JP2004155845A - ブレンドゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性および耐オゾン性にすぐれたブレンドゴム組成物を提供する。
【解決手段】アルキルアクリレート、アルコキシアルキルアクリレートおよびエポキシ基含有単量体の共重合体よりなるアクリル酸エステル共重合ゴム、(水素化)ニトリルゴムおよびトリアジンチオール類を含有するブレンドゴム組成物。このように、(水素化)ニトリルゴムに特定組成を有するアクリル酸エステル共重合ゴム、好ましくは(エチルアクリレート−)n−ブチルアクリレート−2−メトキシエチルアクリレート−グリシジルメタクレート共重合体をブレンドし、このブレンドゴム組成物を2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンで共架橋させることにより、耐熱性および耐オゾン性を大幅に改善することができる。
【解決手段】アルキルアクリレート、アルコキシアルキルアクリレートおよびエポキシ基含有単量体の共重合体よりなるアクリル酸エステル共重合ゴム、(水素化)ニトリルゴムおよびトリアジンチオール類を含有するブレンドゴム組成物。このように、(水素化)ニトリルゴムに特定組成を有するアクリル酸エステル共重合ゴム、好ましくは(エチルアクリレート−)n−ブチルアクリレート−2−メトキシエチルアクリレート−グリシジルメタクレート共重合体をブレンドし、このブレンドゴム組成物を2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンで共架橋させることにより、耐熱性および耐オゾン性を大幅に改善することができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブレンドゴム組成物に関する。更に詳しくは、耐熱性および耐オゾン性にすぐれたブレンドゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車用部品などに用いられるゴム組成物として、耐熱性にすぐれたゴム組成物の開発が行われており、機械的特性には優れているものの、耐熱性においてさらなる改善が望まれているニトリルゴムと、耐熱性にはすぐれているものの機械的強度が小さいアクリル酸エステル共重合ゴムをブレンドすることで、耐熱性および機械的強度をバランス良く備えたアクリル酸エステル共重合ゴムおよびニトリルゴムからなるブレンドゴム組成物が種々提案されている。
【0003】
例えば、特開平3−139549号公報には架橋部位を持たないアクリル酸エステル共重合ゴムとニトリルゴム等を、エステル交換によりアクリルゴムを架橋する物質を配合し、高温せん断変形下で動的加硫し、微細粒子状に分散させる方法が、また特開平3−139550号公報には、アクリル酸エステル共重合ゴムとして架橋部位を持つものを使用する方法が提案されている。しかしこれらの方法においては、動的加硫により微細に分散させるために二軸押出機等が必要であり、設備的および工程的にみて材料が高価になるのを避けることができない。
【0004】
また、特開平9−3247号公報には、アクリルゴムとニトリルゴムのブレンド物にアクリルゴム用加硫剤を配合し、高温せん断変形下で動的加硫し、さらにγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを配合し、ニトリルゴムと分散しているアクリルゴム粒子の結合をはかる方法も提案されている。この方法についても、動的加硫を必須とし、得られた動的加硫物の流動性は一般的に悪く加工性に問題があった。また、アクリルゴム用加硫剤およびアクリルゴムとニトリルゴムを結合させるカップリング剤が必要であり、価格的、工程的に不利である。
【0005】
さらに、特開平10−120829号公報には、反応性不飽和基含有過酸化物共重合アクリル酸エステル共重合ゴム(特殊アクリルゴム)とニトリルゴムとのブレンド物が提案されている。しかし、用いられる反応性不飽和基含有過酸化物が高価で、また重合の安定性などに問題がみられる。
【0006】
また、特開平2−3438号公報には、耐熱性にすぐれたゴム組成物として例えばエチルアクリレート−n−ブチルアクリレート−メトキシエチルアクリレート3元共重合体あるいはn−ブチルアクリレート−メトキシエチルアクリレート共重合体等のアクリレート共重合体と水素化ニトリルゴムを配合したゴム組成物が提案されているが、この組成物中には、過酸化物架橋を可能とするための必須成分としてビスマレイミド化合物を必要としている。
【0007】
