JP2004157803A - 温度測定機能付きハンディターミナル、物品管理システム - Google Patents
温度測定機能付きハンディターミナル、物品管理システム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】物品の識別情報の読み取りと温度測定に要する作業時間を短縮できるとともに、正確なデータを収集でき、しかも取り扱いが容易でコストも低減できるハンディターミナルを提供する。
【解決手段】物品に付されたバーコードを読み取るバーコード読取部31と、物品の温度を赤外線センサで非接触で測定する温度測定部32とを設け、バーコード読取部31でバーコードを読み取る際に、温度測定部32で物品の温度を測定し、物品の識別情報とともに温度データを収集する。収集したデータは、無線通信部35からサーバーへ送信され、サーバーで物品と温度を一元的に管理する。
【選択図】 図4
【解決手段】物品に付されたバーコードを読み取るバーコード読取部31と、物品の温度を赤外線センサで非接触で測定する温度測定部32とを設け、バーコード読取部31でバーコードを読み取る際に、温度測定部32で物品の温度を測定し、物品の識別情報とともに温度データを収集する。収集したデータは、無線通信部35からサーバーへ送信され、サーバーで物品と温度を一元的に管理する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍食品などの物品の識別情報とともに温度データを収集するハンディターミナルに関し、またそのようなハンディターミナルと管理装置とから構成される物品管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
物品の入出庫に際し、物品に付されたバーコードをハンディターミナルで読み取り、読み取ったバーコードが示す品名・数量等の物品識別情報をサーバーへ送信して、サーバーで入出庫管理を行なうシステムは従来からよく知られている。しかし、物品が冷凍食品や保冷の必要な食料品であるような場合は、物品識別情報だけでなく、物品の温度を測定して管理する必要があるため、上述したハンディターミナルとは別に、放射温度計のような温度測定装置を用いて冷凍食品等の温度を測定するようにしている。
【0003】
図11は、このような物品識別情報と温度とを管理する従来の物品管理システムの概略構成を示した図である。本システムは、ハンディターミナル100と、放射温度計200と、アクセスポイント300と、サーバー400と、通信ネットワーク500とから構成される。なお、600は冷凍食品等の物品、700は記録用紙である。
【0004】
ハンディターミナル100は、物品600に付されているバーコード(物品識別情報)601を読み取るための携帯型端末装置であって、読み取った情報が表示される表示部101と、必要なデータを入力するためのキー入力部102とを備えており、内部には図示しないバーコード読取部や無線通信部が設けられている。
【0005】
放射温度計200は、被測定物体から放射される赤外線のエネルギーが物体の温度に依存して変化することを利用して温度を測定する携帯型の温度計であって、測定した温度値が表示される表示部201を備えており、内部には図示しない赤外線センサが設けられている。
【0006】
アクセスポイント300は、ハンディターミナル100から送信されたデータを受信し、受信したデータを通信ネットワーク500を介してサーバー400へ送るとともに、サーバー400からのデータをハンディターミナル100へ送信する無線中継装置であって、送受信アンテナ301を備えている。
【0007】
サーバー400は、ハンディターミナル100から送られてきた物品の情報を管理する管理装置であって、CPUや記憶装置等を備えたコンピュータから構成される。
【0008】
通信ネットワーク500は、イーサネット(登録商標)などからなる回線であって、アクセスポイント300とサーバー400とを結んでいる。
【0009】
以上のようなシステムにおいて、物品600が冷凍食品であって冷凍倉庫(図示省略)に入庫される場合、入庫に先立って物品の識別と温度測定とが行なわれる。すなわち、ハンディターミナル100により物品600に付されているバーコード601を読み取って、品名や数量等の物品識別情報を収集する。また、放射温度計200により物品600の温度を測定する。測定温度は表示部201に表示されるので、作業者は表示された温度値を見て、その値を記録用紙700へ記入するか、あるいはハンディターミナル100へキー入力部102を操作して入力する。
【0010】
温度値を記録用紙700へ記入する場合は、ハンディターミナル100からサーバー400へ送信されるデータは物品識別情報だけであるが、温度値をハンディターミナル100へ入力すると、ハンディターミナル100に物品600の識別情報と温度値とが収集されるので、これらのデータをアクセスポイント300を介してサーバー400へ送信することで、サーバー400では物品と温度とを一元管理することができる。
【0011】
また、別の従来技術として、食品の温度を検出して測定時間とともに記憶する温度検出装置と、作業者ID・生産設備情報・生産品情報を入力するとともに、これらと時刻とを連係したデータを生成する携帯型データ入力装置と、両装置から送信されてきたデータに基づいて生産品ごとに温度履歴、作業者および生産設備を編集して記録するコンピュータとを備えた管理システムが下記の特許文献1に記載されている。
【0012】
【特許文献1】
特開平11−160160号公報(第4−9頁、図1、図21)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11に示した従来のシステムにおいては、物品600の識別情報をハンディターミナル100で読み取る一方、物品600の温度を放射温度計200で測定しているため、識別情報の読取りと温度の測定とを別々に行なわねばならず、作業に手間を要するという問題がある。また、放射温度計200に表示される温度の測定値を作業者が目視して、記録用紙700への記入やハンディターミナル100への入力を行なっているために、誤記入や誤入力が発生してデータの信頼性が低下するおそれがある。さらには、ハンディターミナル100と放射温度計200の2つの装置を必要とすることから、取り扱いの面で不便であるばかりか、コストも高くつくという難点がある。
【0014】
一方、前記特許文献1のものでは、温度検出装置からコンピュータへ測定温度のデータが送られるので、データ入力装置へ温度データを入力する必要はないが、温度検出装置とデータ入力装置とが別々になっていることから、作業に手間を要する点、取り扱いが不便な点、およびコストがアップする点では、図11の場合と同様の欠点を有している。また、物品識別情報と温度とを別々の装置で読み取るために、データ入力装置に間違った物品識別情報を入力すると、物品と温度とが対応せず、データの信頼性が低下する。加えて、この特許文献1の温度検出装置は、サーミスタや熱電対を用いたカード型のものであって、物品に付着させて温度を測定するものであることから、物品ごとに温度検出装置が必要となり、システムが複雑になって、コストアップが一層助長されることは避けられない。
【0015】
本発明は、上記問題点を解決するものであって、その目的とするところは、物品の識別情報の読み取りと温度測定に要する作業時間を短縮できるとともに、正確なデータを収集でき、しかも取り扱いが容易でコストも低減できるハンディターミナルを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る温度測定機能付きハンディターミナルは、物品に付された物品識別情報を非接触で読み取る識別情報読取部と、物品の温度を非接触で測定する温度測定部とを備えている。そして、識別情報読取部で物品識別情報を読み取る際に温度測定部で物品の温度を測定し、物品識別情報とともに物品の温度データを収集するようにしている。
【0017】
このように、物品識別情報を読み取るハンディターミナルに温度を測定する機能を持たせることで、1台の装置で物品の識別情報と温度データの両方を取得することが可能となる。この結果、作業時間が大幅に短縮されるとともに、従来のような記録用紙への誤記入やハンディターミナルへの誤入力が発生するおそれがなく、データの信頼性を高めることができる。また、ハンディターミナルのほかに放射温度計を携帯する必要がないので、作業者にとって機器の取り扱いが簡便になるとともに、2台の装置を用いていた従来の場合に比べてコストを低減することができる。さらに、本発明のハンディターミナルは、非接触で温度の測定を行うため、前記特許文献1のように物品ごとに温度測定装置を設ける必要もなくなる。
【0018】
また、本発明に係るハンディターミナルは、温度測定部が測定した温度のデータを、識別情報読取部が読み取った物品識別情報と関連づけて管理装置へ送信するようにしている。こうすることで、1つの物品についての識別情報と温度とが常に対となって管理装置へ送信されるため、管理装置では各物品ごとに正確な温度データを収集することができ、温度管理の精度を向上させることができる。さらに、作業者においては、物品と温度とを関連づけるための操作が不要となる。
