JP2004154393A - 搬送装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性かつ非磁性の材料より成る被搬送体を適正な搬送速度で搬送することができる搬送装置を得る。
【解決手段】コイン搬送装置10では、被磁性かつ導電性のコイン20が転動または滑動しつつ搬送される搬送レール12の排出部12A近傍に渦電流ブレーキ22が配設されている。渦電流ブレーキ22は、搬送レール12を挟んで配置されたマグネット24、26間に磁界が生じており、この磁界をコイン20が通過するときには電磁誘導によって該コイン20に誘導電流である渦電流を生じさせ、この渦電流と磁界との間に生じる制動力によってコイン20を減速させる。この制動力はコインが磁界を通過する速度に比例するため、制動前の搬送速度に依らず、制動後のコイン20の搬送速度が安定する。
【選択図】 図1
【解決手段】コイン搬送装置10では、被磁性かつ導電性のコイン20が転動または滑動しつつ搬送される搬送レール12の排出部12A近傍に渦電流ブレーキ22が配設されている。渦電流ブレーキ22は、搬送レール12を挟んで配置されたマグネット24、26間に磁界が生じており、この磁界をコイン20が通過するときには電磁誘導によって該コイン20に誘導電流である渦電流を生じさせ、この渦電流と磁界との間に生じる制動力によってコイン20を減速させる。この制動力はコインが磁界を通過する速度に比例するため、制動前の搬送速度に依らず、制動後のコイン20の搬送速度が安定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コイン等の導電性かつ非磁性の被搬送体を搬送するための搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、貨幣やコインを投入して商品を購入する自動販売機、コイン(またはメダル)を直接的に使用して遊戯を行なうパチスロ機、またはコインが投入されると遊戯球を貸し出すコイン玉貸し機や両替機、コインを回収して洗浄する洗浄装置では、内部に投入された貨幣やコイン(以下、コイン等という)を所定の貯蔵部や処理部、返却部等まで搬送するための搬送装置を備えている。
【0003】
このような搬送装置では、重力方向に傾斜して配置されコイン等が自走して移動可能なレールを1つまたは複数備えている。この搬送装置による搬送経路の途中や最下流部(レールの端部や中間部、または複数のレール間)には、例えば、コインを回収する装置(貯蔵部)、コイン等の種類を識別する識別装置、この識別結果に応じて異なる種類のコイン等をそれぞれ異なる経路に移動させる選別装置、投入されたコイン数を計数(種類ごとに計数)する計数装置等の各種装置が必要に応じて配設されている。
【0004】
図6には、一例としてコイン等を回収するためのコインホッパへのコイン等の供給(回収)過程に配設されたコイン搬送装置が示されている。コイン搬送装置は、重力方向に対し傾斜した搬送レール100を備えている。搬送レール100は、長手方向端部から見て略U字状に形成されており、コイン102が一対のレール壁104間で案内されつつ底部106上を転動するようになっている。
【0005】
搬送レール100の搬送方向下流側端部100Aの下方にはコインホッパ108が配置されており、コイン102は搬送レール100の端部100Aからコインホッパ108へ供給される構成である。そして、搬送レール100の重力方向に対する傾斜角θによって、コイン102の端部100Aからコインホッパ108への供給速度が所定の速度範囲内となる構成である。
【0006】
しかしながら、このコイン搬送装置では、構造がきわめて簡単であるが、例えば、コイン102や搬送レール100が摩耗したり汚れたりすると、コイン102と搬送レール100との間の摩擦係数(搬送抵抗)が変化してコイン102のコインホッパ108への供給速度が変化する。このため、例えば、新品のコイン102や摩耗したり汚れが付着したコイン102が混在して使用される場合に、コイン102ごとのコインホッパ108への供給速度が大きく異なってしまう。この供給速度の相違に基づくコイン102の供給放物線(落下軌跡)のばらつきを吸収して各種コイン102を確実に回収するためには、主に搬送方向に大型のコインホッパ108を採用しなければならない。
【0007】
以上例示したように、コイン搬送装置におけるコイン等の搬送速度にばらつきがあると、コイン搬送装置のレール内でコイン等が暴走する恐れがあり、例えば、コイン等の識別、選別、伝導(次のレールへの受け渡し等)、排出等が適正に為されなくなり、上記コインホッパ108を大型化する等、コインの搬送経路に配置される装置側で対策が必要となってしまう。これを避けるためにコイン搬送装置には、コイン等の搬送速度、すなわちコイン等の上記各種装置の通過速度や各種装置への供給(排出)速度を、該各種装置の機能を適正に果たさせるために適した速度とすることが求められている。
【0008】
そこで、コインの搬送速度を適正にするために磁力ブレーキを備えた搬送装置が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0009】
特許文献1には、ゲーム用コイン選別装置に適用された搬送装置が記載されており、この搬送装置は、重力方向に対し傾斜して配置されコインを基準走行速度で転動させる傾斜レールと、傾斜レールによる搬送経路上に配置された制動用磁石と、制動用磁石に対向配置された磁路鋼板とを備えている。そして、この搬送装置は、弱磁性の正コインを搬送する場合には、該正コインを制動用磁石の磁力によって減速し、傾斜レールの出口端に配置された案内用磁石の磁力によって適正な搬送経路に案内(正コインとして選別)する構成である。一方、非磁性の不正コインを搬送する場合には、この不正コインは制動用磁石によって減速されずに正コインとは別の搬送軌跡上を移動して返却されるようになっている。
【0010】
一方、特許文献2には、パチンコ玉等の遊技球に関するものであるが、遊技球の搬送装置に組み込まれ該遊技球を連続放出するための歯車に磁力ブレーキを設けた構成が記載されている。この構成では、遊技球が転動する整列樋の中間部に歯車が設けられている。この歯車は、その歯間に遊技球が係合可能とされており、非回転状態では遊技球の移動を規制し、回転して遊技球を下流側へ放出する構成である。この歯車は、放出すべき遊技球(賞球)の残数が所定数以下となると制動手段によって減速され、放出が終了すると停止手段によって停止される。制動手段は、歯車と一体に回転する鉄板を板厚方向から挟むように配置された電磁石を備えて構成されており、電磁石が作動して生じる磁力によって円板を吸引して歯車を減速する構成である。これにより、歯車は、その停止時に作用する荷重が緩和される。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−176250号公報
【特許文献2】
実開昭60−20281号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した自動販売機やパチスロ機等の遊技機、コイン玉貸し機、コイン洗浄装置等で使用されるコインは、通常、非磁性かつ導電性の材料(例えば、ニッケル合金等)にて構成されている。
【0013】
しかしながら、上記特許文献1記載の搬送装置では、制動手段として、その制動対象(被搬送体)が磁性を有する弱磁性コインである磁力ブレーキが使用されているため、通常非磁性材にて構成されるコイン等の適正な制動を果たすことができなかった。すなわち、この搬送装置は、不正コインを排除するために弱磁性を有する特殊なコインを正コインとして使用することを前提とし、該弱磁性の正コインのみを磁力ブレーキにて減速するものであり、非磁性のコイン等に対する制動については何ら考慮されていなかった。
【0014】
また、上記特許文献2記載の構成では、搬送対象である遊技球を直接的に減速することがなく、また、制動手段として、その制動対象が磁性を有する鉄板である磁力ブレーキを用いており、非磁性のコイン等に対する制動については何ら考慮されていない点で、特許文献1記載の構成と全く同様であった。
【0015】
さらに、単に磁力に基づく吸引力によって磁性材であるコイン等を制動する磁力ブレーキを備えた上記各搬送装置では、制動後におけるコイン等の速度が安定しないという問題があった。特に、塵埃の付着等によって制動前のコイン等の搬送速度が小さいと、該コイン等(磁性を有するコイン等)が磁石に吸着されて停止してしまう場合があり、コイン等の搬送を阻害する詰まり等の原因となる。
【0016】
本発明は上記事実を考慮して、導電性かつ非磁性の材料より成る被搬送体を適正な搬送速度で搬送することができる搬送装置を得ることが目的である。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る搬送装置は、円板状に形成され導電性かつ非磁性の被搬送体が、転動または滑動しつつ搬送される搬送路と、前記搬送路上における前記被搬送体の搬送経路に該搬送方向と交差する方向の磁界を発生し、該磁界を通過する前記被搬送体に生じる誘導電流と前記磁界との間に作用する制動力によって該被搬送体を減速させる制動手段と、を備えている。
【0018】
請求項1記載の搬送装置では、円板状に形成され導電性かつ非磁性の被搬送体を、搬送路上で転動または滑動させつつ該搬送走路によって規定される搬送径路に沿って搬送する。この搬送経路には制動手段が配設されており、制動手段は被搬送体の搬送方向と交差する方向の磁界を発生する。なお、磁界の方向は、搬送方向に対し直交していることが望ましい。
【0019】
この磁界を被搬送体が通過するときには、導電性である被搬送体には、電磁誘導によって誘導起電力が生じ誘導電流(円板状に形成された被搬送体では渦電流)が流れる。そして、この渦電流と磁界との間には、被搬送体の搬送(移動)方向とは反対方向の制動力が作用し、この制動力によって被搬送体が減速される。
【0020】
この制動力は、被搬送体が磁界を通過する速度(磁界との相対速度)に比例するため、被搬送体の減速前における搬送速度の大小に拘わらず、該制動力による減速後には被搬送体の搬送速度が安定する。また、この制動力は、磁界の強さに対応する磁束の2乗に比例するため、磁界の強さに応じて所望(範囲)の搬送速度を得ることができる。すなわち、要求される(減速後の)搬送速度に応じて磁界の強さ(磁束)を設定すれば良い。
【0021】
また、非磁性体である被搬送体が制動手段の磁力によって吸着されることがないため、搬送路上で被搬送体の詰まり生じることもない。
【0022】
このように、請求項1記載の搬送装置では、導電性かつ非磁性の材料より成る被搬送体を適正な搬送速度で搬送することができる。
【0023】
請求項2記載の発明に係る搬送装置は、請求項1記載の搬送装置において、前記制動手段を、前記搬送路の搬送方向下流端の近傍に配置した、ことを特徴としている。
【0024】
