JP2004156010A - 吸水剤組成物およびその製造方法並びに吸収体および吸収性物品 - Google Patents

吸水剤組成物およびその製造方法並びに吸収体および吸収性物品 Download PDF

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Abstract

【課題】おむつ等の吸収性物品に組み込んだ場合に、優れた消臭性能と吸収特性を有し、上記吸収性物品に優れた消臭性能と優れた吸収特性を付与できる吸水剤組成物およびその製造方法並びに吸収体および吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸水剤組成物は、特定の植物成分と、表面部分および/またはその近傍が架橋剤により表面処理された吸水性樹脂、および/または、特定の物性を有する吸水性樹脂とを組み合わせてなる。特に、(1)特定の中和率、(2)特定の粒子径、および、(3)特定の植物成分という3つの特性を兼ね備えた吸水剤組成物が好ましい。該吸水剤組成物は、おむつ等の吸収性物品に組み込んだ場合に、優れた消臭性能と吸収特性を有し、上記吸収性物品に優れた消臭性能と優れた吸収特性を付与することができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は吸水剤組成物およびその製造方法並びに吸収体および吸収性物品に関するものである。さらに詳しくは、紙おむつや生理用ナプキン、失禁パッド等の衛生材料の吸収体中に用いた場合に、特に優れた消臭性能と安定した吸収特性を有し、上記衛生材料に、特に優れた消臭性能と優れた吸収特性を付与できる吸水剤組成物およびその製造方法並びに吸収体および吸収性物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、吸水性樹脂は体液(尿や血液)を吸収させることを目的として、紙おむつや生理用ナプキン、失禁パット等の衛生材料(吸収物品)において、その構成材料の一つ(主要な構成材料)として幅広く利用されている。
【0003】
上記吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、カルボキシメチルセルロース架橋体、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カチオン性モノマーの架橋体、架橋イソブチレン−マレイン酸共重合体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸とアクリル酸の架橋体等が知られている。
【0004】
従来から上記の吸水性樹脂に望まれる吸水特性としては、体液等の水性液体に接した際の高い吸収倍率、優れた吸収速度、通液性、膨潤ゲルのゲル強度、水性液体を含んだ基材から水を吸い上げる吸引量等が唱えられている。
【0005】
また、これら吸収特性のみならず、おむつ、特に大人用のおむつなどに用いられる吸水性樹脂には消臭という付加機能も望まれている。
【0006】
そこで、これら吸収特性に加え、従来より吸水性樹脂に消臭性、抗菌性の化合物を加えることにより樹脂に付加機能を持たせる試みも種々検討されている。
【0007】
吸水性樹脂に消臭性を付与する試みとしては、各種の消臭剤や抗菌剤との組み合わせが提案されている。例えば、特許文献1には吸水性樹脂とツバキ科植物の葉抽出物とからなる吸水性樹脂組成物(吸水剤)が記載されている。特許文献2には針葉樹木抽出エキスと特定の性能を有した吸水性樹脂とを含む吸水性樹脂組成物が記載されている。特許文献3には吸水性樹脂の内部にゼオライト粒子が分散された消臭性吸水性樹脂組成物が記載されている。特許文献4にはわさび抽出物、からし抽出物、またはイソチオシアン酸アリルの少なくとも1種のパウダーと、該パウダーの抗菌消臭作用を持続させる持続剤として吸水ゲル化剤を備えてなる持続性抗菌消臭剤が記載されている。特許文献5には吸水性樹脂とアンモニア産生菌に対して抗菌機能を有する化合物と、アンモニアに対して中和能または、中和能および吸着能を有する薬剤とからなる粉末状の消臭性/抗菌性吸水性樹脂組成物が記載されている。さらに、特許文献6には特定の吸水性樹脂に水溶性消臭剤を含んだ吸水性樹脂組成物等が記載されている。
【0008】
さらに、吸水性樹脂を用いた吸収物品に消臭性を付与する試みも知られ、特許文献7には製茶および吸水性樹脂を含んでなる吸収性物品が記載され、特許文献8には吸水性樹脂に塩化ベンザルコニウムおよび/またはグルコン酸クロルヘキシジンを含有した樹脂を含む使い捨ておむつが記載されている。
【0009】
さらに、吸水性樹脂に消臭性、抗菌性の化合物を加えることにより樹脂に付加機能を持たせる、上記以外の試みとして、吸水性樹脂に揮発性モノテルペン系化合物を主成分としてなる水性エマルジョンを吸収させて得られるゲル状殺虫剤(特許文献9)、抗菌剤を揮発性溶剤に溶解もしくは分散させた液を吸水性樹脂に付着させた後に、揮発性溶剤を除去し、吸水性樹脂表面に抗菌性被膜を設けた抗菌性樹脂組成物の製造方法(特許文献10)、抗菌性を付与したリン酸塩を含有する吸水性樹脂(特許文献11、特許文献12)、吸水性樹脂とタンニン酸(塩)と複合ケイ酸塩化合物とからなる吸水性樹脂組成物(特許文献13)、吸水性樹脂にグレープフルーツ種子および/またはハーブから抽出された天然抗菌成分を内臓あるいは担持させてなる吸水性樹脂組成物(特許文献14)、植物粉末と表面処理された吸水性樹脂とを含み、悪臭除去指数が180以上である粒子状吸水性樹脂組成物(特許文献15)、吸水性樹脂にシクロデキストリンおよび/またはシクロデキストリン誘導体を共有結合および/またはイオン結合で結合させてなる吸水性樹脂組成物(特許文献16)、吸水性樹脂と銀塩もしくはコロイド状の銀とからなる吸水性樹脂組成物(特許文献17)等が知られている。
【0010】
【特許文献1】
特開昭60−158861号公報(公開日:1985年8月20日)
【0011】
【特許文献2】
特開平11−241030号公報(公開日:1999年9月7日)
【0012】
【特許文献3】
特開平8−176338号公報(公開日:1996年7月9日)
【0013】
【特許文献4】
特開2000−51399号公報(公開日:2000年2月22日)
【0014】
【特許文献5】
特開2000−79159号公報(公開日:2000年3月21日)
【0015】
【特許文献6】
特開2001−234087号公報(公開日:2001年8月21日)
【0016】
【特許文献7】
特開平2−41155号公報(公開日:1990年2月9日)
【0017】
【特許文献8】
特開昭63−135501号公報(公開日:1988年6月7日)
【0018】
【特許文献9】
特開平4−139104号公報(公開日:1992年5月13日)
【0019】
【特許文献10】
特開平3−59075号公報(公開日:1991年3月14日)
【0020】
【特許文献11】
特開平5−179053号公報(公開日:1993年7月20日)
【0021】
【特許文献12】
特開平7−165981号公報(公開日:1995年6月27日)
【0022】
【特許文献13】
特開平11−116829号公報(公開日:1999年4月27日)
【0023】
【特許文献14】
特開平9−208787号公報(公開日:1997年8月12日)
【0024】
【特許文献15】
特開2002−285021号公報(公開日:2002年10月3日)
【0025】
【特許文献16】
国際公開第99/64485号パンフレット(公開日:1999年12月16日)
【0026】
【特許文献17】
国際公開第01/41819号パンフレット(公開日:2001年6月14日)
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、一般にいう消臭剤は臭気成分を化学反応あるいは吸着してある程度の消臭作用を示すものの、尿の不快臭の消臭に対してはあまり効果が確認されず、また微生物や菌類による有機物の分解や腐敗を抑制することができないものであった。一方、一般にいう抗菌剤は分解や腐敗による悪臭の発生は抑制できるものの、排泄直後の尿臭の消臭に対してはあまり効果が確認されないものであった。また、通常吸水性樹脂に一般にいう消臭性のある化合物を添加しただけでは、このような吸水性樹脂を紙おむつ等の吸収性物品に用いた場合は、おむつ全体への消臭性能の付与が十分に行われない場合があった。
【0028】
このため、上記、消臭性を改善する従来の方法では、実使用に十分な効果を発揮することができない場合があり、従来の方法で得られた吸水性樹脂を用いた吸収性物品について、充分とはいえなかった。
【0029】
また、吸収性物品等に使用するため、消臭性能の付与は安全性の高いものが常に望まれている。
【0030】
従って本発明の目的は、おむつ等の吸収性物品に使用した(組み込んだ)場合に、優れた消臭性能と吸収特性を有し、上記吸収性物品に優れた消臭性能と優れた吸収特性を付与できる吸水剤組成物およびその製造方法並びに吸収体および吸収性物品を提供することにある。また、本発明のさらなる目的は、安全性が高く、おむつ等の吸収性物品に組み込んだ場合に、優れた消臭性能と吸収特性を有し、上記吸収性物品に優れた消臭性能と優れた吸収特性を付与できる吸水剤組成物およびその製造方法並びに吸収体および吸収性物品を提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは吸水剤をおむつ等の吸収性物品に組み入れた場合の優れた消臭性能と優れた吸収特性という観点から鋭意検討した。その結果、特定の植物成分と、表面部分および/またはその近傍が架橋剤により表面処理された吸水性樹脂、および/または、特定の物性を有する吸水性樹脂とを組み合わせてなる吸水剤組成物により、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0032】
上記特定の植物成分とは、ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分であり、そのなかでも、本発明に係る特定の植物成分としては、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物(すなわち、半発酵茶の抽出物および発酵茶の抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリフェノール)が特に好ましく、本願発明者らの検討によれば、例えば、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物と、表面処理された吸水性樹脂および/または特定の物性を有する吸水性樹脂とを組み合わせ、特定の性能を付与することにより、上記目的が達成できることを見出した。
【0033】
また、本願発明者らは、吸水剤組成物をおむつ等の吸収性物品に組み入れた場合の優れた消臭性能と優れた吸収特性という観点から鋭意検討した結果、(1)特定の中和率、(2)特定の粒子径、および、(3)特定の植物成分という3つの特性を兼ね備えた粒子状の吸水剤組成物(粒子状の吸水性樹脂組成物)において上記目的が達成できることを見出した。
【0034】
すなわち、本発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物と、表面部分および/またはその近傍が架橋剤により表面処理された吸水性樹脂とを含むことを特徴としている。
【0035】
また、本発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、上記構成に加えて、0.90質量%生理食塩水に対する無加圧下で60分の吸収倍率が25g/g以上60g/g以下、加圧下吸引指数が14g/g以上、吸収速度が60秒以下であることを特徴としている。
【0036】
さらに、本発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物と吸水性樹脂とを含み、0.90質量%生理食塩水に対する無加圧下で60分の吸収倍率が25g/g以上60g/g以下、加圧下吸引指数が14g/g以上、吸収速度が60秒以下であることを特徴としている。
【0037】
また、本発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とする粒子状の吸水剤組成物であって、当該吸水剤組成物は、(1)酸基の全モル量の1/3以上4/5未満が中和され、(2)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、さらに、(3)半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を含有することを特徴としている。
【0038】
本発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とする粒子状の吸水剤組成物であって、当該吸水剤組成物は、(1)酸基の全モル量の1/3以上3/4未満が中和され、(2)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、さらに、(3)ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分(B)を含有することを特徴としている。
【0039】
本発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、上記吸水剤組成物において、上記植物成分(B)が、ツバキ科の植物に含まれる植物成分から選ばれることを特徴としている。
【0040】
本発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、上記吸水剤組成物において、上記植物成分(B)が、タンニン、タンニン酸、五倍子、没食子および没食子酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリフェノールを含有することを特徴としている。
【0041】
本発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、上記の各吸水剤組成物において、酸基の全モル量の1/3から2/3が中和されていることを特徴としている。
【0042】
本発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、上記の各構成に加えて、0.90質量%生理食塩水に対する無加圧下で60分の吸収倍率が30g/g以上で、且つ0.90質量%生理食塩水に対する1.9kPaで60分の拡散吸収倍率が24g/g以上であることを特徴としている。
【0043】
本発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、上記の各構成に加えて、無機微粒子をさらに含むことを特徴としている。
【0044】
本発明の吸水剤組成物は、上記の課題を解決するために、上記の各吸水剤組成物において、上記吸水性樹脂(A)の表面部分および/またはその近傍が架橋剤により表面処理されていることを特徴としている。
【0045】
本発明の吸水剤組成物の製造方法は、上記の課題を解決するために、酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とし、(1)酸基の全モル量の1/3以上3/4未満が中和され、(2)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、さらに、(3)ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分(B)を含有する粒子状の吸水剤組成物の製造方法であって、酸基含有不飽和単量体を重合して、架橋構造を有し且つ酸基の全モル量の1/3以上3/4未満が中和された吸水性樹脂を得る工程と、得られた吸水性樹脂の粒度を、850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上となるように調整する工程と、粒度を調整した吸水性樹脂と、ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分(B)とを混合する工程とを含むことを特徴としている。
【0046】
また、本発明の吸収体は、上記の課題を解決するために、本発明に係る上記吸水剤組成物の何れかを含むことを特徴としている。
【0047】
本発明の吸収体は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、親水性繊維をさらに含むことを特徴としている。
【0048】
本発明の吸収体は、上記の課題を解決するために、酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とする粒子状の吸水剤組成物、および、親水性繊維を含む吸収体であって、上記吸水剤組成物は、(1)酸基の全モル量の1/3以上4/5未満が中和され、(2)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、さらに、当該吸収体は、(3)半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を含有することを特徴としている。
【0049】
本発明の吸収体は、上記の課題を解決するために、酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とする粒子状の吸水剤組成物、および、親水性繊維を含む吸収体であって、上記吸水剤組成物は、(1)酸基の全モル量の1/3以上3/4未満が中和され、(2)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、さらに、当該吸収体は、(3)ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分(B)を含有することを特徴としている。
【0050】
本発明の吸収体は、上記の課題を解決するために、上記の各吸収体において、上記吸水剤組成物は、酸基の全モル量の1/3から2/3が中和されていることを特徴としている。
【0051】
本発明の吸収体は、上記の課題を解決するために、上記の各構成に加えて、上記吸水剤組成物が、0.90質量%生理食塩水に対する無加圧下で60分の吸収倍率が30g/g以上であり、且つ0.90質量%生理食塩水に対する1.9kPaで60分の拡散吸収倍率が24g/g以上を満たすことを特徴としている。
【0052】
本発明の吸収性物品は、上記の課題を解決するために、本発明に係る上記吸収体の何れかと、液透過性を有する表面シート、および液不透過性を有する背面シートを備えることを特徴としている。
【0053】
【発明の実施の形態】
上述したように、本願発明者らは、おむつ等の吸収性物品に使用した(組み込んだ)場合に、優れた消臭性能と吸収特性を有し、上記吸収性物品に優れた消臭性能と優れた吸収特性を付与できる吸水剤組成物およびその製造方法並びに吸収体および吸収性物品、特に、安全性が高く、おむつ等の吸収性物品に組み込んだ場合に、優れた消臭性能と吸収特性を有し、上記吸収性物品に優れた消臭性能と優れた吸収特性を付与できる吸水剤組成物およびその製造方法並びに吸収体および吸収性物品を提供すべく鋭意検討した結果、特定の植物成分と、表面部分および/またはその近傍が架橋剤により表面処理された吸水性樹脂、および/または、特定の物性を有する吸水性樹脂とを組み合わせてなる吸水剤組成物、好適には、(1)特定の中和率、(2)特定の粒子径、および、(3)特定の植物成分という3つの特性を兼ね備えた吸水剤組成物により、上記目的が達成できることを見出した。
【0054】
より具体的には、本願発明者らは、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物と、表面処理された吸水性樹脂および/または特定の物性を有する吸水性樹脂とを組み合わせ、特定の性能を付与することにより、上記目的が達成できることを見出した。また、本願発明者らは、上記吸水性樹脂が、酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)であり、該吸水性樹脂(A)と半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物とを組み合わせてなる吸水剤組成物が、該吸水性樹脂(A)を主成分とする粒子状の吸水剤組成物(粒子状の吸水性樹脂組成物)であり、特定の中和率並びに特定の粒子径を有していることがより望ましいことを見出した。
【0055】
また、本願発明者らは、さらに鋭意検討した結果、得られる吸水剤組成物が、上記吸水性樹脂(A)を主成分とする粒子状の吸水剤組成物(粒子状の吸水性樹脂組成物)であり、特定の中和率並びに特定の粒子径を有していれば、当該吸水剤組成物が、植物成分として、上記半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物以外の植物成分、具体的には、ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物以外の植物成分を含む場合であっても、おむつ等の吸収性物品に使用した(組み込んだ)場合に、優れた消臭性能と吸収特性を有し、上記吸収性物品に優れた消臭性能と優れた吸収特性を付与できることを見出した。すなわち、本願発明者らは、(1)特定の中和率、(2)特定の粒子径、および、(3)特定の植物成分という3つの特性を兼ね備えた粒子状の吸水剤組成物(粒子状の吸水性樹脂組成物)においても上記目的が達成できることを見出した。
【0056】
以下に、本発明について詳しく説明する。
【0057】
〔実施の形態1〕
