JP2004159575A - 魚の養殖装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】極めて安全に使用して、魚の病気が蔓延するのを有効に防止する。
【解決手段】魚の養殖装置は、魚を養殖する養殖領域1の水中に光を放射する複数の青色系発光ダイオード2を設けると共に、この青色系発光ダイオード2を点灯する電源3を青色系発光ダイオード2に接続している。青色系発光ダイオード2は、夜間あるいは曇って暗くなったときに点灯してその他の時は消灯する等して不連続に点灯し、あるいは一日中連続して養殖領域1の水中に青色光を放射して魚の病気を防止する。
【選択図】 図3
【解決手段】魚の養殖装置は、魚を養殖する養殖領域1の水中に光を放射する複数の青色系発光ダイオード2を設けると共に、この青色系発光ダイオード2を点灯する電源3を青色系発光ダイオード2に接続している。青色系発光ダイオード2は、夜間あるいは曇って暗くなったときに点灯してその他の時は消灯する等して不連続に点灯し、あるいは一日中連続して養殖領域1の水中に青色光を放射して魚の病気を防止する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚を養殖池等の養殖領域で養殖する養殖装置に関し、とくに、鮎等の川魚からハマチ等の海魚まで、狭い養殖領域で魚を養殖するのに最適である養殖装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
魚を養殖池等の養殖領域で生育させると、短時間に病気が蔓延して死滅してしまうことがある。養殖池が、閉鎖された領域で魚を飼育することに加えて、自然環境とは比較にならないほど高密度に魚を飼育するからである。現在、養殖池における魚の養殖は、いかに魚を死滅させないかが経営の採算を左右しているのが実状である。魚が病気で死滅するのを防止するために、膨大な量の抗生物質が魚に投与されている。抗生物質は、餌に添加して魚に投与している。魚の体内に入った抗生物質は、体外に排泄されるまでに相当な時間がかかる。抗生物質が排出されない魚を人間が食べると、人間が抗生物質を食べることになる。健康な人間が魚を食べて、不必要に抗生物質が体内に投与されることは好ましいことではないので、魚に抗生物質を与える期間を、出荷する一定の期間は禁止しているのが実状である。
【0003】
出荷前の魚に病気が発生すると、抗生物質を与えることができないので、病気の蔓延を阻止できなくなる。さらに、抗生物質は、魚の病気を常に有効に阻止できるわけではない。とくに、抗生物質は、使用するにしたがってその効力が低下する傾向がある。このため、次々と新しい抗生物質が開発されているが、つねに有効に作用する抗生物質が新しく開発されているとは限らず、現実には抗生物質で病気を防止できないこともある。
【0004】
抗生物質は、完全に魚の病気を治癒できるものではないが、養殖池で飼育される魚は、出荷されるまでにほとんど例外なく相当量の抗生物質を供与しているのが実状である。このことは、出荷されるほとんどの養殖魚に抗生物質が含まれる心配があるのみでなく、餌に添加する抗生物質量が膨大な量であるために、薬代が極めて高額になって、魚の養殖経営を極めて難しくしているのも実状である。
【0005】
このような弊害を防止するために、魚の養殖槽を殺菌する種々の方法が開発されている。これ等の方法は、殺菌にオゾンや紫外線を使用している。たとえば、下記の特許文献1には、殺菌灯を設ける養殖装置が記載される。また、特許文献2には、水を循環させる循環路にオゾン含有空気を供給する装置が記載され、さらに、特許文献3には、養殖槽の循環路に紫外線を照射すると共に、オゾンを供給して殺菌する装置が記載される。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−90636号公報
【特許文献2】
特開平7−214081号公報
【特許文献3】
特開平11−276020号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これ等の公報に記載される構造の殺菌装置が開発されているが、現実には魚の養殖池にこのような殺菌装置はほとんど使用されていないのが実状である。それは、病気を有効に阻止するのが難しいことに加えて、オゾンや紫外線が魚にも悪い影響を与えるからである。オゾンや紫外線は生物に影響を与える。このため、殺菌効果はあっても、魚の生育にも弊害を与え、さらにこれを飼育する作業者にも弊害を与える危険性もある。さらに、オゾンや紫外線を水の循環路に設けている装置は、水を殺菌するものであって、魚の病気を治癒することはできない。直接に魚にオゾンを接触させ、あるいは紫外線を照射する装置は、魚自体に弊害を与える。さらにまた、養殖槽の循環路にオゾンを供給する装置は、養殖池には使用できても、海を網材等で区画して設置してなる養殖網には使用できない。
【0008】
本発明は、従来のこのような欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、極めて安全に使用できるにもかかわらず、魚の病気が蔓延するのを有効に防止できる魚の養殖装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の魚の養殖装置は、魚を養殖する養殖領域1の水中に光を放射する複数の青色系発光ダイオード2を設けると共に、この青色系発光ダイオード2を点灯する電源3を青色系発光ダイオード2に接続している。青色系発光ダイオード2は、夜間あるいは曇って暗くなったときに点灯してその他の時は消灯する等して不連続に点灯し、あるいは一日中連続して養殖領域1の水中に青色光を放射して魚の病気を防止する。
【0010】
青色系発光ダイオード2は、放射する光のピーク波長を420〜500nmとすることができる。電源3は、青色系発光ダイオード2を、昼夜連続して点灯し、あるいはタイマー8や光センサーで夜間や暗いときにのみ不連続に点灯することができる。
【0011】
複数の青色系発光ダイオード2は、1〜100cm間隔に並べて連結することができる。複数の青色系発光ダイオード2は、線状に連結すると共に、防水構造の筒体4に収納し、この筒体4を水中に配設して、青色光を養殖領域1の水中に放射することができる。筒体4は、透明として、表面に光触媒を塗布することができる。この光触媒は、酸化チタンとすることができる。さらに、筒体4は、軸方向に分割されてなる第1ケース4Aと第2ケース4Bとで構成することができる。第1ケース4Aと第2ケース4Bは、嵌着構造で連結することができる。
【0012】
さらに、複数の青色系発光ダイオード2は、互いに連結して魚の養殖領域1の水中に配設し、直接に水中に青色光を放射することができる。水中に配設される青色系発光ダイオード2は、表面に光触媒層を設けることができる。複数の青色系発光ダイオード2は、互いに平行に配設している一対の電源リード5に、ほぼ一定の間隔で接続して水中に配設することができる。電源リード5は、絶縁材6でもって一定の間隔に連結することができる。電源リード5と青色系発光ダイオード2のリード線2Aとの接続部分の表面は、耐水塗料7で被覆することができる。電源3は、太陽光発電とすることができる。
【0013】
