JP2004155606A - 光ファイバ用母材およびそれを用いた光ファイバの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加熱紡糸後に使用することが有効となる部分を含む複数の光ファイバ用母材片または光ファイバ用コアロッド片が互いに前記光ファイバ用母材片の光学特性と異なるダミーガラス部材を介して一直線に接続されて構成されていることを特徴とする。この結果、光ファイバ用母材片または光ファイバ用コアロッド片の相互の接続点で構成される部分の検出が容易となり、その部分のファイバの切り取り除去が容易に行える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光通信などに用いられる光ファイバ用母材及びそれを用いた光ファイバの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に光通信などに用いられる光ファイバは、軸心部に高屈折率の層を含むコア部とその外側に配置された低屈折率の層のクラッド部から構成された光ファイバ用母材を一端から他端に向けて徐々に加熱紡糸することにより製造される。コア部は、単に単一材料で構成された高屈折率体で構成されるものや互いに異なる複数の屈折率体で構成されたものが存在する。クラッド部は前記コア部の最高屈折率よりも低い屈折率体で構成される。光通信用の光ファイバは一般に直径125μm程度に形成され、コアは通常直径が3〜50ミクロン程度である。従って、光ファイバの大部分はクラッド部により構成されている。しかも光学的に機能するクラッドはシングルモード伝送では10〜20ミクロン程度であり、それ以外の部分は光学的機能が殆どなく、単に光ファイバ自身の機械的強度などにのみ機能する。マルチモード伝送ではクラッドの光学的機能を果たす部分が更に少ない。
【0003】
従ってクラッドの大部分が殆ど光学的に機能するものでないので、光ファイバ用母材は、一般に、次ぎのようにして作成される。最初に前記光学的に機能するコア、クラッド部分及びプラスαの領域部分を気相軸付法(VAD法)や内付化学気相堆積法(MCVD法)などにより作成し、その後これを加工して所定径のコアロッドを作成する。次ぎにこのコアロッドの外側に所定径の上記クラッドの大部分を構成するガラス体を被覆する。
【0004】
上記のようにして作成されたコアロッドや光ファイバ用母材はその製造工程において内部に気泡などが取り込まれて製造されてしまう場合がある。このようなもので構成された光ファイバ用母材を加熱紡糸して、光ファイバを製造しようとすると、紡糸工程において光ファイバが断線し生産性を低下させてしまう。
このため、一般にこの気泡などの欠陥部分をコアロッドや光ファイバ用母材から切り取り除去している。
【0005】
このように一部が除去されたコアロッドや光ファイバ用母材は分割されることとなりその長さが短くなってしまう。これらの一部が切除されて短くなったコアロッドや光ファイバ用母材を、以下単にコアロッド片又は光ファイバ用母材片という。
【0006】
他方、光ファイバ用母材は生産性を高めるために大型に作成され、一度に製造できる光ファイバ長が1000〜100000kmになっている。従って、上記短尺の光ファイバ用母材片をそのままで加熱紡糸して光ファイバを製造しようとすると、製造設備に見合った所定長の光ファイバを製造することができず、製造の作業効率が低下する。
【0007】
このことから、従来は光ファイバ用母材片を相互に一直線状に繋ぎ合わせ、所定長の光ファイバ母材とした後に、光ファイバを製造することが行われている。(特許文献1)
【0008】
しかしながら、このように複数の光ファイバ用母材片を接続して製造された光ファイバ母材を加熱紡糸することにより製造された光ファイバは、光ファイバ用母材片相互の接続部分で屈折率プロファイルが乱れ、有効な光ファイバとして供することができない。そのためその接続部分に位置する光ファイバを除去する必要があるが、除去しようとする部分の光ファイバは、特性が悪いものの光ファイバの伝送路として機能するために、その識別をすることが困難であり、容易に発見してその欠陥部分の光ファイバを除去することが困難であった。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−327358号公報
