JP2004157232A - 熱現像写真感光材料及びその包装方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像写真感光材料及びその包装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から広範囲に用いられているハロゲン化銀感光材料は、その優れた写真特性により、より広範囲かつ高品質な素材として画像形成分野に利用されているが、画像を形成するために現像、定着、水洗、乾燥というプロセスが必要であり、しかも処理工程が湿式であるため、作業が煩雑であるという欠点があった。その為、現像工程を熱処理で行う熱現像写真感光材料が開発、実用化され、近年、印刷業界或いは医用業界を中心に急速に普及してきている。
【0003】
かかる技術として、支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及び還元剤を有する熱現像写真感光材料が知られている。この熱現像写真感光材料は溶液系処理薬品を一切使用しないため、より簡便なシステムをユーザーに提供することができる。
【0004】
特に印刷製版分野において、画像形成感光材料の湿式処理に伴う廃液が、作業上の問題になっており、近年では環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減量が強く望まれている。
【0005】
そのため熱現像写真感光材料(感光材料ともいう)が提案されているが、熱現像写真感光材料においては極端に湿度の影響を受けやすく写真性能を著しく劣化させる。湿度の影響を軽減させるにはリーダーを厚くする方法があるが、厚くしすぎるとプレッシャーカブリが発生する。
【0006】
感光材料の包装形態としては感光材料の遮光と保存性を考慮してカーボンブラックを含むポリエチレンや、複合材料で、ロール状感光材料を覆う方法が用いられてきたが、感光材料の保存性の面では完全ではなかった。
【0007】
さらにこれらの包装形態では感光材料を露光機あるいはフィルムマガジンにセットする場合、暗室下で作業しなければならず、作業性、暗室の設置スペースなどの面からも検討が加えられていた。
【0008】
その結果、明室化でフィルムマガジンに装填できるような包装形態について各種の方法が試みられ、遮光性およびフィルムの保護性能についても検討(例えば、特許文献1参照)がなされてきた。
【0009】
一方、熱現像写真感光材料は、水分の影響で硬調化剤や染料が分解しカブリや黒ポツの発生原因となる。また感光材料中の含水量が増えることによっても現像が活性になりカブリや黒ポツの原因となる。しかし、包装された感光材料の経時等の保存性に関する検討はなされておらずその改良が望まれていた。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−13632号公報 (特許請求の範囲)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、包装された熱現像写真感光材料を保存した際、カブリの上昇がなく、黒ポツの発生が少ない熱現像写真感光材料及びその包装方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0013】
1.支持体上の一方の側に有機銀粒子、ハロゲン化銀粒子を含有する感光性層を有し、かつ、造核剤、還元剤を含有する熱現像写真感光材料において、支持体に対して該感光性層とは反対側に前記一般式(1)で表される平均分子量1,000〜2,500,000の化合物と前記一般式(2)で表される化合物を含有する層を有することを特徴とする熱現像写真感光材料。
【0014】
2.支持体上に有機銀粒子、ハロゲン化銀粒子、造核剤、還元剤を含有する感光性層を有する熱現像写真感光材料において、支持体に対して該感光性層とは反対側に前記一般式(3)で表される化合物を含有する層を有することを特徴とする前記1記載の熱現像写真感光材料。
【0015】
3.前記1又は2記載の熱現像写真感光材料をロール状形態に包装する際のボール芯の透湿度が1g/m2以下であることを特徴とする熱現像写真感光材料の包装方法。
【0016】
4.前記1又は2記載の熱現像写真感光材料をロール状形態に包装する際のボール芯中にアルミ箔を含有することを特徴とする熱現像写真感光材料の包装方法。
【0017】
5.前記1又は2記載の熱現像写真感光材料をロール状形態に包装する際の遮光シートの透湿度が1g/m2以下であることを特徴とする熱現像写真感光材料の包装方法。
【0018】
6.前記1又は2記載の熱現像写真感光材料をロ−ル状形態に包装する際の遮光シート中にアルミ箔を含有することを特徴とする熱現像写真感光材料の包装方法。
【0019】
本発明を更に詳しく説明する。本発明の一般式(1)で表される化合物は、平均分子量1,000〜2,500,000の化合物であり、市販品として、例えば日本触媒(株)社製、エポミン等、容易に入手できる。
【0020】
本発明の一般式(2)で表される化合物は、ポリヒドロキシ−スピロ−ビス−インダン化合物であるが、具体的には、3,3,3′,3′−テトラメチル−5,6,5′,6′−テトラヒドロシキ−1,1′−スピロ−ビス−インダン、3,3,3′,3′−テトラメチル−4,6,7,4′,6′,7′−ヘキサヒドロキシ−1,1′−スピロ−ビス−インダン等を挙げることができる。インダンはヒドロインデンの名でも知られている。
【0021】
一般式(3)において、Z1、Z2で表されるシアニン色素を完成するために必要な複素環を形成する非金属原子の好ましいものとしては、ベンゾチアゾール環または3,3−ジアルキルインダレニン環を形成するために必要な非金属原子を挙げることができる。
【0022】
一般式(3)において、R1、R2はそれぞれ独立に、炭素数5以下の置換されてもよいアルキル基が好ましく、R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子、又は、炭素数4以下の置換されてもよいアルキル基が好ましく、R5、R6、R7、R8は水素原子が好ましい。
【0023】
本発明の一般式(3)で表される化合物としては、例えば、特開昭59−64841号に記載されている染料No.1〜46を挙げることができる。
【0024】
本発明の熱現像写真感光材料の感光性層に含有される有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特に長鎖(10〜30、好ましくは5〜25の炭素原子数)の脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環カルボン酸が好ましい。配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。好適な銀塩の例は、Research Disclosure(以下RD)第17029及び29963に記載されており、次のものがある:有機酸の塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の塩);銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩(例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等);アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀錯体(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドのようなアルデヒド類とサリチル酸、ベンジル酸3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジサリチル酸のようなヒドロキシ置換酸類);チオン類の銀塩又は錯体(例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン及び3−カルボキシメチル−4−メチル−4−チアゾリン−2−チオン);イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びベンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体又は塩;サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;メルカプチド類の銀塩等が挙げられる。好ましい銀源はベヘン酸銀、アラキジン酸銀又はステアリン酸銀である。
