JP2004158681A - マスク、露光装置および露光方法 - Google Patents
マスク、露光装置および露光方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004158681A JP2004158681A JP2002323790A JP2002323790A JP2004158681A JP 2004158681 A JP2004158681 A JP 2004158681A JP 2002323790 A JP2002323790 A JP 2002323790A JP 2002323790 A JP2002323790 A JP 2002323790A JP 2004158681 A JP2004158681 A JP 2004158681A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pattern
- pattern forming
- wafer
- exposure
- mask
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
- Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
- Electron Beam Exposure (AREA)
- Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
Abstract
【課題】補強用梁部により強度を補強しつつ、2重露光よりパターンを転写することができるマスク、露光装置および露光方法を提供する。
【解決手段】電子ビームを透過させてウェーハに転写するパターンをもつパターン形成部12a,12bと、パターン形成部12a,12bを区画し、パターン形成部12a,12bの強度を補強する補強用梁部11とを有し、補強用梁部11は、ウェーハを各チップ22に分割するためのスクライブライン21に対応して配置されている。
【選択図】図2
【解決手段】電子ビームを透過させてウェーハに転写するパターンをもつパターン形成部12a,12bと、パターン形成部12a,12bを区画し、パターン形成部12a,12bの強度を補強する補強用梁部11とを有し、補強用梁部11は、ウェーハを各チップ22に分割するためのスクライブライン21に対応して配置されている。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスク、露光装置および露光方法に関し、特に荷電粒子ビームを用いた露光工程に使用するマスク、露光装置および露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトリソグラフィに代わる次世代露光技術の一つとして、低速電子線近接転写リソグラフィ(LEEPL:Low Energy Electron−beam Proximity Projection Lithography)がある。LEEPLには、厚さ数100nmのメンブレンにデバイスパターンに相当する孔が形成されたステンシルマスクが用いられる。
【0003】
マスクとウェーハとの間隔が約50μm程度となるように、マスクをウェーハ直上に設置する。2keV程度の電子線でマスクのパターン部分を走査することにより、パターンをウェーハに転写する(非特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、上記のLEEPL用マスクには、メンブレンサイズを大きくすると自重によりメンブレンがたわみ、内部応力によってパターンが歪むという問題がある。この問題を解決する一つの方法として、小区画メンブレンを補強用梁部で支持する方法がある。このような構造によれば、メンブレンが小区画に分割され、剛性の高い補強用梁部で支持される。
【0005】
【非特許文献1】
T. Utumi, Journal of Vacuum Science and Technology B 17,2897 (1999)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、LEEPLは、等倍近接露光を採用するため、補強用梁部が形成された箇所には露光できないことから、ウェーハにパターンを形成できないという問題がある。
【0007】
一方、ステンシルマスクの場合、例えばドーナツ状のパターンを形成すると、パターンで囲まれた中央部を支持できなかったり、あるいは一方向に長いパターン等を形成したときにメンブレンがたわみ、パターンの位置精度が低くなったりする。従って、半導体ウェーハに転写するパターンを分割する必要がある。
【0008】
以上のように、ステンシルマスクを用いたLEEPLでは、本来的にパターンを最低でも2分割することは必須であり、2重露光を行う必要がある。これに加え、補強用梁部が形成された箇所には露光できないことを考慮すると、例えばパターンを4分割して4重露光を行う必要があり、以下の問題がある。
【0009】
第1に、4重の相補露光になることから、マスク上のパターン形成領域が4倍になる。あるいは、別のマスクに相補パターンを形成する場合には、4枚のマスクが必要となる。第2に、4重の相補露光になることから、相補パターン間の合わせ精度が悪くなる。第3に、4重の相補分割のためのアルゴリズムが複雑になる。
以上の問題により、転写後の半導体チップの歩留りが低下するという問題がある。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、補強用梁部により強度を補強しつつ、2重露光よりパターンを転写することができるマスクを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記のマスクを備え、2重露光によりウェーハにパターンを転写することができる露光装置および露光方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のマスクは、荷電粒子ビームを透過させてウェーハに転写するパターンをもつパターン形成部と、前記パターン形成部を区画し、前記パターン形成部の強度を補強する補強用梁部とを有し、前記補強用梁部は、前記ウェーハを各チップに分割するためのスクライブラインに対応して配置されている。
【0012】
前記パターン形成部は、前記ウェーハに転写するパターンが相補分割された相補分割パターンをもつ。
【0013】
上記の本発明のマスクでは、パターン形成部を区画し、パターン形成部の強度を補強する補強用梁部は、ウェーハを各チップに分割するためのスクライブラインに対応して配置されている。従って、補強用梁部の形成領域が、各チップの領域と重なることがない。また、パターン形成部は各チップに対応することとなり、パターン形成部に形成されたパターンがそのまま各チップに転写される。
【0014】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明の露光装置は、荷電粒子ビーム照射部と、ウェーハに近接配置され前記荷電粒子ビーム照射部から照射された荷電粒子ビームを選択的に透過させるマスクとを有する露光装置であって、前記マスクは、前記荷電粒子ビームを透過させて前記ウェーハに転写するパターンをもつパターン形成部と、前記パターン形成部を区画し、前記パターン形成部の強度を補強する補強用梁部とを有し、前記補強用梁部は、前記ウェーハを各チップに分割するためのスクライブラインに対応して配置されている。