請求項2記載の搬送装置では、搬送路の搬送方向下流端の近傍に制動手段が配置されているため、被搬送体は、上記制動後の安定した搬送速度で搬送路から排出される。これにより、搬送路の下流端から排出された被搬送体を、案定した速度で次工程(例えば、識別、選別、別の搬送路への受け渡し、貯蔵等)に供給することができる。
【0025】
請求項3記載の発明に係る搬送装置は、請求項1または請求項2記載の搬送装置において、前記制動手段は、前記搬送路を挟んで配置された永久磁石と磁性体との間に前記磁界を発生する、ことを特徴としている。
【0026】
請求項3記載の搬送装置では、制動手段が搬送路を挟んで配置された永久磁石と磁性体とを含んで構成されており、この永久磁石と磁性体との間に上記搬送径路上で搬送方向に交差する磁界を発生するため、構造が簡単である。また、制動手段へのエネルギ供給や制御(配線等)が不要であり、メンテナンスフリーとすることができる。
【0027】
なお、永久磁石との間に搬送路を挟む磁性体は、この永久磁石の反対側の磁極部分であっても良く、別の永久磁石であっても良いことは言うまでもない。
【0028】
請求項4記載の発明に係る搬送装置は、請求項1または請求項2記載の搬送装置において、前記制動手段は、前記搬送路を磁極間に挟んで配置された電磁石によって前記磁界を発生する、ことを特徴としている。
【0029】
請求項4記載の搬送装置では、制動手段が磁極間に搬送路を挟んで配置された電磁石を含んで構成されており、この電磁石によって上記搬送径路上で搬送方向に交差する磁界を発生するため、例えば、該電磁石へ通電する電流(すなわち、磁束)を変化させて上記制動力を調整する等の制御が可能となる。このため、上記制動後の搬送速度を一層安定させることも可能である。
【0030】
請求項5記載の発明に係る搬送装置は、請求項4記載の搬送装置において、前記搬送路は、複数種類の前記被搬送体を搬送可能であり、前記制動手段は、前記複数種類の前記被搬送体の種類を識別する識別手段からの識別信号に基づいて前記電磁石へ通電する電流値を変化させる制御手段を有する、ことを特徴としている。
【0031】
請求項5記載の搬送装置では、例えば、搬送路上で整列(縦列)し、または搬送路の長手方向に離間した(搬送路上の所定点を異なる時間に通過する)複数種類の被搬送体が、該搬送路によって搬送される。そして、制御手段が、被搬送体の種類を識別(判別)する識別手段からの識別信号に基づいて、電磁石へ通電する電流値を変化させる(ある被搬送体の通過時に通電しない場合を含む)。
【0032】
これにより、例えば、大きさや重さの異なる被搬送体の制動(ある被搬送体に対し制動しない場合を含む)後の搬送速度を略一定としたり、異なる被搬送体の制動後の搬送速度(搬送路からの排出速度)を異ならせて被搬送体の選別機能を果たさせたりすることが可能となる。
【0033】
請求項6記載の発明に係る搬送装置は、請求項4または請求項5記載の搬送装置において、前記制動手段は、前記被搬送体が前記磁界を通過するときに前記電磁石に通電する第2制御手段を有する、ことを特徴としている。
【0034】
請求項6記載の搬送装置では、例えば、被搬送体が搬送路へ供給されたことや被搬送体が搬送路の所定点に達したことを検出する検出手段の検出結果に基づいて、または、搬送路上に配設されたスイッチを被搬送体が操作して、この被搬送体が電磁石の磁極間を通過するときに第2制御手段が該電磁石に通電する。これにより、電磁石には常時通電している必要がなくなるため、上記請求項4または請求項5記載の電磁石による機能を維持しつつ、消費電力が抑制される。
【0035】
なお、請求項5に従属する場合において第2制御手段が制御手段に組み込まれていても良いことは言うまでもない。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態に係るコイン搬送装置10について、図1乃至図3に基づいて説明する。
【0037】
図1には、コイン搬送装置10が側面図にて示されている。この図に示される如く、コイン搬送装置10は、搬送レール12を備えている。搬送レール12は、略直線状に形成され、重力方向(図1の紙面上下方向)に対し傾斜角θだけ傾いた状態で、図示しない機台に固定されている。
【0038】
図2に示される如く、搬送レール12は、上方が開口した断面視略U字状(コ字状)に形成されており、互いに対向する一対のレール壁14、16と、レール壁14、16を連結する搬送路としての底板部18とを備えている。また、搬送レール12における上記傾斜によって下側に位置する長手方向の一端部は、該長手方向に開口した排出部12Aとされている。
【0039】
搬送レール12は、重力(の分力)によって、その底板部18上で被搬送体としてのコイン20を転動または滑動(これらの組合せを含む)させつつ、該コイン20を長手方向に沿って搬送する(移動させる)構成である。このコイン20の搬送レール12の長手方向に沿った(コイン20の自転を無視した)搬送速度を、図1に示す速度Vとする。なお、速度Vは、搬送レール12の長手方向の各位置においてかならずしも一定ではない。
【0040】
また、レール壁14、16は、互いの対向間隔がコイン20の厚みよりも若干大とされており、底板部18からのコイン20の脱落阻止用とされている。すなわち、コイン20は、一対のレール壁14、16間で底板部18の長手方向に沿った搬送経路(軌跡)上を移動するように案内されるようになっている。なお、レール壁14、16の対向間隔は、コイン20の厚みの2倍よりも十分小さく設定されており、厚み方向に積層した複数のコイン20の進入(供給)、搬送を許容しない構成である。
【0041】
以上説明した搬送レール12は、例えばアルミ合金や樹脂材等の非磁性材より成り、一対のレール壁14、16及び底板部18が一体に形成されている。また、この搬送レール12が搬送するコイン20は、例えばニッケル合金等の非磁性かつ導電性の材料より成り、円板状に形成されている。
【0042】
この搬送レール12の排出部12Aの近傍には、制動手段としての渦電流ブレーキ22が配設されている。図2に示される如く、渦電流ブレーキ22は、一対のマグネット24、26を備えている。マグネット24、26は、互いに同形状(大きさ)の永久磁石であり、それぞれ軸方向の一端側がN極で他端側がS極である円柱状に形成されている。
【0043】
マグネット24は、そのN極側の端面が搬送レール12のレール壁14の外面に固着されている。一方、マグネット26は、そのS極側の端面が搬送レール12のレール壁16の外面に固着されている。この状態で、マグネット24とマグネット26とは、互いに同軸的に配置されている。すなわち、搬送レール12をないものと仮定した場合に、マグネット24のN極側端面とマグネット26のS極側端面とが全面に亘り対向した状態とされている。またこの状態で、マグネット24、26の軸芯の底板部18からの高さは、底板部18からコイン20の軸芯までの高さに略一致している。
【0044】
これにより、図3に示される如く、渦電流ブレーキ22では、マグネット24、26間に、マグネット24のN極からマグネット26のS極へ向けた方向(矢印A方向)の磁界Hが発生(作用)している。すなわち、磁界Hの方向は、コイン20の搬送経路を規定する搬送レール12の長手方向に対し直交している。また、磁界Hは、搬送レール12が非磁性体であることにより、基本的にマグネット24、26間にのみ作用している。
【0045】
そして、この磁界Hを導電体であるコイン20が矢印B方向に通過するときには、磁界Hとコイン20の速度V(磁界Hに対する相対速度)とによる電磁誘導によって、コイン20には矢印C方向の誘導起電力が生じる。この誘導起電力によってコイン20には誘導電流である渦電流Iが生じ、この渦電流Iと磁界Hとによってコイン20には(渦電流Iと磁界Hとの間には)、その移動方向である矢印B方向とは反対向きの矢印D方向に制動力Fが作用する。すなわち、渦電流ブレーキ22は、マグネット24、26間を通過するコイン20を非接触で減速させる構成である。
【0046】
この制動力Fは、磁界Hの強さに対応する磁束φと渦電流Iとの積に比例する(F∝φ・I)が、渦電流Iは磁束φとコイン20がマグネット24、26間を通過するときの速度Vとの積に比例する(I∝φ・V)ため、結局、速度Vと磁束φの2乗との積に比例する(F∝φ2・V)。すなわち、渦電流ブレーキ22では、コイン20がマグネット24、26間を通過するときの搬送速度Vが大きいほど大きな制動力Fが得られるようになっている。
【0047】
なお、以上の説明は、コイン20が自転しないで矢印B方向に搬送される場合についてのものであり、コイン20が自転しつつ矢印B方向へ移動する(搬送レール12の底板部18上を転動する)場合には、渦電流Iの方向すなわち制動力Fの作用方向が若干異なるが、この制動力Fはコイン20の自転及び矢印B方向の移動を共に制動(抑制)する方向に作用するため、コイン20の速度Vが大きいほど大きな制動力Fが得られることについては、上記説明の通りである。
【0048】
以上説明したコイン搬送装置10は、コイン20を投入して商品を購入する自動販売機、コイン20を直接的に使用して遊戯を行なうパチスロ機、またはコイン20が投入されると遊戯球を貸し出すコイン玉貸し機や両替機、コイン20を回収して洗浄する洗浄装置等に1つまたは複数適用され、基本的には、搬送レール12に供給されたコイン20を上記各装置の所定の部位(貯蔵部や返却部、識別、選別、洗浄等を行なう各種処理装置等)まで搬送する機能を果たすものであるが、本第1の実施の形態では、説明を簡単にするために、コイン20をコインホッパ28へ回収する構成について説明する。
【0049】
コイン搬送装置10を構成する搬送レール12における排出部12Aの下方には、コインホッパ28が配置されている。コインホッパ28は、コイン搬送装置10が搬送し、排出部12Aから排出したコイン20を回収するものである。すなわち、本第1の実施の形態では、コイン搬送装置10は、搬送レール12によって搬送し渦電流ブレーキ22によって減速したコイン20を、コインホッパ28へ供給する構成とされている。
【0050】
次に、本第1の実施の形態の作用を説明する。
【0051】
上記構成のコイン搬送装置10では、搬送レール12にコイン20が供給されると、該コイン20は、レール壁14、16に案内されて底板部18上を転動または滑動しつつ、搬送速度Vで矢印B方向へ搬送される。
【0052】
コイン20が渦電流ブレーキ22へ至ると、該コイン20は非接触で減速される。具体的には、コイン20がマグネット24、26間に生じている磁界Hを通過するときに、導電体であるコイン20には磁界Hによって渦電流Iが生じ、この渦電流Iと磁界Hとによって矢印D方向の制動力Fが作用する。この制動力Fによって、コイン20は減速されつつマグネット24、26間を通過する。
【0053】
このとき、制動力Fが磁界Hとコイン20との相対速度Vに比例するので、渦電流ブレーキ22は、制動力Fによって減速されるコイン20に作用させる該制動力Fを減じつつ、コイン20の矢印B方向への移動によるマグネット24、26間の通過を許容する。すなわち、コイン20がマグネット24、26間で停止してしまうことがない。
【0054】