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる点に鑑みなされたもので両光ファイバ用母材片又は両コアロッド片の接続部分を容易に識別して除去できるようにしたものである。
【0011】
そのための本請求項1の発明は、加熱紡糸後に使用することが有効となる部分を含む複数の光ファイバ用母材片が互いに前記光ファイバ用母材片の光学特性と異なるダミーガラス部材を介して接続されて構成されていることを特徴とする。
【0012】
本請求項2の発明は、加熱紡糸後に使用することが有効となる部分を含む複数の光ファイバ用のコアロッド片が互いに前記コアロッド片の光学特性と異なるダミーガラス部材を介して接続され、これら外周に更にクラッド層が被覆されていることを特徴とする。
【0013】
本請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、光ファイバ用母材片とダミーガラス部材とは互いに組成が異なることを特徴とする。
【0014】
本請求項4の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、光ファイバ用母材片とダミーガラス部材とは互いに屈折率プロファイルが異なることを特徴とする。
【0015】
本請求項5の発明は、請求項4の発明において、ダミーガラス部材は実質的に石英ガラスのみにより構成されていることを特徴とする。
【0016】
本請求項6の発明は、加熱紡糸後に使用することが有効となる部分を含む複数の光ファイバ用母材片又はコアロッド片が互いに前記光ファイバ用母材片又はコアロッド片の光学特性と異なるダミーガラス部材を介して接続されて構成されてなる光ファイバ用母材を、加熱紡糸してファイバにした後、前記ダミーガラス部材により構成されたファイバの部分を除去して使用に有効な光ファイバを得ること特徴とする。
【0017】
本請求項7の発明は、請求項6の発明において、光ファイバ用母片又は光ファイバ用コアロッド片の端面が凸状に形成され、更にダミーガラス部材の端面が凸状に形成され、これら凸状端面を相互に溶着して両者を相互に接続することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態である光ファイバの製造方法は以下のとおりである。
▲1▼ コアロッドを製造
▲2▼ コアロッドの欠陥部検出
▲3▼ コアロッドからの欠陥部を切取り(除去)
▲4▼ 欠陥部切取り済みのコアロッド相互を、ダミーガラス部材を介在させて繋合わせる。
▲5▼ 繋合わせ済みコアロッドの外周にクラッド層を堆積させ、光ファイバ用母材を製造
▲6▼ 光ファイバ母材の紡糸
▲7▼ 紡糸されたファイバから、ダミーガラス部材で構成された部分の切り取り
【0019】
コアロッドは、従来から提案されている一般的な製造方法、例えばVAD,MCVD、外付け、ロットインチューブ法など種々の方法を採用して製造される。この製造の過程では、場合により脱水処理、透明ガラス化処理、透明ガラス化された母材を所定の径に延伸する延伸工程も含まれる。
【0020】
コアロッドの欠陥部の検出は、従来と同様に目視、可視光やX線の透過などによって、コアロッド中に泡などの欠陥があるか否かが検出される。
【0021】
コアロッドからの欠陥部の切取り(除去)は、上記により検出された欠陥部分の前後を機械的に切断することにより成される。この切断面は平面、凹面、凸面など種々の形状を選ぶことができるが、凸状の形状の方が望ましい。
【0022】
欠陥部切取り済みのコアロッド片相互の繋合わせは、ダミーガラス部材を介在させて一直線状となるように行う。ダミーガラス部材は、コアロッドと軟化温度がほぼ同じになるようにドーパントが調整された均一屈折率の石英ガラス部材を適用することが好ましい。この際、ダミーガラス部材はコアロット片の屈折率プロファイルを構成するドーパントの組成が同じでも良く、また異なっていてもよい。