【0015】
前記パターン形成部は、前記ウェーハに転写するパターンが相補分割された相補分割パターンをもつ。
【0016】
上記の本発明の露光装置では、使用するマスクの補強用梁部は、ウェーハを各チップに分割するためのスクライブラインに対応して配置されている。従って、補強用梁部の形成領域が、各チップの領域と重なることがない。また、パターン形成部は各チップに対応することとなり、パターン形成部に形成されたパターンがそのまま各チップに転写される。
【0017】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明の露光方法は、パターン形成部と、前記パターン形成部を区画し前記パターン形成部の強度を補強する補強用梁部とを有するマスクを介して、前記パターン形成部のパターンをウェーハに転写する露光方法であって、前記補強用梁部は前記ウェーハを各チップに分割するためのスクライブラインに対応して配置され、前記パターン形成部は前記ウェーハに転写するパターンが相補分割された相補分割パターンをもち、前記パターン形成部の第1の相補分割パターンをウェーハに露光する第1の露光工程と、前記第1の露光と異なる前記パターン形成部の第2の相補分割パターンをウェーハに露光する第2の露光工程とを有する。
【0018】
上記の本発明の露光方法では、補強用梁部がウェーハを各チップに分割するためのスクライブラインに対応して配置されたマスクを用いて露光することにより、補強用梁部の形成領域が、各チップの領域と重なることがなく、2回の露光工程によりパターンがウェーハに転写される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のマスク、露光装置および露光方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
第1実施形態
図1は、本実施形態に係る電子線露光装置の一例を示す概略構成図である。図1に示す露光装置1は、荷電粒子ビーム照射部として、電子線2を生成する電子銃3の他、アパーチャ4、コンデンサレンズ5、一対の主偏向器6,7および一対の微調整用偏向器8,9を有する。
【0021】
アパーチャ4は、電子線2を制限する。コンデンサレンズ5は、電子線2を平行なビームにする。コンデンサレンズ5により集光される電子線2の断面形状は通常、円形であるが、他の断面形状であってもよい。
【0022】
主偏向器6,7および微調整用偏向器8,9は、例えば偏向コイルにより構成されており、主偏向器6,7は電子線2がステンシルマスク10の表面に対して基本的に垂直に入射するように、電子線2を偏向させる。
【0023】
微調整用偏向器8,9は、電子線2がステンシルマスク10の表面に対して垂直に、または垂直方向からわずかに傾いて入射するように、電子線2を偏向させる。電子線2の入射角は、ステンシルマスク10上のパターン位置等に応じて最適化するが、電子線2の入射角は最大でも10mrad程度であり、電子線2はステンシルマスク10にほぼ垂直に入射する。
【0024】
電子線2a〜2cは、ステンシルマスク10上を走査する電子線2が、ステンシルマスクM上の各位置にほぼ垂直に入射する様子を示し、電子線2a〜2cがステンシルマスクMに同時に入射することを示すものではない。電子線2の走査はラスタ走査とベクトル走査のいずれも可能である。
【0025】
LEEPLには低加速電子が用いられるため、パターン形成用薄膜に所定のパターンで孔13が設けられたステンシルマスク10が用いられる。図1において、ステンシルマスク10の孔13を透過した電子線2により、ウェーハ20上のレジストRが露光される。LEEPLは等倍露光であり、ステンシルマスク10とウェーハ20は近接して配置される。
【0026】
図2(a)は、ウェーハ20に形成するデバイスの設計パターンの一例であり、図2(b)は上記の設計パターンのデバイスを作製するためのステンシルマスクの概略構成図である。
【0027】
例えば、図2(a)に示すように、デバイス22が4行3列に配置されている場合を想定する。通常、各デバイス22間には、後にダイシングして半導体チップに分割するためのスクライブライン21が設けられている。スクライブライン21により各デバイス22が区画されている。
【0028】
図2(a)に示すデバイスの作製のためのステンシルマスク10には、第1の露光領域10−1と第2の露光領域10−2とを設け、各露光領域10−1,10−2には、設計パターンを相補分割した相補分割パターンを形成しておく。
【0029】
すなわち、第1の露光領域10−1に、4行3列のパターン形成部12aを設け、各パターン形成部12aに第1の相補分割パターンを形成しておく。
また、第2の露光領域10−2に、4行3列のパターン形成部12bを設け、各パターン形成部12bに第2の相補分割パターンを形成しておく。
【0030】
例えば、設計パターンのデバイス22のうち、1行1列目のデバイス22−11は、第1の露光領域10−1の1行1列目のパターン形成部12a−11に形成された第1の相補分割パターンと、第2の露光領域10−2の1行1列目のパターン形成部12b−11に形成された第2の相補分割パターンとを露光することにより、パターンが形成される。
【0031】
これにより、デバイス22に形成されるパターンがどのような形状、例えばドーナツ状であろうとも、2つのパターン形成部12a,12bの相補分割パターンを露光することにより確実にパターンが形成される。
【0032】
各パターン形成部12a,12bの強度を補強するため、各パターン形成部12a,12bを区画する補強用梁部11が形成されている。本実施形態では、補強用梁部11は設計パターンのスクライブライン21に相当する位置に設けられている。
【0033】
補強用梁部11の領域は電子線が通過しないことから、パターンを形成することはできないが、デバイス22を半導体チップとして分割するスクライブライン21に相当する位置に補強用梁部11を設けることにより、スペースが有効活用される。
【0034】
パターン形成部12a,12bの一辺は、300μm以上5mm以下とする。300μm以上としたのは、通常チップ(デバイス22)の一辺が300μm以上であるからである。5mm以下としたのは、これ以下であるとパターン形成部12a,12bを構成するメンブレン(パターン形成用薄膜)が自重によりたわんでしまうからである。LEEPLは等倍露光であることから、このようなチップサイズのデバイスに本実施形態に係るステンシルマスクは適用可能となる。
【0035】
補強用梁部11の幅は、50μm以上1mm以下とする。50μm以上としたのは、これ以下であるとパターン形成部12a,12bを構成するパターン形成用薄膜の自重によるたわみを防止できないからである。1mm以下としたのは、補強用梁部11の形成領域にはパターンを形成できないことから、パターンを形成できない領域が大きくなりすぎてしまい歩留りに影響があるからである。補強用梁部11の幅はスクライブラインの幅に相当するため、このようなスクライブラインの幅をもつデバイスに本実施形態に係るステンシルマスクは適用可能となる。
【0036】
上記のステンシルマスクを用いた露光方法について説明する。
まず、ステンシルマスク10の第1の露光領域10−1および第2の露光領域10−2をウェーハ20へ等倍露光する。この等倍露光は、図1に示す露光装置を用いて行う。このとき、電子線の走査範囲を第1および第2の露光領域10−1,10−2の全体に設定する。
