JP2004156171A - 繊維成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動車内装材用繊維材のバインダーとして、特に天井材部位に使用する場合に十分な剛性と熱的性能及び熱成形性を兼ね備え、さらに繊維材にバインダーを塗布加工する工程、あるいは塗布繊維材を熱成形する工程、自動車の車内に内装材として装着されてからの実用時にホルムアルデヒド及び他の有害成分を発生させない成形バインダーを提供する。
【解決手段】特表2000−506940、特表2000−507279、特表2000−508000、特表2000−515116に報告されている熱架橋水性アクリル樹脂を用い、更にこれに他の水性樹脂エマルジョン(またはラテックス、ディスパージョン等)を加える。
【選択図】 なし
【解決手段】特表2000−506940、特表2000−507279、特表2000−508000、特表2000−515116に報告されている熱架橋水性アクリル樹脂を用い、更にこれに他の水性樹脂エマルジョン(またはラテックス、ディスパージョン等)を加える。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は繊維成形体の用途のうち自動車内装材として用い高剛性と耐熱性および熱成形性が要求される天井材等の部位に利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用内装材用途として使用される不織布は、各部位に多く使用されている。部位としてはフロアー、ドアトリム、トランク、リアパーシェルセルフ、天井材、シートなどがある。その部位の多くは成形されていて、成型繊維体は繊維材とバインダーで構成されている。繊維材にバインダーを塗布・乾燥して、繊維間を結合・固着させ、そうすることで不織布の毛羽立ち、ほつれなどを防止し、またしっかり感、引張り強度のアップなどの耐久性を付与させ、さらに熱成形機で成形する部位においては成形賦型性などの機能を付与している。
【0003】
一方、繊維材にその繊維材の融点より低い融点を有する熱溶融繊維バインダーをあらかじめ不織布製造時に混合しておき、熱成型時にその熱溶融繊維バインダーが溶融する温度で基材繊維が溶融しない温度で成形して繊維成形体を製造する方法もあるが、ここでは水系樹脂バインダーを使用している。
【0004】
水系樹脂バインダーは水分散タイプが多く用いられ、使用部位により異なるがSBRラテックス、NBRラテックス、アクリルエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ウレタンエマルジョン、エポキシエマルジョン、等の各種ラテックス、エマルジョンあるいはディスパージョンが利用されていて、それぞれ各部位に応じて要求される繊維の種類、繊維の使用形態、例えば耐久性、意匠性、難燃性、成形性などの要求性能に単体もしくは混合で使用されている。
【0005】
近年、自動車用内装材において、室内の構成材からの揮散性物質で人体に悪影響を及ぼす恐れのある物質である残留モノマー、ホルムアルデヒド、有機溶剤、可塑剤、環境ホルモン物質、その他揮発性物質などを含有している材料は極力使用しない方向である。
【0006】
その揮発性物質の中でホルムアルデヒドを発生する材料は使用しない方向に進んでいて、自動車メーカーの中には各材料の含有量の数値規制化の動きもあり、また最終製品中の残留量あるいは発生量は少なくても、加工工程で処理基材から多量に揮散する場合は労働環境面からも削減の方向である。
【0007】
自動車内装材のシート、フロアー、トランク部位などの不織布繊維のバインダーとして水系アクリル共重合体エマルジョンや水系ラテックスが多く使用されている。この場合に成形体の硬さ、耐熱、耐久性を上げるためのバインダー樹脂の架橋手法として、N−メチロールアクリルアミド等の官能性共重合モノマーを共重合させた熱架橋性のバインダーがよく用いられる。この熱架橋性バインダーを使用した不織布は引張り強度、伸び、引き裂き強度、硬さなどの機械的特性が向上すると共に寸法安定性、耐水性、耐薬品性、耐熱性などの実用耐久性が改善される。
【0008】
しかしこのメチロール基の縮合反応を利用する場合には、繊維に塗布されたシートを乾燥する時の加熱工程、及び次工程の塗布不織布面にポリエチレンラミネート加工する時に縮合反応が進行する。縮合反応が進行すると同時に反応機構上ホルムアルデヒドが発生し、こうした加工時に発生したホルムアルデヒドは乾燥・加熱工程で殆どが系外に揮散するが、完全に不織布繊維材から除去することは難しく、製品中に残存して時間の経過とともに自動車室内に揮散して人体への環境を悪化させる。また、加工工程において発生したホルムアルデヒドを含む排気を放置すれば工場内、外に有毒な物質を排出することになり、人体への影響は否めない。
【0009】
また、自動車内装材の天井部位ではPP/ガラスマット、綿フェルト、ダンボール、ウレタン硬化フォーム、などの構造材に不織布を表皮として貼り合わせて積層成型体として使用されている。天井材は自動車の部位では材料として最も夏場の温度の影響を受けやすい部位であり、積層体の要求性能として耐熱変形性が要求される。これら構造体の成形には耐熱性、高剛性、成形性などの観点から熱硬化樹脂タイプのバインダーが多く用いられる。熱硬化樹脂のバインダーとしてはフェノール樹脂、メラミン樹脂などの水溶液タイプ、粉末タイプ、あるいは、アクリル樹脂エマルジョン、ラテックス等、熱可塑樹脂の水性分散体の中に前記の熱硬化パウダーあるいは熱硬化水溶液を混合した系などが多く用いられる。
【0010】
これら熱硬化樹脂バインダーを使用する天井材の成形も前記内装材同様、それぞれの構造体にそれぞれのバインダーを含浸塗布させ乾燥して成形したり、パウダーの形態のバインダーの場合には繊維に均一に分散させた後、熱成形することで繊維成形体を得る。表皮の不織布はシートの熱成形時に熱溶融樹脂パウダー、ホットメルトフィルム、ホットメルトウエブ等にて同時に張り合わされるかまたは成形後接着剤で貼り合わされて積層体となる。
【0011】
これら熱硬化樹脂バインダーのフェノール樹脂組成物やメラミン樹脂組成物の多くには、ホルマリン系重縮合物が使用されている。これらの樹脂は加熱により縮合反応を起こさせることによって、分子間で3次元架橋を生じさせて強固な成形体を得るものであるが、ホルムアルデヒドの発生が少なからずともある。近年各社から低ホルムアルデヒドタイプとして発生量を低減したものや、各種ホルマリンキャッチャー剤の使用などで成形部材からのホルムアルデヒドの放出を低減するよう対策が施されているが、完全な除去はできていない。
【0012】
このように、現在自動車繊維内装材の部材に使用しているバインダー樹脂には、人体に有毒であるホルムアルデヒドの揮散をするものが少なからずとも見受けられる。
【0013】
このような観点から、バインダー樹脂のホルムアルデヒドの揮散をなくす検討が進められていて、水系アクリルエマルジョン共重合体などにおいては重合・架橋技術の開発が進められているが、まだ現在の技術に代わるものは見られない。
【0014】
バインダーを使用しない方法としては、低熱溶融繊維をバインダーとして不織布内に混合しておき、ニードルパンチングして一体化をして成形の熱で低熱溶融樹脂を溶融させて成形するものも比率として多くなってきているが、全般に部位としての繊維体の剛性は不足している。
【0015】
特に天井材の部位のような耐熱性、剛性を満足させ、また成形中、及び成形後に人体に有害となるホルムアルデヒド等を発生しないすべての条件を満たせる繊維成形バインダーはいまだ少ない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
このような背景から、自動車内装材用繊維材のバインダーとして特に天井材部位に使用する場合に十分な剛性と熱的性能及び熱成形性を兼ね備え、さらに繊維材にバインダーを塗布加工する工程、あるいは塗布繊維材を熱成形する工程、または自動車の車内に内装材として装着されてからの実用時にホルムアルデヒド及び他の有害成分を発生させない成形バインダーを提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者は自動車内装材の天井部位の成形用バインダーとして適合する樹脂を各種選定した結果、特表2000−506940、特表2000−507279、特表2000−508000、特表2000−515116に報告されている熱架橋水性アクリル樹脂を用い、更にこれに他の水性樹脂エマルジョン(またはラテックス、ディスパージョン等)を加えることで、従来にない自動車内装材としての繊維成形体を得ることができた。この繊維成形体は成形加工時及び、自動車内装部材として使用した時にホルムアルデヒド及び他の有害物質の発生がなく、また従来品と変わらない剛性と耐熱性の優れた繊維成形体を得ることができた。
【0018】
