出されるため、スライディングノズル非常閉操作(手動操作)時とほぼ同様の湯面レベル挙動となることとがわかる。
【0030】
また、図3のようなブレークアウト後の湯面挙動では、本発明のブレークアウト検知手段からブレークアウト検知装置20の条件を除いた場合も同様にスライディングノズル制御が行われることが理解できる。そして、本実施例の如くブレークアウト検知装置20の条件を加えた場合であって、且つBO警報発生と同時に鋳造速度の自動減速をおこなったり、スライディングノズル開度を一時固定するか若しくは開方向のみ動作禁止して様子をみる回路を追加すると、図3のブレークイアウト発生時点以降のスライディングノズル開度の挙動が一定値または傾斜が低くなるため、ブレークアウト時の湯面レベル降下も著しくなりより早くスライディングノズル3を全閉とすることができ、溶鋼5の漏洩量を減少させることが可能となることがわかる。
【0031】
【発明の効果】
この発明にかかるブレークアウト時のスライディングノズル制御方法及び装置は、以上説明した如き内容のものなので、連鋳操業に従来より使用されている機器をなるべく利用し、且つ鋳造開始から鋳造終了に至るまでの全期間において、ブレークアウトを精度良く検知し、ブレークアウト発生時の溶鋼漏洩を極力少なくしてブレークアウト後の設備復旧時間の短縮を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を説明するための論理回路図である。
【図2】本発明の機器構成を説明するための連続鋳造設備の全体模式図である。
【図3】従来のブレークアウト発生時の湯面変動を説明する特性図である。
【符号の説明】
1 鋳型
2 タンディッシュ
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
5 溶鋼
6 タンディッシュ位置検出器
10 湯面レベル制御装置
11 湯面レベル計
20 ブレークアウト検知装置
21 埋め込み温度計
30 連続鋳造制御装置
31 鋳造速度計
40 ブレークアウトスライディングノズル制御装置
Claims (3)
- 鋳型(1)内の溶鋼(5)の湯面レベルを制御しながら、タンディッシュ(2)から鋳型内に溶鋼(5)を注入し鋳片を製造する連続鋳造装置のスライディングノズル制御方法において、タンディッシュ(2)からの溶鋼(5)の漏洩であるブレークアウトを、定常時検出手段と非定常時検出手段の両検出手段で監視し、該監視にてブレークアウトを検出した場合に、スライディングノズル(3)を全閉として前記鋳型内への溶鋼(5)の供給を遮断することを特徴とするブレークアウト時のスライディングノズル制御方法。
- 前記定常時検出手段が湯面レベル調節計の鋳型湯面下々限信号又は鋳型湯面偏差大信号と、鋳型(1)内に埋め込まれた埋め込み温度計(21)に基づくブレークアウト警報信号とが両方発生した時にブレークアウトと判定し、前記非定常時検出手段は鋳型湯面下々限信号発生後の所定時間内に前記ブレークアウト警報信号が発生し、その後の所定時間たった後も前記鋳型湯面偏差大信号が出力されている場合にブレークアウトと判定することを特徴とするブレークアウト時のスライディングノズル制御方法。
- 鋳型(1)内の溶鋼(5)の湯面レベルを制御しながら、タンディッシュ(2)から鋳型内に溶鋼(5)を注入し鋳片を製造する連続鋳造装置のスライディングノズル制御装置であって、該スライディングノズル制御装置が湯面レベル制御装置(10)とブレークアウト検知装置(20)と連続鋳造制御装置(30)との間で信号を授受するブレークアウトスライディングノズル制御装置(40)を含み、該ブレークアウトスライディングノズル制御装置(40)にタンディッシュ(2)からの溶鋼(5)の漏洩であるブレークアウトを、定常時検出手段と非定常時検出手段の両検出手段で監視し、該監視にてブレークアウトを検出した場合に、スライディングノズル(3)を全閉とする制御回路が組み込まれていることを特徴とするブレークアウト時のスライディングノズル制御装置。
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CN108941495A (zh) * | 2017-05-17 | 2018-12-07 | 上海梅山钢铁股份有限公司 | 基于液位自动控制的连铸漏钢事故自动处置方法 |
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2002
- 2002-11-15 JP JP2002331727A patent/JP2004160525A/ja not_active Withdrawn
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CN108941495B (zh) * | 2017-05-17 | 2021-05-07 | 上海梅山钢铁股份有限公司 | 基于液位自动控制的连铸漏钢事故自动处置方法 |
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