JP2004155628A - 原料循環カーボン構造物製造方法および装置 - Google Patents

原料循環カーボン構造物製造方法および装置 Download PDF

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JP2004155628A JP2002324829A JP2002324829A JP2004155628A JP 2004155628 A JP2004155628 A JP 2004155628A JP 2002324829 A JP2002324829 A JP 2002324829A JP 2002324829 A JP2002324829 A JP 2002324829A JP 2004155628 A JP2004155628 A JP 2004155628A
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Yoshikazu Nakayama
喜萬 中山
Takashi Nagasaka
岳志 長坂
Hiroyuki Tsuchiya
宏之 土屋
Akira Ri
旭 李
Shoji Hosokawa
昌治 細川
Toshinori Nosaka
俊紀 野坂
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Daiken Kagaku Kogyo KK
Japan Science and Technology Agency
Taiyo Toyo Sanso Co Ltd
Nissin Electric Co Ltd
Osaka Prefecture
Otsuka Chemical Holdings Co Ltd
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Daiken Kagaku Kogyo KK
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Osaka Prefecture
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Abstract

【課題】使用済み原料ガスを再循環させる構成を採用して、環境汚染ガスの大気中への放出を極減させるカーボンナノ構造物の製法と装置を開発する。
【解決手段】本発明に係る原料循環カーボン構造物製造方法は、反応容器4に原料ガスとキャリアガスの未使用混合ガスを供給し、反応容器4内で化学気相成長法によりカーボンナノ構造物8を製造し、排出される使用済み混合ガスの一部を外部に放出し、その残部を帰還させて反応容器4の上流側に再び供給し、前記反応容器4から排出される使用済み混合ガスのガス濃度を検出してガス濃度の減量分に相当する未使用混合ガスを反応容器4の上流側に補充供給して、反応容器4内のキャリアガス量と原料ガス濃度を略一定に保持することを特徴とする。使用済み混合ガスの一部のみを放出して残量を循環させる半密閉式製造方法により、環境負荷が小さく、クリーンで高効率にカーボンナノ構造物を製造できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は原料ガスから化学気相成長法によりカーボンナノ構造物を製造する方法に関し、更に詳細には、反応回路を半密閉式又は密閉式にすることにより原料ガスやキャリアガスの大気中への放出量を低減又は極減し、温暖化ガスの削減を通して地球環境の浄化に寄与できるカーボンナノ構造物の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノ構造物がナノテクノロジーの中核物質として注目を集めている。本発明で云うカーボンナノ構造物とは炭素原子から構成されるナノサイズの物質であり、例えば、コイル状のカーボンナノコイル、カーボンナノチューブが捩れを有したカーボンナノツイスト、チューブ状のカーボンナノチューブ、カーボンナノチューブにビーズが形成されたビーズ付カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブが多数林立したカーボンナノブラシ、球殻状のフラーレンなどがある。以下では、これら多数の炭素物質をカーボンナノ構造物と総称する。
【0003】
これらのカーボンナノ構造物を製造する方法には、炭素電極を用いたアーク放電法、炭化水素などを分解して目的物質を成長させる化学気相成長法(CVD法、Chemical Vapor Deposition)、また触媒を利用して目的物質を成長させる触媒化学気相成長法(CCVD法、Catalyst Chemical Vapor Deposition)などがある。
【0004】
このCCVD法はCVD法の一形態に過ぎない。本発明におけるCVD法とは、反応容器内で原料ガスを分解して目的物質を成長させる方法を総称しており、その分解手段には熱、電子ビーム、レーザービーム、イオンビームなど各種の分解手段が包含される。
【0005】
従来のCVD法やCCVD法では、反応容器に原料ガスとキャリアガスの混合ガスを導入し、基板や触媒表面にカーボンナノ構造物を成長させ、その後、使用済み(反応済み)の原料ガスやキャリアガスを最終的に大気中に放出する開放式製造方式が中心であった。
【0006】
図5は開放式製造方式を示す従来のカーボンナノ構造物製造装置の概略構成図である。このカーボンナノ構造物開放式製造装置70はCCVD法を使用しており、反応容器4の中に触媒体6を配置し、この触媒体表面にカーボンナノチューブからなるカーボンナノ構造物8が触媒化学気相成長法により成長している。
【0007】
原料ガス容器14から炭化水素などの原料ガスが供給され、この原料ガスはレギュレータ16により低圧化される。低圧化された原料ガスは原料ガス流量制御器18により所定流量でバルブ20を介して供給される。