熱架橋水性アクリル樹脂は各種繊維材結合材用(バインダー用)に開発されたもので、ポリマーA)はエチレン性不飽和酸無水物またはカルボン酸基が酸無水物基を形成することができるエチレン性不飽和ジカルボン酸からなるラジカル重合により得られる水溶液、あるいは分散液である。成分B)は熱架橋剤として少なくとも2つのヒドロキシル基を有するアルカノールアミンで、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン及びメチルジイソプロパノールアミンが挙げられ、そのうち特にトリエタノールアミンが有効である。成分A)のカルボキシル基および成分B)のヒドロキシル基のモル比は5:1〜1.7:1であるような割合が特に有効である。さらには水性結合剤としてリン含有反応促進剤を0.3重量%未満含有する場合もあり、リン含有反応促進剤としてはアルカリ金属ハイポホスファイト、ポリホスファイト、リン酸二水素、ポリリン酸、次亜リン酸、リン酸、アルキルホスフィン酸及びこれらの塩及び酸のオリゴマーもしくはポリマーが挙げられる。
【0019】
この熱架橋水性アクリル樹脂は、130℃で15分乾燥させた後に50%を上回るゲル含有率を有するホルムアルデヒドを含まない水性のバインダーである。
【0020】
この熱架橋水性アクリル樹脂は水分を加熱除去してさらに高温雰囲気でポリマー分子と架橋剤との反応を完結させることでその機能が発現できるのであるが、該樹脂の塗布後のバインダーが受ける乾燥と成形時の熱履歴(温度と時間)が不充分であると未架橋部分が残り、その部分は親水性であるため水に対する溶解性がある。この点について改良するには、対策として塗布後の乾燥・成形温度・時間を十分とる必要があるが、塗布される汎用の有機合成繊維の場合にはそれぞれの繊維樹脂の軟化点(融点)を越えると繊維自体が軟化・溶融して外観不良を引き起こし、商品として欠陥品となる。
【0021】
我々はこの対策として、特表2001−515116に記載されている熱架橋水性アクリル樹脂に水性樹脂エマルジョンをブレンドしてバインダーの吸湿性を改善する方法に着目した。さらにその使用する水性樹脂エマルジョン(ラテックス、ディスパージョン等)のTgを90℃〜150℃のものに選定して、熱架橋水性アクリル樹脂と水性樹脂エマルジョン(ラテックス、ディスパージョン)をブレンドすることで熱架橋性水性アクリル樹脂の未架橋部の耐水性を改良し、耐熱性を低下させず、繊維成形体の成形加工性を向上させることができた。
【0022】
この水性エマルジョンをブレンドすることで相互の樹脂の特徴を十分に引き出すことができ、自動車内装材の天井部材として要求性能を十分満足させ、ホルムアルデヒド等有害となる物質を含まない繊維成形体を得ることができた。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に本発明における実施の形態を詳述する。
【0024】
実施例に示す通り、自動車天井材は400〜2000g/m2のポリエステル不織布層または雑綿フェルト層(1)、70〜200g/m2のポリエステルまたはその他樹脂不織布表皮層(3)、熱架橋水性アクリル樹脂中に水性樹脂エマルジョンが分散したバインダー含浸繊維材層(2)、20〜200μmの熱融着ホットメルトフィルム層(4)で構成される。(図−1〜3)。
【0025】
本構成は従来の自動車天井材構成材であるポリプロピレン樹脂/ガラス繊維シート/不織布、フェノール樹脂含浸/ガラス繊維/不織布、ガラス繊維/ウレタンフォーム/不織布の組み合わせのように、無機ガラスのような無機高剛性繊維基材を使用しないことを特徴とする。
【0026】
該天井材の樹脂含浸繊維材層及び表皮材に使用する繊維はポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ウレタン、ビニロン、ポリプロピレン、アセテート繊維などの合成繊維、あるいは綿、麻、ウール、ケナフ繊維などの天然繊維をニードルパンチング、スパンボンディングしたものが多く用いられ、繊維の太さは通常1〜5デニール程度のものである。これらの繊維は単独あるいは混紡して利用される。現在、価格・性能面からポリエステル繊維とポリプロピレン繊維が最も多く利用されている。また資源のリサイクルの観点からペットボトル再生繊維、内装材再生品を混紡したものも多く利用される。また価格面から再生フェルトもよく利用されている。
【0027】
本技術で使用する実際の繊維は、該熱架橋水性バインダーの熱架橋温度が160℃〜220℃(成形時間が1〜10分の時)と高いので、汎用の合成樹脂繊維としてはポリエステル繊維、ナイロン繊維のように、これらの温度領域で熱溶融(軟化)、あるいは熱収縮をしない高融点繊維が好ましい。これら以外の低融点繊維を使用する時は、繊維への熱的影響を避けるために成形の温度(架橋温度)を下げて成形することでこの問題は解消できるが、温度を下げると反面、架橋時間が長くかかり生産の効率が悪くなるので注意する。
【0028】
これら不織布繊維あるいはフェルトにバインダーを塗布する場合の方法としては、スプレー塗工、含浸塗工、泡塗工、転写塗工などの方法があり、本構成材の場合は塗布量が多いので含浸塗布を行い、その後のニップロールで塗布量を調整する。繊維材の一部を表皮部分として使用する場合には、フロス塗工(泡塗工)でバインダーの塗布量と塗布深さを調整する。また、塗工方法に合わせて液を適性粘度に調整するために希釈したり、増粘剤を添加して増粘したりする。またフロス塗工するためには発泡剤を任意量添加して適正な発泡倍率に設定する。また使用する繊維の種類により、また表面処理剤などが塗布されている場合には水系のバインダーをはじいて塗布しにくい繊維材も見られるので、その場合には塗布し易くするために市販の湿潤剤(ぬれ剤)を添加することもある。
【0029】
該自動車天井材の構成材として不織布あるいはフェルトに塗布するバインダーの塗布量は、部位の最終構成体(成形体)の機械的強度で決定される。車種により多少異なるが、強度の目安として曲げ剛性値で10〜12N/cm2(JISK7203法で測定した値)が必要である。これらの値を達成するには不織布の目付け(重量)、密度、繊維の種類にもよるが400〜2000g/m2の重量の不織布を使用する。400g/m2より軽いとバインダー塗工量を多く塗布しないと構成材としての剛性が得られず、また塗布量が多くなることでコストが高くなる。
【0030】
また2000g/m2以上になるとバインダーを塗布してから水分を除去する乾燥工程で時間がかかり、生産性が落ちて構成材のコストが高くなり構成材として不適である。600〜1000g/m2の不織布基材が好ましい。
【0031】
この不織布基材のベースにバインダーを塗布する場合は、不織布の重量に対して20〜300重量%(乾燥後樹脂量)、好ましくは50〜150重量%(乾燥後樹脂量)のバインダーを塗布することで構成材として適合する。バインダー塗布量が20重量%以下だと構成材としての剛性と賦形性(成形性)が達成できず、また塗布量が300重量%以上になると乾燥工程で生産性が上がらずコストが高くなる。繊維基材の目付けとバインダー塗布量は構成材の性能と経済性から適性な量を決めることが必要であるが、600〜1000g/m2の不織布基材重量の0.5倍〜1.2倍のバインダー塗布量(樹脂乾燥重量)が天井構成材として好ましい。
【0032】
不織布あるいはフェルトにバインダーを塗工した繊維材の乾燥では、通常の熱風式乾燥炉を使用して水分を除去する。水系の乾燥の場合は熱風の温度と風量を十分にとる必要があり、また乾燥の速度を上げるには熱風乾燥炉の前後にドラムドライヤーを設けて補助加熱を行うか、または遠赤外線ヒーターや、加熱オイル、蒸気などを熱源とした伝熱板を併用して乾燥効率を上げる方法がとられる。熱架橋水性バインダーは加熱により架橋反応が進行して硬化する特性があり、乾燥工程で熱架橋が完結すると熱成形時に金型での賦型が行えず、良好な形状の成形体が得られないことになる。そのため、水分を除去する乾燥工程では架橋反応があまり進行しない温度領域で乾燥を行い、次工程の熱成形時に架橋反応が完結するように加熱工程を2段階に考える必要がある。
【0033】
その乾燥温度の目安としては、乾燥ラインの温度とスピードの設定にもよるが繊維材塗布バインダーの温度を105〜130℃に管理し、樹脂の架橋度(ゲル分率)が50%を越えないように条件設定する。好ましくは繊維材及び樹脂中に水分が5〜10重量%残存した状態で乾燥工程を終了するように条件設定する。
【0034】
次に、予備乾燥された繊維材を成形するのには、本発明の熱架橋性水性樹脂を160〜220℃で1〜10分加熱することで架橋反応が起こるが、これらの条件の温度か時間のどちらかが不充分であると架橋が不充分で繊維成形体の剛性が十分達成できず、またバインダー樹脂中に親水性の部分が残り、水分を吸水して成形後の寸法の変化、形状の変形、耐熱性の不足、剛性の経時低下などが起こる。このため、成形条件には熱架橋水性アクリル樹脂の架橋の完結を考えて十分に留意する必要がある。また繊維の種類を事前に把握しておき、繊維の軟化温度には十分留意しておくことが必要である。つまりバインダーの架橋条件設定のみに留意していると成形時に繊維の溶融、収縮により繊維成形体の厚み、巾、長さなどの寸法不足あるいは変形などが起こり、満足な成形体を得ることができない。
【0035】
