JP2004157618A - レーザマーカの印字データ生成方法及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】アプリケーションのデータ互換性に関するトラブルが発生しにくく、かつ、操作の手間が少ないレーザマーカの印字データ生成方法を提供する。
【解決手段】レーザマーカに通信インターフェイスを介して接続されたコンピュータのオペレーティングシステムでサポートされた印刷ドライバの一種として、印字データ生成用ドライバをコンピュータにあらかじめインストールしておき、コンピュータのオペレーティングシステム上で動く描画機能を有するアプリケーションソフトウェアを用いて所望の図形及び文字を作成し(#201)、アプリケーションソフトウェアの印刷メニューから所望のレーザマーカを出力先として選択して印刷処理の実行を指示し(#202)、印字データ生成用ドライバが、アプリケーションソフトウェアからオペレーティングシステムを介して渡された印刷用データを処理して印字データを生成する(#203)。
【選択図】 図5
【解決手段】レーザマーカに通信インターフェイスを介して接続されたコンピュータのオペレーティングシステムでサポートされた印刷ドライバの一種として、印字データ生成用ドライバをコンピュータにあらかじめインストールしておき、コンピュータのオペレーティングシステム上で動く描画機能を有するアプリケーションソフトウェアを用いて所望の図形及び文字を作成し(#201)、アプリケーションソフトウェアの印刷メニューから所望のレーザマーカを出力先として選択して印刷処理の実行を指示し(#202)、印字データ生成用ドライバが、アプリケーションソフトウェアからオペレーティングシステムを介して渡された印刷用データを処理して印字データを生成する(#203)。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を用いて樹脂、木、金属等の表面に文字等の印字加工を行うレーザマーカに印字データを転送する方法及びコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のレーザマーカは、炭酸ガスレーザ又はYAGレーザのような比較的高い出力が得られるレーザから発せられたレーザ光で樹脂、木、金属等の対象物の表面を加熱し、表面を局部的に変色又は変形させることにより文字等の印字加工(マーキング)を行う。
【0003】
印字加工(以下、単に印字ということもある)すべき文字等に沿ってレーザ光を偏向させる方法として、通常はベクタースキャンと呼ばれる方法が用いられる。これは、ガルバノミラーを用いてレーザ光のX方向及びY方向の偏向を同時に制御することにより、文字又は線画に沿ってレーザ光の照射スポットを移動させる方法である。効率よく短時間で印字を行うように、できるだけ一筆書きとなる軌跡が選択される。
【0004】
レーザマーカは通常、ヘッド部とコントローラ部とに分かれ、両者がケーブルによって接続されている。ヘッド部にはレーザ発振器及びレーザ光の偏向光学系が内蔵されている。コントローラ部には、レーザ発振器及び偏向光学系等の制御を行うマイクロプロセッサや、印字内容に関する印字データと、それから生成される展開データを記憶するメモリが備えられている。印字データは印字する文字やマークの種類、大きさ、印字位置、印字方向等の情報を含む。展開データはレーザ光が対象物の表面をたどるべき軌跡を規定する複数の座標データを含む。
【0005】
コントローラ部には表示部及び入力部を有するコンソールが接続され、印字データがコンソールからコントローラ部に与えられる。また、印字加工の実行に関する指示もコンソールからコントローラ部に与えられる。
【0006】
コンソールからコントローラ部に与えられた印字データは一旦メモリに記憶され、印字加工を実行する際に印字データから展開データに展開される。つまり、印字内容に関する印字データからレーザ光がたどるべき軌跡を規定する展開データを生成する。そして、生成された展開データは一旦メモリに記憶される。そして、処理手段はメモリから読み出した展開データにしたがってレーザ発振器及び偏向光学系(ガルバノミラー)の駆動制御を行う。
【0007】
上記の展開処理では、印字データに含まれる印字文字又は記号が複数の連続加工曲線に分解されると共に、それらの連続加工曲線の終点と始点を結ぶ移動用経路が生成され付加される。例えば、文字「A」は第1の連続加工直線「∧」と第2の連続加工直線「−」に分解され、第1の連続加工直線「∧」の終端から第2の連続加工直線「−」の始端までの移動用直線が生成され付加される。
【0008】
印字する文字やマークの種類、大きさ、印字位置、印字方向等の情報を含む印字データは、例えばCADソフトウェアを用いて描画することができる。CADソフトウェアによって出力されるファイル形式が異なるが、多くのCADソフトウェアでは共通のファイル形式としてDXFファイルをサポートしている。そこで、CADソフトウェアで描画し、出力したDXFファイルを専用プログラムで印字データに変換し、必要に応じて編集する。そして、CF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カードのようなメモリカードに印字データを一旦格納する。
【0009】
レーザマーカのコントローラ部に接続されたコンソールにはメモリカードのリーダ/ライタが備えられており、メモリカードに格納された印字データを読み込むことができる。コンソールに読み込まれた印字データは前述のようにコントローラ部に転送され、コントローラ部で印字データから展開データが生成される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来は、CADソフトウェアで描画・作成したデータをレーザマーカの印字データとして利用する方法として、CADソフトウェアから出力したDXFファイルを専用プログラムで印字データに変換し、メモリカードを介してレーザマーカのコントローラ部に読み込む方法が採られていた。
【0011】
しかしながら、DXFファイルのように多くのCADソフトウェアでサポートされている共通ファイル形式であっても、実際には完全な互換性が確保されていないのが現状である。つまり、CADソフトウェアによって出力される共通ファイル形式(DXF)の内容が少し異なる結果、専用プログラムによる印字データへの変換が正常にできないという問題が生ずることがあった。
【0012】
また、パーソナルコンピュータで生成した印字データをメモリカード経由でレーザマーカのコントローラ部に転送するので操作に手間が掛かり、メモリカード又はそのリード/ライタに関するトラブルが発生することもあった。
【0013】