【0019】
また、本発明に係るハンディターミナルでは、識別情報読取部が、物品に付された物品識別情報を光学的に読み取り、温度測定部が、物品識別情報を読み取る際に物品上に形成される照準の位置の温度を測定する。このような照準を形成する機能は従来のハンディターミナルにも備わっているものであるが、本発明はこの照準を温度測定時の照準としても利用するものである。これによると、物品に付されたバーコード等の物品識別情報に照準を合わせることで、物品識別情報とその位置の温度との双方を確実に読み取ることができ、非接触方式にもかかわらず読取り精度を高く維持することができる。また、温度測定用の照準を形成するための発光素子を別途設けなくて済む。
【0020】
また、本発明に係るハンディターミナルは、識別情報読取部が読み取った物品識別情報を表示する表示部を備えており、温度測定部が測定した温度を物品識別情報とともに表示部に表示するようにしている。これによると、表示部に物品識別情報と測定温度とが表示されるので、物品と温度との関係を一目瞭然に知ることができるとともに、1つの表示部を物品識別情報の表示と温度の表示とに共用することで、ハンディターミナルの形状が大きくなるのを抑制することができる。
【0021】
また、本発明に係るハンディターミナルは、識別情報読取部および温度測定部を含む本体部と、この本体部の下面に取り付けられた把持部と、この把持部に設けられた操作スイッチとを備えている。そして、本体部は前面に窓部が形成されており、本体部の前面を物品に向けて操作スイッチを操作したときに、窓部を介して物品識別情報を読み取るとともに物品の温度を測定するようになっている。これによると、把持部を手で把持して本体の前面を物品に向け、操作スイッチを1回操作するだけで物品識別情報と温度の両方が読み取られるので、持ちやすくて操作の簡便なハンディターミナルを実現することができる。なお、窓部としては、物品識別情報を読み取るための第1の窓部と、物品の温度を測定するための第2の窓部とを別々に設けてもよいし、1つの窓部を介して物品識別情報の読み取りと温度の測定とを行うようにしてもよい。
【0022】
また、本発明に係るハンディターミナルでは、上記本体部が識別情報読取部を備えた第1のユニットと、温度測定部を備えた第2のユニットとから構成され、第2のユニットが第1のユニットに着脱自在に取り付けられる。これによると、第1のユニットのみを有する既存のハンディターミナルに、第2のユニットを取り付けるだけで温度測定機能の付いたハンディターミナルを実現することができる。また、第2のユニットを取り外せば一般のハンディターミナルとしても利用することができ、用途の拡大を図ることができる。
【0023】
次に、本発明に係る物品管理システムは、物品に付された物品識別情報を読み取るハンディターミナルと、物品の情報を管理する管理装置とからなるシステムであって、ハンディターミナルは、物品に付された物品識別情報を非接触で読み取る識別情報読取部と、物品の温度を非接触で測定する温度測定部とを備えた上述の温度測定機能付きハンディターミナルから構成される。また、ハンディターミナルは、識別情報読取部で物品識別情報を読み取る際に、温度測定部で物品の温度を測定し、測定した温度のデータを識別情報読取部が読み取った物品識別情報と関連づけて管理装置へ送信する。
【0024】
このようにすることで、1台の装置で物品の識別情報と温度データの両方を取得することが可能となり、前述のような作業時間の短縮、データの信頼性向上、取り扱いの利便性、コスト低減といった諸効果が得られる。また、物品ごとに温度測定装置を設ける必要がなく、システムを簡略化することができるとともに、物品と温度との関連づけが自動的に行われるので、正確な温度データの収集により温度管理の精度が向上し、作業者における関連づけのための操作も不要となる。
【0025】
また、本発明に係る物品管理システムでは、物品の温度をハンディターミナルの温度測定部で測定し、測定された温度が予め設定された規定値を超えているか否かを管理装置またはハンディターミナルにおいて判定して、規定値を超えている場合は、ハンディターミナルで警告が出力されるようにすることもできる。これによると、たとえば冷凍倉庫への入庫前の検品において物品の温度が適正でない場合は、自動的に返品指示等の警告が出されるので、作業者が物品の温度をいちいち確認しなくても、不良品が冷凍倉庫へ入庫されるのを未然に防止することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る物品管理システムの概略構成を示した図である。本システムは、温度測定機能付きハンディターミナル1と、アクセスポイント2と、サーバー3と、通信ネットワーク4とから構成される。なお、5は冷凍食品等の物品である。
【0027】
温度測定機能付きハンディターミナル(以下、単にハンディターミナルと記す)1は、物品5に付されているバーコード(物品識別情報)6を読み取るための携帯型端末装置であって、読み取った情報が表示される表示部16と、必要なデータを入力するためのキー入力部17とを備えており、内部には後述するバーコード読取部、温度測定部、無線通信部などが設けられている。
【0028】
アクセスポイント2は、ハンディターミナル1から送信されたデータを受信し、受信したデータを通信ネットワーク4を介してサーバー3へ送るとともに、サーバー3からのデータをハンディターミナル1へ送信する無線中継装置であって、送受信アンテナ2aを備えている。
【0029】
サーバー3は、ハンディターミナル1から送られてきた物品の情報を管理する管理装置であって、CPUや記憶装置等を備えたコンピュータから構成される。
【0030】
通信ネットワーク4は、イーサネット(登録商標)などからなる回線であって、アクセスポイント2とサーバー3とを結んでいる。
【0031】
以上のような物品管理システムにおいて、物品5が冷凍食品であって冷凍倉庫(図示省略)に入庫される場合、入庫に先立って物品の識別と温度測定とが行なわれる。この場合、ハンディターミナル1には後述するバーコード読取部と温度測定部とが内蔵されているので、ハンディターミナル1で物品5に付されているバーコード6を読み取る際に、物品5の温度もあわせて測定される。すなわち、1台のハンディターミナル1によって、物品識別情報(品名・数量等)とともに物品の温度データも収集することができる。なお、物品識別情報と温度データとは、同じタイミングで収集してもよいし、若干の時間的遅れをもって収集してもよい。こうして収集した物品識別情報と温度データとは、互いに関連づけられてハンディターミナル1からアクセスポイント2を介してサーバー3へリアルタイムにもしくは所定のタイミングで送信される。サーバー3では、ハンディターミナル1から送られてきた物品識別情報と温度データとを記憶装置へ格納し、物品と温度とを一元管理する。
【0032】
図2および図3は、ハンディターミナル1の具体的構造の一例を示した図であって、図2の(a)は側面図、(b)は(a)を左側から見た場合の正面図である。また、図3の(a)は上面図、(b)は底面図である。
【0033】
ハンディターミナル1は、本体部10と、この本体部10の下面に取り付けられた把持部11と、この把持部11に設けられた操作スイッチ12とを備えており、図2(a)に示すようなガン形状をしている。本体部10は、バーコード読取部を備えたユニットA(第1のユニット)と、温度測定部を備えたユニットB(第2のユニット)とから構成され、図2(b)に示すように、ユニットAの前面にはバーコードを読み取るための窓部14(第1の窓部)が設けられており、ユニットBの前面には温度を測定するための窓部15(第2の窓部)が窓部14と近接して設けられている。これらの窓部14,15は光学レンズを備えているが、単なる透孔であってもよい。また、ユニットAの上面には、図3(a)に示すように、液晶ディスプレイなどからなる表示部16と、各種キーを配列したキー入力部17とが設けられており、また図3(b)に示すように、RS232Cインターフェイス用のコネクタ20が設けられている。
【0034】
把持部11の内部には、ハンディターミナル1の電源となる電池が収納されている。13は把持部11の下端開口部を塞ぐキャップであって、このキャップを開くことにより電池を交換することができる。また、把持部11には、図3(b)に示すように、取付け用のプレート19が連結されており、このプレート19を取付部材であるネジ18によってユニットAに取付けることにより、本体部10と把持部11とが一体に固定される。このとき、ユニットBはユニットAとプレート19との間に挟着されて固定される。また、ネジ18を外すことによって、ユニットBをユニットAから取り外すことができる。すなわち、ユニットBはユニットAに着脱自在に取り付けられている。なお、取付部材としてはネジ18に限らず、たとえばフック片によりユニットAとユニットBとを弾性係合させることで、ユニットBをユニットAに着脱自在に取り付けてもよい。
【0035】