これにより、レジストRが形成されたウェーハ20に、ステンシルマスク10の第1の露光領域10−1の各パターン形成部12aに形成された第1の相補分割パターンが転写される。また、第2の露光領域10−2の各パターン形成部12bに形成された第2の相補分割パターンが転写される。
【0037】
次に、一つの露光領域10−1,10−2分だけウェーハ20を移動させて、ステンシルマスク10の第1の露光領域10−1および第2の露光領域10−2をウェーハ20へ等倍露光する。このとき、電子線の走査範囲を第1および第2の露光領域10−1,10−2の全体に設定する。
これにより、レジストRが形成されたウェーハ20において、先の露光工程において第1あるいは第2の露光領域10−1,10−2が露光された位置に、第2あるいは第1の露光領域10−2,10−1の各パターン形成部12b,12aに形成された第2あるいは第1の相補分割パターンが転写される。
【0038】
以上のように、ウェーハにパターン形成部12aの第1の相補分割パターンと、パターン形成部12bの第2の相補分割パターンとを露光する2重露光により、デバイスパターンがウェーハに転写される。
【0039】
次に、本実施形態に係るステンシルマスクの構成例および製造例について説明する。
図3は、ステンシルマスクの断面図であり、図4はステンシルマスクの斜視図である。
図に示すように、格子状の補強用梁部11に支持されてパターン形成用薄膜12が形成され、このパターン形成用薄膜12に所定のパターンの孔13が貫通形成されている。なお、図示の例では、補強用梁部11とパターン形成用薄膜12との間にエッチングストッパ膜14が形成されている。
【0040】
図に示す補強用梁部11に囲まれたパターン形成用薄膜12の領域が、図2に示したパターン形成部12a,12bとなる。パターン形成部12a,12bを構成するパターン形成用薄膜12の厚さは、0.1μm以上2μm以下とする。0.1μm以上としたのは、これ以下であると電子線を遮蔽することができないからである。2μm以下としたのはこれ以上であると、パターン形成用薄膜12に形成する孔のアスペクト比が大きくなりすぎてしまい、加工精度に問題があるからである。
【0041】
次に、上記の本実施形態に係るステンシルマスクの製造方法について、図5〜図7を参照して説明する。ステンシルマスクを製造する方法として、様々な方法があるが、ここではSOI基板からステンシルマスクを製造する方法について説明する。
【0042】
まず、図5(a)に示すように、シリコン基板11a上に、酸化シリコンからなるエッチングストッパ膜14を介してシリコン層からなるパターン形成用薄膜12が形成されたSOI基板を用意する。ここで、加工精度および応力を考慮して、パターン形成用薄膜12となるシリコン層の厚さが0.1μm以上2μm以下のSOI基板を用意する。パターン形成用薄膜12に炭化シリコン(SiC)やダイアモンド等の他の材料を採用する場合にも、概ね上記の膜厚の範囲で適用可能である。このSOI基板の表面には、予め両面アライナー用のアライメントマークを形成しておく。
【0043】
次に、図5(b)に示すように、SOI基板の裏面、すなわちシリコン基板11a上に、レジストを塗布し、露光および現像を行うことにより、補強用梁部15のパターンをもつレジスト15を形成する。なお、ステンシルマスクの周囲に、支持枠を形成するようにレジスト15を形成する。露光は、両面アライナーを用いて、表面のアライメントマークを検出して位置合わせをして行う。
【0044】
次に、図6(c)に示すように、ボッシュプロセスにより、エッチングストッパ膜14に達するまでシリコン基板11aをエッチングして、補強用梁部11を形成する。その後、レジスト15を除去する。上述したように、パターン形成部を区画する補強用梁部11はスクライグラインに相当するパターンで形成される。周囲の補強用梁部11は支持枠を構成するように幅広に形成される。なお、ボッシュプロセスは、例えば、第49回応用物理学関係連合講演会p731、30p−YR−8「ドライエッチングによるEPLマスクのスラット形成の検討」等に記載されている。
【0045】
次に、図6(d)に示すように、SOI基板の表面、すなわちパターン形成用薄膜12上にレジスト16を塗布する。
【0046】
次に、図7(e)に示すように、表面にあるアライメントマークを検出し裏面に形成された補強用梁部11と位置合わせをして、補強用梁部11に区画されたパターン形成部に形成する相補分割パターンを電子線を用いて直接描画する。描画後現像することにより、レジスト16に相補分割パターンの開口16aが形成される。
【0047】
次に、図7(f)に示すように、レジスト16をエッチングマスクとして、エッチングストッパ膜14に達するまでパターン形成用薄膜12をエッチングすることにより、パターン形成用薄膜12に相補分割パターンの孔13を形成する。その後、レジスト16を除去する。
【0048】
以降の工程としては、補強用梁部11から露出したエッチングストッパ膜14をエッチングにより除去することにより、図3および図4に示すステンシルマスクが製造される。
【0049】
本実施形態に係るステンシルマスクでは、デバイス22間のスクライブライン21の位置に補強用梁部11を設けることにより、パターン形成部12a,12bを構成するパターン形成用薄膜12の強度を補強しつつ、デバイス22の領域へパターンが形成できないという弊害を防止することができる。
【0050】
従って、本実施形態に係るステンシルマスクによれば、デバイス22の領域へのパターンの転写を、最小の2回の露光により達成することができる。この結果、4重の相補露光に比してパターン形成部の増大を抑制できる。また、パターン形成部間の合わせ精度を4重の相補露光に比して向上させることができる。また、相補分割パターンの形成のためのアルゴリズムも簡易なものとなる。
【0051】
上記のステンシルマスクを備えた露光装置および露光方法によれば、2重の相補露光によりウェーハ20にパターンを転写することができることから、スループットを向上させることができ、また、パターンの精度を向上させることができる。
【0052】
第2実施形態
本実施形態に係るステンシルマスクは、スクライブラインへのパターンの形成を考慮したものである。図8に、本実施形態に係るステンシルマスクの概略構成図を示す。
【0053】
通常、スクライブラインには、膜厚モニターや合わせ精度評価マーク(アライメントマーク)等の各種評価用パターンを形成している。第1実施形態に係るステンシルマスクでは、このようなパターンをスクライブラインに形成できないことから、例えば、デバイス22の領域に相当するパターン形成部12a,12b内にこのような評価パターンを設ける必要がある。
【0054】
これに対し、図8に示すように本実施形態に係るステンシルマスクでは、例えば、第1の露光領域10−1の4行1列目のパターン形成部12a−41の一辺をデバイス間のスクライブラインの領域にまで拡大し、拡大された領域を評価用パターン形成部Amaとする。評価用パターン形成部Amaには、上述した各種評価用パターンが形成される。
【0055】
評価用パターンは、通常1つの走査領域内に有れば足りる。従って、第1および第2の露光領域10−1,10−2を1回の電子線の走査範囲とする場合には、第1の露光領域10−1あるいは第2の露光領域10−2のいずれかのパターン形成部12a,12bを拡大して、評価用パターン形成部Amaを設ければよい。
【0056】
