JP2004156667A - エンジンマウント - Google Patents

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Hiroshi Kojima
宏 小島
Hiroki Yoda
浩樹 誉田
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Bridgestone Corp
Delta Tooling Co Ltd
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Bridgestone Corp
Delta Tooling Co Ltd
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Abstract

【目的】効果的な防振が可能であるのみならず、マグネット間の接触を防止して耐久性を向上したエンジンマウントを得る。
【構成】マグネット34、36と可動マグネット32との各磁界の相互作用に起因する磁気付勢力がラバーマウンティグ22に入力されるが、所定範囲内における磁気付勢力の増減はラバーマウンティグ22の弾性力の増減とは反対で且つその変化量の大きさは略同じであるため、この所定範囲内では、装置全体のばね力のばね定数が0若しくは極めて小さくなる。これにより、ラバーマウンティグ22を介した振動の伝達を効果的に遮断できる。また、シャフト28の中程の規制部30と基台24との間の部分に、ゴム板62と金属板64とをそれぞれ複数交互にシャフト28の軸方向に沿って積層した積層ゴム機構60が取り付けられる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のエンジンルーム等においてエンジンを支持するエンジンマウントに係り、特に、エンジンから車体への振動の伝達を遮断可能なエンジンマウントに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両のエンジンルームにおいてエンジンは、通常、エンジンマウントを介して車体に取り付けられている。また、エンジンマウントはゴム等の弾性部材で形成されたラバーマウンティング(インシュレータ)を備えており、ラバーマウンティングがエンジンを弾性支持することでエンジンから車体への振動伝達を制限している。さらに、このようなラバーマウンティングのみならず、アクチュエータから油圧等を強制的にラバーマウンティングに入力して振動を減衰させる構成、すなわち、一般的にアクティブ制御ダンパと称される機構を適用したエンジンマウントもある。
【0003】
アクティブ制御ダンパに関して一般的に周知の技術であるため、その詳細な説明は省略するが、ゴム等により形成されたラバーマウントの受動的な防振に対してアクティブ制御ダンパ機構のように強制的且つ能動的な防振作用を付与することにより、その防振効果をより一層顕著なものとすることができる。
【0004】
そして、この種のアクティブ制御を行ないうるエンジンマウントでは、上述したようなアクチュエータが必要となる為、アクチュエータ設置用のスペースが必要となるが、エンジンルームのような限られた空間では、アクチュエータ設置用のスペースを確保することが困難であった。さらに、アクチュエータは、その構造が複雑で高価である上、その取り扱いが難しく、部品コスト及び搭載作業に要する作業工数の観点からみてコスト高となってしまう。
【0005】
従って、下記の特許文献1に開示されたような、磁気を用いてアクティブ制御と同様に防振効果をより一層顕著なものとしたエンジンマウントも考え出されるようになった。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−250020号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この特許文献1に開示されたエンジンマウントでは、横方向の力が加わった場合にこの特許文献1の図1に示すシャフト28が傾いたり横にずれたりして、可動マグネット32とマグネット34、36とが相互に接触する虞を有していた。そして、この接触に伴ってシャフト28、可動マグネット32及びマグネット34、36が変形したり傷付いたりして、エンジンマウントの耐久性が低下する欠点を有することが考えられた。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮して、効果的な防振が可能であるのみならず、マグネット間の接触を防止して耐久性を向上し得るエンジンマウントを得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のエンジンマウントは、磁極の向きが互いに相反する方向とされた状態で前記磁極の向きに対して直交する方向に並んで配置されると共に、前記磁極の向きに貫通した間隙が各々の間に形成された複数のマグネットと、
強磁性体若しくは極性が前記間隙の貫通方向一方の側での前記複数のマグネットの極性とは反対の永久磁石により前記間隙へ挿入可能に形成されると共に、前記間隙中の所定位置を介して前記貫通方向両方向の所定範囲内では前記マグネットの磁界の影響で前記貫通方向一方の側へ付勢され、且つ、前記所定位置で当該付勢力が最大となる磁性部材と、
前記間隙の貫通方向に沿った方向の一方の側に車両のエンジンが取り付けられて前記エンジンを支持する取付部と、
車体の適宜位置に取り付けられて前記複数のマグネット及び前記磁性部材を収容すると共に、前記複数のマグネット及び前記磁性部材のうち前記取付部へ取り付けられていない側が一体的に取り付けられたフレームと、