まず、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物と、表面処理された吸水性樹脂および/または特定の物性を有する吸水性樹脂とを組み合わせてなる吸水剤組成物について説明する。
【0058】
本実施の形態においては、吸水性樹脂と呼ぶときは内部のみを架橋された重合体、および/または、内部および表面を架橋された重合体をいう。特に、表面処理された吸水性樹脂と呼ぶときは内部および表面を架橋された重合体をいう。
【0059】
本実施の形態における吸水性樹脂としては、下記に示す特徴点(i)および/または(ii):
(i)好ましくは表面部分および/またはその近傍が架橋剤により表面処理されている(すなわち、吸水性樹脂の有する官能基と反応し得る架橋剤により表面部分および/またはその近傍が架橋処理されている)
(ii)吸収倍率(CRC)が25g/g以上60g/g以下、加圧下吸引指数が14g/g以上、吸収速度が60秒以下である
を有する吸水性樹脂を用いる。なお、これらの測定法は実施例で規定する。
【0060】
吸水性樹脂の吸収特性としては、吸収倍率(CRC)が25g/g以上60g/g以下、加圧下吸引指数が14g/g以上、吸収速度が60秒以下という吸収特性のすべてを満たす吸水性樹脂と半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物とを組み合わせた場合、おむつ全体への消臭性能を付与する効果が大きくなり、好ましい。この原因については明らかではないが、特定の吸収倍率、加圧下吸引指数、吸収速度を有する吸水性樹脂に限定して該吸水性樹脂を半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物と組み合わせた場合に、尿と接触した場合の半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物の作用と該吸水性樹脂の液吸収との最適バランスが達成されるためではないかと考えられる。
【0061】
本実施の形態において用いる、表面部分および/またはその近傍が架橋剤により表面処理された吸水性樹脂は、一般的に吸水性樹脂を表面架橋処理するという製造方法により得られる。
【0062】
本実施の形態において吸水性樹脂とは、水膨潤性・水不溶性架橋重合体のことであり、水を吸収してアニオン性、ノニオン性、カチオン性のまたはそれら混合物の水不溶性ヒドロゲルを形成する架橋重合体のことである。また、本実施の形態で吸水剤組成物とは、吸水性樹脂を主成分、好ましくは70質量%(重量%)以上、さらには80質量%以上含有して、水を吸収する材料のことである。
【0063】
なお、水膨潤性とは、イオン交換水中で自重固形分に対して2倍以上、好ましくは10〜3000倍、より好ましくは50〜2000倍という多量の水を吸収することを指し、水不溶性とは該吸水性樹脂中の未架橋の水可溶分が50質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下のものを指す。
【0064】
水可溶分測定方法は、EUROPEAN DISPOSABLES AND NONWOVENS ASSOCIATIONのEDANA RECOMMENDED TEST METHODS 470,1−99 EXTRACTABLESに記載されている。
【0065】
このような吸水性樹脂としては、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カルボキシル基含有架橋ポリビニルアルコール変性物、架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等から選ばれる1種またはそれらの混合物が挙げられる。
【0066】
これら吸水性樹脂は、1種または混合物でも用いられるが、中でもカルボキシル基を有するものの1種またはその混合物が好ましく、典型的にはアクリル酸および/またはその塩(中和物)を主成分とする単量体を重合・架橋することにより得られる重合体(水膨潤性ポリアクリル酸(塩)架橋重合体)が主成分とされるのが好ましい。また、これら吸水性樹脂は含水したヒドロゲルであってもよいし、必要に応じて乾燥し、乾燥の前および/または後で通常粉砕して得た粉末でもよい。
【0067】
上記の吸水性樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、β−アクリロイルオキシプロピオン酸等の不飽和カルボン酸またはこれらの中和物から選ばれる1種類以上の単量体を重合もしくは共重合させた後、該重合体に対して必要により粉砕・分級等の操作を行い、粒子径を調整することにより得られる。
【0068】
上記酸基の中和率は、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜90モル%、さらに好ましくは60〜90モル%、さらに一層好ましくは60〜75モル%、特に好ましくは65〜75モル%の範囲内に調整される。酸基の中和は、重合前に水溶液中で酸基含有単量体として行なってもよいし、該重合体の水溶液、つまり重合ゲルの後中和で行なってもよいし、両者を併用してもよい。中和する塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、アンモニア、アミン類などが好ましい。
【0069】
単量体としては、上記単量体のうち、(メタ)アクリル酸およびこれらの中和物がより好ましい。質量平均粒子径は、好ましくは100〜600μmの範囲内、より好ましくは200〜500μmの範囲で、且つ、粒径が106μm未満の粒子の割合が10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
【0070】
さらに、吸水性樹脂は、上記単量体と共重合可能な別の単量体との共重合体であってもよい。上記別の単量体としては、具体的には、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸等のアニオン性不飽和単量体およびその塩;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等のノニオン性の親水基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、および、これらの四級塩等のカチオン性不飽和単量体等が挙げられる。
【0071】
吸水性樹脂は、複数の重合性不飽和基や、複数の反応性基を有する架橋剤と反応または共重合させることにより、その内部が架橋されていることが好ましい。また、吸水性樹脂は、架橋剤を必要としない自己架橋型であってもよい。
【0072】
上記の架橋剤(内部架橋剤とも呼ぶ)としては、具体的には、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら架橋剤は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を混合して用いてもよい。また、これら架橋剤は、反応系に一括添加してもよく、分割添加してもよい。上記例示の化合物のうち、複数の重合性不飽和基を有する化合物を架橋剤として用いることがより好ましい。
【0073】
架橋剤の使用量は、上記単量体の合計量(架橋剤は除く)に対して0.01〜2モル%の範囲内が好ましく、0.03〜0.2モル%の範囲内がより好ましい。架橋剤の使用量が0.01モル%よりも少ない場合には、後述する表面架橋処理を行って加圧下吸引指数が14g/g以上の特性を得にくい場合があるので注意を要する。
【0074】
また、上記重合開始時には、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のラジカル重合開始剤、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等の光重合開始剤、あるいは、紫外線や電子線等の活性エネルギー線等を用いることができる。また、酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合には、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用してレドックス重合を行ってもよい。これら重合開始剤の使用量は、0.001〜2モル%の範囲内が好ましく、0.01〜0.5モル%の範囲内がより好ましい。
【0075】
また重合時に単量体に炭酸塩、アゾ化合物等の発泡剤や不活性気体等を含有させ、得られる吸水性樹脂を多孔質構造にして、比表面積を増加させる手法も好ましい。
【0076】
また本実施の形態における吸水性樹脂の製造工程としては、例えば水溶液重合の場合、単量体水溶液の調整→重合→重合体の細粒化→乾燥→粉砕→分級という一連の工程が挙げられる。
【0077】
上記水溶液重合する場合、一般に10質量%〜飽和濃度、好ましくは20〜60質量%の単量体水溶液を調整し、次いで重合する。重合方法としては双椀型ニーダー中で、必要に応じ攪拌しながら、重合する方法;容器中で注型重合する方法;駆動するベルト上で(連続的に)静置重合する方法;等が挙げられる。
【0078】
上記重合工程で得られる該重合体(含水ゲル)を乾燥するため、所定の粒子径にまで前記含水ゲルは細粒化されることが望ましい。含水ゲルの細粒化は双椀型ニーダー等により攪拌しながら重合することにより重合時に行なったり、重合後のゲルをミートチョッパー等を用いてダイスから押出すことにより行なうことができる。またカッティングミル等により細粒化することもできる。細粒化されたゲルの粒径は、乾燥機の能力等により適宜設定することができるが、一般に0.1〜10mmの範囲が好ましい。0.1mmよりもゲルが細かいと得られる吸水性樹脂の物性の低いものとなるおそれがある。10mmよりも大きいと乾燥されにくくなるおそれがある。
【0079】
細粒化工程においては10mmよりも大きい粗ゲルおよび0.1mmよりも小さい微ゲルが生成し得る。これら重合物を取り出し、例えば単量体水溶液や重合ゲルに添加することができる。
【0080】
上記細粒化工程で細粒化されたゲルは乾燥工程で乾燥される。乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥機、気流乾燥機、共沸脱水、流動層乾燥機、ドラムドライヤー、マイクロ波、遠赤外線等を用いることができる。乾燥温度は80℃以上が好ましく、より好ましくは120℃以上であり、さらに好ましくは150〜250℃の範囲内であり、さらに一層好ましくは160〜220℃の範囲内である。
【0081】
上記吸水性樹脂は、所定形状に造粒されていてもよく、また、球状、鱗片状、不定形破砕状、顆粒状等の種々の形状であってもよい。さらに吸水性樹脂は、実質、未造粒の1次粒子であってもよく、また、1次粒子の造粒体であってもよい。
【0082】
一般に上記の吸水性樹脂は、その吸収倍率(CRC)と加圧下吸引指数と吸収速度とが本実施の形態における範囲を満たしていない。このため、さらに架橋剤を用いることにより、該吸水性樹脂の表面近傍の架橋密度を内部よりも高くする必要がある。つまり、吸水性樹脂の表面近傍を、架橋剤を用いて架橋させることにより本実施の形態に使用可能な吸水性樹脂が得られる。
【0083】
本実施の形態においては、これら吸水性樹脂を用い、(i)表面部分および/またはその近傍が架橋処理された吸水性樹脂、および/または、(ii)吸収倍率(CRC)が25g/g以上60g/g以下、加圧下吸引指数が14g/g以上で且つ吸収速度が60秒以下の吸水性樹脂を得ることができる。
【0084】
すなわち、本実施の形態に係る吸水性樹脂は、好ましくは前記した水溶液重合あるいは逆相懸濁重合によって得られる吸水性樹脂、好ましくは水溶液重合によって得られる吸水性樹脂、すなわち、質量平均粒子径が100〜600μmの範囲内、より好ましくは質量平均粒子径が200〜500μmの範囲内で、且つ、粒径が106μm未満の粒子の割合が10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下となるように重合、分級等の操作により調整して得られたものを、吸水性樹脂の有する官能基と反応し得る架橋剤(以下、表面架橋剤と表す)の存在下に加熱処理することにより得られる。
【0085】
なお、逆相懸濁重合とは、単量体水溶液を疎水性有機溶媒に懸濁させる重合法であり、例えば、米国特許4093776号、同4367323号、同4446261号、同4683274号、同5244735号などの米国特許に記載されている。水溶液重合は分散溶媒を用いずに単量体水溶液を重合する方法であり、例えば、米国特許4625001号、同4873299号、同4286082号、同4973632号、同4985518号、同5124416号、同5250640号、同5264495号、同5145906号、同5380808号などの米国特許や、欧州特許0811636号、同0955086号、同0922717号などの欧州特許に記載されている。なお、これら重合法に例示の単量体や開始剤なども本実施の形態に適用できる。
【0086】
上記の表面架橋剤としては、吸水性樹脂の有する官能基、例えば酸性基と反応し得る官能基を有するものであり、通常、該用途に用いられている公知の架橋剤が例示される。
【0087】
吸水性樹脂の官能基が例えばカルボキシル基である場合には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オン等のアルキレンカーボネート化合物;モノ、ジ、ポリのオキサゾリジン化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ジルコニウム等の水酸化物および塩化物等の多価金属化合物;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤;ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン樹脂;等より選ばれる1種または2種以上のものが例示できる。好ましくは多価アルコール化合物、多価アミン化合物、多価エポキシ化合物、およびアルキレンカーボネート化合物から選ばれる少なくとも1種を含むものである。
【0088】
表面架橋剤の使用量は、用いる化合物やそれらの組み合わせ等にもよるが、吸水性樹脂の固形分100質量部(重量部)に対して、0.001〜5質量部の範囲内が好ましく、0.01〜1質量部の範囲内がより好ましい。上記の表面架橋剤を用いることにより、吸水性樹脂の表面近傍の架橋密度を内部よりも高くすることができ、本実施の形態の吸水性樹脂に必要な吸収特性を有するものができる。表面架橋剤の使用量が10質量部を越える場合には、不経済となるばかりか、吸水性樹脂における最適な架橋構造を形成する上で、表面架橋剤の量が過剰となるため、吸収倍率(CRC)が低下し、好ましくない場合がある。また、表面架橋剤の使用量が0.001質量部未満の場合には、吸水性樹脂における加圧下吸引指数が向上しにくい場合がある。
【0089】
吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合する際には、溶媒として水を用いることが好ましい。水の使用量は、吸水性樹脂の種類や粒径等にもよるが、吸水性樹脂の固形分100質量部に対して、0を越え、20質量部以下が好ましく、0.1〜10質量部の範囲内がより好ましい。
【0090】
また、吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合する際には、必要に応じて、溶媒として親水性有機溶媒を用いてもよい。上記の親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール類;アセトン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。親水性有機溶媒の使用量は、吸水性樹脂の種類や粒径等にもよるが、吸水性樹脂の固形分100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
【0091】
吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合する際には、例えば、上記の親水性有機溶媒中に吸水性樹脂を分散させた後、表面架橋剤を混合してもよいが、混合方法は、特に限定されるものではない。種々の混合方法のうち、必要に応じて水および/または親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を、吸水性樹脂に直接、噴霧もしくは滴下して混合する方法が好ましい。また、水を用いて混合する場合には、水に不溶な微粒子状の粉体や、界面活性剤等を共存させてもよい。
【0092】
吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合する際に用いられる混合装置は、両者を均一且つ確実に混合するために、大きな混合力を備えていることが好ましい。上記の混合装置としては、例えば、円筒型混合機、二重壁円錐型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、流動型ロータリーデスク型混合機、気流型混合機、双腕型ニーダー、内部混合機、粉砕型ニーダー、回転式混合機、スクリュー型押出機等が好適である。
【0093】
本実施の形態において用いる吸水性樹脂、すなわち、以下の特徴点(i)および/または(ii):
(i)吸水性樹脂の有する官能基と反応し得る架橋剤により表面部分および/またはその近傍が表面処理されている
(ii)吸収倍率(CRC)が25g/g以上60g/g以下、加圧下吸引指数が14g/g以上、吸収速度が60秒以下である
を有する吸水性樹脂を得るには、吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合した後、加熱処理を行なうことが好ましい。
【0094】
上記加熱処理の処理温度は、用いる表面架橋剤にもよるが、上記吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合してなる混合物の温度が40℃以上250℃以下となるように加熱することが好ましく、90℃以上210℃以下となるように加熱することがより好ましい。上記処理温度が40℃未満の場合には、均一な架橋構造が形成されず、従って、加圧下吸引指数が本実施の形態の範囲に入る吸水性樹脂を得ることができないことがある。処理温度が250℃を越える場合には、吸水性樹脂の劣化を引き起こし、吸水性樹脂の性能が低下する場合があり注意を要する。
【0095】
上記の加熱処理は、通常の乾燥機または加熱炉を用いて行うことができる。
【0096】
上記の乾燥機としては、例えば、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、デスク乾燥機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、赤外線乾燥機等が挙げられる。
【0097】
本実施の形態に用いることができる吸水性樹脂を得るには加圧下吸引指数が14g/g以上になるように上記した架橋剤、混合方法、加熱温度、処理時間等を制御することが好ましい。
【0098】
本実施の形態に係る吸水剤組成物は、上記により得られた、好ましくは(i)表面部分および/またはその近傍が架橋剤により表面処理された吸水性樹脂、および/または、(ii)吸収倍率(CRC)が25g/g以上60g/g以下、好ましくは27g/g以上、より好ましくは29g/g以上、さらに好ましくは31g/g以上、加圧下吸引指数が14g/g以上、好ましくは16g/g以上、より好ましくは18g/g以上、さらに好ましくは20g/g、吸収速度が60秒以下、好ましくは55秒以下、より好ましくは50秒以下の吸水性樹脂に、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を添加させることにより得られる。
【0099】
本実施の形態に用いることのできる半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物とは、植物成分の抽出物の1種であり、好ましくはツバキ科の常緑低木およびその葉より製した半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物である。これら半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物は、半発酵茶および/または発酵茶を、有機溶媒系、水溶媒系、または有機溶媒および水溶媒の混合溶媒系からなる抽出剤により抽出するなどによって得られる。本発明において抽出物とは、抽出されたもの(成分)を示し、抽出溶媒などの抽出剤は、抽出物には含まれない。
【0100】
一般的に、椿科の茶の種類は、加工方法の違いから、不発酵茶(緑茶類)と半発酵茶(烏龍茶等の中国茶類)と発酵茶(紅茶類)との三種に大別されるが、これらは茶葉中に含まれるの酸化酵素の反応の度合いで分類されたものである。緑茶は、摘んだ葉をすぐに高い温度で蒸したり炒ったりして酸化酵素の働きを停止させたもので、一般に不発酵茶と呼ばれている。烏龍茶は、摘んだ葉を少し酸化させてから加熱して反応を停止させたもので、一般に半発酵茶と呼ばれている。紅茶は、摘んだ葉を少し乾燥させた後、挽いてつぶし、酸化させたもので、一般に発酵茶と呼ばれる。これら茶種のうち、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物は、独特な穏やかな芳香を持ち、また優れた消臭性能を発揮する上で本実施の形態において好適に使用される。
【0101】