【0008】
キャリアガス容器22からはHe、Ar、N、Hなどのキャリアガスが供給され、このキャリアガスはレギュレータ24により低圧化される。低圧化されたキャリアガスはキャリアガス流量制御器26により所定流量でバルブ28を介して供給される。
【0009】
原料ガスとキャリアガスは合流部30で合流して未使用混合ガスとなり、ガス供給管10を流通して、ガス供給ノズル10aから矢印a方向に反応容器4内に供給される。キャリアガスは比較的低濃度の原料ガスを搬送するためのガスで、それ自体は反応容器4では反応しない性質を有する。
【0010】
反応容器4は所定の温度に保持されており、原料ガスは触媒体6の近傍で熱分解され、触媒体6の表面で分解炭素からカーボンナノ構造物が成長する。しかし、触媒体表面では原料ガスの一部がカーボンナノ構造物に変換されるに過ぎず、未反応の原料ガスやキャリアガスは排出管端部12aからガス排出管12を流通し、最終的に矢印f方向に大気へと放出される。
【0011】
触媒体6の表面で反応しなかった原料ガス、及びその性質から反応しないキャリアガスの混合ガスはガス排出管35へと排出されるから、このガス排出管に排出される混合ガスを使用済み混合ガスと称する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年では、大気中に放出される有機ガスが地球環境を悪化させることが指摘され、その中でも地球温暖化ガスに対する国際的な規制が広まりつつある。特に、気候変動枠組条約や、京都議定書は日本も締結している国際法規と考えられる。
【0013】
気候変動枠組条約は、大気中の温室効果ガス(二酸化炭素、メタン等)の増大が地球を温暖化し自然の生態系等に悪影響を及ぼすおそれがあることを背景に、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを目的として、1992年に締結された。この条約は1994年に発効し、現在では日本を含む186カ国が締結しており、温室効果ガスの削減の緊急性が要請されている。
【0014】
京都議定書は、この枠組条約の目的を達成するため京都で採択された議定書である。先進国等に対し、温室効果ガスを2008年から5年間で一定数値を削減することを義務づけている。特に、日本は議長国でもあり、この削減に向けて邁進しなければならない立場にある。
【0015】
このような国際法規の基準をクリアーするためには、あらゆる分野において、有機ガスを含む汚染ガスを大気中に放出する方式は技術的に改良されなければならない。ところが、前述した従来のカーボンナノ構造物開放式製造方法では、使用済み混合ガスの全量が一方的に大気中に放出されており、この技術分野においても、何らかの技術的解決策が提示されなければならない段階に来ている。しかもカーボンナノ構造物の生成に寄与しなかったガスを放出するということは、製造効率がそれだけ低い水準にあることを意味している。この低い生成効率を飛躍的に増大させることも同時に要請されている。
【0016】
従って、本発明は、化学気相成長法を利用してカーボンナノ構造物を製造する際に、反応容器から排出される使用済み混合ガスを再利用する構成を採用し、従来の開放式製造方式を密閉式又は半密閉式の製造方式に転換することよって、環境汚染ガスの大気中への放出を低減又は極減させるカーボンナノ構造物製造方法及びその装置を提供することを目的とする。しかも、この放出削減を通してカーボンナノ構造物の生成効率を向上させることも本発明の目的である。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために為されたものであり、第1の発明は、反応容器に原料ガスとキャリアガスの未使用混合ガスを供給し、反応容器内で化学気相成長法によりカーボンナノ構造物を成長させ、反応容器から排出される使用済み混合ガスの一部を外部に放出し、この使用済み混合ガスの残部を帰還させて反応容器の上流側に再び供給し、前記反応容器から排出される使用済み混合ガスのガス濃度を検出してガス濃度の減量分に相当する未使用混合ガスを反応容器の上流側に補充供給して、反応容器内の原料ガスの濃度を略一定に保持することを特徴とする原料循環カーボン構造物製造方法である。この方法は、使用済み混合ガスの一部のみを放出する半密閉式製造方法を提供するもので、未使用混合ガスを部分供給しながら、その量だけ使用済み混合ガスを外部に放出して反応容器内における内圧の一定化を図り、しかも反応容器内の混合ガスを常に略未使用状態に保持してカーボンナノ構造物の製造効率を高く維持するものである。外部への放出量を低減させるほど環境への負荷を低下させることができ、カーボンナノ構造物の生成効率との兼ね合いで外部放出量を決めればよい。反応容器内では原料ガスは消費されてもキャリアガスは消費されないから、部分供給される未使用混合ガスの中で原料ガス濃度を当初濃度より高くする傾向があるが、反応容器内における原料ガス濃度を常に略一定に保持するように濃度調整することにより、反応容器内の反応効率を一定化し、しかも反応効率を飛躍的に向上することができる。
【0018】
第2の発明は、反応容器に原料ガスとキャリアガスの未使用混合ガスを供給し、反応容器内で化学気相成長法によりカーボンナノ構造物を成長させ、反応容器から排出される使用済み混合ガスの全量を強制的に帰還させて反応容器の上流側に再び供給し、前記反応容器から排出される使用済み混合ガスの中で原料ガス濃度を検出してその減量分に相当する原料ガスを反応容器の上流側に補充供給して、反応容器内の原料ガス濃度を略一定に保持する原料循環カーボン構造物製造方法である。この方法は、使用済み混合ガスを外部には全く放出しない完全密閉式製造方法を提供するもので、環境負荷が全く無いクリーン且つ理想的なカーボン構造物製造方法である。未使用混合ガスを供給しながら反応系の内圧を検出し、内圧が目的値に達した段階でキャリアガスの供給は停止する。つまり、キャリアガスは全く消費されないから、キャリアガス量が一定値に達すればキャリアガスの供給を停止するのである。しかし、使用済み混合ガス中の原料ガス濃度は反応により低下するから、その減量分だけ原料ガスを補充供給することにより、反応系内の原料ガス濃度は略一定に保持されることになる。従って、この方法により環境負荷が全く無く、クリーン且つ高効率にカーボンナノ構造物を製造することができる。
