JP2004157431A - トナーおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】帯電特性が安定し、かぶり、転写不良が生じることがなく、転写効率に優れたトナーを提供する。
【解決手段】感光体上に形成した静電潜像を現像したトナー像を、記録媒体上に転写した後に定着する画像形成装置に用いるトナーにおいて、結着樹脂、着色剤、外添剤を含有するとともに、無機質多孔体に担持された帯電制御剤を含有した、熱風球形化処理等の熱的な整形処理が施されたトナーおよびその製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】感光体上に形成した静電潜像を現像したトナー像を、記録媒体上に転写した後に定着する画像形成装置に用いるトナーにおいて、結着樹脂、着色剤、外添剤を含有するとともに、無機質多孔体に担持された帯電制御剤を含有した、熱風球形化処理等の熱的な整形処理が施されたトナーおよびその製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電印刷等に用いるトナーに関するものであり、カラー画像形成用の球形化処理を行って製造するトナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真等の画像形成方法においては、光導電性物質を設けた感光体に形成した静電潜像を着色剤を含有したトナー粒子を用いて現像を行った後に、熱、圧力等により紙等の転写材にトナー画像を定着して複写物、印刷物を形成している。カラー画像を形成する画像形成装置においては、感光体上に形成された静電潜像を複数色のトナーによって現像して中間転写媒体へ転写した後に、紙等にカラー画像を転写して定着する方法が採用されている。この方法では、静電潜像を形成する感光体は1個のみで良く、像形成のための光学系も簡単なもので良いという特徴を有し、更には円筒状の感光体面に巻きつけることが困難な任意の媒体にも転写することができるという特徴を有している。
【0003】
ところが、中間転写媒体を用いた場合には、感光体から中間転写媒体への転写と、中間転写媒体から記録媒体への転写への二度の転写を行うために、トナーの転写効率を高めることが求められている。転写されないトナーは廃トナーとなるのみではなく、形成される画像から文字、画像の一部が抜けるという現象も生じ形成される画像の品質を低下するものとなっていた。
【0004】
転写効率は、各種の要因に左右されるが、なかでもトナーの帯電特性による影響が大きいものと考えられている。
トナーの帯電特性を所定のものとするために、帯電制御剤を添加することが行われている。また、トナー表面の凹凸によって摩擦帯電するとき逆帯電トナーが生じ易いという問題点を改善するために、トナーを球形化処理してトナーの表面形状の不良による帯電不良等を防止することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところが、トナーの球形化処理工程は、熱風等によって流動状態のトナーを加熱して表面を軟化させて行われているので、このような処理工程において、トナーの表面付近に存在する帯電制御剤は、高温に曝されることとなり、熱によって昇華したり、酸化分解して、トナー表面から失われたり、あるいは変質することによって、トナーの帯電特性が不均一なものとなり、かぶりや逆帯電といった転写不良の原因ともなっていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−181733号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、熱的な整形処理工程において高温度に曝されても帯電特性に変化を生じず、かぶりや逆帯電トナーが生じることが少ないトナーを提供することを課題とするものであり、特に、感光体上に形成した静電潜像を現像化したトナー像を中間転写媒体に転写した後に、中間転写媒体から記録媒体へ転写するカラー画像形成装置に使用するトナーを提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、感光体上に形成した静電潜像を現像したトナー像を、記録媒体上に転写した後に定着する画像形成装置に用いるトナーにおいて、結着樹脂、着色剤を含有するとともに、無機質多孔体に担持された帯電制御剤を含有した、熱的な整形処理が施されたトナーによって解決することができる。
このように、本発明のトナーは、帯電制御剤として無機質多孔体に担持されたものを使用したので、帯電制御剤は無機質多孔体に安定に保持されるいる。したがって、トナー表面に対して熱的な整形処理を施した場合にも、帯電制御剤として使用されるイオン性物質、中性物質が熱によって昇華したり、酸化分解することによってトナー表面から失われる量を減少させることが可能となり、帯電特性が優れた表面の熱的な整形処理を施したトナーを得ることができる。
【0009】
また、感光体上に形成した静電潜像を現像したトナー像を、中間転写媒体に転写した後、中間転写媒体上のトナー像を記録媒体上に転写した後に定着する画像形成装置に用いるものである前記のトナーである。
このように、中間転写媒体を用いた場合には、感光体上に形成した静電潜像を記録媒体上に転写する場合に比べて、二度の転写が必要となるためにトナーの帯電特性が形成される画像により大きく影響を及ぼすので、熱的な整形処理によって表面形状をより球形に近いものとして帯電特性を向上させる表面処理が欠かせないが、従来の帯電制御剤では、帯電性能の調整機能の低下が避けられなかったが、本発明の帯電制御剤を用いたトナーでは、帯電性能の劣化が生じることがなく、良好な画像を得ることができる。
【0010】
また、熱的な整形処理が衝突による処理、熱風球形化処理の少なくともいずれかの処理である前記のトナーである。
また、動的粘弾性測定によって求めた緩和時間t=0.01sにおける緩和弾性率G(t=0.01s)と、トナー粒子が熱風処理工程のおいて熱風中において加熱される熱風加熱時間htに相当する緩和時間t=htにおける緩和弾性率G(t=ht)との比G(t)=G(t=0.01s)/G(t=ht)が10以下である前記のトナーである。
このように、結着樹脂の緩和弾性率の変化量が小さいので、熱的な整形処理、特に熱風による表面処理によって加熱した場合には、内部の凝集力が大きく真球により近い状態となり、球形化が進行する。
【0011】
また、イソシアネート基を2個以上含有する化合物と、活性水素をもつ官能基を2個以上含有する活性水素化合物との重合によって得られる、ウレタン結合あるいはウレア結合を主鎖に有するポリマーを結着樹脂として含有する前記のトナーである。
また、このようにして得られるウレタン系のポリマーからなるトナーは、内部の凝集力が大きなものとなる。
【0012】
また、無機質多孔体が、シリカゲル、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、カオリナイト、蛇紋石、タルク、パイロフィライト、長石、ゼオライト、ケイ灰石、ケイ線石から選ばれる少なくとも一種である前記のトナーである。
これらの無機質多孔体を担持体として使用したので、無機質多孔体に保護されて帯電制御物質は熱処理時に変質することが防止できる。
【0013】
また、感光体上に形成した静電潜像を現像したトナー像を、記録媒体上に転写した後に定着する画像形成装置に用いるトナーの製造方法において、結着樹脂、着色剤、および無機質多孔体に担持された帯電制御剤を含有するトナー粒子を形成した後に、トナー粒子に対して熱的な整形処理を施すトナーの製造方法である。
また、熱的な整形処理が衝突による処理、熱風球形化処理の少なくともいずれかの処理によって行う前記のトナーの製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、感光体の静電潜像を現像したトナー像を中間転写媒体を介して、記録媒体に転写してカラー画像を形成する画像形成装置に用いるトナーとして、無機質多孔体に電荷制御物質を担持させたものを電荷制御剤として使用したので、トナーの熱風球形化処理のように熱的な整形処理を行った場合でも、電荷制御剤が安定に存在するので、かぶりトナーや逆帯電トナーが生じることは少なく、特性の優れたカラー画像を形成することができる。
【0015】
すなわち、帯電制御剤の担体として使用する無機質多孔体であるシリケート、シリカ等は、結着樹脂への分散と電荷の付与効果を有するが、これらの表面に形成された細孔には帯電制御物質が存在して帯電制御の作用を果たす。そして、無機質多孔体の細孔内部に帯電制御用の物質が存在しているので、無機質多孔体に吸着、あるいは保護されて、昇華、分解等が抑制される。
【0016】
したがって、トナーを二軸押出混練機等によって密閉された系内において混練して粉砕した後に、作製したトナー粒子に対して熱風処理や機械処理等の球形化処理を施しても、トナーの帯電特性に大きく影響するトナー粒子の表面に存在してトナーの帯電特性に大きく影響する帯電制御剤が安定に均一に存在することで、かぶりの低減、逆転写トナーの減少等の作用効果が得られるものと考えられる。
【0017】
本発明のトナーが含有する帯電制御剤は、無機質多孔体中に帯電制御物質を含有していることを特徴としている。
無機質多孔体としては、シリカゲル、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、カオリナイト、蛇紋石、タルク、パイロフィライト、長石、ゼオライト、ケイ灰石、ケイ線石を挙げることができ、これらの少なくとも一種を用いることができる。
また、無機質多孔体は、個数平均粒径が5μm〜100μmであることが好ましく、30μm〜70μmであることがより好ましい。
100μmよりも大きい場合にはトナー母粒子の作製時に、表面に凹凸を生じ易いので好ましくなく、また5μmよりも小さい場合には細孔形成が不完全で孔内に帯電制御剤が担持できないので好ましくない。
また、細孔径は0.5nm〜10nmであることが好ましく、0.5nmよりも小さい場合には帯電制御剤の孔内への担持が困難となり、10nmよりも大きい場合には帯電制御剤が脱落しやすくなる。
【0018】
本発明に使用する帯電制御剤は、これらの無機質多孔体を所定の濃度の帯電制御物質を含有した溶液で処理して、無機質多孔体に担持させて製造することができる。また、電荷制御物質としては、オイルブラック、オイルブラックBY、ボントロンS−22およびS−34(オリエント化学工業製)、サリチル酸金属錯体E−81、E−84(オリエント化学工業製)、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化学工業製)、カリックスアレン系化合物、有機ホウ素化合物、含フッ素4級アンモニウム塩系化合物、モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシルカルボン酸系金属錯体、芳香族ジカルボン酸系金属錯体、多糖類等が挙げられる。
【0019】
本発明の帯電制御剤を有するトナーの製造に使用するトナー母粒子としては、粉砕法および重合法により得られるトナー母粒子のいずれでも良いが、フルカラーの場合には重合法トナーが好ましい。
【0020】
粉砕法トナーとしては、樹脂バインダーに少なくとも顔料を含有し、離型剤、帯電制御剤等を添加し、ヘンシェルミキサー等で均一複合した後、2軸押し出し機で溶融混練され、冷却後、粗粉砕−微粉砕工程を経て、分級処理され、さらに、外添粒子が付着されてトナー粒子とされる。
【0021】
バインダー樹脂としてはトナー用樹脂として使用されている合成樹脂が使用可能であり、例えばポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂等が単独又は複合して使用できる。
【0022】
特に本発明においては、ウレタン樹脂を結着樹脂としたものが好ましく、なかでもイソシアネート基を2個以上含有する化合物と、活性水素官能基を2個以上含有する活性水素化合物との重合によって得られる、ウレタン結合あるいはウレア結合を主鎖に有するポリマーを結着樹脂として含有するものが好ましい。
【0023】
このような化学構造を有するウレタン樹脂を用いたトナー粒子は、熱風球形化装置において熱風中に球形化処理を行うと、軟化した場合には内部の凝集力が大きいので、トナー表面がより真球に近い形状とすることができる。
以下に、本発明のトナーに好適なウレタン樹脂について説明する。
好適なウレタン樹脂は、水酸基とイソシアネート基が反応した結果生じるウレタン結合(−A−NHCOO−B−、式中Aはポリイソシアネート残基、Bは複数の活性水素基を有する化合物残基)、またはアミノ基とイソシアネート基とが反応した結果生じるウレア結合(−NHCONH−)を結合要素として含有する。
【0024】
本発明におけるポリイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート類であるエタンジイソシアネート、プロパンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、チオジエチルジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、βーメチルブタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ω,ω′−ジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、3−メトキシヘキサンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、3−ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4−ブチレングリコール−ジプロピルエーテル−ω,ω′−ジイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。
【0025】
また、環状基を有する脂肪族ジイソシアネートとしてはω,ω′−1,3−ジメチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω′−1,2−ジメチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω′−1,2−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω′−1,4−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω′−1,4−ジエチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω′−1,4−ジメチルナフタリンジイソシアネート、ω,ω′−1,5−ジメチルナフタリンジイソシアネート、3,5−ジメルシクロヘキサン−1−メチルイソシアネート−2−プロピルイソシアネート、ω,ω′−n−プロピル−ビフェニルジイソシアネート等が挙げられる。