養殖領域1は、養殖池とすることができる。この養殖池では、たとえば、鮎を養殖することができる。さらに、養殖領域1は、海に設置してなる養殖網とすることができる。この養殖網では、ハマチ、鯛、ヒラメのいずれかを養殖することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための魚の養殖装置を例示するものであって、本発明は魚の養殖装置を下記のものに特定しない。
【0015】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0016】
本発明の養殖装置は、鮎、アメゴ、イワナ等の川魚を清澄な水の養殖池で養殖するのに適している。ただし、鰻等の養殖装置にも使用できる。さらに、本発明の養殖装置は、海に設置されて、ハマチ、鯛、ヒラメ等の海魚を養殖する養殖網に使用することもできる。したがって、本発明は、養殖する魚の種類を特定しない。
【0017】
図1ないし図3に示す魚の養殖装置は、魚を養殖する養殖領域1である養殖池の水中に光を放射する複数の青色系発光ダイオード2と、この青色系発光ダイオード2を点灯する電源3とを備える。電源3は、青色系発光ダイオード2を夜間に、あるいは曇って暗くなったときに不連続に点灯し、あるいは24時間連続して一日中点灯して水中に青色光を放射して、養殖領域1の水中を遊泳する魚の病気を防止する。
【0018】
青色系発光ダイオード2は、ピーク波長を450nmとするものが適しているが、ピーク波長を420〜500nmとするものも使用できる。青色系発光ダイオード2は、ピーク波長を420〜500nmとして、冷水病、シュードモナス症、ビブリオ病等の感染を有効に阻止できる。この波長の青色光を発光する青色系発光ダイオード2として、窒化ガリウム系の発光ダイオードが使用できる。
【0019】
青色系発光ダイオード2は、養殖領域1の水中に配設されて、水中に直接に青色光を放射する。図3の青色系発光ダイオード2は、養殖領域1の底に配設しているが、底から離して配設することもできる。この青色系発光ダイオードは、効率よく水中を遊泳する魚に青色光を照射できる。ただ、青色系発光ダイオードは、養殖領域1の水面から離して、水中に向かって青色光を照射することもできる。この構造は、青色系発光ダイオードが水中で汚れるのを少なくできる。
【0020】
図4の青色系発光ダイオード2は、防水構造の筒体4に入れて養殖領域1の水中に配置している。筒体4は、青色光を透過できるが水を透過させない透明のプラスチックホースやプラスチック筒である。筒体4は、端の開口部を水密に閉塞して水の侵入しない防水構造とし、あるいは端部を水面よりも上に引き上げて水の侵入しない防水構造としている。筒体4には、複数の青色系発光ダイオード2を直線状に連結して収納している。直線状に連結している青色系発光ダイオード2は、隣の青色系発光ダイオード2との間隔を約10cmとしている。ただし、隣の青色系発光ダイオード2との間隔は、たとえば1〜100cm、好ましくは2〜50cm、より好ましくは3〜30cmとすることもできる。
【0021】
筒体4は、図5ないし図7に示すように、筒体4の延長方向である軸方向に分割された第1ケース4Aと第2ケース4Bで構成することもできる。これらの第1ケース4Aと第2ケース4Bは、互いに連結されて筒状に形成されて、線状に連結された複数の青色系発光ダイオード2を内部に配設できるようにしている。
【0022】
図5と図6に示す筒体4は、第1ケース4Aと第2ケース4Bの断面形状を、略C字状としている。この形状の第1ケース4Aと第2ケース4Bは、たとえば、円筒状のプラスチックホースやプラスチック筒の外周面の一部を軸方向に延長して切除して簡単に製作できる。ただ、第1ケースと第2ケースは、必ずしも円筒状の筒体を部分的に切除した形状とする必要はなく、楕円筒状、角筒状の筒体を部分的に切除した形状とすることもできる。図に示す筒体4は、第1ケース4Aを第2ケース4Bの内側に配設している。したがって、第1ケース4Aの外形を第2ケース4Bの内形にほぼ等しく、あるいはやや大きくして、互いに密着させて連結できるようにしている。さらに、第1ケース4Aと第2ケース4Bは、各々の両側部分を互いに積層する状態で連結している。このように両側部を互いに積層して密着状態に連結される第1ケース4Aと第2ケース4Bは、強固に連結してケースが不意に外れるのを防止できると共に、水が浸入しない防水構造にできる特長がある。この筒体4は、第2ケース4Bの開口縁部を図6の矢印で示す方向に弾性変形させて開口部を拡開する状態で、第2ケース4Bの内側に第1ケース4Aを挿入して、第1ケース4Aと第2ケース4Bとを嵌着させる。第2ケース4Bの内側に挿入された第1ケース4Aは、第2ケース4Bの復元力で積層部分が押圧されて、強固に連結される。
【0023】
図7に示す筒体4は、第1ケース4Aの両側縁部に、第2ケース4Bの側縁部を挿入できる嵌着凹部4aを設けている。第1ケース4Aは、断面形状を略半円形としており、その両側縁部に、内側開口の嵌着凹部4aを設けている。第2ケース4Bは、断面形状を波形として、その両側縁部を第1ケース4Aの嵌着凹部4aに挿入する形状としている。ただ、第2ケースは、両側縁部に、嵌着凹部に嵌入される嵌着凸部を設けることもできる。図に示す形状の第1ケース4Aと第2ケース4Bは、第1ケース4Aの両側縁部を外側に弾性変形させ、あるいは第2ケース4Bを内側に弾性変形させ、あるいはまた両方を弾性変形させて互いに連結できる。ただ、第1ケースと第2ケースは、必ずしも嵌着構造で連結する必要はなく、接着または溶着して連結することもできる。
【0024】
さらに、以上の構造の筒体4は、図5の鎖線で示すように、吊り金具19を設けることができる。吊り金具19は、一端にループを有する形状で、他端を第1ケースまたは第2ケースに、穴加工あるいは接着して固定される。この筒体4は、吊り金具19を介して吊り下げて、水中に配設し、また水中から取り出しできるので、青色系発光ダイオード2のリードや電源リード5にかかる負担を軽減して断線等の故障を極減できる特長がある。
【0025】
さらにまた、以上の構造の筒体4は、図8に示す構造で、青色系発光ダイオード2を筒体4に配置することができる。この図に示す筒体4は、第1ケース4Aに複数の貫通孔20を開口しており、これらの貫通孔20に青色系発光ダイオード2を挿入して配置している。複数の貫通孔20は、第1ケース4Aの底部に、筒体4の延長方向に離して一定の間隔で開口している。貫通孔20は、青色系発光ダイオード2の外形にほぼ等しい内形、あるいは、やや小さい内形に開口しており、挿入された青色系発光ダイオード2を位置決めしながら保持できるようにしている。青色系発光ダイオード2は、貫通孔20に密着する状態で挿入して、水密に固定することができるが、好ましくは、接着剤で接着して固定される。以上のように、青色系発光ダイオード2を筒体4に固定する構造は、筒体4の向きを調整することによって、光の照射方向を特定できる特長がある。とくに、青色系発光ダイオード2として、先端に集光レンズを有するタイプのものを使用する場合には、より効果的に青色光を目標方向に照射できる。さらに、この構造は、青色系発光ダイオード2の先端部を筒体4から表出する状態で配置するので、必ずしも筒体を透明とする必要はなく、光を透過しない筒体も使用できる。
【0026】