マグネット24、26間を通過したコイン20は、搬送レール12の排出部12Aから安定した速度で排出され、すなわちコインホッパ28へ供給され、該コインホッパ28で回収される。
【0055】
ここで、渦電流ブレーキ22は、磁界Hの通過速度Vに比例した制動力Fでコイン20を減速するため、減速前におけるコイン20の搬送速度がコイン20の摩耗や汚れの付着等に起因して異なる場合でも、該制動力Fによる減速後には、コイン20の搬送速度が安定する。
【0056】
特に、コイン搬送装置10では、コインホッパ28へのコイン20の供給端である排出部12Aの近傍に渦電流ブレーキ22を配置しているため、該渦電流ブレーキ22の搬送方向下流(矢印B側)では、異なるコイン20間の搬送レール12に対する搬送抵抗の相違等(例えば動摩擦や転がり摩擦の相違に基づく搬送速度変化要因)の影響が少なく、制動力Fによる減速後の安定した搬送速度である供給速度でコイン20をコインホッパ28へ供給することができる。
【0057】
以上により、搬送レール12の排出部12Aから排出されるコイン20の供給放物線(落下軌跡)のばらつきが小さくなり、小型のコインホッパ28によってコイン20が確実に回収される。換言すれば、コインホッパ28の小型化が図られる。
【0058】
すなわち、コイン搬送装置10では、渦電流ブレーキ22による減速後のコイン20の搬送速度を安定させることができ、例えば、コイン20の識別、選別、別の搬送レール12への受け渡し等の工程にコイン20を供給する場合でも、これらの工程に適した供給速度(減速後の搬送速度V)でコイン20を供給することができる。そして、上記制動力Fが磁束φの2乗に比例するため、各用途にそれぞれ適した磁束(磁力)のマグネット24、26を設けることで、所望(範囲)の供給速度を得ることができる。
【0059】
また、コイン搬送装置10では、マグネット24等が非磁性体であるコイン20を吸着して停止させてしまうことがないため、コイン20は確実にマグネット24、26間を通過し、搬送レール12内でコイン20が詰まることがない。
【0060】
このように、本第1の実施の形態に係るコイン搬送装置10では、導電性かつ非磁性の材料より成るコイン20を適正な搬送速度で搬送することができる。
【0061】
また、渦電流ブレーキ22は、永久磁石であるマグネット24、26によってコイン20の搬送経路に磁界Hを発生する構成であるため、構造がきわめて簡単である。そして、渦電流ブレーキ22は、エネルギ供給や制御(配線等)が不要であり、メンテナンスフリーとすることができる。
【0062】
なお、上記第1の実施の形態では、渦電流ブレーキ22が一対のマグネット24、26によって構成された好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、一方のマグネット26に代えて強磁性体より成る磁界形成部材(例えば、鉄板等)を配置しても良い。
【0063】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るコイン搬送装置50について図4及び図5に基づいて説明する。なお、上記第1の実施の形態と基本的に同一の部品・部分については、上記第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0064】
図4には、コイン搬送装置50が側面図にて示されている。この図に示される如く、コイン搬送装置50は、搬送レール12を備えている。本第2の実施の形態では、搬送レール12は、コイン20またはコイン30を搬送するようになっている。コイン30は、コイン20と同様に非磁性かつ導電性の材料より成るが、大きさまたは重さがコイン20とは異なっている。本第2の実施の形態では、コイン30はコイン20よりも小径かつ軽量とされている。
【0065】
この搬送レール12の排出部12Aの近傍には、渦電流ブレーキ52が設けられている。渦電流ブレーキ52は、電磁石54を備えている。図5にも示される如く、電磁石54は、強磁性体より成る芯部材56を備えている。芯部材56は、略コ字状に形成されており、一対のアーム部58、60が芯部62によって連結されている。この芯部材56の芯部62には、絶縁導線64が密に巻き回されている。
【0066】
また、アーム部58の先端近傍には強磁性材より成りレール壁14外面に固着されるブロック66が固着されており、アーム部60の先端近傍には強磁性材より成りレール壁16外面に固着されるブロック68が固着されている。すなわち、電磁石54は、その磁極間に搬送レール12によって規定される搬送路を挟んで配置されている。ブロック66、68は、それぞれ円柱状に形成されており、互いに同軸的に配置された状態で上記の通り搬送レール12のレール壁14、16に固着されている。これらのブロック66、68の軸芯の底板部18からの高さは、コイン20の軸芯の底板部18からの高さに略一致している。
【0067】
これにより、渦電流ブレーキ52では、絶縁導線64に電流を供給すると、ブロック66間に磁界Hが発生するようになっている。この供給電流は、直流でも良く交流でも良いが、便宜上、通電時にはブロック66がN極となりブロック68がS極となることとして説明する。すなわち、図3と同様に、磁界Hがレール壁14側からレール壁16側へ向けて作用するものとして説明する。
【0068】
したがって、電磁石54を備えた渦電流ブレーキ52は、絶縁導線64に通電されて磁界Hを発生させている状態では、上記第1の実施の形態に係る渦電流ブレーキ22と全く同様に、制動力F(∝φ2・V)によってコイン20またはコイン30を非接触で減速させる構成である。
【0069】
また、渦電流ブレーキ52は、制御手段及び第2制御手段としての制御回路70を備えている。この制御回路70には、絶縁導線64の両端部がそれぞれ電気的に接続されている。また、制御回路70は、電源72、コイン検出センサ74、識別手段としてのコイン識別センサ76とも電気的に接続されている。
【0070】
コイン検出センサ74は、搬送レール12によるコイン20またはコイン30の搬送経路に沿う電磁石54の上流側近傍に配置されており、機械的、電気的、磁気的、または光学的な方法によってコイン20またはコイン30を検出し、検出信号を制御回路70へ出力する構成である。検出信号が入力された制御回路70は、所定時間だけ絶縁導線64(電磁石54)に電流を供給するようになっている。すなわち、渦電流ブレーキ52は、コイン20等がブロック66、68間を通過するときに電磁石54を作動させて磁界Hを発生する構成である。なお、電磁石54の下流にもコイン検出センサ74を設け、該下流側のコイン検出センサ74がコイン20等を検出すると制御回路70が電磁石54への通電を解除する構成としても良い。
【0071】
コイン識別センサ76は、搬送レール12によるコイン20またはコイン30の搬送経路に沿って配置されており、機械的、電気的、磁気的、または光学的な方法によってコイン20またはコイン30を検出し、コイン20を検出した場合とコイン30を検出した場合とで異なる信号(識別信号)を制御回路70へ出力する構成である。そして、制御回路70は、識別信号に基づいてコイン20が搬送されていると判断した場合と、コイン30が搬送されていると判断場合とで絶縁導線64(電磁石54)に通電する電流値を異ならせる構成となっている。本第2の実施の形態では、コイン20が搬送されている場合の供給電流i1をコイン30が搬送されている場合の供給電流i2よりも大きくする(i1>i2)ようになっている。すなわち、渦電流ブレーキ52は、コイン20を搬送している場合には大きな磁束φ1を発生して大きな制動力F1でコイン20を減速し、コイン30が搬送されている場合には小さな磁束φ2を発生して小さな制動力F2でコイン30を減速する構成とされている。
【0072】
このコイン搬送装置50は、コイン搬送装置10と同様に、自動販売機、パチスロ機、コイン玉貸し機、両替機、コイン洗浄装置等に適用され、基本的には、搬送レール12に供給されたコイン20またはコイン30を上記各装置の所定の部位(貯蔵部や返却部、識別、選別、洗浄等を行なう各種処理装置等)へ搬送する機能を果たすものである。そして、本第2の実施の形態では、コイン20をコインホッパ28へ回収すると共にコイン30をコインホッパ78へ回収する構成について説明する。
【0073】
コインホッパ78は、コイン20を回収するコインホッパ28よりも、搬送レール12の排出部12Aから離間して(コイン搬送方向のより下流側)配置されており、排出部12Aから排出したコイン30を回収するようになっている。すなわち、本第2の実施の形態では、コイン搬送装置50は、搬送レール12によって搬送したコイン30をコイン20と選別してコインホッパ78へ供給する構成とされている。
【0074】
次に、本第2の実施の形態の作用を説明する。
【0075】
上記構成のコイン搬送装置50では、搬送レール12にコイン20が供給されると、該コイン20は、レール壁14、16に案内されて底板部18上を転動または滑動しつつ、搬送速度Vで矢印B方向へ搬送される。
【0076】
このとき、コイン識別センサ76がコイン20を検出し、コイン20に対応する識別信号を制御回路70に出力する。そして、コイン20がコイン検出センサ74の近傍に至ると、該コイン検出センサ74がコイン20を検出して検出信号を制御回路70に出力する。すると、制御回路70は、電流i1を所定時間だけ電磁石54の絶縁導線64に供給する。
【0077】
これにより、電磁石54のブロック66、68には磁束φ1の磁界Hが発生し、コイン20はこの磁界Hを通過する。すると、導電体であるコイン20には磁界Hによって渦電流I1が生じ、この渦電流I1と磁界Hとによって矢印D方向の制動力F1が作用する。この制動力F1によって、コイン20は非接触で減速されつつブロック66、68間を通過する。
【0078】
そして、制動力F1が磁界Hとコイン20との相対速度Vに比例するので、渦電流ブレーキ52は、制動力F1によって減速されるコイン20に作用させる該制動力F1を減じつつ、コイン20の矢印B方向への移動によるブロック66、68間の通過を許容する。すなわち、コイン20がブロック66、68間で停止してしまうことがない。
【0079】
ブロック66、68間を通過したコイン20は、搬送レール12の排出部12Aから安定した速度で排出され、すなわちコインホッパ28へ供給され、該コインホッパ28で回収される。
【0080】
一方、搬送レール12にコイン30が供給されると、該コイン30は、レール壁14、16に案内されて底板部18上を転動または滑動しつつ、搬送速度Vで矢印B方向へ搬送される。
【0081】
このとき、コイン識別センサ76がコイン30を検出し、コイン30に対応する識別信号を制御回路70に出力する。そして、コイン30がコイン検出センサ74の近傍に至ると、該コイン検出センサ74がコイン30を検出して検出信号を制御回路70に出力する。すると、制御回路70は、電流i1よりも小さい電流i2を所定時間だけ電磁石54の絶縁導線64に供給する。
【0082】