【0026】
芳香族ジイソシアネート類としては1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,5−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−3,5−ジイソシアネート、1,3−ジメチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1,3−ジメチルベンゼン−4,6−ジイソシアネート、1,4−ジメチルベンゼン−2,5−ジイソシアネート、1−エチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1−イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイソシアネート、ジイソプロピルベンゼンジイソシアネート等が挙げられる。
【0027】
ナフタリンジイソシアネート類としてはナフタリン−1,4−ジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシアネート、ナフタリン−2,6−ジイソシアネート、ナフタリン−2,7−ジイソシアネート、1,1′−ジナフチル−2,2′−ジイソシアネート等が挙げられる。
【0028】
ビフェニルジイソシアネート類としてはビフェニル−2,4′−ジイソシアネート、ビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2−ニトロビフェニル−4,4′−ジイソシアネート等が挙げられる。
【0029】
ジ−あるいはトリフェニルメタンジイソシアネート、およびジ−あるいはトリフェニルエタンジイソシアネートとしては、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,5,2′,5′−テトラメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジメトキシフェニル−3,3′−ジイソシアネート、4,4′−ジエトキシフェニルメタン−3,3′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチル−5,5′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3−ジクロロジフェニルジメチルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−3,3′−ジイソシアネート、α,β−ジフェニルエタン−2,4−ジイソシアネート、3−ニトロトリフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4−ニトロトリフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート等が挙げられる。
【0030】
トリイソシアネート類としては1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、ナフタリン−1,3,7−トリイソシアネート、ビフェニル−1,3,7−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4′−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4′−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、ジフェニル−4,4′−ジイソシアネートカルバミン酸クロリド等が例示される。
【0031】
本発明にあっては、特に、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(水素化MDI)、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート(XDI)、p−フェニレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水素化XDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)等の脂環式炭化水素や芳香族炭化水素を有するジイソシアネート類が好ましく、更にこれらのポリイソシアネート類の混合物を使用するのが好ましい。
また、複数の活性水素基を有する活性水素化合物としては、ポリオール類、またはポリアミン類等が例示される。
【0032】
ポリオール類としては、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(カプロラクトンポリオール)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)等が例示される。ポリオール類としては、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2〜6モル付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2〜4モル付加物が特に好ましく、これらポリオール類における水酸基価は、100〜350KOHmg/g、好ましくは200〜290KOHmg/gである。
【0033】
また、ポリアミン類としては、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン等のジアミン類が例示される。
【0034】
本発明のウレタン樹脂は、その数平均分子量(Mn)が1,500〜20,000と中程度であり、その性状は構成成分であるポリイソシアネート類や複数の活性水素基を有する活性水素化合物の化学構造に依存するところが大きく、上記のポリイソシアネート類にあっても数種類のポリイソシアネートの混合物を使用したり、また、複数の活性水素基を有する活性水素化合物にしても数種類の複数の活性水素基を有する活性水素化合物の混合物を使用すると良く、例えば、脂環式ポリイソシアネートと芳香族ポリイソシアネートとの混合物、また、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物とビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物との混合物等が好ましく例示される。
【0035】
ポリイソシアネート類と複数の活性水素基を有する活性水素化合物の配合割合は、ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基数に対する活性水素化合物における活性水素基数の割合(NCO/活性水素)が0.5〜1.0、好ましくは0.7〜1.0の範囲で反応させるとよい。
【0036】
ウレタン樹脂の製造にあたっては、複数の活性水素基を有する活性水素化合物中にポリイソシアネート類を、温度30℃〜180℃、好ましくは30℃〜140℃で、大気圧下、無溶剤下で一括または分割して投入し、数分から数時間、バルク重合させるとよい。
触媒としては、例えばジブチルスズジクロライド、ジメチルスズジクロライド、オクチル酸スズ、トリフェニルアンモニウムジクロライド等が例示される。
【0037】
本発明におけるウレタン樹脂の製造方法は、容器中でのバルク重合により製造してもよいが、溶液重合や重縮合反応等における溶剤の除去やまたは副生水の除去等の工程を不要とするので、反応に際して無溶剤とすることにより、効率よく連続生産を可能とできるものであり、重合反応をスクリューを内蔵する混練手段を用いて行なうことができる。その際、複数の活性水素基を有する活性水素化合物にポリイソシアネート類を連続して添加して混練することにより反応させるとよく、混練手段としては押出機が好ましく、特に二軸押出機が好ましい。
【0038】
本発明におけるウレタン樹脂は、ポリスチレンを基準としたときの数平均分子量(Mn)が1,500〜20,000、好ましくは2,000〜10,000、更に好ましくは3,000〜8,000のものである。
また、重量平均分子量(Mw)は3,000〜300,000、好ましくは5,000〜50,000、更に好ましくは8,000〜20,000であり、Mw/Mnが1.5〜20、好ましくは1.5〜10、更に好ましくは1.5〜5である。Mw/Mnが20を超えると軟化温度範囲が広くなり、混色時の色再現性及びOHP画像の透明性に劣るものとなる。
【0039】
本発明のウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)を1,500〜20,000の範囲に制御するには、ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基数に対する複数の活性水素基を有する活性水素化合物における活性水素基数の割合(NCO/活性水素)を小さくすれば低分子量化でき、また、等モル量に近づけると高分子量化できるので、適宜、ポリイソシアネートの反応モル数を制御することにより容易に制御できる。
【0040】
また、本発明のウレタン樹脂の物性に影響を与えない範囲で鎖伸長剤を適宜使用してもよい。鎖伸長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビス−(β−ヒドロキシ)ベンゼン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0041】
数平均分子量(Mn)が1,500より小さいと、低温定着性に優れるものの、着色剤の保持性や耐フィルミング性、耐オフセット性、定着像強度、保存性に劣るものであり、また、20,000より大きいと低温定着性に劣るものとなり、結着樹脂として単独では使用できないものとなる。
【0042】
本発明のウレタン樹脂は、フロー軟化点(Tm)として90℃〜140℃、好ましくは100℃〜130℃の範囲にあり、また、ガラス転移温度(Tg)は55℃〜90℃、好ましくは55℃〜80℃の範囲にあるものである。
【0043】
すなわち、本発明におけるウレタン樹脂は、分子間結合力が大きく、高結晶性ポリマーであるため、分子量を低下させTmを下げる分子設計をした時のTgの低下幅を小さくすることができるので、低Tmと高Tgを両立させることができる。
【0044】
本発明におけるウレタン樹脂は、そのウレタン結合あるいはウレア結合により、熱溶融時の凝集性に優れ、高温オフセット性に優れるものであり、また、50%流出点における溶融粘度が3×103 〜1.5×104 Pa・sとでき、オイルレス定着用トナーとして適したものとできると共に、現像機内での機械的ストレス、あるいは温度に対する耐性を有し、トナーに要求される耐久性及び保存性を確保でき、低温定着と保存性を両立させることができる。
【0045】
本発明のウレタン樹脂には、他のバインダー樹脂をウレタン樹脂の性状を損なわない範囲で添加してもよい。他のバインダー樹脂としては、ウレタン樹脂を製造する際に共存させてもよいが、製造後に混練してもよい。本発明のウレタン樹脂を製造する際に共存させる場合には、ポリイソシアネート類との反応性を有する活性水素を含有しない樹脂が好ましい。
【0046】
他のバインダー樹脂としては、例えばポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリクロロスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン樹脂でスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変成マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂等を単独又は混合して使用できる。
【0047】
また、トナー粒子の球形化処理工程において、熱風で軟化したトナー粒子の球形化には、トナー粒子の表面張力のみではなく、トナー粒子自身の内部凝集力の大小が大きく影響を与えることを見出した。このような凝集力は、動的粘弾性測定より求めた所定の緩和時間における緩和弾性率によって表現することができる。すなわち、動的粘弾性測定によって求めた緩和時間t=0.01sにおける緩和弾性率G(t=0.01s)と、トナー粒子が熱風処理工程のおいて熱風中において加熱される熱風加熱時間htに相当する緩和時間t=htにおける緩和弾性率G(t=ht)との比G(t)=G(t=0.01s)/G(t=ht)が10以下であるものの場合には熱風による球形化工程において、より真球に近いものを得ることができる。
また、緩和弾性率の比G(t)が2ないし7とすることがより好ましい。
【0048】
また、本発明のトナーの着色剤としては、トナー用着色剤が使用可能である。例えばカーボンブラック、ランプブラック、マグネタイト、チタンブラック、クロムイエロー、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、マラカイトグリーンレーキ、キノリンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・ブルー5:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の染料および顔料を単独あるいは複合して使用できる。
【0049】
離型剤としては、トナー用離型剤が使用可能である。例えばパラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等が挙げられる。なかでもポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエステル系ワックス、カルナバワックス、エステルワックス等を使用することが好ましい。
【0050】
粉砕法トナーにおける成分比としては、バインダー樹脂100重量部に対して、着色剤は0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部であり、また、離型剤は1〜10重量部、好ましくは2.5〜8重量部であり、また、帯電制御剤は0.1〜7重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
【0051】
