JP2004154433A - 遊技機 - Google Patents

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高明 市原
Shigehisa Iinuma
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Abstract

【課題】BBゲーム等の遊技者に有利な状態で遊技者が獲得した遊技媒体数が少なくなった場合であっても、遊技者が悪い印象を持たないで楽しむことができる遊技機を提供すること。
【解決手段】スロットマシン1のBBゲームは、(1)小役ゲームにおいてJAC図柄が一直線に表示されるとボーナスゲームへ切換えられ、(2)ボーナスゲームの終了条件が満たされると小役ゲームへ切換えられ、(3)小役ゲームが30回行われると又は小役ゲームからボーナスゲームへ3回切換えられてその3回目のボーナスゲームの終了条件が満たされると終了するものである。そして、このスロットマシン1は、遊技機が所定の条件を満たし、かつ、小役ゲームからボーナスゲームへ3回切換えられないでBBゲームが終了した場合に、当該BBゲームの後にATゲームに移行する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、図柄表示器で図柄変動が開始されてその図柄変動が停止されることで1ゲームが行われる遊技機に関する。特に、遊技者に有利な状態に移行する遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、遊技機の一種であるスロットマシンは、図柄表示器で図柄変動が開始されてその図柄変動が停止されることによって1ゲームが行われる。スロットマシンは、図柄変動が停止されたときに図柄表示器に表示された図柄の組合せに応じた数の遊技媒体(典型的にはメダル)を払出す。また所定の図柄の組合せが表示されると、いわゆるビッグボーナスゲーム(以下ではBBゲームと記載する)に移行する。このBBゲーム中は、いわゆる小役ゲームといわゆるボーナスゲームとの間で遊技状態が切換えられる。小役ゲームは、遊技媒体が払出される機会が比較的多く設定されているために、遊技者は多くの遊技媒体を獲得することができる。またボーナスゲームも、高確率で多くの遊技媒体が払出されるゲームである。BBゲームでは、小役ゲームにおいて図柄変動が停止されたときに図柄表示器に特定の図柄の組合せが表示されるとボーナスゲームへ切換えられる。またボーナスゲームの終了条件が満たされると、ボーナスゲームから小役ゲームへ切換えられる。多くのスロットマシンでは、小役ゲームが30回(20回のものもある)行われるか、小役ゲームからボーナスゲームへ3回(2回のものもある)切換えられてその3回目のボーナスゲームの終了条件が満たされるとBBゲームが終了する。
なお下記特許文献には、BBゲームに移行するスロットマシンが開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−272903号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したスロットマシンでは、遊技機が特定の条件を満たす(例えば抽選によって所定の内部状態に決定する)ことを前提として、小役ゲームにおける図柄変動停止時に前記した特定の図柄の組合せが表示される。従って、小役ゲームからボーナスゲームへの切換えが、遊技機が特定の条件を満たすことを前提として行なわれる。このため、偶発的にボーナスゲームに3回切換えられることなく30回の小役ゲームが行われてBBゲームが終了する場合がある。この場合のBBゲームで遊技者が獲得する遊技媒体数は、ボーナスゲームに3回切換えられて終了したBBゲームで遊技者が獲得する遊技媒体数よりも大幅に少なくなることが多い。遊技者は、BBゲームで獲得した遊技媒体数が少ないと遊技機に対して悪い印象を持ってしまい、これにより遊技を楽しめないことがある。
【0005】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、BBゲーム等の遊技者に有利な状態で遊技者が獲得した遊技媒体数が少なくなった場合であっても、遊技者が悪い印象を持たないで楽しむことができる遊技機を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段と作用と効果】上記課題を解決するために創作された請求項1に記載の発明は、図柄表示器で図柄変動が開始されてその図柄変動が停止されることで1ゲームが行われる遊技機である。この遊技機では、図柄変動が停止されたときに図柄表示器に所定の図柄の組合せが表示されると遊技者に有利な状態(例えばBBゲーム)に移行する。遊技者に有利な状態は、(1)第1状態(例えば小役ゲーム)と第2状態(例えばボーナスゲーム)との間で遊技状態が切換えられ、(2)遊技機が特定の条件を満たすことを前提として図柄変動停止時に図柄表示器に特定の図柄の組合せが表示され、(3)第1状態のゲームにおいて図柄表示器に前記した特定の図柄の組合せが表示されると第2状態へ切換えられ、(4)第2状態の終了条件が満たされると第1状態へ切換えられ、(5)第1状態のゲームが第1所定回数行われると又は第1状態から第2状態へ第2所定回数切換えられて当該第2状態の前記終了条件が満たされると終了するものである。そして、この遊技機は、遊技機が所定の条件を満たし、かつ、第1状態から第2状態へ第2所定回数切換えられないで遊技者に有利な状態が終了した場合に、当該遊技者に有利な状態の後に遊技者に有利な特定状態に移行する。この遊技機では、遊技機が所定の条件を満たした上で、第1状態から第2状態に第2所定回数切換えられることなく遊技者に有利な状態が終了すると遊技者に有利な特定状態に移行する。この「遊技者に有利な特定状態」は、遊技媒体が払出される機会が多く設定されている状態である。また上記の「遊技機が所定の条件を満たし」とは、第2状態に第2所定回数切換えられることなく遊技者に有利な状態が終了したことが、遊技者側に原因があるのではなく遊技機側に原因があったことを意味する。従って、例えば、遊技者側の操作を原因として第1状態から第2状態に切換えられず、これにより第2状態に第2所定回数切換えられることなく遊技者に有利な状態が終了した場合は、遊技者に有利な特定状態に移行しない。
この遊技機では、偶発的に第2状態に第2所定回数切換えられることなく遊技者に有利な状態が終了したことによって遊技者が獲得し損ねた遊技媒体数が、遊技者に有利な特定状態に移行することによって補填される。このため遊技者は遊技機に対して悪い印象を持たないで楽しむことができる。
【0007】
1ゲーム毎に決定される内部状態に基づいて図柄変動が停止されるものであって、第1状態のゲームで所定の内部状態に決定されたときにのみ当該ゲームで図柄表示器に前記した特定の図柄の組合せが表示される可能性がある遊技機では、第1状態の間に所定の内部状態に決定されたゲームの回数が第2所定回数未満であった場合に前記した所定の条件を満たしたとしてもよい(請求項2)。
