JP2004158657A - 基板処理装置 - Google Patents

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【課題】非接触ガイド機構を備えたステージ装置の利点を維持しつつ、基板の処理空間を外部から磁気的に遮断できるようにする。
【解決手段】処理空間となる真空チャンバ7と、該真空チャンバ7内で基板13を支持するステージ装置5と、真空チャンバ7内でステージ装置5に連結されかつ開口部を通って真空チャンバ7外に伸びる可動プレート9と、真空チャンバ7外にて可動プレート9に連結されかつ該可動プレート9を移動するための駆動部と、真空チャンバ7の前記開口部にて可動プレート9をシールおよび支持する非接触シール27および静圧軸受とを有し、前記真空チャンバ7内で基板13を電子線1または荷電粒子線で処理する基板処理装置において、前記可動プレート9を磁性材で構成したことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイスの製造装置、検査装置等、半導体製造用の基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体デバイスの製造装置、検査装置或いはその他の精密部品の製造装置等では、基板(ウエハ、レクチル)を処理空間となる真空チャンバ内で保持し、これを真空チャンバ内で、X,Y,θ軸方向等に移動させるステージ装置が用いられるが、この際、ステージ装置の可動部分は一般的に真空チャンバの開口部を通して真空チャンバ外の駆動機構と連結される。
【0003】
図5は、かかる基板処理装置の従来例を示すものであるが、該従来例のものは、電子ビーム1を照射するウエハ3を積載し移動させるステージ装置5’を真空チャンバ7‘内に設けものであって、該ステージ装置5’は、ウエハ3を保持するチャックと、該チャックを支持するθステージ(チャックで保持されたウエハの鉛直軸周りの回転方向位置を調整する)と、該θステージを支持するXステージ(ウエハを水平一方向に移動する)と、該Xステージを支持するYステージ(水平面内でX方向と直交する方向に移動する)とを含み、該Yステージの可動プレート9’は真空チャンバ底壁上に定置されたステージベース11上にローラ13を介して載置され、可動プレート9’は真空チャンバ外に設けたスキャン移動用のモータ15’にボールネジ17およびボールナット19を介して連結され、モータ15’にてボールネジ17を回転させることにより、可動プレート9’をスキャン方向(図の左右方向)に移動させるようにしてある。この場合、真空チャンバ7’と、電子銃21よりウエハ3に電子ビーム1を照射するコラム外筒23は鉄などの磁性材で構成してあり、また、ボールネジ17が真空チャンバの開口部を通る部分には磁気シールドユニット25が設けられ、真空チャンバ7’内のウエハ処理空間を磁気シールドし、外部磁場の変動により、電子ビーム1の光路が振られるのを防止するようになっている。真空チャンバ7’を磁性材で構成する代りに、真空チャンバを非磁性材で構成し、表面に磁気シールド板を貼ってもよい。
【0004】
しかしながら、上記従来の基板処理装置では、ウエハ3を支持および移動させるステージ装置5’の可動プレート9’がローラ13により転がり案内され、また、ボールネジ17が磁気シールドユニット25内を摺動案内される接触案内方式となっているため、転がり抵抗や摩擦抵抗の変動等によりスキャン走行時の速度変動があり、また、ステージ移動に伴う振動や、発塵等の問題がある。また、転がり案内には給油が必要であり、真空チャンバ内の汚染の問題も生ずる。
【0005】
このため、ステージ装置の可動プレートを真空チャンバと無接触で移動可能に案内する非接触ガイド機構を利用したステージ装置が提案されている。図6は、かかる非接触ガイド機構を用いた基板処理装置の一例を示す。この基板処理装置は、電子ビーム1を照射するウエハ3を積載し移動させるステージ装置5が、図5の装置と同様に、ウエハ3を保持するチャックと、該チャックを支持するθステージと、該θステージを支持するXステージと、該Xステージを支持するYステージとを含んでいるが、該Yステージの可動プレートが非接触ガイド機構により支持されている。この非接触ガイド機構は、図示のように、Yステージの可動プレート9を真空チャンバ7の開口部8を貫通させ、該可動プレートの一端をスキャン軸駆動部となるリニアモータ15(例えば、エアシリンダー)に直接接続したもので、Yステージの固定部となる真空チャンバ7の開口部8には、可動プレート9の上下面と対向して非接触シール部となる差動排気シール部27が設けられ、また、該差動排気シール部27に隣接して可動プレートを非接触で案内するエアベアリング29(静圧軸受)が設けられている。エアベアリング29は、可動プレート9の上下面に向かってガスの静圧を作用させ、可動プレート9を真空チャンバ7の開口部8下側部分からガス圧で浮きあがらせ、また、可動プレートが開口部の上側面に接触しないようにする。該エアベアリング29に供給されたガスは、図示しないガス逃し溝を介して排出される。また、差動排気シール部27は、処理空間となる高真空の真空チャンバ7とエアベアリング29部分との間に順次高真空溝、中真空溝、低真空溝を設け、これらの溝を異なる圧力に真空引きすることにより真空チャンバ7とエアベアリング29部分との間に圧力隔壁を形成する。