本発明は上記のような課題に鑑み、CADソフトウェア等のアプリケーションで作成したデータからレーザマーカの印字データを生成する際のデータ互換性に関するトラブルが発生しにくく、かつ、操作の手間が少ないレーザマーカの印字データ生成方法とそのためのコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の方法は、レーザ光を用いて対象物の表面に印字加工を行うレーザマーカに印字内容を指示するための印字データを生成する方法であって、レーザマーカに通信インターフェイスを介して接続されたコンピュータのオペレーティングシステムでサポートされた印刷ドライバの一種として、印字データ生成用ドライバをコンピュータにあらかじめインストールしておき、コンピュータのオペレーティングシステム上で動く描画機能を有するアプリケーションソフトウェアを用いて所望の図形及び文字を作成し、アプリケーションソフトウェアの印刷メニューから所望のレーザマーカを出力先として選択して印刷処理の実行を指示し、印字データ生成用ドライバが、アプリケーションソフトウェアからオペレーティングシステムを介して渡された印刷用データを処理して印字データを生成することを特徴とする。印字データには、印字する文字やマークの種類、大きさ、印字位置、印字方向等の情報が含まれている。
【0015】
このような構成の方法によれば、CADソフトウェアから出力されるDXFファイルのようなCADデータから印字データを生成するのではなく、オペレーティングシステムで規定された印刷用データから印字データを生成するので、CADデータ互換性に関するトラブルが発生しにくい。したがって、印字データへの変換が正常にできないといったトラブルが低減される。
【0016】
また、好ましい実施形態において、印刷処理の実行が指示されたときにレーザマーカ用の専用ソフトウェアが起動され、上記の生成された印字データが専用ソフトウェアに取り込まれ、専用ソフトウェアにおける転送指令によって印字データが通信インターフェイスを介してレーザマーカに転送される。したがって、メモリカードを介して印刷データをレーザマーカに転送する従来の方法に比べて、印刷データの転送に必要な操作の手間が少なくて済む。
【0017】
別の好ましい実施形態において、印字データ生成用ドライバは、オペレーティングシステムを介してアプリケーションソフトウェアから渡された印刷用データに含まれる線分情報を円弧情報又は楕円弧情報に変換する補完処理を実行する。このような補完処理によって、レーザマーカによる印字品質が向上すると共に、印字データの情報量が少なくなるメリットが得られる。
【0018】
また、本発明のコンピュータプログラムは、レーザ光を用いて対象物の表面に印字加工を行うレーザマーカの印字データを生成するために、通信インターフェイスを介してレーザマーカに接続されたコンピュータに実行させるプログラムであって、コンピュータのオペレーティングシステムでサポートされた印刷ドライバの一種として、レーザマーカ用の印字データを生成するドライバをコンピュータにインストールするステップと、コンピュータのオペレーティングシステム上で動く描画機能を有するアプリケーションソフトウェアを用いて作成され、印刷メニューから所望のレーザマーカが出力先として選択されて印刷処理の実行が指示されたときに、オペレーティングシステムを介してアプリケーションソフトウェアからドライバに渡された印刷用データを処理して印字データを生成するステップと、印刷処理の実行が指示されたときに、レーザマーカ用の専用ソフトウェアを起動し、生成された印字データを専用ソフトウェアに取り込むステップと、専用ソフトウェアにおける転送指令によって通信インターフェイスを介して印字データをレーザマーカに転送するステップとを有することを特徴とする。
【0019】
このようなコンピュータプログラムをコンピュータに実行させることにより、データ互換性に関するトラブルが回避されて印字データへの変換が確実にできるようになると共に、印刷データの転送に必要な操作の手間が少なくて済む。
【0020】
このようなプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で供給され、記憶媒体からコンピュータにインストールされて実行される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係るレーザマーカの概略構成図である。レーザマーカはヘッド部1とコントローラ部2を備え、両者がケーブル4で接続されている。また、液晶表示器とタッチパネルを用いたコンソール(表示・操作卓)3がケーブル5によってコントローラ部2に接続されている。ヘッド部1にはレーザ発振器11及び偏向光学系12が内蔵されている。
【0023】
レーザ発振器11は、炭酸ガスレーザ又はYAGレーザを用いたレーザ管である。偏向光学系12は、2次元のガルバノミラー12a及び集光レンズ(fθレンズ)12bからなる。レーザ発振器11から発したレーザ光LBはガルバノミラー12aによってX方向及びY方向に(2次元に)偏向されると共に集光レンズ12bによってワーク(加工対象物)WKの表面に集光される。こうして、ワークWKの表面に所望の文字や記号等を印字することができる。
【0024】
図2は、本発明の実施形態に係るレーザマーカの回路構成を示すブロック図である。ヘッド部1は、レーザ発振器11及び偏向光学系12の他に、不揮発性メモリであるEEPROM13を内蔵している。EEPROM13は電源が切れても記憶内容を保持する不揮発性メモリであり、ヘッド部1の固有情報、つまりレーザ発振器11の稼働時間の積算値や集光レンズ12bに関する情報を記憶するのに用いられる。
【0025】
コントローラ部2は、マイクロプロセッサ(MPU)21、SRAM(スタティックランダムアクセスメモリ)22及びDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)23、及び計時手段であるリアルタイムクロック(RTC)24を内蔵している。マイクロプロセッサ21は、レーザ発振器11及び偏向光学系12を含むヘッド部1の制御、コンソール3との通信、SRAM22及びDRAM23のリード・ライト等、レーザマーカ全体の制御を司る。また、マイクロプロセッサ21は、コンソール3から受信した印字データをSRAM22に記憶させると共に、印字データから展開データを生成してDRAM23に記憶させる処理を実行する。
【0026】
SRAM22は、バッテリーバックアップによって電源オフ時にも記憶内容を保持することができ、コンソール3から受信した印字内容に関する印字データを記憶する。DRAM23は、印字データから生成された展開データ、つまり印字加工のためにレーザ光がたどるべき軌跡を規定する展開情報を記憶し、電源オフ時に記憶内容は消える。
【0027】
リアルタイムクロック24は、レーザ発振器11の稼働時間を積算してレーザ発振器11の交換時期を知らせるために使用される。また、現在の日時を出力して印字データに含ませる機能に用いられる。
【0028】
