JP2004156992A - 超音波ボルト軸力計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ボルト頭部4よりボルト2内に超音波を発振すると共に上記ボルト2の底部で反射した超音波を受信してその超音波の伝達時間を検出してボルト2の軸力を算出する超音波ボルト軸力計において、超音波の発振及び受信を行う超音波センサ1の上記ボルト頭部4に対向する対向面9に、上記ボルト2の締付時に上記ボルト頭部4に対して摺動する摺動パッド3を設け、その摺動パッド3の上記ボルト頭部4との接触面6に、潤滑油を取り込むための潤滑油用溝7を形成した。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボルト頭部よりボルト内に超音波を発振すると共に上記ボルトの底部で反射した超音波を受信してその超音波の伝達時間を検出してボルトの軸力を算出する超音波ボルト軸力計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ボルト締結の信頼性を確保するためには、トルク管理と軸力管理の2つの方法がある。
【0003】
トルク管理の場合は、トルクレンチの使用やNCナットランナによって品質確保が可能であるが、ボルト締結部分の表面状態によって、同じトルクで締めても発生する軸力はバラツキが発生してしまう。
【0004】
従って、重要締結部分には軸力管理が必要となり、高精度の軸力測定を行うには超音波ボルト軸力計が必要となる。そして、量産ラインでの対応においては、作業時間を短縮するために、ナットランナで締め付けながら軸力を測定する必要がある。
【0005】
超音波ボルト軸力計は、図6に示すように、超音波センサ51をボルト52の頭部53の端面に密着させて、ボルト頭部53から超音波p1を発振(入射)すると共にボルト軸部54の先端部55で反射された超音波(エコー)p2を検出し、その検出結果に基づいてボルト52に発生した軸力を測定するものである。
【0006】
具体的には、ボルト52が締め付けられて軸力が発生するとボルト52の軸部54が伸びるため超音波p1,p2の伝達時間が長くなり、反射波p2が検出されるまでの時間が長くなる。この長くなった伝達時間(延長時間という)はボルト52に発生した軸力に比例するため、反射波検出の延長時間からボルト軸力を求めることができる。
【0007】
すなわち、ボルト52の締付前と締付後の超音波p1,p2の伝達時間を検出し、各伝達時間の時間差(これが延長時間である)を基に、ボルト軸部54の伸び長さが検出され、これによって、ボルト軸力が算出される。
【0008】
上述のような超音波ボルト軸力計としては、ボルトの締付を行うソケット内に超音波センサが内蔵されたタイプのものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
しかし、このような超音波ボルト軸力計を内蔵したナットランナで、ボルトを締め付けながらボルト軸力を測定すると、超音波センサとボルト頭部とが摺動接触するため、超音波センサが摩耗して超音波の検出精度が低下してしまう場合があった。
【0010】
そこで、固定された超音波センサと回転するボルト頭部との間に、超音波センサの摩耗を防止するための板材(前面板)を設けたものがあった(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
【特許文献1】
特開平7−280677号公報
【特許文献2】
特開2000−346731号公報(図1)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の板材を備えた超音波ボルト軸力計でも、ボルト頭部と板材との摺動接触が進めば板材の摩耗が進むため、板材を交換する必要があり、その材料の手配や交換作業に手間を要すると共に、摩耗時には超音波の検出精度が低下してしまうといった問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、上記課題を解決すべく案出されたものであり、その目的は、超音波センサ及び板材の摩耗を防止でき、常に超音波の検出精度の高い超音波ボルト軸力計を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、ボルト頭部よりボルト内に超音波を発振すると共に上記ボルトの底部で反射した超音波を受信してその超音波の伝達時間を検出してボルトの軸力を算出する超音波ボルト軸力計において、超音波の発振及び受信を行う超音波センサの上記ボルト頭部に対向する対向面に、上記ボルトの締付時に上記ボルト頭部に対して摺動する摺動パッドを設け、その摺動パッドの上記ボルト頭部との接触面に、潤滑油を取り込むための潤滑油用溝を形成したものである。
【0015】
