JP2004160452A - 繊維構造体およびその製造方法、ならびにそれを用いた浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 軽量で取り扱い性がよく、さまざまな形状および大きさの容器に簡便に詰めることができる光触媒が付着した短繊維の構造体を提供する。また、この構造体の簡便な製造方法を提供する。さらには、この構造体を用いて、圧力損失が少なく、かつ、環境汚染物質の分解除去能力が高い流体の浄化装置を提供する。
【解決手段】 光触媒が付着した短繊維の構造体。短繊維は表面が多孔質のガラス繊維である。短繊維は、平均径0.3〜20μm、平均長さ0.1〜10mmである。光触媒は、二酸化チタンからなるものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、繊維構造体およびその製造方法、ならびにそれを用いた浄化装置に関する。
二酸化チタンなどの光触媒をシリカゲルの細孔内全体に付着させたものが市販されている(新東Vセラミック社製 光触媒シリカゲルHQAシリーズ)。また、このような光触媒シリカゲルに太陽光や蛍光灯などを照射することによって、空気中の悪臭や有機物質、あるいは水中に含まれている有機溶剤または農薬などの環境汚染物質を連続的に大量に分解除去する技術が知られている(特許文献1参照)。さらに、ゼオライト、活性炭、シリカゲルまたは活性アルミナなどの吸着材に、光触媒を付着させ、これを通気性のある容器に詰めて気体経路に配置し、脱臭装置として利用する技術も知られている(特許文献2参照)。
また、ガラス繊維についてもいくつかの文献に開示されている(例えば、特許文献3、4)。
特開平11−138017号公報 特開2001−334463号公報 特開平1−176455号公報 特開2002−143692号公報
しかし、シリカゲルは多孔質とはいえ、その平均細孔径はオングストロームオーダーから大きくても50nm程度であるから、液体は元より気体であってもシリカゲルの内部に入り込むことが困難であり、分解除去すべき環境汚染物質も細孔の内部には容易に入ることができない。すなわち、光触媒がその機能を十分に発揮できるのは、シリカゲルの表面に付着したものだけである。そのため、光触媒が付着したシリカゲルを気体の流通経路に配置した場合、圧力損失が大きく、また環境汚染物質の分解除去能力が比表面積から算出される期待値ほど高くないという問題があった。さらに、シリカゲルは見かけ比重が高く、これを大量に内包する容器は、過重により取り扱いが困難となる問題もあった。
この発明は、以上のような問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、軽量で取り扱い性がよく、さまざまな形状および大きさの容器に簡便に詰めることができる光触媒機能を有する繊維構造体を提供することにある。また、この繊維構造体の簡便な製造方法を提供することにある。さらには、この繊維構造体を用いて、圧力損失が少なく、かつ、環境汚染物質の分解除去能力が高い流体の浄化装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、短繊維が絡まり合って塊状をなし、前記短繊維には光触媒が付着した繊維構造体であることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の繊維構造体において、前記短繊維は、表面が多孔質のガラス繊維であることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の繊維構造体において、前記短繊維は、平均径0.3〜20μm、平均長さ0.1〜10mmであることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維構造体において、前記光触媒は、二酸化チタンからなるものであることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維構造体において、前記繊維構造体の外形形状が球形または楕円体形であることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維構造体において、前記光触媒の付着率が0.05〜40質量%であることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維構造体において、前記光触媒と前記短繊維とがTi−O−Si結合で結合されていることを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維構造体を複数有する群における前記繊維構造体の最大径の平均が30mm以下である繊維構造体群であることを要旨とする。