【0025】
有機銀塩は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号公報に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェットにより、前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
【0026】
本発明の熱現像写真感光材料の感光性層に含有されるハロゲン化銀粒子は光センサーとして機能するものである。本発明においては、画像形成後の白濁を低く抑えるため、及び良好な画質を得るために平均粒子サイズが小さい方が好ましく、平均粒子サイズが好ましくは0.03μm以下、より好ましくは0.01〜0.03μmの範囲である。尚、本発明の熱現像写真感光材料のハロゲン化銀粒子は前記有機銀塩調製時に同時に作製されるか、又は前記有機銀塩調製時に該ハロゲン化銀粒子を混在させて調製することにより、有機銀塩に融着した状態でハロゲン化銀粒子を形成させて微小粒子のいわゆるin situ銀とするのが好ましい。尚、上記ハロゲン化銀粒子の平均粒子径の測定方法は、電子顕微鏡により50000倍で撮影し、それぞれのハロゲン化銀粒子の長辺と短辺を実測し、100個の粒子を測定し、平均したものを平均粒径とする。
【0027】
ここで、上記粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。又、正常晶でない場合、例えば、球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。又ハロゲン化銀粒子は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下をいう。更に好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%となる粒子である。
【0028】
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
本発明において、ハロゲン化銀粒子は平均粒径0.01〜0.03μmで、かつ単分散粒子であることがより好ましく、この範囲にすることで画像の粒状性も向上する。
【0029】
ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はないが、ミラー指数〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数〔100〕面の比率は、増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29,165(1985)により求めることができる。
【0030】
又もう一つの好ましいハロゲン化銀粒子の形状は、平板粒子である。ここでいう平板粒子とは、投影面積の平方根を粒径rμmとして、垂直方向の厚みをhμmとした場合のアスペクト比=r/hが3以上のものをいう。その中でも好ましくは、アスペクト比が3以上、50以下である。又粒径は0.03μm以下であることが好ましく、更に0.01〜0.03μmが好ましい。これらの製法は米国特許第5,264,337号、同5,314,798号、同5,320,958号等の各明細書に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。本発明においてこれらの平板状粒子を用いた場合、更に画像の鮮鋭性も向上する。
【0031】
ハロゲン化銀粒子の組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀の何れであってもよい。本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides著Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。
【0032】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子には、照度不軌改良や階調調整のために、元素周期律表の6族から10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。
【0033】
ハロゲン化銀粒子は、ヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが、本発明においては脱塩してもしなくてもよい。
【0034】
本発明におけるハロゲン化銀粒子は、化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては、当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。
【0035】
本発明においては熱現像写真感光材料の失透を防ぐためには、ハロゲン化銀粒子及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2当たり0.3〜2.2gであり、0.5〜1.5gがより好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られる。又銀総量に対するハロゲン化銀の量は、質量比で50%以下、好ましくは25%以下、更に好ましくは0.1〜15%の間である。
【0036】
本発明におけるハロゲン化銀粒子は350〜450μmに光の極大吸収を有し、特に増感色素を有してなくてもよいが、必要に応じて含有させてもよい。
【0037】
本発明で用いることのできる造核剤としては、特開2000−298327号公報に記載の一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)で表されるビニール系化合物で、具体的には同公報21頁〜24頁に記載の化合物C−1〜C−64、及び特開平7−104426号公報に記載の一般式(H)及び一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44に記載されたヒドラジン化合物等を挙げることができる。
【0038】
本発明の熱現像写真感光材料に含有される好適な還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同第3,773,512号、同第3,593,863号等の各明細書及びRD第17029号及び同29963に記載されており、次のものが挙げられる。
【0039】