所定の内部状態に決定された第1状態のゲームの回数が第2所定回数に満たなかった場合は、第2状態に第2所定回数切換えられることなく遊技者に有利な状態が終了する。この場合は、第2状態に切換えられなかったことが遊技機側に原因があるため、上記の所定の条件を満たす。
【0008】
また、1ゲーム毎に決定される内部状態に基づいて図柄変動が停止されるものであって、第1状態のゲームで所定の内部状態に決定されたときにのみ当該ゲームで図柄表示器に前記した特定の図柄の組合せが表示される可能性がある遊技機では、第1状態のゲームが第3所定回数行われた後の残り全ての第1状態のゲームで前記した所定の内部状態に決定されなかった場合に前記した所定の条件を満たしたとしてもよい(請求項3)。
例えば、第1所定回数が30と設定されている場合には、ここでの「第3所定回数」を15と設定することができる。この場合、第1状態のゲームが15回行われ、その後の15回の第1状態のゲームにおいて所定の内部状態に決定されなかったときに上記の所定の条件を満たしたものとされる。
例えば、所定の内部状態に決定されたゲームで特定の図柄の組合せが表示されることを遊技者の操作によって回避できる遊技機の場合、遊技者は、特定の図柄の組合せが表示されることを回避することによって、第1状態のゲームを多く行なうことができる。しかしながら、第1状態のゲームを何回か行なった後に所定の内部状態に決定されたにもかかわらず特定の図柄の組合せが表示されることを遊技者が回避し、それによって第2状態に第2所定回数切換えられなかったとしても、それは遊技者の責任である。このような場合には、第2状態に第2所定回数切換えられなかったことによって遊技者が獲得し損ねた遊技媒体数を補填する必要はないと考えられる。逆に、第1状態のゲームが何回か行なわれた後に一度も所定の内部状態に決定されなかった場合は、遊技者側に責任はなく遊技機側に原因があると考えられる。従って、遊技者側に責任があった場合(即ち第3所定回数より後の第1状態のゲームで特定の図柄の組合せが表示されることを遊技者の操作により回避した場合)は上記の所定の条件が満たされていないとされ、遊技者側に責任がない場合(第3所定回数より後の第1状態のゲームで一度も所定の内部状態に決定されなかった場合)は偶発的なものであるために上記の所定の条件が満たされたとされることが好ましい。このような遊技機の場合、請求項3の第3所定回数は、第2状態に第2所定回数切換えられなかったことに対して遊技者側に責任があるか否かという観点から設定されることが好ましい。
また第3所定回数は、第1所定回数や第2所定回数の値、遊技機において所定の内部状態に決定される確率、その他の遊技機の特性に応じた値を設定することもできる。
【0009】
さらに上記の各遊技機において、遊技機が所定の条件を満たし、かつ、第1状態から第2状態へ第2所定回数切換えられないで遊技者に有利な状態が終了した場合の当該遊技者に有利な状態の間に遊技者が獲得した遊技媒体数と、当該遊技者に有利な状態の後に移行した遊技者に有利な特定状態の間に遊技者が獲得した遊技媒体数とを加算した値が、遊技者に有利な状態の間に遊技者が獲得する平均的な遊技媒体数に近似するようにしてもよい(請求項4)。
「遊技者に有利な状態(遊技者に有利な特定状態)の間に遊技者が獲得した遊技媒体数」とは、その遊技者に有利な状態(遊技者に有利な特定状態)の間に遊技機から払出された遊技媒体数の合計から、その間に遊技者がゲームを行なうために投入した(掛けた)遊技媒体数の合計を減算した値である。
請求項4の遊技機によると、偶発的に第2状態に第2所定回数切換えられることなく遊技者に有利な状態が終了したことによって遊技者が獲得し損ねた遊技媒体数が、遊技者に有利な特定状態に移行することによってほぼ完全に補填されることになる。
【0010】
また上記の各遊技機において、遊技機が所定の条件を満たし、かつ、第1状態から第2状態へ第2所定回数切換えられないで遊技者に有利な状態が終了した場合の当該遊技者に有利な状態の間に遊技者が獲得した遊技媒体数と、当該遊技者に有利な状態の後に移行した遊技者に有利な特定状態の間に遊技者が獲得した遊技媒体数とを加算した値が、遊技者に有利な状態の間に遊技者が獲得する平均的な遊技媒体数よりも多くなるようにしてもよい(請求項5)。
このようにすると遊技者は、遊技者に有利な状態中に「偶発的に第2状態に第2所定回数切換えられないで遊技者に有利な状態が終了して欲しい」と願いながらゲームを行うようになる。このために遊技者は、従来よりも遊技者に有利な状態のゲームを楽しむことができる。
【0011】
また遊技者に有利な特定状態のゲームの回数が抽選によって決定されるようにしてもよい(請求項6)。
このようにすると、よりゲーム性が増した遊技機になるために、遊技者はより楽しんでゲームを行うことができる。
【0012】
また上記課題を解決するために創作された請求項7の遊技機は、図柄表示器で図柄変動が開始されてその図柄変動が停止されることで1ゲームが行われるものである。この遊技機では、図柄変動が停止されたときに図柄表示器に所定の図柄の組合せが表示されると遊技者に有利な状態に移行する。遊技者に有利な状態は、(1)第1状態と第2状態との間で遊技状態が切換えられ、(2)1ゲーム毎に行なわれる抽選の結果が特定の条件を満たすことを前提として図柄変動停止時に図柄表示器に特定の図柄の組合せが表示され、(3)第1状態のゲームにおいて図柄表示器に前記特定の図柄の組合せが表示されると第2状態へ切換えられ、(4)第2状態の終了条件が満たされると第1状態へ切換えられ、(5)第1状態のゲームが第1所定回数行われると又は第1状態から第2状態へ第2所定回数切換えられて当該第2状態の前記した終了条件が満たされると終了するものである。そして、この遊技機は、第1状態の間の各ゲームの抽選履歴が所定の条件を満たし、かつ、第1状態から第2状態へ第2所定回数切換えられないで遊技者に有利な状態が終了した場合に、当該遊技者に有利な状態の後に遊技者に有利な特定状態に移行する。
この遊技機によっても、上記した請求項1の遊技機と同様の作用・効果を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】各請求項に記載の遊技機は、以下の形態で好適に実施することができる。
(形態1)各請求項に記載の遊技機はスロットマシンである。
(形態2)各請求項に記載の遊技機では、複数の図柄が配されたリールを回転させることによって図柄変動が開始されるとともに、リールの回転を停止させることによって図柄変動が停止される。
(形態3)各請求項に記載の「所定の図柄の組合せ」は、いわゆるビッグボーナス図柄(BB図柄)が一直線に並ぶことである。
(形態4)各請求項に記載の「遊技者に有利な状態」はBBゲームである。
(形態5)各請求項に記載の「第1状態」は、BBゲームにおける小役ゲームである。この場合、第1所定回数としては、20回又は30回を採用することができる。
(形態6)各請求項に記載の「第2状態」は、BBゲームにおけるボーナスゲームである。この場合、第2所定回数としては、2回又は3回を採用することができる。
(形態7)各請求項に記載の「遊技者に有利な特定状態」は、いわゆるアシストタイムゲーム(以下ではATゲームと記載する)やいわゆるチャレンジタイムゲーム(以下ではCTゲームと記載する)である。