請求項9に記載の発明は、短繊維に光触媒を含有するコーティング溶液を塗布し、造粒機を用いて前記短繊維を塊状に成形することを要旨とする。
請求項10に記載の発明は、短繊維のスラリー中に光触媒を含有するコーティング溶液を添加し、これらを撹拌することにより前記短繊維を塊状に成形することを要旨とする。
請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載の繊維構造体の製造方法において、前記コーティング溶液は、金属アルコキシド、金属塩化物、金属硫化物ないし金属酢酸塩と、樹脂とを含有する溶液であって、
前記短繊維を塊状に成形した後に、その塊を焼成することを要旨とする。
請求項12に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維構造体または請求項8に記載の繊維構造体群を用いた浄化装置であることを要旨とする。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の浄化装置において、前記繊維構造体または前記繊維構造体群が通気性のある容器に詰められていることを要旨とする。
このように、本発明の繊維構造体は、短繊維同士を絡ませることによって塊状に形成されている。このため、シリカゲルと比較して内部空隙が格段に大きく、見かけ比重が小さく軽量で、流体が繊維構造体の内部にまで容易に侵入することができる。また、個々の短繊維の表面に光触媒が付着したものであるので、光触媒の付着率が高い。これらのことから、この繊維構造体は、流体の浄化装置として利用された場合、圧力損失が小さく、かつ、環境汚染物質の分解除去能力が高いという優れた特性を発揮する。また、短繊維を塊に成形すると同時に光触媒をその表面に付着させれば、繊維構造体の製造が極めて簡便となる。なお、本願発明において光触媒の付着率とは、繊維構造体全体に占める光触媒の割合を質量比で表したものである。
この発明の繊維構造体は、光触媒が付着した短繊維が絡み合ったものであるので、内部空隙が大きく軽量であって、また取り扱い性がよい。このため、複数個の繊維構造体を容器に詰める際に、さまざまな形状および大きさの容器に簡便に詰めることができる。また、繊維構造体の製造においては、短繊維の塊の成形と光触媒の付着とを同時に行えるので、繊維構造体を簡便に製造することができる。さらに、この繊維構造体は内部空隙が大きく軽量であるので、圧力損失の少ない浄化装置を提供することができる。また、この繊維構造体は短繊維が絡み合った塊状であるので繊維構造体自体の表面積を大きくでき、環境汚染物質の分解除去能力の高い浄化装置を提供することができる。
以下、この発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本実施形態の繊維構造体を模式的に図1に示す。図1(a)は繊維構造体7の模式図であり、光触媒の付いた短繊維が絡み合って塊状に形成されている様子を表している。図1(b)はこの光触媒付き短繊維71の断面図であり、短繊維72の表面に光触媒73が形成されている。
短繊維としては、無機繊維が好ましく、ガラス繊維、アルミナ繊維またはチタン酸カリウム繊維が例示される。無機繊維は、光触媒によっても表面が酸化され難く、耐久性がある。また、耐熱性が高いため、後述するコーティング溶液中の樹脂を加熱により除去できる点で優れる。とくにガラス繊維が耐熱性に優れている。
ガラス繊維はその組成成分含有率の違いにより複数種存在するが、酸性雰囲気下で使用する場合にはCガラス組成のものが好ましく、中性から弱アルカリ性の雰囲気下で使用する場合にはEガラス組成のものが好適である。このようなガラスは、シリカ(SiO2)の基本骨格中に、アルカリ金属などが多量に入り込んだ構造である。このため、ガラス繊維を薬液処理または加熱処理すると、前記アルカリ金属などの基本骨格を構成しない成分が溶出または焼失して、ガラス繊維の表面を多孔質化することができる。すなわち、このようなガラス繊維を用いれば、短繊維の比表面積を容易に、かつ、劇的に高めることができ、これにより光触媒の付着率も高めることができる。