コンソール3にはメモリカード31を着脱可能なスロットとリード・ライト用のインターフェイスが備えられている。コンソール3から入力した印字内容に関する印字データをメモリカード31に保存しておき、必要なときに読み出してコントローラ部2に送信することができる。また、パーソナルコンピュータ等で作成した印字データをメモリカード31を介してコンソール3からコントローラ部2に転送することができる。
【0029】
図2に示すように、コントローラ部2にパーソナルコンピュータ32を接続することも可能である。接続にはRS232Cシリアルポート、パラレルポート、USBポート等が用いられる。パーソナルコンピュータ32にインストールした専用ソフトウェアにより、パーソナルコンピュータ32の大きい画面やフルキーボード、マウス等を用いてコントローラ部2に対する各種設定や印字データの作成等を行うことができる。
【0030】
図3は、レーザマーカのコントローラ部2に接続されたパーソナルコンピュータ32のハードウェア構成例を示すブロック図である。パーソナルコンピュータ32は、CRT又はLCD等の表示装置51、キーボード52、マウス(他のポインティングデバイスでもよい)53、RS232Cシリアルポート、パラレルポート、USBポート等の通信インターフェイス54、処理装置(CPU)55、半導体記憶媒体である主メモリ56、補助記憶装置である固定ディスク装置57及びリムーバブルディスク装置58を備えている。
【0031】
レーザマーカの設定等を行うための専用ソフトウェア(コンピュータプログラム)は、CD−ROMのような記憶媒体59に記憶された状態で供給され、CD−ROMドライブ装置のようなリムーバブルディスク装置58によって記憶媒体59から読み出され、固定ディスク装置57にインストールされる。固定ディスク装置57にインストールされた専用ソフトウェアは、主メモリ56にロードされ、処理装置55によって実行される。
【0032】
このような専用ソフトウェアによって実行される処理には、コントローラ部2に対する各種設定や印字データの生成等が含まれる。また、後述するように、パーソナルコンピュータ32のOS(オペレーティングシステム)上で動くCADソフトウェアやドローソフトウェア等のアプリケーションから実行する(擬似)印刷処理によってレーザマーカ用の印字データを生成し、コントローラ部2に転送することもできる。
【0033】
コンソール3(メモリカード31)やパーソナルコンピュータ32からコントローラ部2に転送された印字データは、一旦SRAM22に格納される。そして、マイクロプロセッサ21が実行する展開処理によって、SRAM22から読み出された印字データから展開データが生成され、DRAM23に保存される。この展開データは、印字加工のためにレーザ光がたどるべき軌跡を規定する複数の座標データを含んでいる。
【0034】
図4は、コントローラ部2のマイクロプロセッサ21が実行する展開処理の概略を示すフローチャートである。ステップ#101において、マイクロプロセッサ21はSRAM22から印字データを読み出す。続くステップ#102において、印字データに含まれる印字する文字や記号等を複数の連続加工曲線に分解する。それぞれの連続加工曲線は、一筆書きのようにレーザ光を連続して出力しながらレーザ光のスポットを移動(偏向)させる切れ目の無い曲線である。
【0035】
1つの連続加工曲線は、偏向光学系12の二次元ガルバノミラー12aを一定間隔で制御するための複数の座標点の集合として表され、それぞれの座標点の値(X座標及びY座標)が計算される。なお、1つの連続加工曲線の終端から次の連続加工曲線の始端への移動(偏向)はレーザ光の出力を停止した状態(ゼロパワー)で行われる。
【0036】
次のステップ#103において、複数の連続加工曲線の並び替えを行う。レーザ光スポットの移動が最も効率的になるように、すなわち、連続加工曲線間のゼロパワー移動を含む全移動距離が最も短くなるように、連続加工曲線の加工処理順序が選択される。
【0037】
続くステップ#104において、1つの連続加工曲線の終端から次の連続加工曲線の始端への移動経路を生成し付加する。例えば、文字「B」は一筆書きのように1つの連続加工曲線で描くことができるが、文字「A」は一筆書きで描くことができず、第1の連続加工曲線(直線)「∧」と第2の連続加工曲線(直線)「−」に分解される。この場合、第1の連続加工曲線(直線)「∧」の終端から第2の連続加工曲線(直線)「−」の始端までの移動経路が生成され付加される。この移動経路についても、偏向光学系12の二次元ガルバノミラー12aを一定間隔で制御するための複数の座標点の集合として表され、それぞれの座標点の値(X座標及びY座標)が計算される。
【0038】
このようにして、複数の連続加工曲線とそれぞれの連続加工曲線間の移動経路の集合として生成された展開データはステップ#105でDRAM23に書き込まれ、展開処理が終了する。この後、マイクロプロセッサ21は印字実行命令にしたがって、DRAM23から読み出した展開データに基づいてレーザ発振器11及び偏向光学系12の二次元ガルバノミラー12aの駆動制御を行う。これによってワークWKの表面に所望の文字や記号等が印字される。
【0039】
次に、パーソナルコンピュータ32のOS(オペレーティングシステム)上で動くCADソフトウェアやドローソフトウェア等のアプリケーションからレーザマーカ用の印字データを生成し、コントローラ部2に転送する処理について説明する。
【0040】
図5は、本実施形態のレーザマーカの印字データ生成方法を示すフローチャートである。このフローチャートでは使用者が行う操作とパーソナルコンピュータ32の処理装置55が実行する処理とが混在しているが、以下の説明で各ステップがいずれであるかを明確にする。
【0041】
ステップ#201において、使用者(作業者)は、レーザマーカでワークWKに印字したい文字やマークをCADソフトウェアやドローソフトウェア等のアプリケーションで描画する。各アプリケーションでは、OS(例えばマイクロソフト社のウィンドウズ(登録商標))のAPI(アプリケーションプログラムインターフェイス)を利用して用紙イメージ上に直線、楕円、文字等の描画が行われる。APIでは、データを配置するアドレスが指定される。また、同じくOSのグラフィック描画モジュール(例えばウィンドウズ(登録商標)のGDIやマッキントッシュ(登録商標)のクイックドロー)に描画テータが渡される。アプリケーションからの要求を受けたグラフィック描画モジュールは、ドライバから指定された解像度に応じて、印字データをイメージ上に配置し、管理する。
【0042】
次のステップ#202において、使用者はアプリケーションの印刷メニューからレーザマーカを選択して印刷(実際には印字データファイルの生成)の実行を指示する。パーソナルコンピュータ32には、あらかじめレーザマーカの印字データ生成用のドライバがインストールされている。このドライバは、通常のプリンタドライバと同様の手順でインストールされ、出力先のレーザマーカがプリンタの一種として登録される。なお、複数種類のレーザマーカがあり、各レーザマーカによって印字データの内容又は形式が一部異なる場合がある、そのような場合は、複数種類のレーザマーカが登録されており、使用者は出力先として複数種類のレーザマーカの中から所望のレーザマーカを選択して実行を指示する。