これにより、可動プレート9は、リニアモータのような駆動機構15により直線移動されるが、この際Yステージの固定部となる真空チャンバ7と無接触で移動可能に案内され、また、開口部8を介して真空チャンバ7内へのガスの流入が阻止される。したがって、上記接触案内方式で問題となっていた、転がり抵抗や摩擦抵抗の変動等によるスキャン走行時の速度変動や、ステージ移動に伴う振動や、発塵等の問題、また、真空チャンバ内の汚染の問題も生ずることがなく、高精度で滑らかなスキャン移動が可能となる。なお、図において、2は当該基板処理装置のベースである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に、上記非接触ガイド機構に使用されるエアベアリング29のべアリング隙間:g0は、2〜20μm程度であり、ベアリング支持面の表面粗さや平面度に走行性能が左右される特徴がある。そのため、可動プレート9の材質は、石材やセラミックを用い、特に好ましくはアルミナセラミックが使用される。そして、一般にこれらは、非磁性材又は低磁性材である。このため、図6に示したエアべアリング29を採用すると、可動プレート9が非磁性材であるために、図5で示した磁気シールドを構成することができない。通常、可動プレート9の厚さtは、20〜100mm程度であり、真空チャンバ7の開口部8は、比較的大きな磁気的開口部になっている。このため、ウエハ3に照射する電子ビームの光路が外部磁場の変動により乱れやすい欠点がある。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、上記非接触ガイド機構を備えたステージ装置の利点を維持しつつ、さらに基板の処理空間を外部から磁気的に遮断できるようにした基板処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願発明による基板処理装置は、処理空間となる真空チャンバと、該真空チャンバ内で基板を支持するステージ装置と、真空チャンバ内でステージ装置に連結されかつ開口部を通って真空チャンバ外に伸びる可動プレートと、真空チャンバ外にて可動プレートに連結されかつ該可動プレートを移動するための駆動部と、真空チャンバの前記開口部にて可動プレートをシールおよび支持する非接触シールおよび静圧軸受とを有し、前記真空チャンバ内で基板を電子線または荷電粒子線で処理する基板処理装置において、前記可動プレートを磁性材で構成したことを特徴とする。
【0009】
また、上記基板処理装置において、前記磁性材がアルミナと磁性材粒子とを混ぜた焼結体からなることを特徴とする。
また、上記基板処理装置において、前記磁性材が強磁性材よりなることを特徴とする。
【0010】
また、本願発明による基板処理装置は、処理空間となる真空チャンバと、該真空チャンバ内で基板を支持するステージ装置と、真空チャンバ内でステージ装置に連結されかつ開口部を通って真空チャンバ外に伸びる可動プレートと、真空チャンバ外にて可動プレートに連結されかつ該可動プレートを移動するための駆動部と、真空チャンバの前記開口部にて可動プレートをシールおよび支持する非接触シールおよび静圧軸受とを有し、前記真空チャンバ内で基板を電子線または荷電粒子線で処理する基板処理装置において、前記可動プレートの表面を磁性材で被覆したことを特徴とする。
【0011】
また、上記いずれかの基板処理装置において、前記真空チャンバの開口部と可動プレートとの間に、磁性流体シールを設けたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本願発明の好適な実施例を示す。同図において、先の図面と同一符号は同一構成部品を示すゆえ、説明を省略する。
【0013】
該実施例においては、図6の装置と同様にコラム23および真空チャンバ7を磁性材で構成するが、さらに、少なくとも可動プレート9の一部を磁性材で構成する。可動プレート9を磁性材で構成する部分は、好ましくは図示のクロス線で示すように、可動プレートがスキャン移動のストロークSによって真空チャンバ7に出入りする範囲である。可動プレート9に使用される磁性材としては、例えば、アルミナと磁性材粒子とを混ぜたセラミックが好適である。鋼材でも良い。従来のアルミナ材表面にニッケルメッキをしたものでも良い。
【0014】
例えば、図6に示すこれまでのステージ装置では、可動プレート9の厚みt:20〜100mm+エアベアリング隙間:g0×2(上、下)程度の磁気的開口部があった。これを実施例のように、可動プレート9を磁性材にすると、エアべアリング隙問:g0×2(上、下)=数μ〜数十μmのみの磁気的開口部になる。即ち、約1000分の1に低減できたことになる。磁気的外乱の影響は、開口部長さの2乗に比例する傾向があるから、約1000,000分の1に低減されることとなるので、ほぼ完全な磁気シールドを構成できたことになる。
【0015】
例えば、可動プレート表面にニッケルメッキを施工すれば、可動プレート全体を磁性シールドで覆った状態になる。即ち、外部から見れば磁性体とほぼ同じ効果が期待できる。
【0016】