以上のように、軸方向に分割された第1ケース4Aと第2ケース4Bとで構成される筒体4は、線状に連結された青色系発光ダイオード2を一方のケースに配設した状態で他方のケースで閉塞して互いに連結できるので、数mから数十mと長く連結された青色系発光ダイオード2であっても、極めて容易に内部に配設できる特長がある。さらに、第1ケース4Aと第2ケース4Bとを嵌着させて脱着自在に連結する構造の筒体4は、内部に配設された青色系発光ダイオード2が故障し、あるいは、リード等に断線等の不良が発生した場合においても、筒体4を部分的に開いて、故障部分のみを取り出して楽に補修できる特長がある。さらにまた、以上の構造の筒体は、線状に連結された青色系発光ダイオードを容易に配設できるので、魚の養殖装置だけでなく、複数の青色系発光ダイオードを線状に配設する他の装置、たとえば、イチゴ等の果実、野菜、花等の栽培装置にも使用することができる。
【0027】
水中に配設される筒体4は、使用するにしたがって表面が汚れる。この汚れは、筒体4の表面に光触媒を塗布して防止できる。光触媒が汚れを分解して綺麗にするからである。光触媒には、酸化チタンが使用される。
【0028】
青色系発光ダイオード2は点灯電圧が低いので、筒体4に入れることなく、水中に配設することもできる。図9は、水中に設置する青色系発光ダイオード2を示している。この図の青色系発光ダイオード2は、互いに連結されて養殖領域1の水中に配設されて、筒体を透過させることなく、水中に直接に青色光を放射する。この構造は、青色系発光ダイオード2が直接に水中に青色光を放射するので、光の放射効率を高くできる特長がある。この青色系発光ダイオード2も、表面に酸化チタン等の光触媒層を設けて、表面に汚れを少なくできる。
【0029】
図9の青色系発光ダイオード2は、互いに平行に配設している一対の電源リード5に、一定の間隔で連結している。一対の電源リード5は、絶縁材6でもって一定の間隔に連結している。電源リード5と青色系発光ダイオード2のリード線2Aは、半田付けしてしっかりと連結できる。ただ、青色系発光ダイオード2のリード線2Aはスポット溶接やかしめ構造で電源リード5に連結することもできる。電源リード5と青色系発光ダイオード2のリード線2Aとの接続部分は、図9の鎖線で示すように、その表面を耐水塗料7で被覆して、水中における腐食を防止できる。
【0030】
図10の回路図に示す電源3は、青色系発光ダイオード2の点灯時間を特定するタイマー8と、このタイマー8を介して商用電源10に接続されるトランス9と、トランス9の2次側に接続されてトランス9から出力される交流を直流に変換するダイオード11と、このダイオード11の出力側に接続している平滑用のコンデンサー12と、青色系発光ダイオード2に流れる電流を制御する定電流回路13とを備えている。この電源3は、商用電源10である100または200Vの交流を、トランス9で青色系発光ダイオード2の点灯電圧に変換し、ダイオードブリッジと平滑用のコンデンサー12で直流に変換し、定電流回路13で青色系発光ダイオード2に規定の電流を流して点灯する。
【0031】
この回路図の電源3は、青色系発光ダイオード2を夜間に点灯する24時間タイマー8を備えている。このタイマー8は、青色系発光ダイオード2を点灯する夜間時間を記憶しており、記憶時間になると青色系発光ダイオード2を点灯する。さらに、電源は、図示しないが、タイマーに代わって光センサーを設けて、この光センサーで青色系発光ダイオードの点灯を制御することもできる。この電源は、光センサーからの信号で辺りが暗くなったことを検出して、青色系発光ダイオードを点灯する。ただ、電源3は、必ずしもタイマー8や光センサーを備える必要はなく、24時間連続して一日中青色系発光ダイオード2を点灯することもできる。
【0032】
電源は、太陽光発電とすることもできる。この電源は、図示しないが、太陽電池を備え、太陽電池で発電される電力で青色系発光ダイオードを点灯することができる。太陽光発電の電源は、昼間に太陽電池で発電される電力を二次電池に蓄えて、この二次電池の電力で夜間に青色系発光ダイオードを点灯することができる。この電源は、商用電源を必要としないので、ランニングコストを低減できる特長がある。ただ、電源は、太陽光発電と商用電源を併用することもできる。太陽光発電と商用電源を併用する電源は、太陽電池による発電量が不足するときに商用電源からの電力を使用することができる。この電源は、季節や天候に左右されることなく、安定して青色系発光ダイオードを点灯できる。さらに、24時間連続して青色系発光ダイオードを点灯する電源においては、昼間に太陽電池で発電される電力で青色系発光ダイオードを点灯し、夜間には商用電源で青色系発光ダイオードを点灯することができる。この電源は、二次電池や充電回路を必要としないので、回路構成を簡単にしながらランニングコストを低減できる。
【0033】
図4と図9の青色系発光ダイオード2は、全てを並列に接続している。ただ、複数の青色系発光ダイオードは、図11に示すように直列、並列に接続して電源3に接続することもできる。
【0034】
養殖領域1に設置される青色系発光ダイオード2の個数は、養殖領域1の大きさを考慮して最適個数に設定される。たとえば、青色系発光ダイオード2の個数は、1平方メートルに対して1〜100個、好ましくは1〜30個、さらに好ましくは1〜10個とする。青色系発光ダイオード2の個数を多くすると、効率よく魚への病気の感染を防止できるが、設備コストとランニングコストが高くなる。したがって、経済性と病気の蔓延を阻止できる効果と、魚の種類とを考慮して前述の範囲の個数とする。
【0035】
ちなみに、本発明者等が実験したところ、10×10mの養殖池であって水深を100cmとする鮎の養殖池に、20000匹の稚鮎を入れて出荷するまで生育させたとき、養殖池の水中に600個の青色系発光ダイオードを線状に連結して底に設置して、この青色系発光ダイオードで青色光を24時間連続して照射した養殖池では、抗生物質を使用することなく出荷するまで鮎を生育できた。なお、同じ時期に同じ水域で採取した稚鮎を別の養殖池において、青色系発光ダイオードで青色光を照射する以外、同じ環境で出荷するまで飼育したところ、青色系発光ダイオードを設置しない養殖池の鮎は、病気の蔓延を防止するために、抗生物質を使用する必要があった。
【0036】
さらに、鮎に代わって、アメゴやイワナ等の川魚で行った実験においても、鮎の時と同様の結果が得られた。とくに、鮎、イワナ、アメゴ等の川魚は、閉鎖された養殖池に多量の水を供給、排水し、あるいはフィルターで濾過して清澄な水で養殖するので、青色系発光ダイオードを使用して、病気の蔓延を有効に防止できる。それは、青色光が清澄な水をよく透過して、魚に照射されるからである。
【0037】
図1ないし図3に示す養殖装置は、養殖領域1として、養殖池を使用している。養殖池である養殖領域1は、鮎、アメゴ等の川魚、あるいはヒラメ等の海魚、さらには、種々の魚の稚魚を養殖することができる。ただ、本発明の魚の養殖装置は、養殖領域を養殖池に特定しない。本発明の養殖装置は、養殖領域として、海に設置してなる養殖網を使用することもできる。
【0038】
養殖領域を養殖網とする養殖装置を図12ないし図14に示す。これらの図に示す養殖装置は、海に養殖網を設置して養殖領域1としている。養殖網は、海の所定の領域を網14で囲んで区画して設置される。これらの図に示す養殖装置も、海中に光を照射する複数の青色系発光ダイオード2を備え、これらの青色系発光ダイオード2を電源3で点灯している。
【0039】
図12に示す養殖網は、筒状に連結された網14を海中に配設して養殖領域1を設けている。図の養殖網は、4面からなる側面と底面に網14を配設して、その内部を魚が生息する養殖領域1としている。ただ、養殖網は、円筒状とすることもできる。さらに、図の養殖装置は、線状に連結してなる青色系発光ダイオード2を海中に配置している。これらの青色系発光ダイオード2は、図4に示すように、透明で防水構造の筒体4に入れて海中に配置している。ただ、青色系発光ダイオードは、筒体を使用することなく、図9に示す構造で海中に直接に配置することもできる。