なお、図9に示すように、評価用パターンを相補分割することが必要な場合には、第1の露光領域10−1の4行1列目のパターン形成部12a−41および第2の露光領域10−2の4行1列目のパターン形成部12b−41の一辺をデバイス間のスクライブラインの領域にまで拡大し、拡大した領域を評価用パターン形成部Ama,Ambとする。評価用パターン形成部Ama,Ambには、評価用パターンの相補分割パターンを形成しておく。これにより、各評価用パターン形成部Ama,Ambに形成された相補分割パターンを2重露光することにより、評価用パターンを形成することができる。
【0057】
本実施形態に係るステンシルマスクによれば、第1実施形態に係るステンシルマスクの効果に加えて、さらにデバイス間のスクライブラインにパターン配置を行うことができ、デバイスの領域にこれらのパターンを形成するのに比して、実質的なデバイスの形成領域が小さくなることを防止することができる。
【0058】
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
本実施形態では、ステンシルマスクの構成および製造方法の一例について説明したが、これに限られるものではない。また、本実施形態では、4行3列のデバイスをもつ設計パターンに対応するステンシルマスクの構成例について説明したがこれに限られるものではない。また、図8においてステンシルマスクの外形が矩形の例について説明したが、外形は円形であってもよい。
【0059】
また、LEEPL以外の電子ビームリソグラフィ用マスク、あるいはイオンビームリソグラフィ等の荷電粒子ビームリソグラフィ用マスクに適用することもできる。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0060】
【発明の効果】
本発明のマスクによれば、補強用梁部により強度を補強しつつ、補強用梁部の存在による半導体チップの領域へパターン形成ができないことを防止することができる。従って、2重露光よりパターンを転写することができる。
【0061】
本発明の露光装置および露光方法によれば、2重露光によりパターンを転写することができることから、相補分割パターンの位置合わせ回数を少なくすることができ、パターン精度の向上およびスループットの増大に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るステンシルマスクを備えた電子線露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】図2(a)は、ウェーハに形成するデバイスの設計パターンの一例を示す図であり、図2(b)は当該設計パターンのデバイスを作製するためのステンシルマスクの概略構成図である。
【図3】第1および第2実施形態に係るステンシルマスクの断面図である。
【図4】第1および第2実施形態に係るステンシルマスクの斜視図である。
【図5】第1および第2実施形態に係るステンシルマスクの製造における工程断面図である。
【図6】第1および第2実施形態に係るステンシルマスクの製造における工程断面図である。
【図7】第1および第2実施形態に係るステンシルマスクの製造における工程断面図である。
【図8】第2実施形態に係るステンシルマスクの概略構成図である。
【図9】第2実施形態に係るステンシルマスクの他の例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…露光装置、2,2a,2b,2c…電子線、3…電子銃、4…アパーチャ、5…コンデンサレンズ、6,7…主偏向器、8,9…微調整用偏向器、10…ステンシルマスク、10−1…第1の露光領域、10−2…第2の露光領域、11…梁部材、11a…シリコン基板、12…パターン形成用薄膜、12a,12b…パターン形成部、13…孔、14…エッチングストッパ膜、15…レジスト、16…レジスト、20…ウェーハ、21…スクライブライン、22…デバイス、Ama,Amb…評価用パターン形成部、R…レジスト。
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスク、露光装置および露光方法に関し、特に荷電粒子ビームを用いた露光工程に使用するマスク、露光装置および露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトリソグラフィに代わる次世代露光技術の一つとして、低速電子線近接転写リソグラフィ(LEEPL:Low Energy Electron−beam Proximity Projection Lithography)がある。LEEPLには、厚さ数100nmのメンブレンにデバイスパターンに相当する孔が形成されたステンシルマスクが用いられる。
【0003】
マスクとウェーハとの間隔が約50μm程度となるように、マスクをウェーハ直上に設置する。2keV程度の電子線でマスクのパターン部分を走査することにより、パターンをウェーハに転写する(非特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、上記のLEEPL用マスクには、メンブレンサイズを大きくすると自重によりメンブレンがたわみ、内部応力によってパターンが歪むという問題がある。この問題を解決する一つの方法として、小区画メンブレンを補強用梁部で支持する方法がある。このような構造によれば、メンブレンが小区画に分割され、剛性の高い補強用梁部で支持される。
【0005】
【非特許文献1】
T. Utumi, Journal of Vacuum Science and Technology B 17,2897 (1999)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、LEEPLは、等倍近接露光を採用するため、補強用梁部が形成された箇所には露光できないことから、ウェーハにパターンを形成できないという問題がある。
【0007】
一方、ステンシルマスクの場合、例えばドーナツ状のパターンを形成すると、パターンで囲まれた中央部を支持できなかったり、あるいは一方向に長いパターン等を形成したときにメンブレンがたわみ、パターンの位置精度が低くなったりする。従って、半導体ウェーハに転写するパターンを分割する必要がある。
【0008】
以上のように、ステンシルマスクを用いたLEEPLでは、本来的にパターンを最低でも2分割することは必須であり、2重露光を行う必要がある。これに加え、補強用梁部が形成された箇所には露光できないことを考慮すると、例えばパターンを4分割して4重露光を行う必要があり、以下の問題がある。
【0009】
第1に、4重の相補露光になることから、マスク上のパターン形成領域が4倍になる。あるいは、別のマスクに相補パターンを形成する場合には、4枚のマスクが必要となる。第2に、4重の相補露光になることから、相補パターン間の合わせ精度が悪くなる。第3に、4重の相補分割のためのアルゴリズムが複雑になる。
以上の問題により、転写後の半導体チップの歩留りが低下するという問題がある。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、補強用梁部により強度を補強しつつ、2重露光よりパターンを転写することができるマスクを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記のマスクを備え、2重露光によりウェーハにパターンを転写することができる露光装置および露光方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のマスクは、荷電粒子ビームを透過させてウェーハに転写するパターンをもつパターン形成部と、前記パターン形成部を区画し、前記パターン形成部の強度を補強する補強用梁部とを有し、前記補強用梁部は、前記ウェーハを各チップに分割するためのスクライブラインに対応して配置されている。