操作スイッチ12はトリガスイッチからなり、把持部11を手で握った状態で人差し指で引き金を引くように操作される。この操作スイッチ12が操作されることにより、窓部14を介してバーコード6が読み取られると同時に、窓部15を介して物品5の温度が測定される。
【0036】
以上のような構造のハンディターミナル1は、把持部11を手で把持して本体1の前面を物品5に向け、操作スイッチ12を1回操作するだけで、バーコード6と温度の両方を読み取ることができ、持ちやすくて操作が簡便なものとなっている。また、ユニットBがユニットAに着脱自在に取り付けられるため、既存のハンディターミナルに温度測定部を備えたユニットBを取り付けるだけで、温度測定機能の付いたハンディターミナルを実現することができる。また、ユニットBを取り外せば一般のハンディターミナルとしても利用することができ、用途の拡大を図ることができる。
【0037】
図4は、ハンディターミナル1の電気的構成を示したブロック図である。31はバーコードを光学的に読み取る公知のレーザースキャナからなるバーコード読取部であって、本発明における識別情報読取部を構成するものである。このバーコード読取部31には、赤色の可視光を発射するレーザーダイオード(LD)が備わっている。なお、発光素子としては、レーザーダイオードに代えて発光ダイオード(LED)を用いてもよい。33はRAMやROMから構成される記憶部、34は図1のアクセスポイント2との間で通信を行なう無線通信部、35は日時を刻む時計部、36は電池から構成される電源部、37はCPUから構成される制御部である。また、12は操作スイッチ、16は表示部、17はキー入力部であって、これらについては前述した通りである。
【0038】
以上の構成において、温度測定部32を除く各ブロックは、従来のハンディターミナルに備わっているものである。バーコード読取部31、記憶部33、無線通信部34、時計部35および制御部37は、図2および図3で示したユニットAに内蔵されており、表示部16およびキー入力部17はユニットAの上面に設けられている。また、温度測定部32はユニットBに内蔵されており、電源部36の電池は前述のように把持部11に内蔵されている。
【0039】
次に、図1ないし図4を参照して、ハンディターミナル1で物品5のバーコード6と温度とを読み取る場合の詳細動作を説明する。最初に、ハンディターミナル1の電源を投入して、キー入力部17からオペレータID、作業エリア等の所定のデータを入力する。その後、把持部11を手で把持して本体部10の前面(図2(a)で左側)を物品5に向けて操作スイッチ12を操作すると、制御部37がバーコード読取部31に読み取り指令を与え、バーコード読取部31のレーザースキャナが駆動されてレーザー光が発射される。発射されたレーザー光は走査部によって走査され、窓部14を通して物品5に照射される。このレーザー光は赤色の可視光であって、バーコード6を読み取る際の照準7となる。この照準7を、図1のように物品5上のバーコード6の位置に合わせることにより、バーコード6が走査されてその反射光が窓部14を通してバーコード読取部31の受光素子で受光され、バーコード6の情報(品名、数量など)が読み取られる。なお、ここでは、走査されたレーザー光を照準7としているが、レーザー光とは別に照準用の光ビームを発射する発光素子を設けてもよい。
【0040】
また、操作スイッチ12が操作されたことにより、制御部37は温度測定部32に測定指令を与える。これによって、温度測定部32の赤外線センサが窓部15を通して入射する物品5の赤外線エネルギーを検出し、物品5の温度が測定される。このときの測定温度は、物品5上に形成された照準7の位置(バーコード6の位置)の温度である。
【0041】
このように、ハンディターミナル1に温度測定機能を持たせることで、物品5のバーコード6を読み取る際に、バーコード情報とともに温度情報も取得することができる。このため、検品時などにおける作業時間が大幅に短縮されるとともに、温度測定値の誤記入や誤入力のおそれがなく、データの信頼性を高めることができる。また、ハンディターミナル1とは別に放射温度計を携帯する必要がないので、作業者にとって機器の取り扱いが簡便になるとともに、コストも低減することができる。さらに、ハンディターミナル1は、非接触で物品5の温度を測定するため、物品ごとに温度測定装置を取り付ける必要もなくなる。
【0042】
また、バーコード6を読み取る際に物品5上に形成される照準7を、温度を測定する場合の照準としても利用しているので、バーコード6に照準7を合わせることで、バーコード6の情報とその位置の温度とを確実に読み取ることができ、非接触方式にもかかわらず読取り精度を高く維持することができる。また、温度測定用の照準を形成するための発光素子を別途設ける必要もない。
【0043】
バーコード読取部31で読み取ったバーコード6の情報と、温度測定部32で測定した温度値とは、互いに関連づけられて記憶部33に格納される。図5は、記憶部33の記憶データの一例を示したテーブルである。記憶部33には、物品ごとに品名・数量および測定温度が記録され、これによって物品と温度とが関連づけられる。なお、バーコード6の情報と温度値の他に、作業を行ったオペレータのIDや作業エリアなども一緒に記録される。
【0044】
記憶部33に格納されたバーコード6の情報と温度値とは、他の情報とあわせて表示部16に表示される。図6は、表示部16の表示画面の一例を示している。このように、表示部16にバーコード情報と温度情報とを一緒に表示することで、物品と温度との関係を一目瞭然に知ることができるとともに、表示部16の共用によりハンディターミナル1の大型化を抑制できる。
【0045】
また、バーコード6の情報と温度値とは、無線通信部34からアクセスポイント2を介して、サーバー3へリアルタイムに送信される。サーバー3は、送られてきたデータを記憶装置へ格納して、物品と温度とを一元的に管理する。この場合、ハンディターミナル1はバーコード6の情報と温度値とを関連づけて(対にして)サーバー3へ送信するので、サーバー3では各物品ごとに正確な温度データを収集することができる。このため、温度管理の精度が向上するとともに、作業者において物品と温度とを関連づけるための操作が不要となる。
【0046】
以上のようにして、検品を行う複数の物品のそれぞれについて、ハンディターミナル1でバーコード6と温度とを読み取り、読み取ったデータをリアルタイムでサーバー3へ送信する。なお、リアルタイムでの送信に代えて、読み取ったデータを順次記憶部33に蓄積してゆき、すべての物品につき読み取りが終了した段階で、データをまとめてサーバー3へ送信するようにしてもよい。この場合は、キー入力部17に送信キー(図示省略)を設け、この送信キーを押すことによって、記憶部33に蓄積したデータが送信されるようにすればよい。
【0047】
図7は、本発明が適用される冷凍食品の入出荷管理システムを説明する図である。入荷時においては、冷凍食品は冷凍設備を備えた配送車(トラック)50で配送され、車両から降ろされた後、一旦入出庫エリア51へ置かれる。そして、この入出庫エリア51で検品作業が行われた後、冷凍倉庫52へ入庫される。また、出荷時においては、冷凍倉庫52から出庫された冷凍食品は、一旦入出庫エリア51へ置かれ、ここで向け先ごとに仕分けが行われる。そして、仕分けが終わった冷凍食品は、配送車50へ積載されて出荷される。
【0048】
図8は、入荷時におけるシステムの動作を示したフローチャートである。入庫前の検品作業において、前述したハンディターミナル1を用いて、冷凍食品に付されているバーコードを読み取るとともに温度を測定する(ステップS1)。収集したデータ(図5)は、ハンディターミナル1からサーバー3へ無線で送信される(ステップS2)。サーバー3では、ハンディターミナル1からデータを受信したか否かを監視しており(ステップS3)、データを受信すると(ステップS3:YES)、受信したデータを入荷情報として記憶装置に記憶する(ステップS4)。
【0049】
続いて、サーバー3は、入荷情報に基づいて冷凍食品の温度をチェックし(ステップS5)、温度が予め設定された規定値(上限値)を超えているか否かを判定する(ステップS6)。この規定値は、サーバー3において任意に設定することができる。判定の結果、規定値を超えていなければ(ステップS6:NO)、処理を終了し、規定値を超えていれば(ステップS6:YES)、ハンディターミナル1へ警告を送信する(ステップS7)。この警告は、たとえば返品を指示するメッセージとして送信される。
【0050】
ハンディターミナル1では、データ送信後にサーバー3から警告を受信したか否かを判定し(ステップS8)、警告を受信しなければ(ステップS8:NO)、処理を終了する。また、サーバー3から警告を受信した場合は(ステップS8:YES)、警告内容を表示部16に表示する(ステップS9)。図9は、表示部16に表示された警告の一例であり、温度が規定値を超えている冷凍食品に対して返品を指示するメッセージが表示されている。作業者は、この警告内容を見て製品の返品処理を行う。これにより、温度が適正でない不良品が冷凍倉庫52へ入庫されるのを未然に防止することができる。
【0051】