ところで、一般に、電子ビームを用いた装置では、「可動部に磁性材を使用してはならない。」という重要な設計指針がある。これは、磁場変動要因になるためである。しかしながら、本願発明においては、可動プレート9は、コラム23(電子ビーム)から見ると、スキャン運動中も常に一定の表面積、一定の体積が見える構成であるから、可動プレートに磁性材を用いても磁場変動の要因にはならない。すなわち、図2に示すように、スキャン軸方向(図示矢印)に可動プレート9がストロークしても、真空チャンバの内壁7aの幅“A”によりコラム23から見える表面積(体積)が決まるので、一定となる。
【0017】
図3に本願の別の実施例を示す。該実施例では、可動プレート9を永久磁石のような強磁性材で構成してある。磁性の着磁方向は、図示矢印のごとくスキャン軸方向(図の左右方向)とする。このように構成すると、磁束線31が図示点線のごとく形成され、可動プレート9がスキャン運動した場合にも、コラム23(電子ビーム)から見れば、スキャン方向に一様な静磁場があるのと等価な状態が実現できるので、変動磁場が無いため電子ビームの光路が乱れることはない。
【0018】
図4に本願の別の実施例を示す。該実施例のものは、図1,3の実施例において、真空チャンバ7外の空間と静圧軸受29(エアベアリング)との間で、可動プレート9とYステージの固定部となる真空チャンバ7との隙間に磁性流体シール33を設けたものである。該磁性流体シール33は、同図拡大部分に示すように、磁束を集中させる磁極片35と磁性流体37とからなる。この場合の磁性流体シール33の目的は、磁気壁の構成であって、通常の真空シールのような頑強なシール性能は必要ない。そのため、磁性流体37を集約する磁束密度は低くてよく、そのため、接触シールではあるが、スキャン運動性能への影響は限りなくゼロに近く構成可能である。これによって、処理空間の磁気シールド効果をさらに高めることができる。
【0019】
なお、コラム23内には、電子銃21から放出された荷電ビームをステージ装置5上に載置されたウエハ3に照射する一次光学系と、ウエハから放出された二次電子が投入される二次光学系と、検出器等が内蔵されているが、本発明の本旨外であるので説明を省略する。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、本願発明によれば、接触案内方式で問題となっていた、転がり抵抗や摩擦抵抗の変動等によるスキャン走行時の速度変動や、ステージ移動に伴う振動や、発塵等の問題、また、真空チャンバ内の汚染の問題を生ずることがない非接触ガイド機構を備えたステージ装置の利点を維持しつつ、基板の処理空間を外部から磁気的に遮断して、電子線の光路の振れを防止できる基板処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による基板処理装置の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1の線II−IIに沿って取られた断面図である。
【図3】本発明による基板処理装置の他の実施例を示す断面図である。
【図4】本発明による基板処理装置のさらに他の実施例を示す断面図である。
【図5】接触案内方式によるステージ装置を用いた従来例を示す断面図である。
【図6】非接触ガイド機構によるステージ装置を用いた従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1: 電子線 3: ウエハ
5: ステージ装置 7: 真空チャンバ
9: 可動プレート 15: モータ
21: 電子銃 23: コラム
27: 差動排気シール 29: エアベアリング
33: 磁性流体シール

Claims (5)

  1. 処理空間となる真空チャンバと、該真空チャンバ内で基板を支持するステージ装置と、真空チャンバ内でステージ装置に連結されかつ開口部を通って真空チャンバ外に伸びる可動プレートと、真空チャンバ外にて可動プレートに連結されかつ該可動プレートを移動するための駆動部と、真空チャンバの前記開口部にて可動プレートをシールおよび支持する非接触シールおよび静圧軸受とを有し、前記真空チャンバ内で基板を電子線または荷電粒子線で処理する基板処理装置において、前記可動プレートを磁性材で構成したことを特徴とする基板処理装置。
  2. 請求項1の基板処理装置において、前記磁性材がアルミナと磁性材粒子とを混ぜた焼結体からなることを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項1の基板処理装置において、前記磁性材が強磁性材よりなることを特徴とする基板処理装置。
  4. 処理空間となる真空チャンバと、該真空チャンバ内で基板を支持するステージ装置と、真空チャンバ内でステージ装置に連結されかつ開口部を通って真空チャンバ外に伸びる可動プレートと、真空チャンバ外にて可動プレートに連結されかつ該可動プレートを移動するための駆動部と、真空チャンバの前記開口部にて可動プレートをシールおよび支持する非接触シールおよび静圧軸受とを有し、前記真空チャンバ内で基板を電子線または荷電粒子線で処理する基板処理装置において、前記可動プレートの表面を磁性材で被覆したことを特徴とするステージ装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項による基板処理装置において、前記真空チャンバの開口部と可動プレートとの間に、磁性流体シールを設けたことを特徴とする基板処理装置。
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