一方、最近の自動車部品等においては、耐熱性に加えて耐オゾン性の改善が要求されている。ニトリルゴムの耐オゾン性の改良を目的として、老化防止剤を添加することが一般に行われているが、接触する樹脂等への汚染あるいは油等への抽出による機能低下があり、また塩化ビニル樹脂などをブレンドすることも行われているが、環境を配慮した非塩素化の観点から好ましくない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐熱性および耐オゾン性にすぐれたブレンドゴム組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、アルキルアクリレート、アルコキシアルキルアクリレートおよびエポキシ基含有単量体の共重合体よりなるアクリル酸エステル共重合ゴム、(水素化)ニトリルゴムおよびトリアジンチオール類を含有してなるブレンドゴム組成物によって達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
アルキルアクリレートとしては、炭素数1〜8のアルキルアクリレート、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート(EA)、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート(BA)、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレートなどが用いられ、好ましくはエチルアクリレート、n−ブチルアクリレートが用いられる。
【0011】
アルキルアクリレートを主成分とするアクリル酸エステル共重合体中には、さらなる耐オゾン性の改善を目的として、アルコキシアルキルアクリレートがさらに共重合される。アルコキシアルキルアクリレートとしては、炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキルアクリレート、例えばメトキシメチルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート(MEA)、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレートなどが用いられ、好ましくは2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレートが用いられる。アルコキシアルキルアクリレートは、アクリル酸エステル共重合体中10重量%以上、好ましくは15重量%以上の割合で用いられる。アルコキシアルキルアクリレートの割合がこれより少ないと、耐オゾン性の改善が行われない。
【0012】
アクリル酸エステル共重合ゴム中に共重合されるエポキシ基含有単量体としては、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)などが用いられる。これらのエポキシ基含有単量体は、アクリル酸エステル共重合ゴム中0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の割合で共重合させて用いられる。
【0013】
このアクリル酸エステル共重合ゴム中には、その特性を阻害しない範囲内、通常は約30重量%以下の範囲内で、他の共重合性単量体、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、酢酸ビニル、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ピペリレン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、エチレン、プロピレンなどを共重合させることができる。
【0014】
一方、これらのアクリル酸エステル共重合ゴムとブレンドされる(水素化)ニトリルゴムとしては、結合アクリロニトリル量が10〜50%のブタジエン−アクリロニトリル共重合体またはその水素化物が用いられ、市販品、例えばJSR製品N220S、N230S、N240S、N250Sなどをそのまま用いることができる。
【0015】
ゴム状のアクリル酸エステル共重合ゴムおよび(水素化)ニトリルゴムは、アクリル酸エステル共重合体5〜50重量部、(水素化)ニトリルゴム95〜50重量部の割合でブレンドされて用いられる。アクリル酸エステル共重合ゴムの割合がこれより少ないと耐熱性、耐オゾン性の改善が達成されず、一方アクリル酸エステル共重合ゴムの割合がこれより多いと耐熱性、耐オゾン性の点では有利であるが、機械的特性およびコストの点から好ましくない。
【0016】
アクリル酸エステル共重合ゴムおよび(水素化)ニトリルゴムのブレンド物の加硫剤としては、ニトリルゴムの加硫剤であるイオウまたはイオウ供与性化合物などを用いることもできるが、耐オゾン性のさらなる改善を目的として、アクリル酸エステル共重合ゴムおよび(水素化)ニトリルゴム双方を加硫可能な加硫剤がさらに併用される。このような加硫剤としては、トリアジンチオール類、例えばトリアジントリチオール、トリアジンジチオール、これらの部分チオエステル類およびこれらの部分エポキシ反応物、ビニルエーテル付加物、アルカリ金属塩等が、ブレンドゴム100重量部当り約0.1〜5重量部、好ましくは約0.1〜2重量部の割合で用いられる。