【0019】
第3の発明は、反応容器に所定濃度のキャリアガスを封入し、この反応容器に原料ガスを供給し、反応容器内で化学気相成長法によりカーボンナノ構造物を成長させ、反応容器から排出される使用済み混合ガスの全量を強制的に帰還させて反応容器の上流側に再び供給し、前記反応容器から排出される使用済み混合ガスの中で原料ガス濃度を検出してその減量分に相当する原料ガスを反応容器の上流側に補充供給して、反応容器内の原料ガス濃度を略一定に保持する原料循環カーボン構造物製造方法である。この方法も、使用済み混合ガスを外部には全く放出しない完全密閉式製造方法を提供するものであり、環境負荷が全く無いクリーン且つ理想的なカーボン構造物製造方法である。反応系には別の手段でキャリアガスを封入しておき、この反応系内に原料ガスだけを供給する方法である。キャリアガスは全く消費されないから、当初封入されたキャリアガス量が保持される。しかし、反応容器内では原料ガスが消費されるから、その減量分だけ原料ガスを補充供給することにより、反応系内の原料ガス濃度は略一定に保持されるのである。この方法によっても、環境負荷が全く無く、クリーン且つ高効率にカーボンナノ構造物を製造することができる。
【0020】
第4の発明は、流量調節された原料ガスを供給する原料ガス流量制御器と、流量調節されたキャリアガスを供給するキャリアガス流量制御器と、これらの原料ガスとキャリアガスの未使用混合ガスを供給されてカーボンナノ構造物を内部に成長させる反応容器と、この反応容器から排出される使用済み混合ガスのガス濃度を検出するガス分析器と、使用済み混合ガスの一部を外部に放出するガス放出管と、使用済み混合ガスの残部を反応容器の上流側に帰還させて供給する循環用配管と、前記ガス分析器により検出されたガス濃度の減量分に相当する未使用混合ガスを反応容器の上流側に補充するように前記流量制御器をフィードバック制御するフィードバック手段から構成され、反応容器内のキャリアガスと原料ガスの濃度を略一定に保持する原料循環カーボン構造物製造装置である。この装置は第1の方法発明を実現する半密閉式のカーボン構造物製造装置である。ガス分析器により使用済み混合ガス中の原料ガス濃度とキャリアガス濃度を検出し、濃度の減量分だけ原料ガスとキャリアガスの混合ガスを部分供給して、反応系内の原料ガス濃度とキャリアガス量を常に略一定に保持する装置である。この装置によって大気放出量を制限して環境負荷を低下させ、しかもカーボンナノ構造物の製造効率を高効率に保持することができる。
【0021】
第5の発明は、流量調節された原料ガスを供給する原料ガス流量制御器と、流量調節されたキャリアガスを供給するキャリアガス流量制御器と、これらの原料ガスとキャリアガスの未使用混合ガスを供給されて内部にカーボンナノ構造物を成長させる反応容器と、この反応容器から排出される使用済み混合ガスの原料ガス濃度を検出するガス分析器と、使用済み混合ガスの全量を反応容器の上流側に帰還させて供給する循環用配管と、この循環用配管で使用済み混合ガスを循環させる循環駆動手段と、前記ガス分析器により検出された原料ガス濃度の減量分に相当する原料ガスを反応容器の上流側に補充するように前記原料ガス流量制御器をフィードバック制御するフィードバック手段から構成され、反応容器内の原料ガスの濃度を略一定に保持する原料循環カーボン構造物製造装置である。この装置は第2の方法発明を実現する完全密閉式のカーボン構造物製造装置である。当初は原料ガスとキャリアガスの混合ガスが供給され、反応系内のキャリアガス濃度が一定値に達すればキャリアガスの供給は遮断される。つまり、使用済み原料ガスの全量が帰還されるから、反応系内のキャリアガスは未反応のまま初期濃度に保持されるのである。他方、原料ガスは反応容器内で消費されるから、ガス分析器により使用済み混合ガス中の原料ガス濃度を検出し、その減量分だけ原料ガスを部分供給して、反応系内の原料ガス濃度を常に略一定に保持することができる。この装置によって有機ガスの大気放出は完全に無くなり、理想的で完全クリーンなカーボン構造物製造装置が実現できる。しかも、原料ガス濃度とキャリアガス量は常に最良条件に保持されるから、カーボンナノ構造物の製造効率を高効率に保持できる利点を有する。
【0022】
第6の発明は、流量調節された原料ガスを供給する原料ガス流量制御器と、所定濃度のキャリアガスを封入されると共に前記原料ガスを供給されて内部にカーボンナノ構造物を成長させる反応容器と、この反応容器から排出される使用済み混合ガスの原料ガス濃度を検出するガス分析器と、使用済み混合ガスの全量を反応容器の上流側に帰還させて供給する循環用配管と、この循環用配管で使用済み混合ガスを循環させる循環駆動手段と、前記ガス分析器により検出された原料ガス濃度の減量分に相当する原料ガスを反応容器の上流側に補充するように前記原料ガス流量制御器をフィードバック制御するフィードバック手段から構成され、反応容器内の原料ガスの濃度を略一定に保持する原料循環カーボン構造物製造装置である。この装置は第3の方法発明を実現する完全密閉式のカーボン構造物製造装置である。反応系には別の手段でキャリアガスを封入しておき、この反応系内に原料ガスだけを供給する装置である。キャリアガスは全く消費されないから、当初封入されたキャリアガス量が保持される。他方、原料ガスは反応容器内で消費されるから、ガス分析器により使用済み混合ガス中の原料ガス濃度を検出し、その減量分だけ原料ガスを部分供給して、反応系内の原料ガス濃度を常に略一定に保持することができる。