これにより、電磁石54のブロック66、68には磁束φ2の磁界Hが発生し、コイン20はこの磁界Hを通過する。すると、導電体であるコイン20には磁界Hによって渦電流I2が生じ、この渦電流I2と磁界Hとによって矢印D方向の制動力F2が作用する。この制動力F2によって、コイン20は非接触で減速されつつブロック66、68間を通過する。
【0083】
そして、制動力F2が磁界Hとコイン30との相対速度Vに比例するので、渦電流ブレーキ52は、制動力F2によって減速されるコイン30に作用させる該制動力F2を減じつつ、コイン30の矢印B方向への移動によるブロック66、68間の通過を許容する。すなわち、コイン30がブロック66、68間で停止してしまうことがない。
【0084】
ブロック66、68間を通過したコイン30は、搬送レール12の排出部12Aから安定した速度で排出されるが、制動力F2が制動力F1よりも小さいためコイン20よりも排出(供給)速度が大きく、コイン20を回収するコインホッパ28よりも排出部12Aから大きく離間したコインホッパ78へ供給される。すなわち、コイン30が該コインホッパ78で回収される。
【0085】
本第2の実施の形態に係るコイン搬送装置50によっても、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。すなわち、磁界Hの通過速度Vに比例した制動力Fでコイン20またはコイン30を減速する渦電流ブレーキ52では、減速前におけるコイン20等の搬送速度がコイン20等の摩耗や汚れの付着等に起因して異なる場合でも、該制動力Fによる減速後には、コイン20またはコイン30の搬送速度が安定する。また、この渦電流ブレーキ52が排出部12Aの近傍に配置されているため、該渦電流ブレーキ52の下流側における搬送速度変化要因の影響が少なく、制動力Fによる減速後の安定した搬送速度である供給速度でコイン20、30をコインホッパ28、78へ供給することができる。
【0086】
以上により、搬送レール12の排出部12Aから排出されるコイン20、30それぞれの供給放物線(落下軌跡)のばらつきが小さくなり、それぞれ小型のコインホッパ28、78によってコイン20、30が確実に回収される。換言すれば、コインホッパ28、78の小型化が図られる。このように、コイン搬送装置50では、渦電流ブレーキ52による減速後のコイン20、30の搬送速度を安定させることができ、例えば、コイン20、30のそれぞれ別の搬送レール12への受け渡し等の工程にコイン20等を供給する場合でも、これらの工程に適した供給速度(減速後の搬送速度V)でコイン20等を供給することができる。また、コイン搬送装置50では、電磁石54が非磁性体であるコイン20、30を吸着して停止させてしまうことがないため、コイン20等は確実にブロック66、68間を通過し、搬送レール12内でコイン20が詰まることがない。
【0087】
このように、本第2の実施の形態に係るコイン搬送装置50では、導電性かつ非磁性の材料より成るコイン20またはコイン30を適正な搬送速度で搬送することができる。
【0088】
さらに、本第2の実施の形態に係るコイン搬送装置50では、上記第1の実施の形態と同様の効果の他に以下の効果が得られる。
【0089】
すなわち、コイン搬送装置50では、渦電流ブレーキ52が電磁石54を備えているため、搬送するコイン20等の速度、種類、排出先等に応じた搬送速度(排出または供給速度)を得る制動力Fを作用させるように、絶縁導線64への供給電流(磁束φ)を制御することができる。
【0090】
そして、本第2の実施の形態では、渦電流ブレーキ52は、制御回路70がコイン識別センサ76の識別信号に基づいてコイン20とコイン30とを識別(判別)し、コイン20を減速する制動力F1とコイン30を減速する制動力F2とを異ならせているため、異なる種類のコイン20、30をそれぞれ異なるコインホッパ28、78へそれぞれ減速後の安定した供給速度で供給することができる。すなわち、コイン搬送装置50は、コイン20とコイン30との選別機能をも果たすことができ、また、この選別機能を案定して果たさせることができる。
【0091】
また、渦電流ブレーキ52は、制御回路70がコイン検出センサ74の検出信号に基づいて、コイン20またはコイン30のブロック66、68間通過時に相当する期間だけ電磁石54へ通電するため、コイン20等の搬送速度の安定化、及び選別機能(該選別機能の安定化)を果たしつつ消費電力が抑制される。
【0092】
なお、上記第2の実施の形態では、搬送レール12によって2種類のコイン20、30を搬送する構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、コイン搬送装置50は、1種類のコイン20または30のみを搬送する構成としても良く、3種類以上のコイン20等を搬送する構成としても良い。また例えば、複数種類のコインを搬送する場合において、非磁性かつ導電性のコイン20またはコイン30の他に、磁性を有するコインや非導電性のコインを混在させて搬送する構成とすることもできる。
【0093】
また、上記第2の実施の形態では、電磁石54が制御回路70によって制御される好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、電磁石54は制御されなくても良く(コイン搬送装置50を構成する渦電流ブレーキ52が、電磁石54のみで構成されていても良く)、別の制御回路によって別の機能を果たしても良い。
【0094】
したがって、本発明は、コイン20とコイン30とで供給電流(制動力F)を異ならせて排出先を変更する(コインを選別する)構成に限定されず、例えば、コイン30を搬送する場合に電磁石54に通電しない(制動しない)構成としても良く、コイン20とコイン30とで供給電流を等しくしても良く、コイン20とコイン30とで材質(導電率等)を異ならせて同じ供給電流で制動後の搬送速度を異ならせる構成としても良い。さらに、本発明は、制御回路70が、上記機能に代えてまたは上記機能と共に、コイン20等の減速前または減速中の搬送速度を検出する速度センサの出力に基づいて、コイン20等が磁界Hを通過しているときに電磁石54への供給電流を変化させる構成としても良い。この構成では、制動後のコイン20等の搬送速度を一層安定させることが可能となる。
【0095】
また、上記第2の実施の形態では、コイン搬送装置50が制御回路70、コイン識別センサ76等を備えた構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、コイン搬送装置50が適用される上記各種装置に制御回路70が組み込まれていても良く、コイン識別センサ76が上記各種装置を構成するものであっても良い。
【0096】
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、マグネット24またはブロック66がレール壁14の外面に固着されると共に、マグネット26またはブロック68がレール壁16の外面に固着された構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、レール壁14、16に孔や切欠きを設けてマグネット24のN極側端面とマグネット26のS極側端面とを、または電磁石54の反対の磁極を形成するブロック66とブロック68との互いの端面を、を互いに対向させても良い。
【0097】
また、上記第1及び第2の実施の形態では、渦電流ブレーキ22、52を構成するマグネット24、26、ブロック66、68がこれらの間を通過するコイン20と略同軸となる高さ方向の位置でレール壁14、16に固着された構成としたが、本発明はこれに限定されず、マグネット24、26、ブロック66、68は、制動力Fによって減速すべきコイン20等の搬送経路に磁界Hを作用させる如何なる位置(排出部12Aの近傍にも限定されない)に配置されても良い。また、マグネット24、26、ブロック66、68の形状が円柱状(断面視で円形)に限定されないことは言うまでもない。さらに、搬送レール12は、上方が開口した断面視略U字状に形成されるに限定されず、上方が閉じたチューブ状に形成しても良い。この場合、搬送レール12を上下方向に湾曲して形成することも可能である。
【0098】
さらに、上記第1及び第2の実施の形態では、搬送レール12が非磁性体よる成る構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、搬送レール12のレール壁14、16の長手方向の少なくとも一部を強磁性体で構成して減速区間(制動力Fの作用時間)を大きくしても良く、搬送レール12自体(レール壁14、16)を永久磁石で構成しても良い。
【0099】
さらにまた、上記第1及び第2の実施の形態では、重力方向に対し傾斜配置された搬送レール12が重力によってコイン20等を搬送する構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、水平に配置された搬送レール12上が、駆動手段の移動力が付与されたコイン20等を搬送する構成としても良い。
【0100】
また、上記第1及び第2の実施の形態では、コイン搬送装置10、50がコイン20等を搬送する構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、コイン搬送装置10、50が非磁性かつ導電性のメダルや貨幣等を搬送しても良い。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る搬送装置は、導電性かつ非磁性の材料より成る被搬送体を適正な搬送速度で搬送することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るコイン搬送装置の概略全体構成を示す側面図である。
【図2】図1の2−2線に沿った断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るコイン搬送装置を構成する渦電流ブレーキの制動原理を説明するための斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るコイン搬送装置の概略全体構成を示す側面図及びブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るコイン搬送装置を示す図2に対応する図である。
【図6】従来のコイン搬送装置を示す側面図である。
【符号の説明】
10 コイン搬送装置(搬送装置)
12 搬送レール(搬送路)
18 底板部(搬送路)
20 コイン(被搬送体)
22 渦電流ブレーキ(制動手段)
24、26 マグネット(永久磁石)
30 コイン(被搬送体)
50 コイン搬送装置(搬送装置)
52 渦電流ブレーキ(制動手段)
54 電磁石
70 制御回路(制御手段、第2制御手段)