【0017】
これらの各成分には、さらに必要に応じてアクリル酸エステル共重合ゴムあるいは(水素化)ニトリルゴムに使用される促進剤、補強剤、充填剤、加工助剤、可塑剤などの配合剤が適宜添加されて用いられる。
【0018】
ゴム組成物の調製は、ニーダ、インターミックス、バンバリミキサなどの密閉式混練機あるいはオープンロールなど一般に用いられる混練機を用いて混練することにより行われ、一般に約150〜220℃で約1〜60分間行われるプレス加硫、蒸気加硫または射出成形加硫によって行われ、更に必要に応じて、約150〜200℃、約1〜15時間のオーブン加硫あるいは蒸気加硫が二次加硫として行われる。
【0019】
【発明の効果】
(水素化)ニトリルゴムに特定組成を有するアクリル酸エステル共重合ゴム、好ましくは(エチルアクリレート−)n−ブチルアクリレート−2−メトキシエチルアクリレート−グリシジルメタクレート共重合体をブレンドし、このブレンドゴム組成物を2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンで共架橋させることにより、耐熱性および耐オゾン性を大幅に改善することができる。このようなブレンドゴム組成物から加硫成形された加硫成形品は、自動車部品、産業用機械部品、マットなどとして有効に用いられる。
【0020】
【実施例】
次に、実施例について本発明を説明する。なお、共重合組成は重量%であり、部は重量部である。
【0021】
以上の各成分を8インチオープンロールを用いて混練し、金型を用いて180℃、6分間加硫成形し、厚さ2mmの試験片を得た。
【0022】
実施例2
実施例1において、アクリル酸エステル共重合ゴムとしてBA:MEA:GMA=55:48:2の共重合組成を有するアクリル酸エステル共重合ゴムが同量用いられた。
【0023】
実施例3
実施例1において、アクリル酸エステル共重合ゴムとしてEA:MEA:GMA=55:48:2の共重合組成を有するアクリル酸エステル共重合ゴムが同量用いられた。
【0024】
実施例4
実施例1において、アクリル酸エステル共重合ゴムとしてBA:MEA:GMA=40:58:2の共重合組成を有するアクリル酸エステル共重合ゴムが同量用いられた。
これらの各実施例で得られた試験片について、ムーニー粘度、スコーチタイム、常態値、耐熱老化性および耐オゾン性についての試験を行った。
ムーニー粘度:JIS K6300準拠(温度125℃)
スコーチタイム:JIS K6300準拠(温度125℃)
常態値:JIS K6251、K6253準拠
耐熱老化性:JIS K6257準拠(温度120℃,70時間)
耐オゾン性:JIS K6259準拠(温度40℃,オゾン濃度40pphm,伸張20%)
亀裂の状態を下記基準に従い判定した
〔亀裂の数〕
NC:亀裂なし
A:亀裂少数
B:亀裂多数
C:亀裂無数
〔亀裂の大きさおよび深さ〕
1:肉眼では見えないが10倍の拡大鏡では確認できるもの
2:肉眼で確認できるもの
3:亀裂が深くて比較的大きいもの(1mm未満)
4:亀裂が深くて大きいもの(1mm〜3mm)
5:3mm以上の亀裂または切断を起こしそうなもの
【0025】
得られた結果は、次の表1に示される。
【0026】
比較例1
実施例1において、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンが用いられなかった。
【0027】
比較例2
実施例2において、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンが用いられなかった。
【0028】
比較例3
実施例3において、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンが用いられなかった。
【0029】
比較例4
実施例4において、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンが用いられなかった。
【0030】
比較例5
実施例1において、アクリル酸エステル共重合ゴムとしてEA:GMA=98:2の共重合組成を有するアクリル酸エステル共重合ゴムが同量用いられ、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンが用いられなかった。
【0031】
比較例6
実施例1において、アクリル酸エステル共重合ゴムとしてEA:GMA=98:2の共重合組成を有するアクリル酸エステル共重合ゴムが同量用いられた。
【0032】
比較例7