この装置によって有機ガスの大気放出は完全に無くなり、従来全く存在しなかった理想的で完全クリーンなカーボン構造物製造装置が実現できる。しかも、原料ガス濃度とキャリアガス量は常に最良条件に保持されており、カーボンナノ構造物を高効率に安定して製造できる利点がある。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る原料循環カーボン構造物製造方法および装置の実施形態を添付する図面に従って詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明に係る原料循環カーボン構造物製造装置の第1実施形態(半密閉方式)の概略構成図である。この原料循環カーボン構造物製造装置2はCCVD法を使用してカーボンナノ構造物を製造する。即ち、反応容器4の中に触媒体6を配置し、この触媒体表面にカーボンナノチューブからなるカーボンナノ構造物8が触媒化学気相成長法により成長している。この第1実施形態では、カーボンナノ構造物8としてカーボンナノチューブが図示されている。
【0025】
触媒体8は触媒を表面に形成した基体であり、その基体の形状は基板、多層基板、筒体、多面体、ペレット、粉体など種々の形態がある。また、使用される触媒はカーボンナノ構造物の種類に応じて異なるが、例えば鉄、コバルト、ニッケル、鉄合金、コバルト合金、ニッケル合金、鉄酸化物、コバルト酸化物、ニッケル酸化物、又はこれらの組み合わせなど各種の公知の触媒が利用できる。
【0026】
原料ガス容器14から原料ガスが供給され、この原料ガスはレギュレータ16により所定圧力まで低圧化される。低圧化された原料ガスは原料ガス流量制御器18により所定流量でバルブ20を介して供給される。
【0027】
この原料ガスとしては、炭化水素のみならず硫黄含有有機ガス、リン含有有機ガスなどの有機ガスが広く利用され、特定構造のカーボンナノ構造物の生成に好適な有機ガスが選択される。また、有機ガスの中でも余分な物質を生成しない意味で炭化水素が好適である。
【0028】
炭化水素としては、メタン、エタンなどのアルカン化合物、エチレン、ブタジエンなどのアルケン化合物、アセチレンなどのアルキン化合物、ベンゼン、トルエン、スチレンなどのアリール炭化水素化合物、インデン、ナフタリン、フェナントレンなどの縮合環を有する芳香族炭化水素、シクロプロパン、シクロヘキサンなどのシクロパラフィン化合物、シクロペンテンなどのシクロオレフィン化合物、ステロイドなどの縮合環を有する脂環式炭化水素化合物などが利用できる。また、以上の炭化水素化合物を2種以上混合した混合炭化水素ガスを使用することも可能である。特に、望ましくは炭化水素の中でも低分子、例えば、アセチレン、アリレン、エチレン、ベンゼン、トルエンなどが好適である。
【0029】
キャリアガス容器22からは不活性ガスからなるキャリアガスが供給され、このキャリアガスはレギュレータ24により所定圧力まで低圧化される。低圧化されたキャリアガスはキャリアガス流量制御器26により所定流量でバルブ28を介して供給される。
【0030】
このキャリアガスとしては、He、Ne、Ar、N、Hなどのガスが利用される。キャリアガスは原料ガスを搬送するガスで、原料ガスが反応により消耗されるのに対し、キャリアガスは全く無反応で消耗しない特徴がある。
【0031】
原料ガスとキャリアガスは合流部30で合流混合して所定濃度比(所定流量比)の未使用混合ガスが形成される。この未使用混合ガスはガス供給管10を流通し、ガス供給ノズル10aから矢印a方向へと反応容器4内に供給される。
【0032】
反応容器4はカーボンナノ構造物を最も生成しやすい温度域に加熱保持されており、原料ガスは触媒体6の近傍で熱分解され、触媒体6の表面で分解物からカーボンナノ構造物8が成長する。
【0033】
図1では、化学気相成長法において、原料ガスを分解するのに熱分解法を利用したが、例えばレーザービーム分解法、電子ビーム分解法、イオンビーム分解法、プラズマ分解法、その他の分解法が利用できる。いずれにしても、これらの分解物から触媒体6の表面にカーボンナノ構造物8が形成されることになる。
【0034】
しかし、触媒体6の表面では原料ガスの一部がカーボンナノ構造物に変換されるに過ぎず、反応に寄与しなかった未反応の原料ガスはキャリアガスと共に排出管端部12aからガス排出管12へと矢印b方向に流通する。
【0035】
反応しないキャリアガスの流量は未使用混合ガス中のキャリアガスと同一に保持され、原料ガスの濃度が触媒反応により低下している。従って、この使用済み混合ガスの濃度比は未使用混合ガスの濃度比よりも、原料ガス濃度が低下していることが分かる。
【0036】
ガス排出管12は循環用配管36に連続し、この循環用配管36の後端は反応容器4の上流側に帰還され、最後端は循環ガス帰還ノズル36aとして反応容器4の中に配設されている。即ち、この循環用配管36は使用済み混合ガスを矢印c方向に循環させて再び反応容器4の内部(矢印e方向)に供給するループ配管として構成されている。
【0037】
使用済み混合ガスは循環駆動手段32の駆動力により循環用配管36を強制的に循環させられる。循環駆動手段32としてはガスの圧送手段であればよく、具体的には循環ポンプ、コンプレッサー、エジェクターポンプなど公知技術が利用できる。
【0038】
この第1実施形態の特徴は、循環用配管36の途中で使用済み混合ガスを外部に放出する構成を採用していることである。つまり、使用済み混合ガスの一部はガス放出管33を介して放出用流量制御器35により流量制御されながら大気中などの外部に放出される。
【0039】