76 コイン識別センサ(識別手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、コイン等の導電性かつ非磁性の被搬送体を搬送するための搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、貨幣やコインを投入して商品を購入する自動販売機、コイン(またはメダル)を直接的に使用して遊戯を行なうパチスロ機、またはコインが投入されると遊戯球を貸し出すコイン玉貸し機や両替機、コインを回収して洗浄する洗浄装置では、内部に投入された貨幣やコイン(以下、コイン等という)を所定の貯蔵部や処理部、返却部等まで搬送するための搬送装置を備えている。
【0003】
このような搬送装置では、重力方向に傾斜して配置されコイン等が自走して移動可能なレールを1つまたは複数備えている。この搬送装置による搬送経路の途中や最下流部(レールの端部や中間部、または複数のレール間)には、例えば、コインを回収する装置(貯蔵部)、コイン等の種類を識別する識別装置、この識別結果に応じて異なる種類のコイン等をそれぞれ異なる経路に移動させる選別装置、投入されたコイン数を計数(種類ごとに計数)する計数装置等の各種装置が必要に応じて配設されている。
【0004】
図6には、一例としてコイン等を回収するためのコインホッパへのコイン等の供給(回収)過程に配設されたコイン搬送装置が示されている。コイン搬送装置は、重力方向に対し傾斜した搬送レール100を備えている。搬送レール100は、長手方向端部から見て略U字状に形成されており、コイン102が一対のレール壁104間で案内されつつ底部106上を転動するようになっている。
【0005】
搬送レール100の搬送方向下流側端部100Aの下方にはコインホッパ108が配置されており、コイン102は搬送レール100の端部100Aからコインホッパ108へ供給される構成である。そして、搬送レール100の重力方向に対する傾斜角θによって、コイン102の端部100Aからコインホッパ108への供給速度が所定の速度範囲内となる構成である。
【0006】
しかしながら、このコイン搬送装置では、構造がきわめて簡単であるが、例えば、コイン102や搬送レール100が摩耗したり汚れたりすると、コイン102と搬送レール100との間の摩擦係数(搬送抵抗)が変化してコイン102のコインホッパ108への供給速度が変化する。このため、例えば、新品のコイン102や摩耗したり汚れが付着したコイン102が混在して使用される場合に、コイン102ごとのコインホッパ108への供給速度が大きく異なってしまう。この供給速度の相違に基づくコイン102の供給放物線(落下軌跡)のばらつきを吸収して各種コイン102を確実に回収するためには、主に搬送方向に大型のコインホッパ108を採用しなければならない。
【0007】
以上例示したように、コイン搬送装置におけるコイン等の搬送速度にばらつきがあると、コイン搬送装置のレール内でコイン等が暴走する恐れがあり、例えば、コイン等の識別、選別、伝導(次のレールへの受け渡し等)、排出等が適正に為されなくなり、上記コインホッパ108を大型化する等、コインの搬送経路に配置される装置側で対策が必要となってしまう。これを避けるためにコイン搬送装置には、コイン等の搬送速度、すなわちコイン等の上記各種装置の通過速度や各種装置への供給(排出)速度を、該各種装置の機能を適正に果たさせるために適した速度とすることが求められている。
【0008】
そこで、コインの搬送速度を適正にするために磁力ブレーキを備えた搬送装置が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0009】
特許文献1には、ゲーム用コイン選別装置に適用された搬送装置が記載されており、この搬送装置は、重力方向に対し傾斜して配置されコインを基準走行速度で転動させる傾斜レールと、傾斜レールによる搬送経路上に配置された制動用磁石と、制動用磁石に対向配置された磁路鋼板とを備えている。そして、この搬送装置は、弱磁性の正コインを搬送する場合には、該正コインを制動用磁石の磁力によって減速し、傾斜レールの出口端に配置された案内用磁石の磁力によって適正な搬送経路に案内(正コインとして選別)する構成である。一方、非磁性の不正コインを搬送する場合には、この不正コインは制動用磁石によって減速されずに正コインとは別の搬送軌跡上を移動して返却されるようになっている。
【0010】
一方、特許文献2には、パチンコ玉等の遊技球に関するものであるが、遊技球の搬送装置に組み込まれ該遊技球を連続放出するための歯車に磁力ブレーキを設けた構成が記載されている。この構成では、遊技球が転動する整列樋の中間部に歯車が設けられている。この歯車は、その歯間に遊技球が係合可能とされており、非回転状態では遊技球の移動を規制し、回転して遊技球を下流側へ放出する構成である。この歯車は、放出すべき遊技球(賞球)の残数が所定数以下となると制動手段によって減速され、放出が終了すると停止手段によって停止される。制動手段は、歯車と一体に回転する鉄板を板厚方向から挟むように配置された電磁石を備えて構成されており、電磁石が作動して生じる磁力によって円板を吸引して歯車を減速する構成である。これにより、歯車は、その停止時に作用する荷重が緩和される。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−176250号公報
【特許文献2】
実開昭60−20281号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した自動販売機やパチスロ機等の遊技機、コイン玉貸し機、コイン洗浄装置等で使用されるコインは、通常、非磁性かつ導電性の材料(例えば、ニッケル合金等)にて構成されている。
【0013】
しかしながら、上記特許文献1記載の搬送装置では、制動手段として、その制動対象(被搬送体)が磁性を有する弱磁性コインである磁力ブレーキが使用されているため、通常非磁性材にて構成されるコイン等の適正な制動を果たすことができなかった。すなわち、この搬送装置は、不正コインを排除するために弱磁性を有する特殊なコインを正コインとして使用することを前提とし、該弱磁性の正コインのみを磁力ブレーキにて減速するものであり、非磁性のコイン等に対する制動については何ら考慮されていなかった。
【0014】
また、上記特許文献2記載の構成では、搬送対象である遊技球を直接的に減速することがなく、また、制動手段として、その制動対象が磁性を有する鉄板である磁力ブレーキを用いており、非磁性のコイン等に対する制動については何ら考慮されていない点で、特許文献1記載の構成と全く同様であった。
【0015】
さらに、単に磁力に基づく吸引力によって磁性材であるコイン等を制動する磁力ブレーキを備えた上記各搬送装置では、制動後におけるコイン等の速度が安定しないという問題があった。特に、塵埃の付着等によって制動前のコイン等の搬送速度が小さいと、該コイン等(磁性を有するコイン等)が磁石に吸着されて停止してしまう場合があり、コイン等の搬送を阻害する詰まり等の原因となる。
【0016】
本発明は上記事実を考慮して、導電性かつ非磁性の材料より成る被搬送体を適正な搬送速度で搬送することができる搬送装置を得ることが目的である。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る搬送装置は、円板状に形成され導電性かつ非磁性の被搬送体が、転動または滑動しつつ搬送される搬送路と、前記搬送路上における前記被搬送体の搬送経路に該搬送方向と交差する方向の磁界を発生し、該磁界を通過する前記被搬送体に生じる誘導電流と前記磁界との間に作用する制動力によって該被搬送体を減速させる制動手段と、を備えている。
【0018】
請求項1記載の搬送装置では、円板状に形成され導電性かつ非磁性の被搬送体を、搬送路上で転動または滑動させつつ該搬送走路によって規定される搬送径路に沿って搬送する。この搬送経路には制動手段が配設されており、制動手段は被搬送体の搬送方向と交差する方向の磁界を発生する。なお、磁界の方向は、搬送方向に対し直交していることが望ましい。
【0019】
この磁界を被搬送体が通過するときには、導電性である被搬送体には、電磁誘導によって誘導起電力が生じ誘導電流(円板状に形成された被搬送体では渦電流)が流れる。そして、この渦電流と磁界との間には、被搬送体の搬送(移動)方向とは反対方向の制動力が作用し、この制動力によって被搬送体が減速される。
【0020】
この制動力は、被搬送体が磁界を通過する速度(磁界との相対速度)に比例するため、被搬送体の減速前における搬送速度の大小に拘わらず、該制動力による減速後には被搬送体の搬送速度が安定する。また、この制動力は、磁界の強さに対応する磁束の2乗に比例するため、磁界の強さに応じて所望(範囲)の搬送速度を得ることができる。すなわち、要求される(減速後の)搬送速度に応じて磁界の強さ(磁束)を設定すれば良い。
【0021】
また、非磁性体である被搬送体が制動手段の磁力によって吸着されることがないため、搬送路上で被搬送体の詰まり生じることもない。
【0022】
このように、請求項1記載の搬送装置では、導電性かつ非磁性の材料より成る被搬送体を適正な搬送速度で搬送することができる。
【0023】
請求項2記載の発明に係る搬送装置は、請求項1記載の搬送装置において、前記制動手段を、前記搬送路の搬送方向下流端の近傍に配置した、ことを特徴としている。
【0024】
請求項2記載の搬送装置では、搬送路の搬送方向下流端の近傍に制動手段が配置されているため、被搬送体は、上記制動後の安定した搬送速度で搬送路から排出される。これにより、搬送路の下流端から排出された被搬送体を、案定した速度で次工程(例えば、識別、選別、別の搬送路への受け渡し、貯蔵等)に供給することができる。
【0025】
請求項3記載の発明に係る搬送装置は、請求項1または請求項2記載の搬送装置において、前記制動手段は、前記搬送路を挟んで配置された永久磁石と磁性体との間に前記磁界を発生する、ことを特徴としている。
【0026】
請求項3記載の搬送装置では、制動手段が搬送路を挟んで配置された永久磁石と磁性体とを含んで構成されており、この永久磁石と磁性体との間に上記搬送径路上で搬送方向に交差する磁界を発生するため、構造が簡単である。また、制動手段へのエネルギ供給や制御(配線等)が不要であり、メンテナンスフリーとすることができる。
【0027】
なお、永久磁石との間に搬送路を挟む磁性体は、この永久磁石の反対側の磁極部分であっても良く、別の永久磁石であっても良いことは言うまでもない。
【0028】
請求項4記載の発明に係る搬送装置は、請求項1または請求項2記載の搬送装置において、前記制動手段は、前記搬送路を磁極間に挟んで配置された電磁石によって前記磁界を発生する、ことを特徴としている。
【0029】
請求項4記載の搬送装置では、制動手段が磁極間に搬送路を挟んで配置された電磁石を含んで構成されており、この電磁石によって上記搬送径路上で搬送方向に交差する磁界を発生するため、例えば、該電磁石へ通電する電流(すなわち、磁束)を変化させて上記制動力を調整する等の制御が可能となる。このため、上記制動後の搬送速度を一層安定させることも可能である。
【0030】