また、重合法トナーとしては、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等により得られるトナーが挙げられる。懸濁重合法においては、重合性単量体、着色顔料、離型剤とを必要により更に、染料、重合開始剤、架橋剤、帯電制御剤、その他の添加剤を添加した複合物を溶解又は分散させた単量体組成物を、懸濁安定剤(水溶性高分子、難水溶性無機物質)を含む水相中に撹拌しながら添加して造粒し、重合させて所望の粒子サイズを有する着色重合トナー粒子を形成することができる。
【0052】
乳化重合法においては、単量体と離型剤を必要により更に重合開始剤、乳化剤(界面活性剤)などを水中に分散させて重合を行い、次いで凝集過程で着色剤、帯電制御剤と凝集剤(電解質)等を添加することによって所望の粒子サイズを有する着色トナー粒子を形成することができる。
重合法トナー作製に用いられる材料において、着色剤、離型剤、帯電制御剤、に関しては、上述した粉砕トナーと同様の材料が使用できる。
【0053】
重合性単量体としては、公知のビニル系モノマーが使用可能であり、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、無水マレイン酸、無水フタル酸、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、プロピレン酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルナフタレン等が挙げられる。なお、フッ素含有モノマーとしては例えば2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロプロピレンなどはフッ素原子が負帯電制御に有効であるので使用が可能である。
【0054】
乳化剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル等がある。
【0055】
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4’−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル等がある。
【0056】
凝集剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸鉄等の電解質が挙げられる。
【0057】
重合法トナーの円形度の調節法としては、乳化重合法は2次粒子の凝集過程で温度と時間を制御することで、円形度を自由に変えることができ、その範囲は0.94〜1.00である。また、懸濁重合法では、真球のトナーが可能であるため、円形度は0.98〜1.00の範囲となる。また、円形度を調節するためにトナーのTg温度以上で加熱変形させることで、円形度を0.94〜0.98まで自由に調節することが可能となる。
【0058】
また、トナーの個数平均粒径は、9μm以下であることが好ましく、8μm〜4.5μmであることがより好ましい。9μmよりも大きなトナーでは、1200dpi以上の高解像度で潜像を形成しても、その解像度の再現性が小粒子径のトナーに比べて低下し、また4.5μm以下になると、トナーによる隠蔽性が低下するとともに、流動性を高めるために外添剤の使用量が増大し、その結果、定着性能が低下する傾向があるので好ましくない。
【0059】
シリカ粒子としては、ケイ素のハロゲン化物等から乾式で作製した粒子、およびケイ素化合物から液中で析出した湿式法によるもののいずれをも用いることができる。
シリカ粒子の一次粒子の平均粒子径は、7nm〜40nmとすることが好ましく、10nm〜30nmとすることがより好ましい。また、シリカ粒子の一次粒子の平均粒子径が7nmより小さいと、トナーの母粒子に埋没しやすくなり、また、負に帯電しやすくなる。そして、40nmを超えるとトナー母粒子の流動性付与効果が悪化し、トナーを均一に負に帯電させることが困難になる結果、逆帯電である正に帯電したトナー量が増加する傾向となる。
【0060】
本発明においては、シリカ粒子として、個数平均粒径分布が異なるシリカを混合して用いることが好ましく、粒径が大きな外添剤を含有することによって、トナー粒子中に外添剤が埋まってしまうことを防止し、小径のシリカ粒子によって好ましい流動性を得ることができる。
【0061】
具体的には、一方のシリカの個数平均一次粒子径が5nm〜20nmであることが好ましく、7〜16nmであることがより好ましい。また、他方のシリカの個数平均一次粒子径が30nm〜50nmであることが好ましく、30〜40nmである粒子を併用することがより好ましい。
なお、本発明における外添剤の粒径は、電子顕微鏡像によって観察して測定したものであり、個数平均粒子径を平均粒子径としている。
【0062】
本発明において外添剤として使用するシリカ粒子は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等で疎水化処理して使用することが好ましく、例えばジメチルジクロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル、オクチル−トリクロルシラン、デシル−トリクロルシラン、ノニル−トリクロルシラン、(4−iso −プロピルフェニル)−トリクロルシラン、(4−t −ブチルフェニル)−トリクロルシラン、ジペンチル−ジクロルシラン、ジヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシラン、ジドデシル−ジクロルシラン、(4−t −ブチルフェニル)−オクチル−ジクロルシラン、ジデセニル−ジクロルシラン、ジノネニル−ジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルペンチル−ジクロルシラン、トリヘキシル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、トリデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロルシラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−iso −プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン等が例示される。
【0063】
これらの配合量は、シリカ粒子100重量部に対し、1〜30重量部のこれらの水酸化物、酸化物で被覆したスラリーとし、引き続いてスラリー中の固形分に対し、アルコキシシランを3〜50重量部を被覆した後、アルカリで中和し、ろ過、洗浄、乾燥及び粉砕を行うことによって得ることができる。
本発明において、これらの外添剤は、トナー母粒子100重量部に対して0.05〜2重量部とすることが好ましい。
【0064】
0.05重量部よりも少ない場合には、流動性付与、および過帯電防止に効果がなく、逆に2重量部を超えると、負帯電の電荷量が低下すると同時に、逆極性である正帯電のトナー量が増加し、カブリや逆転写トナー量を増加する結果となる。
【0065】
また、本発明のトナーは、熱的な整形処理を行って球形化処理を行ったものであることを特徴としており、球形化処理によってトナーを真球により近いものとして帯電特性、転写特性等を向上させたものである。
熱的な整形処理は、衝突式の処理装置において、トナー粒子相互、およびトナー粒子と処理装置の壁面との衝突させて、表面の機械的な整形に加えて発生する熱によって行うことができる。また、熱風中を流動させる過程において、トナー粒子を軟化させて、表面張力等によって球形化する性質を利用して、球形化を行うことができる。
衝突式の処理装置としては、ハイブリダイザーNHS−1(奈良機械製作所製)、コスモスシステム(川崎重工業)、メカノヒュージョン(ホソカワミクロン)、メカノミル(岡田精工)などを挙げることができる。
【0066】
熱風による球形化処理は、例えば、熱風球形化装置(日本ニューマチック工業製サーフュージングシステムSFS−3型)を挙げることができ、処理対象のトナー粒子の特性に応じて、熱風温度、熱風流量を調整することによって、真球により近い形状とすることができる。
【0067】
特に、粉砕によってトナー粒子を製造した場合のように、表面に大きな凹凸を有するものの場合には、熱風球形化装置によって処理する前に、衝突粉砕による処理装置において、トナー粒子相互、およびトナー粒子と処理装置の壁面との衝突によって整形処理した後に、熱風球形化装置によって処理を行っても良い。
【0068】
図1は、本発明のトナーを用いた画像形成装置における接触現像方式の一例を示すものであるが、感光体1は直径24〜86mmで表面速度60〜300mm/sで回転する感光体ドラムで、コロナ帯電器2によりその表面が均一に負帯電された後、記録すべき情報に応じた露光3が行なわれることにより、静電潜像が形成される。
【0069】
現像器10は、一成分現像装置であり、有機感光体上に一成分非磁性トナーTを供給することで有機感光体における静電潜像を反転現像し、可視像化するものである。現像手段には、一成分非磁性トナーTが収納されており、図示のごとく反時計方向で回転するトナー供給ローラ7によりトナーを現像ローラ9に供給する。現像ローラ9は反時計方向に回転し、トナー供給ローラ7により搬送されたトナーTをその表面に保持した状態で有機感光体との接触部に搬送し、有機感光体1上の静電潜像を可視像化する。
【0070】
現像ローラ9は、例えば直径16〜24mmで、金属製管にめっきやブラスト処理したローラ、あるいは中心軸周面にブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等からなる体積抵抗値104〜108Ω・cm、硬度が40〜70°(アスカーA硬度)の導電性弾性体層が形成されたもので、この管の軸等を介して図示しない電源より現像バイアス電圧が印加される。また、現像ローラ9、トナー供給ローラ7、トナー規制ブレード8からなる現像器10は、図示しないばね等の付勢手段により有機感光体に押圧力19.6〜98.1N/m、好ましくは24.5〜68.6N/mで、ニップが幅1〜3mmとなるように圧接されるとよい。
【0071】
規制ブレード8としてはステンレス、リン青銅、ゴム板、金属薄板にゴムチップの貼り合わせたもの等が使用されるが、現像ローラに対して図示しないばね等の付勢手段により、あるいは弾性体としての反発力を利用して線圧245〜490mN/cmで押圧され、現像ローラ上のトナー層厚を2層以上とすると良い。接触現像方式にあっては、感光体の暗電位としては−500〜−700V、明電位としては−50〜−150V、図示していないが現像バイアス電圧としては−100〜−400Vとすると良く、現像ローラとトナー供給ローラとは同電位とすると良い。
接触現像方式にあっては、反時計方向に回転する現像ローラの周速を、時計方向に回転する有機感光体に対して1.2〜2.5、好ましくは1.5〜2.2の周速比とするとよく、これにより、小粒径のトナー粒子であっても、有機感光体との接触摩擦帯電を確実にできる。
【0072】
また、規制ブレード、現像ローラにおけるそれぞれの仕事関数と、トナーの仕事関数との関係に格別の制限はないが、好ましくは規制ブレード、現像ローラにおけるそれぞれの仕事関数をトナーの仕事関数より小さくして、規制ブレードと接触するトナーを負に接触帯電させておくことにより、より均一な負帯電トナーとできる。また、規制ブレード8に電圧を印加してブレードに接触するトナーへ電荷注入してトナー帯電量を制御してもよい。
【0073】
次に、本発明の画像形成装置における中間転写媒体について説明する。図1において、中間転写媒体4は、感光体1とバックアップローラ6との間に送られ、電圧が印加されることにより、感光体1上の可視像が中間転写媒体上に転写され、中間転写媒体上にトナー画像が形成される。感光体上に残留するトナーは、クリーニングブレード5により除去され、感光体上の静電荷は消去ランプにより消去され、感光体は再使用に供せられる。本発明の画像形成装置にあっては逆帯電トナーを抑制できるので、感光体上に残留するトナー量を少なくでき、クリーニングトナー容器を小さくできる。
【0074】
中間転写媒体を転写ドラムや転写ベルトとする場合には、その導電性層に一次転写電圧として+250〜+600Vの電圧が印加され、また、紙等の転写材への二次転写に際しては、二次転写電圧として+400〜+2800Vの電圧が印加されるとよい。
【0075】
中間転写媒体として、転写ベルトまたは転写ドラムを用いることができる。
転写ベルトとしては、合成樹脂製の基体からなるフィルムやシート上に転写層を設けるものであり、他方は弾性体の基層上に表層である転写層を設けるものである。また、転写ドラムとしては、感光体が剛性のあるドラム、例えばアルミニウム製のドラム上に有機感光層を設けた場合には、転写媒体としてはアルミニウム等の剛性のあるドラム基体上に弾性の表層である転写層を設けるものである。また、感光体の支持体がベルト状、あるいはゴム等の弾性支持体上に感光層を設けたいわゆる弾性感光体である場合には、転写媒体としてはアルミニウム等の剛性のあるドラム基体上に直接あるいは導電性中間層を介して転写層を設けるとよい。
【0076】
基体としては、導電性あるいは絶縁性基体が使用可能である。転写ベルトの場合には、体積抵抗104 〜1012Ω・cm、好ましくは106 〜1011Ω・cmの範囲が好ましい。
【0077】
フィルムおよびシートに適する材質と作製方法としては、変性ポリイミド、熱硬化ポリイミド、ポリカーボネート、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロイ等のエンジニアリングプラスチックに導電性カーボンブラック、導電性酸化チタン、導電性酸化スズ、導電性シリカ等の導電材料を分散した厚さ50〜500μmの半導電性フィルム基体を押し出し、あるいは成形でシームレス基体とし、その外側にさらに表面エネルギーを下げ、トナーのフィルミングを防止する表面保護層として厚さ5〜50μmのフッ素樹脂被覆を行ったシームレスベルトである。
【0078】
表面保護層の形成方法としては、浸漬コーティング法、リングコーティング法、スプレーコーティング法等を用いることができる。なお、転写ベルトの両端部には転写ベルトの端部での亀裂や伸び、および蛇行防止のために、膜厚80μmのポリエチレンテレフタレートフイルム等のテープやウレタンゴム等のリブを貼り付けて使用する。
【0079】