このような半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を含有した一般の吸水性樹脂を用いたおむつ等の吸収性物品は、吸水性樹脂の種類によってはおむつ全体への消臭性能の付与が不十分となり、着用者に不快感を与える場合がある。本実施の形態の吸水剤組成物は、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を混合する前の吸水性樹脂の物性を特定化することにより上記問題を解決し、優れた消臭性能と、優れた吸収特性を吸収性物品に付与することができ、吸収性物品に好ましく用いられる。
【0102】
これら半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物の製造方法は、特に限定されるものではなく、これら半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物は、例えば、半発酵茶および/または発酵茶の葉や茎を、常温から加熱時に、有機溶媒系、水溶媒系、または有機溶媒および水溶媒の混合溶媒系からなる抽出剤により抽出する方法などによって得られる。
【0103】
これら半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物の使用量(添加量)は、目的とする消臭機能によっても異なるが、吸水性樹脂固形分100質量部に対して、0.001〜20質量部の範囲内が好ましく、0.01〜10質量部の範囲内がより好ましく、さらに好ましくは0.01〜5質量部の範囲内である。
【0104】
これら半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物の添加方法としては、吸水性樹脂に所望の量の半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物が添加されるように、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を吸水性樹脂に直接、噴霧もしくは滴下混合させる方法、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を水、水性液や各種有機溶剤等に溶解または分散させたものを、吸水性樹脂に噴霧もしくは滴下混合させる方法等が例示できる。なお吸水性樹脂の重合時に半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を添加する方法、重合後のゲルに半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を添加する方法を採用することも可能であるが、その場合には後工程で本実施の形態の吸収倍率(CRC)、加圧下吸引指数、吸収速度が得られるようにする必要がある。
【0105】
また、これら半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物の添加方法としては、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物をあらかじめ各種の無機または有機の粉体に担持させたパウダーを吸水性樹脂に直接混合させる方法等が例示できる。なお、このパウダーを吸水性樹脂の重合時に添加する方法、重合後のゲルに添加する方法を採用することも可能であるが、その場合には後工程で本実施の形態の吸収倍率(CRC)、加圧下吸引指数、吸収速度が得られるようにする必要がある。
【0106】
本実施の形態の半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を担持させるのに好適に用いられる無機または有機の粉体としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、クレー、タルク、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、珪酸またはその塩、粘土、珪藻土、シリカゲル、ゼオライト、ベントナイト、カオリン、ヒドロキシアパタイト、ハイドロタルサイト、バーミュキュライト、パーライト、イソライト、活性白土、ケイ砂、ケイ石、ストロンチウム鉱石、蛍石、ボーキサイト、等の無機粉体;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、メラニン樹脂、ポリメチルメタクリレート、デンプン、デキストリン、シクロデキストリン等が例示でき、これらのうち1種または2種類以上を使用することができる。好ましくはデンプン、デキストリンである。
【0107】
これら無機および有機の粉体のうち、特に好ましくは粒子径が微細な粒子(微粒子)が好ましい。その粒子径は100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは10μm以下のものが使用できる。なお、上記無機および有機の粉体の粒子径は、作業性や混合性の観点から1nm以上であることが好ましい。また、これら無機または有機の粉体のなかでもわずかに着色しているか、ほとんど着色のない粉体を用いることは、最終製品である吸水剤組成物の白色度を向上させることができ、好ましい。
【0108】
半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を無機または有機の粉体と混合する際には、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を単独で無機または有機の粉体に、直接噴霧もしくは滴下して混合してもよいが、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を水や各種有機溶剤との溶液にした後、噴霧もしくは滴下して混合してもよい。
【0109】
その量は、先述したように半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物の使用量が吸水性樹脂固形分100質量部に対して、0.001〜20質量部の範囲内になるようにすれば好ましく、一般に無機または有機の粉体が100質量部当り、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物が1〜500質量部、好ましくは5〜50質量部である。半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物の割合が50質量部を越えると混合物がスラリー状となりやすく、吸水性樹脂と混合した時点で反応や吸収が始まり、その消臭性能を経時的に安定に保つことが困難な場合がある。また半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物の割合が1質量部に満たない場合は、改質すべき吸水性樹脂に対して半発酵茶および/または発酵茶を担持した無機または有機の粉体の樹脂中の割合が大きくなり、得られる吸水剤組成物は吸収特性に劣るものとなり易い。
【0110】
本実施の形態において吸水性樹脂と半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を混合する場合、必要により用いる水、水蒸気、または水と親水性有機溶媒からなる水性液等の添加量は、吸水性樹脂の種類や粒度によってその最適量は異なるが、通常、水の場合、吸水性樹脂の固形分100質量部に対して、10質量部以下、好ましくは1〜5質量部の範囲内である。また使用される親水性有機溶媒の量は、同様に通常、吸水性樹脂の固形分100質量部に対して、10質量部以下、好ましくは0.1〜5質量部の範囲内である。
【0111】
本実施の形態において吸水性樹脂と半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物とを混合する場合に使用する装置としては、通常の装置でよく、例えば、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、V型混合機、リボン型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、ロールミキサー、転動式混合機などを挙げることができ、混合の際の速度は高速、低速を問わない。
【0112】
上記の吸水性樹脂および/または吸水剤組成物に、さらに各種の無機粉末を添加してもよい。無機粉末としては、具体的には、例えば、二酸化珪素や酸化チタン等の金属酸化物、天然ゼオライトや合成ゼオライト等の珪酸(塩)、カオリン、タルク、クレー、ベントナイト等が挙げられる。このうち、二酸化珪素および珪酸(塩)がより好ましく、コールターカウンター法により測定された平均粒子径が200μm以下の二酸化珪素および珪酸(塩)がさらに好ましい。その使用量は、吸水性樹脂および/または吸水剤組成物と無機粉体の組み合わせにもよるが、吸水性樹脂および/または吸水剤組成物100質量部に対し0.001〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部、さらに好ましくは0.01〜3重量部、さらに一層好ましくは0.01〜1重量部である。吸水性樹脂および/または吸水剤組成物と無機粉体の混合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、粉体同士を混合するドライブレンド法、湿式混合法等を採用できるが、ドライブレンド法がより好ましい。
【0113】
以上の製造方法により得られる吸水剤組成物は、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物と、表面処理された吸水性樹脂、および/または、吸収倍率(CRC)が25g/g以上60g/g以下、加圧下吸引指数が14g/g以上で且つ吸収速度が60秒以下(つまり、0を超えて60秒以下)の吸水性樹脂とを含む吸水剤組成物である。
【0114】
本実施の形態の吸水剤組成物は、吸水性樹脂を選定することにより、実使用でより消臭効果の高い吸水剤組成物を得ることができる。
【0115】
本実施の形態の吸水剤組成物は、吸収倍率(CRC)が25g/g以上60g/g以下、加圧下吸引指数が14g/g以上、吸収速度が60秒以下であることがより好ましい。
【0116】
上記吸収倍率(CRC)は、より好ましくは27g/g以上、さらに好ましくは29g/g以上、特に好ましくは31g/g以上である。25g/g未満では吸収量が足りないので好ましくない。60g/gより大きいとゲル強度が弱いためにゲルブロックを起こしやすく、好ましくない。
【0117】
上記加圧下吸引指数とは、吸水性樹脂が、紙からの液を吸引する力を測定する新規なパラメータであり、吸液時間が3分間での値と60分間での値の加算値で表す。この値が高いと、吸水剤組成物のまわりの液を吸い取る力が大きく、悪臭を発生させる尿、経血等の体外に排泄される液を取り込み、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物が有する消臭効果を高める働きをする。また、本作用は、吸水剤組成物の消臭効果もさることながら、吸収性物品においても優れた消臭効果を発現する。加圧下吸引指数は、より好ましくは16g/g以上、さらに好ましくは18g/g以上、特に好ましくは20g/g以上である。該加圧下吸引指数の上限は、高ければ高いほど好ましいが、吸収倍率(CRC)との性能のバランスの観点からすれば、40g/g以下であることが好ましい。
【0118】
上記吸収速度は、より好ましくは55秒以下、さらに好ましくは50秒以下である。60秒を超えると液の吸収が遅く、消臭効果も低下するので、好ましくない。
【0119】
また、上記の吸収倍率(CRC)、加圧下吸引指数、吸収速度で表される吸収特性は、消臭作用だけでなく、実際の吸収性物品での漏れの低減、戻り量の低下、お尻かぶれ防止、ドライ感の向上が発現できる。
【0120】
本実施の形態の吸水剤組成物は、質量平均粒子径が、好ましくは100〜600μmの範囲内、より好ましくは200〜500μmの範囲内で、且つ、106μm未満の粒子の割合が吸水剤組成物全量に対して10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
【0121】
また、本実施の形態に係る吸水剤組成物は、前記したように、酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とする粒子状の吸水剤組成物(粒子状の吸水性樹脂組成物)であり、特定の中和率並びに特定の粒子径を有していることがより望ましい。なお、該吸水剤組成物については、植物成分(B)として半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物以外の植物成分を用いる場合と合わせて実施の形態2で後述する。
【0122】
本実施の形態の吸水剤組成物は、衛生材料に用いることが好ましい。また、本実施の形態の吸水剤組成物は消臭剤として用いることもできる。上記吸水剤組成物中に含まれる吸水性樹脂は、例えばアミンやアンモニア成分の吸収(中和)能に優れている。このため、上記吸水剤組成物は、上記吸水性樹脂による消臭効果と、上記半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物などの植物成分(B)による消臭効果との相乗効果により、優れた消臭能を発揮する。
【0123】
本実施の形態の吸収体は、本実施の形態の吸水剤組成物を含む吸収材であり、例えば、上記吸水剤組成物を、接着剤で固めたり、親水性繊維などの繊維基材とブレンドして固めたり、もしくは、上記繊維基材で挟持(サンドイッチ)するなどして成型することによって得ることができる。該吸収体は、例えば、衛生材料などの吸収性物品の吸収層として好適に用いることができる。
【0124】
本実施の形態の吸収体は、例えば、ティッシュペーパーなどの親水性繊維以外の繊維で吸水剤組成物を挟持したものや、接着剤等で吸水剤組成物を固めただけのものであってもよい。すなわち、本実施の形態の吸収体は、コア濃度、すなわち、吸水剤組成物と親水性繊維との合計質量に対する吸水剤組成物の含有量が100質量%であってもよいが、上記吸収体が親水性繊維を含むことで、吸収特性に優れ、且つ、おむつ等の吸収性物品への組み込みが容易な吸収体を安定して且つ容易に得ることができる。
【0125】
上記吸収体が上記親水性繊維をさらに含む場合、上記吸水剤組成物と親水性繊維との合計質量に対する吸水剤組成物の含有量(コア濃度)の上限値は、特に限定されるものではなく、上記コア濃度は、100質量%未満の範囲内にて任意に設定することができるが、10〜90質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは20〜90質量%、さらに好ましくは25〜80質量%の範囲内である。コア濃度が10質量%未満の場合は、吸水剤組成物の使用量が少なく、おむつ全体への消臭性能の付与が十分に行われない場合があり、好ましくない。また、上記コア濃度が90質量%を超える(つまり、上記吸水剤組成物と親水性繊維との合計質量に対する親水性繊維の含有量が10質量%を下回る)と、親水性繊維を用いることによる効果を十分に得ることができなくなるおそれがある。
【0126】
なお、上記吸収体が親水性繊維などの繊維基材を含む場合、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物は、予め吸水性樹脂と混合することにより上記吸水剤組成物中に含まれていてもよく上記親水性繊維などの繊維基材に添加して用いてもよく、上記吸水性樹脂を上記親水性繊維などの繊維基材とブレンド後に添加してもよい。すなわち、上記吸収体において、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物は、吸水剤組成物中に含まれていてもよく、上記吸水剤組成物とは別(例えば、親水性繊維などの繊維基材中)に含まれていてもよい。
【0127】
また、本実施の形態の吸収性物品は、本実施の形態の吸水剤組成物を含む吸収体(吸収層)、液透過性を有する表面シート、および液不透過性を有する背面シートを備える吸収性物品である。
【0128】
本実施の形態の吸収性物品は、好ましくは、吸収体に含まれる吸水剤組成物の質量比が0.1以上であり、好ましくは0.2〜0.9、さらに好ましくは0.25〜0.8の範囲内である。
【0129】
本実施の形態の吸収性物品において、吸収体に含まれる吸水剤組成物の質量比が0.1未満の場合は、吸水剤組成物の使用量が少なく、おむつ全体への消臭性能の付与が十分に行われない場合があり、好ましくない。
【0130】
本実施の形態の吸収性物品の吸収体に含まれる吸水剤組成物を構成する吸水性樹脂は、ポリアクリル酸(塩)の架橋体を主成分とする。
【0131】
本実施の形態の吸収性物品の吸収体に含まれる吸水剤組成物は、好ましくは、吸収倍率(CRC)が25g/g以上60g/g以下、加圧下吸引指数が14g/g以上、吸収速度が60秒以下である。吸収倍率(CRC)は、より好ましくは27g/g以上、さらに好ましくは29g/g以上、特に好ましくは31g/g以上である。加圧下吸引指数は、より好ましくは16g/g以上、さらに好ましくは18g/g以上、特に好ましくは20g/g以上である。吸収速度は、より好ましくは55秒以下、さらに好ましくは50秒以下である。
【0132】
この吸収性物品の製造方法は、例えば繊維基材と吸水剤組成物とをブレンド、または、繊維基材で吸水剤組成物をサンドイッチすることで吸収層(吸収コア)を作成し、吸収コアを、液透過性を有する基材(表面シート)と液不透過性を有する基材(背面シート)でサンドイッチして、必要に応じて、弾性部材、拡散層、粘着テープなどを装備することで、吸収性物品、特に大人用紙おむつや生理用ナプキンとすればよい。かかる吸収コアは、例えば、密度0.06〜0.50g/cm、坪量0.01〜0.20g/cmの範囲内に圧縮成形される。なお、用いられる繊維基材としては、親水性繊維、例えば、粉砕された木材パルプ、その他、コットンリンターや架橋セルロース繊維、レーヨン、綿、羊毛、アセテート、ビニロン等を例示できる。好ましくはそれらをエアレイドしたものである。
【0133】
上記親水性繊維とは、好ましくは、機械で粉砕された木材パルプ、化学パルプ、クラフトパルプ、木綿、レーヨン、綿、羊毛、アセテート、ビニロン、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維が挙げられ、これらの単一のものでも、2種類以上を積層構造や芯鞘構造などに複合化した繊維でもよい。これら繊維のうち繊維表面が疎水性のものの場合は親水化処理を施したものである。
【0134】
このように本実施の形態の吸水剤組成物は、吸収性物品に消臭機能を付与でき、長時間にわたり、優れた消臭性能と、優れた吸収特性を示すものである。このような吸収性物品としては、具体的には、近年成長の著しい大人用紙おむつをはじめ、子供用おむつや生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料等が挙げられる。本実施の形態の吸収性物品は、それらに特に限定されるものではないが、吸収性物品の中に存在する吸水剤組成物が非常に優れた消臭性を有し、且つ、戻り量も少なく、ドライ感が著しいことにより、装着している本人、介護の人々の負担を大きく低減することができる。
【0135】
〔実施の形態2〕
次に、(1)特定の中和率、(2)特定の粒子径、および、(3)特定の植物成分という3つの特性を兼ね備えた粒子状の吸水剤組成物(粒子状の吸水性樹脂組成物)について説明する。
【0136】
まず、本実施の形態で用いられる吸水性樹脂について説明する。
【0137】
(I)吸水性樹脂
本実施の形態で用いられる吸水性樹脂とは、ヒドロゲルを形成しうる水膨潤性水不溶性の架橋重合体のことであり、例えば、水膨潤性とはイオン交換水中において必須に自重の5倍以上、好ましくは、50倍から1000倍という多量の水を吸収するものを指し、水不溶性とは吸水性樹脂中の未架橋の水可溶性成分(水溶性高分子)が好ましくは50質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、さらに一層好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下のものを指す。なお、これらの測定法は実施例で規定する。
【0138】
本実施の形態では吸水性樹脂として、消臭効果および吸収特性の面から、酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)が必須に用いられる。なお、酸基含有単量体としてアクリロニトリルなど重合後の加水分解によって重合後に酸基となる単量体も本実施の形態では酸基含有単量体とするが、好ましくは、重合時に酸基を含有する酸基含有単量体が用いられる。
【0139】
かかる吸水性樹脂としては、前記実施の形態1で例示した吸水性樹脂と同様の吸水性樹脂、例えば、ポリアクリル酸部分中和物重合体、澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフト重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物、またはこれらの架橋体、カルボキシル基含有架橋ポリビニルアルコール変性物、架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等の1種または2種以上を挙げることができるが、好ましくは、アクリル酸および/またはその塩(中和物)を主成分とする単量体を重合・架橋することにより得られるポリアクリル酸部分中和物重合体が用いられる。
【0140】
