JP2004153883A - サーボモータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】停電時におけるモータの駆動を長時間確保することができ、かつ、安価に構成されるモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】商用交流電源の周波数等を変更してサーボモータSMに交流電源を供給するインバータにおいて、コンバータ部60とインバータ部62の間にバッテリー66が接続される。商用交流電源から給電されている場合にはコンバータ部60の出力によりバッテリー66が充電され、停電時にはバッテリー66からインバータ部62を介してサーボモータSMに電力が供給される。
【選択図】図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はモータ制御装置に係り、特に商用電源の停電時に商用電源に代わってモータに電力を供給する電源を有するモータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
テレビジョン受像管用ブラウン管のガラス成型体、即ち、パネルやファンネルの成型システムは、例えば、溶解ガラス塊(ゴブ)をボトム金型(雌型)に供給するゴブ供給装置、ボトム金型を搬送する搬送装置、及び、搬送されてきたボトム金型内のゴブを押し型で押圧し、パネルやファンネルの形にプレス成型するプレス成型装置等から構成されている。
【0003】
ゴブ供給装置には、溶解槽により溶解された溶融ガラスが下方のボトム金型に流出する開口(オリフィス)が設けられ、また、オリフィス上部(溶解槽内)で上下動するプランジャ(ゴバー)が配置されており、ゴバーが下降することによって溶融ガラスがオリフィスから押し出される。そして、オリフィスの下方にはシェア(切断歯)が配置されており、オリフィスから押し出された溶融ガラスがシェアによって一定量のゴブとして切断され、ボトム金型内に降下するようになっている。
【0004】
ところで、上述のプランジャ、シェア等のシステムの動作部はサーボモータにより駆動され、サーボ制御によって決められた動作タイミングで同期制御されるようになっているが、各サーボモータ等の電源には通常、電力会社から供給される商用電源が使用されている。このため、落雷等によって停電が生じると、危険な状態でシステムの運転が停止してしまうおそれがあった。例えば、停電によってオリフィスが遮蔽されない状態で成型システムの運転が停止すると、溶解槽から溶融ガラスが流出してしまうという事態が生じる。
【0005】
このような事態を防止する方法として、商用電源に無停電電源装置を接続しておくことが考えられる。無停電電源装置は、通常、交流の商用電源をコンバータ部で直流に変換してその直流電圧で蓄電池を満充電の状態に保ちながらインバータ部で交流に逆変換し、その交流の電源を接続された装置に供給する構成となっている。停電が生じた場合には、蓄電池からインバータを介して電源が供給されるため、停電が起きても蓄電池から電力が供給されている間はシステムの運転が異常な状態で停止することはなく、その間にシステムの運転を正常に終了させることができる。
【0006】
また、無停電電源装置を使用する方法以外に、サーボモータに電力を供給する直流の給電ライン(例えば、コンバータ部とインバータ部との間)に大容量のコンデンサを接続しておくことも考えられる(例えば、特許文献1、2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−216027号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平10−71440号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように無停電電源装置を使用する場合にはコストが高くなるという欠点がある。特にサーボモータ用の無停電電源装置は非常に高価である。即ち、サーボモータでは指令値に対する追従性が大きな問題となり、追従性を向上させるために過大な負荷トルクに対応できる電流をサーボモータに供給する必要がある。このような電流を瞬間的にでも供給できる無停電電源装置を使用するとなると、非常に高価な素子(例えばインバータ部のトランジスタ素子)を用いた無停電電源装置が必要となる。このような事情から無停電電源装置の使用にはコスト面での問題があった。
【0010】
また、特許文献1、2のようにサーボモータに電力を供給する直流の給電ラインに大容量のコンデンサを接続しておく方法では、瞬停の場合や停電後に短時間でシステムを正常な状態で停止させることができる場合には対処できる。しかしながら、長時間に渡って停電が解消されず、また、システムを正常な状態で停止させる作業に数十分という長時間を要するような場合には、コンデンサの容量だけでは対処できないという問題があった。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、停電時において長時間のモータ駆動が可能で且つ安価に構成されるモータ制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、商用交流電源を直流電源に変換するコンバータ部と、コンバータ部によって変換された直流電源を周波数可変の交流電源としてモータに給電するインバータ部とを備えたモータ制御装置において、前記コンバータ部と前記インバータ部との間の直流の給電ラインに接続され、前記商用交流電源からの給電が停止した場合に前記インバータ部に直流電源を供給する蓄電池を備えたことを特徴としている。