フィルムまたはシートで基体を作製する場合には、ベルト状とするために端面を超音波溶着を行うことで、ベルトを作製することができ、具体的にはシート、またはフィルム上に導電性層並びに表面層を設けてから、超音波溶着を行うことにより所望の物性を有する転写ベルトを作製することができる。より具体的には基体に厚さ60〜150μmのポリエチレンテレフタレートを絶縁性基体として用いた場合には、その表面にアルミニウム等を蒸着し、あるいはさらにカーボンブラック等の導電材料と樹脂からなる中間導電性層を塗工し、その上にそれより高い表面抵抗を有するウレタン樹脂、フッ素樹脂、導電性材料からなる半導電性表面層を設けて転写ベルトとすることができる。塗工後の乾燥時に熱をさほど必要としない抵抗層を設けることができる場合には、先にアルミニウム蒸着フィルムを超音波溶着させてから上記の抵抗層を設け、転写ベルトを作製することも可能である。
【0080】
ゴム等の弾性基体に適する材質と作製方法としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム等に上記の導電材料を分散した厚さ0.8〜2.0mmの半導電性ゴムベルトを押出し成形で作製後、表面をサンドペーパーやポリシャー等の研磨材により所望の表面粗さに制御する。このときの弾性層をこのままで使用してもよいが、さらに上記と同じようにして表面保護層を設けることができる。
【0081】
転写ドラムの場合には、体積抵抗104 〜1012Ω・cm、好ましくは107 〜1011Ω・cmの範囲が好ましい。転写ドラムはアルミニウム等の金属円筒上に必要により弾性体の導電性中間層を設けて導電性弾性基体とし、さらにその上に表面エネルギーを下げ、トナーのフィルミングを防止する表面保護層として半導電性の厚さ5〜50μmの、例えばフッ素樹脂被覆を形成して作製することができる。
【0082】
導電性弾性基体としては、例えばシリコンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料に、カーボンブラック、導電性酸化チタン、導電性酸化スズ、導電性シリカ等の導電材料を配合、混練、分散した導電性ゴム素材を、直径が90〜180mmのアルミニウム円筒に密着成形して、研磨後の厚さが0.8〜6mmで、体積抵抗が104 〜1010Ω・cmとするとよい。次いでウレタン樹脂、フッ素樹脂、導電材料、フッ素系樹脂微粒子からなる半導電性の表面層を膜厚約15〜40μm設けて、所望の体積抵抗107 〜1011Ω・cmを有する転写ドラムとすることができる。このときの表面粗さは1μm(Ra)以下が好ましい。また、別の例としては上記のように作製した導電性弾性基体の上にフッ素樹脂等の半導電性のチューブを被せて、加熱により収縮させて所望の表面層と電気抵抗を有する転写ドラムを作製することも可能である。
【0083】
次に、図2は、本発明のトナーを使用した画像形成装置における非接触現像方式の一例を示すものである。この方式にあっては、現像ローラ9と感光体1とを現像ギャップdを介して対向させるものである。現像ギャップとしては100〜350μmとすると良く、また、図示しないが直流電圧の現像バイアスとしては−200〜−500Vであり、これに重畳する交流電圧としては1.5〜3.5kHz、P−P電圧1000〜1800Vの条件とすると良い。また、非接触現像方式にあって、反時計方向に回転する現像ローラの周速としては、時計方向に回転する有機感光体に対して1.0〜2.5、好ましくは1.2〜2.2の周速比とするとよい。
【0084】
現像ローラ9は図示のごとく反時計方向に回転し、トナー供給ローラ7により搬送されたトナーTをその表面に吸着した状態で有機感光体との対向部にトナーTを搬送するが、有機感光体と現像ローラとの対向部において、交流電圧を重畳して印加することにより、トナーTは現像ローラ表面と有機感光体表面との間で振動することにより現像される。本発明にあっては、交流電圧の印加により現像ローラ表面と有機感光体表面との間でトナーTが振動する間にトナー粒子と感光体とを接触させることができるので、小粒径の正帯電トナーを負に帯電させることができ、カブリを減少させることができるものと考えられる。
【0085】
また、中間転写媒体は、可視像化された感光体1とバックアップローラ6との間に送られるが、バックアップローラ6による感光体1への押圧力を、接触現像方式に比して3割程度高くして24.5〜58.8mN/m、好ましくは34.3〜49N/mとすると良い。
これにより、トナー粒子と感光体との接触を確実なものとすることができ、トナー粒子をより負帯電化して転写効率を向上できる。
【0086】
なお、非接触現像方式における上記以外の事項は、上述した接触現像方式と同様である。
図1、図2で示す現像プロセスをイエローY、シアンC、マゼンタM、ブラックKからなる4色のトナー(現像剤)による現像器と感光体を組み合わせればフルカラー画像を形成することのできる装置となる。
【0087】
【実施例】
以下に、実施例、比較例を示し本発明を説明する。
(帯電制御剤1の調製)
ゼオライト(体積平均径60μm、BET法による比表面積130m2/g)100gをトルエン500ml中で分散した後に、帯電制御物質1(クラリアント製 多糖類系帯電制御物質NCA)50gを添加して、50℃で2時間撹拌して懸濁液を調製した。得られた懸濁液から固形分を濾別、乾燥したのち常圧で120℃3時間放置した後、ミルで解砕し、体積平均径80μmの粉末を得た。
【0088】
(帯電制御剤2の調製)
シリカゲル(体積平均径60μm、BET法による比表面積300m2/g)100gをトルエン中で分散させた後、電荷制御剤として、帯電制御物質2(オリエント化学工業製 ジ−t−ブチルサリチル酸クロム:商品名ボントロンE−81)50gを添加して、50℃で2時間撹拌して懸濁液を調製した。得られた懸濁液から固形分を濾別、乾燥したのち常圧で120℃3時間放置した後、ミルで解砕し、100μmの粉末を得た。
【0089】
(帯電制御剤3の調製)
アルカリベントナイト(体積平均径40μm、BET法による比表面積210m2/g)100gを水中で分散させた後、硫酸でpHを中性に調整した後、帯電制御物質2(オリエント化学工業製 ジ−t−ブチルサリチル酸亜鉛(ボントロンE−84)50gを添加して、60℃で2時間攪拌した。その後、この懸濁液から固形分を濾別、純水により洗浄、乾燥をしたのち減圧下で60℃3時間放置した後、ミルで解砕し50μmの粉末を得た。
【0090】
(トナー樹脂1の調製)
ポリオール(PO1):ポリオキシエチレンビスフェノール−A−エーテル(日本油脂製 ユニオールDA−400 OH基価273KOHmg/g)、ポリオール(PO2):ジメチロールブタン酸(日本化成製 DMBA 酸価375mgKOH/g、OH基価748mgKOH/g)とを、PO1:PO2=70:30(mol比)として、120℃にて加温溶解させ、ポリオール(PO3)を調製した。
このポリオール(PO3)171g、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートイソシアネート129g、および触媒としてジオクチル錫ジラウレートを120℃の加温下にて混合溶解した後に、200mm×300mmの皿に流し込み、これを空気浴中で、120℃で1時間保持した後、130℃で5時間保持して反応を完結させ、ポリウレタン樹脂1を得た。
【0091】
得られた、ポリウレタン樹脂1のガラス転移点は、セイコーインスツルメンツ社製 示差走査熱量測定装置(DSC−220C/EXTRA6000 PCステーション)を使用して測定した。ガラス転移点Tgは76℃であった。
【0092】
また、軟化点は、島津製作所製 定荷重押出型細管式レオメータ(フローテスタCFD−500D)を使用し、圧縮成型した円柱状試料に、圧力1.96MPa、ダイ穴1mm、ダイ長さ1mmで測定した。軟化点Tmは126℃であった。
【0093】
(トナー樹脂2の調製)
1,4−ブタンジオール、フマル酸、無水トリメリット酸を50:47:3(mol比)で配合した試料の100重量部にハイドロキノン5重量部を加え、窒素導入管、脱水管、撹拌機および熱電対を装着した5リットル四つ口フラスコで160℃で5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させた。更に,8.1kPaの圧力で1時間反応させ、結晶性ポリエステルを得た。
【0094】
(トナー樹脂3の調製)
ポリオキシプロピレンビスフェノール−A−エーテル、テレフタル酸、フマル酸を75:50:15(mol比)で配合した試料の100重量部に酸化ジブチルスズ4重量部を加え、窒素導入管、脱水管、撹拌機および熱電対を装着した5リットル四つ口フラスコで220℃で8時間反応させた後、8.1kPaの圧力で軟化点100℃となるまで反応させ、非晶性ポリエステルを得た。
【0095】
(トナー1の調製)
先に調製したポリウレタン樹脂1の100重量部、顔料(大日精化工業製 ECR−101 )5重量部、離型剤(日本ワックス製 精製カルナバワックス type#1)1重量部、先に調製した帯電制御剤1の3重量部をヘンシェルミキサーを用い、均一混合した後、二軸押し出し機で混練し、冷却した。冷却物をジェットミルで粉砕し、気流式分級機で分級を行い、平均粒径8μmのトナー母粒子1を得た。
なお、平均粒径は、電気抵抗法粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製マルチサイザーIIIで測定した体積分布D50で示した。
【0096】
得られたトナー母粒子1を熱風球形化装置(日本ニューマチック工業製サーフュージングシステムSFS−3型)を用いて、入り口の熱風温度300℃、熱風流量1.0m3 、原料投入速度1.0kg/hで、熱風処理時間を0.03sとして球形化処理を行った。
球形化処理したのち、100重量部に対して、疎水性シリカ粒子(日本アエロジル社製RX200、粒径12nm)を0.5重量部添加し、ヘンシェルミキサーにて混合撹拌して、マゼンタ色のトナー1を得た。
【0097】
(トナー2の調製)
トナーの調製例1における帯電制御剤1を帯電制御剤2に変えた点を除いてトナー調整例1と同様にトナー2を調製した。
【0098】
(トナー3の調製)
トナーの調製例1における帯電制御剤1を帯電制御剤3に変えた点を除いてトナー調整例1と同様にトナー3を調製した。
【0099】
(トナー4の調製)
トナーの調製例1におけるトナー樹脂1の100重量部に代えて、トナー樹脂2の50重量部、とトナー樹脂3の50重量部を用いた点を除き、トナー調整例1と同様にトナー4を調製した。
【0100】
(比較トナーの調製)
トナー1ないし4の調製例において、帯電制御剤1ないし3に代えて、帯電制御剤の調製例で述べた無機微粒子との吸着処理を行わずに、それぞれの帯電制御剤の製造に用いた各帯電制御物質1重量部と各無機微粒子2重量部とを混合した点を除いて、トナーの調製例1ないし4と同様にして、比較トナー1ないし4を調製した。
【0101】
(かぶりの評価)
画像形成装置として、カラーレーザープリンタ(セイコーエプソン製 LP−3000C)の現像機に、かぶりの評価をするトナーを充填し、全面白(べた白)で印刷し、印刷中にプリンタの動作を停止させて感光体を取り出し、感光体と転写媒体の接する点、すなわち転写ニップと現像ローラと感光体とが近接する点、すなわち現像ニップの領域に、粘着テープ(住友スリーエム製スコッチメンディングテープ)を貼り付け、かぶりトナーを付着させ、これを上質紙に貼り付けた。 かぶり測定用の粘着テープとともに、粘着テープのみを直接に上質紙に貼り付け、両者の色彩を色彩色差計(ミノルタ製 CR−221)で測定し、その結果を表1に示す。なお、表1において比較トナーは、比1ないし比4と記載した。
【0102】
(転写性の評価)
かぶりの評価と同様に、感光体上のトナーの付着量が0.4mg/cm2 となるべた画像を形成した。この画像が、感光体から転写媒体に転写された後にプリンタを停止し、感光体を取り出す。転写ニップの下流にメンディングテープを貼り付け、転写残りトナーを付着させ、これをJ紙に貼り付ける。このテープと基準値との色差を測定する。色差が小さいほど転写性が良いことを意味する。
【0103】
(応力緩和測定方法)
粘弾性測定装置(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製 ARES)によって以下の条件で応力緩和測定モードにより動的粘弾性測定によって求めた緩和時間t=0.01sにおける緩和弾性率G(t=0.01s)と、緩和時間t=0.03sにおける緩和弾性率G(t=0.03s)との比であるG(t)=G(t=0.01s)/G(t=0.03s)を以下の条件によって測定し、表1に示した。
測定条件
測定温度:150℃
歪印加量:温度一定、ひずみ依存モードで、測定試料に徐々に大きな歪み(周波数1rad/sec,歪0.1〜200% )を与え、与えた歪みに対し貯蔵弾性率及び損失弾性率が線形領域における最大歪みを、測定歪みとした。
ジオメトリー:パラレルプレート(25mm径)
測定試料:トナー1gをパラレルプレートにはさみ、加熱溶融させ高さ1.4mmに調製
【0104】
【表1】
【0105】
【発明の効果】
本発明のトナーは、帯電制御剤として無機質多孔体を担持体として、細孔中に帯電制御物質を含有したものを用いているので、トナー粒子に熱的な整形処理を加えた場合にも、帯電制御剤は無機質多孔体中に保持されているので安定に存在している。その結果、中間転写媒体を有するカラー画像形成装置に用いた場合にも帯電特性が安定しているので、逆帯電トナーの発生等がなく、かぶり等の発生がなく、品質の優れた画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のトナーを用いた画像形成装置における接触現像方式の一例を説明する図である。
【図2】図2は、本発明のトナーを使用した画像形成装置における非接触現像方式の一例を示すものである。
【符号の説明】
1…感光体、2…コロナ帯電器、3…露光、4…中間転写媒体、5…クリーニングブレード、6…バックアップ、7…トナー供給ローラ、8…規制ブレード、9…現像ローラ、10…現像器
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電印刷等に用いるトナーに関するものであり、カラー画像形成用の球形化処理を行って製造するトナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真等の画像形成方法においては、光導電性物質を設けた感光体に形成した静電潜像を着色剤を含有したトナー粒子を用いて現像を行った後に、熱、圧力等により紙等の転写材にトナー画像を定着して複写物、印刷物を形成している。カラー画像を形成する画像形成装置においては、感光体上に形成された静電潜像を複数色のトナーによって現像して中間転写媒体へ転写した後に、紙等にカラー画像を転写して定着する方法が採用されている。この方法では、静電潜像を形成する感光体は1個のみで良く、像形成のための光学系も簡単なもので良いという特徴を有し、更には円筒状の感光体面に巻きつけることが困難な任意の媒体にも転写することができるという特徴を有している。