前記取付部及び前記フレームの何れか一方に一端側が連結されると共に、前記複数のマグネット及び前記磁性部材の何れか一方と他端側が連結されて他端側が当該何れか一方を支持する連結手段と、
前記連結手段に取り付けられ且つ、前記間隙の貫通方向に沿った方向に対して交差する方向から加わる横力により前記連結手段を変形可能とする柔軟機構と、
前記間隙の貫通方向に沿った方向の弾性力を有しつつ前記取付部と前記フレームの双方へ連結されると共に、前記所定位置から前記所定範囲内の前記所定位置よりも前記貫通方向他方の側の特定位置までの特定の範囲で前記弾性力と前記磁界の影響による付勢力との合力が一定の大きさとなり、且つ、前記取付部への前記エンジンの取付状態では前記合力で前記磁性部材を前記特定の範囲内に位置させる緩衝部材と、
を備える。
【0010】
上記構成のエンジンマウントによれば、エンジンが取り付けられた取付部とフレームとの間には緩衝部材が設けられており、取付部がフレームに対して相対移動すると、緩衝部材が弾性変形して相対的に取付部に緩衝部材の弾性力が作用し、この弾性力で例えばエンジンが振動した際の振動のエネルギーが緩衝部材に吸収される。
【0011】
一方でフレーム内には磁性部材と複数のマグネットとが収容されている。複数のマグネットは磁極の向きが互いに相反する方向とされており、しかも、各マグネットの間に形成されている間隙の貫通方向に向いている。これに対して、磁性部材は強磁性体若しくは極性が上述した間隙の貫通方向一方の側における複数のマグネットの極性とは反対の永久磁石により形成されている。このため、上述した間隙中の所定位置を介して間隙の貫通方向両側の所定範囲内においては、複数のマグネットが形成する磁界によって磁性部材が間隙の貫通方向一方の側へ付勢される(以下、この複数のマグネットが形成する磁界によって磁性部材に作用する付勢力を緩衝部材の弾性力と区別する意味で便宜上「磁気付勢力」と称する)。
【0012】
この間隙の貫通方向一方の側とは、すなわち、フレームから取付部を引き離そうとする緩衝部材の弾性力の向きと略同一方向である。しかも、取付部及びフレームの何れか一方に一端側が連結された連結手段の他端側が、複数のマグネット及び磁性部材の何れか一方と連結されて当該何れか一方を支持しており、複数のマグネット及び磁性部材の何れか他方はフレームへ連結されている。この為、間隙の貫通方向に沿って取付部がフレームに対して相対変位すると、上述した磁気付勢力と緩衝部材の弾性力との合力が作用する。
【0013】
この際、連結手段に取り付けられる柔軟機構が、間隙の貫通方向に沿った方向に対して交差する方向から加わる横力により、連結手段を変形可能としている。従って、取付部或いはフレームに対して横方向や斜め方向からの力(すなわち、「横力」)が加わった場合でも、所定以上の大きさの横力でこの柔軟機構が連結手段を変形して複数のマグネットと磁性部材との間にすきまを常時設けておくことが可能となる。つまりこの結果として、複数のマグネットと磁性部材とが接触することが無くなるのに伴って、エンジンマウントの耐久性が向上する。
【0014】
他方、上述した磁気付勢力の付勢方向が間隙の貫通方向一方の側となる所定範囲内において付勢力が最大となる所定位置と、この所定位置よりも間隙の貫通方向他方の側の特定位置との間では、緩衝部材の弾性力と付勢力との合力が一定となる。すなわち、弾性力が増加する方向に磁性部材が変位すると、この磁性部材の変位に伴い磁気付勢力が弾性力の増加量と同じ割合で減少して、弾性力が減少する方向に磁性部材が変位すると、この磁性部材の変位に伴い磁気付勢力が弾性力の減少量と同じ割合で増大する。
【0015】
ここで、取付部にエンジンが取り付けられた状態においては、この合力が一定となる特定の範囲内に磁性部材が位置する。この状態でエンジンの振動が取付部を介して緩衝部材に入力されることで緩衝部材が振動するが、このときには取付部を介して磁性部材及び複数のマグネットのうち、取付部に取り付けられた側も振動する。この取付部に取り付けられた側の振動は、磁性部材及び複数のマグネットのうち、フレームに取り付けられた側に対する変位であるため、この振動に伴う磁気付勢力の増減は緩衝部材の振動による弾性力の増減に反することになる。上述したように、取付部には磁性部材及び複数のマグネットの何れかが取り付けられているため、磁気付勢力は取付部を介して緩衝部材に入力される。したがって、緩衝部材と複数のマグネット及び磁性部材とで構成される振動系のばね定数が見かけ上、概ね「0」となるため、車体へのエンジン振動の伝達が軽減或いは防止される。
【0016】
請求項2記載のエンジンマウントは、請求項1記載の本発明において、前記柔軟機構が、ゴム材と金属材とをそれぞれ複数交互に前記間隙の貫通方向に沿って積層した積層ゴム機構とされることを特徴とする。
【0017】
上記構成のエンジンマウントによれば、連結手段に取り付けられる柔軟機構が、ゴム材と金属材とをそれぞれ複数交互に間隙の貫通方向に沿って積層した積層ゴム機構とされていることから、この間隙の貫通方向に沿った方向に対して交差する方向から横力が加わった場合、この積層ゴム機構のゴム材が剪断変形して連結手段を確実に変形できるようになる。但し、間隙の貫通方向に沿った方向の力に対しては、ゴム材の変形量が小さく、主に緩衝部材が変形して緩衝部材に弾性力が発生する。
【0018】
請求項3記載のエンジンマウントは、請求項2記載の本発明において、前記積層ゴム機構を構成する前記金属材が円板状に形成されることを特徴とする。