(形態8)請求項2から6のいずれかに記載の「内部状態に決定」とはフラグをONさせることである。
(形態9)各請求項に記載の「特定の図柄の組合せ」とはいわゆるJAC図柄が一直線に並ぶことである。
【0014】
【実施例】図面を参照して、本発明をスロットマシンに具現化した実施例を説明する。図1は、本実施例のスロットマシンの外観を示す正面図である。
スロットマシン1は前面パネル3を有している。前面パネル3の背後には、図柄表示装置を構成する3個のリール5,7,9(左リール5、中リール7、右リール9)が設けられている。各リール5,7,9には種々の図柄が描かれている。全てのリール5,7,9が停止した状態では、前面パネル3の正面の表示窓11,13,15(左表示窓11、中表示窓13、右表示窓15)に、各リール図柄がそれぞれ3個ずつ(左表示窓上・中・下段、中表示窓上・中・下段、右表示窓上・中・下段)表示される。リール5,7,9が回転している状態では、リール5,7,9に描かれた図柄が上から下に移動する様子を表示窓11,13,15から視認できる。
【0015】
図2に、図柄表示装置の斜視図を示す。フレーム56には、3つのブラケット57a〜57cがそれぞれ複数箇所固定されて取付けられている。ブラケット57a〜57cには、ステッピングモータ50がそれぞれ取付けられている。各ステッピングモータ50の回転軸にはリール5,7,9が取付けられている。
【0016】
図3に、左リール5の斜視図を示す。左リール5は、リールドラム53とリール帯6等から構成される。リールドラム53は、左リール5の枠を構成する部材であり、円筒状に形成された外周部53aと、ステッピングモータ50の回転軸が固定される結合部51と、外周部53aと結合部51を連結する5つの連結部52で構成されている。外周部53aには、複数の図柄が配されているリール帯6が貼られている。連結部52の一つに、連結部52に対して垂直になるように、かつリールドラム53の内部方向を向くようにして遮蔽板60が取付けられている。ステッピングモータ50が回転することでリールドラム53が回転すると、遮蔽板60がホトセンサ59に入射する光を遮蔽する。ホトセンサ59は、遮蔽板60によって光が遮られたタイミングを検出する。これによって左リール5の回転位置が検出される(リールの回転位置の検出方法についての詳細は後で説明する)。
ブラケット57aに、ランプケース47が取付けられている。ランプケース47は、リールドラム53の内部かつ表示窓11に対向する位置に取り付けられている。ランプケース47には3つの部屋が設けられている。これらの各部屋にはバックランプ47a〜47cが取付けられている。バックランプ47a〜47cが点灯すると、左表示窓11に表示されたリール5の各図柄を照らし出す。
なお中リール7や右リール9も、上述した左リール5と同様に構成される。中リール7や右リール9は、ステッピングモータの駆動によって回転する。また遮蔽板、ホトセンサ、バックランプ等も同様に備えられる。
【0017】
次に図4を参照して、表示窓11,13,15に表示される図柄の入賞ラインについて説明する。
このスロットマシン1では、メダル投入口45に投入されたメダル枚数に応じて入賞ラインが有効化される。1枚のメダルが投入されたときは、各表示窓11,13,15の中央の入賞ラインL1(図4(a)参照)が有効化される。2枚のメダルが投入されたときは、L1とその上下の入賞ラインL2A,L2B(図4(b)参照)が有効化される。3枚のメダルが投入されたときは、L1,L2A,L2Bと斜めの入賞ラインL3A,L3B(図4(c)参照)が有効化される。なお同図における丸印は各リール5,7,9に描かれた図柄を表している。有効化された入賞ラインに図柄が揃うと、その図柄に応じた枚数のメダルが払出される。また有効化された入賞ラインに特定の図柄が揃うと、後述するビッグボーナスゲーム(BBゲーム)やレギュラーボーナスゲーム(RBゲーム)に切換えられる。
【0018】
入賞ラインが有効化されると、その有効化された入賞ラインに対応するメダルラインランプ16〜18B(図1参照)が点灯する。入賞ラインL1が有効化された場合は、1メダルラインランプ16が点灯する。入賞ラインL1,L2A,L2Bが有効化された場合は、1メダルラインランプ16と2メダルラインランプ17A,17Bが点灯する。入賞ラインL1,L2A,L2B,L3A,L3Bが有効化された場合は、上記した3つのランプ16,17A,17Bと、3メダルラインランプ18A,18Bが点灯する。
【0019】
次に、リール帯6,8,10の図柄配列について説明する。図5(a)は、リール帯6に配された図柄群を示す。同図(b)はリール帯8に配された図柄群を示し、同図(c)はリール帯10に配された図柄群を示す。
図柄70は、数字の「7」で構成されるビッグボーナス図柄(BB図柄)である。BB図柄が有効な入賞ライン上に3つ揃うとBBゲームが開始される。
図柄71は、「BAR」というアルファベットで構成されるレギュラーボーナス図柄(RB図柄)である。RB図柄が有効な入賞ライン上に3つ揃うとRBゲームが開始される。
図柄72は、「チェリー」の図柄から構成される小役図柄である。このチェリーの小役図柄72は、左表示窓11の上・中・下段のいずかで停止すれば有効な入賞ラインごとに2枚のメダルが払出される。例えばメダルを3枚投入した状態で、チェリーの小役図柄72が左表示窓11の上段に停止したときは、2ラインの有効な入賞ライン(図4のL2AとL3Aのライン)に該当し、4枚のメダルが払出される。このチェリーの小役図柄72は、有効な入賞ライン上に3つ揃うことを要さない(左表示窓11に出現すればよい)ので単図柄とも呼ばれる。
図柄73は、記号「R」を円で囲んだ図柄から構成されるリプレイ図柄である。リプレイ図柄73が有効な入賞ライン上に3つ揃うとリプレイゲームが開始される。リプレイゲームでは、メダルを投入しなくても前回のゲームで有効化された入賞ラインを用いて再びゲームを行うことができる。なおこのリプレイ図柄73は、いわゆるJAC図柄とも称されるものである。この点は後で詳しく説明する。
図柄74は、「リンゴ」の図柄から構成される小役図柄である。この図柄が有効な入賞ライン上に3つ揃うと10枚のメダルが払出される。
また本実施例のスロットマシン1では、有効な入賞ライン上に「7・リンゴ・リンゴ」の順に並んだ場合や、「BAR・リンゴ・リンゴ」の順に並んだ場合に15枚のメダルが払出される。これらの図柄の組合せを以下では「特別小役」という。
なお以下では、有効な入賞ライン上に図柄が3つ揃うこと、有効な入賞ライン上に特別小役図柄の態様で揃うこと、又はチェリー図柄72が左表示窓11に出現することを「入賞」という。
【0020】
次に、スロットマシン1に備えられる種々の表示部、ランプ、ボタン、レバー等について説明する。