成形の方法としては、バインダーが塗布・乾燥された繊維材をそのまま加熱・加圧成形する直接熱プレス法と、塗布・乾燥された繊維材を加熱炉を通してプレヒートしてバインダーを軟化させておき、冷却プレスで加圧成形するコールドプレス法がある。直接熱プレス法は加熱賦型の金型と成型後の冷却金型の2金型が必要になるので設備の経済性でやや劣る。繊維材シートを成形した後の内装材として十分な剛性を得るためには、構成する不織布の重量とバインダーの塗工量の設定に負うところが大きいが、成形時に繊維材の厚みを圧縮して成形体の繊維密度を上げることで剛性が飛躍的に増大する。しかし反面、密度を上げる(圧縮する)ことは成形体の重量の増大と基材の使用量が増えることになる。構成材の部位を考慮して加工条件で適性な厚みに設定する必要がある。
【0036】
ベース不織布基材の目付け(重量)とバインダーの塗布量にもよるが、ベース不織布の厚みを100%とすると最終厚みを40%〜60%に圧縮することで十分な剛性が得られることになる。
【0037】
該繊維成形体を加工する時、不織布基材に該バインダーを含浸して熱乾燥する場合には、熱成形時に繊維成形体の片側あるいは両面に表皮として同種、あるいは異種の表皮材を貼り合わせることで意匠性をもたせたり、成形体としてのボリューム感をもたせたり、繊維成形体の基材繊維を安価のものにしたりしてトータルコストを下げることができる(図−1)。
【0038】
またコストの面からは1枚の不織布で繊維成形体と表皮を兼ね備えることができる。すなわち片側面からバインダーを厚さの1/2〜3/4の深さまで含浸させ反対側はバインダーが染み出ないように表皮として残し、これを乾燥・熱成形して繊維成形体の天井材として利用する方法もある(図−2)。
【0039】
該繊維成形体と表皮の貼り合わせには、90℃以上の耐熱保持性を持つ一般市販のゴム系接着剤、ポリウレタン樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、EVA樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、シリコ−ン樹脂系接着剤等の接着剤などを該繊維成形体側、または貼り合わせる表皮側に塗布してWetで貼り合わせる方法や、熱可塑性の樹脂パウダーを該繊維成形体表面に均一に散布して成形時の熱で表皮を貼り合わせる方法、該繊維成形体側あるいは表皮側にポリエチレン樹脂、EVA樹脂、EAA樹脂、EEA樹脂、ホットメルト樹脂などのラミネート樹脂をラミネートしたもの、あるいは加熱成形時に繊維成形体と表皮の間にポリエチレン、EVA樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の単独フィルム、またはそれぞれのホットメルト化されたフィルムあるいはホットメルトウエブを挟みこみ、成形と同時に成形時の圧力と熱で繊維成形体と表皮を貼り合わせる方法などがある。本技術では、該繊維成形体と表皮との貼り合わせには表皮材及び繊維成形体より融点が40℃以上低く、耐熱性の面から90℃以上の融点を有する熱溶融性のオレフィン系ホットメルト樹脂フィルムを使用した。
【0040】
表皮材と接着用フィルムのそれぞれの厚みは、構成材としての強度が必要とされない限り、経済性の面から極力薄くする。実際の表皮として不織布の目付け量は70〜300g/m2で、70g/m2以下であると繊維成形シート層あるいは接着剤層が透けて外観上好ましくなく、また300g/m2以上であると経済性及び風合いなど表皮材としての意味合いも無くなってくる。成形後の風合い、コスト面などから、150〜200g/m2程度が適切な重量であると思われる。さらに表皮は該繊維成形体と熱成形時に同時に貼り合わせるため、シワが出ることなく成形型に追従できるように、伸び・張力・繊維感の復元力などの性能が要求される。
【0041】
接着用フィルムは実用面で表皮が剥がれたりする影響が出なければ、表皮材と繊維成形シートが一体化するだけの必要量あればよく、特に厚み・重量などに制約はない。
【0042】
自動車天井材としての要求性能を達成するためには、熱架橋水性アクリル樹脂95〜5重量%(樹脂分換算)に少なくとも1種類以上のTg90℃〜150℃の水性樹脂エマルジョン(または水性ラテックス、水性ディスパージョン)を5〜95重量%(樹脂分換算)ブレンドして繊維用バインダーとすることで、従来の水性樹脂バインダーを使用した繊維天井材にない耐熱安定性と剛性を兼ね備え、またホルムアルデヒドなどの有害揮散性物質を含まない性能を有することができた。
【0043】
熱架橋水性アクリル樹脂と水性樹脂エマルジョンの1種類あるいはそれ以上を混ぜ合わせる場合に各々の特徴を引き出すための最適なブレンド比率は、熱架橋水性アクリル樹脂40〜60重量%/水性樹脂エマルジョン(あるいはラテックスまたはディスパージョン)60〜40重量%近辺である。この比率に限定することなく各々の用途・構成に応じて混合比率を設定することができるが、熱架橋水性アクリル樹脂が少ないと耐熱性が不足する。
【0044】
ブレンドに使用する水性樹脂エマルジョンのTgは90℃以下の場合には自動車天井材としての耐熱性を達成できず、夏場の炎天下で繊維成形体が変形を起こしてしまう恐れがある。またTgが150℃以上の場合では、バインダーを不織布に塗布乾燥した時に、乾燥時の熱だけでは水性樹脂エマルジョンの造膜不足で水分が飛んだ後にフィルムにならず、微粉の状態で存在するので、繊維と繊維の融着が出来ずバインダーとしての役割が果たせない。また、その塗布材シートを移動する時に基材から粉落ちしてしまい、適性な塗布量を確保できなかったりまた周囲を汚したりする原因となるのでバインダーとしての適性を備えていない。
【0045】
耐熱性と成形性から、Tgは95〜120℃の域が適している。
【0046】
水性樹脂エマルジョンの種類であるが、ブレンド後の相互樹脂の相溶性、繊維基材への密着性などから、アクリル酸(メタクリル酸)−アクリル酸(メタクリル酸)アルキルエステル共重合体などのアクリル(メタクリル)系共重合体エマルジョンが適しているが、必ずしもこれに限定されない。該バインダーの耐熱性を上げるために、共重合できる95℃以上のTgをもつモノマーが利用される。例えばマレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、アクリルアミド、スチレン、α−メチル−スチレン、アクリロニトリル等の1種以上の共重合し易いモノマーが選定される。
【0047】
本発明でのTgの算出は、使用するモノマーのTgをその組成比率で表す計算Tgである。
【0048】
該バインダーに使用する水性樹脂エマルジョンの中では、特にスチレン−アクリル酸(メタクリル酸)−アクリロニトリル共重合体エマルジョン、アクリロニトリル−アクリル酸−アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンなど、アクリルニトリルを共重合成分とするものが成形後の繊維成形体の耐熱・圧縮曲げ強度に優れていている。
【0049】
また、その他には熱架橋水性アクリル樹脂のカルボキシル基と分子間で反応するグリシジル基や、水酸基をもったアクリル系共重合体エマルジョンや、水分散タイプのブロックイソシアネート剤の添加なども有効である。
【0050】
これらの共重合された水性樹脂エマルジョンを熱架橋水性アクリル樹脂とブレンドする時、イオン性の異なるものやpHが異なるものをブレンドする場合には、混合液が化学的に安定するようにどちらかにpH調整剤を添加したり、またノニオン、アニオン、カチオン系の分散剤あるいはイオン調整剤などを水性樹脂エマルジョンまたは熱架橋水性アクリル樹脂に添加したりして安定性をもたせる。
【0051】
【発明の効果】
本発明では、不織布に熱架橋性水性アクリル樹脂と耐熱性のある水性樹脂エマルジョンをブレンドして塗布し、加熱乾燥・成形することで成形後形状の安定した成形体を得る。本発明による繊維成形体は自動車天井材の部位としての要求性能に応じた十分な強度と剛性があり、また熱安定性に優れ、寸法変化率が小さく、さらに熱成形時、成形後の使用おいて人体に有害となるホルムアルデド等の有害物質の発生のない安全な成形体である。
【0052】
【実施例】
実施例
実施例1 まず繊維材シートに塗布するバインダーを作成する。
【0053】
熱架橋水溶性アクリル樹脂バインダーA:アクリル酸80/マレイン酸20の共重合体200gにトリエタノールアミンを30g混合させた水溶液(BASF社製 アクロデュア950L 分子量:16000、樹脂濃度:50%、pH:3.4、粘度:4500mPas、Tg:110.6℃)をイオン交換水153gで希釈攪拌し、樹脂濃度30%の均一な液383gを得る。同様に乳化重合法で得られたアクリル系共重合体エマルジョンバインダーB:スチレン60/アクリロニトリル35/アクリル酸5の共重合体230g(BASFディスパージョン社製 分子量:9500、樹脂濃度:50%、pH:7.8、粘度:210mPas、Tg:105.9℃)をイオン交換水153gで希釈攪拌し、樹脂濃度30%の液383gを得る。各々の希釈液を低速混合機に添加し、さらに花王社製乳化剤 サンノールOPを0.5重量%添加して10分間攪拌を行い、繊維成形用バインダーを得る。