上記構成のエンジンマウントによれば、積層ゴム機構の金属材が円板状に形成されるのに伴ってこの金属材に挟まれる形となるゴム材を円板状に形成することができ、この結果として、間隙の貫通方向に沿った方向に対して直交する何れの方向から横力が加わった場合でも、所定以上の大きさの横力でこの積層ゴム機構が連結手段をより確実に変形して、複数のマグネットと磁性部材との間にすきまを常時設けておくことが可能となる。
【0019】
請求項4記載のエンジンマウントは、請求項2記載の本発明において、前記積層ゴム機構を構成する金属材の断面が円弧状に形成されることを特徴とする。
上記構成のエンジンマウントによれば、積層ゴム機構の金属材の断面が円弧状に形成されるのに伴ってこの金属材に挟まれる形となるゴム材の断面形状を円弧状に形成することができる。この結果として、間隙の貫通方向に沿った方向に対して斜めの何れの方向から横力が加わった場合でも、所定以上の大きさの横力でこの積層ゴム機構が連結手段をより確実に変形して、複数のマグネットと磁性部材との間にすきまを常時設けておくことが可能となる。
【0020】
請求項5記載のエンジンマウントは、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の本発明において、前記連結手段に対して直接或いは間接的に干渉可能に設けられ且つ、前記間隙の貫通方向に対して直交する方向に沿った前記複数のマグネットに対する前記磁性部材の相対的な変位を規制する規制手段が備えられたことを特徴とする。
【0021】
上記構成のエンジンマウントによれば、磁性部材及び複数のマグネットの何れか一方が何れか他方に対し、間隙の貫通方向に対して直交する方向へ相対的に変位しようとすると、規制手段が連結手段に干渉してこの変位を規制する。これによって、磁性部材の変位方向が間隙の貫通方向に制限され、磁性部材と複数のマグネットとの接触が一層確実に防止される。
【0022】
さらに、本発明において、規制手段を単に間隙の貫通方向に沿った摩擦の小さな摩擦軽減部材で形成したり、或いはこのような摩擦軽減部材を規制手段に設ける構成を採用してもよい。なお、このような摩擦軽減部材の一例として、磁性部材へ接触する接触面での摺動抵抗が小さな合成樹脂材により形成され且つ、フレームに直接或いは間接的に連結された摺接部材等が考えられる。
【0023】
請求項6記載のエンジンマウントは、請求項5記載の本発明において、前記規制手段と前記取付部との間に前記柔軟機構が配置されることを特徴とする。
上記構成のエンジンマウントによれば、連結手段に取り付けられた柔軟機構が、規制手段と取付部との間に配置されているので、規制手段と取付部との間に位置した連結手段の部分を、この柔軟機構が横力の入力に伴って変形させる。
【0024】
従って、柔軟機構より規制手段側寄りの連結手段の部分に対して規制手段が干渉して、間隙の貫通方向に対して直交する方向に沿った複数のマグネットに対する磁性部材の相対的な変位を、この規制手段が規制する。この結果として、所定以上の大きさの横力で柔軟機構が連結手段を変形して、複数のマグネットと磁性部材との間に、より一層確実にすきまを常時設けておくことが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1には本発明の第1の実施の形態に係るエンジンマウント10の構成の概略が正面断面図によって示されており、図2には図1の2−2線に沿った断面図が示されている。
【0026】
これらの図に示されるように、本エンジンマウント10はフレーム12を備えている。なお、このフレーム12は比較的高い強度を有する金属製であるが、同程度の強度を確保できるのであれば、合成樹脂材等の他の材料で形成してもよい。フレーム12は全体的に有底筒形状(特に、本実施の形態では有底円筒形状)とされており、底部14外側には締結ボルト16が設けられている。締結ボルト16はその軸方向がフレーム12の筒部18の軸線と略同軸とされており、エンジンルーム内の車体の所定部位に形成された貫通孔を貫通した状態でナット(符号なきものは何れも図示省略)が螺合し、これにより車体へ締結固定される構成である。
【0027】
また、フレーム12の開口端にはフランジ部20が形成されている。フランジ部20は筒部18の開口端から筒部18の外側で且つ筒部18の軸方向に対して略直交する方向へ向けて延出された板状部で、底部14とは反対側のフランジ部20の端面には緩衝部材としてのラバーマウンティング22が設けられている。
【0028】
ラバーマウンティング22は、フレーム12側の端部からフレーム12とは反対側の端部へ向けて外径寸法及び内径寸法が漸次小さくなるテーパ形の筒形状に所定の弾性を有するゴム材若しくは合成樹脂材によって形成されている。なお、本実施の形態では、ラバーマウンティング22はそのフレーム12側の端部が直接固着されているが、例えば、金属板等により形成されたリング状の連結リングにラバーマウンティング22のフレーム12側の端部を固着すると共に、この連結リングの外周部の一部若しくは全部をかしめて連結リングにフランジ部20を保持させたり、或いは、図示はしないがボルト等の締結手段により連結リングをフランジ部20に締結固定することで間接的にラバーマウンティング22とフレーム12とを一体的に連結してもよい。
【0029】
一方、フレーム12とは反対側のラバーマウンティング22の端部には取付部としての基台24が設けられている。基台24は上述したフレーム12の軸方向に沿って厚さ方向とされた板状部材で、フレーム12とは反対側の基台24の端面には締結ボルト26が設けられている。締結ボルト26はその軸方向がフレーム12の筒部18の軸線と略同軸とされており、図示しないエンジンの一部を貫通した状態でナットが螺合し、これにより、エンジンが基台24へ一体的に固定され、且つ、この基台24、ラバーマウンティング22、及びフレーム12を介して車体に取り付けられる。