なお、ここでは、温度が規定値を超えているか否かをサーバー3で判定するようにしたが、この判定をハンディターミナル1側で行なってもよい。この場合は、ハンディターミナル1に規定値が設定される。この規定値は、キー入力部17の操作により任意に設定することができ、設定された値は記憶部33に記憶される。また、温度が規定値を超えている場合の警告の態様としては、上述したようなメッセージに限らず、マークによる表示や、音声による警報、ブザー音による報知、あるいはランプの点灯・点滅など、種々の態様を採用することができる。
【0052】
図10は、出荷時におけるシステムの動作を示したフローチャートである。ハンディターミナル1は、サーバー3から出荷製品や向け先等に関する出荷指示が送られてくるのを待機しており(ステップS21)、サーバー3が出荷指示を送信すると(ステップS22)、受信した指示内容を表示部16に表示する(ステップS23)。作業者はこの指示内容を見て、ハンディターミナル1により、向け先ごとに仕分けられた出荷製品のバーコードを読み取るとともに温度を測定する(ステップS24)。ハンディターミナル1では、読み取ったバーコードの製品が出荷指示された製品と一致しているか否かを判定し(ステップS25)、一致しておれば(ステップS25:YES)、収集したデータをハンディターミナル1からサーバー3へ無線で送信する(ステップS26)。サーバー3は、ハンディターミナル1から受信したデータを、出荷情報として記憶装置に記憶する(ステップS27)。また、読み取ったバーコードの製品が出荷指示された製品と一致していなければ(ステップS25:NO)、警報を出力する(ステップS28)。この警報は、たとえば、出荷しようとする製品が指示した製品と一致しない旨のメッセージとして表示部16に表示される。なお、出荷時においても、入荷時と同様に、ハンディターミナル1で測定された温度が規定値を超えている場合は、ハンディターミナル1に警告が出力されるようにしてもよい。この場合は、ステップS27のあとに図8のステップS5〜S7が追加され、ステップS26のあとに図8のステップS8,S9が追加される。なお、警告の内容としては、出荷を禁止する旨のメッセージ等が考えられる。
【0053】
本発明は、以上説明したような入出庫時の検品だけでなく、冷凍倉庫52へ入庫した後の冷凍食品に対して、ハンディターミナル1を用いて定期的にもしくは不定期に温度管理を行う場合にも適用することができる。このような場合、冷凍倉庫52の内部には大量の冷凍食品が保管されているため、収集するデータの量は膨大なものとなり、従来のようにハンディターミナルと温度計とで別々にデータを収集していたのでは、極めて作業効率が悪く多大の時間を要するが、本発明では、1台の装置によりバーコードと温度の両データを収集できるため、作業効率が大幅に改善される。
【0054】
なお、以上の説明では、物品5として冷凍食品を例に挙げたが、本発明は食品管理全般に適用することができ、物品5としては冷凍食品以外に、冷蔵が必要な食品や箱詰めされた生鮮食料品などであってもよい。また、本発明は食品以外の商品にも適用が可能である。
【0055】
以上述べた実施形態においては、物品5に付される物品識別情報としてバーコード6を例に挙げたが、物品識別情報はバーコードに限らず、文字、記号、マークなどであってもよい。また、物品識別情報を非接触で読み取る方式としては、光学的な読取方式に限らず、たとえば非接触ICタグに埋め込んだICチップに物品識別情報を記録しておき、物品に付設した非接触ICタグが発信する信号をハンディターミナルの受信部で受信して、物品識別情報を無線で読み取る方式を採用してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、ハンディターミナル1で収集したデータを無線でサーバー3へ送信するようにしたが、収集したデータをコネクタ20に接続したケーブルを介してサーバー3へ送るようにしてもよい。あるいは、収集したデータをハンディターミナル1に装着された記録媒体に記録し、サーバー3がこの記録媒体からデータを取り込むようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、ハンディターミナル1の本体部10を、バーコード読取部31を備えたユニットAと、温度測定部32を備えたユニットBの独立した2つのユニットから構成したが、温度測定部32をバーコード読取部31とともにユニットAに内蔵し、1つのユニットで本体部10を構成するようにしてもよい。このようにすれば、本体部10が小さくなってハンディターミナル1をコンパクトに構成することができる。この場合は、窓部14と窓部15とを別々に設けずに、1つの窓部を介してバーコード6と温度を読み取るようにしてもよい。こうすることで、本体部10の構造を一層簡略化することができる。
【0058】
また、上記実施形態では、ハンディターミナル1の温度測定部32により物品5の温度を測定する場合を例に挙げたが、温度測定部32により配送車50や冷凍倉庫52の内部の壁や床の温度を測定することも可能である。この場合は、ハンディターミナル1の表示部16には温度のみが表示される。なお、この測定時にも、バーコード読取用のレーザー光が形成する照準7を利用して、温度の測定ポイントを容易に確認することができる。
【0059】
さらに、上記実施形態では、本発明を冷凍食品の入出荷管理システムに適用した場合を例に挙げたが、本発明は、食品の製造工程において危害分析により衛生管理を行うHACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)のシステムなどにも適用することができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、ハンディターミナルで物品の識別情報を読み取るときに、温度もあわせて測定することができるため、作業時間が大幅に短縮されるとともに、データの信頼性を高めることができる。また、装置が1台で済むので取り扱いが容易であり、コストも低減することができる。さらに、温度を非接触で測定するため、物品に温度測定手段を付設する必要がなく、システムを簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る物品管理システムの概略構成を示した図である。
【図2】ハンディターミナルの側面図および正面図である。
【図3】ハンディターミナルの上面図および底面図である。
【図4】ハンディターミナルの電気的構成を示したブロック図である。
【図5】記憶部の記憶データの例を示したテーブルである。
【図6】ハンディターミナルの表示画面の例である。
【図7】冷凍食品の入出荷管理システムを説明する図である。
【図8】入荷時におけるシステムの動作を示したフローチャートである。
【図9】表示部に表示された警告の例である。
【図10】出荷時におけるシステムの動作を示したフローチャートである。
【図11】従来の物品管理システムの概略構成を示した図である。
【符号の説明】
1 ハンディターミナル
2 アクセスポイント
3 サーバー(管理装置)
4 通信ネットワーク
5 物品
6 バーコード(物品識別情報)
7 照準
10 本体部
11 把持部
12 操作スイッチ
14 窓部(第1の窓部)
15 窓部(第2の窓部)
16 表示部
17 キー入力部
31 バーコード読取部(識別情報読取部)
32 温度測定部
33 発光素子
52 冷凍倉庫
A ユニット(第1のユニット)
B ユニット(第2のユニット)
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍食品などの物品の識別情報とともに温度データを収集するハンディターミナルに関し、またそのようなハンディターミナルと管理装置とから構成される物品管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
物品の入出庫に際し、物品に付されたバーコードをハンディターミナルで読み取り、読み取ったバーコードが示す品名・数量等の物品識別情報をサーバーへ送信して、サーバーで入出庫管理を行なうシステムは従来からよく知られている。しかし、物品が冷凍食品や保冷の必要な食料品であるような場合は、物品識別情報だけでなく、物品の温度を測定して管理する必要があるため、上述したハンディターミナルとは別に、放射温度計のような温度測定装置を用いて冷凍食品等の温度を測定するようにしている。
【0003】
図11は、このような物品識別情報と温度とを管理する従来の物品管理システムの概略構成を示した図である。本システムは、ハンディターミナル100と、放射温度計200と、アクセスポイント300と、サーバー400と、通信ネットワーク500とから構成される。なお、600は冷凍食品等の物品、700は記録用紙である。
【0004】
ハンディターミナル100は、物品600に付されているバーコード(物品識別情報)601を読み取るための携帯型端末装置であって、読み取った情報が表示される表示部101と、必要なデータを入力するためのキー入力部102とを備えており、内部には図示しないバーコード読取部や無線通信部が設けられている。
【0005】