比較例1において、ニトリルゴムが100重量部に変更されて用いられ、アクリル酸エステル共重合ゴムは用いられなかった。
【0033】
以上の各比較例について、実施例と同様にムーニー粘度、スコーチタイム、常態値、耐熱老化性および耐オゾン性についての試験を行った。得られた結果は、次の表2に示される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブレンドゴム組成物に関する。更に詳しくは、耐熱性および耐オゾン性にすぐれたブレンドゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車用部品などに用いられるゴム組成物として、耐熱性にすぐれたゴム組成物の開発が行われており、機械的特性には優れているものの、耐熱性においてさらなる改善が望まれているニトリルゴムと、耐熱性にはすぐれているものの機械的強度が小さいアクリル酸エステル共重合ゴムをブレンドすることで、耐熱性および機械的強度をバランス良く備えたアクリル酸エステル共重合ゴムおよびニトリルゴムからなるブレンドゴム組成物が種々提案されている。
【0003】
例えば、特開平3−139549号公報には架橋部位を持たないアクリル酸エステル共重合ゴムとニトリルゴム等を、エステル交換によりアクリルゴムを架橋する物質を配合し、高温せん断変形下で動的加硫し、微細粒子状に分散させる方法が、また特開平3−139550号公報には、アクリル酸エステル共重合ゴムとして架橋部位を持つものを使用する方法が提案されている。しかしこれらの方法においては、動的加硫により微細に分散させるために二軸押出機等が必要であり、設備的および工程的にみて材料が高価になるのを避けることができない。
【0004】
また、特開平9−3247号公報には、アクリルゴムとニトリルゴムのブレンド物にアクリルゴム用加硫剤を配合し、高温せん断変形下で動的加硫し、さらにγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを配合し、ニトリルゴムと分散しているアクリルゴム粒子の結合をはかる方法も提案されている。この方法についても、動的加硫を必須とし、得られた動的加硫物の流動性は一般的に悪く加工性に問題があった。また、アクリルゴム用加硫剤およびアクリルゴムとニトリルゴムを結合させるカップリング剤が必要であり、価格的、工程的に不利である。
【0005】
さらに、特開平10−120829号公報には、反応性不飽和基含有過酸化物共重合アクリル酸エステル共重合ゴム(特殊アクリルゴム)とニトリルゴムとのブレンド物が提案されている。しかし、用いられる反応性不飽和基含有過酸化物が高価で、また重合の安定性などに問題がみられる。
【0006】
また、特開平2−3438号公報には、耐熱性にすぐれたゴム組成物として例えばエチルアクリレート−n−ブチルアクリレート−メトキシエチルアクリレート3元共重合体あるいはn−ブチルアクリレート−メトキシエチルアクリレート共重合体等のアクリレート共重合体と水素化ニトリルゴムを配合したゴム組成物が提案されているが、この組成物中には、過酸化物架橋を可能とするための必須成分としてビスマレイミド化合物を必要としている。
【0007】
一方、最近の自動車部品等においては、耐熱性に加えて耐オゾン性の改善が要求されている。ニトリルゴムの耐オゾン性の改良を目的として、老化防止剤を添加することが一般に行われているが、接触する樹脂等への汚染あるいは油等への抽出による機能低下があり、また塩化ビニル樹脂などをブレンドすることも行われているが、環境を配慮した非塩素化の観点から好ましくない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐熱性および耐オゾン性にすぐれたブレンドゴム組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、アルキルアクリレート、アルコキシアルキルアクリレートおよびエポキシ基含有単量体の共重合体よりなるアクリル酸エステル共重合ゴム、(水素化)ニトリルゴムおよびトリアジンチオール類を含有してなるブレンドゴム組成物によって達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
アルキルアクリレートとしては、炭素数1〜8のアルキルアクリレート、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート(EA)、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート(BA)、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレートなどが用いられ、好ましくはエチルアクリレート、n−ブチルアクリレートが用いられる。