【0040】
青色系発光ダイオード2が線状に配置され筒体4は、一端を海中に沈めて、他端を海面側に残して、最も簡単に海中に配設できる。青色系発光ダイオード2を入れた筒体4は、複数本を海中に配設して効率よく海中に青色光を放射できる。図に示す養殖装置は、4本の筒体4を、養殖網の底面の四隅から中央部の海面まで延長して配置している。4本の筒体4は、中央部の海面に浮設してなる浮き15に上端を連結しており、ここから電源3に接続している。図の養殖装置は、4本の筒体4を配置しているが、筒体は3本以下とすることも、5本以上とすることもできる。
【0041】
さらに、図13と図14に示す養殖網は、養殖領域1を上下に分割して、それぞれの養殖領域1で異なる種類の魚を養殖できるようにしている。図の養殖網は、海中深くまで延長して配置している筒状の網14の中間部に区画網16を配設して養殖領域1を上下に分割している。この構造の養殖網は、たとえば、上側の養殖領域1でハマチ等の魚を、下側の養殖領域1で鯛等の魚を養殖することができる。
【0042】
さらに、図13に示す養殖装置は、青色系発光ダイオード2を線状に配置してなる筒体4を、海面から海中に垂直の姿勢で沈めて配置している。筒体4は、海面から上側の養殖領域1を通過して、下側の養殖領域1まで延長して配置している。さらに、養殖装置は、複数本の筒体4を配置しており、それぞれの筒体4は養殖網の外周部に配置している。このように養殖網の外周部に、垂直の姿勢で配置される筒体4は、養殖領域1を遊泳する魚が接触するのを有効に防止できるので、魚が傷つくのを有効に防止できる特長がある。
【0043】
さらに、図14に示す養殖装置は、複数の青色系発光ダイオード2を固定してなる筒状体17を海中に沈めて養殖領域1に配置している。図の養殖装置は、上下の養殖領域1に、それぞれ筒状体17を配設している。上下の筒状体17は、連結部材18で連結されており、ともに養殖領域1の中心部に配置されている。この養殖装置は、養殖領域1の中心部に配設された複数の青色系発光ダイオード2から照射される青色光を、海中を遊泳する魚に効率よく照射できる。ただ、筒状体は、必ずしも養殖領域の中心部に配設する必要はなく、養殖領域の外周部に配設することも、養殖領域の上部や底部に配設することもできる。さらに、一つの養殖領域に対して複数の筒状体を配置することもできる。
【0044】
筒状体17は、たとえば、プラスチックボードを筒状に成形したものである。この筒状体17は、図15に示すように、外周面に複数の青色系発光ダイオード2を固定している。筒状に成形してなる筒状体17は、外周面に固定した青色系発光ダイオード2のリード線を筒状体17の内部で接続して配線できる。さらに、筒状体17は、上下の開口面を水密に密閉して防水構造にできる。さらに、筒状体17は、透明カバー(図示せず)で被覆して防水することもできる。図の筒状体17は、円筒状としている。円筒状の筒状体17は、外周面に固定された青色系発光ダイオード2の光を放射状に照射できるので、養殖領域1を効率よく照射できる特長がある。とくに、透明のプラスチックで成形してなる筒状体は、より効率よく周囲に青色光を照射できる特長がある。ただ、筒状体は、多角柱状、楕円柱状、球状、錘状とすることもできる。
【0045】
【発明の効果】
本発明の魚の養殖装置は、狭い養殖領域に多量の魚を養殖しながら、魚の病気の蔓延を極めて安全に防止できる特長がある。それは、本発明の養殖装置が、養殖領域の水中に光を照射する複数の青色系発光ダイオードを備え、この青色系発光ダイオードから照射される青色光を養殖領域の魚に照射しているからである。狭い養殖領域で多量の魚を養殖すると、種々の病気に感染しやすく、養殖領域でいずれかの魚が病気に感染すると、数日でほとんどの魚に感染して多量の魚を死滅させることがある。本発明の養殖装置は、青色系発光ダイオードから放射される青色光を水中に照射する。この青色光は、魚の体表面に照射されて、魚の体表面に感染している病気に直接に作用して、これの蔓延を有効に阻止する。このため、本発明の養殖装置は、狭い養殖領域で多量に養殖している魚が病気に感染しても、これが他の魚に蔓延するのを有効に阻止できる。
【0046】
このように、本発明の魚の養殖装置は、青色系発光ダイオードの青色光を魚の体表面に照射して、病気の蔓延を有効に阻止するので、従来のように多量の抗生物質を魚に投与することなく、抗生物質に全く汚染されない魚を生育できる特長がある。このことは、消費者に安全な魚を提供できると共に、膨大な抗生物質の経費を節約して、魚の生育経費を著しく低減できる特長がある。また、青色系発光ダイオードは、青色光のみを効率よく発光するので消費電力が極めて小さく、これを点灯する電力費を低減してランニングコストを著しく経済的にできる特長もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる魚の養殖装置の平面図
【図2】本発明の他の実施例にかかる魚の養殖装置の平面図
【図3】本発明の一実施例にかかる魚の養殖装置の概略断面図
【図4】複数の青色系発光ダイオードを連結して養殖領域の水中に配置する一例を示す断面斜視図
【図5】複数の青色系発光ダイオードを配設する筒体の他の一例を示す分解斜視図
【図6】図5に示す筒体の連結構造を示す横断面図
【図7】複数の青色系発光ダイオードを配設する筒体の他の一例を示す分解斜視図
【図8】複数の青色系発光ダイオードを筒体に配設する一例を示す分解斜視図
【図9】複数の青色系発光ダイオードを連結して養殖領域の水中に配置する他の一例を示す断面斜視図
【図10】青色系発光ダイオードを点灯する電源の一例を示す回路図
【図11】複数の青色系発光ダイオードを接続する他の一例を示す回路図
【図12】本発明の他の実施例にかかる魚の養殖装置の概略斜視図
【図13】本発明の他の実施例にかかる魚の養殖装置の概略断面図
【図14】本発明の他の実施例にかかる魚の養殖装置の概略断面図
【図15】図14に示す養殖装置の筒状体部分を示す拡大斜視図
【符号の説明】
1…養殖領域
2…青色系発光ダイオード 2A…リード線
3…電源
4…筒体 4A…第1ケース 4B…第2ケース
4a…嵌着凹部
5…電源リード
6…絶縁材
7…耐水塗料
8…タイマー
9…トランス
10…商用電源
11…ダイオード
12…コンデンサー
13…定電流回路
14…網
15…浮き
16…区画網
17…筒状体
18…連結部材
19…吊り金具
20…貫通孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚を養殖池等の養殖領域で養殖する養殖装置に関し、とくに、鮎等の川魚からハマチ等の海魚まで、狭い養殖領域で魚を養殖するのに最適である養殖装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
魚を養殖池等の養殖領域で生育させると、短時間に病気が蔓延して死滅してしまうことがある。養殖池が、閉鎖された領域で魚を飼育することに加えて、自然環境とは比較にならないほど高密度に魚を飼育するからである。現在、養殖池における魚の養殖は、いかに魚を死滅させないかが経営の採算を左右しているのが実状である。魚が病気で死滅するのを防止するために、膨大な量の抗生物質が魚に投与されている。抗生物質は、餌に添加して魚に投与している。魚の体内に入った抗生物質は、体外に排泄されるまでに相当な時間がかかる。抗生物質が排出されない魚を人間が食べると、人間が抗生物質を食べることになる。健康な人間が魚を食べて、不必要に抗生物質が体内に投与されることは好ましいことではないので、魚に抗生物質を与える期間を、出荷する一定の期間は禁止しているのが実状である。
