JP2004156129A - 金属の酸化皮膜又は錆除去水、該酸化被膜又は錆除去水を使用した金属の酸化被膜又は錆除去方法 - Google Patents

金属の酸化皮膜又は錆除去水、該酸化被膜又は錆除去水を使用した金属の酸化被膜又は錆除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有害性が高い特定化学物質を使用せずに金属の酸化被膜又は錆を除去することができる水とその水を利用した金属の酸化被膜又は錆除去方法を提供する。
【解決手段】硫酸イオンを20〜20000mg/L含有する原水を電気分解して得られる、pH0.5〜4.0、残留塩素濃度10mg/L以下、酸化還元電位300〜1150mV、硫酸イオン濃度30〜30000mg/L、電気伝導度10S/m以下の酸性水を使用する。さらにこの酸性水に超音波振動を作用させることにより酸化被膜除去が短時間で高品質に行える。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気分解によって得られる酸性水を金属表面の酸化皮膜又は錆除去水として使用すること及びその水を利用した金属表面の酸化皮膜又は錆除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属製品(特に鉄鋼合金、銅及び銅合金)を長期間放置すると、表面に酸化被膜が生じ、金属光沢の消失、変色、電気的特性の低下、材料強度の低下などの悪影響が発生する。また、これらの酸化被膜は更なる腐食の生成原因となることがあり、錆の状態にまで進行する。
【0003】
また、金属製品にガス溶接、電気溶接、スポット溶接、ろう付け等の加熱を伴う作業を行うと、長期間放置した時と同様に表面に酸化被膜が生成する。また、加熱時間が長い場合や、加熱温度が高い場合には、酸化スケールと呼ばれる酸化被膜よりも厚さが厚く比較的硬い膜状の酸化物が表面に付着する。これは、塗装やめっき処理の障害になり、また、振動等で徐々に剥離してその金属製品や部品の周辺に付着し、配管であれば流体内部に混入して装置全体に悪影響を与えることになる。
【0004】
このような金属の酸化被膜、錆、酸化スケールを除去するために、従来では、高濃度(約10%以上)の塩酸、硫酸、硝酸及びこれらを主成分とする各種強酸系薬剤に金属製品を浸漬、或は塗布する方法が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの強酸は労働安全衛生法上の特定化学物質等に指定されており、職場環境の面から使用量の削減が求められる物質である。また、蒸気や漏洩等で周辺環境に排出された場合の悪影響も大きく、使用時及びその廃液の保管には特段の注意と管理が必要である。
【0006】
また、塩酸からは腐蝕性・刺激性ガスである塩化水素が発生し、周辺の金属製機械装置や建築物、保管してある材料等を腐蝕したり、作業者の健康に悪影響を与えることがある。硝酸も腐蝕性・刺激性ガスである窒素酸化物が発生し同様の危険性がある。
【0007】
本発明は、有害性が高い特定化学物質を使用せずに金属の酸化被膜又は錆を除去することができる水とその水を利用した金属の酸化被膜又は錆除去方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の発明者らは鋭意研究を重ねた結果、電気分解によって得られる特定のイオン組成の電解酸性水が、金属の酸化被膜や錆を除去するのに非常に効果的であること、及び、この酸性水に特定の物質を添加することで酸化被膜除去後の表面状態を改善できること、さらにこの酸性水に超音波振動を作用させることにより酸化被膜除去が短時間で高品質に行えること等を見出し、発明を完成させた。
【0009】
本発明の第1は、硫酸イオンを含む原水を使用し、又は、原水に硫酸塩又は硫酸塩を含む混合物を添加することで電気分解に用いる原水中の硫酸イオン濃度を20〜20000mg/Lとして電気分解を行い、得られる水のpHが0.5〜4.0、残留塩素濃度が10mg/L以下、酸化還元電位が300〜1150mV、硫酸イオン濃度が30〜30000mg/L、塩化物イオン濃度が硫酸イオン濃度の3/4以下又は50mg/L以下、電気伝導度が10S/m以下であることを特徴とする金属の酸化皮膜又は錆除去水(以下「酸化皮膜除去水」という。)である。