請求項5記載の発明に係る搬送装置は、請求項4記載の搬送装置において、前記搬送路は、複数種類の前記被搬送体を搬送可能であり、前記制動手段は、前記複数種類の前記被搬送体の種類を識別する識別手段からの識別信号に基づいて前記電磁石へ通電する電流値を変化させる制御手段を有する、ことを特徴としている。
【0031】
請求項5記載の搬送装置では、例えば、搬送路上で整列(縦列)し、または搬送路の長手方向に離間した(搬送路上の所定点を異なる時間に通過する)複数種類の被搬送体が、該搬送路によって搬送される。そして、制御手段が、被搬送体の種類を識別(判別)する識別手段からの識別信号に基づいて、電磁石へ通電する電流値を変化させる(ある被搬送体の通過時に通電しない場合を含む)。
【0032】
これにより、例えば、大きさや重さの異なる被搬送体の制動(ある被搬送体に対し制動しない場合を含む)後の搬送速度を略一定としたり、異なる被搬送体の制動後の搬送速度(搬送路からの排出速度)を異ならせて被搬送体の選別機能を果たさせたりすることが可能となる。
【0033】
請求項6記載の発明に係る搬送装置は、請求項4または請求項5記載の搬送装置において、前記制動手段は、前記被搬送体が前記磁界を通過するときに前記電磁石に通電する第2制御手段を有する、ことを特徴としている。
【0034】
請求項6記載の搬送装置では、例えば、被搬送体が搬送路へ供給されたことや被搬送体が搬送路の所定点に達したことを検出する検出手段の検出結果に基づいて、または、搬送路上に配設されたスイッチを被搬送体が操作して、この被搬送体が電磁石の磁極間を通過するときに第2制御手段が該電磁石に通電する。これにより、電磁石には常時通電している必要がなくなるため、上記請求項4または請求項5記載の電磁石による機能を維持しつつ、消費電力が抑制される。
【0035】
なお、請求項5に従属する場合において第2制御手段が制御手段に組み込まれていても良いことは言うまでもない。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態に係るコイン搬送装置10について、図1乃至図3に基づいて説明する。
【0037】
図1には、コイン搬送装置10が側面図にて示されている。この図に示される如く、コイン搬送装置10は、搬送レール12を備えている。搬送レール12は、略直線状に形成され、重力方向(図1の紙面上下方向)に対し傾斜角θだけ傾いた状態で、図示しない機台に固定されている。
【0038】
図2に示される如く、搬送レール12は、上方が開口した断面視略U字状(コ字状)に形成されており、互いに対向する一対のレール壁14、16と、レール壁14、16を連結する搬送路としての底板部18とを備えている。また、搬送レール12における上記傾斜によって下側に位置する長手方向の一端部は、該長手方向に開口した排出部12Aとされている。
【0039】
搬送レール12は、重力(の分力)によって、その底板部18上で被搬送体としてのコイン20を転動または滑動(これらの組合せを含む)させつつ、該コイン20を長手方向に沿って搬送する(移動させる)構成である。このコイン20の搬送レール12の長手方向に沿った(コイン20の自転を無視した)搬送速度を、図1に示す速度Vとする。なお、速度Vは、搬送レール12の長手方向の各位置においてかならずしも一定ではない。
【0040】
また、レール壁14、16は、互いの対向間隔がコイン20の厚みよりも若干大とされており、底板部18からのコイン20の脱落阻止用とされている。すなわち、コイン20は、一対のレール壁14、16間で底板部18の長手方向に沿った搬送経路(軌跡)上を移動するように案内されるようになっている。なお、レール壁14、16の対向間隔は、コイン20の厚みの2倍よりも十分小さく設定されており、厚み方向に積層した複数のコイン20の進入(供給)、搬送を許容しない構成である。
【0041】
以上説明した搬送レール12は、例えばアルミ合金や樹脂材等の非磁性材より成り、一対のレール壁14、16及び底板部18が一体に形成されている。また、この搬送レール12が搬送するコイン20は、例えばニッケル合金等の非磁性かつ導電性の材料より成り、円板状に形成されている。
【0042】
この搬送レール12の排出部12Aの近傍には、制動手段としての渦電流ブレーキ22が配設されている。図2に示される如く、渦電流ブレーキ22は、一対のマグネット24、26を備えている。マグネット24、26は、互いに同形状(大きさ)の永久磁石であり、それぞれ軸方向の一端側がN極で他端側がS極である円柱状に形成されている。
【0043】
マグネット24は、そのN極側の端面が搬送レール12のレール壁14の外面に固着されている。一方、マグネット26は、そのS極側の端面が搬送レール12のレール壁16の外面に固着されている。この状態で、マグネット24とマグネット26とは、互いに同軸的に配置されている。すなわち、搬送レール12をないものと仮定した場合に、マグネット24のN極側端面とマグネット26のS極側端面とが全面に亘り対向した状態とされている。またこの状態で、マグネット24、26の軸芯の底板部18からの高さは、底板部18からコイン20の軸芯までの高さに略一致している。
【0044】
これにより、図3に示される如く、渦電流ブレーキ22では、マグネット24、26間に、マグネット24のN極からマグネット26のS極へ向けた方向(矢印A方向)の磁界Hが発生(作用)している。すなわち、磁界Hの方向は、コイン20の搬送経路を規定する搬送レール12の長手方向に対し直交している。また、磁界Hは、搬送レール12が非磁性体であることにより、基本的にマグネット24、26間にのみ作用している。
【0045】
そして、この磁界Hを導電体であるコイン20が矢印B方向に通過するときには、磁界Hとコイン20の速度V(磁界Hに対する相対速度)とによる電磁誘導によって、コイン20には矢印C方向の誘導起電力が生じる。この誘導起電力によってコイン20には誘導電流である渦電流Iが生じ、この渦電流Iと磁界Hとによってコイン20には(渦電流Iと磁界Hとの間には)、その移動方向である矢印B方向とは反対向きの矢印D方向に制動力Fが作用する。すなわち、渦電流ブレーキ22は、マグネット24、26間を通過するコイン20を非接触で減速させる構成である。
【0046】
この制動力Fは、磁界Hの強さに対応する磁束φと渦電流Iとの積に比例する(F∝φ・I)が、渦電流Iは磁束φとコイン20がマグネット24、26間を通過するときの速度Vとの積に比例する(I∝φ・V)ため、結局、速度Vと磁束φの2乗との積に比例する(F∝φ2・V)。すなわち、渦電流ブレーキ22では、コイン20がマグネット24、26間を通過するときの搬送速度Vが大きいほど大きな制動力Fが得られるようになっている。
【0047】
なお、以上の説明は、コイン20が自転しないで矢印B方向に搬送される場合についてのものであり、コイン20が自転しつつ矢印B方向へ移動する(搬送レール12の底板部18上を転動する)場合には、渦電流Iの方向すなわち制動力Fの作用方向が若干異なるが、この制動力Fはコイン20の自転及び矢印B方向の移動を共に制動(抑制)する方向に作用するため、コイン20の速度Vが大きいほど大きな制動力Fが得られることについては、上記説明の通りである。
【0048】
以上説明したコイン搬送装置10は、コイン20を投入して商品を購入する自動販売機、コイン20を直接的に使用して遊戯を行なうパチスロ機、またはコイン20が投入されると遊戯球を貸し出すコイン玉貸し機や両替機、コイン20を回収して洗浄する洗浄装置等に1つまたは複数適用され、基本的には、搬送レール12に供給されたコイン20を上記各装置の所定の部位(貯蔵部や返却部、識別、選別、洗浄等を行なう各種処理装置等)まで搬送する機能を果たすものであるが、本第1の実施の形態では、説明を簡単にするために、コイン20をコインホッパ28へ回収する構成について説明する。
【0049】
コイン搬送装置10を構成する搬送レール12における排出部12Aの下方には、コインホッパ28が配置されている。コインホッパ28は、コイン搬送装置10が搬送し、排出部12Aから排出したコイン20を回収するものである。すなわち、本第1の実施の形態では、コイン搬送装置10は、搬送レール12によって搬送し渦電流ブレーキ22によって減速したコイン20を、コインホッパ28へ供給する構成とされている。
【0050】
次に、本第1の実施の形態の作用を説明する。
【0051】
上記構成のコイン搬送装置10では、搬送レール12にコイン20が供給されると、該コイン20は、レール壁14、16に案内されて底板部18上を転動または滑動しつつ、搬送速度Vで矢印B方向へ搬送される。
【0052】
コイン20が渦電流ブレーキ22へ至ると、該コイン20は非接触で減速される。具体的には、コイン20がマグネット24、26間に生じている磁界Hを通過するときに、導電体であるコイン20には磁界Hによって渦電流Iが生じ、この渦電流Iと磁界Hとによって矢印D方向の制動力Fが作用する。この制動力Fによって、コイン20は減速されつつマグネット24、26間を通過する。
【0053】
このとき、制動力Fが磁界Hとコイン20との相対速度Vに比例するので、渦電流ブレーキ22は、制動力Fによって減速されるコイン20に作用させる該制動力Fを減じつつ、コイン20の矢印B方向への移動によるマグネット24、26間の通過を許容する。すなわち、コイン20がマグネット24、26間で停止してしまうことがない。
【0054】
マグネット24、26間を通過したコイン20は、搬送レール12の排出部12Aから安定した速度で排出され、すなわちコインホッパ28へ供給され、該コインホッパ28で回収される。
【0055】
ここで、渦電流ブレーキ22は、磁界Hの通過速度Vに比例した制動力Fでコイン20を減速するため、減速前におけるコイン20の搬送速度がコイン20の摩耗や汚れの付着等に起因して異なる場合でも、該制動力Fによる減速後には、コイン20の搬送速度が安定する。
【0056】
特に、コイン搬送装置10では、コインホッパ28へのコイン20の供給端である排出部12Aの近傍に渦電流ブレーキ22を配置しているため、該渦電流ブレーキ22の搬送方向下流(矢印B側)では、異なるコイン20間の搬送レール12に対する搬送抵抗の相違等(例えば動摩擦や転がり摩擦の相違に基づく搬送速度変化要因)の影響が少なく、制動力Fによる減速後の安定した搬送速度である供給速度でコイン20をコインホッパ28へ供給することができる。
【0057】
以上により、搬送レール12の排出部12Aから排出されるコイン20の供給放物線(落下軌跡)のばらつきが小さくなり、小型のコインホッパ28によってコイン20が確実に回収される。換言すれば、コインホッパ28の小型化が図られる。
【0058】
すなわち、コイン搬送装置10では、渦電流ブレーキ22による減速後のコイン20の搬送速度を安定させることができ、例えば、コイン20の識別、選別、別の搬送レール12への受け渡し等の工程にコイン20を供給する場合でも、これらの工程に適した供給速度(減速後の搬送速度V)でコイン20を供給することができる。そして、上記制動力Fが磁束φの2乗に比例するため、各用途にそれぞれ適した磁束(磁力)のマグネット24、26を設けることで、所望(範囲)の供給速度を得ることができる。