図1に示すように、メダル投入口45の左上方には、払出し枚数表示部32とゲーム数表示部31とBB図柄テンパイ表示ランプ30とクレジット表示部20が並んで備えられている。払出し枚数表示部32は、入賞に応じて払出されたメダル枚数を表示する。ゲーム数表示部31は、後述するBBゲームやRBゲームの残りゲーム回数が表示される。また後述するアシストタイムゲーム(以下ATゲームという)の残りゲーム回数が表示される。BB図柄テンパイ表示ランプ30は、各リール5,7,9のうち2つが停止された状態であって、残り1つのリールが停止するとBB図柄70が入賞する可能性がある状態(BB図柄テンパイ状態)で点灯する。
【0021】
クレジット表示部20は、メダルの貯留枚数(クレジット枚数)を表示する。本実施例のスロットマシン1は、メダルを50枚まで貯留可能である。メダルを貯留しておけばゲームを行う際にメダル投入口45にメダルを投入する必要がなく、各ベットボタン22,23,24を操作するだけでメダルを投入できる。MAXベットボタン22は、投入可能な最大のメダル数を投入するボタンである。従って、3枚以上の貯留がある場合に操作されると3枚のメダルが投入される。2枚の貯留がある場合に操作されると2枚のメダルが投入され、1枚の貯留がある場合に操作されると1枚のメダルが投入される。なおBBゲームにおけるボーナスゲームやRBゲームは1枚のメダルしか投入できないゲームなので、2枚以上の貯留がある状態でMAXベットボタン22を操作しても1枚のメダルしか投入されない。1ベットボタン23や2ベットボタン24は、それぞれ1枚又は2枚のメダルが投入されるボタンである。なお各ベットボタン22,23,24は、メダルの貯留があって各ベットボタンによるメダルの投入が可能なときに点灯する。なお始動レバー25の左下方に備えられているクレジット精算ボタン21を操作することによって、メダルの貯留(クレジット)を解除することができる。この場合、貯留されているメダルが払出される。
【0022】
メダル投入口45の左方に、払出し配当表26が設けられている。払出し配当表26には、各図柄が入賞した際のメダルの払出し枚数等が表示されている。
払出し配当表26の左下方に、始動レバー25が設置されている。メダルを投入して始動レバー25を操作すれば、各リール5,7,9に備えられたステッピングモータ50が駆動する。これによりリール5,7,9が同時に回転を開始する。
始動レバー25の右方に、リール停止ボタン27,28,29(左リール停止ボタン27、中リール停止ボタン28、右リール停止ボタン29)が設置されている。リール停止ボタン27,28,29が操作されると、操作されたボタンに対応するリール5,7,9の回転が停止する。
右表示窓15の右方に、スタートランプ35とメダル投入ランプ37とリプレイランプ39とRBランプ41とBBランプ43が並んで配置されている。スタートランプ35は、始動レバー25が操作可能なときに点灯し、操作不可能なときに消灯する。操作不可能なときとは、例えばリール回転中やメダルが投入されていないときである。メダル投入ランプ37は、メダル投入可能なときに点灯し、メダル投入不可能なときに消灯する。メダル投入不可能なときとは、例えばリール回転中やリプレイゲーム中である。リプレイランプ39は、リプレイ図柄73が入賞したときに点灯し、リプレイゲーム中であることを遊技者に報知する。RBランプ41やBBランプ43は、RBゲーム中やBBゲーム中にそれぞれ点灯する。
【0023】
また前面パネル3の上方部に、液晶表示器44が備えられている。液晶表示器44では、BBゲームやRBゲーム中に様々な表示演出が行われる。例えばBBゲーム中の獲得メダル数を表示する。また液晶表示器44では、ATゲーム中の演出も行われる。
スロットマシン1の最下部には、メダル払出し口33と払出されたメダルの受け皿であるメダル受け皿34が配設されている。またメダル払出し口33の左右には効果音、BGM等を出力する二個のスピーカ46が配設されている。
【0024】
次に図6を参照して、本実施例のスロットマシン1における制御構成を説明する。図6は、メイン制御回路100と表示/音制御回路120とこれらに接続された周辺装置の回路構成を模式的に示したものである。
メイン制御回路100は、CPU101とROM102とRAM103とカウンタ104と入力制御回路105と出力制御回路106等から構成される。これらは、バス線(図示省略)で相互に接続されている。CPU101は、ROM102に格納されている所定の遊技制御プログラムに基づいてスロットマシン1を構成する各装置の動作を統括的に制御する。ROM102に格納されている遊技制御プログラムには、各リール5,7,9の停止位置を決定するための処理(リール停止制御処理)等が包含される。RAM103は、ワークメモリとして使用されるメイン記憶素子であって、取得された乱数値がBB等の当り値と一致した旨の情報(フラグ)を記憶したり(フラグON)、各リール5,7,9の回転位置に関する情報を記憶する。入力制御回路105は、各種装置やスイッチ等から出力された信号を入力し、入力された信号をメイン制御回路100内で処理可能なデータ形式に変換し、変換された信号をCPU101等に出力する。出力制御回路106は、CPU101から出力される各信号を、表示/音制御回路120や各種装置(ステッピングモータ50、ホッパー130等)に対して出力する。またカウンタ104は、所定の数値(本実施例では16383)を上限としたフリーランニングカウンタである。カウンタ104は、CPU101から出力された信号を入力したときにカウントしている値を取得し、取得された値(乱数値)をレジスタに保持する。
【0025】
入力制御回路105には、各ベットボタン22〜24と始動レバー25とリール停止ボタン27〜29と貯留精算スイッチ21が接続されている。これら接続されている部材の説明は上記した。
入力制御回路105には、さらに、メダルセレクタ108と払出しメダルセンサ131とホトセンサ59が接続されている。メダルセレクタ108は、メダル投入口45に投入されたメダルを1枚ずつ検出して検出信号を出力する。払出しメダルセンサ131は、ホッパー130から払出されるメダルを1枚ずつ検出して検出信号を出力する。ホトセンサ59は、各リール5,7,9の遮蔽板60を検出して検出信号(リセットパルス)を出力する。
出力制御回路106には、ステッピングモータ50とホッパー130が接続されている。ステッピングモータ50は、メイン制御回路100が出力した駆動信号や停止信号を入力する。駆動信号を入力することによって回転を開始し、停止信号を入力することによって回転を停止する。
ホッパー130は、メイン制御回路100が出力した信号を入力し、入力された信号に基づいてメダルの払い出しを行う。
【0026】
メイン制御回路100には、表示/音制御回路120が接続されている。表示/音制御回路120は、CPU121とVDP122とROM123とRAM124と入力制御回路125と出力制御回路126等から構成される。CPU121は、メイン制御回路100が出力したコマンドデータを入力制御回路125を介して入力する。そして、入力されたコマンドデータに基づいて各種ランプ(BB図柄テンパイ表示ランプ30等)、各種表示部(クレジット表示部20等)、液晶表示器44及びスピーカ46を全体的に制御する。各種ランプ30は、CPU121が出力制御回路126を介して出力する信号を入力し、入力された信号に基づいて点灯・消灯・点滅する。各種表示部20は、CPU121が出力制御回路126を介して出力する信号を入力し、入力された信号に基づいて各種情報を表示する。スピーカ46は、ROM123に格納されている音源データに基づいてCPU121が作成した信号を入力し、入力された信号に基づいて効果音やBGMを出力する。