上記構成によれば、潤滑油用溝に沿って、摺動パッドとボルト頭部との接触面に潤滑油が取り込まれるので、摺動パッドとボルト頭部とが円滑に摺動することとなり、摺動パッドの摩耗が進まず、交換の手間をなくすことができると共に、常に超音波の検出精度を高く保つことができる。
【0016】
そして、上記潤滑油用溝が、摺動パッドの外周面から中心側へと延出され上記ボルト頭部の回転によって潤滑油が外周側から中心側へと押し流されるように形成されたものが好ましい。
【0017】
また、上記潤滑油用溝が、摺動パッドの外周面から中心側へと延出される螺旋状に形成されたものが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0019】
図1は本発明に係る超音波ボルト軸力計の好適な実施の形態を示した側面図、図2は本発明に係る超音波ボルト軸力計の摺動パッドを示した側面図、図3は本発明に係る超音波ボルト軸力計の摺動パッドに形成された潤滑油用溝の一実施形態を示した底面図、図4は本発明に係る超音波ボルト軸力計の摺動パッドに形成された潤滑油用溝の他の実施形態を示した底面図、図5は本発明に係る超音波ボルト軸力計の摺動パッドに形成された潤滑油用溝のさらに他の実施形態を示した底面図である。
【0020】
本発明に係る超音波ボルト軸力計は、超音波センサ1が図示しないソケット内に収容されており、そのソケットでボルト2を締め付けながら、超音波センサ1にて、ボルト2の延びを検出するようになっている。なお、かかる超音波ボルト軸力計は、超音波センサ1の先端の摺動パッド3以外の部分は、従来と同様の構成であるので、その説明を省略する。
【0021】
図1に示すように、上述の超音波センサ1は、略円柱状に形成され、その先端のボルト頭部4の端面に対向する対向面9に、ボルト頭部4との間に介在して、当該超音波センサ1の摩耗を防止するための摺動パッド3が設けられている。
【0022】
摺動パッド3は、砲金等の自己潤滑性を有する金属にて構成されている。その他、銅合金、セラミックス(酸化アルミナ)、樹脂等であってもよく、さらに通常の鋼材やボルト2と同等の素材であってもよい。
【0023】
摺動パッド3は、円盤状に形成されており、超音波センサ1との接触面5は平面状に形成されている。摺動パッド3は、超音波センサ1の先端に接着剤等によって固定されている。
【0024】
なお、摺動パッド3は、円盤状に限られるものではなく、有底円筒状であってもよい。この場合、底板部の超音波センサ1との接触面は平面状に形成されており、筒状部分に超音波センサ1を嵌合させて固定するようになっている。
【0025】
摺動パッド3のボルト頭部4との接触面6は、球面状(図2(a)参照)或いは平面状(図2(b)参照)に形成されている。球面の曲率はR50〜1000程度で、ボルト2の材質や締め付け条件によって適宜決定される。
【0026】
摺動パッド3の表面粗さはRmaxで10〜15μmであり、塑性加工で製作可能である。当然、研削仕上げでも問題はない。
【0027】
摺動パッド3のボルト頭部4との接触面6には、摺動パッド3とボルト頭部4との間に潤滑油を取り込むための潤滑油用溝7が形成されている。
【0028】
潤滑油用溝7は、摺動パッド3の外周面から中心側へと延出され、ボルト頭部4の回転によって潤滑油が外周側から中心側へと押し流されるように形成されており、例えば、図3に示すように、摺動パッド3の外周面から中心側へと延出される螺旋状に形成されている。この螺旋形状は、その外周側端部がボルト頭部4の回転方向(図中、大矢印にて示す)に向かい合うように形成されており、ボルト頭部4の回転によって潤滑油が潤滑油用溝7の奥側(中心側)に押し流されるようになっている(図中、小矢印にて示す)。
【0029】
潤滑油用溝7は、接触面6の中心部には形成されず、超音波センサ1からの超音波が透過する超音波透過用平面部8が残されていることが望ましい。
【0030】
なお、潤滑油用溝7の形状は、螺旋状に限られるものではなく、その外周側端部がボルト頭部4の回転方向に向かい合うように形成されていれば他の形状であってもよい。
【0031】
例えば、図4に示すように摺動パッド3の外周面の4箇所から円弧状に中心側へ延出する形状や、図5に示すように摺動パッド3の外周面の4箇所から、L字状に中心側へ延出する形状であってもよい。
【0032】
これら形状の潤滑油用溝7によれば、潤滑油を、摺動パッド3のボルト頭部4との接触面6の中心側にまで、円滑に且つ積極的に取り込むことができる。
【0033】
次に、上記構成の超音波ボルト軸力計の作用を説明する。
【0034】
まず、締付前のボルト頭部4に潤滑油を塗布しておく。
【0035】