【0003】
出荷前の魚に病気が発生すると、抗生物質を与えることができないので、病気の蔓延を阻止できなくなる。さらに、抗生物質は、魚の病気を常に有効に阻止できるわけではない。とくに、抗生物質は、使用するにしたがってその効力が低下する傾向がある。このため、次々と新しい抗生物質が開発されているが、つねに有効に作用する抗生物質が新しく開発されているとは限らず、現実には抗生物質で病気を防止できないこともある。
【0004】
抗生物質は、完全に魚の病気を治癒できるものではないが、養殖池で飼育される魚は、出荷されるまでにほとんど例外なく相当量の抗生物質を供与しているのが実状である。このことは、出荷されるほとんどの養殖魚に抗生物質が含まれる心配があるのみでなく、餌に添加する抗生物質量が膨大な量であるために、薬代が極めて高額になって、魚の養殖経営を極めて難しくしているのも実状である。
【0005】
このような弊害を防止するために、魚の養殖槽を殺菌する種々の方法が開発されている。これ等の方法は、殺菌にオゾンや紫外線を使用している。たとえば、下記の特許文献1には、殺菌灯を設ける養殖装置が記載される。また、特許文献2には、水を循環させる循環路にオゾン含有空気を供給する装置が記載され、さらに、特許文献3には、養殖槽の循環路に紫外線を照射すると共に、オゾンを供給して殺菌する装置が記載される。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−90636号公報
【特許文献2】
特開平7−214081号公報
【特許文献3】
特開平11−276020号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これ等の公報に記載される構造の殺菌装置が開発されているが、現実には魚の養殖池にこのような殺菌装置はほとんど使用されていないのが実状である。それは、病気を有効に阻止するのが難しいことに加えて、オゾンや紫外線が魚にも悪い影響を与えるからである。オゾンや紫外線は生物に影響を与える。このため、殺菌効果はあっても、魚の生育にも弊害を与え、さらにこれを飼育する作業者にも弊害を与える危険性もある。さらに、オゾンや紫外線を水の循環路に設けている装置は、水を殺菌するものであって、魚の病気を治癒することはできない。直接に魚にオゾンを接触させ、あるいは紫外線を照射する装置は、魚自体に弊害を与える。さらにまた、養殖槽の循環路にオゾンを供給する装置は、養殖池には使用できても、海を網材等で区画して設置してなる養殖網には使用できない。
【0008】
本発明は、従来のこのような欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、極めて安全に使用できるにもかかわらず、魚の病気が蔓延するのを有効に防止できる魚の養殖装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の魚の養殖装置は、魚を養殖する養殖領域1の水中に光を放射する複数の青色系発光ダイオード2を設けると共に、この青色系発光ダイオード2を点灯する電源3を青色系発光ダイオード2に接続している。青色系発光ダイオード2は、夜間あるいは曇って暗くなったときに点灯してその他の時は消灯する等して不連続に点灯し、あるいは一日中連続して養殖領域1の水中に青色光を放射して魚の病気を防止する。
【0010】
青色系発光ダイオード2は、放射する光のピーク波長を420〜500nmとすることができる。電源3は、青色系発光ダイオード2を、昼夜連続して点灯し、あるいはタイマー8や光センサーで夜間や暗いときにのみ不連続に点灯することができる。
【0011】
複数の青色系発光ダイオード2は、1〜100cm間隔に並べて連結することができる。複数の青色系発光ダイオード2は、線状に連結すると共に、防水構造の筒体4に収納し、この筒体4を水中に配設して、青色光を養殖領域1の水中に放射することができる。筒体4は、透明として、表面に光触媒を塗布することができる。この光触媒は、酸化チタンとすることができる。さらに、筒体4は、軸方向に分割されてなる第1ケース4Aと第2ケース4Bとで構成することができる。第1ケース4Aと第2ケース4Bは、嵌着構造で連結することができる。
【0012】
さらに、複数の青色系発光ダイオード2は、互いに連結して魚の養殖領域1の水中に配設し、直接に水中に青色光を放射することができる。水中に配設される青色系発光ダイオード2は、表面に光触媒層を設けることができる。複数の青色系発光ダイオード2は、互いに平行に配設している一対の電源リード5に、ほぼ一定の間隔で接続して水中に配設することができる。電源リード5は、絶縁材6でもって一定の間隔に連結することができる。電源リード5と青色系発光ダイオード2のリード線2Aとの接続部分の表面は、耐水塗料7で被覆することができる。電源3は、太陽光発電とすることができる。
【0013】
養殖領域1は、養殖池とすることができる。この養殖池では、たとえば、鮎を養殖することができる。さらに、養殖領域1は、海に設置してなる養殖網とすることができる。この養殖網では、ハマチ、鯛、ヒラメのいずれかを養殖することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための魚の養殖装置を例示するものであって、本発明は魚の養殖装置を下記のものに特定しない。
【0015】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0016】
本発明の養殖装置は、鮎、アメゴ、イワナ等の川魚を清澄な水の養殖池で養殖するのに適している。ただし、鰻等の養殖装置にも使用できる。さらに、本発明の養殖装置は、海に設置されて、ハマチ、鯛、ヒラメ等の海魚を養殖する養殖網に使用することもできる。したがって、本発明は、養殖する魚の種類を特定しない。
【0017】
図1ないし図3に示す魚の養殖装置は、魚を養殖する養殖領域1である養殖池の水中に光を放射する複数の青色系発光ダイオード2と、この青色系発光ダイオード2を点灯する電源3とを備える。電源3は、青色系発光ダイオード2を夜間に、あるいは曇って暗くなったときに不連続に点灯し、あるいは24時間連続して一日中点灯して水中に青色光を放射して、養殖領域1の水中を遊泳する魚の病気を防止する。
【0018】
青色系発光ダイオード2は、ピーク波長を450nmとするものが適しているが、ピーク波長を420〜500nmとするものも使用できる。青色系発光ダイオード2は、ピーク波長を420〜500nmとして、冷水病、シュードモナス症、ビブリオ病等の感染を有効に阻止できる。この波長の青色光を発光する青色系発光ダイオード2として、窒化ガリウム系の発光ダイオードが使用できる。
【0019】
青色系発光ダイオード2は、養殖領域1の水中に配設されて、水中に直接に青色光を放射する。図3の青色系発光ダイオード2は、養殖領域1の底に配設しているが、底から離して配設することもできる。この青色系発光ダイオードは、効率よく水中を遊泳する魚に青色光を照射できる。ただ、青色系発光ダイオードは、養殖領域1の水面から離して、水中に向かって青色光を照射することもできる。この構造は、青色系発光ダイオードが水中で汚れるのを少なくできる。