【0010】
本発明の第2は、原水に添加する硫酸塩として硫酸ナトリウム又は硫酸カリウム又はこれらの混合物を使用することを特徴とする酸化皮膜除去水である。
【0011】
本発明の第3は、前記酸化皮膜除去水にチオ尿素を0.01〜3%添加することを特徴とする酸化皮膜除去水である。
【0012】
本発明の第4は、前記酸化皮膜除去水にジエタノールアミン脂肪酸エステルを0.01〜1%、及び/又はトリエタノールアミン脂肪エステルを0.01〜1%添加することを特徴とする錆除去水である。
【0013】
本発明の第5は、酸化皮膜除去水を被処理金属表面に接触して金属の酸化皮膜又は錆を除去することを特徴とする金属の酸化皮膜及び錆除去方法(以下「酸化被膜除去方法」という。)である。
【0014】
本発明の第6は、超音波振動子を設置した洗浄槽に酸化皮膜除去水を満たし、これに被処理金属を浸漬し、浸漬時間の一部又は全部において、洗浄槽に設置された超音波振動子を発振して超音波振動を被処理金属に作用させることを特徴とする酸化皮膜除去方法である。
【0015】
本発明の第7は、前記酸化被膜除去方法において、被処理金属に作用させる超音波の周波数が20〜45kHz、超音波の出力を洗浄槽に入れた水の体積で割った出力密度が3W/L以上、超音波振動子の発振面積当りの出力が0.15W/cm以上であることを特徴とする酸化被膜除去方法である。
【0016】
本発明の第8は、前記酸化被膜除去方法において、酸化皮膜除去水の温度を40〜90℃にして処理することを特徴とする酸化皮膜除去方法である。
【0017】
本発明の第9は、前記酸化被膜除去方法による処理工程の次に、電気分解によって得られたアルカリ性電解水を被処理金属表面に接触させて被処理金属表面に残留する酸化皮膜除水を中和する工程を有することを特徴とする酸化皮膜錆除去方法である。
【0018】
本発明の第10は、前記酸化被膜除去方法の中和工程に使用するアルカリ性電解水のpHが8.5〜13.0、塩化物イオン濃度が20mg/L以下、硫酸イオン濃度が30mg/L以下、酸化還元電位が−850〜−50mVであることを特徴とする酸化皮膜除去方法である。
【0019】
本発明の第11は、前記中和工程のある酸化被膜除去方法において、超音波振動子を設置した中和槽にアルカリ性電解水を入れ、温度を40〜90℃、被処理金属に作用させる超音波の周波数が20〜45kHz、超音波の出力を洗浄槽に入れた水の体積で割った出力密度が3W/L以上、超音波振動子の発振面積当りの出力が0.15W/cm以上で中和することを特徴とする酸化皮膜除去方法である。
【0020】
本発明の第1によれば、金属表面に生成した酸化物(酸化被膜や錆)が酸化被膜除去水に含まれる硫酸イオンと反応し可溶性の硫酸塩となって溶解することで、酸化被膜や錆の除去を行うことができる。このとき、実用的な処理を行うためには、pHが0.5〜4.0であり、硫酸イオン濃度が30〜30000mg/Lである必要がある。
【0021】
ここで、塩化物イオン濃度が硫酸イオン濃度の3/4以下又は50mg/L以下でない場合は、塩化物イオンが正常な金属表面の溶解や酸化を進めてしまう。このため、鉄鋼合金では鉄鋼中の炭素、炭素化合物、金属酸化物等の酸に溶解しない成分がスマットとして表面に析出して、鉄鋼表面を黒く変色させる。
また、銅、及び銅合金(黄銅、青銅等)では、処理後に徐々に酸化が進み赤味を帯びた褐色に変色を始めるが、塩化物イオン濃度を硫酸イオン濃度の3/4以下又は50mg/L以下にすることで、これらの変色を防止することができる。その他の金属(ニッケル合金等)においても過剰な酸化による弊害を、塩化物イオン濃度を低減することで防止できることが判明した。
これらの現象は、塩化物イオンが硫酸イオンよりも金属表面に対する化学反応性が強いために生じる。
これまで電気分解によってpH3以下程度の酸性水を生成するには、原水に添加する電解質として塩化ナトリウムが多用されているが、この場合、生成される酸性水には塩化物イオンが多く、金属の酸化被膜や錆を除去するには不適当である。
【0022】