単量体としてアクリル酸および/またはその塩を主成分とする場合、その他の単量体を併用してもよい。併用される単量体としては、前記実施の形態1にて前述した米国特許や欧州特許などに例示されるが、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソブチレン、ラウリル(メタ)アクリレート等の水溶性または疎水性不飽和単量体等を共重合成分とするものも含まれる。
【0141】
本実施の形態でアクリル酸(塩)以外の単量体を用いる場合には、該アクリル酸(塩)以外の単量体は、主成分として用いるアクリル酸およびその塩との合計量に対して、好ましくは30モル%以下、より好ましくは10モル%以下の割合である。アクリル酸(塩)以外の単量体をアクリル酸(塩)と併用することで、最終的に得られる吸水性樹脂(組成物)の吸収特性がより一層向上すると共に、吸水性樹脂(組成物)をより一層安価に得ることができる。
【0142】
吸水性樹脂は架橋構造を必須とし、架橋剤を使用しない自己架橋型のものであってもよいが、一分子中に、2個以上の重合性不飽和基や、2個以上の反応性基を有する架橋剤(吸水性樹脂の内部架橋剤)を共重合または反応させたものがさらに好ましい。
【0143】
これら内部架橋剤の具体例としては、例えば、内部架橋剤として前記実施の形態1に例示の架橋剤を用いることができる。これら内部架橋剤は、単独で用いてもよく、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。また、これら内部架橋剤は、前記実施の形態1同様、反応系に一括添加してもよく、分割添加してもよい。本実施の形態においても、少なくとも1種または2種類以上の内部架橋剤を使用する場合には、最終的に得られる吸水性樹脂や吸水剤組成物の吸収特性等を考慮して、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を重合時に必須に用いることが好ましい。
【0144】
これら内部架橋剤の使用量は前記単量体(架橋剤を除く)に対して、好ましくは0.001〜2モル%、より好ましくは0.005〜0.5モル%、さらに好ましくは0.01〜0.2モル%、特に好ましくは0.03〜0.15モル%の範囲内とされる。上記内部架橋剤の使用量が0.001モル%よりも少ない場合、並びに、2モル%よりも多い場合には、充分な吸収特性が得られないおそれがある。
【0145】
上記内部架橋剤を用いて架橋構造を重合体内部に導入する場合には、上記内部架橋剤を、上記単量体の重合前あるいは重合途中、あるいは重合後、または中和後に反応系に添加するようにすればよい。
【0146】
本実施の形態に用いられる吸水性樹脂を得るために上述の単量体を重合するに際しては、バルク重合や沈殿重合を行なうことが可能であるが、性能面や重合の制御の容易さ、さらに膨潤ゲルの吸収特性の観点から、上記単量体を水溶液とすることによる水溶液重合や逆相懸濁重合を行なうことが好ましい。
【0147】
単量体を水溶液とする場合の該水溶液(以下、単量体水溶液と称する)中の単量体の濃度は、水溶液の温度や単量体によって決まり、特に限定されるものではないが、10〜70質量%の範囲内が好ましく、20〜60質量%の範囲内がさらに好ましい。また、上記水溶液重合を行なう際には、水以外の溶媒を必要に応じて併用してもよく、併用して用いられる溶媒の種類は、特に限定されるものではない。
【0148】
なお、逆相懸濁重合とは、前記実施の形態1に記載したように、単量体水溶液を疎水性有機溶媒に懸濁させる重合法であり、逆相懸濁重合に関して前記実施の形態1で引用した米国特許や欧州特許に記載の重合法に例示の単量体や開始剤なども本実施の形態に適用できる。
【0149】
上記の重合を開始させる際には、例えば前記実施の形態1に記載のラジカル重合開始剤や光重合開始剤などを用いることができる。これら重合開始剤の使用量は物性面から通常0.001〜2モル%、好ましくは0.01〜0.1モル%(対全単量体)である。
【0150】
重合後、通常は含水ゲル状架橋重合体であり、必要に応じて乾燥し、乾燥の前および/または後で通常粉砕されて吸水性樹脂とする。また、乾燥は通常60℃〜250℃、好ましくは100℃〜220℃、より好ましくは120℃〜200℃の温度範囲内で行われる。乾燥時間は、重合体の表面積、含水率、および乾燥機の種類に依存し、目的とする含水率になるよう選択される。
【0151】
本実施の形態に用いることのできる吸水性樹脂(吸水剤組成物)の含水率(吸水性樹脂や吸水剤組成物中に含まれる水分量で規定;180℃で3時間の乾燥減量で測定)は特に限定されないが、得られる吸水剤組成物の物性面から室温でも流動性を示す粉末であり、より好ましくは0.2〜30質量%、さらに好ましくは0.3〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%の粉末状態であり、吸水性樹脂(吸水剤組成物)の好ましい粒子径は後述する。
【0152】
このようにして得られた吸水性樹脂や吸水剤組成物の粒子形状は、球状、破砕状、不定形状等特に限定されるものではないが、粉砕工程を経て得られた不定形破砕状のものが好ましく使用できる。さらに、その嵩比重(JIS K−3362で規定)は、吸水剤組成物の優れた物性から好ましくは0.40〜0.80g/ml、より好ましくは0.50〜0.75g/ml、さらに好ましくは0.60〜0.73g/mlの範囲内である。
【0153】
本実施の形態の吸水剤組成物に用いられる吸水性樹脂は上記の架橋重合および乾燥して得られたものでもよいが、さらに、表面架橋(二次架橋)されたものが好ましい。
【0154】
上記表面架橋を行うための架橋剤としては、種々のものがあるが、物性の観点から、一般的には、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価アミン化合物またはそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、モノ,ジ,またはポリオキサゾリジノン化合物、多価金属塩、アルキレンカーボネート化合物等が用いられている。
【0155】
本実施の形態で用いられる表面架橋剤としては、具体的には、米国特許6228930号、同6071976号、同6254990号などに例示されている。例えば、モノ,ジ,トリ,テトラまたはポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,3,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノールなどの多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルやグリシドールなどのエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミンなどの多価アミン化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリンなどのハロエポキシ化合物;上記多価アミン化合物と上記ハロエポキシ化合物との縮合物、2−オキサゾリジノンなどのキサゾリジノン化合物、エチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネート化合物等が挙げられるが、特に限定されるものではない。本実施の形態の効果を最大限にするために、これら架橋剤の中でも少なくとも多価アルコールを用いることが好ましく、炭素数2〜10、好ましくは炭素数3〜8の多価アルコールが用いられる。
【0156】
表面架橋剤の使用量は、用いる化合物やそれらの組み合わせ等にもよるが、吸水性樹脂100質量部に対して、0.001質量部〜10質量部の範囲内が好ましく、0.01質量部〜5質量部の範囲内がより好ましい。
【0157】
本実施の形態において、表面架橋には水を用いることが好ましい。この際、使用される水の量は、使用する吸水性樹脂の含水率にもよるが、通常、吸水性樹脂100質量部に対し0.5〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部の範囲内である。また、本実施の形態では、水以外に親水性有機溶媒を用いてもよい。この際、使用される親水性有機溶媒の量は、吸水性樹脂に対して0〜10質量部、好ましくは0〜5質量部、より好ましくは0〜3質量部の範囲内である。
【0158】
さらに、本実施の形態では種々の混合方法のうち、必要により水および/または親水性有機溶媒とを予め混合した後、次いで、その水溶液を吸水性樹脂に噴霧あるいは滴下混合する方法が好ましく、噴霧する方法がより好ましい。噴霧される液滴の大きさは、300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。また混合に際し、本発明の効果を妨げない範囲内で水不溶性微粒子粉体や界面活性剤を共存させてもよい。
【0159】
架橋剤を混合後の吸水性樹脂は好ましくは加熱処理される。上記加熱処理を行なう際には、架橋剤を混合後の吸水性樹脂の温度、すなわち、上記吸水性樹脂と架橋剤とを混合してなる混合物の温度が、好ましくは100〜250℃、より好ましくは150〜250℃の範囲内となるように加熱を行なう。加熱時間は、好ましくは1分〜2時間の範囲内である。温度と時間の組み合わせの好適例としては、180℃で0.1〜1.5時間、200℃で0.1〜1時間である。
【0160】
こうして必要により表面架橋を行って得られる吸水性樹脂は、本発明の消臭効果を達成する上で特定粒度に調整され、好ましくは、850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、好ましくは、850μm未満で150μm以上の粒子が全体の95質量%以上、さらには98質量%以上とされる。また、300μm以上の粒子がより好ましくは65質量%以上、さらには70質量%以上、特に75質量%以上とされる。また、吸水性樹脂の質量平均粒子径は、好ましくは200〜700μm、より好ましくは300〜600μm、さらに好ましくは400〜500μmとされる。上記の粒子径は後述の吸水剤組成物にも適用され、吸水性樹脂ないし吸水剤組成物の粒子径は必要により造粒などで調整してもよい。
【0161】
本実施の形態の吸水剤組成物は上記により得られた吸水性樹脂(A)にポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種、好ましくは2種以上、より好ましくは3種以上の化合物を含む植物成分(B)を添加させることにより得られる。
【0162】
(II)植物成分(B)
本実施の形態で用いることのできる植物成分(B)とは、ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種、好ましくは2種以上、より好ましくは3種以上の化合物を、0を越えて100質量%以下の割合で含む植物成分であればよく、好ましくは、前記化合物が、タンニン、タンニン酸、五倍子、没食子および没食子酸から選ばれる少なくとも1種である。
【0163】
本実施の形態に用いることのできる植物成分(B)を含んだ植物としては、ツバキ科の植物では、例えば、ツバキ、ヒサカキ、モッコクなどが挙げられる。アカネ科の植物では、例えば、コーヒーなどが挙げられる。イネ科の植物では、例えば、イネ、ササ、竹、トウモロコシ、麦などが挙げられる。
【0164】
上記植物成分(B)としては、上記植物の抽出物などが挙げられるが、これら植物成分(B)のなかでも、前記実施の形態1に記載したように半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物が好適に用いられる。
【0165】
植物成分(B)の使用量は、目的とする消臭機能によっても異なるがその添加量は吸水性樹脂固形分100質量部に対して0.001〜10質量部の範囲内が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量部の範囲内である。0.001質量部より少ないと十分な効果が得られず、10質量部以上の場合は、添加量に見合った効果が得られない。
【0166】
本実施の形態で用いることのできる植物成分(B)の形態としては、前記化合物を含む植物成分(B)を含有していればよく、植物から抽出したエキス(精油)、植物自体(植物粉末)、植物加工業や食物加工業における製造工程で副生する植物滓および抽出滓などが挙げられる。また、植物成分(B)は、天然物から抽出される場合が多いため、あらかじめ、抗菌剤、殺菌剤、滅菌剤、除菌剤、静菌剤、消毒剤、殺菌剤、防腐剤などを含んでいるものであってもよい。
【0167】
また、植物成分(B)は、それ自身が粉末の場合、および/または、植物から抽出した植物成分(B)を含んだエキス(精油)を担持させた粉体の場合、その粒子径は、通常、0.001〜1000μm、好ましくは、1〜600μmの範囲内であり、質量平均粒子径が500μm以下、さらに好ましくは300μm以下であることが好ましい。質量平均粒子径が500μmより大きい場合には、尿と接触した場合、植物成分(B)に含まれる有効成分の作用が不十分となり、安定した消臭性能が付与できない場合があり好ましくないことがある。また吸水性樹脂の質量平均粒子径に対して、植物成分(B)を含んだ粉末の質量平均粒子径が小さい方が、優れた消臭性能および安定性が付与できるため好ましい。
【0168】
本実施の形態に用いることのできる植物成分(B)としては、後述するが吸水性樹脂に添加するために、好ましくは、常温で液体、および/または、水溶液が好ましい。
【0169】
(III)吸水剤組成物
本実施の形態の吸水剤組成物は、本実施の形態で用いられる前記植物成分(B)と、本実施の形態で用いられる前記吸水性樹脂とを含み、且つ、前記吸水剤組成物は、850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であることを特徴とする。
【0170】
吸水剤組成物は、前記植物成分(B)と、前記吸水性樹脂とを含んでいれば、その製法は特に限定されるものではないが、例えば、前記吸水性樹脂に植物成分(B)を添加する方法が挙げられる。添加方法には、植物成分(B)が液状の場合、例えば、植物成分(B)が、常温で液体および/または水、水性液や各種有機溶剤などに溶解した溶液の場合、植物成分(B)含んだ溶液を、吸水性樹脂に所望の量添加されるように、噴霧もしくは滴下混合させる方法が挙げられる。また、植物成分(B)が粉体の場合には、吸水性樹脂に所望の量添加されるように、植物成分(B)を吸水性樹脂に直接混合させる方法(例えば粉体同士を混合する場合は、ドライブレンド法)や、植物成分(B)を吸水性樹脂に直接混合したものに、水、水性液や各種有機溶剤などを、噴霧もしくは滴下混合させる方法などが例示できる。なお吸水性樹脂の重合時に植物成分(B)を添加する方法や、重合後のゲルに植物成分(B)を添加する方法を採用することも可能である。
【0171】
本実施の形態において吸水性樹脂と植物成分(B)を混合する場合、必要により用いる水、水蒸気、または水と親水性有機溶媒からなる水性液等の添加量は、吸水性樹脂の種類や粒度によってその最適量は異なるが、通常、水の場合、吸水性樹脂の固形分100質量部に対して、10質量部以下、好ましくは1〜5質量部の範囲内である。また使用される親水性有機溶媒の量は、同様に通常、吸水性樹脂の固形分100質量部に対して、10質量部以下、好ましくは0.1〜5質量部の範囲内である。
【0172】
本実施の形態において吸水性樹脂と植物成分(B)を含んだ粉末および/または溶液とを混合する場合に使用する装置としては、通常の装置でよく、例えば、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、V型混合機、リボン型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、ロールミキサー、転動式混合機などを挙げることができ、混合の際の速度は高速、低速を問わない。
【0173】
上記の吸水性樹脂および/または吸水剤組成物には、前記実施の形態1同様、さらに各種の無機粉末を添加してもよい。無機粉末としては、前記実施の形態1に例示の無機粉体が挙げられる。そのなかでも、好ましくは、二酸化珪素および珪酸(塩)であり、さらに好ましくは、コールターカウンター法により測定された平均粒子径が200μm以下の二酸化珪素および珪酸(塩)である。また、その使用量は、吸水性樹脂および/または吸水剤組成物と無機粉体の組み合わせにもよるが、前記実施の形態1と同様に設定することができる。さらに、吸水性樹脂および/または吸水剤組成物と無機粉体の混合方法もまた、特に限定されるものではなく、例えば、実施の形態1に記載の方法と同様の方法を採用することができる。そのなかでも、ドライブレンド法がより好ましい。
【0174】
上記の本実施の形態に係る吸水剤組成物の製造方法においては、さらに、必要に応じて、消臭剤、抗菌剤、香料、発泡剤、顔料、染料、可塑剤、粘着剤、界面活性剤、肥料、酸化剤、還元剤、水、塩類、キレート剤、殺菌剤、滅菌剤、除菌剤、静菌剤、消毒剤、防腐剤、ポリエチレングリコールやポリエリレンイミンなどの親水性高分子、パラフィンなどの疎水性高分子、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂、ポリエステル樹脂やユリア樹脂などの熱硬化性樹脂等を添加する等、種々の機能を付与する工程を含んでいてもよい。つまり、本実施の形態に係る吸水剤組成物は、上記した各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0175】
以上の製造方法により得られる吸水剤組成物は、植物成分(B)と、吸水性樹脂とを含む吸水剤組成物である。なお、本実施の形態の吸水剤組成物の製法は、上記の方法に特に限定されるものではない。
【0176】
本実施の形態の吸水剤組成物は、植物成分(B)と、吸水性樹脂とを含む吸水剤組成物である。
【0177】
本実施の形態の吸水剤組成物は、植物成分(B)が、前記実施の形態1に示すように半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物である場合、その酸基(実質的に主成分である吸水性樹脂中の酸基)の全モル量の1/3以上4/5未満、好適には1/3以上3/4未満、より好適には1/3以上7/10未満、さらに好適には1/3〜2/3、さらに一層好適には1/3〜3/5が中和されている。具体的には、吸水性樹脂が上記のアクリル酸を主成分とする場合、その1/3以上4/5未満、好適には1/3以上3/4未満、より好適には1/3以上7/10未満、さらに好適には1/3〜2/3、さらに一層好適には1/3〜3/5がアクリル酸塩の形になっている。
【0178】
また、本実施の形態の吸水剤組成物は、植物成分(B)が、上記半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物以外の植物成分(B)である場合、その酸基(実質的に主成分である吸水性樹脂中の酸基)の全モル量の1/3以上3/4未満、好適には1/3以上7/10未満、より好適には1/3〜2/3、さらに好適には1/3〜3/5が中和されている。具体的には、吸水性樹脂が上記のアクリル酸を主成分とする場合、その1/3以上3/4未満、好適には1/3以上7/10未満、より好適には1/3〜2/3、さらに好適には1/3〜3/5がアクリル酸塩の形になっている。
【0179】
また、本実施の形態の吸水剤組成物の製造方法は、酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とし、(1)酸基の全モル量の1/3以上3/4未満(但し、後述する植物成分(B)が半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物から選ばれる場合、酸基の全モル量の1/3以上4/5未満)が中和され、(2)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、さらに、(3)ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分(B)を含有する粒子状の吸水剤組成物の製造方法であって、酸基含有不飽和単量体を重合して、架橋構造を有し且つ酸基の全モル量の1/3以上3/4未満(但し、後述する植物成分(B)が半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物から選ばれる場合、酸基の全モル量の1/3以上4/5未満)が中和された吸水性樹脂を得る工程と、得られた吸水性樹脂の粒度を、850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上となるように調整する工程と、粒度を調整した吸水性樹脂と、ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分(B)とを混合する工程とを含んでいる。なお、上記の製造方法において、上記吸水性樹脂を得る工程では、予め所望の中和率を有する酸基含有不飽和単量体、すなわち、酸基の全モル量の1/3以上3/4未満(但し、後述する植物成分(B)が半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物から選ばれる場合、酸基の全モル量の1/3以上4/5未満)が中和された酸基含有不飽和単量体を重合して架橋構造を有する吸水性樹脂を得てもよいし、中和されていないかあるいは中和されていても所望の中和率よりも低い中和率を有する酸基含有不飽和単量体を重合した後、所望の中和率を有するように中和(すなわち後中和)することにより、上記物性を有する吸水性樹脂を得てもよい。本実施の形態の吸水剤組成物の製造方法によれば、本実施の形態にかかる上記の吸水剤組成物を容易に得ることができる。
【0180】