放射温度計200は、被測定物体から放射される赤外線のエネルギーが物体の温度に依存して変化することを利用して温度を測定する携帯型の温度計であって、測定した温度値が表示される表示部201を備えており、内部には図示しない赤外線センサが設けられている。
【0006】
アクセスポイント300は、ハンディターミナル100から送信されたデータを受信し、受信したデータを通信ネットワーク500を介してサーバー400へ送るとともに、サーバー400からのデータをハンディターミナル100へ送信する無線中継装置であって、送受信アンテナ301を備えている。
【0007】
サーバー400は、ハンディターミナル100から送られてきた物品の情報を管理する管理装置であって、CPUや記憶装置等を備えたコンピュータから構成される。
【0008】
通信ネットワーク500は、イーサネット(登録商標)などからなる回線であって、アクセスポイント300とサーバー400とを結んでいる。
【0009】
以上のようなシステムにおいて、物品600が冷凍食品であって冷凍倉庫(図示省略)に入庫される場合、入庫に先立って物品の識別と温度測定とが行なわれる。すなわち、ハンディターミナル100により物品600に付されているバーコード601を読み取って、品名や数量等の物品識別情報を収集する。また、放射温度計200により物品600の温度を測定する。測定温度は表示部201に表示されるので、作業者は表示された温度値を見て、その値を記録用紙700へ記入するか、あるいはハンディターミナル100へキー入力部102を操作して入力する。
【0010】
温度値を記録用紙700へ記入する場合は、ハンディターミナル100からサーバー400へ送信されるデータは物品識別情報だけであるが、温度値をハンディターミナル100へ入力すると、ハンディターミナル100に物品600の識別情報と温度値とが収集されるので、これらのデータをアクセスポイント300を介してサーバー400へ送信することで、サーバー400では物品と温度とを一元管理することができる。
【0011】
また、別の従来技術として、食品の温度を検出して測定時間とともに記憶する温度検出装置と、作業者ID・生産設備情報・生産品情報を入力するとともに、これらと時刻とを連係したデータを生成する携帯型データ入力装置と、両装置から送信されてきたデータに基づいて生産品ごとに温度履歴、作業者および生産設備を編集して記録するコンピュータとを備えた管理システムが下記の特許文献1に記載されている。
【0012】
【特許文献1】
特開平11−160160号公報(第4−9頁、図1、図21)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11に示した従来のシステムにおいては、物品600の識別情報をハンディターミナル100で読み取る一方、物品600の温度を放射温度計200で測定しているため、識別情報の読取りと温度の測定とを別々に行なわねばならず、作業に手間を要するという問題がある。また、放射温度計200に表示される温度の測定値を作業者が目視して、記録用紙700への記入やハンディターミナル100への入力を行なっているために、誤記入や誤入力が発生してデータの信頼性が低下するおそれがある。さらには、ハンディターミナル100と放射温度計200の2つの装置を必要とすることから、取り扱いの面で不便であるばかりか、コストも高くつくという難点がある。
【0014】
一方、前記特許文献1のものでは、温度検出装置からコンピュータへ測定温度のデータが送られるので、データ入力装置へ温度データを入力する必要はないが、温度検出装置とデータ入力装置とが別々になっていることから、作業に手間を要する点、取り扱いが不便な点、およびコストがアップする点では、図11の場合と同様の欠点を有している。また、物品識別情報と温度とを別々の装置で読み取るために、データ入力装置に間違った物品識別情報を入力すると、物品と温度とが対応せず、データの信頼性が低下する。加えて、この特許文献1の温度検出装置は、サーミスタや熱電対を用いたカード型のものであって、物品に付着させて温度を測定するものであることから、物品ごとに温度検出装置が必要となり、システムが複雑になって、コストアップが一層助長されることは避けられない。
【0015】
本発明は、上記問題点を解決するものであって、その目的とするところは、物品の識別情報の読み取りと温度測定に要する作業時間を短縮できるとともに、正確なデータを収集でき、しかも取り扱いが容易でコストも低減できるハンディターミナルを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る温度測定機能付きハンディターミナルは、物品に付された物品識別情報を非接触で読み取る識別情報読取部と、物品の温度を非接触で測定する温度測定部とを備えている。そして、識別情報読取部で物品識別情報を読み取る際に温度測定部で物品の温度を測定し、物品識別情報とともに物品の温度データを収集するようにしている。
【0017】
このように、物品識別情報を読み取るハンディターミナルに温度を測定する機能を持たせることで、1台の装置で物品の識別情報と温度データの両方を取得することが可能となる。この結果、作業時間が大幅に短縮されるとともに、従来のような記録用紙への誤記入やハンディターミナルへの誤入力が発生するおそれがなく、データの信頼性を高めることができる。また、ハンディターミナルのほかに放射温度計を携帯する必要がないので、作業者にとって機器の取り扱いが簡便になるとともに、2台の装置を用いていた従来の場合に比べてコストを低減することができる。さらに、本発明のハンディターミナルは、非接触で温度の測定を行うため、前記特許文献1のように物品ごとに温度測定装置を設ける必要もなくなる。
【0018】
また、本発明に係るハンディターミナルは、温度測定部が測定した温度のデータを、識別情報読取部が読み取った物品識別情報と関連づけて管理装置へ送信するようにしている。こうすることで、1つの物品についての識別情報と温度とが常に対となって管理装置へ送信されるため、管理装置では各物品ごとに正確な温度データを収集することができ、温度管理の精度を向上させることができる。さらに、作業者においては、物品と温度とを関連づけるための操作が不要となる。
【0019】
また、本発明に係るハンディターミナルでは、識別情報読取部が、物品に付された物品識別情報を光学的に読み取り、温度測定部が、物品識別情報を読み取る際に物品上に形成される照準の位置の温度を測定する。このような照準を形成する機能は従来のハンディターミナルにも備わっているものであるが、本発明はこの照準を温度測定時の照準としても利用するものである。これによると、物品に付されたバーコード等の物品識別情報に照準を合わせることで、物品識別情報とその位置の温度との双方を確実に読み取ることができ、非接触方式にもかかわらず読取り精度を高く維持することができる。また、温度測定用の照準を形成するための発光素子を別途設けなくて済む。
【0020】
また、本発明に係るハンディターミナルは、識別情報読取部が読み取った物品識別情報を表示する表示部を備えており、温度測定部が測定した温度を物品識別情報とともに表示部に表示するようにしている。これによると、表示部に物品識別情報と測定温度とが表示されるので、物品と温度との関係を一目瞭然に知ることができるとともに、1つの表示部を物品識別情報の表示と温度の表示とに共用することで、ハンディターミナルの形状が大きくなるのを抑制することができる。
【0021】
また、本発明に係るハンディターミナルは、識別情報読取部および温度測定部を含む本体部と、この本体部の下面に取り付けられた把持部と、この把持部に設けられた操作スイッチとを備えている。そして、本体部は前面に窓部が形成されており、本体部の前面を物品に向けて操作スイッチを操作したときに、窓部を介して物品識別情報を読み取るとともに物品の温度を測定するようになっている。これによると、把持部を手で把持して本体の前面を物品に向け、操作スイッチを1回操作するだけで物品識別情報と温度の両方が読み取られるので、持ちやすくて操作の簡便なハンディターミナルを実現することができる。なお、窓部としては、物品識別情報を読み取るための第1の窓部と、物品の温度を測定するための第2の窓部とを別々に設けてもよいし、1つの窓部を介して物品識別情報の読み取りと温度の測定とを行うようにしてもよい。
【0022】
また、本発明に係るハンディターミナルでは、上記本体部が識別情報読取部を備えた第1のユニットと、温度測定部を備えた第2のユニットとから構成され、第2のユニットが第1のユニットに着脱自在に取り付けられる。これによると、第1のユニットのみを有する既存のハンディターミナルに、第2のユニットを取り付けるだけで温度測定機能の付いたハンディターミナルを実現することができる。また、第2のユニットを取り外せば一般のハンディターミナルとしても利用することができ、用途の拡大を図ることができる。
【0023】