アミノヒドロキシシクロアルケノン化合物(例えば、2−ヒドロキシ−3−ピペリジノ−2−シクロヘキセノン);還元剤の前駆体としてアミノレダクトン類(reductones)エステル(例えば、ピペリジノヘキソースレダクトンモノアセテート);N−ヒドロキシ尿素誘導体(例えば、N−p−メチルフェニル−N−ヒドロキシ尿素);アルデヒド又はケトンのヒドラゾン類(例えば、アントラセンアルデヒドフェニルヒドラゾン);ホスファーアミドフェノール類;ホスファーアミドアニリン類;ポリヒドロキシベンゼン類(例えば、ヒドロキノン、t−ブチル−ヒドロキノン、イソプロピルヒドロキノン及び(2,5−ジヒドロキシ−フェニル)メチルスルホン);スルフヒドロキサム酸類(例えば、ベンゼンスルフヒドロキサム酸);スルホンアミドアニリン類(例えば、4−(N−メタンスルホンアミド)アニリン);2−テトラゾリルチオヒドロキノン類(例えば、2−メチル−5−(1−フェニル−5−テトラゾリルチオ)ヒドロキノン);テトラヒドロキノキサリン類(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン);アミドオキシム類;アジン類;脂肪族カルボン酸アリールヒドラザイド類とアスコルビン酸の組み合わせ;ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミンの組み合わせ;レダクトン及び/又はヒドラジン;ヒドロキサン酸類;アジン類とスルホンアミドフェノール類の組み合わせ;α−シアノフェニル酢酸誘導体;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体の組み合わせ;5−ピラゾロン類;スルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオン等;クロマン;1,4−ジヒドロピリジン類(例えば、2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン);ビスフェノール類(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチルフェノール))、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体;ヒンダードフェノール類;3−ピラゾリドン類。中でも特に好ましい還元剤は、ヒンダードフェノール類である。
【0040】
本発明の熱現像写真感光材料の感光性層、非感光性層にバインダーを用いる。用いられるバインダーは親水性バインダー(水に溶解するバインダー若しくはラテックス類)又は疎水性バインダー(有機溶剤に溶解するバインダー)の何れでもよいが、各層のバインダーが互いに同一の溶剤系に溶解するバインダーであるのが好ましく、例えば感光性層、中間層、保護層の各層のバインダーが何れも有機溶剤系バインダーであるか、又は親水性バインダーであるのが好ましい。
【0041】
各層に用いられるバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマーや合成モノポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体となるものが用いられる。上記バインダーの具体例としては、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、デンプン等の水溶性バインダー、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)等の疎水性バインダー、好ましくはポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等の疎水性バインダー、特にはポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル等の疎水性バインダー、及びそれらのバインダー樹脂のモノマーを乳化重合法又は懸濁重合法等により水中で重合して得られるラテックス等が挙げられる。
【0042】
疎水性バインダーを溶解するための主溶媒としては、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ等が好ましく用いられる。
【0043】
本発明の熱現像写真感光材料は、一般に熱現像写真感光材料に用いられるカブリ防止剤、色調剤、硬膜剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、被覆助剤、フィルター染料、マット剤、滑り剤、塗布助剤、界面活性剤等を用いても良い。
【0044】
本発明で用いられる支持体は、現像処理後に所定の光学濃度を得るため及び現像処理後の画像の変形を防ぐために、プラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ナイロン、セルローストリアセテート、ポリエチレンナフタレート)であることが好ましい。
【0045】
その中でも好ましい支持体としては、ポリエチレンテレフタレート及びシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を含むプラスチックの支持体が挙げられる。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
【0046】
又熱処理したプラスチック支持体を用いることもできる。採用するプラスチックとしては、前記のプラスチックが挙げられる。支持体の熱処理とはこれらの支持体を製膜後、ハロゲン化銀感光性層、非感光性層、又はその他の形成層が塗布されるまでの間に、支持体のガラス転移点より30℃以上高い温度で、好ましくは35℃以上高い温度で、更に好ましくは40℃以上高い温度で加熱することがよい。但し、支持体の融点を超えた温度に加熱することは支持体の強度の均一性を損い、好ましくない。
【0047】
本発明においては帯電性を改良するために金属酸化物又は導電性ポリマーなどの導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらはいずれの層に含有させてもよいが、好ましくは下引層、バッキング層、銀感光性層と下引の間の層などである。
【0048】
感光性層、非感光性層の塗布方式としては、リバースロール、グラビアロール、エアドクターコータ、ブレードコータ、エアナイフコータ、スクイズコータ、含浸コータ、ワイヤーバーコータ、トランスファロールコータ、キスコータ、キャストコータ或いはスプレーコータ、エクストルージョンコータがあるが、エクストルージョン方式のエクストルージョンコータによりウェット−オン−ウェット方式の重層塗布を行うのがより好ましい。
【0049】
尚、ウェット−オン−ウェット方式における重層塗布においては、下側の層が湿潤状態になったままで上側の層を塗布するので、上下層間の接着性が向上するとともに、塗布を一度で終了させるので塗布面に傷が入り難く、平滑性が良いため現像むらが出にくく、更に歩留まりを向上させることができる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するがこれにより本発明が限定されるものではない。
【0051】
実施例1
〈下引済みPET支持体1の作製〉
2軸延伸熱固定済みの厚さ125μmのPETフィルムの両面に下記の条件でプラズマ処理1を施し、次いで一方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設してから乾燥させて下引層A−1とし、又反対側の面に下記帯電防止加工した下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設してから乾燥させて導電層としての下引層B−1とした。次いで、それぞれの下引き層表面に下記の条件でプラズマ処理2を施した。
【0052】
《プラズマ処理条件》
バッチ式の大気圧プラズマ処理装置(イーシー化学(株)製、AP−I−H−340)を用いて、高周波出力が4.5kW、周波数が5kHz、処理時間が5秒及びガス条件としてアルゴン、窒素及び水素の体積比をそれぞれ90%、5%及び5%で、プラズマ処理1及びプラズマ処理2を行った。
【0053】
〈下引塗布液a−1〉
ブチルアクリレート(30質量%)
t−ブチルアクリレート(20質量%)
スチレン(25質量%)
2−ヒドロキシエチルアクリレート(25質量%)
の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