【0030】
一方、基台24を介して締結ボルト26とは反対側には連結手段としてのシャフト28が設けられている。シャフト28は基本的に磁性を有さない比較的硬質の合成樹脂材等によって全体的に丸棒状とされており、その軸方向は上述したフレーム12の軸方向に対して同方向とされている。また、このシャフト28の軸方向一方の端部(すなわち、基台24側の端部)は基台24へ一体的に固着されている。これに対し、シャフト28の軸方向他端側(すなわち、フレーム12の底部14側)はフレーム12の筒部18の内側に入り込んでおり、概ね、筒部18の軸方向中間部に位置している。
【0031】
このシャフト28に対応してフレーム12の内側には規制手段としての複数の規制部30が設けられている。規制部30は基本的に磁性を有さない合成樹脂材等により全体的に板状若しくはブロック状とされており、筒部18の内周部に近い側の端部は筒部18の内周部へ一体的に固定されている。なお、筒部18(フレーム12)への規制部30の固定は、ボルト等の締結手段によるものでもよいし、接着材等の固着手段によるものでもよい。
【0032】
筒部18の内周部へ固定された側とは反対側の規制部30の端部は上述したシャフト28の外周部へ当接しており、規制部30側へのシャフト28の変位を規制している。また、このシャフト28の中程の規制部30と基台24との間の部分には、図3に示すように、ゴム材であるゴム板62と金属材である金属板64とをそれぞれ複数交互にシャフト28の軸方向に沿って積層した柔軟機構である積層ゴム機構60が、取り付けられている。この積層ゴム機構60を構成するゴム板62及び金属板64は、それぞれ円板状に形成されていて加硫接着されることで相互に同軸状に配置されている。但し、ゴム製のゴム板62は金属製の金属板64より若干小さく形成されている。つまり、この積層ゴム機構60は、ゴム板62が弾性変形することで、シャフト28の軸方向に沿った方向に対して交差する方向から加わる図1の横力F1、F2によってシャフト28を変形可能としている。
【0033】
また、このシャフト28の軸方向他端部には磁性部材としての可動マグネット32が固定されて、このシャフト28の他端側が可動マグネット32を支持している。可動マグネット32はネオジム合金やサマリウム−コバルト合金等により一体成形された希土類永久磁石で、シャフト28の軸方向に対して直交する一方がN極、このシャフト28の軸方向に対して直交する一方とは反対方向がS極とされている。
【0034】
この可動マグネット32に対応してフレーム12の内側には一対のマグネット34、36によって構成された平面視略円形のマグネットユニット38が配置されている。マグネット34はネオジム合金やサマリウム−コバルト合金等の希土類永久磁石により平面視略半円形のブロック状若しくは板状に形成されており、シャフト28及び筒部18の軸方向に沿って基台24側がS極、底部14側がN極とされてシャフト28の軸線を介して可動マグネット32のN極側に設けられている。一方、マグネット36はネオジム合金やサマリウム−コバルト合金等の希土類永久磁石により平面視略半円形のブロック状若しくは板状に形成されており、シャフト28及び筒部18の軸方向に沿って基台24側がN極、底部14側がS極とされてシャフト28の軸線を介して可動マグネット32のS極側でマグネット34から所定距離離間して配置されている。
【0035】
各マグネット34、36の湾曲面とは反対側には平面視半円形でシャフト28の軸方向に沿って貫通した切欠部52が形成されている。これらの切欠部52は互いに対向しており、全体的には平面視略円形で上述したシャフト28と同軸の間隙40を形成する。この間隙40を円形とみなした場合の内径寸法は可動マグネット32の外径寸法よりも大きく、その内側に可動マグネット32を挿入でき、且つ、挿入状態で可動マグネット32の外周部と間隙40の内周部との間には隙間が形成される。
【0036】
このマグネット34の外周側側方には、合成樹脂材等の非磁性材料により形成された連結手段としての連結片44が設けられており、この連結片44を介してマグネット34は筒部18へ一体的に連結されている。また、マグネット36の外周側側方には、合成樹脂材等の非磁性材料により形成された連結手段としての連結片46が設けられており、この連結片46を介してマグネット36は筒部18へ一体的に連結されている。
【0037】
また、マグネットユニット38の軸方向両端部には、規制手段としてのリング状の規制リング42が設けられている。この規制リング42は内径寸法がシャフト28の外径寸法よりも僅かに大きく、間隙40の内径寸法よりも小さい。両規制リング42は何れも間隙40に対して同軸的にマグネットユニット38に固着されている。これらの規制リング42にはシャフト28或いは可動マグネット32が貫通しており、シャフト28及び可動マグネット32がシャフト28の軸方向に対して傾斜した方向へ変位しようとすると、規制リング42がシャフト28或いは可動マグネット32に干渉してその変位を規制する。
【0038】
