JP2004154819A - 熱延鋼帯の巻取り方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微小なカキ疵の発生を減少させることのできる熱延鋼帯の巻取り方法を提供する。
【解決手段】周囲に複数の案内ロールが配置されたマンドレルにて鋼帯を巻取る熱延鋼帯の巻取り方法において、鋼帯の先端がマンドレル外周面上で後続の鋼帯と重なった時点以降に、熱延鋼帯のマンドレルへの巻込み位置の内側に向けて、液体を噴き付けることを特徴とする熱延鋼帯の巻取り方法。より効果的には、熱延鋼帯の巻締りが始まった時点以降に、液体の噴き付けを行うことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】周囲に複数の案内ロールが配置されたマンドレルにて鋼帯を巻取る熱延鋼帯の巻取り方法において、鋼帯の先端がマンドレル外周面上で後続の鋼帯と重なった時点以降に、熱延鋼帯のマンドレルへの巻込み位置の内側に向けて、液体を噴き付けることを特徴とする熱延鋼帯の巻取り方法。より効果的には、熱延鋼帯の巻締りが始まった時点以降に、液体の噴き付けを行うことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小な針状カキ疵の発生が少ない熱延鋼帯の巻取り方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱延鋼帯をコイラーにて巻取る段階で、案内ロール(ユニットロールまたはラッパーロール)が開き巻締りが始まる段階から巻締りが終了するまでの間に、コイル内周に微小な針状のカキ疵(ガウジともいう)が発生して、次工程である精整調圧ラインや冷延ラインの歩留まりを悪化させていた。このカキ疵は、例えば厚み約2mmの熱延鋼帯でトップ約30m〜約200mに発生する場合が多い。
【0003】
これらの現象は、コイラーでの巻取り温度CTの高い高CT材において特に発生が集中していた。そこで、このコイル内周の微小な針状のカキ疵を防ぐために、従来よりピンチロールとマンドレル間の張力を調整するとか、マンドレル拡大タイミングを調整するなどの方法により巻付け性の向上を図ったり、CTを下げたり、潤滑油を使用する等の対策を講じていた。
【0004】
また、熱延鋼帯の重なり始めに対応する部分から熱延鋼帯の進行方向に最近接のブロッカーロールとマンドレルとの間隙を熱延鋼帯の重なり後の巻数の板厚より大きく設定して、前記熱延鋼帯の重なり始めに対応する部分に流体を熱延鋼帯の進行方向とほぼ平行に噴射して、内巻側の熱延鋼帯をマンドレルに、また外巻側の熱延鋼帯を前記最近接のブロッカーロールに押付け且つ熱延鋼帯間のすべりを助長して巻取る熱延鋼帯の巻取り方法が知られている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特公平6−96168号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の方法では、図2に示すように、熱延鋼帯1の重なり始めに対応する部分に、流体噴射ノズル8から流体を熱延鋼帯1の進行方向とほぼ平行に噴射して1巻目と2巻目の間の部分を高圧の流体が介在する状態を実現し、1巻目の先端をマンドレル2に確実に押付け、1巻目を確実にマンドレルに巻付かせている。また、1巻き目と2巻き目の間には流体が介在するため、摩擦は下げてすべりを助長して巻取るために、2巻目以降は、熱延鋼帯間のすべりによる擦り疵はほとんど発生しないと記載されているが、疵の発生以前の問題として巻取りのトラブルが発生する。つまり、マンドレルで空回りが発生して熱延鋼帯が巻取れないことも生じた。
【0007】
ここで、特許文献1の課題は熱延鋼帯のマンドレル巻付き1巻目と2巻目の合わさるところの問題であり、コイル内周に微小な針状のカキ疵は、2巻目以降において発生する疵の問題で、材質上CTを下げられないものについては、有効策がなかった。また巻付け性を向上させるために張力を上昇させると、ネッキング(幅縮み)やスリップ等の巻取り不良の原因となって限界があり充分な対策がとれてなかった。
【0008】
したがって、本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、微小なカキ疵の発生を減少させることのできる熱延鋼帯の巻取り方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するための本発明の特徴は以下の通りである。
【0010】