次に、本発明に係る物品管理システムは、物品に付された物品識別情報を読み取るハンディターミナルと、物品の情報を管理する管理装置とからなるシステムであって、ハンディターミナルは、物品に付された物品識別情報を非接触で読み取る識別情報読取部と、物品の温度を非接触で測定する温度測定部とを備えた上述の温度測定機能付きハンディターミナルから構成される。また、ハンディターミナルは、識別情報読取部で物品識別情報を読み取る際に、温度測定部で物品の温度を測定し、測定した温度のデータを識別情報読取部が読み取った物品識別情報と関連づけて管理装置へ送信する。
【0024】
このようにすることで、1台の装置で物品の識別情報と温度データの両方を取得することが可能となり、前述のような作業時間の短縮、データの信頼性向上、取り扱いの利便性、コスト低減といった諸効果が得られる。また、物品ごとに温度測定装置を設ける必要がなく、システムを簡略化することができるとともに、物品と温度との関連づけが自動的に行われるので、正確な温度データの収集により温度管理の精度が向上し、作業者における関連づけのための操作も不要となる。
【0025】
また、本発明に係る物品管理システムでは、物品の温度をハンディターミナルの温度測定部で測定し、測定された温度が予め設定された規定値を超えているか否かを管理装置またはハンディターミナルにおいて判定して、規定値を超えている場合は、ハンディターミナルで警告が出力されるようにすることもできる。これによると、たとえば冷凍倉庫への入庫前の検品において物品の温度が適正でない場合は、自動的に返品指示等の警告が出されるので、作業者が物品の温度をいちいち確認しなくても、不良品が冷凍倉庫へ入庫されるのを未然に防止することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る物品管理システムの概略構成を示した図である。本システムは、温度測定機能付きハンディターミナル1と、アクセスポイント2と、サーバー3と、通信ネットワーク4とから構成される。なお、5は冷凍食品等の物品である。
【0027】
温度測定機能付きハンディターミナル(以下、単にハンディターミナルと記す)1は、物品5に付されているバーコード(物品識別情報)6を読み取るための携帯型端末装置であって、読み取った情報が表示される表示部16と、必要なデータを入力するためのキー入力部17とを備えており、内部には後述するバーコード読取部、温度測定部、無線通信部などが設けられている。
【0028】
アクセスポイント2は、ハンディターミナル1から送信されたデータを受信し、受信したデータを通信ネットワーク4を介してサーバー3へ送るとともに、サーバー3からのデータをハンディターミナル1へ送信する無線中継装置であって、送受信アンテナ2aを備えている。
【0029】
サーバー3は、ハンディターミナル1から送られてきた物品の情報を管理する管理装置であって、CPUや記憶装置等を備えたコンピュータから構成される。
【0030】
通信ネットワーク4は、イーサネット(登録商標)などからなる回線であって、アクセスポイント2とサーバー3とを結んでいる。
【0031】
以上のような物品管理システムにおいて、物品5が冷凍食品であって冷凍倉庫(図示省略)に入庫される場合、入庫に先立って物品の識別と温度測定とが行なわれる。この場合、ハンディターミナル1には後述するバーコード読取部と温度測定部とが内蔵されているので、ハンディターミナル1で物品5に付されているバーコード6を読み取る際に、物品5の温度もあわせて測定される。すなわち、1台のハンディターミナル1によって、物品識別情報(品名・数量等)とともに物品の温度データも収集することができる。なお、物品識別情報と温度データとは、同じタイミングで収集してもよいし、若干の時間的遅れをもって収集してもよい。こうして収集した物品識別情報と温度データとは、互いに関連づけられてハンディターミナル1からアクセスポイント2を介してサーバー3へリアルタイムにもしくは所定のタイミングで送信される。サーバー3では、ハンディターミナル1から送られてきた物品識別情報と温度データとを記憶装置へ格納し、物品と温度とを一元管理する。
【0032】
図2および図3は、ハンディターミナル1の具体的構造の一例を示した図であって、図2の(a)は側面図、(b)は(a)を左側から見た場合の正面図である。また、図3の(a)は上面図、(b)は底面図である。
【0033】
ハンディターミナル1は、本体部10と、この本体部10の下面に取り付けられた把持部11と、この把持部11に設けられた操作スイッチ12とを備えており、図2(a)に示すようなガン形状をしている。本体部10は、バーコード読取部を備えたユニットA(第1のユニット)と、温度測定部を備えたユニットB(第2のユニット)とから構成され、図2(b)に示すように、ユニットAの前面にはバーコードを読み取るための窓部14(第1の窓部)が設けられており、ユニットBの前面には温度を測定するための窓部15(第2の窓部)が窓部14と近接して設けられている。これらの窓部14,15は光学レンズを備えているが、単なる透孔であってもよい。また、ユニットAの上面には、図3(a)に示すように、液晶ディスプレイなどからなる表示部16と、各種キーを配列したキー入力部17とが設けられており、また図3(b)に示すように、RS232Cインターフェイス用のコネクタ20が設けられている。
【0034】
把持部11の内部には、ハンディターミナル1の電源となる電池が収納されている。13は把持部11の下端開口部を塞ぐキャップであって、このキャップを開くことにより電池を交換することができる。また、把持部11には、図3(b)に示すように、取付け用のプレート19が連結されており、このプレート19を取付部材であるネジ18によってユニットAに取付けることにより、本体部10と把持部11とが一体に固定される。このとき、ユニットBはユニットAとプレート19との間に挟着されて固定される。また、ネジ18を外すことによって、ユニットBをユニットAから取り外すことができる。すなわち、ユニットBはユニットAに着脱自在に取り付けられている。なお、取付部材としてはネジ18に限らず、たとえばフック片によりユニットAとユニットBとを弾性係合させることで、ユニットBをユニットAに着脱自在に取り付けてもよい。
【0035】
操作スイッチ12はトリガスイッチからなり、把持部11を手で握った状態で人差し指で引き金を引くように操作される。この操作スイッチ12が操作されることにより、窓部14を介してバーコード6が読み取られると同時に、窓部15を介して物品5の温度が測定される。
【0036】
以上のような構造のハンディターミナル1は、把持部11を手で把持して本体1の前面を物品5に向け、操作スイッチ12を1回操作するだけで、バーコード6と温度の両方を読み取ることができ、持ちやすくて操作が簡便なものとなっている。また、ユニットBがユニットAに着脱自在に取り付けられるため、既存のハンディターミナルに温度測定部を備えたユニットBを取り付けるだけで、温度測定機能の付いたハンディターミナルを実現することができる。また、ユニットBを取り外せば一般のハンディターミナルとしても利用することができ、用途の拡大を図ることができる。
【0037】
図4は、ハンディターミナル1の電気的構成を示したブロック図である。31はバーコードを光学的に読み取る公知のレーザースキャナからなるバーコード読取部であって、本発明における識別情報読取部を構成するものである。このバーコード読取部31には、赤色の可視光を発射するレーザーダイオード(LD)が備わっている。なお、発光素子としては、レーザーダイオードに代えて発光ダイオード(LED)を用いてもよい。33はRAMやROMから構成される記憶部、34は図1のアクセスポイント2との間で通信を行なう無線通信部、35は日時を刻む時計部、36は電池から構成される電源部、37はCPUから構成される制御部である。また、12は操作スイッチ、16は表示部、17はキー入力部であって、これらについては前述した通りである。
【0038】
以上の構成において、温度測定部32を除く各ブロックは、従来のハンディターミナルに備わっているものである。バーコード読取部31、記憶部33、無線通信部34、時計部35および制御部37は、図2および図3で示したユニットAに内蔵されており、表示部16およびキー入力部17はユニットAの上面に設けられている。また、温度測定部32はユニットBに内蔵されており、電源部36の電池は前述のように把持部11に内蔵されている。
【0039】
次に、図1ないし図4を参照して、ハンディターミナル1で物品5のバーコード6と温度とを読み取る場合の詳細動作を説明する。最初に、ハンディターミナル1の電源を投入して、キー入力部17からオペレータID、作業エリア等の所定のデータを入力する。その後、把持部11を手で把持して本体部10の前面(図2(a)で左側)を物品5に向けて操作スイッチ12を操作すると、制御部37がバーコード読取部31に読み取り指令を与え、バーコード読取部31のレーザースキャナが駆動されてレーザー光が発射される。発射されたレーザー光は走査部によって走査され、窓部14を通して物品5に照射される。このレーザー光は赤色の可視光であって、バーコード6を読み取る際の照準7となる。この照準7を、図1のように物品5上のバーコード6の位置に合わせることにより、バーコード6が走査されてその反射光が窓部14を通してバーコード読取部31の受光素子で受光され、バーコード6の情報(品名、数量など)が読み取られる。なお、ここでは、走査されたレーザー光を照準7としているが、レーザー光とは別に照準用の光ビームを発射する発光素子を設けてもよい。