上述したように可動マグネット32とマグネット34、36は何れも永久磁石であり、しかも、各々は上述した向きに磁極が向けられているため、各々が形成する磁界は互いに影響しあい、相対的にマグネット34、36が可動マグネット32を引き付ける吸引力と、相対的にマグネット34、36が可動マグネット32を引き離す反発力と、の双方が作用する。可動マグネット32に作用する力の向きと大きさは、マグネット34、36と可動マグネット32との位置関係で変化する。なお、以下、マグネット34、36の磁界と可動マグネット32の磁界との相互作用に起因して可動マグネット32に付与される力を、上述したラバーマウンティング22の弾性力と明確に区別するため、便宜上、「磁気付勢力」と称する。
【0039】
ここで、図4には、マグネット34、36に対する可動マグネット32の位置と磁気付勢力の向き並びに大きさとの関係がグラフによって示されている。なお、このグラフ及び後述する図5のグラフにおいて、位置が「0」の状態とは、シャフト28の軸方向に沿った方向の可動マグネット32の両端面と同じ方向のマグネット34、36の両端面が略面一になる程度まで可動マグネット32が間隙40内に入り込んだ状態(図1の図示状態)である。また、この「0」の位置よりも負の位置とは可動マグネット32が基台24側(図1の上方側)に変位した状態で、正の位置とは可動マグネット32が底部14側(図1の下方側)に変位した状態を示す。これに対して、磁気付勢力の向きが正とは磁気付勢力の向きが可動マグネット32を基台24側(図1の上方側)へ付勢する状態を示し(以下、この方向の磁気付勢力を「正の磁気付勢力」と称する)、力の向きが負とは基台24とは反対、すなわち、フレーム12の底部側(図1の下方側)へ付勢する状態を示す(以下、この方向の磁気付勢力を「負の磁気付勢力」と称する)。
【0040】
図4のグラフに示されるように、本実施の形態のようなマグネット34、36と可動マグネット32とを備えた磁気回路では、位置が「0」の状態で正の磁気付勢力が最大になり、「0」位置を境にして基台24側、底部14側の何れに可動マグネット32が変位しても正の磁気付勢力が減少することがわかる。
【0041】
そこで、本エンジンマウント10では、基台24にエンジンが取り付けられた状態で正の磁気付勢力が最大となる位置(すなわち、0位置)から、正の位置(すなわち、底部14側)へ可動マグネット32が変位するにつれて漸次正の付勢力が小さく、更に、付勢方向が負の領域に入ってからは可動マグネット32が変位するにつれて漸次負の付勢力が大きくなる特定の範囲Aの略中央に可動マグネット32が位置するように、上述したラバーマウンティング22の弾性やマグネット34、36及び可動マグネット32の磁力が設定されている。しかも、本エンジンマウント10は、図4及び図5の範囲Aにおいて、基台24及び可動マグネット32の変位量に対する磁気付勢力の変化量が、ラバーマウンティング22の弾性力の変化量と略同じで且つ磁気付勢力の増減とは反対に増減するように(すなわち、磁気付勢力が減少した際にはラバーマウンティング22の弾性力が増加し、磁気付勢力が増加した際にはラバーマウンティング22の弾性力が減少するように)ラバーマウンティング22の弾性やマグネット34、36及び可動マグネット32の磁力が設定されている。
【0042】
一方、可動マグネット32のシャフト28とは反対側には制限手段としてのストッパ48が設けられている。ストッパ48は比較的硬質の合成樹脂材等により形成されており、可動マグネット32のシャフト28とは反対側の端部へ一体的に固着されている。このストッパ48はエンジンが基台24へ取り付けられた状態で底部14とストッパ48の底部14側の端部との間に所定の大きさの隙間が形成されるように大きさが設定されているが、この隙間の大きさ以上に基台24がフレーム12へ接近しようとすると、ストッパ48が底部14へ当接してその変位を制限する。
【0043】
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。基台24へ取り付けられたエンジンが作動してフレーム12に対して基台24が接離する接離方向、すなわち、シャフト28及び筒部18の軸方向に沿ってエンジンが振動すると、基台24がシャフト28及び筒部18の軸方向に沿って振動する。この基台24の振動はラバーマウンティング22へ伝達され、この振動に応じてラバーマウンティング22が弾性変形し、ラバーマウンティング22が弾性変形することで基台24の振動が吸収される。
【0044】
また、基台24がシャフト28及び筒部18の軸方向に沿って振動することで、シャフト28を介して基台24へ一体的に連結されている可動マグネット32がシャフト28の軸方向に沿って変位する。上述したように、エンジンが停止した状態では、図4及び図5における範囲Aの略中央に可動マグネット32が位置しているため、基台24の振動に伴い可動マグネット32が変位することで正の磁気付勢力が増減する。可動マグネット32はシャフト28及び基台24を介してラバーマウンティング22へ機械的に連結されているため、当然、正の磁気付勢力はラバーマウンティング22へ入力される。したがって、図5の実線で示されるように、本エンジンマウント10全体のばね力は、図5においては点線で示されるラバーマウンティング22の弾性力と図5においては一点鎖線で示される磁気付勢力との合力となる。
【0045】
ここで、図5に示されるように、範囲Aにおいては可動マグネット32の変位に伴う磁気付勢力の増減は、ラバーマウンティング22の弾性力の増減とは反対になる。しかも、このときの磁気付勢力の変化量の大きさとラバーマウンティング22の弾性力の変化量の大きさとが略同じであるため、ラバーマウンティング22の弾性力が増減してもラバーマウンティング22へ入力される磁気付勢力の増減により本エンジンマウント10全体のばね力は基本的に変化しない。すなわち、この状態では本エンジンマウント10全体のばね定数は「0」か若しくは「0」に極めて近い値となるため、ラバーマウンティング22を介した車体へのエンジン振動の伝達を極めて効果的に軽減できる。