【0023】
ダミーガラス部材は後に光ファイバ母材を紡糸することによってファイバ化された時に除去する必要があるので、この部分の検出を容易にするために、通常の光ファイバと同様なコア・クラッド構成の光伝送構造になっていないことが望ましい。できれば後のOTDRでの検出が有利となるようにコアロッド片のコア部分にある最高屈折率とは異なるようにしておいた方が良い。
【0024】
ダミーガラス部材の大きさは、その外径がコアロッド片と同径なものが良く、またその長さは余り長くない0.4〜5cm程度が良い。ダミーガラス部材の外径がコアロッド片と同じでないと、その部分で段差が生じ、その部分に泡などが発生してしまう恐れがある。また、ダミーガラス部材の長さが短過ぎると介在させる作業が困難となり、また長過ぎると後にファイバ化されたときに除去される部分が長くなり製造効率が落ちることになる。
【0025】
ダミーガラス部材の端面形状は、種々のものを採用することができる。しかしながら、ダミーガラス部材の端面形状は、前記した欠陥部分が削除されたコアロッドの端面と接触した際に、それらの軸心(中心)部分が互いに接触し、その周りの部分が接触しない形状が良い。これにより酸水素炎などの加熱源を用いて両者を互いに接近・接触・押し潰しを行うことにより、両者の軸心部分が始めに加熱溶着し、次ぎにその周りが徐々に加熱溶着されて外周全体まで及び、両者接続部分に泡を介在させないで接続することができる。このための最も望ましい端面形状は、両者とも凸状である。
【0026】
一直線状に繋合わされたコアロッド片の外周にクラッド層を配置させるには、従来と同様に外付け法またはロッドインチューブ法により行う。外付け法によりガラスの多孔質体を堆積させた場合は、脱水・透明化処理をすることが望ましい。このようにして光ファイバ母材を製造する。
【0027】
光ファイバ母材の紡糸は従来と同様にして行われる。即ち、光ファイバ用母材の一端から他端に向けて徐々に加熱紡糸することにより外径が一定なファイバに加工する。これによってコアロッド片及びダミーガラス部材の部分が共に外径一定のファイバに加工される。外径一定に加工されたファイバは直ちに樹脂コーティングが施されて機械的強度の補強が図られ、ボビンなどに巻き取られる。
【0028】
ダミーガラス部材部分のファイバの切取りは以下により行う。ボビンにより巻き取られたファイバの一端にOTDR装置を繋ぎ、ダミーガラス部材からなるファイバ部分が存在する位置(長さ)を測定する。この際、ダミーガラス部材はコアガラス片と光学的に特性が異なるように構成されているので、容易にダミーガラス部材により構成されたファイバを検出することができる。これによりダミーガラス部材のファイバがその測定端からどれほどの長さの位置に存在するかを容易に知ることができる。測定してダミーガラス部材からなるファイバ位置が判ったならば、ファイバをボビンから巻きほぐし、その検出位置からダミーガラス部材の長さに応じた一定長さのファイバを切り取り除去する。
【0029】
ダミーガラス部材が複数存在する場合は、切り取って残ったファイバを再びOTDRにより測定し、上記と同様にして次ぎのダミーガラス部材からなるファイバを除去する。このようにして残ったファイバは、前記コアロッド片により構成されたものであり、良品の光ファイバとして使用できる。
【0030】
光ファイバはどのような種類のものであってもよい。即ち、従来から提案されているマルチモード光ファイバ、シングルモード光ファイバ、屈折率分布が単ステップ型、マルチステップ型、W型、Wセグメント型、分散補償型など種々のものを適用することができる。またダミーガラス部材を介して相互に接続される良品のコアロッド片は、上記光ファイバの一種類でもよく、相互に異なっていても良い。
【0031】
ファイバの種類が相互に異なるコアロッド片を接続する場合は、コアロッド片の外周にクラッド層を一定層の厚さのクラッド層を後で堆積させた際に所定の屈折率プロファイル及び寸法になるように、予めコアロッド片の断面寸法を調整しておくことが望ましい。仮に、この寸法を予め調整しないものを接続した場合は、所定径の光ファイバに線引きした際に屈折率及び寸法が適切となるように、そのコアロッド片の外側に堆積させるガラス量を調整して行う必要がある。