【0003】
ところが、中間転写媒体を用いた場合には、感光体から中間転写媒体への転写と、中間転写媒体から記録媒体への転写への二度の転写を行うために、トナーの転写効率を高めることが求められている。転写されないトナーは廃トナーとなるのみではなく、形成される画像から文字、画像の一部が抜けるという現象も生じ形成される画像の品質を低下するものとなっていた。
【0004】
転写効率は、各種の要因に左右されるが、なかでもトナーの帯電特性による影響が大きいものと考えられている。
トナーの帯電特性を所定のものとするために、帯電制御剤を添加することが行われている。また、トナー表面の凹凸によって摩擦帯電するとき逆帯電トナーが生じ易いという問題点を改善するために、トナーを球形化処理してトナーの表面形状の不良による帯電不良等を防止することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところが、トナーの球形化処理工程は、熱風等によって流動状態のトナーを加熱して表面を軟化させて行われているので、このような処理工程において、トナーの表面付近に存在する帯電制御剤は、高温に曝されることとなり、熱によって昇華したり、酸化分解して、トナー表面から失われたり、あるいは変質することによって、トナーの帯電特性が不均一なものとなり、かぶりや逆帯電といった転写不良の原因ともなっていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−181733号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、熱的な整形処理工程において高温度に曝されても帯電特性に変化を生じず、かぶりや逆帯電トナーが生じることが少ないトナーを提供することを課題とするものであり、特に、感光体上に形成した静電潜像を現像化したトナー像を中間転写媒体に転写した後に、中間転写媒体から記録媒体へ転写するカラー画像形成装置に使用するトナーを提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、感光体上に形成した静電潜像を現像したトナー像を、記録媒体上に転写した後に定着する画像形成装置に用いるトナーにおいて、結着樹脂、着色剤を含有するとともに、無機質多孔体に担持された帯電制御剤を含有した、熱的な整形処理が施されたトナーによって解決することができる。
このように、本発明のトナーは、帯電制御剤として無機質多孔体に担持されたものを使用したので、帯電制御剤は無機質多孔体に安定に保持されるいる。したがって、トナー表面に対して熱的な整形処理を施した場合にも、帯電制御剤として使用されるイオン性物質、中性物質が熱によって昇華したり、酸化分解することによってトナー表面から失われる量を減少させることが可能となり、帯電特性が優れた表面の熱的な整形処理を施したトナーを得ることができる。
【0009】
また、感光体上に形成した静電潜像を現像したトナー像を、中間転写媒体に転写した後、中間転写媒体上のトナー像を記録媒体上に転写した後に定着する画像形成装置に用いるものである前記のトナーである。
このように、中間転写媒体を用いた場合には、感光体上に形成した静電潜像を記録媒体上に転写する場合に比べて、二度の転写が必要となるためにトナーの帯電特性が形成される画像により大きく影響を及ぼすので、熱的な整形処理によって表面形状をより球形に近いものとして帯電特性を向上させる表面処理が欠かせないが、従来の帯電制御剤では、帯電性能の調整機能の低下が避けられなかったが、本発明の帯電制御剤を用いたトナーでは、帯電性能の劣化が生じることがなく、良好な画像を得ることができる。
【0010】
また、熱的な整形処理が衝突による処理、熱風球形化処理の少なくともいずれかの処理である前記のトナーである。
また、動的粘弾性測定によって求めた緩和時間t=0.01sにおける緩和弾性率G(t=0.01s)と、トナー粒子が熱風処理工程のおいて熱風中において加熱される熱風加熱時間htに相当する緩和時間t=htにおける緩和弾性率G(t=ht)との比G(t)=G(t=0.01s)/G(t=ht)が10以下である前記のトナーである。
このように、結着樹脂の緩和弾性率の変化量が小さいので、熱的な整形処理、特に熱風による表面処理によって加熱した場合には、内部の凝集力が大きく真球により近い状態となり、球形化が進行する。
【0011】
また、イソシアネート基を2個以上含有する化合物と、活性水素をもつ官能基を2個以上含有する活性水素化合物との重合によって得られる、ウレタン結合あるいはウレア結合を主鎖に有するポリマーを結着樹脂として含有する前記のトナーである。
また、このようにして得られるウレタン系のポリマーからなるトナーは、内部の凝集力が大きなものとなる。
【0012】
また、無機質多孔体が、シリカゲル、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、カオリナイト、蛇紋石、タルク、パイロフィライト、長石、ゼオライト、ケイ灰石、ケイ線石から選ばれる少なくとも一種である前記のトナーである。
これらの無機質多孔体を担持体として使用したので、無機質多孔体に保護されて帯電制御物質は熱処理時に変質することが防止できる。
【0013】
また、感光体上に形成した静電潜像を現像したトナー像を、記録媒体上に転写した後に定着する画像形成装置に用いるトナーの製造方法において、結着樹脂、着色剤、および無機質多孔体に担持された帯電制御剤を含有するトナー粒子を形成した後に、トナー粒子に対して熱的な整形処理を施すトナーの製造方法である。
また、熱的な整形処理が衝突による処理、熱風球形化処理の少なくともいずれかの処理によって行う前記のトナーの製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、感光体の静電潜像を現像したトナー像を中間転写媒体を介して、記録媒体に転写してカラー画像を形成する画像形成装置に用いるトナーとして、無機質多孔体に電荷制御物質を担持させたものを電荷制御剤として使用したので、トナーの熱風球形化処理のように熱的な整形処理を行った場合でも、電荷制御剤が安定に存在するので、かぶりトナーや逆帯電トナーが生じることは少なく、特性の優れたカラー画像を形成することができる。
【0015】
すなわち、帯電制御剤の担体として使用する無機質多孔体であるシリケート、シリカ等は、結着樹脂への分散と電荷の付与効果を有するが、これらの表面に形成された細孔には帯電制御物質が存在して帯電制御の作用を果たす。そして、無機質多孔体の細孔内部に帯電制御用の物質が存在しているので、無機質多孔体に吸着、あるいは保護されて、昇華、分解等が抑制される。
【0016】
したがって、トナーを二軸押出混練機等によって密閉された系内において混練して粉砕した後に、作製したトナー粒子に対して熱風処理や機械処理等の球形化処理を施しても、トナーの帯電特性に大きく影響するトナー粒子の表面に存在してトナーの帯電特性に大きく影響する帯電制御剤が安定に均一に存在することで、かぶりの低減、逆転写トナーの減少等の作用効果が得られるものと考えられる。
【0017】
本発明のトナーが含有する帯電制御剤は、無機質多孔体中に帯電制御物質を含有していることを特徴としている。
無機質多孔体としては、シリカゲル、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、カオリナイト、蛇紋石、タルク、パイロフィライト、長石、ゼオライト、ケイ灰石、ケイ線石を挙げることができ、これらの少なくとも一種を用いることができる。
また、無機質多孔体は、個数平均粒径が5μm〜100μmであることが好ましく、30μm〜70μmであることがより好ましい。
100μmよりも大きい場合にはトナー母粒子の作製時に、表面に凹凸を生じ易いので好ましくなく、また5μmよりも小さい場合には細孔形成が不完全で孔内に帯電制御剤が担持できないので好ましくない。
また、細孔径は0.5nm〜10nmであることが好ましく、0.5nmよりも小さい場合には帯電制御剤の孔内への担持が困難となり、10nmよりも大きい場合には帯電制御剤が脱落しやすくなる。
【0018】
本発明に使用する帯電制御剤は、これらの無機質多孔体を所定の濃度の帯電制御物質を含有した溶液で処理して、無機質多孔体に担持させて製造することができる。また、電荷制御物質としては、オイルブラック、オイルブラックBY、ボントロンS−22およびS−34(オリエント化学工業製)、サリチル酸金属錯体E−81、E−84(オリエント化学工業製)、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH(保土ヶ谷化学工業製)、カリックスアレン系化合物、有機ホウ素化合物、含フッ素4級アンモニウム塩系化合物、モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシルカルボン酸系金属錯体、芳香族ジカルボン酸系金属錯体、多糖類等が挙げられる。
【0019】
本発明の帯電制御剤を有するトナーの製造に使用するトナー母粒子としては、粉砕法および重合法により得られるトナー母粒子のいずれでも良いが、フルカラーの場合には重合法トナーが好ましい。
【0020】
粉砕法トナーとしては、樹脂バインダーに少なくとも顔料を含有し、離型剤、帯電制御剤等を添加し、ヘンシェルミキサー等で均一複合した後、2軸押し出し機で溶融混練され、冷却後、粗粉砕−微粉砕工程を経て、分級処理され、さらに、外添粒子が付着されてトナー粒子とされる。
【0021】
バインダー樹脂としてはトナー用樹脂として使用されている合成樹脂が使用可能であり、例えばポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂等が単独又は複合して使用できる。
【0022】
特に本発明においては、ウレタン樹脂を結着樹脂としたものが好ましく、なかでもイソシアネート基を2個以上含有する化合物と、活性水素官能基を2個以上含有する活性水素化合物との重合によって得られる、ウレタン結合あるいはウレア結合を主鎖に有するポリマーを結着樹脂として含有するものが好ましい。
【0023】
このような化学構造を有するウレタン樹脂を用いたトナー粒子は、熱風球形化装置において熱風中に球形化処理を行うと、軟化した場合には内部の凝集力が大きいので、トナー表面がより真球に近い形状とすることができる。
以下に、本発明のトナーに好適なウレタン樹脂について説明する。
好適なウレタン樹脂は、水酸基とイソシアネート基が反応した結果生じるウレタン結合(−A−NHCOO−B−、式中Aはポリイソシアネート残基、Bは複数の活性水素基を有する化合物残基)、またはアミノ基とイソシアネート基とが反応した結果生じるウレア結合(−NHCONH−)を結合要素として含有する。
【0024】
本発明におけるポリイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート類であるエタンジイソシアネート、プロパンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、チオジエチルジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、βーメチルブタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ω,ω′−ジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、3−メトキシヘキサンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、3−ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4−ブチレングリコール−ジプロピルエーテル−ω,ω′−ジイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。
【0025】
また、環状基を有する脂肪族ジイソシアネートとしてはω,ω′−1,3−ジメチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω′−1,2−ジメチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω′−1,2−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω′−1,4−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω′−1,4−ジエチルベンゼンジイソシアネート、ω,ω′−1,4−ジメチルナフタリンジイソシアネート、ω,ω′−1,5−ジメチルナフタリンジイソシアネート、3,5−ジメルシクロヘキサン−1−メチルイソシアネート−2−プロピルイソシアネート、ω,ω′−n−プロピル−ビフェニルジイソシアネート等が挙げられる。
【0026】
芳香族ジイソシアネート類としては1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,5−ジイソシアネート、1−メチルベンゼン−3,5−ジイソシアネート、1,3−ジメチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1,3−ジメチルベンゼン−4,6−ジイソシアネート、1,4−ジメチルベンゼン−2,5−ジイソシアネート、1−エチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1−イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイソシアネート、ジイソプロピルベンゼンジイソシアネート等が挙げられる。
【0027】
ナフタリンジイソシアネート類としてはナフタリン−1,4−ジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシアネート、ナフタリン−2,6−ジイソシアネート、ナフタリン−2,7−ジイソシアネート、1,1′−ジナフチル−2,2′−ジイソシアネート等が挙げられる。
【0028】