【0046】
ところで、ラバーマウンティング22に入力される磁気付勢力は、言わば、従来周知のアクティブ制御ダンパにおける油圧等のアクチュエータからの外力に相当するものである。したがって、従来周知のアクティブ制御ダンパを用いても上記の作用と同等の作用を奏する。
【0047】
しかしながら、本エンジンマウント10では、従来周知のアクティブ制御ダンパの機構を応用したエンジンマウントとは異なり、外力(すなわち、磁気付勢力)の発生源として上述したような油圧アクチュエータ等のアクチュエータを必要としないため、設置スペースを小さくでき設置位置の制限も受けにくい。しかも、上述したマグネット34、36及び可動マグネット32は、基本的に本エンジンマウント10以外の装置や部材へ接続することがないため、その搭載作業も容易である。また、マグネット34、36及び可動マグネット32は何れも永久磁石であるためメンテナンス等も容易である。しかも、これらのマグネット34、36及び可動マグネット32はフレーム12内に収容された状態で、ラバーマウンティング22及び基台24によりフレーム12内に密封されるため、外部からの塵やゴミ等の異物がフレーム12内に侵入することはない。仮に、このような塵やゴミ等の異物がフレーム12内に侵入して間隙40に入り込んだ場合には、このような異物がマグネットユニット38に対する可動マグネット32の変位を妨げる可能性があるが、上述したように、本実施の形態ではフレーム12が密封されることで、フレーム12の外部から異物が侵入することはなく、この意味でもメンテナンスが不要若しくは仮にメンテナンスを行なうにしてもその作業が極めて容易になる。
【0048】
また、本エンジンマウント10では、マグネット34を筒部18(フレーム12)へ連結する連結片44と、マグネット36を筒部18(フレーム12)へ連結する連結片46と、が何れも合成樹脂材等の非磁性部材により形成されているため、マグネット34、36が形成する磁界を構成する磁力線の磁路に連結片44、46がなることはなく、磁界を構成する磁力線を吸引することはない。このため、マグネット34、36が形成する磁界を可動マグネット32が形成する磁界との相互作用に充分寄与させることができる。このため、不要にマグネット34、36を大型化したり、マグネット34、36の保磁力を大きくしたりする必要がなく、この意味で本エンジンマウント10全体を小型化でき、且つ、コストを安価にできる。
【0049】
さらに、本エンジンマウント10では、可動マグネット32を基台24へ連結するシャフト28と可動マグネット32のシャフト28とは反対側に設けられたストッパ48とが何れも合成樹脂材等の非磁性部材により形成されているため、可動マグネット32が形成する磁界を構成する磁力線の磁路にシャフト28及びストッパ48がなることはなく、磁界を構成する磁力線を吸引することはない。このため、不要にマグネット34、36を大型化したり、マグネット34、36の保磁力を大きくしたりする必要がなく、この意味で本エンジンマウント10全体を小型化でき、且つ、コストを安価にできる。
【0050】
また一方で、本エンジンマウント10では、シャフト28の軸方向でもある間隙40の貫通方向に沿った方向に対して交差する方向からの図1に示す横力F1、F2が加わると、シャフト28及び可動マグネット32が筒部18の軸方向に対して傾斜した方向に変位しようとする。
【0051】
但し、本エンジンマウント10では、シャフト28に取り付けられて規制部30と基台24との間に配置されている図1及び図3に示す積層ゴム機構60が、それぞれ円板状に形成されるゴム板62と金属板64とをそれぞれ複数交互に間隙40の貫通方向に沿って積層した構造になっている。この為、間隙40の貫通方向に沿った方向に対して交差する横方向からの横力F1や斜め方向からの横力F2が基台24に加わった場合、この積層ゴム機構60のゴム板62が剪断変形等して規制部30と基台24との間に位置したシャフト28の部分を確実に変形できるようになる。しかし、シャフト28の軸方向でもある間隙40の貫通方向に沿った方向の力に対しては、積層ゴム機構60のゴム板62の変形量が小さく、主にラバーマウンティング22が変形してラバーマウンティング22に弾性力が発生する。
【0052】
これに伴って、本実施の形態では、ゴム板62及び金属板64がそれぞれ円板状に形成されていることから、間隙40の貫通方向に沿った方向に対して例えば直交する何れの方向から横力F1や何れの斜めの方向からの横力F2が加わった場合でも、所定以上の大きさの横力F1、F2でこの積層ゴム機構60がシャフト28をより確実に変形することができる。そして、積層ゴム機構60より規制部30側寄りのシャフト28の部分に対してこの規制部30が干渉して、間隙40の貫通方向に対して直交する方向に沿ったマグネット34、36に対する可動マグネット32の相対的な変位を、この規制部30が規制する。
【0053】
つまり、規制リング42だけでなく規制部30がシャフト28或いは可動マグネット32の外周部に干渉してその変位を制限するため、シャフト28や可動マグネット32がマグネット34、36へ接触するようなことはなく、筒部18の軸方向に沿った方向にのみシャフト28及び可動マグネット32の変位が制限される。この結果として、所定以上の大きさの横力F1、F2で積層ゴム機構60がシャフト28を変形して、マグネット34、36と可動マグネット32との間に、確実にすきまを常時設けておくことができるので、マグネット34、36と可動マグネット32とが接触することが無くなるのに伴って、エンジンマウント10の耐久性が向上する。