【0011】
アルキルアクリレートを主成分とするアクリル酸エステル共重合体中には、さらなる耐オゾン性の改善を目的として、アルコキシアルキルアクリレートがさらに共重合される。アルコキシアルキルアクリレートとしては、炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキルアクリレート、例えばメトキシメチルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート(MEA)、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレートなどが用いられ、好ましくは2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレートが用いられる。アルコキシアルキルアクリレートは、アクリル酸エステル共重合体中10重量%以上、好ましくは15重量%以上の割合で用いられる。アルコキシアルキルアクリレートの割合がこれより少ないと、耐オゾン性の改善が行われない。
【0012】
アクリル酸エステル共重合ゴム中に共重合されるエポキシ基含有単量体としては、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)などが用いられる。これらのエポキシ基含有単量体は、アクリル酸エステル共重合ゴム中0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の割合で共重合させて用いられる。
【0013】
このアクリル酸エステル共重合ゴム中には、その特性を阻害しない範囲内、通常は約30重量%以下の範囲内で、他の共重合性単量体、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、酢酸ビニル、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ピペリレン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、エチレン、プロピレンなどを共重合させることができる。
【0014】
一方、これらのアクリル酸エステル共重合ゴムとブレンドされる(水素化)ニトリルゴムとしては、結合アクリロニトリル量が10〜50%のブタジエン−アクリロニトリル共重合体またはその水素化物が用いられ、市販品、例えばJSR製品N220S、N230S、N240S、N250Sなどをそのまま用いることができる。
【0015】
ゴム状のアクリル酸エステル共重合ゴムおよび(水素化)ニトリルゴムは、アクリル酸エステル共重合体5〜50重量部、(水素化)ニトリルゴム95〜50重量部の割合でブレンドされて用いられる。アクリル酸エステル共重合ゴムの割合がこれより少ないと耐熱性、耐オゾン性の改善が達成されず、一方アクリル酸エステル共重合ゴムの割合がこれより多いと耐熱性、耐オゾン性の点では有利であるが、機械的特性およびコストの点から好ましくない。
【0016】
アクリル酸エステル共重合ゴムおよび(水素化)ニトリルゴムのブレンド物の加硫剤としては、ニトリルゴムの加硫剤であるイオウまたはイオウ供与性化合物などを用いることもできるが、耐オゾン性のさらなる改善を目的として、アクリル酸エステル共重合ゴムおよび(水素化)ニトリルゴム双方を加硫可能な加硫剤がさらに併用される。このような加硫剤としては、トリアジンチオール類、例えばトリアジントリチオール、トリアジンジチオール、これらの部分チオエステル類およびこれらの部分エポキシ反応物、ビニルエーテル付加物、アルカリ金属塩等が、ブレンドゴム100重量部当り約0.1〜5重量部、好ましくは約0.1〜2重量部の割合で用いられる。
【0017】
これらの各成分には、さらに必要に応じてアクリル酸エステル共重合ゴムあるいは(水素化)ニトリルゴムに使用される促進剤、補強剤、充填剤、加工助剤、可塑剤などの配合剤が適宜添加されて用いられる。
【0018】
ゴム組成物の調製は、ニーダ、インターミックス、バンバリミキサなどの密閉式混練機あるいはオープンロールなど一般に用いられる混練機を用いて混練することにより行われ、一般に約150〜220℃で約1〜60分間行われるプレス加硫、蒸気加硫または射出成形加硫によって行われ、更に必要に応じて、約150〜200℃、約1〜15時間のオーブン加硫あるいは蒸気加硫が二次加硫として行われる。
【0019】
【発明の効果】
(水素化)ニトリルゴムに特定組成を有するアクリル酸エステル共重合ゴム、好ましくは(エチルアクリレート−)n−ブチルアクリレート−2−メトキシエチルアクリレート−グリシジルメタクレート共重合体をブレンドし、このブレンドゴム組成物を2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンで共架橋させることにより、耐熱性および耐オゾン性を大幅に改善することができる。このようなブレンドゴム組成物から加硫成形された加硫成形品は、自動車部品、産業用機械部品、マットなどとして有効に用いられる。