【0059】
また、コイン搬送装置10では、マグネット24等が非磁性体であるコイン20を吸着して停止させてしまうことがないため、コイン20は確実にマグネット24、26間を通過し、搬送レール12内でコイン20が詰まることがない。
【0060】
このように、本第1の実施の形態に係るコイン搬送装置10では、導電性かつ非磁性の材料より成るコイン20を適正な搬送速度で搬送することができる。
【0061】
また、渦電流ブレーキ22は、永久磁石であるマグネット24、26によってコイン20の搬送経路に磁界Hを発生する構成であるため、構造がきわめて簡単である。そして、渦電流ブレーキ22は、エネルギ供給や制御(配線等)が不要であり、メンテナンスフリーとすることができる。
【0062】
なお、上記第1の実施の形態では、渦電流ブレーキ22が一対のマグネット24、26によって構成された好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、一方のマグネット26に代えて強磁性体より成る磁界形成部材(例えば、鉄板等)を配置しても良い。
【0063】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るコイン搬送装置50について図4及び図5に基づいて説明する。なお、上記第1の実施の形態と基本的に同一の部品・部分については、上記第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0064】
図4には、コイン搬送装置50が側面図にて示されている。この図に示される如く、コイン搬送装置50は、搬送レール12を備えている。本第2の実施の形態では、搬送レール12は、コイン20またはコイン30を搬送するようになっている。コイン30は、コイン20と同様に非磁性かつ導電性の材料より成るが、大きさまたは重さがコイン20とは異なっている。本第2の実施の形態では、コイン30はコイン20よりも小径かつ軽量とされている。
【0065】
この搬送レール12の排出部12Aの近傍には、渦電流ブレーキ52が設けられている。渦電流ブレーキ52は、電磁石54を備えている。図5にも示される如く、電磁石54は、強磁性体より成る芯部材56を備えている。芯部材56は、略コ字状に形成されており、一対のアーム部58、60が芯部62によって連結されている。この芯部材56の芯部62には、絶縁導線64が密に巻き回されている。
【0066】
また、アーム部58の先端近傍には強磁性材より成りレール壁14外面に固着されるブロック66が固着されており、アーム部60の先端近傍には強磁性材より成りレール壁16外面に固着されるブロック68が固着されている。すなわち、電磁石54は、その磁極間に搬送レール12によって規定される搬送路を挟んで配置されている。ブロック66、68は、それぞれ円柱状に形成されており、互いに同軸的に配置された状態で上記の通り搬送レール12のレール壁14、16に固着されている。これらのブロック66、68の軸芯の底板部18からの高さは、コイン20の軸芯の底板部18からの高さに略一致している。
【0067】
これにより、渦電流ブレーキ52では、絶縁導線64に電流を供給すると、ブロック66間に磁界Hが発生するようになっている。この供給電流は、直流でも良く交流でも良いが、便宜上、通電時にはブロック66がN極となりブロック68がS極となることとして説明する。すなわち、図3と同様に、磁界Hがレール壁14側からレール壁16側へ向けて作用するものとして説明する。
【0068】
したがって、電磁石54を備えた渦電流ブレーキ52は、絶縁導線64に通電されて磁界Hを発生させている状態では、上記第1の実施の形態に係る渦電流ブレーキ22と全く同様に、制動力F(∝φ2・V)によってコイン20またはコイン30を非接触で減速させる構成である。
【0069】
また、渦電流ブレーキ52は、制御手段及び第2制御手段としての制御回路70を備えている。この制御回路70には、絶縁導線64の両端部がそれぞれ電気的に接続されている。また、制御回路70は、電源72、コイン検出センサ74、識別手段としてのコイン識別センサ76とも電気的に接続されている。
【0070】
コイン検出センサ74は、搬送レール12によるコイン20またはコイン30の搬送経路に沿う電磁石54の上流側近傍に配置されており、機械的、電気的、磁気的、または光学的な方法によってコイン20またはコイン30を検出し、検出信号を制御回路70へ出力する構成である。検出信号が入力された制御回路70は、所定時間だけ絶縁導線64(電磁石54)に電流を供給するようになっている。すなわち、渦電流ブレーキ52は、コイン20等がブロック66、68間を通過するときに電磁石54を作動させて磁界Hを発生する構成である。なお、電磁石54の下流にもコイン検出センサ74を設け、該下流側のコイン検出センサ74がコイン20等を検出すると制御回路70が電磁石54への通電を解除する構成としても良い。
【0071】
コイン識別センサ76は、搬送レール12によるコイン20またはコイン30の搬送経路に沿って配置されており、機械的、電気的、磁気的、または光学的な方法によってコイン20またはコイン30を検出し、コイン20を検出した場合とコイン30を検出した場合とで異なる信号(識別信号)を制御回路70へ出力する構成である。そして、制御回路70は、識別信号に基づいてコイン20が搬送されていると判断した場合と、コイン30が搬送されていると判断場合とで絶縁導線64(電磁石54)に通電する電流値を異ならせる構成となっている。本第2の実施の形態では、コイン20が搬送されている場合の供給電流i1をコイン30が搬送されている場合の供給電流i2よりも大きくする(i1>i2)ようになっている。すなわち、渦電流ブレーキ52は、コイン20を搬送している場合には大きな磁束φ1を発生して大きな制動力F1でコイン20を減速し、コイン30が搬送されている場合には小さな磁束φ2を発生して小さな制動力F2でコイン30を減速する構成とされている。
【0072】
このコイン搬送装置50は、コイン搬送装置10と同様に、自動販売機、パチスロ機、コイン玉貸し機、両替機、コイン洗浄装置等に適用され、基本的には、搬送レール12に供給されたコイン20またはコイン30を上記各装置の所定の部位(貯蔵部や返却部、識別、選別、洗浄等を行なう各種処理装置等)へ搬送する機能を果たすものである。そして、本第2の実施の形態では、コイン20をコインホッパ28へ回収すると共にコイン30をコインホッパ78へ回収する構成について説明する。
【0073】
コインホッパ78は、コイン20を回収するコインホッパ28よりも、搬送レール12の排出部12Aから離間して(コイン搬送方向のより下流側)配置されており、排出部12Aから排出したコイン30を回収するようになっている。すなわち、本第2の実施の形態では、コイン搬送装置50は、搬送レール12によって搬送したコイン30をコイン20と選別してコインホッパ78へ供給する構成とされている。
【0074】
次に、本第2の実施の形態の作用を説明する。
【0075】
上記構成のコイン搬送装置50では、搬送レール12にコイン20が供給されると、該コイン20は、レール壁14、16に案内されて底板部18上を転動または滑動しつつ、搬送速度Vで矢印B方向へ搬送される。
【0076】
このとき、コイン識別センサ76がコイン20を検出し、コイン20に対応する識別信号を制御回路70に出力する。そして、コイン20がコイン検出センサ74の近傍に至ると、該コイン検出センサ74がコイン20を検出して検出信号を制御回路70に出力する。すると、制御回路70は、電流i1を所定時間だけ電磁石54の絶縁導線64に供給する。
【0077】
これにより、電磁石54のブロック66、68には磁束φ1の磁界Hが発生し、コイン20はこの磁界Hを通過する。すると、導電体であるコイン20には磁界Hによって渦電流I1が生じ、この渦電流I1と磁界Hとによって矢印D方向の制動力F1が作用する。この制動力F1によって、コイン20は非接触で減速されつつブロック66、68間を通過する。
【0078】
そして、制動力F1が磁界Hとコイン20との相対速度Vに比例するので、渦電流ブレーキ52は、制動力F1によって減速されるコイン20に作用させる該制動力F1を減じつつ、コイン20の矢印B方向への移動によるブロック66、68間の通過を許容する。すなわち、コイン20がブロック66、68間で停止してしまうことがない。
【0079】
ブロック66、68間を通過したコイン20は、搬送レール12の排出部12Aから安定した速度で排出され、すなわちコインホッパ28へ供給され、該コインホッパ28で回収される。
【0080】
一方、搬送レール12にコイン30が供給されると、該コイン30は、レール壁14、16に案内されて底板部18上を転動または滑動しつつ、搬送速度Vで矢印B方向へ搬送される。
【0081】
このとき、コイン識別センサ76がコイン30を検出し、コイン30に対応する識別信号を制御回路70に出力する。そして、コイン30がコイン検出センサ74の近傍に至ると、該コイン検出センサ74がコイン30を検出して検出信号を制御回路70に出力する。すると、制御回路70は、電流i1よりも小さい電流i2を所定時間だけ電磁石54の絶縁導線64に供給する。
【0082】
これにより、電磁石54のブロック66、68には磁束φ2の磁界Hが発生し、コイン20はこの磁界Hを通過する。すると、導電体であるコイン20には磁界Hによって渦電流I2が生じ、この渦電流I2と磁界Hとによって矢印D方向の制動力F2が作用する。この制動力F2によって、コイン20は非接触で減速されつつブロック66、68間を通過する。
【0083】
そして、制動力F2が磁界Hとコイン30との相対速度Vに比例するので、渦電流ブレーキ52は、制動力F2によって減速されるコイン30に作用させる該制動力F2を減じつつ、コイン30の矢印B方向への移動によるブロック66、68間の通過を許容する。すなわち、コイン30がブロック66、68間で停止してしまうことがない。
【0084】
ブロック66、68間を通過したコイン30は、搬送レール12の排出部12Aから安定した速度で排出されるが、制動力F2が制動力F1よりも小さいためコイン20よりも排出(供給)速度が大きく、コイン20を回収するコインホッパ28よりも排出部12Aから大きく離間したコインホッパ78へ供給される。すなわち、コイン30が該コインホッパ78で回収される。
【0085】
本第2の実施の形態に係るコイン搬送装置50によっても、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。すなわち、磁界Hの通過速度Vに比例した制動力Fでコイン20またはコイン30を減速する渦電流ブレーキ52では、減速前におけるコイン20等の搬送速度がコイン20等の摩耗や汚れの付着等に起因して異なる場合でも、該制動力Fによる減速後には、コイン20またはコイン30の搬送速度が安定する。また、この渦電流ブレーキ52が排出部12Aの近傍に配置されているため、該渦電流ブレーキ52の下流側における搬送速度変化要因の影響が少なく、制動力Fによる減速後の安定した搬送速度である供給速度でコイン20、30をコインホッパ28、78へ供給することができる。