【0032】
なお、上記一実施形態では、コアロッド片の相互を、ダミーガラス部材を介して接続する場合を説明したが、本発明は、線引き前の光ファイバ用母材を検査してクラッド領域に泡などの欠陥部分を発見した場合は、この光ファイバ用母材の欠陥部分を除去して良品の光ファイバ用母材片を、ダミーガラス部材を介して相互に接続するようにしても良い。また本発明は、欠陥部分を除去して短くなった光ファイバ用母材片を相互にダミーガラス部材を介して接続する場合を説明しているが、製造当初から短く製造した光ファイバ用母材又はコアロッドを相互に接続して大型の光ファイバ用母材に構成する場合であっても良い。この場合、本発明は、これらの光ファイバ母材およびコアロッドをそれぞれ光ファイバ母材片およびコアロッド片に読み替えるものとする。
【0033】
【実施例】
[実施例1]
以下本発明を図示した一実施例により本発明を更に詳しく説明する。
図1において、1は透明ガラス化されたコアロッド、1’、1’’はそれぞれコアロッド1が短尺になったコアロッド片、2はコアロッド1の両端にそれぞれ取り付けられたダミー棒、3はコアロッド1内に存在する泡などの欠陥部分、4は欠陥部分を含む切取り部分、5はダミーガラス部材、6は後付のクラッド層である。
【0034】
コアロッド1は従来と同様にVAD法やMCVD法により製造される。このコアロッド1は後に加熱紡糸されて光ファイバに加工された場合は、光ファイバのコア及びクラッドの一部として機能するように構成されている。コアロッド1がVAD法などのようにガラス微粒子を堆積させることにより製造される場合には、そのガラス微粒子は脱水処理され、更に透明ガラス化の処理がなされて製造される。ダミー棒2は上記コアロッド1の製造工程で機械的にコアロッド1を保持したり、また一定径のコアロッド1に延伸加工するための支持用に用いられ、また後のクラッド層を堆積させるときの支持や加熱紡糸するときの保持用などに用いられる。
【0035】
次ぎに本発明の実施例を製造順に更に詳しく説明する。図1(イ)はコアロッド1内に泡などの欠陥部分3が存在することを示してある。この欠陥部分3は目視またはコアロッド1中に可視光やX線などを透過させるなどして検出する。このような欠陥部分3等は、コアロッド1の一部に泡などの欠陥部分3が存在すると、加熱紡糸工程などで得られたファイバが断線してしまうので、機械的に除去する必要がある。
【0036】
図1(ロ)はその欠陥部分3を含む切取り部分4が切断されて除去され、コアロッド1が2分割され、2つのコアロッド片1’、1’’が形成された状態を示してある。この2分割されたコアロッド1’、1’’の外周にそれぞれクラッドを形成させて光ファイバ用母材を構成しても、各コアロッド片1’、1’’は2分割され短くなっているので、出来あがった光ファイバ用母材は小型なものとなり、大型光ファイバ用母材を加熱紡糸する加熱紡糸設備を有効に利用することができない。
【0037】
このために、図1(ハ)に示すように、これら2分割されたコアロッド片1’、1’’を相互に直線状に接続するが、本発明ではダミーガラス部材5を介在させて相互に接続することに特徴がある。本実施例の場合、このダミーガラス部材5はコアロッド片1’の軟化温度と同様にドーパント調整された均一な石英ガラス材で構成されている。このように軟化温度の調整されたダミーガラス部材5は加熱紡糸時にコアロッド片1’、1’’と同様に加熱紡糸することができ、紡糸時の温度コントロールを通常の紡糸時と同様に行うことができる。
【0038】
このようにして接続された2分割されたコアロッド片1’、1’’は次ぎに図1(ニ)に示すように、その外周にクラッド層6が形成される。クラッド層6の形成は、繋ぎ合わされたコアロッド1の外周に、この外径よりも内径の大きなガラスパイプを被せるロットインチューブ法にて構成するようにしても良い。しかし、本実施例においては4塩化珪素ガスを主成分とするガラス原料を酸水素炎により加水分解させて2酸化珪素を主成分とするガラス微粉末をコアロッド片1’、1’’の外周に堆積させて、一旦多孔質ガラス体として堆積させ、その後、この多孔質ガラス体を脱水し焼結させて透明ガラス化することで形成した。