短繊維は、その形状をとくに限定されるものではないが、繊維の平均径0.3〜20μm、平均長さ0.1〜10mmが好ましく、さらには平均径5〜13μm、平均長さ0.5〜5mmが好適である。短繊維の平均径が0.3μm未満の場合は、製造コストが著しく高くなり、また塊に成形したときに嵩高くなって、その取り扱いが困難となる。一方、繊維の平均径が20μmを超えると、短繊維が剛直で絡まり難くなり、加えて短繊維の比表面積が小さく光触媒の付着率が低くなり、光触媒活性が低く抑えられてしまう。また、平均長さが0.1mm未満の場合は、短繊維同士の絡みが弱くなるため、繊維構造体が容易に割れてしまうなどの問題が生じ易い。一方、平均長さが10mmを越えると、短繊維の塊の形成方法にもよるが、繊維構造体を多数形成したときに、巨大な塊の繊維構造体ができたり、塊そのものがほとんど形成されなかったりと、繊維構造体の均一性が損なわれ易い。
短繊維の製造方法は、とくに限定されるものではないが、長さを均一に整え易いことから、一旦長繊維に紡糸した後、カッターなどを用いて所望の長さに切断する方法が好ましい。
光触媒としては、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化タングステン、二酸化チタン、チタン酸ストロンチウムまたは酸化鉄などを使用することができるが、中でも光触媒活性が極めて高く、工業的に生産され入手し易い二酸化チタンが好ましい。また、二酸化チタンには、酸素欠陥を生じさせたり、窒素をドープしたり、遷移金属イオンを注入したりすることによって、可視光領域でも光触媒活性を示すように改良されたものがあり、これを用いることが好適である。
光触媒として微粒子を利用する場合は、平均一次粒径が5〜30nmの微粒子が好ましい。平均一次粒径が5〜30nmであれば、短繊維の表面に均一、かつ、緻密な光触媒微粒子からなる薄膜を形成できる。また、その薄膜は、短繊維表面における微粒子の凝集により、付着強度が著しく高まる。なお、短繊維に付着させる前に、光触媒の微粒子が凝集している場合は、超音波を照射するなどして、凝集を解除して一次粒子に戻してから使用することが好ましい。
また、光触媒が短繊維の表面に均一に、かつ、隙間なく付着すれば、繊維構造体の光触媒活性が向上することに加えて、短繊維同士の接着剤としても機能するようになる。一方、光触媒が過剰に付着すれば、光触媒からなる薄膜が歪になり、剥離し易くなる。したがって、繊維構造体における光触媒の付着率は、0.05〜40質量%が好ましい。また、前記薄膜の厚さは400nm以下が好ましい。
繊維構造体の形状は、とくに限定されるものではなく、球形、楕円体形、錐形、立方体または直方体などが例示される。しかし、短繊維の塊を成形する場合、生産効率を考慮すれば、後述する短繊維のスラリーを撹拌する、あるいは回転もしくは振動造粒機の利用が有利であることから、これらの形成方法において無為に収束する形状である球形または楕円体が好ましい。
繊維構造体の大きさは、とくに限定されるものではないが、最大径が30mm以下であることが好ましい。ここで、最大径とは、繊維構造体表面の任意の2点を結んだ場合の最長直線距離のことをいう。多数の繊維構造体からなる繊維構造体群では、あるメッシュの篩に多数の繊維構造体を掛け、その半分(質量)が篩上に残った場合に、そのメッシュを繊維構造体の最大径の平均とみなす。繊維構造体の最大径の平均が30mmを超えると、その内部にまで光が十分に到達できなくなり、光触媒活性が低下するおそれがある。一方、この最大径の平均の下限については、機能面からの制限はないが、参考までに長さ1mmの短繊維を用いた場合、繊維構造体の大きさは約1〜5mmとなる。