(1)周囲に複数の案内ロールが配置されたマンドレルにて鋼帯を巻取る熱延鋼帯の巻取り方法において、鋼帯の先端がマンドレル外周面上で後続の鋼帯と重なった時点以降に、熱延鋼帯のマンドレルへの巻込み位置の内側に向けて、液体を噴き付けることを特徴とする熱延鋼帯の巻取り方法。
【0011】
(2)熱延鋼帯の巻締りが始まった時点以降に、液体の噴き付けを行うことを特徴とする上記(1)に記載の熱延鋼帯の巻取り方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の熱延鋼帯の巻取り方法の一実施形態を示す説明図である。
【0013】
図1に示す巻取り機(コイラー)は、熱延鋼帯1が巻付くマンドレル2と、マンドレル2の周囲に配置され、熱延鋼帯1先端をマンドレル2の外周面に誘導するとともに、熱延鋼帯1をマンドレル2に押付けるための案内ロール3a〜3d(ユニットロールまたはラッパーロール)と、マンドレル入側で熱延鋼帯1を拘束するピンチロール4と、熱延鋼帯のマンドレルへの巻込み位置の内側に向けて液体を噴射するための液体噴射ノズル5とを備えている。
【0014】
前記案内ロール3a〜3dは、熱延鋼帯1をマンドレル2に押付けることにより、熱延鋼帯1とマンドレル2の間に摩擦力を発生させる役割をする。熱延鋼帯1の先端が通常数巻後に巻付け完了した時点で、案内ロール3a〜3dは開いて熱延コイルから離れる。ここで、案内ロールは鋼帯を押さえることによるロール摩耗を防ぐため、およびコイルの内側の形状を良好にしたいため、閉じている時間をなるべく短くする必要があるので、所定の時間を経過すればすぐに開くようにしている。
【0015】
前記ピンチロール4は、熱延鋼帯1の先端をガイド板であるスロートガイド7の方向に誘導すること、および熱延鋼帯1の後端が仕上圧延機最終圧延スタンドを抜けた後のバックテンション保持の役割をする。
【0016】
ここで、案内ロールが開くとは、ロールが反マンドレル方向に移動し、鋼帯面から離れることを示し、案内ロールが閉じるとは、ロールがマンドレル方向に移動し、鋼帯面に当接することを示す。
【0017】
以下、上記巻取り機(コイラー)の装置構成を用いた本発明法の一実施形態を説明する。
【0018】
図1に示す熱延鋼帯の巻取り機において、熱延鋼帯1の先端は案内ロール3a〜3dによって誘導され、マンドレル周りを1周する。熱延鋼帯1先端が後続の鋼帯で押さえられて2巻目に入るが、このときに閉じている案内ロール3a〜3dの押付け力により発生した熱延鋼帯1とマンドレル2の間の摩擦力と、熱延鋼帯1の後方が仕上圧延機またはピンチロールにより拘束されているために生じるバックテンションとによって、巻締めされる形で熱延鋼帯1がマンドレル2に巻付く。熱延鋼帯1の先端が通常数巻後に巻付け完了した時点で、案内ロール3a〜3dは開いて熱延コイルと離れる。
【0019】
熱延鋼帯1の先端が後続の鋼帯と重なった時点から、熱延鋼帯1のマンドレルへの巻込み位置の内側に向けて、液体を噴き付ける。液体を噴き付けるのは、液体を熱延鋼帯の内側に巻込ませて、水膜または油膜を熱延鋼帯の間に形成することにより巻締め過程で片当たりを減らして、鋼帯間の接触圧を軽減してたるみを発生させないためである。これにより熱延鋼帯の巻締り時の共ずれを防止することができる。ここで、鋼帯の先端がマンドレル外周面上で後続の鋼帯と重なった時点から液体の噴き付けを行うのは、熱延鋼帯の先端が後続の鋼帯と重なる以前に液体を噴射すると、すべりにより鋼帯がマンドレルに巻付かない恐れがあるからである。
【0020】
さらに、効果的であるのは、熱延鋼帯1の先端が通常数巻後に巻付け完了し熱延鋼帯1の巻締りが始まった時点以降に、液体の噴き付けを行う。このとき案内ロール3a〜3dが開く。案内ロール3a〜3dが開くときから、液体の噴き付けを行うのは、カキ疵が、案内ロール3a〜3dが開くときから熱延鋼帯の巻付きが進んでいる間で発生するからである。カキ疵の発生位置は、例えば厚み約2mmの熱延鋼帯でトップ約30m〜約200mに相当するが、トップ約30mが案内ロールが「開」となるタイミングである。
【0021】
液体噴射ノズル5からの液体の噴射圧力としては約5kgf/cm2以上の圧力スプレーノズルが好ましい。約5kgf/cm2未満であると、液体を熱延鋼帯の内側に順次巻込ませることが困難だからである。また、噴射する液体は冷却水または潤滑油が好ましい。潤滑油としては、熱延鋼帯の表層をコーティングすることによって金属間の接触を防ぐことが好ましい。コーティング剤としてはフッ素やカルシウム等が好ましい。
【0022】
液体を噴き付ける位置は、熱延鋼帯1を巻込む位置の内面で、先に巻付いた鋼帯に後続の鋼帯が重なって巻付く接線位置またはその近傍位置である。これにより、液体を熱延鋼帯の内側に順次巻込ませることができる。