本実施の形態では中和されていないアクリル酸部分により塩基性悪臭成分(例えば、アンモニア、アミン類)を中和することができる。また、植物成分(B)は、悪臭成分に対する消臭効果が知られているが、本願発明者らは、該植物成分(B)が半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物である場合には1/3以上4/5未満、好適には1/3以上3/4未満、より好適には1/3以上7/10未満、さらに好適には1/3〜2/3、さらに一層好適には1/3〜3/5の範囲内で酸基含有不飽和単量体(アクリル酸)がアクリル酸塩の形になっている吸水性樹脂との相乗効果で、また、植物成分(B)が半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物以外の植物成分(B)である場合には1/3以上3/4未満、好適には1/3以上7/10未満、より好適には1/3〜2/3、さらに好適には1/3〜3/5の範囲内で酸基含有不飽和単量体(アクリル酸)がアクリル酸塩の形になっている吸水性樹脂との相乗効果で、植物成分(B)の消臭効果が大きく向上することを見出した。
【0181】
さらに、本願発明者らは、植物成分(B)が半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物である場合には1/3以上4/5未満、好適には1/3以上3/4未満、より好適には1/3以上7/10未満、さらに好適には1/3〜2/3、さらに一層好適には1/3〜3/5の範囲内で、また、植物成分(B)が半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物以外の植物成分(B)である場合には1/3以上3/4未満、好適には1/3以上7/10未満、より好適には1/3〜2/3、さらに好適には1/3〜3/5の範囲内で、酸基含有不飽和単量体(アクリル酸)がアクリル酸塩の形になっている吸水性樹脂と植物成分(B)とを含んだ吸水剤組成物は、硫化水素、メチルメルカプタンなどの腐敗臭を引き起こす硫黄系悪臭成分に関して、消臭効果の向上が見られ、また、紙おむつ等での実使用で、実際の尿を吸収した状態において長時間放置した場合でも消臭効果が持続することを見出した。これら効果の発現の機構については明らかでないが、例えば、植物成分(B)が半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物である植物成分(B)の場合には、1/3以上4/5未満、好適には1/3以上3/4未満、より好適には1/3以上7/10未満、さらに好適には1/3〜2/3、さらに一層好適には1/3〜3/5というアクリル酸塩の範囲が、植物成分(B)の消臭効果を引き出す状態を作り出している、もしくは、植物成分(B)を安定化していると思われる。また、植物成分(B)が半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物以外の植物成分(B)である場合には1/3以上3/4未満、好適には1/3以上7/10未満、より好適には1/3〜2/3、さらに好適には1/3〜3/5というアクリル酸塩の範囲が、植物成分(B)の消臭効果を引き出す状態を作り出している、もしくは、植物成分(B)を安定化していると思われる。
【0182】
さらに本実施の形態に係る吸水剤組成物は、850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であることを特徴とする。
【0183】
本実施の形態に使用する吸水性樹脂は、酸性基(カルボキシル基)を有しているため、例えば、アンモニアなどの塩基性悪臭物質を有効に中和する。吸水性樹脂(および吸水剤組成物)の表面積は、粒子径が細かいものほど大きく、表面積が大きいほど塩基性悪臭物質を中和するには有利であると思われるが、鋭意検討した結果、実際の使用(例えば、紙おむつなどの尿のゲル化剤)の場合、特定の粒子径を有したものが、悪臭物質の除去に有効であることを見出した。
【0184】
これら効果の発現の機構については明らかでないが、例えば、吸水剤組成物のゲル状態が影響していると考えられる。粒子径が細かすぎる場合、吸水速度が速すぎるため、ゲルブロックをおこし、使用した吸水剤組成物に悪臭成分を含んだ液体が到達しないことが考えられ、また、粒子径が大きすぎる場合、吸水速度が遅いため、悪臭成分を含んだ液体から悪臭成分が揮発してしまうことが考えられる。
【0185】
また、好ましくは、本実施の形態に係る吸水剤組成物は、0.90質量%生理食塩水に対する無加圧下で60分の吸収倍率(CRC)が30g/g以上、0.90質量%生理食塩水に対する1.9kPaで60分の拡散吸収倍率(DAP)が24g/g以上を満たすことがよい。なお、上記吸収倍率(CRC)の上限は、高ければ高いほど好ましいが、ゲル強度が弱くなり、ゲルブロックを起こし易くなるという観点からすれば60g/g以下であることが好ましい。また、拡散吸収倍率(DAP)の上限も高ければ高いほど好ましいが、吸収倍率(CRC)との性能のバランスの観点からすれば50g/g以下であることが好ましい。CRCはより好ましくは32g/g以上、さらに好ましくは34g/g以上とされ、DAPはより好ましくは26g/g以上、さらに好ましくは28g/g以上、さらに一層好ましくは30g/g以上とされる。
【0186】
吸収倍率(CRC)が30g/g未満の場合、後述する吸収体および/または吸収性物品(例えば、紙おむつなど)に使用した場合、尿などの悪臭成分を含んだ液体の吸収力が劣るため、紙おむつでの実使用で、漏れ、肌のかぶれなどの問題を引き起こし、また、悪臭の除去能力も不足する。さらに、紙おむつなどの実使用では、吸収体および/または吸収性物品に、紙おむつ着用者の体重がかかる場合がある。
【0187】
拡散吸収倍率(DAP)が24g/g未満では、吸水剤組成物に体重などの荷重がかかった場合、尿などの悪臭成分を含んだ液体の液拡散および吸収力が劣るため、吸収体および/または吸収性物品中で液体の拡散が行なわれず液がブロッキングをおこす。これにより、使用している吸水剤組成物に液が全体に広がらないため、紙おむつでの実使用で、漏れ、肌のかぶれ等の問題を引き起こし、また、悪臭の除去能力も不足することがある。
【0188】
さらに、本実施の形態の吸水剤組成物の形状、固形分(含水率)、水可溶分量なども前述の範囲であり、その水可溶分は、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下とされる。また、本実施の形態の吸水剤組成物の着色状態はYI値(Yellow Index/欧州特許942014号および同1108745号参照)で0〜15、好ましくは0〜13、より好ましくは0〜10、最も好ましくは0〜5であり、さらに、残存モノマーも400ppm、好ましくは300ppmを示す。
【0189】
本実施の形態の吸水剤組成物は、850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、好ましくは、850μm未満で150μm以上の粒子が全体の95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上とされる。また、300μm以上の粒子がより好ましくは65質量%以上、さらには70質量%以上、特に75質量%以上とされる。また、吸水性樹脂の質量平均粒子径は好ましくは200〜700μm、より好ましくは300〜600μm、さらに好ましくは400〜500μmとされる。
【0190】
すなわち、本願発明者らは、300μm以上の粒子が60質量%より少ない場合、本発明の消臭効果を達成されないことを見出した。また、本願発明者らは、粒子径を大きくすると比表面積が減少するにも拘らず、上記(1)〜(3)の組み合わせでは驚くべきことに、吸水剤組成物の粒子径を大きくしてその比表面積を減少させるほど消臭効果が向上することを見出した。
【0191】
(IV)吸収体および/または吸収性物品
本実施の形態の吸収体は、上記(III)に記載の本実施の形態に係る吸水剤組成物を含有することを特徴とする吸収体である。
【0192】
また、本実施の形態の吸収体は、酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とする粒子状の吸水剤組成物、および、親水性繊維とを含む吸収体であって、上記吸水剤組成物は、(1)酸基の全モル量の1/3以上3/4未満、好適には1/3以上7/10未満、より好適には1/3〜2/3、さらに好適には1/3〜3/5が中和され、(2)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、さらに、当該吸収体は(3)ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分(B)を含有することを特徴とする吸収体である。
【0193】
さらに、本実施の形態の吸収体は、酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とする粒子状の吸水剤組成物、および親水性繊維とを含む吸収体であって、上記吸水剤組成物は、(1)酸基の全モル量の1/3以上4/5未満、好適には1/3以上3/4未満、より好適には1/3以上7/10未満、さらに好適には1/3〜2/3、さらに一層好適には1/3〜3/5が中和され、(2)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、さらに、当該吸収体は(3)ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分(B)として、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物(すなわち、半発酵茶の抽出物および発酵茶の抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリフェノール)を含有(添加)することを特徴とする吸収体である。
【0194】
すなわち、本実施の形態の吸収体においては、吸収体の構成成分に必須として上記植物成分(B)を添加し、含有させるが、その添加場所は、吸水剤組成物中でもよく、吸水剤組成物とは別であってもよい。例えば、上記植物成分(B)は、吸水剤組成物以外の親水性繊維などの繊維基材に添加し、含有させてもよいが、効果の面で、好ましくは吸水剤組成物に添加する方が好ましい。
【0195】
上記各吸収体における吸水性樹脂(A)は、その表面部分および/またはその近傍が架橋剤により表面処理されていることが好ましい。
【0196】
また、本実施の形態で吸収体とは、吸水性樹脂と親水性繊維とを主成分して成型された吸収体であることが好ましい。かかる吸収体は上記した本実施の形態の粒子状の吸水剤組成物と親水性繊維とを用いてシート状や筒状などに成型して製造できるが、その他の製造方法として、上記の吸水性樹脂(A)と植物成分(B)と親水性繊維とを用いて吸収体を製造することで得てもよい。
【0197】
本実施の形態においても、上記吸収体は、前記実施の形態1同様、例えば、ティッシュペーパーなどの親水性繊維以外の繊維で吸水剤組成物を挟持したものや、接着剤等で吸水剤組成物を固めただけのものであってもよい。すなわち、本実施の形態の吸収体もまた、コア濃度、すなわち、吸水剤組成物と親水性繊維との合計質量に対する吸水剤組成物の含有量が100質量%であってもよいが、上記吸収体が上記親水性繊維をさらに含む場合、上記吸水剤組成物と親水性繊維との合計質量に対する吸水剤組成物の含有量(コア濃度)は、100質量%未満の範囲内、好ましくは10〜90質量%の範囲内であり、より好ましくは20〜90質量%、さらに好ましくは25〜80質量%の範囲内である。コア濃度が10質量%未満の場合は、吸水剤組成物の使用量が少なく、おむつ全体への消臭性能の付与が十分に行われない場合があり、好ましくない。また、上記コア濃度が90質量%を超える(つまり、上記吸水剤組成物と親水性繊維との合計質量に対する親水性繊維の含有量が10質量%を下回る)と、親水性繊維を用いることによる効果を十分に得ることができなくなるおそれがある。上記吸収体は、例えば上記親水性繊維と、吸水剤組成物と、必要に応じてその他の繊維基材や接着剤等とをブレンド、または、上記親水性繊維などの繊維基材で吸水剤組成物をサンドイッチすることで容易に作成することができる。
【0198】
さらに本実施の形態の吸収性物品は、上記した本実施の形態の吸収体、液透過性を有する表面シート、および液不透過性を有する背面シートを備える吸収性物品である。
【0199】
本実施の形態の吸収性物品の製造方法は、例えば繊維基材と吸水剤組成物とをブレンド、または、繊維基材で吸水剤組成物をサンドイッチすることで吸収体(吸収コア)を作成し、吸収コアを液透過性を有する基材(表面シート)と液不透過性を有する基材(背面シート)でサンドイッチして、必要に応じて、弾性部材、拡散層、粘着テープ等を装備することで、吸収性物品、特に大人用紙おむつや生理用ナプキンとすればよい。かかる吸収コアは密度0.06〜0.50g/cm、坪量0.01〜0.20g/cmの範囲内に圧縮成形される。なお、用いられる繊維基材としては、親水性繊維、例えば、粉砕された木材パルプ、その他、コットンリンターや架橋セルロース繊維、レーヨン、綿、羊毛、アセテート、ビニロン等を例示できる。好ましくはそれらをエアレイドしたものである。
【0200】
本実施の形態の吸水剤組成物は、吸収性物品に消臭機能を付与でき、長時間にわたり、優れた消臭性能と吸収特性を示すものである。このような吸収性物品としては、具体的には、近年成長の著しい大人用紙おむつをはじめ、子供用おむつや生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料等が挙げられ、それらに特に限定されるものではないが、吸収性物品の中に存在する吸水剤組成物が非常に優れた消臭性を有し、且つ、戻り量も少なく、ドライ感が著しいことにより、装着している本人、介護の人々の負担を大きく低減することができる。また、本実施の形態の吸水剤組成物もまた、前記実施の形態1同様、衛生材料に用いられる以外に、例えば消臭剤として用いることができる。
【0201】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、吸水性樹脂(または吸水剤組成物)、および吸収性物品の諸性能は以下の方法で測定した。
【0202】
(a)吸収倍率(CRC)
吸水性樹脂(または吸水剤組成物)0.20g(質量W1(g))を不織布製の袋(60mm×60mm)に均一に入れ、25℃に調温した0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)100g中に浸漬した。60分後に袋を引き上げ、遠心分離機を用いて250Gで3分間水切りを行った後、袋の質量W3(g)を測定した。また、同様の操作を吸水性樹脂(または吸水剤組成物)を用いないで行い、そのときの質量W2(g)を測定した。そして、これら質量(重量)W1、W2、W3から、次式、
吸収倍率(g/g)=(質量W3(g)−質量W2(g))/質量W1(g)
に従って吸収倍率(g/g)を算出した。
【0203】
(b)加圧下吸引力および加圧下吸引指数
先ず、加圧下吸収力の測定に用いる測定装置について、図1を参照しながら、以下に簡単に説明する。
【0204】
図1に示すように、測定装置は、容器1と濾紙2(アドバンテック社製、No.2、直径90mm、10枚)と測定部3からなる。
【0205】
容器1には、25℃に調温した25gの人工尿4(人工尿組成:脱イオン水97.1g、尿素1.9g、塩化ナトリウム0.8g、塩化マグネシウム六水和物0.1g、塩化カルシウム0.1g)が入っている。
【0206】
測定部3は、支持円筒5と、この支持円筒5の底部に貼着された金網6と、重り7とを有している。そして、測定部3は、濾紙2上に、支持円筒5(つまり、金網6)がこの順に載置されると共に、支持円筒5内部、すなわち、金網6上に重り7が載置されてなっている。支持円筒5は、内径60mmに形成されている。金網6は、ステンレスからなり、400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されている。支持円筒5と金網6の総質量は62gに調整されている。そして、金網6上に所定量の吸水性樹脂(または吸水剤組成物)が均一に撒布されるようになっている。重り7は、金網6、すなわち、吸水性樹脂(または吸水剤組成物)に対して、1.96kPaの荷重を均一に加えることができるように、その質量が調整されている。
【0207】
上記構成の測定装置を用いて加圧下吸引力および加圧下吸引指数を測定した。測定方法について以下に説明する。
【0208】
(1)加圧下吸引力
先ず、容器1に濾紙2を載置した。次に、25℃に調温した25gの人工尿4を濾紙2に吸収させるように入れる。一方、これら載置動作に並行して、支持円筒5内部、すなわち、金網6上に吸水性樹脂(または吸水剤組成物)1.0gを均一に撒布し、この吸水性樹脂(または吸水剤組成物)上に重り7を載置した。吸水性樹脂(または吸水剤組成物)と重り7を含めた支持円筒5の質量を測定した(質量W4)。
【0209】
次いで、濾紙2上の中央部に、吸水性樹脂(または吸水剤組成物)および重り7を載置した上記支持円筒5を載置した。そして、濾紙2上に支持円筒5を載置した時点から、60分間にわたって人工尿を吸引させた。60分後、人工尿を吸引した吸水性樹脂(または吸水剤組成物)と重り7を含めた支持円筒5の質量を測定した(質量W5)。そして、これら質量W4、W5から、次式、
加圧下吸引力(g/g)=(質量W5(g)−質量W4(g))/1.0(g)
に従って、吸収開始から60分後の加圧下吸引力(g/g)を算出した。
【0210】
(2)初期加圧下吸引力
上記(1)で求めた加圧下吸引力の測定において、60分間にわたって人工尿を吸引させる操作を、3分間にわたって人工尿を吸引させる以外は、同様の操作を行なった。すなわち、3分間にわたって人工尿を吸引させて、3分後、人工尿を吸引した吸水性樹脂(または吸水剤組成物)と重り7を含めた支持円筒5の質量(質量W6)を測定し、吸収開始から3分後の初期加圧下吸引力(g/g)を次式から算出した。
【0211】
初期加圧下吸引力(g/g)=(質量W6(g)−質量W4(g))/1.0(g)
(3)加圧下吸引指数
上記(1)および(2)で求めた加圧下吸引力および初期加圧下吸引力から、次式、
加圧下吸引指数(g/g)=初期加圧下吸引力(g/g)+加圧下吸引力(g/g)
に従って、加圧下吸引指数(g/g)を算出した。
【0212】
(c)吸収速度
あらかじめ100mlのビーカー(株式会社相互理化学硝子製作所発行のGENERAL CATALOGUE A−7000に記載、TOPビーカー、CAT.No.501、JIS R−3503準拠、胴径×高さ=55(mm)×70(mm))に30℃に調温した青色に着色させた生理食塩水(組成は下記に示す)50gと白色の攪拌子(テフロン(登録商標)、総合カタログ20,000版、発行:フロン工業株式会社、テフロン(登録商標)攪拌子SA型、製品番号:SA−40、全長40mm×直径8mm)とを入れ、マグネチックスターラーにて600rpmの速度で攪拌しておく。この中に吸水性樹脂(または吸水剤組成物)2.0gを投入すると、試験液のゲル化が促され、渦が縮小に向かい、試験液が攪拌子を覆う状態になる。試料投入から攪拌子が試験液に覆われる時点(該渦が消失しかけて当初見えていた回転する攪拌子が渦の盛り上がりにより見えなくなった時点)までに要した時間(秒)を測定して、これを吸収速度とした。
【0213】
青色に着色させた生理食塩水の組成を以下に示す。
脱イオン水 991質量部
塩化ナトリウム 9質量部
食品添加物・食用青色1号 0.02質量部
(食品添加物・食用青色1号:ベンジル−エチル−[4’−(4’’−(ベンジルエチルアミノ)−ジフェニルメチレン)−2’,5−シクロヘキサジエニリデン]−アンモニウム−2’’’,3,3’’’−トリスルホン酸ジナトリウム;ブリリアントブルーFCF;CI No.42090;CI Food blue 2)
(d)吸水性樹脂の質量平均粒子径
吸水性樹脂10gを内径75mmのJIS標準篩(850μm、600μm、300μm、150μm、106μm)を用いて、ふるい振盪器(IIDA SEISAKUSHO CO.,LTD.製、IIDA SIEVE SHAKER ES−65型)で5分間振盪して分級し、篩ごとの各粒度(850μmオン品/850μmパス〜600μmオン品/600μmパス〜300μmオン品/300μmパス〜150μmオン品/150μmパス〜106μmオン品/106μmパス品)の質量を測定した。なお、オン(on)品とは上記内径を有する篩を通過せずに篩上に残ったもの、つまり、上記篩の内径よりも大きな粒子径を有するものを示し、パス(pass)品とは、上記内径を有する篩を通過したもの、つまり、上記篩の内径以下の粒子径を有するものを示す。また、求めた各粒度の粒度分布を対数確率紙にプロットすることで、その質量平均粒子径(D50)を求めた。
【0214】
(e)消臭テスト(吸水性樹脂または吸水剤組成物)
消臭テストA(実施例1〜7および比較例1〜7)
成人10人より集めた人尿の混合物から50mlを取り、これを蓋付きの120mlのポリプロピレンカップ(株式会社テラオカ製、パックエース、口径(mm)×下径(mm)×高さ(mm)=58×54×74)に加え、そこに吸水性樹脂(または吸水剤組成物)2.0gを添加することにより膨潤ゲルを形成させた。人尿は排泄後2時間以内のものを用いた。この容器に蓋をし、膨潤ゲルを37℃に保った。液吸収後1分経過時(初期)と3時間、6時間後に蓋を開け、カップの上部から約3cmの位置から成人20名のパネラーが臭いをかぐことにより、消臭効果を判定した。
【0215】