ビフェニルジイソシアネート類としてはビフェニル−2,4′−ジイソシアネート、ビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2−ニトロビフェニル−4,4′−ジイソシアネート等が挙げられる。
【0029】
ジ−あるいはトリフェニルメタンジイソシアネート、およびジ−あるいはトリフェニルエタンジイソシアネートとしては、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,5,2′,5′−テトラメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジメトキシフェニル−3,3′−ジイソシアネート、4,4′−ジエトキシフェニルメタン−3,3′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチル−5,5′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3−ジクロロジフェニルジメチルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−3,3′−ジイソシアネート、α,β−ジフェニルエタン−2,4−ジイソシアネート、3−ニトロトリフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4−ニトロトリフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート等が挙げられる。
【0030】
トリイソシアネート類としては1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、ナフタリン−1,3,7−トリイソシアネート、ビフェニル−1,3,7−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4′−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4′−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、ジフェニル−4,4′−ジイソシアネートカルバミン酸クロリド等が例示される。
【0031】
本発明にあっては、特に、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(水素化MDI)、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート(XDI)、p−フェニレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水素化XDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)等の脂環式炭化水素や芳香族炭化水素を有するジイソシアネート類が好ましく、更にこれらのポリイソシアネート類の混合物を使用するのが好ましい。
また、複数の活性水素基を有する活性水素化合物としては、ポリオール類、またはポリアミン類等が例示される。
【0032】
ポリオール類としては、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(カプロラクトンポリオール)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)等が例示される。ポリオール類としては、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2〜6モル付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2〜4モル付加物が特に好ましく、これらポリオール類における水酸基価は、100〜350KOHmg/g、好ましくは200〜290KOHmg/gである。
【0033】
また、ポリアミン類としては、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン等のジアミン類が例示される。
【0034】
本発明のウレタン樹脂は、その数平均分子量(Mn)が1,500〜20,000と中程度であり、その性状は構成成分であるポリイソシアネート類や複数の活性水素基を有する活性水素化合物の化学構造に依存するところが大きく、上記のポリイソシアネート類にあっても数種類のポリイソシアネートの混合物を使用したり、また、複数の活性水素基を有する活性水素化合物にしても数種類の複数の活性水素基を有する活性水素化合物の混合物を使用すると良く、例えば、脂環式ポリイソシアネートと芳香族ポリイソシアネートとの混合物、また、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物とビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物との混合物等が好ましく例示される。
【0035】
ポリイソシアネート類と複数の活性水素基を有する活性水素化合物の配合割合は、ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基数に対する活性水素化合物における活性水素基数の割合(NCO/活性水素)が0.5〜1.0、好ましくは0.7〜1.0の範囲で反応させるとよい。
【0036】
ウレタン樹脂の製造にあたっては、複数の活性水素基を有する活性水素化合物中にポリイソシアネート類を、温度30℃〜180℃、好ましくは30℃〜140℃で、大気圧下、無溶剤下で一括または分割して投入し、数分から数時間、バルク重合させるとよい。
触媒としては、例えばジブチルスズジクロライド、ジメチルスズジクロライド、オクチル酸スズ、トリフェニルアンモニウムジクロライド等が例示される。
【0037】
本発明におけるウレタン樹脂の製造方法は、容器中でのバルク重合により製造してもよいが、溶液重合や重縮合反応等における溶剤の除去やまたは副生水の除去等の工程を不要とするので、反応に際して無溶剤とすることにより、効率よく連続生産を可能とできるものであり、重合反応をスクリューを内蔵する混練手段を用いて行なうことができる。その際、複数の活性水素基を有する活性水素化合物にポリイソシアネート類を連続して添加して混練することにより反応させるとよく、混練手段としては押出機が好ましく、特に二軸押出機が好ましい。
【0038】
本発明におけるウレタン樹脂は、ポリスチレンを基準としたときの数平均分子量(Mn)が1,500〜20,000、好ましくは2,000〜10,000、更に好ましくは3,000〜8,000のものである。
また、重量平均分子量(Mw)は3,000〜300,000、好ましくは5,000〜50,000、更に好ましくは8,000〜20,000であり、Mw/Mnが1.5〜20、好ましくは1.5〜10、更に好ましくは1.5〜5である。Mw/Mnが20を超えると軟化温度範囲が広くなり、混色時の色再現性及びOHP画像の透明性に劣るものとなる。
【0039】
本発明のウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)を1,500〜20,000の範囲に制御するには、ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基数に対する複数の活性水素基を有する活性水素化合物における活性水素基数の割合(NCO/活性水素)を小さくすれば低分子量化でき、また、等モル量に近づけると高分子量化できるので、適宜、ポリイソシアネートの反応モル数を制御することにより容易に制御できる。
【0040】
また、本発明のウレタン樹脂の物性に影響を与えない範囲で鎖伸長剤を適宜使用してもよい。鎖伸長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビス−(β−ヒドロキシ)ベンゼン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0041】
数平均分子量(Mn)が1,500より小さいと、低温定着性に優れるものの、着色剤の保持性や耐フィルミング性、耐オフセット性、定着像強度、保存性に劣るものであり、また、20,000より大きいと低温定着性に劣るものとなり、結着樹脂として単独では使用できないものとなる。
【0042】
本発明のウレタン樹脂は、フロー軟化点(Tm)として90℃〜140℃、好ましくは100℃〜130℃の範囲にあり、また、ガラス転移温度(Tg)は55℃〜90℃、好ましくは55℃〜80℃の範囲にあるものである。
【0043】
すなわち、本発明におけるウレタン樹脂は、分子間結合力が大きく、高結晶性ポリマーであるため、分子量を低下させTmを下げる分子設計をした時のTgの低下幅を小さくすることができるので、低Tmと高Tgを両立させることができる。
【0044】
本発明におけるウレタン樹脂は、そのウレタン結合あるいはウレア結合により、熱溶融時の凝集性に優れ、高温オフセット性に優れるものであり、また、50%流出点における溶融粘度が3×103 〜1.5×104 Pa・sとでき、オイルレス定着用トナーとして適したものとできると共に、現像機内での機械的ストレス、あるいは温度に対する耐性を有し、トナーに要求される耐久性及び保存性を確保でき、低温定着と保存性を両立させることができる。
【0045】
本発明のウレタン樹脂には、他のバインダー樹脂をウレタン樹脂の性状を損なわない範囲で添加してもよい。他のバインダー樹脂としては、ウレタン樹脂を製造する際に共存させてもよいが、製造後に混練してもよい。本発明のウレタン樹脂を製造する際に共存させる場合には、ポリイソシアネート類との反応性を有する活性水素を含有しない樹脂が好ましい。
【0046】
他のバインダー樹脂としては、例えばポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリクロロスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン樹脂でスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、シリコーン変成エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変成マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂等を単独又は混合して使用できる。
【0047】
また、トナー粒子の球形化処理工程において、熱風で軟化したトナー粒子の球形化には、トナー粒子の表面張力のみではなく、トナー粒子自身の内部凝集力の大小が大きく影響を与えることを見出した。このような凝集力は、動的粘弾性測定より求めた所定の緩和時間における緩和弾性率によって表現することができる。すなわち、動的粘弾性測定によって求めた緩和時間t=0.01sにおける緩和弾性率G(t=0.01s)と、トナー粒子が熱風処理工程のおいて熱風中において加熱される熱風加熱時間htに相当する緩和時間t=htにおける緩和弾性率G(t=ht)との比G(t)=G(t=0.01s)/G(t=ht)が10以下であるものの場合には熱風による球形化工程において、より真球に近いものを得ることができる。
また、緩和弾性率の比G(t)が2ないし7とすることがより好ましい。
【0048】
また、本発明のトナーの着色剤としては、トナー用着色剤が使用可能である。例えばカーボンブラック、ランプブラック、マグネタイト、チタンブラック、クロムイエロー、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、マラカイトグリーンレーキ、キノリンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・ブルー5:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の染料および顔料を単独あるいは複合して使用できる。
【0049】
離型剤としては、トナー用離型剤が使用可能である。例えばパラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等が挙げられる。なかでもポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエステル系ワックス、カルナバワックス、エステルワックス等を使用することが好ましい。
【0050】
粉砕法トナーにおける成分比としては、バインダー樹脂100重量部に対して、着色剤は0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部であり、また、離型剤は1〜10重量部、好ましくは2.5〜8重量部であり、また、帯電制御剤は0.1〜7重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
【0051】
また、重合法トナーとしては、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等により得られるトナーが挙げられる。懸濁重合法においては、重合性単量体、着色顔料、離型剤とを必要により更に、染料、重合開始剤、架橋剤、帯電制御剤、その他の添加剤を添加した複合物を溶解又は分散させた単量体組成物を、懸濁安定剤(水溶性高分子、難水溶性無機物質)を含む水相中に撹拌しながら添加して造粒し、重合させて所望の粒子サイズを有する着色重合トナー粒子を形成することができる。
【0052】
乳化重合法においては、単量体と離型剤を必要により更に重合開始剤、乳化剤(界面活性剤)などを水中に分散させて重合を行い、次いで凝集過程で着色剤、帯電制御剤と凝集剤(電解質)等を添加することによって所望の粒子サイズを有する着色トナー粒子を形成することができる。
重合法トナー作製に用いられる材料において、着色剤、離型剤、帯電制御剤、に関しては、上述した粉砕トナーと同様の材料が使用できる。
【0053】
重合性単量体としては、公知のビニル系モノマーが使用可能であり、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、無水マレイン酸、無水フタル酸、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、プロピレン酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルナフタレン等が挙げられる。なお、フッ素含有モノマーとしては例えば2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、フッ化ビニリデン、三フッ化エチレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロプロピレンなどはフッ素原子が負帯電制御に有効であるので使用が可能である。