【0023】
【実施例】
本発明法により、鋼板サイズが板厚2mm×板幅1000mmの低炭素鋼であり、巻取り温度が640℃の高CT材の熱延鋼板の巻取り試験を実施した。その結果、N=27の鋼板数で、巻取り後のコイルの疵等級を、疵の程度によって最も軽いA級から最も重いC級まで3段階に分類し、残りを無欠陥としたときに、それぞれA級は4%、B級は8%、C級は0%、残りの無欠陥は88%と目視により判定した。
【0024】
これに対して、比較例として、本発明法と全く同じ鋼板を用いて、熱延鋼帯を巻込む位置の内面に向けての液体の噴き付けを実施しない方法による巻取り試験を実施した。その結果、N=100の鋼板数で、本発明法で用いたのと同じ疵等級を用いて巻取り後のコイルの疵等級を目視により判定したところ、それぞれA級は8%、B級は15%、C級は10%、残りの無欠陥は67%となった。
【0025】
つまり、本発明法により、巻取り後のコイルの疵発生率は従来の33%から12%にまで減少し、特に疵の程度の最も重いC級がなくなったことにより本発明法は微小なカキ疵の発生を大いに減少させる効果がある。
【0026】
【発明の効果】
本発明により、鋼帯の先端がマンドレル外周面上で後続の鋼帯と重なった時点以降に、好ましくは、熱延鋼帯の巻締りが始まった時点以降に、熱延鋼帯のマンドレルへの巻込み位置の内側に向けて、液体を噴き付けて微小なカキ疵の発生を減少させることのできる熱延鋼帯の巻取り方法を行うことができ、次工程の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱延鋼帯の巻取り方法の一実施形態を示す説明図
【図2】特許文献1の熱延鋼帯の巻取り方法を示す説明図
【符号の説明】
1 熱延鋼帯
2 マンドレル
3a〜3d 案内ロール(ユニットロールまたはラッパーロール)
4 ピンチロール
5 液体噴射ノズル
7 スロートガイド
8 流体噴射ノズル
【発明の属する技術分野】
本発明は、微小な針状カキ疵の発生が少ない熱延鋼帯の巻取り方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱延鋼帯をコイラーにて巻取る段階で、案内ロール(ユニットロールまたはラッパーロール)が開き巻締りが始まる段階から巻締りが終了するまでの間に、コイル内周に微小な針状のカキ疵(ガウジともいう)が発生して、次工程である精整調圧ラインや冷延ラインの歩留まりを悪化させていた。このカキ疵は、例えば厚み約2mmの熱延鋼帯でトップ約30m〜約200mに発生する場合が多い。
【0003】
これらの現象は、コイラーでの巻取り温度CTの高い高CT材において特に発生が集中していた。そこで、このコイル内周の微小な針状のカキ疵を防ぐために、従来よりピンチロールとマンドレル間の張力を調整するとか、マンドレル拡大タイミングを調整するなどの方法により巻付け性の向上を図ったり、CTを下げたり、潤滑油を使用する等の対策を講じていた。
【0004】
また、熱延鋼帯の重なり始めに対応する部分から熱延鋼帯の進行方向に最近接のブロッカーロールとマンドレルとの間隙を熱延鋼帯の重なり後の巻数の板厚より大きく設定して、前記熱延鋼帯の重なり始めに対応する部分に流体を熱延鋼帯の進行方向とほぼ平行に噴射して、内巻側の熱延鋼帯をマンドレルに、また外巻側の熱延鋼帯を前記最近接のブロッカーロールに押付け且つ熱延鋼帯間のすべりを助長して巻取る熱延鋼帯の巻取り方法が知られている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特公平6−96168号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の方法では、図2に示すように、熱延鋼帯1の重なり始めに対応する部分に、流体噴射ノズル8から流体を熱延鋼帯1の進行方向とほぼ平行に噴射して1巻目と2巻目の間の部分を高圧の流体が介在する状態を実現し、1巻目の先端をマンドレル2に確実に押付け、1巻目を確実にマンドレルに巻付かせている。また、1巻き目と2巻き目の間には流体が介在するため、摩擦は下げてすべりを助長して巻取るために、2巻目以降は、熱延鋼帯間のすべりによる擦り疵はほとんど発生しないと記載されているが、疵の発生以前の問題として巻取りのトラブルが発生する。つまり、マンドレルで空回りが発生して熱延鋼帯が巻取れないことも生じた。
【0007】
ここで、特許文献1の課題は熱延鋼帯のマンドレル巻付き1巻目と2巻目の合わさるところの問題であり、コイル内周に微小な針状のカキ疵は、2巻目以降において発生する疵の問題で、材質上CTを下げられないものについては、有効策がなかった。また巻付け性を向上させるために張力を上昇させると、ネッキング(幅縮み)やスリップ等の巻取り不良の原因となって限界があり充分な対策がとれてなかった。