VDP122は、CPU121から出力された信号を入力し、入力された信号に基づいて所定の画像を液晶表示器44で表示させる。具体的には、入力された信号に基づいてROM123に格納された各データから表示用データを作成し、作成された表示用データを出力制御回路126を介して液晶表示器44に出力する。
【0027】
次に、メダルが投入(ベット)されてリール5,7,9が回転されてから、その回転が停止されて入賞処理が行われるまでの1回のゲームにおけるメイン制御回路100の遊技処理について説明する。図7に、遊技処理のフローチャートを示す。
メイン制御回路100は、メダルが投入されたか否かを常時監視している(ステップS2)。ここでは、メダルセレクタ108から出力された信号又は各ベットボタン22,23,24から出力された信号を入力すればYESとする。メダルが投入された場合(ステップS2でYESの場合)は、始動レバー25が操作されたか否かを監視する(ステップS4)。ここでは、始動レバー25から出力された信号を入力すればYESとする。始動レバー25が操作された場合(ステップS4でYESの場合)は乱数を取得する(ステップS6)。このステップS6の処理は、CPU101がカウンタ104に信号を出力することによって行う。これによりカウンタ104は、信号を入力した際にカウントしている値(乱数値)を取得し、取得された乱数値をレジスタで保持する。
ステップS6で乱数を取得すると、取得された乱数値が小役や特別小役やBBやRBやリプレイの当り値か否かの判別を行う(ステップS8)。この処理では、まずCPU101がカウンタ104で保持されている乱数値を読込む。そして読み込まれた乱数値がROM102に格納されているテーブルデータの当り値と一致すればYESとし、一致しなければNOとする。ステップS8でYESと判別されると、対応するフラグをONする(ステップS10)。具体的には、取得された乱数値が小役やBB等の当り値であった旨の情報をRAM103で記憶する。フラグをONした場合(ステップS10)は、リール5,7,9の回転を開始する(ステップS12)。この処理は、ステッピングモータ50に対して駆動信号を出力することで行われる。なおステップS8でNOと判別された場合は、フラグをONすることなくステップS12の処理を実行する。
【0028】
ステップS12でリール5,7,9を回転させると、続いてステップS14の処理を実行する。ステップS14では、リール停止ボタン27〜29から出力されたリール停止信号を入力したか否かを監視する。リール停止信号を入力しなかった場合(ステップS14でNOの場合)は、リール停止信号を入力するまで待機する。一方、リール停止信号を入力した場合(ステップS14でYESの場合)は、次に詳述するリール停止制御処理を行う(ステップS16)。
【0029】
図8のフローチャートを参照して、リール停止制御処理を説明する。
まずフラグがONされているか否かを確認する(ステップS30)。即ち、取得された乱数値と当り値が一致した旨の情報(フラグ)がRAM103に格納されているか否かを確認する。フラグがONされている場合(ステップS30でYESの場合)は、そのフラグに対応する図柄を表示窓11等に表示できるか否かを判別する(ステップS32)。メイン制御回路100は、ホトセンサ59から出力された直近の検出信号を入力してからリール停止信号を入力するまでにステッピングモータ50に出力した駆動信号のパルス数が分かっている。メイン制御回路100は、このパルス数に基づいてリール停止信号入力時のリールの回転角度を判断する。リールの回転角度が判断できれば、リール停止信号入力時に表示窓に表示されている図柄が分かる。ステップS32の処理では、リール停止信号入力時に表示窓11等に表示されている図柄又はその図柄より後に表示される4つの図柄の中に、フラグに対応する図柄があるか否を判断する。あると判断される場合はYESとされ、ないと判断される場合はNOとされる。
【0030】
ステップS32でYESの場合は、フラグに対応する図柄が表示窓11等で表示されるようにリール5等の回転を停止する(ステップS34)。即ち、フラグに対応する図柄が入賞するタイミングでステッピングモータ50を停止させる。逆に、フラグに対応する図柄が停止表示不可能と判断された場合(ステップS32でNOの場合)や、フラグがONされていない場合(ステップ30でNOの場合)は、入賞しないタイミングでステッピングモータ50を停止させる(ステップS36)。これにより、入賞しない態様でリール5,7,9のいずれか(どのリール停止ボタン27〜29が操作されたかによって決まる)が停止されることになる。
なおリプレイ図柄73と小役図柄74はいずれのリール5,7,9においても5図柄以上離れて配されていない。従って、これらの図柄のフラグがONされている場合は、いかなるタイミングでリール停止ボタン27〜29を操作しても入賞する。これに対しBB図柄70やRB図柄71やチェリー図柄72は、リール5,7,9において5図柄以上離れて配されているところがある。従って、これらの図柄のフラグがONされている場合は、入賞させるために所定のタイミングでリール停止ボタン27〜29を操作しなければならない。また特別小役図柄(「7・リンゴ・リンゴ」又は「BAR・リンゴ・リンゴ」)を入賞させるためにも、所定のタイミングで左リール停止ボタン27を操作しなければならない。この場合、中リール停止ボタン28と右リール停止ボタン29はどのようなタイミングで操作されてもよい。中リール7と右リール9においては図柄74(リンゴ)が5図柄以上離れて配されていないからである。
【0031】
リール停止制御処理(ステップS16)が終了すると、図7のステップS18へ進む。ステップS18では、全てのリール5,7,9の回転が停止したか否かを判別する。全てのリール5,7,9が停止していない場合(ステップS18でNOの場合)は、ステップS14からの処理を繰り返す。一方、全てのリール5,7,9の回転が停止した場合(ステップS18でYESの場合)は入賞判別を行う(ステップS20)。ここで、いずれかの図柄が入賞していると判断された場合(ステップS20でYESの場合)は入賞処理を行う(ステップS22)。入賞処理は、以下のように行なわれる。BB図柄70やRB図柄71が入賞した場合は、後述するBBゲームやRBゲームを開始する。リンゴ図柄74が入賞した場合は10枚のメダルを払出す。チェリー図柄72が入賞した場合は1ラインごとに2枚のメダルを払出す。特別小役図柄が入賞した場合は15枚のメダルを払出す。リプレイ図柄73が入賞した場合は、当該ゲームで有効化された入賞ラインと同じ入賞ラインを有効化する。この場合、当該ゲームの次のゲームでは上記のステップS2の処理を実行しない。