また、この変色防止効果には、酸化被膜除去水の残留塩素濃度と酸化還元電位も関係があり、残留塩素濃度が10mg/L以下、酸化還元電位が300〜1150mV(好ましくは、残留塩素濃度が4mg/L未満、酸化還元電位が1000mV未満)であることで金属の過剰な溶解、溶出、酸化を防止できる。これは、残留塩素濃度として測定される次亜塩素酸の酸化力によって金属表面が腐食して変色することを防止するためである。また、電解して生成した酸性水の酸化還元電位が高くなるのは、主に塩素及び次亜塩素酸に起因しているためであり、酸化還元電位は1150mV以下(好ましくは1000mV未満)であることが、金属の酸化被膜または錆を除去する上で適している。
【0023】
さらに、電気伝導度が10S/m以下であることで、酸化被膜除去水に含まれるイオンの総量を規定することができ、他の陰イオンによる酸化の促進を防止できる。
【0024】
本発明の第2によれば、原水として使用する水(上水道、工業用水、井戸水等を問わない)に含まれる硫酸イオンが少なく、電解質の添加をしない状態では適正な電解酸性水が得られない場合でも、これらの硫酸塩(硫酸ナトリウム、硫酸カリウム)を添加することで、本発明の第1に記載した酸化被膜除去水を生成することが可能になる。
【0025】
本発明の第3によれば、被処理金属で酸化被膜や錆を除去して現れた新生面に、チオ尿素が選択的に吸着し、それ以上の酸化を防止するため、鉄鋼合金ではスマットの生成による表面の黒色化を相乗的に防止することが可能となる。その他の金属に対するチオ尿素の吸着は、鉄鋼合金に比べると弱くなるが、効果はある程度期待できる。少なくとも悪影響を与えることはない。
【0026】
本発明の第4によれば、前記第3と同様に、被処理金属で酸化被膜や錆を除去して現れた新生面に、ジエタノールアミン脂肪酸エステル、及び/又はトリエタノールアミン脂肪酸エステルが選択的に吸着し、それ以上の酸化を防止するため、被処理金属表面の変色を防止できる。これらの添加剤は、非鉄金属にも使用できるため、広範囲の材料に対する効果がある。
【0027】
本発明の第5によれば、金属の酸化被膜除去作業や錆除去作業において、塩酸、硫酸、硝酸等を使用しなくても、その処理が可能となり、安全で、環境に対して負荷が少ない方法を提供することが可能となる。
【0028】
本発明の第6によれば、酸化被膜除去や錆除去において、酸化被膜除去水の効果と超音波振動が相乗的に作用して、酸化被膜除去や錆除去に要する時間を短縮することが可能となる。また、超音波振動を組み合わせた処理の方が、超音波を使用しない場合よりも、pHがより高い水、或いは、硫酸イオン濃度がより低い水で同程度の酸化被膜除去又は錆除去を行うことができる。
【0029】
本発明の第7によれば、特にここに規定した超音波の発振条件とすることで、より効果的な酸化被膜除去又は錆除去を行うことができる。特に、酸化被膜や錆除去を行う場合に用いる超音波の周波数は比較的低い周波数が適している。これは低い周波数の超音波の方が、被処理金属の表面に対する作用が強力であり、酸化被膜や錆を剥離する効果が高いためである。また、ある程度の出力密度や発振面積当りの出力を作用させることで、酸化被膜除去に対する改善効果が得られるが、これ以下では十分な改善効果は期待できない。
【0030】
本発明の第8によれば、酸化被膜除去水の温度を上げることで、被処理金属との化学反応を促進し、酸化被膜除去や錆除去に要する時間を短縮することが可能となる。また、処理温度を上げた方が、上げない場合よりも、pHがより高い水、或いは、硫酸イオン濃度がより低い水で同程度の酸化被膜除去又は錆除去を行うことができる。
【0031】
本発明の第9については、被処理金属に酸化被膜除去水が付着したまま放置すると、金属表面を過剰に酸化して変色や錆を発生させることがあるが、これを防止する方法として、酸化被膜除去工程の次に、アルカリ性電解水を被処理金属表面に接触させて中和することで防止できる。
【0032】
本発明の第10によれば、前記のアルカリ性電解水による中和において、特にそのpH、塩化物イオン濃度、硫酸イオン濃度、酸化還元電位を規定することが、その後の防錆性を得るのに有効である。これは、アルカリ性電解水に含まれる塩化物イオンと硫酸イオンが多いと、pHと酸化還元電位が規定した範囲内であっても、被処理金属に変色や錆が発生しやすくなるという傾向があるためである。
【0033】