【0086】
以上により、搬送レール12の排出部12Aから排出されるコイン20、30それぞれの供給放物線(落下軌跡)のばらつきが小さくなり、それぞれ小型のコインホッパ28、78によってコイン20、30が確実に回収される。換言すれば、コインホッパ28、78の小型化が図られる。このように、コイン搬送装置50では、渦電流ブレーキ52による減速後のコイン20、30の搬送速度を安定させることができ、例えば、コイン20、30のそれぞれ別の搬送レール12への受け渡し等の工程にコイン20等を供給する場合でも、これらの工程に適した供給速度(減速後の搬送速度V)でコイン20等を供給することができる。また、コイン搬送装置50では、電磁石54が非磁性体であるコイン20、30を吸着して停止させてしまうことがないため、コイン20等は確実にブロック66、68間を通過し、搬送レール12内でコイン20が詰まることがない。
【0087】
このように、本第2の実施の形態に係るコイン搬送装置50では、導電性かつ非磁性の材料より成るコイン20またはコイン30を適正な搬送速度で搬送することができる。
【0088】
さらに、本第2の実施の形態に係るコイン搬送装置50では、上記第1の実施の形態と同様の効果の他に以下の効果が得られる。
【0089】
すなわち、コイン搬送装置50では、渦電流ブレーキ52が電磁石54を備えているため、搬送するコイン20等の速度、種類、排出先等に応じた搬送速度(排出または供給速度)を得る制動力Fを作用させるように、絶縁導線64への供給電流(磁束φ)を制御することができる。
【0090】
そして、本第2の実施の形態では、渦電流ブレーキ52は、制御回路70がコイン識別センサ76の識別信号に基づいてコイン20とコイン30とを識別(判別)し、コイン20を減速する制動力F1とコイン30を減速する制動力F2とを異ならせているため、異なる種類のコイン20、30をそれぞれ異なるコインホッパ28、78へそれぞれ減速後の安定した供給速度で供給することができる。すなわち、コイン搬送装置50は、コイン20とコイン30との選別機能をも果たすことができ、また、この選別機能を案定して果たさせることができる。
【0091】
また、渦電流ブレーキ52は、制御回路70がコイン検出センサ74の検出信号に基づいて、コイン20またはコイン30のブロック66、68間通過時に相当する期間だけ電磁石54へ通電するため、コイン20等の搬送速度の安定化、及び選別機能(該選別機能の安定化)を果たしつつ消費電力が抑制される。
【0092】
なお、上記第2の実施の形態では、搬送レール12によって2種類のコイン20、30を搬送する構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、コイン搬送装置50は、1種類のコイン20または30のみを搬送する構成としても良く、3種類以上のコイン20等を搬送する構成としても良い。また例えば、複数種類のコインを搬送する場合において、非磁性かつ導電性のコイン20またはコイン30の他に、磁性を有するコインや非導電性のコインを混在させて搬送する構成とすることもできる。
【0093】
また、上記第2の実施の形態では、電磁石54が制御回路70によって制御される好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、電磁石54は制御されなくても良く(コイン搬送装置50を構成する渦電流ブレーキ52が、電磁石54のみで構成されていても良く)、別の制御回路によって別の機能を果たしても良い。
【0094】
したがって、本発明は、コイン20とコイン30とで供給電流(制動力F)を異ならせて排出先を変更する(コインを選別する)構成に限定されず、例えば、コイン30を搬送する場合に電磁石54に通電しない(制動しない)構成としても良く、コイン20とコイン30とで供給電流を等しくしても良く、コイン20とコイン30とで材質(導電率等)を異ならせて同じ供給電流で制動後の搬送速度を異ならせる構成としても良い。さらに、本発明は、制御回路70が、上記機能に代えてまたは上記機能と共に、コイン20等の減速前または減速中の搬送速度を検出する速度センサの出力に基づいて、コイン20等が磁界Hを通過しているときに電磁石54への供給電流を変化させる構成としても良い。この構成では、制動後のコイン20等の搬送速度を一層安定させることが可能となる。
【0095】
また、上記第2の実施の形態では、コイン搬送装置50が制御回路70、コイン識別センサ76等を備えた構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、コイン搬送装置50が適用される上記各種装置に制御回路70が組み込まれていても良く、コイン識別センサ76が上記各種装置を構成するものであっても良い。
【0096】
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、マグネット24またはブロック66がレール壁14の外面に固着されると共に、マグネット26またはブロック68がレール壁16の外面に固着された構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、レール壁14、16に孔や切欠きを設けてマグネット24のN極側端面とマグネット26のS極側端面とを、または電磁石54の反対の磁極を形成するブロック66とブロック68との互いの端面を、を互いに対向させても良い。
【0097】
また、上記第1及び第2の実施の形態では、渦電流ブレーキ22、52を構成するマグネット24、26、ブロック66、68がこれらの間を通過するコイン20と略同軸となる高さ方向の位置でレール壁14、16に固着された構成としたが、本発明はこれに限定されず、マグネット24、26、ブロック66、68は、制動力Fによって減速すべきコイン20等の搬送経路に磁界Hを作用させる如何なる位置(排出部12Aの近傍にも限定されない)に配置されても良い。また、マグネット24、26、ブロック66、68の形状が円柱状(断面視で円形)に限定されないことは言うまでもない。さらに、搬送レール12は、上方が開口した断面視略U字状に形成されるに限定されず、上方が閉じたチューブ状に形成しても良い。この場合、搬送レール12を上下方向に湾曲して形成することも可能である。
【0098】
さらに、上記第1及び第2の実施の形態では、搬送レール12が非磁性体よる成る構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、搬送レール12のレール壁14、16の長手方向の少なくとも一部を強磁性体で構成して減速区間(制動力Fの作用時間)を大きくしても良く、搬送レール12自体(レール壁14、16)を永久磁石で構成しても良い。
【0099】
さらにまた、上記第1及び第2の実施の形態では、重力方向に対し傾斜配置された搬送レール12が重力によってコイン20等を搬送する構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、水平に配置された搬送レール12上が、駆動手段の移動力が付与されたコイン20等を搬送する構成としても良い。
【0100】
また、上記第1及び第2の実施の形態では、コイン搬送装置10、50がコイン20等を搬送する構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、コイン搬送装置10、50が非磁性かつ導電性のメダルや貨幣等を搬送しても良い。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る搬送装置は、導電性かつ非磁性の材料より成る被搬送体を適正な搬送速度で搬送することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るコイン搬送装置の概略全体構成を示す側面図である。
【図2】図1の2−2線に沿った断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るコイン搬送装置を構成する渦電流ブレーキの制動原理を説明するための斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るコイン搬送装置の概略全体構成を示す側面図及びブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るコイン搬送装置を示す図2に対応する図である。
【図6】従来のコイン搬送装置を示す側面図である。
【符号の説明】
10 コイン搬送装置(搬送装置)
12 搬送レール(搬送路)
18 底板部(搬送路)
20 コイン(被搬送体)
22 渦電流ブレーキ(制動手段)
24、26 マグネット(永久磁石)
30 コイン(被搬送体)
50 コイン搬送装置(搬送装置)
52 渦電流ブレーキ(制動手段)
54 電磁石
70 制御回路(制御手段、第2制御手段)
76 コイン識別センサ(識別手段)
Claims (6)
- 円板状に形成され導電性かつ非磁性の被搬送体が、転動または滑動しつつ搬送される搬送路と、
前記搬送路上における前記被搬送体の搬送経路に該搬送方向と交差する方向の磁界を発生し、該磁界を通過する前記被搬送体に生じる誘導電流と前記磁界との間に作用する制動力によって該被搬送体を減速させる制動手段と、
を備えた搬送装置。 - 前記制動手段を、前記搬送路の搬送方向下流端の近傍に配置した、ことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
- 前記制動手段は、前記搬送路を挟んで配置された永久磁石と磁性体との間に前記磁界を発生する、ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の搬送装置。
- 前記制動手段は、前記搬送路を磁極間に挟んで配置された電磁石によって前記磁界を発生する、ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の搬送装置。
- 前記搬送路は、複数種類の前記被搬送体を搬送可能であり、前記制動手段は、前記複数種類の前記被搬送体の種類を識別する識別手段からの識別信号に基づいて前記電磁石へ通電する電流値を変化させる制御手段を有する、
ことを特徴とする請求項4記載の搬送装置。 - 前記制動手段は、前記被搬送体が前記磁界を通過するときに前記電磁石に通電する第2制御手段を有する、ことを特徴とする請求項4または請求項5記載の搬送装置。
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-
2002
- 2002-11-07 JP JP2002323535A patent/JP2004154393A/ja active Pending
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