【0040】
また、操作スイッチ12が操作されたことにより、制御部37は温度測定部32に測定指令を与える。これによって、温度測定部32の赤外線センサが窓部15を通して入射する物品5の赤外線エネルギーを検出し、物品5の温度が測定される。このときの測定温度は、物品5上に形成された照準7の位置(バーコード6の位置)の温度である。
【0041】
このように、ハンディターミナル1に温度測定機能を持たせることで、物品5のバーコード6を読み取る際に、バーコード情報とともに温度情報も取得することができる。このため、検品時などにおける作業時間が大幅に短縮されるとともに、温度測定値の誤記入や誤入力のおそれがなく、データの信頼性を高めることができる。また、ハンディターミナル1とは別に放射温度計を携帯する必要がないので、作業者にとって機器の取り扱いが簡便になるとともに、コストも低減することができる。さらに、ハンディターミナル1は、非接触で物品5の温度を測定するため、物品ごとに温度測定装置を取り付ける必要もなくなる。
【0042】
また、バーコード6を読み取る際に物品5上に形成される照準7を、温度を測定する場合の照準としても利用しているので、バーコード6に照準7を合わせることで、バーコード6の情報とその位置の温度とを確実に読み取ることができ、非接触方式にもかかわらず読取り精度を高く維持することができる。また、温度測定用の照準を形成するための発光素子を別途設ける必要もない。
【0043】
バーコード読取部31で読み取ったバーコード6の情報と、温度測定部32で測定した温度値とは、互いに関連づけられて記憶部33に格納される。図5は、記憶部33の記憶データの一例を示したテーブルである。記憶部33には、物品ごとに品名・数量および測定温度が記録され、これによって物品と温度とが関連づけられる。なお、バーコード6の情報と温度値の他に、作業を行ったオペレータのIDや作業エリアなども一緒に記録される。
【0044】
記憶部33に格納されたバーコード6の情報と温度値とは、他の情報とあわせて表示部16に表示される。図6は、表示部16の表示画面の一例を示している。このように、表示部16にバーコード情報と温度情報とを一緒に表示することで、物品と温度との関係を一目瞭然に知ることができるとともに、表示部16の共用によりハンディターミナル1の大型化を抑制できる。
【0045】
また、バーコード6の情報と温度値とは、無線通信部34からアクセスポイント2を介して、サーバー3へリアルタイムに送信される。サーバー3は、送られてきたデータを記憶装置へ格納して、物品と温度とを一元的に管理する。この場合、ハンディターミナル1はバーコード6の情報と温度値とを関連づけて(対にして)サーバー3へ送信するので、サーバー3では各物品ごとに正確な温度データを収集することができる。このため、温度管理の精度が向上するとともに、作業者において物品と温度とを関連づけるための操作が不要となる。
【0046】
以上のようにして、検品を行う複数の物品のそれぞれについて、ハンディターミナル1でバーコード6と温度とを読み取り、読み取ったデータをリアルタイムでサーバー3へ送信する。なお、リアルタイムでの送信に代えて、読み取ったデータを順次記憶部33に蓄積してゆき、すべての物品につき読み取りが終了した段階で、データをまとめてサーバー3へ送信するようにしてもよい。この場合は、キー入力部17に送信キー(図示省略)を設け、この送信キーを押すことによって、記憶部33に蓄積したデータが送信されるようにすればよい。
【0047】
図7は、本発明が適用される冷凍食品の入出荷管理システムを説明する図である。入荷時においては、冷凍食品は冷凍設備を備えた配送車(トラック)50で配送され、車両から降ろされた後、一旦入出庫エリア51へ置かれる。そして、この入出庫エリア51で検品作業が行われた後、冷凍倉庫52へ入庫される。また、出荷時においては、冷凍倉庫52から出庫された冷凍食品は、一旦入出庫エリア51へ置かれ、ここで向け先ごとに仕分けが行われる。そして、仕分けが終わった冷凍食品は、配送車50へ積載されて出荷される。
【0048】
図8は、入荷時におけるシステムの動作を示したフローチャートである。入庫前の検品作業において、前述したハンディターミナル1を用いて、冷凍食品に付されているバーコードを読み取るとともに温度を測定する(ステップS1)。収集したデータ(図5)は、ハンディターミナル1からサーバー3へ無線で送信される(ステップS2)。サーバー3では、ハンディターミナル1からデータを受信したか否かを監視しており(ステップS3)、データを受信すると(ステップS3:YES)、受信したデータを入荷情報として記憶装置に記憶する(ステップS4)。
【0049】
続いて、サーバー3は、入荷情報に基づいて冷凍食品の温度をチェックし(ステップS5)、温度が予め設定された規定値(上限値)を超えているか否かを判定する(ステップS6)。この規定値は、サーバー3において任意に設定することができる。判定の結果、規定値を超えていなければ(ステップS6:NO)、処理を終了し、規定値を超えていれば(ステップS6:YES)、ハンディターミナル1へ警告を送信する(ステップS7)。この警告は、たとえば返品を指示するメッセージとして送信される。
【0050】
ハンディターミナル1では、データ送信後にサーバー3から警告を受信したか否かを判定し(ステップS8)、警告を受信しなければ(ステップS8:NO)、処理を終了する。また、サーバー3から警告を受信した場合は(ステップS8:YES)、警告内容を表示部16に表示する(ステップS9)。図9は、表示部16に表示された警告の一例であり、温度が規定値を超えている冷凍食品に対して返品を指示するメッセージが表示されている。作業者は、この警告内容を見て製品の返品処理を行う。これにより、温度が適正でない不良品が冷凍倉庫52へ入庫されるのを未然に防止することができる。
【0051】
なお、ここでは、温度が規定値を超えているか否かをサーバー3で判定するようにしたが、この判定をハンディターミナル1側で行なってもよい。この場合は、ハンディターミナル1に規定値が設定される。この規定値は、キー入力部17の操作により任意に設定することができ、設定された値は記憶部33に記憶される。また、温度が規定値を超えている場合の警告の態様としては、上述したようなメッセージに限らず、マークによる表示や、音声による警報、ブザー音による報知、あるいはランプの点灯・点滅など、種々の態様を採用することができる。
【0052】
図10は、出荷時におけるシステムの動作を示したフローチャートである。ハンディターミナル1は、サーバー3から出荷製品や向け先等に関する出荷指示が送られてくるのを待機しており(ステップS21)、サーバー3が出荷指示を送信すると(ステップS22)、受信した指示内容を表示部16に表示する(ステップS23)。作業者はこの指示内容を見て、ハンディターミナル1により、向け先ごとに仕分けられた出荷製品のバーコードを読み取るとともに温度を測定する(ステップS24)。ハンディターミナル1では、読み取ったバーコードの製品が出荷指示された製品と一致しているか否かを判定し(ステップS25)、一致しておれば(ステップS25:YES)、収集したデータをハンディターミナル1からサーバー3へ無線で送信する(ステップS26)。サーバー3は、ハンディターミナル1から受信したデータを、出荷情報として記憶装置に記憶する(ステップS27)。また、読み取ったバーコードの製品が出荷指示された製品と一致していなければ(ステップS25:NO)、警報を出力する(ステップS28)。この警報は、たとえば、出荷しようとする製品が指示した製品と一致しない旨のメッセージとして表示部16に表示される。なお、出荷時においても、入荷時と同様に、ハンディターミナル1で測定された温度が規定値を超えている場合は、ハンディターミナル1に警告が出力されるようにしてもよい。この場合は、ステップS27のあとに図8のステップS5〜S7が追加され、ステップS26のあとに図8のステップS8,S9が追加される。なお、警告の内容としては、出荷を禁止する旨のメッセージ等が考えられる。
【0053】
本発明は、以上説明したような入出庫時の検品だけでなく、冷凍倉庫52へ入庫した後の冷凍食品に対して、ハンディターミナル1を用いて定期的にもしくは不定期に温度管理を行う場合にも適用することができる。このような場合、冷凍倉庫52の内部には大量の冷凍食品が保管されているため、収集するデータの量は膨大なものとなり、従来のようにハンディターミナルと温度計とで別々にデータを収集していたのでは、極めて作業効率が悪く多大の時間を要するが、本発明では、1台の装置によりバーコードと温度の両データを収集できるため、作業効率が大幅に改善される。
【0054】
なお、以上の説明では、物品5として冷凍食品を例に挙げたが、本発明は食品管理全般に適用することができ、物品5としては冷凍食品以外に、冷蔵が必要な食品や箱詰めされた生鮮食料品などであってもよい。また、本発明は食品以外の商品にも適用が可能である。