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明が、ガラス成型体の成型システムの動作部を駆動するサーボモータのモータ制御装置として適用されることを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、交流電源(商用交流電源)の周波数を変更してモータに電力を供給するいわゆるインバータと呼ばれる回路のコンバータ部(交流―直流変換部)とインバータ部(直流―交流変換部)との間に充放電可能な蓄電池を接続するようにしたため、無停電電源装置のような大掛かりな装置を使用することなく、停電時におけるモータの駆動電力をその蓄電池から供給でき、長時間の駆動が可能となる。また、無停電電源装置を使用する場合に比べて、回路構成が簡素であり、また、特別な回路素子を使う必要もないため低コストで実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るモータ制御装置の好ましい実施の形態について図を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明が適用されるガラス成型体の成型システムの一部構成を示した概略構成図である。尚、本成型システムにより成型されるガラス成型体として例えばブラウン管のパネルやファンネル等がある。同図に示すように本成型システムはゴブ供給装置10やプレス成型装置等から構成されている。ゴブ供給装置10は、溶融ガラス塊26(以下、ゴブ26という)を生成し、ボトム金型28に供給する装置であり、溶融ガラス24を貯留する溶解槽14、溶解槽14の底面に設けられたオリフィス(開口)16、オリフィス16の上方に配置されたゴバー(プランジャ)18、オリフィス16の下方に配置されたシェア20及びスパンカ22等から構成される。
【0017】
ゴバー18は、溶解槽14内で上下方向に駆動されるようになっており、ゴバー18が上方に退避した状態から下降すると、溶解槽14内の溶融ガラス24がオリフィス16から外部に適度な流量で押し出されるようになっている。尚、ゴバー18は回転駆動されるようにもなっている。
【0018】
シェア20は、2枚のブレード20A、20Bを備え、各ブレード20A、20Bがそれぞれ図中左右方向に駆動されるようになっている。上述のようにゴバー18が下降し溶融ガラス24がオリフィス16から押し出された際には、各ブレード20A、20Bが離間した位置から重なり合う位置まで移動する。これにより、オリフィス16から押し出された溶融ガラス24が切断され、ゴブ26が生成される。そして生成されたゴブ26が下方のボトム金型28内に供給される。
【0019】
スパンカ22は、オリフィス16を遮蔽する遮蔽位置と、オリフィス16から流出する溶融ガラス24に干渉しない退避位置との間で駆動されるようになっている。ゴバー18を下降させてオリフィス16から溶融ガラス24を押し出す際には、スパンカ22は退避位置に退避しているが、ゴバー18が上方に退避して次の下降が実行されるまでの間は遮蔽位置に配置される。これにより、オリフィス16からの溶融ガラス24の自然流出が防止されるとともに、1回当たりのゴブ26の供給量の安定化が図られている。
【0020】
一方、ゴブ供給装置10からゴブ26が供給されたボトム金型28は図示しない搬送装置によってプレス成型装置に搬送され、また、次にゴブ26の供給を受けるボトム金型28がオリフィス16の下方に搬送されるようになっている。プレス成型装置では、押し型(プランジャ)30が下降してボトム金型28内のゴブ26が押圧され、ゴブ26が製品形状にプレス成型される。
【0021】
このようにしてゴブ供給装置10によりゴブ26が繰り返し生成され、順次搬送されてくるボトム金型28にゴブ26が供給されるとともに、ゴブ26を供給されたボトム金型28がプレス成型装置に順次搬送されて製品形状のガラス成型体が次々に成型される。
【0022】
ところで、上記成型システムの各動作部、例えば、ゴブ供給装置10のゴバー18、シェア20、スパンカ22、プレス成型装置のプランジャ30等は、サーボモータによって駆動されるとともに、各動作部の一連の動作が決められたタイミングで同期制御されるようになっている。そして、各サーボモータの駆動電力は3相の商用交流電源(買電)から供給されるようになっている。
【0023】
図2は、3相の商用交流電源(3相交流電源)から各サーボモータに供給される電力の給電ラインを示した図である。同図には、上記成型システムの動作部を駆動するサーボモータの一部が例示されており、例えば、スパンカ22を駆動するサーボモータSM1、シェア20を駆動するサーボモータSM2、ゴバー18を上下駆動するサーボモータSM3、ゴバー18を回転駆動するサーボモータSM4などがある。尚、これらのサーボモータには例えば同期電動機(3相SM形ACサーボモータ)が使用される。そして、同図に示すように各サーボモータSM1〜SM4には商用交流電源からの商用電力がそれぞれ対応するサーボアンプSA1〜SA4を介して供給されるようになっている。また、一部のサーボモータSM3、SM4に対しては、商用交流電源の電圧がトランスTによって電圧変換されるようになっている。
【0024】