【0039】
次ぎにこのようにして構成された光ファイバ用母材は、図示しない加熱紡糸炉に配置されて、光ファイバ用母材の一端から他端に向けて徐々に加熱紡糸されファイバ状に加工される。この際、紡糸工程と連続してファイバ上に樹脂が被覆され、加熱または紫外線により硬化されてファイバの機械的強化が図られる。機械的保護強化が図られたファイバ素線は直ちにボビンに巻かれる。その後、ファイバ素線はOTDR装置によりダミーガラス部材5の部分からなるファイバの位置を測定して、その部分からダミーガラス部材5の長さに見合う所定長(数百m〜数十km)を取り除く。これにより、良品の光ファイバ素線のみを得ることができる。
【0040】
[実施例2]
以下本発明を図示した第二実施例により本発明を更に詳しく説明する。
図2において、11は透明ガラス化された光ファイバ用母材、11’、11’’は光ファイバ用母材の長さが短く形成されて形成された光ファイバ用母材片、12は光ファイバ用母材11の両端にそれぞれ取り付けられたダミー棒、13は光ファイバ用母材11内に存在する泡などの欠陥部分、14は欠陥部分を含む切取り部分、15はダミーガラス部材である。
【0041】
光ファイバ用母材11は従来と同様にVAD法やMCVD法により製造され、その外側には図示しないクラッドがロッドインチューブ法や外付法により形成されている。この光ファイバ用母材11は後に加熱紡糸されてファイバに加工された場合は、光ファイバとして機能するように構成されている。ダミー棒12は上記光ファイバ用母材11の製造工程で機械的に光ファイバ用母材11を保持したり、また一定径の光ファイバ用母材11に延伸加工するための支持用あるいは加熱紡糸時の保持用に用いられる。
【0042】
次ぎに本発明の第二実施例を製造順に更に詳しく説明する。図2(イ)は光ファイバ用母材11内に泡などの欠陥部分13が存在することを示してある。この欠陥部分13は目視または光ファイバ用母材11中に可視光やX線などを透過させるなどして検出する。このような欠陥部分13等は、光ファイバ用母材11の一部に泡などの欠陥部分13が存在すると、加熱紡糸工程などで得られたファイバが断線してしまうので、機械的に除去する必要がある。
【0043】
図2(ロ)はその欠陥部分13を含む切取り部分14が切断されて除去され、光ファイバ用母材11が2分割され、2つの光ファイバ母材片11’、11’’が形成された状態を示してある。この2分割された光ファイバ用母材片11’、11’’のそれぞれは分割され短くなっているので、光ファイバ用母材片11’、11’’は小型なものとなり、大型光ファイバ用母材を加熱紡糸する加熱紡糸設備を有効に利用することができない。
【0044】
このために、図2(ハ)に示すようにこれら2分割された光ファイバ用母材片11’、11’’を相互に直線状に接続するが、本発明ではダミーガラス部材15を介在させて相互に接続することに特徴がある。本実施例の場合、このダミーガラス部材15は光ファイバ用母材11の軟化温度と同様にドーパント調整された均一な石英ガラス材で構成されている。このように軟化温度の調整されたダミーガラス部材15は加熱紡糸時に光ファイバ用母材片11’、11’’と同様に加熱紡糸することができ、紡糸時の温度コントロール等を通常の紡糸時と同様に行うことができる。
【0045】
次ぎにこのようにして構成された光ファイバ用母材は、図示しない加熱紡糸炉に配置されて、光ファイバ用母材の一端から他端に向けて徐々に加熱紡糸されファイバ状に加工される。この際、紡糸工程と連続してファイバ上に樹脂が被覆され、加熱または紫外線により硬化されてファイバの機械的強化が図られる。
【0046】
機械的保護強化が図られた光ファイバ素線は直ちにボビンに巻かれる。その後、光ファイバ素線はOTDR装置によりダミーガラス部材15の部分からなるファイバの位置を測定して、その部分からダミーガラス部材15の長さに見合う所定長(数百m〜数十km)を取り除く。これにより、良品の光ファイバ素線のみを得ることができる。
【0047】
【効果】