判定は、1:「無臭」、2:「ほとんど気にならない臭い」、3:「感知できるが許容できる臭い」、4:「強い臭い」、5:「強烈な臭い」という判定基準で各人5段階で得点を記載し、平均値を求めた。なお吸水性樹脂(または吸水剤組成物)を添加せず人尿だけで、同様の操作を行ったものを標準品とし、その臭いを5として消臭効果を評価した。
【0216】
消臭テストB(実施例8〜25および比較例8〜10)
成人20人より集めた人尿50mlを用いた以外は上記と同様にして膨潤ゲルを形成し、容器(蓋付きの120mlのポリプロピレンカップ)に蓋をし、膨潤ゲルを37℃に保った。そして、液吸収から6時間後に蓋を開け、成人20名のパネラーにより上記と同様にして消臭効果を判定した。
【0217】
判定は、0:「無臭」、1:「やっと感知できるにおい」、2:「感知できるが許容できる臭い」、3:「楽に感知できる臭い」、4:「強い臭い」、5:「強烈な臭い」という判定基準で各人6段階で得点を記載し平均値を求めた。なお吸水性樹脂(または吸水剤組成物)を添加せず人尿だけで、同様の操作を行ったものを標準品とし、その臭いを5として消臭効果を評価した。
【0218】
(f)消臭テスト(吸収性物品)
消臭テストC(実施例1〜7および比較例1〜7)
吸水性樹脂(または吸水剤組成物)50質量部と、木材粉砕パルプ50質量部とを、ミキサーを用いて乾式混合した。次いで、得られた混合物を、400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されたワイヤースクリーン上にバッチ型空気抄造装置を用いて空気抄造することにより、120mm×400mmの大きさのウェブに成形した。さらに、このウェブを圧力196.14kPaで5秒間プレスすることにより、坪量が約0.047g/cmの吸収体を得た。
【0219】
続いて、液不透過性のポリプロピレンからなり、いわゆるレッグギャザーを有するバックシート(液不透過性シート)、上記吸収体、および液透過性のポリプロピレンからなるトップシート(液透過性シート)を、両面テープを用いてこの順に互いに貼着すると共に、この貼着物に2つのいわゆるテープファスナーを取り付けることにより、吸収性物品(つまり、紙おむつ)を得た。この吸収性物品の質量は46gであった。
【0220】
上記の吸収性物品をモニターとして1歳児10人に一晩装着使用し翌日回収した。吸水性樹脂(または吸水剤組成物)と木材パルプからなる吸収体部分(いわゆるコア部分)を10×10cmの大きさに切断し、蓋付きの250mlのポリプロピレンカップ(株式会社テラオカ製、パックエース、口径(mm)×下径(mm)×高さ(mm)=69×63×97)に入れた。この容器に蓋をし、吸収体部分を37℃に保った。1時間後に蓋を開け、カップの上部から約3cmの位置から成人20名のパネラーが臭いをかぐことにより、消臭効果を判定した。
【0221】
判定は、1:「無臭」、2:「ほとんど気にならない臭い」、3:「感知できるが許容できる臭い」、4:「強い臭い」、5:「強烈な臭い」という判定基準で各人5段階で得点を記載し平均値を求めた。
【0222】
消臭テストD(実施例26〜35および比較例11〜13)
得られた吸収性物品を10×10cmの大きさに切断し、蓋付きの250mlのポリプロピレンカップに入れた。この容器に、成人から採取した尿20gを入れ、蓋をして容器全体を37℃に保った。6時間後に蓋を開け、カップの上部(約3cmの位置)から成人20名のパネラーが臭いをかぐことにより、消臭効果を判定した。
【0223】
判定は、0:「無臭」、1:「やっと感知できるにおい」、2:「感知できるが許容できる臭い」、3:「楽に感知できる臭い」、4:「強い臭い」、5:「強烈な臭い」という判定基準で各人6段階で得点を記載し平均値を求めた。なお、吸収性物品を入れず人尿だけを容器に入れ、同様の操作を行ったものを標準品とし、その臭いを5として消臭効果を評価した。
(g)拡散吸収倍率(DAP)
拡散吸収倍率とは、吸水性樹脂(または吸水剤組成物)の坪量が高く、且つ、外力によって樹脂粒子同士が密着している状態における水性液体の拡散力を加味した吸水量を評価するための物性値である。
【0224】
吸水性樹脂(または吸水剤組成物)の拡散吸収倍率については、日本国公開公報である特開平8−57311(公開日:1996年3月5日)に記載されている測定装置および手順に従い、60分間にわたって吸水性樹脂(または吸水剤組成物)が吸収した生理食塩水の質量W7(g)を測定した。
【0225】
そして、上記の質量W7から、次式、
拡散吸収倍率(g/g)=質量W7(g)/吸水性樹脂(または吸水剤組成物)の質量(g)
に従って、吸収開始から60分後の吸水性樹脂(または吸水剤組成物)の拡散吸収倍率(g/g)を算出した。
【0226】
以下に、より詳細に説明する。上記拡散吸収倍率の測定には、図2および図3に示す測定装置を使用した。
【0227】
拡散吸収倍率の測定装置は、図2に示すように、天秤11と、この天秤11上に載置された所定容量の容器12と、外気吸入パイプ13と、導管14と、ガラスフィルタ16と、このガラスフィルタ16上に載置された測定部15とからなっている。上記の容器12は、その頂部に開口部12aを、その側面部に開口部12bをそれぞれ有しており、開口部12aに外気吸入パイプ13が嵌入される一方、開口部12bに導管14が取り付けられている。また、容器12には、所定量の生理食塩水22が入っている。外気吸入パイプ13の下端部は、生理食塩水22中に没している。上記のガラスフィルタ16は、直径70mmに形成されている。そして、容器12およびガラスフィルタ16は、導管14によって互いに連通している。また、ガラスフィルタ16は、外気吸入パイプ13の下端に対してごく僅かに高い位置に固定されている。
【0228】
図3に示すように、上記の測定部15は、濾紙17と、シート18と、支持円筒19と、この支持円筒19の底部に貼着された金網20と、重り21とを有している。そして、測定部15は、ガラスフィルタ16上に、濾紙17、シート18、支持円筒19(つまり、金網20)がこの順に載置されると共に、支持円筒19内部、すなわち、金網20上に重り21が載置されてなっている。シート18は、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなり、中央部に直径18mmの開口部を有する厚さ0.1mmのドーナツ状に形成されている。支持円筒19は、内径60mmに形成されている。金網20は、ステンレスからなり、400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されている。そして、金網20上に所定量の吸水性樹脂が均一に撒布されるようになっている。重り21は、金網20、すなわち、吸水性樹脂に対して、20g/cmの荷重を均一に加えることができるように、その質量が調整されている。
【0229】
上記構成の測定装置を用いて拡散吸収倍率を測定した。測定方法について以下に説明する。
【0230】
先ず、容器12に所定量の生理食塩水22を入れる、容器12に外気吸入パイプ13を嵌入する、等の所定の準備動作を行った。次に、ガラスフィルタ16上に濾紙17を載置し、この濾紙17上にシート18を、その開口部がガラスフィルタ16の中心部に位置するようにして載置した。一方、これら載置動作に並行して、支持円筒19内部、すなわち、金網20上に吸水性樹脂1.5g(好ましくは、分級等の操作により、粒径を300μmm〜500μmに予め調整した吸水性樹脂(または吸水剤組成物)1.5g)を均一に撒布し、この吸水性樹脂(または吸水剤組成物)上に重り21を載置した。
【0231】
次いで、シート18上に、金網20、つまり、吸水性樹脂(または吸水剤組成物)および重り21を載置した上記支持円筒19を、その中心部がガラスフィルタ16の中心部に一致するようにして載置した。
【0232】
そして、シート18上に支持円筒19を載置した時点から60分間にわたって吸水性樹脂(または吸水剤組成物)が吸水した生理食塩水22の質量W7(g)を、天秤11を用いて測定した。なお、生理食塩水22は、シート18の開口部を通過した後、吸水性樹脂(または吸水剤組成物)の横方向にほぼ均一に拡散しながら、吸水性樹脂に吸水された。
【0233】
そして、上記の質量W7から、前述の式に従って、吸水開始から60分後の拡散吸収倍率(g/g)を算出した。
(h)吸収性物品の評価(戻り量)
後述する実施例で得られた吸収性物品を用い、吸収性物品全体に荷重1.96kPaをかけ室温で放置した。吸収性物品の中心部から直径50mm、高さ100mmの円筒より、37℃に調整した生理食塩水(0.90質量%のNaCl水溶液)75gを入れた。荷重をかけたまま3時間放置後、ペーパータオル(製造元:王子製紙株式会社、キッチンタオル エキストラドライ、120mm×450mmに裁断して30枚重ねたもの)を吸収性物品にのせ、その上に、37g/cm(3.63kPa)の荷重を1分間かけ、ペーパータオルに戻る液量を測定した。
【0234】
〔参考例1〕
75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度33質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)4.00gを溶解し反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム2.46gおよびL−アスコルビン酸0.10gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30℃〜80℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュ(目の大きさ850μm)の金網で分級、調合することにより、質量平均粒子径295μmの不定形破砕状の吸水性樹脂(a)を得た。
【0235】
得られた吸水性樹脂(a)100質量部に、プロピレングリコール1質量部と、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.05質量部と、水3質量部と、イソプロピルアルコール1質量部とからなる表面架橋剤を混合した。上記の混合物を210℃で50分間加熱処理することにより吸水性樹脂(1)を得た。この吸水性樹脂(1)の吸収倍率は33g/g、加圧下吸引指数は21g/g、吸収速度は37秒であった。また、この吸水性樹脂の質量平均粒子径は、吸水性樹脂の質量平均粒子径とあまり変わらず、295μmであった。
【0236】
〔参考例2〕
参考例1において75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液の単量体濃度を38質量%とし、架橋剤のポリエチレングリコールジアクリレートをトリメチロールプロパントリアクリレート7.0gに変更し、また振動ミルの粉砕条件を変更して、質量平均粒子径360μmの不定形破砕状の吸水性樹脂(b)を得た。
【0237】
得られた吸水性樹脂(b)100質量部に、プロピレングリコール1質量部と、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.05質量部と、水3質量部と、イソプロピルアルコール1質量部とからなる表面架橋剤を混合した。上記の混合物を210℃で45分間加熱処理することにより、吸水性樹脂(2)を得た。この吸水性樹脂(2)の吸収倍率は27g/g、加圧下吸引指数は20g/g、吸収速度は50秒であった。また、この吸水性樹脂の質量平均粒子径は、吸水性樹脂の質量平均粒子径とあまり変わらず、360μmであった。
【0238】
〔参考例3〕
参考例2と同様の反応・操作を行って、質量平均粒子径360μmの不定形破砕状の吸水性樹脂(b)を、吸水性樹脂(3)として得た。この吸水性樹脂(3)の吸収倍率は32g/g、加圧下吸引指数は13g/g、吸収速度は25秒であった。
【0239】
〔参考例4〕
参考例2において、振動ミルの粉砕条件を変更して、質量平均粒子径440μmの不定形破砕状の吸水性樹脂(c)を、吸水性樹脂(4)として得た。この吸水性樹脂(4)の吸収倍率は32g/g、加圧下吸引指数は13g/g、吸収速度は53秒であった。
【0240】
〔参考例5〕
参考例1において、質量平均粒子径295μmの不定形破砕状の吸水性樹脂(a)を、吸水性樹脂(5)として得た。この吸水性樹脂(5)の吸収倍率は45g/g、加圧下吸引指数は9g/g、吸収速度は21秒であった。
【0241】
〔参考例6〕
65モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度38質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)5.9gを溶解し反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム2.46gおよびL−アスコルビン酸0.10gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30℃〜90℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュ(目の大きさ850μm)の金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(d)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(d)100質量部に、プロピレングリコール0.5質量部と、1,4−ブタンジオール0.3質量部と、水3質量部とからなる表面架橋剤を混合した。上記の混合物を200℃で45分間加熱処理することにより吸水性樹脂(6)を得た。この吸水性樹脂(6)の吸収倍率は31g/g、拡散吸収倍率は30g/g、粒子径は、850μm以上(つまり、850μm以上の粒子径を有する粒子(吸水性樹脂粒子)の割合)が0質量%、850μm未満で600μm以上が14質量%、600μm未満で300μm以上が70質量%、300μm未満で150μm以上が15質量%、150μm未満が2質量%であった。
【0242】
〔参考例7〕
60モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度33質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)3.6gを溶解し反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム2.46gおよびL−アスコルビン酸0.10gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30℃〜85℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を、振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュ(目の大きさ850μm)の金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(e)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(e)100質量部に、プロピレングリコール0.5質量部と、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.03質量部、1,4−ブタンジオール0.3質量部と、水3質量部とからなる表面架橋剤を混合した。上記の混合物を195℃で40分間加熱処理することにより吸水性樹脂(7)を得た。この吸水性樹脂(7)の吸収倍率は35g/g、拡散吸収倍率は32g/g、粒子径は、850μm以上が0質量%、850μm未満で600μm以上が17質量%、600μm未満で300μm以上が65質量%、300μm未満で150μm以上が16質量%、150μm未満が1.5質量%であった。
【0243】
〔参考例8〕
55モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度30質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)3.3gを溶解し反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム2.46gおよびL−アスコルビン酸0.10gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30℃〜85℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を、振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュ(目の大きさ850μm)の金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(f)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(f)100質量部に、プロピレングリコール0.5質量部と、1,4−ブタンジオール0.3質量部と、水3質量部とからなる表面架橋剤を混合した。上記の混合物を195℃で40分間加熱処理することにより吸水性樹脂(8)を得た。この吸水性樹脂(8)の吸収倍率は34g/g、拡散吸収倍率は31g/g、粒子径は、850μm以上が0.1質量%、850μm未満で600μm以上が20質量%、600μm未満で300μm以上が65質量%、300μm未満で150μm以上が14質量%、150μm未満が0.8質量%であった。
【0244】
〔参考例9〕
75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度38質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)3.4gを溶解し反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム2.46gおよびL−アスコルビン酸0.10gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30℃〜90℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を、振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュ(目の大きさ850μm)の金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(g)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(g)100質量部に、プロピレングリコール0.5質量部と、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.03質量部、1,4−ブタンジオール0.3質量部と、水3質量部とからなる表面架橋剤を混合した。上記の混合物を210℃で55分間加熱処理することにより吸水性樹脂(9)を得た。この吸水性樹脂(9)の吸収倍率は36g/g、拡散吸収倍率は32g/g、粒子径は、850μm以上が0質量%、850μm未満で600μm以上が16質量%、600μm未満で300μm以上が58質量%、300μm未満で150μm以上が22質量%、150μm未満が4質量%であった。
【0245】
〔参考例10〕
65モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度33質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)3.1gを溶解し反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム2.46gおよびL−アスコルビン酸0.10gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30℃〜85℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュ(目の大きさ850μm)の金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(h)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(h)100質量部に、プロピレングリコール0.5質量部と、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.03質量部、1,4−ブタンジオール0.3質量部と、水3質量部とからなる表面架橋剤を混合した。上記の混合物を195℃で60分間加熱処理することにより吸水性樹脂(10)を得た。この吸水性樹脂(10)の吸収倍率は42g/g、拡散吸収倍率は12g/g、粒子径は、850μm以上が0質量%、850μm未満で600μm以上が3質量%、600μm未満で300μm以上が52質量%、300μm未満で150μm以上が37質量%、150μm未満が8質量%であった。
【0246】
〔参考例11〕
30モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度20質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)6.8gを溶解し反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム2.46gおよびL−アスコルビン酸0.10gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30℃〜80℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュ(目の大きさ850μm)の金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(i)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(i)100質量部に、プロピレングリコール0.3質量部と、1,4−ブタンジオール0.5質量部と、水3質量部とからなる表面架橋剤を混合した。上記の混合物を210℃で50分間加熱処理することにより吸水性樹脂(11)を得た。この吸水性樹脂(11)の吸収倍率は22g/g、拡散吸収倍率は18g/g、粒子径は、850μm以上が0質量%、850μm未満で600μm以上が13質量%、600μm未満で300μm以上が70質量%、300μm未満で150μm以上が16質量%、150μm未満が2質量%であった。
【0247】
〔参考例12〕
68モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液6600g(単量体濃度35.5質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)5.3gを溶解し反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム3.23gおよびL−アスコルビン酸0.016gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30℃〜90℃で重合を行い、重合を開始して40分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、170℃で40分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュ(目の大きさ850μm)の金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(j)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(j)100質量部に、プロピレングリコール0.51質量部と、1,4−ブタンジオール0.31質量部と、水2.73質量部とからなる表面架橋剤を混合した。上記の混合物を200℃で40分間加熱処理することにより吸水性樹脂(12)を得た。この吸水性樹脂(12)の吸収倍率は33g/g、拡散吸収倍率は30g/g、粒子径は、850μm以上が0.1質量%、850μm未満で600μm以上が23質量%、600μm未満で300μm以上が60質量%、300μm未満で150μm以上が15質量%、150μm未満が2.0質量%であった。
【0248】
〔参考例13〕
70モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液6600g(単量体濃度38質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)5.6gを溶解し反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム3.44gおよびL−アスコルビン酸0.017gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30℃〜90℃で重合を行い、重合を開始して40分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、170℃で40分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュ(目の大きさ850μm)の金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(j)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(j)100質量部に、プロピレングリコール0.51質量部と、1,4−ブタンジオール0.31質量部と、水2.73質量部とからなる表面架橋剤を混合した。上記の混合物を200℃で50分間加熱処理することにより吸水性樹脂(13)を得た。この吸水性樹脂(13)の吸収倍率は32g/g、拡散吸収倍率は30g/g、粒子径は、850μm以上が0.1質量%、850μm未満で600μm以上が20質量%、600μm未満で300μm以上が62質量%、300μm未満で150μm以上が16質量%、150μm未満が2.0質量%であった。
【0249】
〔参考例14〕
72モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液6600g(単量体濃度38質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)5.6gを溶解し反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム3.42gおよびL−アスコルビン酸0.017gを添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30℃〜90℃で重合を行い、重合を開始して40分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、 170℃で40分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を、振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュ(目の大きさ850μm)の金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(j)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(j)100質量部に、プロピレングリコール0.51質量部と、1,4−ブタンジオール0.31質量部と、水2.73質量部とからなる表面架橋剤を混合した。上記の混合物を200℃で50分間加熱処理することにより吸水性樹脂(14)を得た。この吸水性樹脂(14)の吸収倍率は33g/g、拡散吸収倍率は30g/g、粒子径は、850μm以上が0.1質量%、850μm未満で600μm以上が23質量%、600μm未満で300μm以上が58質量%、300μm未満で150μm以上が17質量%、150μm未満が2.0質量%であった。
【0250】
〔実施例1〕
参考例1で得られた表面処理された吸水性樹脂(1)100質量部に半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物としてプーアル茶の抽出物(“プーアル茶”販売者:宇治の露製茶株式会社(所在地:京都府相楽郡山城町上狛東作り道50)50gを500μm以下に粉砕し、水500g中に入れ、約80℃で1時間攪拌して抽出を行なった。この抽出液を濾過することによりプーアル茶の抽出物を得た。)0.5質量部を混合し、吸水剤組成物(1)を得た。吸水剤組成物(1)の諸物性と消臭効果を表1にまとめた。また吸水剤組成物(1)を含む吸収性物品(1)の消臭効果を表1にまとめた。
【0251】
〔実施例2〕
参考例1で得られた表面処理された吸水性樹脂(1)100質量部に半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物として烏龍茶の抽出物(“ウーロン茶飲料,ウーロンチャ エキストラクト A−15”高砂香料株式会社製(所在地:神奈川県平塚市西八幡1−4−11))0.5質量部を混合し、吸水剤組成物(2)を得た。吸水剤組成物(2)の諸物性と消臭効果を表1にまとめた。また吸水剤組成物(2)を含む吸収性物品(2)の消臭効果を表1にまとめた。
【0252】
〔実施例3〕
参考例1で得られた表面処理された吸水性樹脂(1)100質量部に半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物として烏龍茶の抽出物(“烏龍茶”製造者:株式会社 宇治園(所在地:神戸市東灘区御影中町1丁目2番22号)50gを500μm以下に粉砕し、水500g中に入れ、約80℃で1時間攪拌して抽出を行なった。この抽出液を濾過することにより烏龍茶の抽出物を得た。)0.5質量部を混合し、吸水剤組成物(3)を得た。吸水剤組成物(3)の諸物性と消臭効果を表1にまとめた。また吸水剤組成物(3)を含む吸収性物品(3)の消臭効果を表1にまとめた。
【0253】
〔実施例4〕
参考例1で得られた表面処理された吸水性樹脂(1)100質量部に半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物として紅茶の抽出物(“紅茶:日東紅茶”製造者:三井農林株式会社(所在地:東京都新宿区西新宿3−2−11)50gを500μm以下に粉砕し、水500g中に入れ、約80℃で1時間攪拌して抽出を行なった。この抽出液を濾過することにより紅茶の抽出物を得た。)1.0質量部を混合して、さらにイオン交換水1.0質量部を混合し、その後、無機粉末として二酸化ケイ素(日本アエロジル社製、アエロジル200)0.3質量部を加え吸水剤組成物(4)を得た。吸水剤組成物(4)の諸物性と消臭効果を表1にまとめた。また吸水剤組成物(4)を含む吸収性物品(4)の消臭効果を表1にまとめた。
【0254】
〔実施例5〕
参考例2で得られた表面処理された吸水性樹脂(2)100質量部に半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物としてプーアル茶の抽出物(“プーアル茶”販売者:宇治の露製茶株式会社(所在地:京都府相楽郡山城町上狛東作り道50)50gを500μm以下に粉砕し、水500g中に入れ、約80℃で1時間攪拌して抽出を行なった。この抽出液を濾過することによりプーアル茶の抽出物を得た。)1.0質量部を混合して、さらにイオン交換水1.0質量部を混合し、その後、無機粉末として二酸化ケイ素(日本アエロジル社製、アエロジル200)を0.3質量部を加え吸水剤組成物(5)を得た。吸水剤組成物(5)の諸物性と消臭効果を表1にまとめた。また吸水剤組成物(5)を含む吸収性物品(5)の消臭効果を表1にまとめた。
【0255】
〔実施例6〕
参考例2で得られた表面処理された吸水性樹脂(2)100質量部に半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物として烏龍茶の抽出物(“烏龍茶”製造者:株式会社 宇治園(所在地:神戸市東灘区御影中町1丁目2番22号)50gを500μm以下に粉砕し、水500g中に入れ、約80℃で1時間攪拌して抽出を行なった。この抽出液を濾過することにより烏龍茶の抽出物を得た。)1.0質量部を混合し、吸水剤組成物(6)を得た。吸水剤組成物(6)の諸物性と消臭効果を表1にまとめた。また吸水剤組成物(6)を含む吸収性物品(6)の消臭効果を表1にまとめた。
【0256】
〔実施例7〕
参考例2で得られた表面処理された吸水性樹脂(2)100質量部に半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物として紅茶の抽出物(“紅茶:ブルックボンド紅茶(クイックブルウエキストラ)”製造元:日本紅茶株式会社(所在地:東京都中央区日本橋兜町21−7)50gを500μm以下に粉砕し、水500g中に入れ、約80℃で1時間攪拌して抽出を行なった。この抽出液を濾過することにより紅茶の抽出物を得た)1.0質量部を混合し、吸水剤組成物(7)を得た。吸水剤組成物(7)の諸物性と消臭効果を表1にまとめた。また吸水剤組成物(7)を含む吸収性物品(7)の消臭効果を表1にまとめた。
【0257】
〔比較例1〕
参考例1で得られた表面処理された吸水性樹脂(1)を、比較用吸水剤組成物(1)とした。比較用吸水剤組成物(1)の諸物性と消臭効果を表1にまとめた。また比較用吸水剤組成物(1)を含む比較用吸収性物品(1)の消臭効果を表1にまとめた。
【0258】
〔比較例2〕
参考例1で得られた表面処理された吸水性樹脂(1)100質量部に緑茶抽出エキスからなる市販の消臭剤(第一化成産業株式会社製 フラボノイド−B)0.5質量部を混合し、比較用吸水剤組成物(2)とした。比較用吸水剤組成物(1)の諸物性と消臭効果を表1にまとめた。また比較用吸水剤組成物(2)を含む比較用吸収性物品(2)の消臭効果を表1にまとめた。
【0259】
〔比較例3〕
参考例3で得られた吸水性樹脂(3)100質量部に半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物としてプーアル茶の抽出物(“プーアル茶”販売者:宇治の露製茶株式会社(所在地:京都府相楽郡山城町上狛東作り道50)50gを500μm以下に粉砕し、水500g中に入れ、約80℃で1時間攪拌して抽出を行なった。この抽出液を濾過することによりプーアル茶の抽出物を得た。)0.5質量部を混合し、比較用吸水剤組成物(3)を得た。比較用吸水剤組成物(1)の諸物性と消臭効果を表1にまとめた。また比較用吸水剤組成物(3)を含む比較用吸収性物品(3)の消臭効果を表1にまとめた。
【0260】
〔比較例4〕
参考例4で得られた吸水性樹脂(4)100質量部に半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物として紅茶の抽出物(“紅茶:Lipton YELLOW LABEL”販売者:日本リーバ株式会社(所在地:東京都渋谷区渋谷2−22−3)50gを500μm以下に粉砕し、水500g中に入れ、約80℃で1時間攪拌して抽出を行なった。この抽出液を濾過することにより紅茶の抽出物を得た。)0.5質量部を混合し、比較用吸水剤組成物(4)を得た。比較用吸水剤組成物(4)の諸物性と消臭効果を表1にまとめた。また比較用吸水剤組成物(4)を含む比較用吸収性物品(4)の消臭効果を表1にまとめた。
【0261】
〔比較例5〕
参考例5で得られた吸水性樹脂(5)100質量部に半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物としてプーアル茶の抽出物(“プーアル茶”販売者:宇治の露製茶株式会社(所在地:京都府相楽郡山城町上狛東作り道50)50gを500μm以下に粉砕し、水500g中に入れ、約80℃で1時間攪拌して抽出を行なった。この抽出液を濾過することによりプーアル茶の抽出物を得た。)1.0質量部を混合し、比較用吸水剤組成物(5)を得た。比較用吸水剤組成物(5)の諸物性と消臭効果を表1にまとめた。また比較用吸水剤組成物(5)を含む比較用吸収性物品(5)の消臭効果を表1にまとめた。
【0262】
〔比較例6〕
参考例5で得られた吸水性樹脂(5)100質量部に半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物として烏龍茶の抽出物(“烏龍茶”製造者:株式会社 宇治園(所在地:神戸市東灘区御影中町1丁目2番22号)50gを500μm以下に粉砕し、水500g中に入れ、約80℃で1時間攪拌して抽出を行なった。この抽出液を濾過することにより烏龍茶の抽出物を得た。)1.0質量部を混合し、比較用吸水剤組成物(6)を得た。比較用吸水剤組成物(6)の諸物性と消臭効果を表1にまとめた。また比較用吸水剤組成物(6)を含む比較用吸収性物品(6)の消臭効果を表1にまとめた。
【0263】
〔比較例7〕
吸水性樹脂としてノニオレックスNA−150M(昭和電工株式会社製、吸収倍率23(g/g)、加圧下吸引指数7(g/g)、吸収速度65(秒))100質量部に半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物として烏龍茶の抽出物(“烏龍茶”製造者:株式会社 宇治園(所在地:神戸市東灘区御影中町1丁目2番22号)50gを500μm以下に粉砕し、水500g中に入れ、約80℃で1時間攪拌して抽出を行なった。この抽出液を濾過することにより烏龍茶の抽出物を得た。)1.0質量部を混合し、比較用吸水剤組成物(7)を得た。比較用吸水剤組成物(7)の諸物性と消臭効果を表1にまとめた。また比較用吸水剤組成物(7)を含む比較用吸収性物品(7)の消臭効果を表1にまとめた。
【0264】
【表1】
Figure 2004156010
【0265】
〔実施例8〕
参考例6で得られた吸水性樹脂(6)100質量部に、ポリフェノールおよびカフェインを含んだツバキ科植物の葉抽出物の15質量%水溶液(製品名:FS−80MO、販売者:白井松新薬株式会社(所在地:滋賀県甲賀郡水口町宇川37−1))を1.0質量部添加混合し、吸水剤組成物(8)を得た。吸水剤組成物(8)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布、および消臭効果を表2にまとめた。
【0266】
〔実施例9〕
参考例7で得られた吸水性樹脂(7)を、実施例8で用いた吸水性樹脂(6)にかえて用いた以外は実施例8と同様の操作を行い、吸水剤組成物(9)を得た。吸水剤組成物(9)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0267】
〔実施例10〕
参考例8で得られた吸水性樹脂(8)を、実施例8で用いた吸水性樹脂(6)にかえて用いた以外は実施例8と同様の操作を行い、吸水剤組成物(10)を得た。吸水剤組成物(10)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0268】
〔実施例11〕
参考例12で得られた吸水性樹脂(12)を、実施例8で用いた吸水性樹脂(6)にかえて用いた以外は実施例8と同様の操作を行い、吸水剤組成物(11)を得た。吸水剤組成物(11)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0269】
〔実施例12〕
参考例13で得られた吸水性樹脂(13)を、実施例8で用いた吸水性樹脂(6)にかえて用いた以外は実施例8と同様の操作を行い、吸水剤組成物(12)を得た。吸水剤組成物(12)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0270】
〔実施例13〕
参考例14で得られた吸水性樹脂(14)を、実施例8で用いた吸水性樹脂(6)にかえて用いた以外は実施例8と同様の操作を行い、吸水剤組成物(13)を得た。吸水剤組成物(13)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0271】
〔実施例14〕
参考例7で得られた吸水性樹脂(7)100質量部に、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物として紅茶の抽出物(“紅茶:Lipton YELLOW LABEL”販売者:日本リーバ株式会社(所在地:東京都渋谷区渋谷2−22−3)50gを500μm以下に粉砕し、水500g中に入れ、約80℃で1時間攪拌して抽出を行なった。この抽出液を濾過することにより紅茶の抽出物を得た。)1.0質量部を添加混合し、吸水剤組成物(14)を得た。吸水剤組成物(14)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0272】
〔実施例15〕
参考例7で得られた吸水性樹脂(7)100質量部に、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物として烏龍茶の抽出物(“ウーロン茶飲料,ウーロンチャ エキストラクト A−15”高砂香料株式会社製(所在地:神奈川県平塚市西八幡1−4−11))1.0質量部を添加混合し、吸水剤組成物(15)を得た。吸水剤組成物(15)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0273】
〔実施例16〕
参考例7で得られた吸水性樹脂(7)100質量部に、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物としてプーアル茶の抽出物(“プーアル茶”販売者:宇治の露製茶株式会社(所在地:京都府相楽郡山城町上狛東作り道50)50gを500μm以下に粉砕し、水500g中に入れ、約80℃で1時間攪拌して抽出を行なった。この抽出液を濾過することによりプーアル茶の抽出物を得た。)1.0質量部を添加混合し、吸水剤組成物(16)を得た。吸水剤組成物(16)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0274】
〔実施例17〕
参考例14で得られた吸水性樹脂(14)100質量部に、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物として紅茶の抽出物(“紅茶:Lipton YELLOW LABEL”販売者:日本リーバ株式会社(所在地:東京都渋谷区渋谷2−22−3)50gを500μm以下に粉砕し、水500g中に入れ、約80℃で1時間攪拌して抽出を行なった。この抽出液を濾過することにより紅茶の抽出物を得た。)1.0質量部を添加混合し、吸水剤組成物(17)を得た。吸水剤組成物(17)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0275】
〔実施例18〕
参考例14で得られた吸水性樹脂(14)100質量部に、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物として烏龍茶の抽出物(“ウーロン茶飲料,ウーロンチャ エキストラクト A−15”高砂香料株式会社製(所在地:神奈川県平塚市西八幡1−4−11))1.0質量部を添加混合し、吸水剤組成物(18)を得た。吸水剤組成物(18)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0276】