【0055】
以上述べた実施形態においては、物品5に付される物品識別情報としてバーコード6を例に挙げたが、物品識別情報はバーコードに限らず、文字、記号、マークなどであってもよい。また、物品識別情報を非接触で読み取る方式としては、光学的な読取方式に限らず、たとえば非接触ICタグに埋め込んだICチップに物品識別情報を記録しておき、物品に付設した非接触ICタグが発信する信号をハンディターミナルの受信部で受信して、物品識別情報を無線で読み取る方式を採用してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、ハンディターミナル1で収集したデータを無線でサーバー3へ送信するようにしたが、収集したデータをコネクタ20に接続したケーブルを介してサーバー3へ送るようにしてもよい。あるいは、収集したデータをハンディターミナル1に装着された記録媒体に記録し、サーバー3がこの記録媒体からデータを取り込むようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、ハンディターミナル1の本体部10を、バーコード読取部31を備えたユニットAと、温度測定部32を備えたユニットBの独立した2つのユニットから構成したが、温度測定部32をバーコード読取部31とともにユニットAに内蔵し、1つのユニットで本体部10を構成するようにしてもよい。このようにすれば、本体部10が小さくなってハンディターミナル1をコンパクトに構成することができる。この場合は、窓部14と窓部15とを別々に設けずに、1つの窓部を介してバーコード6と温度を読み取るようにしてもよい。こうすることで、本体部10の構造を一層簡略化することができる。
【0058】
また、上記実施形態では、ハンディターミナル1の温度測定部32により物品5の温度を測定する場合を例に挙げたが、温度測定部32により配送車50や冷凍倉庫52の内部の壁や床の温度を測定することも可能である。この場合は、ハンディターミナル1の表示部16には温度のみが表示される。なお、この測定時にも、バーコード読取用のレーザー光が形成する照準7を利用して、温度の測定ポイントを容易に確認することができる。
【0059】
さらに、上記実施形態では、本発明を冷凍食品の入出荷管理システムに適用した場合を例に挙げたが、本発明は、食品の製造工程において危害分析により衛生管理を行うHACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)のシステムなどにも適用することができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、ハンディターミナルで物品の識別情報を読み取るときに、温度もあわせて測定することができるため、作業時間が大幅に短縮されるとともに、データの信頼性を高めることができる。また、装置が1台で済むので取り扱いが容易であり、コストも低減することができる。さらに、温度を非接触で測定するため、物品に温度測定手段を付設する必要がなく、システムを簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る物品管理システムの概略構成を示した図である。
【図2】ハンディターミナルの側面図および正面図である。
【図3】ハンディターミナルの上面図および底面図である。
【図4】ハンディターミナルの電気的構成を示したブロック図である。
【図5】記憶部の記憶データの例を示したテーブルである。
【図6】ハンディターミナルの表示画面の例である。
【図7】冷凍食品の入出荷管理システムを説明する図である。
【図8】入荷時におけるシステムの動作を示したフローチャートである。
【図9】表示部に表示された警告の例である。
【図10】出荷時におけるシステムの動作を示したフローチャートである。
【図11】従来の物品管理システムの概略構成を示した図である。
【符号の説明】
1 ハンディターミナル
2 アクセスポイント
3 サーバー(管理装置)
4 通信ネットワーク
5 物品
6 バーコード(物品識別情報)
7 照準
10 本体部
11 把持部
12 操作スイッチ
14 窓部(第1の窓部)
15 窓部(第2の窓部)
16 表示部
17 キー入力部
31 バーコード読取部(識別情報読取部)
32 温度測定部
33 発光素子
52 冷凍倉庫
A ユニット(第1のユニット)
B ユニット(第2のユニット)
Claims (8)
- 物品に付された物品識別情報を非接触で読み取る識別情報読取部と、物品の温度を非接触で測定する温度測定部と、を備え、
前記識別情報読取部で物品識別情報を読み取る際に、前記温度測定部で物品の温度を測定し、物品識別情報とともに物品の温度データを収集することを特徴とする温度測定機能付きハンディターミナル。 - 請求項1に記載のハンディターミナルにおいて、
温度測定部が測定した温度のデータを、識別情報読取部が読み取った物品識別情報と関連づけて管理装置へ送信することを特徴とする温度測定機能付きハンディターミナル。 - 請求項1に記載のハンディターミナルにおいて、
識別情報読取部は、物品に付された物品識別情報を光学的に読み取り、温度測定部は、識別情報読取部により物品識別情報を読み取る際に物品上に形成される照準の位置の温度を測定することを特徴とする温度測定機能付きハンディターミナル。 - 請求項1に記載のハンディターミナルにおいて、
識別情報読取部が読み取った物品識別情報を表示する表示部を備え、
温度測定部が測定した温度を物品識別情報とともに前記表示部に表示することを特徴とする温度測定機能付きハンディターミナル。 - 請求項1に記載のハンディターミナルにおいて、
識別情報読取部および温度測定部を含む本体部と、この本体部の下面に取り付けられた把持部と、この把持部に設けられた操作スイッチとを備え、
前記本体部は前面に窓部が形成されており、
本体部の前面を物品に向けて操作スイッチを操作したときに、前記窓部を介して物品識別情報を読み取るとともに物品の温度を測定することを特徴とする温度測定機能付きハンディターミナル。 - 請求項5に記載のハンディターミナルにおいて、
本体部は、識別情報読取部を備えた第1のユニットと、温度測定部を備えた第2のユニットとから構成され、
前記第2のユニットが第1のユニットに着脱自在に取り付けられていることを特徴とする温度測定機能付きハンディターミナル。 - 物品に付された物品識別情報を読み取るハンディターミナルと、物品の情報を管理する管理装置とからなるシステムであって、
前記ハンディターミナルは、物品に付された物品識別情報を非接触で読み取る識別情報読取部と、物品の温度を非接触で測定する温度測定部とを備えた温度測定機能付きハンディターミナルから構成され、
前記ハンディターミナルは、識別情報読取部で物品識別情報を読み取る際に、温度測定部で物品の温度を測定し、測定した温度のデータを識別情報読取部が読み取った物品識別情報と関連づけて管理装置へ送信することを特徴とする物品管理システム。 - 請求項7に記載の物品管理システムにおいて、
物品の温度を前記温度測定部で測定し、測定された温度が予め設定された規定値を超えているか否かを管理装置またはハンディターミナルにおいて判定して、規定値を超えている場合は、ハンディターミナルで警告が出力されるようにしたことを特徴とする物品管理システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002323335A JP2004157803A (ja) | 2002-11-07 | 2002-11-07 | 温度測定機能付きハンディターミナル、物品管理システム |
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JP2002323335A Pending JP2004157803A (ja) | 2002-11-07 | 2002-11-07 | 温度測定機能付きハンディターミナル、物品管理システム |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006319416A (ja) * | 2005-05-10 | 2006-11-24 | Nec Corp | 情報読取装置、対象物、情報処理装置、情報通信システム、情報読取方法、及びプログラム |
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JP2014157111A (ja) * | 2013-02-18 | 2014-08-28 | Hoshizaki Electric Co Ltd | 調理温度記録システム |
JP2021033514A (ja) * | 2019-08-21 | 2021-03-01 | 東京瓦斯株式会社 | 食材管理の方法、システム、プログラム、および機器 |
-
2002
- 2002-11-07 JP JP2002323335A patent/JP2004157803A/ja active Pending
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