短繊維を塊に成形する手段および短繊維に光触媒を付着させる手段は、ともに限定されるものではない。しかし、繊維構造体を生産する効率を考慮すると、前記の二つの手段は、一つの製造工程で同時に実施されることが好ましい。例えば、短繊維を公知の回転造粒機または振動造粒機を用いて塊に成形する場合に、短繊維に塗布するコーティング溶液中に光触媒を添加しておくことにより、光触媒の付着と繊維構造体の成形とを同時に実施することができる。あるいは、光触媒を含むコーティング溶液中に短繊維を添加してスラリーとし、これを撹拌して塊を成形し、その後乾燥させることによっても、同様の目的を達成することができる。
上記コーティング溶液としては、たとえば二酸化チタン微粒子の分散液が挙げられる。この微粒子が短繊維の表面に均一に、かつ、緻密に付着すれば、上述のように微粒子の凝集力によりその付着強度が向上し、さらに短繊維の接着剤としての機能が発揮されるようになる。しかし、短繊維の表面状態(形状や電気的性質)によっては、微粒子が付着し難い場合もあるため、シリカゾルやアルミナゾルなどの無機接着成分をコーティング溶液に添加することもある。しかしながら、これらの無機接着成分は、光触媒微粒子の表面まで覆ってしまい、光触媒微粒子の付着強度の向上と引き換えに光触媒活性を低下させる。そこで、この発明では、コーティング溶液中の接着成分として樹脂を用い、光触媒微粒子を短繊維表面に均一に付着させた後、短繊維の塊を加熱することによって樹脂を焼失させる手段を提供する。これにより、光触媒微粒子は、短繊維の表面に均一に、かつ、緻密に付着することができ、さらに光触媒活性の低下も防止できる。また、この手段では、樹脂の加熱による酸化分解除去が必須となるため、光触媒微粒子の代わりに、光触媒の前駆体すなわちその金属アルコキシド、金属塩化物、金属硫化物ないし金属酢酸塩などを用いることもできる。これらの前駆体は、樹脂を酸化分解させるための熱を利用して化学反応が進行し、短繊維の表面に均一で、かつ、緻密な前記金属を含む酸化物薄膜を形成する。そして、この薄膜は、光触媒としてだけでなく、短繊維同士の接着剤としても機能する。
コーティング溶液に使用する樹脂としては、アクリル系またはオレフィン系が一般的であるが、繊維構造体の焼成により酸化分解されるものであれば、モノマーもしくはポリマーの別を問わず利用することができる。なお、繊維構造体の焼成温度を考慮すると、少なくとも200℃以下で分解して酸化される樹脂が好適である。
また、コーティング溶液に上記の前駆体を用いる場合は、この前駆体と樹脂とに相溶性のある溶媒を使用することが好ましい。前駆体が金属アルコキシドの場合は溶媒としてアルコール類が、前駆体が金属塩化合物である場合は溶媒として水が好適である。なお、実質的に相溶性があれば、溶媒の種類はとくに限定されない。
光触媒微粒子や前駆体を用いて焼成する場合には、有機残基の酸化分解反応によって生成する燃焼熱により短繊維の表面にTi−O−Si結合を形成させることができる。このため、光触媒を短繊維に強固に付着させることができる。
この繊維構造体を用いれば、通気性のある容器の形状および大きさを問わず、単に必要量を前記容器に詰めるだけで、流体の浄化装置の構成部材を製造することができる。したがって、市販の流体の浄化装置のように光触媒を付着させた織布や不織布(紙など)を容器の形状に合わせて切断したり、プリーツ加工したりする必要がなく、極めて簡便に、かつ、低コストで前記構成部材を製造することができる。
この流体の浄化装置は、光触媒による環境汚染物質の分解除去を行うものであれば、その形状、大きさ、装置の機構および汚染物質の浄化能力、ならびに流体および環境汚染物質の種類などをとくに限定されるものではない。繊維構造体を収容する通気性のある容器も、内部の繊維構造体に光が行き渡り、かつ、流体が自由に流入流出できるものであれば、その形状、大きさおよび機構をとくに限定されるものではない。
以下、実施例により、この発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
短繊維として、平均径4μm、平均長さ1mmのEガラス組成のガラス繊維を使用した。このガラス繊維を水中に分散させスラリーとし、このスラリーを15時間撹拌し続けて、最大径の平均が3mmのほぼ球形の塊を多数成形した。これを遠心脱水機に掛け、自然乾燥させた。その後、二酸化チタンの前駆体であるチタンイソプロポキシド10gとアクリル系樹脂10gとエチルアルコール180gとからなるコーティング溶液中に前記球状の塊を浸漬し、所定時間経過後引き上げて、これを遠心分離機に軽く掛け、余剰付着分を除去した。そして、これを加熱炉中に置き、まず60℃で1時間乾燥させ、つづいて毎分1℃の速度で450℃まで昇温し、そのまま5時間保持して、前記アクリル系樹脂を完全に酸化分解させると共に、チタンイソプロポキシドを二酸化チタンに変化させた。