ポリスチレン微粒子(平均粒径3μm) 0.05g
コロイダルシリカ(平均粒径90μm) 0.1g
水で1リットルに仕上げる
〈支持体の熱処理〉
得られた下引済み支持体の下引乾燥工程にて、支持体を140℃で加熱し、その後徐々に冷却した。その際に1×105Paの張力で搬送した。
【0054】
〈バック層面側の塗布〉
以下の組成のバック層塗布液1とバック保護層塗布液1を、それぞれ塗布前に絶対濾過精度20μmのフィルターを用いて濾過した後、押し出しコーターで前記作製した支持体の帯電防止加工した下引層B−1面上に、合計ウェット膜厚が30μmになるよう、毎分120mの速度で同時重層塗布し、60℃で4分間乾燥を行った。
【0055】
【0056】
【化4】
【0057】
(ハロゲン化銀粒子の調製)
純水900ml中にゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(96/4)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムと(NH4)2RhCl5(H2O)を5×10−6モル/リットルを含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.06μm、投影直径面積の変動係数8%、{100}面比率86%の立方体沃臭化銀からなるハロゲン化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整した。
【0058】
(有機脂肪酸銀乳剤の調製)
水300ml中にベヘン酸10.6gを入れ90℃に加熱溶解し、十分攪拌した状態で1M/Lの水酸化ナトリウム31.1mlを添加し、そのままの状態で1時間放置した。その後30℃に冷却し、1M/Lのリン酸7.0mlを添加して十分攪拌した状態でN−ブロモこはく酸イミド0.01gを添加した。その後、あらかじめ調製したハロゲン化銀粒子をベヘン酸に対して銀量として10モル%となるように40℃に加温した状態で攪拌しながら添加した。さらに1M/L硝酸銀水溶液25mlを2分間かけて連続添加し、そのまま攪拌した状態で1時間放置した。
【0059】
この乳剤に酢酸エチルに溶解したポリビニルブチラールを添加して十分攪拌した後に静置し、ベヘン酸銀粒子とハロゲン化銀粒子を含有する酢酸エチル相と水相に分離した。水相を除去した後、遠心分離にてベヘン酸銀粒子とハロゲン化銀粒子を採取した。その後東ソー(株)社製合成ゼオライトA−3(球状)20gとイソプロピルアルコール22mlを添加し1時間放置した後濾過した。更にポリビニルブチラール3.4gとイソプロピルアルコール23mlを添加し35℃にて高速で十分攪拌して分散し有機脂肪酸銀乳剤の調製を終了した。
【0060】
(感光性層組成)
有機脂肪酸銀乳剤 1.4g(銀で)/m2
ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド 1.5×10−4mol/m2
臭化カルシウム 1.8×10−4mol/m2
2−(4−クロロベンゾイル)安息香酸 1.5×10−3mol/m2
赤外増感色素1 4.2×10−6mol/m2
2−メルカプトベンズイミダゾール 3.2×10−3mol/m2
2−トリブロモメチルスルホニルキノリン 6.0×10−4mol/m2
4−メチルフタル酸 1.6×10−3mol/m2
テトラクロロフタル酸 7.9×10−4mol/m2
1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−
トリメチルヘキサン 4.8×10−3mol/m2
染料A 3.0×10−5mol/m2
造核剤(C−1) 0.5×10−3mol/m2
溶媒には、メチルエチルケトン、アセトン、メタノールを適宜用いた。
【0061】
【化5】
【0062】
(表面保護層組成)
表面保護層塗布液を下記のように調製した。
【0063】
セルロースアセテートブチレート 4g/m2
フタラジン 3.2×10−3mol/m2
マット剤(粒径2μm) 100mg/m2
溶媒には、メチルエチルケトン、アセトン、メタノールを適宜用いた。
【0064】
以上のようにして、表1に示す試料No.11〜16を作製し、以下の評価を行い結果を表1に示す。
(露光)
製造した各熱現像写真感光材料に対して、ビーム径(ビーム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レーザー出力50mW、出力波長783nmの半導体レーザーを搭載した単チャンネル円筒内面方式のレーザー露光装置を使用して、ミラー回転数60000rpm、露光時間1.2×10−8秒の条件下で露光を実施した。このときのオーバーラップ係数は0.449にし、熱現像写真感光材料面上のレーザーエネルギー密度は75μJ/cm2とした。
【0065】
(熱現像処理)
熱現像処理は120℃17.2秒で行なった。
【0066】
(写真性能の評価)
熱現像写真感光材料を23℃、80%で12時間調湿した試料と、23℃、20%で12時間調湿した試料を作製し、同一環境下で50μmの線幅露光を行なって熱現像処理を行なった。
【0067】
それぞれの処理後の線幅の差を測定することにより、湿度依存性を評価した。線幅差が少ない程、湿度に対する依存性に優れている。
【0068】
またそれぞれの環境下でのDmin(カブリ)についても評価した。濃度測定はマクベスTD904濃度計で行なった。
【0069】
(黒ポツの評価)
未露光部を100倍ルーペで観察し、黒ポツの個数を数えた。5個以下は実用上問題ないレベルである。各熱現像写真感光材料の評価結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
表1から明らかなように、本発明の試料は、保存した際、湿度に対する依存性に優れ、カブリの上昇がなく、黒ポツの発生も少ない。
【0072】
実施例2
バック層の染料を染料Aの代わりに染料Bを使う以外は実施例1と同様に試料No.21〜26を作製し、実施例1と同様な評価を行った。
【0073】
【化6】
【0074】
【表2】
【0075】
表2から明らかなように、本発明の試料は、保存した際、湿度に対する依存性に優れ、カブリの上昇がなく、黒ポツの発生も少ない。
実施例3
実施例2で作製した試料No.21〜24を、それぞれ包装材料を表3で示すような包装形態で行い試料No.31〜34を作製し、実施例1と同様な評価を行った。包材の透湿度についてはJIS Z−0208に基づいて行った。
【0076】
【表3】
【0077】
表3から明らかなように、本発明の包装形態の試料は、保存した際、湿度に対する依存性に優れ、カブリの上昇がなく、黒ポツの発生も少ない。
【0078】
【発明の効果】
本発明により、包装された熱現像写真感光材料を保存した際、湿度に対する依存性に優れ、カブリの上昇がなく、黒ポツの発生が少ない熱現像写真感光材料及びその包装方法を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像写真感光材料及びその包装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から広範囲に用いられているハロゲン化銀感光材料は、その優れた写真特性により、より広範囲かつ高品質な素材として画像形成分野に利用されているが、画像を形成するために現像、定着、水洗、乾燥というプロセスが必要であり、しかも処理工程が湿式であるため、作業が煩雑であるという欠点があった。その為、現像工程を熱処理で行う熱現像写真感光材料が開発、実用化され、近年、印刷業界或いは医用業界を中心に急速に普及してきている。
【0003】
かかる技術として、支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及び還元剤を有する熱現像写真感光材料が知られている。この熱現像写真感光材料は溶液系処理薬品を一切使用しないため、より簡便なシステムをユーザーに提供することができる。