【0043】
次のステップ#203において、パーソナルコンピュータ32の処理装置55は、プリンタドライバによる印字データファイルの生成処理を実行する。つまり、アプリケーションからの印刷要求により、OSのグラフィック描画モジュールからプリンタドライバに描画データの線分情報が渡される。直線、楕円、文字等のオブジェクトのブロックごとに線分情報がプリンタドライバに渡される。
【0044】
例えば、アプリケーションで円を描いた場合に、プリンタドライバにはその円を近似した多角形を構成する線分情報がプリンタドライバに渡される。線分の始点及び終点の座標、線の太さや色の情報等がグラフィック描画モジュールからプリンタドライバに渡される。
【0045】
本実施形態におけるレーザマーカの印字データ生成用ドライバは、グラフィック描画モジュールから渡された多角形で近似された円をそのまま印字データとするのではなく、曲線に置き換える処理を行う。例えば、グラフィック描画モジュールから渡された2本の線分からなる折れ線をその始点、折れ点及び終点の3点を通る円弧に置き換える。あるいは、グラフィック描画モジュールから渡された4点(以上の多点)を通る楕円弧に置き換える。このような補完処理により、レーザマーカによる印字品質を向上すると共に、印字データの情報量を低減することができる。
【0046】
レーザマーカの印字データ生成用ドライバによって生成された印字データファイルは、次のステップ#204においてプリンタドライバから専用ソフトウェアに渡される。レーザマーカ用の専用ソフトウェアが起動されていなかった場合は、アプリケーションの印刷メニューからレーザマーカを選択して印字データファイルの生成の実行を指示した段階で自動的に専用ソフトウェアが起動される。
【0047】
専用ソフトウェアでは、読み込まれた印字データファイルの編集が可能である。例えば、CADソフトウェアでは輪郭だけを作成し、専用ソフトウェアで塗りつぶしを行うといった編集が可能である。オブジェクトの間隔の変更等も専用ソフトウェアで可能である。専用ソフトウェアに渡された印字データファイル及び編集後の印字データファイルは、パーソナルコンピュータ32の固定ディスク装置57に設定された所定のディレクトリに一旦保存される。なお、専用ソフトウェアではレーザマーカのコントローラ部2に対する各種設定も可能である。
【0048】
最後のステップ#205において、使用者は専用ソフトウェア上で印字データの転送の実行を指示する。その結果、パーソナルコンピュータ32の固定ディスク装置57に保存されている印字データファイルがレーザマーカのコントローラ部2に転送される。コントローラ部2では、前述のようにして印字データが一旦SRAM22に格納され、印字データから生成された展開データがDRAM23に保存される。
【0049】
なお、上記の実施形態では、オペレーティングシステムとしてマイクロソフト社のウィンドウズ(登録商標)を例にとって、印刷ドライバを利用したレーザマーカの印字データ生成方法について説明したが、本発明は他のオペレーティングシステムで動作するコンピュータを用いたシステムにも適用することができる。その他、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の形態で実施することが可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のレーザマーカの印字データ生成方法及びコンピュータプログラムによれば、オペレーティングシステムでサポートされた印刷ドライバを用いてレーザマーカの印字データを生成すると共に、専用ソフトウェアにおける転送指令によって通信インターフェイスを介して印字データをレーザマーカに転送される。したがって、データ互換性に関するトラブルが回避されて印字データへの変換が確実にできるようになると共に、コンピュータからレーザマーカへの印刷データの転送に必要な操作の手間が従来のメモリカードを用いる方法に比べて少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザマーカの概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るレーザマーカの回路構成を示すブロック図である。
【図3】レーザマーカのコントローラ部に接続されたパーソナルコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図4】コントローラ部のマイクロプロセッサが実行する展開処理の概略を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態のレーザマーカの印字データ生成方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 レーザマーカのヘッド部
2 レーザマーカのコントローラ部
32 コンピュータ
54 通信インターフェイス
59 記憶媒体
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を用いて樹脂、木、金属等の表面に文字等の印字加工を行うレーザマーカに印字データを転送する方法及びコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のレーザマーカは、炭酸ガスレーザ又はYAGレーザのような比較的高い出力が得られるレーザから発せられたレーザ光で樹脂、木、金属等の対象物の表面を加熱し、表面を局部的に変色又は変形させることにより文字等の印字加工(マーキング)を行う。
【0003】
印字加工(以下、単に印字ということもある)すべき文字等に沿ってレーザ光を偏向させる方法として、通常はベクタースキャンと呼ばれる方法が用いられる。これは、ガルバノミラーを用いてレーザ光のX方向及びY方向の偏向を同時に制御することにより、文字又は線画に沿ってレーザ光の照射スポットを移動させる方法である。効率よく短時間で印字を行うように、できるだけ一筆書きとなる軌跡が選択される。
【0004】
レーザマーカは通常、ヘッド部とコントローラ部とに分かれ、両者がケーブルによって接続されている。ヘッド部にはレーザ発振器及びレーザ光の偏向光学系が内蔵されている。コントローラ部には、レーザ発振器及び偏向光学系等の制御を行うマイクロプロセッサや、印字内容に関する印字データと、それから生成される展開データを記憶するメモリが備えられている。印字データは印字する文字やマークの種類、大きさ、印字位置、印字方向等の情報を含む。展開データはレーザ光が対象物の表面をたどるべき軌跡を規定する複数の座標データを含む。
【0005】