このようにして製造した繊維構造体は、二酸化チタンの付着率が1.5質量%であり、その表面を電子顕微鏡写真で観察したところ、二酸化チタンからなる薄膜がガラス繊維の表面をほぼすべて被覆していることが確認された。
〔流体の浄化装置の製造および浄化能力の測定〕
上記繊維構造体を篩に掛けて、繊維構造体の最大径(直径)が2〜3mmのものだけを選別し、これを内寸法37×50×14mmの石英ガラス容器に充填した。前記容器には、内寸法37×14mmの一面とその対抗面とに通気用ノズルが取り付けてあり、ここを通じて汚染空気が流入流出できるようになっている。この繊維構造体の充填量は3.6gであり、前記容器の流入ノズル−流出ノズル間で測定した圧力損失は310Paであった。なお、繊維構造体を充填する前に測定した同容器の圧力損失は290Paであった。また、試験ガスの充填室として、内寸法280×350×550mm(容積約54L)で、280×350mmの一面とその対抗面とに通気用ノズルを備えるアクリル容器を準備した。このアクリル容器内には、試験ガスを撹拌する対流ファンが設置されている。この石英ガラス容器とアクリル容器との間にエアーポンプを1台設置し、これらをポリテトラフルオロエチレン樹脂製のチューブで繋いで循環系を成形した。
前記試験ガス充填室に循環系の初期濃度が3ppmとなるようにホルムアルデヒドガスを注入し、つづいて流量5L/minとなるようにエアーポンプを作動させた。また、エアーポンプの作動と同時に、上記石英ガラス容器の37×50mmの一面から1mW/cm2の紫外線をブラックライトを用いて照射した。この循環系において、ホルムアルデヒドが初期濃度の1/e(e=2.71828)になるまでの時間(表1では「浄化能力」と表記する)を測定した。その結果を表1に示す。
(表1)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
項目 繊維構造体充填量 圧力損失 浄化能力
(g) (Pa) (分)
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実施例1 3.6 310 74
実施例2 3.9 316 69
実施例3 4.1 318 70
実施例4 4.8 308 39
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
比較例1 14 360 99
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(実施例2)
実施例1において、ガラス繊維をコーティング溶液中に添加してスラリーとし、これを15時間撹拌して、短繊維の塊を作製した。すなわち、ガラス繊維の塊の成形と、ガラス繊維上に二酸化チタンからなる薄膜の形成と、を同時に行い、それ以外は実施例1と同様にして繊維構造体を作製した。作製した繊維構造体の内、平均径2〜3mmのものを選別し測定したところ、二酸化チタンの付着率が1.5質量%であり、また電子顕微鏡による観察からガラス繊維の表面全体に二酸化チタンの薄膜が形成されていることが確認された。
この繊維構造体を用いて、上記流体の浄化装置の製造および浄化能力の測定を行った。その結果を表1にまとめて示す。
(実施例3)
実施例1において、パン式回転造粒機を用いて、コーティング溶液を適宜噴霧しながらガラス繊維の塊を成形した以外は同様にして繊維構造体を作製した。この繊維構造体は、平均径が2.5mmで、二酸化チタンの付着率が1.5質量%であり、また電子顕微鏡による観察からガラス繊維の表面全体に二酸化チタンの薄膜が形成されていることが確認された。
この繊維構造体を用いて、上記流体の浄化装置の製造および浄化能力の測定を行った。その結果を表1にまとめて示す。
(実施例4)
実施例1において、水の代わりに10質量%の塩酸溶液を使用し、これを45℃で維持しつつ、ガラス繊維の塊を成形した。すなわち、ガラス繊維の表面を多孔質化する以外は実施例1と同様にして、繊維構造体を作製した。この繊維構造体は、平均径が2.5mmで、二酸化チタンの付着率が3質量%であり、また電子顕微鏡による観察からガラス繊維の表面全体に二酸化チタンの薄膜が形成されていることが確認された。