【0004】
特に印刷製版分野において、画像形成感光材料の湿式処理に伴う廃液が、作業上の問題になっており、近年では環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減量が強く望まれている。
【0005】
そのため熱現像写真感光材料(感光材料ともいう)が提案されているが、熱現像写真感光材料においては極端に湿度の影響を受けやすく写真性能を著しく劣化させる。湿度の影響を軽減させるにはリーダーを厚くする方法があるが、厚くしすぎるとプレッシャーカブリが発生する。
【0006】
感光材料の包装形態としては感光材料の遮光と保存性を考慮してカーボンブラックを含むポリエチレンや、複合材料で、ロール状感光材料を覆う方法が用いられてきたが、感光材料の保存性の面では完全ではなかった。
【0007】
さらにこれらの包装形態では感光材料を露光機あるいはフィルムマガジンにセットする場合、暗室下で作業しなければならず、作業性、暗室の設置スペースなどの面からも検討が加えられていた。
【0008】
その結果、明室化でフィルムマガジンに装填できるような包装形態について各種の方法が試みられ、遮光性およびフィルムの保護性能についても検討(例えば、特許文献1参照)がなされてきた。
【0009】
一方、熱現像写真感光材料は、水分の影響で硬調化剤や染料が分解しカブリや黒ポツの発生原因となる。また感光材料中の含水量が増えることによっても現像が活性になりカブリや黒ポツの原因となる。しかし、包装された感光材料の経時等の保存性に関する検討はなされておらずその改良が望まれていた。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−13632号公報 (特許請求の範囲)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、包装された熱現像写真感光材料を保存した際、カブリの上昇がなく、黒ポツの発生が少ない熱現像写真感光材料及びその包装方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0013】
1.支持体上の一方の側に有機銀粒子、ハロゲン化銀粒子を含有する感光性層を有し、かつ、造核剤、還元剤を含有する熱現像写真感光材料において、支持体に対して該感光性層とは反対側に前記一般式(1)で表される平均分子量1,000〜2,500,000の化合物と前記一般式(2)で表される化合物を含有する層を有することを特徴とする熱現像写真感光材料。
【0014】
2.支持体上に有機銀粒子、ハロゲン化銀粒子、造核剤、還元剤を含有する感光性層を有する熱現像写真感光材料において、支持体に対して該感光性層とは反対側に前記一般式(3)で表される化合物を含有する層を有することを特徴とする前記1記載の熱現像写真感光材料。
【0015】
3.前記1又は2記載の熱現像写真感光材料をロール状形態に包装する際のボール芯の透湿度が1g/m2以下であることを特徴とする熱現像写真感光材料の包装方法。
【0016】
4.前記1又は2記載の熱現像写真感光材料をロール状形態に包装する際のボール芯中にアルミ箔を含有することを特徴とする熱現像写真感光材料の包装方法。
【0017】
5.前記1又は2記載の熱現像写真感光材料をロール状形態に包装する際の遮光シートの透湿度が1g/m2以下であることを特徴とする熱現像写真感光材料の包装方法。
【0018】
6.前記1又は2記載の熱現像写真感光材料をロ−ル状形態に包装する際の遮光シート中にアルミ箔を含有することを特徴とする熱現像写真感光材料の包装方法。
【0019】
本発明を更に詳しく説明する。本発明の一般式(1)で表される化合物は、平均分子量1,000〜2,500,000の化合物であり、市販品として、例えば日本触媒(株)社製、エポミン等、容易に入手できる。
【0020】
本発明の一般式(2)で表される化合物は、ポリヒドロキシ−スピロ−ビス−インダン化合物であるが、具体的には、3,3,3′,3′−テトラメチル−5,6,5′,6′−テトラヒドロシキ−1,1′−スピロ−ビス−インダン、3,3,3′,3′−テトラメチル−4,6,7,4′,6′,7′−ヘキサヒドロキシ−1,1′−スピロ−ビス−インダン等を挙げることができる。インダンはヒドロインデンの名でも知られている。
【0021】
一般式(3)において、Z1、Z2で表されるシアニン色素を完成するために必要な複素環を形成する非金属原子の好ましいものとしては、ベンゾチアゾール環または3,3−ジアルキルインダレニン環を形成するために必要な非金属原子を挙げることができる。
【0022】
一般式(3)において、R1、R2はそれぞれ独立に、炭素数5以下の置換されてもよいアルキル基が好ましく、R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子、又は、炭素数4以下の置換されてもよいアルキル基が好ましく、R5、R6、R7、R8は水素原子が好ましい。
【0023】
本発明の一般式(3)で表される化合物としては、例えば、特開昭59−64841号に記載されている染料No.1〜46を挙げることができる。
【0024】
本発明の熱現像写真感光材料の感光性層に含有される有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特に長鎖(10〜30、好ましくは5〜25の炭素原子数)の脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環カルボン酸が好ましい。配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。好適な銀塩の例は、Research Disclosure(以下RD)第17029及び29963に記載されており、次のものがある:有機酸の塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の塩);銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩(例えば、1−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等);アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリマー反応生成物の銀錯体(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドのようなアルデヒド類とサリチル酸、ベンジル酸3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジサリチル酸のようなヒドロキシ置換酸類);チオン類の銀塩又は錯体(例えば、3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル−4−チアゾリン−2−チオン及び3−カルボキシメチル−4−メチル−4−チアゾリン−2−チオン);イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾール及び1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジルチオ−1,2,4−トリアゾール及びベンゾトリアゾールから選択される窒素酸と銀との錯体又は塩;サッカリン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;メルカプチド類の銀塩等が挙げられる。好ましい銀源はベヘン酸銀、アラキジン酸銀又はステアリン酸銀である。
【0025】