【0054】
すなわち、可動マグネット32やシャフト28がマグネット34、36へ接触することによるマグネット34、36や可動マグネット32の損傷を防止でき、しかも、筒部18の軸方向に対して傾斜した方向へ可動マグネット32が変位することによる反発力及び反発力の変化量への影響を防止できることにもなる。
【0055】
さらに、本実施の形態では、積層ゴム機構60が存在することから、フレーム12の軸方向に対してシャフト28が自らの軸方向を傾斜させるように変位しようとした場合でも、規制リング42や規制部30によるシャフト28への過大な干渉を防止することができる。
【0056】
<第2の実施の形態>
次に、本発明のその他の実施の形態について説明する。なお、以下の各実施の形態を説明するにあたり、上述した第1の実施の形態並びに説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位については、同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0057】
図6に示すように本実施の形態では、積層ゴム機構60を構成する金属板64の断面が円弧状に形成されている。つまり、この金属板64が例えば半球状に形成された構造になっている。従って、本エンジンマウント10によれば、積層ゴム機構60の金属板64の断面が円弧状に形成されるのに伴って、この金属板64に挟まれる形となるゴム板62の断面形状を円弧状に形成でき、このゴム板62も例えば半球状に形成された構造にできる。
【0058】
この結果として、間隙40の貫通方向に沿った方向に対して例えば斜めの何れの方向から横力F2が加わった場合でも、所定以上の大きさの横力F2でこの積層ゴム機構60がシャフト28をより確実に変形して、マグネット34、36と可動マグネット32との間にすきまを常時設けておくことが可能となる。
【0059】
<第3の実施の形態>
図7には本発明の第3の実施の形態に係るエンジンマウント70の構成が概略的な正面断面図によって示されている。
上述した各実施の形態では、シャフト28が1本であり、これに伴って可動マグネット32及びマグネットユニット38は何れも1組であった。これに対して、図7に示す本実施の形態のエンジンマウント70では、基台24に連結されるシャフト28の一端側を1本としているものの、可動マグネット32と連結されるシャフト28の他端側を2本としている。つまり、本実施の形態では、上側の1本のシャフト28に取り付けられる積層ゴム機構60の下側部分には、2本のシャフト28がそれぞれ取り付けられた構造となっている。
【0060】
これに合わせ本実施の形態では、マグネット36を介してマグネット34とは反対側に更にマグネット34を設け、マグネット36とマグネット34との間に2本のシャフト28にそれぞれ繋がる可動マグネット32をそれぞれ設ける構造とされている。以上より、本実施の形態も積層ゴム機構60を有しているので、第1の実施の形態と同様にマグネット34、36と可動マグネット32とが接触することが無くなるのに伴って、エンジンマウント70の耐久性が向上することになる。
【0061】
上記各実施の形態の柔軟機構として積層ゴム機構60をそれぞれ用いたが、横力によりシャフト28を変形可能とするものであれば良く、例えばユニバーサルジョイント等の他の機構を採用しても良い。また、上記第1の実施の形態及び第3の実施の形態において、積層ゴム機構60を構成するゴム板62及び金属板64をそれぞれ円板状に形成したが、四角形等の多角形やその他の形状としても良い。さらに上記第2の実施の形態において、金属板64及びゴム板62をそれぞれ半球状に形成したが、これらを単に半円形の板状に形成しても良い。
【0062】
さらには、上述した各実施の形態では、何れも、磁性部材に可動マグネット32を適用した構成であったが、可動マグネット32に変えて鉄等の永久磁石へ接近することで磁化される強磁性体を用いてもよい。
【0063】
この構成と第1の実施の形態とを比べた場合、第1の実施の形態では、反発力のピークは基本的に1箇所であるが、可動マグネット32に変えて鉄を用いた場合には、ピークが2箇所形成されることが実験的に確認されている。すなわち、この構成の場合には、図4及び図5における範囲Aが2箇所形成されることになる。したがって、一方の範囲Aから外れて磁性部材としての鉄が変位したとしても、他方の範囲Aに磁性部材としての鉄が位置すれば、再び、同様の作用、効果を得ることができる。これにより、例えば、一方の範囲Aをエンジンがアイドリングした状態での振動範囲、他方の範囲を車両走行時における振動範囲となるように、各部材の特性を設定することで、アイドリング時と走行時の双方の振動の伝達を遮断することが可能となる。
【0064】
なお、上述した各実施の形態では、マグネットとしてのマグネットユニット38をフレーム12に取り付け、磁性部材としての可動マグネット32をシャフト28に取り付けた構成であった。しかしながら、このような構成以外に磁性部材をフレーム12に取り付けると共に、マグネットをシャフト28に取り付ける構成とし、実質的に磁性部材を固定することでマグネットが可動する構成(マグネットに対して相対的に磁性部材が動く構成)としてもよい。但し、このような構成では、磁性部材を永久磁石で構成した場合にはマグネット及び磁性部材の何れか一方の磁極の向きが上述した各実施の形態とは反対方向に向き、磁性部材を鉄等の強磁性体(永久磁石となっていない磁性体)で構成した場合にはマグネットの磁極の向きが上述した各実施の形態とは反対方向に向くことになる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、複数のマグネットが形成する磁界の影響で磁性部材を付勢する付勢力(磁気付勢力)を緩衝部材に入力することでエンジン振動時等における振動範囲において緩衝部材の弾性力と磁気付勢力の合力を一定とでき、これにより、振動系の見かけ上のばね定数を概ね「0」にできるため、車体への振動伝達を効果的に防止或いは軽減できる。