〔実施例19〕
参考例14で得られた吸水性樹脂(14)100質量部に、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物としてプーアル茶の抽出物(“プーアル茶”販売者:宇治の露製茶株式会社(所在地:京都府相楽郡山城町上狛東作り道50)50gを500μm以下に粉砕し、水500g中に入れ、約80℃で1時間攪拌して抽出を行なった。この抽出液を濾過することによりプーアル茶の抽出物を得た。)1.0質量部を添加混合し、吸水剤組成物(19)を得た。吸水剤組成物(19)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0277】
〔実施例20〕
参考例9で得られた吸水性樹脂(9)を、実施例14で用いた吸水性樹脂(7)にかえて用いた以外は実施例14と同様の操作を行い、吸水剤組成物(20)を得た。吸水剤組成物(20)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0278】
〔実施例21〕
参考例9で得られた吸水性樹脂(9)を、実施例15で用いた吸水性樹脂(7)にかえて用いた以外は実施例15と同様の操作を行い、吸水剤組成物(21)を得た。吸水剤組成物(21)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0279】
〔実施例22〕
実施例8において、ポリフェノールおよびカフェインを含んだツバキ科植物の葉抽出物の15質量%水溶液を、ポリフェノールおよびカフェインを含んだツバキ科植物の葉抽出物の20質量%エタノール溶液(製品名:FS1000、販売者:白井松新薬株式会社(所在地:滋賀県甲賀郡水口町宇川37−1))にかえて用いた以外は実施例8と同様の操作を行い、吸水剤組成物(22)を得た。吸水剤組成物(22)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0280】
〔実施例23〕
実施例8において、ポリフェノールおよびカフェインを含んだツバキ科植物の葉抽出物の15質量%水溶液を、ポリフェノールおよびカフェインを含んだツバキ科植物の葉抽出物の4質量%エタノール溶液(製品名:フレッシュE、販売者:白井松新薬株式会社(所在地:滋賀県甲賀郡水口町宇川37−1))にかえて用いた以外は同様の操作を行い、吸水剤組成物(23)を得た。吸水剤組成物(23)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0281】
〔実施例24〕
実施例8において、ポリフェノールおよびカフェインを含んだツバキ科植物の葉抽出物の15質量%水溶液を、ポリフェノールおよびカフェインを含んだツバキ科植物の葉抽出物の20質量%水溶液(製品名:FS−500M、販売者:白井松新薬株式会社(所在地:滋賀県甲賀郡水口町宇川37−1))にかえて用いた以外は実施例8と同様の操作を行い、吸水剤組成物(24)を得た。吸水剤脂組成物(24)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0282】
〔実施例25〕
参考例6で得られた吸水性樹脂(6)100質量部に、ポリフェノールおよびカフェインを含んだツバキ科植物の葉抽出物の15質量%水溶液(製品名:FS−80MO、販売者:白井松新薬株式会社(所在地:滋賀県甲賀郡水口町宇川37−1))を1質量部添加混合し、さらにイオン交換水1.0質量部を混合し、その後無機粉末として二酸化ケイ素(日本アエロジル社製、アエロジル200)を0.3質量部加え、吸水剤組成物(25)を得た。吸水剤組成物(25)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0283】
〔比較例8〕
参考例9で得られた吸水性樹脂(9)を、実施例8で用いた吸水性樹脂(6)にかえて用いた以外は実施例8と同様の操作を行い、比較用の吸水剤組成物(8)を得た。比較用の吸水剤組成物(8)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0284】
〔比較例9〕
参考例10で得られた吸水性樹脂(10)を、実施例8で用いた吸水性樹脂(6)にかえて用いた以外は実施例8と同様の操作を行い、比較用の吸水剤組成物(9)を得た。比較用の吸水剤組成物(9)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0285】
〔比較例10〕
参考例11で得られた吸水性樹脂(11)を、実施例8で用いた吸水性樹脂(6)にかえて用いた以外は実施例8と同様の操作を行い、比較用の吸水剤組成物(10)を得た。比較用の吸水剤組成物(10)の吸収倍率、拡散吸収倍率、粒度分布および消臭効果を表2にまとめた。
【0286】
〔実施例26〕
実施例8で得られた吸水剤組成物(8)25質量部と、木材粉砕パルプ75質量部とを、ミキサーを用いて乾式混合した。次いで、得られた混合物を、400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されたワイヤースクリーン上にバッチ型空気抄造装置を用いて空気抄造することにより、120mm×400mmの大きさのウェブに成形した。さらに、このウェブを圧力196.14kPaで5秒間プレスすることにより、坪量が約0.05g/cmの吸収体を得た。
【0287】
続いて、液不透過性のポリプロピレンからなる、いわゆる背面シート(液不透過性シート)、上記吸収体、および、液透過性のポリプロピレンからなる不織布の表面シート(液透過性シート)を、両面テープを用いてこの順に互いに貼着することにより、吸収性物品(つまり、大人用の紙おむつのパッドタイプ)(8)を得た。この吸収性物品(8)の質量は50gであった。得られた吸収性物品(8)の戻り量、液の拡散面積および消臭テスト結果を表3にまとめた。
【0288】
〔実施例27、28、29、30、31、32、33、34、35〕
実施例26の吸水剤組成物(8)を、実施例9、10、11、12、13、14、15、17、18で得られた吸水剤組成物(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(17)、(18)にそれぞれ変更することにより、吸収性物品(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)を得た。得られた吸収性物品(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)の戻り量、液の拡散面積および消臭テスト結果を表3にまとめた。
【0289】
〔比較例11、12、13〕
実施例26の吸水剤組成物(8)を、比較例8、9、10で得られた比較用吸水剤組成物(8)、(9)、(10)にそれぞれ変更することにより、比較用吸収性物品(8)、(9)、(10)を得た、得られた比較用吸収性物品(8)、(9)、(10)の戻り量、液の拡散面積および消臭テスト結果を表3にまとめた。
【0290】
【表2】
Figure 2004156010
【0291】
【表3】
Figure 2004156010
【0292】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0293】
【発明の効果】
本発明の吸水剤組成物は、以上のように、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物と、表面部分および/またはその近傍が架橋剤により表面処理された吸水性樹脂とを含む構成である。上記本発明の吸水剤組成物は、好ましくは、0.90質量%生理食塩水に対する無加圧下で60分の吸収倍率(CRC)が25g/g以上60g/g以下、加圧下吸引指数が14g/g以上、吸収速度が60秒以下である。
【0294】
また、本発明の吸水剤組成物は、半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物と吸水性樹脂とを含み、0.90質量%生理食塩水に対する無加圧下で60分の吸収倍率(CRC)が25g/g以上60g/g以下、加圧下吸引指数が14g/g以上、吸収速度が60秒以下である構成である。
【0295】
また、本発明の吸収体は、本発明の吸水剤組成物を含む構成である。本発明の吸収体は、例えば衛生材料などの吸収性物品の吸収層として好適に用いることができる。
【0296】
本発明の吸収性物品は、本発明の吸水剤組成物を含む吸収体(吸収層)、液透過性を有する表面シート、および液不透過性を有する背面シートを備える。
【0297】
上記した本発明の吸水剤組成物は、吸収性物品に消臭機能を付与でき、長時間にわたり、優れた消臭性能と、優れた吸収特性を示す新規な吸水剤組成物である。上記の吸水剤組成物が、吸収性物品に消臭機能を付与でき、長時間にわたり、優れた消臭性能と、優れた吸収特性を示す原因については明らかではないが、特定の吸収倍率、加圧下吸引指数および吸収速度を有する吸水性樹脂および/または表面処理された吸水性樹脂に限定して半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を付与しているため、尿と接触した場合の半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物に含まれる有効成分の作用とその液吸収の最適バランスが達成されたためではないかと考えられる。
【0298】
また、上記した本発明の吸収体並びに吸収性物品は、本発明の吸水剤組成物を含み、その優れた消臭性能を付与できるため、紙おむつや生理用ナプキン、大人用失禁パッド、大人用おむつ等の衛生材料等に特に好適に用いることができ、長時間にわたって優れた装着感を維持できるものとなりうる。
【0299】
よって、上記の各構成によれば、おむつ等の吸収性物品に使用した(組み込んだ)場合に、安全性が高く、優れた消臭性能と吸収特性を有し、上記吸収性物品に優れた消臭性能と優れた吸収特性を付与できる吸水剤組成物およびその製造方法並びに吸収体および吸収性物品を提供することができるという効果を奏する。
【0300】
また、本発明の吸水剤組成物は、以上のように、酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とする粒子状の吸水剤組成物(粒子状の吸水性樹脂組成物)であって、前記組成物は、(1)酸基の全モル量の1/3以上3/4未満(但し、後述する植物成分(B)が半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物から選ばれる場合、酸基の全モル量の1/3以上4/5未満)、好適には1/3から2/3が中和され、(2)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、さらに、(3)ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分(B)を含有する構成である。
【0301】
本発明の吸水剤組成物の製造方法は、以上のように、酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とし、(1)酸基の全モル量の1/3以上3/4未満が中和され、(2)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、さらに、(3)ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分(B)を含有する粒子状の吸水剤組成物の製造方法であって、酸基含有不飽和単量体を重合して、架橋構造を有し且つ酸基の全モル量の1/3以上3/4未満が中和された吸水性樹脂を得る工程と、得られた吸水性樹脂の粒度を、850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上となるように調整する工程と、粒度を調整した吸水性樹脂と、ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分(B)とを混合する工程とを含む構成である。
【0302】
また、本発明の吸収体は、上記の吸水剤組成物を含む構成である。該吸収体は、さらに親水性繊維を含んでいることが望ましい。
【0303】
さらに、本発明の吸収体は、酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とする粒子状の吸水剤組成物(粒子状の吸水性樹脂組成物)、および親水性繊維とを含む吸収体であって、前記組成物は、(1)酸基の全モル量の1/3以上3/4未満(但し、後述する植物成分(B)が半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物から選ばれる場合、酸基の全モル量の1/3以上4/5未満)、好適には1/3から2/3が中和され、(2)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、さらに、該吸収体は、(3)ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分(B)を含有する構成である。
【0304】
さらに、上記した本発明の吸収性物品は、以上のように、本発明の吸収体、液透過性を有する表面シート、および液不透過性を有する背面シートを備える構成である。
【0305】
上記吸水剤組成物(吸水性樹脂組成物)もまた、吸収性物品に消臭機能を付与でき、長時間にわたり、優れた消臭性能と吸収特性を示す新規な吸水剤組成物(吸水性樹脂組成物)である。また、上記吸水剤組成物の製造方法によれば、上記構成を有する吸水剤組成組成物を容易に得ることができる。
【0306】
また、上記した本発明の吸収体並びに吸収性物品は、その優れた消臭性能、安定した吸収特性を示すため、紙おむつや生理用ナプキン、大人用失禁パット、大人用おむつ等の衛生材料等に特に好適に用いることができ、長時間にわたって優れた装着感を維持できるものとなりうる。
【0307】
よって、上記の各構成によれば、おむつ等の吸収性物品に使用した(組み込んだ)場合に優れた消臭性能と吸収特性を有し、上記吸収性物品に優れた消臭性能と優れた吸収特性を付与できる吸水剤組成物およびその製造方法並びに吸収体および吸収性物品を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、吸水性樹脂が示す性能の一つである加圧下吸引力の測定に用いる測定装置の概略の断面図である。
【図2】図2は、吸水性樹脂(あるいは吸水剤塑性物)が示す性能の一つである拡散吸収倍率の測定に用いる測定装置の概略の断面図である。
【図3】図3は、図2に示す測定装置の要部の断面図である。
【符号の説明】
1 容器
2 濾紙
3 測定部
4 人工尿
5 支持円筒
6 金網
7 重り
11 天秤
12 容器
13 外気吸入パイプ
14 導管
15 測定部
16 ガラスフィルタ
17 濾紙
18 シート
19 支持円筒
20 金網
21 重り
22 生理食塩水

Claims (19)

  1. 半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物と、表面部分および/またはその近傍が架橋剤により表面処理された吸水性樹脂とを含むことを特徴とする吸水剤組成物。
  2. 0.90質量%生理食塩水に対する無加圧下で60分の吸収倍率が25g/g以上60g/g以下、加圧下吸引指数が14g/g以上、吸収速度が60秒以下であることを特徴とする請求項1記載の吸水剤組成物。
  3. 半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物と吸水性樹脂とを含み、0.90質量%生理食塩水に対する無加圧下で60分の吸収倍率が25g/g以上60g/g以下、加圧下吸引指数が14g/g以上、吸収速度が60秒以下であることを特徴とする吸水剤組成物。
  4. 酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とする粒子状の吸水剤組成物であって、
    当該吸水剤組成物は、(1)酸基の全モル量の1/3以上4/5未満が中和され、(2)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、さらに、(3)半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を含有することを特徴とする吸水剤組成物。
  5. 酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とする粒子状の吸水剤組成物であって、
    当該吸水剤組成物は、(1)酸基の全モル量の1/3以上3/4未満が中和され、(2)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、さらに、(3)ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分(B)を含有することを特徴とする吸水剤組成物。
  6. 上記植物成分(B)が、ツバキ科の植物に含まれる植物成分から選ばれることを特徴とする請求項5記載の吸水剤組成物。
  7. 上記植物成分(B)が、タンニン、タンニン酸、五倍子、没食子および没食子酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリフェノールを含有することを特徴とする請求項5または6記載の吸水剤組成物。
  8. 酸基の全モル量の1/3から2/3が中和されていることを特徴とする請求項4〜7の何れか1項に記載の吸水剤組成物。
  9. 0.90質量%生理食塩水に対する無加圧下で60分の吸収倍率が30g/g以上で、且つ0.90質量%生理食塩水に対する1.9kPaで60分の拡散吸収倍率が24g/g以上であることを特徴とする請求項4〜8の何れか1項に記載の吸水剤組成物。
  10. 無機微粒子をさらに含むことを特徴とする請求項4〜9の何れか1項に記載の吸水剤組成物。
  11. 上記吸水性樹脂(A)の表面部分および/またはその近傍が架橋剤により表面処理されていることを特徴とする請求項4〜10の何れか1項に記載の吸水剤組成物。
  12. 酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とし、(1)酸基の全モル量の1/3以上3/4未満が中和され、(2)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、さらに、(3)ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分(B)を含有する粒子状の吸水剤組成物の製造方法であって、
    酸基含有不飽和単量体を重合して、架橋構造を有し且つ酸基の全モル量の1/3以上3/4未満が中和された吸水性樹脂を得る工程と、
    得られた吸水性樹脂の粒度を、850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上となるように調整する工程と、
    粒度を調整した吸水性樹脂と、ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分(B)とを混合する工程とを含むことを特徴とする吸水剤組成物の製造方法。
  13. 請求項1〜11の何れか1項に記載の吸水剤組成物を含むことを特徴とする吸収体。
  14. 親水性繊維をさらに含むことを特徴とする請求項13記載の吸収体。
  15. 酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とする粒子状の吸水剤組成物、および、親水性繊維を含む吸収体であって、
    上記吸水剤組成物は、(1)酸基の全モル量の1/3以上4/5未満が中和され、(2)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、さらに、
    当該吸収体は、(3)半発酵茶の抽出物および/または発酵茶の抽出物を含有することを特徴とする吸収体。
  16. 酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂(A)を主成分とする粒子状の吸水剤組成物、および、親水性繊維を含む吸収体であって、
    上記吸水剤組成物は、(1)酸基の全モル量の1/3以上3/4未満が中和され、(2)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90質量%以上で且つ300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であり、さらに、
    当該吸収体は、(3)ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種を含む植物成分(B)を含有することを特徴とする吸収体。
  17. 上記吸水剤組成物は、酸基の全モル量の1/3から2/3が中和されていることを特徴とする請求項15または16記載の吸収体。
  18. 上記吸水剤組成物が、0.90質量%生理食塩水に対する無加圧下で60分の吸収倍率が30g/g以上であり、且つ0.90質量%生理食塩水に対する1.9kPaで60分の拡散吸収倍率が24g/g以上を満たすことを特徴とする請求項15〜17の何れか1項に記載の吸収体。
  19. 請求項13〜18の何れか1項に記載の吸収体、液透過性を有する表面シート、および液不透過性を有する背面シートを備えることを特徴とする吸収性物品。
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