有機銀塩は、水溶性銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号公報に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェットにより、前記ソープと硝酸銀などを添加して有機銀塩の結晶を作製する。その際にハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。
【0026】
本発明の熱現像写真感光材料の感光性層に含有されるハロゲン化銀粒子は光センサーとして機能するものである。本発明においては、画像形成後の白濁を低く抑えるため、及び良好な画質を得るために平均粒子サイズが小さい方が好ましく、平均粒子サイズが好ましくは0.03μm以下、より好ましくは0.01〜0.03μmの範囲である。尚、本発明の熱現像写真感光材料のハロゲン化銀粒子は前記有機銀塩調製時に同時に作製されるか、又は前記有機銀塩調製時に該ハロゲン化銀粒子を混在させて調製することにより、有機銀塩に融着した状態でハロゲン化銀粒子を形成させて微小粒子のいわゆるin situ銀とするのが好ましい。尚、上記ハロゲン化銀粒子の平均粒子径の測定方法は、電子顕微鏡により50000倍で撮影し、それぞれのハロゲン化銀粒子の長辺と短辺を実測し、100個の粒子を測定し、平均したものを平均粒径とする。
【0027】
ここで、上記粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体或いは八面体のいわゆる正常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。又、正常晶でない場合、例えば、球状、棒状、或いは平板状の粒子の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。又ハロゲン化銀粒子は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下をいう。更に好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%となる粒子である。
【0028】
単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100
本発明において、ハロゲン化銀粒子は平均粒径0.01〜0.03μmで、かつ単分散粒子であることがより好ましく、この範囲にすることで画像の粒状性も向上する。
【0029】
ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はないが、ミラー指数〔100〕面の占める割合が高いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数〔100〕面の比率は、増感色素の吸着における〔111〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29,165(1985)により求めることができる。
【0030】
又もう一つの好ましいハロゲン化銀粒子の形状は、平板粒子である。ここでいう平板粒子とは、投影面積の平方根を粒径rμmとして、垂直方向の厚みをhμmとした場合のアスペクト比=r/hが3以上のものをいう。その中でも好ましくは、アスペクト比が3以上、50以下である。又粒径は0.03μm以下であることが好ましく、更に0.01〜0.03μmが好ましい。これらの製法は米国特許第5,264,337号、同5,314,798号、同5,320,958号等の各明細書に記載されており、容易に目的の平板状粒子を得ることができる。本発明においてこれらの平板状粒子を用いた場合、更に画像の鮮鋭性も向上する。
【0031】
ハロゲン化銀粒子の組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀の何れであってもよい。本発明に用いられる写真乳剤は、P.Glafkides著Chimie et Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。
【0032】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子には、照度不軌改良や階調調整のために、元素周期律表の6族から10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましい。
【0033】
ハロゲン化銀粒子は、ヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが、本発明においては脱塩してもしなくてもよい。
【0034】
本発明におけるハロゲン化銀粒子は、化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては、当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法、金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。
【0035】
本発明においては熱現像写真感光材料の失透を防ぐためには、ハロゲン化銀粒子及び有機銀塩の総量は、銀量に換算して1m2当たり0.3〜2.2gであり、0.5〜1.5gがより好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られる。又銀総量に対するハロゲン化銀の量は、質量比で50%以下、好ましくは25%以下、更に好ましくは0.1〜15%の間である。
【0036】
本発明におけるハロゲン化銀粒子は350〜450μmに光の極大吸収を有し、特に増感色素を有してなくてもよいが、必要に応じて含有させてもよい。
【0037】
本発明で用いることのできる造核剤としては、特開2000−298327号公報に記載の一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)で表されるビニール系化合物で、具体的には同公報21頁〜24頁に記載の化合物C−1〜C−64、及び特開平7−104426号公報に記載の一般式(H)及び一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H−1〜H−44に記載されたヒドラジン化合物等を挙げることができる。
【0038】
本発明の熱現像写真感光材料に含有される好適な還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同第3,773,512号、同第3,593,863号等の各明細書及びRD第17029号及び同29963に記載されており、次のものが挙げられる。
【0039】