本請求項1の発明は、上記のとおり、加熱紡糸後に使用することが有効となる部分を含む複数の光ファイバ用母材片が互いに前記光ファイバ用母材片の光学特性と異なるダミーガラス部材を介して接続されて構成されていることを特徴とする。このため、短く構成された光ファイバ用母材であっても、これらを、光学特性が異なるダミーガラス部材を介して接続することにより、容易にそのダミーガラス部材で構成されるファイバを切り出し除去することができる。
【0048】
本請求項2の発明は、上述のように、加熱紡糸後に使用することが有効となる部分を含む複数の光ファイバ用コアロッド片が互いに前記光ファイバ用コアロッド片の光学特性と異なるダミーガラス部材を介して接続され、これら外周に更にクラッド層が被覆されていることを特徴とする。従って、短く構成されたコアロッドであっても容易に良品部分の光ファイバのみを抽出することができる。
【0049】
請求項6の発明は、上述のように、加熱紡糸後に使用することが有効となる部分を含む複数の光ファイバ用母材片が互いに前記光ファイバ用母材片の光学特性と異なるダミーガラス部材を介して一直線に接続されて構成されてなる光ファイバ用母材を、加熱紡糸してファイバにした後、前記ダミーガラス部材により構成されたファイバの部分を除去して使用に有効な光ファイバを得ること特徴とする。このため、ダミーガラス部材により構成されたファイバ部分を容易に検出することができ、容易に除去し、良質の光ファイバを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(ィ)〜(ニ)は本発明の一実施例を示す工程図である。
【図2】(ィ)〜(ハ)は本発明の第二実施例を示す工程図である。
【符号の説明】
1・・・透明ガラス化されたコアロッド
1’、1’’・・・コアロッド片
2・・・ダミー棒
3・・・泡などの欠陥部分
4・・・切取り部分
5・・・ダミーガラス部材
6・・・クラッド層
11・・・光ファイバ用母材
11’、11’’・・・光ファイバ用母材片
12・・・ダミー棒
13・・・泡などの欠陥部分
14・・・切取り部分
15・・・ダミーガラス部材
Claims (7)
- 加熱紡糸後に使用することが有効となる部分を含む複数の光ファイバ用母材片が互いに前記光ファイバ用母材片の光学特性と異なるダミーガラス部材を介して接続されて構成されていることを特徴とする光ファイバ用母材。
- 加熱紡糸後に使用することが有効となる部分を含む複数の光ファイバ用のコアロッド片が互いに前記コアロッドの光学特性と異なるダミーガラス部材を介して接続され、これら外周に更にクラッド層が被覆されていることを特徴とする光ファイバ用母材。
- 光ファイバ用母材片とダミーガラス部材とは互いに組成が異なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光ファイバ用母材。
- 光ファイバ用母材片とダミーガラス部材とは互いに屈折率プロファイルが異なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光ファイバ用母材。
- ダミーガラス部材は実質的に石英ガラス材のみにより構成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の光ファイバ用母材。
- 加熱紡糸後に使用することが有効となる部分を含む複数の光ファイバ用母材片または光ファイバ用コアロッド片が互いに前記光ファイバ用母材片または光ファイバ用コアロッド片の光学特性と異なるダミーガラス部材を介して接続されて構成されてなる光ファイバ用母材を、加熱紡糸してファイバとした後、前記ダミーガラス部材により構成されたファイバの部分を除去して使用に有効な光ファイバを得ること特徴とする光ファイバの製造方法。
- 光ファイバ用母片又は光ファイバ用コアロッド片の端面が凸状に形成され、更にダミーガラス部材の端面が凸状に形成され、これら凸状端面を相互に溶着して両者を相互に接続することを特徴とする請求項6に記載の光ファイバの製造方法。
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