ガス排出管12を流通する使用済み混合ガスの成分濃度はガス分析器34により検出される。つまり、このガス分析器34は使用済み混合ガス中の原料ガス濃度とキャリアガス量を測定する。キャリアガスは反応しないから量変化は殆どないが、原料ガス濃度は反応により減少する傾向にある。
【0040】
また、前述したように、使用済み混合ガスの一部はガス放出管33から外部に放出されるから、ガス排出管12を流通する使用済み混合ガスの成分濃度、特に原料ガス濃度は当然に未使用混合ガスにおける原料ガス濃度よりも低下するはずである。
【0041】
このガス分析器34は、この濃度の減量分をフィードバック手段37を介して供給側に伝達する。つまり、原料ガスフィードバック手段37aにより原料ガス流量制御器18に原料ガスを減量分だけ供給せよと指令し、同様に、キャリアガスフィードバック手段37bによりキャリアガス流量制御器26にキャリアガスを減量分だけ供給せよと指令する。
【0042】
このフィードバック手段37は伝達速度と正確さの観点から自動制御回路によって構成されることが望ましいが、ガス分析器34の分析結果を判断して手動操作によって制御する手動制御回路から構成されてもよい。
【0043】
このように、この第1実施形態では、未使用混合ガスを反応容器に供給し、反応容器内で原料ガスがカーボンナノ構造物の成長に消費され、しかも使用済み混合ガスの一部が大気などの外部に放出されるから、初期濃度よりも低下した原料ガス濃度及びキャリアガス量を初期状態に復帰させるため、その減量分だけ未使用混合ガスを補充供給することを内容としている。
【0044】
このような半密閉式の循環方式を採用しているから、大気中への有機ガスの放出量が抑制され、近年の温暖化ガスの排出規制に適合する原料循環カーボン構造物製造方法および原料循環カーボン構造物製造装置を実現できる。
【0045】
図2は第1実施形態の実用装置の構成図である。この実用装置では、カーボンナノ構造物8としてカーボンナノコイルを製造している。そのために、触媒体6としてカーボンナノコイル製造用触媒が使用され、具体的には、インジウム・スズ・鉄系触媒が使用されている。インジウム金属・スズ金属・鉄金属でもよいし、インジウム合金・スズ合金・鉄合金又はインジウム酸化物・スズ酸化物・鉄酸化物からなる触媒も利用できる。
【0046】
図1と同一符号の部材は図1と同一の作用効果を奏するのでその説明を省略し、異なった符合を有する部材について説明する。バルブ38はガス排出管12と循環用配管36とを接続・遮断する部材で、緊急時に対応するために配置されている。
【0047】
循環用配管36における使用済み混合ガスの循環力を強化するために、循環駆動手段48が循環駆動手段32に対し直列に配設されている。また、循環駆動手段32にはバッファ40を有したバッファ管39が付設され、循環駆動手段48にはバッファ50を有したバッファ管49が付設されている。
【0048】
循環駆動手段32、48により使用済み混合ガスが循環用配管36を循環するとき、管路内の内圧が急上昇する可能性があるため、内圧が上昇したときに、使用済み混合ガスをバッファ40、50に吸収して内圧の上昇が防止される。バルブ42、52はバッファ管39、49を接続・遮断するための部材である。
【0049】
循環駆動手段32と循環駆動手段48の間には、循環用流量制御器44とバルブ46が配設されている。これらの部材は、循環用配管36を流通する使用済み混合ガスの流量を制御し、また緊急時にガス流の接続・遮断を行っている。
【0050】
また、循環用配管36の反応容器4の上流側には、帰還用流量制御器54とバルブ56が配設されている。使用済み混合ガスの一部はガス放出管33から外部に放出されるから、反応容器4に帰還する使用済み混合ガスの流量は放出分を差し引いた流量になる。この帰還流量を帰還用流量制御器54により制御し、またバルブ56により緊急時に帰還ガスの接続・遮断を行っている。
【0051】
この半密閉式実用装置は帰還試験用に構成されているため、流量制御器やバルブが多数使用されているが、基本的には図1の簡略構成によってその本質的動作は達成されるのである。
【0052】
図3は本発明に係る原料循環カーボン構造物製造装置の第2実施形態(完全密閉方式)の概略構成図である。この原料循環カーボン構造物製造装置2は図1からガス放出管33を取り去った構造を有し、使用済み混合ガスを一切外部に放出しない完全密閉方式を採用している。この完全密閉方式により環境負荷はゼロとなり、温暖化ガスの削減対策では最良の技術的効果を発揮できる。
【0053】
このカーボンナノ構造物循環式製造装置2において、図1と同一符号を有する部材は図1と同一の作用効果を奏するため、重複する説明を省略して、異なった作用効果のみを次に説明する。
【0054】
この第2実施形態では、触媒体6は円筒形に形成され、その円筒表面に多数のカーボンナノ構造物8、この例ではカーボンナノチューブが林立して形成されている。触媒は、前述した鉄、コバルト、ニッケル、それらの合金、又はそれらの金属酸化物が単独で、或いは組み合わされて構成される。
【0055】
初期状態では、原料ガスは原料ガス流量制御器18により所定濃度に調節され、同時にキャリアガスはキャリアガス流量制御器26により所定量に調節され、これらの原料ガスとキャリアガスが混合されて反応容器4に供給される。
【0056】
キャリアガスは反応系内で消費されないから、一定時間後には反応系内に所定濃度で充満する。この段階で、ガス分析器34によりキャリアガスが所定量に達したことが検出され、キャリアガスフィードバック手段37bを介してキャリアガス流量制御器26を流量ゼロにするように制御する。従って、これ以後はキャリアガスは反応容器4に供給されなくなる。
【0057】
他方、原料ガスは反応容器4に供給され、触媒体6の表面にカーボンナノ構造物が生成されてゆく。つまり、原料ガスは消費されるので、反応系内の原料ガス濃度は所定濃度から低下する傾向にある。
【0058】