本発明の第11によれば、前記のアルカリ性電解水による中和において、超音波振動を組み合わせることで、被処理金属表面に付着している酸化被膜除去水を確実に引き剥がし、中和を行えるようにできる。これによって、単にアルカリ性電解水に浸漬して中和した場合と比較して、その後の変色や錆の発生をさらに防止できるようになる。また、酸化被膜除去工程で被処理金属表面に発生してしまった微細な酸化物やスマットを、超音波振動により除去して被処理金属表面をより清浄にすることが可能となる。
このときの超音波の発振条件はここに規定したものとすることで、より効果的な中和と酸化物やスマットの除去が行うことができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例にもとづき説明する。
(実施例1〜8)原水中のイオン濃度を調整して電気分解を行い得られる電解酸性水の水質測定を行った。原水には滋賀県東浅井郡びわ町の水道水を軟水化して用いた。添加する電解質としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸を用いた。電気分解を行った電解槽は開放型有隔膜電解槽で陽極は白金めっきを施したチタン、陰極はステンレス(SUS304)を用いた。電極寸法は陽極、陰極ともに50mm×100mmで、厚さは1mmである。電解槽の容積は陽極室、陰極室ともに4Lであり、ここに原水を入れて電気分解を行った。隔膜にはポリオレフィン製中性膜を用いた。電源は可変式直流電源を用い、電解電圧と電解電流をモニターしながら電気分解が行えるようにした。以上のような電解装置を用いて、表1に示す原水及び電解条件で各原水を電気分解して得られる電解酸性水(酸化被膜除去水)の水質は表2に示す通りである。同時に得られる電解アルカリ性水のpHも記載する。また、原水中の塩化物イオンの濃度は塩化ナトリウムを適宜添加して調整した。
【0035】
【表1】
Figure 2004156129
【0036】
【表2】
Figure 2004156129
【0037】
比較例1として、原水に硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムを添加して電気分解を行い、電解酸性水(酸化被膜除去水)の塩化物イオン濃度が硫酸イオン濃度の3/4を超え、残留塩素濃度が10mg/Lを超え、酸化還元電位が1150mVを超えるものを生成した。また、比較例2として原水に塩化ナトリウムだけを添加して電気分解を行い、得られた電解酸性水(酸化被膜除去水)の塩化物イオン濃度が硫酸イオン濃度より高く、酸化還元電位1150mVを超えるものを生成した。さらに、比較例3としてpHが4を超えるものを生成した。
【0038】
上記実施例1〜8と比較例1〜3で得られた電解酸性水を酸化被膜除去水として、以下の実施例にある金属を試験片として浸漬し、表面の酸化被膜及び錆の除去程度、処理後の金属表面の変色について評価を行った。
試験片の寸法は100mm×50mm、厚さ1mmである。
浸漬条件は、酸化被膜除去水の温度が60℃、浸漬時間は3分である。
(実施例9)冷間圧延鋼板(SPCC)を室内で放置して表面に赤褐色の錆を発生させたもの。
(実施例10)冷間圧延鋼板(SPCC)をガスバーナーで10秒間加熱して表面に黒色の酸化被膜を形成したもの。
(実施例11)ステンレス鋼板(SUS304)をガスバーナーで10秒間加熱して表面に茶褐色の酸化被膜を形成したもの。
(実施例12)純銅板を室内で放置して表面に茶褐色の酸化被膜を形成したもの。
(実施例13)2枚の純銅板を10mm重ねてろう付けによって接合し、そのときの加熱によって黒色の酸化スケールが付着したもの。
(実施例14)黄銅板を室内で放置して表面に薄い黒色の酸化被膜を形成したもの。
(実施例15)2枚の黄銅板を10mm重ねてろう付けによって接合し、そのときの加熱によって黒色の酸化スケールが付着したもの。
(実施例16)青銅板を室内で放置して表面に薄い黒色の酸化被膜を形成したもの。
(実施例17)青銅板をガスバーナーで10秒間加熱して表面に茶褐色の酸化被膜を形成したもの。
(実施例18)冷間圧延鋼板に厚さ20μmのニッケルめっきを行い、ガスバーナーで10秒間加熱して表面に酸化被膜を形成したもの。
酸化被膜又は錆の除去状態についての結果を表3に、処理後の被処理金属表面の変色について表4に示す。表中の「実1」は「実施例1」を、「比1」は「比較例1」を示す。
【0039】
【表3】
Figure 2004156129