【0020】
図4の青色系発光ダイオード2は、防水構造の筒体4に入れて養殖領域1の水中に配置している。筒体4は、青色光を透過できるが水を透過させない透明のプラスチックホースやプラスチック筒である。筒体4は、端の開口部を水密に閉塞して水の侵入しない防水構造とし、あるいは端部を水面よりも上に引き上げて水の侵入しない防水構造としている。筒体4には、複数の青色系発光ダイオード2を直線状に連結して収納している。直線状に連結している青色系発光ダイオード2は、隣の青色系発光ダイオード2との間隔を約10cmとしている。ただし、隣の青色系発光ダイオード2との間隔は、たとえば1〜100cm、好ましくは2〜50cm、より好ましくは3〜30cmとすることもできる。
【0021】
筒体4は、図5ないし図7に示すように、筒体4の延長方向である軸方向に分割された第1ケース4Aと第2ケース4Bで構成することもできる。これらの第1ケース4Aと第2ケース4Bは、互いに連結されて筒状に形成されて、線状に連結された複数の青色系発光ダイオード2を内部に配設できるようにしている。
【0022】
図5と図6に示す筒体4は、第1ケース4Aと第2ケース4Bの断面形状を、略C字状としている。この形状の第1ケース4Aと第2ケース4Bは、たとえば、円筒状のプラスチックホースやプラスチック筒の外周面の一部を軸方向に延長して切除して簡単に製作できる。ただ、第1ケースと第2ケースは、必ずしも円筒状の筒体を部分的に切除した形状とする必要はなく、楕円筒状、角筒状の筒体を部分的に切除した形状とすることもできる。図に示す筒体4は、第1ケース4Aを第2ケース4Bの内側に配設している。したがって、第1ケース4Aの外形を第2ケース4Bの内形にほぼ等しく、あるいはやや大きくして、互いに密着させて連結できるようにしている。さらに、第1ケース4Aと第2ケース4Bは、各々の両側部分を互いに積層する状態で連結している。このように両側部を互いに積層して密着状態に連結される第1ケース4Aと第2ケース4Bは、強固に連結してケースが不意に外れるのを防止できると共に、水が浸入しない防水構造にできる特長がある。この筒体4は、第2ケース4Bの開口縁部を図6の矢印で示す方向に弾性変形させて開口部を拡開する状態で、第2ケース4Bの内側に第1ケース4Aを挿入して、第1ケース4Aと第2ケース4Bとを嵌着させる。第2ケース4Bの内側に挿入された第1ケース4Aは、第2ケース4Bの復元力で積層部分が押圧されて、強固に連結される。
【0023】
図7に示す筒体4は、第1ケース4Aの両側縁部に、第2ケース4Bの側縁部を挿入できる嵌着凹部4aを設けている。第1ケース4Aは、断面形状を略半円形としており、その両側縁部に、内側開口の嵌着凹部4aを設けている。第2ケース4Bは、断面形状を波形として、その両側縁部を第1ケース4Aの嵌着凹部4aに挿入する形状としている。ただ、第2ケースは、両側縁部に、嵌着凹部に嵌入される嵌着凸部を設けることもできる。図に示す形状の第1ケース4Aと第2ケース4Bは、第1ケース4Aの両側縁部を外側に弾性変形させ、あるいは第2ケース4Bを内側に弾性変形させ、あるいはまた両方を弾性変形させて互いに連結できる。ただ、第1ケースと第2ケースは、必ずしも嵌着構造で連結する必要はなく、接着または溶着して連結することもできる。
【0024】
さらに、以上の構造の筒体4は、図5の鎖線で示すように、吊り金具19を設けることができる。吊り金具19は、一端にループを有する形状で、他端を第1ケースまたは第2ケースに、穴加工あるいは接着して固定される。この筒体4は、吊り金具19を介して吊り下げて、水中に配設し、また水中から取り出しできるので、青色系発光ダイオード2のリードや電源リード5にかかる負担を軽減して断線等の故障を極減できる特長がある。
【0025】
さらにまた、以上の構造の筒体4は、図8に示す構造で、青色系発光ダイオード2を筒体4に配置することができる。この図に示す筒体4は、第1ケース4Aに複数の貫通孔20を開口しており、これらの貫通孔20に青色系発光ダイオード2を挿入して配置している。複数の貫通孔20は、第1ケース4Aの底部に、筒体4の延長方向に離して一定の間隔で開口している。貫通孔20は、青色系発光ダイオード2の外形にほぼ等しい内形、あるいは、やや小さい内形に開口しており、挿入された青色系発光ダイオード2を位置決めしながら保持できるようにしている。青色系発光ダイオード2は、貫通孔20に密着する状態で挿入して、水密に固定することができるが、好ましくは、接着剤で接着して固定される。以上のように、青色系発光ダイオード2を筒体4に固定する構造は、筒体4の向きを調整することによって、光の照射方向を特定できる特長がある。とくに、青色系発光ダイオード2として、先端に集光レンズを有するタイプのものを使用する場合には、より効果的に青色光を目標方向に照射できる。さらに、この構造は、青色系発光ダイオード2の先端部を筒体4から表出する状態で配置するので、必ずしも筒体を透明とする必要はなく、光を透過しない筒体も使用できる。
【0026】
以上のように、軸方向に分割された第1ケース4Aと第2ケース4Bとで構成される筒体4は、線状に連結された青色系発光ダイオード2を一方のケースに配設した状態で他方のケースで閉塞して互いに連結できるので、数mから数十mと長く連結された青色系発光ダイオード2であっても、極めて容易に内部に配設できる特長がある。さらに、第1ケース4Aと第2ケース4Bとを嵌着させて脱着自在に連結する構造の筒体4は、内部に配設された青色系発光ダイオード2が故障し、あるいは、リード等に断線等の不良が発生した場合においても、筒体4を部分的に開いて、故障部分のみを取り出して楽に補修できる特長がある。さらにまた、以上の構造の筒体は、線状に連結された青色系発光ダイオードを容易に配設できるので、魚の養殖装置だけでなく、複数の青色系発光ダイオードを線状に配設する他の装置、たとえば、イチゴ等の果実、野菜、花等の栽培装置にも使用することができる。
【0027】
水中に配設される筒体4は、使用するにしたがって表面が汚れる。この汚れは、筒体4の表面に光触媒を塗布して防止できる。光触媒が汚れを分解して綺麗にするからである。光触媒には、酸化チタンが使用される。
【0028】
青色系発光ダイオード2は点灯電圧が低いので、筒体4に入れることなく、水中に配設することもできる。図9は、水中に設置する青色系発光ダイオード2を示している。この図の青色系発光ダイオード2は、互いに連結されて養殖領域1の水中に配設されて、筒体を透過させることなく、水中に直接に青色光を放射する。この構造は、青色系発光ダイオード2が直接に水中に青色光を放射するので、光の放射効率を高くできる特長がある。この青色系発光ダイオード2も、表面に酸化チタン等の光触媒層を設けて、表面に汚れを少なくできる。
【0029】
図9の青色系発光ダイオード2は、互いに平行に配設している一対の電源リード5に、一定の間隔で連結している。一対の電源リード5は、絶縁材6でもって一定の間隔に連結している。電源リード5と青色系発光ダイオード2のリード線2Aは、半田付けしてしっかりと連結できる。ただ、青色系発光ダイオード2のリード線2Aはスポット溶接やかしめ構造で電源リード5に連結することもできる。電源リード5と青色系発光ダイオード2のリード線2Aとの接続部分は、図9の鎖線で示すように、その表面を耐水塗料7で被覆して、水中における腐食を防止できる。