【0012】
前記パターン形成部は、前記ウェーハに転写するパターンが相補分割された相補分割パターンをもつ。
【0013】
上記の本発明のマスクでは、パターン形成部を区画し、パターン形成部の強度を補強する補強用梁部は、ウェーハを各チップに分割するためのスクライブラインに対応して配置されている。従って、補強用梁部の形成領域が、各チップの領域と重なることがない。また、パターン形成部は各チップに対応することとなり、パターン形成部に形成されたパターンがそのまま各チップに転写される。
【0014】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明の露光装置は、荷電粒子ビーム照射部と、ウェーハに近接配置され前記荷電粒子ビーム照射部から照射された荷電粒子ビームを選択的に透過させるマスクとを有する露光装置であって、前記マスクは、前記荷電粒子ビームを透過させて前記ウェーハに転写するパターンをもつパターン形成部と、前記パターン形成部を区画し、前記パターン形成部の強度を補強する補強用梁部とを有し、前記補強用梁部は、前記ウェーハを各チップに分割するためのスクライブラインに対応して配置されている。
【0015】
前記パターン形成部は、前記ウェーハに転写するパターンが相補分割された相補分割パターンをもつ。
【0016】
上記の本発明の露光装置では、使用するマスクの補強用梁部は、ウェーハを各チップに分割するためのスクライブラインに対応して配置されている。従って、補強用梁部の形成領域が、各チップの領域と重なることがない。また、パターン形成部は各チップに対応することとなり、パターン形成部に形成されたパターンがそのまま各チップに転写される。
【0017】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明の露光方法は、パターン形成部と、前記パターン形成部を区画し前記パターン形成部の強度を補強する補強用梁部とを有するマスクを介して、前記パターン形成部のパターンをウェーハに転写する露光方法であって、前記補強用梁部は前記ウェーハを各チップに分割するためのスクライブラインに対応して配置され、前記パターン形成部は前記ウェーハに転写するパターンが相補分割された相補分割パターンをもち、前記パターン形成部の第1の相補分割パターンをウェーハに露光する第1の露光工程と、前記第1の露光と異なる前記パターン形成部の第2の相補分割パターンをウェーハに露光する第2の露光工程とを有する。
【0018】
上記の本発明の露光方法では、補強用梁部がウェーハを各チップに分割するためのスクライブラインに対応して配置されたマスクを用いて露光することにより、補強用梁部の形成領域が、各チップの領域と重なることがなく、2回の露光工程によりパターンがウェーハに転写される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のマスク、露光装置および露光方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
第1実施形態
図1は、本実施形態に係る電子線露光装置の一例を示す概略構成図である。図1に示す露光装置1は、荷電粒子ビーム照射部として、電子線2を生成する電子銃3の他、アパーチャ4、コンデンサレンズ5、一対の主偏向器6,7および一対の微調整用偏向器8,9を有する。
【0021】
アパーチャ4は、電子線2を制限する。コンデンサレンズ5は、電子線2を平行なビームにする。コンデンサレンズ5により集光される電子線2の断面形状は通常、円形であるが、他の断面形状であってもよい。
【0022】
主偏向器6,7および微調整用偏向器8,9は、例えば偏向コイルにより構成されており、主偏向器6,7は電子線2がステンシルマスク10の表面に対して基本的に垂直に入射するように、電子線2を偏向させる。
【0023】
微調整用偏向器8,9は、電子線2がステンシルマスク10の表面に対して垂直に、または垂直方向からわずかに傾いて入射するように、電子線2を偏向させる。電子線2の入射角は、ステンシルマスク10上のパターン位置等に応じて最適化するが、電子線2の入射角は最大でも10mrad程度であり、電子線2はステンシルマスク10にほぼ垂直に入射する。
【0024】
電子線2a〜2cは、ステンシルマスク10上を走査する電子線2が、ステンシルマスクM上の各位置にほぼ垂直に入射する様子を示し、電子線2a〜2cがステンシルマスクMに同時に入射することを示すものではない。電子線2の走査はラスタ走査とベクトル走査のいずれも可能である。
【0025】
LEEPLには低加速電子が用いられるため、パターン形成用薄膜に所定のパターンで孔13が設けられたステンシルマスク10が用いられる。図1において、ステンシルマスク10の孔13を透過した電子線2により、ウェーハ20上のレジストRが露光される。LEEPLは等倍露光であり、ステンシルマスク10とウェーハ20は近接して配置される。
【0026】
図2(a)は、ウェーハ20に形成するデバイスの設計パターンの一例であり、図2(b)は上記の設計パターンのデバイスを作製するためのステンシルマスクの概略構成図である。
【0027】
例えば、図2(a)に示すように、デバイス22が4行3列に配置されている場合を想定する。通常、各デバイス22間には、後にダイシングして半導体チップに分割するためのスクライブライン21が設けられている。スクライブライン21により各デバイス22が区画されている。
【0028】
図2(a)に示すデバイスの作製のためのステンシルマスク10には、第1の露光領域10−1と第2の露光領域10−2とを設け、各露光領域10−1,10−2には、設計パターンを相補分割した相補分割パターンを形成しておく。
【0029】
すなわち、第1の露光領域10−1に、4行3列のパターン形成部12aを設け、各パターン形成部12aに第1の相補分割パターンを形成しておく。
また、第2の露光領域10−2に、4行3列のパターン形成部12bを設け、各パターン形成部12bに第2の相補分割パターンを形成しておく。
【0030】
例えば、設計パターンのデバイス22のうち、1行1列目のデバイス22−11は、第1の露光領域10−1の1行1列目のパターン形成部12a−11に形成された第1の相補分割パターンと、第2の露光領域10−2の1行1列目のパターン形成部12b−11に形成された第2の相補分割パターンとを露光することにより、パターンが形成される。
【0031】
これにより、デバイス22に形成されるパターンがどのような形状、例えばドーナツ状であろうとも、2つのパターン形成部12a,12bの相補分割パターンを露光することにより確実にパターンが形成される。
【0032】
各パターン形成部12a,12bの強度を補強するため、各パターン形成部12a,12bを区画する補強用梁部11が形成されている。本実施形態では、補強用梁部11は設計パターンのスクライブライン21に相当する位置に設けられている。
【0033】
補強用梁部11の領域は電子線が通過しないことから、パターンを形成することはできないが、デバイス22を半導体チップとして分割するスクライブライン21に相当する位置に補強用梁部11を設けることにより、スペースが有効活用される。
【0034】