【0040】
【表4】
Figure 2004156129
【0041】
表3、表4の結果より、比較例1,比較例2にあるような塩化物イオン濃度が高く、酸化還元電位の高い電解酸性水では酸化被膜除去や錆除去はある程度可能であるが、処理後の金属表面に変色が発生する。また、比較例3のようなpHが4.0以上の電解酸性水では十分な酸化被膜除去作用が得られない。
しかし、実施例1〜8にあるような電解酸性水(酸化被膜除去水)では十分な酸化被膜除去及び錆除去作用と処理後の金属表面の変色防止効果が得られることがわかる。
【0042】
また、酸化被膜除去の処理時間を長くした場合に発生する、被処理金属の変色について、それを防止する添加剤の評価を以下の実施例で行った。
(実施例19)実施例2、実施例4、実施例6の酸化被膜除去水に添加剤としてチオ尿素を0.01%、3%を加えて、実施例9、実施例12、実施例15の試験片を浸漬した。
(実施例20)実施例2、実施例4、実施例6の酸化被膜除去水に添加剤としてジエタノールアミン脂肪酸エステルを0.01%、3%を加えて、実施例9、実施例12、実施例15の試験片を浸漬した。
(実施例21)実施例2、実施例4、実施例6の酸化被膜除去水に添加剤としてジエタノールアミン脂肪酸エステルを0.01%、3%を加えて、実施例9、実施例12、実施例15の試験片を浸漬した。
(比較例4)また、比較のために添加しない酸化被膜除去水にも同様に浸漬した。
【0043】
これらの酸化被膜除去水に被処理金属を浸漬する時間を変えて、処理時間が長くなったときに生じる金属表面変色の有無の結果を表5に示す。酸化被膜除去水の温度は60℃、浸漬時間は3分、5分とした。
【0044】
【表5】
Figure 2004156129
【0045】
表5の結果より、チオ尿素を添加した酸化被膜除去水は特に鉄鋼合金において顕著な変色防止効果が得られる。また、銅合金においても実用上問題ない程度の変色防止効果が得られる。
また、ジエタノールアミン脂肪酸エステル、トリエタノールアミン脂肪酸エステルは、試験を行ったすべての金属で変色防止効果が得られた。
【0046】
さらに、酸化被膜除去処理に超音波振動を作用させて、酸化被膜除去に要する処理時間の比較をの表6で示す実施例22〜実施例32で行った。
また、超音波振動を作用させないものとして、比較例5、比較例6、比較例7と比較した。
使用した洗浄槽はステンレス製の角形水槽で、寸法は500mm×500mm、深さは500mmである。水の量は100Lとした。
【0047】
表6の結果より、超音波振動を加えた場合に、すべての実施例で処理時間を短縮することができる。
【0048】
(実施例32)実施例4で生成した酸化被膜除去水を用いて、実施例9で錆除去した試験片をその直後に、電気分解によって得られたアルカリ性電解水に2分間浸漬して中和を行い室内で放置した。アルカリ性電解水のpHは8.9、塩化物イオン濃度が15mg/L、硫酸イオン濃度が26mg/L、酸化還元電位が−820mVである。
(比較例8)実施例32と同じ酸化被膜除去水を行った直後に、アルカリ性電解水(pH8.7、塩化物イオン濃度38mg/L、硫酸イオン濃度45mg/L、酸化還元電位−760mV)に2分間浸漬して中和した試験片を作成し、室内放置した。
(比較例9)実施例32と同じ酸化被膜除去水を行った直後に、イオン交換樹脂を使用して生成した脱イオン水に2分間浸漬した試験片を作成し、室内放置した。
それぞれの結果は、実施例32では7日後でも錆の発生や変色が発生しなかったが、比較例8では2日後に、比較例9では1日後に錆が発生した。
【0049】
(実施例33)実施例32と同じ中和方法において、pH8.8、塩化物イオン濃度6.5mg/L、硫酸イオン濃度15mg/L、酸化還元電位−120mVであるアルカリ性電解水を用いて中和を行い室内放置した。この試験片も7日後において錆や変色の発生がなかった。
【0050】
(実施例34)実施例32と同じ中和方法において、pH11.8、塩化物イオン濃度18mg/L、硫酸イオン濃度25mg/L、酸化還元電位−827mVであるアルカリ性電解水を用いて中和を行い室内放置した。この試験片も7日後において、錆や変色の発生がなかった。
【0051】