アミノヒドロキシシクロアルケノン化合物(例えば、2−ヒドロキシ−3−ピペリジノ−2−シクロヘキセノン);還元剤の前駆体としてアミノレダクトン類(reductones)エステル(例えば、ピペリジノヘキソースレダクトンモノアセテート);N−ヒドロキシ尿素誘導体(例えば、N−p−メチルフェニル−N−ヒドロキシ尿素);アルデヒド又はケトンのヒドラゾン類(例えば、アントラセンアルデヒドフェニルヒドラゾン);ホスファーアミドフェノール類;ホスファーアミドアニリン類;ポリヒドロキシベンゼン類(例えば、ヒドロキノン、t−ブチル−ヒドロキノン、イソプロピルヒドロキノン及び(2,5−ジヒドロキシ−フェニル)メチルスルホン);スルフヒドロキサム酸類(例えば、ベンゼンスルフヒドロキサム酸);スルホンアミドアニリン類(例えば、4−(N−メタンスルホンアミド)アニリン);2−テトラゾリルチオヒドロキノン類(例えば、2−メチル−5−(1−フェニル−5−テトラゾリルチオ)ヒドロキノン);テトラヒドロキノキサリン類(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン);アミドオキシム類;アジン類;脂肪族カルボン酸アリールヒドラザイド類とアスコルビン酸の組み合わせ;ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシルアミンの組み合わせ;レダクトン及び/又はヒドラジン;ヒドロキサン酸類;アジン類とスルホンアミドフェノール類の組み合わせ;α−シアノフェニル酢酸誘導体;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体の組み合わせ;5−ピラゾロン類;スルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオン等;クロマン;1,4−ジヒドロピリジン類(例えば、2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン);ビスフェノール類(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチルフェノール))、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体;ヒンダードフェノール類;3−ピラゾリドン類。中でも特に好ましい還元剤は、ヒンダードフェノール類である。
【0040】
本発明の熱現像写真感光材料の感光性層、非感光性層にバインダーを用いる。用いられるバインダーは親水性バインダー(水に溶解するバインダー若しくはラテックス類)又は疎水性バインダー(有機溶剤に溶解するバインダー)の何れでもよいが、各層のバインダーが互いに同一の溶剤系に溶解するバインダーであるのが好ましく、例えば感光性層、中間層、保護層の各層のバインダーが何れも有機溶剤系バインダーであるか、又は親水性バインダーであるのが好ましい。
【0041】
各層に用いられるバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマーや合成モノポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体となるものが用いられる。上記バインダーの具体例としては、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、デンプン等の水溶性バインダー、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)等の疎水性バインダー、好ましくはポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等の疎水性バインダー、特にはポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル等の疎水性バインダー、及びそれらのバインダー樹脂のモノマーを乳化重合法又は懸濁重合法等により水中で重合して得られるラテックス等が挙げられる。
【0042】
疎水性バインダーを溶解するための主溶媒としては、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ等が好ましく用いられる。
【0043】
本発明の熱現像写真感光材料は、一般に熱現像写真感光材料に用いられるカブリ防止剤、色調剤、硬膜剤、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、被覆助剤、フィルター染料、マット剤、滑り剤、塗布助剤、界面活性剤等を用いても良い。
【0044】
本発明で用いられる支持体は、現像処理後に所定の光学濃度を得るため及び現像処理後の画像の変形を防ぐために、プラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ナイロン、セルローストリアセテート、ポリエチレンナフタレート)であることが好ましい。
【0045】
その中でも好ましい支持体としては、ポリエチレンテレフタレート及びシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を含むプラスチックの支持体が挙げられる。支持体の厚みとしては50〜300μm程度、好ましくは70〜180μmである。
【0046】
又熱処理したプラスチック支持体を用いることもできる。採用するプラスチックとしては、前記のプラスチックが挙げられる。支持体の熱処理とはこれらの支持体を製膜後、ハロゲン化銀感光性層、非感光性層、又はその他の形成層が塗布されるまでの間に、支持体のガラス転移点より30℃以上高い温度で、好ましくは35℃以上高い温度で、更に好ましくは40℃以上高い温度で加熱することがよい。但し、支持体の融点を超えた温度に加熱することは支持体の強度の均一性を損い、好ましくない。
【0047】
本発明においては帯電性を改良するために金属酸化物又は導電性ポリマーなどの導電性化合物を構成層中に含ませることができる。これらはいずれの層に含有させてもよいが、好ましくは下引層、バッキング層、銀感光性層と下引の間の層などである。
【0048】
感光性層、非感光性層の塗布方式としては、リバースロール、グラビアロール、エアドクターコータ、ブレードコータ、エアナイフコータ、スクイズコータ、含浸コータ、ワイヤーバーコータ、トランスファロールコータ、キスコータ、キャストコータ或いはスプレーコータ、エクストルージョンコータがあるが、エクストルージョン方式のエクストルージョンコータによりウェット−オン−ウェット方式の重層塗布を行うのがより好ましい。
【0049】
尚、ウェット−オン−ウェット方式における重層塗布においては、下側の層が湿潤状態になったままで上側の層を塗布するので、上下層間の接着性が向上するとともに、塗布を一度で終了させるので塗布面に傷が入り難く、平滑性が良いため現像むらが出にくく、更に歩留まりを向上させることができる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するがこれにより本発明が限定されるものではない。
【0051】
実施例1
〈下引済みPET支持体1の作製〉
2軸延伸熱固定済みの厚さ125μmのPETフィルムの両面に下記の条件でプラズマ処理1を施し、次いで一方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設してから乾燥させて下引層A−1とし、又反対側の面に下記帯電防止加工した下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設してから乾燥させて導電層としての下引層B−1とした。次いで、それぞれの下引き層表面に下記の条件でプラズマ処理2を施した。
【0052】
《プラズマ処理条件》
バッチ式の大気圧プラズマ処理装置(イーシー化学(株)製、AP−I−H−340)を用いて、高周波出力が4.5kW、周波数が5kHz、処理時間が5秒及びガス条件としてアルゴン、窒素及び水素の体積比をそれぞれ90%、5%及び5%で、プラズマ処理1及びプラズマ処理2を行った。
【0053】
〈下引塗布液a−1〉
ブチルアクリレート(30質量%)
t−ブチルアクリレート(20質量%)
スチレン(25質量%)
2−ヒドロキシエチルアクリレート(25質量%)
の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
ポリスチレン微粒子(平均粒径3μm) 0.05g
コロイダルシリカ(平均粒径90μm) 0.1g
水で1リットルに仕上げる
〈支持体の熱処理〉
得られた下引済み支持体の下引乾燥工程にて、支持体を140℃で加熱し、その後徐々に冷却した。その際に1×105Paの張力で搬送した。
【0054】
〈バック層面側の塗布〉
以下の組成のバック層塗布液1とバック保護層塗布液1を、それぞれ塗布前に絶対濾過精度20μmのフィルターを用いて濾過した後、押し出しコーターで前記作製した支持体の帯電防止加工した下引層B−1面上に、合計ウェット膜厚が30μmになるよう、毎分120mの速度で同時重層塗布し、60℃で4分間乾燥を行った。