【0054】
次に、糸の太さ2デニールのニードルパンチングされたポリエステル不織布(重量600g/m2、厚み7mm、幅30cm×40cm)に、バインダーを樹脂固形分で400g/m2(wet:1330g/m2)になるよう全含浸した繊維材を2本ロールで均一に絞り、塗布量を設定に合わせる。
【0055】
常圧熱風乾燥機を用いて110℃で30分間予備乾燥する。水分は絶乾状態ではなく5〜10%程残留していてもよい。最初の基材の重量を測定しておき、次に塗布した直後基材の重量を測定し、乾燥後の重量を測定して樹脂の塗布量と残留水分を計算することにより乾燥水分量を計算する。
【0056】
この予備乾燥された繊維材シート(1)をまず図−1のように温度コントロールの可能な遠赤外ヒーター(5)で、塗布シートの表面温度が200℃になるように設定し、繊維材が溶融しないで塗布バインダー(2)が軟化する時間として2分間その状態で保持する。次にその加熱されたシート(1)の温度が低下しないように、速やかに次工程の加圧成形型(6)に移動させて、その成形体の上部に100μmのホットメルトフィルム(4)をのせ、さらにその上に150g/m2の表皮用のポリエステル不織布(3)をのせて上下金型の間にセットする。その後塗布シートの温度が下がらないうちに速やかに加圧(1.0〜10N/cm2)・冷却成形した。
【0057】
加圧・成形することで繊維材シートは金型で賦形され、同時に繊維材シートの予熱でホットメルトフィルムは溶融して表皮材と接着される。
【0058】
成形金型は上型移動加圧タイプを使用した。補助的に下部金型の多孔穴から成形加圧と同時に減圧空気で引くと、更に成形後の形状がよりよく仕上がる。この繊維成形体は自動車の天井材の部位としての性能を有する構成材となった。
【0059】
成形された成形品(7)はPET不織布の繊維同士が該バインダーにより融着して一体成形賦型される。さらに成形時に加熱された温度で繊維シートに含浸されたバインダー樹脂は、熱的作用により架橋剤とポリマー分子間で架橋が起こり、高分子量化し、疎水化して強靭な架橋体となり、実用面で耐熱性と耐水性の優れた成形体を得ることができた。また表皮材を同時に貼り合わせることで、繊維質の風合いを持った外観の良好なものが得られた。
【0060】
図−2は表皮材貼り合わせタイプの成形体を切りだした断面図で、図−3は不織布単体にバインダーを2/3含浸したものを切りだした断面図である。この成形体を各々評価するため以下の項目の評価を行った。
【0061】
実施例1の成形体の曲げ強度(JIS K7203)を測定したところ12Nであり、天井材部材として十分な強度を得ることができた。
【0062】
また90℃の雰囲気中の耐熱性試験ではテストピースの先端垂れ量を測定することで優劣を判定した。先端垂れ量の目標15mm以内に対し、測定結果は10mmであり良好な結果を示した。
【0063】
コーナー部などのエッジは金型通りの形状が得られ、成形性は別途実機の金型によって作成したものを50℃〜(−20℃)サイクルテストを3サイクル行い、その後の形状の変形などを測定したが、特に寸法変化・そりなどの異常は見受けられなかった。
【0064】
また、バインダーからのホルムアルデヒドの発生は、製造工程中及び最終製品ともにそれぞれのサンプルを切りだし測定を行った結果、不検出(検出限界内)であった。
【0065】
実施例2と3では、バインダーの塗布量を替えることで曲げ強度が10N〜14Nのものが得られ、90℃の先端垂れ試験も8mm〜12mmと十分な値を示し、構成材としての性能を満足するものであった。
【0066】
さらに実施例3は不織布1枚で成形体を作成し、ホットメルトフィルムと表皮の不織布を削減することで、表皮貼りの構成に比べて経済性の高い構成材を狙うものである。
【0067】
比較例1は熱架橋水溶性アクリル樹脂バインダーを単独で使用した時の性能で、耐熱性についてはほぼ満足する値であるが、成形直後の形状が不充分で、さらに成型後の形状が日数の経過とともに水分の吸湿により直後の形状が保持されなかった。
【0068】
比較例2はブレンドするアクリル系水性樹脂エマルジョンBを単独使用した時の性能で、塗布時の成膜性の不良と耐熱性と曲げ強度が不足で性能面で不充分であった。
【0069】
比較例3はアルリル系樹脂エマルジョンのメチロール架橋タイプの耐熱グレードであるが、耐熱性と曲げ強度で劣り、成形後のホルムアルデヒド発生量が屋内内装材の基準であるE0値(>0.3ppm)を越える値を示しており、実用面で人体に対して影響が大きいと思われる。
【0070】
同様に比較例4は熱硬化タイプのウレア樹脂で成型した時のもので、性能的には満足するものの、ホルムアルデヒドの発生により適性な繊維バインダーではない。
【0071】
成形性の測定
成形終了後24時間経過した成形体の成形金型の寸法に対し、縦・横ともに±0.5%以内に入っていれば合格判定とし、それ以上であれば不合格とした。
【0072】
また、成形後の成形体の変形(エッジ部角度が変化したり、成形体の重量変化が0.5%以下であること、曲げ強度の変化がないこと)も測定して総合的に判定をした。実成形体での判定は(50℃、95%RH、24Hr)〜(−20℃、50%RH、24Hr)の3サイクルとした。
【0073】
耐熱性の測定(先端垂れ量の測定)
この成形体の耐熱性を測定するため、成形された成形体シートの平面部から5cm×30cm×厚み4mmのピースを切りだし作成する。この作成されたテストピースを、常圧乾燥器の中で一片を端から7cmのところを専用冶具で固定し、シートは床面の対し水平に固定する。雰囲気温度の設定は90℃にして、そのサンプル先端が元の位置から4時間後に低下した距離を測定する。
【0074】
10mm以下 ◎ 良好
10〜20 ○ 良
20以上 × 使用不可
曲げ強度(剛性)の測定
耐熱性の測定同様に成形された成形体の平面部の同一箇所を幅2.5cm×長さ10cmのテストピースを切り出し作成する。JIS K 7203法で圧縮3点曲げ強度を測定して成形体の剛性を比較した。テスト条件はインストロン試験機でテストスピード:1.45mm/min、支点間距離51mm、23℃の恒温室で測定した。
【0075】
10N以上 ◎ 良好
8〜10 △
8以下 × 使用不可
ホルムアルデヒド発生量の測定
JAS普通合板のホルムアルデヒド放散量試験法に準じた。成形されたサンプル150mm×50mm×4mmを10枚作成する。JIS R 3503に規定する大きさ240mmのデシケータ−の底部に300mlの蒸留水を入れる。サンプルが蒸留水と接触しないように設計された冶具にサンプルを10枚取り付け、デシケーター内で20℃、24時間密閉放置する。サンプルから放出されたホルムアルデヒドを蒸留水に吸収させて試料溶液とした。
【0076】
試料溶液中のホルムアルデヒドの濃度を、アセチルアセトン法により分光光度計を用いて比色定量した。
【0077】
検出せず ◎ 良好
0.3ppm以上 × 使用不可
予備乾燥状態の評価
繊維材に含浸塗布した樹脂バインダーを110℃で30分乾燥してその後の状態を観察した。
【0078】
繊維材に塗布したバインダーは予備乾燥工程で加熱・溶融が十分であると繊維材に十分に接着をして固着しているが、反面、その温度での溶融固着が不充分であるとエマルジョン粒子がお互いに融着しておらず、繊維材はたくとバインダーが粉落ちする状態になる。
【0079】
塗布した繊維材の下に黒色の紙を敷き、その上にバインダーが粉落ちした状態を判定した。
【0080】
〇 粉落ちせず
× 粉落ちする
【0081】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】繊維成形体を成形する方法を示した概略図。
【図2】表皮材貼り合わせタイプの繊維成形体を切りだした断面図。
【図3】不織布単体にバインダーを2/3含浸したものを切りだした断面図。
【符号の説明】
1 繊維材シート、 2 塗布バインダー、 3 表皮不織布、 4 ホットメルトフィルム、 5 遠赤外ヒーター、 6 冷却成形型、 7 成形品
【発明の属する技術分野】
本発明は繊維成形体の用途のうち自動車内装材として用い高剛性と耐熱性および熱成形性が要求される天井材等の部位に利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用内装材用途として使用される不織布は、各部位に多く使用されている。部位としてはフロアー、ドアトリム、トランク、リアパーシェルセルフ、天井材、シートなどがある。その部位の多くは成形されていて、成型繊維体は繊維材とバインダーで構成されている。繊維材にバインダーを塗布・乾燥して、繊維間を結合・固着させ、そうすることで不織布の毛羽立ち、ほつれなどを防止し、またしっかり感、引張り強度のアップなどの耐久性を付与させ、さらに熱成形機で成形する部位においては成形賦型性などの機能を付与している。
【0003】
一方、繊維材にその繊維材の融点より低い融点を有する熱溶融繊維バインダーをあらかじめ不織布製造時に混合しておき、熱成型時にその熱溶融繊維バインダーが溶融する温度で基材繊維が溶融しない温度で成形して繊維成形体を製造する方法もあるが、ここでは水系樹脂バインダーを使用している。