入賞処理(ステップS22)を行なった場合や入賞しなかった場合(ステップS20でNOの場合)は、ONされたフラグをOFFする。即ち、RAM103で記憶されているフラグ情報(取得された乱数値が当り値であった旨の情報)をクリアする。但し、ここでOFFされるフラグは、小役や特別小役やリプレイのフラグである。従って、ここではBBフラグやRBフラグはOFFされない。BBフラグやRBフラグは、BBゲームやRBゲームが開始されるとOFFされる。このために、BBゲームやRBゲームが開始されるまで、BBフラグやRBフラグは継続してONされたままである。
【0032】
次に図9のフローチャートを参照して、BBゲームにおいてメイン制御回路100が行なう処理を説明する。
BBゲームが開始されると、BB初期化処理を行なう(ステップS40)。この処理は、BBフラグをOFFするとともに、後述する小役回数カウンタやボーナスゲームカウンタの数値をクリアする。またステップS52で記憶される記憶内容もクリアする。なおステップS42からステップS76の処理の中で、ステップS68とS72の処理を除いた処理が行なわれる状態をBBゲームにおける「小役ゲーム」という。
BB初期化処理(ステップS40)を行なうと、メダルが投入されたか否かの判別(ステップS42)、始動レバー26が操作されたか否かの判別(ステップS44)、乱数の取得(ステップS46)が行なわれる。これらの処理は、上述した図7の遊技処理におけるステップS2〜S6と同じ処理である。
次に、取得された乱数値が小役又はJAC(リプレイ)の当り値か否かの判別を行なう(ステップS48)。取得された乱数値が、ROM102に格納されているテーブルデータの小役又はリプレイの当り値と一致するか否かの判別が行なわれる。ここで用いられるテーブルデータには、小役とJACの当り値のみが記憶されている。このため小役ゲームにおいては、小役図柄72、JAC図柄(リプレイ図柄)73、小役図柄74のいずれかが入賞するか、ハズレ(どの図柄も入賞しない)しかなり得えない。即ち、BB図柄やRB図柄が入賞したり、特別小役が入賞したりはしない。なおここで用いられるテーブルデータには、通常遊技状態と比べて小役74の当り値が多く設定されている。このため小役ゲーム中は、小役図柄74が入賞する機会が多いために、遊技者は多くのメダルを獲得できる。なおBBゲーム中にJAC図柄(リプレイ図柄)73が入賞することは、後述するボーナスゲームを開始するための条件になっている(リプレイゲームは行なわない)。このためBBゲーム中は「リプレイ図柄」という表現を用いずに、「JAC図柄」という表現を用いる。
【0033】
乱数値が小役又はJACの当り値の場合(ステップS48でYESの場合)は、フラグON処理(ステップS50)を実行した後にステップS52に進む。乱数値が小役又はJACの当り値で無い場合(ステップS48でNOの場合)は、ステップS50をスキップしてステップS52に進む。ステップS52では、ステップS50でONされたフラグの種類をRAM103の所定のアドレスで累積して記憶する処理を実行する。またステップS50でフラグがONされなかった場合(ステップS48でNOの場合)は、どのフラグもONされなかった旨(ハズレの旨)を記憶する。図10に、ステップS52の処理によって記憶される内容の一例を示す。ONされたフラグの種類(又はハズレの旨)が小役ゲームの回数に対応づけて記憶されている。
ステップS52の処理を行なうと、次にリール5,7,9の回転処理を行なう(ステップS54)。このステップS54からステップS60までの処理は、上記したステップS12〜S18の処理と同じであるために、ここでの説明を省略する。
リール5,7,9が全て停止すると(ステップS60でYESの場合)、小役回数カウンタの加算処理を実行する(ステップS62)。この処理は、RAM103に記憶されている小役回数カウンタの値を+1することによって行なわれる。小役回数カウンタの加算処理を行なうと、次に、JAC図柄73が入賞したか否かを判別する(ステップS64)。JAC図柄73が入賞した場合(ステップS64でYESの場合)は、次に説明するボーナスゲームを開始する(ステップS68)。
【0034】
ボーナスゲーム中における1回の遊技処理は、基本的には図7と図8に示す処理と同様に行なわれる。但しボーナスゲーム中は、メダルを1枚しか投入(ベット)できない。即ち、ボーナスゲーム中の有効な入賞ラインは図4(a)に示したL1のラインのみである。またボーナスゲームにおいて、取得された乱数値が当り値か否かを判別するために用いるテーブルデータには、JACの当り値のみが記憶されている。従ってボーナスゲーム中は、JAC図柄73の入賞、あるいは、ハズレのいずれかしかなり得ない(しかもハズレになる確率は低く設定されている)。ボーナスゲーム中にJAC図柄73が入賞すると15枚のメダルが払出される。1回のボーナスゲームは、JAC図柄73が8回入賞するか、12回のゲームを行なうか、のいずれかを満たしたときに終了する。遊技者は、1回のボーナスゲームの間に約110枚のメダルを獲得することができる。
ボーナスゲームが終了すると、ボーナスゲームカウンタを加算する処理を実行する(ステップS72)。この処理では、RAM103に記憶されているボーナスゲームカウンタの値を+1する。
【0035】
上記のステップS64でJAC図柄73が入賞しなかった場合(ステップS64でNOの場合)は、小役図柄72,74が入賞したか否かの判別を行なう(ステップS66)。小役図柄72,74が入賞した場合(ステップS66でYESの場合)はメダルを払出す(ステップS70)。小役図柄72が入賞した場合は入賞ライン毎に2枚のメダルを払出し、小役図柄74が入賞した場合は10枚のメダルを払出す。ステップS70の処理を行うとステップS74に進む。ステップS66でNOと判別された場合やステップS72の処理を行なった場合もステップS74に進む。ステップS74では、ステップS50でONされたフラグをOFFする処理を行なう。
【0036】
ステップS74の処理が終了すると、BBゲームの終了条件を満たすか否かの判別を行なう。本実施例のBBゲームの終了条件は、ボーナスゲームが3回行なわれるか、小役ゲームが30回行なわれるかのいずれかである。従って、このステップS76では、小役回数カウンタの値が30に達している場合、又はボーナスゲームカウンタの値が3に達している場合にYESと判別される。これに対し、小役回数カウンタが30未満であり、かつ、ボーナスゲームカウンタが3未満の場合はNOと判別される。ステップS76でYESと判別されると、次に説明するATゲーム決定処理(ステップS78)を行なう。ステップS76でNOと判別されるとステップS42に戻る。
【0037】
図13に、ATゲーム決定処理のフローチャートを示す。ATゲーム決定処理では、まず当該BBゲームが、ボーナスゲームが3回行なわれることなく終了したか否かを判別する(ステップS100)。この処理は、ボーナスゲームカウンタの値を確認することによって行なう。ボーナスゲームカウンタの値が3未満であればYESと判別し、ボーナスゲームカウンタの値が3であればNOと判別する。ステップS100でNOと判別された場合は、ATゲームを行なわないことを決定し(ステップS106)、BBゲームを終了する。