【0055】
【0056】
【化4】
【0057】
(ハロゲン化銀粒子の調製)
純水900ml中にゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(96/4)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムと(NH4)2RhCl5(H2O)を5×10−6モル/リットルを含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.06μm、投影直径面積の変動係数8%、{100}面比率86%の立方体沃臭化銀からなるハロゲン化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整した。
【0058】
(有機脂肪酸銀乳剤の調製)
水300ml中にベヘン酸10.6gを入れ90℃に加熱溶解し、十分攪拌した状態で1M/Lの水酸化ナトリウム31.1mlを添加し、そのままの状態で1時間放置した。その後30℃に冷却し、1M/Lのリン酸7.0mlを添加して十分攪拌した状態でN−ブロモこはく酸イミド0.01gを添加した。その後、あらかじめ調製したハロゲン化銀粒子をベヘン酸に対して銀量として10モル%となるように40℃に加温した状態で攪拌しながら添加した。さらに1M/L硝酸銀水溶液25mlを2分間かけて連続添加し、そのまま攪拌した状態で1時間放置した。
【0059】
この乳剤に酢酸エチルに溶解したポリビニルブチラールを添加して十分攪拌した後に静置し、ベヘン酸銀粒子とハロゲン化銀粒子を含有する酢酸エチル相と水相に分離した。水相を除去した後、遠心分離にてベヘン酸銀粒子とハロゲン化銀粒子を採取した。その後東ソー(株)社製合成ゼオライトA−3(球状)20gとイソプロピルアルコール22mlを添加し1時間放置した後濾過した。更にポリビニルブチラール3.4gとイソプロピルアルコール23mlを添加し35℃にて高速で十分攪拌して分散し有機脂肪酸銀乳剤の調製を終了した。
【0060】
(感光性層組成)
有機脂肪酸銀乳剤 1.4g(銀で)/m2
ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド 1.5×10−4mol/m2
臭化カルシウム 1.8×10−4mol/m2
2−(4−クロロベンゾイル)安息香酸 1.5×10−3mol/m2
赤外増感色素1 4.2×10−6mol/m2
2−メルカプトベンズイミダゾール 3.2×10−3mol/m2
2−トリブロモメチルスルホニルキノリン 6.0×10−4mol/m2
4−メチルフタル酸 1.6×10−3mol/m2
テトラクロロフタル酸 7.9×10−4mol/m2
1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−
トリメチルヘキサン 4.8×10−3mol/m2
染料A 3.0×10−5mol/m2
造核剤(C−1) 0.5×10−3mol/m2
溶媒には、メチルエチルケトン、アセトン、メタノールを適宜用いた。
【0061】
【化5】
【0062】
(表面保護層組成)
表面保護層塗布液を下記のように調製した。
【0063】
セルロースアセテートブチレート 4g/m2
フタラジン 3.2×10−3mol/m2
マット剤(粒径2μm) 100mg/m2
溶媒には、メチルエチルケトン、アセトン、メタノールを適宜用いた。
【0064】
以上のようにして、表1に示す試料No.11〜16を作製し、以下の評価を行い結果を表1に示す。
(露光)
製造した各熱現像写真感光材料に対して、ビーム径(ビーム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レーザー出力50mW、出力波長783nmの半導体レーザーを搭載した単チャンネル円筒内面方式のレーザー露光装置を使用して、ミラー回転数60000rpm、露光時間1.2×10−8秒の条件下で露光を実施した。このときのオーバーラップ係数は0.449にし、熱現像写真感光材料面上のレーザーエネルギー密度は75μJ/cm2とした。
【0065】
(熱現像処理)
熱現像処理は120℃17.2秒で行なった。
【0066】
(写真性能の評価)
熱現像写真感光材料を23℃、80%で12時間調湿した試料と、23℃、20%で12時間調湿した試料を作製し、同一環境下で50μmの線幅露光を行なって熱現像処理を行なった。
【0067】
それぞれの処理後の線幅の差を測定することにより、湿度依存性を評価した。線幅差が少ない程、湿度に対する依存性に優れている。
【0068】
またそれぞれの環境下でのDmin(カブリ)についても評価した。濃度測定はマクベスTD904濃度計で行なった。
【0069】
(黒ポツの評価)
未露光部を100倍ルーペで観察し、黒ポツの個数を数えた。5個以下は実用上問題ないレベルである。各熱現像写真感光材料の評価結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
表1から明らかなように、本発明の試料は、保存した際、湿度に対する依存性に優れ、カブリの上昇がなく、黒ポツの発生も少ない。
【0072】
実施例2
バック層の染料を染料Aの代わりに染料Bを使う以外は実施例1と同様に試料No.21〜26を作製し、実施例1と同様な評価を行った。
【0073】
【化6】
【0074】
【表2】
【0075】
表2から明らかなように、本発明の試料は、保存した際、湿度に対する依存性に優れ、カブリの上昇がなく、黒ポツの発生も少ない。
実施例3
実施例2で作製した試料No.21〜24を、それぞれ包装材料を表3で示すような包装形態で行い試料No.31〜34を作製し、実施例1と同様な評価を行った。包材の透湿度についてはJIS Z−0208に基づいて行った。
【0076】
【表3】
【0077】
表3から明らかなように、本発明の包装形態の試料は、保存した際、湿度に対する依存性に優れ、カブリの上昇がなく、黒ポツの発生も少ない。
【0078】
【発明の効果】
本発明により、包装された熱現像写真感光材料を保存した際、湿度に対する依存性に優れ、カブリの上昇がなく、黒ポツの発生が少ない熱現像写真感光材料及びその包装方法を提供することができた。
Claims (6)
- 支持体上の一方の側に有機銀粒子、ハロゲン化銀粒子を含有する感光性層を有し、かつ、造核剤、還元剤を含有する熱現像写真感光材料において、支持体に対して該感光性層とは反対側に下記一般式(1)で表される平均分子量1,000〜2,500,000の化合物と下記一般式(2)で表される化合物を含有する層を有することを特徴とする熱現像写真感光材料。
- 支持体上に有機銀粒子、ハロゲン化銀粒子、造核剤、還元剤を含有する感光性層を有する熱現像写真感光材料において、支持体に対して該感光性層とは反対側に下記一般式(3)で表される化合物を含有する層を有することを特徴とする請求項1記載の熱現像写真感光材料。
- 請求項1又は2記載の熱現像写真感光材料をロール状形態に包装する際のボール芯の透湿度が1g/m2以下であることを特徴とする熱現像写真感光材料の包装方法。
- 請求項1又は2記載の熱現像写真感光材料をロール状形態に包装する際のボール芯中にアルミ箔を含有することを特徴とする熱現像写真感光材料の包装方法。
- 請求項1又は2記載の熱現像写真感光材料をロール状形態に包装する際の遮光シートの透湿度が1g/m2以下であることを特徴とする熱現像写真感光材料の包装方法。
- 請求項1又は2記載の熱現像写真感光材料をロール状形態に包装する際の遮光シート中にアルミ箔を含有することを特徴とする熱現像写真感光材料の包装方法。
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