【0004】
水系樹脂バインダーは水分散タイプが多く用いられ、使用部位により異なるがSBRラテックス、NBRラテックス、アクリルエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ウレタンエマルジョン、エポキシエマルジョン、等の各種ラテックス、エマルジョンあるいはディスパージョンが利用されていて、それぞれ各部位に応じて要求される繊維の種類、繊維の使用形態、例えば耐久性、意匠性、難燃性、成形性などの要求性能に単体もしくは混合で使用されている。
【0005】
近年、自動車用内装材において、室内の構成材からの揮散性物質で人体に悪影響を及ぼす恐れのある物質である残留モノマー、ホルムアルデヒド、有機溶剤、可塑剤、環境ホルモン物質、その他揮発性物質などを含有している材料は極力使用しない方向である。
【0006】
その揮発性物質の中でホルムアルデヒドを発生する材料は使用しない方向に進んでいて、自動車メーカーの中には各材料の含有量の数値規制化の動きもあり、また最終製品中の残留量あるいは発生量は少なくても、加工工程で処理基材から多量に揮散する場合は労働環境面からも削減の方向である。
【0007】
自動車内装材のシート、フロアー、トランク部位などの不織布繊維のバインダーとして水系アクリル共重合体エマルジョンや水系ラテックスが多く使用されている。この場合に成形体の硬さ、耐熱、耐久性を上げるためのバインダー樹脂の架橋手法として、N−メチロールアクリルアミド等の官能性共重合モノマーを共重合させた熱架橋性のバインダーがよく用いられる。この熱架橋性バインダーを使用した不織布は引張り強度、伸び、引き裂き強度、硬さなどの機械的特性が向上すると共に寸法安定性、耐水性、耐薬品性、耐熱性などの実用耐久性が改善される。
【0008】
しかしこのメチロール基の縮合反応を利用する場合には、繊維に塗布されたシートを乾燥する時の加熱工程、及び次工程の塗布不織布面にポリエチレンラミネート加工する時に縮合反応が進行する。縮合反応が進行すると同時に反応機構上ホルムアルデヒドが発生し、こうした加工時に発生したホルムアルデヒドは乾燥・加熱工程で殆どが系外に揮散するが、完全に不織布繊維材から除去することは難しく、製品中に残存して時間の経過とともに自動車室内に揮散して人体への環境を悪化させる。また、加工工程において発生したホルムアルデヒドを含む排気を放置すれば工場内、外に有毒な物質を排出することになり、人体への影響は否めない。
【0009】
また、自動車内装材の天井部位ではPP/ガラスマット、綿フェルト、ダンボール、ウレタン硬化フォーム、などの構造材に不織布を表皮として貼り合わせて積層成型体として使用されている。天井材は自動車の部位では材料として最も夏場の温度の影響を受けやすい部位であり、積層体の要求性能として耐熱変形性が要求される。これら構造体の成形には耐熱性、高剛性、成形性などの観点から熱硬化樹脂タイプのバインダーが多く用いられる。熱硬化樹脂のバインダーとしてはフェノール樹脂、メラミン樹脂などの水溶液タイプ、粉末タイプ、あるいは、アクリル樹脂エマルジョン、ラテックス等、熱可塑樹脂の水性分散体の中に前記の熱硬化パウダーあるいは熱硬化水溶液を混合した系などが多く用いられる。
【0010】
これら熱硬化樹脂バインダーを使用する天井材の成形も前記内装材同様、それぞれの構造体にそれぞれのバインダーを含浸塗布させ乾燥して成形したり、パウダーの形態のバインダーの場合には繊維に均一に分散させた後、熱成形することで繊維成形体を得る。表皮の不織布はシートの熱成形時に熱溶融樹脂パウダー、ホットメルトフィルム、ホットメルトウエブ等にて同時に張り合わされるかまたは成形後接着剤で貼り合わされて積層体となる。
【0011】
これら熱硬化樹脂バインダーのフェノール樹脂組成物やメラミン樹脂組成物の多くには、ホルマリン系重縮合物が使用されている。これらの樹脂は加熱により縮合反応を起こさせることによって、分子間で3次元架橋を生じさせて強固な成形体を得るものであるが、ホルムアルデヒドの発生が少なからずともある。近年各社から低ホルムアルデヒドタイプとして発生量を低減したものや、各種ホルマリンキャッチャー剤の使用などで成形部材からのホルムアルデヒドの放出を低減するよう対策が施されているが、完全な除去はできていない。
【0012】
このように、現在自動車繊維内装材の部材に使用しているバインダー樹脂には、人体に有毒であるホルムアルデヒドの揮散をするものが少なからずとも見受けられる。
【0013】
このような観点から、バインダー樹脂のホルムアルデヒドの揮散をなくす検討が進められていて、水系アクリルエマルジョン共重合体などにおいては重合・架橋技術の開発が進められているが、まだ現在の技術に代わるものは見られない。
【0014】
バインダーを使用しない方法としては、低熱溶融繊維をバインダーとして不織布内に混合しておき、ニードルパンチングして一体化をして成形の熱で低熱溶融樹脂を溶融させて成形するものも比率として多くなってきているが、全般に部位としての繊維体の剛性は不足している。
【0015】
特に天井材の部位のような耐熱性、剛性を満足させ、また成形中、及び成形後に人体に有害となるホルムアルデヒド等を発生しないすべての条件を満たせる繊維成形バインダーはいまだ少ない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
このような背景から、自動車内装材用繊維材のバインダーとして特に天井材部位に使用する場合に十分な剛性と熱的性能及び熱成形性を兼ね備え、さらに繊維材にバインダーを塗布加工する工程、あるいは塗布繊維材を熱成形する工程、または自動車の車内に内装材として装着されてからの実用時にホルムアルデヒド及び他の有害成分を発生させない成形バインダーを提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者は自動車内装材の天井部位の成形用バインダーとして適合する樹脂を各種選定した結果、特表2000−506940、特表2000−507279、特表2000−508000、特表2000−515116に報告されている熱架橋水性アクリル樹脂を用い、更にこれに他の水性樹脂エマルジョン(またはラテックス、ディスパージョン等)を加えることで、従来にない自動車内装材としての繊維成形体を得ることができた。この繊維成形体は成形加工時及び、自動車内装部材として使用した時にホルムアルデヒド及び他の有害物質の発生がなく、また従来品と変わらない剛性と耐熱性の優れた繊維成形体を得ることができた。
【0018】
熱架橋水性アクリル樹脂は各種繊維材結合材用(バインダー用)に開発されたもので、ポリマーA)はエチレン性不飽和酸無水物またはカルボン酸基が酸無水物基を形成することができるエチレン性不飽和ジカルボン酸からなるラジカル重合により得られる水溶液、あるいは分散液である。成分B)は熱架橋剤として少なくとも2つのヒドロキシル基を有するアルカノールアミンで、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン及びメチルジイソプロパノールアミンが挙げられ、そのうち特にトリエタノールアミンが有効である。成分A)のカルボキシル基および成分B)のヒドロキシル基のモル比は5:1〜1.7:1であるような割合が特に有効である。さらには水性結合剤としてリン含有反応促進剤を0.3重量%未満含有する場合もあり、リン含有反応促進剤としてはアルカリ金属ハイポホスファイト、ポリホスファイト、リン酸二水素、ポリリン酸、次亜リン酸、リン酸、アルキルホスフィン酸及びこれらの塩及び酸のオリゴマーもしくはポリマーが挙げられる。
【0019】
この熱架橋水性アクリル樹脂は、130℃で15分乾燥させた後に50%を上回るゲル含有率を有するホルムアルデヒドを含まない水性のバインダーである。
【0020】
この熱架橋水性アクリル樹脂は水分を加熱除去してさらに高温雰囲気でポリマー分子と架橋剤との反応を完結させることでその機能が発現できるのであるが、該樹脂の塗布後のバインダーが受ける乾燥と成形時の熱履歴(温度と時間)が不充分であると未架橋部分が残り、その部分は親水性であるため水に対する溶解性がある。この点について改良するには、対策として塗布後の乾燥・成形温度・時間を十分とる必要があるが、塗布される汎用の有機合成繊維の場合にはそれぞれの繊維樹脂の軟化点(融点)を越えると繊維自体が軟化・溶融して外観不良を引き起こし、商品として欠陥品となる。
【0021】
我々はこの対策として、特表2001−515116に記載されている熱架橋水性アクリル樹脂に水性樹脂エマルジョンをブレンドしてバインダーの吸湿性を改善する方法に着目した。さらにその使用する水性樹脂エマルジョン(ラテックス、ディスパージョン等)のTgを90℃〜150℃のものに選定して、熱架橋水性アクリル樹脂と水性樹脂エマルジョン(ラテックス、ディスパージョン)をブレンドすることで熱架橋性水性アクリル樹脂の未架橋部の耐水性を改良し、耐熱性を低下させず、繊維成形体の成形加工性を向上させることができた。
【0022】