さらに、マグネット間の接触を防止して、エンジンマウントの耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るエンジンマウントの構成の概略を示す正面断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るエンジンマウントの構成の概略を示す平面断面図で図1の2−2線に沿った断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るエンジンマウントの積層ゴム機構周辺の拡大図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における永久磁石である磁性部材の位置と複数のマグネットの磁力と永久磁石である磁性部材の磁力との相互作用による力の向き及び相対的な大きさの変化との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第1の実施の形態における永久磁石である磁性部材及び取付部の位置に対する複数のマグネットの磁力と永久磁石である磁性部材の磁力との相互作用による力の向き及び相対的な大きさ、緩衝部材の弾性力の大きさ、及びこれらの力の合力の相対的な変化を示すグラフである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るエンジンマウントの積層ゴム機構周辺の拡大断面図である。
【図7】本発明に第3の実施の形態に係るエンジンマウントの構成の概略を示す正面断面図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
12 フレーム
22 ラバーマウンティグ(緩衝部材)
24 基台(取付部)
28 シャフト(連結手段)
30 規制部(規制手段)
32 可動マグネット(磁性部材)
34 マグネット
36 マグネット
42 規制リング(規制手段)
44 連結片(連結手段)
46 連結片(連結手段)
60 積層ゴム機構(柔軟機構)
62 ゴム板(ゴム材)
64 金属板(金属材)
70 エンジンマウント

Claims (6)

  1. 磁極の向きが互いに相反する方向とされた状態で前記磁極の向きに対して直交する方向に並んで配置されると共に、前記磁極の向きに貫通した間隙が各々の間に形成された複数のマグネットと、
    強磁性体若しくは極性が前記間隙の貫通方向一方の側での前記複数のマグネットの極性とは反対の永久磁石により前記間隙へ挿入可能に形成されると共に、前記間隙中の所定位置を介して前記貫通方向両方向の所定範囲内では前記マグネットの磁界の影響で前記貫通方向一方の側へ付勢され、且つ、前記所定位置で当該付勢力が最大となる磁性部材と、
    前記間隙の貫通方向に沿った方向の一方の側に車両のエンジンが取り付けられて前記エンジンを支持する取付部と、
    車体の適宜位置に取り付けられて前記複数のマグネット及び前記磁性部材を収容すると共に、前記複数のマグネット及び前記磁性部材のうち前記取付部へ取り付けられていない側が一体的に取り付けられたフレームと、
    前記取付部及び前記フレームの何れか一方に一端側が連結されると共に、前記複数のマグネット及び前記磁性部材の何れか一方と他端側が連結されて他端側が当該何れか一方を支持する連結手段と、
    前記連結手段に取り付けられ且つ、前記間隙の貫通方向に沿った方向に対して交差する方向から加わる横力により前記連結手段を変形可能とする柔軟機構と、
    前記間隙の貫通方向に沿った方向の弾性力を有しつつ前記取付部と前記フレームの双方へ連結されると共に、前記所定位置から前記所定範囲内の前記所定位置よりも前記貫通方向他方の側の特定位置までの特定の範囲で前記弾性力と前記磁界の影響による付勢力との合力が一定の大きさとなり、且つ、前記取付部への前記エンジンの取付状態では前記合力で前記磁性部材を前記特定の範囲内に位置させる緩衝部材と、
    を備えるエンジンマウント。
  2. 前記柔軟機構が、ゴム材と金属材とをそれぞれ複数交互に前記間隙の貫通方向に沿って積層した積層ゴム機構とされることを特徴とする請求項1記載のエンジンマウント。
  3. 前記積層ゴム機構を構成する前記金属材が円板状に形成されることを特徴とする請求項2記載のエンジンマウント。
  4. 前記積層ゴム機構を構成する前記金属材の断面が円弧状に形成されることを特徴とする請求項2記載のエンジンマウント。
  5. 前記連結手段に対して直接或いは間接的に干渉可能に設けられ且つ、前記間隙の貫通方向に対して直交する方向に沿った前記複数のマグネットに対する前記磁性部材の相対的な変位を規制する規制手段が備えられたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のエンジンマウント。
  6. 前記規制手段と前記取付部との間に前記柔軟機構が配置されることを特徴とする請求項5記載のエンジンマウント。
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