パターン形成部12a,12bの一辺は、300μm以上5mm以下とする。300μm以上としたのは、通常チップ(デバイス22)の一辺が300μm以上であるからである。5mm以下としたのは、これ以下であるとパターン形成部12a,12bを構成するメンブレン(パターン形成用薄膜)が自重によりたわんでしまうからである。LEEPLは等倍露光であることから、このようなチップサイズのデバイスに本実施形態に係るステンシルマスクは適用可能となる。
【0035】
補強用梁部11の幅は、50μm以上1mm以下とする。50μm以上としたのは、これ以下であるとパターン形成部12a,12bを構成するパターン形成用薄膜の自重によるたわみを防止できないからである。1mm以下としたのは、補強用梁部11の形成領域にはパターンを形成できないことから、パターンを形成できない領域が大きくなりすぎてしまい歩留りに影響があるからである。補強用梁部11の幅はスクライブラインの幅に相当するため、このようなスクライブラインの幅をもつデバイスに本実施形態に係るステンシルマスクは適用可能となる。
【0036】
上記のステンシルマスクを用いた露光方法について説明する。
まず、ステンシルマスク10の第1の露光領域10−1および第2の露光領域10−2をウェーハ20へ等倍露光する。この等倍露光は、図1に示す露光装置を用いて行う。このとき、電子線の走査範囲を第1および第2の露光領域10−1,10−2の全体に設定する。
これにより、レジストRが形成されたウェーハ20に、ステンシルマスク10の第1の露光領域10−1の各パターン形成部12aに形成された第1の相補分割パターンが転写される。また、第2の露光領域10−2の各パターン形成部12bに形成された第2の相補分割パターンが転写される。
【0037】
次に、一つの露光領域10−1,10−2分だけウェーハ20を移動させて、ステンシルマスク10の第1の露光領域10−1および第2の露光領域10−2をウェーハ20へ等倍露光する。このとき、電子線の走査範囲を第1および第2の露光領域10−1,10−2の全体に設定する。
これにより、レジストRが形成されたウェーハ20において、先の露光工程において第1あるいは第2の露光領域10−1,10−2が露光された位置に、第2あるいは第1の露光領域10−2,10−1の各パターン形成部12b,12aに形成された第2あるいは第1の相補分割パターンが転写される。
【0038】
以上のように、ウェーハにパターン形成部12aの第1の相補分割パターンと、パターン形成部12bの第2の相補分割パターンとを露光する2重露光により、デバイスパターンがウェーハに転写される。
【0039】
次に、本実施形態に係るステンシルマスクの構成例および製造例について説明する。
図3は、ステンシルマスクの断面図であり、図4はステンシルマスクの斜視図である。
図に示すように、格子状の補強用梁部11に支持されてパターン形成用薄膜12が形成され、このパターン形成用薄膜12に所定のパターンの孔13が貫通形成されている。なお、図示の例では、補強用梁部11とパターン形成用薄膜12との間にエッチングストッパ膜14が形成されている。
【0040】
図に示す補強用梁部11に囲まれたパターン形成用薄膜12の領域が、図2に示したパターン形成部12a,12bとなる。パターン形成部12a,12bを構成するパターン形成用薄膜12の厚さは、0.1μm以上2μm以下とする。0.1μm以上としたのは、これ以下であると電子線を遮蔽することができないからである。2μm以下としたのはこれ以上であると、パターン形成用薄膜12に形成する孔のアスペクト比が大きくなりすぎてしまい、加工精度に問題があるからである。
【0041】
次に、上記の本実施形態に係るステンシルマスクの製造方法について、図5〜図7を参照して説明する。ステンシルマスクを製造する方法として、様々な方法があるが、ここではSOI基板からステンシルマスクを製造する方法について説明する。
【0042】
まず、図5(a)に示すように、シリコン基板11a上に、酸化シリコンからなるエッチングストッパ膜14を介してシリコン層からなるパターン形成用薄膜12が形成されたSOI基板を用意する。ここで、加工精度および応力を考慮して、パターン形成用薄膜12となるシリコン層の厚さが0.1μm以上2μm以下のSOI基板を用意する。パターン形成用薄膜12に炭化シリコン(SiC)やダイアモンド等の他の材料を採用する場合にも、概ね上記の膜厚の範囲で適用可能である。このSOI基板の表面には、予め両面アライナー用のアライメントマークを形成しておく。
【0043】
次に、図5(b)に示すように、SOI基板の裏面、すなわちシリコン基板11a上に、レジストを塗布し、露光および現像を行うことにより、補強用梁部15のパターンをもつレジスト15を形成する。なお、ステンシルマスクの周囲に、支持枠を形成するようにレジスト15を形成する。露光は、両面アライナーを用いて、表面のアライメントマークを検出して位置合わせをして行う。
【0044】
次に、図6(c)に示すように、ボッシュプロセスにより、エッチングストッパ膜14に達するまでシリコン基板11aをエッチングして、補強用梁部11を形成する。その後、レジスト15を除去する。上述したように、パターン形成部を区画する補強用梁部11はスクライグラインに相当するパターンで形成される。周囲の補強用梁部11は支持枠を構成するように幅広に形成される。なお、ボッシュプロセスは、例えば、第49回応用物理学関係連合講演会p731、30p−YR−8「ドライエッチングによるEPLマスクのスラット形成の検討」等に記載されている。
【0045】
次に、図6(d)に示すように、SOI基板の表面、すなわちパターン形成用薄膜12上にレジスト16を塗布する。
【0046】
次に、図7(e)に示すように、表面にあるアライメントマークを検出し裏面に形成された補強用梁部11と位置合わせをして、補強用梁部11に区画されたパターン形成部に形成する相補分割パターンを電子線を用いて直接描画する。描画後現像することにより、レジスト16に相補分割パターンの開口16aが形成される。
【0047】
次に、図7(f)に示すように、レジスト16をエッチングマスクとして、エッチングストッパ膜14に達するまでパターン形成用薄膜12をエッチングすることにより、パターン形成用薄膜12に相補分割パターンの孔13を形成する。その後、レジスト16を除去する。
【0048】
以降の工程としては、補強用梁部11から露出したエッチングストッパ膜14をエッチングにより除去することにより、図3および図4に示すステンシルマスクが製造される。
【0049】
本実施形態に係るステンシルマスクでは、デバイス22間のスクライブライン21の位置に補強用梁部11を設けることにより、パターン形成部12a,12bを構成するパターン形成用薄膜12の強度を補強しつつ、デバイス22の領域へパターンが形成できないという弊害を防止することができる。
【0050】
従って、本実施形態に係るステンシルマスクによれば、デバイス22の領域へのパターンの転写を、最小の2回の露光により達成することができる。この結果、4重の相補露光に比してパターン形成部の増大を抑制できる。また、パターン形成部間の合わせ精度を4重の相補露光に比して向上させることができる。また、相補分割パターンの形成のためのアルゴリズムも簡易なものとなる。
【0051】
上記のステンシルマスクを備えた露光装置および露光方法によれば、2重の相補露光によりウェーハ20にパターンを転写することができることから、スループットを向上させることができ、また、パターンの精度を向上させることができる。