ソケットでボルト2の締付を行いながら、ソケット内部に収容された超音波センサ1によって、ボルト2の延びを計測する。このとき、超音波センサ1は回転しない一方で、ボルト2はソケットと共に回転するので、超音波センサ1先端の摺動パッド3とボルト頭部4とは摺動するが、摺動パッド3に潤滑油用溝7が形成されているので、予めボルト頭部4に塗布された潤滑油が摺動パッド3とボルト頭部4との接触面6に取り込まれ、円滑に摺動できる。
【0036】
これによって、摺動パッド3表面の摩耗を防止することができ、摺動パッド3の交換の手間をなくすことができると共に、常に摺動パッド3の平滑性が保たれ、超音波の検出精度を高く保つことができる。
【0037】
また、ナットランナの回転を止めずに軸力が測定できるので、締付、測定、再締付といった工程を別々に行う必要がなく、時間短縮が図れ、効率的なボルト2の締付を行うことができる。さらに、締結部の軸力検査を全数実施できるので、製品の品質向上が達成される。
【0038】
潤滑油用溝7は、摺動パッド3の外周面から中心側へと延出され、ボルト頭部4の回転によって潤滑油が外周側から中心側へと押し流されるように形成されているので、摺動パッド3の中心近傍まで潤滑油が供給され、より円滑な摺動が行われる。
【0039】
さらに、潤滑油用溝7は、摺動パッド3の接触面6の中心部には形成されず、超音波センサ1からの超音波が透過する超音波透過用平面部8が残されているので、超音波の検出精度が高く保たれる。
【0040】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、超音波センサ及び板材の摩耗を防止でき、常に超音波の検出精度を高く保つことができるといった優れた効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超音波ボルト軸力計の好適な実施の形態を示した側面図である。
【図2】本発明に係る超音波ボルト軸力計の摺動パッドを示した側面図である。
【図3】本発明に係る超音波ボルト軸力計の摺動パッドに形成された潤滑油用溝の一実施形態を示した底面図である。
【図4】本発明に係る超音波ボルト軸力計の摺動パッドに形成された潤滑油用溝の他の実施形態を示した底面図である。
【図5】本発明に係る超音波ボルト軸力計の摺動パッドに形成された潤滑油用溝のさらに他の実施形態を示した底面図である。
【図6】従来の超音波ボルト軸力計でのボルトの測定状態を示した概略図である。
【符号の説明】
1 超音波センサ
2 ボルト
3 摺動パッド
4 ボルト頭部
6 接触面
7 潤滑油用溝
Claims (3)
- ボルト頭部よりボルト内に超音波を発振すると共に上記ボルトの底部で反射した超音波を受信してその超音波の伝達時間を検出してボルトの軸力を算出する超音波ボルト軸力計において、超音波の発振及び受信を行う超音波センサの上記ボルト頭部に対向する対向面に、上記ボルトの締付時に上記ボルト頭部に対して摺動する摺動パッドを設け、その摺動パッドの上記ボルト頭部との接触面に、潤滑油を取り込むための潤滑油用溝を形成したことを特徴とする超音波ボルト軸力計。
- 上記潤滑油用溝が、摺動パッドの外周面から中心側へと延出され上記ボルト頭部の回転によって潤滑油が外周側から中心側へと押し流されるように形成された請求項1記載の超音波ボルト軸力計。
- 上記潤滑油用溝が、摺動パッドの外周面から中心側へと延出される螺旋状に形成された請求項1または2いずれかに記載の超音波ボルト軸力計。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002322305A JP2004156992A (ja) | 2002-11-06 | 2002-11-06 | 超音波ボルト軸力計 |
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Publication Number | Publication Date |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012522213A (ja) * | 2009-03-27 | 2012-09-20 | アトラス・コプコ・ツールス・アクチボラグ | 超音波測定方法及び装置 |
CN108444634A (zh) * | 2018-03-12 | 2018-08-24 | 大连理工大学 | 一种六角头螺栓的预紧力超声检测夹具 |
CN110118826A (zh) * | 2019-06-05 | 2019-08-13 | 江苏方天电力技术有限公司 | 一种螺栓柱面导波检测系统 |
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2002
- 2002-11-06 JP JP2002322305A patent/JP2004156992A/ja active Pending
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