この繊維構造体を用いて、上記流体の浄化装置の製造および浄化能力の測定を行った。その結果を表1にまとめて示す。
(比較例1)
比較対象として、特開平11−138017号公報の実施例1に記載されている二酸化チタンが付着したシリカゲルを作製した。その作製手段は、具体的には次の通りである。
「ジエタノールアミン40gを2−プロパノール630gで希釈したものに、撹拌しながらチタンテトライソプロポキシド100gを徐々に加えて、透明なチタニアゾルを得た。粒径が6メッシュ(3.36mm)上のA型シリカゲル(水分率6.8重量%)を250g入れた1Lのガラスビーカーに、先に調製したチタニアゾルをシリカゲルがすべて十分に浸るまで入れた。そのまま30秒間静置してからビーカーを傾け、余剰のチタニアゾルを排出した。その後直ちに2−プロパノールをシリカゲルがすべて十分に浸るまで注ぎ、ガラス棒でかき混ぜて洗浄した後、ざるに空け室温で放置した。このようにして得られたシリカゲルを、電気炉を用い時々炉蓋を空けて酸素を供給しながら室温から徐々に600℃まで加熱昇温して焼成し、表面が透明な光触媒シリカゲルを得た。得られた光触媒シリカゲルをX線回折により調べた結果、酸化チタンの結晶構造はアナターゼ100%であった。また、SEM観察により表面の酸化チタン薄膜の膜厚は0.07μmであり、得られた光触媒シリカゲルの真比重測定値から求めた酸化チタンの含有量は0.39重量%(200℃乾燥重量基準)であった。」
このシリカゲルを用いて、上記流体の浄化装置の製造および浄化能力の測定を行った。その結果を表1にまとめて示す。
なお、前記実施例で説明した浄化装置は次のように具体化することができる。
図2に繊維構造体を使用した浄化装置の例をブロック図で示す。この浄化装置100は、流体入口部1と、ポンプ2と、流体を浄化するためのカラム3と、流体出口部4とを備えている。流体は、流体入口部1からポンプ2に入り、カラム3で浄化された後、流体出口部4へと流れる。なお、カラム3の出口をポンプ2の入口に繋げて、カラム3で浄化された流体が浄化装置100で環流するようにしてもよい。
カラム3についての詳細を図3に示す。カラム3は、繊維構造体封入部8と、繊維構造体封入部8の両端に備えられた導入管5および流出管10と、紫外光源6とを備えている。この繊維構造体封入部8には、光触媒を表面に付着させた繊維構造体7と、この繊維構造体7を繊維構造体封入部8内に封入するための一対の網9とが備えられている。カラム3に導かれた流体は、導入管5から一方の網9を通して繊維構造体封入部8に入り、この繊維構造体封入部8で繊維構造体7と接触した後、他方の網9を通じて流出管10から出る。この際、カラム3には紫外光源6が備えられているので、繊維構造体7は紫外光源6からの紫外光を汚染物質分解エネルギーとして、流体中の汚染物質を分解する。図3では繊維構造体7を一対の網9で繊維構造体封入部8内に封入したが、繊維構造体7は次のように固定してもよい。
図4は繊維構造体7を固定化した繊維構造体集合体の例を示している。図4において、(a)は側面図を、(b)は斜視図を示している。図示のように、繊維構造体集合体11には、多数の繊維構造体7と複数個(図4では5個)の台12とが設けられている。この台12に繊維構造体7が接着剤などにより固定されている。台12は、流体が通過でき繊維構造体7が通過できないような隙間を有するものであればよい。例えば、このような隙間を設けたガラスやプラスチック、金属、木材、天然繊維や合成繊維などの繊維布類などを用いることができる。また、形状としては、フィルム状、板状、管状、繊維状、網状などどのような形状を用いてもよい。なお、図4では、繊維構造体集合体11の外形を四角形で示したが、図3の繊維構造体封入部8の形状に合うように変えれば、繊維構造体封入部8として用いてもよい。