【0008】
したがって、本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、微小なカキ疵の発生を減少させることのできる熱延鋼帯の巻取り方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するための本発明の特徴は以下の通りである。
【0010】
(1)周囲に複数の案内ロールが配置されたマンドレルにて鋼帯を巻取る熱延鋼帯の巻取り方法において、鋼帯の先端がマンドレル外周面上で後続の鋼帯と重なった時点以降に、熱延鋼帯のマンドレルへの巻込み位置の内側に向けて、液体を噴き付けることを特徴とする熱延鋼帯の巻取り方法。
【0011】
(2)熱延鋼帯の巻締りが始まった時点以降に、液体の噴き付けを行うことを特徴とする上記(1)に記載の熱延鋼帯の巻取り方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の熱延鋼帯の巻取り方法の一実施形態を示す説明図である。
【0013】
図1に示す巻取り機(コイラー)は、熱延鋼帯1が巻付くマンドレル2と、マンドレル2の周囲に配置され、熱延鋼帯1先端をマンドレル2の外周面に誘導するとともに、熱延鋼帯1をマンドレル2に押付けるための案内ロール3a〜3d(ユニットロールまたはラッパーロール)と、マンドレル入側で熱延鋼帯1を拘束するピンチロール4と、熱延鋼帯のマンドレルへの巻込み位置の内側に向けて液体を噴射するための液体噴射ノズル5とを備えている。
【0014】
前記案内ロール3a〜3dは、熱延鋼帯1をマンドレル2に押付けることにより、熱延鋼帯1とマンドレル2の間に摩擦力を発生させる役割をする。熱延鋼帯1の先端が通常数巻後に巻付け完了した時点で、案内ロール3a〜3dは開いて熱延コイルから離れる。ここで、案内ロールは鋼帯を押さえることによるロール摩耗を防ぐため、およびコイルの内側の形状を良好にしたいため、閉じている時間をなるべく短くする必要があるので、所定の時間を経過すればすぐに開くようにしている。
【0015】
前記ピンチロール4は、熱延鋼帯1の先端をガイド板であるスロートガイド7の方向に誘導すること、および熱延鋼帯1の後端が仕上圧延機最終圧延スタンドを抜けた後のバックテンション保持の役割をする。
【0016】
ここで、案内ロールが開くとは、ロールが反マンドレル方向に移動し、鋼帯面から離れることを示し、案内ロールが閉じるとは、ロールがマンドレル方向に移動し、鋼帯面に当接することを示す。
【0017】
以下、上記巻取り機(コイラー)の装置構成を用いた本発明法の一実施形態を説明する。
【0018】
図1に示す熱延鋼帯の巻取り機において、熱延鋼帯1の先端は案内ロール3a〜3dによって誘導され、マンドレル周りを1周する。熱延鋼帯1先端が後続の鋼帯で押さえられて2巻目に入るが、このときに閉じている案内ロール3a〜3dの押付け力により発生した熱延鋼帯1とマンドレル2の間の摩擦力と、熱延鋼帯1の後方が仕上圧延機またはピンチロールにより拘束されているために生じるバックテンションとによって、巻締めされる形で熱延鋼帯1がマンドレル2に巻付く。熱延鋼帯1の先端が通常数巻後に巻付け完了した時点で、案内ロール3a〜3dは開いて熱延コイルと離れる。
【0019】
熱延鋼帯1の先端が後続の鋼帯と重なった時点から、熱延鋼帯1のマンドレルへの巻込み位置の内側に向けて、液体を噴き付ける。液体を噴き付けるのは、液体を熱延鋼帯の内側に巻込ませて、水膜または油膜を熱延鋼帯の間に形成することにより巻締め過程で片当たりを減らして、鋼帯間の接触圧を軽減してたるみを発生させないためである。これにより熱延鋼帯の巻締り時の共ずれを防止することができる。ここで、鋼帯の先端がマンドレル外周面上で後続の鋼帯と重なった時点から液体の噴き付けを行うのは、熱延鋼帯の先端が後続の鋼帯と重なる以前に液体を噴射すると、すべりにより鋼帯がマンドレルに巻付かない恐れがあるからである。
【0020】
さらに、効果的であるのは、熱延鋼帯1の先端が通常数巻後に巻付け完了し熱延鋼帯1の巻締りが始まった時点以降に、液体の噴き付けを行う。このとき案内ロール3a〜3dが開く。案内ロール3a〜3dが開くときから、液体の噴き付けを行うのは、カキ疵が、案内ロール3a〜3dが開くときから熱延鋼帯の巻付きが進んでいる間で発生するからである。カキ疵の発生位置は、例えば厚み約2mmの熱延鋼帯でトップ約30m〜約200mに相当するが、トップ約30mが案内ロールが「開」となるタイミングである。