【0052】
第2実施形態
本実施形態に係るステンシルマスクは、スクライブラインへのパターンの形成を考慮したものである。図8に、本実施形態に係るステンシルマスクの概略構成図を示す。
【0053】
通常、スクライブラインには、膜厚モニターや合わせ精度評価マーク(アライメントマーク)等の各種評価用パターンを形成している。第1実施形態に係るステンシルマスクでは、このようなパターンをスクライブラインに形成できないことから、例えば、デバイス22の領域に相当するパターン形成部12a,12b内にこのような評価パターンを設ける必要がある。
【0054】
これに対し、図8に示すように本実施形態に係るステンシルマスクでは、例えば、第1の露光領域10−1の4行1列目のパターン形成部12a−41の一辺をデバイス間のスクライブラインの領域にまで拡大し、拡大された領域を評価用パターン形成部Amaとする。評価用パターン形成部Amaには、上述した各種評価用パターンが形成される。
【0055】
評価用パターンは、通常1つの走査領域内に有れば足りる。従って、第1および第2の露光領域10−1,10−2を1回の電子線の走査範囲とする場合には、第1の露光領域10−1あるいは第2の露光領域10−2のいずれかのパターン形成部12a,12bを拡大して、評価用パターン形成部Amaを設ければよい。
【0056】
なお、図9に示すように、評価用パターンを相補分割することが必要な場合には、第1の露光領域10−1の4行1列目のパターン形成部12a−41および第2の露光領域10−2の4行1列目のパターン形成部12b−41の一辺をデバイス間のスクライブラインの領域にまで拡大し、拡大した領域を評価用パターン形成部Ama,Ambとする。評価用パターン形成部Ama,Ambには、評価用パターンの相補分割パターンを形成しておく。これにより、各評価用パターン形成部Ama,Ambに形成された相補分割パターンを2重露光することにより、評価用パターンを形成することができる。
【0057】
本実施形態に係るステンシルマスクによれば、第1実施形態に係るステンシルマスクの効果に加えて、さらにデバイス間のスクライブラインにパターン配置を行うことができ、デバイスの領域にこれらのパターンを形成するのに比して、実質的なデバイスの形成領域が小さくなることを防止することができる。
【0058】
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
本実施形態では、ステンシルマスクの構成および製造方法の一例について説明したが、これに限られるものではない。また、本実施形態では、4行3列のデバイスをもつ設計パターンに対応するステンシルマスクの構成例について説明したがこれに限られるものではない。また、図8においてステンシルマスクの外形が矩形の例について説明したが、外形は円形であってもよい。
【0059】
また、LEEPL以外の電子ビームリソグラフィ用マスク、あるいはイオンビームリソグラフィ等の荷電粒子ビームリソグラフィ用マスクに適用することもできる。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0060】
【発明の効果】
本発明のマスクによれば、補強用梁部により強度を補強しつつ、補強用梁部の存在による半導体チップの領域へパターン形成ができないことを防止することができる。従って、2重露光よりパターンを転写することができる。
【0061】
本発明の露光装置および露光方法によれば、2重露光によりパターンを転写することができることから、相補分割パターンの位置合わせ回数を少なくすることができ、パターン精度の向上およびスループットの増大に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るステンシルマスクを備えた電子線露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】図2(a)は、ウェーハに形成するデバイスの設計パターンの一例を示す図であり、図2(b)は当該設計パターンのデバイスを作製するためのステンシルマスクの概略構成図である。
【図3】第1および第2実施形態に係るステンシルマスクの断面図である。
【図4】第1および第2実施形態に係るステンシルマスクの斜視図である。
【図5】第1および第2実施形態に係るステンシルマスクの製造における工程断面図である。
【図6】第1および第2実施形態に係るステンシルマスクの製造における工程断面図である。
【図7】第1および第2実施形態に係るステンシルマスクの製造における工程断面図である。
【図8】第2実施形態に係るステンシルマスクの概略構成図である。
【図9】第2実施形態に係るステンシルマスクの他の例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…露光装置、2,2a,2b,2c…電子線、3…電子銃、4…アパーチャ、5…コンデンサレンズ、6,7…主偏向器、8,9…微調整用偏向器、10…ステンシルマスク、10−1…第1の露光領域、10−2…第2の露光領域、11…梁部材、11a…シリコン基板、12…パターン形成用薄膜、12a,12b…パターン形成部、13…孔、14…エッチングストッパ膜、15…レジスト、16…レジスト、20…ウェーハ、21…スクライブライン、22…デバイス、Ama,Amb…評価用パターン形成部、R…レジスト。
Claims (5)
- 荷電粒子ビームを透過させてウェーハに転写するパターンをもつパターン形成部と、
前記パターン形成部を区画し、前記パターン形成部の強度を補強する補強用梁部とを有し、
前記補強用梁部は、前記ウェーハを各チップに分割するためのスクライブラインに対応して配置されているマスク。 - 前記パターン形成部は、前記ウェーハに転写するパターンが相補分割された相補分割パターンをもつ
請求項1記載のマスク。 - 荷電粒子ビーム照射部と、ウェーハに近接配置され前記荷電粒子ビーム照射部から照射された荷電粒子ビームを選択的に透過させるマスクとを有する露光装置であって、
前記マスクは、
前記荷電粒子ビームを透過させて前記ウェーハに転写するパターンをもつパターン形成部と、
前記パターン形成部を区画し、前記パターン形成部の強度を補強する補強用梁部とを有し、
前記補強用梁部は、前記ウェーハを各チップに分割するためのスクライブラインに対応して配置されている
露光装置。 - 前記パターン形成部は、前記ウェーハに転写するパターンが相補分割された相補分割パターンをもつ
請求項3記載の露光装置。 - パターン形成部と、前記パターン形成部を区画し前記パターン形成部の強度を補強する補強用梁部とを有するマスクを介して、前記パターン形成部のパターンをウェーハに転写する露光方法であって、
前記補強用梁部は前記ウェーハを各チップに分割するためのスクライブラインに対応して配置され、前記パターン形成部は前記ウェーハに転写するパターンが相補分割された相補分割パターンをもち、
前記パターン形成部の第1の相補分割パターンをウェーハに露光する第1の露光工程と、
前記第1の露光と異なる前記パターン形成部の第2の相補分割パターンをウェーハに露光する第2の露光工程と