図3は、各サーボモータ(以下、サーボモータSMという)を駆動制御するサーボ機構の一般的構成を示した図である。同図に示すようにサーボ機構は主としてサーボモータSMとサーボアンプを含むサーボコントローラ50とから構成されている。サーボコントローラ50には、サーボモータSMの動作を指令する指令信号(本実施の形態では目標位置を示す位置指令信号とする)が図示しないシーケンサ又はモーションコントローラ等から与えられ、また、サーボモータSMの現在の回転位置を示す位置信号がエンコーダ52から与えられるようになっている。
【0025】
サーボコントローラ50では、指令信号と位置信号との偏差が求められ、その偏差が減少するように(0となるように)サーボモータSMの回転速度を制御する制御信号がCPU54から電力制御回路56に与えられる。電力制御回路56には商用交流電源を周波数可変の交流電源としてサーボモータSMに供給するインバータが含まれており、CPU54からの制御信号に基づいてインバータの回路動作が制御され、その回路動作により商用交流電源からの商用電力が前記制御信号に基づく周波数の交流電源としてサーボモータSMに供給されるようになっている。これによりサーボモータSMの回転速度が前記制御信号に基づいて変更される。
【0026】
図4は、インバータの概略構成を示した図である。同図に示すように3相の商用交流電源は、コンバータ部60により直流電圧に変換される。そして、コンバータ部60から出力された直流電圧は、インバータ部62により所定周波数の3相交流電圧に変換されてサーボモータSMに供給されるようなっている。インバータ部62の回路動作は上記CPU54から与えられる制御信号に基づいてドライブ回路64によって制御されるようになっており、この制御によってインバータ部62から出力される交流電圧の周波数が可変される。これによって、サーボモータSMの回転速度が可変される。
【0027】
一方、コンバータ部60からインバータ部62への直流の給電ラインには、平滑用のコンデンサCの他に、充電・放電可能なバッテリー(蓄電池)66及び停電検出回路68が接続される。商用交流電源から正常に電力が供給されている状態ではバッテリー66の充電が行われて、満充電の状態に保持されるようになっている。一方、停電が発生して商用交流電源からの電力供給が停止した場合には、バッテリー66からインバータ部62を介してサーボモータSMに電力が供給されるようになっている。このように停電時にバッテリー66から電力を供給することによって商用交流電源からの電力供給が停止されてもサーボモータSMの駆動を長時間で確保することができるようになっている。そして、この間に作業者が正常にシステムの運転を停止させる作業等を行うことができるようになる。
【0028】
また、停電が回復せず、また、システムの運転が継続している場合に、バッテリー66の電力が消耗し、電圧が低下してくると、停電検出回路68によりその状態が検出される。このときには、例えば、自動でサーボモータSMを緊急停止させるなどの最低限必要な処理が実行されるようになっている。
【0029】
以上、上記実施の形態では、本発明をガラス成型体の成型システムにおけるモータ(サーボモータ)の駆動に関して適用した場合について説明したが、本発明が適用されるシステム、装置はこれに限定されない。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るモータ制御装置によれば、交流電源(商用交流電源)の周波数を変更してモータに電力を供給するいわゆるインバータと呼ばれる回路のコンバータ部(交流―直流変換部)とインバータ部(直流―交流変換部)との間に充放電可能な蓄電池を接続するようにしたため、無停電電源装置のような大掛かりな装置を使用することなく、停電時のモータの駆動電力をその蓄電池から供給できるようになる。また、無停電電源装置を使用する場合に比べて、回路構成が簡素であり、また、特別な回路素子を使う必要もないため低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるガラス成型体の成型システムの一部構成を示した概略構成図
【図2】3相の商用交流電源から各サーボモータに供給される電力の給電ラインを示した図
【図3】サーボモータを駆動制御するサーボ機構の一般的構成を示した図
【図4】インバータの概略構成を示した図
【符号の説明】
10…ゴブ供給装置、14…溶解槽、16…オリフィス、18…ゴバー、20…シェア、22…スパンカ、24…溶融ガラス、26…溶融ガラス塊(ゴブ)、28…ボトム金型、30…押し型(プランジャ)、SM、SM1〜SM4…サーボモータ、SA1〜SA4…サーボアンプ、50…サーボコントローラ、52…エンコーダ、54…CPU、56…電力制御回路、60…コンバータ部、62…インバータ部、C…コンデンサ、66…バッテリー、68…停電検出回路

Claims (2)

  1. 商用交流電源を直流電源に変換するコンバータ部と、コンバータ部によって変換された直流電源を周波数可変の交流電源としてモータに給電するインバータ部とを備えたモータ制御装置において、
    前記コンバータ部と前記インバータ部との間の直流の給電ラインに接続され、前記商用交流電源からの給電が停止した場合に前記インバータ部に直流電源を供給する蓄電池を備えたことを特徴とするモータ制御装置。
  2. ガラス成型体の成型システムの動作部を駆動するサーボモータのモータ制御装置として適用されることを特徴とする請求項1のモータ制御装置。
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