【0038】
ステップS100でYESと判別された場合は、ステップS52で記憶された記憶内容を参照して、次の条件1又は条件2に当てはまるか否かを判別する(ステップS102)。
(条件1)当該BBゲームにおける16回目以降の全ての小役ゲームでJAC図柄73のフラグがONされなかった。
図11に、この条件1に該当する場合の記憶内容の一例を示している。図11の記憶内容によると、16回目以降にJAC図柄73のフラグがONされていない。この例では、4回目と5回目と9回目と12回目にJAC図柄73のフラグがONされている。従って、ボーナスゲームが3回行なわれたようにも思われる。しかしながら本実施例のスロットマシン1では、いわゆる「リプレイ(JAC)ハズシ」が可能である。「リプレイハズシ」とは、JAC図柄73のフラグがONされているときに、遊技者が所定の順番及び/又はタイミングでリール停止ボタン27,28,29を操作することによって、JAC図柄が入賞しないようにリール5,7,9が停止されることをいう。本実施例では、右・中・左の順にリール停止ボタン27,28,29が操作されると、JAC図柄が入賞しないようにリール5,7,9を停止させる。このようにリプレイハズシを可能とすることによって、遊技者は、小役ゲームの残り回数がかなりある場合に3回目のボーナスゲームに突入することを回避することができる。これにより、小役ゲームを多くの回数行なうことができるようになり、遊技者がBBゲームをより楽しむことができるようになっている。上記図11の記憶内容は、JAC図柄73のフラグが4回ONされているにもかかわらずボーナスゲームカウンタが3未満であることから、「リプレイハズシ」が行なわれたことを示している。
【0039】
ステップS102で確認されるもう一つの条件を次に示す。
(条件2)当該BBゲームにおける小役ゲーム中にJAC図柄73のフラグが2回以下しかONされなかった。
図12に、この条件2に該当する場合の記憶内容の一例を示している。図12の例では、JAC図柄73のフラグが2回しかONされていない。従って、当該BBゲームではボーナスゲームを多くとも2回しか行なうことができない。即ち、「リプレイハズシ」を1回も実行しなかったとしても、3回のボーナスゲームを行なうことができない。
【0040】
ステップS102において上記の条件1又は条件2を満たさないと判別した場合(NOの場合)は、ATゲームを行なわないことを決定する(ステップS106)。これに対し、どちらかの条件を満たすと判別された場合(YESの場合)は、ATゲームの回数を抽選する(ステップS104)。この処理は、所定のランニングカウンタの数値(乱数値)を取得し、取得された乱数値に対応づけて記憶されている回数に決定する。この乱数値とATゲームの回数との関係はROM102に記憶されている。ステップS104で決定されるゲーム数は、10・30・50・100回のいずれかである。
ステップS104を行なうとBBゲーム処理を終了する。そしてBBゲーム終了後に、ステップS104で決定された回数分のATゲームが行なわれる。
なお本実施例のBBゲームの間に遊技者が獲得する平均的なメダル数は約360枚である。即ち、BBゲームの間に払出されるメダル数の合計から投入されたメダル数の合計を減算すると、平均して約360枚という値が算出される。
【0041】
次に、ATゲームの内容について説明する。
ATゲーム中の遊技処理は、基本的には図7,8に示すフローチャートと同じ処理で行なわれる。但しATゲーム中は、どちらかの特別小役(「7・リンゴ・リンゴ」又は「BAR・リンゴ・リンゴ」)のフラグがONすると、液晶表示器44においてONされた特別小役図柄が報知される点が異なる(フラグON時に液晶表示器44に図柄「7」又は図柄「BAR」が表示される)。上述のリール停止制御で説明したように、特別小役図柄を入賞させるためには、所定のタイミングで左リール停止ボタン27を操作しなければならない。通常の遊技中には特別小役図柄が報知されないために、遊技者は左リール停止ボタン27を特別小役図柄が入賞するタイミングで操作すべきか否かを知り得ない。従って、通常遊技中は、特別小役図柄を入賞させることは困難である(特別小役図柄の取りこぼしが生じ易い)。ATゲーム中は特別小役図柄が報知されるので、遊技者は、特別小役図柄が入賞するタイミングでリール停止ボタン27を操作すべきことを認識できる。このため遊技者は、当該特別小役図柄が入賞するタイミングで左リール停止ボタン27を操作することによって、通常遊技中よりも多くの特別小役図柄を入賞させることができ、多くのメダルを獲得することできる。本実施例のスロットマシン1では、ATゲームの1ゲーム当りのメダル獲得枚数は平均3枚である。従って、最大である100回のATゲームを行なうと、その間に約300枚のメダルを遊技者は獲得することができる。
なおRBゲームのゲーム内容は上述のBBゲーム中のボーナスゲームと同じである。RBゲームは、ボーナスゲームを1回行なうと終了する。
【0042】
以上、詳細に説明したように、本実施例のスロットマシン1によると、上記の条件1又は2を満たした上でボーナスゲームに3回切換えられることなくBBゲームが終了すると、当該BBゲーム後にATゲームが行なわれる。遊技者は、偶発的にボーナスゲームが3回行なわれることなくBBゲームが終了したことによって獲得し損ねたメダル数を、ATゲームを行なうことで補填できる。このため遊技者は、悪い印象を持たないでスロットマシン1を楽しむことができる。
また1回のボーナスゲームの間に獲得できるメダル数は約110枚程度であるのに対して、最大回数のATゲームを行なうと約300枚のメダルを獲得することができる。従って、ATゲームの間に遊技者が獲得できるメダル数が、3回のボーナスゲームを行なうことなくBBゲームが終了したことによって当該BBゲームの間に遊技者が獲得し損ねたメダル数よりも大きくなる場合がある。これにより、遊技者は、BB中に「偶発的にボーナスゲームに3回切換えられることなくBBゲームが終了して欲しい」と願いながらゲームを行なうようになる。このために、従来よりもBBゲームを楽しむことができる。
またスロットマシン1は、ATゲームの回数が抽選によって決定されることによって、よりゲーム性が増している。このために、遊技者はより楽しんでゲームを行なうことができる。
【0043】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上記実施例ではATゲームの回数を抽選によって決定しているが、次のように計算して決定してもよい。
(1)BBゲームの間に遊技者が獲得したメダル数を算出する。
例えばボーナスゲームが2回行なわれただけで終了したBBゲームの間に遊技者が獲得したメダル数が260枚だったとする。
(2)BBゲームの間に遊技者が獲得する平均的なメダル数(本実施例では)360枚から(1)で算出された獲得メダル数を減算する。(1)の例だと、360−260=100と算出される。