【0020】
【実施例】
次に、実施例について本発明を説明する。なお、共重合組成は重量%であり、部は重量部である。
【0021】
以上の各成分を8インチオープンロールを用いて混練し、金型を用いて180℃、6分間加硫成形し、厚さ2mmの試験片を得た。
【0022】
実施例2
実施例1において、アクリル酸エステル共重合ゴムとしてBA:MEA:GMA=55:48:2の共重合組成を有するアクリル酸エステル共重合ゴムが同量用いられた。
【0023】
実施例3
実施例1において、アクリル酸エステル共重合ゴムとしてEA:MEA:GMA=55:48:2の共重合組成を有するアクリル酸エステル共重合ゴムが同量用いられた。
【0024】
実施例4
実施例1において、アクリル酸エステル共重合ゴムとしてBA:MEA:GMA=40:58:2の共重合組成を有するアクリル酸エステル共重合ゴムが同量用いられた。
これらの各実施例で得られた試験片について、ムーニー粘度、スコーチタイム、常態値、耐熱老化性および耐オゾン性についての試験を行った。
ムーニー粘度:JIS K6300準拠(温度125℃)
スコーチタイム:JIS K6300準拠(温度125℃)
常態値:JIS K6251、K6253準拠
耐熱老化性:JIS K6257準拠(温度120℃,70時間)
耐オゾン性:JIS K6259準拠(温度40℃,オゾン濃度40pphm,伸張20%)
亀裂の状態を下記基準に従い判定した
〔亀裂の数〕
NC:亀裂なし
A:亀裂少数
B:亀裂多数
C:亀裂無数
〔亀裂の大きさおよび深さ〕
1:肉眼では見えないが10倍の拡大鏡では確認できるもの
2:肉眼で確認できるもの
3:亀裂が深くて比較的大きいもの(1mm未満)
4:亀裂が深くて大きいもの(1mm〜3mm)
5:3mm以上の亀裂または切断を起こしそうなもの
【0025】
得られた結果は、次の表1に示される。
【0026】
比較例1
実施例1において、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンが用いられなかった。
【0027】
比較例2
実施例2において、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンが用いられなかった。
【0028】
比較例3
実施例3において、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンが用いられなかった。
【0029】
比較例4
実施例4において、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンが用いられなかった。
【0030】
比較例5
実施例1において、アクリル酸エステル共重合ゴムとしてEA:GMA=98:2の共重合組成を有するアクリル酸エステル共重合ゴムが同量用いられ、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンが用いられなかった。
【0031】
比較例6
実施例1において、アクリル酸エステル共重合ゴムとしてEA:GMA=98:2の共重合組成を有するアクリル酸エステル共重合ゴムが同量用いられた。
【0032】
比較例7
比較例1において、ニトリルゴムが100重量部に変更されて用いられ、アクリル酸エステル共重合ゴムは用いられなかった。
【0033】
以上の各比較例について、実施例と同様にムーニー粘度、スコーチタイム、常態値、耐熱老化性および耐オゾン性についての試験を行った。得られた結果は、次の表2に示される。
Claims (6)
- アルキルアクリレート、アルコキシアルキルアクリレートおよびエポキシ基含有単量体の共重合体よりなるアクリル酸エステル共重合ゴム、(水素化)ニトリルゴムおよびトリアジンチオール類を含有してなるブレンドゴム組成物。
- アルキルアクリレートがn−ブチルアクリレートである請求項1記載のブレンドゴム組成物。
- アルキルアクリレートがエチルアクリレートおよびn−ブチルアクリレートである請求項1記載のブレンドゴム組成物。
- アルコキシアルキルアクリレートが2−メトキシエチルアクリレートである請求項1,2または3記載のブレンドゴム組成物。
- トリアジンチオール類が2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン請求項1記載のブレンドゴム組成物。
- 請求項1記載のブレンドゴム組成物から加硫成形された加硫成形品。
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