この水性エマルジョンをブレンドすることで相互の樹脂の特徴を十分に引き出すことができ、自動車内装材の天井部材として要求性能を十分満足させ、ホルムアルデヒド等有害となる物質を含まない繊維成形体を得ることができた。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に本発明における実施の形態を詳述する。
【0024】
実施例に示す通り、自動車天井材は400〜2000g/m2のポリエステル不織布層または雑綿フェルト層(1)、70〜200g/m2のポリエステルまたはその他樹脂不織布表皮層(3)、熱架橋水性アクリル樹脂中に水性樹脂エマルジョンが分散したバインダー含浸繊維材層(2)、20〜200μmの熱融着ホットメルトフィルム層(4)で構成される。(図−1〜3)。
【0025】
本構成は従来の自動車天井材構成材であるポリプロピレン樹脂/ガラス繊維シート/不織布、フェノール樹脂含浸/ガラス繊維/不織布、ガラス繊維/ウレタンフォーム/不織布の組み合わせのように、無機ガラスのような無機高剛性繊維基材を使用しないことを特徴とする。
【0026】
該天井材の樹脂含浸繊維材層及び表皮材に使用する繊維はポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ウレタン、ビニロン、ポリプロピレン、アセテート繊維などの合成繊維、あるいは綿、麻、ウール、ケナフ繊維などの天然繊維をニードルパンチング、スパンボンディングしたものが多く用いられ、繊維の太さは通常1〜5デニール程度のものである。これらの繊維は単独あるいは混紡して利用される。現在、価格・性能面からポリエステル繊維とポリプロピレン繊維が最も多く利用されている。また資源のリサイクルの観点からペットボトル再生繊維、内装材再生品を混紡したものも多く利用される。また価格面から再生フェルトもよく利用されている。
【0027】
本技術で使用する実際の繊維は、該熱架橋水性バインダーの熱架橋温度が160℃〜220℃(成形時間が1〜10分の時)と高いので、汎用の合成樹脂繊維としてはポリエステル繊維、ナイロン繊維のように、これらの温度領域で熱溶融(軟化)、あるいは熱収縮をしない高融点繊維が好ましい。これら以外の低融点繊維を使用する時は、繊維への熱的影響を避けるために成形の温度(架橋温度)を下げて成形することでこの問題は解消できるが、温度を下げると反面、架橋時間が長くかかり生産の効率が悪くなるので注意する。
【0028】
これら不織布繊維あるいはフェルトにバインダーを塗布する場合の方法としては、スプレー塗工、含浸塗工、泡塗工、転写塗工などの方法があり、本構成材の場合は塗布量が多いので含浸塗布を行い、その後のニップロールで塗布量を調整する。繊維材の一部を表皮部分として使用する場合には、フロス塗工(泡塗工)でバインダーの塗布量と塗布深さを調整する。また、塗工方法に合わせて液を適性粘度に調整するために希釈したり、増粘剤を添加して増粘したりする。またフロス塗工するためには発泡剤を任意量添加して適正な発泡倍率に設定する。また使用する繊維の種類により、また表面処理剤などが塗布されている場合には水系のバインダーをはじいて塗布しにくい繊維材も見られるので、その場合には塗布し易くするために市販の湿潤剤(ぬれ剤)を添加することもある。
【0029】
該自動車天井材の構成材として不織布あるいはフェルトに塗布するバインダーの塗布量は、部位の最終構成体(成形体)の機械的強度で決定される。車種により多少異なるが、強度の目安として曲げ剛性値で10〜12N/cm2(JISK7203法で測定した値)が必要である。これらの値を達成するには不織布の目付け(重量)、密度、繊維の種類にもよるが400〜2000g/m2の重量の不織布を使用する。400g/m2より軽いとバインダー塗工量を多く塗布しないと構成材としての剛性が得られず、また塗布量が多くなることでコストが高くなる。
【0030】
また2000g/m2以上になるとバインダーを塗布してから水分を除去する乾燥工程で時間がかかり、生産性が落ちて構成材のコストが高くなり構成材として不適である。600〜1000g/m2の不織布基材が好ましい。
【0031】
この不織布基材のベースにバインダーを塗布する場合は、不織布の重量に対して20〜300重量%(乾燥後樹脂量)、好ましくは50〜150重量%(乾燥後樹脂量)のバインダーを塗布することで構成材として適合する。バインダー塗布量が20重量%以下だと構成材としての剛性と賦形性(成形性)が達成できず、また塗布量が300重量%以上になると乾燥工程で生産性が上がらずコストが高くなる。繊維基材の目付けとバインダー塗布量は構成材の性能と経済性から適性な量を決めることが必要であるが、600〜1000g/m2の不織布基材重量の0.5倍〜1.2倍のバインダー塗布量(樹脂乾燥重量)が天井構成材として好ましい。
【0032】
不織布あるいはフェルトにバインダーを塗工した繊維材の乾燥では、通常の熱風式乾燥炉を使用して水分を除去する。水系の乾燥の場合は熱風の温度と風量を十分にとる必要があり、また乾燥の速度を上げるには熱風乾燥炉の前後にドラムドライヤーを設けて補助加熱を行うか、または遠赤外線ヒーターや、加熱オイル、蒸気などを熱源とした伝熱板を併用して乾燥効率を上げる方法がとられる。熱架橋水性バインダーは加熱により架橋反応が進行して硬化する特性があり、乾燥工程で熱架橋が完結すると熱成形時に金型での賦型が行えず、良好な形状の成形体が得られないことになる。そのため、水分を除去する乾燥工程では架橋反応があまり進行しない温度領域で乾燥を行い、次工程の熱成形時に架橋反応が完結するように加熱工程を2段階に考える必要がある。
【0033】
その乾燥温度の目安としては、乾燥ラインの温度とスピードの設定にもよるが繊維材塗布バインダーの温度を105〜130℃に管理し、樹脂の架橋度(ゲル分率)が50%を越えないように条件設定する。好ましくは繊維材及び樹脂中に水分が5〜10重量%残存した状態で乾燥工程を終了するように条件設定する。
【0034】
次に、予備乾燥された繊維材を成形するのには、本発明の熱架橋性水性樹脂を160〜220℃で1〜10分加熱することで架橋反応が起こるが、これらの条件の温度か時間のどちらかが不充分であると架橋が不充分で繊維成形体の剛性が十分達成できず、またバインダー樹脂中に親水性の部分が残り、水分を吸水して成形後の寸法の変化、形状の変形、耐熱性の不足、剛性の経時低下などが起こる。このため、成形条件には熱架橋水性アクリル樹脂の架橋の完結を考えて十分に留意する必要がある。また繊維の種類を事前に把握しておき、繊維の軟化温度には十分留意しておくことが必要である。つまりバインダーの架橋条件設定のみに留意していると成形時に繊維の溶融、収縮により繊維成形体の厚み、巾、長さなどの寸法不足あるいは変形などが起こり、満足な成形体を得ることができない。
【0035】
成形の方法としては、バインダーが塗布・乾燥された繊維材をそのまま加熱・加圧成形する直接熱プレス法と、塗布・乾燥された繊維材を加熱炉を通してプレヒートしてバインダーを軟化させておき、冷却プレスで加圧成形するコールドプレス法がある。直接熱プレス法は加熱賦型の金型と成型後の冷却金型の2金型が必要になるので設備の経済性でやや劣る。繊維材シートを成形した後の内装材として十分な剛性を得るためには、構成する不織布の重量とバインダーの塗工量の設定に負うところが大きいが、成形時に繊維材の厚みを圧縮して成形体の繊維密度を上げることで剛性が飛躍的に増大する。しかし反面、密度を上げる(圧縮する)ことは成形体の重量の増大と基材の使用量が増えることになる。構成材の部位を考慮して加工条件で適性な厚みに設定する必要がある。
【0036】
ベース不織布基材の目付け(重量)とバインダーの塗布量にもよるが、ベース不織布の厚みを100%とすると最終厚みを40%〜60%に圧縮することで十分な剛性が得られることになる。
【0037】
該繊維成形体を加工する時、不織布基材に該バインダーを含浸して熱乾燥する場合には、熱成形時に繊維成形体の片側あるいは両面に表皮として同種、あるいは異種の表皮材を貼り合わせることで意匠性をもたせたり、成形体としてのボリューム感をもたせたり、繊維成形体の基材繊維を安価のものにしたりしてトータルコストを下げることができる(図−1)。
【0038】
またコストの面からは1枚の不織布で繊維成形体と表皮を兼ね備えることができる。すなわち片側面からバインダーを厚さの1/2〜3/4の深さまで含浸させ反対側はバインダーが染み出ないように表皮として残し、これを乾燥・熱成形して繊維成形体の天井材として利用する方法もある(図−2)。
【0039】