【0054】
乳化剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル等がある。
【0055】
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4’−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル等がある。
【0056】
凝集剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸鉄等の電解質が挙げられる。
【0057】
重合法トナーの円形度の調節法としては、乳化重合法は2次粒子の凝集過程で温度と時間を制御することで、円形度を自由に変えることができ、その範囲は0.94〜1.00である。また、懸濁重合法では、真球のトナーが可能であるため、円形度は0.98〜1.00の範囲となる。また、円形度を調節するためにトナーのTg温度以上で加熱変形させることで、円形度を0.94〜0.98まで自由に調節することが可能となる。
【0058】
また、トナーの個数平均粒径は、9μm以下であることが好ましく、8μm〜4.5μmであることがより好ましい。9μmよりも大きなトナーでは、1200dpi以上の高解像度で潜像を形成しても、その解像度の再現性が小粒子径のトナーに比べて低下し、また4.5μm以下になると、トナーによる隠蔽性が低下するとともに、流動性を高めるために外添剤の使用量が増大し、その結果、定着性能が低下する傾向があるので好ましくない。
【0059】
シリカ粒子としては、ケイ素のハロゲン化物等から乾式で作製した粒子、およびケイ素化合物から液中で析出した湿式法によるもののいずれをも用いることができる。
シリカ粒子の一次粒子の平均粒子径は、7nm〜40nmとすることが好ましく、10nm〜30nmとすることがより好ましい。また、シリカ粒子の一次粒子の平均粒子径が7nmより小さいと、トナーの母粒子に埋没しやすくなり、また、負に帯電しやすくなる。そして、40nmを超えるとトナー母粒子の流動性付与効果が悪化し、トナーを均一に負に帯電させることが困難になる結果、逆帯電である正に帯電したトナー量が増加する傾向となる。
【0060】
本発明においては、シリカ粒子として、個数平均粒径分布が異なるシリカを混合して用いることが好ましく、粒径が大きな外添剤を含有することによって、トナー粒子中に外添剤が埋まってしまうことを防止し、小径のシリカ粒子によって好ましい流動性を得ることができる。
【0061】
具体的には、一方のシリカの個数平均一次粒子径が5nm〜20nmであることが好ましく、7〜16nmであることがより好ましい。また、他方のシリカの個数平均一次粒子径が30nm〜50nmであることが好ましく、30〜40nmである粒子を併用することがより好ましい。
なお、本発明における外添剤の粒径は、電子顕微鏡像によって観察して測定したものであり、個数平均粒子径を平均粒子径としている。
【0062】
本発明において外添剤として使用するシリカ粒子は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等で疎水化処理して使用することが好ましく、例えばジメチルジクロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル、オクチル−トリクロルシラン、デシル−トリクロルシラン、ノニル−トリクロルシラン、(4−iso −プロピルフェニル)−トリクロルシラン、(4−t −ブチルフェニル)−トリクロルシラン、ジペンチル−ジクロルシラン、ジヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシラン、ジドデシル−ジクロルシラン、(4−t −ブチルフェニル)−オクチル−ジクロルシラン、ジデセニル−ジクロルシラン、ジノネニル−ジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルペンチル−ジクロルシラン、トリヘキシル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、トリデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロルシラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−iso −プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン等が例示される。
【0063】
これらの配合量は、シリカ粒子100重量部に対し、1〜30重量部のこれらの水酸化物、酸化物で被覆したスラリーとし、引き続いてスラリー中の固形分に対し、アルコキシシランを3〜50重量部を被覆した後、アルカリで中和し、ろ過、洗浄、乾燥及び粉砕を行うことによって得ることができる。
本発明において、これらの外添剤は、トナー母粒子100重量部に対して0.05〜2重量部とすることが好ましい。
【0064】
0.05重量部よりも少ない場合には、流動性付与、および過帯電防止に効果がなく、逆に2重量部を超えると、負帯電の電荷量が低下すると同時に、逆極性である正帯電のトナー量が増加し、カブリや逆転写トナー量を増加する結果となる。
【0065】
また、本発明のトナーは、熱的な整形処理を行って球形化処理を行ったものであることを特徴としており、球形化処理によってトナーを真球により近いものとして帯電特性、転写特性等を向上させたものである。
熱的な整形処理は、衝突式の処理装置において、トナー粒子相互、およびトナー粒子と処理装置の壁面との衝突させて、表面の機械的な整形に加えて発生する熱によって行うことができる。また、熱風中を流動させる過程において、トナー粒子を軟化させて、表面張力等によって球形化する性質を利用して、球形化を行うことができる。
衝突式の処理装置としては、ハイブリダイザーNHS−1(奈良機械製作所製)、コスモスシステム(川崎重工業)、メカノヒュージョン(ホソカワミクロン)、メカノミル(岡田精工)などを挙げることができる。
【0066】
熱風による球形化処理は、例えば、熱風球形化装置(日本ニューマチック工業製サーフュージングシステムSFS−3型)を挙げることができ、処理対象のトナー粒子の特性に応じて、熱風温度、熱風流量を調整することによって、真球により近い形状とすることができる。
【0067】
特に、粉砕によってトナー粒子を製造した場合のように、表面に大きな凹凸を有するものの場合には、熱風球形化装置によって処理する前に、衝突粉砕による処理装置において、トナー粒子相互、およびトナー粒子と処理装置の壁面との衝突によって整形処理した後に、熱風球形化装置によって処理を行っても良い。
【0068】
図1は、本発明のトナーを用いた画像形成装置における接触現像方式の一例を示すものであるが、感光体1は直径24〜86mmで表面速度60〜300mm/sで回転する感光体ドラムで、コロナ帯電器2によりその表面が均一に負帯電された後、記録すべき情報に応じた露光3が行なわれることにより、静電潜像が形成される。
【0069】
現像器10は、一成分現像装置であり、有機感光体上に一成分非磁性トナーTを供給することで有機感光体における静電潜像を反転現像し、可視像化するものである。現像手段には、一成分非磁性トナーTが収納されており、図示のごとく反時計方向で回転するトナー供給ローラ7によりトナーを現像ローラ9に供給する。現像ローラ9は反時計方向に回転し、トナー供給ローラ7により搬送されたトナーTをその表面に保持した状態で有機感光体との接触部に搬送し、有機感光体1上の静電潜像を可視像化する。
【0070】
現像ローラ9は、例えば直径16〜24mmで、金属製管にめっきやブラスト処理したローラ、あるいは中心軸周面にブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等からなる体積抵抗値104〜108Ω・cm、硬度が40〜70°(アスカーA硬度)の導電性弾性体層が形成されたもので、この管の軸等を介して図示しない電源より現像バイアス電圧が印加される。また、現像ローラ9、トナー供給ローラ7、トナー規制ブレード8からなる現像器10は、図示しないばね等の付勢手段により有機感光体に押圧力19.6〜98.1N/m、好ましくは24.5〜68.6N/mで、ニップが幅1〜3mmとなるように圧接されるとよい。
【0071】
規制ブレード8としてはステンレス、リン青銅、ゴム板、金属薄板にゴムチップの貼り合わせたもの等が使用されるが、現像ローラに対して図示しないばね等の付勢手段により、あるいは弾性体としての反発力を利用して線圧245〜490mN/cmで押圧され、現像ローラ上のトナー層厚を2層以上とすると良い。接触現像方式にあっては、感光体の暗電位としては−500〜−700V、明電位としては−50〜−150V、図示していないが現像バイアス電圧としては−100〜−400Vとすると良く、現像ローラとトナー供給ローラとは同電位とすると良い。
接触現像方式にあっては、反時計方向に回転する現像ローラの周速を、時計方向に回転する有機感光体に対して1.2〜2.5、好ましくは1.5〜2.2の周速比とするとよく、これにより、小粒径のトナー粒子であっても、有機感光体との接触摩擦帯電を確実にできる。
【0072】
また、規制ブレード、現像ローラにおけるそれぞれの仕事関数と、トナーの仕事関数との関係に格別の制限はないが、好ましくは規制ブレード、現像ローラにおけるそれぞれの仕事関数をトナーの仕事関数より小さくして、規制ブレードと接触するトナーを負に接触帯電させておくことにより、より均一な負帯電トナーとできる。また、規制ブレード8に電圧を印加してブレードに接触するトナーへ電荷注入してトナー帯電量を制御してもよい。
【0073】
次に、本発明の画像形成装置における中間転写媒体について説明する。図1において、中間転写媒体4は、感光体1とバックアップローラ6との間に送られ、電圧が印加されることにより、感光体1上の可視像が中間転写媒体上に転写され、中間転写媒体上にトナー画像が形成される。感光体上に残留するトナーは、クリーニングブレード5により除去され、感光体上の静電荷は消去ランプにより消去され、感光体は再使用に供せられる。本発明の画像形成装置にあっては逆帯電トナーを抑制できるので、感光体上に残留するトナー量を少なくでき、クリーニングトナー容器を小さくできる。
【0074】
中間転写媒体を転写ドラムや転写ベルトとする場合には、その導電性層に一次転写電圧として+250〜+600Vの電圧が印加され、また、紙等の転写材への二次転写に際しては、二次転写電圧として+400〜+2800Vの電圧が印加されるとよい。
【0075】
中間転写媒体として、転写ベルトまたは転写ドラムを用いることができる。
転写ベルトとしては、合成樹脂製の基体からなるフィルムやシート上に転写層を設けるものであり、他方は弾性体の基層上に表層である転写層を設けるものである。また、転写ドラムとしては、感光体が剛性のあるドラム、例えばアルミニウム製のドラム上に有機感光層を設けた場合には、転写媒体としてはアルミニウム等の剛性のあるドラム基体上に弾性の表層である転写層を設けるものである。また、感光体の支持体がベルト状、あるいはゴム等の弾性支持体上に感光層を設けたいわゆる弾性感光体である場合には、転写媒体としてはアルミニウム等の剛性のあるドラム基体上に直接あるいは導電性中間層を介して転写層を設けるとよい。
【0076】
基体としては、導電性あるいは絶縁性基体が使用可能である。転写ベルトの場合には、体積抵抗104 〜1012Ω・cm、好ましくは106 〜1011Ω・cmの範囲が好ましい。
【0077】
フィルムおよびシートに適する材質と作製方法としては、変性ポリイミド、熱硬化ポリイミド、ポリカーボネート、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロイ等のエンジニアリングプラスチックに導電性カーボンブラック、導電性酸化チタン、導電性酸化スズ、導電性シリカ等の導電材料を分散した厚さ50〜500μmの半導電性フィルム基体を押し出し、あるいは成形でシームレス基体とし、その外側にさらに表面エネルギーを下げ、トナーのフィルミングを防止する表面保護層として厚さ5〜50μmのフッ素樹脂被覆を行ったシームレスベルトである。
【0078】
表面保護層の形成方法としては、浸漬コーティング法、リングコーティング法、スプレーコーティング法等を用いることができる。なお、転写ベルトの両端部には転写ベルトの端部での亀裂や伸び、および蛇行防止のために、膜厚80μmのポリエチレンテレフタレートフイルム等のテープやウレタンゴム等のリブを貼り付けて使用する。
【0079】
フィルムまたはシートで基体を作製する場合には、ベルト状とするために端面を超音波溶着を行うことで、ベルトを作製することができ、具体的にはシート、またはフィルム上に導電性層並びに表面層を設けてから、超音波溶着を行うことにより所望の物性を有する転写ベルトを作製することができる。より具体的には基体に厚さ60〜150μmのポリエチレンテレフタレートを絶縁性基体として用いた場合には、その表面にアルミニウム等を蒸着し、あるいはさらにカーボンブラック等の導電材料と樹脂からなる中間導電性層を塗工し、その上にそれより高い表面抵抗を有するウレタン樹脂、フッ素樹脂、導電性材料からなる半導電性表面層を設けて転写ベルトとすることができる。塗工後の乾燥時に熱をさほど必要としない抵抗層を設けることができる場合には、先にアルミニウム蒸着フィルムを超音波溶着させてから上記の抵抗層を設け、転写ベルトを作製することも可能である。
【0080】
ゴム等の弾性基体に適する材質と作製方法としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム等に上記の導電材料を分散した厚さ0.8〜2.0mmの半導電性ゴムベルトを押出し成形で作製後、表面をサンドペーパーやポリシャー等の研磨材により所望の表面粗さに制御する。このときの弾性層をこのままで使用してもよいが、さらに上記と同じようにして表面保護層を設けることができる。
【0081】