(3)(2)で算出された値を、ATゲームの1ゲーム当りのメダル獲得枚数(本実施例では3枚)で除算した値を算出する。(2)の例だと、100÷3=約33と算出される。ここで算出された値をATゲームの回数に決定する。このようにすると、BBゲームの間に遊技者が獲得し損ねたメダル数が、ATゲームによって完全に補填されることになる。
【0044】
本実施例のスロットマシン1はメダルを用いて遊技を行なうものであるが、本発明は、パチンコの遊技球を用いて遊技を行なうスロットマシン等にも適用し得るものである。
またBBゲームの終了条件は実施例のものに限定されない。例えば、小役ゲームが20回行なわれるか、ボーナスゲームが2回行なわれるとBBゲームが終了するスロットマシンにも本技術は適用できる。
また本実施例では、条件1又は2を満たした上でボーナスゲームに3回切換えられることなくBBゲームが終了すると、ATゲームが必ず開始されるようにしている。しかしながら、条件1又は2を満たした上でボーナスゲームに3回切換えられることなくBBゲームが終了すると、ATゲームを行なうか否かを抽選によって決定するようにしてもよい。このようにすると、ゲーム性が増したより面白みのあるスロットマシンになる。なおこの抽選では、ATゲームが行なわれる確率を高く設定することが好ましい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のスロットマシンの正面図を示す。
【図2】図柄表示装置の斜視図を示す。
【図3】リールの斜視図を示す。
【図4】表示窓と入賞ラインを模式的に表した図を示す。
【図5】リールに配される図柄配列を示す。
【図6】スロットマシンの制御構成を示す。
【図7】1回のゲームにおける遊技処理のフローチャートを示す。
【図8】リール制御処理のフローチャートを示す。
【図9】BBゲームにおける遊技処理のフローチャートを示す。
【図10】記憶される内容の一例を示す。
【図11】記憶される内容の一例を示す(第1条件を満たす例)。
【図12】記憶される内容の一例を示す(第2条件を満たす例)。
【図13】ATゲーム決定処理のフローチャートを示す。
【符号の説明】
1:スロットマシン
3:前面パネル
5:左リール
7:中リール
9:右リール
11:左表示窓
13:中表示窓
15:右表示窓
25:スタートレバー
27:左リール停止ボタン
28:中リール停止ボタン
29:右リール停止ボタン
45:メダル投入口
50:ステッピングモータ
59:ホトセンサ
70:BB図柄
71:RB図柄
72:小役図柄(チェリー)
73:リプレイ図柄
74:小役図柄(リンゴ)
100:制御回路
101:CPU
102:ROM
103:RAM

Claims (7)

  1. 図柄表示器で図柄変動が開始されてその図柄変動が停止されることで1ゲームが行われる遊技機であり、
    図柄変動が停止されたときに図柄表示器に所定の図柄の組合せが表示されると遊技者に有利な状態に移行し、
    遊技者に有利な状態は、(1)第1状態と第2状態との間で遊技状態が切換えられ、(2)遊技機が特定の条件を満たすことを前提として図柄変動停止時に図柄表示器に特定の図柄の組合せが表示され、(3)第1状態のゲームにおいて図柄表示器に前記特定の図柄の組合せが表示されると第2状態へ切換えられ、(4)第2状態の終了条件が満たされると第1状態へ切換えられ、(5)第1状態のゲームが第1所定回数行われると又は第1状態から第2状態へ第2所定回数切換えられて当該第2状態の前記終了条件が満たされると終了するものであり、
    遊技機が所定の条件を満たし、かつ、第1状態から第2状態へ第2所定回数切換えられないで遊技者に有利な状態が終了した場合に、当該遊技者に有利な状態の後に遊技者に有利な特定状態に移行することを特徴とする遊技機。
  2. 1ゲーム毎に決定される内部状態に基づいて図柄変動が停止されるものであって、前記第1状態のゲームで所定の内部状態に決定されたときにのみ当該ゲームで図柄表示器に前記特定の図柄の組合せが表示される可能性がある請求項1に記載の遊技機であり、
    前記第1状態の間に前記所定の内部状態に決定されたゲームの回数が前記第2所定回数未満であった場合に前記所定の条件を満たしたとすることを特徴とする遊技機。
  3. 1ゲーム毎に決定される内部状態に基づいて図柄変動が停止されるものであって、前記第1状態のゲームで所定の内部状態に決定されたときにのみ当該ゲームで図柄表示器に前記特定の図柄の組合せが表示される可能性がある請求項1に記載の遊技機であり、
    前記第1状態のゲームが第3所定回数行われた後の残り全ての前記第1状態のゲームで前記所定の内部状態に決定されなかった場合に前記所定の条件を満たしたとすることを特徴とする遊技機。
  4. 遊技機が所定の条件を満たし、かつ、第1状態から第2状態へ第2所定回数切換えられないで遊技者に有利な状態が終了した場合の当該遊技者に有利な状態の間に遊技者が獲得した遊技媒体数と、当該遊技者に有利な状態の後に移行した遊技者に有利な特定状態の間に遊技者が獲得した遊技媒体数とを加算した値が、遊技者に有利な状態の間に遊技者が獲得する平均的な遊技媒体数に近似することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の遊技機。
  5. 遊技機が所定の条件を満たし、かつ、第1状態から第2状態へ第2所定回数切換えられないで遊技者に有利な状態が終了した場合の当該遊技者に有利な状態の間に遊技者が獲得した遊技媒体数と、当該遊技者に有利な状態の後に移行した遊技者に有利な特定状態の間に遊技者が獲得した遊技媒体数とを加算した値が、遊技者に有利な状態の間に遊技者が獲得する平均的な遊技媒体数よりも多いことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の遊技機。
  6. 前記遊技者に有利な特定状態のゲームの回数が抽選によって決定されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の遊技機。
  7. 図柄表示器で図柄変動が開始されてその図柄変動が停止されることで1ゲームが行われる遊技機であり、
    図柄変動が停止されたときに図柄表示器に所定の図柄の組合せが表示されると遊技者に有利な状態に移行し、
    遊技者に有利な状態は、(1)第1状態と第2状態との間で遊技状態が切換えられ、(2)1ゲーム毎に行なわれる抽選の結果が特定の条件を満たすことを前提として図柄変動停止時に図柄表示器に特定の図柄の組合せが表示され、(3)第1状態のゲームにおいて図柄表示器に前記特定の図柄の組合せが表示されると第2状態へ切換えられ、(4)第2状態の終了条件が満たされると第1状態へ切換えられ、(5)第1状態のゲームが第1所定回数行われると又は第1状態から第2状態へ第2所定回数切換えられて当該第2状態の前記終了条件が満たされると終了するものであり、
    第1状態の間の各ゲームの抽選履歴が所定の条件を満たし、かつ、第1状態から第2状態へ第2所定回数切換えられないで遊技者に有利な状態が終了した場合に、当該遊技者に有利な状態の後に遊技者に有利な特定状態に移行することを特徴とする遊技機。
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