【0021】
液体噴射ノズル5からの液体の噴射圧力としては約5kgf/cm2以上の圧力スプレーノズルが好ましい。約5kgf/cm2未満であると、液体を熱延鋼帯の内側に順次巻込ませることが困難だからである。また、噴射する液体は冷却水または潤滑油が好ましい。潤滑油としては、熱延鋼帯の表層をコーティングすることによって金属間の接触を防ぐことが好ましい。コーティング剤としてはフッ素やカルシウム等が好ましい。
【0022】
液体を噴き付ける位置は、熱延鋼帯1を巻込む位置の内面で、先に巻付いた鋼帯に後続の鋼帯が重なって巻付く接線位置またはその近傍位置である。これにより、液体を熱延鋼帯の内側に順次巻込ませることができる。
【0023】
【実施例】
本発明法により、鋼板サイズが板厚2mm×板幅1000mmの低炭素鋼であり、巻取り温度が640℃の高CT材の熱延鋼板の巻取り試験を実施した。その結果、N=27の鋼板数で、巻取り後のコイルの疵等級を、疵の程度によって最も軽いA級から最も重いC級まで3段階に分類し、残りを無欠陥としたときに、それぞれA級は4%、B級は8%、C級は0%、残りの無欠陥は88%と目視により判定した。
【0024】
これに対して、比較例として、本発明法と全く同じ鋼板を用いて、熱延鋼帯を巻込む位置の内面に向けての液体の噴き付けを実施しない方法による巻取り試験を実施した。その結果、N=100の鋼板数で、本発明法で用いたのと同じ疵等級を用いて巻取り後のコイルの疵等級を目視により判定したところ、それぞれA級は8%、B級は15%、C級は10%、残りの無欠陥は67%となった。
【0025】
つまり、本発明法により、巻取り後のコイルの疵発生率は従来の33%から12%にまで減少し、特に疵の程度の最も重いC級がなくなったことにより本発明法は微小なカキ疵の発生を大いに減少させる効果がある。
【0026】
【発明の効果】
本発明により、鋼帯の先端がマンドレル外周面上で後続の鋼帯と重なった時点以降に、好ましくは、熱延鋼帯の巻締りが始まった時点以降に、熱延鋼帯のマンドレルへの巻込み位置の内側に向けて、液体を噴き付けて微小なカキ疵の発生を減少させることのできる熱延鋼帯の巻取り方法を行うことができ、次工程の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱延鋼帯の巻取り方法の一実施形態を示す説明図
【図2】特許文献1の熱延鋼帯の巻取り方法を示す説明図
【符号の説明】
1 熱延鋼帯
2 マンドレル
3a〜3d 案内ロール(ユニットロールまたはラッパーロール)
4 ピンチロール
5 液体噴射ノズル
7 スロートガイド
8 流体噴射ノズル
Claims (2)
- 周囲に複数の案内ロールが配置されたマンドレルにて鋼帯を巻取る熱延鋼帯の巻取り方法において、鋼帯の先端がマンドレル外周面上で後続の鋼帯と重なった時点以降に、熱延鋼帯のマンドレルへの巻込み位置の内側に向けて、液体を噴き付けることを特徴とする熱延鋼帯の巻取り方法。
- 熱延鋼帯の巻締りが始まった時点以降に、液体の噴き付けを行うことを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼帯の巻取り方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002322626A JP2004154819A (ja) | 2002-11-06 | 2002-11-06 | 熱延鋼帯の巻取り方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002322626A JP2004154819A (ja) | 2002-11-06 | 2002-11-06 | 熱延鋼帯の巻取り方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004154819A true JP2004154819A (ja) | 2004-06-03 |
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ID=32802763
Family Applications (1)
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JP2002322626A Pending JP2004154819A (ja) | 2002-11-06 | 2002-11-06 | 熱延鋼帯の巻取り方法 |
Country Status (1)
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