コントローラ部には表示部及び入力部を有するコンソールが接続され、印字データがコンソールからコントローラ部に与えられる。また、印字加工の実行に関する指示もコンソールからコントローラ部に与えられる。
【0006】
コンソールからコントローラ部に与えられた印字データは一旦メモリに記憶され、印字加工を実行する際に印字データから展開データに展開される。つまり、印字内容に関する印字データからレーザ光がたどるべき軌跡を規定する展開データを生成する。そして、生成された展開データは一旦メモリに記憶される。そして、処理手段はメモリから読み出した展開データにしたがってレーザ発振器及び偏向光学系(ガルバノミラー)の駆動制御を行う。
【0007】
上記の展開処理では、印字データに含まれる印字文字又は記号が複数の連続加工曲線に分解されると共に、それらの連続加工曲線の終点と始点を結ぶ移動用経路が生成され付加される。例えば、文字「A」は第1の連続加工直線「∧」と第2の連続加工直線「−」に分解され、第1の連続加工直線「∧」の終端から第2の連続加工直線「−」の始端までの移動用直線が生成され付加される。
【0008】
印字する文字やマークの種類、大きさ、印字位置、印字方向等の情報を含む印字データは、例えばCADソフトウェアを用いて描画することができる。CADソフトウェアによって出力されるファイル形式が異なるが、多くのCADソフトウェアでは共通のファイル形式としてDXFファイルをサポートしている。そこで、CADソフトウェアで描画し、出力したDXFファイルを専用プログラムで印字データに変換し、必要に応じて編集する。そして、CF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カードのようなメモリカードに印字データを一旦格納する。
【0009】
レーザマーカのコントローラ部に接続されたコンソールにはメモリカードのリーダ/ライタが備えられており、メモリカードに格納された印字データを読み込むことができる。コンソールに読み込まれた印字データは前述のようにコントローラ部に転送され、コントローラ部で印字データから展開データが生成される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来は、CADソフトウェアで描画・作成したデータをレーザマーカの印字データとして利用する方法として、CADソフトウェアから出力したDXFファイルを専用プログラムで印字データに変換し、メモリカードを介してレーザマーカのコントローラ部に読み込む方法が採られていた。
【0011】
しかしながら、DXFファイルのように多くのCADソフトウェアでサポートされている共通ファイル形式であっても、実際には完全な互換性が確保されていないのが現状である。つまり、CADソフトウェアによって出力される共通ファイル形式(DXF)の内容が少し異なる結果、専用プログラムによる印字データへの変換が正常にできないという問題が生ずることがあった。
【0012】
また、パーソナルコンピュータで生成した印字データをメモリカード経由でレーザマーカのコントローラ部に転送するので操作に手間が掛かり、メモリカード又はそのリード/ライタに関するトラブルが発生することもあった。
【0013】
本発明は上記のような課題に鑑み、CADソフトウェア等のアプリケーションで作成したデータからレーザマーカの印字データを生成する際のデータ互換性に関するトラブルが発生しにくく、かつ、操作の手間が少ないレーザマーカの印字データ生成方法とそのためのコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の方法は、レーザ光を用いて対象物の表面に印字加工を行うレーザマーカに印字内容を指示するための印字データを生成する方法であって、レーザマーカに通信インターフェイスを介して接続されたコンピュータのオペレーティングシステムでサポートされた印刷ドライバの一種として、印字データ生成用ドライバをコンピュータにあらかじめインストールしておき、コンピュータのオペレーティングシステム上で動く描画機能を有するアプリケーションソフトウェアを用いて所望の図形及び文字を作成し、アプリケーションソフトウェアの印刷メニューから所望のレーザマーカを出力先として選択して印刷処理の実行を指示し、印字データ生成用ドライバが、アプリケーションソフトウェアからオペレーティングシステムを介して渡された印刷用データを処理して印字データを生成することを特徴とする。印字データには、印字する文字やマークの種類、大きさ、印字位置、印字方向等の情報が含まれている。
【0015】
このような構成の方法によれば、CADソフトウェアから出力されるDXFファイルのようなCADデータから印字データを生成するのではなく、オペレーティングシステムで規定された印刷用データから印字データを生成するので、CADデータ互換性に関するトラブルが発生しにくい。したがって、印字データへの変換が正常にできないといったトラブルが低減される。
【0016】
また、好ましい実施形態において、印刷処理の実行が指示されたときにレーザマーカ用の専用ソフトウェアが起動され、上記の生成された印字データが専用ソフトウェアに取り込まれ、専用ソフトウェアにおける転送指令によって印字データが通信インターフェイスを介してレーザマーカに転送される。したがって、メモリカードを介して印刷データをレーザマーカに転送する従来の方法に比べて、印刷データの転送に必要な操作の手間が少なくて済む。
【0017】
別の好ましい実施形態において、印字データ生成用ドライバは、オペレーティングシステムを介してアプリケーションソフトウェアから渡された印刷用データに含まれる線分情報を円弧情報又は楕円弧情報に変換する補完処理を実行する。このような補完処理によって、レーザマーカによる印字品質が向上すると共に、印字データの情報量が少なくなるメリットが得られる。
【0018】
また、本発明のコンピュータプログラムは、レーザ光を用いて対象物の表面に印字加工を行うレーザマーカの印字データを生成するために、通信インターフェイスを介してレーザマーカに接続されたコンピュータに実行させるプログラムであって、コンピュータのオペレーティングシステムでサポートされた印刷ドライバの一種として、レーザマーカ用の印字データを生成するドライバをコンピュータにインストールするステップと、コンピュータのオペレーティングシステム上で動く描画機能を有するアプリケーションソフトウェアを用いて作成され、印刷メニューから所望のレーザマーカが出力先として選択されて印刷処理の実行が指示されたときに、オペレーティングシステムを介してアプリケーションソフトウェアからドライバに渡された印刷用データを処理して印字データを生成するステップと、印刷処理の実行が指示されたときに、レーザマーカ用の専用ソフトウェアを起動し、生成された印字データを専用ソフトウェアに取り込むステップと、専用ソフトウェアにおける転送指令によって通信インターフェイスを介して印字データをレーザマーカに転送するステップとを有することを特徴とする。
【0019】