ガス分析器34は原料ガスの濃度をリアルタイムで検出し、原料ガス濃度の低減分を原料ガスフィードバック手段37aを介して原料ガス流量制御器18に伝達する。原料ガス流量制御器18はその低減分を供給するように原料ガス濃度を調節し、反応容器4に必要量の原料ガスを連続供給してゆく。
【0059】
この装置では、キャリアガスは無反応性によって初期状態に保持され、他方、原料ガスは常に微量調節されながら供給され、結果的に、反応系内では原料ガス濃度とキャリアガス量は初期状態に略一定に保持されることになる。しかも、使用済み混合ガスは大気中に全く放出されることが無いので、カーボンナノ構造物を製造するシステムとしては最初の完全クリーンシステムが提供されるのである。
【0060】
図4は本発明に係る原料循環カーボン構造物製造装置の第3実施形態(完全密閉方式)の概略構成図である。この原料循環カーボン構造物製造装置2は図3からキャリアガスラインだけを取り去った構造を有し、使用済み混合ガスを一切外部に放出しない完全密閉方式を実現している。従って、図3と同様に、この完全密閉方式により環境負荷はゼロとなり、温暖化ガスの削減対策では最良の技術的効果を発揮する装置が提供される。
【0061】
この原料循環カーボン構造物製造装置2において、図2と同一符号を有する部材は図2と同一の作用効果を奏するため、重複する説明を省略して、異なった作用効果のみを次に説明する。
【0062】
この第3実施形態では、触媒体6にはフラーレンからなるカーボンナノ構造物8が多数形成されている。触媒体6はフラーレン製造用触媒を所望形状に形成して構成されている。
【0063】
この装置では、反応容器4や循環用配管36にはキャリアガスが事前に所定量だけ封入されている。原料ガスは原料ガス流量制御器18により所定濃度に調節され、この原料ガスが前記反応容器4に供給される。反応容器4では供給された原料ガスが封入されたキャリアガスと混合される。この混合ガスは循環駆動手段32により反応系を強制循環される。
【0064】
キャリアガスは反応系内で消費されないから、この装置ではキャリアガス量の分析は行われない。勿論、キャリアガスが漏洩する可能性も有り得るから、実用装置ではキャリアガスの分析が行われてもよい
【0065】
他方、原料ガスは反応容器4に供給され、触媒体6の表面にカーボンナノ構造物8が生成されてゆく。つまり、原料ガスは消費されるので、反応系内の原料ガス濃度は所定濃度から低下する傾向にある。
【0066】
ガス分析器34は原料ガスの濃度をリアルタイムで検出し、原料ガス濃度の低減分を原料ガスフィードバック手段37aを介して原料ガス流量制御器18に伝達する。原料ガス流量制御器18はその低減分を供給するように原料ガス濃度を調節し、反応容器4に必要量の原料ガスを連続供給してゆく。
【0067】
この装置では、キャリアガスは無反応性によって初期状態に保持され、他方、原料ガスは常に微量調節されながら供給され、結果的に、反応系内では原料ガス濃度とキャリアガス量は初期状態に略一定に保持されることになる。しかも、使用済み混合ガスは大気中に全く放出されることが無いので、カーボンナノ構造物を製造するシステムとしては完成度の高い完全クリーンシステムが提供されるのである。
【0068】
【実施例】
図2に示される第1実施形態の実用装置を用いて、カーボンナノチューブの製造を行った。原料ガスはC、キャリアガスはHeが使用された。供給側では、C流量は0.7SLM、He流量は2.3SLMに設定され、この未使用混合ガスが反応容器4に連続的に供給された。このとき、使用済み混合ガスはC+Heで構成される。
【0069】
使用済み混合ガス(C+He)は3.0SLMの流量で大気中へ放出され、この減量分を補充するために、上記の未使用混合ガスが3.0SLMの流量で連続供給されている。
【0070】
従って、このCVD条件では、C+Heの未使用混合ガスが6.0SLM投入されることになる。反応容器4の温度は700℃、反応時間は15分、反応系内の圧力は大気圧に設定された。
【0071】
反応後、触媒体6に3cmのカーボンナノチューブが生成されていることが確認された。カーボンナノチューブの比重を0.5g/cmとすると、1.5gのカーボンナノチューブが生成されたことになる。
【0072】
反応容器4の内部における全流量は6.0SLMであり、その中に含まれるCの体積比は、循環により再度供給されたCを差し引くと、8.3vol%になるから、この15分間で投入された炭素量は次のように計算される。
C=6(SLM)×0.083/22.4(L)×12(g)
×2×15(M)=8.0(g)
【0073】
8.0gの炭素が反応容器に供給されて、実際にカーボンナノチューブが1.5g生成されたのであるから、生成効率は1.5/8.0×100=18.8%となることが分かる。つまり、本発明の第1実施形態を用いれば、カーボンナノチューブの生成効率は18.8%とかなり高くなることが実証された。
【0074】
図5に示される従来装置を使用して、全く同一の反応条件でカーボンナノチューブの生成実験を行った。C流量は1.4SLM、He流量は4.6SLMであり、この未反応混合ガス6.0SLMを反応容器4に流通させて、反応後に全てを大気中に放出した。Cの体積比は23vol%である。この場合でも、生成されたカーボンナノチューブの質量は約1.5gであった。
【0075】
この実験での炭素の投入量は次のように計算される。
C=6(SLM)×0.23/22.4(L)×12(g)
×2×15(M)=22.2(g)
【0076】
22.2gの炭素投入に対して、1.5gのカーボンナノチューブが生成されたわけであるから、生成効率は1.5/22.2×100=6.8%となる。本発明装置では、生成効率は18.8%であるのに対し、従来装置では6.8%であり、本発明装置により生成効率は約3倍に増加したことになる。
【0077】