【0030】
図10の回路図に示す電源3は、青色系発光ダイオード2の点灯時間を特定するタイマー8と、このタイマー8を介して商用電源10に接続されるトランス9と、トランス9の2次側に接続されてトランス9から出力される交流を直流に変換するダイオード11と、このダイオード11の出力側に接続している平滑用のコンデンサー12と、青色系発光ダイオード2に流れる電流を制御する定電流回路13とを備えている。この電源3は、商用電源10である100または200Vの交流を、トランス9で青色系発光ダイオード2の点灯電圧に変換し、ダイオードブリッジと平滑用のコンデンサー12で直流に変換し、定電流回路13で青色系発光ダイオード2に規定の電流を流して点灯する。
【0031】
この回路図の電源3は、青色系発光ダイオード2を夜間に点灯する24時間タイマー8を備えている。このタイマー8は、青色系発光ダイオード2を点灯する夜間時間を記憶しており、記憶時間になると青色系発光ダイオード2を点灯する。さらに、電源は、図示しないが、タイマーに代わって光センサーを設けて、この光センサーで青色系発光ダイオードの点灯を制御することもできる。この電源は、光センサーからの信号で辺りが暗くなったことを検出して、青色系発光ダイオードを点灯する。ただ、電源3は、必ずしもタイマー8や光センサーを備える必要はなく、24時間連続して一日中青色系発光ダイオード2を点灯することもできる。
【0032】
電源は、太陽光発電とすることもできる。この電源は、図示しないが、太陽電池を備え、太陽電池で発電される電力で青色系発光ダイオードを点灯することができる。太陽光発電の電源は、昼間に太陽電池で発電される電力を二次電池に蓄えて、この二次電池の電力で夜間に青色系発光ダイオードを点灯することができる。この電源は、商用電源を必要としないので、ランニングコストを低減できる特長がある。ただ、電源は、太陽光発電と商用電源を併用することもできる。太陽光発電と商用電源を併用する電源は、太陽電池による発電量が不足するときに商用電源からの電力を使用することができる。この電源は、季節や天候に左右されることなく、安定して青色系発光ダイオードを点灯できる。さらに、24時間連続して青色系発光ダイオードを点灯する電源においては、昼間に太陽電池で発電される電力で青色系発光ダイオードを点灯し、夜間には商用電源で青色系発光ダイオードを点灯することができる。この電源は、二次電池や充電回路を必要としないので、回路構成を簡単にしながらランニングコストを低減できる。
【0033】
図4と図9の青色系発光ダイオード2は、全てを並列に接続している。ただ、複数の青色系発光ダイオードは、図11に示すように直列、並列に接続して電源3に接続することもできる。
【0034】
養殖領域1に設置される青色系発光ダイオード2の個数は、養殖領域1の大きさを考慮して最適個数に設定される。たとえば、青色系発光ダイオード2の個数は、1平方メートルに対して1〜100個、好ましくは1〜30個、さらに好ましくは1〜10個とする。青色系発光ダイオード2の個数を多くすると、効率よく魚への病気の感染を防止できるが、設備コストとランニングコストが高くなる。したがって、経済性と病気の蔓延を阻止できる効果と、魚の種類とを考慮して前述の範囲の個数とする。
【0035】
ちなみに、本発明者等が実験したところ、10×10mの養殖池であって水深を100cmとする鮎の養殖池に、20000匹の稚鮎を入れて出荷するまで生育させたとき、養殖池の水中に600個の青色系発光ダイオードを線状に連結して底に設置して、この青色系発光ダイオードで青色光を24時間連続して照射した養殖池では、抗生物質を使用することなく出荷するまで鮎を生育できた。なお、同じ時期に同じ水域で採取した稚鮎を別の養殖池において、青色系発光ダイオードで青色光を照射する以外、同じ環境で出荷するまで飼育したところ、青色系発光ダイオードを設置しない養殖池の鮎は、病気の蔓延を防止するために、抗生物質を使用する必要があった。
【0036】
さらに、鮎に代わって、アメゴやイワナ等の川魚で行った実験においても、鮎の時と同様の結果が得られた。とくに、鮎、イワナ、アメゴ等の川魚は、閉鎖された養殖池に多量の水を供給、排水し、あるいはフィルターで濾過して清澄な水で養殖するので、青色系発光ダイオードを使用して、病気の蔓延を有効に防止できる。それは、青色光が清澄な水をよく透過して、魚に照射されるからである。
【0037】
図1ないし図3に示す養殖装置は、養殖領域1として、養殖池を使用している。養殖池である養殖領域1は、鮎、アメゴ等の川魚、あるいはヒラメ等の海魚、さらには、種々の魚の稚魚を養殖することができる。ただ、本発明の魚の養殖装置は、養殖領域を養殖池に特定しない。本発明の養殖装置は、養殖領域として、海に設置してなる養殖網を使用することもできる。
【0038】
養殖領域を養殖網とする養殖装置を図12ないし図14に示す。これらの図に示す養殖装置は、海に養殖網を設置して養殖領域1としている。養殖網は、海の所定の領域を網14で囲んで区画して設置される。これらの図に示す養殖装置も、海中に光を照射する複数の青色系発光ダイオード2を備え、これらの青色系発光ダイオード2を電源3で点灯している。
【0039】
図12に示す養殖網は、筒状に連結された網14を海中に配設して養殖領域1を設けている。図の養殖網は、4面からなる側面と底面に網14を配設して、その内部を魚が生息する養殖領域1としている。ただ、養殖網は、円筒状とすることもできる。さらに、図の養殖装置は、線状に連結してなる青色系発光ダイオード2を海中に配置している。これらの青色系発光ダイオード2は、図4に示すように、透明で防水構造の筒体4に入れて海中に配置している。ただ、青色系発光ダイオードは、筒体を使用することなく、図9に示す構造で海中に直接に配置することもできる。
【0040】
青色系発光ダイオード2が線状に配置され筒体4は、一端を海中に沈めて、他端を海面側に残して、最も簡単に海中に配設できる。青色系発光ダイオード2を入れた筒体4は、複数本を海中に配設して効率よく海中に青色光を放射できる。図に示す養殖装置は、4本の筒体4を、養殖網の底面の四隅から中央部の海面まで延長して配置している。4本の筒体4は、中央部の海面に浮設してなる浮き15に上端を連結しており、ここから電源3に接続している。図の養殖装置は、4本の筒体4を配置しているが、筒体は3本以下とすることも、5本以上とすることもできる。
【0041】
さらに、図13と図14に示す養殖網は、養殖領域1を上下に分割して、それぞれの養殖領域1で異なる種類の魚を養殖できるようにしている。図の養殖網は、海中深くまで延長して配置している筒状の網14の中間部に区画網16を配設して養殖領域1を上下に分割している。この構造の養殖網は、たとえば、上側の養殖領域1でハマチ等の魚を、下側の養殖領域1で鯛等の魚を養殖することができる。
【0042】
さらに、図13に示す養殖装置は、青色系発光ダイオード2を線状に配置してなる筒体4を、海面から海中に垂直の姿勢で沈めて配置している。筒体4は、海面から上側の養殖領域1を通過して、下側の養殖領域1まで延長して配置している。さらに、養殖装置は、複数本の筒体4を配置しており、それぞれの筒体4は養殖網の外周部に配置している。このように養殖網の外周部に、垂直の姿勢で配置される筒体4は、養殖領域1を遊泳する魚が接触するのを有効に防止できるので、魚が傷つくのを有効に防止できる特長がある。
【0043】