を有する露光方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002323790A JP2004158681A (ja) | 2002-11-07 | 2002-11-07 | マスク、露光装置および露光方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002323790A JP2004158681A (ja) | 2002-11-07 | 2002-11-07 | マスク、露光装置および露光方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004158681A true JP2004158681A (ja) | 2004-06-03 |
Family
ID=32803572
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002323790A Pending JP2004158681A (ja) | 2002-11-07 | 2002-11-07 | マスク、露光装置および露光方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004158681A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006049363A (ja) * | 2004-07-30 | 2006-02-16 | Toppan Printing Co Ltd | ステンシルマスク及びステンシルマスクブランクス |
JP2006073869A (ja) * | 2004-09-03 | 2006-03-16 | Toppan Printing Co Ltd | ステンシルマスク及びステンシルマスクブランクス |
US7824825B2 (en) | 2005-08-03 | 2010-11-02 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Stencil masks, method of manufacturing stencil masks, and method of using stencil masks |
-
2002
- 2002-11-07 JP JP2002323790A patent/JP2004158681A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006049363A (ja) * | 2004-07-30 | 2006-02-16 | Toppan Printing Co Ltd | ステンシルマスク及びステンシルマスクブランクス |
JP4567392B2 (ja) * | 2004-07-30 | 2010-10-20 | 凸版印刷株式会社 | ステンシルマスク及びステンシルマスクブランクス |
JP2006073869A (ja) * | 2004-09-03 | 2006-03-16 | Toppan Printing Co Ltd | ステンシルマスク及びステンシルマスクブランクス |
US7824825B2 (en) | 2005-08-03 | 2010-11-02 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Stencil masks, method of manufacturing stencil masks, and method of using stencil masks |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3674573B2 (ja) | マスクおよびその製造方法と半導体装置の製造方法 | |
JP2951947B2 (ja) | 低エネルギー電子ビームのリソグラフィ | |
EP0038808B1 (en) | Ion beam lithography process and apparatus using step-and repeat exposure | |
JP4046012B2 (ja) | マスク歪データの生成方法、露光方法および半導体装置の製造方法 | |
US20050142462A1 (en) | Mask, method of production of same, and method of production of semiconductor device | |
US5876881A (en) | Manufacturing method for mask for charged-particle-beam transfer or mask for x-ray transfer | |
EP1562076B1 (en) | Mask, exposure method and production method of semiconductor device | |
JP2007019194A (ja) | 静電レンズ装置、露光装置、及びデバイス製造方法 | |
JP2004158681A (ja) | マスク、露光装置および露光方法 | |
US6680481B2 (en) | Mark-detection methods and charged-particle-beam microlithography methods and apparatus comprising same | |
US6894291B2 (en) | Apparatus and methods for blocking highly scattered charged particles in a patterned beam in a charged-particle-beam microlithography system | |
US20020036272A1 (en) | Charged-particle-beam microlithography methods and apparatus providing reduced reticle heating | |
JP2004214499A (ja) | マスク、露光方法および半導体装置 | |
JP2005032816A (ja) | マスクの製造方法、マスク、露光方法および露光装置 | |
US20050145892A1 (en) | Mask, semiconductor device manufacturing method, and semiconductor device | |
JP3707475B2 (ja) | マスク | |
JP2002075828A (ja) | 近接効果補正方法、電子線投影露光装置及びデバイス製造方法 | |
US20030044697A1 (en) | Methods and apparatus for correcting the proximity effect in a charged-particle-beam microlithography system and devices manufactured from the same | |
JP2004172581A (ja) | マスクおよびマスクブランクス、並びに露光装置および露光方法、並びに電子素子の製造方法および電子素子搭載基板 | |
JP2004228128A (ja) | 電子線露光用レチクル、電子線露光用レチクルブランク、その製造方法及び電子線露光方法 | |
JP2005045137A (ja) | レチクルの作製方法、レチクル及び露光方法 | |
JP2005327983A (ja) | ステンシルマスクおよびその製造方法、並びに露光方法 | |
JP2005252035A (ja) | マスク、マスクブランクス、露光方法および半導体装置の製造方法 |