しかも、本発明装置では、大気放出量は3.0SLMであるのに対し、従来装置では大気放出量は6.0SLMであり、大気放出量は50%減量することができる。減量した上に、生成効率が3倍になるという優れた効果が確認された。このように、本発明方法及び本発明装置を用いれば、有機ガスの大気放出量を格段に低減できるだけでなく、カーボンナノ構造物の生成効率を飛躍的に高めることができる。
【0078】
本発明は、カーボンナノチューブやカーボンナノコイルやフラーレンの製造に限定されるものではなく、カーボンナノツイスト、ビーズ付きカーボンナノチューブ、カーボンナノブラシなどの広範囲のカーボンナノ構造物の製造に利用できるものである。
【0079】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【0080】
【発明の効果】
第1の発明によれば、使用済み混合ガスの一部のみを放出する半密閉式製造方法が提供され、その使用済み混合ガスの減量分に相当する未使用混合ガスが部分供給されるから、反応容器や循環用配管の内部におけるガス圧力が常に略一定に保持され、安定したカーボンナノ構造物の製造システムが実現できる。しかも、新規な未使用混合ガスの部分供給により、反応容器内の混合ガスは常に略未使用状態に保持されるから、カーボンナノ構造物の製造効率は初期状態と同様に高く維持される。外部への放出量を低減させるほど環境への負荷を低下させることができ、温暖化ガスの排出規制をクリアするクリーンなカーボンナノ構造物製造方法が実現される。外部放出量はカーボンナノ構造物の生成効率との兼ね合いで自在に調整できる利点がある。反応容器内における原料ガス濃度とキャリアガス量は所定濃度に略一定に保持されるから、反応容器内の反応効率を一定化することができ、カーボンナノ構造物の製造工程の安定化に寄与できる。また、使用済み混合ガスを循環させるから、原料ガスの徹底的な有効利用によって生成効率を格段に向上できる。
【0081】
第2の発明によれば、使用済み混合ガスを外部には全く放出しない完全密閉式製造方法が提供され、環境負荷が全く無いクリーン且つ最良のカーボンナノ構造物製造方法が実現できる。未使用混合ガスを供給しながら反応系の内圧を検出し、内圧が目的値に達した段階でキャリアガスの供給は停止される。つまり、キャリアガスは全く消費されないから、キャリアガス量が一定値に達すればキャリアガスの供給が停止されるのである。しかし、使用済み混合ガス中の原料ガス濃度は反応の進行により漸次低下してゆくからら、その減量分だけ原料ガスを補充供給することにより、反応系内の原料ガス濃度は略一定に保持されることができる。また、使用済み混合ガスを循環させるから、原料ガスの徹底的な有効利用によって生成効率を格段に向上できる。このように、環境負荷が全く無く、クリーン且つ高効率にカーボンナノ構造物を製造できるシステムが提供される。
【0082】
第3の発明によれば、使用済み混合ガスを外部に全く放出しない完全密閉式製造方法が提供される。この方法は地球温暖化ガスの排出規制をクリアできるだけでなく、その完全無放出性により環境負荷が全く無いクリーン且つ理想的なカーボンナノ構造物製造方法である。この方法は、反応系には別の手段でキャリアガスを封入しておき、この反応系内に原料ガスだけを供給する方法である。キャリアガスは全く消費されないから、当初封入されたキャリアガス量が保持される。しかし、反応容器内では原料ガスが消費されるから、その減量分だけ原料ガスを補充供給することにより、反応系内の原料ガス濃度は略一定に保持されるのである。また、使用済み混合ガスを循環させるから、原料ガスの徹底的な有効利用によって生成効率を格段に向上できる。このように、環境負荷が全く無くなり、クリーン且つ高効率にカーボンナノ構造物を製造するシステムが完成される。
【0083】
第4の発明によれば、第1の方法発明を実現する半密閉式の原料循環カーボン構造物製造装置が提供される。ガス分析器により使用済み混合ガス中の原料ガス濃度とキャリアガス量が検出され、濃度の減量分に相当する原料ガスとキャリアガスの混合ガスが部分供給されて、反応系内の原料ガス濃度とキャリアガス量が常に略一定に保持できる。この装置によって大気放出量を自在に制限しながら環境負荷を低下させ、しかもカーボンナノ構造物の製造効率を高効率に保持することができる。
【0084】
第5の発明によれば、第2の方法発明を実現する完全密閉式のカーボンナノ構造物循環式製造装置が提供される。初期段階では原料ガスとキャリアガスの混合ガスが供給され、反応系内のキャリアガス量が一定値に達した段階でキャリアガスの供給は停止される。使用済み原料ガスの全量が帰還されるから、反応系内のキャリアガスは未反応のまま初期設定された所定状態に保持されることができる。他方、原料ガスは反応容器内で消費されるから、ガス分析器により使用済み混合ガス中の原料ガス濃度を検出し、その減量分だけ原料ガスを部分供給することにより、反応系内の原料ガス濃度は常に初期濃度で略一定に保持されることができる。この装置によって有機ガスの大気放出は完全に無くなり、理想的で完全クリーンなカーボンナノ構造物製造装置が実現できる。しかも、原料ガスとキャリアガスの濃度は常に最良条件に保持されるから、カーボンナノ構造物の製造効率を高効率に保持できる効果がある。
【0085】
第6の発明によれば、第3の方法発明を実現する完全密閉式のカーボンナノ構造物循環式製造装置が提供される。反応系には別の手段でキャリアガスを封入しておき、この反応系内に原料ガスだけを供給する装置である。キャリアガスは全く消費されないから、当初封入されたキャリアガス量が保持される。他方、原料ガスは反応容器内で消費されるから、ガス分析器により使用済み混合ガス中の原料ガス濃度を検出し、その減量分だけ原料ガスを部分供給して、反応系内の原料ガス濃度が初期濃度で常に略一定に保持することができる。この装置によって有機ガスの大気放出は完全に無くなり、理想的で完全クリーンなカーボンナノ構造物製造装置が実現できる。しかも、原料ガスとキャリアガスの濃度は常に最良条件に保持されているから、カーボンナノ構造物を高効率に安定して製造できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原料循環カーボン構造物製造装置の第1実施形態(半密閉方式)の概略構成図である。