さらに、図14に示す養殖装置は、複数の青色系発光ダイオード2を固定してなる筒状体17を海中に沈めて養殖領域1に配置している。図の養殖装置は、上下の養殖領域1に、それぞれ筒状体17を配設している。上下の筒状体17は、連結部材18で連結されており、ともに養殖領域1の中心部に配置されている。この養殖装置は、養殖領域1の中心部に配設された複数の青色系発光ダイオード2から照射される青色光を、海中を遊泳する魚に効率よく照射できる。ただ、筒状体は、必ずしも養殖領域の中心部に配設する必要はなく、養殖領域の外周部に配設することも、養殖領域の上部や底部に配設することもできる。さらに、一つの養殖領域に対して複数の筒状体を配置することもできる。
【0044】
筒状体17は、たとえば、プラスチックボードを筒状に成形したものである。この筒状体17は、図15に示すように、外周面に複数の青色系発光ダイオード2を固定している。筒状に成形してなる筒状体17は、外周面に固定した青色系発光ダイオード2のリード線を筒状体17の内部で接続して配線できる。さらに、筒状体17は、上下の開口面を水密に密閉して防水構造にできる。さらに、筒状体17は、透明カバー(図示せず)で被覆して防水することもできる。図の筒状体17は、円筒状としている。円筒状の筒状体17は、外周面に固定された青色系発光ダイオード2の光を放射状に照射できるので、養殖領域1を効率よく照射できる特長がある。とくに、透明のプラスチックで成形してなる筒状体は、より効率よく周囲に青色光を照射できる特長がある。ただ、筒状体は、多角柱状、楕円柱状、球状、錘状とすることもできる。
【0045】
【発明の効果】
本発明の魚の養殖装置は、狭い養殖領域に多量の魚を養殖しながら、魚の病気の蔓延を極めて安全に防止できる特長がある。それは、本発明の養殖装置が、養殖領域の水中に光を照射する複数の青色系発光ダイオードを備え、この青色系発光ダイオードから照射される青色光を養殖領域の魚に照射しているからである。狭い養殖領域で多量の魚を養殖すると、種々の病気に感染しやすく、養殖領域でいずれかの魚が病気に感染すると、数日でほとんどの魚に感染して多量の魚を死滅させることがある。本発明の養殖装置は、青色系発光ダイオードから放射される青色光を水中に照射する。この青色光は、魚の体表面に照射されて、魚の体表面に感染している病気に直接に作用して、これの蔓延を有効に阻止する。このため、本発明の養殖装置は、狭い養殖領域で多量に養殖している魚が病気に感染しても、これが他の魚に蔓延するのを有効に阻止できる。
【0046】
このように、本発明の魚の養殖装置は、青色系発光ダイオードの青色光を魚の体表面に照射して、病気の蔓延を有効に阻止するので、従来のように多量の抗生物質を魚に投与することなく、抗生物質に全く汚染されない魚を生育できる特長がある。このことは、消費者に安全な魚を提供できると共に、膨大な抗生物質の経費を節約して、魚の生育経費を著しく低減できる特長がある。また、青色系発光ダイオードは、青色光のみを効率よく発光するので消費電力が極めて小さく、これを点灯する電力費を低減してランニングコストを著しく経済的にできる特長もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる魚の養殖装置の平面図
【図2】本発明の他の実施例にかかる魚の養殖装置の平面図
【図3】本発明の一実施例にかかる魚の養殖装置の概略断面図
【図4】複数の青色系発光ダイオードを連結して養殖領域の水中に配置する一例を示す断面斜視図
【図5】複数の青色系発光ダイオードを配設する筒体の他の一例を示す分解斜視図
【図6】図5に示す筒体の連結構造を示す横断面図
【図7】複数の青色系発光ダイオードを配設する筒体の他の一例を示す分解斜視図
【図8】複数の青色系発光ダイオードを筒体に配設する一例を示す分解斜視図
【図9】複数の青色系発光ダイオードを連結して養殖領域の水中に配置する他の一例を示す断面斜視図
【図10】青色系発光ダイオードを点灯する電源の一例を示す回路図
【図11】複数の青色系発光ダイオードを接続する他の一例を示す回路図
【図12】本発明の他の実施例にかかる魚の養殖装置の概略斜視図
【図13】本発明の他の実施例にかかる魚の養殖装置の概略断面図
【図14】本発明の他の実施例にかかる魚の養殖装置の概略断面図
【図15】図14に示す養殖装置の筒状体部分を示す拡大斜視図
【符号の説明】
1…養殖領域
2…青色系発光ダイオード 2A…リード線
3…電源
4…筒体 4A…第1ケース 4B…第2ケース
4a…嵌着凹部
5…電源リード
6…絶縁材
7…耐水塗料
8…タイマー
9…トランス
10…商用電源
11…ダイオード
12…コンデンサー
13…定電流回路
14…網
15…浮き
16…区画網
17…筒状体
18…連結部材
19…吊り金具
20…貫通孔
Claims (16)
- 魚を養殖する養殖領域(1)の水中に光を放射する複数の青色系発光ダイオード(2)と、この青色系発光ダイオード(2)を点灯する電源(3)とを備え、青色系発光ダイオード(2)が水中に青色光を放射するようにしてなる魚の養殖装置。
- 青色系発光ダイオード(2)が放射する光のピーク波長が420〜500nmである請求項1に記載される魚の養殖装置。
- 電源(3)が青色系発光ダイオード(2)を昼夜連続して点灯し、あるいはタイマー(8)もしくは光センサーで不連続に青色系発光ダイオード(2)を点灯する請求項1に記載される魚の養殖装置。
- 複数の青色系発光ダイオード(2)を1〜100cm間隔に並べて連結している請求項1に記載される魚の養殖装置。
- 複数の青色系発光ダイオード(2)を線状に連結すると共に、線状に連結している青色系発光ダイオード(2)を、防水構造の筒体(4)に収納しており、この筒体(4)を水中に配設して、青色系発光ダイオード(2)の青色光を養殖領域(1)の水中に放射するようにしてなる請求項1に記載される魚の養殖装置。
- 筒体(4)が透明で、この筒体(4)の表面に光触媒を塗布している請求項5に記載される魚の養殖装置。
- 筒体(4)を、軸方向に分割されてなる第1ケース(4A)と第2ケース(4B)で構成しており、第1ケース(4A)と第2ケース(4B)は嵌着構造で連結されてなる請求項5に記載される魚の養殖装置。
- 複数の青色系発光ダイオード(2)を互いに連結して魚の養殖領域(1)の水中に配設しており、青色系発光ダイオード(2)が直接に水中に青色光を放射するようにしてなる請求項1に記載される魚の養殖装置。
- 水中に配設される青色系発光ダイオード(2)の表面に光触媒層を設けている請求項8に記載される魚の養殖装置。
- 互いに平行に配設している一対の電源リード(5)を絶縁材(6)でもって一定の間隔に連結すると共に、電源リード(5)にほぼ一定の間隔で複数の青色系発光ダイオード(2)を接続している請求項1に記載される魚の養殖装置。
- 電源リード(5)と青色系発光ダイオード(2)のリード線(2A)との接続部分の表面を耐水塗料(7)で被覆している請求項8に記載される魚の養殖装置。
- 電源(3)が、太陽光発電である請求項1ないし11のいずれかに記載される魚の養殖装置。
- 養殖領域(1)が養殖池である請求項1に記載される魚の養殖装置。
- 養殖領域(1)が鮎の養殖池である請求項13に記載される魚の養殖装置。
- 養殖領域(1)が海に設置した養殖網である請求項1に記載される魚の養殖装置。
- 養殖領域(1)がハマチ、鯛、ヒラメのいずれかの養殖網である請求項15に記載される魚の養殖装置。
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