このようなコンピュータプログラムをコンピュータに実行させることにより、データ互換性に関するトラブルが回避されて印字データへの変換が確実にできるようになると共に、印刷データの転送に必要な操作の手間が少なくて済む。
【0020】
このようなプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で供給され、記憶媒体からコンピュータにインストールされて実行される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係るレーザマーカの概略構成図である。レーザマーカはヘッド部1とコントローラ部2を備え、両者がケーブル4で接続されている。また、液晶表示器とタッチパネルを用いたコンソール(表示・操作卓)3がケーブル5によってコントローラ部2に接続されている。ヘッド部1にはレーザ発振器11及び偏向光学系12が内蔵されている。
【0023】
レーザ発振器11は、炭酸ガスレーザ又はYAGレーザを用いたレーザ管である。偏向光学系12は、2次元のガルバノミラー12a及び集光レンズ(fθレンズ)12bからなる。レーザ発振器11から発したレーザ光LBはガルバノミラー12aによってX方向及びY方向に(2次元に)偏向されると共に集光レンズ12bによってワーク(加工対象物)WKの表面に集光される。こうして、ワークWKの表面に所望の文字や記号等を印字することができる。
【0024】
図2は、本発明の実施形態に係るレーザマーカの回路構成を示すブロック図である。ヘッド部1は、レーザ発振器11及び偏向光学系12の他に、不揮発性メモリであるEEPROM13を内蔵している。EEPROM13は電源が切れても記憶内容を保持する不揮発性メモリであり、ヘッド部1の固有情報、つまりレーザ発振器11の稼働時間の積算値や集光レンズ12bに関する情報を記憶するのに用いられる。
【0025】
コントローラ部2は、マイクロプロセッサ(MPU)21、SRAM(スタティックランダムアクセスメモリ)22及びDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)23、及び計時手段であるリアルタイムクロック(RTC)24を内蔵している。マイクロプロセッサ21は、レーザ発振器11及び偏向光学系12を含むヘッド部1の制御、コンソール3との通信、SRAM22及びDRAM23のリード・ライト等、レーザマーカ全体の制御を司る。また、マイクロプロセッサ21は、コンソール3から受信した印字データをSRAM22に記憶させると共に、印字データから展開データを生成してDRAM23に記憶させる処理を実行する。
【0026】
SRAM22は、バッテリーバックアップによって電源オフ時にも記憶内容を保持することができ、コンソール3から受信した印字内容に関する印字データを記憶する。DRAM23は、印字データから生成された展開データ、つまり印字加工のためにレーザ光がたどるべき軌跡を規定する展開情報を記憶し、電源オフ時に記憶内容は消える。
【0027】
リアルタイムクロック24は、レーザ発振器11の稼働時間を積算してレーザ発振器11の交換時期を知らせるために使用される。また、現在の日時を出力して印字データに含ませる機能に用いられる。
【0028】
コンソール3にはメモリカード31を着脱可能なスロットとリード・ライト用のインターフェイスが備えられている。コンソール3から入力した印字内容に関する印字データをメモリカード31に保存しておき、必要なときに読み出してコントローラ部2に送信することができる。また、パーソナルコンピュータ等で作成した印字データをメモリカード31を介してコンソール3からコントローラ部2に転送することができる。
【0029】
図2に示すように、コントローラ部2にパーソナルコンピュータ32を接続することも可能である。接続にはRS232Cシリアルポート、パラレルポート、USBポート等が用いられる。パーソナルコンピュータ32にインストールした専用ソフトウェアにより、パーソナルコンピュータ32の大きい画面やフルキーボード、マウス等を用いてコントローラ部2に対する各種設定や印字データの作成等を行うことができる。
【0030】
図3は、レーザマーカのコントローラ部2に接続されたパーソナルコンピュータ32のハードウェア構成例を示すブロック図である。パーソナルコンピュータ32は、CRT又はLCD等の表示装置51、キーボード52、マウス(他のポインティングデバイスでもよい)53、RS232Cシリアルポート、パラレルポート、USBポート等の通信インターフェイス54、処理装置(CPU)55、半導体記憶媒体である主メモリ56、補助記憶装置である固定ディスク装置57及びリムーバブルディスク装置58を備えている。
【0031】
レーザマーカの設定等を行うための専用ソフトウェア(コンピュータプログラム)は、CD−ROMのような記憶媒体59に記憶された状態で供給され、CD−ROMドライブ装置のようなリムーバブルディスク装置58によって記憶媒体59から読み出され、固定ディスク装置57にインストールされる。固定ディスク装置57にインストールされた専用ソフトウェアは、主メモリ56にロードされ、処理装置55によって実行される。
【0032】
このような専用ソフトウェアによって実行される処理には、コントローラ部2に対する各種設定や印字データの生成等が含まれる。また、後述するように、パーソナルコンピュータ32のOS(オペレーティングシステム)上で動くCADソフトウェアやドローソフトウェア等のアプリケーションから実行する(擬似)印刷処理によってレーザマーカ用の印字データを生成し、コントローラ部2に転送することもできる。
【0033】
コンソール3(メモリカード31)やパーソナルコンピュータ32からコントローラ部2に転送された印字データは、一旦SRAM22に格納される。そして、マイクロプロセッサ21が実行する展開処理によって、SRAM22から読み出された印字データから展開データが生成され、DRAM23に保存される。この展開データは、印字加工のためにレーザ光がたどるべき軌跡を規定する複数の座標データを含んでいる。
【0034】
図4は、コントローラ部2のマイクロプロセッサ21が実行する展開処理の概略を示すフローチャートである。ステップ#101において、マイクロプロセッサ21はSRAM22から印字データを読み出す。続くステップ#102において、印字データに含まれる印字する文字や記号等を複数の連続加工曲線に分解する。それぞれの連続加工曲線は、一筆書きのようにレーザ光を連続して出力しながらレーザ光のスポットを移動(偏向)させる切れ目の無い曲線である。
【0035】
1つの連続加工曲線は、偏向光学系12の二次元ガルバノミラー12aを一定間隔で制御するための複数の座標点の集合として表され、それぞれの座標点の値(X座標及びY座標)が計算される。なお、1つの連続加工曲線の終端から次の連続加工曲線の始端への移動(偏向)はレーザ光の出力を停止した状態(ゼロパワー)で行われる。