図5は繊維構造体7を固定化する別な例を示している。図5において、(a)は側面図を、(b)は斜視図を示している。図示のように、繊維構造体集合体13には、繊維構造体7と、台14と、繊維構造体7を台14に固定するための繊維構造体固定手段15とが備えられている。繊維構造体固定手段15は、一端が台14に接着などにより固定されており、他端が繊維構造体7の繊維に絡まるような形状(例えば鈎状など)にしてある。このため、繊維構造体固定手段15で繊維構造体7を台14に容易に固定することができる。繊維構造体固定手段15の材料には特に限定はなく、ガラス、プラスチック、金属、木材などを用いることができる。また、形状としては、網目状、円錐状、円柱状、角錐状、角柱状などを用いてもよい。台14としては、ガラス、プラスチック、金属、木材、天然繊維や合成繊維などの繊維布類などを用いることができる。また、形状としては、フィルム状、板状、管状、繊維状、網状などどのような形状を用いてもよい。
なお、図6に示すように、繊維構造体固定手段15を多数個配置して、この隙間に繊維構造体7を挿入することで、繊維構造体集合体13を形成してもよい。
本発明は、光触媒を利用して、空気中または水溶液中に含まれるホルムアルデヒドなどの環境汚染物質を除去する浄化装置として利用可能である。
繊維構造体の模式図。 浄化装置のブロック図。 浄化装置の詳細図。 繊維構造体集合体の側面図および斜視図。 繊維構造体集合体の側面図および斜視図。 繊維構造体集合体の側面図および斜視図。
符号の説明
1 流体入口部
2 ポンプ
3 カラム
4 流体出口部
5 導入管
6 紫外光源
7 繊維構造体
8 繊維構造体封入部
9 網
10 流出管
11,13 繊維構造体集合体
12,14 台
15 繊維構造体固定手段
71 光触媒付き短繊維
72 短繊維
73 光触媒
100 浄化装置

Claims (13)

  1. 短繊維が絡まり合って塊状をなし、前記短繊維には光触媒が付着した繊維構造体。
  2. 前記短繊維は、表面が多孔質のガラス繊維である請求項1に記載の繊維構造体。
  3. 前記短繊維は、平均径0.3〜20μm、平均長さ0.1〜10mmである請求項1または2に記載の繊維構造体。
  4. 前記光触媒は、二酸化チタンからなるものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維構造体。
  5. 前記繊維構造体の外形形状が球形または楕円体形である請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維構造体。
  6. 前記光触媒の付着率が0.05〜40質量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維構造体。
  7. 前記光触媒と前記短繊維とがTi−O−Si結合で結合されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維構造体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維構造体を複数有する群における前記繊維構造体の最大径の平均が30mm以下である繊維構造体群。
  9. 短繊維に光触媒を含有するコーティング溶液を塗布し、造粒機を用いて前記短繊維を塊状に成形する繊維構造体の製造方法。
  10. 短繊維のスラリー中に光触媒を含有するコーティング溶液を添加し、これらを撹拌することにより前記短繊維を塊状に成形する繊維構造体の製造方法。
  11. 前記コーティング溶液は、金属アルコキシド、金属塩化物、金属硫化物ないし金属酢酸塩と、樹脂とを含有する溶液であって、
    前記短繊維を塊状に成形した後に、その塊を焼成する請求項9または10に記載の繊維構造体の製造方法。
  12. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維構造体または請求項8に記載の繊維構造体群を用いた浄化装置。
  13. 前記繊維構造体または前記繊維構造体群が通気性のある容器に詰められている請求項12に記載の浄化装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108262031A (zh) * 2017-01-04 2018-07-10 中国计量大学 一种降解甲醛的玻璃纤维无纺布固载型光催化材料的制备方法与应用

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