(実施例35)実施例32で行った中和処理工程に超音波振動を作用させて中和を行った。使用した中和槽はステンレス製の角形水槽で、寸法は500mm×500mm、深さは500mmである。水の量は100Lとした。中和するアルカリ電解水の温度は40℃、被処理金属に作用させる超音波の周波数は25kHz、超音波の出力を洗浄槽に入れた水の体積で割った出力密度が6W/L、超音波振動子の発振面積当りの出力が0.3W/cmとした。
このような処理を行った試験片は、10日室内放置を行っても錆や変色の発生が生じなかった。また、酸化除去した直後に発生してたスマットによる極微少の黒色変色が中和工程の超音波振動により除去されて表面状態が改善した。
【0052】
【発明の効果】
以上で説明したように、本発明を用いれば、金属の表面に発生した酸化被膜や錆の除去に、高濃度の塩酸や硫酸を使用する必要がなく、作業環境や周辺環境が改善される。さらに、超音波振動を作用させることで、処理時間の短縮と酸化被膜除去効果の向上ができる。また、アルカリ性電解水による中和工程を加えることで、酸化被膜や錆除去を行った金属の再酸化を防止できる。
Figure 2004156129

Claims (11)

  1. 硫酸イオンを含む原水を使用し、又は、原水に硫酸又は硫酸塩又は硫酸塩を含む混合物を添加することで電気分解に用いる原水中の硫酸イオン濃度を20〜20000mg/Lとして電気分解を行い、得られる水のpHが0.5〜4.0、残留塩素濃度が10mg/L以下、酸化還元電位が300〜1150mV、硫酸イオン濃度が30〜30000mg/L、塩化物イオン濃度が硫酸イオン濃度の3/4以下又は50mg/L以下、電気伝導度が10S/m以下であることを特徴とする金属の酸化皮膜又は錆除去水。
  2. 硫酸塩に硫酸ナトリウム又は硫酸カリウム又はこれらの混合物を使用することを特徴とする請求項1記載の金属の酸化皮膜又は錆除去水。
  3. 請求項1又は請求項2記載の金属の酸化皮膜又は錆除去水にチオ尿素を0.01〜3%添加することを特徴とする金属の酸化皮膜又は錆除去水。
  4. 請求項1乃至請求項3記載の金属の酸化皮膜又は錆除去水にジエタノールアミン脂肪酸エステルを0.01〜1%、及び/又はトリエタノールアミン脂肪エステルを0.01〜1%添加することを特徴とする金属の酸化皮膜又は錆除去水。
  5. 請求項1乃至請求項4記載の金属の酸化皮膜又は錆除去水を被処理金属表面に接触して金属の酸化皮膜又は錆を除去することを特徴とする金属の酸化皮膜及び錆除去方法。
  6. 超音波振動子を設置した洗浄槽に請求項1乃至請求項4記載の金属の酸化皮膜又は錆除去水を満たし、これに被処理金属を浸漬し、浸漬時間の一部又は全部において、洗浄槽に設置された超音波振動子を発振して超音波振動を被処理金属に作用させることを特徴とする請求項5記載の金属の酸化皮膜又は錆除去方法。
  7. 被処理金属に作用させる超音波の周波数が20〜45kHz、超音波の出力を洗浄槽に入れた水の体積で割った出力密度が3W/L以上、超音波振動子の発振面積当りの出力が0.15W/cm以上であることを特徴とする請求項6記載の金属の酸化皮膜又は錆除去方法。
  8. 金属の酸化皮膜又は錆除去水の温度を40〜90℃にして処理することを特徴とする請求項5乃至請求項7記載の金属の酸化皮膜又は錆除去方法。
  9. 請求項5乃至請求項8に記載した金属の酸化被膜又は錆除去方法による処理工程の次に、電気分解によって得られたアルカリ性電解水を被処理金属表面に接触させて被処理金属表面に残留する金属の酸化皮膜又は錆除水を中和する工程を有することを特徴とする金属の酸化皮膜及び錆除去方法。
  10. アルカリ性電解水のpHが8.5〜13.0、塩化物イオン濃度が20mg/L以下、硫酸イオン濃度が30mg/L以下、酸化還元電位が−850〜−50mVであることを特徴とする請求項9記載の金属の酸化皮膜及び錆除去方法。
  11. 超音波振動子を設置した中和槽にアルカリ性電解水を入れ、温度を40〜90℃、被処理金属に作用させる超音波の周波数が20〜45kHz、超音波の出力を洗浄槽に入れた水の体積で割った出力密度が3W/L以上、超音波振動子の発振面積当りの出力が0.15W/cm以上で中和することを特徴とする請求項9又は請求項10記載の金属の酸化皮膜及び錆除去方法。
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