【0036】
次のステップ#103において、複数の連続加工曲線の並び替えを行う。レーザ光スポットの移動が最も効率的になるように、すなわち、連続加工曲線間のゼロパワー移動を含む全移動距離が最も短くなるように、連続加工曲線の加工処理順序が選択される。
【0037】
続くステップ#104において、1つの連続加工曲線の終端から次の連続加工曲線の始端への移動経路を生成し付加する。例えば、文字「B」は一筆書きのように1つの連続加工曲線で描くことができるが、文字「A」は一筆書きで描くことができず、第1の連続加工曲線(直線)「∧」と第2の連続加工曲線(直線)「−」に分解される。この場合、第1の連続加工曲線(直線)「∧」の終端から第2の連続加工曲線(直線)「−」の始端までの移動経路が生成され付加される。この移動経路についても、偏向光学系12の二次元ガルバノミラー12aを一定間隔で制御するための複数の座標点の集合として表され、それぞれの座標点の値(X座標及びY座標)が計算される。
【0038】
このようにして、複数の連続加工曲線とそれぞれの連続加工曲線間の移動経路の集合として生成された展開データはステップ#105でDRAM23に書き込まれ、展開処理が終了する。この後、マイクロプロセッサ21は印字実行命令にしたがって、DRAM23から読み出した展開データに基づいてレーザ発振器11及び偏向光学系12の二次元ガルバノミラー12aの駆動制御を行う。これによってワークWKの表面に所望の文字や記号等が印字される。
【0039】
次に、パーソナルコンピュータ32のOS(オペレーティングシステム)上で動くCADソフトウェアやドローソフトウェア等のアプリケーションからレーザマーカ用の印字データを生成し、コントローラ部2に転送する処理について説明する。
【0040】
図5は、本実施形態のレーザマーカの印字データ生成方法を示すフローチャートである。このフローチャートでは使用者が行う操作とパーソナルコンピュータ32の処理装置55が実行する処理とが混在しているが、以下の説明で各ステップがいずれであるかを明確にする。
【0041】
ステップ#201において、使用者(作業者)は、レーザマーカでワークWKに印字したい文字やマークをCADソフトウェアやドローソフトウェア等のアプリケーションで描画する。各アプリケーションでは、OS(例えばマイクロソフト社のウィンドウズ(登録商標))のAPI(アプリケーションプログラムインターフェイス)を利用して用紙イメージ上に直線、楕円、文字等の描画が行われる。APIでは、データを配置するアドレスが指定される。また、同じくOSのグラフィック描画モジュール(例えばウィンドウズ(登録商標)のGDIやマッキントッシュ(登録商標)のクイックドロー)に描画テータが渡される。アプリケーションからの要求を受けたグラフィック描画モジュールは、ドライバから指定された解像度に応じて、印字データをイメージ上に配置し、管理する。
【0042】
次のステップ#202において、使用者はアプリケーションの印刷メニューからレーザマーカを選択して印刷(実際には印字データファイルの生成)の実行を指示する。パーソナルコンピュータ32には、あらかじめレーザマーカの印字データ生成用のドライバがインストールされている。このドライバは、通常のプリンタドライバと同様の手順でインストールされ、出力先のレーザマーカがプリンタの一種として登録される。なお、複数種類のレーザマーカがあり、各レーザマーカによって印字データの内容又は形式が一部異なる場合がある、そのような場合は、複数種類のレーザマーカが登録されており、使用者は出力先として複数種類のレーザマーカの中から所望のレーザマーカを選択して実行を指示する。
【0043】
次のステップ#203において、パーソナルコンピュータ32の処理装置55は、プリンタドライバによる印字データファイルの生成処理を実行する。つまり、アプリケーションからの印刷要求により、OSのグラフィック描画モジュールからプリンタドライバに描画データの線分情報が渡される。直線、楕円、文字等のオブジェクトのブロックごとに線分情報がプリンタドライバに渡される。
【0044】
例えば、アプリケーションで円を描いた場合に、プリンタドライバにはその円を近似した多角形を構成する線分情報がプリンタドライバに渡される。線分の始点及び終点の座標、線の太さや色の情報等がグラフィック描画モジュールからプリンタドライバに渡される。
【0045】
本実施形態におけるレーザマーカの印字データ生成用ドライバは、グラフィック描画モジュールから渡された多角形で近似された円をそのまま印字データとするのではなく、曲線に置き換える処理を行う。例えば、グラフィック描画モジュールから渡された2本の線分からなる折れ線をその始点、折れ点及び終点の3点を通る円弧に置き換える。あるいは、グラフィック描画モジュールから渡された4点(以上の多点)を通る楕円弧に置き換える。このような補完処理により、レーザマーカによる印字品質を向上すると共に、印字データの情報量を低減することができる。
【0046】
レーザマーカの印字データ生成用ドライバによって生成された印字データファイルは、次のステップ#204においてプリンタドライバから専用ソフトウェアに渡される。レーザマーカ用の専用ソフトウェアが起動されていなかった場合は、アプリケーションの印刷メニューからレーザマーカを選択して印字データファイルの生成の実行を指示した段階で自動的に専用ソフトウェアが起動される。
【0047】
専用ソフトウェアでは、読み込まれた印字データファイルの編集が可能である。例えば、CADソフトウェアでは輪郭だけを作成し、専用ソフトウェアで塗りつぶしを行うといった編集が可能である。オブジェクトの間隔の変更等も専用ソフトウェアで可能である。専用ソフトウェアに渡された印字データファイル及び編集後の印字データファイルは、パーソナルコンピュータ32の固定ディスク装置57に設定された所定のディレクトリに一旦保存される。なお、専用ソフトウェアではレーザマーカのコントローラ部2に対する各種設定も可能である。
【0048】
最後のステップ#205において、使用者は専用ソフトウェア上で印字データの転送の実行を指示する。その結果、パーソナルコンピュータ32の固定ディスク装置57に保存されている印字データファイルがレーザマーカのコントローラ部2に転送される。コントローラ部2では、前述のようにして印字データが一旦SRAM22に格納され、印字データから生成された展開データがDRAM23に保存される。
【0049】