転写ドラムの場合には、体積抵抗104 〜1012Ω・cm、好ましくは107 〜1011Ω・cmの範囲が好ましい。転写ドラムはアルミニウム等の金属円筒上に必要により弾性体の導電性中間層を設けて導電性弾性基体とし、さらにその上に表面エネルギーを下げ、トナーのフィルミングを防止する表面保護層として半導電性の厚さ5〜50μmの、例えばフッ素樹脂被覆を形成して作製することができる。
【0082】
導電性弾性基体としては、例えばシリコンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料に、カーボンブラック、導電性酸化チタン、導電性酸化スズ、導電性シリカ等の導電材料を配合、混練、分散した導電性ゴム素材を、直径が90〜180mmのアルミニウム円筒に密着成形して、研磨後の厚さが0.8〜6mmで、体積抵抗が104 〜1010Ω・cmとするとよい。次いでウレタン樹脂、フッ素樹脂、導電材料、フッ素系樹脂微粒子からなる半導電性の表面層を膜厚約15〜40μm設けて、所望の体積抵抗107 〜1011Ω・cmを有する転写ドラムとすることができる。このときの表面粗さは1μm(Ra)以下が好ましい。また、別の例としては上記のように作製した導電性弾性基体の上にフッ素樹脂等の半導電性のチューブを被せて、加熱により収縮させて所望の表面層と電気抵抗を有する転写ドラムを作製することも可能である。
【0083】
次に、図2は、本発明のトナーを使用した画像形成装置における非接触現像方式の一例を示すものである。この方式にあっては、現像ローラ9と感光体1とを現像ギャップdを介して対向させるものである。現像ギャップとしては100〜350μmとすると良く、また、図示しないが直流電圧の現像バイアスとしては−200〜−500Vであり、これに重畳する交流電圧としては1.5〜3.5kHz、P−P電圧1000〜1800Vの条件とすると良い。また、非接触現像方式にあって、反時計方向に回転する現像ローラの周速としては、時計方向に回転する有機感光体に対して1.0〜2.5、好ましくは1.2〜2.2の周速比とするとよい。
【0084】
現像ローラ9は図示のごとく反時計方向に回転し、トナー供給ローラ7により搬送されたトナーTをその表面に吸着した状態で有機感光体との対向部にトナーTを搬送するが、有機感光体と現像ローラとの対向部において、交流電圧を重畳して印加することにより、トナーTは現像ローラ表面と有機感光体表面との間で振動することにより現像される。本発明にあっては、交流電圧の印加により現像ローラ表面と有機感光体表面との間でトナーTが振動する間にトナー粒子と感光体とを接触させることができるので、小粒径の正帯電トナーを負に帯電させることができ、カブリを減少させることができるものと考えられる。
【0085】
また、中間転写媒体は、可視像化された感光体1とバックアップローラ6との間に送られるが、バックアップローラ6による感光体1への押圧力を、接触現像方式に比して3割程度高くして24.5〜58.8mN/m、好ましくは34.3〜49N/mとすると良い。
これにより、トナー粒子と感光体との接触を確実なものとすることができ、トナー粒子をより負帯電化して転写効率を向上できる。
【0086】
なお、非接触現像方式における上記以外の事項は、上述した接触現像方式と同様である。
図1、図2で示す現像プロセスをイエローY、シアンC、マゼンタM、ブラックKからなる4色のトナー(現像剤)による現像器と感光体を組み合わせればフルカラー画像を形成することのできる装置となる。
【0087】
【実施例】
以下に、実施例、比較例を示し本発明を説明する。
(帯電制御剤1の調製)
ゼオライト(体積平均径60μm、BET法による比表面積130m2/g)100gをトルエン500ml中で分散した後に、帯電制御物質1(クラリアント製 多糖類系帯電制御物質NCA)50gを添加して、50℃で2時間撹拌して懸濁液を調製した。得られた懸濁液から固形分を濾別、乾燥したのち常圧で120℃3時間放置した後、ミルで解砕し、体積平均径80μmの粉末を得た。
【0088】
(帯電制御剤2の調製)
シリカゲル(体積平均径60μm、BET法による比表面積300m2/g)100gをトルエン中で分散させた後、電荷制御剤として、帯電制御物質2(オリエント化学工業製 ジ−t−ブチルサリチル酸クロム:商品名ボントロンE−81)50gを添加して、50℃で2時間撹拌して懸濁液を調製した。得られた懸濁液から固形分を濾別、乾燥したのち常圧で120℃3時間放置した後、ミルで解砕し、100μmの粉末を得た。
【0089】
(帯電制御剤3の調製)
アルカリベントナイト(体積平均径40μm、BET法による比表面積210m2/g)100gを水中で分散させた後、硫酸でpHを中性に調整した後、帯電制御物質2(オリエント化学工業製 ジ−t−ブチルサリチル酸亜鉛(ボントロンE−84)50gを添加して、60℃で2時間攪拌した。その後、この懸濁液から固形分を濾別、純水により洗浄、乾燥をしたのち減圧下で60℃3時間放置した後、ミルで解砕し50μmの粉末を得た。
【0090】
(トナー樹脂1の調製)
ポリオール(PO1):ポリオキシエチレンビスフェノール−A−エーテル(日本油脂製 ユニオールDA−400 OH基価273KOHmg/g)、ポリオール(PO2):ジメチロールブタン酸(日本化成製 DMBA 酸価375mgKOH/g、OH基価748mgKOH/g)とを、PO1:PO2=70:30(mol比)として、120℃にて加温溶解させ、ポリオール(PO3)を調製した。
このポリオール(PO3)171g、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートイソシアネート129g、および触媒としてジオクチル錫ジラウレートを120℃の加温下にて混合溶解した後に、200mm×300mmの皿に流し込み、これを空気浴中で、120℃で1時間保持した後、130℃で5時間保持して反応を完結させ、ポリウレタン樹脂1を得た。
【0091】
得られた、ポリウレタン樹脂1のガラス転移点は、セイコーインスツルメンツ社製 示差走査熱量測定装置(DSC−220C/EXTRA6000 PCステーション)を使用して測定した。ガラス転移点Tgは76℃であった。
【0092】
また、軟化点は、島津製作所製 定荷重押出型細管式レオメータ(フローテスタCFD−500D)を使用し、圧縮成型した円柱状試料に、圧力1.96MPa、ダイ穴1mm、ダイ長さ1mmで測定した。軟化点Tmは126℃であった。
【0093】
(トナー樹脂2の調製)
1,4−ブタンジオール、フマル酸、無水トリメリット酸を50:47:3(mol比)で配合した試料の100重量部にハイドロキノン5重量部を加え、窒素導入管、脱水管、撹拌機および熱電対を装着した5リットル四つ口フラスコで160℃で5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させた。更に,8.1kPaの圧力で1時間反応させ、結晶性ポリエステルを得た。
【0094】
(トナー樹脂3の調製)
ポリオキシプロピレンビスフェノール−A−エーテル、テレフタル酸、フマル酸を75:50:15(mol比)で配合した試料の100重量部に酸化ジブチルスズ4重量部を加え、窒素導入管、脱水管、撹拌機および熱電対を装着した5リットル四つ口フラスコで220℃で8時間反応させた後、8.1kPaの圧力で軟化点100℃となるまで反応させ、非晶性ポリエステルを得た。
【0095】
(トナー1の調製)
先に調製したポリウレタン樹脂1の100重量部、顔料(大日精化工業製 ECR−101 )5重量部、離型剤(日本ワックス製 精製カルナバワックス type#1)1重量部、先に調製した帯電制御剤1の3重量部をヘンシェルミキサーを用い、均一混合した後、二軸押し出し機で混練し、冷却した。冷却物をジェットミルで粉砕し、気流式分級機で分級を行い、平均粒径8μmのトナー母粒子1を得た。
なお、平均粒径は、電気抵抗法粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製マルチサイザーIIIで測定した体積分布D50で示した。
【0096】
得られたトナー母粒子1を熱風球形化装置(日本ニューマチック工業製サーフュージングシステムSFS−3型)を用いて、入り口の熱風温度300℃、熱風流量1.0m3 、原料投入速度1.0kg/hで、熱風処理時間を0.03sとして球形化処理を行った。
球形化処理したのち、100重量部に対して、疎水性シリカ粒子(日本アエロジル社製RX200、粒径12nm)を0.5重量部添加し、ヘンシェルミキサーにて混合撹拌して、マゼンタ色のトナー1を得た。
【0097】
(トナー2の調製)
トナーの調製例1における帯電制御剤1を帯電制御剤2に変えた点を除いてトナー調整例1と同様にトナー2を調製した。
【0098】
(トナー3の調製)
トナーの調製例1における帯電制御剤1を帯電制御剤3に変えた点を除いてトナー調整例1と同様にトナー3を調製した。
【0099】
(トナー4の調製)
トナーの調製例1におけるトナー樹脂1の100重量部に代えて、トナー樹脂2の50重量部、とトナー樹脂3の50重量部を用いた点を除き、トナー調整例1と同様にトナー4を調製した。
【0100】
(比較トナーの調製)
トナー1ないし4の調製例において、帯電制御剤1ないし3に代えて、帯電制御剤の調製例で述べた無機微粒子との吸着処理を行わずに、それぞれの帯電制御剤の製造に用いた各帯電制御物質1重量部と各無機微粒子2重量部とを混合した点を除いて、トナーの調製例1ないし4と同様にして、比較トナー1ないし4を調製した。
【0101】
(かぶりの評価)
画像形成装置として、カラーレーザープリンタ(セイコーエプソン製 LP−3000C)の現像機に、かぶりの評価をするトナーを充填し、全面白(べた白)で印刷し、印刷中にプリンタの動作を停止させて感光体を取り出し、感光体と転写媒体の接する点、すなわち転写ニップと現像ローラと感光体とが近接する点、すなわち現像ニップの領域に、粘着テープ(住友スリーエム製スコッチメンディングテープ)を貼り付け、かぶりトナーを付着させ、これを上質紙に貼り付けた。 かぶり測定用の粘着テープとともに、粘着テープのみを直接に上質紙に貼り付け、両者の色彩を色彩色差計(ミノルタ製 CR−221)で測定し、その結果を表1に示す。なお、表1において比較トナーは、比1ないし比4と記載した。
【0102】
(転写性の評価)
かぶりの評価と同様に、感光体上のトナーの付着量が0.4mg/cm2 となるべた画像を形成した。この画像が、感光体から転写媒体に転写された後にプリンタを停止し、感光体を取り出す。転写ニップの下流にメンディングテープを貼り付け、転写残りトナーを付着させ、これをJ紙に貼り付ける。このテープと基準値との色差を測定する。色差が小さいほど転写性が良いことを意味する。
【0103】
(応力緩和測定方法)
粘弾性測定装置(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製 ARES)によって以下の条件で応力緩和測定モードにより動的粘弾性測定によって求めた緩和時間t=0.01sにおける緩和弾性率G(t=0.01s)と、緩和時間t=0.03sにおける緩和弾性率G(t=0.03s)との比であるG(t)=G(t=0.01s)/G(t=0.03s)を以下の条件によって測定し、表1に示した。
測定条件
測定温度:150℃
歪印加量:温度一定、ひずみ依存モードで、測定試料に徐々に大きな歪み(周波数1rad/sec,歪0.1〜200% )を与え、与えた歪みに対し貯蔵弾性率及び損失弾性率が線形領域における最大歪みを、測定歪みとした。
ジオメトリー:パラレルプレート(25mm径)
測定試料:トナー1gをパラレルプレートにはさみ、加熱溶融させ高さ1.4mmに調製
【0104】
【表1】
【0105】
【発明の効果】
本発明のトナーは、帯電制御剤として無機質多孔体を担持体として、細孔中に帯電制御物質を含有したものを用いているので、トナー粒子に熱的な整形処理を加えた場合にも、帯電制御剤は無機質多孔体中に保持されているので安定に存在している。その結果、中間転写媒体を有するカラー画像形成装置に用いた場合にも帯電特性が安定しているので、逆帯電トナーの発生等がなく、かぶり等の発生がなく、品質の優れた画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のトナーを用いた画像形成装置における接触現像方式の一例を説明する図である。
【図2】図2は、本発明のトナーを使用した画像形成装置における非接触現像方式の一例を示すものである。
【符号の説明】
1…感光体、2…コロナ帯電器、3…露光、4…中間転写媒体、5…クリーニングブレード、6…バックアップ、7…トナー供給ローラ、8…規制ブレード、9…現像ローラ、10…現像器
Claims (7)
- 感光体上に形成した静電潜像を現像したトナー像を、記録媒体上に転写した後に定着する画像形成装置に用いるトナーにおいて、結着樹脂、着色剤を含有するとともに、無機質多孔体に担持された帯電制御剤を含有した、熱的な整形処理が施されたことを特徴とするトナー。
- 感光体上に形成した静電潜像を現像したトナー像を、中間転写媒体に転写した後、中間転写媒体上のトナー像を記録媒体上に転写した後に定着する画像形成装置に用いるものであることを特徴とする請求項1記載のトナー。
- 熱的な整形処理が衝突による処理、熱風球形化処理の少なくともいずれかの処理であることを特徴とする請求項1または2項のいずれか1項に記載のトナー。
- トナー粒子の動的粘弾性測定によって求めた緩和時間t=0.01sにおける緩和弾性率G(t=0.01s)と、トナー粒子が熱風処理工程において熱風中において加熱される熱風加熱時間(ht)に相当する緩和時間t=htにおける緩和弾性率G(t=ht)との比G(t)=G(t=0.01s)/G(t=ht)が10以下であることを特徴とする請求項1ないし3項のいずれか1項に記載のトナー。
- イソシアネート基を2個以上含有する化合物と、活性水素をもつ官能基を2個以上含有する活性水素化合物との重合によって得られる、ウレタン結合あるいはウレア結合を主鎖に有するポリマーを結着樹脂として含有することを特徴とする請求項1ないし4項のいずれか1項に記載のトナー。
- 感光体上に形成した静電潜像を現像したトナー像を、記録媒体上に転写した後に定着する画像形成装置に用いるトナーの製造方法において、結着樹脂、着色剤、および無機質多孔体に担持された帯電制御剤を含有するトナー粒子を形成した後に、トナー粒子に対して熱的な整形処理を施すことを特徴とするトナーの製造方法。
- 熱的な整形処理が衝突による処理、熱風球形化処理の少なくともいずれかの処理によって行うことを特徴とする請求項6記載のトナーの製造方法。
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