【図2】第1実施形態の実用装置の構成図である。
【図3】本発明に係る原料循環カーボン構造物製造装置の第2実施形態(完全密閉方式)の概略構成図である。
【図4】本発明に係る原料循環カーボン構造物製造装置の第3実施形態(完全密閉方式)の概略構成図である。
【図5】開放式製造方式を示す従来のカーボン構造物製造装置の概略構成図である。
【符号の説明】
2は原料循環カーボン構造物製造装置、4は反応容器、6は触媒体、8はカーボンナノ構造物、10はガス供給管、10aはガス供給ノズル、12はガス排出管、12aは排出管端部、14は原料ガス容器、16はレギュレータ、18は原料ガス流量制御器、20はバルブ、22はキャリアガス容器、24はレギュレータ、26はキャリアガス流量制御器、28はバルブ、30は合流部、32は循環駆動手段、33はガス放出管、34はガス分析器、35は放出用流量制御器、36は循環用配管、36aは循環ガス帰還ノズル、37はフィードバック手段、37aは原料ガスフィードバック手段、37bはキャリアガスフィードバック手段、38はバルブ、39はバッファ管、40はバッファ、42はバルブ、44は循環用流量制御器、46はバルブ、48は循環駆動手段、49はバッファ管、50はバッファ、52はバルブ、54は帰還用流量制御器、56はバルブ、70はカーボン構造物開放式製造装置。

Claims (6)

  1. 反応容器に原料ガスとキャリアガスの未使用混合ガスを供給し、反応容器内で化学気相成長法によりカーボンナノ構造物を成長させ、反応容器から排出される使用済み混合ガスの一部を外部に放出し、この使用済み混合ガスの残部を帰還させて反応容器の上流側に再び供給し、前記反応容器から排出される使用済み混合ガスのガス濃度を検出してガス濃度の減量分に相当する未使用混合ガスを反応容器の上流側に補充供給して、反応容器内の原料ガスの濃度を略一定に保持することを特徴とする原料循環カーボン構造物製造方法。
  2. 反応容器に原料ガスとキャリアガスの未使用混合ガスを供給し、反応容器内で化学気相成長法によりカーボンナノ構造物を成長させ、反応容器から排出される使用済み混合ガスの全量を強制的に帰還させて反応容器の上流側に再び供給し、前記反応容器から排出される使用済み混合ガスの中で原料ガス濃度を検出してその減量分に相当する原料ガスを反応容器の上流側に補充供給して、反応容器内の原料ガス濃度を略一定に保持することを特徴とする原料循環カーボン構造物製造方法。
  3. 反応容器に所定濃度のキャリアガスを封入し、この反応容器に原料ガスを供給し、反応容器内で化学気相成長法によりカーボンナノ構造物を成長させ、反応容器から排出される使用済み混合ガスの全量を強制的に帰還させて反応容器の上流側に再び供給し、前記反応容器から排出される使用済み混合ガスの中で原料ガス濃度を検出してその減量分に相当する原料ガスを反応容器の上流側に補充供給して、反応容器内の原料ガス濃度を略一定に保持することを特徴とする原料循環カーボン構造物製造方法。
  4. 流量調節された原料ガスを供給する原料ガス流量制御器と、流量調節されたキャリアガスを供給するキャリアガス流量制御器と、これらの原料ガスとキャリアガスの未使用混合ガスを供給されてカーボンナノ構造物を内部に成長させる反応容器と、この反応容器から排出される使用済み混合ガスのガス濃度を検出するガス分析器と、使用済み混合ガスの一部を外部に放出するガス放出管と、使用済み混合ガスの残部を反応容器の上流側に帰還させて供給する循環用配管と、前記ガス分析器により検出されたガス濃度の減量分に相当する未使用混合ガスを反応容器の上流側に補充するように前記流量制御器をフィードバック制御するフィードバック手段から構成され、反応容器内の原料ガスの濃度を略一定に保持することを特徴とする原料循環カーボン構造物製造装置。
  5. 流量調節された原料ガスを供給する原料ガス流量制御器と、流量調節されたキャリアガスを供給するキャリアガス流量制御器と、これらの原料ガスとキャリアガスの未使用混合ガスを供給されて内部にカーボンナノ構造物を成長させる反応容器と、この反応容器から排出される使用済み混合ガスの原料ガス濃度を検出するガス分析器と、使用済み混合ガスの全量を反応容器の上流側に帰還させて供給する循環用配管と、この循環用配管で使用済み混合ガスを循環させる循環駆動手段と、前記ガス分析器により検出された原料ガス濃度の減量分に相当する原料ガスを反応容器の上流側に補充するように前記原料ガス流量制御器をフィードバック制御するフィードバック手段から構成され、反応容器内の原料ガスの濃度を略一定に保持することを特徴とする原料循環カーボン構造物製造装置。
  6. 流量調節された原料ガスを供給する原料ガス流量制御器と、所定濃度のキャリアガスを封入されると共に前記原料ガスを供給されて内部にカーボンナノ構造物を成長させる反応容器と、この反応容器から排出される使用済み混合ガスの原料ガス濃度を検出するガス分析器と、使用済み混合ガスの全量を反応容器の上流側に帰還させて供給する循環用配管と、この循環用配管で使用済み混合ガスを循環させる循環駆動手段と、前記ガス分析器により検出された原料ガス濃度の減量分に相当する原料ガスを反応容器の上流側に補充するように前記原料ガス流量制御器をフィードバック制御するフィードバック手段から構成され、反応容器内の原料ガスの濃度を略一定に保持することを特徴とする原料循環カーボン構造物製造装置。
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