なお、上記の実施形態では、オペレーティングシステムとしてマイクロソフト社のウィンドウズ(登録商標)を例にとって、印刷ドライバを利用したレーザマーカの印字データ生成方法について説明したが、本発明は他のオペレーティングシステムで動作するコンピュータを用いたシステムにも適用することができる。その他、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の形態で実施することが可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のレーザマーカの印字データ生成方法及びコンピュータプログラムによれば、オペレーティングシステムでサポートされた印刷ドライバを用いてレーザマーカの印字データを生成すると共に、専用ソフトウェアにおける転送指令によって通信インターフェイスを介して印字データをレーザマーカに転送される。したがって、データ互換性に関するトラブルが回避されて印字データへの変換が確実にできるようになると共に、コンピュータからレーザマーカへの印刷データの転送に必要な操作の手間が従来のメモリカードを用いる方法に比べて少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザマーカの概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るレーザマーカの回路構成を示すブロック図である。
【図3】レーザマーカのコントローラ部に接続されたパーソナルコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図4】コントローラ部のマイクロプロセッサが実行する展開処理の概略を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態のレーザマーカの印字データ生成方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 レーザマーカのヘッド部
2 レーザマーカのコントローラ部
32 コンピュータ
54 通信インターフェイス
59 記憶媒体
Claims (5)
- レーザ光を用いて対象物の表面に印字加工を行うレーザマーカに印字内容を指示するための印字データを生成する方法であって、
レーザマーカに通信インターフェイスを介して接続されたコンピュータのオペレーティングシステムでサポートされた印刷ドライバの一種として、印字データ生成用ドライバを前記コンピュータにあらかじめインストールしておき、
前記コンピュータのオペレーティングシステム上で動く描画機能を有するアプリケーションソフトウェアを用いて所望の図形及び文字を作成し、
前記アプリケーションソフトウェアの印刷メニューから所望のレーザマーカを出力先として選択して印刷処理の実行を指示し、
前記印字データ生成用ドライバが、前記アプリケーションソフトウェアから前記オペレーティングシステムを介して渡された印刷用データを処理して前記印字データを生成することを特徴とする
レーザマーカの印字データ生成方法。 - 前記印刷処理の実行が指示されたときにレーザマーカ用の専用ソフトウェアを起動し、前記生成された印字データを前記専用ソフトウェアに取り込み、前記専用ソフトウェアにおける転送指令によって前記印字データが前記通信インターフェイスを介してレーザマーカに転送されることを特徴とする
請求項1記載のレーザマーカの印字データ生成方法。 - 前記印字データ生成用ドライバは、オペレーティングシステムを介して前記アプリケーションソフトウェアから渡された印刷用データに含まれる線分情報を円弧情報又は楕円弧情報に変換する補完処理を実行することを特徴とする
請求項1又は2記載のレーザマーカの印字データ生成方法。 - レーザ光を用いて対象物の表面に印字加工を行うレーザマーカの印字データを生成するために、通信インターフェイスを介してレーザマーカに接続されたコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記コンピュータのオペレーティングシステムでサポートされた印刷ドライバの一種として、レーザマーカ用の印字データを生成するドライバを前記コンピュータにインストールするステップと、
前記コンピュータのオペレーティングシステム上で動く描画機能を有するアプリケーションソフトウェアを用いて作成され、印刷メニューから所望のレーザマーカを出力先として選択して印刷処理の実行を指示したときに、前記オペレーティングシステムを介して前記アプリケーションソフトウェアから前記ドライバに渡された印刷用データを処理して印字データを生成するステップと、
前記印刷処理の実行が指示されたときに、レーザマーカ用の専用ソフトウェアを起動し、前記生成された印字データを前記専用ソフトウェアに取り込むステップと、
前記専用ソフトウェアにおける転送指令によって前記通信インターフェイスを介して前記印字データをレーザマーカに転送するステップと
を有することを特徴とするコンピュータプログラム。 - レーザ光を用いて対象物の表面に印字加工を行うレーザマーカの印字データを生成するために、通信インターフェイスを介してレーザマーカに接続されたコンピュータに実行させるプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記プログラムが、
前記コンピュータのオペレーティングシステムでサポートされた印刷ドライバの一種として、レーザマーカ用の印字データを生成するドライバを前記コンピュータにインストールするステップと、
前記コンピュータのオペレーティングシステム上で動く描画機能を有するアプリケーションソフトウェアを用いて作成され、印刷メニューから所望のレーザマーカが出力先として選択されて印刷処理の実行が指示されたときに、前記オペレーティングシステムを介して前記アプリケーションソフトウェアから前記ドライバに渡された印刷用データを処理して印字データを生成するステップと、
前記印刷処理の実行が指示されたときに、レーザマーカ用の専用ソフトウェアを起動し、前記生成された印字データを前記専用ソフトウェアに取り込むステップと、
前記専用ソフトウェアにおける転送指令によって前記通信インターフェイスを介して前記印字データをレーザマーカに転送するステップと
を有することを特徴とする記憶媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002320389A JP2004157618A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | レーザマーカの印字データ生成方法及びコンピュータプログラム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP (1) | JP2004157618A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113204208A (zh) * | 2021-05-11 | 2021-08-03 | 珠海格力智能装备有限公司 | 桌面应用程序的建立方法以及芯片表面打标的控制方法 |
-
2002
- 2002-11-01 JP JP2002320389A patent/JP2004157618A/ja active Pending
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