該繊維成形体と表皮の貼り合わせには、90℃以上の耐熱保持性を持つ一般市販のゴム系接着剤、ポリウレタン樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、EVA樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、シリコ−ン樹脂系接着剤等の接着剤などを該繊維成形体側、または貼り合わせる表皮側に塗布してWetで貼り合わせる方法や、熱可塑性の樹脂パウダーを該繊維成形体表面に均一に散布して成形時の熱で表皮を貼り合わせる方法、該繊維成形体側あるいは表皮側にポリエチレン樹脂、EVA樹脂、EAA樹脂、EEA樹脂、ホットメルト樹脂などのラミネート樹脂をラミネートしたもの、あるいは加熱成形時に繊維成形体と表皮の間にポリエチレン、EVA樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の単独フィルム、またはそれぞれのホットメルト化されたフィルムあるいはホットメルトウエブを挟みこみ、成形と同時に成形時の圧力と熱で繊維成形体と表皮を貼り合わせる方法などがある。本技術では、該繊維成形体と表皮との貼り合わせには表皮材及び繊維成形体より融点が40℃以上低く、耐熱性の面から90℃以上の融点を有する熱溶融性のオレフィン系ホットメルト樹脂フィルムを使用した。
【0040】
表皮材と接着用フィルムのそれぞれの厚みは、構成材としての強度が必要とされない限り、経済性の面から極力薄くする。実際の表皮として不織布の目付け量は70〜300g/m2で、70g/m2以下であると繊維成形シート層あるいは接着剤層が透けて外観上好ましくなく、また300g/m2以上であると経済性及び風合いなど表皮材としての意味合いも無くなってくる。成形後の風合い、コスト面などから、150〜200g/m2程度が適切な重量であると思われる。さらに表皮は該繊維成形体と熱成形時に同時に貼り合わせるため、シワが出ることなく成形型に追従できるように、伸び・張力・繊維感の復元力などの性能が要求される。
【0041】
接着用フィルムは実用面で表皮が剥がれたりする影響が出なければ、表皮材と繊維成形シートが一体化するだけの必要量あればよく、特に厚み・重量などに制約はない。
【0042】
自動車天井材としての要求性能を達成するためには、熱架橋水性アクリル樹脂95〜5重量%(樹脂分換算)に少なくとも1種類以上のTg90℃〜150℃の水性樹脂エマルジョン(または水性ラテックス、水性ディスパージョン)を5〜95重量%(樹脂分換算)ブレンドして繊維用バインダーとすることで、従来の水性樹脂バインダーを使用した繊維天井材にない耐熱安定性と剛性を兼ね備え、またホルムアルデヒドなどの有害揮散性物質を含まない性能を有することができた。
【0043】
熱架橋水性アクリル樹脂と水性樹脂エマルジョンの1種類あるいはそれ以上を混ぜ合わせる場合に各々の特徴を引き出すための最適なブレンド比率は、熱架橋水性アクリル樹脂40〜60重量%/水性樹脂エマルジョン(あるいはラテックスまたはディスパージョン)60〜40重量%近辺である。この比率に限定することなく各々の用途・構成に応じて混合比率を設定することができるが、熱架橋水性アクリル樹脂が少ないと耐熱性が不足する。
【0044】
ブレンドに使用する水性樹脂エマルジョンのTgは90℃以下の場合には自動車天井材としての耐熱性を達成できず、夏場の炎天下で繊維成形体が変形を起こしてしまう恐れがある。またTgが150℃以上の場合では、バインダーを不織布に塗布乾燥した時に、乾燥時の熱だけでは水性樹脂エマルジョンの造膜不足で水分が飛んだ後にフィルムにならず、微粉の状態で存在するので、繊維と繊維の融着が出来ずバインダーとしての役割が果たせない。また、その塗布材シートを移動する時に基材から粉落ちしてしまい、適性な塗布量を確保できなかったりまた周囲を汚したりする原因となるのでバインダーとしての適性を備えていない。
【0045】
耐熱性と成形性から、Tgは95〜120℃の域が適している。
【0046】
水性樹脂エマルジョンの種類であるが、ブレンド後の相互樹脂の相溶性、繊維基材への密着性などから、アクリル酸(メタクリル酸)−アクリル酸(メタクリル酸)アルキルエステル共重合体などのアクリル(メタクリル)系共重合体エマルジョンが適しているが、必ずしもこれに限定されない。該バインダーの耐熱性を上げるために、共重合できる95℃以上のTgをもつモノマーが利用される。例えばマレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、アクリルアミド、スチレン、α−メチル−スチレン、アクリロニトリル等の1種以上の共重合し易いモノマーが選定される。
【0047】
本発明でのTgの算出は、使用するモノマーのTgをその組成比率で表す計算Tgである。
【0048】
該バインダーに使用する水性樹脂エマルジョンの中では、特にスチレン−アクリル酸(メタクリル酸)−アクリロニトリル共重合体エマルジョン、アクリロニトリル−アクリル酸−アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンなど、アクリルニトリルを共重合成分とするものが成形後の繊維成形体の耐熱・圧縮曲げ強度に優れていている。
【0049】
また、その他には熱架橋水性アクリル樹脂のカルボキシル基と分子間で反応するグリシジル基や、水酸基をもったアクリル系共重合体エマルジョンや、水分散タイプのブロックイソシアネート剤の添加なども有効である。
【0050】
これらの共重合された水性樹脂エマルジョンを熱架橋水性アクリル樹脂とブレンドする時、イオン性の異なるものやpHが異なるものをブレンドする場合には、混合液が化学的に安定するようにどちらかにpH調整剤を添加したり、またノニオン、アニオン、カチオン系の分散剤あるいはイオン調整剤などを水性樹脂エマルジョンまたは熱架橋水性アクリル樹脂に添加したりして安定性をもたせる。
【0051】
【発明の効果】
本発明では、不織布に熱架橋性水性アクリル樹脂と耐熱性のある水性樹脂エマルジョンをブレンドして塗布し、加熱乾燥・成形することで成形後形状の安定した成形体を得る。本発明による繊維成形体は自動車天井材の部位としての要求性能に応じた十分な強度と剛性があり、また熱安定性に優れ、寸法変化率が小さく、さらに熱成形時、成形後の使用おいて人体に有害となるホルムアルデド等の有害物質の発生のない安全な成形体である。
【0052】
【実施例】
実施例
実施例1 まず繊維材シートに塗布するバインダーを作成する。
【0053】
熱架橋水溶性アクリル樹脂バインダーA:アクリル酸80/マレイン酸20の共重合体200gにトリエタノールアミンを30g混合させた水溶液(BASF社製 アクロデュア950L 分子量:16000、樹脂濃度:50%、pH:3.4、粘度:4500mPas、Tg:110.6℃)をイオン交換水153gで希釈攪拌し、樹脂濃度30%の均一な液383gを得る。同様に乳化重合法で得られたアクリル系共重合体エマルジョンバインダーB:スチレン60/アクリロニトリル35/アクリル酸5の共重合体230g(BASFディスパージョン社製 分子量:9500、樹脂濃度:50%、pH:7.8、粘度:210mPas、Tg:105.9℃)をイオン交換水153gで希釈攪拌し、樹脂濃度30%の液383gを得る。各々の希釈液を低速混合機に添加し、さらに花王社製乳化剤 サンノールOPを0.5重量%添加して10分間攪拌を行い、繊維成形用バインダーを得る。
【0054】
次に、糸の太さ2デニールのニードルパンチングされたポリエステル不織布(重量600g/m2、厚み7mm、幅30cm×40cm)に、バインダーを樹脂固形分で400g/m2(wet:1330g/m2)になるよう全含浸した繊維材を2本ロールで均一に絞り、塗布量を設定に合わせる。
【0055】
常圧熱風乾燥機を用いて110℃で30分間予備乾燥する。水分は絶乾状態ではなく5〜10%程残留していてもよい。最初の基材の重量を測定しておき、次に塗布した直後基材の重量を測定し、乾燥後の重量を測定して樹脂の塗布量と残留水分を計算することにより乾燥水分量を計算する。
【0056】
この予備乾燥された繊維材シート(1)をまず図−1のように温度コントロールの可能な遠赤外ヒーター(5)で、塗布シートの表面温度が200℃になるように設定し、繊維材が溶融しないで塗布バインダー(2)が軟化する時間として2分間その状態で保持する。次にその加熱されたシート(1)の温度が低下しないように、速やかに次工程の加圧成形型(6)に移動させて、その成形体の上部に100μmのホットメルトフィルム(4)をのせ、さらにその上に150g/m2の表皮用のポリエステル不織布(3)をのせて上下金型の間にセットする。その後塗布シートの温度が下がらないうちに速やかに加圧(1.0〜10N/cm2)・冷却成形した。
【0057】
加圧・成形することで繊維材シートは金型で賦形され、同時に繊維材シートの予熱でホットメルトフィルムは溶融して表皮材と接着される。
【0058】
成形金型は上型移動加圧タイプを使用した。補助的に下部金型の多孔穴から成形加圧と同時に減圧空気で引くと、更に成形後の形状がよりよく仕上がる。この繊維成形体は自動車の天井材の部位としての性能を有する構成材となった。
【0059】
成形された成形品(7)はPET不織布の繊維同士が該バインダーにより融着して一体成形賦型される。さらに成形時に加熱された温度で繊維シートに含浸されたバインダー樹脂は、熱的作用により架橋剤とポリマー分子間で架橋が起こり、高分子量化し、疎水化して強靭な架橋体となり、実用面で耐熱性と耐水性の優れた成形体を得ることができた。また表皮材を同時に貼り合わせることで、繊維質の風合いを持った外観の良好なものが得られた。
【0060】
図−2は表皮材貼り合わせタイプの成形体を切りだした断面図で、図−3は不織布単体にバインダーを2/3含浸したものを切りだした断面図である。この成形体を各々評価するため以下の項目の評価を行った。
【0061】
実施例1の成形体の曲げ強度(JIS K7203)を測定したところ12Nであり、天井材部材として十分な強度を得ることができた。
【0062】
また90℃の雰囲気中の耐熱性試験ではテストピースの先端垂れ量を測定することで優劣を判定した。先端垂れ量の目標15mm以内に対し、測定結果は10mmであり良好な結果を示した。
【0063】
コーナー部などのエッジは金型通りの形状が得られ、成形性は別途実機の金型によって作成したものを50℃〜(−20℃)サイクルテストを3サイクル行い、その後の形状の変形などを測定したが、特に寸法変化・そりなどの異常は見受けられなかった。
【0064】
また、バインダーからのホルムアルデヒドの発生は、製造工程中及び最終製品ともにそれぞれのサンプルを切りだし測定を行った結果、不検出(検出限界内)であった。
【0065】
実施例2と3では、バインダーの塗布量を替えることで曲げ強度が10N〜14Nのものが得られ、90℃の先端垂れ試験も8mm〜12mmと十分な値を示し、構成材としての性能を満足するものであった。
【0066】
さらに実施例3は不織布1枚で成形体を作成し、ホットメルトフィルムと表皮の不織布を削減することで、表皮貼りの構成に比べて経済性の高い構成材を狙うものである。
【0067】
比較例1は熱架橋水溶性アクリル樹脂バインダーを単独で使用した時の性能で、耐熱性についてはほぼ満足する値であるが、成形直後の形状が不充分で、さらに成型後の形状が日数の経過とともに水分の吸湿により直後の形状が保持されなかった。
【0068】
比較例2はブレンドするアクリル系水性樹脂エマルジョンBを単独使用した時の性能で、塗布時の成膜性の不良と耐熱性と曲げ強度が不足で性能面で不充分であった。
【0069】
比較例3はアルリル系樹脂エマルジョンのメチロール架橋タイプの耐熱グレードであるが、耐熱性と曲げ強度で劣り、成形後のホルムアルデヒド発生量が屋内内装材の基準であるE0値(>0.3ppm)を越える値を示しており、実用面で人体に対して影響が大きいと思われる。
【0070】
同様に比較例4は熱硬化タイプのウレア樹脂で成型した時のもので、性能的には満足するものの、ホルムアルデヒドの発生により適性な繊維バインダーではない。
【0071】
成形性の測定
成形終了後24時間経過した成形体の成形金型の寸法に対し、縦・横ともに±0.5%以内に入っていれば合格判定とし、それ以上であれば不合格とした。
【0072】
また、成形後の成形体の変形(エッジ部角度が変化したり、成形体の重量変化が0.5%以下であること、曲げ強度の変化がないこと)も測定して総合的に判定をした。実成形体での判定は(50℃、95%RH、24Hr)〜(−20℃、50%RH、24Hr)の3サイクルとした。
【0073】
耐熱性の測定(先端垂れ量の測定)
この成形体の耐熱性を測定するため、成形された成形体シートの平面部から5cm×30cm×厚み4mmのピースを切りだし作成する。この作成されたテストピースを、常圧乾燥器の中で一片を端から7cmのところを専用冶具で固定し、シートは床面の対し水平に固定する。雰囲気温度の設定は90℃にして、そのサンプル先端が元の位置から4時間後に低下した距離を測定する。
【0074】
10mm以下 ◎ 良好
10〜20 ○ 良
20以上 × 使用不可
曲げ強度(剛性)の測定
耐熱性の測定同様に成形された成形体の平面部の同一箇所を幅2.5cm×長さ10cmのテストピースを切り出し作成する。JIS K 7203法で圧縮3点曲げ強度を測定して成形体の剛性を比較した。テスト条件はインストロン試験機でテストスピード:1.45mm/min、支点間距離51mm、23℃の恒温室で測定した。
【0075】
10N以上 ◎ 良好
8〜10 △
8以下 × 使用不可
ホルムアルデヒド発生量の測定
JAS普通合板のホルムアルデヒド放散量試験法に準じた。成形されたサンプル150mm×50mm×4mmを10枚作成する。JIS R 3503に規定する大きさ240mmのデシケータ−の底部に300mlの蒸留水を入れる。サンプルが蒸留水と接触しないように設計された冶具にサンプルを10枚取り付け、デシケーター内で20℃、24時間密閉放置する。サンプルから放出されたホルムアルデヒドを蒸留水に吸収させて試料溶液とした。
【0076】
試料溶液中のホルムアルデヒドの濃度を、アセチルアセトン法により分光光度計を用いて比色定量した。
【0077】
検出せず ◎ 良好
0.3ppm以上 × 使用不可
予備乾燥状態の評価
繊維材に含浸塗布した樹脂バインダーを110℃で30分乾燥してその後の状態を観察した。
【0078】
繊維材に塗布したバインダーは予備乾燥工程で加熱・溶融が十分であると繊維材に十分に接着をして固着しているが、反面、その温度での溶融固着が不充分であるとエマルジョン粒子がお互いに融着しておらず、繊維材はたくとバインダーが粉落ちする状態になる。
【0079】
塗布した繊維材の下に黒色の紙を敷き、その上にバインダーが粉落ちした状態を判定した。
【0080】
〇 粉落ちせず
× 粉落ちする
【0081】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】繊維成形体を成形する方法を示した概略図。
【図2】表皮材貼り合わせタイプの繊維成形体を切りだした断面図。
【図3】不織布単体にバインダーを2/3含浸したものを切りだした断面図。
【符号の説明】
1 繊維材シート、 2 塗布バインダー、 3 表皮不織布、 4 ホットメルトフィルム、 5 遠赤外ヒーター、 6 冷却成形型、 7 成形品
Claims (5)
- (1)以下のA)とB)からなる熱架橋水性アクリル樹脂95〜5重量%(樹脂分換算)
A)ポリマーの5〜100重量%がエチレン性不飽和酸無水物またはカルボン酸基が酸無水物基を形成することができるエチレン性不飽和ジカルボン酸からなるラジカル重合により得られたポリマー、及びB)少なくとも2つのヒドロキシル基を有するアルカノールアミンでヒドロキシ基を架橋成分とする。及び
(2)少なくとも1種類以上のTg90〜150℃の水性エマルジョン5〜95重量%(樹脂分換算)を含有し、90℃での耐熱変形性の優れた、ホルムアルデヒドを含まない繊維成形用バインダー。 - 請求項1記載の繊維成形用バインダー樹脂が繊維材に熱架橋した繊維成形体。
- 請求項2記載の繊維成形体は該繊維材の片面、あるいは両面に同種あるいは異種の繊維表皮材を有する繊維成形体。
- 請求項2に記載された繊維成形体の表皮の貼り合わせに熱溶融接着剤を用い、熱溶融接着剤は表皮材または該繊維材のどちらかに塗布あるいはラミネートされているか、もしくは繊維成形材と表皮の間に熱溶融接着フィルムまたは熱溶融接着ウエブを介在させ、それぞれ成形前の加熱工程、あるいは成型時の加熱工程で繊維成形体と表皮が一体となった繊維成形体。
- 請求項1記載の繊維バインダー樹脂を、繊維材の重量当たり20重量%〜300重量%(樹脂分換算)塗布して乾燥させ、次にこの成形前繊維材を130℃〜250℃の温度で該樹脂を熱架橋・熱成形することで得られる、耐熱安定性と成形保持性が優れた自動車天井材用及び自動車内装材用繊維成形体。
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Cited By (3)
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JP2007217844A (ja) * | 2006-02-20 | 2007-08-30 | Unitika Ltd | 立体成型用長繊維不織布及びその成型方法 |
KR101692268B1 (ko) * | 2015-09-22 | 2017-01-04 | 주식회사 지테크섬유 | 연속 다공질 구조체의 제조방법 |
US9548596B2 (en) | 2009-10-07 | 2017-01-17 | Federal-Mogul Powertrain, Inc. | Flexible textile sleeve with end fray resistant, protective coating and method of construction thereof |
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JP2001515116A (ja) * | 1997-08-19 | 2001-09-18 | ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト | 水性組成物 |
-
2002
- 2002-11-06 JP JP2002323060A patent/JP2004156171A/ja active Pending
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